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(元気が出る飲み物)
380 名前:でんでん :04/09/10 04:11 ID:evoMcSqS
今日もまたあの人の声が聞こえる。
「どうした香奈、またいじめられたのかい?」
「うん・・・」
私はいつものように枕に泣き顔を埋め、あの人と話す。
名前も顔も知らない、あの人と。
「そうか・・・だけど僕だけは君の味方だからね」
「ありがとう」
私はあの人がいれば、何もいらない。
あの人は私に何でもくれる。
優しさ、元気、そして・・・
「さぁ・・・今日もおまじないをしてあげよう」
「うん」
私はいつものように全裸でベッドに横になった。
「あっ」
私のクリトリスが私の意思とは勝手に大きくなっていく。
そして1mもある、大きくて長いおちんちんに変わった。
「んっ・・・」
私の言う事を聞かない私の体の一部、おちんちんを動かすあの人はゆっくりと私の乳房を撫で始めた。
「ん・・・ふぁっ・・・」
私の乳首が段々と硬くなる。それと同時に、あの人もまた硬くなっていく。
「さ、元気の出る美味しい飲み物だよ」
あの人はゆっくりと私の口の中へと入っていった。
「あ・・・んむぅ・・・」
私はいつものように、無意識にあの人を舌で優しく舐めた。
するとあの人は「元気の出る飲み物」を出してくれた。
私はこれが大好き。味は甘くて濃厚だ。
飲むと体中が熱くなり、頭がボーッとしてくる。
これがまた、気持ちがいいのだ。
381 名前:でんでん :04/09/10 04:28 ID:6gqlWPrK
私は「元気の出る飲み物」を一滴も残さず、ゴクリと飲み干した。
頭がグラグラして空に浮いているようだ、病みつきになりそう。
「はぁ、はぁ・・・気持ちいいぃ・・・」
あの人は私の口から離れていくと、ゆっくりと私の秘部へと移動した。
そして滑らかに私の秘部を沿い始めた。
「あぁっ・・・うあぁん」
いつもおかしくなりそうになる。
ただでさえ気持ちいいのに、ココを触られたら・・・。
「ひゃあっ!!ひうぅんっ・・・」
いつもの私からは有り得ない言葉が飛び出す。
「香奈のココからこんなに元気になる飲み物が出てる、元気が出た証拠だよ」
「あはっ・・・んんっ・・嬉しいっ」
あの人はまたさっきのように硬くなりだす。
そう、アレが来るのだ。最後のおまじないが。
「あううんっ!!」
あの人は私の秘部の中へゆっくりと入っていった。
そしてゆっくりと出入りをする。ああ、ゾクゾクするよ。
「ああっ・・・ひっ・・・うぅんっ」
だんだんとあの人の出入りが激しくなっていく。
体中が熱い、熱い。真っ白になる。
「うああんっ・・・きた、きたよぉっ・・・」
「よーし、今日もおまじないは成功したみたいだね」
この言葉が出ると、あの人の出入りはもの凄い速さになる。
私の下半身は感覚があるようで無いみたいになる。
「きたっ・・・・うあああぁぁんっ!!!」
そして私の秘部の中に「元気の出る飲み物」が注がれる。
382 名前:でんでん :04/09/10 04:52 ID:Lox+u4UA
「これで明日も頑張れるね」
「はぁ・・はぁ・・・うん、ありがと・・・」
「じゃあ、またね」
あの人はシュルシュルと縮まり、私のクリトリスに戻る。
私は虚ろな目をしながら、ただ天井を見つめていた。
私には友人も恋人もいない。
両親は2年もこの家に帰ってない・・・私はずっと独りぼっち。
そんな時、あの人が私の中に現れたのは5ヶ月前。
突然私の頭に話しかけてきてビックリしたけど、
とても優しくて私を元気にしてくれたから、今では私には欠かせない人。
それに毎日おまじないで私を癒してくれるしね。
でも、本当は少し怖いの。
「元気が出る飲み物」・・・っていうか精子なんだろうけど、
それを出されてから私の体はどんどんおかしくなっていってる。
あれを飲み始めてからやたら意識が飛ぶ時もある。
そして何より怖いのが私のお腹が膨らんできたって事。
しかも肌の上から触ってみたら、ソフトボールみたいなのが2、3個詰まっているような感覚なの。
これ、妊娠だとしても・・・人の子じゃないよね(汗)。
でも、やめられない。
私の脳も体もあの人にはもう逆らえないの。
あの人が出てくると恐怖が何処かに飛んでいって、優しさと快感を求める私がいるの。
あの人が出てきてない今だから言える。
誰も助けてくれる人なんかいないけど・・・・・・助けて。
助けて・・・
383 名前:でんでん :04/09/10 04:55 ID:Lox+u4UA
なんとなく夜中に思い立って、勢いで書いてしまいました、スマソ。
今日もまたあの人の声が聞こえる。
「どうした香奈、またいじめられたのかい?」
「うん・・・」
私はいつものように枕に泣き顔を埋め、あの人と話す。
名前も顔も知らない、あの人と。
「そうか・・・だけど僕だけは君の味方だからね」
「ありがとう」
私はあの人がいれば、何もいらない。
あの人は私に何でもくれる。
優しさ、元気、そして・・・
「さぁ・・・今日もおまじないをしてあげよう」
「うん」
私はいつものように全裸でベッドに横になった。
「あっ」
私のクリトリスが私の意思とは勝手に大きくなっていく。
そして1mもある、大きくて長いおちんちんに変わった。
「んっ・・・」
私の言う事を聞かない私の体の一部、おちんちんを動かすあの人はゆっくりと私の乳房を撫で始めた。
「ん・・・ふぁっ・・・」
私の乳首が段々と硬くなる。それと同時に、あの人もまた硬くなっていく。
「さ、元気の出る美味しい飲み物だよ」
あの人はゆっくりと私の口の中へと入っていった。
「あ・・・んむぅ・・・」
私はいつものように、無意識にあの人を舌で優しく舐めた。
するとあの人は「元気の出る飲み物」を出してくれた。
私はこれが大好き。味は甘くて濃厚だ。
飲むと体中が熱くなり、頭がボーッとしてくる。
これがまた、気持ちがいいのだ。
381 名前:でんでん :04/09/10 04:28 ID:6gqlWPrK
私は「元気の出る飲み物」を一滴も残さず、ゴクリと飲み干した。
頭がグラグラして空に浮いているようだ、病みつきになりそう。
「はぁ、はぁ・・・気持ちいいぃ・・・」
あの人は私の口から離れていくと、ゆっくりと私の秘部へと移動した。
そして滑らかに私の秘部を沿い始めた。
「あぁっ・・・うあぁん」
いつもおかしくなりそうになる。
ただでさえ気持ちいいのに、ココを触られたら・・・。
「ひゃあっ!!ひうぅんっ・・・」
いつもの私からは有り得ない言葉が飛び出す。
「香奈のココからこんなに元気になる飲み物が出てる、元気が出た証拠だよ」
「あはっ・・・んんっ・・嬉しいっ」
あの人はまたさっきのように硬くなりだす。
そう、アレが来るのだ。最後のおまじないが。
「あううんっ!!」
あの人は私の秘部の中へゆっくりと入っていった。
そしてゆっくりと出入りをする。ああ、ゾクゾクするよ。
「ああっ・・・ひっ・・・うぅんっ」
だんだんとあの人の出入りが激しくなっていく。
体中が熱い、熱い。真っ白になる。
「うああんっ・・・きた、きたよぉっ・・・」
「よーし、今日もおまじないは成功したみたいだね」
この言葉が出ると、あの人の出入りはもの凄い速さになる。
私の下半身は感覚があるようで無いみたいになる。
「きたっ・・・・うあああぁぁんっ!!!」
そして私の秘部の中に「元気の出る飲み物」が注がれる。
382 名前:でんでん :04/09/10 04:52 ID:Lox+u4UA
「これで明日も頑張れるね」
「はぁ・・はぁ・・・うん、ありがと・・・」
「じゃあ、またね」
あの人はシュルシュルと縮まり、私のクリトリスに戻る。
私は虚ろな目をしながら、ただ天井を見つめていた。
私には友人も恋人もいない。
両親は2年もこの家に帰ってない・・・私はずっと独りぼっち。
そんな時、あの人が私の中に現れたのは5ヶ月前。
突然私の頭に話しかけてきてビックリしたけど、
とても優しくて私を元気にしてくれたから、今では私には欠かせない人。
それに毎日おまじないで私を癒してくれるしね。
でも、本当は少し怖いの。
「元気が出る飲み物」・・・っていうか精子なんだろうけど、
それを出されてから私の体はどんどんおかしくなっていってる。
あれを飲み始めてからやたら意識が飛ぶ時もある。
そして何より怖いのが私のお腹が膨らんできたって事。
しかも肌の上から触ってみたら、ソフトボールみたいなのが2、3個詰まっているような感覚なの。
これ、妊娠だとしても・・・人の子じゃないよね(汗)。
でも、やめられない。
私の脳も体もあの人にはもう逆らえないの。
あの人が出てくると恐怖が何処かに飛んでいって、優しさと快感を求める私がいるの。
あの人が出てきてない今だから言える。
誰も助けてくれる人なんかいないけど・・・・・・助けて。
助けて・・・
383 名前:でんでん :04/09/10 04:55 ID:Lox+u4UA
なんとなく夜中に思い立って、勢いで書いてしまいました、スマソ。
Pervasioner Prologue-1
315 名前:乙×風【Pervasioner】 :04/08/20 10:20 ID:CEdTjavq
Prologue-1
今からおよそ二万年前。
日本の山脈に直径45メートルの隕石が落下した。
氷河期の只中にあったこの頃、山脈は雪と氷の世界だった。
膨大な運動エネルギーと熱エネルギーを内包しながら落下した隕石は、
地表へと激突した瞬間周囲の雪と氷をあっという間に蒸発させ、
900メートルのクレーターを作った。
――そして。
この隕石は二万年の月日を経て、堆積していく大地へと埋もれていく。
堆積した大地は後に、長野県の上村、御池山と名付けられ、
南アルプスの一角となった。
だが、それだけでは終わらない。
隕石の中には、『あるモノ』が眠っていた。
それは隕石が落下した後、長い年月を掛けながら埋もれていく大地の中で、
誰にも知られる事無く、少しづつ、だが確実に成長していく。
来るべき時に備えて。
そしてそれが、人類を滅亡させる――ん、何よ? 今いいところなのに。
「和美ちゃん? それ、絶対嘘だよね?」
控えめに私の肩を叩いたおさげの子が、苦笑いをしながら私を見つめている。
彼女は〈桜井香奈枝〉。私の幼馴染で大切な友達。
同い年だって言うのに私より頭一つ分背が低い上、顔だって童顔で、
すごい控えめな子だからまるで子犬みたいな印象を受ける。
「ええっ! 今の嘘だったのっ!?」
素っ頓狂な声で教養の無さをアピールしているのは、これまた私の幼馴染
(こっちは只の腐れ縁だと思いたい)の〈眞鍋浩太〉。
典型的な体育会系の人間で、「好きな科目は?」 って尋ねたら、
「体育と昼飯!」って答える筋金入りの馬鹿だ。
昼飯は科目じゃないわよ、この脳みそ筋肉男。
316 名前:乙×風【Pervasioner】 :04/08/20 10:25 ID:CEdTjavq
「嘘に決まってるじゃない」
「何だよ、未知との遭遇でもあるのかと思ったのに」
「SF映画の見すぎよ馬鹿」
「あー、バカって言った! バカって言った方がバカなんだぞ! やーい!」
思わず嘆息した。
「アンタ自分で何言ってるか分かってる?」
きっと幼少時代から心と脳みそが進化してないんだ、とすら思ってしまう。
ここは長野県の上村、御池山と名付けられた南アルプスの一角。
季節は夏。大気中の湿気が直に汗に変わるような錯覚を覚える、七月だ。
私、〈柴田和美〉は幼馴染の香奈枝と眞鍋と三人で、南アルプスに登山に来ていた。
自然愛好家の香奈枝と、体を動かすのが好きな眞鍋、それに私は根っからの旅行好き
(というか、知らない風景を見るのが好き)だったから、三人が登山っていう共通の趣味
を持つのは当たり前だったと思うし、今まで何度も見知らぬ土地を上った。
で、眼下には岩肌をむき出しにした急斜面が広がっている。
ここは、しらびそ峠(長野県上村から南アルプスに入る分岐点)から御池山へ向かう林道を
3kmほど南へ行った、土捨て場。ここから、御池山へのハイキングコースがある。
地滑りが起きて深い谷状になったそこは、二万年前に隕石落下してクレーターになった所だ。
ハイキングコースはこの円周状のクレーターの淵を歩くように延びているというわけ。
でもクレーターって言っても、地滑りやら断層やらでその半分以上が崩れ落ちて、
そこがクレーター、っていう実感が全然得られない。まあでも、右を見ても左を見ても、
不自然な形をした巨岩が転がっているから、隕石落下~、っていう名残はあるかな?
「……和美ちゃん?」
「なーに?」
「……その。そろそろ移動した方が、良いんじゃないかな?
日も暮れてきたし」
言われて遠くを見る。確かに、青い空に朱が混じり始めていた。
「そうね、じゃあ、そろそろおいとましましょうか」
317 名前:乙×風【Pervasioner】 :04/08/20 10:26 ID:CEdTjavq
「あーちょっと待てよ!」
「何よマヌケ鍋」
私が考えたバカ眞鍋のあだ名だった。知能指数が低くて、考え無しで行動して
よくマヌケな事をしでかすからマヌケ鍋。自分のネーミングセンスに惚れ惚れしそうだ。
「写真とっていこうぜ! クレーター背景によ!」
「却下。こんなの写真にとってもクレーターって分からないわよ。
それに早く帰らないとバスが行っちゃうじゃない」
「えーっ! 写真とろーぜーっ!」
子供かこの男は…………………ごめん、子供だった。
「和美ちゃん、私は良いと思うよ?」
香奈枝がマヌケ鍋のフォローをしてる!
私は大の親友と意見が食い違った事に少なからずショックを受けた。
「香奈枝……どうして?」
「え、だって……見ても分からないものだから、誰かが写真を取って、
これはクレーターですよ、って知らせなきゃいけないと思うの。
それに、三人揃った写真、今回はまだ撮ってなかったから。良い機会だと思うの」
……うーん。そう言われると、そうかも知れない。
でも「香奈枝の意見を認めるという事」=「眞鍋の意見を認めるという事」だから、
素直に首を縦に振るという事はプライドが許さない。
「もうっ、しょうがないわね。今回は香奈枝に免じて特別に許してあげるわ」
「ざまーみろー」
アカンベーをしてる眞鍋がすごくムカつくのは何でだろう?
まあいいや、ストレスが溜まったならこいつを殴って解消するだけだし。
「わ、ちょっ! 悪かった! 俺が悪かった! だから遠心力付けた水筒で殴るのは
勘弁してくれっ! いでっ!? いででっ!! てめえ止めろ! マジデスるじゃねえか!? 」
逃げるマヌケ鍋を、香奈枝が入れてくれた紅茶の詰まった水筒を振り回して追いかける。
「くすくすっ、本当に二人とも仲が良いんだから」
楽しそうに、でもどこか寂しそうに香奈枝は笑うと首から提げていたデジカメを構えて、
イタチゴッコを始めた私と真鍋を写真に収めた。
318 名前:乙×風【Pervasioner】 :04/08/20 10:27 ID:CEdTjavq
***
その後、眞鍋の脳天に瘤を二つほど作ったところで、香奈枝が制止に入り、
クレーターを背後に三人で写真を撮った。
香奈枝は少し恥ずかしそうにはにかみ、
私は清清しいスマイルを浮かべ、
真鍋だけは半泣きだった。
その後、私達は携帯に撮ったばかりの画像を携帯に吸い出すとクレーターを後にした。
――そして、これが人生で最後の写真になった。
***
「ありゃなんだ?」
しらびそ峠へと戻る途中、すっかり元気になった真鍋がそれを指差した。
真鍋が指差した所――山道の右手側に広がる斜面を二メートルほど上がった所――
に大人がかろうじて通れる程の横穴が、ぽっかりと口を開けていた。
「何かしらね?」
正直どうでもいい事だったが、私のすぐ後ろに歩いていた香奈枝が気になる事を言った。
「……下る時はこんな横穴、無かったよ。私、この辺りの植物とか全部メモしながら歩いてたから、
よく覚えている」
その言葉に背筋が震えた。
まるで隕石の中にはエイリアンが眠っていて今でも虎視眈々と人間を狙っている――
なんて三文小説のような大嘘を付いたのは私自身だし、そんな事現実に起こるわけがない
と思っている。
でも、つい二、三時間前には何も無かったところに、まるで、何かが棲んでいますよと
言わんばかりの横穴が開いていれば、誰だって背筋が寒くなるって。
「何よ…っ、それじゃまるで本当に」
319 名前:乙×風【Pervasioner】 :04/08/20 10:28 ID:CEdTjavq
「キイィィシャアアアアア!!」
「きゃあっ!!」
突如間近で聞こえた人外の声に私は悲鳴を上げ、反射的に頭を両手で庇った。
あまりの恐怖に思考がとんで、何も考えられなく――
「あっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! ばっかでー!!
マジでびびってやんの!! あっはっはっ――! 腹痛え――――っ!!」
マヌケ鍋だった。
「何だよ、人の事をSFオタク呼ばわりしておいて、自分でも信じてるんじゃないか。
っていうか柴田って結構びびりんぼ? ……っておい、今懐から取り出した電動剃刀器
みたいなもんは何よ? ――あ? あーあーあー。なんか先端から青白いスパークっぽい
のがピカリンコしているんだがそれはあれか? 痴漢を撃退! とかキャッチコピー
で女に大人気の――」
眞鍋が皆まで言う事は無かった。
山道に、耳を覆いたくなるような、でもうっとりするような断末魔が響き渡る。
「……真鍋君、大丈夫?」
「大丈夫よ。頑丈だけが取柄なんだから」
真鍋の胸元にたっぷりと十数秒押し付けていたスタンガンの電源を切って上着の内ポケに入れた。
足元を見れば、
仰向けに倒れたマヌケ鍋がバルサンをぶっ掛けられたゴキブリみたいにぴくぴく痙攣している。
「び、びびび、びりってっ、びりって来たっ」
「漫画みたいにアフロヘアになったら面白かったのに」
「てめえ! 人事だと思って!」
スタンガンを取り出す。
「俺ってアフロヘア似合うかもしれないな!」
「じゃあ、明日にでも床屋に行ってきたら?」
冷たく言い放つと悔しそうに上唇を噛んで涙を流し始めた。
「情けない奴」
「自分ででっちあげた仮想のエイリアンにびびってる奴は情けなく、
ぎゃああああああぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
320 名前:乙×風【Pervasioner】 :04/08/20 10:32 ID:CEdTjavq
「うるさいわね! だったら平気だって事証明したげようじゃないの!」
私は乱立する木々の根に足を引っ掛けながら斜面を登っていく。
「えっ、ちょっと和美ちゃん!?」
「俺、2-番ー!」
「真鍋君も! 大人の人呼んできた方が良いよ!」
「そんなの私のプライドが許さない! 香奈枝も! ちゃんと付いて来るの!」
「う~! ……もう! どうなっても知らないよ!」
香奈枝は困った顔を怒った顔に変えながら(あ、ちょっと可愛いかも。
怒っても怖くない顔をする子の、怒った時の顔ってどうしてこんなに可愛いんだろう?)
急な斜面に足を踏み込む。
それを確認してから私は横穴を覗き込んだ。当然のように真っ暗だ。
私は上着の内ポケからペンライトを取り出すと、内部を照らし出す。
内部は割と広めの、空洞になっているようだった。
穴を掘り進めた、というよりも元々この斜面の中に空洞があって、
そこから穴を開けような。
まあ、そんな事はどうでもいい。どうせ危険なモノがいるわけじゃないんだから。
前傾姿勢のまま横穴へと身を滑らせる。膝立ちのまま犬みたいな格好で
ペンライトを咥えたまま横穴を進んだ。
「目っの前でっ♪ 貧相なケツがっ♪ 揺れてっ――げヴぁっ!?」
真後ろのマヌケ鍋に蹴りを入れる。ジーンズを穿いて着てよかった。
スカートだったら屈辱の極みだった。
五分もそうしていると、立ち上がっても頭をぶつけない大きな空洞に出た。
ペンライトで辺りを照らす。地面が土から、ごつごつとした岩みたいなものに変わっている。
鍾乳洞だろうか、天井からはねずみ色をしたつららのような物が垂れ下がっていた。
こんな所、パンフレットには載ってなかった。
「……ねえ、和美ちゃん。もう、戻ろうよう」
確かに、こうして新しく発見した洞窟の第一発見者になれたわけだし、
これ以上ここにいてもしょうがない。
それに、なんだろう……ここに居てはいけない気がする。
321 名前:乙×風【Pervasioner】 :04/08/20 10:32 ID:CEdTjavq
女の第六感がさっきから警鐘を鳴らし続けているんだ。
「……そうよね。もう戻りましょうか」
だが、踵を返そうとする私達に、真鍋が声を掛けた。
「なんか匂わねえか?」
「は?」
鼻を動かして匂いを嗅ぐ。確かに何か臭った。
酸っぱくて、どこか青臭い――例えて言うならそう、昆虫類を潰した時の
体液の臭いみたいな……
それに、今気付いたけど。この鍾乳洞の中、凄く湿度が高くて蒸し暑い。
日陰に居るはずなのに後から後から汗が吹き出てくる。
「こっち、っからっかな♪」
マヌケ鍋は洞窟の更に奥へとスキップでするような足取りで進む。
この、少しは危機感とか覚えなさいよ!
大口を叩いたのに、いつの間にか私自身が恐怖を覚えている事を、
あえて無視しながら、その後を駆け足で追いかける。
「眞鍋! ちょっと待ちなさい!」
「か、和美ちゃん! 置いてかないでぇ…!」
慌てて香奈枝も追いかけてくる。
その様子を肩越しに見た真鍋が、呆れ果てた声を出した。
「なーにを焦ってんだ? どうせなにも出やしないってお前が言って――おわっ?」
そしてその姿が突如掻き消える。
「まな――べ!?」
と思った瞬間。足を踏み外した。
地面が無い。
バランスが崩れる。
私は不安定な体制のまま闇の中へと堕ちていった。
Prologue-1
今からおよそ二万年前。
日本の山脈に直径45メートルの隕石が落下した。
氷河期の只中にあったこの頃、山脈は雪と氷の世界だった。
膨大な運動エネルギーと熱エネルギーを内包しながら落下した隕石は、
地表へと激突した瞬間周囲の雪と氷をあっという間に蒸発させ、
900メートルのクレーターを作った。
――そして。
この隕石は二万年の月日を経て、堆積していく大地へと埋もれていく。
堆積した大地は後に、長野県の上村、御池山と名付けられ、
南アルプスの一角となった。
だが、それだけでは終わらない。
隕石の中には、『あるモノ』が眠っていた。
それは隕石が落下した後、長い年月を掛けながら埋もれていく大地の中で、
誰にも知られる事無く、少しづつ、だが確実に成長していく。
来るべき時に備えて。
そしてそれが、人類を滅亡させる――ん、何よ? 今いいところなのに。
「和美ちゃん? それ、絶対嘘だよね?」
控えめに私の肩を叩いたおさげの子が、苦笑いをしながら私を見つめている。
彼女は〈桜井香奈枝〉。私の幼馴染で大切な友達。
同い年だって言うのに私より頭一つ分背が低い上、顔だって童顔で、
すごい控えめな子だからまるで子犬みたいな印象を受ける。
「ええっ! 今の嘘だったのっ!?」
素っ頓狂な声で教養の無さをアピールしているのは、これまた私の幼馴染
(こっちは只の腐れ縁だと思いたい)の〈眞鍋浩太〉。
典型的な体育会系の人間で、「好きな科目は?」 って尋ねたら、
「体育と昼飯!」って答える筋金入りの馬鹿だ。
昼飯は科目じゃないわよ、この脳みそ筋肉男。
316 名前:乙×風【Pervasioner】 :04/08/20 10:25 ID:CEdTjavq
「嘘に決まってるじゃない」
「何だよ、未知との遭遇でもあるのかと思ったのに」
「SF映画の見すぎよ馬鹿」
「あー、バカって言った! バカって言った方がバカなんだぞ! やーい!」
思わず嘆息した。
「アンタ自分で何言ってるか分かってる?」
きっと幼少時代から心と脳みそが進化してないんだ、とすら思ってしまう。
ここは長野県の上村、御池山と名付けられた南アルプスの一角。
季節は夏。大気中の湿気が直に汗に変わるような錯覚を覚える、七月だ。
私、〈柴田和美〉は幼馴染の香奈枝と眞鍋と三人で、南アルプスに登山に来ていた。
自然愛好家の香奈枝と、体を動かすのが好きな眞鍋、それに私は根っからの旅行好き
(というか、知らない風景を見るのが好き)だったから、三人が登山っていう共通の趣味
を持つのは当たり前だったと思うし、今まで何度も見知らぬ土地を上った。
で、眼下には岩肌をむき出しにした急斜面が広がっている。
ここは、しらびそ峠(長野県上村から南アルプスに入る分岐点)から御池山へ向かう林道を
3kmほど南へ行った、土捨て場。ここから、御池山へのハイキングコースがある。
地滑りが起きて深い谷状になったそこは、二万年前に隕石落下してクレーターになった所だ。
ハイキングコースはこの円周状のクレーターの淵を歩くように延びているというわけ。
でもクレーターって言っても、地滑りやら断層やらでその半分以上が崩れ落ちて、
そこがクレーター、っていう実感が全然得られない。まあでも、右を見ても左を見ても、
不自然な形をした巨岩が転がっているから、隕石落下~、っていう名残はあるかな?
「……和美ちゃん?」
「なーに?」
「……その。そろそろ移動した方が、良いんじゃないかな?
日も暮れてきたし」
言われて遠くを見る。確かに、青い空に朱が混じり始めていた。
「そうね、じゃあ、そろそろおいとましましょうか」
317 名前:乙×風【Pervasioner】 :04/08/20 10:26 ID:CEdTjavq
「あーちょっと待てよ!」
「何よマヌケ鍋」
私が考えたバカ眞鍋のあだ名だった。知能指数が低くて、考え無しで行動して
よくマヌケな事をしでかすからマヌケ鍋。自分のネーミングセンスに惚れ惚れしそうだ。
「写真とっていこうぜ! クレーター背景によ!」
「却下。こんなの写真にとってもクレーターって分からないわよ。
それに早く帰らないとバスが行っちゃうじゃない」
「えーっ! 写真とろーぜーっ!」
子供かこの男は…………………ごめん、子供だった。
「和美ちゃん、私は良いと思うよ?」
香奈枝がマヌケ鍋のフォローをしてる!
私は大の親友と意見が食い違った事に少なからずショックを受けた。
「香奈枝……どうして?」
「え、だって……見ても分からないものだから、誰かが写真を取って、
これはクレーターですよ、って知らせなきゃいけないと思うの。
それに、三人揃った写真、今回はまだ撮ってなかったから。良い機会だと思うの」
……うーん。そう言われると、そうかも知れない。
でも「香奈枝の意見を認めるという事」=「眞鍋の意見を認めるという事」だから、
素直に首を縦に振るという事はプライドが許さない。
「もうっ、しょうがないわね。今回は香奈枝に免じて特別に許してあげるわ」
「ざまーみろー」
アカンベーをしてる眞鍋がすごくムカつくのは何でだろう?
まあいいや、ストレスが溜まったならこいつを殴って解消するだけだし。
「わ、ちょっ! 悪かった! 俺が悪かった! だから遠心力付けた水筒で殴るのは
勘弁してくれっ! いでっ!? いででっ!! てめえ止めろ! マジデスるじゃねえか!? 」
逃げるマヌケ鍋を、香奈枝が入れてくれた紅茶の詰まった水筒を振り回して追いかける。
「くすくすっ、本当に二人とも仲が良いんだから」
楽しそうに、でもどこか寂しそうに香奈枝は笑うと首から提げていたデジカメを構えて、
イタチゴッコを始めた私と真鍋を写真に収めた。
318 名前:乙×風【Pervasioner】 :04/08/20 10:27 ID:CEdTjavq
***
その後、眞鍋の脳天に瘤を二つほど作ったところで、香奈枝が制止に入り、
クレーターを背後に三人で写真を撮った。
香奈枝は少し恥ずかしそうにはにかみ、
私は清清しいスマイルを浮かべ、
真鍋だけは半泣きだった。
その後、私達は携帯に撮ったばかりの画像を携帯に吸い出すとクレーターを後にした。
――そして、これが人生で最後の写真になった。
***
「ありゃなんだ?」
しらびそ峠へと戻る途中、すっかり元気になった真鍋がそれを指差した。
真鍋が指差した所――山道の右手側に広がる斜面を二メートルほど上がった所――
に大人がかろうじて通れる程の横穴が、ぽっかりと口を開けていた。
「何かしらね?」
正直どうでもいい事だったが、私のすぐ後ろに歩いていた香奈枝が気になる事を言った。
「……下る時はこんな横穴、無かったよ。私、この辺りの植物とか全部メモしながら歩いてたから、
よく覚えている」
その言葉に背筋が震えた。
まるで隕石の中にはエイリアンが眠っていて今でも虎視眈々と人間を狙っている――
なんて三文小説のような大嘘を付いたのは私自身だし、そんな事現実に起こるわけがない
と思っている。
でも、つい二、三時間前には何も無かったところに、まるで、何かが棲んでいますよと
言わんばかりの横穴が開いていれば、誰だって背筋が寒くなるって。
「何よ…っ、それじゃまるで本当に」
319 名前:乙×風【Pervasioner】 :04/08/20 10:28 ID:CEdTjavq
「キイィィシャアアアアア!!」
「きゃあっ!!」
突如間近で聞こえた人外の声に私は悲鳴を上げ、反射的に頭を両手で庇った。
あまりの恐怖に思考がとんで、何も考えられなく――
「あっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!! ばっかでー!!
マジでびびってやんの!! あっはっはっ――! 腹痛え――――っ!!」
マヌケ鍋だった。
「何だよ、人の事をSFオタク呼ばわりしておいて、自分でも信じてるんじゃないか。
っていうか柴田って結構びびりんぼ? ……っておい、今懐から取り出した電動剃刀器
みたいなもんは何よ? ――あ? あーあーあー。なんか先端から青白いスパークっぽい
のがピカリンコしているんだがそれはあれか? 痴漢を撃退! とかキャッチコピー
で女に大人気の――」
眞鍋が皆まで言う事は無かった。
山道に、耳を覆いたくなるような、でもうっとりするような断末魔が響き渡る。
「……真鍋君、大丈夫?」
「大丈夫よ。頑丈だけが取柄なんだから」
真鍋の胸元にたっぷりと十数秒押し付けていたスタンガンの電源を切って上着の内ポケに入れた。
足元を見れば、
仰向けに倒れたマヌケ鍋がバルサンをぶっ掛けられたゴキブリみたいにぴくぴく痙攣している。
「び、びびび、びりってっ、びりって来たっ」
「漫画みたいにアフロヘアになったら面白かったのに」
「てめえ! 人事だと思って!」
スタンガンを取り出す。
「俺ってアフロヘア似合うかもしれないな!」
「じゃあ、明日にでも床屋に行ってきたら?」
冷たく言い放つと悔しそうに上唇を噛んで涙を流し始めた。
「情けない奴」
「自分ででっちあげた仮想のエイリアンにびびってる奴は情けなく、
ぎゃああああああぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
320 名前:乙×風【Pervasioner】 :04/08/20 10:32 ID:CEdTjavq
「うるさいわね! だったら平気だって事証明したげようじゃないの!」
私は乱立する木々の根に足を引っ掛けながら斜面を登っていく。
「えっ、ちょっと和美ちゃん!?」
「俺、2-番ー!」
「真鍋君も! 大人の人呼んできた方が良いよ!」
「そんなの私のプライドが許さない! 香奈枝も! ちゃんと付いて来るの!」
「う~! ……もう! どうなっても知らないよ!」
香奈枝は困った顔を怒った顔に変えながら(あ、ちょっと可愛いかも。
怒っても怖くない顔をする子の、怒った時の顔ってどうしてこんなに可愛いんだろう?)
急な斜面に足を踏み込む。
それを確認してから私は横穴を覗き込んだ。当然のように真っ暗だ。
私は上着の内ポケからペンライトを取り出すと、内部を照らし出す。
内部は割と広めの、空洞になっているようだった。
穴を掘り進めた、というよりも元々この斜面の中に空洞があって、
そこから穴を開けような。
まあ、そんな事はどうでもいい。どうせ危険なモノがいるわけじゃないんだから。
前傾姿勢のまま横穴へと身を滑らせる。膝立ちのまま犬みたいな格好で
ペンライトを咥えたまま横穴を進んだ。
「目っの前でっ♪ 貧相なケツがっ♪ 揺れてっ――げヴぁっ!?」
真後ろのマヌケ鍋に蹴りを入れる。ジーンズを穿いて着てよかった。
スカートだったら屈辱の極みだった。
五分もそうしていると、立ち上がっても頭をぶつけない大きな空洞に出た。
ペンライトで辺りを照らす。地面が土から、ごつごつとした岩みたいなものに変わっている。
鍾乳洞だろうか、天井からはねずみ色をしたつららのような物が垂れ下がっていた。
こんな所、パンフレットには載ってなかった。
「……ねえ、和美ちゃん。もう、戻ろうよう」
確かに、こうして新しく発見した洞窟の第一発見者になれたわけだし、
これ以上ここにいてもしょうがない。
それに、なんだろう……ここに居てはいけない気がする。
321 名前:乙×風【Pervasioner】 :04/08/20 10:32 ID:CEdTjavq
女の第六感がさっきから警鐘を鳴らし続けているんだ。
「……そうよね。もう戻りましょうか」
だが、踵を返そうとする私達に、真鍋が声を掛けた。
「なんか匂わねえか?」
「は?」
鼻を動かして匂いを嗅ぐ。確かに何か臭った。
酸っぱくて、どこか青臭い――例えて言うならそう、昆虫類を潰した時の
体液の臭いみたいな……
それに、今気付いたけど。この鍾乳洞の中、凄く湿度が高くて蒸し暑い。
日陰に居るはずなのに後から後から汗が吹き出てくる。
「こっち、っからっかな♪」
マヌケ鍋は洞窟の更に奥へとスキップでするような足取りで進む。
この、少しは危機感とか覚えなさいよ!
大口を叩いたのに、いつの間にか私自身が恐怖を覚えている事を、
あえて無視しながら、その後を駆け足で追いかける。
「眞鍋! ちょっと待ちなさい!」
「か、和美ちゃん! 置いてかないでぇ…!」
慌てて香奈枝も追いかけてくる。
その様子を肩越しに見た真鍋が、呆れ果てた声を出した。
「なーにを焦ってんだ? どうせなにも出やしないってお前が言って――おわっ?」
そしてその姿が突如掻き消える。
「まな――べ!?」
と思った瞬間。足を踏み外した。
地面が無い。
バランスが崩れる。
私は不安定な体制のまま闇の中へと堕ちていった。
Code:MF(3スレ目分)+設定
288 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/09 20:56 ID:ARMilWxl
「BIOLOGIC宇宙生物研究所」が派遣した
調査隊の、警護を依頼された私は・・・
あの、惑星SR388へ、再び足を踏み入れることとなった。
メトロイドの巣窟であった、この惑星はまた・・・
私とベビーメトロイドが、出会った場所でもある。
今回の目的は、メトロイドが絶滅した後の
SR388の調査であった。
そして私は、今まで見たこともない生命体に、
襲われてしまったのだ。
私にとりついた生物の正体が、
「X」という寄生生物であったことは、後にわかった。
事の深刻さに気づかず、帰路についていた私を、
突然の異変が襲った。
「X」に神経中枢を侵された私は、意識を失い、
アステロイドベルトに突入してしまった。
激突の直前に、自動的に放出された、脱出ぽっどを
調査艇が回収し、銀河連邦本部へ運び込んだ。
しかし、到着までの間に増殖した「X」は、
私の身体を、パワードスーツごと大きく蝕んでいた。
289 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/09 20:57 ID:ARMilWxl
バイオ素材のパワードスーツは、装着時、私の身体と
一体化することが、事態を深刻化させてしまったようだ。
意識の無い私からスーツを脱がせることはできない。
したがって・・・
「X」に蝕まれたスーツの大部分は、身につけたまま
切り取られてゆき、私の姿をしだいに変化させていった。
だが、神経中枢の奥深くまでを浸食した「X」を
取り除くすべはなく、私の命は絶望視されていた。
ところが、唯一の治療法が見つかった。
「X」を除去できるワクチンが、
メトロイド細胞から作り出せるというのだ。
あの、ベビーメトロイドの細胞組織の一部が
連邦によって保管されていたらしい。
すぐにワクチンが作られ投与された。
ワクチンの効果は絶大であった。
結果、「X」は、みるみる消滅していった。
そして、私は奇跡的に一命を取り留めた。
その容姿を大きく変化させ、よびがえったのだ。
この事実をかみしめながら、今私は思う。
ベビーは、再び私の命を救ってくれたのだと・・・
CP「まもなく『B.S.L』に到着する。すみやかに、着陸態勢に移れ。」
スターシップのコンピュータが、通称「B.S.L」、
「BIOLOGIC宇宙生物研究所」への接近を告げた。
290 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/09 21:04 ID:ARMilWxl
調査隊が今回捕獲した生物は全て、
私の手術中に、「B.S.L」へと運び込まれていた。
やがて意識を取り戻した私は、「B.S.L」で起きた
原因不明の爆発事故を、知ることとなった。
その事故の報せに、言いしれぬ不安を覚えた私は今、
状況調査のため、「B.S.L」へと向かっているのだ。
その「B.S.L」における、私の行動は全て
このスターシップのコンピュータが、管理するようだ。
この無愛想な司令官に従うことを条件に、
連邦は新しいスターシップを、提供してくれたのだ。
他人に行動を指示されることを好まない私ではあるが、
司令官の下での任務は、これが2度目である。
そのことに気づき、私はふと・・・
ある人物の名前を、思い出した・・・
METOROID FUSION オープニングより抜粋
294 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/09 21:30 ID:ARMilWxl
スーツのほとんどを切り取られた私は、ほぼ全ての能力を失ってしまった。
チャージビームやプラズマビームはおろか、ミサイルまで撃てないのだ。
果たして、今の私にこのミッションを完遂できるのだろうか――
スターシップよりB.S.Lに降り立った私。
まずは生命反応のある、特別格納庫を目指せとの指示だ。
しかし、あのゼロミッションも私は攻略したのだ。
今回も、やり遂げてみせる・・・
スムーズに司令官の指示をこなしていく私。
いくつかの能力も取り戻し、その感覚に懐かしさを覚えていた。
チャージビームの、右手に熱い力が宿る感じ。
ハイジャンプの高揚感。
スピードブースターの疾走感。
その程度しか取り戻せていないが、しかし私にはうれしいものだった。
次の指示はバリアスーツをダウンロードせよとのこと。
銀河連邦が私を応援するために、データを作成してくれたそうだ。
295 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/09 21:39 ID:ARMilWxl
単にXを吸収する以外に、データをダウンロードしても取り戻せるようだ。
早速バリアスーツをダウンロードするため、データルームに向かう私。
しかし、その部屋に入った瞬間、私は絶句した。
なんと大型のXが、データをダウンロードしているのだ。
黙って見ているわけにもいかず、私は右手のアームキャノンからビームを放つ。
だが意味をなさないようだ。
しばらくすると、その大型のXはノードを破壊した後に去っていった。
「・・・」
念のため、ノードの様子を探る私。
完全に壊れてしまっているようだ。
だが、そこで私は妙なものを見つけた。
明らかにバリアスーツ以外のデータが、ノードに入っていたようなのだ。
他の能力のデータかもしれない。
私はそう思い、次の部屋に向かった。
するとそこには、先ほどデータをダウンロードした大型のXが。
奴は何かウニのような生物に擬態し、私に襲いかかってきた。
「くっ」
その突進を回避し、ミサイルを撃ち込む。
だがそのXは、ミサイルをはじいてしまった。
330 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 19:50 ID:6cGxLtQC
おかしい。
今までの「特殊なX」は、基本的にミサイルを撃ち込めばダメージを与えられたはず。
あの巨体に、まさかボムを使うわけにはいくまい。
ならば。
私は右手のアームキャノンに目を向けた。
「これで!」
チャージビームを最大限までため、大型のXに打ち込んでみた。
着弾。
するとその大型Xは、まるでよろけるように後ずさる。
・・・効いている?
期待できるレベルまでの挙動を示してはいないが、
しかし何らかのダメージは通っているかもしれない。
私は再度、チャージビームのエネルギーをため始めた。
だが、そのときウニ形状に擬態したXは、再び私に攻撃を仕掛けてきた。
すでにハイジャンプ能力は取り戻したが、微妙に高さが足りなかった。
「!」
足に衝撃が走る。
いくら弱体化してしまったとはいえ、パワードスーツを着用しているのだ。
若干のダメージで済んだようだ。
むろん、生身で受けていたら大惨事だったろう。
331 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 19:59 ID:6cGxLtQC
チャージビームのエネルギーは回避時のチャージアタックに使ってしまった。
再度ためる必要がある・・・。
空中でバランスを取り戻すと、私は足場に着地した。
敵の動きをしっかりと見切る。
そして満タンにまでたまったエネルギーを、大型のXに向けて放出した。
「やはり・・・」
そのXは、確かにダメージを受けているようだ。
ミサイルではなく、チャージビームによって――
そうと分かれば、あとは敵の攻撃にだけ注意すればよい。
私はつかの間の、有利に運べる「戦闘」という名の陶酔に身を沈めていった。
擬態を解除させ、真の姿を現したX。
この形状に変化させればミサイルは通る。
数発のミサイルを撃ち込み、私はついに大型ウニ形状Xを撃退することに成功した。
抵抗する力を失ったXは、空中でふわふわと浮遊している。
そのXの色は、ほのかにピンクを帯びた黄色であった。
「特殊なX」は通常のXとは異なり、サイズも大きい上に色も異なる。
私はXに近づくと、それを体内に吸収していった・・・。
同時に、パワードスーツの表面が何かでコーティングされていく感覚。
「これは・・・」
あのスペースシップの司令官が話していた、バリアスーツのデータだ。
332 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 20:09 ID:6cGxLtQC
パワードスーツは黄色っぽい光を放つと、その色に染色された。
「・・・」
また一つ、私に能力が戻った。
現時点での脅威であった、ブルーX――私に対抗するために変化したXであり、
これを吸収してしまうと急速に冷却され、ダメージとなってしまう――への抗体も完成した。
「そういえば・・・」
先ほど撃退したウニ形状のXは、データルームのノードからバリアスーツデータをダウンロードした。
その現場を目撃した時、気になるデータがコンソールに表示されていたような・・・。
気になる私は、一度データルームへ引き返すことにした。
つい先ほど、この部屋は大型Xによって破壊されたばかり。
私はあたりに散らかる残骸の上を歩き、コンソールに目を向けた。
「・・・」
どうやら、データのダウンロードモジュールは破壊されてもこのコンソールは生き残ったようだ。
あのXがバリアスーツデータをダウンロードした際に、同時にダウンロードした可能性がある。
すなわち、それを吸収した私にもそのデータが影響しているかもしれないのだ。
司令官からはバリアスーツ以外の話は聞いていないため、調べなければならない。
万が一、害のあるデータだとしたらミッションに支障を来す。
私はコンソール付属のキーやスイッチを操作し、生きているデータを見ていく。
333 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 20:19 ID:6cGxLtQC
「ん・・・?」
データの群れの中に、私はデータルームのダウンロード履歴情報を発見した。
これを見れば、先ほどの大型Xが何を余計にダウンロードしたか、そして私に宿ったかがわかるはず。
その中身を表示させてみる。
大型Xより以前にも、ここのデータルームの利用者はいたようだ。
B.S.L.の職員であろう。
問題は先ほどのXだ。
履歴情報を最新の日付へとフォーカスを移す。
「これか・・・」
セクター6 NOC データルーム利用履歴
現時刻より15分前
利用者ID:不明
利用者名:不明
ダウンロードデータ:BARIA.SAF PAR-SX.SAF
備考:不明な利用者です。本データノードは不特定利用を認めています。
不正アクセスが検出された場合、自動的にシャットダウンされます。
ステータス:データは正常に転送されましlっkdgh
履歴情報が最後まで記録されていない。
334 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 20:30 ID:6cGxLtQC
恐らく、Xがノードを破壊したために最後までコンソールに出力されなかったのだろう。
末尾のSAFは、SAMUS-FIXであろうか。
まぁ、それはあまり問題ではない。
BARIA.SAFはバリアスーツデータということが容易に分かるが、問題は後者。
私は後者のデータを検索し、アナライザーに読み込ませた。
「ん・・・?」
私自身にはデータ解析能力はない。
パワードスーツの能力を用いて、解析をしていく。
そして、そこに妙なものを発見した。
パワードスーツの根幹に関わる部分をプログラムしてあるのだ。
古代の鳥人文明の産物である、このパワードスーツ。
ゼロミッションにおいて入手した、私の相棒。
それを作り替えようというのか・・・?
とにかく、私は何が書き換えられたのかを調べることにする。
「何・・・」
明らかにおかしい。
胸や股間など、至る所のスーツ感度が異常な値に設定されているではないか。
この状態で該当箇所に攻撃を受けたら、一体どうなるのだろう・・・。
一抹の不安が、私の頭に生まれた。
「だがしかし・・・」
そう、司令官に問う以外に知る術はない。
私は妙な焦燥感に駆られながら、データルームを後にした。
各セクターの出入り口には、必ずナビゲーションルーム――司令官から指示を受ける設備――がある。
私はセクター6のナビゲーションルームにて、この怪奇なデータを報告した。
335 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 20:38 ID:6cGxLtQC
「バリアスーツデータ以外については何の連絡も入っていないが・・・」
「そうなのか?」
「うむ。本部からは特に何もない。」
「では、あのデータはどう説明できる?」
「君が来ることを想定したB.S.L.の職員などいるわけはないだろう。」
「誰もがXなどという生物が潜んでいるとは思わないだろうし・・・」
「ならば、技術者に擬態したXがデータを作成したのではないか?」
「何?」
「憶測にすぎんが・・・、Xが様々な生物に擬態するのは君なら嫌と言うほどわかっているはずだ」
当然である。
一度擬態をといても、奴らはしつこく再び擬態しようとする。
生に対する執念、というものであろうか。
「その時、擬態した生物の記憶や知識なども模倣できるとしたら・・・?」
「!」
「君に害のあるデータを作成することも、また不可能というわけではないということだ。」
「まんまと食わされたと?」
「いや、そうとは言い切れない。あくまで仮説にすぎん。」
「他の要因による可能性は?」
「先ほども言ったが、職員が君が来ることを予測していた場合だな」
「それは無い、と否定したのでは・・・」
「職員が全滅している今では、誰にもわからん。あくまで可能性の話だ。」
336 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 20:45 ID:6cGxLtQC
「・・・」
「とにかく、この件については本部に伝えておこう。何かわかれば、君にも知らせよう」
「了解した」
「さて、次の君の行動だが――」
やはり気になる。
この司令官が嘘をついている可能性もある・・・。
私は、人に指図されるのを好まない。
そのせいか、多少人間不信になっているのであろうか。
アイスミサイルデータをダウンロードし、ナビゲーションルームに戻ろうとしたその時。
突然警報が鳴り響き、警告らしき電子音声が流れた。
「!」
私はただごとでないことを感じ取り、ナビゲーションルームに急いだ。
「セクター3の室温が急上昇している」
「高温エリアか?」
「そうだ。最奥部にあるボイラー装置が何者かによりハッキングされている」
「ハッキングだと? 職員は全滅したはずじゃないのか?」
「ほぼ全滅、と言ったはずだ。職員かもしれないが、あるいは他の原因かもしれん。」
「どうすればいい?」
「セクター3最奥部に急行し、原因を解明せよ。実力排除でも構わん」
「了解した」
司令官とのブリーフィングを終えると、私はセクター3に急いだ。
セクター3。
高温環境を再現した施設。
337 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 20:57 ID:6cGxLtQC
以前来たときより、明らかに室温が上昇している。
最奥部のボイラー装置ハッキングの影響であろう。
私は今までは高温のために入れなかったマグマ地帯に足を踏み入れた。
すぐにバリアスーツが功を奏し、私は難なく進んでいく。
ボイラー室にたどり着くと、そこには機械を操作する職員の姿。
生き残りだろうか。
「おい?」
声を掛けるが、反応がない。
周囲の騒音が大きいために聞こえないのだろうか。
「おい、何をしている?」
声を大きくし、もう一度。
やはり反応はなく、職員はボイラー操作パネルをいじくっている。
明らかに聞こえる距離なのに反応がない。
まさか・・・
私は距離を置き、アームキャノンからビームを放つ。
職員に命中すると、そいつはこちらを初めて向いた。
・・・見た目は人間のようだが・・・。
「!!」
いや。
人間ではなかった。
職員は、Xが擬態していたのだ!
すぐに私は戦闘態勢になると、ミサイルを用意する。
338 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 21:06 ID:6cGxLtQC
このタイプの大型Xは、こちらに向けてビームを放ってくる。
それは確かに私が失ったはずのワイドビーム。
チャージビームを取り戻す際に戦ったXも同じであった。
順当にビームをかわしながら、ミサイルを撃ち込んでいく。
数発食らってしまったが、どうにかなりそうだ。
自分の能力ながら、実に有効な武器だ。
広範囲に放てるため、私も回避がつらい。
何発目になるだろうか、ミサイルを命中させると大型Xはその堅い膜を失い、ふわふわと漂うだけになった。
「はぁ、はぁ・・・」
相当にスーツのエネルギーを消耗してしまった。
私と一体化するため、私も体力を消耗してしまう。
このXを吸収することで、エネルギーも体力も回復するだろう。
私は職員に擬態していたXを吸収した。
「これで・・・」
壁に向けてビームを放つと、それは確かにワイドビームだった。
こうして私はまた一つ、能力を取り戻したのだった。
――ブリーフィングルーム。
「・・・どうやら先ほどの仮説が正しいようだな」
「Xは擬態した生物の記憶、知識をも模倣するというアレか?」
「そうだ。恐らくそれで間違いないだろう。」
「では・・・」
「うむ。君が報告した未詳データは、彼ら・・・Xが作成した可能性が大きい。」
339 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 21:10 ID:6cGxLtQC
「・・・」
「メインデッキでの生命反応も、職員のものではなかった以上、彼らの生存は絶望的だ。」
確かにそうだ。
メインデッキには職員の死体がそこらじゅうに転がっていた。
そして、セクター3の職員に擬態したX。
これらは明らかに、職員の全滅を意味していた。
「本部からの連絡も、まだない。未詳データはこちらで回収したが、依然として解析中だ。」
「どのくらいかかる?」
「わからん。だが、相当にハイレベルな技術者だったようで、かなりの強度の暗号化がかけられているようだ」
「・・・」
「サムス」
「何だ?」
「異変は無いか?」
「・・・今のところ、何もない」
「ならば良い。我々だけでは、何の対応もできん。本部による解析が終わるのを待つしかないな」
「例えばどんな症状が考えられる?」
「戦闘的なもので言えば、君の能力を全て封印したり、スーツの防御力を低下させたりだろうな」
「・・・」
「恐いか?」
「いや。」
「ミッション中だ。確かに恐怖感を感じることもあるだろう。」
「何を馬鹿な。私は生身の状態で惑星ゼーベスから帰還できたんだぞ?」
「そこで伝説のパワードスーツを入手して、な」
そうだ。
パワードスーツを入手できたからこそ、帰還できたのだ。
340 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 21:16 ID:6cGxLtQC
「過去の話はこのくらいにしよう。本部から、パワーボムデータが送られてきた」
「パワーボムか・・・」
「セクター5のデータルームが生き残っている。そこでダウンロードせよ」
「了解した」
私はディスプレイに背を向けると、ブリーフィングルームを後にした。
「・・・まずい」
サムスの去った後、司令官はその電子頭脳を悩ませた。
セクター5のデータルームに、またしても謎のデータが送られているのだ。
「これ以上未詳データをダウンロードして、何も起きない保証はない」
だが、すでにサムスは去ってしまった。
何も起きなければいいのだが・・・。
セクター5。
寒冷地帯を再現したこのセクターは、雪の降り積もるエリアすら存在する。
データルームはその先だ。
ここでもバリアスーツは役立ってくれている。
ブルーXも吸収し、私は前へ前へと進んでいく。
そして、データルーム入り口。
私はただならぬ気配を感じた。
中に、何かいる・・・
「・・・!」
私は油断せずに、アームキャノンを入り口に向ける。
数秒間そうして警戒したが、何も出てこない。
341 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 21:22 ID:6cGxLtQC
ゆっくりとデータルーム入り口のシャッターに近づく。
「・・・行くしかないか」
諦め、私はシャッターを開けて中に足を踏み入れた。
「!?」
そこには、私がいた。
ダウンロードモジュールに収まっている私――そう、SA-X。
「ちぃ!」
今の私では、SA-Xとは戦えない。
なぶり殺されるのが関の山だろう。
私はきびすを返すと、データルームから出ようとした。
「何! 開け、開けよ!!」
だがシャッターはロックされていた。
反対側のシャッターにビームを撃ち込んでみるが、やはり開かない。
「くっ・・・」
絶望的だ。
いくらバリアスーツを持っていても、アイスビームで凍結しないだけ。
甚大なダメージを受けるだろう。
アイスミサイルを撃ち込んでも足止めにしかならない。
ダメージを与える術はないのだ。
なんとか脱出しようと、私が頭を回転させていると、SA-Xはダウンロードモジュールから離れた。
「!!!」
あわててアームキャノンを構える。
しかし、SA-Xはひるまずにこちらを向いた。
「くくく・・・」
「!」
SA-Xが笑った。
342 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 21:28 ID:6cGxLtQC
「何がおかしい!」
「うふふ・・・、マスターの私? もう袋のネズミだ」
SA-Xは、私の声で私にそう言った。
あえて口調を似せているようだが、本物の私とは若干違う。
艶がある、という感じだろうか・・・。
「だからどうした」
あくまで強気に出る。
「本物の私は、ここでXのしもべになる」
「何を!?」
その瞬間、私はアイスミサイルを放つ。
命中し、SA-Xは一瞬凍り付いたが、しかしすぐに元に戻った。
「ふふ、無意味なことは知ってるはず」
「・・・!」
ならば。
私はビームをチャージする。
ワイドビームを取り戻したのだ、もしかしたら何らかのダメージを与えられるかもしれない。
「それも無駄。プラズマとウェーブなくして、本物の私のコピーは倒せない」
「くっ!」
ビームを放った。
SA-Xは回避もせずに、ビームをその身で受け止めた。
だが、よろめきもしない。
何事もなかったかのように、SA-Xはそこに立っていた。
「う・・・あ・・・」
ここで初めて、私に恐怖が生まれた。
装備している武器が何一つ無効なのだ。
343 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 21:37 ID:6cGxLtQC
すなわち、抵抗はおろか、脱出のための時間稼ぎすら不可能。
「恐い? そうよねぇ」
SA-Xはゆっくりと私に歩み寄る。
「く、来るな!」
「あら、ひどい。私のマスターなのに、コピーを否定する気?」
歩み寄るSA-Xとは対照的に、私はゆっくりと後ずさる。
だが、すぐに壁にぶつかってしまった。
「ねぇ。おかしいと思わなかったの? セクター6のデータルームで。」
「!」
私は凍り付く。
司令官が仮説とは言っていたが、まさか本当にXの罠だったとは・・・
「くくく・・・、あのデータルームに残したデータ『PAR-SX.SAF』は、あなたのスーツを改造するためのもの」
「か、改造だと・・・」
そう問うことで、私は策を練る。
わずかでも時間を稼がなければ。
「そう。そして、私がここでダウンロードしたデータ・・・、まぁパワーボムは不要だったけど。
『PAR-SA-X.SAF』は、私があなたに寄生するためのもの」
「馬鹿な・・・、私はXを吸収できる!」
「そうね。でも、このデータをダウンロードしたコピーの私は、あなたに寄生できる」
まずい。
そんなことをされては、このB.S.L.のトラブルシューティングはおろか、私がトラブルメーカーになってしまう。
それだけは避けなければ。
344 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 21:43 ID:6cGxLtQC
気づくと、SA-Xはもう目の前に迫っていた。
「さ、御託は終わり。どういう意味か、教えてあげる」
言うと、SA-Xはぐちゅぐちゅと形状を変えると、全裸の私に姿を変えた。
「う・・・、やめろ! 人の身体を・・・!」
「その『人の身体』も、すぐ私のものになる」
SA-Xはなおも私に近づくと、私に抱きついた。
「は、離れろ!」
私は身体を精一杯振ってSA-Xを引き離そうとするが、全く意味をなさない。
「マスターの私は、戦いしか知らなかった」
「・・・!」
「ゼロミッションの記憶も、子供の時のゼーベスでの記憶もあるわ」
「Xが擬態した生物の記憶や知識を模倣するのは事実だったか!」
「くす・・・、そうよ。」
SA-Xは、パワードスーツを着た私の股間に手を伸ばす。
「でもね。コピーの私は、あなたより多くのことを知っている」
「やめろ!」
「それはね・・・。」
そしてSA-Xの手は、私の股間に触れた。
「うあ!」
「か・い・ら・く」
その声と、股間の感触は私に甚大なダメージを及ぼした。
精神的な、そして肉体的な。
今までに感じたことのない、何かすさまじい感覚。
345 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 21:52 ID:6cGxLtQC
免疫の無い攻撃のために、スーツは多大な量のエネルギーを消費した。
もう10分の1も残っていない。
何という攻撃力だ、SA-Xは・・・。
「ぐ、や、やめろ・・・!」
「あなたが今感じたのは、快感。その快感は、セクター6のデータルームからの土産よ」
「まさか・・・!」
「そう。あの『PAR-SX.SAF』は、あなたのスーツを快楽が貫通できるようにするためのもの」
非常に危険だ。
SA-Xは、さらに強力になったというのか!
私が失った能力を取り戻している間に――
「もう一回やってみようか」
「だ、ダメだ!」
本当にダメだ。
あと1回でも先ほどの攻撃を受ければ、スーツは間違いなく四散してしまうだろう。
エネルギーが切れると・・・、スーツははじけ飛ぶ。
「いくわよ」
「う、ぐ・・・!」
SA-Xの手が私の股間を再度、妖しくなで上げた。
「うあああぁ!!!」
「くすくす、もう終わりね」
私はスーツの警告音も耳にしながら、身体をのけぞらせた。
同時に私の身体全体を防御していたパワードスーツは、見るも無惨に砕け散った。
「あ・・・ああ・・・!」
ここからは、生身でのミッションなのか。
しかし、目の前の敵はゼロミッションとは違い、圧倒的な敵――私自身。
「さ・・・、あなたが知らなかった『快楽』、コピーの私がしっかり教えてあげる」
SA-Xは再び、私に抱きついた。
「そして、あなたの身体をもらって私がマスターになるわ」
SA-Xの宣戦布告が、二人以外誰もいないデータルームに響き渡った。
461 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 02:36:56 ID:KGJM56Ui
「はぁ、はぁ、はぁ、・・・」
私は肩で息をしながら、目の前の敵:SA-Xを凝視していた。
ゼロミッションの際はスペースシップから脱出する時間があったためにハンドガンを持っていたが、
今回はミッションの真っ最中にスーツを失った。
もう今の私に武器はない。
「諦めた方が楽になれるわ。何も考えず、ただ私の与える快楽に従って・・・」
SA-Xが手を伸ばす。
「そして、私に寄生されるの」
「!!!!」
私はSA-Xを自らの手で突き飛ばし、必死で向かい側のシャッターまで走った。
「開け、開けぇぇぇ!!!」
私はSA-Xの言葉により理性を保てなくなったのだ。
両手でシャッターを何度も何度も、力任せに叩きまくる。
だが、開かない。
「無駄よ。私の仲間がシャッターをロックしてるもの」
「うああああ!!」
今度は開閉装置をひたすら殴りつける。
すると。
「!!」
シューッ、という静かな音と同時にシャッターは開いた。
私はすぐさまそこから脱出した。
「予定外だわ・・・、でも」
SA-Xは含みのある笑みを浮かべた。
生身のまま走り続ける私。
462 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 02:41:14 ID:KGJM56Ui
どうにかXの追撃をかわし、私は辛うじてリチャージルーム――補給装置のある部屋
――へと逃げ込んでいた。
ここならXは来ない。
どういうわけか、各セクターに存在するリチャージルームやナビゲーションルーム、セーブルームには
Xは入ってこなかった。
データルームも基本的にはそうなのだが、先ほどのバリアスーツデータをダウンロードしたXもいる。
データルームは安全とは言い切れない。
「・・・」
息を整えると、補給に使用する装置を見る。
今の私には使えない。
これは、パワードスーツに装備されているアームキャノンから補給するためのもの。
生身では使えるわけがないのだ・・・。
「・・・どうしよう」
私はここに来て、再び巨大な恐怖感に襲われた。
身を守る物は本当に何もない。
この広く暗い宇宙のなか、未知の寄生生物「X」に占拠された宇宙研究所に一人。
今回は、生きて帰れないかもしれない。
私は素直に、その考えを受け入れるしかなかった。
「・・・」
だが、ここはリチャージルーム。
隣にはナビゲーションルームがある。
司令官が何か対抗手段を考えついたかもしれない。
私はわずかな希望にかけ、ナビゲーションルームに向かった。
463 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 03:12:29 ID:KGJM56Ui
「・・・」
司令官は無言で私を迎えた。
仕方のないことだ。
唯一の武器であり、防具であったパワードスーツを失った上、
SA-Xを始末できずにここに来たのだ。
何も言われても私から言い返せる言葉は無かった。
「過ぎた事だ。もういい。これからのことを考えるべきだな」
確かにそうだ。
悔いることはいつでもできるが、しかし生き延びることはこの先の策を考えなければできない。
生き延びなければ悔いることはおろか、もはや何もできなくなる。
「スーツを失った以上、もはや君はこのミッションを遂行することは不可能だろう。
幸いスペースシップはまだ無事だ。早急に戻りたまえ」
「・・・了解した」
任務失敗。
屈辱的な熟語が、私の脳裏を埋め尽くしていた。
しかし、この先の策は決まったが、まだ問題はある。
SA-Xの始末もそうだが、メインデッキをどう通過するか。
ドックに行くためにはメインデッキを通る必要があり、デッキはXに占拠されている。
「何か武器になりそうなものはないか?」
司令官が私に言う。
しかし、このナビゲーションルームには火器も鈍器も何もない。
「いや」
「そうか・・・」
464 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 03:17:26 ID:KGJM56Ui
「もし・・・」
私が口を開く。
「もし私がスペースシップに戻れなかったら、どうする?」
「何を・・・」
簡単には動じないこの司令官も、私のこの問いかけには動じたようだ。
「戻れない場合・・・、君がXによって殺されたり、ということか?
その場合は・・・、新たなエージェントを送るか、あるいは・・・」
「あるいは?」
その先の答えは予測できる。
「B.S.L.に核ミサイルを撃ち込み、君もろともXを滅ぼすことになるだろう」
やはり。
この広い宇宙だ。
B.S.L.の宙域にはB.S.L.以外何もない。
だから別に核ミサイルを使用したところで、誰も迷惑しないのだ。
「・・・正しい判断なのだろうな」
私は理解しようとした。
だが、それは不可能なことと私の心は必死に訴えていた。
「・・・では、行け」
私はディスプレイに背を向け、ゆっくりと歩き始めた。
自らの命を左右する、真の意味での「戦闘」をしに――
467 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 21:30:54 ID:KGJM56Ui
セクター5からメインデッキ下部へと上がる。
このメインデッキは、研究所職員達が居住するためのエリアと、
メインデッキ下部から各セクターへと移動する6個のエレベータからなる。
すなわちこのエレベータールームを通らなければ、隠し通路を利用する以外は
各セクターへと移動する方法はないのである。
そしてまた、スペースシップをとめてあるドックへも・・・。
「・・・Xか」
エレベーターの中で、私は頭を抱えた。
あんなゼリー状の、いかにも知能など持ち合わせていなさそうな連中に。
私は、唯一の武器であり防具であるパワードスーツを破壊された。
もうパワードスーツを修復することは不可能だろう。
惑星ゼーベスの失われた鳥人文明の遺産なのだ。
仮に修復できたとしても、その完全なる機能を復旧させることはできないだろう。
「くそっ」
私は誰もいないエレベーターの中で、一人悪態をついた。
悪態をついたところでどうなるわけでもないが、今の私にはそれしかできなかった。
この先のメインデッキには間違いなく相当数のXがいるだろう。
私はそこを突破しなければ、まず生きて帰れない。
やがてエレベーターがメインデッキ下部のエレベータールームに到着し、停止した。
ここはミッション中に何度も行き来している。
このエレベータールームにも、Xは基本的にいない。
幸いにも、今もXは一匹とて存在しなかった
468 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 21:37:53 ID:KGJM56Ui
セクター5行きのエレベータールームから、隣のセクター3行きの、
そしてさらに隣のセクター1行きのエレベータールームまで進む。
もう、今の私には使えない装置なのだ。
防具なくしてこの戦場では生きられない。
妙な名残惜しさを感じ、私はそのエレベーターを振り返る。
そう、セクター1はこのB.S.L.で初めて調査したセクターだった。
「・・・!」
そこで何故か、私の頬を涙が伝った。
私らしくもない。
涙など、あのゼロミッションの時ですら流さなかったというのに。
次に、「死」という冷酷な事象が私に訪れようとしている現実を改めてかみしめた。
恐らく私は感傷に浸っていること、そして「死」を実感したことで涙を流したのだろう。
「戦士に涙は不要な代物!」
私は自分に言い聞かせるように、誰もいないエレベータールームで叫んだ。
それはあたかも自分を勇気づけるかのようだった。
エレベータールーム中央の、メインデッキに上がるエレベーターに乗る。
この先で何があるかはわからない。
命が安全なのはここまでだ。
上にあがった途端に私は擬態したXに攻撃され、殺されるかもしれない。
あるいはXに再び寄生され、内側から死に至らしめられるかもしれない。
だが、行くしかなかった。
この、エレベーターを作動させるボタンを押さなくては何も始まらない。
私はここに再びミッション開始の新鮮さを覚えた。
469 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 21:43:43 ID:KGJM56Ui
ボタンを押す。
エレベーターがゆっくりと上昇を始めた。
「・・・」
メインデッキに到着したが、幸いXその部屋にXはいなかった。
背中には、SA-Xが破壊したとおぼしき壁。
目の前には居住区域へのシャッター。
「む・・・」
私は両手が震えていることに気づいた。
武者震いなのか、あるいは恐怖からくる震えなのか。
私は自分に前者だと思い聞かせ、ゆっくりと右足を踏み出す。
そして、シャッターを開けた。
その瞬間、私は壁に身を隠す。
ゆっくりと頭を出し、通路の様子をうかがう。
だが、何もいない。
当初もこの通路には何もいなかった。
私は全力で、次の部屋へと向かった。
ドックまであと4部屋程度の場所で、私は不審感を抱いた。
以前は転がっていた職員の死体がなくなり、かわりに床は柔らかいカーペットで覆われていた。
「・・・?」
Xの罠だろうか・・・。
しかしこの部屋には身を隠す壁や柱はない。
ここにXが現れたら最後だ。
私は全力疾走で次の部屋に向かうシャッターへと急いだ。
だが。
「!!!」
シャッターが不意に開くと、そこには・・・
「SA-X・・・!」
470 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 21:49:19 ID:KGJM56Ui
パワードスーツの姿となったSA-Xが、私の目の前にただずんでいた。
「くそ・・・っ!」
私はきびすを返し、この部屋に入ってきたシャッターを開けようとした。
しかし、またしても開かない。
「またか! 開け!!」
「無駄よ、私のマスターにしては物わかりが悪いわね」
SA-Xは部屋に入ってきた。
同時にシャッターが閉まると、SA-Xは開閉装置に向かってスーパーミサイルを放つ。
爆音と共に、開閉装置は粉砕された。
「離れて」
「!?」
SA-Xは私が必死に操作している、反対側の開閉装置にそのアームキャノンを向けた。
すると、そのままスーパーミサイルを放つ。
「うわ!!」
とっさに私は横っ飛びし、どうにかミサイルの直撃を免れる。
しかし、開閉装置にスーパーミサイルは直撃し、完全に破壊された。
「さ、これであなたは袋のネズミ。」
「・・・くっ」
私は床に両膝をつく。
ここで私は殺されるんだ・・・。
そう思った。
「殺されると思って?」
「!」
驚いた。
Xには人の考えを読む能力もあるというのか!
「貴様、私の考えを・・・」
「読めるわけないじゃない。でも、あなたに寄生した私だから。
なんとなくあなたの考えることはわかるわ。マスターだし」
そうか。
私に寄生し、その脳構造や記憶、感情も模倣するのなら私の考えを予測することも・・・。
471 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 21:56:01 ID:KGJM56Ui
「言っておくけれど、殺さないわ」
「何だと・・・?」
今まであれだけ必死になり、セクター3のボイラー室をハッキングしてまで
私を殺そうとしていたのだ。
(著者注:セクター3は温度が異常上昇すると耐えられなくなり、爆発します)
それを今更、殺さないとは・・・。
「何のつもりだ? さんざん私をB.S.L.から排除するために動いていた貴様が・・・」
「まぁ、殺すなら殺すでそれもいいんだけど」
何を考えている・・・?
「でも、せっかくマスターがいるんだから。他のXに寄生させて、
あなたのコピーを大量に作るわ。」
「!?」
まさか。
仮にこれが現実のものとなると、ベストコンディションの私:サムスが無数に生まれる。
それも、「X」の私が・・・。
その先どうするかをSA-Xに問いつめる必要などない。
さすがの私でも、その位は理解できる。
そう、あらゆる星や宇宙施設に侵略し、人間や他の生物を排除するつもりだろう。
そして、ベストコンディションの私の能力を持ってすれば不可能ではない。
「なんということだ・・・」
「クスクス、あなたの作戦ミスね。いや、正確にはあなたではない。
あなたに今回指令を出している人間のミスとも言えるわね」
「!」
そこまで読まれていたか。
Xに寄生され、自前のスペースシップを失った私は、新たなスペースシップと引き替えに
銀河連邦の司令官の指示に従って今回のミッションを遂行することになっている。
472 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 22:08:52 ID:KGJM56Ui
「可哀想なマスター・・・。」
「馬鹿に・・・するな・・・!」
哀れむSA-Xに、私は沸々と怒りがこみ上げてきた。
「あぁん、怒らないで。ねぇ、殺さないから。代わりにあなたの身体をちょうだい?」
「何を!」
「まぁ聞いて。取引しようって言っているのよ。私たち・・・、人間はXって呼んでるの?
Xはマスター、あなたを殺さないわ。望むものは何でも与えるし、何でもする。
その代わり、大量のXが寄生してあなたをコピーする。
いい条件よ? 生命エネルギーは私たちXが与えるから不老不死。
おまけに寄生するときの快楽まで味わえるわけで――」
「黙れ! 私がそんな取引に応じるとでも思っているのか!」
「思うわね」
「!」
断言したSA-X相手に、私は言葉を断つ。
「セクター5で、あれだけ感じていたんだもの。マスターは快楽を知らない。
そして快楽に弱い。まぁ、パワードスーツを改造したってのもあるんだけれど」
「・・・」
「それから、パワードスーツはバイオ素材。さっきマスターがダウンロードした、
Xが寄生できるようにするモジュールはマスターの生身にも影響してるわ。
もちろん、神経の反応指数もね。」
「馬鹿な・・・」
つまりは、私はすでに娼婦のような身体となってしまったということだろうか。
確かにあのデータは、股間や胸など、敏感な部分の数値を書き換えていた。
「さ、どうするの? 応じるの、応じないの?」
「ぐ・・・」
SA-Xは冷たい声で言うと、私にアームキャノンを向けた。
否、と答えればその瞬間に私は死ぬだろう。
もちろん目の前のアームキャノンによってだ。
「・・・、そんなことを聞いて・・・、どうせ・・・」
473 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 22:27:47 ID:KGJM56Ui
私はあきらめかけていた。
しかし、まだ脱出する可能性はあるかもしれない。
ここはSA-Xに従うふりをしてみよう・・・。
「どうせ、選択肢は一つしかないんだろう?」
「わかってるじゃない」
SA-Xはパワードスーツ形態から、人間形状へと変わった。
そしてパチン、と指を鳴らす。
すると。
「!?」
無数のピンク色のXが壁を通過し、SA-Xの周囲を取り巻いたではないか。
「あら、驚いた? 私たちはゲル状だから、壁貫通くらいわけもないわ」
確かにそうだ。
そうでなければ、他の生物の身体にとけ込むようにして寄生などできるわけがない。
「この子たちはあなた専用に進化したX。たっぷりとよがり狂ってね」
その言葉と同時に、ピンク色のXは私に張り付いてきた。
「うわ!」
奇っ怪な感触に、私は思わず悲鳴を上げた。
「あ、びっくりした? 悪かったわ」
などと言いながら、SA-Xは近寄ってきた。
ゲル状のXが身体をはい回ると、得も言われぬ感触が私を支配する。
「うひ・・・」
妙な声を上げてしまった。
SA-Xは馬鹿にするだろうか。
「そんなに気持ちいい?」
気持ちいい?
これが、性の快楽による「気持ちいい」ということなのか。
戦いしか知らない私は、この快感と初めて出会った。
・・・好きになれそうだ。
474 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 22:35:45 ID:KGJM56Ui
「!」
いけない。
早くも虜になってしまうところだった。
快楽ごとき、この広い宇宙ではどこでも手に入るだろう。
私はそう思うことで、気を持ち直す。
気づくと、SA-Xは目の前に迫っていた。
「さ、気持ちよくなってね」
SA-Xは私を押し倒した。
このために床を柔らかくしたのか・・・。
私は今更気がついた。
「この床も、全部Xで作ったのよ?」
「何・・・」
こんなところにもXがいたと言うのか。
すでにXは手に負えない程に増殖してしまったようだ。
SA-Xは私の衣服――といっても、パワードスーツのアンダーウェアのみだが、
少ない衣服を脱がせていく。
「もう、面倒ね」
言うとSA-Xはアンダーウェアに手を同化させた。
「!?」
アンダーウェアが独りでに動く。
その奇妙な感触に思わずのけぞった。
次の瞬間、アンダーウェアははじけ飛んだ。
「さ、これで準備万端ね」
これではスペースシップに戻ったとしても、司令官に顔向けできないではないか。
いや、戻れるかすらわからないのだった。
「・・・」
早くも思考が混乱し始めているようだ。
475 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 23:19:03 ID:KGJM56Ui
「行くわよ」
SA-Xが両手を伸ばした。
「う・・・」
思わず私は身構える。
どうすることもできないと言うのに。
怖かった。
私は目をつぶる。
「ふふ・・・」
やがてSA-Xが私の胸を触る感触を得た。
そして、股間にも・・・
「ふあっ・・・」
だらしない声をあげた。
しかし、この感触・・・、気持ちいいというのか?
その「気持ちいい」という感触が、私を支配していく――
「無理しないで。私達に身体をささげる代償なんだから・・・」
そうだ、これは代償。
好きなだけ・・・
いや、ダメだ。
この誘惑に乗っては・・・!
「はぁ、はぁ、はぁ、」
どうしたことか、息が荒くなった。
「効いてきた?」
何だ・・・?
まさか、さっきから私にまとわりついているピンクのXが影響しているのか。
「なん、だ・・・」
苦し紛れに私は問う。
476 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 23:30:43 ID:KGJM56Ui
「その子達の力よ」
「う・・・?」
やはりピンク色のXによるものだったか。
「その子達はマスターの神経を刺激してるの。
マスターは気づかないかもしれないけど、人間の女が感じる微弱な快楽電波を出してるの」
私は股間に液体を感じた。
これは何だ・・・?
「ほら、ぬれてきた。研究所の職員の記憶によると・・・、『愛液』というみたいね。
人間の女が性的に感じている時に分泌されるみたい。」
そんなものが人間には備わっていたのか・・・。
「そ・・・んなもの・・・」
「うふふ、どうして人間のマスターよりXの私の方が詳しいのかしらね。
そりゃもちろん、他の人間に寄生して知識を奪ったからよ」
もはや自明となっている問いの答えを、SA-Xは我が物顔で言う。
「さ、もっと濡らしてね。すぐに理性なんか吹き飛ばしてあげる」
SA-Xはぐちゅぐちゅと形状を変え、腕を二本増やした。
「うぁ・・・!」
二本の手で私の乳房を、一本で身体を支えて残りの一本で股間をいじくっている。
いつしかSA-Xの周りには、黄色や赤など様々な毒々しい色のXが集まり、浮遊していた。
SA-Xの動きも徐々に激しくなっていく。
「ほら、ほら、どう? どうなの??」
「はぁ、ああぁ・・・、ひぃう!」
答えられず、ひたすら嬌声をあげる。
「ひ、気持ち、いい?、気持ちいぃ・・・」
『気持ちいい』という言葉の性的な意味を完全には理解していないためか、
私の口から漏れる言葉は疑問形だった。
「うふふ、ほぅらこんなに濡れてる。戦士でも、本当は女ってことね」
「いぃ、気持ち、いぃ・・・」
同じ言葉を発し続ける私の口。
477 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 23:45:25 ID:KGJM56Ui
「ふふ、確かある程度濡れていてば大丈夫なのよね」
SA-Xは一人で呟く。
すると浮遊していたXが、SA-Xの股間に集まりぐちょぐちょと融合し始めた。
「あはぁぁん・・・」
SA-Xに快楽を感じる神経があるのかわからないが、快楽の声を上げたようだ。
もう、今の私には抵抗するだけの気力も理性も残っていなかった。
「はふぅ、いぃ・・・」
「うふふふ・・・」
私を支える手を離し、SA-Xは自らの股間に集まったXをこねている。
だが私にそれを見てどうこうすることはできなかった。
粘液質の音が部屋に響くと、そこには・・・
「あふ・・・、できたわぁ。どう?」
SA-Xは自らの股間で作ったものを私に見せた。
「あ・・・!」
それはマーブルカラーの男性器。
まさに数種のXによって作られたことを意味していた。
「欲しい? ・・・って言ってもわかんないか」
SA-Xはつまらなさそうに私を見据えていた。
でも、私には男性器が何をするためのものかぐらいわかっていた。
一つは排泄。
もう一つは・・・、おそらくこれから私がされようとしている行為だろう。
「ひぅう!」
見るとSA-Xは、私の股間・・・、秘所という言い方の方がよいだろうか。
その秘所に、作成した男性器をこすりつけていた。
「あは、こんなに感じちゃって・・・」
失笑気味にそんなことを言った。
478 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/11 00:04:59 ID:sUVKZU0g
「ひぃん! あふ、ああぁん!!」
何度もそれを繰り返し、私も何度も悲鳴を上げる。
もちろん、快楽の悲鳴だ。
毎度毎度、私には強烈な「快感」がフィードバックされている。
「すごい感じ方ね。初な人間ってこんななのね」
人間から奪った記憶にその情報はなかったらしく、SA-Xは感心している。
「さて、そろそろ・・・、入れるわ」
『入れる』
その言葉に、私はひどい魅力を感じた。
『入れる』『入れる』『入れる』・・・
「ああああああぁぁぁぁぁ!!!!」
全身の神経が焼き切れそうな程の『気持ちよさ』と共に、私は大声で叫んだ。
「あああああ!! いぃ、いいいいいいぃぃいぃぃ!!!!」
「あはははは、おもしろいわぁ! 戦士ってこんなに乱れるものなのね!」
そう、SA-Xの股間に作られたモノが、私の秘所に侵入していたのだ。
ピンクXにより高められた性的な神経が、その刺激を3倍にも10倍にもしていた。
「ひぃぃいい、きもひ、いいぃいいい・・・」
言葉にならない声を発し、私はよがり狂う。
「これで、動くのね」
SA-Xは腰を前後させ始めた。
「いいぃ!!! うご、うっごおご!!!」
「ほらほら、もっとよぉ!!」
SA-Xは一気に動きを激しくした。
479 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/11 00:16:12 ID:sUVKZU0g
同時に浮遊していたXが、私の身体に密着してくる。
瞬く間に私はゲル状物質に覆われている妖女のようになってしまった。
グチュ! ビジュ!
もともとゲル状であるSA-Xも、少しずつ形状を崩し始めていた。
快楽のためか、それとも私に寄生するためか・・・
「そろそろいいわね。うふふ・・・」
妖しい笑みを浮かべながらSA-Xは一人言う。
「ああぁ、ああああ! いぃの、いいのぉあぁぁぁ!」
「さぁ、あなたがさんざん吸収したXをたっぷり味わってね! ああああぁん!!」
SA-Xの嬌声と共に、私の胎内に大量の何かが注がれていく。
暖かいそれは間違いなくXだろう。
SA-Xはゲル状の姿に戻ると、私の身体を一気に包み込む。
「・・・! ・・・・・・!!!!!」
秘所から、口からアナルから。
様々な部位から、X達は私の身体に寄生していった・・・。
「う・・・」
目を覚ました私。
「あっ・・・」
そこで私は、『終わった』ことに気づいた。
もうこの身体は私:サムス=アランの物ではなく、Xの物であることに。
両手を見つめても、変化はない。
だが・・・
「・・・」
両手から、液体がわき出す。
それはまごうことなくX。
「ふふ・・・」
自然と笑みが浮かんだ。
480 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/11 00:19:06 ID:sUVKZU0g
その瞬間、すべてが切り替わる。
「私はX」
そう、私はXなのだ。
この身体、全身はXの物。
自らXを生み出すこともできる・・・。
マザーXとでも言えようか。
「うふふ、あはは、あははははははは!」
狂ったように笑う。
快楽はいいものだ。
Xが教えてくれた。
そして、Xは私にとって主人だ。
排除しようとしていた私が信じられない。
これからはXのために、Xのためだけに生きよう。
私は誓った。
646 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :05/01/01 10:50:26 ID:CFB8eLAs
あの時、私を助けてくれたのがサムスお姉ちゃんだった。
辺境の惑星で発生した、銀河連邦に対する蜂起。
ようは反乱っていうことらしいけど・・・。
私は反乱を計画した人たちに捕らえられていた。
なんでも、私の血には失われた種族のものが流れているとかで、
犯人グループは私を研究したがっていたみたい。
冷たくて薄暗い牢屋に閉じこめられて、時々血液を抜かれたの。
時には変なスキャン装置みたいなのをかけられたこともあったっけ。
2,3回くらいならまだしも、何度も何度も繰り返されるその作業に
私は耐えられなくなっていた。
たぶん、お姉ちゃんが来るのがあと1日でも遅かったら、私は壊れていたかも。
そのくらい、限界まで来ていた。
「・・・」
私はいつものように、肩をふるわせて牢屋の真ん中で座っていた。
(きっと、ここから一生出られないんだろうな・・・。)
そんな思いも、毎日しているうちに慣れちゃった。
この薄暗くて冷たい、誰も来ない牢屋で私は一生――
「・・・!」
私は涙を流しているのに気づいた。
床にこぼれた雫を見て、初めて認知したみたい。
「あぁ・・・」
(自分が泣いているのもわからないくらい、私はおかしくなっちゃったのかな・・・。)
647 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :05/01/01 10:59:33 ID:CFB8eLAs
もう嫌だった。
白衣の人が来ると、それは採血の合図。
それが何人か来ると、それはスキャン装置にかけられる合図。
一応、1日3回の食事は出たけれど、粗末なものだった。
意地をはって食べないと、マシンガン持った人が来て脅すの。
体調が悪くて食べられないなら、白衣の人が来てクスリを飲ませるの。
そう、私はまさに「飼われて」いたの。
野蛮な蜂起集団に。
何となく、目を上げる。
私の眼球が脳裏に写すのは、目の前にある白い壁と牢屋の鉄棒。
「・・・」
見慣れた、それでいて無感傷な映像に私は何も感じない。
「!」
(足・・・音・・・)
私の耳は、確かにその音をとらえていた。
きっとまた、採血・・・。
私は元のように首を垂れ、じっとすることにした。
近づく足音。
何もできない自分。
(いつ・・・、私は楽になれるのかな・・・)
「楽」という言葉。
それは、今の私にとっては「死」という、何よりも甘い、甘い響きを持つ言葉を指すものだった。
648 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :05/01/01 11:10:58 ID:CFB8eLAs
「立てるか?」
「・・・?」
どうやら足音の主はすでに牢の鍵を開けたらしく、私に声をかけてきた。
でも、聞き慣れた白衣の人の無機質な声じゃなかった。
女の声――
(ぇ・・・)
私はゆっくりと、顔を上げてみる。
そこには紫色のごつごつした服を着た人がいた。
私に手をさしのべている。
「・・・、だ・・・・・・れ・・・?」
私はしばらく使わなかった「言葉」を、いま自分の意思表示のために精一杯絞り出した。
「私はサムス=アラン。この蜂起集団を壊滅しに来た。」
そして、その人はこう付け加えた。
「ルナ=ナイトメア」
「!」
嫌な・・・名前。
自分の名前。
「悪夢」っていう名前。
私は首を振った。
「・・・逃げないのか?」
「に・・・げ・・・る?」
「そうだ。私は上の階の研究室で、あなたの情報を手に入れた。
ひどい扱いを受けていたようだな。」
649 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :05/01/01 11:21:36 ID:CFB8eLAs
「・・・ぁ・・・ぅ・・・」
答える言葉が見つからない――、いや、見つかっても口に出せない。
「私がこの星を脱出すれば、その後このあたり一帯は宇宙から爆撃される。
この地下牢も、間違いなく粉砕されるだろうな。あなたは間違いなく死ぬ。」
「死・・・」
はぁ、と私は感嘆のため息をつく。
(死、死、死、死、死ぬ、死、死ぬ、死ぬは、楽、楽は、死、・・・)
サムスさんの言葉は、私の頭深くに響き渡り、そしてその単語は無限の連鎖となって私を汚染した。
「死、ぬ、は・・・、ら、く。死ぬ、死、ら、く、死、・・・」
「・・・」
口に出してそう言っていたみたいで、サムスさんが眉をひそめたみたいなのは何となくわかった。
#作者注:サムスのスーツは頭部も完全に覆い尽くし、目の部分にバイザーがあるだけ。
#その表情を見ることは、通常ゲーム時にはほぼない。
気づくと、サムスさんは牢から出て横を向いていた。
「死、死、死、・・・」
壊れたカセットデッキのように繰り返す私。
その間、サムスさんはなにやら手からビームを放っていた。
数分すると、サムスさんはまた牢に戻ってきた。
「敵だ。どうやらここに私がいることを感づかれたらしい。」
この人、蜂起集団を全滅しに来たんだよね。
じゃあ、武器を持っている。
ということは、人を殺せる。
殺せる――、私のことも殺せる。
殺せる・・・、殺されるということは、死ぬ。
死。死。死。
「あ・・・ぁ・・・」
「何か言いたいのか?」
650 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :05/01/01 11:30:23 ID:CFB8eLAs
出ない言葉を必死に出す。
「こ・・・、こ・・・、」
「・・・?」
私はサムスさんの右手を私の胸に当てて・・・
「こ、・・・ろ、し・・・、て・・・」
「!!」
サムスさんは私を振り払って立ち上がった。
「何を言う。死んでどうするんだ?」
どうもこうもないよ。
(死ねば、楽・・・)
その思いを言葉にしようとした時。
私の周囲は、透明な何かで覆われていた。
「・・・?」
私は無関心にそれを見つめた。
「私のスペースシップに送る。今のあなたは自力で歩けないだろうし、
歩けたところで敵に狙われるのが関の山。」
「や・・・だ・・・」
「殺せというのか?」
私はゆっくりうなずく。
「できない相談だ。蜂起犯ならまだしも、被害者を殺すことはできない。
依頼主の銀河連邦もそう言っている。あきらめろ」
サムスさんがそう言うと、私を取り込んだ透明な球体が移動し始めた。
「行くぞ」
サムスさんが向こうを向くのを見た瞬間、私は意識を失った。
目を覚ました時、最初に見えたのはグレーの天井だった。
651 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :05/01/01 11:37:26 ID:CFB8eLAs
目がかすんでいるのか、よく見えない。
「・・・が・・・で、・・・」
誰かが話しているみたい・・・。
でも、よく聞き取れない。
なんとなく、ここが牢屋じゃないことはわかった。
あと、私が生きているということもわかった。
死にたいのに・・・。
「まだクスリが効いているはずよ。眠っていなさい」
白衣を着た眼鏡の人が、私をのぞき込んでそう言った。
「・・・」
私は、言われるまま・・・
眠りに落ちていった。
734 名前:FBX@Code-MF ◆LURUsAQvXg :05/03/07 23:18:05 ID:6xnZrZlD
あれから数ヶ月して、私はやっとまともに言葉を話したりサムスさんと接することができるようになった。
メディカルチームっていう人たちによると、私の体は薬で汚染されてたらしい。
でも私の種族の特性のおかげで、後遺症も残らずに全部抜けたんだってさ。
「ルナ」
「なに?」
サムスお姉ちゃんが来た。
・・・パワードスーツで。
「またお仕事?」
「ああ。今度は厄介かもしれない」
私にはお姉ちゃんの仕事がよくわからなかったけど、
何か大事なもののために戦っているんじゃないのはわかった。
多分、お姉ちゃんは・・・いつかきっと死ぬ。
戦う理由が大きくて、それが守るべきものじゃなければ・・・。
私はなんとなく、それを知っていた。
「以前私が宇宙海賊から解放した惑星の調査らしい」
「SRなんとかっていうあそこ?」
「そうだ。メトロイドと私が初めて出会った惑星」
「ねぇ、私も――」
「ダメだ」
「・・・」
しょんぼりする私を横目に、お姉ちゃんは言った。
「ルナは戦うべきではない。君は被害者なんだ」
私が拉致されていた施設のことを言っているんだ。
735 名前:FBX@Code-MF ◆LURUsAQvXg :05/03/07 23:27:56 ID:6xnZrZlD
「・・・同時に加害者にもなり得る私の言える台詞ではないか・・・」
「そんなことないよ」
確かにパワードスーツの力でお姉ちゃんは戦ってる。
依頼されて、という立場だけに恐れているのかもしれない。
「・・・それじゃあ行ってくる」
「帰りは遅くなるの?」
「できるだけ早く帰ってくるさ」
微笑むと、お姉ちゃんはパワードスーツの頭部を装着して退出した。
「・・・」
私はどうも悪い予感がした。
お姉ちゃんに助けられてから、しばらく幸せだったから・・・。
そう、不安だったんだ。
――そしてその予感は当たってしまった。
お姉ちゃんが未知の生物に寄生されて、さらにスペースシップごと撃沈したというのだ。
私はすぐに駆けつけたが、もちろん面会など許されなかった。
スーツを着てサングラスをした男の人がいた。
「サムス=アランは今、非常に危険な状態だ」
「え・・・」
事故のしらせだけでもショックだったのに、そんな話・・・。
「未知の生物に襲われ、その影響で意識を失った。
その結果、スペースシップを操縦中だった彼女は小惑星群に突入し、
そのまま小惑星の一つに激突したのだ」
「う・・・そ・・・」
「残念だが、本当のことだ。現在緊急手術中だ」
私の足は震えていた。
736 名前:FBX@Code-MF ◆LURUsAQvXg :05/03/07 23:36:33 ID:6xnZrZlD
「まぁ・・・、手術の様子を見ることはできるが・・・。
君には刺激が強すぎるだろう。すすめられん」
「・・・結構です」
私はそこに用意されている椅子に腰を下ろした。
「サムスは君の命の恩人だけに辛いだろうが・・・」
このスーツの人が私に気を遣ってくれているのがわかる。
確かに恩人なのかもしれない。
私の心をここまで正常に戻してくれたんだから。
「今は回復を信じて、待つしか無い」
「・・・はい」
そして、しばらく沈黙が流れる。
初めて会うスーツの人は、ずっとそこに立ったまま。
「何か飲み物でも買ってこよう」
そう言い残し、部屋から出て行った。
「お姉ちゃん・・・」
数ヶ月の間で、サムスさんは私の家族になっていたんだ。
私はそう認識した。
スーツの人が戻ってきた。
手には二本のパック。
「君が好きなのは惑星SSD-223産のイートドリンクと聞いたよ」
イートっていうのは、植物の一種。
SSD-223は温暖な気候なので、年中この作物が収穫できる。
「・・・ありがとうございます」
受け取り、開封する。
737 名前:FBX@Code-MF ◆LURUsAQvXg :05/03/07 23:42:23 ID:6xnZrZlD
この人は人間的・・・って言うのかな?
私は地球の人間じゃないからよくわからないけれど・・・。
私の治療をしてくれたメディカルチームは人間っていう種族らしい。
彼らの医学は宇宙においても高レベルなんだって。
お姉ちゃんが・・・言ってた。
「・・・」
私はまた涙を流していることに気づいた。
「辛いだろうな」
「はい・・・」
「私も似たような境遇に陥ったことがある」
スーツの人は何か語り始めた。
「君とは違って、本物の家族だった。血のつながりのある・・・、
と言えばわかりやすいかな。私の兄は銀河連邦所属のエージェントだった」
『だった』という語尾に、私は少し違和感を覚えた。
「じゃあ・・・」
「死んださ。確か・・・、リドリーと言ったかな。そんな奴と戦って、
そして全滅したとか・・・聞いたよ」
リドリー・・・。
サムスお姉ちゃんも一人で戦ったことのある、大きな竜型の怪物だ。
「リドリーという奴は、宇宙海賊の幹部らしくてね。兄はそいつを
殲滅して、海賊そのものに打撃を与えるつもりだったらしい」
「・・・」
私は何も言えなかった。
そのリドリーを、お姉ちゃんが倒しただなんて・・・、言ったらショックだろうから。
738 名前:FBX@Code-MF ◆LURUsAQvXg :05/03/07 23:54:02 ID:6xnZrZlD
「その後に君が姉と慕う彼女・・・、サムス=アランが単身で突入した。
結果は成功。見事にリドリーもろとも惑星ゼーベスを破壊したそうだよ」
「知ってたんですか・・・」
「そりゃな。銀河連邦のエージェントなら誰でも知ってるさ。
君の恩人は銀河連邦の恩人でも・・・、いや有名人かな」
そして少し沈黙があって・・・。
「彼女の報告書を読んだよ。私の兄らしき死体も発見したってね。
エージェントの中でも戦闘チームはパワードスーツ着用の許可があるからね。
そのシリアルナンバーでわかるのさ」
「そうですか・・・」
そこで小さな電子音が鳴り響いた。
「?」
「おっと・・・、私だ」
スーツの人は私に背中を向け、何かぼそぼそと話し始めた。
エージェントらしく、通信機を携帯してるみたいだ。
「・・・」
(この人の方が辛いのかな・・・)
この人のお兄さんは死んだんだ。
私みたいに、手術してどうこうするレベルじゃなかった。
(私の方がまだ楽なのかな)
そんなことを考えていると、スーツの人はこっちを向き直っていた。
「ルナ君。サムスの手術が終了したそうだ」
「!」
立ち上がり、部屋から飛び出そうとする私を制したスーツの人。
「待ちたまえ。サムスは現在ICUにいるそうだ」
「でも」
「ダメだ。いずれにせよ面会謝絶だ。それにICUの様子だってひどいものらしい」
「・・・」
私は再びうつむく。
739 名前:FBX@Code-MF ◆LURUsAQvXg :05/03/08 00:03:29 ID:pbkE/CIH
「ひとまず今日は面会は許されないようだ。君も一度ホームに帰るといい」
ホームとは、私たちが生活するエリアのこと。
ホームルームやホームエリアという呼び方が本来らしいけれど、
それだと長いし学校の授業みたいだっていうことでホームとだけ呼ばれてる。
「はい」
「上から私も同行するよう言われている」
「え?」
どういうことだろう。
私を今更監視しても・・・。
「上からの取り計らいらしい。君の恩人がこの状態だ。
いつも一緒に生活しているだけに不安があるだろう。代わりにはならないが・・・」
「・・・」
お姉ちゃんが銀河連邦の仕事を請け負っている間、私は銀河連邦の設備で生活する。
もちろんお姉ちゃんが帰ってきたら、別な場所に移動するけれども。
とにかく、銀河連邦は事件の被害者や犠牲者には手厚い。
戦士やエージェントにはあまり良い待遇は与えられないのに・・・。
「・・・わかりました」
断るのも悪いし、この人は色々と気遣ってくれている。
私はその好意を受け入れることにした。
数日後、私の目の前に変わり果てたお姉ちゃんがいた。
「ルナ・・・」
「お姉ちゃん!」
未知の生物に寄生されて、仕方なしにスーツをあちこち切り取ったそうだ。
948 名前:FBX@Code-MF ◆LURUsAQvXg :2005/05/10(火) 00:36:17 ID:NGdTU0My
「良かった・・・、生きて・・・」
私はお姉ちゃんの身体に抱きついた。
パワードスーツのごつごつした手で、私をなでてくれる。
「サムス」
「・・・わかっている」
お姉ちゃんの後ろには、黒スーツとサングラスの人。
この間のエージェントとは違う人みたい・・・
「ルナ」
「なに?」
「私は・・・」
とても言いづらそうなお姉ちゃん。
なんとなく、言いたいことが伝わってくる。
「私に寄生した生物、Xについて調査・滅殺を依頼されている」
「!」
「スペースシップも失ってしまった今、この依頼を受けるしかないんだ・・・」
「で、でも!」
「危険は承知だ。そして・・・、今の私は本来の力を発揮できない。
Xについて調査すれば、取り戻す手段もわかるかもしれない。」
「・・・」
「わかるか? 本来の力が無ければ、君を守ることも難しくなるんだ」
「うん・・・」
結局、今回もお姉ちゃんを見送ることしかできなさそう。
「けれど、一つ安心して欲しいことがある。私は二度とXに寄生されない身体になった」
「え、X?」
「私に寄生した未知の生物のことだ。メディカルチームはXと呼んでいる。」
「じゃあ・・・?」
「確かに本来の力は失ったが、逆にXの脅威も若干緩和できたということだ」
949 名前:FBX@Code-MF ◆LURUsAQvXg :2005/05/10(火) 00:41:37 ID:NGdTU0My
「ルナ君」
お姉ちゃんの後ろのスーツが話しかけてきた。
「?」
「我々としても、サムスの能力が失われたのは遺憾なことだ。
しかし、Xという生物を駆逐しないことには宇宙に生きる生命全てが危険にさらされるのだ」
その人は、Xというのがどういう生物なのか・・・
どう危険で、その天敵など色々と教えてくれた。
「・・・というわけだ」
「・・・」
確かに恐ろしい生物だと思った。
他の生命体に寄生して、体内で増殖。
宿主を殺し、自らは奪取した遺伝子データでその生物に擬態する。
そしてその天敵である生命体は、かつてお姉ちゃんが深く関わったあのメトロイド。
もう絶滅しちゃったけれど、その遺伝子が保存されていたためにお姉ちゃんは助かった。
メトロイドの遺伝子からワクチンを作ったんだって。
「なかなか理解しがたいかもしれないが、しかしこれが現実なんだ」
「ルナ。私は必ず生きて帰ってくる。」
「お姉ちゃん・・・」
「今回もちゃんと帰ってきたじゃないか。心配することはない」
「・・・うん・・・」
私を安心させようと、そんな言葉をかけてくれる。
でも・・・、なんとなく私には分かっていた。
今度も、またよからぬことが起きることが・・・。
950 名前:FBX@Code-MF ◆LURUsAQvXg :2005/05/10(火) 00:51:53 ID:NGdTU0My
数日後、お姉ちゃんはスペースシップで旅立っていった。
私を元気づけてくれたエージェントの人は、よく私のところに来てくれる。
今のお姉ちゃんの状況なんかも時々教えてくれたりする。
お姉ちゃんが、「銀河連邦は被害者に手厚い」って言っていたけれど、
こういうことなのかな・・・?
「最近は勉強熱心なんだそうじゃないか」
「え? ああ、はい」
戦う力は無いけれど、お姉ちゃんが使えるような装備を作ったり
パワードスーツを改良できたらいいな、と思ったのがきっかけだった。
私は今、遺伝子や生命、はたまたエネルギーについても学んでいた。
「お姉ちゃんをサポートできれば、って思ったんです」
「そうか・・・。」
エージェントの人は、遠い目をする。
「私も最初は兄のサポートができれば、と思っていた。
そしてそれはどうにか実現できたんだ。兄の装備開発担当としてね」
「へぇ・・・」
「あの・・・、リドリーを叩こうとした際にも私の装備を持って行ってくれた。
しかし、兄はそれを使っても生きて帰ることはできなかったんだ・・・」
「・・・」
何かまずいことを話題にしちゃったかも。
「いや、気にしないでくれ。独り言さ。」
「でも・・・」
「いいんだ。兄は確かに志し半ばで力尽きたが、サムスがそれを達成してくれたんだ。
私はそれで満足なんだ。君も・・・、サムスをしっかりサポートしてやれるように
今から頑張るといい」
「はい。」
951 名前:FBX@Code-MF ◆LURUsAQvXg :2005/05/10(火) 00:58:32 ID:NGdTU0My
やっぱりこのエージェントの人は、いい人なんだろうな。
連邦から命令されて来てるんだろうけれど、ここまで私のことを気遣ってくれるなんて。
「ところで・・・」
「?」
「サムスから少し聞いていたんだが、君には特殊な能力があるそうだね。」
「・・・ええ」
あまり気乗りしない話題。
「いや、気分を害したなら謝るよ。だが、その能力について少し知りたくないか?」
「というと?」
「君自身がどんな力なのかを自覚してるのならいいんだが、そうでないならだ」
「・・・」
少し考える。
確かに、私には未知の能力があるらしい。
それが原因で拉致されて、あのどこかの惑星の設備に監禁されていた。
「もちろん知りたくないならそれでもいい。そこは君の自由だよ」
その「特殊な能力」でお姉ちゃんのサポートができればいいなぁ・・・。
「どんな力なんですか?」
「知っておくか。それも君の選択肢なんだから、いいだろう。」
エージェントの人は少し間をおいた。
「予知能力だ」
「え?」
「予知。君の種族には、未来を予知する力があるのさ」
「予知・・・」
「そう。どのくらい先のことなのか、それが正確なのかどうかは不明だがな」
「・・・」
「あまり気分の良い話題ではなかったかな? 悪かった。
今日はもう退散するとしよう。」
「・・・はい」
私はその人を見送った。
「・・・どうしよう」
952 名前:FBX@Code-MF ◆LURUsAQvXg :2005/05/10(火) 01:04:09 ID:NGdTU0My
予知能力。
サムスお姉ちゃんがXに寄生されちゃう前に感じた、あの嫌な予感。
そして今回お姉ちゃんが旅立つ時に感じた、嫌な感じ。
どうやら・・・、私に予知能力があるのは本当らしい。
本当にわずかみたいだけれど。
少なからずとも予知能力があるとするなら、今回お姉ちゃんは・・・!
「・・・」
私は窓から風景を見る。
風景――、風景とは言っても何もない宇宙空間。
ここは銀河連邦の宇宙ステーションなのだから。
そこに、一筋の赤い光が見えた。
「?」
あれは・・・
「あ・・・」
あの特徴的な形は、お姉ちゃんのスペースシップ!
良かった、ちゃんと帰ってきた・・・。
私は部屋を飛び出し、ドッグの方へ走り出した。
・・・そう、お姉ちゃんに身に起きたことを何も知らずに・・・。
292 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/09 21:10 ID:ARMilWxl
Code:MF
設定資料・装備について
Xとは?
謎の寄生生命体。
他の生物の中に寄生し、増殖して宿主を殺す。
そしてXは、その生物に擬態することができる。
擬態している際は、サムスによって吸収されることはない。
吸収することで黄色のXはエネルギーを、緑のXはミサイルやパワーボムを、
赤いXは両方を補充することができる。
なお、中には特殊なXが存在し、これらは失われたサムスの特殊能力を持っている。
サムスはこの特殊なXを吸収することで、能力を取り戻してゆく。
SA-Xについて
切り取られたサムスのスーツに潜んでいたXが増殖し、サムスに擬態したもの。
ベストコンディションのサムスに擬態しているため、いわゆるフル装備となっている。
バリアスーツを持たないサムスは、SA-Xのアイスビームを受けると凍り付いてしまう。
293 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/09 21:11 ID:ARMilWxl
特殊能力について
モーフボール:球体になる。ボールになることで、狭い通路を通れる。
ボム:モーフボール状態で設置できる。隠し通路を発見できるが、武器としては弱い。
パワーボム:広範囲に威力があるボム。一気に壁を破壊できるので、隠し通路発見に便利。武器としても有効。
ハイジャンプ:高くジャンプできる。また、ボール状態でもジャンプできるようになる。(旧スプリングボール)
スピードブースター:走り続けると発動。高速ダッシュで、敵をひき殺す。ロケットジャンプに必要。
スペースジャンプ:空中で何回でもジャンプできるようになる。
スクリューアタック:触れるもの全てを撃滅する。ほぼ無敵。威力はたぶん最強。
ミサイル:通常のミサイル。一発の威力は、ビーム攻撃よりも強い。
スーパーミサイル:ミサイルの強化版。ミサイル三発分くらいの威力らしい。
アイスミサイル:スーパーミサイルに冷凍機能をつけたもの。敵を凍らせることができる。
SA-Xにも有効だが、わずかに足止めできる程度。
デフュージョンミサイル:エネルギーをためて発射するアイスミサイル。
周囲に冷気をまき散らし、広範囲の敵を凍らせる。
チャージビーム:通常のビームの二倍程度の当たり判定。ため撃ちをすることで、威力アップ。
ワイドビーム(旧スペイザー?):チャージビームの三倍程度の当たり判定。
広範囲の敵に命中させることができる。
プラズマビーム:敵を貫通するビーム。かなりの威力を誇る。
ウエイブビーム:壁を貫通するビーム。オシロスコープの画面みたいな軌道で飛ぶのが特徴。
バリアスーツ:高温・低温環境に対する防御スーツ。アイスビームを受けても凍らなくなる。
グラビティスーツ:水中でも自由に動けるようになる。また、マグマの中に入っても平気になる。
#SA-Xは、これら全てを装備してると思ってください。かなり脅威ですw
「BIOLOGIC宇宙生物研究所」が派遣した
調査隊の、警護を依頼された私は・・・
あの、惑星SR388へ、再び足を踏み入れることとなった。
メトロイドの巣窟であった、この惑星はまた・・・
私とベビーメトロイドが、出会った場所でもある。
今回の目的は、メトロイドが絶滅した後の
SR388の調査であった。
そして私は、今まで見たこともない生命体に、
襲われてしまったのだ。
私にとりついた生物の正体が、
「X」という寄生生物であったことは、後にわかった。
事の深刻さに気づかず、帰路についていた私を、
突然の異変が襲った。
「X」に神経中枢を侵された私は、意識を失い、
アステロイドベルトに突入してしまった。
激突の直前に、自動的に放出された、脱出ぽっどを
調査艇が回収し、銀河連邦本部へ運び込んだ。
しかし、到着までの間に増殖した「X」は、
私の身体を、パワードスーツごと大きく蝕んでいた。
289 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/09 20:57 ID:ARMilWxl
バイオ素材のパワードスーツは、装着時、私の身体と
一体化することが、事態を深刻化させてしまったようだ。
意識の無い私からスーツを脱がせることはできない。
したがって・・・
「X」に蝕まれたスーツの大部分は、身につけたまま
切り取られてゆき、私の姿をしだいに変化させていった。
だが、神経中枢の奥深くまでを浸食した「X」を
取り除くすべはなく、私の命は絶望視されていた。
ところが、唯一の治療法が見つかった。
「X」を除去できるワクチンが、
メトロイド細胞から作り出せるというのだ。
あの、ベビーメトロイドの細胞組織の一部が
連邦によって保管されていたらしい。
すぐにワクチンが作られ投与された。
ワクチンの効果は絶大であった。
結果、「X」は、みるみる消滅していった。
そして、私は奇跡的に一命を取り留めた。
その容姿を大きく変化させ、よびがえったのだ。
この事実をかみしめながら、今私は思う。
ベビーは、再び私の命を救ってくれたのだと・・・
CP「まもなく『B.S.L』に到着する。すみやかに、着陸態勢に移れ。」
スターシップのコンピュータが、通称「B.S.L」、
「BIOLOGIC宇宙生物研究所」への接近を告げた。
290 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/09 21:04 ID:ARMilWxl
調査隊が今回捕獲した生物は全て、
私の手術中に、「B.S.L」へと運び込まれていた。
やがて意識を取り戻した私は、「B.S.L」で起きた
原因不明の爆発事故を、知ることとなった。
その事故の報せに、言いしれぬ不安を覚えた私は今、
状況調査のため、「B.S.L」へと向かっているのだ。
その「B.S.L」における、私の行動は全て
このスターシップのコンピュータが、管理するようだ。
この無愛想な司令官に従うことを条件に、
連邦は新しいスターシップを、提供してくれたのだ。
他人に行動を指示されることを好まない私ではあるが、
司令官の下での任務は、これが2度目である。
そのことに気づき、私はふと・・・
ある人物の名前を、思い出した・・・
METOROID FUSION オープニングより抜粋
294 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/09 21:30 ID:ARMilWxl
スーツのほとんどを切り取られた私は、ほぼ全ての能力を失ってしまった。
チャージビームやプラズマビームはおろか、ミサイルまで撃てないのだ。
果たして、今の私にこのミッションを完遂できるのだろうか――
スターシップよりB.S.Lに降り立った私。
まずは生命反応のある、特別格納庫を目指せとの指示だ。
しかし、あのゼロミッションも私は攻略したのだ。
今回も、やり遂げてみせる・・・
スムーズに司令官の指示をこなしていく私。
いくつかの能力も取り戻し、その感覚に懐かしさを覚えていた。
チャージビームの、右手に熱い力が宿る感じ。
ハイジャンプの高揚感。
スピードブースターの疾走感。
その程度しか取り戻せていないが、しかし私にはうれしいものだった。
次の指示はバリアスーツをダウンロードせよとのこと。
銀河連邦が私を応援するために、データを作成してくれたそうだ。
295 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/09 21:39 ID:ARMilWxl
単にXを吸収する以外に、データをダウンロードしても取り戻せるようだ。
早速バリアスーツをダウンロードするため、データルームに向かう私。
しかし、その部屋に入った瞬間、私は絶句した。
なんと大型のXが、データをダウンロードしているのだ。
黙って見ているわけにもいかず、私は右手のアームキャノンからビームを放つ。
だが意味をなさないようだ。
しばらくすると、その大型のXはノードを破壊した後に去っていった。
「・・・」
念のため、ノードの様子を探る私。
完全に壊れてしまっているようだ。
だが、そこで私は妙なものを見つけた。
明らかにバリアスーツ以外のデータが、ノードに入っていたようなのだ。
他の能力のデータかもしれない。
私はそう思い、次の部屋に向かった。
するとそこには、先ほどデータをダウンロードした大型のXが。
奴は何かウニのような生物に擬態し、私に襲いかかってきた。
「くっ」
その突進を回避し、ミサイルを撃ち込む。
だがそのXは、ミサイルをはじいてしまった。
330 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 19:50 ID:6cGxLtQC
おかしい。
今までの「特殊なX」は、基本的にミサイルを撃ち込めばダメージを与えられたはず。
あの巨体に、まさかボムを使うわけにはいくまい。
ならば。
私は右手のアームキャノンに目を向けた。
「これで!」
チャージビームを最大限までため、大型のXに打ち込んでみた。
着弾。
するとその大型Xは、まるでよろけるように後ずさる。
・・・効いている?
期待できるレベルまでの挙動を示してはいないが、
しかし何らかのダメージは通っているかもしれない。
私は再度、チャージビームのエネルギーをため始めた。
だが、そのときウニ形状に擬態したXは、再び私に攻撃を仕掛けてきた。
すでにハイジャンプ能力は取り戻したが、微妙に高さが足りなかった。
「!」
足に衝撃が走る。
いくら弱体化してしまったとはいえ、パワードスーツを着用しているのだ。
若干のダメージで済んだようだ。
むろん、生身で受けていたら大惨事だったろう。
331 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 19:59 ID:6cGxLtQC
チャージビームのエネルギーは回避時のチャージアタックに使ってしまった。
再度ためる必要がある・・・。
空中でバランスを取り戻すと、私は足場に着地した。
敵の動きをしっかりと見切る。
そして満タンにまでたまったエネルギーを、大型のXに向けて放出した。
「やはり・・・」
そのXは、確かにダメージを受けているようだ。
ミサイルではなく、チャージビームによって――
そうと分かれば、あとは敵の攻撃にだけ注意すればよい。
私はつかの間の、有利に運べる「戦闘」という名の陶酔に身を沈めていった。
擬態を解除させ、真の姿を現したX。
この形状に変化させればミサイルは通る。
数発のミサイルを撃ち込み、私はついに大型ウニ形状Xを撃退することに成功した。
抵抗する力を失ったXは、空中でふわふわと浮遊している。
そのXの色は、ほのかにピンクを帯びた黄色であった。
「特殊なX」は通常のXとは異なり、サイズも大きい上に色も異なる。
私はXに近づくと、それを体内に吸収していった・・・。
同時に、パワードスーツの表面が何かでコーティングされていく感覚。
「これは・・・」
あのスペースシップの司令官が話していた、バリアスーツのデータだ。
332 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 20:09 ID:6cGxLtQC
パワードスーツは黄色っぽい光を放つと、その色に染色された。
「・・・」
また一つ、私に能力が戻った。
現時点での脅威であった、ブルーX――私に対抗するために変化したXであり、
これを吸収してしまうと急速に冷却され、ダメージとなってしまう――への抗体も完成した。
「そういえば・・・」
先ほど撃退したウニ形状のXは、データルームのノードからバリアスーツデータをダウンロードした。
その現場を目撃した時、気になるデータがコンソールに表示されていたような・・・。
気になる私は、一度データルームへ引き返すことにした。
つい先ほど、この部屋は大型Xによって破壊されたばかり。
私はあたりに散らかる残骸の上を歩き、コンソールに目を向けた。
「・・・」
どうやら、データのダウンロードモジュールは破壊されてもこのコンソールは生き残ったようだ。
あのXがバリアスーツデータをダウンロードした際に、同時にダウンロードした可能性がある。
すなわち、それを吸収した私にもそのデータが影響しているかもしれないのだ。
司令官からはバリアスーツ以外の話は聞いていないため、調べなければならない。
万が一、害のあるデータだとしたらミッションに支障を来す。
私はコンソール付属のキーやスイッチを操作し、生きているデータを見ていく。
333 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 20:19 ID:6cGxLtQC
「ん・・・?」
データの群れの中に、私はデータルームのダウンロード履歴情報を発見した。
これを見れば、先ほどの大型Xが何を余計にダウンロードしたか、そして私に宿ったかがわかるはず。
その中身を表示させてみる。
大型Xより以前にも、ここのデータルームの利用者はいたようだ。
B.S.L.の職員であろう。
問題は先ほどのXだ。
履歴情報を最新の日付へとフォーカスを移す。
「これか・・・」
セクター6 NOC データルーム利用履歴
現時刻より15分前
利用者ID:不明
利用者名:不明
ダウンロードデータ:BARIA.SAF PAR-SX.SAF
備考:不明な利用者です。本データノードは不特定利用を認めています。
不正アクセスが検出された場合、自動的にシャットダウンされます。
ステータス:データは正常に転送されましlっkdgh
履歴情報が最後まで記録されていない。
334 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 20:30 ID:6cGxLtQC
恐らく、Xがノードを破壊したために最後までコンソールに出力されなかったのだろう。
末尾のSAFは、SAMUS-FIXであろうか。
まぁ、それはあまり問題ではない。
BARIA.SAFはバリアスーツデータということが容易に分かるが、問題は後者。
私は後者のデータを検索し、アナライザーに読み込ませた。
「ん・・・?」
私自身にはデータ解析能力はない。
パワードスーツの能力を用いて、解析をしていく。
そして、そこに妙なものを発見した。
パワードスーツの根幹に関わる部分をプログラムしてあるのだ。
古代の鳥人文明の産物である、このパワードスーツ。
ゼロミッションにおいて入手した、私の相棒。
それを作り替えようというのか・・・?
とにかく、私は何が書き換えられたのかを調べることにする。
「何・・・」
明らかにおかしい。
胸や股間など、至る所のスーツ感度が異常な値に設定されているではないか。
この状態で該当箇所に攻撃を受けたら、一体どうなるのだろう・・・。
一抹の不安が、私の頭に生まれた。
「だがしかし・・・」
そう、司令官に問う以外に知る術はない。
私は妙な焦燥感に駆られながら、データルームを後にした。
各セクターの出入り口には、必ずナビゲーションルーム――司令官から指示を受ける設備――がある。
私はセクター6のナビゲーションルームにて、この怪奇なデータを報告した。
335 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 20:38 ID:6cGxLtQC
「バリアスーツデータ以外については何の連絡も入っていないが・・・」
「そうなのか?」
「うむ。本部からは特に何もない。」
「では、あのデータはどう説明できる?」
「君が来ることを想定したB.S.L.の職員などいるわけはないだろう。」
「誰もがXなどという生物が潜んでいるとは思わないだろうし・・・」
「ならば、技術者に擬態したXがデータを作成したのではないか?」
「何?」
「憶測にすぎんが・・・、Xが様々な生物に擬態するのは君なら嫌と言うほどわかっているはずだ」
当然である。
一度擬態をといても、奴らはしつこく再び擬態しようとする。
生に対する執念、というものであろうか。
「その時、擬態した生物の記憶や知識なども模倣できるとしたら・・・?」
「!」
「君に害のあるデータを作成することも、また不可能というわけではないということだ。」
「まんまと食わされたと?」
「いや、そうとは言い切れない。あくまで仮説にすぎん。」
「他の要因による可能性は?」
「先ほども言ったが、職員が君が来ることを予測していた場合だな」
「それは無い、と否定したのでは・・・」
「職員が全滅している今では、誰にもわからん。あくまで可能性の話だ。」
336 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 20:45 ID:6cGxLtQC
「・・・」
「とにかく、この件については本部に伝えておこう。何かわかれば、君にも知らせよう」
「了解した」
「さて、次の君の行動だが――」
やはり気になる。
この司令官が嘘をついている可能性もある・・・。
私は、人に指図されるのを好まない。
そのせいか、多少人間不信になっているのであろうか。
アイスミサイルデータをダウンロードし、ナビゲーションルームに戻ろうとしたその時。
突然警報が鳴り響き、警告らしき電子音声が流れた。
「!」
私はただごとでないことを感じ取り、ナビゲーションルームに急いだ。
「セクター3の室温が急上昇している」
「高温エリアか?」
「そうだ。最奥部にあるボイラー装置が何者かによりハッキングされている」
「ハッキングだと? 職員は全滅したはずじゃないのか?」
「ほぼ全滅、と言ったはずだ。職員かもしれないが、あるいは他の原因かもしれん。」
「どうすればいい?」
「セクター3最奥部に急行し、原因を解明せよ。実力排除でも構わん」
「了解した」
司令官とのブリーフィングを終えると、私はセクター3に急いだ。
セクター3。
高温環境を再現した施設。
337 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 20:57 ID:6cGxLtQC
以前来たときより、明らかに室温が上昇している。
最奥部のボイラー装置ハッキングの影響であろう。
私は今までは高温のために入れなかったマグマ地帯に足を踏み入れた。
すぐにバリアスーツが功を奏し、私は難なく進んでいく。
ボイラー室にたどり着くと、そこには機械を操作する職員の姿。
生き残りだろうか。
「おい?」
声を掛けるが、反応がない。
周囲の騒音が大きいために聞こえないのだろうか。
「おい、何をしている?」
声を大きくし、もう一度。
やはり反応はなく、職員はボイラー操作パネルをいじくっている。
明らかに聞こえる距離なのに反応がない。
まさか・・・
私は距離を置き、アームキャノンからビームを放つ。
職員に命中すると、そいつはこちらを初めて向いた。
・・・見た目は人間のようだが・・・。
「!!」
いや。
人間ではなかった。
職員は、Xが擬態していたのだ!
すぐに私は戦闘態勢になると、ミサイルを用意する。
338 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 21:06 ID:6cGxLtQC
このタイプの大型Xは、こちらに向けてビームを放ってくる。
それは確かに私が失ったはずのワイドビーム。
チャージビームを取り戻す際に戦ったXも同じであった。
順当にビームをかわしながら、ミサイルを撃ち込んでいく。
数発食らってしまったが、どうにかなりそうだ。
自分の能力ながら、実に有効な武器だ。
広範囲に放てるため、私も回避がつらい。
何発目になるだろうか、ミサイルを命中させると大型Xはその堅い膜を失い、ふわふわと漂うだけになった。
「はぁ、はぁ・・・」
相当にスーツのエネルギーを消耗してしまった。
私と一体化するため、私も体力を消耗してしまう。
このXを吸収することで、エネルギーも体力も回復するだろう。
私は職員に擬態していたXを吸収した。
「これで・・・」
壁に向けてビームを放つと、それは確かにワイドビームだった。
こうして私はまた一つ、能力を取り戻したのだった。
――ブリーフィングルーム。
「・・・どうやら先ほどの仮説が正しいようだな」
「Xは擬態した生物の記憶、知識をも模倣するというアレか?」
「そうだ。恐らくそれで間違いないだろう。」
「では・・・」
「うむ。君が報告した未詳データは、彼ら・・・Xが作成した可能性が大きい。」
339 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 21:10 ID:6cGxLtQC
「・・・」
「メインデッキでの生命反応も、職員のものではなかった以上、彼らの生存は絶望的だ。」
確かにそうだ。
メインデッキには職員の死体がそこらじゅうに転がっていた。
そして、セクター3の職員に擬態したX。
これらは明らかに、職員の全滅を意味していた。
「本部からの連絡も、まだない。未詳データはこちらで回収したが、依然として解析中だ。」
「どのくらいかかる?」
「わからん。だが、相当にハイレベルな技術者だったようで、かなりの強度の暗号化がかけられているようだ」
「・・・」
「サムス」
「何だ?」
「異変は無いか?」
「・・・今のところ、何もない」
「ならば良い。我々だけでは、何の対応もできん。本部による解析が終わるのを待つしかないな」
「例えばどんな症状が考えられる?」
「戦闘的なもので言えば、君の能力を全て封印したり、スーツの防御力を低下させたりだろうな」
「・・・」
「恐いか?」
「いや。」
「ミッション中だ。確かに恐怖感を感じることもあるだろう。」
「何を馬鹿な。私は生身の状態で惑星ゼーベスから帰還できたんだぞ?」
「そこで伝説のパワードスーツを入手して、な」
そうだ。
パワードスーツを入手できたからこそ、帰還できたのだ。
340 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 21:16 ID:6cGxLtQC
「過去の話はこのくらいにしよう。本部から、パワーボムデータが送られてきた」
「パワーボムか・・・」
「セクター5のデータルームが生き残っている。そこでダウンロードせよ」
「了解した」
私はディスプレイに背を向けると、ブリーフィングルームを後にした。
「・・・まずい」
サムスの去った後、司令官はその電子頭脳を悩ませた。
セクター5のデータルームに、またしても謎のデータが送られているのだ。
「これ以上未詳データをダウンロードして、何も起きない保証はない」
だが、すでにサムスは去ってしまった。
何も起きなければいいのだが・・・。
セクター5。
寒冷地帯を再現したこのセクターは、雪の降り積もるエリアすら存在する。
データルームはその先だ。
ここでもバリアスーツは役立ってくれている。
ブルーXも吸収し、私は前へ前へと進んでいく。
そして、データルーム入り口。
私はただならぬ気配を感じた。
中に、何かいる・・・
「・・・!」
私は油断せずに、アームキャノンを入り口に向ける。
数秒間そうして警戒したが、何も出てこない。
341 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 21:22 ID:6cGxLtQC
ゆっくりとデータルーム入り口のシャッターに近づく。
「・・・行くしかないか」
諦め、私はシャッターを開けて中に足を踏み入れた。
「!?」
そこには、私がいた。
ダウンロードモジュールに収まっている私――そう、SA-X。
「ちぃ!」
今の私では、SA-Xとは戦えない。
なぶり殺されるのが関の山だろう。
私はきびすを返すと、データルームから出ようとした。
「何! 開け、開けよ!!」
だがシャッターはロックされていた。
反対側のシャッターにビームを撃ち込んでみるが、やはり開かない。
「くっ・・・」
絶望的だ。
いくらバリアスーツを持っていても、アイスビームで凍結しないだけ。
甚大なダメージを受けるだろう。
アイスミサイルを撃ち込んでも足止めにしかならない。
ダメージを与える術はないのだ。
なんとか脱出しようと、私が頭を回転させていると、SA-Xはダウンロードモジュールから離れた。
「!!!」
あわててアームキャノンを構える。
しかし、SA-Xはひるまずにこちらを向いた。
「くくく・・・」
「!」
SA-Xが笑った。
342 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 21:28 ID:6cGxLtQC
「何がおかしい!」
「うふふ・・・、マスターの私? もう袋のネズミだ」
SA-Xは、私の声で私にそう言った。
あえて口調を似せているようだが、本物の私とは若干違う。
艶がある、という感じだろうか・・・。
「だからどうした」
あくまで強気に出る。
「本物の私は、ここでXのしもべになる」
「何を!?」
その瞬間、私はアイスミサイルを放つ。
命中し、SA-Xは一瞬凍り付いたが、しかしすぐに元に戻った。
「ふふ、無意味なことは知ってるはず」
「・・・!」
ならば。
私はビームをチャージする。
ワイドビームを取り戻したのだ、もしかしたら何らかのダメージを与えられるかもしれない。
「それも無駄。プラズマとウェーブなくして、本物の私のコピーは倒せない」
「くっ!」
ビームを放った。
SA-Xは回避もせずに、ビームをその身で受け止めた。
だが、よろめきもしない。
何事もなかったかのように、SA-Xはそこに立っていた。
「う・・・あ・・・」
ここで初めて、私に恐怖が生まれた。
装備している武器が何一つ無効なのだ。
343 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 21:37 ID:6cGxLtQC
すなわち、抵抗はおろか、脱出のための時間稼ぎすら不可能。
「恐い? そうよねぇ」
SA-Xはゆっくりと私に歩み寄る。
「く、来るな!」
「あら、ひどい。私のマスターなのに、コピーを否定する気?」
歩み寄るSA-Xとは対照的に、私はゆっくりと後ずさる。
だが、すぐに壁にぶつかってしまった。
「ねぇ。おかしいと思わなかったの? セクター6のデータルームで。」
「!」
私は凍り付く。
司令官が仮説とは言っていたが、まさか本当にXの罠だったとは・・・
「くくく・・・、あのデータルームに残したデータ『PAR-SX.SAF』は、あなたのスーツを改造するためのもの」
「か、改造だと・・・」
そう問うことで、私は策を練る。
わずかでも時間を稼がなければ。
「そう。そして、私がここでダウンロードしたデータ・・・、まぁパワーボムは不要だったけど。
『PAR-SA-X.SAF』は、私があなたに寄生するためのもの」
「馬鹿な・・・、私はXを吸収できる!」
「そうね。でも、このデータをダウンロードしたコピーの私は、あなたに寄生できる」
まずい。
そんなことをされては、このB.S.L.のトラブルシューティングはおろか、私がトラブルメーカーになってしまう。
それだけは避けなければ。
344 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 21:43 ID:6cGxLtQC
気づくと、SA-Xはもう目の前に迫っていた。
「さ、御託は終わり。どういう意味か、教えてあげる」
言うと、SA-Xはぐちゅぐちゅと形状を変えると、全裸の私に姿を変えた。
「う・・・、やめろ! 人の身体を・・・!」
「その『人の身体』も、すぐ私のものになる」
SA-Xはなおも私に近づくと、私に抱きついた。
「は、離れろ!」
私は身体を精一杯振ってSA-Xを引き離そうとするが、全く意味をなさない。
「マスターの私は、戦いしか知らなかった」
「・・・!」
「ゼロミッションの記憶も、子供の時のゼーベスでの記憶もあるわ」
「Xが擬態した生物の記憶や知識を模倣するのは事実だったか!」
「くす・・・、そうよ。」
SA-Xは、パワードスーツを着た私の股間に手を伸ばす。
「でもね。コピーの私は、あなたより多くのことを知っている」
「やめろ!」
「それはね・・・。」
そしてSA-Xの手は、私の股間に触れた。
「うあ!」
「か・い・ら・く」
その声と、股間の感触は私に甚大なダメージを及ぼした。
精神的な、そして肉体的な。
今までに感じたことのない、何かすさまじい感覚。
345 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 21:52 ID:6cGxLtQC
免疫の無い攻撃のために、スーツは多大な量のエネルギーを消費した。
もう10分の1も残っていない。
何という攻撃力だ、SA-Xは・・・。
「ぐ、や、やめろ・・・!」
「あなたが今感じたのは、快感。その快感は、セクター6のデータルームからの土産よ」
「まさか・・・!」
「そう。あの『PAR-SX.SAF』は、あなたのスーツを快楽が貫通できるようにするためのもの」
非常に危険だ。
SA-Xは、さらに強力になったというのか!
私が失った能力を取り戻している間に――
「もう一回やってみようか」
「だ、ダメだ!」
本当にダメだ。
あと1回でも先ほどの攻撃を受ければ、スーツは間違いなく四散してしまうだろう。
エネルギーが切れると・・・、スーツははじけ飛ぶ。
「いくわよ」
「う、ぐ・・・!」
SA-Xの手が私の股間を再度、妖しくなで上げた。
「うあああぁ!!!」
「くすくす、もう終わりね」
私はスーツの警告音も耳にしながら、身体をのけぞらせた。
同時に私の身体全体を防御していたパワードスーツは、見るも無惨に砕け散った。
「あ・・・ああ・・・!」
ここからは、生身でのミッションなのか。
しかし、目の前の敵はゼロミッションとは違い、圧倒的な敵――私自身。
「さ・・・、あなたが知らなかった『快楽』、コピーの私がしっかり教えてあげる」
SA-Xは再び、私に抱きついた。
「そして、あなたの身体をもらって私がマスターになるわ」
SA-Xの宣戦布告が、二人以外誰もいないデータルームに響き渡った。
461 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 02:36:56 ID:KGJM56Ui
「はぁ、はぁ、はぁ、・・・」
私は肩で息をしながら、目の前の敵:SA-Xを凝視していた。
ゼロミッションの際はスペースシップから脱出する時間があったためにハンドガンを持っていたが、
今回はミッションの真っ最中にスーツを失った。
もう今の私に武器はない。
「諦めた方が楽になれるわ。何も考えず、ただ私の与える快楽に従って・・・」
SA-Xが手を伸ばす。
「そして、私に寄生されるの」
「!!!!」
私はSA-Xを自らの手で突き飛ばし、必死で向かい側のシャッターまで走った。
「開け、開けぇぇぇ!!!」
私はSA-Xの言葉により理性を保てなくなったのだ。
両手でシャッターを何度も何度も、力任せに叩きまくる。
だが、開かない。
「無駄よ。私の仲間がシャッターをロックしてるもの」
「うああああ!!」
今度は開閉装置をひたすら殴りつける。
すると。
「!!」
シューッ、という静かな音と同時にシャッターは開いた。
私はすぐさまそこから脱出した。
「予定外だわ・・・、でも」
SA-Xは含みのある笑みを浮かべた。
生身のまま走り続ける私。
462 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 02:41:14 ID:KGJM56Ui
どうにかXの追撃をかわし、私は辛うじてリチャージルーム――補給装置のある部屋
――へと逃げ込んでいた。
ここならXは来ない。
どういうわけか、各セクターに存在するリチャージルームやナビゲーションルーム、セーブルームには
Xは入ってこなかった。
データルームも基本的にはそうなのだが、先ほどのバリアスーツデータをダウンロードしたXもいる。
データルームは安全とは言い切れない。
「・・・」
息を整えると、補給に使用する装置を見る。
今の私には使えない。
これは、パワードスーツに装備されているアームキャノンから補給するためのもの。
生身では使えるわけがないのだ・・・。
「・・・どうしよう」
私はここに来て、再び巨大な恐怖感に襲われた。
身を守る物は本当に何もない。
この広く暗い宇宙のなか、未知の寄生生物「X」に占拠された宇宙研究所に一人。
今回は、生きて帰れないかもしれない。
私は素直に、その考えを受け入れるしかなかった。
「・・・」
だが、ここはリチャージルーム。
隣にはナビゲーションルームがある。
司令官が何か対抗手段を考えついたかもしれない。
私はわずかな希望にかけ、ナビゲーションルームに向かった。
463 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 03:12:29 ID:KGJM56Ui
「・・・」
司令官は無言で私を迎えた。
仕方のないことだ。
唯一の武器であり、防具であったパワードスーツを失った上、
SA-Xを始末できずにここに来たのだ。
何も言われても私から言い返せる言葉は無かった。
「過ぎた事だ。もういい。これからのことを考えるべきだな」
確かにそうだ。
悔いることはいつでもできるが、しかし生き延びることはこの先の策を考えなければできない。
生き延びなければ悔いることはおろか、もはや何もできなくなる。
「スーツを失った以上、もはや君はこのミッションを遂行することは不可能だろう。
幸いスペースシップはまだ無事だ。早急に戻りたまえ」
「・・・了解した」
任務失敗。
屈辱的な熟語が、私の脳裏を埋め尽くしていた。
しかし、この先の策は決まったが、まだ問題はある。
SA-Xの始末もそうだが、メインデッキをどう通過するか。
ドックに行くためにはメインデッキを通る必要があり、デッキはXに占拠されている。
「何か武器になりそうなものはないか?」
司令官が私に言う。
しかし、このナビゲーションルームには火器も鈍器も何もない。
「いや」
「そうか・・・」
464 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 03:17:26 ID:KGJM56Ui
「もし・・・」
私が口を開く。
「もし私がスペースシップに戻れなかったら、どうする?」
「何を・・・」
簡単には動じないこの司令官も、私のこの問いかけには動じたようだ。
「戻れない場合・・・、君がXによって殺されたり、ということか?
その場合は・・・、新たなエージェントを送るか、あるいは・・・」
「あるいは?」
その先の答えは予測できる。
「B.S.L.に核ミサイルを撃ち込み、君もろともXを滅ぼすことになるだろう」
やはり。
この広い宇宙だ。
B.S.L.の宙域にはB.S.L.以外何もない。
だから別に核ミサイルを使用したところで、誰も迷惑しないのだ。
「・・・正しい判断なのだろうな」
私は理解しようとした。
だが、それは不可能なことと私の心は必死に訴えていた。
「・・・では、行け」
私はディスプレイに背を向け、ゆっくりと歩き始めた。
自らの命を左右する、真の意味での「戦闘」をしに――
467 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 21:30:54 ID:KGJM56Ui
セクター5からメインデッキ下部へと上がる。
このメインデッキは、研究所職員達が居住するためのエリアと、
メインデッキ下部から各セクターへと移動する6個のエレベータからなる。
すなわちこのエレベータールームを通らなければ、隠し通路を利用する以外は
各セクターへと移動する方法はないのである。
そしてまた、スペースシップをとめてあるドックへも・・・。
「・・・Xか」
エレベーターの中で、私は頭を抱えた。
あんなゼリー状の、いかにも知能など持ち合わせていなさそうな連中に。
私は、唯一の武器であり防具であるパワードスーツを破壊された。
もうパワードスーツを修復することは不可能だろう。
惑星ゼーベスの失われた鳥人文明の遺産なのだ。
仮に修復できたとしても、その完全なる機能を復旧させることはできないだろう。
「くそっ」
私は誰もいないエレベーターの中で、一人悪態をついた。
悪態をついたところでどうなるわけでもないが、今の私にはそれしかできなかった。
この先のメインデッキには間違いなく相当数のXがいるだろう。
私はそこを突破しなければ、まず生きて帰れない。
やがてエレベーターがメインデッキ下部のエレベータールームに到着し、停止した。
ここはミッション中に何度も行き来している。
このエレベータールームにも、Xは基本的にいない。
幸いにも、今もXは一匹とて存在しなかった
468 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 21:37:53 ID:KGJM56Ui
セクター5行きのエレベータールームから、隣のセクター3行きの、
そしてさらに隣のセクター1行きのエレベータールームまで進む。
もう、今の私には使えない装置なのだ。
防具なくしてこの戦場では生きられない。
妙な名残惜しさを感じ、私はそのエレベーターを振り返る。
そう、セクター1はこのB.S.L.で初めて調査したセクターだった。
「・・・!」
そこで何故か、私の頬を涙が伝った。
私らしくもない。
涙など、あのゼロミッションの時ですら流さなかったというのに。
次に、「死」という冷酷な事象が私に訪れようとしている現実を改めてかみしめた。
恐らく私は感傷に浸っていること、そして「死」を実感したことで涙を流したのだろう。
「戦士に涙は不要な代物!」
私は自分に言い聞かせるように、誰もいないエレベータールームで叫んだ。
それはあたかも自分を勇気づけるかのようだった。
エレベータールーム中央の、メインデッキに上がるエレベーターに乗る。
この先で何があるかはわからない。
命が安全なのはここまでだ。
上にあがった途端に私は擬態したXに攻撃され、殺されるかもしれない。
あるいはXに再び寄生され、内側から死に至らしめられるかもしれない。
だが、行くしかなかった。
この、エレベーターを作動させるボタンを押さなくては何も始まらない。
私はここに再びミッション開始の新鮮さを覚えた。
469 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 21:43:43 ID:KGJM56Ui
ボタンを押す。
エレベーターがゆっくりと上昇を始めた。
「・・・」
メインデッキに到着したが、幸いXその部屋にXはいなかった。
背中には、SA-Xが破壊したとおぼしき壁。
目の前には居住区域へのシャッター。
「む・・・」
私は両手が震えていることに気づいた。
武者震いなのか、あるいは恐怖からくる震えなのか。
私は自分に前者だと思い聞かせ、ゆっくりと右足を踏み出す。
そして、シャッターを開けた。
その瞬間、私は壁に身を隠す。
ゆっくりと頭を出し、通路の様子をうかがう。
だが、何もいない。
当初もこの通路には何もいなかった。
私は全力で、次の部屋へと向かった。
ドックまであと4部屋程度の場所で、私は不審感を抱いた。
以前は転がっていた職員の死体がなくなり、かわりに床は柔らかいカーペットで覆われていた。
「・・・?」
Xの罠だろうか・・・。
しかしこの部屋には身を隠す壁や柱はない。
ここにXが現れたら最後だ。
私は全力疾走で次の部屋に向かうシャッターへと急いだ。
だが。
「!!!」
シャッターが不意に開くと、そこには・・・
「SA-X・・・!」
470 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 21:49:19 ID:KGJM56Ui
パワードスーツの姿となったSA-Xが、私の目の前にただずんでいた。
「くそ・・・っ!」
私はきびすを返し、この部屋に入ってきたシャッターを開けようとした。
しかし、またしても開かない。
「またか! 開け!!」
「無駄よ、私のマスターにしては物わかりが悪いわね」
SA-Xは部屋に入ってきた。
同時にシャッターが閉まると、SA-Xは開閉装置に向かってスーパーミサイルを放つ。
爆音と共に、開閉装置は粉砕された。
「離れて」
「!?」
SA-Xは私が必死に操作している、反対側の開閉装置にそのアームキャノンを向けた。
すると、そのままスーパーミサイルを放つ。
「うわ!!」
とっさに私は横っ飛びし、どうにかミサイルの直撃を免れる。
しかし、開閉装置にスーパーミサイルは直撃し、完全に破壊された。
「さ、これであなたは袋のネズミ。」
「・・・くっ」
私は床に両膝をつく。
ここで私は殺されるんだ・・・。
そう思った。
「殺されると思って?」
「!」
驚いた。
Xには人の考えを読む能力もあるというのか!
「貴様、私の考えを・・・」
「読めるわけないじゃない。でも、あなたに寄生した私だから。
なんとなくあなたの考えることはわかるわ。マスターだし」
そうか。
私に寄生し、その脳構造や記憶、感情も模倣するのなら私の考えを予測することも・・・。
471 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 21:56:01 ID:KGJM56Ui
「言っておくけれど、殺さないわ」
「何だと・・・?」
今まであれだけ必死になり、セクター3のボイラー室をハッキングしてまで
私を殺そうとしていたのだ。
(著者注:セクター3は温度が異常上昇すると耐えられなくなり、爆発します)
それを今更、殺さないとは・・・。
「何のつもりだ? さんざん私をB.S.L.から排除するために動いていた貴様が・・・」
「まぁ、殺すなら殺すでそれもいいんだけど」
何を考えている・・・?
「でも、せっかくマスターがいるんだから。他のXに寄生させて、
あなたのコピーを大量に作るわ。」
「!?」
まさか。
仮にこれが現実のものとなると、ベストコンディションの私:サムスが無数に生まれる。
それも、「X」の私が・・・。
その先どうするかをSA-Xに問いつめる必要などない。
さすがの私でも、その位は理解できる。
そう、あらゆる星や宇宙施設に侵略し、人間や他の生物を排除するつもりだろう。
そして、ベストコンディションの私の能力を持ってすれば不可能ではない。
「なんということだ・・・」
「クスクス、あなたの作戦ミスね。いや、正確にはあなたではない。
あなたに今回指令を出している人間のミスとも言えるわね」
「!」
そこまで読まれていたか。
Xに寄生され、自前のスペースシップを失った私は、新たなスペースシップと引き替えに
銀河連邦の司令官の指示に従って今回のミッションを遂行することになっている。
472 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 22:08:52 ID:KGJM56Ui
「可哀想なマスター・・・。」
「馬鹿に・・・するな・・・!」
哀れむSA-Xに、私は沸々と怒りがこみ上げてきた。
「あぁん、怒らないで。ねぇ、殺さないから。代わりにあなたの身体をちょうだい?」
「何を!」
「まぁ聞いて。取引しようって言っているのよ。私たち・・・、人間はXって呼んでるの?
Xはマスター、あなたを殺さないわ。望むものは何でも与えるし、何でもする。
その代わり、大量のXが寄生してあなたをコピーする。
いい条件よ? 生命エネルギーは私たちXが与えるから不老不死。
おまけに寄生するときの快楽まで味わえるわけで――」
「黙れ! 私がそんな取引に応じるとでも思っているのか!」
「思うわね」
「!」
断言したSA-X相手に、私は言葉を断つ。
「セクター5で、あれだけ感じていたんだもの。マスターは快楽を知らない。
そして快楽に弱い。まぁ、パワードスーツを改造したってのもあるんだけれど」
「・・・」
「それから、パワードスーツはバイオ素材。さっきマスターがダウンロードした、
Xが寄生できるようにするモジュールはマスターの生身にも影響してるわ。
もちろん、神経の反応指数もね。」
「馬鹿な・・・」
つまりは、私はすでに娼婦のような身体となってしまったということだろうか。
確かにあのデータは、股間や胸など、敏感な部分の数値を書き換えていた。
「さ、どうするの? 応じるの、応じないの?」
「ぐ・・・」
SA-Xは冷たい声で言うと、私にアームキャノンを向けた。
否、と答えればその瞬間に私は死ぬだろう。
もちろん目の前のアームキャノンによってだ。
「・・・、そんなことを聞いて・・・、どうせ・・・」
473 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 22:27:47 ID:KGJM56Ui
私はあきらめかけていた。
しかし、まだ脱出する可能性はあるかもしれない。
ここはSA-Xに従うふりをしてみよう・・・。
「どうせ、選択肢は一つしかないんだろう?」
「わかってるじゃない」
SA-Xはパワードスーツ形態から、人間形状へと変わった。
そしてパチン、と指を鳴らす。
すると。
「!?」
無数のピンク色のXが壁を通過し、SA-Xの周囲を取り巻いたではないか。
「あら、驚いた? 私たちはゲル状だから、壁貫通くらいわけもないわ」
確かにそうだ。
そうでなければ、他の生物の身体にとけ込むようにして寄生などできるわけがない。
「この子たちはあなた専用に進化したX。たっぷりとよがり狂ってね」
その言葉と同時に、ピンク色のXは私に張り付いてきた。
「うわ!」
奇っ怪な感触に、私は思わず悲鳴を上げた。
「あ、びっくりした? 悪かったわ」
などと言いながら、SA-Xは近寄ってきた。
ゲル状のXが身体をはい回ると、得も言われぬ感触が私を支配する。
「うひ・・・」
妙な声を上げてしまった。
SA-Xは馬鹿にするだろうか。
「そんなに気持ちいい?」
気持ちいい?
これが、性の快楽による「気持ちいい」ということなのか。
戦いしか知らない私は、この快感と初めて出会った。
・・・好きになれそうだ。
474 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 22:35:45 ID:KGJM56Ui
「!」
いけない。
早くも虜になってしまうところだった。
快楽ごとき、この広い宇宙ではどこでも手に入るだろう。
私はそう思うことで、気を持ち直す。
気づくと、SA-Xは目の前に迫っていた。
「さ、気持ちよくなってね」
SA-Xは私を押し倒した。
このために床を柔らかくしたのか・・・。
私は今更気がついた。
「この床も、全部Xで作ったのよ?」
「何・・・」
こんなところにもXがいたと言うのか。
すでにXは手に負えない程に増殖してしまったようだ。
SA-Xは私の衣服――といっても、パワードスーツのアンダーウェアのみだが、
少ない衣服を脱がせていく。
「もう、面倒ね」
言うとSA-Xはアンダーウェアに手を同化させた。
「!?」
アンダーウェアが独りでに動く。
その奇妙な感触に思わずのけぞった。
次の瞬間、アンダーウェアははじけ飛んだ。
「さ、これで準備万端ね」
これではスペースシップに戻ったとしても、司令官に顔向けできないではないか。
いや、戻れるかすらわからないのだった。
「・・・」
早くも思考が混乱し始めているようだ。
475 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 23:19:03 ID:KGJM56Ui
「行くわよ」
SA-Xが両手を伸ばした。
「う・・・」
思わず私は身構える。
どうすることもできないと言うのに。
怖かった。
私は目をつぶる。
「ふふ・・・」
やがてSA-Xが私の胸を触る感触を得た。
そして、股間にも・・・
「ふあっ・・・」
だらしない声をあげた。
しかし、この感触・・・、気持ちいいというのか?
その「気持ちいい」という感触が、私を支配していく――
「無理しないで。私達に身体をささげる代償なんだから・・・」
そうだ、これは代償。
好きなだけ・・・
いや、ダメだ。
この誘惑に乗っては・・・!
「はぁ、はぁ、はぁ、」
どうしたことか、息が荒くなった。
「効いてきた?」
何だ・・・?
まさか、さっきから私にまとわりついているピンクのXが影響しているのか。
「なん、だ・・・」
苦し紛れに私は問う。
476 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 23:30:43 ID:KGJM56Ui
「その子達の力よ」
「う・・・?」
やはりピンク色のXによるものだったか。
「その子達はマスターの神経を刺激してるの。
マスターは気づかないかもしれないけど、人間の女が感じる微弱な快楽電波を出してるの」
私は股間に液体を感じた。
これは何だ・・・?
「ほら、ぬれてきた。研究所の職員の記憶によると・・・、『愛液』というみたいね。
人間の女が性的に感じている時に分泌されるみたい。」
そんなものが人間には備わっていたのか・・・。
「そ・・・んなもの・・・」
「うふふ、どうして人間のマスターよりXの私の方が詳しいのかしらね。
そりゃもちろん、他の人間に寄生して知識を奪ったからよ」
もはや自明となっている問いの答えを、SA-Xは我が物顔で言う。
「さ、もっと濡らしてね。すぐに理性なんか吹き飛ばしてあげる」
SA-Xはぐちゅぐちゅと形状を変え、腕を二本増やした。
「うぁ・・・!」
二本の手で私の乳房を、一本で身体を支えて残りの一本で股間をいじくっている。
いつしかSA-Xの周りには、黄色や赤など様々な毒々しい色のXが集まり、浮遊していた。
SA-Xの動きも徐々に激しくなっていく。
「ほら、ほら、どう? どうなの??」
「はぁ、ああぁ・・・、ひぃう!」
答えられず、ひたすら嬌声をあげる。
「ひ、気持ち、いい?、気持ちいぃ・・・」
『気持ちいい』という言葉の性的な意味を完全には理解していないためか、
私の口から漏れる言葉は疑問形だった。
「うふふ、ほぅらこんなに濡れてる。戦士でも、本当は女ってことね」
「いぃ、気持ち、いぃ・・・」
同じ言葉を発し続ける私の口。
477 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 23:45:25 ID:KGJM56Ui
「ふふ、確かある程度濡れていてば大丈夫なのよね」
SA-Xは一人で呟く。
すると浮遊していたXが、SA-Xの股間に集まりぐちょぐちょと融合し始めた。
「あはぁぁん・・・」
SA-Xに快楽を感じる神経があるのかわからないが、快楽の声を上げたようだ。
もう、今の私には抵抗するだけの気力も理性も残っていなかった。
「はふぅ、いぃ・・・」
「うふふふ・・・」
私を支える手を離し、SA-Xは自らの股間に集まったXをこねている。
だが私にそれを見てどうこうすることはできなかった。
粘液質の音が部屋に響くと、そこには・・・
「あふ・・・、できたわぁ。どう?」
SA-Xは自らの股間で作ったものを私に見せた。
「あ・・・!」
それはマーブルカラーの男性器。
まさに数種のXによって作られたことを意味していた。
「欲しい? ・・・って言ってもわかんないか」
SA-Xはつまらなさそうに私を見据えていた。
でも、私には男性器が何をするためのものかぐらいわかっていた。
一つは排泄。
もう一つは・・・、おそらくこれから私がされようとしている行為だろう。
「ひぅう!」
見るとSA-Xは、私の股間・・・、秘所という言い方の方がよいだろうか。
その秘所に、作成した男性器をこすりつけていた。
「あは、こんなに感じちゃって・・・」
失笑気味にそんなことを言った。
478 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/11 00:04:59 ID:sUVKZU0g
「ひぃん! あふ、ああぁん!!」
何度もそれを繰り返し、私も何度も悲鳴を上げる。
もちろん、快楽の悲鳴だ。
毎度毎度、私には強烈な「快感」がフィードバックされている。
「すごい感じ方ね。初な人間ってこんななのね」
人間から奪った記憶にその情報はなかったらしく、SA-Xは感心している。
「さて、そろそろ・・・、入れるわ」
『入れる』
その言葉に、私はひどい魅力を感じた。
『入れる』『入れる』『入れる』・・・
「ああああああぁぁぁぁぁ!!!!」
全身の神経が焼き切れそうな程の『気持ちよさ』と共に、私は大声で叫んだ。
「あああああ!! いぃ、いいいいいいぃぃいぃぃ!!!!」
「あはははは、おもしろいわぁ! 戦士ってこんなに乱れるものなのね!」
そう、SA-Xの股間に作られたモノが、私の秘所に侵入していたのだ。
ピンクXにより高められた性的な神経が、その刺激を3倍にも10倍にもしていた。
「ひぃぃいい、きもひ、いいぃいいい・・・」
言葉にならない声を発し、私はよがり狂う。
「これで、動くのね」
SA-Xは腰を前後させ始めた。
「いいぃ!!! うご、うっごおご!!!」
「ほらほら、もっとよぉ!!」
SA-Xは一気に動きを激しくした。
479 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/11 00:16:12 ID:sUVKZU0g
同時に浮遊していたXが、私の身体に密着してくる。
瞬く間に私はゲル状物質に覆われている妖女のようになってしまった。
グチュ! ビジュ!
もともとゲル状であるSA-Xも、少しずつ形状を崩し始めていた。
快楽のためか、それとも私に寄生するためか・・・
「そろそろいいわね。うふふ・・・」
妖しい笑みを浮かべながらSA-Xは一人言う。
「ああぁ、ああああ! いぃの、いいのぉあぁぁぁ!」
「さぁ、あなたがさんざん吸収したXをたっぷり味わってね! ああああぁん!!」
SA-Xの嬌声と共に、私の胎内に大量の何かが注がれていく。
暖かいそれは間違いなくXだろう。
SA-Xはゲル状の姿に戻ると、私の身体を一気に包み込む。
「・・・! ・・・・・・!!!!!」
秘所から、口からアナルから。
様々な部位から、X達は私の身体に寄生していった・・・。
「う・・・」
目を覚ました私。
「あっ・・・」
そこで私は、『終わった』ことに気づいた。
もうこの身体は私:サムス=アランの物ではなく、Xの物であることに。
両手を見つめても、変化はない。
だが・・・
「・・・」
両手から、液体がわき出す。
それはまごうことなくX。
「ふふ・・・」
自然と笑みが浮かんだ。
480 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/11 00:19:06 ID:sUVKZU0g
その瞬間、すべてが切り替わる。
「私はX」
そう、私はXなのだ。
この身体、全身はXの物。
自らXを生み出すこともできる・・・。
マザーXとでも言えようか。
「うふふ、あはは、あははははははは!」
狂ったように笑う。
快楽はいいものだ。
Xが教えてくれた。
そして、Xは私にとって主人だ。
排除しようとしていた私が信じられない。
これからはXのために、Xのためだけに生きよう。
私は誓った。
646 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :05/01/01 10:50:26 ID:CFB8eLAs
あの時、私を助けてくれたのがサムスお姉ちゃんだった。
辺境の惑星で発生した、銀河連邦に対する蜂起。
ようは反乱っていうことらしいけど・・・。
私は反乱を計画した人たちに捕らえられていた。
なんでも、私の血には失われた種族のものが流れているとかで、
犯人グループは私を研究したがっていたみたい。
冷たくて薄暗い牢屋に閉じこめられて、時々血液を抜かれたの。
時には変なスキャン装置みたいなのをかけられたこともあったっけ。
2,3回くらいならまだしも、何度も何度も繰り返されるその作業に
私は耐えられなくなっていた。
たぶん、お姉ちゃんが来るのがあと1日でも遅かったら、私は壊れていたかも。
そのくらい、限界まで来ていた。
「・・・」
私はいつものように、肩をふるわせて牢屋の真ん中で座っていた。
(きっと、ここから一生出られないんだろうな・・・。)
そんな思いも、毎日しているうちに慣れちゃった。
この薄暗くて冷たい、誰も来ない牢屋で私は一生――
「・・・!」
私は涙を流しているのに気づいた。
床にこぼれた雫を見て、初めて認知したみたい。
「あぁ・・・」
(自分が泣いているのもわからないくらい、私はおかしくなっちゃったのかな・・・。)
647 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :05/01/01 10:59:33 ID:CFB8eLAs
もう嫌だった。
白衣の人が来ると、それは採血の合図。
それが何人か来ると、それはスキャン装置にかけられる合図。
一応、1日3回の食事は出たけれど、粗末なものだった。
意地をはって食べないと、マシンガン持った人が来て脅すの。
体調が悪くて食べられないなら、白衣の人が来てクスリを飲ませるの。
そう、私はまさに「飼われて」いたの。
野蛮な蜂起集団に。
何となく、目を上げる。
私の眼球が脳裏に写すのは、目の前にある白い壁と牢屋の鉄棒。
「・・・」
見慣れた、それでいて無感傷な映像に私は何も感じない。
「!」
(足・・・音・・・)
私の耳は、確かにその音をとらえていた。
きっとまた、採血・・・。
私は元のように首を垂れ、じっとすることにした。
近づく足音。
何もできない自分。
(いつ・・・、私は楽になれるのかな・・・)
「楽」という言葉。
それは、今の私にとっては「死」という、何よりも甘い、甘い響きを持つ言葉を指すものだった。
648 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :05/01/01 11:10:58 ID:CFB8eLAs
「立てるか?」
「・・・?」
どうやら足音の主はすでに牢の鍵を開けたらしく、私に声をかけてきた。
でも、聞き慣れた白衣の人の無機質な声じゃなかった。
女の声――
(ぇ・・・)
私はゆっくりと、顔を上げてみる。
そこには紫色のごつごつした服を着た人がいた。
私に手をさしのべている。
「・・・、だ・・・・・・れ・・・?」
私はしばらく使わなかった「言葉」を、いま自分の意思表示のために精一杯絞り出した。
「私はサムス=アラン。この蜂起集団を壊滅しに来た。」
そして、その人はこう付け加えた。
「ルナ=ナイトメア」
「!」
嫌な・・・名前。
自分の名前。
「悪夢」っていう名前。
私は首を振った。
「・・・逃げないのか?」
「に・・・げ・・・る?」
「そうだ。私は上の階の研究室で、あなたの情報を手に入れた。
ひどい扱いを受けていたようだな。」
649 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :05/01/01 11:21:36 ID:CFB8eLAs
「・・・ぁ・・・ぅ・・・」
答える言葉が見つからない――、いや、見つかっても口に出せない。
「私がこの星を脱出すれば、その後このあたり一帯は宇宙から爆撃される。
この地下牢も、間違いなく粉砕されるだろうな。あなたは間違いなく死ぬ。」
「死・・・」
はぁ、と私は感嘆のため息をつく。
(死、死、死、死、死ぬ、死、死ぬ、死ぬは、楽、楽は、死、・・・)
サムスさんの言葉は、私の頭深くに響き渡り、そしてその単語は無限の連鎖となって私を汚染した。
「死、ぬ、は・・・、ら、く。死ぬ、死、ら、く、死、・・・」
「・・・」
口に出してそう言っていたみたいで、サムスさんが眉をひそめたみたいなのは何となくわかった。
#作者注:サムスのスーツは頭部も完全に覆い尽くし、目の部分にバイザーがあるだけ。
#その表情を見ることは、通常ゲーム時にはほぼない。
気づくと、サムスさんは牢から出て横を向いていた。
「死、死、死、・・・」
壊れたカセットデッキのように繰り返す私。
その間、サムスさんはなにやら手からビームを放っていた。
数分すると、サムスさんはまた牢に戻ってきた。
「敵だ。どうやらここに私がいることを感づかれたらしい。」
この人、蜂起集団を全滅しに来たんだよね。
じゃあ、武器を持っている。
ということは、人を殺せる。
殺せる――、私のことも殺せる。
殺せる・・・、殺されるということは、死ぬ。
死。死。死。
「あ・・・ぁ・・・」
「何か言いたいのか?」
650 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :05/01/01 11:30:23 ID:CFB8eLAs
出ない言葉を必死に出す。
「こ・・・、こ・・・、」
「・・・?」
私はサムスさんの右手を私の胸に当てて・・・
「こ、・・・ろ、し・・・、て・・・」
「!!」
サムスさんは私を振り払って立ち上がった。
「何を言う。死んでどうするんだ?」
どうもこうもないよ。
(死ねば、楽・・・)
その思いを言葉にしようとした時。
私の周囲は、透明な何かで覆われていた。
「・・・?」
私は無関心にそれを見つめた。
「私のスペースシップに送る。今のあなたは自力で歩けないだろうし、
歩けたところで敵に狙われるのが関の山。」
「や・・・だ・・・」
「殺せというのか?」
私はゆっくりうなずく。
「できない相談だ。蜂起犯ならまだしも、被害者を殺すことはできない。
依頼主の銀河連邦もそう言っている。あきらめろ」
サムスさんがそう言うと、私を取り込んだ透明な球体が移動し始めた。
「行くぞ」
サムスさんが向こうを向くのを見た瞬間、私は意識を失った。
目を覚ました時、最初に見えたのはグレーの天井だった。
651 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :05/01/01 11:37:26 ID:CFB8eLAs
目がかすんでいるのか、よく見えない。
「・・・が・・・で、・・・」
誰かが話しているみたい・・・。
でも、よく聞き取れない。
なんとなく、ここが牢屋じゃないことはわかった。
あと、私が生きているということもわかった。
死にたいのに・・・。
「まだクスリが効いているはずよ。眠っていなさい」
白衣を着た眼鏡の人が、私をのぞき込んでそう言った。
「・・・」
私は、言われるまま・・・
眠りに落ちていった。
734 名前:FBX@Code-MF ◆LURUsAQvXg :05/03/07 23:18:05 ID:6xnZrZlD
あれから数ヶ月して、私はやっとまともに言葉を話したりサムスさんと接することができるようになった。
メディカルチームっていう人たちによると、私の体は薬で汚染されてたらしい。
でも私の種族の特性のおかげで、後遺症も残らずに全部抜けたんだってさ。
「ルナ」
「なに?」
サムスお姉ちゃんが来た。
・・・パワードスーツで。
「またお仕事?」
「ああ。今度は厄介かもしれない」
私にはお姉ちゃんの仕事がよくわからなかったけど、
何か大事なもののために戦っているんじゃないのはわかった。
多分、お姉ちゃんは・・・いつかきっと死ぬ。
戦う理由が大きくて、それが守るべきものじゃなければ・・・。
私はなんとなく、それを知っていた。
「以前私が宇宙海賊から解放した惑星の調査らしい」
「SRなんとかっていうあそこ?」
「そうだ。メトロイドと私が初めて出会った惑星」
「ねぇ、私も――」
「ダメだ」
「・・・」
しょんぼりする私を横目に、お姉ちゃんは言った。
「ルナは戦うべきではない。君は被害者なんだ」
私が拉致されていた施設のことを言っているんだ。
735 名前:FBX@Code-MF ◆LURUsAQvXg :05/03/07 23:27:56 ID:6xnZrZlD
「・・・同時に加害者にもなり得る私の言える台詞ではないか・・・」
「そんなことないよ」
確かにパワードスーツの力でお姉ちゃんは戦ってる。
依頼されて、という立場だけに恐れているのかもしれない。
「・・・それじゃあ行ってくる」
「帰りは遅くなるの?」
「できるだけ早く帰ってくるさ」
微笑むと、お姉ちゃんはパワードスーツの頭部を装着して退出した。
「・・・」
私はどうも悪い予感がした。
お姉ちゃんに助けられてから、しばらく幸せだったから・・・。
そう、不安だったんだ。
――そしてその予感は当たってしまった。
お姉ちゃんが未知の生物に寄生されて、さらにスペースシップごと撃沈したというのだ。
私はすぐに駆けつけたが、もちろん面会など許されなかった。
スーツを着てサングラスをした男の人がいた。
「サムス=アランは今、非常に危険な状態だ」
「え・・・」
事故のしらせだけでもショックだったのに、そんな話・・・。
「未知の生物に襲われ、その影響で意識を失った。
その結果、スペースシップを操縦中だった彼女は小惑星群に突入し、
そのまま小惑星の一つに激突したのだ」
「う・・・そ・・・」
「残念だが、本当のことだ。現在緊急手術中だ」
私の足は震えていた。
736 名前:FBX@Code-MF ◆LURUsAQvXg :05/03/07 23:36:33 ID:6xnZrZlD
「まぁ・・・、手術の様子を見ることはできるが・・・。
君には刺激が強すぎるだろう。すすめられん」
「・・・結構です」
私はそこに用意されている椅子に腰を下ろした。
「サムスは君の命の恩人だけに辛いだろうが・・・」
このスーツの人が私に気を遣ってくれているのがわかる。
確かに恩人なのかもしれない。
私の心をここまで正常に戻してくれたんだから。
「今は回復を信じて、待つしか無い」
「・・・はい」
そして、しばらく沈黙が流れる。
初めて会うスーツの人は、ずっとそこに立ったまま。
「何か飲み物でも買ってこよう」
そう言い残し、部屋から出て行った。
「お姉ちゃん・・・」
数ヶ月の間で、サムスさんは私の家族になっていたんだ。
私はそう認識した。
スーツの人が戻ってきた。
手には二本のパック。
「君が好きなのは惑星SSD-223産のイートドリンクと聞いたよ」
イートっていうのは、植物の一種。
SSD-223は温暖な気候なので、年中この作物が収穫できる。
「・・・ありがとうございます」
受け取り、開封する。
737 名前:FBX@Code-MF ◆LURUsAQvXg :05/03/07 23:42:23 ID:6xnZrZlD
この人は人間的・・・って言うのかな?
私は地球の人間じゃないからよくわからないけれど・・・。
私の治療をしてくれたメディカルチームは人間っていう種族らしい。
彼らの医学は宇宙においても高レベルなんだって。
お姉ちゃんが・・・言ってた。
「・・・」
私はまた涙を流していることに気づいた。
「辛いだろうな」
「はい・・・」
「私も似たような境遇に陥ったことがある」
スーツの人は何か語り始めた。
「君とは違って、本物の家族だった。血のつながりのある・・・、
と言えばわかりやすいかな。私の兄は銀河連邦所属のエージェントだった」
『だった』という語尾に、私は少し違和感を覚えた。
「じゃあ・・・」
「死んださ。確か・・・、リドリーと言ったかな。そんな奴と戦って、
そして全滅したとか・・・聞いたよ」
リドリー・・・。
サムスお姉ちゃんも一人で戦ったことのある、大きな竜型の怪物だ。
「リドリーという奴は、宇宙海賊の幹部らしくてね。兄はそいつを
殲滅して、海賊そのものに打撃を与えるつもりだったらしい」
「・・・」
私は何も言えなかった。
そのリドリーを、お姉ちゃんが倒しただなんて・・・、言ったらショックだろうから。
738 名前:FBX@Code-MF ◆LURUsAQvXg :05/03/07 23:54:02 ID:6xnZrZlD
「その後に君が姉と慕う彼女・・・、サムス=アランが単身で突入した。
結果は成功。見事にリドリーもろとも惑星ゼーベスを破壊したそうだよ」
「知ってたんですか・・・」
「そりゃな。銀河連邦のエージェントなら誰でも知ってるさ。
君の恩人は銀河連邦の恩人でも・・・、いや有名人かな」
そして少し沈黙があって・・・。
「彼女の報告書を読んだよ。私の兄らしき死体も発見したってね。
エージェントの中でも戦闘チームはパワードスーツ着用の許可があるからね。
そのシリアルナンバーでわかるのさ」
「そうですか・・・」
そこで小さな電子音が鳴り響いた。
「?」
「おっと・・・、私だ」
スーツの人は私に背中を向け、何かぼそぼそと話し始めた。
エージェントらしく、通信機を携帯してるみたいだ。
「・・・」
(この人の方が辛いのかな・・・)
この人のお兄さんは死んだんだ。
私みたいに、手術してどうこうするレベルじゃなかった。
(私の方がまだ楽なのかな)
そんなことを考えていると、スーツの人はこっちを向き直っていた。
「ルナ君。サムスの手術が終了したそうだ」
「!」
立ち上がり、部屋から飛び出そうとする私を制したスーツの人。
「待ちたまえ。サムスは現在ICUにいるそうだ」
「でも」
「ダメだ。いずれにせよ面会謝絶だ。それにICUの様子だってひどいものらしい」
「・・・」
私は再びうつむく。
739 名前:FBX@Code-MF ◆LURUsAQvXg :05/03/08 00:03:29 ID:pbkE/CIH
「ひとまず今日は面会は許されないようだ。君も一度ホームに帰るといい」
ホームとは、私たちが生活するエリアのこと。
ホームルームやホームエリアという呼び方が本来らしいけれど、
それだと長いし学校の授業みたいだっていうことでホームとだけ呼ばれてる。
「はい」
「上から私も同行するよう言われている」
「え?」
どういうことだろう。
私を今更監視しても・・・。
「上からの取り計らいらしい。君の恩人がこの状態だ。
いつも一緒に生活しているだけに不安があるだろう。代わりにはならないが・・・」
「・・・」
お姉ちゃんが銀河連邦の仕事を請け負っている間、私は銀河連邦の設備で生活する。
もちろんお姉ちゃんが帰ってきたら、別な場所に移動するけれども。
とにかく、銀河連邦は事件の被害者や犠牲者には手厚い。
戦士やエージェントにはあまり良い待遇は与えられないのに・・・。
「・・・わかりました」
断るのも悪いし、この人は色々と気遣ってくれている。
私はその好意を受け入れることにした。
数日後、私の目の前に変わり果てたお姉ちゃんがいた。
「ルナ・・・」
「お姉ちゃん!」
未知の生物に寄生されて、仕方なしにスーツをあちこち切り取ったそうだ。
948 名前:FBX@Code-MF ◆LURUsAQvXg :2005/05/10(火) 00:36:17 ID:NGdTU0My
「良かった・・・、生きて・・・」
私はお姉ちゃんの身体に抱きついた。
パワードスーツのごつごつした手で、私をなでてくれる。
「サムス」
「・・・わかっている」
お姉ちゃんの後ろには、黒スーツとサングラスの人。
この間のエージェントとは違う人みたい・・・
「ルナ」
「なに?」
「私は・・・」
とても言いづらそうなお姉ちゃん。
なんとなく、言いたいことが伝わってくる。
「私に寄生した生物、Xについて調査・滅殺を依頼されている」
「!」
「スペースシップも失ってしまった今、この依頼を受けるしかないんだ・・・」
「で、でも!」
「危険は承知だ。そして・・・、今の私は本来の力を発揮できない。
Xについて調査すれば、取り戻す手段もわかるかもしれない。」
「・・・」
「わかるか? 本来の力が無ければ、君を守ることも難しくなるんだ」
「うん・・・」
結局、今回もお姉ちゃんを見送ることしかできなさそう。
「けれど、一つ安心して欲しいことがある。私は二度とXに寄生されない身体になった」
「え、X?」
「私に寄生した未知の生物のことだ。メディカルチームはXと呼んでいる。」
「じゃあ・・・?」
「確かに本来の力は失ったが、逆にXの脅威も若干緩和できたということだ」
949 名前:FBX@Code-MF ◆LURUsAQvXg :2005/05/10(火) 00:41:37 ID:NGdTU0My
「ルナ君」
お姉ちゃんの後ろのスーツが話しかけてきた。
「?」
「我々としても、サムスの能力が失われたのは遺憾なことだ。
しかし、Xという生物を駆逐しないことには宇宙に生きる生命全てが危険にさらされるのだ」
その人は、Xというのがどういう生物なのか・・・
どう危険で、その天敵など色々と教えてくれた。
「・・・というわけだ」
「・・・」
確かに恐ろしい生物だと思った。
他の生命体に寄生して、体内で増殖。
宿主を殺し、自らは奪取した遺伝子データでその生物に擬態する。
そしてその天敵である生命体は、かつてお姉ちゃんが深く関わったあのメトロイド。
もう絶滅しちゃったけれど、その遺伝子が保存されていたためにお姉ちゃんは助かった。
メトロイドの遺伝子からワクチンを作ったんだって。
「なかなか理解しがたいかもしれないが、しかしこれが現実なんだ」
「ルナ。私は必ず生きて帰ってくる。」
「お姉ちゃん・・・」
「今回もちゃんと帰ってきたじゃないか。心配することはない」
「・・・うん・・・」
私を安心させようと、そんな言葉をかけてくれる。
でも・・・、なんとなく私には分かっていた。
今度も、またよからぬことが起きることが・・・。
950 名前:FBX@Code-MF ◆LURUsAQvXg :2005/05/10(火) 00:51:53 ID:NGdTU0My
数日後、お姉ちゃんはスペースシップで旅立っていった。
私を元気づけてくれたエージェントの人は、よく私のところに来てくれる。
今のお姉ちゃんの状況なんかも時々教えてくれたりする。
お姉ちゃんが、「銀河連邦は被害者に手厚い」って言っていたけれど、
こういうことなのかな・・・?
「最近は勉強熱心なんだそうじゃないか」
「え? ああ、はい」
戦う力は無いけれど、お姉ちゃんが使えるような装備を作ったり
パワードスーツを改良できたらいいな、と思ったのがきっかけだった。
私は今、遺伝子や生命、はたまたエネルギーについても学んでいた。
「お姉ちゃんをサポートできれば、って思ったんです」
「そうか・・・。」
エージェントの人は、遠い目をする。
「私も最初は兄のサポートができれば、と思っていた。
そしてそれはどうにか実現できたんだ。兄の装備開発担当としてね」
「へぇ・・・」
「あの・・・、リドリーを叩こうとした際にも私の装備を持って行ってくれた。
しかし、兄はそれを使っても生きて帰ることはできなかったんだ・・・」
「・・・」
何かまずいことを話題にしちゃったかも。
「いや、気にしないでくれ。独り言さ。」
「でも・・・」
「いいんだ。兄は確かに志し半ばで力尽きたが、サムスがそれを達成してくれたんだ。
私はそれで満足なんだ。君も・・・、サムスをしっかりサポートしてやれるように
今から頑張るといい」
「はい。」
951 名前:FBX@Code-MF ◆LURUsAQvXg :2005/05/10(火) 00:58:32 ID:NGdTU0My
やっぱりこのエージェントの人は、いい人なんだろうな。
連邦から命令されて来てるんだろうけれど、ここまで私のことを気遣ってくれるなんて。
「ところで・・・」
「?」
「サムスから少し聞いていたんだが、君には特殊な能力があるそうだね。」
「・・・ええ」
あまり気乗りしない話題。
「いや、気分を害したなら謝るよ。だが、その能力について少し知りたくないか?」
「というと?」
「君自身がどんな力なのかを自覚してるのならいいんだが、そうでないならだ」
「・・・」
少し考える。
確かに、私には未知の能力があるらしい。
それが原因で拉致されて、あのどこかの惑星の設備に監禁されていた。
「もちろん知りたくないならそれでもいい。そこは君の自由だよ」
その「特殊な能力」でお姉ちゃんのサポートができればいいなぁ・・・。
「どんな力なんですか?」
「知っておくか。それも君の選択肢なんだから、いいだろう。」
エージェントの人は少し間をおいた。
「予知能力だ」
「え?」
「予知。君の種族には、未来を予知する力があるのさ」
「予知・・・」
「そう。どのくらい先のことなのか、それが正確なのかどうかは不明だがな」
「・・・」
「あまり気分の良い話題ではなかったかな? 悪かった。
今日はもう退散するとしよう。」
「・・・はい」
私はその人を見送った。
「・・・どうしよう」
952 名前:FBX@Code-MF ◆LURUsAQvXg :2005/05/10(火) 01:04:09 ID:NGdTU0My
予知能力。
サムスお姉ちゃんがXに寄生されちゃう前に感じた、あの嫌な予感。
そして今回お姉ちゃんが旅立つ時に感じた、嫌な感じ。
どうやら・・・、私に予知能力があるのは本当らしい。
本当にわずかみたいだけれど。
少なからずとも予知能力があるとするなら、今回お姉ちゃんは・・・!
「・・・」
私は窓から風景を見る。
風景――、風景とは言っても何もない宇宙空間。
ここは銀河連邦の宇宙ステーションなのだから。
そこに、一筋の赤い光が見えた。
「?」
あれは・・・
「あ・・・」
あの特徴的な形は、お姉ちゃんのスペースシップ!
良かった、ちゃんと帰ってきた・・・。
私は部屋を飛び出し、ドッグの方へ走り出した。
・・・そう、お姉ちゃんに身に起きたことを何も知らずに・・・。
292 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/09 21:10 ID:ARMilWxl
Code:MF
設定資料・装備について
Xとは?
謎の寄生生命体。
他の生物の中に寄生し、増殖して宿主を殺す。
そしてXは、その生物に擬態することができる。
擬態している際は、サムスによって吸収されることはない。
吸収することで黄色のXはエネルギーを、緑のXはミサイルやパワーボムを、
赤いXは両方を補充することができる。
なお、中には特殊なXが存在し、これらは失われたサムスの特殊能力を持っている。
サムスはこの特殊なXを吸収することで、能力を取り戻してゆく。
SA-Xについて
切り取られたサムスのスーツに潜んでいたXが増殖し、サムスに擬態したもの。
ベストコンディションのサムスに擬態しているため、いわゆるフル装備となっている。
バリアスーツを持たないサムスは、SA-Xのアイスビームを受けると凍り付いてしまう。
293 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/09 21:11 ID:ARMilWxl
特殊能力について
モーフボール:球体になる。ボールになることで、狭い通路を通れる。
ボム:モーフボール状態で設置できる。隠し通路を発見できるが、武器としては弱い。
パワーボム:広範囲に威力があるボム。一気に壁を破壊できるので、隠し通路発見に便利。武器としても有効。
ハイジャンプ:高くジャンプできる。また、ボール状態でもジャンプできるようになる。(旧スプリングボール)
スピードブースター:走り続けると発動。高速ダッシュで、敵をひき殺す。ロケットジャンプに必要。
スペースジャンプ:空中で何回でもジャンプできるようになる。
スクリューアタック:触れるもの全てを撃滅する。ほぼ無敵。威力はたぶん最強。
ミサイル:通常のミサイル。一発の威力は、ビーム攻撃よりも強い。
スーパーミサイル:ミサイルの強化版。ミサイル三発分くらいの威力らしい。
アイスミサイル:スーパーミサイルに冷凍機能をつけたもの。敵を凍らせることができる。
SA-Xにも有効だが、わずかに足止めできる程度。
デフュージョンミサイル:エネルギーをためて発射するアイスミサイル。
周囲に冷気をまき散らし、広範囲の敵を凍らせる。
チャージビーム:通常のビームの二倍程度の当たり判定。ため撃ちをすることで、威力アップ。
ワイドビーム(旧スペイザー?):チャージビームの三倍程度の当たり判定。
広範囲の敵に命中させることができる。
プラズマビーム:敵を貫通するビーム。かなりの威力を誇る。
ウエイブビーム:壁を貫通するビーム。オシロスコープの画面みたいな軌道で飛ぶのが特徴。
バリアスーツ:高温・低温環境に対する防御スーツ。アイスビームを受けても凍らなくなる。
グラビティスーツ:水中でも自由に動けるようになる。また、マグマの中に入っても平気になる。
#SA-Xは、これら全てを装備してると思ってください。かなり脅威ですw
幻魔のささやき(3スレ目分)+設定
274 名前:FBX@幻魔のささやき ◆4gA1RyNyf. :04/08/09 13:01 ID:EpGgFxre
「ひうっ・・・」
私の髪の毛が、彼女の美しい裸体を愛撫していく。
性感を高められた生身の人間には、強烈な快楽に違いないわ。
「あ、ああん、いいぃ」
すぐさま、目の前で横たわる少女はさっきよりも大きな声であえぎ始めた。
私もうれしい。
大好きなこの娘が、この私の手でこんなに乱れて、気持ちよくなってるんだもん・・・
それもこれも、すべては私の中にいる『あのいきもの』のおかげかな・・・
はぁ、はぁ、と荒く色っぽい息をする彼女。
その吐息が、その表情が、そのすべてが私の中の欲望をさらに駆り立てていくの。
もっと、もっと。
もっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっと・・・
――オカシタイ――
「ひいぃあああ、ああああっ、いいのぉ、いいの、もっともっとぉぉ!!」
気がつくと、私は髪の愛撫を全身全霊でしていた。
でも、いいの。
私を心から心配して、それでこの部屋に誘ってくれたんだもん。
そのお礼くらいはしてあげないと、お友達に失礼だもんね。
「ほぅら・・・、もう壊れちゃう?」
面白いものを見ているような声で、私は言ってあげた。
「あああ、こ、壊れ、ちゃうの、こ、こわ、ここ、・・・」
故障したカセットデッキみたいな、そんな声を上げた彼女。
そろそろ、いっちゃうかなぁ・・・?
「ぎぃ!」
私は彼女の秘所に手をやり、ぬるぬるし始めたの。
275 名前:FBX@幻魔のささやき ◆4gA1RyNyf. :04/08/09 13:10 ID:EpGgFxre
もう、そんな声あげちゃったら私も我慢できなくなっちゃうじゃない。
まぁ、私っていうか――『あのいきもの』が、我慢できないみたい。
「あああ、ああん、ほ、欲し・・・、アレ、アレぇえ!!」
たぶん、アレっていうのは・・・、男の人のウインナーのことだろうね。
でもね。
私ね。
もっと、いいもの。
持ってるんだよ・・・。
髪の愛撫を少し弱めて、声をかけたの。
「欲しいの? アレって、男の人のアレでしょ? でもね。
私、もっといいもの持ってるんだよ? その方がいいと思うんだけどなぁ」
じらすっていう意味もあって、声をかけたんだけど。
そしたらね、彼女。
本気にしちゃったんだよ。
「な、何でもいいからぁ!! あ、あたしのお○○こに入れてよぉぉ!」
涙を流しながら、私に大声で訴えたのよ。
まぁ、『あのいきもの』のおかげでこの家には結界が張られてるみたいだから、気にしない気にしない。
「ほんとにぃ? 入れちゃったら、もう戻れないよ? 抜けないんだよぉ?」
またじらしちゃった。
戻れなくなっちゃうのは本当なんだけどね。私みたいに。
「い、いいから、いいからぁ! はやくしてぇ・・・!」
息も絶え絶えにしながら、必死な表情で私に懇願した。
「わかった。」
277 名前:FBX@幻魔のささやき ◆LURUsAQvXg :04/08/09 14:35 ID:ARMilWxl
もう一度、私は髪の毛の愛撫をマックスにした。
同時に、右手を秘所に持っていって、擦り始めたの。
「はぁん」
私のお○○こも、やっぱり濡れていたわ。
当然よね。
大好きな娘を自分の手で犯してるんだもん。
それもこれも、私の中にいる『あのいきもの』のおかげだよね。
愛液でぐしょぐしょな私のあそこ。
おもむろに、指をその中に入れてしばらくグチュグチュしてみる。
「あはぁぁぁぁぁ・・・」
そしてそこから、『あのいきもの』を引きずり出したの。
膣口と、『あのいきもの』が擦れちゃって、痺れるような快感が・・・
まるで、ふたなりさんだね。
確か、そういう言い方するんだよね?
右手で、こうやって・・・、出てきたお○○○んを握って・・・
上下に。
上下に、上下に。
「ああっ・・・」
視界が白んでくる。
キモチイイ・・・
もっと、もっともっと!
愛液まみれの『あのいきもの』、もといお○○○んはくちゃくちゃと音をたてて、
まるでローションみたいにぬるぬるして、ああもう、気持ちよくってわかんない!
278 名前:FBX@幻魔のささやき ◆LURUsAQvXg :04/08/09 14:50 ID:ARMilWxl
「あっ」
彼女がこっちを見てる。
その目線は、私のお○○○んに向いている。
ってことは、私が何をしてるか気づいたみたいね。
「はぁ、はぁ、はぁ」
私はお○○○んを擦るスピードをどんどん上げていく。
まさしく、戻れない道を進んでいるみたいだったよ。
だって、見境なしに気持ちよくなっちゃうんだもん。
これがなくなるなんて、信じられない。
私のなかに、『あのいきもの』がいて良かった・・・
「な、なぁに・・・それ・・・」
私のあそこに生えたモノで、強烈な愛撫を受けている彼女が少し正気になったみたい。
かわいそうなこと、しちゃったなぁ・・・
「え? お○○○んよ」
にっこりと微笑む私。
「え、だ、だって・・・」
「これが欲しいんじゃないの?」
私の問いかけに、彼女は顔を真っ赤にして頷いた。
その間も、私はお○○○んに添えている手を上下させることを忘れない。
「ああっ」
どんどん大きくなっていく、私の肉棒。
どんどん大きくなっていく、私の欲望。
どんどん大きくなっていく、私の快感。
ぜんぶ、ぜんぶ。
私の欲しいものなのかもしれないね。
「ああ、出る、出るぅ!!」
279 名前:FBX@幻魔のささやき ◆LURUsAQvXg :04/08/09 15:00 ID:ARMilWxl
びくん、と体とお○○○んをふるわせる私。
「くあぁぁぁぁぁぁ・・・」
秘所からは、真っ白な、なんだかわかんない液体がどぴゅ~って。
「ひあ・・・、きもひ、ひぃ・・・」
ど、どぴゅ~って、あ、あれ・・・
視界が真っ白に・・・
「ふあ!」
気がつくと、彼女は私のお○○○んを握っていた。
「こ、これ・・・何?」
上気した肌の彼女が、私の顔をのぞき込んでいた。
・・・気絶しちゃったのかな、私。
ゆっくりと体を起こして、
「うふふ」
妖しく微笑むと、そのまま・・・
「きゃあ!」
彼女を抱きしめた。
とたんに目がうつろになる彼女。
当然よ。
だって、全身から淫気を出してるんだもの。
そして、耳元でささやく。
「あのね、私。お○○この中に生き物がいるの」
「え・・・」
驚く声も弱々しいわ。
「だからね、私の恋人のあなたにもあげるね」
「い・・・や・・・」
かすかに拒絶の声。
280 名前:FBX@幻魔のささやき ◆LURUsAQvXg :04/08/09 15:17 ID:ARMilWxl
恐いのかしら、どうして拒絶するのかわかんないわ。
こんなに気持ちよくしてあげてるのに・・・
「いくよぉ」
私はそのまま、『あのいきもの』製お○○○んを彼女に挿入した。
「きゃああああ!」
血液が・・・
あらぁ、処女?
「あ、処女・・・だったの・・・?」
無言で、顔を真っ赤にしてこっくりと頷く彼女。
「嫌だった・・・? 私に奪われて」
その問いかけには、首を横に振った。
「うれしい」
私は笑顔をもう一度作って、腰を振り始めた。
「ひう!」
「ふふ・・・」
普通のお○○○んじゃないから、気味悪そうだけど。
大丈夫よね?
「ああ、や、やっぱり気持ち悪いよぉ・・・」
「大丈夫。すぐに気持ちよくなるって」
少しずつ、前後に動くスピードを上げていく。
「う・・・あ・・・」
すぐに目つきがおかしくなる彼女。
『あのいきもの』から、何かの液体が分泌されてるみたい。
さっきの真っ白な液体じゃなくて、何だろう?
でも、この娘を気持ちよくしているのは間違いないね。
281 名前:FBX@幻魔のささやき ◆LURUsAQvXg :04/08/09 15:27 ID:ARMilWxl
中で出したら、すごく気持ちいいだろうなぁ・・・
「うふふ、どう?」
「あ・・・ひ・・・、き・・・もひ・・・ぃぁ・・・」
声になってないし。
じゃ、そろそろこの娘に私の『あのいきもの』を分けてあげなきゃね。
さらに前後運動のスピードを上げていく。
「あ・・・あ・・・」
「あ・・・、気持ちぃ・・・、で、出ちゃうかも!」
まだまだ。
辺りには愛液をかき回す、ねちゃねちゃした粘液質の音が響いてる。
「ふあ、イく、イっちゃう!」
突然彼女が叫ぶ。
「あ、私も! 出る! 出ちゃうぅぅぅ!!」
私と彼女は、同時に体を震わせた。
私のお○○○んからは、大量の『あのいきもの』の液体がほとばしる。
結合部からは二人の体液がボタボタと垂れていく。
「まだ出るぅ!!」
私のモノは、萎えることを知らなさそう。
その謎の液体を、どんどんどんどん彼女の膣に送り込んでいく。
「ひうあ・・・」
もう彼女は気絶してるみたい。
弱い声をあげて、ぴくぴくしてる。
これで、この娘も仲間だね。
翌日。
282 名前:FBX@幻魔のささやき ◆LURUsAQvXg :04/08/09 15:34 ID:ARMilWxl
「おはよー」
学校に行く通学路、私と彼女は会った。
「どう?」
「うふふ、すごいの。ちょっと見てよ」
彼女は私を公園に連れ込み、林の中に身を隠した。
「ここでするの? さすがねー」
彼女はスカートをめくる。
もちろんノーパン。基本でしょ?
「ふあん・・・」
秘所を擦り始めた。
私も擦る。
朝の公園に、グチュグチュという音が響く。
誰も通らないよね?
「あ、出るぅ・・・」
「私もぉ」
私と彼女は、同時に『あのいきもの』製お○○○んを引きずり出した。
辺りに淫香がねっとりと広がっていく。
「ふは・・・」
「いいにおい・・・」
二人は向き合うと、そのまま互いのモノをしごき始めた。
「ああぁ・・・」
「いいわ。今日は学校休んで、ずっとHしようよ」
「賛成ー・・・、あ、出る!」
彼女のお○○○んが大きくはねると、白い液体をびゅくびゅくとまき散らした。
「もぉ、Hなんだからぁ」
「えへへ、いいじゃない。クラスのみんなを仲間にして、楽しもうよ」
283 名前:FBX@幻魔のささやき ◆LURUsAQvXg :04/08/09 15:37 ID:ARMilWxl
「あ・・・、それ最高」
「でしょ? 学校のみんなを仲間にして、それでね」
『あのいきもの』に取り憑かれ、虜になった淫女二人。
彼女たちは、淫らな妄想を広げ、そしてそれを現実のものとしていく・・・。
Prolog Fin.
284 名前:FBX ◆LURUsAQvXg :04/08/09 15:47 ID:ARMilWxl
設定。
『あのいきもの』
空物語のアレじゃないです。
ある種の魔物で、人間の女性の膣に寄生します。
最初の一匹は、1ナノメートル程度の卵らしいです。
卵からかえると、宿主から養分を摂取して成長していきます。
しかし必要な養分は愛液であるため、宿主に負担はほとんどありません。
やがて成長しきると、宿主の精神に干渉します。
「私」で言うと、体が熱くて仕方ないとか、発情期だとか。
そんな程度から始まります。
完全に精神を奪うまでは、思考が大人のものになったり子供っぽくなったりします。
『あのいきもの』が、宿主の体に見合った精神の奪い方を模索してるようです。
最終的には、完全に『あのいきもの』に乗っ取られます。
その印は、秘所から飛び出るお○○○んです。
そこからは媚薬と淫香を分泌し、その先からほとばしる液体は仲間を増やすための卵液。
女性の膣に注げば、瞬く間に成長して虜にします。
男性には基本的に無効ですが、摂取すると強烈な麻薬効果を及ぼします。
一滴飲むだけでもフラッシュバックしたり、依存性を示します。
「ひうっ・・・」
私の髪の毛が、彼女の美しい裸体を愛撫していく。
性感を高められた生身の人間には、強烈な快楽に違いないわ。
「あ、ああん、いいぃ」
すぐさま、目の前で横たわる少女はさっきよりも大きな声であえぎ始めた。
私もうれしい。
大好きなこの娘が、この私の手でこんなに乱れて、気持ちよくなってるんだもん・・・
それもこれも、すべては私の中にいる『あのいきもの』のおかげかな・・・
はぁ、はぁ、と荒く色っぽい息をする彼女。
その吐息が、その表情が、そのすべてが私の中の欲望をさらに駆り立てていくの。
もっと、もっと。
もっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっと・・・
――オカシタイ――
「ひいぃあああ、ああああっ、いいのぉ、いいの、もっともっとぉぉ!!」
気がつくと、私は髪の愛撫を全身全霊でしていた。
でも、いいの。
私を心から心配して、それでこの部屋に誘ってくれたんだもん。
そのお礼くらいはしてあげないと、お友達に失礼だもんね。
「ほぅら・・・、もう壊れちゃう?」
面白いものを見ているような声で、私は言ってあげた。
「あああ、こ、壊れ、ちゃうの、こ、こわ、ここ、・・・」
故障したカセットデッキみたいな、そんな声を上げた彼女。
そろそろ、いっちゃうかなぁ・・・?
「ぎぃ!」
私は彼女の秘所に手をやり、ぬるぬるし始めたの。
275 名前:FBX@幻魔のささやき ◆4gA1RyNyf. :04/08/09 13:10 ID:EpGgFxre
もう、そんな声あげちゃったら私も我慢できなくなっちゃうじゃない。
まぁ、私っていうか――『あのいきもの』が、我慢できないみたい。
「あああ、ああん、ほ、欲し・・・、アレ、アレぇえ!!」
たぶん、アレっていうのは・・・、男の人のウインナーのことだろうね。
でもね。
私ね。
もっと、いいもの。
持ってるんだよ・・・。
髪の愛撫を少し弱めて、声をかけたの。
「欲しいの? アレって、男の人のアレでしょ? でもね。
私、もっといいもの持ってるんだよ? その方がいいと思うんだけどなぁ」
じらすっていう意味もあって、声をかけたんだけど。
そしたらね、彼女。
本気にしちゃったんだよ。
「な、何でもいいからぁ!! あ、あたしのお○○こに入れてよぉぉ!」
涙を流しながら、私に大声で訴えたのよ。
まぁ、『あのいきもの』のおかげでこの家には結界が張られてるみたいだから、気にしない気にしない。
「ほんとにぃ? 入れちゃったら、もう戻れないよ? 抜けないんだよぉ?」
またじらしちゃった。
戻れなくなっちゃうのは本当なんだけどね。私みたいに。
「い、いいから、いいからぁ! はやくしてぇ・・・!」
息も絶え絶えにしながら、必死な表情で私に懇願した。
「わかった。」
277 名前:FBX@幻魔のささやき ◆LURUsAQvXg :04/08/09 14:35 ID:ARMilWxl
もう一度、私は髪の毛の愛撫をマックスにした。
同時に、右手を秘所に持っていって、擦り始めたの。
「はぁん」
私のお○○こも、やっぱり濡れていたわ。
当然よね。
大好きな娘を自分の手で犯してるんだもん。
それもこれも、私の中にいる『あのいきもの』のおかげだよね。
愛液でぐしょぐしょな私のあそこ。
おもむろに、指をその中に入れてしばらくグチュグチュしてみる。
「あはぁぁぁぁぁ・・・」
そしてそこから、『あのいきもの』を引きずり出したの。
膣口と、『あのいきもの』が擦れちゃって、痺れるような快感が・・・
まるで、ふたなりさんだね。
確か、そういう言い方するんだよね?
右手で、こうやって・・・、出てきたお○○○んを握って・・・
上下に。
上下に、上下に。
「ああっ・・・」
視界が白んでくる。
キモチイイ・・・
もっと、もっともっと!
愛液まみれの『あのいきもの』、もといお○○○んはくちゃくちゃと音をたてて、
まるでローションみたいにぬるぬるして、ああもう、気持ちよくってわかんない!
278 名前:FBX@幻魔のささやき ◆LURUsAQvXg :04/08/09 14:50 ID:ARMilWxl
「あっ」
彼女がこっちを見てる。
その目線は、私のお○○○んに向いている。
ってことは、私が何をしてるか気づいたみたいね。
「はぁ、はぁ、はぁ」
私はお○○○んを擦るスピードをどんどん上げていく。
まさしく、戻れない道を進んでいるみたいだったよ。
だって、見境なしに気持ちよくなっちゃうんだもん。
これがなくなるなんて、信じられない。
私のなかに、『あのいきもの』がいて良かった・・・
「な、なぁに・・・それ・・・」
私のあそこに生えたモノで、強烈な愛撫を受けている彼女が少し正気になったみたい。
かわいそうなこと、しちゃったなぁ・・・
「え? お○○○んよ」
にっこりと微笑む私。
「え、だ、だって・・・」
「これが欲しいんじゃないの?」
私の問いかけに、彼女は顔を真っ赤にして頷いた。
その間も、私はお○○○んに添えている手を上下させることを忘れない。
「ああっ」
どんどん大きくなっていく、私の肉棒。
どんどん大きくなっていく、私の欲望。
どんどん大きくなっていく、私の快感。
ぜんぶ、ぜんぶ。
私の欲しいものなのかもしれないね。
「ああ、出る、出るぅ!!」
279 名前:FBX@幻魔のささやき ◆LURUsAQvXg :04/08/09 15:00 ID:ARMilWxl
びくん、と体とお○○○んをふるわせる私。
「くあぁぁぁぁぁぁ・・・」
秘所からは、真っ白な、なんだかわかんない液体がどぴゅ~って。
「ひあ・・・、きもひ、ひぃ・・・」
ど、どぴゅ~って、あ、あれ・・・
視界が真っ白に・・・
「ふあ!」
気がつくと、彼女は私のお○○○んを握っていた。
「こ、これ・・・何?」
上気した肌の彼女が、私の顔をのぞき込んでいた。
・・・気絶しちゃったのかな、私。
ゆっくりと体を起こして、
「うふふ」
妖しく微笑むと、そのまま・・・
「きゃあ!」
彼女を抱きしめた。
とたんに目がうつろになる彼女。
当然よ。
だって、全身から淫気を出してるんだもの。
そして、耳元でささやく。
「あのね、私。お○○この中に生き物がいるの」
「え・・・」
驚く声も弱々しいわ。
「だからね、私の恋人のあなたにもあげるね」
「い・・・や・・・」
かすかに拒絶の声。
280 名前:FBX@幻魔のささやき ◆LURUsAQvXg :04/08/09 15:17 ID:ARMilWxl
恐いのかしら、どうして拒絶するのかわかんないわ。
こんなに気持ちよくしてあげてるのに・・・
「いくよぉ」
私はそのまま、『あのいきもの』製お○○○んを彼女に挿入した。
「きゃああああ!」
血液が・・・
あらぁ、処女?
「あ、処女・・・だったの・・・?」
無言で、顔を真っ赤にしてこっくりと頷く彼女。
「嫌だった・・・? 私に奪われて」
その問いかけには、首を横に振った。
「うれしい」
私は笑顔をもう一度作って、腰を振り始めた。
「ひう!」
「ふふ・・・」
普通のお○○○んじゃないから、気味悪そうだけど。
大丈夫よね?
「ああ、や、やっぱり気持ち悪いよぉ・・・」
「大丈夫。すぐに気持ちよくなるって」
少しずつ、前後に動くスピードを上げていく。
「う・・・あ・・・」
すぐに目つきがおかしくなる彼女。
『あのいきもの』から、何かの液体が分泌されてるみたい。
さっきの真っ白な液体じゃなくて、何だろう?
でも、この娘を気持ちよくしているのは間違いないね。
281 名前:FBX@幻魔のささやき ◆LURUsAQvXg :04/08/09 15:27 ID:ARMilWxl
中で出したら、すごく気持ちいいだろうなぁ・・・
「うふふ、どう?」
「あ・・・ひ・・・、き・・・もひ・・・ぃぁ・・・」
声になってないし。
じゃ、そろそろこの娘に私の『あのいきもの』を分けてあげなきゃね。
さらに前後運動のスピードを上げていく。
「あ・・・あ・・・」
「あ・・・、気持ちぃ・・・、で、出ちゃうかも!」
まだまだ。
辺りには愛液をかき回す、ねちゃねちゃした粘液質の音が響いてる。
「ふあ、イく、イっちゃう!」
突然彼女が叫ぶ。
「あ、私も! 出る! 出ちゃうぅぅぅ!!」
私と彼女は、同時に体を震わせた。
私のお○○○んからは、大量の『あのいきもの』の液体がほとばしる。
結合部からは二人の体液がボタボタと垂れていく。
「まだ出るぅ!!」
私のモノは、萎えることを知らなさそう。
その謎の液体を、どんどんどんどん彼女の膣に送り込んでいく。
「ひうあ・・・」
もう彼女は気絶してるみたい。
弱い声をあげて、ぴくぴくしてる。
これで、この娘も仲間だね。
翌日。
282 名前:FBX@幻魔のささやき ◆LURUsAQvXg :04/08/09 15:34 ID:ARMilWxl
「おはよー」
学校に行く通学路、私と彼女は会った。
「どう?」
「うふふ、すごいの。ちょっと見てよ」
彼女は私を公園に連れ込み、林の中に身を隠した。
「ここでするの? さすがねー」
彼女はスカートをめくる。
もちろんノーパン。基本でしょ?
「ふあん・・・」
秘所を擦り始めた。
私も擦る。
朝の公園に、グチュグチュという音が響く。
誰も通らないよね?
「あ、出るぅ・・・」
「私もぉ」
私と彼女は、同時に『あのいきもの』製お○○○んを引きずり出した。
辺りに淫香がねっとりと広がっていく。
「ふは・・・」
「いいにおい・・・」
二人は向き合うと、そのまま互いのモノをしごき始めた。
「ああぁ・・・」
「いいわ。今日は学校休んで、ずっとHしようよ」
「賛成ー・・・、あ、出る!」
彼女のお○○○んが大きくはねると、白い液体をびゅくびゅくとまき散らした。
「もぉ、Hなんだからぁ」
「えへへ、いいじゃない。クラスのみんなを仲間にして、楽しもうよ」
283 名前:FBX@幻魔のささやき ◆LURUsAQvXg :04/08/09 15:37 ID:ARMilWxl
「あ・・・、それ最高」
「でしょ? 学校のみんなを仲間にして、それでね」
『あのいきもの』に取り憑かれ、虜になった淫女二人。
彼女たちは、淫らな妄想を広げ、そしてそれを現実のものとしていく・・・。
Prolog Fin.
284 名前:FBX ◆LURUsAQvXg :04/08/09 15:47 ID:ARMilWxl
設定。
『あのいきもの』
空物語のアレじゃないです。
ある種の魔物で、人間の女性の膣に寄生します。
最初の一匹は、1ナノメートル程度の卵らしいです。
卵からかえると、宿主から養分を摂取して成長していきます。
しかし必要な養分は愛液であるため、宿主に負担はほとんどありません。
やがて成長しきると、宿主の精神に干渉します。
「私」で言うと、体が熱くて仕方ないとか、発情期だとか。
そんな程度から始まります。
完全に精神を奪うまでは、思考が大人のものになったり子供っぽくなったりします。
『あのいきもの』が、宿主の体に見合った精神の奪い方を模索してるようです。
最終的には、完全に『あのいきもの』に乗っ取られます。
その印は、秘所から飛び出るお○○○んです。
そこからは媚薬と淫香を分泌し、その先からほとばしる液体は仲間を増やすための卵液。
女性の膣に注げば、瞬く間に成長して虜にします。
男性には基本的に無効ですが、摂取すると強烈な麻薬効果を及ぼします。
一滴飲むだけでもフラッシュバックしたり、依存性を示します。
無限の果肉 第八話<暴露>+設定
126 名前:乙×風【無限の果肉 第八話】 :04/07/07 11:25 ID:g894VvQB
<暴露 前編>
(私どうなっちゃうのかな?)
夜の帳も降り、体制の為に一度寝巻きへと着替えたネーアは、
人外との逢引きまでの時間、物思いに耽っていた。
思い出されるのは、昼間の一件。
「私、メライガさん襲っちゃった」
まるで他人事のように呟く。実感が無いのだ。
あの時は、メライガの怪我から流れる血の匂いのせいで、
熱に浮かされたようにぼうっとしていた。
それは明らかに渇望と性的興奮を含んでおり、気が付けば、
抑えられなくなった欲情と飢えに身を任せ、
彼女を押し倒した。
そして彼女の直りかけた傷口をわざわざ広げてまでその血啜った。
(すごく、美味しかった)
その時の味覚が、今でも舌に残っている。
舌に、喉に染み付みついたそれは、まるで上質のワインを飲んだよう。
(また、飲んでみたい。いやらしい音を立てながら、
股を濡らしながら、怯える同僚たちの顔を見ながら)
いつか、ティジフォーンを挑発した時。昼間メライガを押し倒した時のように、
心の中で黒い感情が生まれる。性的興奮すら覚え、子宮が疼く。
気が付けば、口の端を歪め、微笑を浮かべていた。
「あ……」
まただ。
気を抜けば、すぐに自分が自分でなくなってしまうような錯覚を覚える。
正直、昼間ウラヌスを拒絶した事は重要ではない。
すでに自分には心に決めた主人が居るのだ。
昼間の事は、二股をかけているような後ろ暗さを断ち切る為のけじめに過ぎない。
『少なくともネーアはそう思っている』
ベッドに腰掛けながら、きつく自分の体を抱きしめる。
「怖い、怖いよ……」
127 名前:乙×風【無限の果肉 第八話】 :04/07/07 11:26 ID:g894VvQB
(でも、それも少しの辛抱だよ)
もう少で『いつもの時間』を迎える。
それは、自分をこの世のしがらみから解き放ってくれる。
圧倒的な快楽と、心休まる温もりと、これ以上無い幸福を与えてくれる。
新しい主人に奉公する事が出来る。
新しい主人は人ではないけれど、そんな事はどうでもいい。
主と従者。そのどちらもが満たされるのだから。
――どくんっ。
子宮の中に棲む『何か』が脈動した。
時間だ。
はやる気持ちを抑えながら、制服へと着替える。
そして滅多にしない化粧をする。
今日は、御主人様にとびっきりのご奉仕をするのだ。
身だしなみには余念が無い。
着替えも化粧も終わると、小さな籠に、予備のメイド服をたたみ入れる。
準備は出来た。部屋から出ると鍵を掛ける。
「今行きますね御主人様」
手には籠を、懐には鍵を。
慎ましい笑顔を浮かべながら、それがたしなみであるかのように静かに歩く。
その内側に狂気と劣情を秘めながら。
***
「動き出したわよ」
『分かりました。ティジフォーン様と合流して、集合場所に向かいます。
そちらも速やかに移動を』
「はいはい――便利ねこれ」
レアクトはつい今しがたまで、『メライガの姿が映っていた』手鏡のような
物を見つめた。掌サイズで長方形のそれは、メライガが『現場の映像』を記録し、
物的証拠にする為に用意した魔道具だった。
128 名前:乙×風【無限の果肉 第八話】 :04/07/07 11:28 ID:g894VvQB
「二枚あればこうやって、連絡も取り合えるのね」
(メライガってこういう怪しい道具どれだけ、持ってるのかしら?)
蠢く張り型。護身用の魔石。映像を記録する手鏡。きっとそれだけではないだろう。
「まあ、どうでもいいわよね」
今は。この魔法の手鏡を使って、ネーアの弱みを握る事が先決だ。
(まあ、弱みを握るってのも今更って気がするけど……やっぱり物的証拠があった方が
説得力があるしね)
レアクトは声を忍ばせて笑いながら部屋を出た。
ネーアのどんな痴態を記録しようかと、想像を膨らませながら。
***
ネーアは胸を高鳴らしながら、金属製の扉を開けた。
前回のように力任せに開けたりはしない。扉の向こう側は完全な漆黒。
その中へと躊躇なく足を踏み入れる。
『折檻』をされていた時の事を思い出す。
あの時は惨めで寂しくて、静寂が暗闇が怖かった。
扉をゆっくりと後ろ手に閉める。
月の光さえ遮られ、小さな密室は暗闇で包まれた。
その中で、ネーアの両目が赤く、血のように赤く輝いている。
――暗闇も、静寂も、怖くはなかった。
だが、それらが好きな訳ではない。
今のネーアは、暗闇よりも太陽の光を、
静寂よりも、卑猥な粘着質な音を、望んでいる。
部屋の中心へと歩み、封印を開放する。
赤い光が溢れ、室内の蝋燭に明かりが灯る。
正面の壁が上方へとスライドする。
ごうん。振動と共にスライドが止まり、ネーアの子宮を振るわせる。
「……はぁ……はぁ……」
途端に、あの嗅ぎ慣れた花のような匂いが流れ込み、ネーアの体と心を犯す。
パブロフの犬のように、愛液が吹き出る。
129 名前:乙×風【無限の果肉 第八話】 :04/07/07 11:29 ID:g894VvQB
「……はぁ……ぁんっ」
既に、乳首が勃起しており、歩く度に胸に快楽が弾けた。
パタタッ――紋様の中心に、吸水量を超えた愛液が滴り落ちた。
ふと、思う。
(――御主人様。喜んでくれるかな)
今日は、いつも『可愛がってくれる』御主人様の為に、おめかしをして来たのだ。
化粧をして、勝負下着を着て、制服を着たままご奉仕するのだ。
(きっと、喜んでくれるよね?)
初めてのデートに喜ぶ少女のように、顔を綻ばせる。
だが、ぼんやりとする意識の中で、ネーアは気付いていない。
綻んだ顔は、妖艶な笑みを浮かべている事に。
乙女のような心の奥底に、狂気とも言える劣情が潜んでいる事に。
「御主人様ぁ……」
うわ言のように呟きながら、階段を降りる。
思考に、徐々に霞が掛かっていく中、ブラの下地に擦れた乳首から、
断続的に発生する官能に足元がふらつく。
甘く痺れるような快楽に脳が蕩け、表情が蕩け、だらしなく口が半開きになる。
いつしかネーアは。地面に点々と、愛液の足跡を付けていく。
そして、眼前に現れた、主人を封印する扉の傍に、籠を置くと、
めくるめく快楽と背徳の扉を開いた。
「はぁっ……はぁっ……んっ……はぁっ……」
これ以上無い背徳的で淫らな期待に胸が壊れたように高鳴る。
息を荒げながら歩く彼女の目は、劣情に潤み、あどけなさを残す顔には、
妖艶な笑みを浮かべている。
自己主張した乳首が発する官能に股を濡らしながら、肉と臭気で包まれた
淫靡な空間を渡り歩く。そして――
「御主人様?」
主の下に歩み寄った、メイド姿のネーアが首を傾げる。
130 名前:乙×風【無限の果肉 第八話】 :04/07/07 11:30 ID:g894VvQB
目の前には甘酸っぱい匂いを放つ、肉色をした巨大な花のつぼみがある。
それは従者が来たにも関わらず、ぴくりとも動かなかった。
(……? どうしたんだろう?)
言いようの無い不安感に襲われる。
背筋に嫌な予感が走り抜け、淫欲に染まっていた思考をある程度正常化した。
(……そう言えば)
辺りを見渡し、異変に気付く。
昨日、一昨日と、視界が濁るほど魔の花は淫臭を吐き出していたが、今日はそれがない。
屋敷と同じほどの広さを持つこの空間の隅から隅まで見渡す事が出来る。
そして、地面で脈打っている血管のような、魔の花の根にも動きが見られない。
歩く毎に粘着質な音を立てながら、糸を引いた地面は、湿った程度しか濡れていない。
(ひょっとして、何かの病気じゃ)
「……御主人様……」
胸の中の不安が急速に膨らむ。それを振り払うように、つぼみの胴に、額を押し付けた。
(……大丈夫ですか?)
――返事は無い。
(今日はもう、お休みになられますか?)
このまま帰れば、溜めに溜めた劣情に、気が違えてしまうかもしれない。
それでも、正気に戻ったネーアには主人の体の方が大事だった。
そして――
『シンパイ、スルナ』
思考に直接割り込むような声。いや、それは声というよりも、抽象的で、あやふやな『意志』。
これは『心配するな』という意図を、ネーアが感じたに過ぎない。
だがそれは、淫らな従者とその主は、より正確な意思疎通を可能としていた。
「御主人様? 大丈夫ですか?」
応えるようにつぼみがゆっくりと開いていった。
途端に、鼻腔内に流れ込んで来る、濃厚な香り。
(んぁ……)
その匂いに、理性が性的興奮に取って代わっていく。
131 名前:乙×風【無限の果肉 第八話】 :04/07/07 11:32 ID:g894VvQB
(あ……私、どきどきして……)
いつものように十二本の触手を伸ばし、体を絡め取り、中心部へと運ぶ。
「はあ……はあ……はあ……」
いつもの『指定席』に下ろされた時、興奮に息を荒げていた。
興奮と比例し、思考に靄が掛かっていく。その中で、ふと思い出した。
「御主人様、私、今日、同僚の人を襲っちゃいました」
ぞわぞわと動いていた触手がその動きを止める。
「その人、怪我をしてて、右手の親指から、血を流したんです。そしたら私、
その匂いを嗅いで、ものすごく興奮して、怪我を治す、って『心にも無い事を言って』
連れ出して。そしたら偶然、前の御主人様に会って。その人と決別して。
それはけじめだから、何の憂いも無いはずなのに。ただすっきりするはずなのに。
私、どうしてか凄く悲しくなって。心がどろどろに溶けて。気が付いたら……
気が付いたら、私、その子の事。押し倒してたんです」
不安と興奮がごちゃ混ぜになって、わけが分からなくなってくる。
悲しいのか嬉しいのか。不安か、期待か。
「それからは、自分の事、抑えられなくなって。その子の血を、沢山啜りました。
それがすごく、すごく美味しかったんです。今思い出しても、胸が高鳴ります。
――私、どうしちゃったんですか? どうなるんですか?」
『オソレルナ』
「あ……」
ゆっくりと包み込むように、触手達がネーアの体に絡みつく。
粘る体液でメイド服をべとべとに汚しながら、そのうちの一本が、頬を濡らす涙を
優しく拭い、粘液の糸を引く。
だが、ネーアの心はそれだけで安らぎを得られた。
飼い犬が甘えるように、涙を拭った触手に頬をすり寄せ、自ら粘液を広げる。
『ウケイレロ』
その言葉は――意思はまるで麻薬。思考を犯し、心を酔わせる。
もう、不安は無かった。あるのは主人への絶対の信頼と、そして心温まる幸福。
「……はい。御主人様ぁ……」
従者の体をいたぶる為、ざわざわと触手が蠢き始める。
『……アト、スコシダ』
132 名前:乙×風【無限の果肉 第八話】 :04/07/07 11:33 ID:g894VvQB
その言葉(意思)が何を意味するのか、ネーアには分からなかった。
***
そして、三人のメイドが『折檻部屋』の目前に集った。
「では、不埒な娘に引導を渡しに行きましょう」
「そうね、もったいぶる理由もないしね」
メライガも無言で頷く。
レアクトが扉に手を掛け、思い切り開け放つ――
「――あら? 鍵が掛かってる」
「お退きなさい!」
ティジフォーンがレアクトと入れ替わり、手に持った鍵を鍵穴に差込み、回す。
がちょん、と高い音を立てて鍵が外れる。
同時にレアクトが扉を開け放つ。
立て続けにメライガが例の手鏡を手に持ち、部屋の中へと滑り込んだ。
「……っ?」
踏み込んだメライガが息を呑む。
「観念しなさいネーア! これで貴方も――って誰も居ないじゃない」
「ど、どういう事です!?」
予想外の出来事にティジフォーンが取り乱す。
「落ち着いてください、ティジフォーン様」
「これが落ち着いていられますか! ――さては貴方達、この私を謀りましたね!?」
(半分辺りです)
メライガが内心でほくそ笑む。
「そんな事して誰がどんな得をするって言うのよ?」
げんなりとした口調でレアクトが抗議した。
「そんな事を言ながら、内心では二人で私の事を嘲っているのでしょうっ。
『この姑女』と!」
「化けの皮が剥がれたわね」
元々仲の悪い二人だ。今までは目標をネーアに絞る事で衝突を避けていたが、
久方振りに罵り合う。それを尻目に、メライガは一人考えていた。
133 名前:乙×風【無限の果肉 第八話】 :04/07/07 11:35 ID:g894VvQB
(明かりは、灯っている。レアクトが嘘をつく理由は――今の所考えられません。
となると、ネーアは確かにここに来た、という事になります)
ではどこに行ったのか。さらに思考しようとした所で、地面の異常に気が付いた。
「……これは」
部屋の中心に、ぼんやりと赤く輝く紋様がある。メライガは屈み込み目を凝らした。
蝋燭の炎に紛れて、気付かなかったが、確かに光っている。
(何かの魔法陣……でも最後に来た時、こんなものは無かった)
今でも暇を見ては蓄えている魔導の知識を総動員して、魔法陣の意味を解読する。
(第三……封印……血……資格……闇……乙女……第二……封印……同資格……淫液)
嫌な予感がする。誇りを払い、更に読み込んだ。
(第一……封印……神位……呪文……ウラヌス!?)
これは、最悪の事態ではないのか。
(……封印されし……花の魔物……侵す……人の心……体……匂い)
「メライガさんっ。貴方もこの礼儀知らずに何か言っておやりなさい!」
「ちょっとメライガ。このババア何とかしてくれない? さっきから
きんきんとうるさく……メライガ? 何してんの?」
(第三……封印……必要……他者……ここからは補足ですか)
「ふう……」
(嫌な予感が的中しました。成る程、それならネーアの変化も理解出来る)
この時、メライガはようやく理解した。すでにネーアが人としての有り方を
侵されたという事を。
異常な力。食欲の減退。過剰なまでの水分摂取。香水のような体臭。
全て、『これ』が原因だった。
「ちょっとメライガ? 聞いてる?」
「何ですか?」
「何ですかはこっちの台詞よ。どうしたのよ?」
「ネーアの居場所が分かりました」
「何ですって!? どこです!? 言いなさい! 隠すと為になりませんよ!」
「その前に。知ってしますか。ここにはウラヌス様に封印された魔物がいる事を」
「それくらい知っています」「それくらい知っているわよ」
134 名前:乙×風【無限の果肉 第八話】 :04/07/07 11:36 ID:g894VvQB
「そういう事です」
呆気に取られた顔をするティジフォーンとメライガを尻目に、昼間怪我をした
左親指の傷口に歯を当てた。
「……っ」
顎に力をいれ、傷口を噛み切る。傷口からは血の玉が浮かび上がり、
親指を伝って爪先まで垂れてきた。
「メライガ、何をやって、」
「今に分かります」
手首を振り、血を払い落とす。払われた少量の血は、紋様の上に落ちて、
突如地面が赤く発光した。
『!?』
異変はそれだけに止まらない。石臼を使った時のような重い音を立てながら、
奥の壁が上方へとスライドしていく。
「メライガさん! これは一体どういう事ですか!?」
「事態は私達が思っていた以上に深刻だという事です」
ごうん、と一際大きい音を立てて、スライドが停止した。
「遠まわしな言い方は止めてくれない? はっきりと言ってよ、はっきり――
――ちょっとやだ。何よこの匂いっ……?」
ぽっかりと口を開けた通路の奥から流れこんでくる、甘酸っぱい匂いに、
レアクトが眉をしかめる。
メライガはその匂いに覚えがあった。
昼間、ネーアが放っていた体臭と同じものだ。
「……現状を説明します。ネーアが、封印されていた魔物を開放しました」
「冗談でしょ!?」「それは本当ですか!?」
「この壁の仕掛け――第三の封印を私でも解除する事が出来ました。
『資格者』が一度封印を解いた証拠です。それでも信じられないというならば、
見に行きましょう。百聞は一見にしかずです」
ティジフォーンが息を呑む中、レアクトが鼻を鳴らした。
「面白そうじゃない。私行くわよ」
「どちらにせよ貴方に様子を見に行ってもらうつもりでした」
「何その言い方? 行くのは私だけ?」
135 名前:乙×風【無限の果肉 第八話】 :04/07/07 11:38 ID:g894VvQB
「はい、今のネーアは獣のように敏感です。三人より一人の方が良いでしょう」
「ふうん。まあ良いわ。例のアイテムを使ってそっちに様子を
送れるわけだしね。じゃあ早速、行って来るわよ」
レアクトが背を見せ、明かりの点いた緩やかな階段を下りていく。
「一つ注意を。この匂いには人の精神を狂わせる効果があるようです。
どんな事があっても気をしっかりと持ってください」
レアクトが背を向けたまま手を振った。
レアクトの姿が遠ざかり、自動的に隠し扉が音を立てて閉じる。
「――まさか」
何かを考え込むような仕草をしていたティジフォーンが、唐突に呟いた。
「どうかしましたか?」
「メライガさん。貴方は確か、ネーアがウラヌス様とは別の誰かと付き合っている、
そう仰いましたね?」
「そうです」
口からのでまかせのつもりだったが。それは事実になるつつある。
「なら、その相手というのは」
ティジフォーンが壁の向こうを見つめる。その向こう側で蠢く、化け物を見るように。
「――そうなのでしょうね」
ティジフォーンの言わんとしている事を汲み取り、同意する。
(正直、そのような事は信じられませんが。元々落ちるところまで落ちていた娘です。
ネーアなら人間外の生物と肉体的な関係を持っても、何ら不思議はありません)
「事と次第によっては。面白いものが見れるかもしれませんよ」
そう言って、メライガは嗜虐的な笑みを浮かべた。
186 名前:乙×風【無限の果肉 第八話】 :04/07/16 12:50 ID:QiEwlX+b
<暴露 後編>
「あんっ、ちょ、待って下さい、御主人様。今日は、その、私にご奉仕させて下さい」
スカートの裾から、袖口から、襟元から進入しようとする触手に喘ぎながら、
主におねだりをする。
「私、昨日も、一昨日も、御主人様にばっかりしてもらって、あんっ、
『メイドらしい事』一つも、あんっ、してないじゃないですか……だから……」
触手達の動きが止まった。服の内と外でのたうっていた触手が
濡れた音を立てながらネーアから離れていく。
「ん……ありがとうございます」
――と、目の前で怪しく揺らぐ十二本の触手が、螺旋状に絡まっていく。
三本の触手が束なり、あの巨大な生殖器と同等の大きさになる。
それが三本。ネーアの前で姿をなした。
(……あれ?)
だがこの触手は、合計で十二本ある筈だ。ネーアは首を傾げ、
「きゃんっ」
突如、服の中に滑り込んできた三本の触手に嬌声を上げる。
「ああんっ、もう、ご主人さまあっ」
抗議の声を出すが、体は正直だ。ブラの上から優しく二つの膨らみを
マッサージされ、下着の上から縦皺をゆっくりと撫でられると、
全身を甘ったるい快楽で満たされてゆく。
(ああ、ご主人さま、じょうずぅ……)
「――きゃっ」
一人快楽に脳を焦がしていると、目の前の触手が鼻先を突付いた。
「ん、ごめんなさい、ご主人さま」
お詫びにと、触手に自ら顔を寄せ、三つの先端についばむようなキスをした。
お返しとばかりに、それらが口を開け舌を伸ばす。
やがて、ネーアの舌と触手達の伸ばす舌が絡み合う。
「チュッ……チュッ……チュバッ……チュルルッ……」
(ああ、ご主人さまの涎、あまくて、あんっ、おいしいよぅ)
寄ってたかる三本の舌から、粘液を啜り取るように口をあけ舌を動かす。
「チュルルッ、チュルルッ……ぷあっ」
187 名前:乙×風【無限の果肉 第八話】 :04/07/16 12:51 ID:QiEwlX+b
伸ばされた舌がゆっくりと引いていく。
「はあっ、はあっ、はあっ、――ぁん」
三本の繊毛触手とディープキスを交わしたネーアの顔は、
お互いの体液でべとべとになり、鼻腔の中が女の性臭と花の香りでいっぱいになる。
(あはぁ……いいにおい……)
「はあ、……あん……あむ……」
暴走する性欲に任せて、先程濃厚なキスを交わした螺旋触手をくわえ込む。
成人男性のペニスより遥かに太いそれは、ネーアの口内に捻り込むように入り、
その中で繊毛を展開する。
「んっ!……んむうっ! んじゅっ! んじゅっ! んじゅっ!」
顎が外れてしまいそうな錯覚を受けながらも、懸命に頭をピストンさせる。
(んん、すこし……くるし……)
だが我慢しなければ、今は主人にご奉仕をしているのだ。これくらいで、
根を上げていられない。
(ご主人さま、きもちいいですか)
――――――
脳内に『肯定』の意思が流れ込んでくる。
きゅうっ、と胸から嬉しさがこみ上げてきた。
(わたし、もっと、がんばります)
フェラチオを続けながら、開いた両手で残り二本の螺旋触手を掴む。
そしてぎこちながらも手コキを始めた。
――ジュッ、ジュッ、ジュッ、ニチャニチャッ――
「んじゅうっ! んじゅっ! ヌプッ! ヌプッ!」
二本の手と口、それらがグチュグチュニチュニチュと淫らな音を奏でる。
その粘着質の音を聞く度に、ネーアの中の牝が際限なく高められていく。
息苦しさにも慣れ、鼻でフンフンと犬のように息をする。
するとすけべな匂いまでも一緒に取り込んでしまい、更に興奮する。
淫らなループを繰り返すたびに――
口内で暴れる繊毛達が舌を伸ばし、歯茎や舌を舐めしゃぶる感触や。
手の中でのた打ち回る螺旋触手が、びくびくと脈打つ感触が敏感に感じ取れる。
188 名前:乙×風【無限の果肉 第八話】 :04/07/16 12:52 ID:QiEwlX+b
(ご主人さま、ぴくぴくしてる……はあっ♪ きもちいいんですね♪)
服の中からネーアを弄ぶ細い触手も、その動きを活発化させ、
ネーアの下着と裸身に、狂ったように粘液を塗りたくっていく。
メイド服が奇妙に捩れ、膨らみ――這い回る触手の動きを淫らにトレースした。
――ニチニチッ! ジュプッ! クチュクチュクチュッ!
制服の内と外からは――何千ものミミズがバケツの中でのた打ち回るような、
信じられないほど淫らな粘着音が響いてくる。
「んぷんぷっ! んーっ!」
(ご主人さまっ、ご主人さまっ)
胸と股間から流れ込んでくる燃えるような快楽に体がわななく。
思考力などとうに消え失せ、肉のトンネルが湯気立つような濃い牝汁を搾り出す。
高まった劣情と快楽にネーアの子宮が絶頂の予感に震え――
そして、ネーアがオルガズムに達する直前。
十二本の触手達が一斉にその先端を弾けさせた。
(ああ、でるぅ、でてくるっ! ごしゅじんさま! ごしゅじんさまぁっ!)
――びしゅっ! びしゅっ! びびしゅっ! びしゅびしゅびしゅっ!
「んーーっ!」
口内の触手が喉の奥へと粘液をぶちまける。
右手でしごいていた触手が顔面へとあますことなく吐き出す。
左手の触手は直前で三つに別れ、メイド服を汚し、
服の中で三本の触手が粘液を飛び散らせる。
「んく……んく……こく……あはぁ……」
(苦ぁい、ご主人さまの、精液の味がするぅ♪)
嚥下した粘液はキスの時とは別物らしい、苦しょっぱい味する。
(それに、このにおい、ああん、くさくて、あたま、くらくらするよう)
「はあっ、はあっ、はあっ……うわあ」
主の射精を受けるため閉じていた目をゆっくりと開けると、メイド服の上で
大量の白濁液が糸を引いていた。細い触手からも、精液を出せるらしい。
(あはっ♪ お洋服の外も、中も、すっごいベトベトォ♪
頭から、バケツに汲んだ精液を、かぶったみたい♪)
189 名前:乙×風【無限の果肉 第八話】 :04/07/16 12:52 ID:QiEwlX+b
身じろぎするだけで体中からニチャニチャと水音を発し、粘液に濡れた服が
肌に張り付いてくる。と――
「あんっ」
突如触手が動き出し、体の内と外の大量の粘液をこね回し、
肌と服へとすりこんで行く。
「あ、あンっ……もうっ、ごしゅじんさまぁ、私、自分でしますぅ」
オルガズムに達しそこねた、興奮しきったネーアには
その発言がおかしいとも思わない。
(あはぁ、ねちゃねちゃしてるぅ……♪)
ネーアには顎から垂れ落ちる精液を掌で受け、手の中で糸を引いてそれを弄ぶと、
「はあっ、はあっ、はあっ……! ん……っ」
伸ばした粘液をリップした唇の上から塗りつけ、
睫毛から垂れている粘液をすくい、アイラインに、頬に塗りつけていく。
(わたし、すごい、おかしなことしてるっ……!)
そのあまりにも変態的で背徳的な行為に、ぞくぞくと総毛立つ。
「あっ、あっ、あンっ!」
ネーアが自らの顔に淫らな化粧を施している間。
触手達は一斉に服の下へと潜り込み、ネーアの肌にぶちまけた白濁液を
伸ばし、揉み込んでいく。
体中から、塗り広げられた精液が、女を狂わせる青臭い匂いを放つ。
(ああ、だめっ……! もっと、もっとエッチな事、したいっ!)
「ご主人さまぁ、アソコに、ご奉仕させてください……
わたし、いい事考えたんです……」
精液でべとべとになった顔に微笑を浮かべる。
触手達がネーアから離れ、ネーアも邪魔にならぬよう花の中心から、
花弁の方へと動いた。
――ジュヌヌヌヌヌッ。
空気と粘液が掻き回される音と共に花の中心から乳白色の巨大生殖器が現れる。
(ああ、ご主人様の、いつ見ても、ドキドキする……)
その太さに、色に、形に、強烈な匂いに、頭が痺れてくる。
『ドウスル?』
190 名前:乙×風【無限の果肉 第八話】 :04/07/16 12:53 ID:QiEwlX+b
「ネーアのお胸を使って下さい、と言いたい所、なんですけど……
私、胸、あまり大きくありませんから、こっちで……」
スカートを結び目のある腰までたくし上げる。
スカートの下から、ネーアの生足と黒い柄物のガーダー付きソックス。
そしてそれとお揃いの、下着が現れた。
今日の為にと用意した勝負下着だったが、例外なく主の粘液に白く汚れている。
ショーツに限っては、ネーア自身が搾り出した牝の汁のせいで、
意思を持ったかのように蠢く大陰唇にべったりと張り付き、透けていた。
花弁に仰向けに寝転がると股を開く。
「お股と、手と、口でご奉仕します」
ガーターをずり下げ、股に張り付く下着をずり下げる。
ぬちゃぁ。
淫裂から溢れ出していた汁が、下着とワレメの間に長く、太く、濃い、
スケベな糸を引く。
(や、わたし、こんなに、ぬれて)
羞恥心に頭が真っ白になり、一瞬後にそれは背徳という快感に取って代わる。
「……さ、ご主人さま。ネーアのお股を使って下さい」
男を誘うように股を開ける。淫らな期待に陰部が蠢き、じゅく、と汁を垂らした。
魔物が意を汲み取り、そのグロテスクな生殖器の胴体を、ネーアの股へとあてがう。
にち、と淫らな接触音。
「ぁんっ」
思わず鼻にかかった声を出してしまう。
(だ、だめっ、ご奉仕、しないと)
生殖器を挟み込むように股を閉じる。
(あぁ、ご主人様の、ぴくぴくしてる)
その熱さに、太さに、形に、興奮する。
「はあ……はあ……あの、ご主人さま、動いて、いいですよ――あンっ!?」
生殖器が動く。従者の媚肉を味わうように、肉の密着点をゆっくりストローク
していく。
くち、くち、くち、くち、くちっ。
「あ、あ、あ、あ、あンっ」
191 名前:乙×風【無限の果肉 第八話】 :04/07/16 12:54 ID:QiEwlX+b
(あぁっ、エラがわたしのおま○こ、絡み付いてっ、めくってっ)
乳白色の性器が閉じられた内股をスライドする度に、にちにちと音を立てて、
表面の凶悪な多重エラが女の肉土手をごつごつとまくり上げ、抉って行く。
肉の愉悦が弾け、下半身がびりびりと痺れる。
「あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、あっ――あぁ?」
細い触手が、たしなめるようにネーアの顔を叩く。
(あぅ。いけない……わたしも、しなくちゃ)
にちにちっと音を立てて眼前に突き出てくる巨大な性器に脳を痺れさせながらも、
ほうきでも持つように、両手で握った。
(あ、ご主人さまの、びくびくしてるぅ……)
胴に垂れ流れてくる粘ついた白濁液の感触を楽しみながら、手に触れた主人の一物
その巨大さ、存在感に惚れ惚れする。
「ご主人さまぁ、ああぁっ、今、あうんっ、気持ちよく、してあげますねぇ」
従順な気持ちに満たされると、そのまま、主のストロークとは逆方向に扱く。
にちちちちちちっ!
淫らな擦過音が二倍になる。
「はあっ、はあっ、はあっ!」
淫裂を擦り上げられ、快楽に脳と下半身を蕩けさせながら、懸命に両手を動かす。
性器を押し進められれば、根元へと手を動かし、引けばこちらも引く。
擦りたてた巨大な陰茎が、陰部がより強い性臭を放ち、
ネーアの理性をこそぎ落としていく。
粘着音を立てながら、何度も何度も眼前に突き出される生殖器の先端、
その十字の切れ込みを間近で眺めると。その先端から垂れ流される白濁とした
粘液のイカ臭い匂いを嗅ぐと、どうにかなってしまいそうになる。
「はあんっ、はん、はあっ! ――んちゅうっ」
いつしかネーアは、眼前に突き出されるその先端に、口付けをしていた。
精液でリップした幼い唇が、異形の先端に一瞬密着し、尿道の液体を啜る。
(んはあ……おいしい)
生臭さとエグ苦さが口の中で広がり、恍惚とする。
にちゃちゃちゃちゃちゃちゃっ!
「あうんっ」
192 名前:乙×風【無限の果肉 第八話】 :04/07/16 12:55 ID:QiEwlX+b
生殖器が口から離れ、愛液と精液でぐちょぐちょになっている女淫を擦りたてる。
扱いている手が、跳ねた粘液で白く穢れた。
そして休む間も無く、せり上がってくる巨根。
「ああっ、ああっ!?」
喘ぎながらも先端に口付けをする。
すぐに引き込み、ネーアを快楽で満たす。
その淫らなループを何回もすると、互いに限界を迎えた。
(んっ! ご主人さまの、ビクビク震えてっ! ああっ、私も、わたしもっ!)
突き込むように口内の中に捻り込む主人のそれを、甘噛みしつつ、思い切り吸す。
白い肉が弾けた。
びゅるぅっ! びゅるぅっ!
「んんっ! んんんっ!」
音を立てて吐き出される白濁液を反射的に嚥下していき、
「んんん! ……ぷあっ!」
飲みきれなくなると向こうから生殖器を引き抜き、
精液化粧の施されていたネーアの顔の上から更に粘液を吹きかける。
(熱いっ、ご主人さまの熱くて! ああん! あそこが、ぐちぐちってめくれてっ!
あんっ! おまたがっ、たくさんこすれて! お、お豆さんがごつごつ当たって!
あああああああぁっ………)
「あああああぁぁぁんっ♪」
先程の奉仕の時よりも熱く、濃く、臭い、異形のスペルマが、
髪に、顔に、襟元に、服に、ぼたぼたと音を立てて全身を汚していく感触に、
ネーアは絶頂を迎えた。
体が痙攣し、白い肉と又の隙間から、牝の汁が飛び散った。
「はあ! はあっ……はぁぁぁん♪」
呼吸を整え、脳に酸素を回す。
(あはあ♪ すごい匂いぃ♪ いままでで一番、臭いよぅ……)
「ああ、見てくださいぃご主人さまぁ。おめかしてきた服、ご主人様ので
どろどろになっちゃいましたぁ」
193 名前:乙×風【無限の果肉 第八話】 :04/07/16 12:56 ID:QiEwlX+b
スカートを胸元までたくし上げられたワンピースはエプロンともども
黄色っぽい精液でぐちょぐちょに汚れ、皺の隙間に栗の花の匂いを放つ小さな池溜まりが
できている。
そしてそれに負けないくらい、欲情した牝の匂いが濃くなってきた。
(や、わたしのも、凄く匂うよぅ)
その匂いに羞恥と興奮を覚えながら目線を自分の体から外す。
目の前に未だ衰えを見せない主人の物があった。
「……あ、ご主人さま、まだ、こんなに」
(こんなに出したのに、すごい)
「はあ……はあ……はあっ」
気が付けば欲情している自分が居た。
(そういえば、今日は、まだ中に出してもらって無い)
それを自覚した瞬間、胎内に潜む何かが蠕動した。
「はあっ、はあっ、はあっ!」
同時に性欲のボルテージが高まる。
飢えた獣が獲物を目前にした時の様に、気持ちが高ぶる。
(セックス、したい!)
体中に吹きかけられた、この生臭い汁を、今度は子宮の中にぶちまけられたい。
「ご主人さまぁ♪」
自分でも驚くくらいの猫撫で声が出た。
「今日は沢山、ご奉仕しましたから……その、ごほうびを、くれませんかぁ?」
――了承の意が伝わる。
同時に触手が服の内側へと滑り込み、ネーアからメイド服を起用に脱ぎさっていく。
あっという間に全裸になった。
人外の快楽を何度も味わったその体は、鼻の曲がりそうな異臭を放ち、汗と涎、精液と性液の
混合液でてらてらと輝いている。
少女から、女性へと移り変わる未成熟な自分の体がここまで汚される事に、
ネーアは倒錯的な快感に震えた。
「ぁん♪」
触手が絡みつき、リードしてくる。
にちにちと粘膜同士を擦れ合わせるような音とともに、体がゆっくりと引きずられる。
194 名前:乙×風【無限の果肉 第八話】 :04/07/16 12:57 ID:QiEwlX+b
白い肉根は一度その身を花弁の中心へと沈め、その真上に、ネーアの体を配置する。
「はあっ、はあっ、はあっ……」
次に訪れる感覚に期待が広がり、息が荒くなる。
えさをおあずけされた、犬の気分だった。
「はあっ! はあっ! はあっ! ……ぁあんっ♪」
歓喜の瞬間が訪れた。
花弁の中心の穴。そこから魔物の白い肉棒が飛び出し、一息に如陰を貫いた。
ネーアの腕とさほど変わらない太さのそれが、肉の洞窟を拡張するように捩じ込んでくる。
(うああああっ、すごい、すごいよう!)
――ずじゅじゅ、ずじゅじゅ、すじゅじゅっ。
姦通の衝撃にわななく間も無く、ピストン運動が始まる。
二度の人外の交合で敏感になった媚肉は、主人のそれで抉られる度に痺れるような快楽を生んだ。
「あン、あン、あン、あン、あン、あンっ♪」
何度も犯され『こなれた』膣内は、その膨大な官能をすぐに受け入れ始め、
痺れるような快感はやがて、脳まで蕩けるような甘い快楽へと変わる。
(これ、これぇ! これがほしかったのっ!)
「もっと、もっと突いてくださいっ! たくさん抉ってくださいぃ!」
細かなピストンが豪快なストロークへと変わる。
女を狂わす多重のエラエラが、ネーアの塾女顔負けの肉ビラを巻き込み、掻き出して行く。
「ああンっ♪ ああンっ♪ ああンっ♪」
(蕩けるぅっ、アソコが蕩けちゃぅっ……気持ちいいようぅ♪)
白い男根の先端が、こじ開けんとばかりに子宮口へと突き込まれる。
膣内の無数の肉ヒダを、揉み洗うように掻き回される。
甘ったるい喘ぎ声と共に、舌を垂れ、糸を引く涎を垂らす。
充血し、限界近くまで割り広げられた舌の口も、魔物の先走りとは別に、
白濁とした本気汁を垂れ流していた。
「ひああんっ!? ああ! そこっ、そこがいいのぉっ♪」
力の入れ加減でたまたまクリトリスの裏側、Gスポットを小突かれ強烈な官能が
体中を駆け回った。その快楽が何度も味わいたくて、自分から腰を動かすようになる。
「うあぁん♪ ああああっ♪」
195 名前:乙×風【無限の果肉 第八話】 :04/07/16 12:57 ID:QiEwlX+b
ピストンにあわせるように、グラインドさせ、腰で淫らな文字を書く。
肉のチューブを掻き回すように「の」の字を描き、広げるように「し」の字を描く。
膣内の粘液と空気が混じり合い、白っぽい泡になって吹き零れる。
(もっと、もっと!)
「ああ、あああっ! はあっ、はあっ♪ はん! あン♪ あン♪ ああンっ♪」
劣情は止まる事を知らない。グラインドするだけだった腰は、ストロークに合わせて、
上下に動く事を覚えた。
じゅじゅじゅっ、じゅじゅじゅっ! じゅくぅぅぅっ、じゅくぅぅぅっ――
時には腰をくねらせ、時には上下させ、貧欲に快楽を貪る。
やがて、
「ああン♪ ああン♪ ああンっ♪ あン♪ あン! あン! あっ、ああっ!」
膨大な快楽の前に体がわななき始め、
「イッちゃう! イッちゃう! わたし、イッちゃう!
ああん! あっ! あン! あっ! あっ、あっ、あっ、あ、あ、あ、あ、あああっ!」
ビクンとその体を震わせて、
「ご、ごしゅじんさまああぁぁぁっっ!!」
アクメを迎えた。
子宮が痙攣し、膣が蠕動する。挿し込められた、肉棒から、いやらしい粘液を搾り取るように。
応えるように白い生殖器が脈打った。
(ああ! 出る! またでるぅ! ごしゅじんさまの、あつくて、濃いせいえきが!)
「だし、だしてぇ、わらしのなかに、たくさん注いでくらさいぃぃっ!」
呂律も回らなくなったネーアに、中出しへの強烈な衝動が湧き上がり、
同時に『性交で開くはずの無い子宮口がその口を開ける』。
人外の快楽を何度も貪ったネーアの体は、既にヒトとしての機能を犯されていた。
そして――
口を開けた子宮口に、大好きな男根の先端、十字の切れ込みが押し入り、
びゅるるるっ! びゅるるるっ!
196 名前:乙×風【無限の果肉 第八話】 :04/07/16 12:58 ID:QiEwlX+b
念願のスペルマを吐き出した。
体内に潜む、『何か』に直接吹きかけるように。
(――――あっ)
「あああぁぁぁぁぁぁああああぁぁぁああああああぁぁぁっっっ♪」
子宮壁と『何か』を直接ビチャビチャと打つ熱い感触に、肉体と本能が、歓喜に震えた。
(すごいっ! すごい! すごいの!)
その、意識が真っ白に塗りつぶされてしまうような激感に、ネーアは涎を垂らしながら
首を振りたくった。同時に、
(おいしい! おいしい! ごしゅじんさまの! すごくっ、おいしい!)
吐き出される粘液を『美味』だと感じてしまう。まるで子宮自体に味覚があるかのように。
「――っ!! ―――っ!! ――♪ ――はっ……あぁ……♪」
絶倫かと思うほど大量の精液を吐き出し終えると、
マタタビを食った猫のように体を弛緩させた。
たっぷり、数十秒かけて息を整えながら、交合の余韻に浸る。
(すご、すごかった……ご主人さま、すごすぎだよぅ。私、壊れるかと思っちゃった……)
そう思いながらも、頬はだらしなく歪み、牝の顔以外の何でもない表情を浮かべている。
その顔が、不意に微笑を浮かべた。妖艶さと優しさ、決して交わる事の無い表情を交え、
微笑んでいた。
(私、今すごい幸せ……)
人以外、いや、自分の新しい主と交わり、その余韻に浸るこの時間が、
人生で最も幸福な時間だった。
「ご主人さま。愛しています」
ふと呟いた言葉に嘘偽りは無い。
世界中の誰よりも強い愛だと思い、
世界中で最も幸せな主従だと思った。
そう思った矢先に、
ビクン――胎内の『何か』が脈動する。
197 名前:乙×風【無限の果肉 第八話】 :04/07/16 12:59 ID:QiEwlX+b
「きゃんっ」
ビクン――再び脈動。
「あんっ、な、なに? こ、これ何ですか? ご主人さま?」
ビクン、ビクン――脈動は止まらない。
だが、不快感は無い。むしろ開放感・快感を伴って、『何か』は脈動を続け――
「あ、」
唐突に、
「あああああぁぁぁぁぁぁああぁぁぁあぁぁあああぁぁぁっっっ!!」
それは、ネーアの体中に、根を張り始めた。
子宮から伸びた肉の根は、子宮壁にめり込み、内臓を文字通り『侵し』ながら、
頭の方へと伸びていく。同時に、その根は太もも筋肉にも侵蝕し、広がっていく。
(……っ!! ……っ!!)
まるで、頭のから指先までを、数え切れないほどのミミズが這っていくような感触だった。
そして、その部分は、人間としての組織から、何かへと変異していく。
痛覚が無くなり、快楽神経に成り代わる。胃が腸が、心臓が、肺が、得体の知れない器官へと
姿を変えていく。
思考が真っ白に塗りつぶされる。
体は絶頂に達した時の様にがくがくと痙攣し、
――否。
(ああっ! ああああっ! しゅ、しゅごいっ!!)
実際に、彼女は、自身の体を人外のモノへと変えられていく感触に背徳的な快楽を覚えていた。
まだ、人間としての機能を留めている器官――子宮が痙攣し、挿入されたままの巨根と
股間の間から泡っぽい愛液を噴出した。
「ああ……っ! あああぁっ!」
恍惚の表情を浮かべているネーアの体を、四つの花弁が包み込む。
まるで、哺乳類の親が生まれたばかりの我が子を愛でるように。
こうして、ネーアは人外へと生まれ変わった。
198 名前:乙×風【無限の果肉 第八話】 :04/07/16 13:00 ID:QiEwlX+b
***
その一部始終を目撃していたレアクトが、ネーアの着替えが置かれた扉の前で、固唾を呑んだ。
(何よ、これっ……何よこれ!?)
ネーアが魔物の封印を解いた、というメライガの言葉も冗談半分で――正確には、面白半分で
聞いていた。それがどういう意味なのか考えもせず、ただ単純に、丁度良い暇つぶしが出来た
と思っていた。
ところがどうだ。
目の前で繰り広げられている、狂気に満ちた光景は何だ。
肉の花に貪られながらも、喘ぎ声を上げているのは、本当にあのネーアか。
喘ぐというより、狂う、と言われた方がまだ説得力のあるそのよがりっぷりに、
レアクトは表情を蒼くした。
面白みなんて欠片も無い。そこにあるのは、心から人間を止めた者だけが味わえる最悪の背徳と、
見るものを不快にさせる、おぞましさだけが有った。
だが、レアクトは何とか理性を繋ぎ止め、魔鏡を使って映像を撮ることには成功していた。
「ああ……っ! あああぁっ!」
ネーアが今まで以上の嬌声を上げると、花弁が閉じ、彼女の体を包み込んだ。
『……もう、戻ってください。十分です』
その手鏡状の魔道具から、メライガの声が響く。
何の脈絡も無く響いたその声に、心臓が飛び出すかと思った。
「そ、そうね……」
何とか平静を装いながら、返事をすると踵を返す。
何故か――後ろ髪を引かれるような錯覚を覚えた。
気のせいだと思いながら、明かりの点いた通路を歩きながら、メライガに問いかける。
「それで、どうするの? あの化け物。まさか放っておくつもりじゃないでしょう?」
むしろ自分達の手に余るのではないかと思う。
「やっぱり、ウラヌス様に報せた方がいいんじゃない?」
『いえ、私達で処理します』
199 名前:乙×風【無限の果肉 第八話】 :04/07/16 13:08 ID:QiEwlX+b
「どうして?」
『元々、彼女が魔物の封印を解くきっかけになったのは私達ですよ?』
「そうなの? ……いえ、そうかもしれないわね」
『ウラヌス様も、私達とネーアの関係には薄々気付いているかもしれません』
「ああ、分かった。この事を話せば、ネーアが封印を解いた事を話せば、
その原因は誰だ、って事になるわけね」
『そうです。これ以上ウラヌス様に疑心を抱かせるわけにはいきません』
「成る程。で? 具体的にはどうするわけ? どうにか出来るの? あんな化け物?」
階段を上りながら問う。メライガは少し沈黙を挟んだ後、きっぱりと言い放った。
『焼き払いましょう。得体の知れないものを片付けるには、これが一番です』
176 名前:乙×風【無限の果肉】人物設定 :04/07/13 11:32 ID:USQl1zRi
138氏の意見に応えて人物紹介です。
登場人物は十人近くと確かに多いですが、四グループくらいに
分けられるので、まずはそこから覚えると分かりやすい?
1、メイド(中立組)
・ネーア(ヒロイン)
屋敷に住み込みながら働くメイドの一人であり、魔物アドニスの母体。
戦災孤児となった所をウラヌスに引き取られ、以後メイドとして働いている。
そんな経緯もあってか、ウラヌスに対して特別な感情を抱いている。
性格は臆病で引っ込み思案。言いたい事が言えないタイプであり、そんな自分に
コンプレックスを抱いている。だがアドニスと交わってからは性格が反転。
・テミス(第七話前編に登場)
メイドとしての経験は浅いが、奉公する事を前提に実家で家事、雑事を
教え込まれていた。エリート的存在。
性格も、プライドが高く、仕事に私欲を挟まないキャリアウーマン。
そして、重度の潔癖症。
・ソーイ(未登場)
元はドジッ娘だったが努力と経験で今ではベテランの眼鏡っ娘メイド。
主に医務を担当をしている彼女は、発情期になったフェルナの『手助け』も
する事がある。
性格はおしとやかで落ち着いているが、実は結構すけべ。
庭師のシレノスに調教され済み。
177 名前:乙×風【無限の果肉】人物設定 :04/07/13 11:37 ID:USQl1zRi
2、メイド(イジメイド三人組)
・ティジフォーン(メイド長。第二話登場)
ウラヌスにぞっこんのオバサン。彼に可愛がられ、そしてよく粗相を
しでかすネーアの事を心良く思っていない。イジメの言い出しっぺ。
それに加え、性格も粘質で腹黒い。見た目は美人。
・レアクト(第一話登場)
ティジフォーンの企みに同調したイジメイドその1。
勝気でさばさばした性格で、口より先に手が出てしまうタイプ。
ネーアの普段の役立たずぶりに、仲の悪いティジフォーン
と共闘する事を選ぶ。
・メライガ(第三話登場)
レアクトと同期のイジメイドその2。
常に無表情で何を考えているか分からない彼女は実は確信犯。
ティジフォーンとレアクトのいがみ合いや、苛められているネーアを
ネタに心の中でほくそえんでいる悪女。
178 名前:乙×風【無限の果肉】人物設定 :04/07/13 11:43 ID:USQl1zRi
3、メイド(年少組)
・フェルナ(第二話登場)
ネーアより随分と先にウラヌスに拾われた犬娘。
最年少だがメイド達の中ではティジフォーンに続くメイド暦の持ち主。
性格は温和で、脳天気だが、年に四回ある発情期に頭を悩ませている。
メイド達の中でも珍しくネーアとは仲が良い。
・コルタス(第七話登場 サイドテール)
レアクト・メライガ組みより後に入ってきた新人双子ロリメイドの妹。
物静かで礼儀正しいが、いつも姉に振り回せれている苦労人。
異性が気になるお年頃で、意外と面食い。奥手でウブ。
・ポリタス(第七話登場 ツインテール)
コルタスの姉。金髪ツインテールのアッパー系であり、トラブルメーカー。
妹のコルタスとフェルナとでロリメイド三人組を結成。非常に仲が良い。
オマセさんで、ネーアとイジメイドの関係を敏感に察知し、独自に調査をしたり。
179 名前:乙×風【無限の果肉】人物設定 :04/07/13 11:54 ID:USQl1zRi
4、野郎キャラ
・ウラヌス(第三話登場)
魔導士ギルド<タイタンズ>の創設者であり、屋敷の家主。
二年前に起こった大戦争で、<タイタンズ>が魔物を軍事利用する事に
反対し、自分が創設した組織から追放された。
温和な性格の持ち主で、朴念仁。
・シレノス(未登場)
ウラヌスが舞台となる屋敷で隠遁生活を始めた頃から仕えている庭師。
庭師になる前までは『大人の道具』を取り扱う商売をやっていおり、
ウラヌスはとある理由で彼の常連客だった。
性格は(見た目や雰囲気も)鬼作やら臭作やらあの辺。助平。
こんなものですか。
ウラヌスとシレノスの関係に関してはやや込み入っているので、
本編中で説明すると思います。
さらに補足(蛇足?)するなら、ウラヌスの性格が性格なので、
戦災に巻き込まれ、行き倒れになった人間を次々とメイドにしています。
(男が少ないのは女運がいいから?)そんな設定があるのでメイド人口
は更に増えるかもしれません。
これ以上名前のあるキャラを増やすつもりはありませんが。
さて、続いて封印部屋の設定もいってみましょう。
180 名前:乙×風【無限の果肉】封印部屋設定 :04/07/13 11:56 ID:USQl1zRi
魔物アドニスを封じ込めた場所で、
屋敷を囲む山林に横から埋め込むように設置された、石造りの部屋。
鉄製の重い扉には錠前が掛けられた上で、鍵はウラヌスとティジフォーンが
管理し、通常メイド達は立ち入る事が出来ない。
中は古くなったソファやベッド、ネーアがへまをして欠損してしまった
調度品を収納する為の物置となっており、壁には燭台が掛けられている。
元々、足の踏み場もないくらいに、汚い場所だったが、
(メイド達を遠ざけるように、ウラヌスがあえて片付けさせなかった)
ネーアを折檻(調教)する際に、中を少し整理し、スペースを確保している。
また、ごみに紛れ、折檻の際に使用する道具も隠してある。
(ただし。病気を懸念し、性器に直接接触させるような道具は本人達で管理)
部屋の中心近くの床には、魔物(アドニス)を封印する為の魔法陣が描かれており、
魔物と、相性が良い(精神面で)女が、この陣に血液を注ぐ事で、
魔物の封印を『仮解放』する事が出来る(第一封印の解放とも言う)。
この女性は『資格者』となり、その後、血液を注がなくとも、
任意で『仮解放』に行えるようになる。
また、一度『仮解放』を行うと、同じ手順でどんな女性でも『仮解放』
を行う事が出来る。
181 名前:乙×風【無限の果肉】封印部屋設定 :04/07/13 12:03 ID:USQl1zRi
『仮解放』を行うと、部屋の奥にある壁が上方へとスライドし、
奥に、魔物が封印された地下へと続く、緩やかな階段が現れる。
その通路には、等間隔に燭台が設置されており、魔物の魔力を強制的に
吸い出す事で灯りを点している。つまり、ネーアが魔物に会う度に、
魔物は徐々に衰弱していく。
二、三分で階段は途切れ、少し歩いた先に、金属製の扉がある。
その足元の地面には、最後の封印を記した魔法陣が描かれている。
この陣に『資格者』が血液以外の二種類の体液を一定量垂らす事で、
扉を開く事が出来る(第二封印の解放)。
二度目以降は『仮解放』と同じ要領で、女性ならば
体液を用意する事で扉を開く事が出来る。又、一度開かれた扉は、
内部に人が居る間、閉まる事はない。
魔物が封印されている地下空間は、魔物自体が伸ばした根で、
天井、壁、床ともに埋め尽くされており、元はただの土であったのを、
魔物の組織の一部へと変異させた。
また、変異した組織は、いたる所から人を発情させるガスを噴出し、
地下空間を満たしている。このガスは通常、第一封印の隠し扉で、
完璧に遮断されているが、『仮解放』を行った瞬間から、徐々に
外へと漏れ出し、屋敷の住人達(特にフェルナに)に、少しずつ
影響を与えている。
封印部屋に関してはこんなところでしょうか。
本来なら本編中で説明するつもりでしたけど、こっちの方が
分かりやすいですね。
さて、第八話後編ですが、上手くいけば今週中に出来上がるかもしれません。
……多分。
<暴露 前編>
(私どうなっちゃうのかな?)
夜の帳も降り、体制の為に一度寝巻きへと着替えたネーアは、
人外との逢引きまでの時間、物思いに耽っていた。
思い出されるのは、昼間の一件。
「私、メライガさん襲っちゃった」
まるで他人事のように呟く。実感が無いのだ。
あの時は、メライガの怪我から流れる血の匂いのせいで、
熱に浮かされたようにぼうっとしていた。
それは明らかに渇望と性的興奮を含んでおり、気が付けば、
抑えられなくなった欲情と飢えに身を任せ、
彼女を押し倒した。
そして彼女の直りかけた傷口をわざわざ広げてまでその血啜った。
(すごく、美味しかった)
その時の味覚が、今でも舌に残っている。
舌に、喉に染み付みついたそれは、まるで上質のワインを飲んだよう。
(また、飲んでみたい。いやらしい音を立てながら、
股を濡らしながら、怯える同僚たちの顔を見ながら)
いつか、ティジフォーンを挑発した時。昼間メライガを押し倒した時のように、
心の中で黒い感情が生まれる。性的興奮すら覚え、子宮が疼く。
気が付けば、口の端を歪め、微笑を浮かべていた。
「あ……」
まただ。
気を抜けば、すぐに自分が自分でなくなってしまうような錯覚を覚える。
正直、昼間ウラヌスを拒絶した事は重要ではない。
すでに自分には心に決めた主人が居るのだ。
昼間の事は、二股をかけているような後ろ暗さを断ち切る為のけじめに過ぎない。
『少なくともネーアはそう思っている』
ベッドに腰掛けながら、きつく自分の体を抱きしめる。
「怖い、怖いよ……」
127 名前:乙×風【無限の果肉 第八話】 :04/07/07 11:26 ID:g894VvQB
(でも、それも少しの辛抱だよ)
もう少で『いつもの時間』を迎える。
それは、自分をこの世のしがらみから解き放ってくれる。
圧倒的な快楽と、心休まる温もりと、これ以上無い幸福を与えてくれる。
新しい主人に奉公する事が出来る。
新しい主人は人ではないけれど、そんな事はどうでもいい。
主と従者。そのどちらもが満たされるのだから。
――どくんっ。
子宮の中に棲む『何か』が脈動した。
時間だ。
はやる気持ちを抑えながら、制服へと着替える。
そして滅多にしない化粧をする。
今日は、御主人様にとびっきりのご奉仕をするのだ。
身だしなみには余念が無い。
着替えも化粧も終わると、小さな籠に、予備のメイド服をたたみ入れる。
準備は出来た。部屋から出ると鍵を掛ける。
「今行きますね御主人様」
手には籠を、懐には鍵を。
慎ましい笑顔を浮かべながら、それがたしなみであるかのように静かに歩く。
その内側に狂気と劣情を秘めながら。
***
「動き出したわよ」
『分かりました。ティジフォーン様と合流して、集合場所に向かいます。
そちらも速やかに移動を』
「はいはい――便利ねこれ」
レアクトはつい今しがたまで、『メライガの姿が映っていた』手鏡のような
物を見つめた。掌サイズで長方形のそれは、メライガが『現場の映像』を記録し、
物的証拠にする為に用意した魔道具だった。
128 名前:乙×風【無限の果肉 第八話】 :04/07/07 11:28 ID:g894VvQB
「二枚あればこうやって、連絡も取り合えるのね」
(メライガってこういう怪しい道具どれだけ、持ってるのかしら?)
蠢く張り型。護身用の魔石。映像を記録する手鏡。きっとそれだけではないだろう。
「まあ、どうでもいいわよね」
今は。この魔法の手鏡を使って、ネーアの弱みを握る事が先決だ。
(まあ、弱みを握るってのも今更って気がするけど……やっぱり物的証拠があった方が
説得力があるしね)
レアクトは声を忍ばせて笑いながら部屋を出た。
ネーアのどんな痴態を記録しようかと、想像を膨らませながら。
***
ネーアは胸を高鳴らしながら、金属製の扉を開けた。
前回のように力任せに開けたりはしない。扉の向こう側は完全な漆黒。
その中へと躊躇なく足を踏み入れる。
『折檻』をされていた時の事を思い出す。
あの時は惨めで寂しくて、静寂が暗闇が怖かった。
扉をゆっくりと後ろ手に閉める。
月の光さえ遮られ、小さな密室は暗闇で包まれた。
その中で、ネーアの両目が赤く、血のように赤く輝いている。
――暗闇も、静寂も、怖くはなかった。
だが、それらが好きな訳ではない。
今のネーアは、暗闇よりも太陽の光を、
静寂よりも、卑猥な粘着質な音を、望んでいる。
部屋の中心へと歩み、封印を開放する。
赤い光が溢れ、室内の蝋燭に明かりが灯る。
正面の壁が上方へとスライドする。
ごうん。振動と共にスライドが止まり、ネーアの子宮を振るわせる。
「……はぁ……はぁ……」
途端に、あの嗅ぎ慣れた花のような匂いが流れ込み、ネーアの体と心を犯す。
パブロフの犬のように、愛液が吹き出る。
129 名前:乙×風【無限の果肉 第八話】 :04/07/07 11:29 ID:g894VvQB
「……はぁ……ぁんっ」
既に、乳首が勃起しており、歩く度に胸に快楽が弾けた。
パタタッ――紋様の中心に、吸水量を超えた愛液が滴り落ちた。
ふと、思う。
(――御主人様。喜んでくれるかな)
今日は、いつも『可愛がってくれる』御主人様の為に、おめかしをして来たのだ。
化粧をして、勝負下着を着て、制服を着たままご奉仕するのだ。
(きっと、喜んでくれるよね?)
初めてのデートに喜ぶ少女のように、顔を綻ばせる。
だが、ぼんやりとする意識の中で、ネーアは気付いていない。
綻んだ顔は、妖艶な笑みを浮かべている事に。
乙女のような心の奥底に、狂気とも言える劣情が潜んでいる事に。
「御主人様ぁ……」
うわ言のように呟きながら、階段を降りる。
思考に、徐々に霞が掛かっていく中、ブラの下地に擦れた乳首から、
断続的に発生する官能に足元がふらつく。
甘く痺れるような快楽に脳が蕩け、表情が蕩け、だらしなく口が半開きになる。
いつしかネーアは。地面に点々と、愛液の足跡を付けていく。
そして、眼前に現れた、主人を封印する扉の傍に、籠を置くと、
めくるめく快楽と背徳の扉を開いた。
「はぁっ……はぁっ……んっ……はぁっ……」
これ以上無い背徳的で淫らな期待に胸が壊れたように高鳴る。
息を荒げながら歩く彼女の目は、劣情に潤み、あどけなさを残す顔には、
妖艶な笑みを浮かべている。
自己主張した乳首が発する官能に股を濡らしながら、肉と臭気で包まれた
淫靡な空間を渡り歩く。そして――
「御主人様?」
主の下に歩み寄った、メイド姿のネーアが首を傾げる。
130 名前:乙×風【無限の果肉 第八話】 :04/07/07 11:30 ID:g894VvQB
目の前には甘酸っぱい匂いを放つ、肉色をした巨大な花のつぼみがある。
それは従者が来たにも関わらず、ぴくりとも動かなかった。
(……? どうしたんだろう?)
言いようの無い不安感に襲われる。
背筋に嫌な予感が走り抜け、淫欲に染まっていた思考をある程度正常化した。
(……そう言えば)
辺りを見渡し、異変に気付く。
昨日、一昨日と、視界が濁るほど魔の花は淫臭を吐き出していたが、今日はそれがない。
屋敷と同じほどの広さを持つこの空間の隅から隅まで見渡す事が出来る。
そして、地面で脈打っている血管のような、魔の花の根にも動きが見られない。
歩く毎に粘着質な音を立てながら、糸を引いた地面は、湿った程度しか濡れていない。
(ひょっとして、何かの病気じゃ)
「……御主人様……」
胸の中の不安が急速に膨らむ。それを振り払うように、つぼみの胴に、額を押し付けた。
(……大丈夫ですか?)
――返事は無い。
(今日はもう、お休みになられますか?)
このまま帰れば、溜めに溜めた劣情に、気が違えてしまうかもしれない。
それでも、正気に戻ったネーアには主人の体の方が大事だった。
そして――
『シンパイ、スルナ』
思考に直接割り込むような声。いや、それは声というよりも、抽象的で、あやふやな『意志』。
これは『心配するな』という意図を、ネーアが感じたに過ぎない。
だがそれは、淫らな従者とその主は、より正確な意思疎通を可能としていた。
「御主人様? 大丈夫ですか?」
応えるようにつぼみがゆっくりと開いていった。
途端に、鼻腔内に流れ込んで来る、濃厚な香り。
(んぁ……)
その匂いに、理性が性的興奮に取って代わっていく。
131 名前:乙×風【無限の果肉 第八話】 :04/07/07 11:32 ID:g894VvQB
(あ……私、どきどきして……)
いつものように十二本の触手を伸ばし、体を絡め取り、中心部へと運ぶ。
「はあ……はあ……はあ……」
いつもの『指定席』に下ろされた時、興奮に息を荒げていた。
興奮と比例し、思考に靄が掛かっていく。その中で、ふと思い出した。
「御主人様、私、今日、同僚の人を襲っちゃいました」
ぞわぞわと動いていた触手がその動きを止める。
「その人、怪我をしてて、右手の親指から、血を流したんです。そしたら私、
その匂いを嗅いで、ものすごく興奮して、怪我を治す、って『心にも無い事を言って』
連れ出して。そしたら偶然、前の御主人様に会って。その人と決別して。
それはけじめだから、何の憂いも無いはずなのに。ただすっきりするはずなのに。
私、どうしてか凄く悲しくなって。心がどろどろに溶けて。気が付いたら……
気が付いたら、私、その子の事。押し倒してたんです」
不安と興奮がごちゃ混ぜになって、わけが分からなくなってくる。
悲しいのか嬉しいのか。不安か、期待か。
「それからは、自分の事、抑えられなくなって。その子の血を、沢山啜りました。
それがすごく、すごく美味しかったんです。今思い出しても、胸が高鳴ります。
――私、どうしちゃったんですか? どうなるんですか?」
『オソレルナ』
「あ……」
ゆっくりと包み込むように、触手達がネーアの体に絡みつく。
粘る体液でメイド服をべとべとに汚しながら、そのうちの一本が、頬を濡らす涙を
優しく拭い、粘液の糸を引く。
だが、ネーアの心はそれだけで安らぎを得られた。
飼い犬が甘えるように、涙を拭った触手に頬をすり寄せ、自ら粘液を広げる。
『ウケイレロ』
その言葉は――意思はまるで麻薬。思考を犯し、心を酔わせる。
もう、不安は無かった。あるのは主人への絶対の信頼と、そして心温まる幸福。
「……はい。御主人様ぁ……」
従者の体をいたぶる為、ざわざわと触手が蠢き始める。
『……アト、スコシダ』
132 名前:乙×風【無限の果肉 第八話】 :04/07/07 11:33 ID:g894VvQB
その言葉(意思)が何を意味するのか、ネーアには分からなかった。
***
そして、三人のメイドが『折檻部屋』の目前に集った。
「では、不埒な娘に引導を渡しに行きましょう」
「そうね、もったいぶる理由もないしね」
メライガも無言で頷く。
レアクトが扉に手を掛け、思い切り開け放つ――
「――あら? 鍵が掛かってる」
「お退きなさい!」
ティジフォーンがレアクトと入れ替わり、手に持った鍵を鍵穴に差込み、回す。
がちょん、と高い音を立てて鍵が外れる。
同時にレアクトが扉を開け放つ。
立て続けにメライガが例の手鏡を手に持ち、部屋の中へと滑り込んだ。
「……っ?」
踏み込んだメライガが息を呑む。
「観念しなさいネーア! これで貴方も――って誰も居ないじゃない」
「ど、どういう事です!?」
予想外の出来事にティジフォーンが取り乱す。
「落ち着いてください、ティジフォーン様」
「これが落ち着いていられますか! ――さては貴方達、この私を謀りましたね!?」
(半分辺りです)
メライガが内心でほくそ笑む。
「そんな事して誰がどんな得をするって言うのよ?」
げんなりとした口調でレアクトが抗議した。
「そんな事を言ながら、内心では二人で私の事を嘲っているのでしょうっ。
『この姑女』と!」
「化けの皮が剥がれたわね」
元々仲の悪い二人だ。今までは目標をネーアに絞る事で衝突を避けていたが、
久方振りに罵り合う。それを尻目に、メライガは一人考えていた。
133 名前:乙×風【無限の果肉 第八話】 :04/07/07 11:35 ID:g894VvQB
(明かりは、灯っている。レアクトが嘘をつく理由は――今の所考えられません。
となると、ネーアは確かにここに来た、という事になります)
ではどこに行ったのか。さらに思考しようとした所で、地面の異常に気が付いた。
「……これは」
部屋の中心に、ぼんやりと赤く輝く紋様がある。メライガは屈み込み目を凝らした。
蝋燭の炎に紛れて、気付かなかったが、確かに光っている。
(何かの魔法陣……でも最後に来た時、こんなものは無かった)
今でも暇を見ては蓄えている魔導の知識を総動員して、魔法陣の意味を解読する。
(第三……封印……血……資格……闇……乙女……第二……封印……同資格……淫液)
嫌な予感がする。誇りを払い、更に読み込んだ。
(第一……封印……神位……呪文……ウラヌス!?)
これは、最悪の事態ではないのか。
(……封印されし……花の魔物……侵す……人の心……体……匂い)
「メライガさんっ。貴方もこの礼儀知らずに何か言っておやりなさい!」
「ちょっとメライガ。このババア何とかしてくれない? さっきから
きんきんとうるさく……メライガ? 何してんの?」
(第三……封印……必要……他者……ここからは補足ですか)
「ふう……」
(嫌な予感が的中しました。成る程、それならネーアの変化も理解出来る)
この時、メライガはようやく理解した。すでにネーアが人としての有り方を
侵されたという事を。
異常な力。食欲の減退。過剰なまでの水分摂取。香水のような体臭。
全て、『これ』が原因だった。
「ちょっとメライガ? 聞いてる?」
「何ですか?」
「何ですかはこっちの台詞よ。どうしたのよ?」
「ネーアの居場所が分かりました」
「何ですって!? どこです!? 言いなさい! 隠すと為になりませんよ!」
「その前に。知ってしますか。ここにはウラヌス様に封印された魔物がいる事を」
「それくらい知っています」「それくらい知っているわよ」
134 名前:乙×風【無限の果肉 第八話】 :04/07/07 11:36 ID:g894VvQB
「そういう事です」
呆気に取られた顔をするティジフォーンとメライガを尻目に、昼間怪我をした
左親指の傷口に歯を当てた。
「……っ」
顎に力をいれ、傷口を噛み切る。傷口からは血の玉が浮かび上がり、
親指を伝って爪先まで垂れてきた。
「メライガ、何をやって、」
「今に分かります」
手首を振り、血を払い落とす。払われた少量の血は、紋様の上に落ちて、
突如地面が赤く発光した。
『!?』
異変はそれだけに止まらない。石臼を使った時のような重い音を立てながら、
奥の壁が上方へとスライドしていく。
「メライガさん! これは一体どういう事ですか!?」
「事態は私達が思っていた以上に深刻だという事です」
ごうん、と一際大きい音を立てて、スライドが停止した。
「遠まわしな言い方は止めてくれない? はっきりと言ってよ、はっきり――
――ちょっとやだ。何よこの匂いっ……?」
ぽっかりと口を開けた通路の奥から流れこんでくる、甘酸っぱい匂いに、
レアクトが眉をしかめる。
メライガはその匂いに覚えがあった。
昼間、ネーアが放っていた体臭と同じものだ。
「……現状を説明します。ネーアが、封印されていた魔物を開放しました」
「冗談でしょ!?」「それは本当ですか!?」
「この壁の仕掛け――第三の封印を私でも解除する事が出来ました。
『資格者』が一度封印を解いた証拠です。それでも信じられないというならば、
見に行きましょう。百聞は一見にしかずです」
ティジフォーンが息を呑む中、レアクトが鼻を鳴らした。
「面白そうじゃない。私行くわよ」
「どちらにせよ貴方に様子を見に行ってもらうつもりでした」
「何その言い方? 行くのは私だけ?」
135 名前:乙×風【無限の果肉 第八話】 :04/07/07 11:38 ID:g894VvQB
「はい、今のネーアは獣のように敏感です。三人より一人の方が良いでしょう」
「ふうん。まあ良いわ。例のアイテムを使ってそっちに様子を
送れるわけだしね。じゃあ早速、行って来るわよ」
レアクトが背を見せ、明かりの点いた緩やかな階段を下りていく。
「一つ注意を。この匂いには人の精神を狂わせる効果があるようです。
どんな事があっても気をしっかりと持ってください」
レアクトが背を向けたまま手を振った。
レアクトの姿が遠ざかり、自動的に隠し扉が音を立てて閉じる。
「――まさか」
何かを考え込むような仕草をしていたティジフォーンが、唐突に呟いた。
「どうかしましたか?」
「メライガさん。貴方は確か、ネーアがウラヌス様とは別の誰かと付き合っている、
そう仰いましたね?」
「そうです」
口からのでまかせのつもりだったが。それは事実になるつつある。
「なら、その相手というのは」
ティジフォーンが壁の向こうを見つめる。その向こう側で蠢く、化け物を見るように。
「――そうなのでしょうね」
ティジフォーンの言わんとしている事を汲み取り、同意する。
(正直、そのような事は信じられませんが。元々落ちるところまで落ちていた娘です。
ネーアなら人間外の生物と肉体的な関係を持っても、何ら不思議はありません)
「事と次第によっては。面白いものが見れるかもしれませんよ」
そう言って、メライガは嗜虐的な笑みを浮かべた。
186 名前:乙×風【無限の果肉 第八話】 :04/07/16 12:50 ID:QiEwlX+b
<暴露 後編>
「あんっ、ちょ、待って下さい、御主人様。今日は、その、私にご奉仕させて下さい」
スカートの裾から、袖口から、襟元から進入しようとする触手に喘ぎながら、
主におねだりをする。
「私、昨日も、一昨日も、御主人様にばっかりしてもらって、あんっ、
『メイドらしい事』一つも、あんっ、してないじゃないですか……だから……」
触手達の動きが止まった。服の内と外でのたうっていた触手が
濡れた音を立てながらネーアから離れていく。
「ん……ありがとうございます」
――と、目の前で怪しく揺らぐ十二本の触手が、螺旋状に絡まっていく。
三本の触手が束なり、あの巨大な生殖器と同等の大きさになる。
それが三本。ネーアの前で姿をなした。
(……あれ?)
だがこの触手は、合計で十二本ある筈だ。ネーアは首を傾げ、
「きゃんっ」
突如、服の中に滑り込んできた三本の触手に嬌声を上げる。
「ああんっ、もう、ご主人さまあっ」
抗議の声を出すが、体は正直だ。ブラの上から優しく二つの膨らみを
マッサージされ、下着の上から縦皺をゆっくりと撫でられると、
全身を甘ったるい快楽で満たされてゆく。
(ああ、ご主人さま、じょうずぅ……)
「――きゃっ」
一人快楽に脳を焦がしていると、目の前の触手が鼻先を突付いた。
「ん、ごめんなさい、ご主人さま」
お詫びにと、触手に自ら顔を寄せ、三つの先端についばむようなキスをした。
お返しとばかりに、それらが口を開け舌を伸ばす。
やがて、ネーアの舌と触手達の伸ばす舌が絡み合う。
「チュッ……チュッ……チュバッ……チュルルッ……」
(ああ、ご主人さまの涎、あまくて、あんっ、おいしいよぅ)
寄ってたかる三本の舌から、粘液を啜り取るように口をあけ舌を動かす。
「チュルルッ、チュルルッ……ぷあっ」
187 名前:乙×風【無限の果肉 第八話】 :04/07/16 12:51 ID:QiEwlX+b
伸ばされた舌がゆっくりと引いていく。
「はあっ、はあっ、はあっ、――ぁん」
三本の繊毛触手とディープキスを交わしたネーアの顔は、
お互いの体液でべとべとになり、鼻腔の中が女の性臭と花の香りでいっぱいになる。
(あはぁ……いいにおい……)
「はあ、……あん……あむ……」
暴走する性欲に任せて、先程濃厚なキスを交わした螺旋触手をくわえ込む。
成人男性のペニスより遥かに太いそれは、ネーアの口内に捻り込むように入り、
その中で繊毛を展開する。
「んっ!……んむうっ! んじゅっ! んじゅっ! んじゅっ!」
顎が外れてしまいそうな錯覚を受けながらも、懸命に頭をピストンさせる。
(んん、すこし……くるし……)
だが我慢しなければ、今は主人にご奉仕をしているのだ。これくらいで、
根を上げていられない。
(ご主人さま、きもちいいですか)
――――――
脳内に『肯定』の意思が流れ込んでくる。
きゅうっ、と胸から嬉しさがこみ上げてきた。
(わたし、もっと、がんばります)
フェラチオを続けながら、開いた両手で残り二本の螺旋触手を掴む。
そしてぎこちながらも手コキを始めた。
――ジュッ、ジュッ、ジュッ、ニチャニチャッ――
「んじゅうっ! んじゅっ! ヌプッ! ヌプッ!」
二本の手と口、それらがグチュグチュニチュニチュと淫らな音を奏でる。
その粘着質の音を聞く度に、ネーアの中の牝が際限なく高められていく。
息苦しさにも慣れ、鼻でフンフンと犬のように息をする。
するとすけべな匂いまでも一緒に取り込んでしまい、更に興奮する。
淫らなループを繰り返すたびに――
口内で暴れる繊毛達が舌を伸ばし、歯茎や舌を舐めしゃぶる感触や。
手の中でのた打ち回る螺旋触手が、びくびくと脈打つ感触が敏感に感じ取れる。
188 名前:乙×風【無限の果肉 第八話】 :04/07/16 12:52 ID:QiEwlX+b
(ご主人さま、ぴくぴくしてる……はあっ♪ きもちいいんですね♪)
服の中からネーアを弄ぶ細い触手も、その動きを活発化させ、
ネーアの下着と裸身に、狂ったように粘液を塗りたくっていく。
メイド服が奇妙に捩れ、膨らみ――這い回る触手の動きを淫らにトレースした。
――ニチニチッ! ジュプッ! クチュクチュクチュッ!
制服の内と外からは――何千ものミミズがバケツの中でのた打ち回るような、
信じられないほど淫らな粘着音が響いてくる。
「んぷんぷっ! んーっ!」
(ご主人さまっ、ご主人さまっ)
胸と股間から流れ込んでくる燃えるような快楽に体がわななく。
思考力などとうに消え失せ、肉のトンネルが湯気立つような濃い牝汁を搾り出す。
高まった劣情と快楽にネーアの子宮が絶頂の予感に震え――
そして、ネーアがオルガズムに達する直前。
十二本の触手達が一斉にその先端を弾けさせた。
(ああ、でるぅ、でてくるっ! ごしゅじんさま! ごしゅじんさまぁっ!)
――びしゅっ! びしゅっ! びびしゅっ! びしゅびしゅびしゅっ!
「んーーっ!」
口内の触手が喉の奥へと粘液をぶちまける。
右手でしごいていた触手が顔面へとあますことなく吐き出す。
左手の触手は直前で三つに別れ、メイド服を汚し、
服の中で三本の触手が粘液を飛び散らせる。
「んく……んく……こく……あはぁ……」
(苦ぁい、ご主人さまの、精液の味がするぅ♪)
嚥下した粘液はキスの時とは別物らしい、苦しょっぱい味する。
(それに、このにおい、ああん、くさくて、あたま、くらくらするよう)
「はあっ、はあっ、はあっ……うわあ」
主の射精を受けるため閉じていた目をゆっくりと開けると、メイド服の上で
大量の白濁液が糸を引いていた。細い触手からも、精液を出せるらしい。
(あはっ♪ お洋服の外も、中も、すっごいベトベトォ♪
頭から、バケツに汲んだ精液を、かぶったみたい♪)
189 名前:乙×風【無限の果肉 第八話】 :04/07/16 12:52 ID:QiEwlX+b
身じろぎするだけで体中からニチャニチャと水音を発し、粘液に濡れた服が
肌に張り付いてくる。と――
「あんっ」
突如触手が動き出し、体の内と外の大量の粘液をこね回し、
肌と服へとすりこんで行く。
「あ、あンっ……もうっ、ごしゅじんさまぁ、私、自分でしますぅ」
オルガズムに達しそこねた、興奮しきったネーアには
その発言がおかしいとも思わない。
(あはぁ、ねちゃねちゃしてるぅ……♪)
ネーアには顎から垂れ落ちる精液を掌で受け、手の中で糸を引いてそれを弄ぶと、
「はあっ、はあっ、はあっ……! ん……っ」
伸ばした粘液をリップした唇の上から塗りつけ、
睫毛から垂れている粘液をすくい、アイラインに、頬に塗りつけていく。
(わたし、すごい、おかしなことしてるっ……!)
そのあまりにも変態的で背徳的な行為に、ぞくぞくと総毛立つ。
「あっ、あっ、あンっ!」
ネーアが自らの顔に淫らな化粧を施している間。
触手達は一斉に服の下へと潜り込み、ネーアの肌にぶちまけた白濁液を
伸ばし、揉み込んでいく。
体中から、塗り広げられた精液が、女を狂わせる青臭い匂いを放つ。
(ああ、だめっ……! もっと、もっとエッチな事、したいっ!)
「ご主人さまぁ、アソコに、ご奉仕させてください……
わたし、いい事考えたんです……」
精液でべとべとになった顔に微笑を浮かべる。
触手達がネーアから離れ、ネーアも邪魔にならぬよう花の中心から、
花弁の方へと動いた。
――ジュヌヌヌヌヌッ。
空気と粘液が掻き回される音と共に花の中心から乳白色の巨大生殖器が現れる。
(ああ、ご主人様の、いつ見ても、ドキドキする……)
その太さに、色に、形に、強烈な匂いに、頭が痺れてくる。
『ドウスル?』
190 名前:乙×風【無限の果肉 第八話】 :04/07/16 12:53 ID:QiEwlX+b
「ネーアのお胸を使って下さい、と言いたい所、なんですけど……
私、胸、あまり大きくありませんから、こっちで……」
スカートを結び目のある腰までたくし上げる。
スカートの下から、ネーアの生足と黒い柄物のガーダー付きソックス。
そしてそれとお揃いの、下着が現れた。
今日の為にと用意した勝負下着だったが、例外なく主の粘液に白く汚れている。
ショーツに限っては、ネーア自身が搾り出した牝の汁のせいで、
意思を持ったかのように蠢く大陰唇にべったりと張り付き、透けていた。
花弁に仰向けに寝転がると股を開く。
「お股と、手と、口でご奉仕します」
ガーターをずり下げ、股に張り付く下着をずり下げる。
ぬちゃぁ。
淫裂から溢れ出していた汁が、下着とワレメの間に長く、太く、濃い、
スケベな糸を引く。
(や、わたし、こんなに、ぬれて)
羞恥心に頭が真っ白になり、一瞬後にそれは背徳という快感に取って代わる。
「……さ、ご主人さま。ネーアのお股を使って下さい」
男を誘うように股を開ける。淫らな期待に陰部が蠢き、じゅく、と汁を垂らした。
魔物が意を汲み取り、そのグロテスクな生殖器の胴体を、ネーアの股へとあてがう。
にち、と淫らな接触音。
「ぁんっ」
思わず鼻にかかった声を出してしまう。
(だ、だめっ、ご奉仕、しないと)
生殖器を挟み込むように股を閉じる。
(あぁ、ご主人様の、ぴくぴくしてる)
その熱さに、太さに、形に、興奮する。
「はあ……はあ……あの、ご主人さま、動いて、いいですよ――あンっ!?」
生殖器が動く。従者の媚肉を味わうように、肉の密着点をゆっくりストローク
していく。
くち、くち、くち、くち、くちっ。
「あ、あ、あ、あ、あンっ」
191 名前:乙×風【無限の果肉 第八話】 :04/07/16 12:54 ID:QiEwlX+b
(あぁっ、エラがわたしのおま○こ、絡み付いてっ、めくってっ)
乳白色の性器が閉じられた内股をスライドする度に、にちにちと音を立てて、
表面の凶悪な多重エラが女の肉土手をごつごつとまくり上げ、抉って行く。
肉の愉悦が弾け、下半身がびりびりと痺れる。
「あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、あっ――あぁ?」
細い触手が、たしなめるようにネーアの顔を叩く。
(あぅ。いけない……わたしも、しなくちゃ)
にちにちっと音を立てて眼前に突き出てくる巨大な性器に脳を痺れさせながらも、
ほうきでも持つように、両手で握った。
(あ、ご主人さまの、びくびくしてるぅ……)
胴に垂れ流れてくる粘ついた白濁液の感触を楽しみながら、手に触れた主人の一物
その巨大さ、存在感に惚れ惚れする。
「ご主人さまぁ、ああぁっ、今、あうんっ、気持ちよく、してあげますねぇ」
従順な気持ちに満たされると、そのまま、主のストロークとは逆方向に扱く。
にちちちちちちっ!
淫らな擦過音が二倍になる。
「はあっ、はあっ、はあっ!」
淫裂を擦り上げられ、快楽に脳と下半身を蕩けさせながら、懸命に両手を動かす。
性器を押し進められれば、根元へと手を動かし、引けばこちらも引く。
擦りたてた巨大な陰茎が、陰部がより強い性臭を放ち、
ネーアの理性をこそぎ落としていく。
粘着音を立てながら、何度も何度も眼前に突き出される生殖器の先端、
その十字の切れ込みを間近で眺めると。その先端から垂れ流される白濁とした
粘液のイカ臭い匂いを嗅ぐと、どうにかなってしまいそうになる。
「はあんっ、はん、はあっ! ――んちゅうっ」
いつしかネーアは、眼前に突き出されるその先端に、口付けをしていた。
精液でリップした幼い唇が、異形の先端に一瞬密着し、尿道の液体を啜る。
(んはあ……おいしい)
生臭さとエグ苦さが口の中で広がり、恍惚とする。
にちゃちゃちゃちゃちゃちゃっ!
「あうんっ」
192 名前:乙×風【無限の果肉 第八話】 :04/07/16 12:55 ID:QiEwlX+b
生殖器が口から離れ、愛液と精液でぐちょぐちょになっている女淫を擦りたてる。
扱いている手が、跳ねた粘液で白く穢れた。
そして休む間も無く、せり上がってくる巨根。
「ああっ、ああっ!?」
喘ぎながらも先端に口付けをする。
すぐに引き込み、ネーアを快楽で満たす。
その淫らなループを何回もすると、互いに限界を迎えた。
(んっ! ご主人さまの、ビクビク震えてっ! ああっ、私も、わたしもっ!)
突き込むように口内の中に捻り込む主人のそれを、甘噛みしつつ、思い切り吸す。
白い肉が弾けた。
びゅるぅっ! びゅるぅっ!
「んんっ! んんんっ!」
音を立てて吐き出される白濁液を反射的に嚥下していき、
「んんん! ……ぷあっ!」
飲みきれなくなると向こうから生殖器を引き抜き、
精液化粧の施されていたネーアの顔の上から更に粘液を吹きかける。
(熱いっ、ご主人さまの熱くて! ああん! あそこが、ぐちぐちってめくれてっ!
あんっ! おまたがっ、たくさんこすれて! お、お豆さんがごつごつ当たって!
あああああああぁっ………)
「あああああぁぁぁんっ♪」
先程の奉仕の時よりも熱く、濃く、臭い、異形のスペルマが、
髪に、顔に、襟元に、服に、ぼたぼたと音を立てて全身を汚していく感触に、
ネーアは絶頂を迎えた。
体が痙攣し、白い肉と又の隙間から、牝の汁が飛び散った。
「はあ! はあっ……はぁぁぁん♪」
呼吸を整え、脳に酸素を回す。
(あはあ♪ すごい匂いぃ♪ いままでで一番、臭いよぅ……)
「ああ、見てくださいぃご主人さまぁ。おめかしてきた服、ご主人様ので
どろどろになっちゃいましたぁ」
193 名前:乙×風【無限の果肉 第八話】 :04/07/16 12:56 ID:QiEwlX+b
スカートを胸元までたくし上げられたワンピースはエプロンともども
黄色っぽい精液でぐちょぐちょに汚れ、皺の隙間に栗の花の匂いを放つ小さな池溜まりが
できている。
そしてそれに負けないくらい、欲情した牝の匂いが濃くなってきた。
(や、わたしのも、凄く匂うよぅ)
その匂いに羞恥と興奮を覚えながら目線を自分の体から外す。
目の前に未だ衰えを見せない主人の物があった。
「……あ、ご主人さま、まだ、こんなに」
(こんなに出したのに、すごい)
「はあ……はあ……はあっ」
気が付けば欲情している自分が居た。
(そういえば、今日は、まだ中に出してもらって無い)
それを自覚した瞬間、胎内に潜む何かが蠕動した。
「はあっ、はあっ、はあっ!」
同時に性欲のボルテージが高まる。
飢えた獣が獲物を目前にした時の様に、気持ちが高ぶる。
(セックス、したい!)
体中に吹きかけられた、この生臭い汁を、今度は子宮の中にぶちまけられたい。
「ご主人さまぁ♪」
自分でも驚くくらいの猫撫で声が出た。
「今日は沢山、ご奉仕しましたから……その、ごほうびを、くれませんかぁ?」
――了承の意が伝わる。
同時に触手が服の内側へと滑り込み、ネーアからメイド服を起用に脱ぎさっていく。
あっという間に全裸になった。
人外の快楽を何度も味わったその体は、鼻の曲がりそうな異臭を放ち、汗と涎、精液と性液の
混合液でてらてらと輝いている。
少女から、女性へと移り変わる未成熟な自分の体がここまで汚される事に、
ネーアは倒錯的な快感に震えた。
「ぁん♪」
触手が絡みつき、リードしてくる。
にちにちと粘膜同士を擦れ合わせるような音とともに、体がゆっくりと引きずられる。
194 名前:乙×風【無限の果肉 第八話】 :04/07/16 12:57 ID:QiEwlX+b
白い肉根は一度その身を花弁の中心へと沈め、その真上に、ネーアの体を配置する。
「はあっ、はあっ、はあっ……」
次に訪れる感覚に期待が広がり、息が荒くなる。
えさをおあずけされた、犬の気分だった。
「はあっ! はあっ! はあっ! ……ぁあんっ♪」
歓喜の瞬間が訪れた。
花弁の中心の穴。そこから魔物の白い肉棒が飛び出し、一息に如陰を貫いた。
ネーアの腕とさほど変わらない太さのそれが、肉の洞窟を拡張するように捩じ込んでくる。
(うああああっ、すごい、すごいよう!)
――ずじゅじゅ、ずじゅじゅ、すじゅじゅっ。
姦通の衝撃にわななく間も無く、ピストン運動が始まる。
二度の人外の交合で敏感になった媚肉は、主人のそれで抉られる度に痺れるような快楽を生んだ。
「あン、あン、あン、あン、あン、あンっ♪」
何度も犯され『こなれた』膣内は、その膨大な官能をすぐに受け入れ始め、
痺れるような快感はやがて、脳まで蕩けるような甘い快楽へと変わる。
(これ、これぇ! これがほしかったのっ!)
「もっと、もっと突いてくださいっ! たくさん抉ってくださいぃ!」
細かなピストンが豪快なストロークへと変わる。
女を狂わす多重のエラエラが、ネーアの塾女顔負けの肉ビラを巻き込み、掻き出して行く。
「ああンっ♪ ああンっ♪ ああンっ♪」
(蕩けるぅっ、アソコが蕩けちゃぅっ……気持ちいいようぅ♪)
白い男根の先端が、こじ開けんとばかりに子宮口へと突き込まれる。
膣内の無数の肉ヒダを、揉み洗うように掻き回される。
甘ったるい喘ぎ声と共に、舌を垂れ、糸を引く涎を垂らす。
充血し、限界近くまで割り広げられた舌の口も、魔物の先走りとは別に、
白濁とした本気汁を垂れ流していた。
「ひああんっ!? ああ! そこっ、そこがいいのぉっ♪」
力の入れ加減でたまたまクリトリスの裏側、Gスポットを小突かれ強烈な官能が
体中を駆け回った。その快楽が何度も味わいたくて、自分から腰を動かすようになる。
「うあぁん♪ ああああっ♪」
195 名前:乙×風【無限の果肉 第八話】 :04/07/16 12:57 ID:QiEwlX+b
ピストンにあわせるように、グラインドさせ、腰で淫らな文字を書く。
肉のチューブを掻き回すように「の」の字を描き、広げるように「し」の字を描く。
膣内の粘液と空気が混じり合い、白っぽい泡になって吹き零れる。
(もっと、もっと!)
「ああ、あああっ! はあっ、はあっ♪ はん! あン♪ あン♪ ああンっ♪」
劣情は止まる事を知らない。グラインドするだけだった腰は、ストロークに合わせて、
上下に動く事を覚えた。
じゅじゅじゅっ、じゅじゅじゅっ! じゅくぅぅぅっ、じゅくぅぅぅっ――
時には腰をくねらせ、時には上下させ、貧欲に快楽を貪る。
やがて、
「ああン♪ ああン♪ ああンっ♪ あン♪ あン! あン! あっ、ああっ!」
膨大な快楽の前に体がわななき始め、
「イッちゃう! イッちゃう! わたし、イッちゃう!
ああん! あっ! あン! あっ! あっ、あっ、あっ、あ、あ、あ、あ、あああっ!」
ビクンとその体を震わせて、
「ご、ごしゅじんさまああぁぁぁっっ!!」
アクメを迎えた。
子宮が痙攣し、膣が蠕動する。挿し込められた、肉棒から、いやらしい粘液を搾り取るように。
応えるように白い生殖器が脈打った。
(ああ! 出る! またでるぅ! ごしゅじんさまの、あつくて、濃いせいえきが!)
「だし、だしてぇ、わらしのなかに、たくさん注いでくらさいぃぃっ!」
呂律も回らなくなったネーアに、中出しへの強烈な衝動が湧き上がり、
同時に『性交で開くはずの無い子宮口がその口を開ける』。
人外の快楽を何度も貪ったネーアの体は、既にヒトとしての機能を犯されていた。
そして――
口を開けた子宮口に、大好きな男根の先端、十字の切れ込みが押し入り、
びゅるるるっ! びゅるるるっ!
196 名前:乙×風【無限の果肉 第八話】 :04/07/16 12:58 ID:QiEwlX+b
念願のスペルマを吐き出した。
体内に潜む、『何か』に直接吹きかけるように。
(――――あっ)
「あああぁぁぁぁぁぁああああぁぁぁああああああぁぁぁっっっ♪」
子宮壁と『何か』を直接ビチャビチャと打つ熱い感触に、肉体と本能が、歓喜に震えた。
(すごいっ! すごい! すごいの!)
その、意識が真っ白に塗りつぶされてしまうような激感に、ネーアは涎を垂らしながら
首を振りたくった。同時に、
(おいしい! おいしい! ごしゅじんさまの! すごくっ、おいしい!)
吐き出される粘液を『美味』だと感じてしまう。まるで子宮自体に味覚があるかのように。
「――っ!! ―――っ!! ――♪ ――はっ……あぁ……♪」
絶倫かと思うほど大量の精液を吐き出し終えると、
マタタビを食った猫のように体を弛緩させた。
たっぷり、数十秒かけて息を整えながら、交合の余韻に浸る。
(すご、すごかった……ご主人さま、すごすぎだよぅ。私、壊れるかと思っちゃった……)
そう思いながらも、頬はだらしなく歪み、牝の顔以外の何でもない表情を浮かべている。
その顔が、不意に微笑を浮かべた。妖艶さと優しさ、決して交わる事の無い表情を交え、
微笑んでいた。
(私、今すごい幸せ……)
人以外、いや、自分の新しい主と交わり、その余韻に浸るこの時間が、
人生で最も幸福な時間だった。
「ご主人さま。愛しています」
ふと呟いた言葉に嘘偽りは無い。
世界中の誰よりも強い愛だと思い、
世界中で最も幸せな主従だと思った。
そう思った矢先に、
ビクン――胎内の『何か』が脈動する。
197 名前:乙×風【無限の果肉 第八話】 :04/07/16 12:59 ID:QiEwlX+b
「きゃんっ」
ビクン――再び脈動。
「あんっ、な、なに? こ、これ何ですか? ご主人さま?」
ビクン、ビクン――脈動は止まらない。
だが、不快感は無い。むしろ開放感・快感を伴って、『何か』は脈動を続け――
「あ、」
唐突に、
「あああああぁぁぁぁぁぁああぁぁぁあぁぁあああぁぁぁっっっ!!」
それは、ネーアの体中に、根を張り始めた。
子宮から伸びた肉の根は、子宮壁にめり込み、内臓を文字通り『侵し』ながら、
頭の方へと伸びていく。同時に、その根は太もも筋肉にも侵蝕し、広がっていく。
(……っ!! ……っ!!)
まるで、頭のから指先までを、数え切れないほどのミミズが這っていくような感触だった。
そして、その部分は、人間としての組織から、何かへと変異していく。
痛覚が無くなり、快楽神経に成り代わる。胃が腸が、心臓が、肺が、得体の知れない器官へと
姿を変えていく。
思考が真っ白に塗りつぶされる。
体は絶頂に達した時の様にがくがくと痙攣し、
――否。
(ああっ! ああああっ! しゅ、しゅごいっ!!)
実際に、彼女は、自身の体を人外のモノへと変えられていく感触に背徳的な快楽を覚えていた。
まだ、人間としての機能を留めている器官――子宮が痙攣し、挿入されたままの巨根と
股間の間から泡っぽい愛液を噴出した。
「ああ……っ! あああぁっ!」
恍惚の表情を浮かべているネーアの体を、四つの花弁が包み込む。
まるで、哺乳類の親が生まれたばかりの我が子を愛でるように。
こうして、ネーアは人外へと生まれ変わった。
198 名前:乙×風【無限の果肉 第八話】 :04/07/16 13:00 ID:QiEwlX+b
***
その一部始終を目撃していたレアクトが、ネーアの着替えが置かれた扉の前で、固唾を呑んだ。
(何よ、これっ……何よこれ!?)
ネーアが魔物の封印を解いた、というメライガの言葉も冗談半分で――正確には、面白半分で
聞いていた。それがどういう意味なのか考えもせず、ただ単純に、丁度良い暇つぶしが出来た
と思っていた。
ところがどうだ。
目の前で繰り広げられている、狂気に満ちた光景は何だ。
肉の花に貪られながらも、喘ぎ声を上げているのは、本当にあのネーアか。
喘ぐというより、狂う、と言われた方がまだ説得力のあるそのよがりっぷりに、
レアクトは表情を蒼くした。
面白みなんて欠片も無い。そこにあるのは、心から人間を止めた者だけが味わえる最悪の背徳と、
見るものを不快にさせる、おぞましさだけが有った。
だが、レアクトは何とか理性を繋ぎ止め、魔鏡を使って映像を撮ることには成功していた。
「ああ……っ! あああぁっ!」
ネーアが今まで以上の嬌声を上げると、花弁が閉じ、彼女の体を包み込んだ。
『……もう、戻ってください。十分です』
その手鏡状の魔道具から、メライガの声が響く。
何の脈絡も無く響いたその声に、心臓が飛び出すかと思った。
「そ、そうね……」
何とか平静を装いながら、返事をすると踵を返す。
何故か――後ろ髪を引かれるような錯覚を覚えた。
気のせいだと思いながら、明かりの点いた通路を歩きながら、メライガに問いかける。
「それで、どうするの? あの化け物。まさか放っておくつもりじゃないでしょう?」
むしろ自分達の手に余るのではないかと思う。
「やっぱり、ウラヌス様に報せた方がいいんじゃない?」
『いえ、私達で処理します』
199 名前:乙×風【無限の果肉 第八話】 :04/07/16 13:08 ID:QiEwlX+b
「どうして?」
『元々、彼女が魔物の封印を解くきっかけになったのは私達ですよ?』
「そうなの? ……いえ、そうかもしれないわね」
『ウラヌス様も、私達とネーアの関係には薄々気付いているかもしれません』
「ああ、分かった。この事を話せば、ネーアが封印を解いた事を話せば、
その原因は誰だ、って事になるわけね」
『そうです。これ以上ウラヌス様に疑心を抱かせるわけにはいきません』
「成る程。で? 具体的にはどうするわけ? どうにか出来るの? あんな化け物?」
階段を上りながら問う。メライガは少し沈黙を挟んだ後、きっぱりと言い放った。
『焼き払いましょう。得体の知れないものを片付けるには、これが一番です』
176 名前:乙×風【無限の果肉】人物設定 :04/07/13 11:32 ID:USQl1zRi
138氏の意見に応えて人物紹介です。
登場人物は十人近くと確かに多いですが、四グループくらいに
分けられるので、まずはそこから覚えると分かりやすい?
1、メイド(中立組)
・ネーア(ヒロイン)
屋敷に住み込みながら働くメイドの一人であり、魔物アドニスの母体。
戦災孤児となった所をウラヌスに引き取られ、以後メイドとして働いている。
そんな経緯もあってか、ウラヌスに対して特別な感情を抱いている。
性格は臆病で引っ込み思案。言いたい事が言えないタイプであり、そんな自分に
コンプレックスを抱いている。だがアドニスと交わってからは性格が反転。
・テミス(第七話前編に登場)
メイドとしての経験は浅いが、奉公する事を前提に実家で家事、雑事を
教え込まれていた。エリート的存在。
性格も、プライドが高く、仕事に私欲を挟まないキャリアウーマン。
そして、重度の潔癖症。
・ソーイ(未登場)
元はドジッ娘だったが努力と経験で今ではベテランの眼鏡っ娘メイド。
主に医務を担当をしている彼女は、発情期になったフェルナの『手助け』も
する事がある。
性格はおしとやかで落ち着いているが、実は結構すけべ。
庭師のシレノスに調教され済み。
177 名前:乙×風【無限の果肉】人物設定 :04/07/13 11:37 ID:USQl1zRi
2、メイド(イジメイド三人組)
・ティジフォーン(メイド長。第二話登場)
ウラヌスにぞっこんのオバサン。彼に可愛がられ、そしてよく粗相を
しでかすネーアの事を心良く思っていない。イジメの言い出しっぺ。
それに加え、性格も粘質で腹黒い。見た目は美人。
・レアクト(第一話登場)
ティジフォーンの企みに同調したイジメイドその1。
勝気でさばさばした性格で、口より先に手が出てしまうタイプ。
ネーアの普段の役立たずぶりに、仲の悪いティジフォーン
と共闘する事を選ぶ。
・メライガ(第三話登場)
レアクトと同期のイジメイドその2。
常に無表情で何を考えているか分からない彼女は実は確信犯。
ティジフォーンとレアクトのいがみ合いや、苛められているネーアを
ネタに心の中でほくそえんでいる悪女。
178 名前:乙×風【無限の果肉】人物設定 :04/07/13 11:43 ID:USQl1zRi
3、メイド(年少組)
・フェルナ(第二話登場)
ネーアより随分と先にウラヌスに拾われた犬娘。
最年少だがメイド達の中ではティジフォーンに続くメイド暦の持ち主。
性格は温和で、脳天気だが、年に四回ある発情期に頭を悩ませている。
メイド達の中でも珍しくネーアとは仲が良い。
・コルタス(第七話登場 サイドテール)
レアクト・メライガ組みより後に入ってきた新人双子ロリメイドの妹。
物静かで礼儀正しいが、いつも姉に振り回せれている苦労人。
異性が気になるお年頃で、意外と面食い。奥手でウブ。
・ポリタス(第七話登場 ツインテール)
コルタスの姉。金髪ツインテールのアッパー系であり、トラブルメーカー。
妹のコルタスとフェルナとでロリメイド三人組を結成。非常に仲が良い。
オマセさんで、ネーアとイジメイドの関係を敏感に察知し、独自に調査をしたり。
179 名前:乙×風【無限の果肉】人物設定 :04/07/13 11:54 ID:USQl1zRi
4、野郎キャラ
・ウラヌス(第三話登場)
魔導士ギルド<タイタンズ>の創設者であり、屋敷の家主。
二年前に起こった大戦争で、<タイタンズ>が魔物を軍事利用する事に
反対し、自分が創設した組織から追放された。
温和な性格の持ち主で、朴念仁。
・シレノス(未登場)
ウラヌスが舞台となる屋敷で隠遁生活を始めた頃から仕えている庭師。
庭師になる前までは『大人の道具』を取り扱う商売をやっていおり、
ウラヌスはとある理由で彼の常連客だった。
性格は(見た目や雰囲気も)鬼作やら臭作やらあの辺。助平。
こんなものですか。
ウラヌスとシレノスの関係に関してはやや込み入っているので、
本編中で説明すると思います。
さらに補足(蛇足?)するなら、ウラヌスの性格が性格なので、
戦災に巻き込まれ、行き倒れになった人間を次々とメイドにしています。
(男が少ないのは女運がいいから?)そんな設定があるのでメイド人口
は更に増えるかもしれません。
これ以上名前のあるキャラを増やすつもりはありませんが。
さて、続いて封印部屋の設定もいってみましょう。
180 名前:乙×風【無限の果肉】封印部屋設定 :04/07/13 11:56 ID:USQl1zRi
魔物アドニスを封じ込めた場所で、
屋敷を囲む山林に横から埋め込むように設置された、石造りの部屋。
鉄製の重い扉には錠前が掛けられた上で、鍵はウラヌスとティジフォーンが
管理し、通常メイド達は立ち入る事が出来ない。
中は古くなったソファやベッド、ネーアがへまをして欠損してしまった
調度品を収納する為の物置となっており、壁には燭台が掛けられている。
元々、足の踏み場もないくらいに、汚い場所だったが、
(メイド達を遠ざけるように、ウラヌスがあえて片付けさせなかった)
ネーアを折檻(調教)する際に、中を少し整理し、スペースを確保している。
また、ごみに紛れ、折檻の際に使用する道具も隠してある。
(ただし。病気を懸念し、性器に直接接触させるような道具は本人達で管理)
部屋の中心近くの床には、魔物(アドニス)を封印する為の魔法陣が描かれており、
魔物と、相性が良い(精神面で)女が、この陣に血液を注ぐ事で、
魔物の封印を『仮解放』する事が出来る(第一封印の解放とも言う)。
この女性は『資格者』となり、その後、血液を注がなくとも、
任意で『仮解放』に行えるようになる。
また、一度『仮解放』を行うと、同じ手順でどんな女性でも『仮解放』
を行う事が出来る。
181 名前:乙×風【無限の果肉】封印部屋設定 :04/07/13 12:03 ID:USQl1zRi
『仮解放』を行うと、部屋の奥にある壁が上方へとスライドし、
奥に、魔物が封印された地下へと続く、緩やかな階段が現れる。
その通路には、等間隔に燭台が設置されており、魔物の魔力を強制的に
吸い出す事で灯りを点している。つまり、ネーアが魔物に会う度に、
魔物は徐々に衰弱していく。
二、三分で階段は途切れ、少し歩いた先に、金属製の扉がある。
その足元の地面には、最後の封印を記した魔法陣が描かれている。
この陣に『資格者』が血液以外の二種類の体液を一定量垂らす事で、
扉を開く事が出来る(第二封印の解放)。
二度目以降は『仮解放』と同じ要領で、女性ならば
体液を用意する事で扉を開く事が出来る。又、一度開かれた扉は、
内部に人が居る間、閉まる事はない。
魔物が封印されている地下空間は、魔物自体が伸ばした根で、
天井、壁、床ともに埋め尽くされており、元はただの土であったのを、
魔物の組織の一部へと変異させた。
また、変異した組織は、いたる所から人を発情させるガスを噴出し、
地下空間を満たしている。このガスは通常、第一封印の隠し扉で、
完璧に遮断されているが、『仮解放』を行った瞬間から、徐々に
外へと漏れ出し、屋敷の住人達(特にフェルナに)に、少しずつ
影響を与えている。
封印部屋に関してはこんなところでしょうか。
本来なら本編中で説明するつもりでしたけど、こっちの方が
分かりやすいですね。
さて、第八話後編ですが、上手くいけば今週中に出来上がるかもしれません。
……多分。