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(追放者たちの宴 第六章~エピローグ)
第六章 三女の涙と弱き少女と
……眠い。けど、眠いと感じたってことは意識が起きかけている証拠。耳を澄ませば何か音が聞こえる。だけど……意識が睡魔に包まれていくぅ……。
くっ! だめだだめだ! 今日こそはちゃんと起きないと!
「……っ、ふぁ~あ……」
重い身体をなんとか起き上がらせて、再びくっつこうとする瞼を擦りながら目を開けた。
どうやらニノンさんの部屋であのまま寝てしまったみたいだけど、部屋の主である彼女の姿は見当たらない。
「んっ? あれって……」
部屋の片隅で布切れを被せられているものを見つけた私は、部屋を見回して人影がないことを確認してそれに近づいた。
そして膨らんでいる布切れの上のほうから取り除くと、安からな寝顔の可愛らしい少女がいた。年齢的にはフィオとクロエの中間ぐらいの人だろうか。
「これが、ニノンさんの人形……」
「んっ……?」
そのとき、その少女が小さな口で欠伸をすると、眠そうな細い目でこちらを見てきた。やはり彼女も裸のなのだが、その素肌は輝くかのように綺麗なものだった。
「やばっ! ど、どうしよう」
小首を傾げて、慌てている私を見る少女。こ、こんなのニノンさんに見られたら……え、ええと、たしか寝かせるときは
私は布切れを脇に置くと、その少女をそっと抱きしめて小さな頭を撫でてあげた。やはりニノンさんの相手をしてあげているためなのか、サラサラとした髪とスベスベの肌が羨ましい。
一心不乱に彼女を寝かせつけようとするのだが、少女は中々寝付いてくれないでいる。ああ、ほんとうにマズい!
「……えっ? んんっ……」
そう思っていた矢先、突然少女は私の方を向くと唇をそっと重ねてきた。優しい舌使いで私の口内を動き回る。
その穏やかな舌使いに私も刺激され、彼女の舌と自らのそれを重ね合わせる。すると、目の前の彼女は少しだけ目尻を垂らして、気持ちよさそうなめをしてくれた。
やがて彼女のほうから唇を離すと、じっと私の顔を見た後、彼女は少しだけ微笑むように口角を上げるとゆっくりと瞼を閉じた。静かな部屋に囁くような寝息が聞こえ始める。
「……おやすみ」
私は少女の人形の髪をもう一度撫でつけ、元のように布切れを被せてあげ、私はニノンさんの部屋を後にした。
洞窟の中心である食事の部屋にも三姉妹の姿は無い。ただ、昨日食べた魚の残りかすは無くなっていた。
「外……見てこようかな」
私はもう、今日がこの三姉妹とのお別れの日であることを思い出して海底へと続く道を歩き出した。
正直、人魚の三姉妹に会ってから色々な経験をした。そこで私は……地上でもう一度やり直す決意をした。せっかく助けてもらった命だから。
そのために私は三姉妹とのお別れの前に地上の位置を確認したいと思っていた。三姉妹と別れた直後に迷子と言うのも困るし、人間のいるところまで彼女らに案内してもらうのも彼女らにとって危ない気がしたからだ。
しかし、海底への入り口に来たところでふと気付いた。……もし、海上に人とか居たら……裸じゃまずいよね。自分が着ている、メイド服を改めてまじまじと見た。
「貰ったものだし……いいよね?」
私はそう思い、結局メイド服を着たまま海中へと潜った。やはり服の抵抗はあるが、息継ぎの問題がないのでさほど気にはならない。泳ぎ自体は苦手じゃないし。
さすが海底だけあって光はないが、不思議とすぐに目は慣れた。これも人魚の力だろうか。
そして、私は海底の真実を目の当たりにした。
「なっ……これは……」
それは古いブラウン管のテレビを始めとした、人間の生活でゴミとなったものの数々だった。それが海底のくぼみにこれでもかと言うほど溜まっていたのだ。
「おい、お前は何してるんだ?」
「えっ!? ニ、ニノンさん!」
頭上から人魚の姿のミノンさんが私の前に降りてきた。そして私の姿を見ると、驚いたように目を開きながらもすぐににやりと笑ってこう言った。
「そうか、そんなにそれが気に入ったか、くくっ」
「ち、ちが! これは……」
私の反論など毛頭聞く気はないようで、ニノンさんは私の横をすり抜けると、なんと海底のテレビを持ち上げ始めた。
「い、一体何をしてるんですか?」
「お前ら人間のゴミをここからどかしてるんだよ。ここは海底のクレバス、つまりくぼみだ。ここに入ったゴミはずっと留まる。家の前が汚かったら姉さまは悲しむだろうが」
私のほうなどちらりとも見ずに彼女はそれを持ち上げ、クレバスを上がっていった。そう言われた私は改めて海底のゴミをもう一度見てみる。
そして私は無意識のうちに手近なゴミを落ちていた小さな棚に詰めると、ニノンさんを追いかけるように海上へと上がっていった。
やがて、両脇を囲んでいた岩肌が無くなり、きらびやかな魚の大群が私を出迎えてくれた。
「お、おい! お前」
「手伝わせて下さい。……お願いします」
私は海底近くを泳いでいたニノンさんにお願いした。彼女は鋭い目で私のことを睨みつけたが、やがて海底近くをゆらゆらと泳ぎ始めた。私は急いでそれに着いて行く。
「ここに置け。潮の流れでいずれどっかの大陸に流れ着く」
「はい!」
私はニノンさんが置いたテレビの横に棚を置くと、あっと今に両者とも海底を転がり始めた。おおっ、すごい。
その様子を私は興味深く見ていたが、ふと振り返るとニノンさんがゆらゆらと泳ぎ始めているのに気付き、私はすぐ彼女のあとを追った。
それから何度も往復をして、海底のくぼみのゴミを掃除していった。なるほど……この間外を泳いだときにゴミが無かったのは彼女が一人で掃除していたからなんだ……。
そうしてここにゴミを置くのはもう何度目だろうか。大分、海底のくぼみも綺麗になった。
「おい。私は朝ごはんを取って来る。もうしばらくしたら、お前も家に戻れ」
「あ、は~い」
ニノンさんに返事を返すと、彼女は家とは逆の方向に泳いで行った。
彼女達の家の前には、あと一回で充分もって行けるだけのゴミしか残っておらず、私はそれを持ち上げて海底のくぼみから身体を抜け出した。
「あら~? 見ない子が居るわね」
「えっ?」
聞いたことの無い声に振り返ると、そこには5人ほどの人魚が居た。5人ともが大人の雰囲気がある艶やかな笑いを浮かべてこちらを見ている。
「その格好……もしかして、あなたは人間かしら?」
「えっ、ええ」
5人の真ん中に居た人魚が私に話しかけてきた。私が頷くと、口角を持ち上げて彼女達は妖しく笑った。
「おい、何を……」
そのとき、背後から聞き覚えのある声が聞こえた。振り返ると、両手で魚を掴んでいるニノンさんが口を半開きにして5人の人魚達を見ていた。
「あらあら、ニノンじゃない。ふふっ……かわいくなって」
「おかあ……さん」
真ん中の人魚の言葉を聞いたニノンさんの手からすり抜けるようにして魚たちが離れていった。
「もうこの子にも寄生させたのかしら? あの二人は欲情しやすいからね。なにせ、自分の妹にも寄生させるぐらいなんだから」
「違う! 私がそう望んだんだ!」
「いいえ、あなたはそう、させられたの……あの姉二人にね」
「ちがう! ちがう、ちがう!」
感情を荒ぶらせたニノンさんの声に私は驚いていた。普段の彼女に似合わない、歳相応な怒り方だったから。
「ま、待ってください! 確かに彼女達は私に寄生体の卵を産みつけてません!」
「あらそう……なら、好都合だわ、ね? みんな」
ニノンさんのお母さんの号令で、後ろの人魚達が楽しそうに頷き、こちらにゆらゆらと泳ぎ寄ってきた。
「くっ、逃げるわよ!」
私の手を引っ張ってニノンさんが泳ぎ始める。その行き先は海底のくぼみ。
「あら、残念」
しかしそこは人魚達によって先回りされ進路を塞がれてしまい、ニノンさんは踵を返して彼女達から離れるように泳ぎ始めた。
「な、何で逃げるんですか?!」
「あいつら、お前の身体を狙っている! 人魚にとって人間の女、特に魂がある女は大好物の存在だ。あいつらに交尾させられてみろ……すぐに人魚の子を孕むぞ」
ニノンさんの言葉に血の気が一斉に引いた。そして背後を振り返り、明らかにこちらより早い人魚達のスピードに目がくらむ。
「バカ! 見てないで、早く泳げ!」
「残念。……子供が、しかも人間を引っ張って私たちから逃げられるわけ無いでしょ? ねぇ、ニノン」
「くっ!?」
いつの間にか回り込まれていたニノンさんのお母さんに、ニノンさんは抱きしめられるように捕まえられた。間髪いれずに私も背後から羽交い絞めにされるように四人の人魚に捕まえられる。
「ふふっ、私はこの子と暫く楽しむから、あなた達はその人間の子にたっぷりと注ぎ込んであげなさいよ……人魚の精液を」
「ひっ、ひぃい!?」
「やっ、やめろ! やめて! おかあさん!」
母親の腕の中でニノンさんが暴れている。私だって同じように後ろの人魚達から逃れようとしているだけど、彼女達の笑い顔を見る限りとても逃げられそうに無い。
「あ、あいつを離さないと、お前らに寄生させるぞ!」
「ふふっ……ニノン。そんなことはできない。あなたは優しい子だから……大丈夫。群れに帰っても私があなたを愛してあげるから……私の精液、いっぱいあげるわ。あなたに」
「や、やだ。私は姉さまたちとずっと、ずっと一緒に居るんだ……やめてよ、おかあさん……」
ニノンさんの目に涙が溜まっているが、それを見ても彼女の母親はニコリと笑ったままで、自らの穴から……とても立派なものを出してきた。
「や、やめて……やめて、おかあさん……」
「くくっ……ニノン、力を抜いて……私を受け入れて……」
……だめだ、だめだだめだだめだ! こんなの認めない!
「やめてください! 私はどうなってもいいから、ニノンさんだけは、お姉さん達のところに帰して上げて下さい!」
私の言葉に全員の視線が向けられる。涙目のニノンさんも、彼女を掴む母親も、そして私の顔を後ろから覗きこむ人魚達も、まるで鳩が豆鉄砲で撃たれたかのような表情で私を見ていた。
「くくっ、あははははははははっ!」
しかし、ニノンさん以外の人魚たちはニノンさんのお母さんが笑い出すと、せきを切ったように共に笑い出した。
「くっくっくっく……あのね、言われなくてもあんたは私たちのものになるの。あんたみたいに生きた人間……私たちの子供を孕める人間、滅多に手に入らないの。それは手放すわけないじゃない」
その言葉を裏付けるかのように、私のスカートの中にある私の入り口に、なにか熱い感触を感じた。……う、そ……。
「じゃあ、楽しみましょうか……ねぇ、みんな?」
ニノンさんの穴にも母親のオチ○チンがあてがわれ、今にもそれは彼女の中に入ろうとしていた。……だめ……。やめて……。
「いっせ~の」
「離せ」
聞き覚えのある声色で、聞きなれない口調の声が私の耳に入った。決して大きな声ではないけど……とてつもない恐怖を感じる声。
「お母さんたち……私の妹と、大事な友達に何をしようとしているんですか?」
「この……クソババアが……」
「フィオ!? クロエ!?」
言うなれば……殺気。その殺気を孕んだ恐ろしい視線が、私の背後から感じられた。
「フィオ……私もいい加減にブチギレたぞ」
「……そうね。私も今回のはちょっと許せそうにないわ」
そのとき、ぱっと私を羽交い絞めしていた人魚の手が離れ、私は自由を得た。
そしてすぐに後ろを振り返ると……腕の骨を鳴らすフィオと、無数の触手を携えたクロエさんがそこに居た。
「う、うわぁあああああああああ!」
突然、人魚の一人がフィオたちに向かって突撃した。その手には鉄のパイプが握られていた。塩水で錆付いたそれは、腐敗しているが危なっかしく尖っている部分がある。
「姉さま、危ない!」
人魚は一直線にフィオを狙って突き進み、そして鉄のパイプが振り上げられる。
思わず私が目を瞑ると、鈍い音が水を伝わって私の耳に届いた。あぁ……フィオ……。
「きゃあああああああっ、やめて! 離して!」
フィオが攻撃を受けたと思っていた私は、フィオとは明らかに違う声に、目を開けて現状を確認した。
そこには、鉄パイプを首に当てられて、背後からフィオに羽交い絞めされている人魚が居た。
「危ないですよね……こんなの振り回していたら」
フィオは淡々とした口調でそう言うと、怯えきった表情をした人魚の目の前で鉄パイプをヘの字に折り曲げた。人魚の顔が更なる恐怖に強張った。
「まぁ、安心しなよ。皆さんまとめて私らが可愛がってあげるから。なんなら、おかわりもあるよ……くっくっく」
無数の触手を揺らしながらクロエが人魚たちを威圧する。普段の快活な彼女のからは考えられないほどの恐怖が私の肌を本能的に震わしている。
「ね、姉さま! クロエ! やめてください! 帰りましょう、家に!」
ニノンさんが母親の手を離れて、二人の姉の下に泳ぎ寄った。母親は、口を半開きにしてがたがたと震えている。
「……ニノン、あなただって気付いているでしょ。この人たちは家の前に“わざと”ゴミを落としているのを」
「とんでもない外道だよ、こいつらは。もう我慢も収まりきらん」
クロエはニノンさんの身体を優しくどけると、怯えきる人魚達にじりじりと近寄り始め、フィオさんは自らの触手を腕の中で暴れる人魚に近づけた。
「や、やめてえぇぇっ!」
私はとにかくその場で叫んでいた。慣れない為に水がガバガバと口に入ってきたが、そんなこと関係ない。このままじゃ……ニノンさんが。
「二人ともやめてください! ニノンさんが、嫌がってるじゃないですか!」
じろり、とフィオとクロエの視線が私に向けられるが、それでも私は言葉を止めなかった。
「フィオだってクロエだって妹が大好きなんでしょ?! そんなことをして、ニノンさんは喜ぶと思ってるの?!」
自分の勢いに押されるように私は言葉を言い切った。沈黙が暗い海底に流れる。……だ、だめかぁ……。
そう思った矢先、突然フィオの腕から人魚が解き放たれた。同時にクロエの触手もその身体の中に戻っていく。
「……二度と、私たちの生活に手を出さないで下さい」
「次はやったら……覚悟しとけよ」
フィオとクロエが低い声で言うと、5人の人魚は逃げるようにその場を去っていった。あれで母親か……なんて情けない。
「姉さま!」
「大丈夫? ニノン」
ニノンさんがフィオの胸に飛び込んだ。もうフィオの顔はいつもの優しいそれに戻っている。
「お前は大丈夫だったか、ひより」
「あ、うん」
私の隣に泳ぎ寄ってきたクロエに私は頷いた。彼女もいつもの明るい雰囲気を取り戻していた。
「危うく、私と同じ過ちをするところでしたね」
「まったくだ。……妹を泣かして口も利いてもらえなくなったらたまらない」
クロエの嫌味な言葉に私は頬を膨らませたが、彼女がしてやったりと言った感じの笑いにつられるように私も笑った。
「さぁて、ニノン。これからひよりの送別会をしようと思うの。手伝ってくれるわよね?」
「は、はい! 姉さま!」
フィオの提案に元気よく返事をするニノンさん。でも……。
「あ、あの! わ、私……」
「ん? どうした、ひより」
クロエが隣で何気なく聞いてくるが、彼女の口は笑っていた。うぅ……結構鋭いなぁ、クロエって。
「こ……ここで暮らさせてもらっちゃ……だめですか?」
「えっ?」
フィオとニノンさんの目が同時に丸くなる。しかし、私の隣でクロエだけは海底に寝そべるようにして横になっている。……うぅ、そんなドライな反応されると……。
「いいんじゃないの。別に」
クロエがのんきな声でそう言った。顔を見ればニヤニヤと笑いを浮かべている。
「も、もちろん! あなたなら大歓迎だわ! ね、ニノン?」
フィオがニノンさんの両肩に手を添えながら、彼女の顔を後ろから覗きこんだ。対するニノンさんは私の顔をちらちらと俯きながら見てくる。
「や、やっぱり……嫌かな? 嫌だったら、地上に」
私が慌ててニノンさんに向かってそう言うと、突然彼女は私の方に泳ぎ寄ると勢いよく私の胸に飛び込んできた。
「ずっとここに居やがれ……ひより」
私の胸に顔を埋めたまま、ニノンさんは言った。私は二人の姉が私を見て微笑んでいるの確認すると、その華奢な身体を抱きしめた。
「ずっと……居ます。ニノン」
第七章 愛し、愛される少女
「本当に、いいの?」
「うん。遠慮なくやっちゃってよ」
心配そうな顔をしているフィオに、私は胸を叩きながら言ってあげた。
「途中で待った、って言われても止められないぞ?」
「問題なし」
私の回答にニヤリとクロエが笑う。
「私たちの卵をくれてやるんだ……ありがたく思えよ」
「もちろん。ありがとう、ニノン」
小さなニノンの身体を優しく抱きしめると彼女の頬がピンクに染まる。はうぅぅ、かわいいすぎるぅ~。
そして大きく開いた私のオマ○コに彼女たちの触手が一本ずつ近づく。三姉妹全員、今日は寄生体の卵は……抜いていない。
そう、私は彼女たちと同じ存在になることに決めた。まぁ、人魚にはなれないだろうけど、せめて血縁以外の一人の理解者として、彼女たちとできるだけ同じ生き物になろうと。
だから私はこれから彼女たちに寄生される。正確に言えば、彼女たちの中にいる寄生体に。
後悔? そんなものはない。むしろあるのは期待だけ。大好きな彼女たちと同じ存在になれるのだから、これほど嬉しいことはない。
「さぁ……みんな早く来て」
私は自分のオマ○コを両手で広げながら彼女たちに言った。とろりと私から出た愛液で、彼女たちもどれだけ私が待ちわびているか分かってくれただろう。
そして、私のオマ○コに三本の触手があてがわれ……三本同時に力強く押し入ってきた。
「ああああああああああんっ! きっ、たぁあああ!」
私は背後の岩肌を掴みながらその衝撃に耐えた。間髪を居れずに統制の取れてないストロークが開始される。
「あっ、くぅ、ひよりいぃぃぃ……」
三本の触手の中で一際大きいのはフィオのだろう。彼女は優しくゆっくりとした動きで私を攻め立てる。
「くぅううううううんっ! ひよりぃいいい!」
他の二人の二倍動いているのはクロエだ。私をとても求めてくれていたのがその激しさから嬉しいほど伝わってくる。
「くっ……んっ……」
そして一人消極的な動きをしているのはニノンだ。二人の触手の隅で彼女のそれは私の内側をわずかに行き来する程度。
私はそのニノンの身体を抱き寄せて、その小さな口に侵入する。硬くなっていた彼女の顔に、驚きの色が浮かぶ。
「んんんっ……ニノン、私が大好きなら、もっとやって」
大口を叩いておきながら、ニノンは躊躇しているのだろう。果たして自分と同じ目に合わせてもいいのだろうか、と。
「大丈夫、あなた達がいるなら……だから、あなたの全部を、わたしにちょうだい?」
「……くぁああああああんっ!」
「ふぁあああああんっ! きもちいいょおおおおお!」
完全に吹っ切れたようにニノンは私の中で暴れ始めた。私を壊すような力強さで、彼女は私の中で動き回る。
「きてぇえええ! みんなの、わたしにだしてぇええええええええ!」
私は一心不乱に私を壊し始めた三姉妹に懇願した。すると、彼女達は一層激しく私の中で揺さぶり動いた後、私の子宮で卵を放った。
「「「んぁあああああああああああっ!」」」
「あああああうぅぅぅぅ……みんなのが、はいってくるうぅぅぅ……」
私の子宮に小さな石ころのようなものが三つ落とされたのが分かった。大好きな彼女たちの卵……ふふっ……早く孵ってね。
その願いは夜明けに叶い……やがて私の身体は壊れ、そして生まれ変わった。
エピローグ
「おそい! ニノンのやつ、着替えに何時間掛かってんだ! ひより、先やるぞ!」
「待ちなさい、クロエ! もう、ちょっとぐらい我慢しなさいったら」
「そう言ってるフィオだって、足モジモジさせてんじゃないかよ」
「うっ……こ、これは……」
そんな二人のやり取りを私は笑いながら見ていた。まぁ実際のところ……私も、もう我慢の限界が近いわけだけどね。
「ね、姉さま! 入ります」
「あっ、いらっしゃい、ニノ……わあぁぁ……」
「おおおっ! なんと、かわいらしい……」
そんな二人と同じように、私も部屋に入ってきたニノンを見て驚いた。なんとも可愛らしい、子供のメイドさんの入場だ。
「に、似合いますか? 姉さま」
「もちろん! かわいいわよ、ニノン」
フィオの反応に嬉しそうにニノンは頬を赤らめた。
「おう! まさに、馬子にも衣装だ!」
「お前には聞いてないし、それは褒め言葉にもなっていない」
対するクロエにはなんとも冷たい反応を返す。まったく、お互いにもっと素直になればいいのに。
そう思っていると、テトテトとこちらに駆け寄ってきたニノンは私にも印象を聞いてくる。
「に、似合うか?」
「ふふっ……とりゃ」
私はニノンの身体を抱きしめて返事をしてあげた。顔を合わせようとしない彼女の顔を覗きこむと、真っ赤に頬を染めている。ふふっ、なんてかわいらしい反応だろう。
「じゃ、今日はニノンにご褒美をあげようかな」
私の言葉にニノンはパッとこちらを向いて嬉しそうに笑ってくれた。言ったほうとしてもこれだけ喜んでくれると嬉しいものだ。
「ええ~っ、いいなぁ……」
「まぁまぁ、クロエ。今日はいいじゃない」
ムスッとした表情のクロエをフィオが優しくなだめてくれる。そんな二人に私に向かって私はお尻から二本の触手を出した。
クロエの卵からもらった複数の触手の全てが、フィオの卵から受け継いだ立派な太さを兼ね備えている。今となっては私の自慢の触手だ。
「ちゃんと二人もこれで可愛がってあげるから、ね?」
「上等だ! 掛かって来い、ひより」
クロエは私の触手を見るや否や素早く座り直すと、私に向けて自らの入り口を広げてくれた。フィオはその様子に苦笑いしつつ、彼女の上に馬立ちになるとこちらにお尻を向けてきた。
今日は三人とも私のために人間の姿でやらせてくれるのだ。ふふっ……思いっきり、気持ちよくさせてあげないとね。
「じゃ、早速始めましょうか」
私はフィオとクロエのオマ○コに触手をあて、ニノンは足を広げさせて私の太ももの上に半分だけ座らせると、私はニノンから貰った人魚のオチ○チンをオマ○コから生えさせ、ピンク色の彼女の入り口にあてがった。
先に私は二人の姉の中に触手を突き入れ始めた。
「いっくよぉ……そぉ~れっ」
「くぅうううんっ! はいってくるぅううううう!」
「かっ、はぁああああああんっ! ぐぅ、あぅ、んっ!」
フィオにはゆっくりと挿入し、クロエにはいきなり激しく動いてあげる。姉妹の好みも私は既に把握済みだ。
そして頬を赤く染めながら私のモノを見ているニノンの頭を撫で、耳元で囁いた。
「動いて……私を……好きにして……」
それがスイッチになり、ニノンはゆっくりと私のモノを彼女の中に迎え入れ始めた。唇を噛み締めて、その快感と衝撃に耐えている姿がまた可愛らしい。
「んっ……くぅ……」
「ふふっ、それ」
そんなニノンの表情に悪戯心をくすぐられた私は、彼女の腰を掴むと一気に私のモノを彼女の奥まで差し込んだ。
「くぁああああああああんっ! ……ひ、よりぃ……」
「ふふっ、ごめん。まって、られなくて……」
ニノンの赤い頬が小さなリンゴのように膨らみ、私は笑いながら彼女の唇を奪い、その頬の空気と共に彼女の唾液を吸い上げる。そう、まるでリンゴのような甘い唾液を。
「んんっ! んっ! んっ!」
そのままニノンが私に上半身を預けるようにして腰を動かし始めた。初々しい彼女の中はギチギチに狭く、私のモノを奪い取ってしまいそうなほど締め付けてくれる。
一方で触手を受け取っているフィオとクロエも、フィオがクロエの身体に乗り抱えるようにしてお互いの口を弄り合っている。
妖しい音が交わりあう部屋の音が更に私の官能を高め、触手に熱いものが集まってきた。
「ふぃおぉ、くろえぇ、ださせてぇ……ふたりのなかに、ださせてえぇ」
「ひよりぃぃ、ひよりの、あついのちょうだぁあいい!」
「わたしのなかに、いっぱいだしてぇえ!」
フィオとクロエが光悦とした表情で私に懇願してくれる。
「に、のん、いくよ!? ぜんぶ、うけとってぇ!」
「だしてえぇ。わたしに、ひよりのでいっぱいにしてぇえ!」
ニノンが私のことをぎゅっと抱きしめ、私も同じように彼女の身体を力強く引き寄せた。そして……私の触手とおち○ちんから三人に、私の蜜をプレゼントした。
「ぁああああああああんっ! あつぃいいいいいいいい!」
「でてるううぅ……わたしのなかに、ひよりがはいってくるうぅぅ……」
「みたされる……わたしが、ひよりでみたされるうぅぅ……」
三姉妹がそれぞれの身体の中に私を存分に受け取ってくれる。まるで搾り取るようにそれぞれに入っている私のモノを締め付けて、最後の一滴まで奪い取ってくれる。
「ふあああぁぁ……みんなぁ……」
私の大好きな三姉妹が、私の触手でよがってくれる……なんて素敵なことだろう。
そんな私の愛する三人が、私は……
「えへへっ。みんなぁ、だぁいすきぃ……」
<終>
……眠い。けど、眠いと感じたってことは意識が起きかけている証拠。耳を澄ませば何か音が聞こえる。だけど……意識が睡魔に包まれていくぅ……。
くっ! だめだだめだ! 今日こそはちゃんと起きないと!
「……っ、ふぁ~あ……」
重い身体をなんとか起き上がらせて、再びくっつこうとする瞼を擦りながら目を開けた。
どうやらニノンさんの部屋であのまま寝てしまったみたいだけど、部屋の主である彼女の姿は見当たらない。
「んっ? あれって……」
部屋の片隅で布切れを被せられているものを見つけた私は、部屋を見回して人影がないことを確認してそれに近づいた。
そして膨らんでいる布切れの上のほうから取り除くと、安からな寝顔の可愛らしい少女がいた。年齢的にはフィオとクロエの中間ぐらいの人だろうか。
「これが、ニノンさんの人形……」
「んっ……?」
そのとき、その少女が小さな口で欠伸をすると、眠そうな細い目でこちらを見てきた。やはり彼女も裸のなのだが、その素肌は輝くかのように綺麗なものだった。
「やばっ! ど、どうしよう」
小首を傾げて、慌てている私を見る少女。こ、こんなのニノンさんに見られたら……え、ええと、たしか寝かせるときは
私は布切れを脇に置くと、その少女をそっと抱きしめて小さな頭を撫でてあげた。やはりニノンさんの相手をしてあげているためなのか、サラサラとした髪とスベスベの肌が羨ましい。
一心不乱に彼女を寝かせつけようとするのだが、少女は中々寝付いてくれないでいる。ああ、ほんとうにマズい!
「……えっ? んんっ……」
そう思っていた矢先、突然少女は私の方を向くと唇をそっと重ねてきた。優しい舌使いで私の口内を動き回る。
その穏やかな舌使いに私も刺激され、彼女の舌と自らのそれを重ね合わせる。すると、目の前の彼女は少しだけ目尻を垂らして、気持ちよさそうなめをしてくれた。
やがて彼女のほうから唇を離すと、じっと私の顔を見た後、彼女は少しだけ微笑むように口角を上げるとゆっくりと瞼を閉じた。静かな部屋に囁くような寝息が聞こえ始める。
「……おやすみ」
私は少女の人形の髪をもう一度撫でつけ、元のように布切れを被せてあげ、私はニノンさんの部屋を後にした。
洞窟の中心である食事の部屋にも三姉妹の姿は無い。ただ、昨日食べた魚の残りかすは無くなっていた。
「外……見てこようかな」
私はもう、今日がこの三姉妹とのお別れの日であることを思い出して海底へと続く道を歩き出した。
正直、人魚の三姉妹に会ってから色々な経験をした。そこで私は……地上でもう一度やり直す決意をした。せっかく助けてもらった命だから。
そのために私は三姉妹とのお別れの前に地上の位置を確認したいと思っていた。三姉妹と別れた直後に迷子と言うのも困るし、人間のいるところまで彼女らに案内してもらうのも彼女らにとって危ない気がしたからだ。
しかし、海底への入り口に来たところでふと気付いた。……もし、海上に人とか居たら……裸じゃまずいよね。自分が着ている、メイド服を改めてまじまじと見た。
「貰ったものだし……いいよね?」
私はそう思い、結局メイド服を着たまま海中へと潜った。やはり服の抵抗はあるが、息継ぎの問題がないのでさほど気にはならない。泳ぎ自体は苦手じゃないし。
さすが海底だけあって光はないが、不思議とすぐに目は慣れた。これも人魚の力だろうか。
そして、私は海底の真実を目の当たりにした。
「なっ……これは……」
それは古いブラウン管のテレビを始めとした、人間の生活でゴミとなったものの数々だった。それが海底のくぼみにこれでもかと言うほど溜まっていたのだ。
「おい、お前は何してるんだ?」
「えっ!? ニ、ニノンさん!」
頭上から人魚の姿のミノンさんが私の前に降りてきた。そして私の姿を見ると、驚いたように目を開きながらもすぐににやりと笑ってこう言った。
「そうか、そんなにそれが気に入ったか、くくっ」
「ち、ちが! これは……」
私の反論など毛頭聞く気はないようで、ニノンさんは私の横をすり抜けると、なんと海底のテレビを持ち上げ始めた。
「い、一体何をしてるんですか?」
「お前ら人間のゴミをここからどかしてるんだよ。ここは海底のクレバス、つまりくぼみだ。ここに入ったゴミはずっと留まる。家の前が汚かったら姉さまは悲しむだろうが」
私のほうなどちらりとも見ずに彼女はそれを持ち上げ、クレバスを上がっていった。そう言われた私は改めて海底のゴミをもう一度見てみる。
そして私は無意識のうちに手近なゴミを落ちていた小さな棚に詰めると、ニノンさんを追いかけるように海上へと上がっていった。
やがて、両脇を囲んでいた岩肌が無くなり、きらびやかな魚の大群が私を出迎えてくれた。
「お、おい! お前」
「手伝わせて下さい。……お願いします」
私は海底近くを泳いでいたニノンさんにお願いした。彼女は鋭い目で私のことを睨みつけたが、やがて海底近くをゆらゆらと泳ぎ始めた。私は急いでそれに着いて行く。
「ここに置け。潮の流れでいずれどっかの大陸に流れ着く」
「はい!」
私はニノンさんが置いたテレビの横に棚を置くと、あっと今に両者とも海底を転がり始めた。おおっ、すごい。
その様子を私は興味深く見ていたが、ふと振り返るとニノンさんがゆらゆらと泳ぎ始めているのに気付き、私はすぐ彼女のあとを追った。
それから何度も往復をして、海底のくぼみのゴミを掃除していった。なるほど……この間外を泳いだときにゴミが無かったのは彼女が一人で掃除していたからなんだ……。
そうしてここにゴミを置くのはもう何度目だろうか。大分、海底のくぼみも綺麗になった。
「おい。私は朝ごはんを取って来る。もうしばらくしたら、お前も家に戻れ」
「あ、は~い」
ニノンさんに返事を返すと、彼女は家とは逆の方向に泳いで行った。
彼女達の家の前には、あと一回で充分もって行けるだけのゴミしか残っておらず、私はそれを持ち上げて海底のくぼみから身体を抜け出した。
「あら~? 見ない子が居るわね」
「えっ?」
聞いたことの無い声に振り返ると、そこには5人ほどの人魚が居た。5人ともが大人の雰囲気がある艶やかな笑いを浮かべてこちらを見ている。
「その格好……もしかして、あなたは人間かしら?」
「えっ、ええ」
5人の真ん中に居た人魚が私に話しかけてきた。私が頷くと、口角を持ち上げて彼女達は妖しく笑った。
「おい、何を……」
そのとき、背後から聞き覚えのある声が聞こえた。振り返ると、両手で魚を掴んでいるニノンさんが口を半開きにして5人の人魚達を見ていた。
「あらあら、ニノンじゃない。ふふっ……かわいくなって」
「おかあ……さん」
真ん中の人魚の言葉を聞いたニノンさんの手からすり抜けるようにして魚たちが離れていった。
「もうこの子にも寄生させたのかしら? あの二人は欲情しやすいからね。なにせ、自分の妹にも寄生させるぐらいなんだから」
「違う! 私がそう望んだんだ!」
「いいえ、あなたはそう、させられたの……あの姉二人にね」
「ちがう! ちがう、ちがう!」
感情を荒ぶらせたニノンさんの声に私は驚いていた。普段の彼女に似合わない、歳相応な怒り方だったから。
「ま、待ってください! 確かに彼女達は私に寄生体の卵を産みつけてません!」
「あらそう……なら、好都合だわ、ね? みんな」
ニノンさんのお母さんの号令で、後ろの人魚達が楽しそうに頷き、こちらにゆらゆらと泳ぎ寄ってきた。
「くっ、逃げるわよ!」
私の手を引っ張ってニノンさんが泳ぎ始める。その行き先は海底のくぼみ。
「あら、残念」
しかしそこは人魚達によって先回りされ進路を塞がれてしまい、ニノンさんは踵を返して彼女達から離れるように泳ぎ始めた。
「な、何で逃げるんですか?!」
「あいつら、お前の身体を狙っている! 人魚にとって人間の女、特に魂がある女は大好物の存在だ。あいつらに交尾させられてみろ……すぐに人魚の子を孕むぞ」
ニノンさんの言葉に血の気が一斉に引いた。そして背後を振り返り、明らかにこちらより早い人魚達のスピードに目がくらむ。
「バカ! 見てないで、早く泳げ!」
「残念。……子供が、しかも人間を引っ張って私たちから逃げられるわけ無いでしょ? ねぇ、ニノン」
「くっ!?」
いつの間にか回り込まれていたニノンさんのお母さんに、ニノンさんは抱きしめられるように捕まえられた。間髪いれずに私も背後から羽交い絞めにされるように四人の人魚に捕まえられる。
「ふふっ、私はこの子と暫く楽しむから、あなた達はその人間の子にたっぷりと注ぎ込んであげなさいよ……人魚の精液を」
「ひっ、ひぃい!?」
「やっ、やめろ! やめて! おかあさん!」
母親の腕の中でニノンさんが暴れている。私だって同じように後ろの人魚達から逃れようとしているだけど、彼女達の笑い顔を見る限りとても逃げられそうに無い。
「あ、あいつを離さないと、お前らに寄生させるぞ!」
「ふふっ……ニノン。そんなことはできない。あなたは優しい子だから……大丈夫。群れに帰っても私があなたを愛してあげるから……私の精液、いっぱいあげるわ。あなたに」
「や、やだ。私は姉さまたちとずっと、ずっと一緒に居るんだ……やめてよ、おかあさん……」
ニノンさんの目に涙が溜まっているが、それを見ても彼女の母親はニコリと笑ったままで、自らの穴から……とても立派なものを出してきた。
「や、やめて……やめて、おかあさん……」
「くくっ……ニノン、力を抜いて……私を受け入れて……」
……だめだ、だめだだめだだめだ! こんなの認めない!
「やめてください! 私はどうなってもいいから、ニノンさんだけは、お姉さん達のところに帰して上げて下さい!」
私の言葉に全員の視線が向けられる。涙目のニノンさんも、彼女を掴む母親も、そして私の顔を後ろから覗きこむ人魚達も、まるで鳩が豆鉄砲で撃たれたかのような表情で私を見ていた。
「くくっ、あははははははははっ!」
しかし、ニノンさん以外の人魚たちはニノンさんのお母さんが笑い出すと、せきを切ったように共に笑い出した。
「くっくっくっく……あのね、言われなくてもあんたは私たちのものになるの。あんたみたいに生きた人間……私たちの子供を孕める人間、滅多に手に入らないの。それは手放すわけないじゃない」
その言葉を裏付けるかのように、私のスカートの中にある私の入り口に、なにか熱い感触を感じた。……う、そ……。
「じゃあ、楽しみましょうか……ねぇ、みんな?」
ニノンさんの穴にも母親のオチ○チンがあてがわれ、今にもそれは彼女の中に入ろうとしていた。……だめ……。やめて……。
「いっせ~の」
「離せ」
聞き覚えのある声色で、聞きなれない口調の声が私の耳に入った。決して大きな声ではないけど……とてつもない恐怖を感じる声。
「お母さんたち……私の妹と、大事な友達に何をしようとしているんですか?」
「この……クソババアが……」
「フィオ!? クロエ!?」
言うなれば……殺気。その殺気を孕んだ恐ろしい視線が、私の背後から感じられた。
「フィオ……私もいい加減にブチギレたぞ」
「……そうね。私も今回のはちょっと許せそうにないわ」
そのとき、ぱっと私を羽交い絞めしていた人魚の手が離れ、私は自由を得た。
そしてすぐに後ろを振り返ると……腕の骨を鳴らすフィオと、無数の触手を携えたクロエさんがそこに居た。
「う、うわぁあああああああああ!」
突然、人魚の一人がフィオたちに向かって突撃した。その手には鉄のパイプが握られていた。塩水で錆付いたそれは、腐敗しているが危なっかしく尖っている部分がある。
「姉さま、危ない!」
人魚は一直線にフィオを狙って突き進み、そして鉄のパイプが振り上げられる。
思わず私が目を瞑ると、鈍い音が水を伝わって私の耳に届いた。あぁ……フィオ……。
「きゃあああああああっ、やめて! 離して!」
フィオが攻撃を受けたと思っていた私は、フィオとは明らかに違う声に、目を開けて現状を確認した。
そこには、鉄パイプを首に当てられて、背後からフィオに羽交い絞めされている人魚が居た。
「危ないですよね……こんなの振り回していたら」
フィオは淡々とした口調でそう言うと、怯えきった表情をした人魚の目の前で鉄パイプをヘの字に折り曲げた。人魚の顔が更なる恐怖に強張った。
「まぁ、安心しなよ。皆さんまとめて私らが可愛がってあげるから。なんなら、おかわりもあるよ……くっくっく」
無数の触手を揺らしながらクロエが人魚たちを威圧する。普段の快活な彼女のからは考えられないほどの恐怖が私の肌を本能的に震わしている。
「ね、姉さま! クロエ! やめてください! 帰りましょう、家に!」
ニノンさんが母親の手を離れて、二人の姉の下に泳ぎ寄った。母親は、口を半開きにしてがたがたと震えている。
「……ニノン、あなただって気付いているでしょ。この人たちは家の前に“わざと”ゴミを落としているのを」
「とんでもない外道だよ、こいつらは。もう我慢も収まりきらん」
クロエはニノンさんの身体を優しくどけると、怯えきる人魚達にじりじりと近寄り始め、フィオさんは自らの触手を腕の中で暴れる人魚に近づけた。
「や、やめてえぇぇっ!」
私はとにかくその場で叫んでいた。慣れない為に水がガバガバと口に入ってきたが、そんなこと関係ない。このままじゃ……ニノンさんが。
「二人ともやめてください! ニノンさんが、嫌がってるじゃないですか!」
じろり、とフィオとクロエの視線が私に向けられるが、それでも私は言葉を止めなかった。
「フィオだってクロエだって妹が大好きなんでしょ?! そんなことをして、ニノンさんは喜ぶと思ってるの?!」
自分の勢いに押されるように私は言葉を言い切った。沈黙が暗い海底に流れる。……だ、だめかぁ……。
そう思った矢先、突然フィオの腕から人魚が解き放たれた。同時にクロエの触手もその身体の中に戻っていく。
「……二度と、私たちの生活に手を出さないで下さい」
「次はやったら……覚悟しとけよ」
フィオとクロエが低い声で言うと、5人の人魚は逃げるようにその場を去っていった。あれで母親か……なんて情けない。
「姉さま!」
「大丈夫? ニノン」
ニノンさんがフィオの胸に飛び込んだ。もうフィオの顔はいつもの優しいそれに戻っている。
「お前は大丈夫だったか、ひより」
「あ、うん」
私の隣に泳ぎ寄ってきたクロエに私は頷いた。彼女もいつもの明るい雰囲気を取り戻していた。
「危うく、私と同じ過ちをするところでしたね」
「まったくだ。……妹を泣かして口も利いてもらえなくなったらたまらない」
クロエの嫌味な言葉に私は頬を膨らませたが、彼女がしてやったりと言った感じの笑いにつられるように私も笑った。
「さぁて、ニノン。これからひよりの送別会をしようと思うの。手伝ってくれるわよね?」
「は、はい! 姉さま!」
フィオの提案に元気よく返事をするニノンさん。でも……。
「あ、あの! わ、私……」
「ん? どうした、ひより」
クロエが隣で何気なく聞いてくるが、彼女の口は笑っていた。うぅ……結構鋭いなぁ、クロエって。
「こ……ここで暮らさせてもらっちゃ……だめですか?」
「えっ?」
フィオとニノンさんの目が同時に丸くなる。しかし、私の隣でクロエだけは海底に寝そべるようにして横になっている。……うぅ、そんなドライな反応されると……。
「いいんじゃないの。別に」
クロエがのんきな声でそう言った。顔を見ればニヤニヤと笑いを浮かべている。
「も、もちろん! あなたなら大歓迎だわ! ね、ニノン?」
フィオがニノンさんの両肩に手を添えながら、彼女の顔を後ろから覗きこんだ。対するニノンさんは私の顔をちらちらと俯きながら見てくる。
「や、やっぱり……嫌かな? 嫌だったら、地上に」
私が慌ててニノンさんに向かってそう言うと、突然彼女は私の方に泳ぎ寄ると勢いよく私の胸に飛び込んできた。
「ずっとここに居やがれ……ひより」
私の胸に顔を埋めたまま、ニノンさんは言った。私は二人の姉が私を見て微笑んでいるの確認すると、その華奢な身体を抱きしめた。
「ずっと……居ます。ニノン」
第七章 愛し、愛される少女
「本当に、いいの?」
「うん。遠慮なくやっちゃってよ」
心配そうな顔をしているフィオに、私は胸を叩きながら言ってあげた。
「途中で待った、って言われても止められないぞ?」
「問題なし」
私の回答にニヤリとクロエが笑う。
「私たちの卵をくれてやるんだ……ありがたく思えよ」
「もちろん。ありがとう、ニノン」
小さなニノンの身体を優しく抱きしめると彼女の頬がピンクに染まる。はうぅぅ、かわいいすぎるぅ~。
そして大きく開いた私のオマ○コに彼女たちの触手が一本ずつ近づく。三姉妹全員、今日は寄生体の卵は……抜いていない。
そう、私は彼女たちと同じ存在になることに決めた。まぁ、人魚にはなれないだろうけど、せめて血縁以外の一人の理解者として、彼女たちとできるだけ同じ生き物になろうと。
だから私はこれから彼女たちに寄生される。正確に言えば、彼女たちの中にいる寄生体に。
後悔? そんなものはない。むしろあるのは期待だけ。大好きな彼女たちと同じ存在になれるのだから、これほど嬉しいことはない。
「さぁ……みんな早く来て」
私は自分のオマ○コを両手で広げながら彼女たちに言った。とろりと私から出た愛液で、彼女たちもどれだけ私が待ちわびているか分かってくれただろう。
そして、私のオマ○コに三本の触手があてがわれ……三本同時に力強く押し入ってきた。
「ああああああああああんっ! きっ、たぁあああ!」
私は背後の岩肌を掴みながらその衝撃に耐えた。間髪を居れずに統制の取れてないストロークが開始される。
「あっ、くぅ、ひよりいぃぃぃ……」
三本の触手の中で一際大きいのはフィオのだろう。彼女は優しくゆっくりとした動きで私を攻め立てる。
「くぅううううううんっ! ひよりぃいいい!」
他の二人の二倍動いているのはクロエだ。私をとても求めてくれていたのがその激しさから嬉しいほど伝わってくる。
「くっ……んっ……」
そして一人消極的な動きをしているのはニノンだ。二人の触手の隅で彼女のそれは私の内側をわずかに行き来する程度。
私はそのニノンの身体を抱き寄せて、その小さな口に侵入する。硬くなっていた彼女の顔に、驚きの色が浮かぶ。
「んんんっ……ニノン、私が大好きなら、もっとやって」
大口を叩いておきながら、ニノンは躊躇しているのだろう。果たして自分と同じ目に合わせてもいいのだろうか、と。
「大丈夫、あなた達がいるなら……だから、あなたの全部を、わたしにちょうだい?」
「……くぁああああああんっ!」
「ふぁあああああんっ! きもちいいょおおおおお!」
完全に吹っ切れたようにニノンは私の中で暴れ始めた。私を壊すような力強さで、彼女は私の中で動き回る。
「きてぇえええ! みんなの、わたしにだしてぇええええええええ!」
私は一心不乱に私を壊し始めた三姉妹に懇願した。すると、彼女達は一層激しく私の中で揺さぶり動いた後、私の子宮で卵を放った。
「「「んぁあああああああああああっ!」」」
「あああああうぅぅぅぅ……みんなのが、はいってくるうぅぅぅ……」
私の子宮に小さな石ころのようなものが三つ落とされたのが分かった。大好きな彼女たちの卵……ふふっ……早く孵ってね。
その願いは夜明けに叶い……やがて私の身体は壊れ、そして生まれ変わった。
エピローグ
「おそい! ニノンのやつ、着替えに何時間掛かってんだ! ひより、先やるぞ!」
「待ちなさい、クロエ! もう、ちょっとぐらい我慢しなさいったら」
「そう言ってるフィオだって、足モジモジさせてんじゃないかよ」
「うっ……こ、これは……」
そんな二人のやり取りを私は笑いながら見ていた。まぁ実際のところ……私も、もう我慢の限界が近いわけだけどね。
「ね、姉さま! 入ります」
「あっ、いらっしゃい、ニノ……わあぁぁ……」
「おおおっ! なんと、かわいらしい……」
そんな二人と同じように、私も部屋に入ってきたニノンを見て驚いた。なんとも可愛らしい、子供のメイドさんの入場だ。
「に、似合いますか? 姉さま」
「もちろん! かわいいわよ、ニノン」
フィオの反応に嬉しそうにニノンは頬を赤らめた。
「おう! まさに、馬子にも衣装だ!」
「お前には聞いてないし、それは褒め言葉にもなっていない」
対するクロエにはなんとも冷たい反応を返す。まったく、お互いにもっと素直になればいいのに。
そう思っていると、テトテトとこちらに駆け寄ってきたニノンは私にも印象を聞いてくる。
「に、似合うか?」
「ふふっ……とりゃ」
私はニノンの身体を抱きしめて返事をしてあげた。顔を合わせようとしない彼女の顔を覗きこむと、真っ赤に頬を染めている。ふふっ、なんてかわいらしい反応だろう。
「じゃ、今日はニノンにご褒美をあげようかな」
私の言葉にニノンはパッとこちらを向いて嬉しそうに笑ってくれた。言ったほうとしてもこれだけ喜んでくれると嬉しいものだ。
「ええ~っ、いいなぁ……」
「まぁまぁ、クロエ。今日はいいじゃない」
ムスッとした表情のクロエをフィオが優しくなだめてくれる。そんな二人に私に向かって私はお尻から二本の触手を出した。
クロエの卵からもらった複数の触手の全てが、フィオの卵から受け継いだ立派な太さを兼ね備えている。今となっては私の自慢の触手だ。
「ちゃんと二人もこれで可愛がってあげるから、ね?」
「上等だ! 掛かって来い、ひより」
クロエは私の触手を見るや否や素早く座り直すと、私に向けて自らの入り口を広げてくれた。フィオはその様子に苦笑いしつつ、彼女の上に馬立ちになるとこちらにお尻を向けてきた。
今日は三人とも私のために人間の姿でやらせてくれるのだ。ふふっ……思いっきり、気持ちよくさせてあげないとね。
「じゃ、早速始めましょうか」
私はフィオとクロエのオマ○コに触手をあて、ニノンは足を広げさせて私の太ももの上に半分だけ座らせると、私はニノンから貰った人魚のオチ○チンをオマ○コから生えさせ、ピンク色の彼女の入り口にあてがった。
先に私は二人の姉の中に触手を突き入れ始めた。
「いっくよぉ……そぉ~れっ」
「くぅうううんっ! はいってくるぅううううう!」
「かっ、はぁああああああんっ! ぐぅ、あぅ、んっ!」
フィオにはゆっくりと挿入し、クロエにはいきなり激しく動いてあげる。姉妹の好みも私は既に把握済みだ。
そして頬を赤く染めながら私のモノを見ているニノンの頭を撫で、耳元で囁いた。
「動いて……私を……好きにして……」
それがスイッチになり、ニノンはゆっくりと私のモノを彼女の中に迎え入れ始めた。唇を噛み締めて、その快感と衝撃に耐えている姿がまた可愛らしい。
「んっ……くぅ……」
「ふふっ、それ」
そんなニノンの表情に悪戯心をくすぐられた私は、彼女の腰を掴むと一気に私のモノを彼女の奥まで差し込んだ。
「くぁああああああああんっ! ……ひ、よりぃ……」
「ふふっ、ごめん。まって、られなくて……」
ニノンの赤い頬が小さなリンゴのように膨らみ、私は笑いながら彼女の唇を奪い、その頬の空気と共に彼女の唾液を吸い上げる。そう、まるでリンゴのような甘い唾液を。
「んんっ! んっ! んっ!」
そのままニノンが私に上半身を預けるようにして腰を動かし始めた。初々しい彼女の中はギチギチに狭く、私のモノを奪い取ってしまいそうなほど締め付けてくれる。
一方で触手を受け取っているフィオとクロエも、フィオがクロエの身体に乗り抱えるようにしてお互いの口を弄り合っている。
妖しい音が交わりあう部屋の音が更に私の官能を高め、触手に熱いものが集まってきた。
「ふぃおぉ、くろえぇ、ださせてぇ……ふたりのなかに、ださせてえぇ」
「ひよりぃぃ、ひよりの、あついのちょうだぁあいい!」
「わたしのなかに、いっぱいだしてぇえ!」
フィオとクロエが光悦とした表情で私に懇願してくれる。
「に、のん、いくよ!? ぜんぶ、うけとってぇ!」
「だしてえぇ。わたしに、ひよりのでいっぱいにしてぇえ!」
ニノンが私のことをぎゅっと抱きしめ、私も同じように彼女の身体を力強く引き寄せた。そして……私の触手とおち○ちんから三人に、私の蜜をプレゼントした。
「ぁああああああああんっ! あつぃいいいいいいいい!」
「でてるううぅ……わたしのなかに、ひよりがはいってくるうぅぅ……」
「みたされる……わたしが、ひよりでみたされるうぅぅ……」
三姉妹がそれぞれの身体の中に私を存分に受け取ってくれる。まるで搾り取るようにそれぞれに入っている私のモノを締め付けて、最後の一滴まで奪い取ってくれる。
「ふあああぁぁ……みんなぁ……」
私の大好きな三姉妹が、私の触手でよがってくれる……なんて素敵なことだろう。
そんな私の愛する三人が、私は……
「えへへっ。みんなぁ、だぁいすきぃ……」
<終>
(追放者たちの宴 第三章~第五章)
第三章 初めての交わりと姉妹の過去
「……ふぅ。本当になんとかなるもんだねぇ……」
海から上がった私は身体を犬のように震わして水気を飛ばし、フィオから渡されていたかなり使い古しのTシャツで身体を拭いた。
しかし……ベタベタとしてた身体を流すために海に入ったわけだけど、結局水分を拭いちゃったらまたベトベトになるよねぇ……海水だから。
多分すぐに脱ぐことになるんだろうけど、一応私はベトベトになり始めた身体に服を身に着けて、フィオが待っている場所に向かった。
私は先ほど案内されたフィオの部屋の前に着いた。部屋、と言っても大した仕切りは無く、ただ入り口が一部分しかないところを彼女達はそれぞれの部屋にしていた。
「くっ……んっ……」
耳をすますとフィオのわずかな声が耳に入って私は思わず足を止めた。何かグチュグチュという水音もリズムよく聞こえてきている。
私はその音の正体を確かめたくなって、岩の陰から部屋の中を覗こうとした……が、足元にあった石を蹴ってしまい、それが洞窟内に反響した。
「くんっ! だ、誰?!」
「ご、ごめんなさい!」
フィオの声に私はすぐさま頭を引っ込めて謝った。すると岩の向こうからなにやらガサゴソと慌しい音がせわしなく聞こえる。悪いことしちゃったぁ……。
「ご、ごめん! どうぞ!」
部屋の中から顔を出したフィオが私の手を引っ張って部屋の中に招き入れた。中の様子は、先ほど案内されたときとほぼ同じ状態に戻っている。
「か、身体は洗えたかしら?」
フィオが誤魔化すように私に聞いてきた。それに合わせて私も頷いて答える。
「う、うん。でも、やっぱり海水だから結構ベタベタしちゃってるんだけど……」
「ああ、それは大丈夫。心配しないで」
ニコリと笑ってくれたフィオの様子を見ると、本当に心配する必要はないみたいだ。
「あっ、ちょっと待ってね」
フィオが部屋の入り口の横に立つと、なんとそこに立て掛けてあった大きな石を軽々と持ち上げ、入り口を塞いでしまった。
「こうしないとクロエが悪戯しに来るかもしれないから」
同時に私の逃げ場も断たれたわけだけど。……ま、逃げる気もないけど。
「でも本当に海の底なんだね。私も海中で息できちゃったし」
「でしょ? 多分、私が復活させたときに水中でも生きられるような身体に変わったんだと思う。お母さんからそう聞いたことがあるわ」
「へぇ~。そう言えばさ、フィオたちのお母さんって何処に住んでるの?」
何気なく聞いた私の言葉にフィオの笑顔に曇りが掛かった。それに私が気付いた瞬間、聞いちゃいけないものだったとすぐに気付いた。
「ご、ごめんなさい!」
「あ、ううん。大丈夫。……それに、この際だから詳しく話したいんだけど、いいかな?」
フィオの静かな微笑みに私は二つ返事で了承した。するとフィオは床に座り込み、私にもそうするように手で示してきた。
「えっとね……私たちが寄生されたのは今から2年くらい前。私がクロエぐらいの頃だったの」
「フィオがそれぐらいってことは、クロエやニノン……ちゃんたちはもっとちっちゃかったの?」
私は入り口をしっかりと塞いである岩を見てから聞いた。
「クロエは結構大きかったけど、ニノンはまだ幼なくて母親二人に甘えてたかな、ふふっ。あの頃はとても可愛かったなぁ……あ、今も可愛いけどね」
フィオがクスクスと笑って話した。確かにニノンさん……ううん、さすが人魚って事もあって三人ともすっごく可愛いよね、今更だけど。
「そんな時、私とクロエが海底に落ちてた二匹の海蛇みたいなものを見つけてね。それぞれ、綺麗な青と赤の光を放ってて、私たちは思わずそれを手にとってみたの」
段々と伏目がちになるフィオを見て私もある程度の予想がついた。そしてその答えがフィオの口から出される。
「手に取った瞬間、それは素早く私たちの……下の前の穴から入ってきた。掴みなおすヒマもなくて、一気に侵入したそれが私たちに寄生したの」
フィオの視線の先をよく見ると、彼女は自らの秘所を見ていた。おそらくそこから入られた感触を思い出しているのだろう。
「私とクロエにはそれに寄生されたって分かったのは、頭にその寄生体に関する情報がそのとき一通り埋め込まれたから。それとね、それが私たちを通じて仲間に寄生できるって事も分かったの」
「そ、それで人魚の仲間に寄生を?」
私の予想にフィオは首を振った。まぁ、私もフィオがそんなことはしないだろうと思ってたわけだけど。
「私とクロエは正直に私たちの二人のお母さんに話して、お母さんが群れの人魚のみんなに説明してくれたの。……でも、みんなは認めてくれなかった」
「ど、どういうこと?」
「私たちには仲間に寄生するつもりはなかったの。けど、群れのみんなはそれを信じてはくれなかった。だからみんなは、私とクロエを追放することに決めたの」
「そんな……酷い……」
私は心底そう思ったが、フィオは微笑みながら首を振って否定した。
「みんなの判断は正しいと思う。それに、寄生されてから仲間を見て異常に興奮することもあったわけだったから。だから私とクロエはそれを受け入れたの」
「……お母さんたちは、それに対して仲間に不満を持たなかったの?」
「片方のお母さんはそれが決定する直前に死んじゃったけど、もう片方のお母さんは何も言わなかった。でも、よかった。下手に口を出せばお母さんまで群れにいられなくなっちゃうから」
フィオは微笑んで話していても……私にはそう思えなかった。私の母さんなら……おそらくめちゃくちゃに怒ってくれただろうから。
「それで私とクロエが群れから出て行こうとしたとき、ニノンが私たちに着いて来てしまったの……ううん、着いて来てくれたの。あんな馬鹿親のところになんか居たくない、って言ってくれて……」
フィオが感慨深く目を瞑ってしまう気持ちも私にはよく分かった。
「そして群れを離れた私たちが奇跡的に見つけたのがこの洞窟なわけ。海底のクレバスにある洞窟だから、海底に住んでる人魚達は来ないからお互いに干渉をしなくて済む。ふふっ、海水も入ってこないしいい場所でしょ?」
珍しく自慢げに言ってきたフィオに私は大きく頷いて同意する。
「まぁ、ここは酸素が無いから普通の人間は来れないと思うけどね」
フィオが言った言葉に私は苦笑いで返す。と言うことは私は酸素が無くても生きていける人間になっちゃったと。ううっ……もう海に身投げしたぐらいじゃ自殺はできないってことかぁ。
そのとき、ふと気付いたことをフィオに聞いてみた。
「ってことはさ、寄生されているのはフィオとクロエだけってこと?」
私の言葉にフィオは一瞬だけ硬直した後、苦笑いをして首を振った。あれ……また、聞いちゃいけないこと聞いたかな。
「ニノンには……私とクロエが寄生させたの。ここを見つけた後、ニノンが自分でそう望んでくれたから」
説明してくれたフィオの顔はとても複雑そうな表情だった。
「ふふっ……酷い姉でしょ? せっかく寄生されてなかった妹にそんなことするなんて」
「……ううん。そういう表情してるって事は、妹のことを案じてすごく悩んだ末に出した答えでしょ? そこまで妹の事を考えてるなら立派なお姉さんだよ」
「……ありがとう。……それとね、もう一つ見てもらいたいものがあるの」
スクッと立ち上がったフィオが部屋の隅にあった古めかしいカーテンのような布切れの近くに歩み寄った。その布切れの下に何かあるようでむくりとそれは膨らんでいた。
「これから見るものは……ちょっと刺激が強いと思うの。……けど、隠し事はしたくないから見せるね」
フィオの真剣な眼差しに、私は一呼吸置いて覚悟を決めから力強く頷いた。
そしてフィオがその布切れを一息に取り去り、その下に現れたのは……。
「……人……間?」
私と同い年……いや、もっと若い人かもしれない。そんな女性が虚ろな目をして裸のまま座っていたのだ。
「この人もひよりと同じように海で死んでたの。ただ、ひよりと違ってこの人を見つけたのは死後1ヶ月過ぎてからで、もう魂は旅立ってた」
フィオがその女性の隣に座り込んで彼女の頬を撫でる。すると虚ろな視線がフィオに向けられるが、その表情が変わる事はない。
「こうやって復活をさせても、魂がないから感情もないの。ただ身体に感覚が伝わればそれにわずかになら反応はするんだけど……」
「……そうなるって分かってて復活させたの?」
彼女と同じ人間として、私はフィオに聞いた。……この海域は日本の女性の間で自殺の名所として有名な場所。おそらく彼女も私と同じで自殺をしに来たのだろう。だとしたら私と同じように、彼女もこれ以上生きていられないような辛い目に合ったのだろう。
それなのに……それなのに、安らぎを求めて死を選んだのにこうして復活させられているのはあまりにひどいことだと感じたからだ。
「ええ。魂がない人間を復活させたらどうなるかも、復活させるときこの人の身体に既に魂がないのも、分かってた」
「だったら、なんで……」
「可愛かったから。それに、人魚の間でも人間の女の人はとてもいい穴を持ってるって評判だったから……どうしても欲しくなって」
「それって……」
私は言葉に詰まった。あまりに怒りが込み上がり過ぎていてこめかみが痛くなってくる。
「……妹二人と一緒にお互いに触手を入れあったりもした……けれど、それぐらいじゃ私たち人魚の欲望は満たされなくって」
「だからって死んだ人間まで……」
「死んでいたから、なの。魂はもうあの世に逝ってるはずだから……だから残された身体は好きにしていいかなって……言い訳だよね、ごめん」
「じゃあ、なんで私を復活させたの? 一ヶ月待って、私の魂があの世に逝ってから復活させなかったのは何でなの?」
魂があの世に逝った人間なら別にいい、と思ったわけじゃない。けど、私はそれより今は私を復活させた理由を聞きたかった。その理由次第では彼女に殴りかかるつもりだ。
「……一つは魂のない人間では感情がなく、穴もほとんど締めてくれない。はっきり言えば物足りない。だから……」
もうこの時点で殴りかかりたいのだが、『一つは』ということはまだ理由がありそうなのでそれを待った。
「もう一つは……これ」
そう言って彼女が着ている使い古しのベストのポケットから、あるものを取り出した。
「あ、それは!」
「ごめん。返しそびれちゃってて……中も見ちゃったんだ」
フィオが頭を下げながら差し出してきたのは、誕生日に貰った懐中時計だった。……受験のときにこれで時間を見ろ、ってくれた、私の大切なものだ。
私はそれを受け取ると、すぐさま中身を確認した。やはり海に飛び込んでしまったため、かなり色あせて皺くちゃになっていはいたがやっぱりそれは挟まっていた。
「よかったぁ……なんとか見える」
「家族の写真。……その真ん中で一際笑っているひよりを見て、この人なら分かってくれるんじゃないかって思って」
無口だけど優しいお父さん、いつもニコニコで元気なお母さん、そして……私の事が嫌いでも応援してくれた、妹のひなた。去年に家の前で撮った大好きな家族の集合写真だ。
「これは予想なんだけど……ひよりの自殺ってその家族の人たちに関係があるんじゃないかな?」
フィオの言葉を聞いて私の脳裏あの記憶が蘇る。自殺した3ヶ月前に私が犯した罪の、その結果の映像が脳裏にフラッシュバックした。
「……ねぇ、そんなに人魚の欲望って強い物なの? 私は正直、信じられないよ。フィオたちには人間みたいに理性がある……だから理性で欲望を抑えられるんじゃないかって私は思うんだけど……」
「正直言えばもう夜だから、今にもひよりに飛びつきたいほど、かな。信じられないだろうけど……この欲望が醒めた事は物心ついてからは1秒だってないよ」
……だめだ、想像つかない。一体どれだけ身体が疼くんだろうか。
「ひよりは、海に飛び込んで死んだ死体がどうなるか分かる? 一ヶ月間以上海底に残っていることなんて本当に稀なことなんだよ? 大抵は魚に食べられたり、腐敗が進みやすい人は2週間と持たずに全身が腐敗したりね」
「でもそれで魚や微生物の栄養になるならいい事じゃない。それが何の問題があるの?」
私はフィオに言った。するとフィオは諭すように言い返してきた。
「つまり海の生物のものになる、ってことだよね? ……なら残された身体を私たちが貰うことの何がいけないのかな?」
フィオは微笑みながら首を傾げた。……確かに魂が本当にあの世に逝っているというのなら彼女の言い分は正しい。私だって死ぬときに身体は海の生物の栄養になるんだろうなぁ、って思ったわけだから。
それでも納得できないのはあの世に魂が逝っているという保証がないから。それと、おそらく人間的な社会意識だろう。死者は安らかに眠らせるべし、それが私が日本で住んできて勝手に身についたことなのだろう。
私は魂のない女性に近づき、その頬にゆっくりと触れた。彼女の相変わらずな虚ろな目が私を見ていて、触れた指先からは人間的な温かさを感じれる。
「……ごめんなさい。やっぱり私たちに嫌悪感が湧いたよね? やっぱりやめて、明日の朝に地上に帰って。暫くすれば身体も人間的なものに戻ると思うから」
「いい。やろう」
「えっ?」
私は女性の頬から指先を離すとフィオのほうに向き直った。ぽかんとした彼女の顔が目に入る。
「確かにフィオの言うことは正しいよ。私だって自分の身体が死んだ後にどうなるなんて深くは考えなかった。多分、この人もそうだと思う。……そんなことを考えられる人は、まだ自殺をしないよ」
自殺をする直前、最後に私が考えてたのは……あの世に私が逝ったとき、家族が私を許してくれるかどうかだった。自分の死体のことなんて、正直海に身を投げてしまえば終わりだとしか考えてなかった。
「……ありがとう。ただ、これだけは知っておいて。私やクロエ、もちろんミノンだって死んだ人間の遺体を粗末に扱ったりはしてない。これだけは、分かって」
フィオの言うとおり、それは間違いないだろう。現に目の前の女性の一糸纏わぬ白い肌には傷一つついていない。正直、私の素肌より綺麗な気さえする。
「彼女の名前は?」
「名前はつけてない。クロエとミノンもそれぞれ一人ずつ彼女のような魂のない人間……私たちは『人形』って呼んでるけど、それを漏っているけど名前みたいなのはみんなつけていないと思うよ」
人形か……まぁ、彼女達をいまだに人間って呼ぶよりかはいいのかもしれない。
「ごめん。そろそろこの子寝かしてあげなきゃ」
フィオがその人形の前に膝を折って、その華奢な身体を抱きしめてあげながら頭を優しく撫で始めた。すると人形の虚ろな目が細まり、トロンと眠そうな目に変わった。
そのまま十数秒で人形は完全に目を閉じ、岩肌に寄りかかるように静かな寝息を立て始めた。それを確認したフィオが身体を離し、頭から布切れを掛けてあげた。
「これで明日の朝まではぐっすりと眠ってくれるの」
「食べ物はどうしてるの?」
「一応私の触手をその……穴から入れて私の体液を注入してあげれば特に他の栄養は必要ないの」
フィオが頬を掻きながら少し恥ずかしそうに答えた。
「一応、これで私の話は終わりなんだけど……」
「うん。……全部を正直にありがとうね。じゃあ、やろっか、ね?」
「よ、よろしくお願いします」
「こちらこそ」
先ほどまではフィオは凛とした態度だったのに、今は別人のようにオドオドとしている。そうされるとこっちも恥ずかしくなってくるのに……。 私とフィオは苦笑いをしながらお互いに服を脱ぎはじめ、ふと思い出したように私にこう聞いてきた。「あ、あと人魚の足に戻したいんだけど、いいかな?」
「う、うん。どうぞ」
私の返事の後、裸になった彼女の絶妙に肉付きの良い足が変化していき、あっという間に人魚のそれへと変わった。幻想的な光を静かに放っている青色の鱗がまるで宝石のようだ。
「じゃあ……失礼して」
「は、はい」
いざ裸の人魚を目の前にして私はいよいよ緊張していた。まぁ、多分フィオがリードしてくれるんだろうけど……。
そう思っているとフィオの人魚の足が私の身体に優しく絡み付いてきた。意外思ったのは、その青い鱗が見た目より全然柔らかかったことだ。
「はぁ……柔らかくて暖かい身体……可愛い」
私の首に手を回して火照り顔でニコリと微笑むフィオ。ううっ……恥ずかしい。
「おいしそうな唇……んっ」
「んっ……んんっ」
フィオが私の口の中でゆっくりと動き回る。いきなりのキスに驚いたが、それも目を瞑ってキスに集中するフィオの表情を見れば可愛らしくて、私もフィオの舌に合わせて自分の舌を動かす。
その反応に喜んでくれたのか、フィオが先ほどの人形みたいに目を細く開いて嬉しそうに私を見つめた。私も彼女の身体を抱きしめることによってそれを返す。
「んぁっ……あっ……甘い」
唾液の橋を作りながらゆっくりとお互いに顔を離し、橋が崩れた後に私が舌の上に感じたのは氷砂糖のようなゆるやかな甘さだった。
「美味しい? ふふっ、ひよりのもすっごく甘くて美味しいよ」
フィオの柔らかい微笑みが私の心に響き、もっと彼女を喜ばしてあげたいという感情が湧き上がってくる。
「ひんっ! もぅぅ……」
「ふふっ、かわいいこえ」
私の乳首を指先て優しく揉んでくるフィオに、私は冗談交じりの膨れっ面をして、仕返しに彼女にも同じことをしてあげる。 「あんっ……きもちいいよ」
フィオが私の肩に首をもたれかけて耳元で囁いてきた。熱を孕んだ彼女の息が私の耳に吹きかかってくる。
「ほらっ、コリコリってなってきたよぉ」
「はずかしいこと、いわないでよ……」
先ほどまで恥ずかしがっていたフィオが楽しそうな顔で私の乳首を攻めかけ、そして不意に手を離すとゆっくりと顔を胸に近づけて私の乳首を咥えた。
「きゃぁんっ! ちょ、ちょっとやめてぇ……」
「んん~っ、おいひぃ」
「ふあっ! し、したで、ころがさない!」
私の乳首がクリクリと彼女の舌の上で転がされ、生暖かいそれが私に快感を伝えてくる。
その仕返しに私もフィオに何かをしようと探すが、彼女が前かがみになっているため胸の位置が分からず乳首が攻められない。
そうして手探りに彼女の身体を触っていると、不意に私の人差し指が何かに入り込み、途端にフィオがビクンと身体を震わした。
「あんっ! んもっ……せっかちさん」
「ま、まさか……」
フィオが私の胸から顔を離して自らの上半身を起き上がらせていくと、私の右手の人差し指が彼女の……穴に沈み込んでしまっていた。
「ご、ごめん! 大丈夫?!」
私は急いで右手を引き抜こうとすると、フィオがその手に自分の手を重ねて引きとめ、ニコリと微笑むとそのまま私の手を更に穴の奥へと押し入れ始めた。
「ちょ、ちょっと!」
「んぁぅぅ……あったかいでしょ? ふぁぁ……ひよりのあったかいてが、わたしのなかにはいってくるぅう!」
困惑する私をよそに、右手の指が彼女の中に招き入れられていく。彼女の中はすでに濡れきっていて、先ほどの彼女の態度が嘘ではないことを私に確信させてくれた。
「くぅんんっ……ちょっと、すとっぷ」
あっという間に私の5本の指が全て彼女の中に吸い込まれたところで、フィオが私の招き入れることをやめた。
「あっ……これって……」
突如、彼女の奥から出てきたものが彼女の中に入っている私の右手の指先に触れた。丸っこくてかなり太いそれはぬるりと私の5本の指の間に入り込んできた。
「ふふっ、わたしの、しょ・く・しゅ」
「こ、こんなおおきかったっけ?」
「だってぇ……こうふんしちゃって……ねぇ、ひっぱりだして?」
小首を傾げたフィオが私に甘い声でねだってきた。正直、あまり触りなれない感触に困惑したが、フィオの期待を込められた表情に決意を決めてその触手を指先で掴んだ。
「んぁうぅ……そうぅ。そのままぁ……ひっぱってぇ……」
「う、うん。いくよ……」
フィオが頷いたのを確認してから、私はゆっくりと右手を引き抜き始めた。ぬめっている触手を離さない様に気を使うと、自然と指先に力が入ってしまう。
「くぁんっ!」
「ご、ごめんっ! 痛かった?!」
私は触手から手を離して、自分の右手だけ引き抜こうとすると、すかさずにフィオの手がそれを押さえつけた。
「ちがぅう。……あんまりきもちよくて……イキそうになっちゃっただけ。さっ、あとすこしだから……おねがい」
悪戯っぽく舌を出してフィオの表情は嘘を言っているようには見えず、私は触手を掴みなおしてそれを再び引き抜き始めた。「ふぁんっ……でてくるよぉ」
やがて私の塗れた指先が彼女の中から出てきた。彼女の赤紫色の太い触手を携えて。
「ふふっ、ありがとう、ひより」
そう言って微笑むフィオの顔よりも、私は右手の指先に掴んでいるその触手に目を奪われていた。
「さ、さっき私に見せたときより2倍ぐらい太いじゃない!」
「だって……ひよりとキスとかしたり、あんなにつよくつかまれたりしたら、おっきくもなっちゃうよ」
フィオの言葉に反応するかのように触手がうにうにと動き始め、私が思わず手を離しても変わらず自立していた。
「ねぇ……そろそろひよりに、いれてもいい?」
「ちょちょちょちょ、ちょっと待って! こんな大きいの入るわけないって!」
「あははっ、大丈夫。ゆっくりいれてあげるから」
私が両手と首を振ってフィオの行動を制止しようとするが、彼女はすかさず私の身体を抱きしめると優しく微笑んだまま首を横に振った。
そして彼女の触手がするりと私の穴に近づいてきて、その入り口を丸っこい触手の先っぽで擦ってくる。
「くああぁんっ……やめてえぇ……」
「ふふっ……じゃあ、ゆっくりいくからねぇ……んんっ、と」
「ふあああぁんっ! ひ、ひろがっちゃぅうううう!」
押し広げるようにぬるりと触手が私に入ってくる。正直、経験豊富とはいえない私の穴はそこまで広くないのに……でも、不思議と痛みは感じない。
「やっぱり、しめつけてくるぅ……クロエとミノンより、せまいかも……でも、やさしくやってあげるからね……」
その言葉通り、フィオは触手を牛歩の如くゆっくりと入れてくる。痛みはなくても穴の押し広げられる感覚に思わずフィオの身体を強く抱きしめてしまう。
「そんなにつよくだきしめちゃって……かわいい」
「も、もうっ! あんっ!」
私が文句を言おうとするとすかさずフィオが私への侵入を再開した。その衝撃にまたしてもフィオに強く抱きつくと、彼女は楽しそうに笑いながらもそれを続けた。
「だ、だめぇ! も、もうはいらないぃい!」
「もう、すこしぃ……がん、ばって!」
興奮した表情のフィオが私と密着していた腰を少し上げると、私と彼女の穴の間から触手が見えた。しかし、触手が抜かれるような感触はない。
「じゃあっ、いくよおぉ……んんんんんんんっ!」
「ふぁあああああああああんっ!」
上げた腰をフィオが一息に沈め、同時に私の子宮へと触手があっという間に辿り着いた。
「んぁうぅ……は、はいったよおぉ、ひよりぃ」
「くぅうんっ……も、もう、いっぱいいっぱい……」
「あははっ、これからがきもちいいんだよ。おたがいに、ね」
フィオはそう言うやいなや、私の身体を強く抱きしめてお互いの身体を密着させると触手が私の入り口へと戻りはじめた。
「くはんっ! わたしのに、すいついてくるぅううううう!」
触手に私の中が絡みつき、いやらしくこもった水音が響く。満ちていた私の中から出ていく感触に、私はわずかな歯がゆさのようなものを覚える。
「んんぁっ……じゃ、もういちどいくよぉ……うぁううぅぅ」
「ああああああっ! またひろがるぅううう!」
触手が抜け始めると同時に締りかけていた私の穴が再び押し広げられ、またしても私の中がフィオで満たされていく。
「あははっ、ほらあっ。だんだん、はやくするよおぉぉ……」
「だめ、だめぇ! これいじょうは、むりぃいいいい!」
そう言ってるのに私の中へ出し入するスピードは下がるどころか、尻上がりにドンドン上がっていく。
「こわれるぅうううう! もう、こわれちゃうぅうううう!」
「ふふっ……じゃ、すとっぷ!」
フィオがニコリと笑ってその動きをピタリと止めた。私はそれに驚きながらも、じわじわと広がる膣の寂しさにもどかしさを覚えはじめた。
「ごめんね、ひより。ここらへんでやめておこっか?」
「えっ!? あ、あの……そ、それはちょっと……」
ニコニコと笑うフィオが私の身体を離して、触手を完全に抜き去ろうとする。私はその様子を見て慌て、そして思わず出て行こうとする触手を掴んでしまった。
「あれ? どうしたの?」
「う、うん。わ、私は気にしなくていいから……その続けよ?」
「え~っ。でもひよりが壊れちゃうと、ねぇ。妹二人もまだなわけだし。無理しちゃダメだよ」
そうしている間に、今にも抜けてしまいそうなぐらい触手が私の入り口へと戻っている。
「ああんっ! もう!」
私は思わずフィオに抱きつくと、その勢いのまま彼女を押し倒して彼女の上にすかさず跨った。
「……ぷっ、くくくっ、あははははっ!」
「えっ? な、なに?」
私の下でフィオが笑いを吹き出した。困惑する私の腕を取って身体を密着させてフィオが囁く。
「ごめん。ひよりをちょっと焦らしたくなってね」
「ひ、ひどい! 」
「あはは、ごめん! ……朝までじっくり、楽しもうね。んっ」
フィオが私の唇をまさぐりながら、再び触手で私の中に入り込んで太いそれを出し入れしていく。
「ぷはっ! ひ、よりぃ、きもちぃいい、きもちぃいいよぉおおおお!」
「んぁあああぅうう! わ、わたしもぉおお! んんっ」
今度は私がフィオの口の中を味わいながら、彼女の動きに合わせて自ら腰も動かす。そして段々と私の官能も頂点が見え始めた。
「んあっ、ふぃお! おねがぃいいい! いかせてぇえええええ!」
「あんぅうううううう! わたしを、うけとってぇ、ひよりぃいいいいいいいい!」
フィオの触手が子宮の一番奥で突き刺さったように止まり、そして私の中に熱い液体が放たれた。同時に私も膣から蜜を放った。
「はぅううううううううううううう! あつぃいいいいいいいい!」
「んっ、くぅ……しぼりとられるうぅぅ……ひよりぃ……さいこぉ……」
私はフィオの身体の上にへたりと倒れこんだ。酸素が要らなくなった身体のためなのか、息苦しくもなく汗もかかないが身体全体が熱くてたまらない。
フィオも同じように身体を休めていたが、ふと私の身体を再び掴むとニコリと笑ってこう言ってきた。
「ふぅ……さぁてひより……まだまだ、だよぉ?」
「えっ? あんっ! ちょ、っと!」
再び私の中で暴れるフィオ。その上で足をガッチリと掴まれてなすがままにされる私。
……それは私の意識が途切れるまで……いや、途切れた後もまだ続いていたらしい。
第四章 次女の涙と姉の過ち
次の日。起きたら既に夕方過ぎだった。……いや、元々この海中の洞窟に外の光なんて入ってこないから私には分からないんだけど、フィオはもう夕食の魚を床に広げていた。
「昨日はありがとうね、ひより。はぁ……思い出しただけで身体が疼いちゃう……」
「そ、それはよかったね。ふぅ……今日はクロエとだよね?」
「うん。ニノンは私が面倒を見てるから遠慮なくやってあげてね。さっ、二人は先に食べちゃったから私たちも食べよ?」
遠慮なく“やられて”ね、の間違いだと思うけど、なんて思いながら私は近くにあった海老を口に運んだ。やっぱり新鮮なためなのか、文句なしに美味しい。贅沢を言うならしょうゆが欲しいけど。
「それより身体が昨日よりスベスベしているんだけど……これも?」
「ふふっ、それは人魚の美しさの秘訣みたいなものかな。昨日、私の体液を身体に一杯浴びたから」
……記憶の片隅に、彼女の体液をお互いにローションのように塗りたくって行為をした映像が……。
「まっ、それを食べ終わったらそのままクロエのところに行ってあげてよ。多分、卵を出して楽しみに待ってると思うから」
「はいはい」
「あっ、待って」
私はイカのゲソを咥えてクロエの部屋に向かおうとすると、フィオが立ち上がってこちらに駆け寄って来ると、突然私の唇を奪った。
「んっ……」
私は慌てながらも私の口をイカごとまさぐるフィオに身を任せ、しばらくその甘美な彼女の唾液を味わった。
「……ふふっ。あんまり長くやってるとクロエに怒られちゃう」
フィオが私の中から舌を抜いたと思ったら、口の中にあったゲソも取られてしまっていて、フィオが口からニョロっとそのゲソを出して笑っていた。
「まったく……じゃ、行って来ます!」
私はフィオに敬礼をすると、彼女の見送りを背に受けながらクロエの部屋へと歩き出した。
この食事の部屋から四方に通路が分かれていて、海への出口と、それぞれ三姉妹の部屋へと繋がっている。クロエの部屋は食事の部屋をはさんでちょうどフィオの部屋の反対側だ。
クロエの部屋に近づくと、昨日フィオの部屋に近づいたときと同じようにいやらしい水音と、クロエの喘ぎ声がわずかに聞こえる。
「ク、クロエ! ひよりだけど!」
「おーっ! や~っと来たかぁ! さ~ぁ、入るんだぁ!」
クロエの元気な声に私はおそるおそる部屋の中を覗いた。すると既に裸で人魚の姿のクロエがくたびれたTシャツで見知らぬ女の子を拭いていた。
「その人って……クロエの人形?」
「その通り。今も卵を出すのに手伝ってもらってたところだ。まぁ、出してからも何発かやったけどな」
綺麗な歯を見せてクロエが笑い、そして人形を抱きしめて彼女を寝かすとその上に布切れを被せた。
「さぁて、始めるぞ~! さっさと服を脱げぇ~い!」
「わっ! じ、自分で脱ぐから!」
追いはぎでもするかのようにクロエが私の服を掴みに掛かってきた。
「あっ、ペンダント。一体何が入ってるんだ、それ」
「ペンダントじゃなくて懐中時計。まぁ、壊れちゃったけど。……ほら、これ」
私は懐中時計を開いて中身の写真をクロエに見せた。しかしクロエはそれを一見しただけで、大した興味はなかったようですぐに押し返してくるなり、裸になった私に抱きついた。
「よ~し、やるぞ!」
「あんっ! もぅ……んんっ」
私は懐中時計を脱いだ服の上に置いて振り返ると、クロエが強引に私の唇を奪い取ってきた。彼女の元気な舌が私の口の中で暴れ回る。
「んっ!?」
突然、私の身体に触手が何本も絡み付いてきた。そ、そんな! フィオは2本しか出せなかったのに!
「ぷはっ……ふっふっふ、驚いているなぁ? ただ太いだけのフィオとは違うのだよ」
「ちょちょちょちょ、ちょっと! こんなに出さなくても二本でいいでしょ?! 私の穴は二個しかないんだから!」
「何を言ってる。誰が一個の穴に触手を一本って決めたんだい? へっへっへっへ」
クロエが不適な笑いを私に向けた。た、確かにフィオのよりかは太くないけど、そんなの二本以上入らないって!
それでも私の秘所は左右二本の触手によって広げられ、更にもう一本が穴の中心に触手があてがわれる。
「さぁて……楽しませてもらおうか、ひより。いただきま~す! くっ、んんんん!」
「ふあぁああああああああんっ!」
クロエの触手が私の中に一息で侵入した。途中で止まることなく、一気に子宮まで突き刺さる。
「くぅううう! ひ、よりいぃ! さいこうだぁ~!」
「あうぅぅぅぅぅ……って、ちょっと!」
侵入されたの衝撃と快感の波に耐えている私の秘所に、更にもう一本の触手があてがわれた。
「よ~し! じゃあもういっぽん、ついかぁあああああああ!」
「くぅあああああああああああんっ!」
先の触手に絡みつくようにしてもう一本の触手が私の中に入ってくる。体感したことのない感覚にあやうく意識が飛び掛ける。
「あ、あぅうう、ああぅ……」
「おいおい、ひより。大丈夫かぁ? よ~し、じゃあ最後の一本、いってみよ~」
クロエがまったく悪びれた様子のない笑顔で私の顔を覗きこみ、高らかに宣言をしてきた。
「や、め……ああああああああああああああんっ!」
「くはぁああああんっ! こ、こりゃ……すごいぃぃぃ」
二本の触手のわずかな隙間に最後の一本の触手が入り込み、私の穴がピッシリと触手で埋め尽くされた。
「よ、よぉおおし……う、うごくぞおぉぉ!」
「だめぇ……やめ、うはあああああああんっ!」
「すっ……ごい……からみ……ついてくるうううううううううう!」
私の穴の中で三本の触手が入れ替わりに子宮を突いてきて、私の頭に快感が連続して流れ込んでくる。
「ひより! おしりもちょうだい!」
「む、りぃい、だってぇええええええ!」
私の返事も待たずに、クロエのお尻から出された新たな触手が私の肛門にあっという間に張り込んできた。
「くはんっ! こ、こっちもかくべつうぅぅ……」
衝撃に慣れるヒマもなく、前後の穴で触手の激しい出入りが開始される。気付けば後ろの穴も三本の触手が突き刺さっていたが、もうここまで来ると何本でも変わらない気さえしてきた。
やがて更に4本の触手が私の胸に絡みつき、クロエの手と胸を揉んできたり、その先端に開いた穴で乳首を包み込んできた。触手の中で乳首が無数のヒダのようなもので転がされる。
「ああんっ! しびれるぅうう!」
挿入の刺激に比べると決して大きな刺激ではないが、それとはまた違った感覚の快感に私は身を悶えさせた。
ぐにゅぐにゅと二つの穴の中でところ狭しと暴れまわる触手の数々に、私に送られる快感の濃度も自然と高くなってきた。
「いい、いいよぉ! くろえぇ! もっと、もっとぉおおおおおお!」
「ひゃんっ! しまるぅうう! ひより、もう、だすぞぉおおおおお!」
「ちょうだい! くろえのぜんぶ! ちょうだぁあああああああいいいいいいい!」
「はぁあああああああんっ! うけとれぇええええええええ!」
「ふぁああああああああああんっ!」
クロエの熱い体液が合計6本の触手から次々と私の中に注ぎ込まれ、私の身体の上にもそれが4本の触手によって浴びせられる。
「ああうぅぅ……くろえぇ……」
身体の上に受け取った彼女の体液を、クロエはお互いの身体に塗りたくった。わずかな光によってお互いの身体が妖しく光る。
「ひより……おまえさいこーだ! まだまだいくぞ!」
素直に嬉しそうな笑顔のクロエに、私は力強く頷いてその身体を抱きしめ、そして再び交わりを始めた。
「ふあぁぁぁ……ひより……すごすぎぃ……」
最初に根をあげたのはクロエだった。と言っても私の足腰はもうしびれて感覚が完全失われている。
私は岩肌に寄りかかり、疲れた様子のクロエを後ろから抱きしめていた。私の足の上に乗っかる人魚の足の鱗までもが火照っているかのごとく、彼女の身体全体が暖かかった。
「なぁ……ひより」
「うん? どうかした?」
突然、口調がどこかひかえめになったクロエの声をいぶかしげに思いながら私は返事をした。
「さっき写真、ひよりの家族だろ?」
「ああ、うん」
「どんな家族だったんだ? 人間の家族って」
ちょっと意外な質問に私が戸惑っていると、クロエが振り返って私の顔を見ながら続けた。
「私の二人の母親について、フィオから聞いてるんだろ? 片方の母親は優しかったけど、もう片方は……最低だ」
一人の母親は死に、もう片方の母親は三姉妹とは離れて今も群れに残っている、ということを昨日フィオから聞いた。ただ、フィオとはその残った母親に対する印象が随分違っているような気がした。
「クロエは、許せないんだ。群れに残った母親のこと」
「……あいつなんか親じゃない。けど……フィオが許すって言うなら、私も許す」
まるで子供が背伸びをするような言葉で、素直にクロエがそう話してくれた事を嬉しく思った。
「……私の父親はね、無口だったけどかっこいいお父さんだった。ただ、お酒を飲むとすぐ陽気になって下手な歌を歌うんだけどね」
私は知らぬ間に自分の家族のことをクロエに話し出していた。クロエは興味深そうに私の顔を見ている。
「お母さんは、とにかく元気な人でさ。私が落ち込んでるとすぐさま駆けつけて、あの手この手でうるさく励ましてくれる人だったかな。クロエみたいにね」
「ぶ~っ! 私はうるさくないぞ!」
膨れ面のクロエの頭を私は笑いながら撫でつけ、そして一呼吸置いてから話を続けた。
「それと……妹のひなた。お父さんに似て無口な子で……私のことは嫌いだったけど、私はとても大好きな妹だった」
「……大丈夫? ひより」
クロエが俯く私を下から覗き込むように聞いてきた。私は彼女の身体をぎゅっと強く抱きしめながら聞いた。
「つまらない話なんだけど、聞いてくれる?」
「う、うん。どーんと、話しちゃいなさいよ」
頼もしいクロエの返事に私は後押しされるように私は話し始めた。……自分の罪を。
「私の家族はね、貧乏……不自由な生活を送ってたの。周りの人より物が少なくて、食べるものも決して美味しいものばかりじゃない生活をしてた……それでも幸せだったけどね」
自分で作ったわけではない借金がお人よしだったお父さんに被せられ、ボロい木造の家に私たちは住んでいた。生活も……色々と苦労をしていた。
「だから私は、家族がもっと幸せに暮らせるように頑張ることにしたの。家族のみんなに美味しい食べ物とかを、いっぱい食べさせてあげられるようにね」
高校生になった私は弁護士になれるように法学系の大学を志した。しかし……私の学力ではどんなに頑張っても私立が限界だった。
「そのためにお父さんはお酒をやめて、お母さんもお仕事をするようになった。だけど……妹はそんな私を認めてくれなかったの」
妹は私がそんなことをするより、すぐにでも働きに出ると思っていたらしい。だから妹は私とは口もきかなくなってしまった。
「それでも両親が応援してくれたお陰で、私は幸せを掴むチャンスができたの」
大学入試直前、なんとか大学の入学金とその他の工面ができたということだった。
「けどね、それは両親だけの頑張りじゃなかった。妹が私に隠れて朝とか夜に働いてくれていたからだったの」
受験日の前日、お父さんから聞いた話だ。朝は新聞配達、夜はコンビニなどで働いてお父さんたちにこっそりお金を渡していたそうだ。
「優しい親と、素晴らしい妹じゃない」
クロエがにっこりと私に笑い掛けるが、私はこの先の結末を知っているだけあって同じように笑うことは出来なかった。
「うん。本当に……。でも、そのチャンスを手にできるかどうかって日に、事件が起きたの」
「事件?」
目を丸くして聞いてくるクロエに心が痛んだ。果たしてここから先を本当に話してしまっていいのか、ということを。
しかし、クロエは隠さず自分の本心を語った。それなら、私も何も隠さずに言う義務がある。私の……罪の全てを。
「その朝、家族はみんな寝静まっているとき私は起きた。その日は早起きしなきゃいけなくて、それを言ったらみんな私に合わせて起きると思ったから」
受験日。みんなに言ってある時間より私は1時間ほど早く起きた。
「それで朝ごはんを自分で作って、それを食べたあとに、こっそりと家族の寝顔を見て私は家を出たの」
朝ごはんは簡素に目玉焼きを作っただけだった。私は緊張するとお腹を壊すタイプなので、それを見越してのことだった。
……けど、私の最大の罪はそれだった。
「それでそのチャンスを掴むための問題を受けて、家へと急いで帰ったの。そしたら……」
「そしたら?」
目の前のクロエの顔が歪み、あの時の映像が映し出される。数時間前に出た家の、数時間後の姿が。
「……家が、焼けてた」
「え……?」
思わず頭が重くなり俯いてしまう。目を閉じた先に黒く焼け焦げた家の残骸が映る。そして近くに居た消防隊員から聞かされた犠牲者と……火の原因。
「家族は全員死んでた……火の原因は、私が朝作った料理だったの」
火事の原因は私がガスの元栓を閉め忘れていたことにより、劣化したガス栓から漏れたガスが冬の静電気によって引火し、爆発するように家は燃えたらしい。
「……私は帰って来たら真っ先に妹に、ありがとうって言おうとしたのに……それさえ言えずにみんな死んじゃったんだよ。……私のせいでね」
頬から枯れたはずの涙が流れた。この事件から2ヵ月半、私は涙に濡れた生活をした。そしてその後、私は自殺を決意した。
「2ヶ月過ぎたら涙が流れなくなったの。それで気付いた。泣いて償えるような罪じゃないんだ、って……だから自殺したの」
「……ふざけるな」
「え?」
涙目でクロエを視界に捉えると、彼女は私を押し倒して私の頬に流れる涙を舐めて拭き取ってくれると、その思いを私にぶつけた。
「私は妹でもあり、姉でもあるから分かる。妹として、姉が泣くのは見たくないし、姉として、妹に自分が泣くところも見せるべきではない!」
クロエの今まで見たことのない厳しい剣幕に、私はぐぅの音も出ない。
「結論として……結局ひよりの罪は死んでも、泣いても償えるようなものじゃないよ。笑って償うべきなんだよ」
「……無理だよ。あのことが忘れられなくて笑えないから……私は自殺したの」
「……だったら、私が忘れさせてやる! ひよりがそれを忘れるぐらいによがらせてやる!」
「なっ、んんんっ!」
反論の言葉も言わせず私の口は彼女の唇によって塞がれ、強引に口の中をまさぐられる。同時に何の前触れもなく、触手が前後の穴に突き刺さってきた。
「んんんんんんっ!」
「ぷはっ! ひよりの妹はな、お前に笑って欲しいから頑張ったんだよ! お前のことが好きだから頑張ったんだ!」
私の身体に生ぬるい液体が落ち、クロエの顔をじっと見れば、その綺麗な両目が涙で濡れていた。
「バカ、バカ! 私もバカだけど、お前のほうがずっとバカヤローだ! うわぁああああんっ!」
私の胸に顔を埋めてクロエが泣きじゃくった。私は驚きながらも、涙を流してくれた彼女を見て、私の両目からまた涙が流れ出した。
そして改めて自分のバカさ加減を心の中で強く罵った。
「ごめん……ごめんね」
私は泣きながらクロエの頭を撫でていた。このまま天国に逝っていたら、家族みんなにとてつもない説教を喰らうところだっただろう。
「ぐず……いいか、絶対に忘れさせてやるからな! くらえ、んんっ!」
「あんっ! もう……ありがとう、クロエ。んっ」
触手の一本が私の子宮を強く突き、涙目のクロエがニヤリと笑った。私はその彼女の唇を弄りながら、ほとばしる快感に身をゆだねた。
第五章 服従
だめだ……私、このままだとだめな人間になる。
「ど、どうしたの、ひより? そんな怖い顔しちゃって」
フィオが心配そうに私の顔を見て言葉を掛けてくれる。
「どうした? 食いすぎて身体でも重くなったか?」
う、クロエ。だいぶ近い。けど多分あれだけ激しいことをしてるから体重は増えてないと思うんだけど……増えて、ないよね……?
「だ、だって……い、今はもう夕方なんでしょ?」
「夕方ってより、もう夜だな。完全に外は暗いし」
小魚を噛み潰しながらクロエが放った言葉が私の心に強く突き刺さった。
「だめだぁ……こんな生活……起きてご飯食べて、行為して、また寝てなんて……」
ダメ人間、と呼ばれている人間でももう少しまともな生活をしているのではないかというぐらい、酷い生活をこの2日間送っている。うぅ……受験の時には毎日早起きしてたのに。
「まっ、まぁまぁ。私たちは別に迷惑にとも思ってないし。ね、クロエ?」
「そうだな。ま、いくら私でも昼過ぎには目を覚ますがな」
ぐさっ、という効果音と共に私の胸にクロエの言葉が深々と突き刺さった。すかさずフィオが助け舟を出してくれる。
「そ、そんなことより! 今日はニノンのことをよろしく頼むわね、ひより!」
「そうだぞ~。食った分は働けよ~」
「もう、クロエ! ……いいわ、今日は私が徹底的にかわいがってあげる!」
「なっ! フィ、フィオ! その……優しくして?」
クロエが小首を傾げながら小動物のようにフィオのお願いをした。対してフィオはニコリと笑いながらこう返す。
「ふふっ……さっ、行こうかしら、ク・ロ・エ? ひより、じゃあミノンをよろしくね」
「いぃいやぁああああああ!」
フィオはクロエを脇で持ち上げるようにして部屋を去っていった。フィオ……こわ……。
「さて……私も行かなくちゃ、ね」
食べ終わった魚の骨などを片付け、私はニノン……さんの部屋へ続く廊下に足を向けた。ううっ、気が重い。
正直、人間が嫌いなニノンさんを私は喜ばせることができるのだろうか? という不安があるのだけど……。
そう考えている間に、もうニノンさんの部屋に辿り着いてしまったわけだけど……不思議と姉二人と同じようないやらしい水音は聞こえなかった。
「あ、あのニノンさん。私、ひよりです!」
「入れ」
「失礼します……」
おずおずと部屋の中に入ると、綺麗に整頓されて入るものの、二人の部屋より幾分物に溢れた部屋だった。ボロボロの家具の中に、耳の取れたクマのぬいぐるみや、読めるとはとても思えない色あせた本が入れられている。
私が部屋に入ると、人魚の姿のニノンさんは部屋のちょうど中心辺りにちょこんと置かれた木の椅子に座り、立っている私をじっと見ていた。
「あ、あの……」
「とりあえず服、脱げ」
「は、はい!」
ニノンさんの言葉に私は急いで服を脱ぎ始めた。あうぅぅ……こんな小さな子供に命令されて服を脱ぐなんて……。
「おい、人間」
「は、はい!?」
「これは、なんだ?」
ニノンさんがなにやら黒いスポーツバックを広げてこちらに見せてきた。
「今朝、海底で見つけた」
「げっ。これって……メイド服」
私は中身を軽く触りながら確認した。……一体誰がこんなの海に捨てるのよ。しかも明らかに小さなサイズも入ってるし……。
「で、なんなんだ、これは?」
「こ、これはメイド服って言って、古い時代に身分の高い人に使える女性が着ていた服です」
私の説明に、ニノンさんは残念そうな顔をしてバックを覗き込んだ。
「そうか……フィオ姉さまにあげようと思っていたんだが、それじゃあだめだな」
そう言ってバックを閉じようとしていたニノンさんの手がピタリと止まり、私の顔とその中身を見合わせ、こんなことを言ってきた。
「お前、これ着ろ」
「え、えっ!?」
スポーツバックを押し付けられた私は反射的にそれを受け取ってしまった。
「あ、あの」
「早くしろ!」
「はっ、はい!」
私は慌てて中身取り出すと急いで着替えを始めた。ううっ……弱い……弱すぎる、私。
心の中で泣きながら、私は大慌てで着替えを終えた。……律儀にカチューシャまで着けちゃって……なにやってんだろう、わたし……。
「くっくっく、似合うじゃないか。……じゃ、早速始めてもらおうか」
浅めに椅子に座りなおしてニノンさんが、目に眉間を寄せると人魚の下腹部の穴から勢いよくそそり立つものが飛び出した。
「驚いたか? くくっ、私は姉さまとクロエが出せなくなった、人魚の頃の性器が出せるんだ。まぁ、卵は精液は出ないから、安心しろ」
彼女の股間のそれは触手よりかは当然短く、太さもない。だけど……少なくとも子供につけるような大きさではなかった。
「じゃあ、まずこれを……なめろ」
「な、なめろ!?」
私はたじろいで後ずさりをすると、ニノンさんの目が明らかに不機嫌そうなものになり、私は急いで彼女に近づくと股間の前にひざまづいた。
しかし……いざ立派なそれを前にするとそれ以上動けない。実際……口でやった経験もないわけで、目の前のそれを改めて見ると……やっぱり大きいわけで。
「何をやっているんだ。勝手に始めるぞ」
「えっ!? んんんんんんんっ!」
口を半開きにしたが最後、私の口内にニノンさんのそれが突っ込まれた。頭を両手で掴まれて逃げることも出来ない。
「ふぅ~ん。中々いい口をしてるじゃないか、人間」
「ひゃめ、んんんんんんんんんんっ!」
抗議の声を上げる前にニノンさんが私の口の中を出入りし始めた。いやがおうにもそれが舌に絡まり、しょっぱい味を私の味覚に感じさせる。
「くっ、生意気にも舌を絡ませるとは……やるじゃないか、人間!」
意識してやったことではないのだが、それがニノンさんの官能を高めてしまったらしく、口の中の出入りが激しくなってしまった。
「んぁっ! だ、めだ! まず一回、出すぞ!」
「んんんんんんんんんっ!」
私は首を振ってそれを拒否しようとするが、がっちりと固定された首はびくとも動こうとしない。そして、ニノンさんが身を悶えさせ、私の喉の近くまでそれを突き刺した。
「でるぅうううううううううううう!」
「んんんんんんんんんんんんっ!」
口の中にネバネバとした粘着質の液体が押し寄せ、そして口が一杯なりそうなところで止まら……ない……。うそ……もう、くちのなか……いっぱい……。。
「飲め! 絶対に出すな! くっ!」
ニノンさんがそう叫ぶ間にもそれはどんどんと口の中に溜まっていく。そんな……。
口内のキャパシティの限界が近づいてもとどまる様子のないそれを、私は本能的に飲み込み始めた。粘着質なものなんで飲み込みづらいが、睨むニノンさんの顔を見れば贅沢も言ってられない。
不思議と……味は不味くなかった。いやそれどころか……まるで舌が蕩けるような甘美な味がする。それでも量が多すぎる。
「んんんっ、ぷはっ! あんんんっ!」
思わず口を開いてしまうと、未だに暴れるニノンさんのそれが私の口から飛び出て、私の顔に半透明な液体を浴びせ掛けてきた。
「くぅう! ……出すなと言ったのに、出したな?」
「ご、ごめんなさい!」
私はほぼ土下座のような形をとってニノンさんに謝った。その間、顔から滴る彼女の体液を口に入れると、やはりそれは美味しかった。
「ふん、まぁいい。次は下だ」
「した……」
言われて私は自らの股間を見てみた。すると私の愛液が床に滴るほど出ていた。……ううっ、最近やってばかりだから興奮しやすい身体になっている気がする……。
「ボーッとしていないで、そこに横になれ。人間」
「は、はい」
私はニノンさんが撒き散らしたものと、私の愛液で濡れている岩肌に身体を横たえた。……そう言えば、やってるときってこの岩の固さってあんまり気にならないなぁ。どこまで熱中してんだ、わたし……。
「いくぞ。次はこいつもな」
「へっ……?」
私の穴に彼女のオチ○チンがあてがわれると同時に、ゆらりとその背後から触手が現れた。
「しょ、触手まで……出せるなんて」
「誰が触手を出せないって言った? 後ろからは触手だけだが、前からはこれと触手も出せるぞ」
ううっ……こういうサプライズなところはクロエと似ているような気がする。
「じゃあいくぞ」
「あっ、ちょっとまっ……くぁあああああああんっ!」
前の穴と後ろの穴に触手が勢いよく侵入してきて、私の身体にのしかかるようにニノンさんも倒れこんできた。くぅ……久々に感じるなぁ、オチ○チンが入ってくる感覚。ちょっと、新鮮かも。
「くぁうぅぅ……なんて……しめつけだ……」
子宮までオチ○チンが侵入すると同時に、ニノンさんの動きが止まる。目をギュッと閉じて、私の身体の上で硬直をしている。
しかし、突然ニヤリと笑うと、私を見て静かに言った。
「くっくっく……いくぞ」
「あんっ! くぁんっ! んっ!」
私の肩をつかむと、彼女が荒々しく私の前後の穴でそれぞれを出し入れし始めた。熱いオチ○チンが前の穴を突き、後ろの穴を濡れた触手が突いてくる。
「んっ、くっ!」
「いっ! いはい!」
突然私の唇を弄ったかと思うと、ニノンさんは私の唇に噛み付いてきた。そしてまるで獣のように私の口の中で彼女は暴れ散らしていく。
「あんっ! かむと、よく、しまるな!」
「いっ、やめ!」
どうやら刺激を与えられると、私の穴はよくしまるらしい。加減はしてくれるが、やはりちょっとは痛い。
「だすぞ! しめろおおおおおおおおおおおおお!」
「くっ、ふあぁああああああああああんっ!」
私は唇を噛まれたと同時に、今度は意識的にも穴に力を入れて彼女のものを締め上げた。すると穴の中に、更に熱いものが注ぎ込まれ始める。
「でてるうぅぅ……お、おなかがぁ」
子宮の中と腸の中が液体で満たされ始める。そ、そんな! やっぱりとまらない!
「かっ! も、う……だめ……」
「くううううぅ……まだ、まだ、でるぞぉ……」
お腹が外から見ても少し膨らんできたように思える。お尻の穴から入ったほうは、既に胃のほうまで逆流しているのではないかとさえ感じられる。
「らっ、めぇ……」
目の前がくらくらとし始めてきたとき、突然両方の穴の栓が私から抜かれ、勢い余った液体がメイド服のエプロンや私の身体と顔に塗りたくられていく。
「はぁああああああんっ!」
「ふううぅぅぅ……だらしないな、出したばかりのものが流れ出てくるぞ」
「ご、ごめんなさい……」
ニノンさんの言葉に私は本能的に謝罪の弁を述べていた。
すると、ニノンさんが私の顔の上で跨り、私の口にまたしてもオチ○チンを突っ込んできた。そして今度は私のオマ○コに触手が突っ込まれる。
「よく出来たら私の体液をくれてやる。……美味しいだろ、わたしのは?」
私は何度も頷いてそれを肯定した。すると、ニノンさんは少しだけ嬉しそうに頬をほころばせて私の頭を掴んだ。
「じゃあ上手にやれ……いくぞ」
そしてまたしても交わりが始まり、私はその日も失神するまで彼女の体液を味わった。
「……ふぅ。本当になんとかなるもんだねぇ……」
海から上がった私は身体を犬のように震わして水気を飛ばし、フィオから渡されていたかなり使い古しのTシャツで身体を拭いた。
しかし……ベタベタとしてた身体を流すために海に入ったわけだけど、結局水分を拭いちゃったらまたベトベトになるよねぇ……海水だから。
多分すぐに脱ぐことになるんだろうけど、一応私はベトベトになり始めた身体に服を身に着けて、フィオが待っている場所に向かった。
私は先ほど案内されたフィオの部屋の前に着いた。部屋、と言っても大した仕切りは無く、ただ入り口が一部分しかないところを彼女達はそれぞれの部屋にしていた。
「くっ……んっ……」
耳をすますとフィオのわずかな声が耳に入って私は思わず足を止めた。何かグチュグチュという水音もリズムよく聞こえてきている。
私はその音の正体を確かめたくなって、岩の陰から部屋の中を覗こうとした……が、足元にあった石を蹴ってしまい、それが洞窟内に反響した。
「くんっ! だ、誰?!」
「ご、ごめんなさい!」
フィオの声に私はすぐさま頭を引っ込めて謝った。すると岩の向こうからなにやらガサゴソと慌しい音がせわしなく聞こえる。悪いことしちゃったぁ……。
「ご、ごめん! どうぞ!」
部屋の中から顔を出したフィオが私の手を引っ張って部屋の中に招き入れた。中の様子は、先ほど案内されたときとほぼ同じ状態に戻っている。
「か、身体は洗えたかしら?」
フィオが誤魔化すように私に聞いてきた。それに合わせて私も頷いて答える。
「う、うん。でも、やっぱり海水だから結構ベタベタしちゃってるんだけど……」
「ああ、それは大丈夫。心配しないで」
ニコリと笑ってくれたフィオの様子を見ると、本当に心配する必要はないみたいだ。
「あっ、ちょっと待ってね」
フィオが部屋の入り口の横に立つと、なんとそこに立て掛けてあった大きな石を軽々と持ち上げ、入り口を塞いでしまった。
「こうしないとクロエが悪戯しに来るかもしれないから」
同時に私の逃げ場も断たれたわけだけど。……ま、逃げる気もないけど。
「でも本当に海の底なんだね。私も海中で息できちゃったし」
「でしょ? 多分、私が復活させたときに水中でも生きられるような身体に変わったんだと思う。お母さんからそう聞いたことがあるわ」
「へぇ~。そう言えばさ、フィオたちのお母さんって何処に住んでるの?」
何気なく聞いた私の言葉にフィオの笑顔に曇りが掛かった。それに私が気付いた瞬間、聞いちゃいけないものだったとすぐに気付いた。
「ご、ごめんなさい!」
「あ、ううん。大丈夫。……それに、この際だから詳しく話したいんだけど、いいかな?」
フィオの静かな微笑みに私は二つ返事で了承した。するとフィオは床に座り込み、私にもそうするように手で示してきた。
「えっとね……私たちが寄生されたのは今から2年くらい前。私がクロエぐらいの頃だったの」
「フィオがそれぐらいってことは、クロエやニノン……ちゃんたちはもっとちっちゃかったの?」
私は入り口をしっかりと塞いである岩を見てから聞いた。
「クロエは結構大きかったけど、ニノンはまだ幼なくて母親二人に甘えてたかな、ふふっ。あの頃はとても可愛かったなぁ……あ、今も可愛いけどね」
フィオがクスクスと笑って話した。確かにニノンさん……ううん、さすが人魚って事もあって三人ともすっごく可愛いよね、今更だけど。
「そんな時、私とクロエが海底に落ちてた二匹の海蛇みたいなものを見つけてね。それぞれ、綺麗な青と赤の光を放ってて、私たちは思わずそれを手にとってみたの」
段々と伏目がちになるフィオを見て私もある程度の予想がついた。そしてその答えがフィオの口から出される。
「手に取った瞬間、それは素早く私たちの……下の前の穴から入ってきた。掴みなおすヒマもなくて、一気に侵入したそれが私たちに寄生したの」
フィオの視線の先をよく見ると、彼女は自らの秘所を見ていた。おそらくそこから入られた感触を思い出しているのだろう。
「私とクロエにはそれに寄生されたって分かったのは、頭にその寄生体に関する情報がそのとき一通り埋め込まれたから。それとね、それが私たちを通じて仲間に寄生できるって事も分かったの」
「そ、それで人魚の仲間に寄生を?」
私の予想にフィオは首を振った。まぁ、私もフィオがそんなことはしないだろうと思ってたわけだけど。
「私とクロエは正直に私たちの二人のお母さんに話して、お母さんが群れの人魚のみんなに説明してくれたの。……でも、みんなは認めてくれなかった」
「ど、どういうこと?」
「私たちには仲間に寄生するつもりはなかったの。けど、群れのみんなはそれを信じてはくれなかった。だからみんなは、私とクロエを追放することに決めたの」
「そんな……酷い……」
私は心底そう思ったが、フィオは微笑みながら首を振って否定した。
「みんなの判断は正しいと思う。それに、寄生されてから仲間を見て異常に興奮することもあったわけだったから。だから私とクロエはそれを受け入れたの」
「……お母さんたちは、それに対して仲間に不満を持たなかったの?」
「片方のお母さんはそれが決定する直前に死んじゃったけど、もう片方のお母さんは何も言わなかった。でも、よかった。下手に口を出せばお母さんまで群れにいられなくなっちゃうから」
フィオは微笑んで話していても……私にはそう思えなかった。私の母さんなら……おそらくめちゃくちゃに怒ってくれただろうから。
「それで私とクロエが群れから出て行こうとしたとき、ニノンが私たちに着いて来てしまったの……ううん、着いて来てくれたの。あんな馬鹿親のところになんか居たくない、って言ってくれて……」
フィオが感慨深く目を瞑ってしまう気持ちも私にはよく分かった。
「そして群れを離れた私たちが奇跡的に見つけたのがこの洞窟なわけ。海底のクレバスにある洞窟だから、海底に住んでる人魚達は来ないからお互いに干渉をしなくて済む。ふふっ、海水も入ってこないしいい場所でしょ?」
珍しく自慢げに言ってきたフィオに私は大きく頷いて同意する。
「まぁ、ここは酸素が無いから普通の人間は来れないと思うけどね」
フィオが言った言葉に私は苦笑いで返す。と言うことは私は酸素が無くても生きていける人間になっちゃったと。ううっ……もう海に身投げしたぐらいじゃ自殺はできないってことかぁ。
そのとき、ふと気付いたことをフィオに聞いてみた。
「ってことはさ、寄生されているのはフィオとクロエだけってこと?」
私の言葉にフィオは一瞬だけ硬直した後、苦笑いをして首を振った。あれ……また、聞いちゃいけないこと聞いたかな。
「ニノンには……私とクロエが寄生させたの。ここを見つけた後、ニノンが自分でそう望んでくれたから」
説明してくれたフィオの顔はとても複雑そうな表情だった。
「ふふっ……酷い姉でしょ? せっかく寄生されてなかった妹にそんなことするなんて」
「……ううん。そういう表情してるって事は、妹のことを案じてすごく悩んだ末に出した答えでしょ? そこまで妹の事を考えてるなら立派なお姉さんだよ」
「……ありがとう。……それとね、もう一つ見てもらいたいものがあるの」
スクッと立ち上がったフィオが部屋の隅にあった古めかしいカーテンのような布切れの近くに歩み寄った。その布切れの下に何かあるようでむくりとそれは膨らんでいた。
「これから見るものは……ちょっと刺激が強いと思うの。……けど、隠し事はしたくないから見せるね」
フィオの真剣な眼差しに、私は一呼吸置いて覚悟を決めから力強く頷いた。
そしてフィオがその布切れを一息に取り去り、その下に現れたのは……。
「……人……間?」
私と同い年……いや、もっと若い人かもしれない。そんな女性が虚ろな目をして裸のまま座っていたのだ。
「この人もひよりと同じように海で死んでたの。ただ、ひよりと違ってこの人を見つけたのは死後1ヶ月過ぎてからで、もう魂は旅立ってた」
フィオがその女性の隣に座り込んで彼女の頬を撫でる。すると虚ろな視線がフィオに向けられるが、その表情が変わる事はない。
「こうやって復活をさせても、魂がないから感情もないの。ただ身体に感覚が伝わればそれにわずかになら反応はするんだけど……」
「……そうなるって分かってて復活させたの?」
彼女と同じ人間として、私はフィオに聞いた。……この海域は日本の女性の間で自殺の名所として有名な場所。おそらく彼女も私と同じで自殺をしに来たのだろう。だとしたら私と同じように、彼女もこれ以上生きていられないような辛い目に合ったのだろう。
それなのに……それなのに、安らぎを求めて死を選んだのにこうして復活させられているのはあまりにひどいことだと感じたからだ。
「ええ。魂がない人間を復活させたらどうなるかも、復活させるときこの人の身体に既に魂がないのも、分かってた」
「だったら、なんで……」
「可愛かったから。それに、人魚の間でも人間の女の人はとてもいい穴を持ってるって評判だったから……どうしても欲しくなって」
「それって……」
私は言葉に詰まった。あまりに怒りが込み上がり過ぎていてこめかみが痛くなってくる。
「……妹二人と一緒にお互いに触手を入れあったりもした……けれど、それぐらいじゃ私たち人魚の欲望は満たされなくって」
「だからって死んだ人間まで……」
「死んでいたから、なの。魂はもうあの世に逝ってるはずだから……だから残された身体は好きにしていいかなって……言い訳だよね、ごめん」
「じゃあ、なんで私を復活させたの? 一ヶ月待って、私の魂があの世に逝ってから復活させなかったのは何でなの?」
魂があの世に逝った人間なら別にいい、と思ったわけじゃない。けど、私はそれより今は私を復活させた理由を聞きたかった。その理由次第では彼女に殴りかかるつもりだ。
「……一つは魂のない人間では感情がなく、穴もほとんど締めてくれない。はっきり言えば物足りない。だから……」
もうこの時点で殴りかかりたいのだが、『一つは』ということはまだ理由がありそうなのでそれを待った。
「もう一つは……これ」
そう言って彼女が着ている使い古しのベストのポケットから、あるものを取り出した。
「あ、それは!」
「ごめん。返しそびれちゃってて……中も見ちゃったんだ」
フィオが頭を下げながら差し出してきたのは、誕生日に貰った懐中時計だった。……受験のときにこれで時間を見ろ、ってくれた、私の大切なものだ。
私はそれを受け取ると、すぐさま中身を確認した。やはり海に飛び込んでしまったため、かなり色あせて皺くちゃになっていはいたがやっぱりそれは挟まっていた。
「よかったぁ……なんとか見える」
「家族の写真。……その真ん中で一際笑っているひよりを見て、この人なら分かってくれるんじゃないかって思って」
無口だけど優しいお父さん、いつもニコニコで元気なお母さん、そして……私の事が嫌いでも応援してくれた、妹のひなた。去年に家の前で撮った大好きな家族の集合写真だ。
「これは予想なんだけど……ひよりの自殺ってその家族の人たちに関係があるんじゃないかな?」
フィオの言葉を聞いて私の脳裏あの記憶が蘇る。自殺した3ヶ月前に私が犯した罪の、その結果の映像が脳裏にフラッシュバックした。
「……ねぇ、そんなに人魚の欲望って強い物なの? 私は正直、信じられないよ。フィオたちには人間みたいに理性がある……だから理性で欲望を抑えられるんじゃないかって私は思うんだけど……」
「正直言えばもう夜だから、今にもひよりに飛びつきたいほど、かな。信じられないだろうけど……この欲望が醒めた事は物心ついてからは1秒だってないよ」
……だめだ、想像つかない。一体どれだけ身体が疼くんだろうか。
「ひよりは、海に飛び込んで死んだ死体がどうなるか分かる? 一ヶ月間以上海底に残っていることなんて本当に稀なことなんだよ? 大抵は魚に食べられたり、腐敗が進みやすい人は2週間と持たずに全身が腐敗したりね」
「でもそれで魚や微生物の栄養になるならいい事じゃない。それが何の問題があるの?」
私はフィオに言った。するとフィオは諭すように言い返してきた。
「つまり海の生物のものになる、ってことだよね? ……なら残された身体を私たちが貰うことの何がいけないのかな?」
フィオは微笑みながら首を傾げた。……確かに魂が本当にあの世に逝っているというのなら彼女の言い分は正しい。私だって死ぬときに身体は海の生物の栄養になるんだろうなぁ、って思ったわけだから。
それでも納得できないのはあの世に魂が逝っているという保証がないから。それと、おそらく人間的な社会意識だろう。死者は安らかに眠らせるべし、それが私が日本で住んできて勝手に身についたことなのだろう。
私は魂のない女性に近づき、その頬にゆっくりと触れた。彼女の相変わらずな虚ろな目が私を見ていて、触れた指先からは人間的な温かさを感じれる。
「……ごめんなさい。やっぱり私たちに嫌悪感が湧いたよね? やっぱりやめて、明日の朝に地上に帰って。暫くすれば身体も人間的なものに戻ると思うから」
「いい。やろう」
「えっ?」
私は女性の頬から指先を離すとフィオのほうに向き直った。ぽかんとした彼女の顔が目に入る。
「確かにフィオの言うことは正しいよ。私だって自分の身体が死んだ後にどうなるなんて深くは考えなかった。多分、この人もそうだと思う。……そんなことを考えられる人は、まだ自殺をしないよ」
自殺をする直前、最後に私が考えてたのは……あの世に私が逝ったとき、家族が私を許してくれるかどうかだった。自分の死体のことなんて、正直海に身を投げてしまえば終わりだとしか考えてなかった。
「……ありがとう。ただ、これだけは知っておいて。私やクロエ、もちろんミノンだって死んだ人間の遺体を粗末に扱ったりはしてない。これだけは、分かって」
フィオの言うとおり、それは間違いないだろう。現に目の前の女性の一糸纏わぬ白い肌には傷一つついていない。正直、私の素肌より綺麗な気さえする。
「彼女の名前は?」
「名前はつけてない。クロエとミノンもそれぞれ一人ずつ彼女のような魂のない人間……私たちは『人形』って呼んでるけど、それを漏っているけど名前みたいなのはみんなつけていないと思うよ」
人形か……まぁ、彼女達をいまだに人間って呼ぶよりかはいいのかもしれない。
「ごめん。そろそろこの子寝かしてあげなきゃ」
フィオがその人形の前に膝を折って、その華奢な身体を抱きしめてあげながら頭を優しく撫で始めた。すると人形の虚ろな目が細まり、トロンと眠そうな目に変わった。
そのまま十数秒で人形は完全に目を閉じ、岩肌に寄りかかるように静かな寝息を立て始めた。それを確認したフィオが身体を離し、頭から布切れを掛けてあげた。
「これで明日の朝まではぐっすりと眠ってくれるの」
「食べ物はどうしてるの?」
「一応私の触手をその……穴から入れて私の体液を注入してあげれば特に他の栄養は必要ないの」
フィオが頬を掻きながら少し恥ずかしそうに答えた。
「一応、これで私の話は終わりなんだけど……」
「うん。……全部を正直にありがとうね。じゃあ、やろっか、ね?」
「よ、よろしくお願いします」
「こちらこそ」
先ほどまではフィオは凛とした態度だったのに、今は別人のようにオドオドとしている。そうされるとこっちも恥ずかしくなってくるのに……。 私とフィオは苦笑いをしながらお互いに服を脱ぎはじめ、ふと思い出したように私にこう聞いてきた。「あ、あと人魚の足に戻したいんだけど、いいかな?」
「う、うん。どうぞ」
私の返事の後、裸になった彼女の絶妙に肉付きの良い足が変化していき、あっという間に人魚のそれへと変わった。幻想的な光を静かに放っている青色の鱗がまるで宝石のようだ。
「じゃあ……失礼して」
「は、はい」
いざ裸の人魚を目の前にして私はいよいよ緊張していた。まぁ、多分フィオがリードしてくれるんだろうけど……。
そう思っているとフィオの人魚の足が私の身体に優しく絡み付いてきた。意外思ったのは、その青い鱗が見た目より全然柔らかかったことだ。
「はぁ……柔らかくて暖かい身体……可愛い」
私の首に手を回して火照り顔でニコリと微笑むフィオ。ううっ……恥ずかしい。
「おいしそうな唇……んっ」
「んっ……んんっ」
フィオが私の口の中でゆっくりと動き回る。いきなりのキスに驚いたが、それも目を瞑ってキスに集中するフィオの表情を見れば可愛らしくて、私もフィオの舌に合わせて自分の舌を動かす。
その反応に喜んでくれたのか、フィオが先ほどの人形みたいに目を細く開いて嬉しそうに私を見つめた。私も彼女の身体を抱きしめることによってそれを返す。
「んぁっ……あっ……甘い」
唾液の橋を作りながらゆっくりとお互いに顔を離し、橋が崩れた後に私が舌の上に感じたのは氷砂糖のようなゆるやかな甘さだった。
「美味しい? ふふっ、ひよりのもすっごく甘くて美味しいよ」
フィオの柔らかい微笑みが私の心に響き、もっと彼女を喜ばしてあげたいという感情が湧き上がってくる。
「ひんっ! もぅぅ……」
「ふふっ、かわいいこえ」
私の乳首を指先て優しく揉んでくるフィオに、私は冗談交じりの膨れっ面をして、仕返しに彼女にも同じことをしてあげる。 「あんっ……きもちいいよ」
フィオが私の肩に首をもたれかけて耳元で囁いてきた。熱を孕んだ彼女の息が私の耳に吹きかかってくる。
「ほらっ、コリコリってなってきたよぉ」
「はずかしいこと、いわないでよ……」
先ほどまで恥ずかしがっていたフィオが楽しそうな顔で私の乳首を攻めかけ、そして不意に手を離すとゆっくりと顔を胸に近づけて私の乳首を咥えた。
「きゃぁんっ! ちょ、ちょっとやめてぇ……」
「んん~っ、おいひぃ」
「ふあっ! し、したで、ころがさない!」
私の乳首がクリクリと彼女の舌の上で転がされ、生暖かいそれが私に快感を伝えてくる。
その仕返しに私もフィオに何かをしようと探すが、彼女が前かがみになっているため胸の位置が分からず乳首が攻められない。
そうして手探りに彼女の身体を触っていると、不意に私の人差し指が何かに入り込み、途端にフィオがビクンと身体を震わした。
「あんっ! んもっ……せっかちさん」
「ま、まさか……」
フィオが私の胸から顔を離して自らの上半身を起き上がらせていくと、私の右手の人差し指が彼女の……穴に沈み込んでしまっていた。
「ご、ごめん! 大丈夫?!」
私は急いで右手を引き抜こうとすると、フィオがその手に自分の手を重ねて引きとめ、ニコリと微笑むとそのまま私の手を更に穴の奥へと押し入れ始めた。
「ちょ、ちょっと!」
「んぁぅぅ……あったかいでしょ? ふぁぁ……ひよりのあったかいてが、わたしのなかにはいってくるぅう!」
困惑する私をよそに、右手の指が彼女の中に招き入れられていく。彼女の中はすでに濡れきっていて、先ほどの彼女の態度が嘘ではないことを私に確信させてくれた。
「くぅんんっ……ちょっと、すとっぷ」
あっという間に私の5本の指が全て彼女の中に吸い込まれたところで、フィオが私の招き入れることをやめた。
「あっ……これって……」
突如、彼女の奥から出てきたものが彼女の中に入っている私の右手の指先に触れた。丸っこくてかなり太いそれはぬるりと私の5本の指の間に入り込んできた。
「ふふっ、わたしの、しょ・く・しゅ」
「こ、こんなおおきかったっけ?」
「だってぇ……こうふんしちゃって……ねぇ、ひっぱりだして?」
小首を傾げたフィオが私に甘い声でねだってきた。正直、あまり触りなれない感触に困惑したが、フィオの期待を込められた表情に決意を決めてその触手を指先で掴んだ。
「んぁうぅ……そうぅ。そのままぁ……ひっぱってぇ……」
「う、うん。いくよ……」
フィオが頷いたのを確認してから、私はゆっくりと右手を引き抜き始めた。ぬめっている触手を離さない様に気を使うと、自然と指先に力が入ってしまう。
「くぁんっ!」
「ご、ごめんっ! 痛かった?!」
私は触手から手を離して、自分の右手だけ引き抜こうとすると、すかさずにフィオの手がそれを押さえつけた。
「ちがぅう。……あんまりきもちよくて……イキそうになっちゃっただけ。さっ、あとすこしだから……おねがい」
悪戯っぽく舌を出してフィオの表情は嘘を言っているようには見えず、私は触手を掴みなおしてそれを再び引き抜き始めた。「ふぁんっ……でてくるよぉ」
やがて私の塗れた指先が彼女の中から出てきた。彼女の赤紫色の太い触手を携えて。
「ふふっ、ありがとう、ひより」
そう言って微笑むフィオの顔よりも、私は右手の指先に掴んでいるその触手に目を奪われていた。
「さ、さっき私に見せたときより2倍ぐらい太いじゃない!」
「だって……ひよりとキスとかしたり、あんなにつよくつかまれたりしたら、おっきくもなっちゃうよ」
フィオの言葉に反応するかのように触手がうにうにと動き始め、私が思わず手を離しても変わらず自立していた。
「ねぇ……そろそろひよりに、いれてもいい?」
「ちょちょちょちょ、ちょっと待って! こんな大きいの入るわけないって!」
「あははっ、大丈夫。ゆっくりいれてあげるから」
私が両手と首を振ってフィオの行動を制止しようとするが、彼女はすかさず私の身体を抱きしめると優しく微笑んだまま首を横に振った。
そして彼女の触手がするりと私の穴に近づいてきて、その入り口を丸っこい触手の先っぽで擦ってくる。
「くああぁんっ……やめてえぇ……」
「ふふっ……じゃあ、ゆっくりいくからねぇ……んんっ、と」
「ふあああぁんっ! ひ、ひろがっちゃぅうううう!」
押し広げるようにぬるりと触手が私に入ってくる。正直、経験豊富とはいえない私の穴はそこまで広くないのに……でも、不思議と痛みは感じない。
「やっぱり、しめつけてくるぅ……クロエとミノンより、せまいかも……でも、やさしくやってあげるからね……」
その言葉通り、フィオは触手を牛歩の如くゆっくりと入れてくる。痛みはなくても穴の押し広げられる感覚に思わずフィオの身体を強く抱きしめてしまう。
「そんなにつよくだきしめちゃって……かわいい」
「も、もうっ! あんっ!」
私が文句を言おうとするとすかさずフィオが私への侵入を再開した。その衝撃にまたしてもフィオに強く抱きつくと、彼女は楽しそうに笑いながらもそれを続けた。
「だ、だめぇ! も、もうはいらないぃい!」
「もう、すこしぃ……がん、ばって!」
興奮した表情のフィオが私と密着していた腰を少し上げると、私と彼女の穴の間から触手が見えた。しかし、触手が抜かれるような感触はない。
「じゃあっ、いくよおぉ……んんんんんんんっ!」
「ふぁあああああああああんっ!」
上げた腰をフィオが一息に沈め、同時に私の子宮へと触手があっという間に辿り着いた。
「んぁうぅ……は、はいったよおぉ、ひよりぃ」
「くぅうんっ……も、もう、いっぱいいっぱい……」
「あははっ、これからがきもちいいんだよ。おたがいに、ね」
フィオはそう言うやいなや、私の身体を強く抱きしめてお互いの身体を密着させると触手が私の入り口へと戻りはじめた。
「くはんっ! わたしのに、すいついてくるぅううううう!」
触手に私の中が絡みつき、いやらしくこもった水音が響く。満ちていた私の中から出ていく感触に、私はわずかな歯がゆさのようなものを覚える。
「んんぁっ……じゃ、もういちどいくよぉ……うぁううぅぅ」
「ああああああっ! またひろがるぅううう!」
触手が抜け始めると同時に締りかけていた私の穴が再び押し広げられ、またしても私の中がフィオで満たされていく。
「あははっ、ほらあっ。だんだん、はやくするよおぉぉ……」
「だめ、だめぇ! これいじょうは、むりぃいいいい!」
そう言ってるのに私の中へ出し入するスピードは下がるどころか、尻上がりにドンドン上がっていく。
「こわれるぅうううう! もう、こわれちゃうぅうううう!」
「ふふっ……じゃ、すとっぷ!」
フィオがニコリと笑ってその動きをピタリと止めた。私はそれに驚きながらも、じわじわと広がる膣の寂しさにもどかしさを覚えはじめた。
「ごめんね、ひより。ここらへんでやめておこっか?」
「えっ!? あ、あの……そ、それはちょっと……」
ニコニコと笑うフィオが私の身体を離して、触手を完全に抜き去ろうとする。私はその様子を見て慌て、そして思わず出て行こうとする触手を掴んでしまった。
「あれ? どうしたの?」
「う、うん。わ、私は気にしなくていいから……その続けよ?」
「え~っ。でもひよりが壊れちゃうと、ねぇ。妹二人もまだなわけだし。無理しちゃダメだよ」
そうしている間に、今にも抜けてしまいそうなぐらい触手が私の入り口へと戻っている。
「ああんっ! もう!」
私は思わずフィオに抱きつくと、その勢いのまま彼女を押し倒して彼女の上にすかさず跨った。
「……ぷっ、くくくっ、あははははっ!」
「えっ? な、なに?」
私の下でフィオが笑いを吹き出した。困惑する私の腕を取って身体を密着させてフィオが囁く。
「ごめん。ひよりをちょっと焦らしたくなってね」
「ひ、ひどい! 」
「あはは、ごめん! ……朝までじっくり、楽しもうね。んっ」
フィオが私の唇をまさぐりながら、再び触手で私の中に入り込んで太いそれを出し入れしていく。
「ぷはっ! ひ、よりぃ、きもちぃいい、きもちぃいいよぉおおおお!」
「んぁあああぅうう! わ、わたしもぉおお! んんっ」
今度は私がフィオの口の中を味わいながら、彼女の動きに合わせて自ら腰も動かす。そして段々と私の官能も頂点が見え始めた。
「んあっ、ふぃお! おねがぃいいい! いかせてぇえええええ!」
「あんぅうううううう! わたしを、うけとってぇ、ひよりぃいいいいいいいい!」
フィオの触手が子宮の一番奥で突き刺さったように止まり、そして私の中に熱い液体が放たれた。同時に私も膣から蜜を放った。
「はぅううううううううううううう! あつぃいいいいいいいい!」
「んっ、くぅ……しぼりとられるうぅぅ……ひよりぃ……さいこぉ……」
私はフィオの身体の上にへたりと倒れこんだ。酸素が要らなくなった身体のためなのか、息苦しくもなく汗もかかないが身体全体が熱くてたまらない。
フィオも同じように身体を休めていたが、ふと私の身体を再び掴むとニコリと笑ってこう言ってきた。
「ふぅ……さぁてひより……まだまだ、だよぉ?」
「えっ? あんっ! ちょ、っと!」
再び私の中で暴れるフィオ。その上で足をガッチリと掴まれてなすがままにされる私。
……それは私の意識が途切れるまで……いや、途切れた後もまだ続いていたらしい。
第四章 次女の涙と姉の過ち
次の日。起きたら既に夕方過ぎだった。……いや、元々この海中の洞窟に外の光なんて入ってこないから私には分からないんだけど、フィオはもう夕食の魚を床に広げていた。
「昨日はありがとうね、ひより。はぁ……思い出しただけで身体が疼いちゃう……」
「そ、それはよかったね。ふぅ……今日はクロエとだよね?」
「うん。ニノンは私が面倒を見てるから遠慮なくやってあげてね。さっ、二人は先に食べちゃったから私たちも食べよ?」
遠慮なく“やられて”ね、の間違いだと思うけど、なんて思いながら私は近くにあった海老を口に運んだ。やっぱり新鮮なためなのか、文句なしに美味しい。贅沢を言うならしょうゆが欲しいけど。
「それより身体が昨日よりスベスベしているんだけど……これも?」
「ふふっ、それは人魚の美しさの秘訣みたいなものかな。昨日、私の体液を身体に一杯浴びたから」
……記憶の片隅に、彼女の体液をお互いにローションのように塗りたくって行為をした映像が……。
「まっ、それを食べ終わったらそのままクロエのところに行ってあげてよ。多分、卵を出して楽しみに待ってると思うから」
「はいはい」
「あっ、待って」
私はイカのゲソを咥えてクロエの部屋に向かおうとすると、フィオが立ち上がってこちらに駆け寄って来ると、突然私の唇を奪った。
「んっ……」
私は慌てながらも私の口をイカごとまさぐるフィオに身を任せ、しばらくその甘美な彼女の唾液を味わった。
「……ふふっ。あんまり長くやってるとクロエに怒られちゃう」
フィオが私の中から舌を抜いたと思ったら、口の中にあったゲソも取られてしまっていて、フィオが口からニョロっとそのゲソを出して笑っていた。
「まったく……じゃ、行って来ます!」
私はフィオに敬礼をすると、彼女の見送りを背に受けながらクロエの部屋へと歩き出した。
この食事の部屋から四方に通路が分かれていて、海への出口と、それぞれ三姉妹の部屋へと繋がっている。クロエの部屋は食事の部屋をはさんでちょうどフィオの部屋の反対側だ。
クロエの部屋に近づくと、昨日フィオの部屋に近づいたときと同じようにいやらしい水音と、クロエの喘ぎ声がわずかに聞こえる。
「ク、クロエ! ひよりだけど!」
「おーっ! や~っと来たかぁ! さ~ぁ、入るんだぁ!」
クロエの元気な声に私はおそるおそる部屋の中を覗いた。すると既に裸で人魚の姿のクロエがくたびれたTシャツで見知らぬ女の子を拭いていた。
「その人って……クロエの人形?」
「その通り。今も卵を出すのに手伝ってもらってたところだ。まぁ、出してからも何発かやったけどな」
綺麗な歯を見せてクロエが笑い、そして人形を抱きしめて彼女を寝かすとその上に布切れを被せた。
「さぁて、始めるぞ~! さっさと服を脱げぇ~い!」
「わっ! じ、自分で脱ぐから!」
追いはぎでもするかのようにクロエが私の服を掴みに掛かってきた。
「あっ、ペンダント。一体何が入ってるんだ、それ」
「ペンダントじゃなくて懐中時計。まぁ、壊れちゃったけど。……ほら、これ」
私は懐中時計を開いて中身の写真をクロエに見せた。しかしクロエはそれを一見しただけで、大した興味はなかったようですぐに押し返してくるなり、裸になった私に抱きついた。
「よ~し、やるぞ!」
「あんっ! もぅ……んんっ」
私は懐中時計を脱いだ服の上に置いて振り返ると、クロエが強引に私の唇を奪い取ってきた。彼女の元気な舌が私の口の中で暴れ回る。
「んっ!?」
突然、私の身体に触手が何本も絡み付いてきた。そ、そんな! フィオは2本しか出せなかったのに!
「ぷはっ……ふっふっふ、驚いているなぁ? ただ太いだけのフィオとは違うのだよ」
「ちょちょちょちょ、ちょっと! こんなに出さなくても二本でいいでしょ?! 私の穴は二個しかないんだから!」
「何を言ってる。誰が一個の穴に触手を一本って決めたんだい? へっへっへっへ」
クロエが不適な笑いを私に向けた。た、確かにフィオのよりかは太くないけど、そんなの二本以上入らないって!
それでも私の秘所は左右二本の触手によって広げられ、更にもう一本が穴の中心に触手があてがわれる。
「さぁて……楽しませてもらおうか、ひより。いただきま~す! くっ、んんんん!」
「ふあぁああああああああんっ!」
クロエの触手が私の中に一息で侵入した。途中で止まることなく、一気に子宮まで突き刺さる。
「くぅううう! ひ、よりいぃ! さいこうだぁ~!」
「あうぅぅぅぅぅ……って、ちょっと!」
侵入されたの衝撃と快感の波に耐えている私の秘所に、更にもう一本の触手があてがわれた。
「よ~し! じゃあもういっぽん、ついかぁあああああああ!」
「くぅあああああああああああんっ!」
先の触手に絡みつくようにしてもう一本の触手が私の中に入ってくる。体感したことのない感覚にあやうく意識が飛び掛ける。
「あ、あぅうう、ああぅ……」
「おいおい、ひより。大丈夫かぁ? よ~し、じゃあ最後の一本、いってみよ~」
クロエがまったく悪びれた様子のない笑顔で私の顔を覗きこみ、高らかに宣言をしてきた。
「や、め……ああああああああああああああんっ!」
「くはぁああああんっ! こ、こりゃ……すごいぃぃぃ」
二本の触手のわずかな隙間に最後の一本の触手が入り込み、私の穴がピッシリと触手で埋め尽くされた。
「よ、よぉおおし……う、うごくぞおぉぉ!」
「だめぇ……やめ、うはあああああああんっ!」
「すっ……ごい……からみ……ついてくるうううううううううう!」
私の穴の中で三本の触手が入れ替わりに子宮を突いてきて、私の頭に快感が連続して流れ込んでくる。
「ひより! おしりもちょうだい!」
「む、りぃい、だってぇええええええ!」
私の返事も待たずに、クロエのお尻から出された新たな触手が私の肛門にあっという間に張り込んできた。
「くはんっ! こ、こっちもかくべつうぅぅ……」
衝撃に慣れるヒマもなく、前後の穴で触手の激しい出入りが開始される。気付けば後ろの穴も三本の触手が突き刺さっていたが、もうここまで来ると何本でも変わらない気さえしてきた。
やがて更に4本の触手が私の胸に絡みつき、クロエの手と胸を揉んできたり、その先端に開いた穴で乳首を包み込んできた。触手の中で乳首が無数のヒダのようなもので転がされる。
「ああんっ! しびれるぅうう!」
挿入の刺激に比べると決して大きな刺激ではないが、それとはまた違った感覚の快感に私は身を悶えさせた。
ぐにゅぐにゅと二つの穴の中でところ狭しと暴れまわる触手の数々に、私に送られる快感の濃度も自然と高くなってきた。
「いい、いいよぉ! くろえぇ! もっと、もっとぉおおおおおお!」
「ひゃんっ! しまるぅうう! ひより、もう、だすぞぉおおおおお!」
「ちょうだい! くろえのぜんぶ! ちょうだぁあああああああいいいいいいい!」
「はぁあああああああんっ! うけとれぇええええええええ!」
「ふぁああああああああああんっ!」
クロエの熱い体液が合計6本の触手から次々と私の中に注ぎ込まれ、私の身体の上にもそれが4本の触手によって浴びせられる。
「ああうぅぅ……くろえぇ……」
身体の上に受け取った彼女の体液を、クロエはお互いの身体に塗りたくった。わずかな光によってお互いの身体が妖しく光る。
「ひより……おまえさいこーだ! まだまだいくぞ!」
素直に嬉しそうな笑顔のクロエに、私は力強く頷いてその身体を抱きしめ、そして再び交わりを始めた。
「ふあぁぁぁ……ひより……すごすぎぃ……」
最初に根をあげたのはクロエだった。と言っても私の足腰はもうしびれて感覚が完全失われている。
私は岩肌に寄りかかり、疲れた様子のクロエを後ろから抱きしめていた。私の足の上に乗っかる人魚の足の鱗までもが火照っているかのごとく、彼女の身体全体が暖かかった。
「なぁ……ひより」
「うん? どうかした?」
突然、口調がどこかひかえめになったクロエの声をいぶかしげに思いながら私は返事をした。
「さっき写真、ひよりの家族だろ?」
「ああ、うん」
「どんな家族だったんだ? 人間の家族って」
ちょっと意外な質問に私が戸惑っていると、クロエが振り返って私の顔を見ながら続けた。
「私の二人の母親について、フィオから聞いてるんだろ? 片方の母親は優しかったけど、もう片方は……最低だ」
一人の母親は死に、もう片方の母親は三姉妹とは離れて今も群れに残っている、ということを昨日フィオから聞いた。ただ、フィオとはその残った母親に対する印象が随分違っているような気がした。
「クロエは、許せないんだ。群れに残った母親のこと」
「……あいつなんか親じゃない。けど……フィオが許すって言うなら、私も許す」
まるで子供が背伸びをするような言葉で、素直にクロエがそう話してくれた事を嬉しく思った。
「……私の父親はね、無口だったけどかっこいいお父さんだった。ただ、お酒を飲むとすぐ陽気になって下手な歌を歌うんだけどね」
私は知らぬ間に自分の家族のことをクロエに話し出していた。クロエは興味深そうに私の顔を見ている。
「お母さんは、とにかく元気な人でさ。私が落ち込んでるとすぐさま駆けつけて、あの手この手でうるさく励ましてくれる人だったかな。クロエみたいにね」
「ぶ~っ! 私はうるさくないぞ!」
膨れ面のクロエの頭を私は笑いながら撫でつけ、そして一呼吸置いてから話を続けた。
「それと……妹のひなた。お父さんに似て無口な子で……私のことは嫌いだったけど、私はとても大好きな妹だった」
「……大丈夫? ひより」
クロエが俯く私を下から覗き込むように聞いてきた。私は彼女の身体をぎゅっと強く抱きしめながら聞いた。
「つまらない話なんだけど、聞いてくれる?」
「う、うん。どーんと、話しちゃいなさいよ」
頼もしいクロエの返事に私は後押しされるように私は話し始めた。……自分の罪を。
「私の家族はね、貧乏……不自由な生活を送ってたの。周りの人より物が少なくて、食べるものも決して美味しいものばかりじゃない生活をしてた……それでも幸せだったけどね」
自分で作ったわけではない借金がお人よしだったお父さんに被せられ、ボロい木造の家に私たちは住んでいた。生活も……色々と苦労をしていた。
「だから私は、家族がもっと幸せに暮らせるように頑張ることにしたの。家族のみんなに美味しい食べ物とかを、いっぱい食べさせてあげられるようにね」
高校生になった私は弁護士になれるように法学系の大学を志した。しかし……私の学力ではどんなに頑張っても私立が限界だった。
「そのためにお父さんはお酒をやめて、お母さんもお仕事をするようになった。だけど……妹はそんな私を認めてくれなかったの」
妹は私がそんなことをするより、すぐにでも働きに出ると思っていたらしい。だから妹は私とは口もきかなくなってしまった。
「それでも両親が応援してくれたお陰で、私は幸せを掴むチャンスができたの」
大学入試直前、なんとか大学の入学金とその他の工面ができたということだった。
「けどね、それは両親だけの頑張りじゃなかった。妹が私に隠れて朝とか夜に働いてくれていたからだったの」
受験日の前日、お父さんから聞いた話だ。朝は新聞配達、夜はコンビニなどで働いてお父さんたちにこっそりお金を渡していたそうだ。
「優しい親と、素晴らしい妹じゃない」
クロエがにっこりと私に笑い掛けるが、私はこの先の結末を知っているだけあって同じように笑うことは出来なかった。
「うん。本当に……。でも、そのチャンスを手にできるかどうかって日に、事件が起きたの」
「事件?」
目を丸くして聞いてくるクロエに心が痛んだ。果たしてここから先を本当に話してしまっていいのか、ということを。
しかし、クロエは隠さず自分の本心を語った。それなら、私も何も隠さずに言う義務がある。私の……罪の全てを。
「その朝、家族はみんな寝静まっているとき私は起きた。その日は早起きしなきゃいけなくて、それを言ったらみんな私に合わせて起きると思ったから」
受験日。みんなに言ってある時間より私は1時間ほど早く起きた。
「それで朝ごはんを自分で作って、それを食べたあとに、こっそりと家族の寝顔を見て私は家を出たの」
朝ごはんは簡素に目玉焼きを作っただけだった。私は緊張するとお腹を壊すタイプなので、それを見越してのことだった。
……けど、私の最大の罪はそれだった。
「それでそのチャンスを掴むための問題を受けて、家へと急いで帰ったの。そしたら……」
「そしたら?」
目の前のクロエの顔が歪み、あの時の映像が映し出される。数時間前に出た家の、数時間後の姿が。
「……家が、焼けてた」
「え……?」
思わず頭が重くなり俯いてしまう。目を閉じた先に黒く焼け焦げた家の残骸が映る。そして近くに居た消防隊員から聞かされた犠牲者と……火の原因。
「家族は全員死んでた……火の原因は、私が朝作った料理だったの」
火事の原因は私がガスの元栓を閉め忘れていたことにより、劣化したガス栓から漏れたガスが冬の静電気によって引火し、爆発するように家は燃えたらしい。
「……私は帰って来たら真っ先に妹に、ありがとうって言おうとしたのに……それさえ言えずにみんな死んじゃったんだよ。……私のせいでね」
頬から枯れたはずの涙が流れた。この事件から2ヵ月半、私は涙に濡れた生活をした。そしてその後、私は自殺を決意した。
「2ヶ月過ぎたら涙が流れなくなったの。それで気付いた。泣いて償えるような罪じゃないんだ、って……だから自殺したの」
「……ふざけるな」
「え?」
涙目でクロエを視界に捉えると、彼女は私を押し倒して私の頬に流れる涙を舐めて拭き取ってくれると、その思いを私にぶつけた。
「私は妹でもあり、姉でもあるから分かる。妹として、姉が泣くのは見たくないし、姉として、妹に自分が泣くところも見せるべきではない!」
クロエの今まで見たことのない厳しい剣幕に、私はぐぅの音も出ない。
「結論として……結局ひよりの罪は死んでも、泣いても償えるようなものじゃないよ。笑って償うべきなんだよ」
「……無理だよ。あのことが忘れられなくて笑えないから……私は自殺したの」
「……だったら、私が忘れさせてやる! ひよりがそれを忘れるぐらいによがらせてやる!」
「なっ、んんんっ!」
反論の言葉も言わせず私の口は彼女の唇によって塞がれ、強引に口の中をまさぐられる。同時に何の前触れもなく、触手が前後の穴に突き刺さってきた。
「んんんんんんっ!」
「ぷはっ! ひよりの妹はな、お前に笑って欲しいから頑張ったんだよ! お前のことが好きだから頑張ったんだ!」
私の身体に生ぬるい液体が落ち、クロエの顔をじっと見れば、その綺麗な両目が涙で濡れていた。
「バカ、バカ! 私もバカだけど、お前のほうがずっとバカヤローだ! うわぁああああんっ!」
私の胸に顔を埋めてクロエが泣きじゃくった。私は驚きながらも、涙を流してくれた彼女を見て、私の両目からまた涙が流れ出した。
そして改めて自分のバカさ加減を心の中で強く罵った。
「ごめん……ごめんね」
私は泣きながらクロエの頭を撫でていた。このまま天国に逝っていたら、家族みんなにとてつもない説教を喰らうところだっただろう。
「ぐず……いいか、絶対に忘れさせてやるからな! くらえ、んんっ!」
「あんっ! もう……ありがとう、クロエ。んっ」
触手の一本が私の子宮を強く突き、涙目のクロエがニヤリと笑った。私はその彼女の唇を弄りながら、ほとばしる快感に身をゆだねた。
第五章 服従
だめだ……私、このままだとだめな人間になる。
「ど、どうしたの、ひより? そんな怖い顔しちゃって」
フィオが心配そうに私の顔を見て言葉を掛けてくれる。
「どうした? 食いすぎて身体でも重くなったか?」
う、クロエ。だいぶ近い。けど多分あれだけ激しいことをしてるから体重は増えてないと思うんだけど……増えて、ないよね……?
「だ、だって……い、今はもう夕方なんでしょ?」
「夕方ってより、もう夜だな。完全に外は暗いし」
小魚を噛み潰しながらクロエが放った言葉が私の心に強く突き刺さった。
「だめだぁ……こんな生活……起きてご飯食べて、行為して、また寝てなんて……」
ダメ人間、と呼ばれている人間でももう少しまともな生活をしているのではないかというぐらい、酷い生活をこの2日間送っている。うぅ……受験の時には毎日早起きしてたのに。
「まっ、まぁまぁ。私たちは別に迷惑にとも思ってないし。ね、クロエ?」
「そうだな。ま、いくら私でも昼過ぎには目を覚ますがな」
ぐさっ、という効果音と共に私の胸にクロエの言葉が深々と突き刺さった。すかさずフィオが助け舟を出してくれる。
「そ、そんなことより! 今日はニノンのことをよろしく頼むわね、ひより!」
「そうだぞ~。食った分は働けよ~」
「もう、クロエ! ……いいわ、今日は私が徹底的にかわいがってあげる!」
「なっ! フィ、フィオ! その……優しくして?」
クロエが小首を傾げながら小動物のようにフィオのお願いをした。対してフィオはニコリと笑いながらこう返す。
「ふふっ……さっ、行こうかしら、ク・ロ・エ? ひより、じゃあミノンをよろしくね」
「いぃいやぁああああああ!」
フィオはクロエを脇で持ち上げるようにして部屋を去っていった。フィオ……こわ……。
「さて……私も行かなくちゃ、ね」
食べ終わった魚の骨などを片付け、私はニノン……さんの部屋へ続く廊下に足を向けた。ううっ、気が重い。
正直、人間が嫌いなニノンさんを私は喜ばせることができるのだろうか? という不安があるのだけど……。
そう考えている間に、もうニノンさんの部屋に辿り着いてしまったわけだけど……不思議と姉二人と同じようないやらしい水音は聞こえなかった。
「あ、あのニノンさん。私、ひよりです!」
「入れ」
「失礼します……」
おずおずと部屋の中に入ると、綺麗に整頓されて入るものの、二人の部屋より幾分物に溢れた部屋だった。ボロボロの家具の中に、耳の取れたクマのぬいぐるみや、読めるとはとても思えない色あせた本が入れられている。
私が部屋に入ると、人魚の姿のニノンさんは部屋のちょうど中心辺りにちょこんと置かれた木の椅子に座り、立っている私をじっと見ていた。
「あ、あの……」
「とりあえず服、脱げ」
「は、はい!」
ニノンさんの言葉に私は急いで服を脱ぎ始めた。あうぅぅ……こんな小さな子供に命令されて服を脱ぐなんて……。
「おい、人間」
「は、はい!?」
「これは、なんだ?」
ニノンさんがなにやら黒いスポーツバックを広げてこちらに見せてきた。
「今朝、海底で見つけた」
「げっ。これって……メイド服」
私は中身を軽く触りながら確認した。……一体誰がこんなの海に捨てるのよ。しかも明らかに小さなサイズも入ってるし……。
「で、なんなんだ、これは?」
「こ、これはメイド服って言って、古い時代に身分の高い人に使える女性が着ていた服です」
私の説明に、ニノンさんは残念そうな顔をしてバックを覗き込んだ。
「そうか……フィオ姉さまにあげようと思っていたんだが、それじゃあだめだな」
そう言ってバックを閉じようとしていたニノンさんの手がピタリと止まり、私の顔とその中身を見合わせ、こんなことを言ってきた。
「お前、これ着ろ」
「え、えっ!?」
スポーツバックを押し付けられた私は反射的にそれを受け取ってしまった。
「あ、あの」
「早くしろ!」
「はっ、はい!」
私は慌てて中身取り出すと急いで着替えを始めた。ううっ……弱い……弱すぎる、私。
心の中で泣きながら、私は大慌てで着替えを終えた。……律儀にカチューシャまで着けちゃって……なにやってんだろう、わたし……。
「くっくっく、似合うじゃないか。……じゃ、早速始めてもらおうか」
浅めに椅子に座りなおしてニノンさんが、目に眉間を寄せると人魚の下腹部の穴から勢いよくそそり立つものが飛び出した。
「驚いたか? くくっ、私は姉さまとクロエが出せなくなった、人魚の頃の性器が出せるんだ。まぁ、卵は精液は出ないから、安心しろ」
彼女の股間のそれは触手よりかは当然短く、太さもない。だけど……少なくとも子供につけるような大きさではなかった。
「じゃあ、まずこれを……なめろ」
「な、なめろ!?」
私はたじろいで後ずさりをすると、ニノンさんの目が明らかに不機嫌そうなものになり、私は急いで彼女に近づくと股間の前にひざまづいた。
しかし……いざ立派なそれを前にするとそれ以上動けない。実際……口でやった経験もないわけで、目の前のそれを改めて見ると……やっぱり大きいわけで。
「何をやっているんだ。勝手に始めるぞ」
「えっ!? んんんんんんんっ!」
口を半開きにしたが最後、私の口内にニノンさんのそれが突っ込まれた。頭を両手で掴まれて逃げることも出来ない。
「ふぅ~ん。中々いい口をしてるじゃないか、人間」
「ひゃめ、んんんんんんんんんんっ!」
抗議の声を上げる前にニノンさんが私の口の中を出入りし始めた。いやがおうにもそれが舌に絡まり、しょっぱい味を私の味覚に感じさせる。
「くっ、生意気にも舌を絡ませるとは……やるじゃないか、人間!」
意識してやったことではないのだが、それがニノンさんの官能を高めてしまったらしく、口の中の出入りが激しくなってしまった。
「んぁっ! だ、めだ! まず一回、出すぞ!」
「んんんんんんんんんっ!」
私は首を振ってそれを拒否しようとするが、がっちりと固定された首はびくとも動こうとしない。そして、ニノンさんが身を悶えさせ、私の喉の近くまでそれを突き刺した。
「でるぅうううううううううううう!」
「んんんんんんんんんんんんっ!」
口の中にネバネバとした粘着質の液体が押し寄せ、そして口が一杯なりそうなところで止まら……ない……。うそ……もう、くちのなか……いっぱい……。。
「飲め! 絶対に出すな! くっ!」
ニノンさんがそう叫ぶ間にもそれはどんどんと口の中に溜まっていく。そんな……。
口内のキャパシティの限界が近づいてもとどまる様子のないそれを、私は本能的に飲み込み始めた。粘着質なものなんで飲み込みづらいが、睨むニノンさんの顔を見れば贅沢も言ってられない。
不思議と……味は不味くなかった。いやそれどころか……まるで舌が蕩けるような甘美な味がする。それでも量が多すぎる。
「んんんっ、ぷはっ! あんんんっ!」
思わず口を開いてしまうと、未だに暴れるニノンさんのそれが私の口から飛び出て、私の顔に半透明な液体を浴びせ掛けてきた。
「くぅう! ……出すなと言ったのに、出したな?」
「ご、ごめんなさい!」
私はほぼ土下座のような形をとってニノンさんに謝った。その間、顔から滴る彼女の体液を口に入れると、やはりそれは美味しかった。
「ふん、まぁいい。次は下だ」
「した……」
言われて私は自らの股間を見てみた。すると私の愛液が床に滴るほど出ていた。……ううっ、最近やってばかりだから興奮しやすい身体になっている気がする……。
「ボーッとしていないで、そこに横になれ。人間」
「は、はい」
私はニノンさんが撒き散らしたものと、私の愛液で濡れている岩肌に身体を横たえた。……そう言えば、やってるときってこの岩の固さってあんまり気にならないなぁ。どこまで熱中してんだ、わたし……。
「いくぞ。次はこいつもな」
「へっ……?」
私の穴に彼女のオチ○チンがあてがわれると同時に、ゆらりとその背後から触手が現れた。
「しょ、触手まで……出せるなんて」
「誰が触手を出せないって言った? 後ろからは触手だけだが、前からはこれと触手も出せるぞ」
ううっ……こういうサプライズなところはクロエと似ているような気がする。
「じゃあいくぞ」
「あっ、ちょっとまっ……くぁあああああああんっ!」
前の穴と後ろの穴に触手が勢いよく侵入してきて、私の身体にのしかかるようにニノンさんも倒れこんできた。くぅ……久々に感じるなぁ、オチ○チンが入ってくる感覚。ちょっと、新鮮かも。
「くぁうぅぅ……なんて……しめつけだ……」
子宮までオチ○チンが侵入すると同時に、ニノンさんの動きが止まる。目をギュッと閉じて、私の身体の上で硬直をしている。
しかし、突然ニヤリと笑うと、私を見て静かに言った。
「くっくっく……いくぞ」
「あんっ! くぁんっ! んっ!」
私の肩をつかむと、彼女が荒々しく私の前後の穴でそれぞれを出し入れし始めた。熱いオチ○チンが前の穴を突き、後ろの穴を濡れた触手が突いてくる。
「んっ、くっ!」
「いっ! いはい!」
突然私の唇を弄ったかと思うと、ニノンさんは私の唇に噛み付いてきた。そしてまるで獣のように私の口の中で彼女は暴れ散らしていく。
「あんっ! かむと、よく、しまるな!」
「いっ、やめ!」
どうやら刺激を与えられると、私の穴はよくしまるらしい。加減はしてくれるが、やはりちょっとは痛い。
「だすぞ! しめろおおおおおおおおおおおおお!」
「くっ、ふあぁああああああああああんっ!」
私は唇を噛まれたと同時に、今度は意識的にも穴に力を入れて彼女のものを締め上げた。すると穴の中に、更に熱いものが注ぎ込まれ始める。
「でてるうぅぅ……お、おなかがぁ」
子宮の中と腸の中が液体で満たされ始める。そ、そんな! やっぱりとまらない!
「かっ! も、う……だめ……」
「くううううぅ……まだ、まだ、でるぞぉ……」
お腹が外から見ても少し膨らんできたように思える。お尻の穴から入ったほうは、既に胃のほうまで逆流しているのではないかとさえ感じられる。
「らっ、めぇ……」
目の前がくらくらとし始めてきたとき、突然両方の穴の栓が私から抜かれ、勢い余った液体がメイド服のエプロンや私の身体と顔に塗りたくられていく。
「はぁああああああんっ!」
「ふううぅぅぅ……だらしないな、出したばかりのものが流れ出てくるぞ」
「ご、ごめんなさい……」
ニノンさんの言葉に私は本能的に謝罪の弁を述べていた。
すると、ニノンさんが私の顔の上で跨り、私の口にまたしてもオチ○チンを突っ込んできた。そして今度は私のオマ○コに触手が突っ込まれる。
「よく出来たら私の体液をくれてやる。……美味しいだろ、わたしのは?」
私は何度も頷いてそれを肯定した。すると、ニノンさんは少しだけ嬉しそうに頬をほころばせて私の頭を掴んだ。
「じゃあ上手にやれ……いくぞ」
そしてまたしても交わりが始まり、私はその日も失神するまで彼女の体液を味わった。
(追放者たちの宴 プロローグ~第二章)
(うpろだに上げられたものを掲載)
プロローグ
「……本当に、どんどん汚くなってる」
「それもこれもみんな人間のせいなんだよな、やっぱり」
「許せない……」
私たち三人は、生まれ育ったこの海を今日も見て回る。全てを包み込む海……それゆえに、人間は何でもかんでも捨てる。
しかしそれは決して無に帰るわけではない。それなのに……彼ら人間は捨てる。そりゃ、海中に住んでいるわけではない彼らからしたらそれは大した問題ではないかもしれないけど……私達は違うのに……。
「ん? フィオ。あれ見て!」
「どれどれ……あら、可哀そうに……」
「……ふん」
海底の奥底で私たちが見つけたのは……若い人間の死体だった。近づいてみれば、着ている服の中に石が入っているのが分かった。
「どうする? フィオ。あの若さでまだ死んでから日も経ってないみたい。あれなら、魂も持ってると思うけど」
クロエの言葉に私は頭を回転させる。目の前の彼女の顔……やっぱりあの子達と似ている。
「……多分、この人は不幸を抱えたまま死んだんだと思う。だから……私達で慰めてあげられないかしら? うまくすれば、その……あれに付き合ってくれるかもしれないし」
「おお、面白そう!」
私の提案に次女、クロエが会心の笑みを浮かべる。しかしそれと対照的な反応をしたのは三女のニノンだ。
「そ、そんなフィオ姉さま! どうせなら、こいつも人形に!」
「ニノン……あなたが人間を恨む気持ちは分かるけど……今回だけは、ね?」
私はニノンの純粋な目を真っ直ぐに見る。
「そうだよ、ニノン。ニノンもたまには人形や、私たち以外ともやりたいでしょ?」
「お、お前と一緒にするな! この物好き女!」
「な、なにぃ~!? 姉に向かって何という口の利き方だぁ!」
クロエとニノンがもつれ合いを始め水中でぐるぐる回り始めた。はぁ……また始まった。
私はそんな二人を放っておき、足元に横たわっている女の子を改めて観察した。全体的に小柄な身体だが、閉じられた瞼の大きさから目は大きい少女のようだ。
ふと、まるで神にでも祈るように彼女が胸の上で組んでいた両手から、何かが見えていることに気付き私はそれを手に取った。
ペンダント、というやつであっただろうか。私は細い鎖にぶら下がっている丸い部分をくるくると触っていると、パカリとそれが開いた。
その中にあったのは……。
「……クロエ、ニノン。この子を復活させる。いいわね?」
私はそれを見て、いまだにケンカをしていた二人に私はいつになく真剣な口調で言った。すると二人ともそれを察してくれたみたいで、ピタリとケンカをやめてくれた。
「いたた……私はもちろん賛成。ふふ……たっぷりと可愛がってあげないと」
「……姉さまがそう言うなら……」
クロエは不敵に笑いながら、ニノンは不満が残っていそうだったが、二人とも私の言葉に賛成してくれた。
「ニノン……ありがとう」
私はニノンを抱き寄せると頭を撫でてあげる。やはりニノンはこれがとても大好きらしく、不満げな顔を吹き飛ばして嬉しそうな顔で私にもたれ掛かってくる。
「ちょ、ちょっとぉ! 私には?!」
「ご、ごめん! クロエもありがとうね」
「おまけみたいに言うな~!」
頬を膨らませて文句を言うクロエも私は抱き寄せて、その頭を撫でてあげる。するとやはり彼女もすぐに頬を緩ませて笑いかけてくれる。まったく、二人ともよく似ている。
私はそんな二人と共に海底に横たわる少女を見る。彼女が握っていたこれを見る限り、私達に悪さをするような悪い人間には見えない。
問題は……私たちを受け入れてくれるか。でも、その決定権は彼女にある。無理強いはしない。
改めて愛する二人の妹の顔を確かめるように見てから、私はゆっくりと少女を持ち上げて小さな彼女の唇に……そっとキスをした。
第一章 目覚め
寒い……というほどではないが、私の身体を冷たいものが包んでいる。天国というのはイメージとして暖かいところ、というイメージがあるわたしにとってそれは意外だった。
それともやはり、自殺した人間が天国に招待されることはないのだろうか。しかし後悔したところでもう遅いだろう。
何故なら、命はたった一つしかないのだから。
でも……気のせいだろうか。何故だか身体の奥底が、ドンドンと暖かくなっている気がする。まるで、止まっているはずの心臓が再び鼓動を始めたかの如く。
やはりここは天国なのだろうか。私はそれを確かめたくて目を開こうとすると、以外にもあっけなく開いた。
途端にある女の子の姿が目に入った。くりくりとした目が私の顔を見て硬直している。いや、多分私も同じような表情をしているんだと思う……。
でもとっさに声っていうのはやっぱり出ないもので、数秒の間お互いの目を私たちは見合っていた。
「う、うわあっ!」
「きゃあっ!」
短い均衡を破って私とその女の子は、ほぼ同時に小さな悲鳴を上げながら飛び退いた。しかし、段々と女の子の顔がまるでカブトムシを見つけた少年のように輝き始めた。
「クロエ? どうし……あっ起きた!?」
尻餅をついている女の子の後ろの薄い暗闇から、彼女より少しだけ大人びた女の子が出てきた。見た目的には高校生ぐらいかしら。
「身体は動きますか? あっ、でもまだ死から引き戻されたばっかりですから、あまり無理はしないで下さいね」
「は、はぁ……」
駆け足気味に私のところに駆け寄ってきた彼女はニコリと柔らかな笑みで私の顔を覗きこんだ。その後ろからクロエ、と呼ばれた先ほどの女の子も目を輝かせながら私を見ている。
「私は長女のフィオと申します。この子は次女のクロエ。あともう一人、三女のニノンがいます。あなたは……?」
「あっ、わ、私はひより。葛西 ひよりです」
「いい名前。よろしくね、ひよりさん。私はフィオでいいわ。この子もクロエって気軽に呼んで上げてね」
慈愛に満ちたような微笑みで差し出された手を私は握り返すと、その後ろにいたクロエさんも負けじと手を伸ばし、有無を言わさず私の手を掴んだ。
「私のことはクロエ様と呼びなさいよ?! いいか、ひより?!」
「は、はい!」
その剣幕に押されて私は反射的に返事をしてしまった。すると、フィオがクロエさんの頭を掌で軽く叩いた。
「こらぁ! 馬鹿な事と言うんじゃないの! まったくもう……」
「くうぅぅ……じょ、冗談だよぉ……。ひより、訂正。クロエって呼んで。じゃないとフィオに頭ヘコませられちゃうから」
「は、はぁ……」
二人のテンポに押されっぱなしの私の頭はほとんど混乱状態だった。ふと、その時彼女達の後ろからこちらをちらちらと見る、これまた小さな女の子の姿があった。
「あっ、ニノン。ちょうど目が覚めたところよ。こっちに来て挨拶をして」
私の視線に気付いたフィオが彼女を呼び寄せる。どうやらあの子が三女のニノンさんであるらしい。それにしても、二人の姉に比べると大分小さな子供に見える。小学生かそこらへんだろうか?
ただ、フィオの隣にちょこんと座ったニノンさんは何故か私と目を合わせようとしなかった。人見知りする性格なのだろうか?
「この子が三女のニノンです。ニノン、この人はひよりさん」
フィオがそう説明してもニノンは私の方を見ようとしない。少しだけ困ったような表情をしたフィオを見て私のほうから口を開いた。
「あ、あの。私はひより。よろしくね、ニノンちゃん」
私がそう言った瞬間、ニノンさんが明らかな不快を示す睨みを私に向けて送った。
「私を気安く呼ぶな! この人間め!」
思わず私は、その恐ろしい剣幕にたじろいだ。すぐさまフィオがニノンさんを叱る。
「こ、こら、ニノン! 何て事を言うの!」
姉の怒りを向けられたニノンさんは悲しそうな目をしてフィオを見たが、もう一度私に睨みを聞かせるとその場から立ち上がり走って視界から消えてしまった。
「ま、待ちなさい、ニノン!」
フィオはそれを追おうと立ち上がろうとしたが、すぐに私のほうに向き直ると頭を下げた。
「ごめんなさい! 本当は優しい子なんだけど……」
「だ、大丈夫ですから……」
そうは言ってみたものの……実際はものすごく恐ろしかった。あんな子供が、まるで獣が獲物に向けて牙を剥くような視線を放っていたのだ。恐ろしいと同時に信じられないという気持ちもあった。
それから気まずい沈黙が続く。フィオは俯いていて、クロエは何か口に出そうかとしてはいるみたいだが、雰囲気がその口が開くのをためらわせているようだった。
「あ、あの……気になることがあるんですけど」
静かな沈黙を破ったのは私だった。それは目が覚めてからずっと気になっていることを聞くためだった。
「私は……死んだんですよね?」
フィオは言っていた。『死から引き戻された』、と。その意味がずっと気になってはいた。……色々あって言えなかったけど。
私の問いにフィオとクロエが目を合わせて、その視線で何かを会話しているように見えたが、フィオがやがてこう切り出した。
「はい。私たちが海底で見つけたときには、既に死んでいました。ただ、死んでからまだ1ヶ月も経ってないようですが」
「じゃ、じゃあなんで……私はここにいるんですか?」
少なくともここは天国にも地獄にも見えない。確かに薄暗くはあるが、肌寒さは感じるし、若干頭も痛い。それになにより心臓に手を当てれば、それは今もなお鼓動を続けているのだから。
「……勝手なことをしてごめんなさい。私たちの都合で……あなたを復活させました」
「ふっ、かつ?」
聞きなれない言葉。いや、人間に対して使うにはあまりに不適切な言葉だ。だって……だって人間は死んだら、生き返らない、でしょ……?
困惑する私を前に、フィオがゆっくりと立ち上がると身に着けていた衣服を脱ぎ始めた。その行為にだって驚くが、私にはそれを止めるような声さえ出ない。
やがて綺麗な四肢がどこでも見える状態になったフィオさんが、ゆっくりと深呼吸をすると……その細く長い足何かが……青い何かが浮き始めた。
その光景に私は目を奪われていた。目を閉じることさえ出来ない。ただ、人の足があったそれが、人の足ではなくなる過程をただただ見ていた。
「ふぅ……これが、私たちの本当の姿です」
一仕事終えたかのように息を吐いたフィオの下半身は……まるで魚を縦に半分に切り、その尾のほうの部分を貼り付けたかのように……変化していた。
「……人魚」
その光景を理解した瞬間に、私の頭の片隅に置いてあったその単語が口から勝手に出てきた。それは大当たりのようでフィオが頷いて肯定してくれた。
「やっぱり驚いてるね……当たり前だけど」
苦笑いをしながら肩を竦めるクロエ。フィオの『私たち』という言葉の意味が予想通りなら、彼女とおそらくニノンさんもフィオと同じなのだろう。
「そして私たち人魚には……死者を復活させる力があります。それを、使いました」
私は急に身体がまるで自分のものでないような感覚を感じた。この手も、この足も見慣れたもののはずなのに。
私は信じられなかった。だって、だってそんなことあるはずがない。だったら……だったら!
「ただ、私たちはただの人魚でもない」
謎解きをさせるような口調で言ったのはクロエだった。フィオとは違う、人間の二本足で私に近寄ってきた彼女は言った。
「人魚がこんな人間みたいな足を手に入れることは不可能。じゃあ、私たちはなんなのでしょう~か?」
目線を私に合わせたクロエが、ニヤニヤと笑いながら問題を出してきた。さも楽しそうな彼女には悪いが、当然ながら分かるわけがない。
「はい、時間切れ。正解は……寄生された人魚、でした!」
それと同時に、クロエは穿いていたジーンズのチャックを降ろして、そこから……ピンク色の触手を勢いよく飛び出させた。
……もう私が認識できる現実の範疇はとうに超えているその光景に、私は瞬きすら忘れてしまった。
「人魚は基本的に人間で言う女性しかいませんが、生殖器はついています」
そんなフィオの声にやっとクロエの触手から目を話すことができた私は、今度はフィオのそれに目を奪われた。
フィオは、その足が女性のままならばおそらく股の部分、その部分の鱗を横に開いて私にピンク色の穴を見せた。それは……私にもある穴とよく似ていた。
「普通ならば交尾のときに種を送り込む側は、ここから人間の男性器に似たものを出すことが出来ます。だけど私とクロエは……」
言葉を切ると同時にその穴からクロエと同じような触手が押し出されてきた。フィオはゆらゆらと揺れるそれを掴んで、私を見て続けた。
「これが出てきてしまうんです。これのせいで私たちには、子供を産むことはできなくなってしまいました。種を作るための器官が変化させられてしまったから」
「その代わりにここから私の体液と寄生体の卵が出てくる。本来ならこれを人魚とかに産み付けて私たちと同じ仲間にしなきゃいけないみたいだけど」
フィオの説明にクロエが付け足すが、彼女の口調はまるで他人事のようだ。しかし、その説明を聞いた私にはある嫌な予感が浮かんだ。
「……ま、まさか……その寄生体の卵が私の身体の中に……」
「い、いえ、そんなことはしていません。あくまで私がやったのは、人魚としての力であなたを復活させることだけです」
「まぁ、助けてもらったからには何か形としてご恩を返しなさいよ?」
チャックの中に触手を戻したクロエが私の前で仁王立ちをする。その隣のフィオも同じように身体の穴の中に触手を戻しながら、呆れたようにこう言う。
「……あなたは何もやってないでしょ。クロエ」
「何を!? ここまで運んだのは私だぞ!」
クロエの反論に対して、フィオが器用に飛び跳ねて彼女に近づくと、その頭を撫でつける。
「はいはい、よく頑張ったから。……ただ、ひより。あつかましいんだけど……一つだけお願いがあるの」
「な、なんですか?」
突然向けられたその言葉に私は思わず後ずさりしてしまう。やはり私に寄生体の卵を産ませてくれ、なんていうことを言うのだろうか?
「あ、あのね……その……」
フィオの頬が赤く染まり、続くはずの言葉が中々出てこない。まるで女性が男性に告白しようか迷っているみたいにもじもじとしている。
その様子を見かねたのか、クロエが肩を竦めながらも楽しそうな表情で私にこう言った。
「ずばり、私たちと交尾しなさい!」
「ちょ、ちょっとクロエ! 幾らなんでもストレートすぎ……」
「だってその通りでしょうが……ひより、いいでしょ?」
良いも悪いも意味が分からないって言ってるのに……交尾って、つまりあれだよね? ……で、でも私は人間で彼女達は人魚なわけで……。
「さっきの触手をあんたの身体の中でグニグニ動かしたいわけ。あっ、言っとくけど寄生体の卵はあらかじめ出しておくから安心しなさいよ?」
あ、あんなのを身体の中に入れられたらどうにかなっちゃうよ……。声を出してそう言いたいのに声が出ないのは……拒否したら無理矢理にでもそれをされてしまいそうな気がしたからだ。
「さっき見たけど処女じゃないんでしょ? だったら問題ないでしょ。ふっふっふ、私が最高に気持ちよくさせてあげるから、ドーンと任せちゃいなさいよ」
「ちょっとクロエ、いい加減にしなさい」
オタオタと様子を見ていたフィオが口調を強めた言葉をクロエに放った。クロエが押し黙るところを見ると、この姉妹の力関係がよくわかる。
いつの間にか足を人間のものに戻していたフィオが私の前で正座に座り、私の目を真っ直ぐに見ながら口を開いた。
「混乱、してるよね? 当然だと思うけど……ただ、あなたが嫌がるなら私たちは何もしない。今すぐにここから出て行って人間のいる地上に戻っても構わない」
「え!? フィオ、話が違うぞ!?」
クロエがフィオの肩を掴んで揺さぶる。フィオはその手を握ると彼女のほうではなく私を見ながら続けた。
「ごめん、クロエ。最初からこう決めてたの。けどクロエだって……嫌がる人を無理矢理に、って趣味はないでしょ?」
「そ、それはそうだけどさぁ……」
不満そうに結った髪をくるくるとクロエはいじくるが、言い返す言葉はなかったらしくやがて深くため息を吐くと小さな声で零した。
「はぁ……勝手にしなさいよ……」
いかにも未練が残っていそうな口調でそう言葉を残し、クロエはニノンが出て行ったほうへと歩いていき、この空間から姿を消した。
それを黙って見送ったフィオも額に手をあて、深いため息を吐いた。私もフィオもお互いに言葉を出さずに沈黙が包み込む。や、やっぱりこれは……私が悪いのだろうか?
このまま時間が経てば経つほど口がどんどん重くなるだろうと思った私は勇気を出して口を開いた。
「あ、あの……私なんかとその……交尾、したいんですか?」
何かを考えるように目を閉じていたフィオがパッと目を開き、驚いたように目を丸くした。そしてまた、フィオは恥ずかしそうにもじもじとはしたものの、私の疑問には答えてくれた。
「え、ええ。そりゃもう……正直堪らない、かな。恥ずかしいんだけど……私たち人魚は、その……元々あれが大好きだから……」
「そ、そうなんですか」
自分から聞いといてなんだけど、フィオと同じぐらい私も恥ずかしい。お互いに困ったように顔を見合わせて笑いあって、また静けさが襲ってきそうになる。
でも今度はフィオが口を開くことでそれを防いでくれた。
「人間の女の人の……穴は、私たちのより何倍もその……気持ちいい、の……だから……ああっ!」
ついに恥ずかしさが限界に達したのか、フィオは顔を両手で覆って首を振った。……聞いてる私だって同じくらい恥ずかしいよ……。
これ以上聞くのはお互い恥ずかしくなりそうだから、私は一人現在の状況をまとめることにしてみた。
とりあえず、私は海に身投げをして死んで……それで人魚……寄生された人魚の三姉妹に助けられた、と。
それで彼女達は私と……交尾をしたいと。まぁ、三女のニノンさんは分からないけど。ううっ、彼女が怖くて頭の中でも呼び捨てにできない……。
結局私は死ねなかったってことだよね……。フィオは人間のところに戻っていいって言ったけど……もう、正直戻る気にはなれないよ、あんなとこ。
でも生き返らしてくれた手前、彼女達の前で死ぬなんてことはさすがに避けたいし……ただ、お礼の一つもできずに地上に戻るって言うのも……。
はぁ……死ぬときに痛くないようにってことで身投げ自殺にしたんだけど……まぁ、あれは苦しかったけど。彼女達は別に私をそうやって痛めつけようってわけじゃないよね……。
「一回、だけなら」
「えっ?」
小さく零した私の言葉にしっかりとフィオは反応してくれた。そのお陰で私も思い切って言い切ることにする。
「一回だけ、私を好きにしていいです。ただ、それが終わったら人間のいるところに帰させてもらえますか?」
「ほ、本当にいいの?」
フィオが驚きの眼差しの中に喜びの輝きを携えながら私に聞き返した。私は苦笑いしながら一つだけ付け足す。
「痛く、しないでくださいね」
「もちろん! 私が激しく気持ちよくさせてやる!」
その声の主は薄い暗闇の中からひょっこりと顔を出しているのはクロエだった。彼女はものすごい速さで駆け寄ってくると、私の背中に抱きついてきた。
「ありがとう、ひより」
ニコリと笑ったフィオが言う。背中のクロエも身体を前後に揺らしながら目を輝かしている。
だけど、更にその背後からちらちらと感じる視線は……その二人が私に向けているそれとは、明らかに正反対なもののような気がした。
第二章 姉妹達との食事
それから1時間ほど経って、私は三姉妹と一緒にご飯を食べていた。部屋の中央の床に、彼女達がとってきた魚が小さな山となるほど積まれていた。
「というわけで、ニノン。一回だけ私たちに付き合ってくれることになったから、ひよりに感謝してね?」
フィオがニノンさんに向かって言うが、それでも彼女は返事をせずに視線を彼女の脇の床に落としたままでいる。
その様子を見たフィオがもう一度口を開こうとしたが、隣に座っていた私がそれを手で制すると何とかとどまってくれた。
その代わり、クロエが口を開いてこんなことを言い出したけど。
「まったく、ニノンは。そんなんじゃ、せっかくひよりとやっても楽しさ半減になるぞ?」
「お前みたく、楽しければ何でもいいような色女と一緒にするな!」
「ニ、ニノン! 許さん! 今日という今日は絶対に許さん! こうしてやる!」
「なっ、いらららららら! このやろ~!」
クロエがニノンの頬を横に引き伸ばすと、ニノンもクロエの頬を同じように引き伸ばす。
「二人ともやめなさい」
フィオが静かな口調でそう言うだけで、二人は渋々とそれをやめてお互いにそっぽを向いて生の魚を頬張り始めた。
隣ではフィオがやれやれという感じにため息を吐くが、私には二人のケンカがとても微笑ましい光景に見えた。いや、おそらくフィオもあくまでしつけとして怒っているだけでその本心は私と同じだろう。
いや、微笑ましいだけじゃない……すごく、羨ましかった。
「じゃあ、このご飯食べ終わった後、ひよりに寄生させないように二人とも卵を出しておいてね?」
「フィ、フィオ。まさか三人一緒にやるつもりなのか?」
光物の魚を丸呑みしたクロエがフィオに言った。対するフィオがクロエに聞き返す。
「えっ、だめ?」
「フィオ……幾らなんでも私たち三人が休みもいれずに一気にやったら、本当にひよりが壊れちゃうと思うけど?」
フィオが笑いながら言ったその言葉に私は軽く鳥肌がたつほどの恐怖を感じた。こ、壊れる……?
「そっ、そうかな? じゃ、じゃあジャンケンで誰か一人に決める?」
「ふざけるなぁ~! そういう弱肉強食の理論を持ち込むなんてまったくもって平和的ではない!」
フィオの提案をクロエが却下をした。すると、静かに魚をちびちびと食べていたニノンさんがぽつりと喋り始めた。
「ジャンケンは単に運にしか左右されない。弱肉強食とは無関係だ。それに……ただ単におまえがジャンケン弱いからそう言ってるだけだろう?」
「なっ! そ、そんなことはないぞ!」
「ほぉ~、じゃあやるかぁ、クロエ?」
ニヤリと笑ったニノンさんがクロエに向かってグーの拳を見せると、クロエは動転しながらそれを拒否した。
「え!? きょ、今日は体調が悪いから……と、とにかく! ここは仲良く3人全員と付き合ってもらおう!」
そう言ってクロエは私の方へ身体を乗り出して続けた。
「ひより! そういうわけで、私たち三人とそれぞれ一夜ずつ一緒に過ごす、ってのにして! いいでしょ?!」
「つ、つまり私は三夜、別々の方と一緒にその……交尾をしなさいってことですよね?」
私の言葉にクロエは頷いて肯定する。ちらりとフィオを見れば不安そうな目で私を見ているが、ニノンさんにいたっては私の方を見ずにもくもくと食事を続けている。……彼女は本当に私との交尾を望んでいるのだろうか?
けど、今はそんなことより……クロエの提案を拒否して、もし彼女達をいっぺんに相手にすることになれば私の身体が壊れる可能性もある、と。とりあえず、彼女達の前で死ぬことはやめたほうがいいもんね。
「いいよ。じゃあ、一日交代で順番に相手をすればいいね?」
「さすがひより! やっさしい!」
クロエが指を鳴らして純粋に喜ぶ姿を見れば、私としてもやぶさかではない気持ちだった。「ひより、本当にいいの?」
フィオが私に心配そうな顔でこっそりと耳打ちをしてくるが、私はそれに笑って答えてあげる。
「うん。大丈夫だからそんなに心配そうな顔をしないで。ね?」
「……ありがとう、ひより。あとさ……その……食べられそう?」
私の手元にある魚を覗き込みながらフィオが聞いてきた。そうだよね……丸呑みできるあなた達からしたら私のこの行為は不可解なものだよねぇ……。
一応うろこは取り除いたけど……これから内蔵やらなにやらを包丁もなしに取り出すと考えると、目の前でそれらを丸呑みしている彼女達がとてもうらやましく、私も段々と下処理が面倒くさくなってきた。
だから私は思い切ってその魚の胴体にかぶりついた。歯で無理矢理に身を引きちぎり、思い切ってそれを噛むとやはり美味かった。
「美味しい!」
するとフィオは満足そうにニコリと、彼女もまた大きな魚を丸呑みした。
プロローグ
「……本当に、どんどん汚くなってる」
「それもこれもみんな人間のせいなんだよな、やっぱり」
「許せない……」
私たち三人は、生まれ育ったこの海を今日も見て回る。全てを包み込む海……それゆえに、人間は何でもかんでも捨てる。
しかしそれは決して無に帰るわけではない。それなのに……彼ら人間は捨てる。そりゃ、海中に住んでいるわけではない彼らからしたらそれは大した問題ではないかもしれないけど……私達は違うのに……。
「ん? フィオ。あれ見て!」
「どれどれ……あら、可哀そうに……」
「……ふん」
海底の奥底で私たちが見つけたのは……若い人間の死体だった。近づいてみれば、着ている服の中に石が入っているのが分かった。
「どうする? フィオ。あの若さでまだ死んでから日も経ってないみたい。あれなら、魂も持ってると思うけど」
クロエの言葉に私は頭を回転させる。目の前の彼女の顔……やっぱりあの子達と似ている。
「……多分、この人は不幸を抱えたまま死んだんだと思う。だから……私達で慰めてあげられないかしら? うまくすれば、その……あれに付き合ってくれるかもしれないし」
「おお、面白そう!」
私の提案に次女、クロエが会心の笑みを浮かべる。しかしそれと対照的な反応をしたのは三女のニノンだ。
「そ、そんなフィオ姉さま! どうせなら、こいつも人形に!」
「ニノン……あなたが人間を恨む気持ちは分かるけど……今回だけは、ね?」
私はニノンの純粋な目を真っ直ぐに見る。
「そうだよ、ニノン。ニノンもたまには人形や、私たち以外ともやりたいでしょ?」
「お、お前と一緒にするな! この物好き女!」
「な、なにぃ~!? 姉に向かって何という口の利き方だぁ!」
クロエとニノンがもつれ合いを始め水中でぐるぐる回り始めた。はぁ……また始まった。
私はそんな二人を放っておき、足元に横たわっている女の子を改めて観察した。全体的に小柄な身体だが、閉じられた瞼の大きさから目は大きい少女のようだ。
ふと、まるで神にでも祈るように彼女が胸の上で組んでいた両手から、何かが見えていることに気付き私はそれを手に取った。
ペンダント、というやつであっただろうか。私は細い鎖にぶら下がっている丸い部分をくるくると触っていると、パカリとそれが開いた。
その中にあったのは……。
「……クロエ、ニノン。この子を復活させる。いいわね?」
私はそれを見て、いまだにケンカをしていた二人に私はいつになく真剣な口調で言った。すると二人ともそれを察してくれたみたいで、ピタリとケンカをやめてくれた。
「いたた……私はもちろん賛成。ふふ……たっぷりと可愛がってあげないと」
「……姉さまがそう言うなら……」
クロエは不敵に笑いながら、ニノンは不満が残っていそうだったが、二人とも私の言葉に賛成してくれた。
「ニノン……ありがとう」
私はニノンを抱き寄せると頭を撫でてあげる。やはりニノンはこれがとても大好きらしく、不満げな顔を吹き飛ばして嬉しそうな顔で私にもたれ掛かってくる。
「ちょ、ちょっとぉ! 私には?!」
「ご、ごめん! クロエもありがとうね」
「おまけみたいに言うな~!」
頬を膨らませて文句を言うクロエも私は抱き寄せて、その頭を撫でてあげる。するとやはり彼女もすぐに頬を緩ませて笑いかけてくれる。まったく、二人ともよく似ている。
私はそんな二人と共に海底に横たわる少女を見る。彼女が握っていたこれを見る限り、私達に悪さをするような悪い人間には見えない。
問題は……私たちを受け入れてくれるか。でも、その決定権は彼女にある。無理強いはしない。
改めて愛する二人の妹の顔を確かめるように見てから、私はゆっくりと少女を持ち上げて小さな彼女の唇に……そっとキスをした。
第一章 目覚め
寒い……というほどではないが、私の身体を冷たいものが包んでいる。天国というのはイメージとして暖かいところ、というイメージがあるわたしにとってそれは意外だった。
それともやはり、自殺した人間が天国に招待されることはないのだろうか。しかし後悔したところでもう遅いだろう。
何故なら、命はたった一つしかないのだから。
でも……気のせいだろうか。何故だか身体の奥底が、ドンドンと暖かくなっている気がする。まるで、止まっているはずの心臓が再び鼓動を始めたかの如く。
やはりここは天国なのだろうか。私はそれを確かめたくて目を開こうとすると、以外にもあっけなく開いた。
途端にある女の子の姿が目に入った。くりくりとした目が私の顔を見て硬直している。いや、多分私も同じような表情をしているんだと思う……。
でもとっさに声っていうのはやっぱり出ないもので、数秒の間お互いの目を私たちは見合っていた。
「う、うわあっ!」
「きゃあっ!」
短い均衡を破って私とその女の子は、ほぼ同時に小さな悲鳴を上げながら飛び退いた。しかし、段々と女の子の顔がまるでカブトムシを見つけた少年のように輝き始めた。
「クロエ? どうし……あっ起きた!?」
尻餅をついている女の子の後ろの薄い暗闇から、彼女より少しだけ大人びた女の子が出てきた。見た目的には高校生ぐらいかしら。
「身体は動きますか? あっ、でもまだ死から引き戻されたばっかりですから、あまり無理はしないで下さいね」
「は、はぁ……」
駆け足気味に私のところに駆け寄ってきた彼女はニコリと柔らかな笑みで私の顔を覗きこんだ。その後ろからクロエ、と呼ばれた先ほどの女の子も目を輝かせながら私を見ている。
「私は長女のフィオと申します。この子は次女のクロエ。あともう一人、三女のニノンがいます。あなたは……?」
「あっ、わ、私はひより。葛西 ひよりです」
「いい名前。よろしくね、ひよりさん。私はフィオでいいわ。この子もクロエって気軽に呼んで上げてね」
慈愛に満ちたような微笑みで差し出された手を私は握り返すと、その後ろにいたクロエさんも負けじと手を伸ばし、有無を言わさず私の手を掴んだ。
「私のことはクロエ様と呼びなさいよ?! いいか、ひより?!」
「は、はい!」
その剣幕に押されて私は反射的に返事をしてしまった。すると、フィオがクロエさんの頭を掌で軽く叩いた。
「こらぁ! 馬鹿な事と言うんじゃないの! まったくもう……」
「くうぅぅ……じょ、冗談だよぉ……。ひより、訂正。クロエって呼んで。じゃないとフィオに頭ヘコませられちゃうから」
「は、はぁ……」
二人のテンポに押されっぱなしの私の頭はほとんど混乱状態だった。ふと、その時彼女達の後ろからこちらをちらちらと見る、これまた小さな女の子の姿があった。
「あっ、ニノン。ちょうど目が覚めたところよ。こっちに来て挨拶をして」
私の視線に気付いたフィオが彼女を呼び寄せる。どうやらあの子が三女のニノンさんであるらしい。それにしても、二人の姉に比べると大分小さな子供に見える。小学生かそこらへんだろうか?
ただ、フィオの隣にちょこんと座ったニノンさんは何故か私と目を合わせようとしなかった。人見知りする性格なのだろうか?
「この子が三女のニノンです。ニノン、この人はひよりさん」
フィオがそう説明してもニノンは私の方を見ようとしない。少しだけ困ったような表情をしたフィオを見て私のほうから口を開いた。
「あ、あの。私はひより。よろしくね、ニノンちゃん」
私がそう言った瞬間、ニノンさんが明らかな不快を示す睨みを私に向けて送った。
「私を気安く呼ぶな! この人間め!」
思わず私は、その恐ろしい剣幕にたじろいだ。すぐさまフィオがニノンさんを叱る。
「こ、こら、ニノン! 何て事を言うの!」
姉の怒りを向けられたニノンさんは悲しそうな目をしてフィオを見たが、もう一度私に睨みを聞かせるとその場から立ち上がり走って視界から消えてしまった。
「ま、待ちなさい、ニノン!」
フィオはそれを追おうと立ち上がろうとしたが、すぐに私のほうに向き直ると頭を下げた。
「ごめんなさい! 本当は優しい子なんだけど……」
「だ、大丈夫ですから……」
そうは言ってみたものの……実際はものすごく恐ろしかった。あんな子供が、まるで獣が獲物に向けて牙を剥くような視線を放っていたのだ。恐ろしいと同時に信じられないという気持ちもあった。
それから気まずい沈黙が続く。フィオは俯いていて、クロエは何か口に出そうかとしてはいるみたいだが、雰囲気がその口が開くのをためらわせているようだった。
「あ、あの……気になることがあるんですけど」
静かな沈黙を破ったのは私だった。それは目が覚めてからずっと気になっていることを聞くためだった。
「私は……死んだんですよね?」
フィオは言っていた。『死から引き戻された』、と。その意味がずっと気になってはいた。……色々あって言えなかったけど。
私の問いにフィオとクロエが目を合わせて、その視線で何かを会話しているように見えたが、フィオがやがてこう切り出した。
「はい。私たちが海底で見つけたときには、既に死んでいました。ただ、死んでからまだ1ヶ月も経ってないようですが」
「じゃ、じゃあなんで……私はここにいるんですか?」
少なくともここは天国にも地獄にも見えない。確かに薄暗くはあるが、肌寒さは感じるし、若干頭も痛い。それになにより心臓に手を当てれば、それは今もなお鼓動を続けているのだから。
「……勝手なことをしてごめんなさい。私たちの都合で……あなたを復活させました」
「ふっ、かつ?」
聞きなれない言葉。いや、人間に対して使うにはあまりに不適切な言葉だ。だって……だって人間は死んだら、生き返らない、でしょ……?
困惑する私を前に、フィオがゆっくりと立ち上がると身に着けていた衣服を脱ぎ始めた。その行為にだって驚くが、私にはそれを止めるような声さえ出ない。
やがて綺麗な四肢がどこでも見える状態になったフィオさんが、ゆっくりと深呼吸をすると……その細く長い足何かが……青い何かが浮き始めた。
その光景に私は目を奪われていた。目を閉じることさえ出来ない。ただ、人の足があったそれが、人の足ではなくなる過程をただただ見ていた。
「ふぅ……これが、私たちの本当の姿です」
一仕事終えたかのように息を吐いたフィオの下半身は……まるで魚を縦に半分に切り、その尾のほうの部分を貼り付けたかのように……変化していた。
「……人魚」
その光景を理解した瞬間に、私の頭の片隅に置いてあったその単語が口から勝手に出てきた。それは大当たりのようでフィオが頷いて肯定してくれた。
「やっぱり驚いてるね……当たり前だけど」
苦笑いをしながら肩を竦めるクロエ。フィオの『私たち』という言葉の意味が予想通りなら、彼女とおそらくニノンさんもフィオと同じなのだろう。
「そして私たち人魚には……死者を復活させる力があります。それを、使いました」
私は急に身体がまるで自分のものでないような感覚を感じた。この手も、この足も見慣れたもののはずなのに。
私は信じられなかった。だって、だってそんなことあるはずがない。だったら……だったら!
「ただ、私たちはただの人魚でもない」
謎解きをさせるような口調で言ったのはクロエだった。フィオとは違う、人間の二本足で私に近寄ってきた彼女は言った。
「人魚がこんな人間みたいな足を手に入れることは不可能。じゃあ、私たちはなんなのでしょう~か?」
目線を私に合わせたクロエが、ニヤニヤと笑いながら問題を出してきた。さも楽しそうな彼女には悪いが、当然ながら分かるわけがない。
「はい、時間切れ。正解は……寄生された人魚、でした!」
それと同時に、クロエは穿いていたジーンズのチャックを降ろして、そこから……ピンク色の触手を勢いよく飛び出させた。
……もう私が認識できる現実の範疇はとうに超えているその光景に、私は瞬きすら忘れてしまった。
「人魚は基本的に人間で言う女性しかいませんが、生殖器はついています」
そんなフィオの声にやっとクロエの触手から目を話すことができた私は、今度はフィオのそれに目を奪われた。
フィオは、その足が女性のままならばおそらく股の部分、その部分の鱗を横に開いて私にピンク色の穴を見せた。それは……私にもある穴とよく似ていた。
「普通ならば交尾のときに種を送り込む側は、ここから人間の男性器に似たものを出すことが出来ます。だけど私とクロエは……」
言葉を切ると同時にその穴からクロエと同じような触手が押し出されてきた。フィオはゆらゆらと揺れるそれを掴んで、私を見て続けた。
「これが出てきてしまうんです。これのせいで私たちには、子供を産むことはできなくなってしまいました。種を作るための器官が変化させられてしまったから」
「その代わりにここから私の体液と寄生体の卵が出てくる。本来ならこれを人魚とかに産み付けて私たちと同じ仲間にしなきゃいけないみたいだけど」
フィオの説明にクロエが付け足すが、彼女の口調はまるで他人事のようだ。しかし、その説明を聞いた私にはある嫌な予感が浮かんだ。
「……ま、まさか……その寄生体の卵が私の身体の中に……」
「い、いえ、そんなことはしていません。あくまで私がやったのは、人魚としての力であなたを復活させることだけです」
「まぁ、助けてもらったからには何か形としてご恩を返しなさいよ?」
チャックの中に触手を戻したクロエが私の前で仁王立ちをする。その隣のフィオも同じように身体の穴の中に触手を戻しながら、呆れたようにこう言う。
「……あなたは何もやってないでしょ。クロエ」
「何を!? ここまで運んだのは私だぞ!」
クロエの反論に対して、フィオが器用に飛び跳ねて彼女に近づくと、その頭を撫でつける。
「はいはい、よく頑張ったから。……ただ、ひより。あつかましいんだけど……一つだけお願いがあるの」
「な、なんですか?」
突然向けられたその言葉に私は思わず後ずさりしてしまう。やはり私に寄生体の卵を産ませてくれ、なんていうことを言うのだろうか?
「あ、あのね……その……」
フィオの頬が赤く染まり、続くはずの言葉が中々出てこない。まるで女性が男性に告白しようか迷っているみたいにもじもじとしている。
その様子を見かねたのか、クロエが肩を竦めながらも楽しそうな表情で私にこう言った。
「ずばり、私たちと交尾しなさい!」
「ちょ、ちょっとクロエ! 幾らなんでもストレートすぎ……」
「だってその通りでしょうが……ひより、いいでしょ?」
良いも悪いも意味が分からないって言ってるのに……交尾って、つまりあれだよね? ……で、でも私は人間で彼女達は人魚なわけで……。
「さっきの触手をあんたの身体の中でグニグニ動かしたいわけ。あっ、言っとくけど寄生体の卵はあらかじめ出しておくから安心しなさいよ?」
あ、あんなのを身体の中に入れられたらどうにかなっちゃうよ……。声を出してそう言いたいのに声が出ないのは……拒否したら無理矢理にでもそれをされてしまいそうな気がしたからだ。
「さっき見たけど処女じゃないんでしょ? だったら問題ないでしょ。ふっふっふ、私が最高に気持ちよくさせてあげるから、ドーンと任せちゃいなさいよ」
「ちょっとクロエ、いい加減にしなさい」
オタオタと様子を見ていたフィオが口調を強めた言葉をクロエに放った。クロエが押し黙るところを見ると、この姉妹の力関係がよくわかる。
いつの間にか足を人間のものに戻していたフィオが私の前で正座に座り、私の目を真っ直ぐに見ながら口を開いた。
「混乱、してるよね? 当然だと思うけど……ただ、あなたが嫌がるなら私たちは何もしない。今すぐにここから出て行って人間のいる地上に戻っても構わない」
「え!? フィオ、話が違うぞ!?」
クロエがフィオの肩を掴んで揺さぶる。フィオはその手を握ると彼女のほうではなく私を見ながら続けた。
「ごめん、クロエ。最初からこう決めてたの。けどクロエだって……嫌がる人を無理矢理に、って趣味はないでしょ?」
「そ、それはそうだけどさぁ……」
不満そうに結った髪をくるくるとクロエはいじくるが、言い返す言葉はなかったらしくやがて深くため息を吐くと小さな声で零した。
「はぁ……勝手にしなさいよ……」
いかにも未練が残っていそうな口調でそう言葉を残し、クロエはニノンが出て行ったほうへと歩いていき、この空間から姿を消した。
それを黙って見送ったフィオも額に手をあて、深いため息を吐いた。私もフィオもお互いに言葉を出さずに沈黙が包み込む。や、やっぱりこれは……私が悪いのだろうか?
このまま時間が経てば経つほど口がどんどん重くなるだろうと思った私は勇気を出して口を開いた。
「あ、あの……私なんかとその……交尾、したいんですか?」
何かを考えるように目を閉じていたフィオがパッと目を開き、驚いたように目を丸くした。そしてまた、フィオは恥ずかしそうにもじもじとはしたものの、私の疑問には答えてくれた。
「え、ええ。そりゃもう……正直堪らない、かな。恥ずかしいんだけど……私たち人魚は、その……元々あれが大好きだから……」
「そ、そうなんですか」
自分から聞いといてなんだけど、フィオと同じぐらい私も恥ずかしい。お互いに困ったように顔を見合わせて笑いあって、また静けさが襲ってきそうになる。
でも今度はフィオが口を開くことでそれを防いでくれた。
「人間の女の人の……穴は、私たちのより何倍もその……気持ちいい、の……だから……ああっ!」
ついに恥ずかしさが限界に達したのか、フィオは顔を両手で覆って首を振った。……聞いてる私だって同じくらい恥ずかしいよ……。
これ以上聞くのはお互い恥ずかしくなりそうだから、私は一人現在の状況をまとめることにしてみた。
とりあえず、私は海に身投げをして死んで……それで人魚……寄生された人魚の三姉妹に助けられた、と。
それで彼女達は私と……交尾をしたいと。まぁ、三女のニノンさんは分からないけど。ううっ、彼女が怖くて頭の中でも呼び捨てにできない……。
結局私は死ねなかったってことだよね……。フィオは人間のところに戻っていいって言ったけど……もう、正直戻る気にはなれないよ、あんなとこ。
でも生き返らしてくれた手前、彼女達の前で死ぬなんてことはさすがに避けたいし……ただ、お礼の一つもできずに地上に戻るって言うのも……。
はぁ……死ぬときに痛くないようにってことで身投げ自殺にしたんだけど……まぁ、あれは苦しかったけど。彼女達は別に私をそうやって痛めつけようってわけじゃないよね……。
「一回、だけなら」
「えっ?」
小さく零した私の言葉にしっかりとフィオは反応してくれた。そのお陰で私も思い切って言い切ることにする。
「一回だけ、私を好きにしていいです。ただ、それが終わったら人間のいるところに帰させてもらえますか?」
「ほ、本当にいいの?」
フィオが驚きの眼差しの中に喜びの輝きを携えながら私に聞き返した。私は苦笑いしながら一つだけ付け足す。
「痛く、しないでくださいね」
「もちろん! 私が激しく気持ちよくさせてやる!」
その声の主は薄い暗闇の中からひょっこりと顔を出しているのはクロエだった。彼女はものすごい速さで駆け寄ってくると、私の背中に抱きついてきた。
「ありがとう、ひより」
ニコリと笑ったフィオが言う。背中のクロエも身体を前後に揺らしながら目を輝かしている。
だけど、更にその背後からちらちらと感じる視線は……その二人が私に向けているそれとは、明らかに正反対なもののような気がした。
第二章 姉妹達との食事
それから1時間ほど経って、私は三姉妹と一緒にご飯を食べていた。部屋の中央の床に、彼女達がとってきた魚が小さな山となるほど積まれていた。
「というわけで、ニノン。一回だけ私たちに付き合ってくれることになったから、ひよりに感謝してね?」
フィオがニノンさんに向かって言うが、それでも彼女は返事をせずに視線を彼女の脇の床に落としたままでいる。
その様子を見たフィオがもう一度口を開こうとしたが、隣に座っていた私がそれを手で制すると何とかとどまってくれた。
その代わり、クロエが口を開いてこんなことを言い出したけど。
「まったく、ニノンは。そんなんじゃ、せっかくひよりとやっても楽しさ半減になるぞ?」
「お前みたく、楽しければ何でもいいような色女と一緒にするな!」
「ニ、ニノン! 許さん! 今日という今日は絶対に許さん! こうしてやる!」
「なっ、いらららららら! このやろ~!」
クロエがニノンの頬を横に引き伸ばすと、ニノンもクロエの頬を同じように引き伸ばす。
「二人ともやめなさい」
フィオが静かな口調でそう言うだけで、二人は渋々とそれをやめてお互いにそっぽを向いて生の魚を頬張り始めた。
隣ではフィオがやれやれという感じにため息を吐くが、私には二人のケンカがとても微笑ましい光景に見えた。いや、おそらくフィオもあくまでしつけとして怒っているだけでその本心は私と同じだろう。
いや、微笑ましいだけじゃない……すごく、羨ましかった。
「じゃあ、このご飯食べ終わった後、ひよりに寄生させないように二人とも卵を出しておいてね?」
「フィ、フィオ。まさか三人一緒にやるつもりなのか?」
光物の魚を丸呑みしたクロエがフィオに言った。対するフィオがクロエに聞き返す。
「えっ、だめ?」
「フィオ……幾らなんでも私たち三人が休みもいれずに一気にやったら、本当にひよりが壊れちゃうと思うけど?」
フィオが笑いながら言ったその言葉に私は軽く鳥肌がたつほどの恐怖を感じた。こ、壊れる……?
「そっ、そうかな? じゃ、じゃあジャンケンで誰か一人に決める?」
「ふざけるなぁ~! そういう弱肉強食の理論を持ち込むなんてまったくもって平和的ではない!」
フィオの提案をクロエが却下をした。すると、静かに魚をちびちびと食べていたニノンさんがぽつりと喋り始めた。
「ジャンケンは単に運にしか左右されない。弱肉強食とは無関係だ。それに……ただ単におまえがジャンケン弱いからそう言ってるだけだろう?」
「なっ! そ、そんなことはないぞ!」
「ほぉ~、じゃあやるかぁ、クロエ?」
ニヤリと笑ったニノンさんがクロエに向かってグーの拳を見せると、クロエは動転しながらそれを拒否した。
「え!? きょ、今日は体調が悪いから……と、とにかく! ここは仲良く3人全員と付き合ってもらおう!」
そう言ってクロエは私の方へ身体を乗り出して続けた。
「ひより! そういうわけで、私たち三人とそれぞれ一夜ずつ一緒に過ごす、ってのにして! いいでしょ?!」
「つ、つまり私は三夜、別々の方と一緒にその……交尾をしなさいってことですよね?」
私の言葉にクロエは頷いて肯定する。ちらりとフィオを見れば不安そうな目で私を見ているが、ニノンさんにいたっては私の方を見ずにもくもくと食事を続けている。……彼女は本当に私との交尾を望んでいるのだろうか?
けど、今はそんなことより……クロエの提案を拒否して、もし彼女達をいっぺんに相手にすることになれば私の身体が壊れる可能性もある、と。とりあえず、彼女達の前で死ぬことはやめたほうがいいもんね。
「いいよ。じゃあ、一日交代で順番に相手をすればいいね?」
「さすがひより! やっさしい!」
クロエが指を鳴らして純粋に喜ぶ姿を見れば、私としてもやぶさかではない気持ちだった。「ひより、本当にいいの?」
フィオが私に心配そうな顔でこっそりと耳打ちをしてくるが、私はそれに笑って答えてあげる。
「うん。大丈夫だからそんなに心配そうな顔をしないで。ね?」
「……ありがとう、ひより。あとさ……その……食べられそう?」
私の手元にある魚を覗き込みながらフィオが聞いてきた。そうだよね……丸呑みできるあなた達からしたら私のこの行為は不可解なものだよねぇ……。
一応うろこは取り除いたけど……これから内蔵やらなにやらを包丁もなしに取り出すと考えると、目の前でそれらを丸呑みしている彼女達がとてもうらやましく、私も段々と下処理が面倒くさくなってきた。
だから私は思い切ってその魚の胴体にかぶりついた。歯で無理矢理に身を引きちぎり、思い切ってそれを噛むとやはり美味かった。
「美味しい!」
するとフィオは満足そうにニコリと、彼女もまた大きな魚を丸呑みした。
快楽処方箋
122 快楽処方箋 sage 2009/09/03(木) 22:18:54 ID://OUxv1C
「次の方、どうぞ」
私は今日も治療に励む。それは患者の笑顔を見るのが大好きだから。特に私が担当している精神科は笑顔を患者さんに与える場所だと私は思っている。
でも、精神科に初めて来た人にはほぼ笑顔と言うものは見られない。というより、笑顔で病院に来る人もあまりいないのだけど。
けど、その人たちが病院から帰るときにわずかにでも笑顔を見せてくれれば、それだけで私にも笑顔が溢れてくる。
そしてまた今日も誰かが私の元を訪ねてきてくれた。その笑顔を求めて来てくれた人のために、今日も私は頑張るのだ。
……けれど、その日最後にやってきたその女性は、始めから笑顔を携えていた。それも何て言うか……艶やかでとても何か不安を抱えているようには思えないような笑顔を。
「市原 夢魅さん、ですね。今日はどうされましたか?」
私はいつものようにドアの鍵をボタンで閉めた。外部の人間と接触を怖がる人も多いからだ。こうすればナースと言えど入ってくることは出来ない。
「ふふっ……あなたが有名な『笑顔のドクター』ね」
「え、ええ。まぁ、名前だけ先走ってる感じがしますけどね」
市原さんは微笑みのような笑顔を絶やさずに聞いてくる。『笑顔のドクター』かぁ……改めて言われると恥ずかしいなぁ、なんか。
「名医って言う噂だけど……、そんなあなたでもないかしら? 自分の力不足を感じること……」
前かがみになって私に顔を近づけながら市原さんが問いかけてくる。私にはない大人の魅力を持った女性。私は正反対に子供っぽく、医者らしくないとよく言われる。
しかし、彼女が言った言葉……それは私がこの1年、精神科医をしてきて感じている大きな壁だった。
「……患者さんにこんなことを言うのは申し訳ないですが……力不足を感じることはいつもあります」
例えば麻薬中毒者。彼らがここに来るときも笑顔を浮かべている。しかし私はそれを笑いとは認めない。あの笑いは苦痛の叫びなのだ。私が最も憎むべき病がそれだ。
しかし……そうした人たちに私が出来ることは数少ないし、なんとか彼らが本当の笑顔を取り戻した後、再び手を染めてしまうこともとても多い。
その他にだって強姦された人、愛する人たちを失ってしまった人、いじめなどの苦痛に耐え忍んできた人……特に私と同性の人たちの患者が多いが、彼女ら全てを癒してあげらえることはまず不可能だ。
「ですが、私は諦めません。無責任かもしれませんが、もし諦めたら100人中1人も助からない。でも、諦めなければそのうちの1人でも助けられるかもしれないからです」
「流石ねぇ……純粋だわ。その白衣みたいにあなたの心も真っ白ね。でも……そんな綺麗な身体を持て余すのはちょっと勿体無くないかしら?」
「……は、い?」
思わず私は何の話をしていたのかをすっかりと忘れてしまった。それに……私の身体が綺麗って、そんなこと急に言われても意味が……。
そんな風に頭が真っ白になっていたとき、突然私は後ろから羽交い絞めにされた。
「きゃあっ! な、何?!」
気付けば目の前にいた筈の市原さんの姿が無い。辺りを見回そうとすると、首筋に暖かい息が掛けられた。
「ふふっ……力を抜いて……私があなたに力をあげるわ……ふふっ」
「やめて下さい! はな、して!」
123 快楽処方箋 sage 2009/09/03(木) 22:19:44 ID://OUxv1C
同じ女性とは思えないほどの力で私を拘束していて、上半身はほとんど動かない。下半身は動きそうだけれど……さすがに蹴りを入れるのは失礼すぎる。それに冗談のつもりだったら、相手は深く傷ついてしまう。
「い、市原さん。落ち着いてください。あなたの抱える病を私に話してください」
抵抗するのをやめて私は背後の彼女に話しかける。そうだ、彼女は患者なのだ。その傷が彼女を追い込んでいるのだ。落ち着け、落ち着け、私!
「病ねぇ……欲求不満ね」
「なっ!?」
私の手を自由にすると、今度は私の腰に抱きつき、そのまま部屋の脇のベッドに私を押し倒してきた。その上に黒いワンピースを着た市原さんが静かな微笑みで乗っかってくる。
頭の中で必死に相手を落ち着かせる方法を考ようとするが、頭がパニック状態で何も思い浮かばない。ただただ目の前の光景に唖然とするばかりだ。
「いいわ、その顔……可愛いくて、興奮しちゃう」
「そ、そんな市原さ、んんんっ?!」
真っ赤なルージュの柔らかな唇が私の唇に重なる。同時に私とは対照的な彼女の胸と、理想的な肉付きのお腹が擦れる。
私は反射的に口を閉じようとしたが、その瞬間彼女の舌の感触を僅かに感じて躊躇すると、一気に彼女の舌が私に侵入してきた。
「んんっ! んんんんんんっ!」
激しく私の口の中を動きながら、私が白衣の下に着ていた赤いブラウスをビリビリと荒々しく破り捨て、露になった私の胸のピンクのブラの真ん中を長い爪で切ってしまった。
「ぷはっ、やめてぇ! いやぁあああああっ!」
「ふふふ、もうこんなもの要らないわ……」
口についた私の唾液を妖しくすすりながら、自らのワンピースを横に脱ぎ捨てた。それだけで彼女は一糸纏わぬ姿になる。ブラどころかパンツまで穿いてないなんて……。
そして私のスネの上移動すると、私の黒のタイトスカートをあっさりと破り捨てて、黒のタイツとパンツは一気に太もまで下ろされ、私も抵抗むなしく裸に白衣という姿にされてしまった。
「もうやめてぇ……何がしたいんですかぁ……?」
「ふふっ、だから私がしたいわけじゃなてあなたにして欲しいの……まぁ、楽しみたいのよ……私もね」
だめだ……まったくもって話になってない。欲求不満ならあなたのその豊満な胸と妖しく大人っぽい顔なら男の人に困らないとはずなのに……。
「はぁんっ……もう我慢できないわぁ……」
私の上で股を弄くり始めた彼女に私が何を言えばいいのだろう……まぁ男に襲われてるわけじゃないし……このまま暫く放っておけば落ち着いてくれるかなぁ……。
もう、そう割り切ることにした私は光悦な表情で自慰行為を始めた彼女を黙ってみていた。それにしても……大きな胸だなぁ……動くたびにあんなに揺れてる……いいなぁ……。
「だめっ、だめっ! もう溶けるぅうううううう!」
「……えっ?」
その時、私の身体に乗っている市原さんの姿が……溶け始めた。白かった素肌が、黒い液体へと変貌を始めている。
「きゃ、きゃああああああああああ!」
私はベットから転がり落ちてでも逃げようと暴れだしたが、黒い液体はその見た目からはありえない重さで私の上で束縛し続ける。
「ひぁああああああああああ!」
膣に冷たい感触を感じて上半身を持ち上げるとその液体が勢いよくそこから浸入してきている。そしてそのお腹の上の大量の液体は私の顔にも這いずるように近づいてくる。
124 快楽処方箋 sage 2009/09/03(木) 22:21:17 ID://OUxv1C
とっさに口を閉じて片手で鼻も閉じた。お腹のへその辺りからも何かが入ってくる感覚を感じたが、それよりも顔にせまるその液体のほうが恐怖を私に与えていた。
液体は私の顔の手前で数秒だけ止まると、なんと腕を素早く伝って指の先から耳の奥へと浸入を始めたのだ。
それに驚いて思わず口を開いてしまったが最後、そこからも浸入を許し、手で口を塞ごうとすれば鼻からも浸入を開始された。
液体が入ってくるたびに頭が揺さぶられ、真っ白な意識でただただ液体にされるがままになった私は、浸入のなんともいえない感覚を受け続けることになった。
「くぅ、あっ……」
その全ての液体が私の中に浸入し、私は久しぶりに空気を吸った。しかし、口や鼻から浸入されている間にも息苦しさは感じなかった。
「なっ……なん……」
人間一人分の液体が身体に入っていったにも関わらず身体は重くなく、むしろ今日の仕事の疲れが消えた感じさえする。ただ、頭だけは状況が飲み込めずに真っ白なままだ。
震えた身体をなんとか起き上がらせる。白衣の中に包まれている私の肢体には先ほどの黒い液体の姿は無いけど、触ってみると粘液のようなべたべたとした体液がべったりとついていた。
そしてベットから足を下ろすと先ほど市原さんが着ていた黒いワンピースと、彼女の黒いハイヒールが落ちていて、私に先ほどの行為が夢ではなかったことを認識させた。
「……なによぉ……なんなのよぉ!」
そう叫んでも部屋にいるのは私だけで、誰も答えてなどくれるはずもなかった。
「ううっ……ううっ……」
私は家に帰るなり、雷鳴以外の光がない暗闇の中、自らの家のベットの上で黒いワンピースを纏った身体を抱きしめた。
あれから着る物がなくなり仕方なくこれを着て帰っては来たが、家についた瞬間に静まっていた理不尽さが再び私の頭を混乱させた。おそらく家に帰って安心できたせいもあると思うけど……。
一体、何が私の中に入ってきたのだろうか? レントゲンやCTで調べようかとも思ったけど……その勇気は私にはなかった。だから私は別の決意をして病院から家まで帰ってきたのだ。
私はベットの横においてある包丁を見る。……これから何か私に起きればこれを使うつもりだ。
考えすぎかもしれないけど……もし何か人に……患者さんに危害を加えるものを私が持っているのだとしたら、それを広げるわけにいかないから……。
カルテなどの診療以外の仕事はしないで帰ってきたから家に着いたのは8時過ぎで、今はもう12時過ぎを回っている。
「このまま何も起こらないで……お願い……」
私は膝小僧に額を載せて祈った。もう一度……昇ってくる朝日を拝み、そして……また患者さんに笑顔をもたらせる大好きな仕事を続けられるように。
(ふふっ……元気ないわねぇ、笑顔のドクターさん?)
「ひゃっ!」
身体の内側から聞こえてくる声に私は思わず驚きの声をあげた。しかしそれは聞き覚えのある声で……もう二度と聞きたくない声でもあった。
「あなたは……市原さんですね?」
(まぁ、それはもちろん適当な名前……それに、もうそんなことはどうだっていいじゃない。私はあなた……あなたは、私なんだから)
「何を勝手なことを……」
私は拳を握り締めながら自分の身体に言い放つ。しかし……そんな個人的な怒りは後だ。もっと聞かなきゃいけないことがある。
「一体、あなたは何をしたいんですか? いえ……あなたは何者なの?」
(う~ん、そうねぇ……早い話が寄生生物ってことかしらね。目的は女の子に私の子供を産み付けて快楽を貪ることかしら)
「っ! ……つまり、私の患者さんにもあなたは手を出すつもりなんですね?」
(もちろん。あなたのところには比較的若い女性が集まるし、それに……快楽を与えれば彼女たちにも笑顔が浮かぶ。それはあなたの目的と一致するんじゃないかと思ってね)
「ふざけないで! 患者さんの心の傷を何だと思っているの!? 甘く見ないで!」
125 快楽処方箋 sage 2009/09/03(木) 22:22:17 ID://OUxv1C
思わず私はベットを拳で叩きつけ、そのまま包丁を掴むと自らの首のすぐ横まで持ってきた。
(あらあら、死ぬつもり? どうしてかしら?)
「私の患者さんには絶対に出だしはさせない! そんなことさせるぐらいなら、死んでやる!」
しかし……包丁の刃を喉元まで数センチのところまで近づけても、寄生生物はいたって冷静なままだった。
(なら、そうすればいいわ……ふふっ)
その態度に歯軋りをして包丁を近づかせる……もう刃の部分は私には見えないほど近くにある。時折落ちる雷が妖しく包丁を照らし出す。
(ほらっ、早くしなさいよ……あなたの血もさぞ綺麗なんでしょね……楽しみだわ)
「くうぅぅ、くっそぉおおおおおお!」
その挑発に私は包丁を握る手に一層力を込め、雷鳴が落ちた瞬間その包丁を……
……首から離すと、ベットの横に落とした。……手が滑ったわけではない。
「やだよぉ……死にたくないよぉ……ううっ、あああああああああ!」
私は膝を抱えて泣き出した。何で私が……ただ私は医者として人に笑顔を与えたかっただけなのに……なんでこんなことに……。
(落ち着いて……大丈夫、死ぬことなんてないわ)
「うる、さい……」
(ふふっ……しょうがないわねぇ……)
勝手なことを喋りつづける寄生生物にやり切れないほどの怒りが湧き上がったが……今の私にどうする手段もない。患者のために命を捨てられない私に……。
「あっ……ひんっ……お、しりがぁぁああ……」
お尻に力も入れていないのに何かが肛門から近づいて来る感覚が私を襲った。
「ひあんっ! でるぅう、なにかぁでてくるぅうううううう!」
ベットに倒れこみ、お尻を突き出すようにしてその衝撃に私は耐えた。出てきた何かがワンピースのスカートに当たり、そのまま私の前まで出てきた。
(可愛いでしょ、これ……もうあなたのものなのよ?)
「や、やだああぁぁ……やだぁあああああああああ!」
私は後ずさりしてそれか遠のこうとするが、離れない。当たり前だ、私のお尻から出てるのだから……この太くて大きな触手は。
……けど、それだけじゃない。後ずさりしてその触手が地面に当たるたびにその感覚が私にも感じられる。つまり……この触手はやはり私のものなのだろう。
(驚いて当たり前ね、いきなりこんなの出されちゃったら。……けど、これはあなたを快楽へと導いてくれるわ。そんなに恐れないで……)
声も出ない私はその触手に向かってただ首を振るばかりだ。こんなものが私を快楽になど導けるはずがない! そう言いたかった。
触手はゆらゆらと私の顔の前で揺れている……と、思った次の瞬間、私の視界からそれは消え……思わぬところから刺激が飛んできた。
「なっ、ああああああああんっ!」
刺激が飛んできた場所……私のオマ○コに目をやるとそこに向かって触手が突き刺さり、そしてよく見れば奥へと入ろうとしていた。
「ふあぁああああんっ! やめてぇえええええええええ!」
私は反射的にその触手を掴んでその動きを止めようとする。しかしその触手はまるでウナギの体表のようにヌルヌルとしていて、私の手をすり抜けて侵入してくる。
「やあっ、めぇっ、こわれぇぅううううううううう!」
子宮のあたりにまで届いたかと思えばいきなり逆流し、そしてまた突き戻ってくる。触手が私のお尻を擦れるたびに刺激し、更には触手が味わっている私の身体の中の感覚までもが頭に送られてくる。
126 快楽処方箋 sage 2009/09/03(木) 22:22:41 ID://OUxv1C
(ふふっ……快感に頭がおかしくなっちゃいそうでしょ? それでいいのよ……もっと喘ぎなさい……もっと、もぉっと、ね……ふふっ)
「ひああああああああああんっ!」
外の雷鳴が私の行為と同じように激しく鳴り響くなか、それと呼応するように私の行為も激しくなっていき……そして何かが変わり始めてしまった。
「ふあんっ、そこぉおおおおお……いいのぉ……もっと、もっとぉおおおおおお!」
(ほぉら……あなたいい笑顔になってきたぁ……分かるでしょう、自分でも)
「くふんっ! うんっ、わっ、かるぅううう! きもちよくてぇえええ、さいこぉおおおおおお!」
これまでこんなに笑ったことはあっただろうか? だめだ、笑いが止まらないや。だって気持ちいいんだもん。
私はもっとその気持ちよさを手に入れようと自らの胸を揉む。しかし、先ほどの市原さんのたわわな胸を見てしまった後では自らの品疎なそれを揉んでもイマイチ官能は刺激されない。
(可哀そうに……でも、もう大丈夫よ。あなたはいい子だからもっと気持ちよくなったら、私が御褒美をあげる……だから頑張って……)
「くんっ、うんっ、がんばるぅう、わたしがんばるぅうううううう!」
頑張るといっても触手の動きに合わせて微妙に腰を動かすぐらいしかできないが、それでも快感を貪ろうという意思があるだけで私の頭はもう真っ白になっていた。
(さぁ、くるわよぉ……思いっきりよがりなさい……)
「んあああああああああっ! わたしぃ、わたしぃいいいいいいいいいい!」
触手に何かがたまっている様子が私にも伝わり、それを自らの意思で私は私の中に解き放った。
「はぅうううううんっ! あつい、あつぃいいい! でもぉ、きもちぃいぃいいいいいいいい!」
(ふぁんっ! ……あなたっ、さいこうよぉ……わたしまでこんなにかんじるなんてぇ……ふふっ、ごほうびをあげないとね……)
「やんっ!」
勢いよく私のオマ○コから抜かれた触手が、目の前に上がってくる。私のお汁と、触手から出たらしい緑の液で触手はべとついていた。
(お口を開けて……ああっ、大丈夫よ。これはお尻から出てるけど、もうあなたのお尻からはこの触手しか出てこないわ。今までトイレで出してたもの全部、私がこのいやらしい液体にかえてあげるから……)
ピュッと触手の先から出た緑の液が私の顔にかかり、何とも言えない甘い匂いが私の鼻に入ってくる。……おいしそぅ……。
「わかったぁ……たべるぅ……はむっ」
私はべとべとの触手を自ら動かして口の中に迎え入れた。アマガミしてみると柔らかいお肉のようなその感触と共に、ピリッとした刺激が走った。
「んん~っ、おいひぃくへぇ、きもひぃいいいい……」
口の中で触手を出し入れしてみるとこれもまたオマ○コに入れるときとは違う快感が私を襲った。ほとばしる緑の液も匂いに違わず、舌が蕩けそうなほど甘美な味をしている。
「んんっ、あへぇ……?」
(気付いたかしら……これが私からプレゼント……)
先ほどまでぶかぶかだったワンピースの胸部分が膨らんできている。それだけじゃなくて、なんか体中が熱くて……きもちぃい。
(あなたはこの新しい身体でもっとみんなに笑顔を与えてあげてるの……笑顔、大好きでしょ?)
「うんっ……ぷはっ、わたしぃ、がんばるぅ……」
(えらいえらい……さぁ、今日はそれを咥えながら眠りなさい……あなたの身体を心に相応しいものにしてあげるから……)
「やったぁ……たのしみだなぁ……ありがとうね」
(ふふっ……これから一緒に楽しみましょうね……おやすみなさい、先生)
「おやふみぃ……」
私は触手から流れ出る液体をまるで酸素のように吸いながら深い深い眠りへと入った。
127 快楽処方箋 sage 2009/09/03(木) 22:23:32 ID://OUxv1C
「……んっ……ふぅあ~っ、朝だぁ……きれいだなぁ……」
ベットから起き上がって差し込んだ朝日に私は思わず笑顔がこぼれてしまう。いつもなら幾ら寝ても疲れが取れず、ベットから中々離れられないほど朝は苦手だったけど。
跳ね上がるようにベットから飛び出て改めて感じる。身体がまるで浮いているかのように軽い。軽く飛んでみたら、150cmしかない身長でも軽々と天井に手が届いてしまった。
「あはっ。楽しい。……おおっ!」
そしてそのジャンプにあわせて大きく揺れる胸。まさか下を向いてつま先が胸に隠れるなんて……。
「ちょっと触ってみ……きゃっ! やだっ……これだけでオマ○コ濡れてきちゃう……」
私はワンピースのスカートを捲り上げて秘所をいじくり回す。しっとりと濡れたそこも少し触るだけで、立っていられないほどの衝撃を私にお見舞いしてくる。
その快感に浸ろうとした私の目に目覚まし時計が目に入る。……そうだ、私には大事な患者さんたちがいるんだから、そんなことしてる暇はないや。
まだ鳴っていなかったその目覚まし時計のボタンを押してアラームを切ると、台所に向かっていつもよりかなり多い朝食を用意した。
「あはは……ちょっと作りすぎたかなぁ?」
ご飯、納豆、味噌汁、卵焼き、目玉焼き、インスタントカレー、ハンバーグ、チキン南蛮、ゴーヤチャンプル、そして野菜室の冷蔵庫の野菜を詰め込んだサラダ……と。もう冷蔵庫はスッカラカンだ。
しかしそのせいで出勤時間が間近になってしまった。私はそれらを一気に詰め込む。不思議なことに食べても見た目も中身もあまり膨れない。
「んぐっ……ぷはあっ! さてとお化粧……っていいや! それより着替えないと!」
私は鏡を見て化粧をする意味があまりないように感じ、そのまま箪笥を開け……そして愕然とした。
「よっと! ぎりぎりセーフ!」
私は自らの診察室に駆け込むなりやっと、黒いワンピースを脱ぐことが出来た。
「まさか、家の服が全部着れなくなっちゃうなんて……」
両手に持った紙袋を机の上に置き、とりあえず紺のセーターと黒のタイトスカート、そしてストッキングを穿いて白衣を着てみた。
「おはようございます、先生……あれ……?」
「あ、おはよう、桜ちゃん」
私は壁の鏡から目を離して、部屋に入ってきた後輩のナースに近寄った。彼女は目を丸くして私を見ている。
「えへへ、どうかな?」
腕を組んで胸を持ち上げると、溢れんばかりの胸が彼女の目の前に差し出された。昨日と同じような服を選んだのにこれだけ違うなんて……。
私だってそう驚いているんだから、当然桜さんも声が出ないようで私の胸のふくらみに目を奪われていた。
「……私も……そんなに胸があれば……」
「あれ……どうしたの、桜ちゃん」
不意に涙目になった彼女の肩に手を置いて顔を覗きこむ。いつもなら私と負けないぐらいにおしゃべりで、職場で一番の笑顔を持つ彼女からは想像できないことだ。
「ううっ……彼氏に……フラれちゃいました……お前は、胸がないからって……うああんっ!」
泣き出してしまった彼女を私はゆっくりと優しく抱きしめる。私の豊満な胸に彼女の小さな胸は簡単に押しつぶされてしまう。
私と桜ちゃんは医者と精神科のナースとしての関係以上に、お互いに胸が小さいことで特に仲がよく、励ましあってきた。
「ねぇ、桜ちゃん。あなたの担当は精神科……ここの人たちは笑顔を取り戻すために来るの。あなたがそんな顔をしてたら、患者さんは不安になっちゃう」
桜ちゃんは私の言葉に反応すると、嗚咽を何度か零しながらも涙を拭き取ると、私の顔を見て笑顔を作った。
「だ、大丈夫です! ほらっ、いつもどおり……」
128 快楽処方箋 sage 2009/09/03(木) 22:24:20 ID://OUxv1C
その懸命な努力を見て、私は笑顔のまま首を振るう。違う、これは彼女の本当の笑顔ではない。
「桜ちゃん、まだ診察まで少し時間がある。ちょっとここに横になって」
軽々と彼女をお姫様抱っこして、驚いた表情の彼女をゆっくりと診察台のベットに降ろした。
そのベットの私も腰掛けて、ニコリと笑ったまま彼女の顔へ自らの顔を近づけていく。
「……いい匂い」
「えっ……せ、先輩? 香水なんてつけてませんよ、私」
患者さんのために香水などもちろんつけることを禁止されている。しかし、私が感じているのはそんな匂いじゃない。女の子から自然に発せられる甘いフェロモンだ。それが私の頭を蕩けさせる。
「あ、あの顔が近いんです……先輩」
「ふふっ、人のことは言えないけど、子供みたいな顔……うん、食べちゃおう」
「えっ? んんっ?!」
私は彼女の唇を奪うと、ナース服の上からその貧乳を揉みほぐす。もうすぐこれは、貧乳じゃなくなっちゃうから。
彼女の口内をかき回して、彼女の甘い唾液を受け取る代わりに私の唾液を流し込む。目を見開いて必死に離れようとしているけど、それすら可愛く感じちゃう。
「んんっ……んっ……」
そうしているうちに桜ちゃんの目が悦に入ったような虚ろなものに変わってくる。少しだけ白目をむいているようにも見える。
「んんっ、あっ。……桜ちゃん、次はこっち……」
私は素肌にそのまま着ていたセーターを捲り上げると、たわわに実った片方を彼女の口元に近づけた。
「いい匂い……食べて、いいですかぁ?」
「もちろん。さぁ……たんとお食べ……んっ……」
柔らかな桜ちゃんの小さな舌が私の乳首に当たっただけで、もう私の胸からは緑色の汁が出てくる。私は彼女が咥えていないもう片方を自ら咥えてそれを味わった。
「おいひぃ……ひぇんぱぁい……んんっ……」
上目遣いに私を見てくる彼女が愛おしく、興奮してしまい思わず胸から液が溢れ出てくる。しかし、それでも嬉しそうに彼女はそれを飲んでくれた。
「んんっ……可愛い……ねぇ、桜ちゃん」
「なんれふかぁ? ……んっ」
離す間も私の乳首から口を離さない彼女の無邪気な仕草がまた子供っぽくて愛らしい。
「もぉっと、気持ちいいことしてあげよっか?」
しかし、私がそう言った瞬間にぱっと乳首から口を離して顔を輝かす。ああっ、本当にもうっ……。
「して下さい! お願いします、おねがい~」
胴体に抱きついて私をぐらぐらと揺さぶる。
「はいはい、がっつかない、がっつかない。じゃあ、下着を降ろしてこっちに向けて足を開いて」
私は一人だけベットから降りると彼女にそう指示をした。彼女は従順に素早くそれを脱いでベットにほっぽり出した。
そして私はオマ○コに力を入れて一息に触手をそこから這い出させて、彼女に見せ付けた。
「ふぁ~っ、おっきいぃ! ん……はむっ!」
「あっ! きゃんっ!」
ま、まさかいきなり触手を頬張るとは……何のためにそのピンク色の入り口をこっちに向けてって言ったと思って……でも、きもちぃい……。
129 快楽処方箋 sage 2009/09/03(木) 22:25:27 ID://OUxv1C
桜ちゃんは私の触手をアマガミしたり、舌で転がしたり、口で絞めてきたりと思いのほか多芸を駆使して、私を翻弄する。
「んんんんんっ、もうだめぇえ! いっかいぃ、ださせてぇええええええええ!」
私は桜ちゃんの頭を掴むと乱暴に前後に振り回し、自らの快感を貪った。驚くことにその間も彼女は舌技などを続けていた。
「はぅうううううううう、うけとってぇええええええええ!」
「んんんんんんんんっ、ぷはぁあああああああああんっ!」
おびただしい量の白い液体が彼女の口へと入り込んだが、途中で桜ちゃんは口を離して白地のナース服とその肌に私のが大量に付着した。
「んんんっ、すいません、もったいないことを……」
悪戯がばれた子供のようにシュンと縮こまる桜ちゃんに、私は顔についた白い液体を舐めてニコリと笑いかけた。
「いいからいいから……さっ、今度はこれを直接中に入れてあげるからねぇ……」
すぐに無邪気な笑顔を取り戻した桜ちゃんを、私は軽々と抱き当てると、私を迎え入れるように開いている彼女のオマ○コに触手をあてがった。
「ふあんっ……いれてえぇぇぇ」
足を私の胴体に絡みつかせて彼女は軽く腰を左右に振ってきた。私はその顔をセーターの中に入れてあげて、胸も吸えるようにしてあげる。
「いくわよぉ……くぅ、はぁああああんんっ!」
「あああんっ! あんんんんんんんんっ!」
力を抜いて彼女の腰を少し降ろすだけで一気に触手は奥まで入り込んだ。セーターの中の彼女の頭が挿入の爽快のためか、少し暴れた。
「くふぅんっ……いくわよおぉぉぉぉ……」
私の言葉に、乳首が彼女の口に咥えられる感触を感じ、セーターの中で膨らみが縦に揺れるのを確認し、私は自らの腰を動かし始めた。
「くんっ! あぅ、いっ、きゃんっ!」
くぐもった彼女の喘ぎがセーターの中から聞こえるが、しっかりと胸が吸われている感触も感じる。
「ゆ、ゆるゆるかとおもったらぁ、すごいぃい、しめてるうぅぅぅぅ……」
愛液が床に垂れるほど彼女の中は濡れているため、動くことにはスムーズだけど、子宮を突いた瞬間にしっかりと反応して触手を締めつけてくる。
「んんんんっ、つぎぃ! つぎいくわよぉおおお!」
当初、もっと楽しんでから出そうと思ってたけど……私はお尻からもう一本の触手を出すと、まだまだ余裕のありそうな彼女のオマ○コにぶち込んだ。
「きゃああああああああっ! そんらのはいらなぃいいいいいいいい!」
「はううんんんんんっ! きっつきつぅ……ふふっ、いっちゃぇえええええ!」
「らめえええええええええええええええ! あんっ! やんっ!」
私は二本の触手を交互に出し入れして彼女を一気によがらせる。二つの触手が入っているというのに、彼女の中はヌルリと私を受け入れ、そしてギュッと締めつけてくれる。
「くぅうううううんんっ! ねぇ、だしていい!? だしていい!?」
快感の嵐に頭がおかしくなりそうな私はセーターの中の彼女にせっつく。
すると彼女はそのままセーターの首元を無理矢理広げながら顔を出してきて、私の目の前に火照った顔を出現させると、そのまま唇を重ねてきた。
「んんっ! らひぃへぇええええ! ひぇんふぁいの、くらはぃいいいいいいいいい!」
舌を滑り込ませながら彼女は私に訴えかけてきた。それを見て私もフィナーレへと更に激しく彼女と繋がる。
キツキツのセーターの中で彼女の成長した胸が私のとおしくらまんじゅうをするほど、私は身体を密着させると桜ちゃんに私を放った。
「あんんんんんっ! わらひぃを! うけほっへぇえええええええ!」
「んあああああああああっ! はいっへふるぅうううううううううううううう!」
桜ちゃんの小さな身体に私をドンドンと流し込む。私を受け取るたびに彼女は大きく身体を跳ねさせながら、私を全て受け取ってくれる。
「あんっ、くんっ……せんぱいが、はいってきますぅ……」
「あはっ……いいかおしてるよぉ……さくらちゃぁん……ふふっ」
嘘偽りのない笑顔を浮かべた桜ちゃんを、私はゆっくりと降ろした。あ~あ、買ったばかりのセーターがビロンビロンだぁ……。
130 快楽処方箋 sage 2009/09/03(木) 22:28:15 ID://OUxv1C
私がそれを引っ張りながら苦笑いをすると、目の前の桜ちゃんのナース服の胸元のボタンが3つも一気に吹き飛んだ。
「くすっ……あはははははは!」
思わず私が吹き出すと桜ちゃんも楽しそうに笑い出した。なんて最高な笑顔なんだろう……これをみんなに渡さなきゃ。
「あっ、桜ちゃん! ほら、急いで準備しないと!」
私は壁の時計を指差して彼女に指示をした。彼女は胸元を隠しながらオドオドとしていたので、私は買ったばかりのコートを投げ渡してあげた。
「使って。多分、ナース服はステーションの奥にいくつか予備があるから」
桜ちゃんはそれを聞くと慌しく一礼をして部屋から出て行った。が、顔だけドアから覗かせるとこうつけ加える。
「また後で、可愛がってくださいね?」
悪戯っぽく笑うと彼女は私の返事も聞かずに消えて行った。今頃身体が身軽なことに驚いているだろう。
「さってと……もっとも~っと寄生してみんなに笑顔を配らないと……あはは、楽しみ……」
私はベットリと濡れたベットのシーツを取り替えながら触手を身体の中に戻し、ぶかぶかになったセーターの代わりにブラウスを着て、患者さんを待った。
パソコンが受信音を鳴らし、早速本日最初のカルテが届いた。高校2年生の女の子かぁ。えっと……同級生による苛めの疑い……可哀そうに……。
「次の方、どうぞ」
私は簡単にカルテに目を通すとマイク越しに言った。ゆっくりとドアを開けて入ってきたのは、紺のブレザーを着た可愛らしい女の子だ。
「……ぃ……ます」
小さく頭を下げた彼女はこちらを見ようとはせず、しきりに眼鏡を掛けなおしては回りをちらちらと見ている。
「はい、どうぞ座って」
私は対面の椅子を示して、いつものように笑顔で接する。彼女はおどおどとした仕草で椅子に座りかけてくれた。
「さて……秋月 ひとみさん……今日はありがとうね」
「えっ?」
「病院に来てくれて。ほら、ここって人が多いし、精神科に来てくれるだけでも勇気のいることだよ」
精神科……特に若い女の人がその待合室で待っていると、よく他の患者さんは白い目でちらりと見てくると言う。時には受付をしたのに耐え切れずに帰ってしまう人もいる。
「珈琲、紅茶、ジュースもあるけど、何を飲みたい?」
「あっ……じゃ、……紅茶を」
「はいはい。牛乳とかはいれて大丈夫かな?」
私の言葉に小さく頷くひとみさんを確認し、私はいつものように紅茶と珈琲を用意し始めた。
「……私……本が好きで……人と話すのは苦手で……根暗、って……」
突然、ひとみさんが言葉を紡ぎ始め、私は用意する手を休めて彼女の前の椅子に戻った。俯いたまま彼女は続ける。
「教科書無くなる位だったら……でも、屋上でずっと……殴られたり……蹴られたりして……」
私はそこまで言ってくれた彼女の口の前に人差し指を出して、それ以上の言葉を止めてあげた。なんて勇気のある子だろう。
「……ありがとう。すごいよ……私よりず~っと偉い」
顔をあげて私を見るひとみさん。レンズ越しの目に涙がたまってくると、同時に嗚咽がこぼれ始めた。
その頭をゆっくりと胸に抱きいれてあげる。それが彼女の涙のダムの決壊原因となって一気に彼女は泣き始めた。
眼鏡をゆっくりと取ってあげると純粋そうな目をしていて、涙なんかより笑顔の方がよっぽど似合いそうな顔をしている。
黒いボブカットのショートヘアーを撫でつけてあげると、私や桜ちゃんよりも無垢であどけないまさしく女の子の匂いがした。……たまらない。
131 快楽処方箋 sage 2009/09/03(木) 22:28:47 ID://OUxv1C
私は右手でカルテを書き上げると、ひとみさんの顔をゆっくりと離し、その小さな唇に私のそれを重ねた。
「んんっ……んっ? ……んんっ」
驚いたのはひとみさんが拒むことも大して驚くこともなく私を受け入れたからではなく、なんと私の口内に自ら舌をもぐりこませてきたからだ。
しかし彼女の涙は止まるどころかさらに流れ出てきた。彼女の舌も、私をまるで離さないようにと絡み付いてくる。……本当に寂しく、そして悲しかったのだろう。
私はその涙を指で拭き取って彼女の笑いかけてあげる。すると彼女も頬を緩ませて私を強く抱きしめ、その舌の動きも激しく私を求めて動き回っている。
「んんん……んんあっ……きもちいい?」
「あんっ……もっとぉ……もっとぉ……」
その無垢な目をした彼女のだだに、私はベットへと彼女を案内した。
「ふふっ、じゃあ服を脱い、きゃんっ!」
しかしひとみさんは意外な力で私を押し倒すと、その上に強引に被さって来て、唇を弄りながら私の自らの服をはだけさせていく。
「んんんんっ……ひぃかはぁない子……んんっ」
私もそれを手伝いながら膣とお尻から触手を出して準備を整える。その途中、まるで玩具を見つけた子供のように私の胸を今度はひとみさんはしゃぶる。
「ふふっ……いくわよぉ……」
「はぅんっ、くはぅ、まへなぃいいいい!」
荒々しく乳首をしゃぶっていたと思ったら、彼女は私の触手を自らの中に収め始めた。挿入される快感に耐えようと、私の乳首を強めに噛んで来る。
「せん、せぃああぁぁぁ、ひろへてえぇぇぇ、はいっへきゅるぅううううううううう!」
「くぁあああああああ! ぎちぎちいぃいいいいいいいい!」
私はそのういういしくて締りの強い中を強引に掻き分けると、処女喪失の痛みが安らぐようにと乳首から大量の緑の蜜を彼女に注ぎ込む。
「はうあぁぁ……ひ、ひとみさぁん、だい、じょうぶ?」
「ふあぁぁぁぁ……きもひいぃぃよおぉぉぉ……」
私のそんな心配をよそに彼女の顔は悦に入った笑顔で埋め尽くされていた。私もキツキツの彼女のお尻と中から侵入した触手の快感ですぐに絶頂に達してしまいそうだ。
「くっ、あっ、いっ、あぅ!」
「ひとみさんんっ、いい! いいよぉおおおおおお!」
腰の上下運動を自ら彼女が繰り返し、私もそれに合わせてお尻の触手を出し入れする。入りきった瞬間に乳首をきゅっと噛んで来る辺りがたまならく可愛らしい。
「ひゃうっ! もうらめぇっ! だす! だす! ひとみさんにだすぅううううううう!」
「くらはぃいいいいい! わはひぃにぃ、せんせいをくらはぃいいいいいいい!」
「いいわぁああああああああ! わたしをあげるぅうううううううううう!」
「んあぁああああああああああぅっ! もちぃいいのがきゅるぅうううううううううううう!」
私は彼女の足を掴むと彼女のお尻と中に私を送り込んだ。
「んんんっ、んんんんんっ」
彼女の中が私で満たされるまで私は彼女を離さず送り込み、そしてそれは終わった。
「はぅ……うん、いい笑顔してる」
「くうんっ……せんせー、もっとちょうだぁい……」
私を見上げるひとみさんのその頭を撫でながら私は彼女にお願いをする。
「ひとみさん、多分あなたを苛めた人も本当の笑顔を知らないんだと思う。……今のあなたなら教えてあげられるよね?」
ひとみさんは少しだけ悩むような顔を見せた後、すぐに満面の笑みで答える。
「はい! その人たちに笑顔をあげてきます!」
ひとみさんは顔をわずかにしかめると、ういういしいオマ○コから私と同じぐらい立派な触手を出してきて、その先っぽに唇をつけた。
「ふふっ、ありがとう」
ひとみさんはすぐさま立ち上がると制服を着なおしていくが、ワイシャツはもうボタンが閉まらないらしく、私はとりあえずブラウスをプレゼントした。
「先生、また今度来てもいいですか?」
「もちろん、待ってるよ」
笑顔で一礼すると彼女は胸がきつきつのブレザーのボタンを結局閉めずに病室を元気に飛び出して行った。そして眼鏡も忘れていった。まぁ、視力ももう問題ないだろうけど。
私はそれを引き出しにしまいながらカルテを打ち込み、そしてマイクのボタンを押した。
「次の方、どうぞ」
(終)
132 快楽処方箋@あとがき sage 2009/09/03(木) 22:38:08 ID://OUxv1C
120氏と被ってしまいました。申し訳ないです。
さて、何度も言う様にこれは「悪堕ち」を狙って書いたんだ……でもさ。
これって「悪堕ち」じゃないよね?(;´・ω・`)
117氏……ご期待にそえず面目ない!
「次の方、どうぞ」
私は今日も治療に励む。それは患者の笑顔を見るのが大好きだから。特に私が担当している精神科は笑顔を患者さんに与える場所だと私は思っている。
でも、精神科に初めて来た人にはほぼ笑顔と言うものは見られない。というより、笑顔で病院に来る人もあまりいないのだけど。
けど、その人たちが病院から帰るときにわずかにでも笑顔を見せてくれれば、それだけで私にも笑顔が溢れてくる。
そしてまた今日も誰かが私の元を訪ねてきてくれた。その笑顔を求めて来てくれた人のために、今日も私は頑張るのだ。
……けれど、その日最後にやってきたその女性は、始めから笑顔を携えていた。それも何て言うか……艶やかでとても何か不安を抱えているようには思えないような笑顔を。
「市原 夢魅さん、ですね。今日はどうされましたか?」
私はいつものようにドアの鍵をボタンで閉めた。外部の人間と接触を怖がる人も多いからだ。こうすればナースと言えど入ってくることは出来ない。
「ふふっ……あなたが有名な『笑顔のドクター』ね」
「え、ええ。まぁ、名前だけ先走ってる感じがしますけどね」
市原さんは微笑みのような笑顔を絶やさずに聞いてくる。『笑顔のドクター』かぁ……改めて言われると恥ずかしいなぁ、なんか。
「名医って言う噂だけど……、そんなあなたでもないかしら? 自分の力不足を感じること……」
前かがみになって私に顔を近づけながら市原さんが問いかけてくる。私にはない大人の魅力を持った女性。私は正反対に子供っぽく、医者らしくないとよく言われる。
しかし、彼女が言った言葉……それは私がこの1年、精神科医をしてきて感じている大きな壁だった。
「……患者さんにこんなことを言うのは申し訳ないですが……力不足を感じることはいつもあります」
例えば麻薬中毒者。彼らがここに来るときも笑顔を浮かべている。しかし私はそれを笑いとは認めない。あの笑いは苦痛の叫びなのだ。私が最も憎むべき病がそれだ。
しかし……そうした人たちに私が出来ることは数少ないし、なんとか彼らが本当の笑顔を取り戻した後、再び手を染めてしまうこともとても多い。
その他にだって強姦された人、愛する人たちを失ってしまった人、いじめなどの苦痛に耐え忍んできた人……特に私と同性の人たちの患者が多いが、彼女ら全てを癒してあげらえることはまず不可能だ。
「ですが、私は諦めません。無責任かもしれませんが、もし諦めたら100人中1人も助からない。でも、諦めなければそのうちの1人でも助けられるかもしれないからです」
「流石ねぇ……純粋だわ。その白衣みたいにあなたの心も真っ白ね。でも……そんな綺麗な身体を持て余すのはちょっと勿体無くないかしら?」
「……は、い?」
思わず私は何の話をしていたのかをすっかりと忘れてしまった。それに……私の身体が綺麗って、そんなこと急に言われても意味が……。
そんな風に頭が真っ白になっていたとき、突然私は後ろから羽交い絞めにされた。
「きゃあっ! な、何?!」
気付けば目の前にいた筈の市原さんの姿が無い。辺りを見回そうとすると、首筋に暖かい息が掛けられた。
「ふふっ……力を抜いて……私があなたに力をあげるわ……ふふっ」
「やめて下さい! はな、して!」
123 快楽処方箋 sage 2009/09/03(木) 22:19:44 ID://OUxv1C
同じ女性とは思えないほどの力で私を拘束していて、上半身はほとんど動かない。下半身は動きそうだけれど……さすがに蹴りを入れるのは失礼すぎる。それに冗談のつもりだったら、相手は深く傷ついてしまう。
「い、市原さん。落ち着いてください。あなたの抱える病を私に話してください」
抵抗するのをやめて私は背後の彼女に話しかける。そうだ、彼女は患者なのだ。その傷が彼女を追い込んでいるのだ。落ち着け、落ち着け、私!
「病ねぇ……欲求不満ね」
「なっ!?」
私の手を自由にすると、今度は私の腰に抱きつき、そのまま部屋の脇のベッドに私を押し倒してきた。その上に黒いワンピースを着た市原さんが静かな微笑みで乗っかってくる。
頭の中で必死に相手を落ち着かせる方法を考ようとするが、頭がパニック状態で何も思い浮かばない。ただただ目の前の光景に唖然とするばかりだ。
「いいわ、その顔……可愛いくて、興奮しちゃう」
「そ、そんな市原さ、んんんっ?!」
真っ赤なルージュの柔らかな唇が私の唇に重なる。同時に私とは対照的な彼女の胸と、理想的な肉付きのお腹が擦れる。
私は反射的に口を閉じようとしたが、その瞬間彼女の舌の感触を僅かに感じて躊躇すると、一気に彼女の舌が私に侵入してきた。
「んんっ! んんんんんんっ!」
激しく私の口の中を動きながら、私が白衣の下に着ていた赤いブラウスをビリビリと荒々しく破り捨て、露になった私の胸のピンクのブラの真ん中を長い爪で切ってしまった。
「ぷはっ、やめてぇ! いやぁあああああっ!」
「ふふふ、もうこんなもの要らないわ……」
口についた私の唾液を妖しくすすりながら、自らのワンピースを横に脱ぎ捨てた。それだけで彼女は一糸纏わぬ姿になる。ブラどころかパンツまで穿いてないなんて……。
そして私のスネの上移動すると、私の黒のタイトスカートをあっさりと破り捨てて、黒のタイツとパンツは一気に太もまで下ろされ、私も抵抗むなしく裸に白衣という姿にされてしまった。
「もうやめてぇ……何がしたいんですかぁ……?」
「ふふっ、だから私がしたいわけじゃなてあなたにして欲しいの……まぁ、楽しみたいのよ……私もね」
だめだ……まったくもって話になってない。欲求不満ならあなたのその豊満な胸と妖しく大人っぽい顔なら男の人に困らないとはずなのに……。
「はぁんっ……もう我慢できないわぁ……」
私の上で股を弄くり始めた彼女に私が何を言えばいいのだろう……まぁ男に襲われてるわけじゃないし……このまま暫く放っておけば落ち着いてくれるかなぁ……。
もう、そう割り切ることにした私は光悦な表情で自慰行為を始めた彼女を黙ってみていた。それにしても……大きな胸だなぁ……動くたびにあんなに揺れてる……いいなぁ……。
「だめっ、だめっ! もう溶けるぅうううううう!」
「……えっ?」
その時、私の身体に乗っている市原さんの姿が……溶け始めた。白かった素肌が、黒い液体へと変貌を始めている。
「きゃ、きゃああああああああああ!」
私はベットから転がり落ちてでも逃げようと暴れだしたが、黒い液体はその見た目からはありえない重さで私の上で束縛し続ける。
「ひぁああああああああああ!」
膣に冷たい感触を感じて上半身を持ち上げるとその液体が勢いよくそこから浸入してきている。そしてそのお腹の上の大量の液体は私の顔にも這いずるように近づいてくる。
124 快楽処方箋 sage 2009/09/03(木) 22:21:17 ID://OUxv1C
とっさに口を閉じて片手で鼻も閉じた。お腹のへその辺りからも何かが入ってくる感覚を感じたが、それよりも顔にせまるその液体のほうが恐怖を私に与えていた。
液体は私の顔の手前で数秒だけ止まると、なんと腕を素早く伝って指の先から耳の奥へと浸入を始めたのだ。
それに驚いて思わず口を開いてしまったが最後、そこからも浸入を許し、手で口を塞ごうとすれば鼻からも浸入を開始された。
液体が入ってくるたびに頭が揺さぶられ、真っ白な意識でただただ液体にされるがままになった私は、浸入のなんともいえない感覚を受け続けることになった。
「くぅ、あっ……」
その全ての液体が私の中に浸入し、私は久しぶりに空気を吸った。しかし、口や鼻から浸入されている間にも息苦しさは感じなかった。
「なっ……なん……」
人間一人分の液体が身体に入っていったにも関わらず身体は重くなく、むしろ今日の仕事の疲れが消えた感じさえする。ただ、頭だけは状況が飲み込めずに真っ白なままだ。
震えた身体をなんとか起き上がらせる。白衣の中に包まれている私の肢体には先ほどの黒い液体の姿は無いけど、触ってみると粘液のようなべたべたとした体液がべったりとついていた。
そしてベットから足を下ろすと先ほど市原さんが着ていた黒いワンピースと、彼女の黒いハイヒールが落ちていて、私に先ほどの行為が夢ではなかったことを認識させた。
「……なによぉ……なんなのよぉ!」
そう叫んでも部屋にいるのは私だけで、誰も答えてなどくれるはずもなかった。
「ううっ……ううっ……」
私は家に帰るなり、雷鳴以外の光がない暗闇の中、自らの家のベットの上で黒いワンピースを纏った身体を抱きしめた。
あれから着る物がなくなり仕方なくこれを着て帰っては来たが、家についた瞬間に静まっていた理不尽さが再び私の頭を混乱させた。おそらく家に帰って安心できたせいもあると思うけど……。
一体、何が私の中に入ってきたのだろうか? レントゲンやCTで調べようかとも思ったけど……その勇気は私にはなかった。だから私は別の決意をして病院から家まで帰ってきたのだ。
私はベットの横においてある包丁を見る。……これから何か私に起きればこれを使うつもりだ。
考えすぎかもしれないけど……もし何か人に……患者さんに危害を加えるものを私が持っているのだとしたら、それを広げるわけにいかないから……。
カルテなどの診療以外の仕事はしないで帰ってきたから家に着いたのは8時過ぎで、今はもう12時過ぎを回っている。
「このまま何も起こらないで……お願い……」
私は膝小僧に額を載せて祈った。もう一度……昇ってくる朝日を拝み、そして……また患者さんに笑顔をもたらせる大好きな仕事を続けられるように。
(ふふっ……元気ないわねぇ、笑顔のドクターさん?)
「ひゃっ!」
身体の内側から聞こえてくる声に私は思わず驚きの声をあげた。しかしそれは聞き覚えのある声で……もう二度と聞きたくない声でもあった。
「あなたは……市原さんですね?」
(まぁ、それはもちろん適当な名前……それに、もうそんなことはどうだっていいじゃない。私はあなた……あなたは、私なんだから)
「何を勝手なことを……」
私は拳を握り締めながら自分の身体に言い放つ。しかし……そんな個人的な怒りは後だ。もっと聞かなきゃいけないことがある。
「一体、あなたは何をしたいんですか? いえ……あなたは何者なの?」
(う~ん、そうねぇ……早い話が寄生生物ってことかしらね。目的は女の子に私の子供を産み付けて快楽を貪ることかしら)
「っ! ……つまり、私の患者さんにもあなたは手を出すつもりなんですね?」
(もちろん。あなたのところには比較的若い女性が集まるし、それに……快楽を与えれば彼女たちにも笑顔が浮かぶ。それはあなたの目的と一致するんじゃないかと思ってね)
「ふざけないで! 患者さんの心の傷を何だと思っているの!? 甘く見ないで!」
125 快楽処方箋 sage 2009/09/03(木) 22:22:17 ID://OUxv1C
思わず私はベットを拳で叩きつけ、そのまま包丁を掴むと自らの首のすぐ横まで持ってきた。
(あらあら、死ぬつもり? どうしてかしら?)
「私の患者さんには絶対に出だしはさせない! そんなことさせるぐらいなら、死んでやる!」
しかし……包丁の刃を喉元まで数センチのところまで近づけても、寄生生物はいたって冷静なままだった。
(なら、そうすればいいわ……ふふっ)
その態度に歯軋りをして包丁を近づかせる……もう刃の部分は私には見えないほど近くにある。時折落ちる雷が妖しく包丁を照らし出す。
(ほらっ、早くしなさいよ……あなたの血もさぞ綺麗なんでしょね……楽しみだわ)
「くうぅぅ、くっそぉおおおおおお!」
その挑発に私は包丁を握る手に一層力を込め、雷鳴が落ちた瞬間その包丁を……
……首から離すと、ベットの横に落とした。……手が滑ったわけではない。
「やだよぉ……死にたくないよぉ……ううっ、あああああああああ!」
私は膝を抱えて泣き出した。何で私が……ただ私は医者として人に笑顔を与えたかっただけなのに……なんでこんなことに……。
(落ち着いて……大丈夫、死ぬことなんてないわ)
「うる、さい……」
(ふふっ……しょうがないわねぇ……)
勝手なことを喋りつづける寄生生物にやり切れないほどの怒りが湧き上がったが……今の私にどうする手段もない。患者のために命を捨てられない私に……。
「あっ……ひんっ……お、しりがぁぁああ……」
お尻に力も入れていないのに何かが肛門から近づいて来る感覚が私を襲った。
「ひあんっ! でるぅう、なにかぁでてくるぅうううううう!」
ベットに倒れこみ、お尻を突き出すようにしてその衝撃に私は耐えた。出てきた何かがワンピースのスカートに当たり、そのまま私の前まで出てきた。
(可愛いでしょ、これ……もうあなたのものなのよ?)
「や、やだああぁぁ……やだぁあああああああああ!」
私は後ずさりしてそれか遠のこうとするが、離れない。当たり前だ、私のお尻から出てるのだから……この太くて大きな触手は。
……けど、それだけじゃない。後ずさりしてその触手が地面に当たるたびにその感覚が私にも感じられる。つまり……この触手はやはり私のものなのだろう。
(驚いて当たり前ね、いきなりこんなの出されちゃったら。……けど、これはあなたを快楽へと導いてくれるわ。そんなに恐れないで……)
声も出ない私はその触手に向かってただ首を振るばかりだ。こんなものが私を快楽になど導けるはずがない! そう言いたかった。
触手はゆらゆらと私の顔の前で揺れている……と、思った次の瞬間、私の視界からそれは消え……思わぬところから刺激が飛んできた。
「なっ、ああああああああんっ!」
刺激が飛んできた場所……私のオマ○コに目をやるとそこに向かって触手が突き刺さり、そしてよく見れば奥へと入ろうとしていた。
「ふあぁああああんっ! やめてぇえええええええええ!」
私は反射的にその触手を掴んでその動きを止めようとする。しかしその触手はまるでウナギの体表のようにヌルヌルとしていて、私の手をすり抜けて侵入してくる。
「やあっ、めぇっ、こわれぇぅううううううううう!」
子宮のあたりにまで届いたかと思えばいきなり逆流し、そしてまた突き戻ってくる。触手が私のお尻を擦れるたびに刺激し、更には触手が味わっている私の身体の中の感覚までもが頭に送られてくる。
126 快楽処方箋 sage 2009/09/03(木) 22:22:41 ID://OUxv1C
(ふふっ……快感に頭がおかしくなっちゃいそうでしょ? それでいいのよ……もっと喘ぎなさい……もっと、もぉっと、ね……ふふっ)
「ひああああああああああんっ!」
外の雷鳴が私の行為と同じように激しく鳴り響くなか、それと呼応するように私の行為も激しくなっていき……そして何かが変わり始めてしまった。
「ふあんっ、そこぉおおおおお……いいのぉ……もっと、もっとぉおおおおおお!」
(ほぉら……あなたいい笑顔になってきたぁ……分かるでしょう、自分でも)
「くふんっ! うんっ、わっ、かるぅううう! きもちよくてぇえええ、さいこぉおおおおおお!」
これまでこんなに笑ったことはあっただろうか? だめだ、笑いが止まらないや。だって気持ちいいんだもん。
私はもっとその気持ちよさを手に入れようと自らの胸を揉む。しかし、先ほどの市原さんのたわわな胸を見てしまった後では自らの品疎なそれを揉んでもイマイチ官能は刺激されない。
(可哀そうに……でも、もう大丈夫よ。あなたはいい子だからもっと気持ちよくなったら、私が御褒美をあげる……だから頑張って……)
「くんっ、うんっ、がんばるぅう、わたしがんばるぅうううううう!」
頑張るといっても触手の動きに合わせて微妙に腰を動かすぐらいしかできないが、それでも快感を貪ろうという意思があるだけで私の頭はもう真っ白になっていた。
(さぁ、くるわよぉ……思いっきりよがりなさい……)
「んあああああああああっ! わたしぃ、わたしぃいいいいいいいいいい!」
触手に何かがたまっている様子が私にも伝わり、それを自らの意思で私は私の中に解き放った。
「はぅうううううんっ! あつい、あつぃいいい! でもぉ、きもちぃいぃいいいいいいいい!」
(ふぁんっ! ……あなたっ、さいこうよぉ……わたしまでこんなにかんじるなんてぇ……ふふっ、ごほうびをあげないとね……)
「やんっ!」
勢いよく私のオマ○コから抜かれた触手が、目の前に上がってくる。私のお汁と、触手から出たらしい緑の液で触手はべとついていた。
(お口を開けて……ああっ、大丈夫よ。これはお尻から出てるけど、もうあなたのお尻からはこの触手しか出てこないわ。今までトイレで出してたもの全部、私がこのいやらしい液体にかえてあげるから……)
ピュッと触手の先から出た緑の液が私の顔にかかり、何とも言えない甘い匂いが私の鼻に入ってくる。……おいしそぅ……。
「わかったぁ……たべるぅ……はむっ」
私はべとべとの触手を自ら動かして口の中に迎え入れた。アマガミしてみると柔らかいお肉のようなその感触と共に、ピリッとした刺激が走った。
「んん~っ、おいひぃくへぇ、きもひぃいいいい……」
口の中で触手を出し入れしてみるとこれもまたオマ○コに入れるときとは違う快感が私を襲った。ほとばしる緑の液も匂いに違わず、舌が蕩けそうなほど甘美な味をしている。
「んんっ、あへぇ……?」
(気付いたかしら……これが私からプレゼント……)
先ほどまでぶかぶかだったワンピースの胸部分が膨らんできている。それだけじゃなくて、なんか体中が熱くて……きもちぃい。
(あなたはこの新しい身体でもっとみんなに笑顔を与えてあげてるの……笑顔、大好きでしょ?)
「うんっ……ぷはっ、わたしぃ、がんばるぅ……」
(えらいえらい……さぁ、今日はそれを咥えながら眠りなさい……あなたの身体を心に相応しいものにしてあげるから……)
「やったぁ……たのしみだなぁ……ありがとうね」
(ふふっ……これから一緒に楽しみましょうね……おやすみなさい、先生)
「おやふみぃ……」
私は触手から流れ出る液体をまるで酸素のように吸いながら深い深い眠りへと入った。
127 快楽処方箋 sage 2009/09/03(木) 22:23:32 ID://OUxv1C
「……んっ……ふぅあ~っ、朝だぁ……きれいだなぁ……」
ベットから起き上がって差し込んだ朝日に私は思わず笑顔がこぼれてしまう。いつもなら幾ら寝ても疲れが取れず、ベットから中々離れられないほど朝は苦手だったけど。
跳ね上がるようにベットから飛び出て改めて感じる。身体がまるで浮いているかのように軽い。軽く飛んでみたら、150cmしかない身長でも軽々と天井に手が届いてしまった。
「あはっ。楽しい。……おおっ!」
そしてそのジャンプにあわせて大きく揺れる胸。まさか下を向いてつま先が胸に隠れるなんて……。
「ちょっと触ってみ……きゃっ! やだっ……これだけでオマ○コ濡れてきちゃう……」
私はワンピースのスカートを捲り上げて秘所をいじくり回す。しっとりと濡れたそこも少し触るだけで、立っていられないほどの衝撃を私にお見舞いしてくる。
その快感に浸ろうとした私の目に目覚まし時計が目に入る。……そうだ、私には大事な患者さんたちがいるんだから、そんなことしてる暇はないや。
まだ鳴っていなかったその目覚まし時計のボタンを押してアラームを切ると、台所に向かっていつもよりかなり多い朝食を用意した。
「あはは……ちょっと作りすぎたかなぁ?」
ご飯、納豆、味噌汁、卵焼き、目玉焼き、インスタントカレー、ハンバーグ、チキン南蛮、ゴーヤチャンプル、そして野菜室の冷蔵庫の野菜を詰め込んだサラダ……と。もう冷蔵庫はスッカラカンだ。
しかしそのせいで出勤時間が間近になってしまった。私はそれらを一気に詰め込む。不思議なことに食べても見た目も中身もあまり膨れない。
「んぐっ……ぷはあっ! さてとお化粧……っていいや! それより着替えないと!」
私は鏡を見て化粧をする意味があまりないように感じ、そのまま箪笥を開け……そして愕然とした。
「よっと! ぎりぎりセーフ!」
私は自らの診察室に駆け込むなりやっと、黒いワンピースを脱ぐことが出来た。
「まさか、家の服が全部着れなくなっちゃうなんて……」
両手に持った紙袋を机の上に置き、とりあえず紺のセーターと黒のタイトスカート、そしてストッキングを穿いて白衣を着てみた。
「おはようございます、先生……あれ……?」
「あ、おはよう、桜ちゃん」
私は壁の鏡から目を離して、部屋に入ってきた後輩のナースに近寄った。彼女は目を丸くして私を見ている。
「えへへ、どうかな?」
腕を組んで胸を持ち上げると、溢れんばかりの胸が彼女の目の前に差し出された。昨日と同じような服を選んだのにこれだけ違うなんて……。
私だってそう驚いているんだから、当然桜さんも声が出ないようで私の胸のふくらみに目を奪われていた。
「……私も……そんなに胸があれば……」
「あれ……どうしたの、桜ちゃん」
不意に涙目になった彼女の肩に手を置いて顔を覗きこむ。いつもなら私と負けないぐらいにおしゃべりで、職場で一番の笑顔を持つ彼女からは想像できないことだ。
「ううっ……彼氏に……フラれちゃいました……お前は、胸がないからって……うああんっ!」
泣き出してしまった彼女を私はゆっくりと優しく抱きしめる。私の豊満な胸に彼女の小さな胸は簡単に押しつぶされてしまう。
私と桜ちゃんは医者と精神科のナースとしての関係以上に、お互いに胸が小さいことで特に仲がよく、励ましあってきた。
「ねぇ、桜ちゃん。あなたの担当は精神科……ここの人たちは笑顔を取り戻すために来るの。あなたがそんな顔をしてたら、患者さんは不安になっちゃう」
桜ちゃんは私の言葉に反応すると、嗚咽を何度か零しながらも涙を拭き取ると、私の顔を見て笑顔を作った。
「だ、大丈夫です! ほらっ、いつもどおり……」
128 快楽処方箋 sage 2009/09/03(木) 22:24:20 ID://OUxv1C
その懸命な努力を見て、私は笑顔のまま首を振るう。違う、これは彼女の本当の笑顔ではない。
「桜ちゃん、まだ診察まで少し時間がある。ちょっとここに横になって」
軽々と彼女をお姫様抱っこして、驚いた表情の彼女をゆっくりと診察台のベットに降ろした。
そのベットの私も腰掛けて、ニコリと笑ったまま彼女の顔へ自らの顔を近づけていく。
「……いい匂い」
「えっ……せ、先輩? 香水なんてつけてませんよ、私」
患者さんのために香水などもちろんつけることを禁止されている。しかし、私が感じているのはそんな匂いじゃない。女の子から自然に発せられる甘いフェロモンだ。それが私の頭を蕩けさせる。
「あ、あの顔が近いんです……先輩」
「ふふっ、人のことは言えないけど、子供みたいな顔……うん、食べちゃおう」
「えっ? んんっ?!」
私は彼女の唇を奪うと、ナース服の上からその貧乳を揉みほぐす。もうすぐこれは、貧乳じゃなくなっちゃうから。
彼女の口内をかき回して、彼女の甘い唾液を受け取る代わりに私の唾液を流し込む。目を見開いて必死に離れようとしているけど、それすら可愛く感じちゃう。
「んんっ……んっ……」
そうしているうちに桜ちゃんの目が悦に入ったような虚ろなものに変わってくる。少しだけ白目をむいているようにも見える。
「んんっ、あっ。……桜ちゃん、次はこっち……」
私は素肌にそのまま着ていたセーターを捲り上げると、たわわに実った片方を彼女の口元に近づけた。
「いい匂い……食べて、いいですかぁ?」
「もちろん。さぁ……たんとお食べ……んっ……」
柔らかな桜ちゃんの小さな舌が私の乳首に当たっただけで、もう私の胸からは緑色の汁が出てくる。私は彼女が咥えていないもう片方を自ら咥えてそれを味わった。
「おいひぃ……ひぇんぱぁい……んんっ……」
上目遣いに私を見てくる彼女が愛おしく、興奮してしまい思わず胸から液が溢れ出てくる。しかし、それでも嬉しそうに彼女はそれを飲んでくれた。
「んんっ……可愛い……ねぇ、桜ちゃん」
「なんれふかぁ? ……んっ」
離す間も私の乳首から口を離さない彼女の無邪気な仕草がまた子供っぽくて愛らしい。
「もぉっと、気持ちいいことしてあげよっか?」
しかし、私がそう言った瞬間にぱっと乳首から口を離して顔を輝かす。ああっ、本当にもうっ……。
「して下さい! お願いします、おねがい~」
胴体に抱きついて私をぐらぐらと揺さぶる。
「はいはい、がっつかない、がっつかない。じゃあ、下着を降ろしてこっちに向けて足を開いて」
私は一人だけベットから降りると彼女にそう指示をした。彼女は従順に素早くそれを脱いでベットにほっぽり出した。
そして私はオマ○コに力を入れて一息に触手をそこから這い出させて、彼女に見せ付けた。
「ふぁ~っ、おっきいぃ! ん……はむっ!」
「あっ! きゃんっ!」
ま、まさかいきなり触手を頬張るとは……何のためにそのピンク色の入り口をこっちに向けてって言ったと思って……でも、きもちぃい……。
129 快楽処方箋 sage 2009/09/03(木) 22:25:27 ID://OUxv1C
桜ちゃんは私の触手をアマガミしたり、舌で転がしたり、口で絞めてきたりと思いのほか多芸を駆使して、私を翻弄する。
「んんんんんっ、もうだめぇえ! いっかいぃ、ださせてぇええええええええ!」
私は桜ちゃんの頭を掴むと乱暴に前後に振り回し、自らの快感を貪った。驚くことにその間も彼女は舌技などを続けていた。
「はぅうううううううう、うけとってぇええええええええ!」
「んんんんんんんんっ、ぷはぁあああああああああんっ!」
おびただしい量の白い液体が彼女の口へと入り込んだが、途中で桜ちゃんは口を離して白地のナース服とその肌に私のが大量に付着した。
「んんんっ、すいません、もったいないことを……」
悪戯がばれた子供のようにシュンと縮こまる桜ちゃんに、私は顔についた白い液体を舐めてニコリと笑いかけた。
「いいからいいから……さっ、今度はこれを直接中に入れてあげるからねぇ……」
すぐに無邪気な笑顔を取り戻した桜ちゃんを、私は軽々と抱き当てると、私を迎え入れるように開いている彼女のオマ○コに触手をあてがった。
「ふあんっ……いれてえぇぇぇ」
足を私の胴体に絡みつかせて彼女は軽く腰を左右に振ってきた。私はその顔をセーターの中に入れてあげて、胸も吸えるようにしてあげる。
「いくわよぉ……くぅ、はぁああああんんっ!」
「あああんっ! あんんんんんんんんっ!」
力を抜いて彼女の腰を少し降ろすだけで一気に触手は奥まで入り込んだ。セーターの中の彼女の頭が挿入の爽快のためか、少し暴れた。
「くふぅんっ……いくわよおぉぉぉぉ……」
私の言葉に、乳首が彼女の口に咥えられる感触を感じ、セーターの中で膨らみが縦に揺れるのを確認し、私は自らの腰を動かし始めた。
「くんっ! あぅ、いっ、きゃんっ!」
くぐもった彼女の喘ぎがセーターの中から聞こえるが、しっかりと胸が吸われている感触も感じる。
「ゆ、ゆるゆるかとおもったらぁ、すごいぃい、しめてるうぅぅぅぅ……」
愛液が床に垂れるほど彼女の中は濡れているため、動くことにはスムーズだけど、子宮を突いた瞬間にしっかりと反応して触手を締めつけてくる。
「んんんんっ、つぎぃ! つぎいくわよぉおおお!」
当初、もっと楽しんでから出そうと思ってたけど……私はお尻からもう一本の触手を出すと、まだまだ余裕のありそうな彼女のオマ○コにぶち込んだ。
「きゃああああああああっ! そんらのはいらなぃいいいいいいいい!」
「はううんんんんんっ! きっつきつぅ……ふふっ、いっちゃぇえええええ!」
「らめえええええええええええええええ! あんっ! やんっ!」
私は二本の触手を交互に出し入れして彼女を一気によがらせる。二つの触手が入っているというのに、彼女の中はヌルリと私を受け入れ、そしてギュッと締めつけてくれる。
「くぅうううううんんっ! ねぇ、だしていい!? だしていい!?」
快感の嵐に頭がおかしくなりそうな私はセーターの中の彼女にせっつく。
すると彼女はそのままセーターの首元を無理矢理広げながら顔を出してきて、私の目の前に火照った顔を出現させると、そのまま唇を重ねてきた。
「んんっ! らひぃへぇええええ! ひぇんふぁいの、くらはぃいいいいいいいいい!」
舌を滑り込ませながら彼女は私に訴えかけてきた。それを見て私もフィナーレへと更に激しく彼女と繋がる。
キツキツのセーターの中で彼女の成長した胸が私のとおしくらまんじゅうをするほど、私は身体を密着させると桜ちゃんに私を放った。
「あんんんんんっ! わらひぃを! うけほっへぇえええええええ!」
「んあああああああああっ! はいっへふるぅうううううううううううううう!」
桜ちゃんの小さな身体に私をドンドンと流し込む。私を受け取るたびに彼女は大きく身体を跳ねさせながら、私を全て受け取ってくれる。
「あんっ、くんっ……せんぱいが、はいってきますぅ……」
「あはっ……いいかおしてるよぉ……さくらちゃぁん……ふふっ」
嘘偽りのない笑顔を浮かべた桜ちゃんを、私はゆっくりと降ろした。あ~あ、買ったばかりのセーターがビロンビロンだぁ……。
130 快楽処方箋 sage 2009/09/03(木) 22:28:15 ID://OUxv1C
私がそれを引っ張りながら苦笑いをすると、目の前の桜ちゃんのナース服の胸元のボタンが3つも一気に吹き飛んだ。
「くすっ……あはははははは!」
思わず私が吹き出すと桜ちゃんも楽しそうに笑い出した。なんて最高な笑顔なんだろう……これをみんなに渡さなきゃ。
「あっ、桜ちゃん! ほら、急いで準備しないと!」
私は壁の時計を指差して彼女に指示をした。彼女は胸元を隠しながらオドオドとしていたので、私は買ったばかりのコートを投げ渡してあげた。
「使って。多分、ナース服はステーションの奥にいくつか予備があるから」
桜ちゃんはそれを聞くと慌しく一礼をして部屋から出て行った。が、顔だけドアから覗かせるとこうつけ加える。
「また後で、可愛がってくださいね?」
悪戯っぽく笑うと彼女は私の返事も聞かずに消えて行った。今頃身体が身軽なことに驚いているだろう。
「さってと……もっとも~っと寄生してみんなに笑顔を配らないと……あはは、楽しみ……」
私はベットリと濡れたベットのシーツを取り替えながら触手を身体の中に戻し、ぶかぶかになったセーターの代わりにブラウスを着て、患者さんを待った。
パソコンが受信音を鳴らし、早速本日最初のカルテが届いた。高校2年生の女の子かぁ。えっと……同級生による苛めの疑い……可哀そうに……。
「次の方、どうぞ」
私は簡単にカルテに目を通すとマイク越しに言った。ゆっくりとドアを開けて入ってきたのは、紺のブレザーを着た可愛らしい女の子だ。
「……ぃ……ます」
小さく頭を下げた彼女はこちらを見ようとはせず、しきりに眼鏡を掛けなおしては回りをちらちらと見ている。
「はい、どうぞ座って」
私は対面の椅子を示して、いつものように笑顔で接する。彼女はおどおどとした仕草で椅子に座りかけてくれた。
「さて……秋月 ひとみさん……今日はありがとうね」
「えっ?」
「病院に来てくれて。ほら、ここって人が多いし、精神科に来てくれるだけでも勇気のいることだよ」
精神科……特に若い女の人がその待合室で待っていると、よく他の患者さんは白い目でちらりと見てくると言う。時には受付をしたのに耐え切れずに帰ってしまう人もいる。
「珈琲、紅茶、ジュースもあるけど、何を飲みたい?」
「あっ……じゃ、……紅茶を」
「はいはい。牛乳とかはいれて大丈夫かな?」
私の言葉に小さく頷くひとみさんを確認し、私はいつものように紅茶と珈琲を用意し始めた。
「……私……本が好きで……人と話すのは苦手で……根暗、って……」
突然、ひとみさんが言葉を紡ぎ始め、私は用意する手を休めて彼女の前の椅子に戻った。俯いたまま彼女は続ける。
「教科書無くなる位だったら……でも、屋上でずっと……殴られたり……蹴られたりして……」
私はそこまで言ってくれた彼女の口の前に人差し指を出して、それ以上の言葉を止めてあげた。なんて勇気のある子だろう。
「……ありがとう。すごいよ……私よりず~っと偉い」
顔をあげて私を見るひとみさん。レンズ越しの目に涙がたまってくると、同時に嗚咽がこぼれ始めた。
その頭をゆっくりと胸に抱きいれてあげる。それが彼女の涙のダムの決壊原因となって一気に彼女は泣き始めた。
眼鏡をゆっくりと取ってあげると純粋そうな目をしていて、涙なんかより笑顔の方がよっぽど似合いそうな顔をしている。
黒いボブカットのショートヘアーを撫でつけてあげると、私や桜ちゃんよりも無垢であどけないまさしく女の子の匂いがした。……たまらない。
131 快楽処方箋 sage 2009/09/03(木) 22:28:47 ID://OUxv1C
私は右手でカルテを書き上げると、ひとみさんの顔をゆっくりと離し、その小さな唇に私のそれを重ねた。
「んんっ……んっ? ……んんっ」
驚いたのはひとみさんが拒むことも大して驚くこともなく私を受け入れたからではなく、なんと私の口内に自ら舌をもぐりこませてきたからだ。
しかし彼女の涙は止まるどころかさらに流れ出てきた。彼女の舌も、私をまるで離さないようにと絡み付いてくる。……本当に寂しく、そして悲しかったのだろう。
私はその涙を指で拭き取って彼女の笑いかけてあげる。すると彼女も頬を緩ませて私を強く抱きしめ、その舌の動きも激しく私を求めて動き回っている。
「んんん……んんあっ……きもちいい?」
「あんっ……もっとぉ……もっとぉ……」
その無垢な目をした彼女のだだに、私はベットへと彼女を案内した。
「ふふっ、じゃあ服を脱い、きゃんっ!」
しかしひとみさんは意外な力で私を押し倒すと、その上に強引に被さって来て、唇を弄りながら私の自らの服をはだけさせていく。
「んんんんっ……ひぃかはぁない子……んんっ」
私もそれを手伝いながら膣とお尻から触手を出して準備を整える。その途中、まるで玩具を見つけた子供のように私の胸を今度はひとみさんはしゃぶる。
「ふふっ……いくわよぉ……」
「はぅんっ、くはぅ、まへなぃいいいい!」
荒々しく乳首をしゃぶっていたと思ったら、彼女は私の触手を自らの中に収め始めた。挿入される快感に耐えようと、私の乳首を強めに噛んで来る。
「せん、せぃああぁぁぁ、ひろへてえぇぇぇ、はいっへきゅるぅううううううううう!」
「くぁあああああああ! ぎちぎちいぃいいいいいいいい!」
私はそのういういしくて締りの強い中を強引に掻き分けると、処女喪失の痛みが安らぐようにと乳首から大量の緑の蜜を彼女に注ぎ込む。
「はうあぁぁ……ひ、ひとみさぁん、だい、じょうぶ?」
「ふあぁぁぁぁ……きもひいぃぃよおぉぉぉ……」
私のそんな心配をよそに彼女の顔は悦に入った笑顔で埋め尽くされていた。私もキツキツの彼女のお尻と中から侵入した触手の快感ですぐに絶頂に達してしまいそうだ。
「くっ、あっ、いっ、あぅ!」
「ひとみさんんっ、いい! いいよぉおおおおおお!」
腰の上下運動を自ら彼女が繰り返し、私もそれに合わせてお尻の触手を出し入れする。入りきった瞬間に乳首をきゅっと噛んで来る辺りがたまならく可愛らしい。
「ひゃうっ! もうらめぇっ! だす! だす! ひとみさんにだすぅううううううう!」
「くらはぃいいいいい! わはひぃにぃ、せんせいをくらはぃいいいいいいい!」
「いいわぁああああああああ! わたしをあげるぅうううううううううう!」
「んあぁああああああああああぅっ! もちぃいいのがきゅるぅうううううううううううう!」
私は彼女の足を掴むと彼女のお尻と中に私を送り込んだ。
「んんんっ、んんんんんっ」
彼女の中が私で満たされるまで私は彼女を離さず送り込み、そしてそれは終わった。
「はぅ……うん、いい笑顔してる」
「くうんっ……せんせー、もっとちょうだぁい……」
私を見上げるひとみさんのその頭を撫でながら私は彼女にお願いをする。
「ひとみさん、多分あなたを苛めた人も本当の笑顔を知らないんだと思う。……今のあなたなら教えてあげられるよね?」
ひとみさんは少しだけ悩むような顔を見せた後、すぐに満面の笑みで答える。
「はい! その人たちに笑顔をあげてきます!」
ひとみさんは顔をわずかにしかめると、ういういしいオマ○コから私と同じぐらい立派な触手を出してきて、その先っぽに唇をつけた。
「ふふっ、ありがとう」
ひとみさんはすぐさま立ち上がると制服を着なおしていくが、ワイシャツはもうボタンが閉まらないらしく、私はとりあえずブラウスをプレゼントした。
「先生、また今度来てもいいですか?」
「もちろん、待ってるよ」
笑顔で一礼すると彼女は胸がきつきつのブレザーのボタンを結局閉めずに病室を元気に飛び出して行った。そして眼鏡も忘れていった。まぁ、視力ももう問題ないだろうけど。
私はそれを引き出しにしまいながらカルテを打ち込み、そしてマイクのボタンを押した。
「次の方、どうぞ」
(終)
132 快楽処方箋@あとがき sage 2009/09/03(木) 22:38:08 ID://OUxv1C
120氏と被ってしまいました。申し訳ないです。
さて、何度も言う様にこれは「悪堕ち」を狙って書いたんだ……でもさ。
これって「悪堕ち」じゃないよね?(;´・ω・`)
117氏……ご期待にそえず面目ない!
(最後の人間の決断 別ED)
102 名無しさん@ピンキー sage 2009/08/30(日) 23:21:35 ID:ApPeRrxg
(2-1)【(1-6)から分岐】
「……だめぇ……私には……できない……ごめん、なさい……」
私は構えた拳銃を地面に落とし、俯いて涙を流した。
「そう、それでいいの……ジェニー、一般人の彼女に人を撃てなんてあまりにも酷なこと言うのね?」
「くっ! ……うぁああああああああ!」
ジェニファーさんが怪我をしていない左手でリリィさんの銃口を自分の胸から逸らした。
そしてそのままもつれるように転がりながら私に向かって叫ぶ。
「今のうちに、セーフルームに行って! 早く!」
「あははははっは! 無駄よ、ジェニー。やめときなさい」
「うるさい! アリス、お願い!」
転がるったところにジェニファーさんの血の道が出来ていた。……こんな傷を負ってまで戦ってるのに……私は。
意を決して私はジェニファーさんが落とした鍵を拾うと、彼女たちに背を向けてセーフルームの大きな扉へと走り出した。
「ああっ! だめ! やめてぇええええええ!」
背後から聞こえるリリィさんの声が、逆に私のやっていることが間違い出ないことを証明してくれた。
鍵を使ってセーフルームに飛び込んだ私は、ブザーを鳴らしながら点滅しているドアの横の赤いボタンを押した。
閉まり始める扉の先で銃を突きつけられながらも、こちらを見て満足そうに頷きながらジェニファーさんが微笑んでいた。
しかし……その銃を突きつけている人物、リリィさんの表情も扉が閉まる一瞬、笑ったように見えた。
でもそれを気にしている余裕はなかった。部屋の中では次のブザーが鳴り、奥のほうで別のボタンが点滅している。
今度はそれに近づいてタックルをするように押し込んだ。するとその下から薄いガラスに守られたボタンが出てきて、ガラスの下で明滅を繰り返している。
深呼吸を一つして、私は拳でガラスを叩き割ると同時にボタンを押し込んだ。途端に部屋が揺れ、轟音が響き渡る。
床に膝を着き、両耳を塞いでしばらく続いたそれを耐えると、やがて嘘のように静かになっていた。
ふと、薄暗い部屋を見回すとなにやら明るい部分があり、そこに近づくとそれは建物の中の監視カメラの映像を映すテレビの羅列だった。
その幾つかに人間が映っている。……おそらくただの人間ではないのだろうが、そのどれもが苦しそうにのた打ち回る姿を映し出している。おそらく、もう酸素が減り始めているのだろう。
そしてこのセーフルームのすぐ外の廊下、ジェニファーさんとリリィさんがいる映像も映し出されていた。
しかし、その映像だけ他の映像とは違う。そう、二人ともまったく苦しそうではないのだ。
その二人が映し出されているテレビへと顔を近づけようとすると、私はその下にあったボタンの羅列のどれかを押してしまった。
103 名無しさん@ピンキー sage 2009/08/30(日) 23:22:26 ID:ApPeRrxg
(2-2)
「……お前はリリィにいつ寄生をしたんだ?」
ジェニファーさんの声が、突如パネルに配置されたステレオから聞こえ始めたのだ。パネル上のボタンを見ると、そのうちの幾つかが光っていた。
「5日前、トイレにいるときよ。その後、すぐにあなた達の前から姿を消したでしょ? あの時は死のうと決意したみたいだけど、死ねなかったみたいね」
リリィさんはジェニファーに拳銃を構えたまま立ち上がると、こちらのセーフルームの入り口へと向かってきた。思わず背後のその扉を私は直視する。
ドアを叩く音がモニターからのそれと、実際のそれが交わりあって部屋の中に響いた。思わず私の身体を鳥肌が走る。
「やっぱり開かないわよね……まぁ、いいわ……だって、ここにジェニーがいてくれるんだもの」
モニターの中のリリィさんがそれまでに見せなかった、嬉しそうな笑いを浮かべると天井に向けて手に持っていた拳銃を撃ち始めたのだ。
短い轟音が連続して部屋の中に響く。その様子を唖然とした表情でジェニファーさんが見ていた。
「ふぅ……もうこんなものはいらないからね」
そういうと今度は私が落としたハンドガンを拾い、同じように天井に穴を開けて弾切れになったそれを捨てるとエレベータの中にあったマシンガンも同じように弾を使いきってしまった。
私も音に慣れてくるとジェニファーさんと同じような表情でその様子に見入ってしまっていた。……一体何を考えているのだろうか。
「これで危ないものはなくなった、と。ふふ、じゃあ始めましょうか。ここの酸素だっていつまで持つか分からないものね」
「……やっぱり気付いていたか、リリィ」
左手で身体を支えながら立ち上がろうとしたジェニファーさんに、リリィさんが急いでかけよるとそれを制した。
「貴様、さっきから何を考えている!? アリスさんはもうミサイルを撃ったのだぞ? もう今は貴様しか寄生体はいなくなってしまったし、この星の人間も、もう私と部屋の中のアリスさんのみだ! この期に及んで何を」
「あなたが好き」
突然リリィさんがジェニファーさんの言葉を遮って話した。ジェニファーさんと私は先ほどからの予想外の連続に空いた口がふさがらない。
「最初あなたに会ったときは、正直嫉妬したわ。ジェニーは私より強かったし、頭もきれたから、大統領や仲間達にも信頼された。……もちろん、私も。けど、それだけじゃない。……あなたは優しかったし、何度も私を助けてくれた」
「な、何を言ってる……んだ?」
ジェニファーさんが後ずさりを始めた。その顔には、私が初めて見るジェニファーさんの恐怖の色が浮かんでいた。
やがてジェニファーさんが背後の壁に追いやられた。それを見てリリィさんがにっこりと笑い、そしてジェニファーさんを抱きしめた。
「リ、リリィ! は、離せ!」
「はあぁぁ……暖かくていい匂いがする……」
ジェニファーさんは動く左手で彼女のことを引き離そうとするが、なにせリリィさんさんもおそらく大統領のボディーガードなのだ。抱きついた彼女もまた、ぎゅっとジェニファーさんから離れようとしなかった。
「ジェニー、そんなに怖がらないで……あなたのために……プレゼントも用意してるんだから……ふふっ」
リリィさんさんが不敵に笑うと、片手で自らの黒いスラックスのベルトを器用に外し始め、それが終わるとジェニファーさんのそれも外しに掛かる。
ジェニファーさんはもう言葉に何を言っても無駄だと思ったのか、身体を引き離すことに集中しているようだったが、リリィさんさんの表情は笑ったまま崩れず、ついに二人のスラックスが床にぱたりと落ちた。
「くっ……もう、やめてくれぇ……」
「やっぱり……ジェニー、意外とかわいい趣味してる……ふふ」
モニター越しなのでよく見えないが、ジェニファーさんは……なんというか想像していたより可愛らしいパンツをはいていた。一方、リリィさんさんは怪しい黒のきわどいパンツをはいていた。
「ふぁっ! な、にをする……ひぃぁぁ……」
「この白いパンツ越しでもすぐ分かるわよ……充分濡れてるじゃない、ジェニー」
ジェニファーさんの白いパンツの上から……女の人の弱い部分のところをリリィさんが弄っている。
104 名無しさん@ピンキー sage 2009/08/30(日) 23:25:16 ID:ApPeRrxg
(2-3)
「ジェニー……私、あなたのためにこの2日間ずっと我慢してた……あなたのためのこの子を身に宿したまま、ね」
リリィさんがジェニファーさんの秘所をいじりながら、自分のパンツを降ろした。とたんに、リリィさんの秘所とパンツの間に何かが糸を引いていた。
それは黒い色で、私ははじめパンツの繊維かと思ったが、それにしてはなにやらおかしいし、量が多すぎる。
「ま、まさか……それは……」
「そう。あなたも何度か実物を見たでしょ? これは私の宿主の身体、まぁ元の私の身体を栄養にして産まれた子供……これを、あなたに植え付けて、あ・げ・る」
「や、やめろぉおおおおおおおおおおお!」
ジェニファーさんがこれまでにないほど暴れ始めた。しかし、リリィさんは慌てずにボディブローを彼女に見舞った。目を見開いてくの字に身体を曲げたジェニファーさんをリリィさんがゆっくりと床に横たえた。
「ごめんなさい、ジェニー。でも、すっごく気持ちいいから……私を信じて……」
「カハッ、ゲホッ! やぁ……めろぉ……」
ジェニファーさんの擦れきった声がわずかにステレオから聞こえる。しかしそんなことを気にする素振りを見せず、ジェニファーさんのパンツをリリィさんは優しく降ろしていく。
私はここを開けて彼女を助けるべきか迷った。しかし、私が今出て行ったとして果たして何が出来るのだろうか? それを考えると、結局私はモニターの前から動くことは出来なかった。
「ほぉら……これが今からジェニーのおま○こから中に入って、あなたの情報を三日かけてコピーするの……って言わなくてもわかるわよね」
リリィさんが秘所から黒いスライム状の液体を人差し指に引っ掛けた。それは、ホテルでジェニファーさんに見せてもらったものと似ている色をしていた。
「じゃあ、いくね……ゆぅっくり私のおま○こがジェニーのとくっつくよ……あはんっ!」
「くぁあああ!」
ジェニファーさんの上に寝そべるようにしてリリィさんのおま○ことジェニファーさんのそれが密着した。上にのるリリィさんのそこからは黒い液体がわずかに垂れだしている。
「なんて……ジェニーのやわらかいの……さいっこうよぉ……やっぱり、ジェニーとはしょくしゅをつかわずにやってせいかいだったわ……」
「ああっ、やめろやめろやめろぉおおおおおおお!」
リリィさんがジェニファーさんの上を上下に移動するたびにわずかにいやらしい水音が聞こえてくる。頭では目を離そうとしても、私の目はその画面から離れなかった。
「はぁっ! もうだめぇ! ジェニーにだしちゃぅうううううう! はぁああああああああああああんんっ!」
「きゃああああああああああああああああああああ!」
リリィさんの秘所から大量に放出された液体が、ほとんど外に垂れることなくジェニファーさんの中に吸い込まれていく。ここから見ていると、まるでジェニファーさんが自ら吸い込んでいるようにも見える。
「はぁはぁ……じぇにー、さいこおぉ……」
「あぁぁぁぁっ……いやあぁぁぁぁぁ……」
105 名無しさん@ピンキー sage 2009/08/30(日) 23:26:26 ID:ApPeRrxg
(2-4)
リリィさんがジェニファーさんを抱きしめている。一方のジェニファーさんは虚ろな目で天井を見て涙を流している。
「ねぇっ……見てるんでしょ、アリスさん」
突如リリィさんが私の名前を呼んだ。そして廊下にある幾つかの監視カメラを順々に火照った顔を向けてくる。
「いい事教えてあげる……あなた、寄生されてるわよ?」
「えっ!?」
……な、んで? 私は自分のお腹を見て震えた手で触ってみる。……おかしな感触はない。
「嘘だと思ってる? 私には同じ寄生体だから分かるわよ。ふふ……多分、3日後には生まれてくるわ、その子」
私は頭を掻き毟ってその場にしゃがみこんだ。何か……何かを、記憶が……。
3日後に生まれるってことは今日のうちに私は寄生されたということ……。で、でも、リリィさんがしたみたいなことを私にしたのは……。
その時、私は全ての記憶を一瞬で取り戻した。
「お、お姉、ちゃんに……寄生、された……?」
私が倒れていたホテルのバスルーム。ジェニファーさんが助けに来る10分ぐらい前の記憶に、その行為は鮮明に残っていた。
「その子が生まれたらこのドアを彼女が開けられるでしょうけど……その頃にはもう私とジェニーは窒息死してるでしょうね。さすがに3日はこの廊下も持たないわ。だから……アリスさん、開けてくれないかしら?」
一気に重くなった頭を上げて、再びモニターを見た。リリィさんの下にいるジェニファーさんの焦点のあっていない顔が私の目に飛び込む。
「あなたの決断一つで、私もジェニーも、彼女のお腹の子も救われるの。もちろん、あなたもジェニーも絶対に殺したりもしないから」
まだ記憶が残ったばかりで思考が鈍る頭にリリィさんが入り込んでくる。
でも……私だってジェニファーさんには生きていて欲しい。リリィさんと同じように私もジェニファーさんには何度も助けられた。だから……リリィさんのジェニファーさんに対する気持ちも、少しだけ分かる気がしたからだ。
「今から、その扉をもう一度開ける方法を言うわ。……もし、助けてくれるなら……お願い……」
ようやく記憶が馴染んできた私は、ゆっくりと立ち上がってモニターの前に立った。
……ドアを開ける決意を胸に。
106 名無しさん@ピンキー sage 2009/08/30(日) 23:26:45 ID:ApPeRrxg
(2-5)
流石に、低酸素状態の外気を入れないようにするためのここのドアを、再び開けるのには相当な手間がかかった。
しかし、リリィさんがゆっくりと説明してくれたおかげで、後は先ほどドアを閉めるときに押した『CLOSE』のボタンをもう一度押せば、再びこのドアが開くらしい。
「これで全部……もし、私の言うとおりやってくれたなら、開くはずだわ……聞いてくれていれば、ね」
外との連絡手段が見つからず、廊下にいるリリィさんには私がドアを開くための作業をしているのか、そうでないかは知ることが出来ないことだった。それゆえに、今の彼女には不安そうな表情が浮かんでいる。
私はモニターの前でそんなリリィさんの表情と、壁にもたれかかってまま、黙ってリリィさんが説明をする様子を見ていたジェニファーさんの複雑そうな表情を見た。
正直、ジェニファーさんに聞きたかった。ここを開けるべきなのか、と。ジェニファーさんは命懸けで私をこの部屋に入れてくれたのだ。それを果たして無駄にしていいのか、私は迷っていた。
だけど……もう、人間は私とジェニファーさんしかいないのだ。いえ、そんなこと以前に、私はジェニファーさんに生きていて欲しい。
リリィさんだって……本当に純粋にジェニファーさんが好きなだけなら彼女にも生きていて欲しい。
だから私はドアの横の『CLOSE』ボタンに歩み寄ると、一思いにそれを押し込んだ。
ゆっくりとした動作で扉が開かれ、リリィさんが目を見開きながらも、ジェニファーさんに肩を貸してこちらに歩いてきた。
私は彼女達が部屋に入ったのを確認して再びボタンを押してドアを閉め、そしてゆっくりと振り返った。
そこにはジェニファーさんを部屋の中心に下ろして、こちらに歩み寄ってくるリリィさんの姿が見えた。
それに対して恐怖感は持っても、別に逃げたり抵抗したりしようとは思わなかった。殺される可能性も考慮して扉を開けたのだ。覚悟は出来ていた。
でも……彼女が私の目の前に歩み寄ってきて立ち止まり、両手を動かし始めたときは思わず目を閉じてしまったが。
「……ありがとう」
私の身体を温かくて柔らかい人肌が包み込んだ。思わぬ言葉と、思わぬ行動に私はゆっくりと目を開けた。
するとリリィさんが私の身体を抱きしめていた。その横顔を見ると安らかな表情で、私の視線に気付くとあの鋭い目が今は優しく垂れていた。
「私のしたことは正しかったのでしょうか?」
ふと私の口からそんな質問がこぼれた。リリィさんは驚いた表情をしていたが、やがて元の微笑みを取り戻すとこう答えた。
「私には……分からないわ。だから、彼女に聞いてみたら?」
リリィさんは私からゆっくり離れると、背中をゆっくりと押してジェニファーさんの元まで歩かせてくれた。
「ジェニー……あなた、アリスさんがしてくれたこと、正しかったと思う?」
ジェニファーさんは顔を上げるとリリィさんを見て、それから私を感情のない目でじっと見た。
「私のしたことを……ジェニファーさんは許してくれますか?」
「大統領や、私の仲間達、多くの一般市民……人類は、あなたの行動を恨むでしょうね。何のために命を奪われたのか……と」
冷たい言葉がジェニファーさんの視線と共に私を刺した。そう……私の行動は死んでいった人たちにはとても顔向けできないものだろう。
「でも……全ての人類がアリスさんを恨んでも、私はあなたに感謝します。大統領だって……私やアリスさんに生きて欲しいから、あの時命を掛けてくれたんです。だから……ありがとう、アリスさん」
ジェニファーさんが一筋の涙を流して微笑みかけてくれた。
その微笑みに私は思わずジェニファーさんの胸に抱きついて涙を流した。その理由は、多くの人を私は殺してしまったこと、その人たちが死んでも生き残れた人間はわずかに二人だけのこと、そしてそんな犠牲を払っても寄生体が絶命していないこと……挙げればきりがない。
「うぁあああああああああ! わたしは……わたしは……なんてことを……ううっ」
「……過去の失敗より未来への努力で頭を痛めろ……と、大統領はよく言ってました。……アリスさん、喜びましょう。多くの人たちのおかげで生きていることに……」
私が泣き疲れるまでの、何時間もジェニファーさんは背中と頭を撫で続けてくれていた。
それからジェニファーさんに聞いた話だが、その間リリィさんも涙を流し続けていた、とのことだった。
107 名無しさん@ピンキー sage 2009/08/30(日) 23:27:19 ID:ApPeRrxg
(2-6)
「ふぁああああああんっ、イ、ヴ! もっとぉおおおおおおおおお!」
私の下でジェニーから産まれた彼女のそっくりの寄生体、イヴの触手を私は身体の中に侵入させて楽しんでいた。
「らぁぁぁぁああめぇええええええええ! ありすぅううう、いっちゃうううううううううう!」
ジェニーそっくりのアメリカンボディから上がる、可愛い嬌声が私の官能を電撃のように刺激していく。
私は身体を揺らしてながら横を見る。そこには私そっくりの寄生体、レラの上で私と同じように腰を振り続けるジェニー、そしてその背後にはリリィの姿もあった。
「いやぁああんっ! ジェニー、はげしすぎぃいいいい!」
彼女の下にいる私そっくりのレラが口元に手の甲を当てて首を振りながら悶えている。
「くぅうううううんっ、ごめんんんっ! でもぉ、きもちぃいいいいいのぉおおおおお!」
その上のジェニーは謝りながら私とは比べ物にならないぐらいに激しく腰を振り続けている。
「いいわぁ、さいっこうよぉ、ジェニー! あはんっ! でも、しぼりすぎぃいいいい!」
その後ろから彼女のお尻を蹂躙しているのはリリィだ。背後から抱きつくようにしてジェニーの豊満な胸も攻め続けている。
まぁ、おそらくリリィのせいもあってあそこまでジェニーさんも腰を振っているのだと思うけれど……ジェニーは、結構タフだからなぁ。頑張ってね、レラ……。
「はうんっ! でちゃぅうううううううううう!」
一番先に出したのはリリィさんだった。ジェニーさんの身体もその放出を受けるためにわずかに動きが止まった。
息を切らしながらジェニーの身体に擦りつくリリィさんが、ふと私と目が合った。その次の瞬間、彼女は不敵にニヤリと笑うと腰振りを再開させたジェニーさんから触手を引き抜いた。
蜜を垂らしながらこちらに歩いてきた彼女は、私が表情を強張らせても動きを止めない。
「たのしそうねぇ……あ・り・す」
「う、うん! だ、だからこれいじょう……ね?」
「ふふ、だ~めっ。ありすかわいすぎるからたえられないわ~」
リリィが私の背後に回ったと思ったら、もう肛門に何かが当たっている感触がある。
「だぁっ、めえええぇぇぇぇっ」
「ふふふっ、いくわよぉ……くぅうううううううううあぁああああっ!」
「きゃあああああああああああっ、らめぇええええええええええええっ!」
私の直腸がリリィの触手によって押し広げられていく。しかし、あまり痛み自体は感じない。おそらく触手が充分濡れているからだろう。
その衝撃に私は耐えながらゆっくりと目を開いた。すると……私の下にいたイヴが火照った顔で笑っていた。
「ああっ……だ、だめぇっ……いまうごいたらぁ……」
「……そんなかおされたらぁっ……がまんできないぃいいい!」
「ふぁあああああっ、うごかないでえぇええええええええええ!」
私の下のイヴが軽く腰を浮かせて激しく私を突いてきた。まるでさっきまでの仕返しといわんばかりに。
「はあああああああんっ! いいわぁっ、しまりぐあいがさいこぅううううううう!」
その間も遠慮なく私のお尻の中を激しく出入りするリリィ。閉まり具合など、イヴの攻めが激しすぎて勝手に閉まってしまうだけなのに!
「らめぇえええええええええええっ、こわれるぅううううううううううう!」
私の身体はイヴの上で絶えず激しく揺れ続ける。イヴに突かれて後ろに動くと、途端にリリィに突かれて前に動く。
その動きに耐えられず私はイヴの身体の上に寝そべった。しかしこれが逆効果だった。
108 名無しさん@ピンキー sage 2009/08/30(日) 23:27:57 ID:ApPeRrxg
(2-7)
背後のリリィは私のお尻をつかむと一層激しい連打を繰り出してきた。
イヴの方は腰を動かしていないにもかかわらず私の中を素早く攻め続けている。おそらく触手だけを動かしているのだ。
「あああああああああああああっ、もうらめえええええええええええええっ!」
「わたしもいくぅうううううう、ありすにだすううううううううううううう!」
「いやああああああああああんっ、うけとってぇええええええええええええええ!」
私が自らの蜜を放出すると共に、二人の甘い蜜がお尻とおま○こから入り込んでくる。その量はとてつもなく多い。
「くっ、いっ、あっ、はあぁぁぁぁぁっ……」
小出しに出されたそれを私は受け取りながらイヴの胸のお山に顔を沈めた。心地よい柔らかさが頭を包みこむ。
するとその背後にリリィが倒れこんできた。私の身体を抱きしめて、耳たぶにアマガミしてきた。彼女のお気に入りの行動だ。
そのくすぐったい刺激を受けながら、いまだ激しい行為を続ける横の二人に目をやる。
「もうぅぅぅぅぅ、らめぇぇぇぇぇ……」
「まだぁあああああ、もっとぉおおおおおおおお!」
いまだ二人とも達していない……というわけではないらしい。少なくともレラのほうはもう何度もジェニーの中に出しているのだろう。
しかしジェニーが満足していないのだ。彼女はかなり欲求には貪欲らしいことはこの1週間でよく分かった。
けど良かった……あれから私とジェニーから産まれた寄生体とリリィは私達に申し訳なさを感じていた。寄生体のせいで私達が深い傷を負ったと感じていたのだろう。
だから私とジェニーはそんな3人と強引に交わり、その誤解を解くことにした。最初は嫌がっていたけれど……今ではこうして楽しんでくれている。
もちろんそれは私達だって変わりない。彼らを受け入れるたびに快楽はうなぎのぼりにあがっていっている。
まぁ……そのせいでジェニーはもうその虜というわけだけど……。
でも私だってそれは同じ。
何故なら私はもう休憩を終わりにして、イヴがまだ息遣い荒くしているのを気にせず腰を動かし始めているのだから。
「さぁ……って、第2ラウンド開始よ!」
(終)
(2-1)【(1-6)から分岐】
「……だめぇ……私には……できない……ごめん、なさい……」
私は構えた拳銃を地面に落とし、俯いて涙を流した。
「そう、それでいいの……ジェニー、一般人の彼女に人を撃てなんてあまりにも酷なこと言うのね?」
「くっ! ……うぁああああああああ!」
ジェニファーさんが怪我をしていない左手でリリィさんの銃口を自分の胸から逸らした。
そしてそのままもつれるように転がりながら私に向かって叫ぶ。
「今のうちに、セーフルームに行って! 早く!」
「あははははっは! 無駄よ、ジェニー。やめときなさい」
「うるさい! アリス、お願い!」
転がるったところにジェニファーさんの血の道が出来ていた。……こんな傷を負ってまで戦ってるのに……私は。
意を決して私はジェニファーさんが落とした鍵を拾うと、彼女たちに背を向けてセーフルームの大きな扉へと走り出した。
「ああっ! だめ! やめてぇええええええ!」
背後から聞こえるリリィさんの声が、逆に私のやっていることが間違い出ないことを証明してくれた。
鍵を使ってセーフルームに飛び込んだ私は、ブザーを鳴らしながら点滅しているドアの横の赤いボタンを押した。
閉まり始める扉の先で銃を突きつけられながらも、こちらを見て満足そうに頷きながらジェニファーさんが微笑んでいた。
しかし……その銃を突きつけている人物、リリィさんの表情も扉が閉まる一瞬、笑ったように見えた。
でもそれを気にしている余裕はなかった。部屋の中では次のブザーが鳴り、奥のほうで別のボタンが点滅している。
今度はそれに近づいてタックルをするように押し込んだ。するとその下から薄いガラスに守られたボタンが出てきて、ガラスの下で明滅を繰り返している。
深呼吸を一つして、私は拳でガラスを叩き割ると同時にボタンを押し込んだ。途端に部屋が揺れ、轟音が響き渡る。
床に膝を着き、両耳を塞いでしばらく続いたそれを耐えると、やがて嘘のように静かになっていた。
ふと、薄暗い部屋を見回すとなにやら明るい部分があり、そこに近づくとそれは建物の中の監視カメラの映像を映すテレビの羅列だった。
その幾つかに人間が映っている。……おそらくただの人間ではないのだろうが、そのどれもが苦しそうにのた打ち回る姿を映し出している。おそらく、もう酸素が減り始めているのだろう。
そしてこのセーフルームのすぐ外の廊下、ジェニファーさんとリリィさんがいる映像も映し出されていた。
しかし、その映像だけ他の映像とは違う。そう、二人ともまったく苦しそうではないのだ。
その二人が映し出されているテレビへと顔を近づけようとすると、私はその下にあったボタンの羅列のどれかを押してしまった。
103 名無しさん@ピンキー sage 2009/08/30(日) 23:22:26 ID:ApPeRrxg
(2-2)
「……お前はリリィにいつ寄生をしたんだ?」
ジェニファーさんの声が、突如パネルに配置されたステレオから聞こえ始めたのだ。パネル上のボタンを見ると、そのうちの幾つかが光っていた。
「5日前、トイレにいるときよ。その後、すぐにあなた達の前から姿を消したでしょ? あの時は死のうと決意したみたいだけど、死ねなかったみたいね」
リリィさんはジェニファーに拳銃を構えたまま立ち上がると、こちらのセーフルームの入り口へと向かってきた。思わず背後のその扉を私は直視する。
ドアを叩く音がモニターからのそれと、実際のそれが交わりあって部屋の中に響いた。思わず私の身体を鳥肌が走る。
「やっぱり開かないわよね……まぁ、いいわ……だって、ここにジェニーがいてくれるんだもの」
モニターの中のリリィさんがそれまでに見せなかった、嬉しそうな笑いを浮かべると天井に向けて手に持っていた拳銃を撃ち始めたのだ。
短い轟音が連続して部屋の中に響く。その様子を唖然とした表情でジェニファーさんが見ていた。
「ふぅ……もうこんなものはいらないからね」
そういうと今度は私が落としたハンドガンを拾い、同じように天井に穴を開けて弾切れになったそれを捨てるとエレベータの中にあったマシンガンも同じように弾を使いきってしまった。
私も音に慣れてくるとジェニファーさんと同じような表情でその様子に見入ってしまっていた。……一体何を考えているのだろうか。
「これで危ないものはなくなった、と。ふふ、じゃあ始めましょうか。ここの酸素だっていつまで持つか分からないものね」
「……やっぱり気付いていたか、リリィ」
左手で身体を支えながら立ち上がろうとしたジェニファーさんに、リリィさんが急いでかけよるとそれを制した。
「貴様、さっきから何を考えている!? アリスさんはもうミサイルを撃ったのだぞ? もう今は貴様しか寄生体はいなくなってしまったし、この星の人間も、もう私と部屋の中のアリスさんのみだ! この期に及んで何を」
「あなたが好き」
突然リリィさんがジェニファーさんの言葉を遮って話した。ジェニファーさんと私は先ほどからの予想外の連続に空いた口がふさがらない。
「最初あなたに会ったときは、正直嫉妬したわ。ジェニーは私より強かったし、頭もきれたから、大統領や仲間達にも信頼された。……もちろん、私も。けど、それだけじゃない。……あなたは優しかったし、何度も私を助けてくれた」
「な、何を言ってる……んだ?」
ジェニファーさんが後ずさりを始めた。その顔には、私が初めて見るジェニファーさんの恐怖の色が浮かんでいた。
やがてジェニファーさんが背後の壁に追いやられた。それを見てリリィさんがにっこりと笑い、そしてジェニファーさんを抱きしめた。
「リ、リリィ! は、離せ!」
「はあぁぁ……暖かくていい匂いがする……」
ジェニファーさんは動く左手で彼女のことを引き離そうとするが、なにせリリィさんさんもおそらく大統領のボディーガードなのだ。抱きついた彼女もまた、ぎゅっとジェニファーさんから離れようとしなかった。
「ジェニー、そんなに怖がらないで……あなたのために……プレゼントも用意してるんだから……ふふっ」
リリィさんさんが不敵に笑うと、片手で自らの黒いスラックスのベルトを器用に外し始め、それが終わるとジェニファーさんのそれも外しに掛かる。
ジェニファーさんはもう言葉に何を言っても無駄だと思ったのか、身体を引き離すことに集中しているようだったが、リリィさんさんの表情は笑ったまま崩れず、ついに二人のスラックスが床にぱたりと落ちた。
「くっ……もう、やめてくれぇ……」
「やっぱり……ジェニー、意外とかわいい趣味してる……ふふ」
モニター越しなのでよく見えないが、ジェニファーさんは……なんというか想像していたより可愛らしいパンツをはいていた。一方、リリィさんさんは怪しい黒のきわどいパンツをはいていた。
「ふぁっ! な、にをする……ひぃぁぁ……」
「この白いパンツ越しでもすぐ分かるわよ……充分濡れてるじゃない、ジェニー」
ジェニファーさんの白いパンツの上から……女の人の弱い部分のところをリリィさんが弄っている。
104 名無しさん@ピンキー sage 2009/08/30(日) 23:25:16 ID:ApPeRrxg
(2-3)
「ジェニー……私、あなたのためにこの2日間ずっと我慢してた……あなたのためのこの子を身に宿したまま、ね」
リリィさんがジェニファーさんの秘所をいじりながら、自分のパンツを降ろした。とたんに、リリィさんの秘所とパンツの間に何かが糸を引いていた。
それは黒い色で、私ははじめパンツの繊維かと思ったが、それにしてはなにやらおかしいし、量が多すぎる。
「ま、まさか……それは……」
「そう。あなたも何度か実物を見たでしょ? これは私の宿主の身体、まぁ元の私の身体を栄養にして産まれた子供……これを、あなたに植え付けて、あ・げ・る」
「や、やめろぉおおおおおおおおおおお!」
ジェニファーさんがこれまでにないほど暴れ始めた。しかし、リリィさんは慌てずにボディブローを彼女に見舞った。目を見開いてくの字に身体を曲げたジェニファーさんをリリィさんがゆっくりと床に横たえた。
「ごめんなさい、ジェニー。でも、すっごく気持ちいいから……私を信じて……」
「カハッ、ゲホッ! やぁ……めろぉ……」
ジェニファーさんの擦れきった声がわずかにステレオから聞こえる。しかしそんなことを気にする素振りを見せず、ジェニファーさんのパンツをリリィさんは優しく降ろしていく。
私はここを開けて彼女を助けるべきか迷った。しかし、私が今出て行ったとして果たして何が出来るのだろうか? それを考えると、結局私はモニターの前から動くことは出来なかった。
「ほぉら……これが今からジェニーのおま○こから中に入って、あなたの情報を三日かけてコピーするの……って言わなくてもわかるわよね」
リリィさんが秘所から黒いスライム状の液体を人差し指に引っ掛けた。それは、ホテルでジェニファーさんに見せてもらったものと似ている色をしていた。
「じゃあ、いくね……ゆぅっくり私のおま○こがジェニーのとくっつくよ……あはんっ!」
「くぁあああ!」
ジェニファーさんの上に寝そべるようにしてリリィさんのおま○ことジェニファーさんのそれが密着した。上にのるリリィさんのそこからは黒い液体がわずかに垂れだしている。
「なんて……ジェニーのやわらかいの……さいっこうよぉ……やっぱり、ジェニーとはしょくしゅをつかわずにやってせいかいだったわ……」
「ああっ、やめろやめろやめろぉおおおおおおお!」
リリィさんがジェニファーさんの上を上下に移動するたびにわずかにいやらしい水音が聞こえてくる。頭では目を離そうとしても、私の目はその画面から離れなかった。
「はぁっ! もうだめぇ! ジェニーにだしちゃぅうううううう! はぁああああああああああああんんっ!」
「きゃああああああああああああああああああああ!」
リリィさんの秘所から大量に放出された液体が、ほとんど外に垂れることなくジェニファーさんの中に吸い込まれていく。ここから見ていると、まるでジェニファーさんが自ら吸い込んでいるようにも見える。
「はぁはぁ……じぇにー、さいこおぉ……」
「あぁぁぁぁっ……いやあぁぁぁぁぁ……」
105 名無しさん@ピンキー sage 2009/08/30(日) 23:26:26 ID:ApPeRrxg
(2-4)
リリィさんがジェニファーさんを抱きしめている。一方のジェニファーさんは虚ろな目で天井を見て涙を流している。
「ねぇっ……見てるんでしょ、アリスさん」
突如リリィさんが私の名前を呼んだ。そして廊下にある幾つかの監視カメラを順々に火照った顔を向けてくる。
「いい事教えてあげる……あなた、寄生されてるわよ?」
「えっ!?」
……な、んで? 私は自分のお腹を見て震えた手で触ってみる。……おかしな感触はない。
「嘘だと思ってる? 私には同じ寄生体だから分かるわよ。ふふ……多分、3日後には生まれてくるわ、その子」
私は頭を掻き毟ってその場にしゃがみこんだ。何か……何かを、記憶が……。
3日後に生まれるってことは今日のうちに私は寄生されたということ……。で、でも、リリィさんがしたみたいなことを私にしたのは……。
その時、私は全ての記憶を一瞬で取り戻した。
「お、お姉、ちゃんに……寄生、された……?」
私が倒れていたホテルのバスルーム。ジェニファーさんが助けに来る10分ぐらい前の記憶に、その行為は鮮明に残っていた。
「その子が生まれたらこのドアを彼女が開けられるでしょうけど……その頃にはもう私とジェニーは窒息死してるでしょうね。さすがに3日はこの廊下も持たないわ。だから……アリスさん、開けてくれないかしら?」
一気に重くなった頭を上げて、再びモニターを見た。リリィさんの下にいるジェニファーさんの焦点のあっていない顔が私の目に飛び込む。
「あなたの決断一つで、私もジェニーも、彼女のお腹の子も救われるの。もちろん、あなたもジェニーも絶対に殺したりもしないから」
まだ記憶が残ったばかりで思考が鈍る頭にリリィさんが入り込んでくる。
でも……私だってジェニファーさんには生きていて欲しい。リリィさんと同じように私もジェニファーさんには何度も助けられた。だから……リリィさんのジェニファーさんに対する気持ちも、少しだけ分かる気がしたからだ。
「今から、その扉をもう一度開ける方法を言うわ。……もし、助けてくれるなら……お願い……」
ようやく記憶が馴染んできた私は、ゆっくりと立ち上がってモニターの前に立った。
……ドアを開ける決意を胸に。
106 名無しさん@ピンキー sage 2009/08/30(日) 23:26:45 ID:ApPeRrxg
(2-5)
流石に、低酸素状態の外気を入れないようにするためのここのドアを、再び開けるのには相当な手間がかかった。
しかし、リリィさんがゆっくりと説明してくれたおかげで、後は先ほどドアを閉めるときに押した『CLOSE』のボタンをもう一度押せば、再びこのドアが開くらしい。
「これで全部……もし、私の言うとおりやってくれたなら、開くはずだわ……聞いてくれていれば、ね」
外との連絡手段が見つからず、廊下にいるリリィさんには私がドアを開くための作業をしているのか、そうでないかは知ることが出来ないことだった。それゆえに、今の彼女には不安そうな表情が浮かんでいる。
私はモニターの前でそんなリリィさんの表情と、壁にもたれかかってまま、黙ってリリィさんが説明をする様子を見ていたジェニファーさんの複雑そうな表情を見た。
正直、ジェニファーさんに聞きたかった。ここを開けるべきなのか、と。ジェニファーさんは命懸けで私をこの部屋に入れてくれたのだ。それを果たして無駄にしていいのか、私は迷っていた。
だけど……もう、人間は私とジェニファーさんしかいないのだ。いえ、そんなこと以前に、私はジェニファーさんに生きていて欲しい。
リリィさんだって……本当に純粋にジェニファーさんが好きなだけなら彼女にも生きていて欲しい。
だから私はドアの横の『CLOSE』ボタンに歩み寄ると、一思いにそれを押し込んだ。
ゆっくりとした動作で扉が開かれ、リリィさんが目を見開きながらも、ジェニファーさんに肩を貸してこちらに歩いてきた。
私は彼女達が部屋に入ったのを確認して再びボタンを押してドアを閉め、そしてゆっくりと振り返った。
そこにはジェニファーさんを部屋の中心に下ろして、こちらに歩み寄ってくるリリィさんの姿が見えた。
それに対して恐怖感は持っても、別に逃げたり抵抗したりしようとは思わなかった。殺される可能性も考慮して扉を開けたのだ。覚悟は出来ていた。
でも……彼女が私の目の前に歩み寄ってきて立ち止まり、両手を動かし始めたときは思わず目を閉じてしまったが。
「……ありがとう」
私の身体を温かくて柔らかい人肌が包み込んだ。思わぬ言葉と、思わぬ行動に私はゆっくりと目を開けた。
するとリリィさんが私の身体を抱きしめていた。その横顔を見ると安らかな表情で、私の視線に気付くとあの鋭い目が今は優しく垂れていた。
「私のしたことは正しかったのでしょうか?」
ふと私の口からそんな質問がこぼれた。リリィさんは驚いた表情をしていたが、やがて元の微笑みを取り戻すとこう答えた。
「私には……分からないわ。だから、彼女に聞いてみたら?」
リリィさんは私からゆっくり離れると、背中をゆっくりと押してジェニファーさんの元まで歩かせてくれた。
「ジェニー……あなた、アリスさんがしてくれたこと、正しかったと思う?」
ジェニファーさんは顔を上げるとリリィさんを見て、それから私を感情のない目でじっと見た。
「私のしたことを……ジェニファーさんは許してくれますか?」
「大統領や、私の仲間達、多くの一般市民……人類は、あなたの行動を恨むでしょうね。何のために命を奪われたのか……と」
冷たい言葉がジェニファーさんの視線と共に私を刺した。そう……私の行動は死んでいった人たちにはとても顔向けできないものだろう。
「でも……全ての人類がアリスさんを恨んでも、私はあなたに感謝します。大統領だって……私やアリスさんに生きて欲しいから、あの時命を掛けてくれたんです。だから……ありがとう、アリスさん」
ジェニファーさんが一筋の涙を流して微笑みかけてくれた。
その微笑みに私は思わずジェニファーさんの胸に抱きついて涙を流した。その理由は、多くの人を私は殺してしまったこと、その人たちが死んでも生き残れた人間はわずかに二人だけのこと、そしてそんな犠牲を払っても寄生体が絶命していないこと……挙げればきりがない。
「うぁあああああああああ! わたしは……わたしは……なんてことを……ううっ」
「……過去の失敗より未来への努力で頭を痛めろ……と、大統領はよく言ってました。……アリスさん、喜びましょう。多くの人たちのおかげで生きていることに……」
私が泣き疲れるまでの、何時間もジェニファーさんは背中と頭を撫で続けてくれていた。
それからジェニファーさんに聞いた話だが、その間リリィさんも涙を流し続けていた、とのことだった。
107 名無しさん@ピンキー sage 2009/08/30(日) 23:27:19 ID:ApPeRrxg
(2-6)
「ふぁああああああんっ、イ、ヴ! もっとぉおおおおおおおおお!」
私の下でジェニーから産まれた彼女のそっくりの寄生体、イヴの触手を私は身体の中に侵入させて楽しんでいた。
「らぁぁぁぁああめぇええええええええ! ありすぅううう、いっちゃうううううううううう!」
ジェニーそっくりのアメリカンボディから上がる、可愛い嬌声が私の官能を電撃のように刺激していく。
私は身体を揺らしてながら横を見る。そこには私そっくりの寄生体、レラの上で私と同じように腰を振り続けるジェニー、そしてその背後にはリリィの姿もあった。
「いやぁああんっ! ジェニー、はげしすぎぃいいいい!」
彼女の下にいる私そっくりのレラが口元に手の甲を当てて首を振りながら悶えている。
「くぅうううううんっ、ごめんんんっ! でもぉ、きもちぃいいいいいのぉおおおおお!」
その上のジェニーは謝りながら私とは比べ物にならないぐらいに激しく腰を振り続けている。
「いいわぁ、さいっこうよぉ、ジェニー! あはんっ! でも、しぼりすぎぃいいいい!」
その後ろから彼女のお尻を蹂躙しているのはリリィだ。背後から抱きつくようにしてジェニーの豊満な胸も攻め続けている。
まぁ、おそらくリリィのせいもあってあそこまでジェニーさんも腰を振っているのだと思うけれど……ジェニーは、結構タフだからなぁ。頑張ってね、レラ……。
「はうんっ! でちゃぅうううううううううう!」
一番先に出したのはリリィさんだった。ジェニーさんの身体もその放出を受けるためにわずかに動きが止まった。
息を切らしながらジェニーの身体に擦りつくリリィさんが、ふと私と目が合った。その次の瞬間、彼女は不敵にニヤリと笑うと腰振りを再開させたジェニーさんから触手を引き抜いた。
蜜を垂らしながらこちらに歩いてきた彼女は、私が表情を強張らせても動きを止めない。
「たのしそうねぇ……あ・り・す」
「う、うん! だ、だからこれいじょう……ね?」
「ふふ、だ~めっ。ありすかわいすぎるからたえられないわ~」
リリィが私の背後に回ったと思ったら、もう肛門に何かが当たっている感触がある。
「だぁっ、めえええぇぇぇぇっ」
「ふふふっ、いくわよぉ……くぅうううううううううあぁああああっ!」
「きゃあああああああああああっ、らめぇええええええええええええっ!」
私の直腸がリリィの触手によって押し広げられていく。しかし、あまり痛み自体は感じない。おそらく触手が充分濡れているからだろう。
その衝撃に私は耐えながらゆっくりと目を開いた。すると……私の下にいたイヴが火照った顔で笑っていた。
「ああっ……だ、だめぇっ……いまうごいたらぁ……」
「……そんなかおされたらぁっ……がまんできないぃいいい!」
「ふぁあああああっ、うごかないでえぇええええええええええ!」
私の下のイヴが軽く腰を浮かせて激しく私を突いてきた。まるでさっきまでの仕返しといわんばかりに。
「はあああああああんっ! いいわぁっ、しまりぐあいがさいこぅううううううう!」
その間も遠慮なく私のお尻の中を激しく出入りするリリィ。閉まり具合など、イヴの攻めが激しすぎて勝手に閉まってしまうだけなのに!
「らめぇえええええええええええっ、こわれるぅううううううううううう!」
私の身体はイヴの上で絶えず激しく揺れ続ける。イヴに突かれて後ろに動くと、途端にリリィに突かれて前に動く。
その動きに耐えられず私はイヴの身体の上に寝そべった。しかしこれが逆効果だった。
108 名無しさん@ピンキー sage 2009/08/30(日) 23:27:57 ID:ApPeRrxg
(2-7)
背後のリリィは私のお尻をつかむと一層激しい連打を繰り出してきた。
イヴの方は腰を動かしていないにもかかわらず私の中を素早く攻め続けている。おそらく触手だけを動かしているのだ。
「あああああああああああああっ、もうらめえええええええええええええっ!」
「わたしもいくぅうううううう、ありすにだすううううううううううううう!」
「いやああああああああああんっ、うけとってぇええええええええええええええ!」
私が自らの蜜を放出すると共に、二人の甘い蜜がお尻とおま○こから入り込んでくる。その量はとてつもなく多い。
「くっ、いっ、あっ、はあぁぁぁぁぁっ……」
小出しに出されたそれを私は受け取りながらイヴの胸のお山に顔を沈めた。心地よい柔らかさが頭を包みこむ。
するとその背後にリリィが倒れこんできた。私の身体を抱きしめて、耳たぶにアマガミしてきた。彼女のお気に入りの行動だ。
そのくすぐったい刺激を受けながら、いまだ激しい行為を続ける横の二人に目をやる。
「もうぅぅぅぅぅ、らめぇぇぇぇぇ……」
「まだぁあああああ、もっとぉおおおおおおおお!」
いまだ二人とも達していない……というわけではないらしい。少なくともレラのほうはもう何度もジェニーの中に出しているのだろう。
しかしジェニーが満足していないのだ。彼女はかなり欲求には貪欲らしいことはこの1週間でよく分かった。
けど良かった……あれから私とジェニーから産まれた寄生体とリリィは私達に申し訳なさを感じていた。寄生体のせいで私達が深い傷を負ったと感じていたのだろう。
だから私とジェニーはそんな3人と強引に交わり、その誤解を解くことにした。最初は嫌がっていたけれど……今ではこうして楽しんでくれている。
もちろんそれは私達だって変わりない。彼らを受け入れるたびに快楽はうなぎのぼりにあがっていっている。
まぁ……そのせいでジェニーはもうその虜というわけだけど……。
でも私だってそれは同じ。
何故なら私はもう休憩を終わりにして、イヴがまだ息遣い荒くしているのを気にせず腰を動かし始めているのだから。
「さぁ……って、第2ラウンド開始よ!」
(終)