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無限の果肉 第七話
674 名前:乙×風【無限の果肉 第七話】 :04/05/14 11:27 ID:S41XYLsI
<翳る日常 前編>
最近ネーアの様子がおかしい。
昼食の準備の為に厨房内をめまぐるしく駆け回る彼女を見ながら、
メライガはそう感じた。
例えば――仕事中にミスをしなくなった。笑顔を見せるようになった。
食事を控えるようになった。代わりとばかりに水ばかり飲むようになった
力仕事が出来るようになった――等々。
メライガが気付いていないだけで、他にもまだ何かあるかもしれない。
(どういう事でしょうか)
厨房内を慌しく動き回る同僚達に混じりながら、ネーアを盗み見る。
彼女は包丁を巧みに使いながら食材を刻んでいた。つい先日までは、食材を切るどころか
自分の指を切るような能無しだったというのに。
(私が『忠告』をした次の日くらいからですね。その日を境に何かあったとしか……)
同僚達が、まるで別人のように立ち振る舞うネーアに声を掛けている。
ネーアも応えるように笑顔を見せ、少し前まで口も聞かなかった同僚達と談笑を始めた。
あがり性はそのままなのか、頬が真っ赤に染まっている。
(やはり男……ですか)
力がついた事や、仕事が出来るようになった事は説明がつかないが。
食事を控えて水を多めに摂る。笑顔を見せるようになった――この二点だけ考えるなら、
恋人が出来、しかも現在付き合っている――そう考えれば今のネーアを納得出来る。
(ですが。それは許されない行為です)
この屋敷に男は二人しかいない。
庭師のシレノスと、我等がウラヌス様だけしか。
シレノスは50を過ぎた輩で、いつもメイド達を嘗め回すような視線で見てくる好き者だ。
無精髭も剃らずに身なりも小汚い。性格も、ウラヌスとは違い、貪欲で品が無い。
そんな、人生の負け犬のような浮浪者のような男と付き合う筈も無い。
675 名前:乙×風【無限の果肉 第七話】 :04/05/14 11:28 ID:S41XYLsI
(まあ、あれだけ私達に『折檻』を受けた女です。人生の負け犬と言う意味ではネーアも大して
変わりませんから。案外手懐けられているのかもしれませんが)
ダンッ!
力が入りすぎ、手元に在るまな板の上の魚が一刀の元に真っ二つになる。
少し大きめのその音も、談笑をしている同僚達の耳には届かなかったようだ。
(あれだけ、ウラヌス様を想っていた彼女が、あんな下賎な輩と付き合う分けがありません)
つまり。彼女は、ウラヌスと。
「メライガ?」
「!?」
突如掛けられた声に思考の沼から引きずり上げられる。
目の前には、ネーア。
「何でしょうか?」
「何でしょうか、じゃなくて。指、血が出てるよ」
言われて初めて左の親指から流血していることに気付く。
(なんて不甲斐ない。これではいつもと立場が逆ではありませんか)
メイドのプライドと女のプライドの両方に傷が付き、怒りで視界が揺らぐ。
「雑菌入ったら大変だよ。早く手当てしないと。私、付いていってあげるよ」
余計なお世話です、という言葉が喉元までせり上がるが――
「――そうですね。この状態で調理を行うわけにはいきません。お願いします」
事情を聞きだすには良い機会だった。
包丁を置き、まだ使われて無い水がめに手を突っ込み傷口を軽く洗う。
「行きましょう」
言い放つとネーアの返事も待たずに厨房から退出する。
ダイニングルームを抜け、廊下に出た辺りで、
駆け足のネーアが付いてくると、メライガの横に並んだ。
過去一ヶ月に渡り、あれだけの暴虐を受けたというのに警戒する素振りは見られない。
それどころか、さっきからメライガの指の傷をしきりに見ている。
676 名前:乙×風【無限の果肉 第七話】 :04/05/14 11:30 ID:S41XYLsI
何故か熱っぽい視線で。
その態度に、違和感を感じた。
目の前にいるネーアという同僚と、二日前までの彼女と、重ね合わせる事が出来ない。
「……そんなに私の怪我が気になりますか?」
「え? あのっ、別にっ」
我に返ったように手を慌しく振り回す。
途端に、何かの花のような香りが鼻腔を満たす。
(香水でもつけているのでしょうか?)
だとしたら、彼女が進行形でウラヌスと付き合っているという可能性がますます高まる。
嫉妬心に胸が切なく疼く。もう我慢の限界だった。
「どういうつもりですか」
「……え?」
「とぼけないで下さい、見苦しい。……ウラヌス様と付き合っているのでしょう?」
「ええっ!?」
ネーアが浮かべたのは驚愕の表情。メライガの中の懐疑が確信へと変わっていく。
「違います!」
「違うというなら説明して下さい。食事を疎かにして水ばかり飲んでいる理由は何ですか?
口紅もろくに塗れない女が香水を付ける理由は何ですか? 私達にあれだけ『折檻』を
されながら笑顔を浮かべられる理由は何ですかっ?」
まくし立てるように問い詰める。
なれない事をしたせいか、息が上がった。
「――っ!?」
人の気配を感じ、辺りを見回す。
ダイニングや客間の掃除をしていた同僚達が、慌てて顔を引っ込めた。
(私としたことが)
「あ、痛っ!」
ネーアの腕を引っ張り、洗濯物を運び込む勝手口から庭へ出ると、視線でネーアに訴える。
677 名前:乙×風【無限の果肉 第七話】 :04/05/14 11:31 ID:S41XYLsI
「それは……言えません」
「私があの夜、あれほど警告したというのに……!」
「ち、違います! 私、ウラヌス様とは付き合っていません!」
「そんな言葉、どうやって信じろというのです!」
「それは、あの――――っ!?」
ネーアが何かに気付いたように顔をあげる。
どうしたんです、と声を掛ける暇もなく、予期せぬ人間が現れた。
「ネーア君にメライガ君。こんな所で何を?」
「……体調が優れないので外の空気を吸いに来ました」
虚を突かれたが、ポーカーフェイスを保つと、
メライガの口からとっさの嘘が付いて出る。
「それは良いが……」
ウラヌスが複雑な表情で二人のメイドを――主にネーアを――見る。
(それは、そうですね。ネーアは一度ウラヌス様の前で、あられのない姿を見せたのですから)
ネーアは、悲しげに目を伏せており、ウラヌスとは視線を合わせようともしない。
(……この反応は……)
恋人同士が顔を合わせた時、こんなにもぎこちない対応を取るだろうか。
頬を赤らめたり、気恥ずかしい表情を浮かべたりするものではないのか。
だが今この空間には、後ろ暗さとぎこちなさが混じった空気しかない。
――急にネーアが顔を上げた。
そしてちらりと、メライガに意味深げな目配せをする。
彼女の目には、何らかの決意が宿っていた。
「あの、ウラヌス様」
「……何だね?」
「今まで色々ご迷惑をおかけしましたっ」
ぶんっ、と音が鳴りそうなほどのお辞儀。
『……』
メライガもウラヌスもネーアの意図を測りあぐねて閉口する。
678 名前:乙×風【無限の果肉 第七話】 :04/05/14 11:32 ID:S41XYLsI
「いえ、あのっ、大した事じゃないんですよ? ただ私、今までろくに働けもしなかった上、
ウラヌス様には何かと心配ばかりかけていましたから」
「そんな事は、」
「お心遣い感謝します。でも、もういいんです。もう私、大丈夫ですから。だから――」
ネーアが笑顔を浮かべた。
それは何かを悟ったような、諦めに似た表情で。
メライガにはそれが泣き顔に見えた。
そして、
「もう、私に構わないで下さい」
一瞬。メライガは我が耳を疑った。
(そんな、馬鹿な)
二人が付き合っている? 冗談ではない。それどころかネーアの方からウラヌスを突き放した。
(これは、一体どういう……)
「――ウラヌス様」
メライガの背中から別のメイドの声。その場に居た三人が同時に声の主を見る。
勝手口から顔を除かせたのは、テミスという名のメイドだ。
「昼食の用意が出来ました。食堂へお出でください」
事務的な声。必要最低限の事しか喋らないところはメライガと似ているが、
テミスの声には有無を言わさず他者を従わせるような迫力がある。
「いや、だが、」
「使用人如きにウラヌス様が気を遣う必要はございません」
ちらりとネーアとメライガを盗み見る。
テミスは責任感が強く、規律や体制と言った物を尊重する彼女は、元無能者ネーアや、
それに絡む三人のメイドを快く思っては居ない。
メイド長のティジフォーンには頭が上がらないが。
また、テミスはその頭の固さから、同僚達に敬遠されている。
679 名前:乙×風【無限の果肉 第七話】 :04/05/14 11:34 ID:S41XYLsI
「そうです。どうぞお食事に行ってください」
ネーアが同調する。
「……分かった」
渋々といった様子でウラヌスが歩き出し、屋敷の中へと消えた。
「――ネーアさんもメライガさんも、早く持ち場に戻って下さい」
まるで自分の方が偉い、とでもいうような口調で言い放つと、踵を返した。
「確かに、長話が過ぎました」
ネーアがウラヌスを突き放した以上、彼女が自分達の障害となる事は無い。
(ライバルが一人減りましたね)
「私達も戻りましょう。あまり遅くなっては皆が怪しみます」
ネーアの方を振り返る。
「――ネーアさん?」
訝しげに声を掛ける。ネーアは自らの体を抱いて震えていた。
「メライガさん……っ……私、言いましたよね? ウラヌス様とは、付き合っていないって」
「何を――」
(待って下さい。その言い方では『ウラヌス様とは交際いないだけで他の誰かとは
交際している』、という事になります)
だが、今更そんな事を知っても何の特にもならない。メライガにとってはウラヌスを狙う
全ての女が敵であり、容赦はしないが、そうでない者にはあくまで無関心だ。
「だからどうしました。貴方が誰と付き合おうが貴方の勝手ですし私には関係有りません」
ネーアに背を向ける。
「待って、下さいっ!」
必死の声に、メライガは振り向く。ネーアが膝を突きながら震えていた。
熱でもあるのか肩で息をし、気だるげな目でメライガを上目遣いに見上げている。
(ここしばらくは健康の塊のようなものだと思っていましたが。そうでもないようですね)
自分に関係の無い事に対しては無関心だが、慈悲の心くらいは持っている。
「風邪でも引いたのですか」
手を伸ばす。ネーアは差し出された手を取ると、
力任せにメライガの体を引っ張った。
680 名前:乙×風【無限の果肉 第七話】 :04/05/14 11:35 ID:S41XYLsI
メライガの視界が回り、背中に衝撃を感じる。
抵抗する間もなく、何をされたかも気付く間もなく。
気が付けば、仰向けに倒れていた。
「なっ、何を!」
起き上がろうとするが、馬乗りになったネーアに阻止される。
両肩を地面に押さえつけられ、身動きが取れなかった。
この華奢な腕の何処にそんな力があるのか、
万力で締め付けられたようにピクリとも動かせない。同時に肩の骨が悲鳴を上げた。
「ああっ!」
メライガの顔が苦痛に歪む。
「ああ、ごめん、なさい。力加減を――はあ――間違いました」
肩への荷重が少しだけ軽くなる。
苦痛から開放されたメライガはネーアの顔を見た。
――あどけなさの残る少女の顔に、凄艶とした微笑を浮かべていた。
人目で分かる。
犬のように呼気を荒げ、制服から除く肌を高潮させ、瞳を濡らせたネーアは、
(私に、欲情しているっ?)
ぞっとした。今目の前に居るのは、いつかの夜にあられもない喘ぎ声を上げていた雌だ。
ぺろり、と舌なめずりネーアに背筋が寒くなる。
「はぁ……はぁ……メライガさんが、いけないんですよ……こんな、人気の無い所に
私を連れてきて……はあ……ずっと指の傷を見せびらかすから……はあ……私、
我慢出来なく、なったんですよ?」
「何を言って――っ!?」
突如ネーアが覆い被さり、抱き締められる。
香水だと思っていた匂いがきつくなる。まるで、花の香りと、淫汁の生臭さを足したような匂い。
(……この匂い。嗅いでると頭が呆として……)
思考に徐々に霧が掛かっていく感覚の中、ネーアに耳元で囁やかれた。
「最初は、少し痛いかも」
その言葉にはっとした。ネーアに左腕を抱き寄せられる。
「――っ!?」
681 名前:乙×風【無限の果肉 第七話】 :04/05/14 11:36 ID:S41XYLsI
同時に左の親指に激痛。メライガからはネーアの頭部で視界を遮られ見る事は出来ないが、
ネーアが彼女の傷口を爪で抉ったのだ。
じくじくと疼く痛みに顔をしかめていると、今度は生暖かく、ぬめりを持った感触が傷口を覆った。
痛みと、その不快感のギャップに、電撃でも打たれたように体が跳ねる。
「な、何をしているのです!?」
見るまでもなく分かる。この感触は、
(私の指を、しゃぶっているっ? いや、むしろこれは……)
溢れ出る血を、啜っている。
メライガの問いに、ネーアはチュパチュパという卑猥な音を立てて応えた。
その音が、鼻を付く濃厚な香りが、何より自分に欲情する同僚に傷口を舐められるという
異常なシチュエーションが――メライガの理性を少しづつ削り取っていく。
それだけではない。
「ちゅぷちゅぷちゅぷ、ちゅるるるっ」
「……ん」
唾液まみれになっていく親指が気持ち良い。
痛む傷口を舌で擦り付けられる度に、じわり、と疼くような痺れが生まれる。
その淫らな感覚に、体を委ねていたい、とすら思うようになり――
(な、なにを私は考えているのです!?)
すんでの情欲を振り払う。
冗談ではなかった。何が悲しくて元恋敵に傷口をしゃぶられ恍惚としなければならないのか。
682 名前:乙×風【無限の果肉 第七話】 :04/05/14 11:38 ID:S41XYLsI
だが、この状況を打開しようとも、抱きつくネーアを振り払うだけの力は無い。
せめてどちらかの腕が自由になれば、護身用にと、いつも懐に携帯している雷撃の魔石を
使う事が出来るのだが。
「ちゅぱっ、ちゅぱっ、ぢゅぅぅぅぅっっ――ぷはっ、はあ、はあ……」
満足したのか、どこか卑猥なおしゃぶりを中断し、ネーアは呼吸を整える。
「……物足りない……メライガさんの、血、おいしかったけど、これだけじゃ、足りない」
その言葉に心が騒いだ。
ネーアが密着していたメライガから離れ、再び馬乗りになる。
メライガの目の前に、情欲に飢えた雌の顔がある。
「……今度は、こっちのが、沢山、欲しい」
そう言って、ネーアがメライガの下腹部辺りに濡れた目を向けた。
(まさか)
最悪の事態を思い浮かべた。
蒼白になるメライガの顔を見て、ネーアが妖艶な笑みを浮かべる。
「でも、最初は、キスからです」
「なっ! やめなさい!」
制止の声など聞く筈も無い、ネーアは息を荒げたままメライガに顔を近づけ、
その顔が弾かれたように後ろを振り向いた。
獲物を発見した時の肉食獣を連想させる俊敏な動作。同時にそれは、
メライガへの注意が逸れる最初で最後の瞬間だった。
それを彼女は逃さなかった。覆い被さっているネーアを渾身の力を使って跳ね除ける。
「……あ」
呆然とするネーアの表情を見ながら、懐から魔石を取り出す。
そして、メライガは何の躊躇もなく、それをネーアに押し付けると、石の効果を発動させた。
石はメライガの想いに応え、ネーアの体だけに電撃を放つ。
「――あぁっ!?」
ネーアは体を痙攣させ白い喉を晒すと、そのまま芝生の絨毯へと倒れ伏した。
「はあ……はあ……」
683 名前:乙×風【無限の果肉 第七話】 :04/05/14 11:39 ID:S41XYLsI
(助かり、ました)
起き上がる気配の無いネーアに安堵の息を吐きかける。
(一体、どうなっているのか)
ネーアの恍惚とした表情、淫魔のような笑み、そしてあの異常な行動。
気が違ったとしか思えない。
(それにこの匂い)
改めてこの一体の空気を嗅ぎ取ると、女の性臭と花の匂いが混じった濃厚な香りで満ちている。
「どうであれ、長居は無用です」
こんなところを誰かに見られたら事だ。
慌ててメライガは立ち上がり踵を返した。
――その姿を、二つの視線が追っていた。
697 名前:乙×風【無限の果肉 第七話】 :04/05/21 11:18 ID:b+SGKAyQ
<翳る日常 後編>
「きゃー! 見た見たっ? スキャンダルよ! スキャンダル!」
金髪ツインテールのメイド少女が黄色い声を上げながらはしゃぐ。
「お姉ちゃんっ。はしゃいでる場合じゃないよぅ。ネーアさん、倒れたまま動かないよ?
怪我したんじゃないのかな……?」
おどおどといった感じで抗議の声を上げているのは隣の少女と瓜二つの顔であり、
違うのはこちらの少女の髪型がサイドテールという事くらい。
この二人、最近ウラヌスに拾われた戦災孤児で、メイドの中でもフェルナの次に若い、
双子の姉妹だった。
「だーいじょーぶよ。寝てるだけだって。ほら、昨日だって仕事中にぐーすか寝てた、
って話じゃない? 今もそうだって!」
このツインテールの活発な少女が、姉のポリタス。
常日頃から刺激を求めては問題を掘り起こし、拡大させるトラブルメーカーである。
趣味は尾ひれと背びれを付けた噂を広める事。
「え、え? でも、一瞬、びりっ、ってなったよ!? ちょっと痙攣してたよ!?
なにか光ってたよ!?」
不安げな面持ちでサイドテールを揺らしているこの少女が妹のコルタス。
ネタを見つけては暴走する姉を抑制するストッパーとして日々気苦労が絶えない。
だが真面目そうに見えても15歳というお年頃。性への関心は尽きない。
ちなみに彼女はかなりの面食いである。
「うーん。……あぁ! きっと気持ちよかったのよっ。よくあるじゃない、こう、
鞭で叩かれたり、電気流されたりして、痛いー! でも気持ちいいー! みたいなっ」
「……そ、そんなの知らないよ!」
かなりディープな話題にコルタスが顔を真っ赤に染める。
「コルタスはウブねぇ」
「お、お姉ちゃんがおマセなだけだよっ」
「何言ってるのっ。これくらいはレディの必須知識よっ」
「お姉ちゃん。わたし的には色々と突っ込みたいんだけど。とりあえず
レディを名乗るんだったらブラをつけるくらいお胸は大きくならないとね」
698 名前:乙×風【無限の果肉 第七話】 :04/05/21 11:24 ID:b+SGKAyQ
「うっ……確かにせめて70は欲しいわね」
「でもでもっ。四捨五入すればなんとか70だよ」
「コルタス――言ってて虚しくない?」
「……」「……」
僅かな沈黙の後
『はぁ』
姉妹は同時に羨望と憂いの詰まった息を吐いた。
***
「……はあ」
姉妹が溜息を付いている頃。自室に篭っているフェルナも溜息を付いた。
だが、双子の姉妹の溜息とは意味合いが違う。
「……はあ」
何度目かの溜息。双子達のそれとは違い、フェルナのそれは、風邪を引いた時のような
気だるさと、熱っぽさを帯びていた。
「……何でかなあ。発情期は再来月の筈なのに」呟く。
そう。フェルナは亜人なのだ。人間と獣の特性を両方併せ持つ彼等彼女等には、
発情期と呼ばれるものがある。人間で言うところの排卵日だが、亜人の場合、
年に四回、名前の如く性欲に苛まれる時期がある。
フェルナは先月、込み上げる欲情に必死に耐えていたのだ。
結局本能には勝てず、自分を慰めてしまったのだが。
「どうしよう。フェルナ、病気になっちゃったのかなぁ」また溜息。
(一昨日か、昨日くらいからだよね?)
そのくらいの時期から、亜人のフェルナにしか嗅ぎ取れないほど微かな花の香りが、漂い始めた。
それきり、体調がおかしい。まるで発情期のように、体が熱くなる。
(尻尾の付け根とアソコがムズムズするよぅ)
風邪かもしれないので大事を取って休ませてもらったのはいいが、
逆効果だったような気がした。
「これなら、動いていた方がマシだよぉ」
699 名前:乙×風【無限の果肉 第七話】 :04/05/21 11:26 ID:b+SGKAyQ
だが、嘆いていても仕方が無い。
密室になった自分の部屋の匂いを嗅ぐ。嗅ぎなれた自分の体臭と、微かな性臭がする。
「あう……換気しよっと」
ベッドの上で横になっていた体を起こし、這うようにしてそこから降りると、
おぼつかない足取りで窓まで歩く。窓に手を伸ばし、んしょ、と声を出して開ける。
開け放たれた窓から爽やかな風が入り込んで、フェルナの垂れ耳をパタパタとなびかせる。
「ふう」
外の空気を吸って少しは気分が落ち着いた。
(……そういえばお腹空いちゃった。そろそろご飯だよね?)
思った瞬間何処からとも無くパタパタと、まるではたきで家具の埃を
払っているような音が聞こえてくる。
何の音かと思って首を巡らすと、自分の尻尾が勢いよく左右に振れ、
安物の化粧台(使った事が無い)やらタンスやらを叩いていた。
まるでパブロフの犬。
我ながら本能に忠実な体だ、などと思った時、
「……?」
窓の外から覚えのある匂いが流れ込んできた。スンスンと鼻を動かす。
花の香り。とは言っても中庭にある花壇や、屋敷内に添えられた観賞用の花、
敷地外にある野花の匂い、そのどれにも当てはまらない匂いだった。
強いて言うなら、百合の花に、女の発情臭を掛け合わせたような。
「……きゅううん……」
(この匂い、フェルナをおかしくさせるのと同じだ)
だが、徐々に強くなってくる香りは、普段嗅いでいる匂いの残滓とは
比べ物にならない程、濃厚だ。まるで、匂いの発生源がすぐ近くから
この催淫臭を垂れ流しているような。
「……きゅうん……もうだめぇ……」
強烈な臭気に、尻尾と下腹部の疼きが我慢できなくなる。
もじもじと落ち着きなく腰が動く。心臓は早鐘を打つように暴れ周り、
息が荒くなる。制服から覗く真っ白な素肌が、紅く染まる。
とうとうフェルナは、その場に座り込んだ。
700 名前:乙×風【無限の果肉 第七話】 :04/05/21 11:27 ID:b+SGKAyQ
「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……」
思考と本能が反転していく。
右半身から壁に寄りかかった体勢で左手が、先の姉妹より幾分か成長している
小ぶりな胸を、ゆっくりと制服の上から触る。
「きゃうんっ」
それだけで痺れに似た甘い官能が、フェルナの脳を焼く。
じくり、と子宮が疼いた。
「きゅうん……きゅうぅん……」
物悲しい、すすり泣く様な犬の鳴き声を上げながら、
右手も小さな膨らみの上へと乗せ、擦るようにこね回す。
じわっ、とした愉悦が急速に広がった。
「わうっ!?」
(……なんか、すっごい、気持ちいい……先月の、発情期よりも
ずっとずっと、気持ちいい。なんで? )
予想を上回る快楽に、ムクムクと、二つのポッチが自己主張し始める。
「わうんっ」
まるで性器を弄られた時の様に、二つの勃起が官能を弾けさせた。
(乳首っ、ブラに擦れてっ、きゅううぅんっ、擦れて、びりっ、って!)
「はあっ、はあっ、はあっ…!」
半開きにした愛らしい口から、発情した獣のような吐息が漏れる。
狂ったように二つの腕が、胸を揉み込む。
理性が、本能に駆逐されようとしていた。
(もう、やだっ、もどかしいようっ!)
胸から手が離れる。蛇を思わせる素早い動きで手が後ろに回り、
エプロンの紐を解き、すぐに取り外した。次に腰を浮かせ、
スカートをたくし上げる。健康そうな足、真っ白の下着、そして臍までが露になる。
すでに何回もこういう事をやってきたのだ。その動作は酷く手馴れている。
火照る体が、淫臭を孕んだ空気の流れを感じ取り、ぞくりとした。
際限なく高揚していく気分のままに、両手をたくし上げたスカートの下から
突っ込むと、最小サイズのブラを上方へとずらし、外す。
701 名前:乙×風【無限の果肉 第七話】 :04/05/21 11:29 ID:b+SGKAyQ
再び敏感になった突起物が擦れ、脳内で火花が散った。
「わぅん…っ」
甘い鳴き声を上げると、吐息を荒げながら震える両の掌を胸の頂点へと、
近づけていき、ごくりと、生唾を飲み込む。
そして――両の人差し指で同時に、いやらしく膨らみ勃つピンク色の肉を撫でた。
「――わうぅっ!?」
電気を流されたような快楽に、思わず背筋が伸びた。
その淫らな電気は、フェルナの上半身を嘗め尽くすと、脳を真っ白に染め上げる。
こっちも欲しいとばかりに子宮が疼き、肉のトンネルでこんこんと牝の汁を搾り、
下着を濡らしていく。
(き、きもちいいっ、きもちいい!)
「はっ! はっ! わぅんっ、わぅ……きゅううんっ」
本能が理性を圧倒する。腹から下を剥き出しにしたあられもない格好で、
乳首を、擦り、摘み、、捻り、そして弾く。
その度に脳裏に快楽のスパークが弾け、下着に淫らな染みを作っていく。
(もっと、もっと、もっと、もっと!)
「はあっ! はあっ! はあっ! はあっ!」
いつの間にか、口の端からだらだらと涎が垂れ、足元の地面に糸を引いていた。
牝の汁を存分に吸ってしまった下着が幼い秘裂に張り付き、
いやらしく綻び始めた縦皺の隅々まで透けて見えた。
何度も慰め、劣情を静めてきた体だ、どこが一番感じるか、どういう順番が
より燃えられるか――自分の性感は体が覚えている。
それに従い、ただひたすら狂ったように双房とその頂点をこね回す。
やがて、外から流れ込んでくる例の臭気が気にならなくなるほど、
部屋の中が甘酸っぱい匂いで満たされ、その自分の発情臭で更に興奮する。
「わ、わ、わ、わぅぅぅぅっ!」
快楽にびくびくと体が震えた。
(い、いっちゃう! きもちよすぎて、いっちゃう!
フェルナ、お胸で、おむねでいっちゃうぅ!)
702 名前:乙×風【無限の果肉 第七話】 :04/05/21 11:31 ID:b+SGKAyQ
絶頂を予感した体が痙攣する。愛らしい筈の目は欲情に濡れ、
焦点をぼやけさせる。だらしなく半開きにした口からは涎と共に舌まで垂れ、
銀色の粘着質の糸は冷たい板張りの床に小さな池溜まりを作る。
吐く息は冬でもないのに白い湯気が見えそうなほど、荒く、激しい。
やがて、
「わうっ! わぅっ! わぅっ! わうぅぅぅぅぅぅぅぅんっ!!」
脳みその皺が無くなるのではないかと思うほどの快楽。
視界が真っ白に染まり、キーンと、耳鳴りまで聞こえる。
ビクビクビクビクッ! と体が痙攣し、すぐに体が硬直する。
痙攣した子宮が、何かを飲み込もうと蠢く膣が、大量の蜜を吐き出す。
「はっ、はっ、はっ…はっ……はっ……………はあぁぁ♪……」
じっくりと時間をかけて、筋肉が弛緩していく。
ぶしゅ、という音と共に、下着に張り付く幼い淫裂が、内側から
捲くり上がるように口を開き、湯気が立ちそうな程臭気の強い本気汁を吐き出す。
既に飽和状態だった下着は、それで給水量を遥かに超えてしまい、
さらけ出された太ももや内股に、淫らな光沢を付ける。
まるで浜辺に打ち上げれたクラゲのような有様になってしまったフェルナの顔には、
およそ、幼子には不釣合いな、雌が浮かべる喜悦の表情が浮かんでいた。
ふと。絶頂の余韻にぼんやりする意識の中、ある事にフェルナは気付く。
(――あ……この、フェルナを変にさせる、変な匂いって、)
「ネーアちゃんのエッチな匂いだぁ」
(ネーアちゃん。またエッチな事してるのかなぁ……)
廊下で、フェルナの目前で派手にオルガズムを迎えてしまったネーアの事を思い出す。
――またムラムラしてきた。
(お胸でいっちゃったから……もし、アソコを触ったらどうなるんだろう?)
「はあ……はあ……はあっ……」
気が付けば、また息が荒くなっている。際限の無い劣情、
そして快楽への期待に心臓が早鐘を打つ。
ごく自然に、両手が、水の中にでも入ったような下着へと伸びる。
張り付いた下着を、ズズズッ、とずり下ろす。
703 名前:乙×風【無限の果肉 第七話】 :04/05/21 11:33 ID:b+SGKAyQ
「きゃうんっ!?」
捲くり上がり、物欲しそうにヒクヒクと脈打つ陰部が布地に擦られ、
快楽が弾けた。達した直後には強すぎる刺激に、体をわななかせ、
上と下の口から涎が垂れる。
(き、きもちよすぎっ)
想像以上の気持ち良さに、気後れする。
これ以上自慰を続ければ、ひょっとしたら壊れてしまうんじゃないのだろうか
――そんな不安と。恐らく生涯で最高の快楽を得られるかもしれない――
そんな期待を抱きながら、目線を落とした。
「うわあぁ」
露になった股間。何度も見てきたそこが、白っぽい愛液が糸を引き、
下着の中心部と繋がっている。
(くさいよお)
その雌の臭気、汁の多さに、湯気が立っていると錯覚を覚えそうだった。
耳を澄ますと――壊れたように動く心臓の音、再び荒くなる自分の吐息、
淫らな期待に蠢く唇口の粘着音、思い出したように吹き抜ける風の音、
――そして、パタパタと誰かが廊下を走る音が聞こえた。
反応が、遅れた。
バタンッ!
ノックも何もなしに問答無用で開かれるドア。
「フェルっち、フェルっち! 大ニュース! 大ニュース! さっきね!
庭の方でね! ネーアさんと、メライガさん……が…………」
「お、お姉ちゃんっ、女の子の部屋に入る時は、ちゃんとノックしないと、
っていつも言ってるでしょっ。何かあったらどうする……つもり、なの……?」
嵐のように飛び込んできた金髪の姉妹と、これから嵐の中へと
身を投じようとしていたフェルナの視線がばったりと合う。
口を「あ」の形にして固まる事数秒。
妹のコルタスが顔を真っ赤にすると、顔を両手で覆った。
704 名前:乙×風【無限の果肉 第七話】 :04/05/21 11:34 ID:b+SGKAyQ
姉のポリタスが、口の形を「あ」から「え?」に変え、
続いて「んん?」となり、最後に「にやり」と歪ませる。
フェルナの顔は真っ青だった。
「ふふふふふふふふっ」
天使のような悪魔の笑顔を浮かべながら、ポリタスがフェルナににじり寄る。
「きゅうん……」
お仕置きをされる子犬のように体を震わせ、情けない声を上げる。
目前までやってきたポリタスが、すっと腰を下ろす。
ポンッ、と肩が叩かれた。
ポリタスが何か言おうと口を開き――あまりの臭気にかぶりをを振りつつ、
匂いを払おうと手をパタパタと振る。
その仕草がフェルナの心を酷く傷つけたのは言うまでも無い。
「ああ、ごめんごめん」
仕切り直しのつもりか、再び軽く肩を叩かれる。
「――で? どうだった? ……気持ちよかった?」
囁くようにポリタスの言葉に頭のてっぺんから足の指まで真っ赤になった。
ぷつんっ、と目に見えない何かが切れた。
「出てって――――――――――――――っ!!!」
***
フェルナが不幸な事故に遭っている間、ティジフォーン、レアクト、
メライガの折檻メイド達が、ティジフォーンの部屋へと集っていた。
「で? 話って何よ? こんな所まで呼び出して?」
「ネーアの事です」
気だるげにしているレアクトの問いにメライガが答える。
ネーアと言う名前に、ティジフォーンが忌々しげに顔を歪めた。
「彼女の様子、どことなくおかしいとは思いませんか?」
705 名前:乙×風【無限の果肉 第七話】 :04/05/21 11:36 ID:b+SGKAyQ
「確かに。いつもニコニコ笑っちゃってさ、口数も増えたし、
力仕事まで出来るようになってる。水汲みの件に関しても未だに信じられない」
「反抗期で『むき』になっているだけでしょう」
(むきになっているのは貴方でしょう)
ティジフォーンの推論にメライガが心の中でほくそ笑む。
ティジフォーンに対してだけ、極稀に反抗するネーアに対し、
彼女は嫌がらせのようにネーアに仕事を与えている。
文句も泣き言も言わず、ネーアはそれすらも楽々とこなすのだが。
「そうかもしれません」
適当に相槌を打ちながら、今から言うべき事を脳内で整理する。
「だったらほっとけば? 別に私達にとって不都合な訳じゃないでしょう?
それとも何?『あれだけ』の仕打ちを受けながらまだあの子は、
ウラヌス様の事を諦めてないの?」
くっくっくっ、とレアクトが喉を鳴らす。
メライガがネーアに警告し、自害を促した日――ウラヌスの前で、
凶悪な張り型を使い強制的に絶頂させた時の事を言っているのだろう。
「違います」
「? じゃあ、あの子いまだにウラヌス様の事諦めてないの?」
「それも少し違います」
「はっきりおっしゃりなさい」
ティジフォーンが軽く叱咤する。
実際は、ネーアはウラヌスの事を完璧に諦めたのだろう。今日の行動を見れば
それは分かる。だがその理由が理解出来ない。いや理解出来ない事は、
それだけではない。
――常人では考えられないほどの筋力。怪しげな香水の匂い。
まるで獣のような過敏な反応。それに――
にたり、と口の端を歪めたネーアの顔が脳裏に浮かぶ。
あの狂気が見え隠れする笑顔を思い出す度に背筋が寒くなる。
706 名前:乙×風【無限の果肉 第七話】 :04/05/21 11:37 ID:b+SGKAyQ
(あのような人間を野放しにする訳にはいかない。きっと何か、
良くない事を起こす)
それは確信めいたものだった。
だが、先程の事件を包み隠さず二人に説明する事はしない。
ネーアがウラヌスを振った事を話せば、
少なくとも私達にとっては脅威が減った事が分かる。
メライガがネーアに襲われた事を話しても。ただ笑い話の種になるだけだろう。
「メライガ?」
「どうしたのですか?」
二人に協力を呼びかける為には、少しばかり真実に脚色を加える必要がある。
メライガはティジフォーンを見、レアクトを見ると、静かに宣言した。
「彼女は、ウラヌス様を諦めるどころか、他の者と二股を掛けています」
『……っ!?』
ティジフォーンとレアクトが驚愕の表情を浮かべる。
「――はっ。ただの臆病者かと思ったら。とんだ食わせ者ね。
尻が軽いったりゃありゃしない」
「……っ……っ…!」
レアクトは興奮気味に話、ティジフォーンは怒りに身を振るわせる。
「それは、本当なのですか?」
ティジフォ-ンが尋ねる。それが問題だった。捏造した事実には根拠が無い。
適当な事を言って誤魔化そうとした時、助け舟は意外な所からやってきた。
「それ多分本当よ」
レアクトだった。
(どういう事です?)
「あの子、今でも毎夜のように折檻部屋に足を運ぶのを、私見てる」
「そうですか。そういう事ですか…!」
ティジフォーンが、ばんっ、と化粧台を掌で叩きつける。
「夜、ネーアを呼び出します」
「問い詰める気ですか?」
707 名前:乙×風【無限の果肉 第七話】 :04/05/21 11:38 ID:b+SGKAyQ
「他にどうしろと言うのです!?」
完全に頭に血が上ったティジフォーンをなだめるように言う。
「夜中に折檻部屋に行くのは分かっているんです」
「――ああ、そうね」
こちらの意図に気付いたのかレアクトが得心したように頷く。
「後を着けましょう。弱みを握るんです」
<翳る日常 前編>
最近ネーアの様子がおかしい。
昼食の準備の為に厨房内をめまぐるしく駆け回る彼女を見ながら、
メライガはそう感じた。
例えば――仕事中にミスをしなくなった。笑顔を見せるようになった。
食事を控えるようになった。代わりとばかりに水ばかり飲むようになった
力仕事が出来るようになった――等々。
メライガが気付いていないだけで、他にもまだ何かあるかもしれない。
(どういう事でしょうか)
厨房内を慌しく動き回る同僚達に混じりながら、ネーアを盗み見る。
彼女は包丁を巧みに使いながら食材を刻んでいた。つい先日までは、食材を切るどころか
自分の指を切るような能無しだったというのに。
(私が『忠告』をした次の日くらいからですね。その日を境に何かあったとしか……)
同僚達が、まるで別人のように立ち振る舞うネーアに声を掛けている。
ネーアも応えるように笑顔を見せ、少し前まで口も聞かなかった同僚達と談笑を始めた。
あがり性はそのままなのか、頬が真っ赤に染まっている。
(やはり男……ですか)
力がついた事や、仕事が出来るようになった事は説明がつかないが。
食事を控えて水を多めに摂る。笑顔を見せるようになった――この二点だけ考えるなら、
恋人が出来、しかも現在付き合っている――そう考えれば今のネーアを納得出来る。
(ですが。それは許されない行為です)
この屋敷に男は二人しかいない。
庭師のシレノスと、我等がウラヌス様だけしか。
シレノスは50を過ぎた輩で、いつもメイド達を嘗め回すような視線で見てくる好き者だ。
無精髭も剃らずに身なりも小汚い。性格も、ウラヌスとは違い、貪欲で品が無い。
そんな、人生の負け犬のような浮浪者のような男と付き合う筈も無い。
675 名前:乙×風【無限の果肉 第七話】 :04/05/14 11:28 ID:S41XYLsI
(まあ、あれだけ私達に『折檻』を受けた女です。人生の負け犬と言う意味ではネーアも大して
変わりませんから。案外手懐けられているのかもしれませんが)
ダンッ!
力が入りすぎ、手元に在るまな板の上の魚が一刀の元に真っ二つになる。
少し大きめのその音も、談笑をしている同僚達の耳には届かなかったようだ。
(あれだけ、ウラヌス様を想っていた彼女が、あんな下賎な輩と付き合う分けがありません)
つまり。彼女は、ウラヌスと。
「メライガ?」
「!?」
突如掛けられた声に思考の沼から引きずり上げられる。
目の前には、ネーア。
「何でしょうか?」
「何でしょうか、じゃなくて。指、血が出てるよ」
言われて初めて左の親指から流血していることに気付く。
(なんて不甲斐ない。これではいつもと立場が逆ではありませんか)
メイドのプライドと女のプライドの両方に傷が付き、怒りで視界が揺らぐ。
「雑菌入ったら大変だよ。早く手当てしないと。私、付いていってあげるよ」
余計なお世話です、という言葉が喉元までせり上がるが――
「――そうですね。この状態で調理を行うわけにはいきません。お願いします」
事情を聞きだすには良い機会だった。
包丁を置き、まだ使われて無い水がめに手を突っ込み傷口を軽く洗う。
「行きましょう」
言い放つとネーアの返事も待たずに厨房から退出する。
ダイニングルームを抜け、廊下に出た辺りで、
駆け足のネーアが付いてくると、メライガの横に並んだ。
過去一ヶ月に渡り、あれだけの暴虐を受けたというのに警戒する素振りは見られない。
それどころか、さっきからメライガの指の傷をしきりに見ている。
676 名前:乙×風【無限の果肉 第七話】 :04/05/14 11:30 ID:S41XYLsI
何故か熱っぽい視線で。
その態度に、違和感を感じた。
目の前にいるネーアという同僚と、二日前までの彼女と、重ね合わせる事が出来ない。
「……そんなに私の怪我が気になりますか?」
「え? あのっ、別にっ」
我に返ったように手を慌しく振り回す。
途端に、何かの花のような香りが鼻腔を満たす。
(香水でもつけているのでしょうか?)
だとしたら、彼女が進行形でウラヌスと付き合っているという可能性がますます高まる。
嫉妬心に胸が切なく疼く。もう我慢の限界だった。
「どういうつもりですか」
「……え?」
「とぼけないで下さい、見苦しい。……ウラヌス様と付き合っているのでしょう?」
「ええっ!?」
ネーアが浮かべたのは驚愕の表情。メライガの中の懐疑が確信へと変わっていく。
「違います!」
「違うというなら説明して下さい。食事を疎かにして水ばかり飲んでいる理由は何ですか?
口紅もろくに塗れない女が香水を付ける理由は何ですか? 私達にあれだけ『折檻』を
されながら笑顔を浮かべられる理由は何ですかっ?」
まくし立てるように問い詰める。
なれない事をしたせいか、息が上がった。
「――っ!?」
人の気配を感じ、辺りを見回す。
ダイニングや客間の掃除をしていた同僚達が、慌てて顔を引っ込めた。
(私としたことが)
「あ、痛っ!」
ネーアの腕を引っ張り、洗濯物を運び込む勝手口から庭へ出ると、視線でネーアに訴える。
677 名前:乙×風【無限の果肉 第七話】 :04/05/14 11:31 ID:S41XYLsI
「それは……言えません」
「私があの夜、あれほど警告したというのに……!」
「ち、違います! 私、ウラヌス様とは付き合っていません!」
「そんな言葉、どうやって信じろというのです!」
「それは、あの――――っ!?」
ネーアが何かに気付いたように顔をあげる。
どうしたんです、と声を掛ける暇もなく、予期せぬ人間が現れた。
「ネーア君にメライガ君。こんな所で何を?」
「……体調が優れないので外の空気を吸いに来ました」
虚を突かれたが、ポーカーフェイスを保つと、
メライガの口からとっさの嘘が付いて出る。
「それは良いが……」
ウラヌスが複雑な表情で二人のメイドを――主にネーアを――見る。
(それは、そうですね。ネーアは一度ウラヌス様の前で、あられのない姿を見せたのですから)
ネーアは、悲しげに目を伏せており、ウラヌスとは視線を合わせようともしない。
(……この反応は……)
恋人同士が顔を合わせた時、こんなにもぎこちない対応を取るだろうか。
頬を赤らめたり、気恥ずかしい表情を浮かべたりするものではないのか。
だが今この空間には、後ろ暗さとぎこちなさが混じった空気しかない。
――急にネーアが顔を上げた。
そしてちらりと、メライガに意味深げな目配せをする。
彼女の目には、何らかの決意が宿っていた。
「あの、ウラヌス様」
「……何だね?」
「今まで色々ご迷惑をおかけしましたっ」
ぶんっ、と音が鳴りそうなほどのお辞儀。
『……』
メライガもウラヌスもネーアの意図を測りあぐねて閉口する。
678 名前:乙×風【無限の果肉 第七話】 :04/05/14 11:32 ID:S41XYLsI
「いえ、あのっ、大した事じゃないんですよ? ただ私、今までろくに働けもしなかった上、
ウラヌス様には何かと心配ばかりかけていましたから」
「そんな事は、」
「お心遣い感謝します。でも、もういいんです。もう私、大丈夫ですから。だから――」
ネーアが笑顔を浮かべた。
それは何かを悟ったような、諦めに似た表情で。
メライガにはそれが泣き顔に見えた。
そして、
「もう、私に構わないで下さい」
一瞬。メライガは我が耳を疑った。
(そんな、馬鹿な)
二人が付き合っている? 冗談ではない。それどころかネーアの方からウラヌスを突き放した。
(これは、一体どういう……)
「――ウラヌス様」
メライガの背中から別のメイドの声。その場に居た三人が同時に声の主を見る。
勝手口から顔を除かせたのは、テミスという名のメイドだ。
「昼食の用意が出来ました。食堂へお出でください」
事務的な声。必要最低限の事しか喋らないところはメライガと似ているが、
テミスの声には有無を言わさず他者を従わせるような迫力がある。
「いや、だが、」
「使用人如きにウラヌス様が気を遣う必要はございません」
ちらりとネーアとメライガを盗み見る。
テミスは責任感が強く、規律や体制と言った物を尊重する彼女は、元無能者ネーアや、
それに絡む三人のメイドを快く思っては居ない。
メイド長のティジフォーンには頭が上がらないが。
また、テミスはその頭の固さから、同僚達に敬遠されている。
679 名前:乙×風【無限の果肉 第七話】 :04/05/14 11:34 ID:S41XYLsI
「そうです。どうぞお食事に行ってください」
ネーアが同調する。
「……分かった」
渋々といった様子でウラヌスが歩き出し、屋敷の中へと消えた。
「――ネーアさんもメライガさんも、早く持ち場に戻って下さい」
まるで自分の方が偉い、とでもいうような口調で言い放つと、踵を返した。
「確かに、長話が過ぎました」
ネーアがウラヌスを突き放した以上、彼女が自分達の障害となる事は無い。
(ライバルが一人減りましたね)
「私達も戻りましょう。あまり遅くなっては皆が怪しみます」
ネーアの方を振り返る。
「――ネーアさん?」
訝しげに声を掛ける。ネーアは自らの体を抱いて震えていた。
「メライガさん……っ……私、言いましたよね? ウラヌス様とは、付き合っていないって」
「何を――」
(待って下さい。その言い方では『ウラヌス様とは交際いないだけで他の誰かとは
交際している』、という事になります)
だが、今更そんな事を知っても何の特にもならない。メライガにとってはウラヌスを狙う
全ての女が敵であり、容赦はしないが、そうでない者にはあくまで無関心だ。
「だからどうしました。貴方が誰と付き合おうが貴方の勝手ですし私には関係有りません」
ネーアに背を向ける。
「待って、下さいっ!」
必死の声に、メライガは振り向く。ネーアが膝を突きながら震えていた。
熱でもあるのか肩で息をし、気だるげな目でメライガを上目遣いに見上げている。
(ここしばらくは健康の塊のようなものだと思っていましたが。そうでもないようですね)
自分に関係の無い事に対しては無関心だが、慈悲の心くらいは持っている。
「風邪でも引いたのですか」
手を伸ばす。ネーアは差し出された手を取ると、
力任せにメライガの体を引っ張った。
680 名前:乙×風【無限の果肉 第七話】 :04/05/14 11:35 ID:S41XYLsI
メライガの視界が回り、背中に衝撃を感じる。
抵抗する間もなく、何をされたかも気付く間もなく。
気が付けば、仰向けに倒れていた。
「なっ、何を!」
起き上がろうとするが、馬乗りになったネーアに阻止される。
両肩を地面に押さえつけられ、身動きが取れなかった。
この華奢な腕の何処にそんな力があるのか、
万力で締め付けられたようにピクリとも動かせない。同時に肩の骨が悲鳴を上げた。
「ああっ!」
メライガの顔が苦痛に歪む。
「ああ、ごめん、なさい。力加減を――はあ――間違いました」
肩への荷重が少しだけ軽くなる。
苦痛から開放されたメライガはネーアの顔を見た。
――あどけなさの残る少女の顔に、凄艶とした微笑を浮かべていた。
人目で分かる。
犬のように呼気を荒げ、制服から除く肌を高潮させ、瞳を濡らせたネーアは、
(私に、欲情しているっ?)
ぞっとした。今目の前に居るのは、いつかの夜にあられもない喘ぎ声を上げていた雌だ。
ぺろり、と舌なめずりネーアに背筋が寒くなる。
「はぁ……はぁ……メライガさんが、いけないんですよ……こんな、人気の無い所に
私を連れてきて……はあ……ずっと指の傷を見せびらかすから……はあ……私、
我慢出来なく、なったんですよ?」
「何を言って――っ!?」
突如ネーアが覆い被さり、抱き締められる。
香水だと思っていた匂いがきつくなる。まるで、花の香りと、淫汁の生臭さを足したような匂い。
(……この匂い。嗅いでると頭が呆として……)
思考に徐々に霧が掛かっていく感覚の中、ネーアに耳元で囁やかれた。
「最初は、少し痛いかも」
その言葉にはっとした。ネーアに左腕を抱き寄せられる。
「――っ!?」
681 名前:乙×風【無限の果肉 第七話】 :04/05/14 11:36 ID:S41XYLsI
同時に左の親指に激痛。メライガからはネーアの頭部で視界を遮られ見る事は出来ないが、
ネーアが彼女の傷口を爪で抉ったのだ。
じくじくと疼く痛みに顔をしかめていると、今度は生暖かく、ぬめりを持った感触が傷口を覆った。
痛みと、その不快感のギャップに、電撃でも打たれたように体が跳ねる。
「な、何をしているのです!?」
見るまでもなく分かる。この感触は、
(私の指を、しゃぶっているっ? いや、むしろこれは……)
溢れ出る血を、啜っている。
メライガの問いに、ネーアはチュパチュパという卑猥な音を立てて応えた。
その音が、鼻を付く濃厚な香りが、何より自分に欲情する同僚に傷口を舐められるという
異常なシチュエーションが――メライガの理性を少しづつ削り取っていく。
それだけではない。
「ちゅぷちゅぷちゅぷ、ちゅるるるっ」
「……ん」
唾液まみれになっていく親指が気持ち良い。
痛む傷口を舌で擦り付けられる度に、じわり、と疼くような痺れが生まれる。
その淫らな感覚に、体を委ねていたい、とすら思うようになり――
(な、なにを私は考えているのです!?)
すんでの情欲を振り払う。
冗談ではなかった。何が悲しくて元恋敵に傷口をしゃぶられ恍惚としなければならないのか。
682 名前:乙×風【無限の果肉 第七話】 :04/05/14 11:38 ID:S41XYLsI
だが、この状況を打開しようとも、抱きつくネーアを振り払うだけの力は無い。
せめてどちらかの腕が自由になれば、護身用にと、いつも懐に携帯している雷撃の魔石を
使う事が出来るのだが。
「ちゅぱっ、ちゅぱっ、ぢゅぅぅぅぅっっ――ぷはっ、はあ、はあ……」
満足したのか、どこか卑猥なおしゃぶりを中断し、ネーアは呼吸を整える。
「……物足りない……メライガさんの、血、おいしかったけど、これだけじゃ、足りない」
その言葉に心が騒いだ。
ネーアが密着していたメライガから離れ、再び馬乗りになる。
メライガの目の前に、情欲に飢えた雌の顔がある。
「……今度は、こっちのが、沢山、欲しい」
そう言って、ネーアがメライガの下腹部辺りに濡れた目を向けた。
(まさか)
最悪の事態を思い浮かべた。
蒼白になるメライガの顔を見て、ネーアが妖艶な笑みを浮かべる。
「でも、最初は、キスからです」
「なっ! やめなさい!」
制止の声など聞く筈も無い、ネーアは息を荒げたままメライガに顔を近づけ、
その顔が弾かれたように後ろを振り向いた。
獲物を発見した時の肉食獣を連想させる俊敏な動作。同時にそれは、
メライガへの注意が逸れる最初で最後の瞬間だった。
それを彼女は逃さなかった。覆い被さっているネーアを渾身の力を使って跳ね除ける。
「……あ」
呆然とするネーアの表情を見ながら、懐から魔石を取り出す。
そして、メライガは何の躊躇もなく、それをネーアに押し付けると、石の効果を発動させた。
石はメライガの想いに応え、ネーアの体だけに電撃を放つ。
「――あぁっ!?」
ネーアは体を痙攣させ白い喉を晒すと、そのまま芝生の絨毯へと倒れ伏した。
「はあ……はあ……」
683 名前:乙×風【無限の果肉 第七話】 :04/05/14 11:39 ID:S41XYLsI
(助かり、ました)
起き上がる気配の無いネーアに安堵の息を吐きかける。
(一体、どうなっているのか)
ネーアの恍惚とした表情、淫魔のような笑み、そしてあの異常な行動。
気が違ったとしか思えない。
(それにこの匂い)
改めてこの一体の空気を嗅ぎ取ると、女の性臭と花の匂いが混じった濃厚な香りで満ちている。
「どうであれ、長居は無用です」
こんなところを誰かに見られたら事だ。
慌ててメライガは立ち上がり踵を返した。
――その姿を、二つの視線が追っていた。
697 名前:乙×風【無限の果肉 第七話】 :04/05/21 11:18 ID:b+SGKAyQ
<翳る日常 後編>
「きゃー! 見た見たっ? スキャンダルよ! スキャンダル!」
金髪ツインテールのメイド少女が黄色い声を上げながらはしゃぐ。
「お姉ちゃんっ。はしゃいでる場合じゃないよぅ。ネーアさん、倒れたまま動かないよ?
怪我したんじゃないのかな……?」
おどおどといった感じで抗議の声を上げているのは隣の少女と瓜二つの顔であり、
違うのはこちらの少女の髪型がサイドテールという事くらい。
この二人、最近ウラヌスに拾われた戦災孤児で、メイドの中でもフェルナの次に若い、
双子の姉妹だった。
「だーいじょーぶよ。寝てるだけだって。ほら、昨日だって仕事中にぐーすか寝てた、
って話じゃない? 今もそうだって!」
このツインテールの活発な少女が、姉のポリタス。
常日頃から刺激を求めては問題を掘り起こし、拡大させるトラブルメーカーである。
趣味は尾ひれと背びれを付けた噂を広める事。
「え、え? でも、一瞬、びりっ、ってなったよ!? ちょっと痙攣してたよ!?
なにか光ってたよ!?」
不安げな面持ちでサイドテールを揺らしているこの少女が妹のコルタス。
ネタを見つけては暴走する姉を抑制するストッパーとして日々気苦労が絶えない。
だが真面目そうに見えても15歳というお年頃。性への関心は尽きない。
ちなみに彼女はかなりの面食いである。
「うーん。……あぁ! きっと気持ちよかったのよっ。よくあるじゃない、こう、
鞭で叩かれたり、電気流されたりして、痛いー! でも気持ちいいー! みたいなっ」
「……そ、そんなの知らないよ!」
かなりディープな話題にコルタスが顔を真っ赤に染める。
「コルタスはウブねぇ」
「お、お姉ちゃんがおマセなだけだよっ」
「何言ってるのっ。これくらいはレディの必須知識よっ」
「お姉ちゃん。わたし的には色々と突っ込みたいんだけど。とりあえず
レディを名乗るんだったらブラをつけるくらいお胸は大きくならないとね」
698 名前:乙×風【無限の果肉 第七話】 :04/05/21 11:24 ID:b+SGKAyQ
「うっ……確かにせめて70は欲しいわね」
「でもでもっ。四捨五入すればなんとか70だよ」
「コルタス――言ってて虚しくない?」
「……」「……」
僅かな沈黙の後
『はぁ』
姉妹は同時に羨望と憂いの詰まった息を吐いた。
***
「……はあ」
姉妹が溜息を付いている頃。自室に篭っているフェルナも溜息を付いた。
だが、双子の姉妹の溜息とは意味合いが違う。
「……はあ」
何度目かの溜息。双子達のそれとは違い、フェルナのそれは、風邪を引いた時のような
気だるさと、熱っぽさを帯びていた。
「……何でかなあ。発情期は再来月の筈なのに」呟く。
そう。フェルナは亜人なのだ。人間と獣の特性を両方併せ持つ彼等彼女等には、
発情期と呼ばれるものがある。人間で言うところの排卵日だが、亜人の場合、
年に四回、名前の如く性欲に苛まれる時期がある。
フェルナは先月、込み上げる欲情に必死に耐えていたのだ。
結局本能には勝てず、自分を慰めてしまったのだが。
「どうしよう。フェルナ、病気になっちゃったのかなぁ」また溜息。
(一昨日か、昨日くらいからだよね?)
そのくらいの時期から、亜人のフェルナにしか嗅ぎ取れないほど微かな花の香りが、漂い始めた。
それきり、体調がおかしい。まるで発情期のように、体が熱くなる。
(尻尾の付け根とアソコがムズムズするよぅ)
風邪かもしれないので大事を取って休ませてもらったのはいいが、
逆効果だったような気がした。
「これなら、動いていた方がマシだよぉ」
699 名前:乙×風【無限の果肉 第七話】 :04/05/21 11:26 ID:b+SGKAyQ
だが、嘆いていても仕方が無い。
密室になった自分の部屋の匂いを嗅ぐ。嗅ぎなれた自分の体臭と、微かな性臭がする。
「あう……換気しよっと」
ベッドの上で横になっていた体を起こし、這うようにしてそこから降りると、
おぼつかない足取りで窓まで歩く。窓に手を伸ばし、んしょ、と声を出して開ける。
開け放たれた窓から爽やかな風が入り込んで、フェルナの垂れ耳をパタパタとなびかせる。
「ふう」
外の空気を吸って少しは気分が落ち着いた。
(……そういえばお腹空いちゃった。そろそろご飯だよね?)
思った瞬間何処からとも無くパタパタと、まるではたきで家具の埃を
払っているような音が聞こえてくる。
何の音かと思って首を巡らすと、自分の尻尾が勢いよく左右に振れ、
安物の化粧台(使った事が無い)やらタンスやらを叩いていた。
まるでパブロフの犬。
我ながら本能に忠実な体だ、などと思った時、
「……?」
窓の外から覚えのある匂いが流れ込んできた。スンスンと鼻を動かす。
花の香り。とは言っても中庭にある花壇や、屋敷内に添えられた観賞用の花、
敷地外にある野花の匂い、そのどれにも当てはまらない匂いだった。
強いて言うなら、百合の花に、女の発情臭を掛け合わせたような。
「……きゅううん……」
(この匂い、フェルナをおかしくさせるのと同じだ)
だが、徐々に強くなってくる香りは、普段嗅いでいる匂いの残滓とは
比べ物にならない程、濃厚だ。まるで、匂いの発生源がすぐ近くから
この催淫臭を垂れ流しているような。
「……きゅうん……もうだめぇ……」
強烈な臭気に、尻尾と下腹部の疼きが我慢できなくなる。
もじもじと落ち着きなく腰が動く。心臓は早鐘を打つように暴れ周り、
息が荒くなる。制服から覗く真っ白な素肌が、紅く染まる。
とうとうフェルナは、その場に座り込んだ。
700 名前:乙×風【無限の果肉 第七話】 :04/05/21 11:27 ID:b+SGKAyQ
「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……」
思考と本能が反転していく。
右半身から壁に寄りかかった体勢で左手が、先の姉妹より幾分か成長している
小ぶりな胸を、ゆっくりと制服の上から触る。
「きゃうんっ」
それだけで痺れに似た甘い官能が、フェルナの脳を焼く。
じくり、と子宮が疼いた。
「きゅうん……きゅうぅん……」
物悲しい、すすり泣く様な犬の鳴き声を上げながら、
右手も小さな膨らみの上へと乗せ、擦るようにこね回す。
じわっ、とした愉悦が急速に広がった。
「わうっ!?」
(……なんか、すっごい、気持ちいい……先月の、発情期よりも
ずっとずっと、気持ちいい。なんで? )
予想を上回る快楽に、ムクムクと、二つのポッチが自己主張し始める。
「わうんっ」
まるで性器を弄られた時の様に、二つの勃起が官能を弾けさせた。
(乳首っ、ブラに擦れてっ、きゅううぅんっ、擦れて、びりっ、って!)
「はあっ、はあっ、はあっ…!」
半開きにした愛らしい口から、発情した獣のような吐息が漏れる。
狂ったように二つの腕が、胸を揉み込む。
理性が、本能に駆逐されようとしていた。
(もう、やだっ、もどかしいようっ!)
胸から手が離れる。蛇を思わせる素早い動きで手が後ろに回り、
エプロンの紐を解き、すぐに取り外した。次に腰を浮かせ、
スカートをたくし上げる。健康そうな足、真っ白の下着、そして臍までが露になる。
すでに何回もこういう事をやってきたのだ。その動作は酷く手馴れている。
火照る体が、淫臭を孕んだ空気の流れを感じ取り、ぞくりとした。
際限なく高揚していく気分のままに、両手をたくし上げたスカートの下から
突っ込むと、最小サイズのブラを上方へとずらし、外す。
701 名前:乙×風【無限の果肉 第七話】 :04/05/21 11:29 ID:b+SGKAyQ
再び敏感になった突起物が擦れ、脳内で火花が散った。
「わぅん…っ」
甘い鳴き声を上げると、吐息を荒げながら震える両の掌を胸の頂点へと、
近づけていき、ごくりと、生唾を飲み込む。
そして――両の人差し指で同時に、いやらしく膨らみ勃つピンク色の肉を撫でた。
「――わうぅっ!?」
電気を流されたような快楽に、思わず背筋が伸びた。
その淫らな電気は、フェルナの上半身を嘗め尽くすと、脳を真っ白に染め上げる。
こっちも欲しいとばかりに子宮が疼き、肉のトンネルでこんこんと牝の汁を搾り、
下着を濡らしていく。
(き、きもちいいっ、きもちいい!)
「はっ! はっ! わぅんっ、わぅ……きゅううんっ」
本能が理性を圧倒する。腹から下を剥き出しにしたあられもない格好で、
乳首を、擦り、摘み、、捻り、そして弾く。
その度に脳裏に快楽のスパークが弾け、下着に淫らな染みを作っていく。
(もっと、もっと、もっと、もっと!)
「はあっ! はあっ! はあっ! はあっ!」
いつの間にか、口の端からだらだらと涎が垂れ、足元の地面に糸を引いていた。
牝の汁を存分に吸ってしまった下着が幼い秘裂に張り付き、
いやらしく綻び始めた縦皺の隅々まで透けて見えた。
何度も慰め、劣情を静めてきた体だ、どこが一番感じるか、どういう順番が
より燃えられるか――自分の性感は体が覚えている。
それに従い、ただひたすら狂ったように双房とその頂点をこね回す。
やがて、外から流れ込んでくる例の臭気が気にならなくなるほど、
部屋の中が甘酸っぱい匂いで満たされ、その自分の発情臭で更に興奮する。
「わ、わ、わ、わぅぅぅぅっ!」
快楽にびくびくと体が震えた。
(い、いっちゃう! きもちよすぎて、いっちゃう!
フェルナ、お胸で、おむねでいっちゃうぅ!)
702 名前:乙×風【無限の果肉 第七話】 :04/05/21 11:31 ID:b+SGKAyQ
絶頂を予感した体が痙攣する。愛らしい筈の目は欲情に濡れ、
焦点をぼやけさせる。だらしなく半開きにした口からは涎と共に舌まで垂れ、
銀色の粘着質の糸は冷たい板張りの床に小さな池溜まりを作る。
吐く息は冬でもないのに白い湯気が見えそうなほど、荒く、激しい。
やがて、
「わうっ! わぅっ! わぅっ! わうぅぅぅぅぅぅぅぅんっ!!」
脳みその皺が無くなるのではないかと思うほどの快楽。
視界が真っ白に染まり、キーンと、耳鳴りまで聞こえる。
ビクビクビクビクッ! と体が痙攣し、すぐに体が硬直する。
痙攣した子宮が、何かを飲み込もうと蠢く膣が、大量の蜜を吐き出す。
「はっ、はっ、はっ…はっ……はっ……………はあぁぁ♪……」
じっくりと時間をかけて、筋肉が弛緩していく。
ぶしゅ、という音と共に、下着に張り付く幼い淫裂が、内側から
捲くり上がるように口を開き、湯気が立ちそうな程臭気の強い本気汁を吐き出す。
既に飽和状態だった下着は、それで給水量を遥かに超えてしまい、
さらけ出された太ももや内股に、淫らな光沢を付ける。
まるで浜辺に打ち上げれたクラゲのような有様になってしまったフェルナの顔には、
およそ、幼子には不釣合いな、雌が浮かべる喜悦の表情が浮かんでいた。
ふと。絶頂の余韻にぼんやりする意識の中、ある事にフェルナは気付く。
(――あ……この、フェルナを変にさせる、変な匂いって、)
「ネーアちゃんのエッチな匂いだぁ」
(ネーアちゃん。またエッチな事してるのかなぁ……)
廊下で、フェルナの目前で派手にオルガズムを迎えてしまったネーアの事を思い出す。
――またムラムラしてきた。
(お胸でいっちゃったから……もし、アソコを触ったらどうなるんだろう?)
「はあ……はあ……はあっ……」
気が付けば、また息が荒くなっている。際限の無い劣情、
そして快楽への期待に心臓が早鐘を打つ。
ごく自然に、両手が、水の中にでも入ったような下着へと伸びる。
張り付いた下着を、ズズズッ、とずり下ろす。
703 名前:乙×風【無限の果肉 第七話】 :04/05/21 11:33 ID:b+SGKAyQ
「きゃうんっ!?」
捲くり上がり、物欲しそうにヒクヒクと脈打つ陰部が布地に擦られ、
快楽が弾けた。達した直後には強すぎる刺激に、体をわななかせ、
上と下の口から涎が垂れる。
(き、きもちよすぎっ)
想像以上の気持ち良さに、気後れする。
これ以上自慰を続ければ、ひょっとしたら壊れてしまうんじゃないのだろうか
――そんな不安と。恐らく生涯で最高の快楽を得られるかもしれない――
そんな期待を抱きながら、目線を落とした。
「うわあぁ」
露になった股間。何度も見てきたそこが、白っぽい愛液が糸を引き、
下着の中心部と繋がっている。
(くさいよお)
その雌の臭気、汁の多さに、湯気が立っていると錯覚を覚えそうだった。
耳を澄ますと――壊れたように動く心臓の音、再び荒くなる自分の吐息、
淫らな期待に蠢く唇口の粘着音、思い出したように吹き抜ける風の音、
――そして、パタパタと誰かが廊下を走る音が聞こえた。
反応が、遅れた。
バタンッ!
ノックも何もなしに問答無用で開かれるドア。
「フェルっち、フェルっち! 大ニュース! 大ニュース! さっきね!
庭の方でね! ネーアさんと、メライガさん……が…………」
「お、お姉ちゃんっ、女の子の部屋に入る時は、ちゃんとノックしないと、
っていつも言ってるでしょっ。何かあったらどうする……つもり、なの……?」
嵐のように飛び込んできた金髪の姉妹と、これから嵐の中へと
身を投じようとしていたフェルナの視線がばったりと合う。
口を「あ」の形にして固まる事数秒。
妹のコルタスが顔を真っ赤にすると、顔を両手で覆った。
704 名前:乙×風【無限の果肉 第七話】 :04/05/21 11:34 ID:b+SGKAyQ
姉のポリタスが、口の形を「あ」から「え?」に変え、
続いて「んん?」となり、最後に「にやり」と歪ませる。
フェルナの顔は真っ青だった。
「ふふふふふふふふっ」
天使のような悪魔の笑顔を浮かべながら、ポリタスがフェルナににじり寄る。
「きゅうん……」
お仕置きをされる子犬のように体を震わせ、情けない声を上げる。
目前までやってきたポリタスが、すっと腰を下ろす。
ポンッ、と肩が叩かれた。
ポリタスが何か言おうと口を開き――あまりの臭気にかぶりをを振りつつ、
匂いを払おうと手をパタパタと振る。
その仕草がフェルナの心を酷く傷つけたのは言うまでも無い。
「ああ、ごめんごめん」
仕切り直しのつもりか、再び軽く肩を叩かれる。
「――で? どうだった? ……気持ちよかった?」
囁くようにポリタスの言葉に頭のてっぺんから足の指まで真っ赤になった。
ぷつんっ、と目に見えない何かが切れた。
「出てって――――――――――――――っ!!!」
***
フェルナが不幸な事故に遭っている間、ティジフォーン、レアクト、
メライガの折檻メイド達が、ティジフォーンの部屋へと集っていた。
「で? 話って何よ? こんな所まで呼び出して?」
「ネーアの事です」
気だるげにしているレアクトの問いにメライガが答える。
ネーアと言う名前に、ティジフォーンが忌々しげに顔を歪めた。
「彼女の様子、どことなくおかしいとは思いませんか?」
705 名前:乙×風【無限の果肉 第七話】 :04/05/21 11:36 ID:b+SGKAyQ
「確かに。いつもニコニコ笑っちゃってさ、口数も増えたし、
力仕事まで出来るようになってる。水汲みの件に関しても未だに信じられない」
「反抗期で『むき』になっているだけでしょう」
(むきになっているのは貴方でしょう)
ティジフォーンの推論にメライガが心の中でほくそ笑む。
ティジフォーンに対してだけ、極稀に反抗するネーアに対し、
彼女は嫌がらせのようにネーアに仕事を与えている。
文句も泣き言も言わず、ネーアはそれすらも楽々とこなすのだが。
「そうかもしれません」
適当に相槌を打ちながら、今から言うべき事を脳内で整理する。
「だったらほっとけば? 別に私達にとって不都合な訳じゃないでしょう?
それとも何?『あれだけ』の仕打ちを受けながらまだあの子は、
ウラヌス様の事を諦めてないの?」
くっくっくっ、とレアクトが喉を鳴らす。
メライガがネーアに警告し、自害を促した日――ウラヌスの前で、
凶悪な張り型を使い強制的に絶頂させた時の事を言っているのだろう。
「違います」
「? じゃあ、あの子いまだにウラヌス様の事諦めてないの?」
「それも少し違います」
「はっきりおっしゃりなさい」
ティジフォーンが軽く叱咤する。
実際は、ネーアはウラヌスの事を完璧に諦めたのだろう。今日の行動を見れば
それは分かる。だがその理由が理解出来ない。いや理解出来ない事は、
それだけではない。
――常人では考えられないほどの筋力。怪しげな香水の匂い。
まるで獣のような過敏な反応。それに――
にたり、と口の端を歪めたネーアの顔が脳裏に浮かぶ。
あの狂気が見え隠れする笑顔を思い出す度に背筋が寒くなる。
706 名前:乙×風【無限の果肉 第七話】 :04/05/21 11:37 ID:b+SGKAyQ
(あのような人間を野放しにする訳にはいかない。きっと何か、
良くない事を起こす)
それは確信めいたものだった。
だが、先程の事件を包み隠さず二人に説明する事はしない。
ネーアがウラヌスを振った事を話せば、
少なくとも私達にとっては脅威が減った事が分かる。
メライガがネーアに襲われた事を話しても。ただ笑い話の種になるだけだろう。
「メライガ?」
「どうしたのですか?」
二人に協力を呼びかける為には、少しばかり真実に脚色を加える必要がある。
メライガはティジフォーンを見、レアクトを見ると、静かに宣言した。
「彼女は、ウラヌス様を諦めるどころか、他の者と二股を掛けています」
『……っ!?』
ティジフォーンとレアクトが驚愕の表情を浮かべる。
「――はっ。ただの臆病者かと思ったら。とんだ食わせ者ね。
尻が軽いったりゃありゃしない」
「……っ……っ…!」
レアクトは興奮気味に話、ティジフォーンは怒りに身を振るわせる。
「それは、本当なのですか?」
ティジフォ-ンが尋ねる。それが問題だった。捏造した事実には根拠が無い。
適当な事を言って誤魔化そうとした時、助け舟は意外な所からやってきた。
「それ多分本当よ」
レアクトだった。
(どういう事です?)
「あの子、今でも毎夜のように折檻部屋に足を運ぶのを、私見てる」
「そうですか。そういう事ですか…!」
ティジフォーンが、ばんっ、と化粧台を掌で叩きつける。
「夜、ネーアを呼び出します」
「問い詰める気ですか?」
707 名前:乙×風【無限の果肉 第七話】 :04/05/21 11:38 ID:b+SGKAyQ
「他にどうしろと言うのです!?」
完全に頭に血が上ったティジフォーンをなだめるように言う。
「夜中に折檻部屋に行くのは分かっているんです」
「――ああ、そうね」
こちらの意図に気付いたのかレアクトが得心したように頷く。
「後を着けましょう。弱みを握るんです」
Code:Illusion 4章(2スレ目分)
635 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/04/30 01:33 ID:vsmNS7zT
4章
あたしは、強くなるために「光」の騎士団に入った。
どうして強くなる必要があったのかって?
今じゃもう、思い出せないな・・・。
「ねぇクライン、まだミリアは見つからないの?」
しかしクラインは首を横に振るだけだった。
「そっか・・・。」
エルはミリアのことを非常に心配している。
同じ年であり、育った町も同じ。
いわゆる『幼なじみ』とでも言えよう。
「ミリア・・・、もしかしてもう・・・」
「バカじゃないの!? そんなことあるわけ!」
キールの弱音にエルは怒鳴る。
だがエル自身、その台詞を皆まで言うことはできなかった。
やはり心のどこかで、ミリアの身に『最悪の事態』が起きていると考えてしまってるのだ。
事実、人間というものは恐怖や焦燥、心配といった精神異常に弱い。
いかに精神力の強い者でも、長期間その状態が続けばほぼ誰もが弱気になろう。
「・・・無事であることを祈るしかない。」
寡黙な青年、クラインがエルとキールに言う。
彼はかなり無口なため、戦闘中以外はほとんど口を開かない。
その彼がこうして二人に声をかけるということは、やはり彼も――。
636 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/04/30 01:44 ID:vsmNS7zT
ファルは光の主要な都市に来ていた。
先の戦闘で破損してしまったメンバーの武具を見るために。
「・・・どうも」
武器屋の親父から、『週間うえぽん』なる雑誌を買った。
雑誌と言っても写真やら付録やらがついているようなものではない。
紙に武器のラフ画が描いてあり、その特徴、定価などか列挙されているだけだ。
これは武器に限ったことではなく、防具、道具などでもほぼ共通だ。
そして冒険者はこれを目安・参考にして武具を選択するのである。
ファルは武器屋から出ると、行きつけの魔法屋へ向かう。
彼女はマジシャンだ。
それも、普通のマジシャンではなく『イメージマジシャン』とでも言える。
通常、魔法というものは呪文を唱え、精神を集中させて放つものである。
だが彼女は異なる。
ファルの魔法は呪文を唱える必要がない。
代わりに自らの頭の中で、発生させたい事象を事細かに描く。
それがファルの魔法だった。
「いらっしゃい・・・、おや、イメージのお嬢ちゃんね。」
店主は美しい女性だった。
ファルは常連なので、『イメージのお嬢ちゃん』で通っている。
「・・・」
ファルは店主の女性の目を見つめる。
「・・・そう、何かあったのね。」
それだけでファルからただならぬ何かを感じ取る。
658 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/05/11 22:40 ID:3WC5KOsI
「でも私の店にある道具、あなたには役に立たないでしょ?」
「・・・。」
事実だった。
脳内でのイメージに、文字は必要ない。
杖も必要ない。
「そのくせ、何度も来てくれるのはうれしいけどね。」
ファルは頼まれていた品を手に取る。
銀の光沢を持つ十字架、水色の光を放つ水晶球。
店主に渡す。
「・・・破邪のクロスに恵水の水晶。3200ミールね。」
ファルは料金を支払う。
「今度はゾンビ退治でもする気?」
恵水の水晶には、死者を土にかえす効果もある。
そして破邪のクロス。
アンデッド攻略のスタンダード装備だった。
「・・・・・・かもしれないから」
「え?」
ファルはうつむく。
659 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/05/11 22:40 ID:3WC5KOsI
「・・・死んでるかもしれないから!」
「闇にいいように操られてるかもしれないから、それを助けたいって?」
ファルは頷く。
「・・・確証もなしに準備をするのは、辛いだけよ。」
「・・・」
店主は商品を袋にいれ、ファルに手渡す。
ファルはそのまま店の出入り口に歩く。
「・・・また来てね。」
ファルはちらりと店主を仰ぎ、そして店を後にした。
ファルが去って数秒後。
店内の空間がゆがむ。
「・・・!?」
店主は異常を察知し、そのゆがみを見つめる。
ゆがみが大きくなる。穴があく。
「何・・・」
そこから現れたのは、漆黒のローブを着た少女だった。
「あら・・・、もう帰っちゃったかしら」
少女は店内を見回す。
「・・・ドアから入らない客なんて、初めてね」
660 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/05/11 22:41 ID:3WC5KOsI
「ああ、ごめんなさい。・・・さっき、私くらいの女の子が来なかった?」
店主は一瞬のうちに考える。
目の前の少女は何者か、と。
「いいえ、来てないわ」
正体不明の相手に情報を提供することもない。
「私の昔の仲間なんだけどーー」
少女は鼻をスンスンいわせた。
「おかしいわ。あの子のにおいがする。」
(・・・!?)
店主は、うすうす気づいた。
目前の少女が普通の人間ではないことに。
「あなた、さっき嘘ついたでしょう? 来てないって」
「ほ、本当に来てないわよ」
焦る。
「ううん、来た。あの子のにおいがするし、それに――」
「それに?」
「私が産んでいった蟲の気配がするもの」
(闇の者!)
ようやくはっきりした少女の正体。
661 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/05/11 22:42 ID:3WC5KOsI
店主はいつでも魔法を放てるように準備し始める。
「く・・・」
「嘘つくのは良くないよ? お姉さん。」
少女が店主に近づく。
「来ないで!」
「あらぁ・・・、魔法の準備をしてる。私と戦うの?」
(ばれてる・・・)
口で唱えずとも心で唱える。
上級な魔道士にとっては常識。
「無駄だと思うわよ?」
「うるさい!」
店主は魔法を完成させる。
「プラズマウェーブ!」
その手から緑色の光子が無数に放たれる。
光子は少女を貫くかに見えた。
だが。
「だから言ったのに・・・」
少女は右手を店主に差し出す。
すると、緑色の光子はそのまま霧散してしまった。
「・・・!」
唖然とする店主。
662 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/05/11 22:45 ID:3WC5KOsI
プラズマウェーブほどの魔法をかき消すとは・・・。
「プラズマウェーブ。『光』の高位魔法ね。でも、私には効かない。」
「うっ・・・」
「今の魔法で、あなたがかなり上級の魔道士ってことがわかったわ。
あなたを『闇』に染めてあげる。」
少女はローブに手をかけると、そのまま脱ぎ捨てた。
あらわになった体には、いくつもの蟲がまとわりついている。
「む、蟲・・・使い・・・」
「うーん、この間まではそうだったんだけど・・・。今は違うの。」
少女は右手を秘所に持っていく。
その穴から青紫色の触手があらわれ、彼女の手にからみつく。
「ま・・・さか・・・」
「あん・・・。よく見ててね。あはぁん・・・」
嬌声とともに、背中からも触手が伸びてきて少女を包み込む。
次の瞬間に触手が彼女の体から離れると、そこには別なモノがいた。
蟲魔ミリア。
それこそが少女だった。
「う・・・あ・・・!」
目を見開く店主。
「うふふ、驚いた? フェリア様に生まれ変わらせていただいたの。」
663 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/05/11 22:46 ID:3WC5KOsI
妖しく微笑むミリア。
「でも、スタイルはあんまり変わらなかったのよね。
あなたから精気を吸って、改造してみようかしら。」
平気な顔で恐ろしいことを言う。
「もう戦う気も失せたでしょ? 人外を相手にかなうはず、ないものね。」
ミリアはさらに店主に近づく。
店主はすさまじい恐怖に襲われていた。
「だから、選択肢を与えてあげる。」
「あ・・・あ・・・」
「一つ。ここで私に精気を吸い尽くされ、死体となってこの世をさまよう」
魔の者に精気を吸い尽くされれば、その魂は永遠にこの世にとどまることになる。
それは人間にとって最も恐れるべきことだ。
要するに、死ねない・楽になれない・来世に生まれ変われない。
この三拍子がそろってしまうのである。
「二つ。私の触手でズタズタに切り裂かれ、血液を吸い尽くされる。」
「ひ・・・」
ミリアの触手がうねり、店主を一気に絡め取る。
しかし、店主には抵抗すらできない。
664 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/05/11 22:47 ID:3WC5KOsI
「三つ。黒い快楽の虜となり、肉体を改造された後に私の下僕になる
気持ちいいわよぉ、たいていの女の子は狂っちゃうくらい気持ちいいの。」
触手は店主の服をすべて破った。
「さぁ、どれにする? あなたに選ばせてあ・げ・る」
「快・・・楽・・・、快楽を!」
三つの選択肢。
その中で最も甘美なものを、店主は選んだ。
「そうよねぇ、ゾンビになるのはイヤだし、死ぬのも怖いわよねぇ?」
店主はうんうんと頷く。
「それじゃ、早速始めるわよ?」
ミリアはその触手で店主をすぐ近くに引き寄せた。
「そういえば、名前を聞いてなかったわね?」
「ハイリア・・・」
「年は?」
「に、23・・・」
「やっぱり私より年上ね。それだけグラマラスなんだもの、当然よねぇ」
そしてミリアはハイリアを抱きしめた。
「さぁ、たっぷり楽しんでね。ハイリアお姉様。」
ハイリアはミリアから立ちのぼる毒々しくも甘美な香りに酔いしれて、
「ふぁい・・・」
力のない返事をかえした。
まずハイリアを絡め取っているミリアの触手は、蠕動運動のように動き、愛撫を始めた。
「あっ、ああっ・・・」
「お姉様、処女じゃあないみたいね。恋人でもいる?」
「処女は、捨てました・・・あんっ、こ、恋人も、い、ます」
「へぇー、それじゃかなりの好きモノ? 淫乱?」
「はぁ、ん・・・っ、そ、そん、違っ・・・」
665 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/05/11 22:48 ID:3WC5KOsI
乱れながらも答弁を続ける。
「ああ、そうそう。忘れてた。私はミリアっていうの。
フェリア様に力をいただいた、蟲魔のミリア。」
「ちゅ、ま・・・?」
全身を上気させながらも、ハイリアはかろうじて聞き返す。
「そう。フェリア様の配下の、蟲を司る悪魔よ。」
ミリアは右手をハイリアの股間に伸ばす。
「はうぁ・・・、ああぁ・・・」
ミリアの手が触れると、とたんにハイリアの表情が恍惚としたものになる。
すでにハイリアの秘所は、愛液とミリアの体を覆う粘液とでぐちょぐちょだ。
「うふふ、ちょっとさわっただけでこんなに感じて・・・。
お姉様、やっぱり淫乱なんだ?」
「うあふ、そん、なこと、言わない、でぇ・・・、はあ・・・」
口では抵抗しても、体は正直なのは常識である。
「そんな淫乱なお姉様に、私の蟲をプレゼントしちゃうわ」
左手で自らの秘所を愛撫し始めるミリア。
「あん、ああん、んん、いいわぁ・・・、闇って最高・・・。
あはぁ、あああん、ああん・・・、くうぅん!!」
ついには秘所に手を突っ込む。
やがて引き出された手には、筒状でピンク色をした蟲。
「私の体内で合成した蟲よ。魔淫蟲。
蟲の悪魔である私が自らの体で作ったから・・・、きっとすごいわよぉ」
666 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/05/11 22:49 ID:3WC5KOsI
先にミリアが寄生された妖淫蟲は、洗脳効果があるだけ。
しかしこの魔淫蟲は・・・。
「ああああ!」
そうこうしているうちに、ミリアの生み出した魔淫蟲はハイリアの中に入れられた。
もちろん秘所に。
「あああ、いい、イイ!! 気持ちいいいいいいい!!」
もはやその瞳には何も写っておらず、ただただ嬌声をあげるだけ。
「お姉様、きれいよぉ・・・、こんなに乱れて。」
ミリアはハイリアを抱きしめた。
「蟲が早くなじむようにしてあげる」
するとミリアは全身からピンク色の瘴気を発した。
同時にハイリアを床に寝かせ、自らの股間とハイリアの股間を合わせた。
「いくわよぉ」
股間同士でこする。
こする、こする、こする。
「あああ、ああああ! いいいいぁ、気持ち、いいい、ああああ」
もはやハイリアは崩壊寸前。
蟲の効果で高められた性感は、すでに限界に達していた。
そして。
「いっく、いいっくううううっぅぅぅ!!」
ハイリアは弓なりに体をのけぞらせ、激しく、激しく達した。
同時にピンクの瘴気がハイリアを包み込むーー
667 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/05/11 22:51 ID:3WC5KOsI
数分後。
ハイリアは激しい性交の疲れからか、ぐったりとしていた。
秘所と、呼吸に合わせて胸が上下するのみ。
そしてミリアはハイリアの割れ目に口づけをした。
「さぁ、起きてお姉様」
ハイリアはゆっくりと目を開いた。
「感想は?」
「あはぁ・・・、死んじゃうかと思いましたぁ・・・」
「うふふふ・・・、これからは望む時にあの快楽が得られるわ。
ほかの人間を襲って、仲間を増やせばね。」
「ああっ、本当ですかぁ? 私がんばりますぅ・・・」
ハイリアは性格までも作り替えられた。
清楚な魔術師から、淫乱な猥女に。
その秘所の割れ目からは、無数の触手が見え隠れしている。
「早速だけど、精気をちょうだい。私もスタイルよくなりたいの。」
「はぁい・・・」
ハイリアは恍惚の表情で、ミリアに抱かれていった。
724 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/04 01:39 ID:UKi/TIWy
かくして少しずつ、少しずつ「光」は「闇」に浸食されていく。
光あるところに必ず陰:闇はある。
しかし、闇あるところに必ず光はある。
互いが融合するところに――何があるのだろうか。
「ファル。何か考えているだろう?」
無口なクラインが、またしても話しかけてきた。
「・・・」
ファルとクラインは、この一団でもっとも静かだ。
互いに何かを秘めているのだろうか。
それとも、類は友を呼ぶだけなのだろうか。
「・・・さっき、魔法屋に行ってきたの」
そしてファルは買ってきた二つの道具をクラインに見せる。
「・・・君はそう判断したのか」
「うん・・・」
破邪のクロスと恵水の水晶。
クラインもまだ若いが、経験は一流の冒険家だ。
ファルの両手に納められている道具を見て、彼女が何を考えているか読みとる。
「俺はこう判断した」
クラインは背中に背負った鞘から剣を抜く。
725 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/04 01:40 ID:UKi/TIWy
晴れた夜空に輝く月の光を受けて、その剣の刀身は黄色く光った。
「それ・・・!」
「俺の両親の残してくれた剣だ。」
ファルが珍しく声を上げた。
それだけの剣だったからだ。
クラインの父親は聖戦士(パラディン)であり、
母親はゴッドプリースト(神クラスの魔術師)であった。
そして二人の仕事は――デビルハント。
「闇」の深淵から現れたり、人間が変質して現れる悪魔を狩る。
真の意味での、この世界の勇者だった。
「・・・太陽剣・・・グレンピラー・・・」
ファルがその名を口から発すると、それに呼応するかのように剣は光る。
「親父はこの剣で一億を超える悪魔を斬り、滅したと言う。」
「・・・クラインは・・・、ミリアが悪魔になったって・・・?」
ファルの声が悲しげに聞こえる。
「可能性はある、ということだ・・・」
「だからって・・・」
「君だって対アンデッド用の道具をそろえたじゃないか。
戦いは、あらゆる可能性を考慮すべき事象。ならば悪魔になった可能性も捨てきれない」
ファルはうつむく。
本当に・・・そうなんだろうか、と。
733 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 01:18 ID:WUBGlrGa
次の晩から、クラインは「修行をしてくる」と言い残してどこかに行くようになった。
聖戦士であった親の血が騒ぐのだろう。
彼自身、ミリアが行方不明になってから表情が変わってきた。
デビルハントを生業としてきた両親。
その二人を見ながら育ったクライン。
・・・いつしかクラインはデビルハントをできるようになりたいと思っていた。
その願いがこんな形で叶うかもしれないとは・・・。
「・・・。」
クラインは町外れの森に行き、訓練をする。
襲いかかる無数の悪魔相手を予測する訓練。
全方向を意識した防御訓練。
空中戦に対応するための訓練。
すべての訓練は彼の父親直伝。
それも、聖戦士になるための訓練であり、聖戦士が自らを鍛えるための訓練でもあった。
734 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 01:24 ID:WUBGlrGa
ファルはそんなクラインを見て、少し怖くなっていた。
「・・・。」
何も言わず、表情も変えない。
イメージマジシャンたる彼女には言葉も表情も必要ないのである。
しかし、そんな彼女でも心は必要。
精神こそがイメージマジシャンの力なのだから。
(クラインはミリアが悪魔になってたら・・・)
考えるだけで恐ろしい。
仲間同士で殺し合う事態になるのだから。
(クラインはデビルハントをするのが夢だったって・・・)
さらなる恐怖が彼女を襲う。
「・・・う・・・」
想像だけの恐怖であるが、イメージマジックという特殊な力を持つ彼女は、思わずシールドを展開してしまう。
パチパチッという音がたった。
「ファル?」
735 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 01:27 ID:WUBGlrGa
「ファル?」---
キールが近づいてくる。
シールドは透明なので、キールには見えない。
「どうしたの? ・・・きゃあ!」
バチッ!
電気が流れたような音とともに、キールが押し戻される。
「あっ・・・」
ファルはその音にようやく我に返る。
同時にシールドも消滅した。
「あ、ごめん・・・キール・・・」
「シールドを張ってたのね。何かあったの?」
「・・・ううん。」
否定の返事をする。
キールも、ファルが寡黙なことは承知している。
「宿屋の中でシールド展開したら人が通れないじゃない・・・」
注意して、キールは自分の部屋に戻っていく。
「・・・恐かったの」
「え?」
キールが振り返る。
「・・・クラインが、ミリアを殺しちゃうかもしれないから」
「クライン、デビルハントをやりたかったって言ってたね。」
736 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 01:35 ID:WUBGlrGa
キールもそのことは知っている。
「でも、ミリアを殺すことになるかもしれないのはクラインだけじゃないわ」
「・・・」
ファルはうつむく。
「私が殺すことになるかもしれないし、エルかもしれない。
クラインかもしれないし、あるいは・・・ファル。あなたかもしれない。」
「・・・!」
ファルの目が見開かれる。
「わたし・・・」
「決まったことじゃないわ。もしかしたら、よ。」
キールは 壁に寄りかかる。
「私たちのやっていることは、戦争。市民からはわからないかもしれないけど、戦争なのよ。
戦争っていうのは、殺し合い。このくらいはわかるよね?」
弱気なキールは、論理っぽいとこがある。
「味方だったミリアが敵になっていたら、ミリアは私たちを殺そうとしてくるでしょ?
だから、私たちはミリアを殺さなければいけない。」
「・・・でも」
「 別にミリア殺しを正当化するわけじゃないの。私だって・・・」
キールは右手を握りしめる。
737 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 01:37 ID:WUBGlrGa
「・・・」
ファルはようやく悟った。
(みんな苦しいんだ・・・)
ファルは無口、無表情。
心も周りに疎いのだった。
いつも苦しいのは自分だけ。
いつも悲しいのは自分だけ。
そう思っていた。
「ファル?」
ファルはキールに背を向けて、歩き出した。
738 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 02:11 ID:WUBGlrGa
意志の光を灯さない女性が、夜の町を歩いている。
その顔はうっすらと赤く紅潮しており、恍惚とした表情だった。
「はぁ・・・」
ハイリアは、今し方主人から受けた命を思い出す。
『ファルの匂いをたどって、宿を探し当てなさい』
魔淫蟲を宿している彼女の五感は、すでに常人のものではなかった。
股間に手を当てると、その中に寄生している魔淫蟲が蠢いているのがわかる。
「ひぁ・・・」
びくり、と彼女は快楽にふるえた。
何を隠そう、ハイリアのローブの中では魔淫蟲の触手が全身を愛撫しているのだから。
甘い快楽に身を沈めながら、彼女はファルたちの泊まる宿を探し当てた。
「あぁ・・・、ここねぇ・・・」
体内の魔淫蟲が、ミリアに信号を送る。
魔の者にしか感知できない、特殊な香り。
すると、ハイリアのとなりにミリアが現れた。
「お姉様、ありがとう。これでみんなを・・・」
漆黒のローブを着たミリアは、宿屋に入っていく。
その後に、ハイリアも続く。
739 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 03:17 ID:WUBGlrGa
宿屋に入ったミリアは、全身から甘い催眠性の香りを放ち始める。
もともと夜中なので必要ないかもしれないが、他の客が起きて騒ぐと困る。
クライン一行以外には興味がないためだ。
「ふふ・・・」
邪悪な笑みを浮かべながら、ミリアは階段を上っていく。
甘い香りはクライン達にもきいているはず。
ハイリアも彼女についてくる。
徐々に、自らが放った蟲の気配が近づいてくる。
まず、エルの部屋に入る。
鍵がかかっていたが、人外の彼女に鍵など何の意味もない。
触手を伸ばし、中から鍵を開けた。
部屋の中では、エルがベッドに横たわっていた。
ミリアの放った甘い香りの効果のようだ。
「起きて・・・」
エルをゆする。
起きない。
「ねぇ、エル? 起きてったらぁ」
「ん・・・」
エルがようやく体を起こす。
740 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 03:21 ID:WUBGlrGa
「あぁ・・・、ミリア。どうしたの、こんなに遅くに。」
「あなたを仲間にしてあげようと思って。」
「そう。・・・! ミリア!?」
エルはハッとしたようにミリアを見た。
「無事だったの!」
「無事よぉ。当たり前じゃない。」
「よかったぁ・・・」
さすがに強気なエルも、安堵の表情を浮かべる。
「でもどうしたの? そんな真っ黒なローブを着て。」
「これ? これはね。私が闇の者だからよ。」
「は?」
エルは意味がわからない。
「だからぁ。私は闇の者になったの。」
「冗談言わないの! ミリアはフィエル様に・・・」
「んもぉ、エルって本当に強情よね。いいわ。証拠を見せてあげる。」
ミリアはローブを脱ぎ捨てた。
むろん、ミリアは裸。
しかし以前エルが見た時とはスタイルが全然違う。
「あら、ミリア成長したのねー・・・」
証拠を見せる、と言われてもなおこの様子のエル。
「ええ。そこにいるハイリアお姉様から精気を吸って改造したの。」
「・・・?」
エルはようやく不審に思い始める。
741 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 03:27 ID:WUBGlrGa
ハイリアの方を見ると、彼女は物欲しそうな顔でミリアを見つめていた。
「でも、私が体を改造する前にフェリア様が私を生まれ変わらせてくれたの」
「フェ・・・、フェリアって!」
エルの不審がやっと警戒に変わった。
しかし、もう遅い。
ミリアの股間から数匹の蟲が出てくると、ミリアの裸体をはいずり回る。
「む、蟲・・・?」
「そう。私は闇の蟲使いミリア。そして・・・」
背中から青紫の触手が現れると、ミリアを包み込む。
触手が離れると、変わり果てたミリアの姿。
「う・・・!?」
驚きと同時に、その甘美なる催淫性の体臭を大量に吸ってしまう。
「ふぁ・・・」
力が抜け、ベッドに座り込むエル。
「そして、蟲魔ミリアでもあるのよ」
742 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 03:33 ID:WUBGlrGa
「う・・・、み、ミリア・・・」
エルは股間のうずきを必至に耐えながら、その言葉を発した。
「なぁに?」
「ど、どうして・・・」
「どうしてって・・・、私はフェリア様に闇のすばらしさを教えて頂いたの。
最高の快楽を得られて、それを好きなだけ味わえるのよ? 幸せじゃない」
ミリアの左手は、改造して豊満になった胸に。
右手は自身の股間にあてがわれていた。
「あぁ、気持ちいい・・・」
エルは大声を出そうと試みていた。
しかし、ミリアの淫臭のため息が荒くなっており、思うように声が出せない。
「はぁ、はぁ、・・・」
「さぁ、エル。あなたもこの快楽を味わって? きっと闇が気に入るわよ」
「い、いやぁ・・・」
エルはベッドの上をずりずりと後ずさる。
「もぉ・・・」
ミリアは背中の触手を素早く操り、エルを絡め取る。
「うぁ・・・!」
743 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 03:38 ID:WUBGlrGa
青紫色の毒々しい触手は体液を分泌しつつ、エルを愛撫し始めた。
「ふぁぅ・・・」
エルはその快感に酔いしれ、まるで子犬のような声を上げた。
「うふふ、可愛いわぁ・・・、エル」
そのままぐちゅぐちゅと音を立てながら触手は愛撫を続ける。
しかし。
「ミリア!!」
ドアが突然開かれると、そこにはファルがいた。
「あら、ファル? よく私の催淫臭に耐えられるわね」
「まさか・・・、ミリア、悪魔になっちゃったの!?」
ファルは相変わらず無表情だが、その両目からは涙。
「そうよぉ。フェリア様が、私を悪魔にしてくださったの。」
「それなら・・・」
ファルはうつむく。
「それなら?」
「私が、あなたを殺す」
ファルの目は、独特の色をしている。
それは、彼女が精神のリミットを外した証拠であった。
744 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 03:44 ID:WUBGlrGa
「殺す? 仲間のあなたが、私を殺すの?」
「あなたはもう、仲間じゃない」
今のファルは精神が肉体と理性を凌駕している。
目の前の悪魔から聞こえる言葉は、すべて敵のもの。
理性を経由して処理する間もなく、言葉を発していた。
すべてを押し込んでいたファルの精神が具現化しているのである。
「悲しいわね。仲間に『殺す』なんて言われるの」
「敵は全員殺すわ。それだけ。」
ファルは目を閉じると、目の前の敵を殲滅するためのイメージを思い描く。
「お姉様。」
「はい・・・、ご主人様。」
ハイリアはミリアの前に立つ。
「イメージのお嬢ちゃん? ご主人様に逆らっちゃだめじゃない・・・」
いかにも洗脳されてる人間らしく、意志のない、けだるげな口調で言った。
「魔法屋のお姉さん。あなたも、敵!」
ファルが手を前に突き出すと、彼女の魔法が発動した。
745 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 03:50 ID:WUBGlrGa
天井に穴があく。
真っ黒な穴。
そこから、無数の隕石が降り注いできた。
「うふふふ・・・。」
ハイリアは右手で股間を愛撫しつつ、左手をパチンと鳴らす。
「う!?」
すると、隕石はミリアとハイリアをよけてファルの方へ飛んできた。
とっさに防御のイメージを描くファル。
「!」
左手を突き出して魔法を発動させ、隕石を防御した。
「ふ、ファル・・・」
エルはかつて見たことのないファルの魔法に、驚きを隠せないでいた。
だが、驚いている間もミリアの触手に犯されていたが。
「エル。そろそろ逝かせてあげるわ」
ミリアの触手の動きが速まり、股間を中心としたものに変わっていく。
「ふあ、ぁぁぁあ・・・」
とたんにエルの表情が惚けたものになる。
「うふふふふふ・・・」
ゆっくりと、だが確実に速く。
746 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 03:55 ID:WUBGlrGa
同時に、エルの目から光が失われ、焦点が合わなくなっていく。
「ああ、あああぁぁぁ・・・」
「さぁ、闇の絶頂を教えてあげる。」
ミリアの目が妖しく光る。
触手の動きも、一気に大きくなった。
すると!
「あっ、あああああああああああぁぁっぁぁぁぁぁぁっぁ!!」
股間から大量の潮を吹き、エルは達したのだった。
「くっ!」
そんなエルを目にしながら、ファルは次の魔法を発動させた。
「無駄よぉ・・・」
ハイリアは再び、左手をならそうとした。
しかし。
「え・・・?」
ファルが発動させたのは、禁断魔法の一種だった。
『宿屋の一室』という名の空間が、通常の次元から切り離されたのだ。
「もう、禁断魔法も禁呪の魔法もどうでもいい。私は、敵を殺す!」
殺気でギラギラと光るファルの目には、もはや何も映っていなかった。
747 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 04:01 ID:WUBGlrGa
直後、ファルは今度は左手で魔法を発動させる。
「次はこれよ! ディメンジョン=スラッシュ」
通常の次元から切り離したのは、このためだった。
異次元に放り出された宿屋の部屋は、不可視の力でズタズタに切り裂かれていく。
「ご、ご主人様!」
ハイリアはミリアを見た。
「大丈夫よ、お姉様。」
その声と同時に、ミリアの股間から一本の触手が現れると、それはハイリアの秘所に潜り込んだ。
また、ミリアは何かの呪文を唱えた。このためか、部屋の破壊は収まった。
「ひぃあ!!」
そして触手は、どくん、どくんと何かを注ぎ込む。
「あはぁ、あふぅ・・・!」
触手が抜けると、ハイリアの股間から触手が大量に現れる。
ハイリアの服を一気に破ると、そのまま彼女を包み込んでしまった。
「禁呪の魔法を止めるなんて! ミリア、絶対に殺す!!」
752 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 21:16 ID:WUBGlrGa
ファルは次のイメージを描き始めた。
「魔法屋のお姉さんも! 悪く思わないで!!」
そんな台詞がファルの口から出ても、まだ魔法は放たない。
強大な何かを描いているのだろうか。
「クス・・・、ファルったらムキになっちゃって」
ミリアは今し方絶頂に達したばかりのエルに向き直る。
「ねぇ、エル? 闇はね、今さっきエルが感じた幸せを無限に与えてくれるの」
「う・・・あ・・・」
エルは放心状態だった。
性行為を体験したことすらない彼女にとって、闇の、人外の快楽は精神崩壊すら起こしかねないものだった。
「んもう・・・、心ここにあらずねぇ・・・」
ファルはそう言うと、エルを絡め取っている触手の一本をエルの股間に沈めた。
「ああっ・・・」
「理性に聞けないなら、直接頭の中に話しかけるしかないわね」
彼女の取るこの方法は、悪魔ならではの手段であった。
どこからともなく声が聞こえ、その甘い誘いに乗ると・・・。
あとは通例のパターンである。
『エル・・・、エル?』
『ふあ・・・い・・・』
753 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 21:24 ID:WUBGlrGa
(もう、おかしくなっちゃったのは理性だけじゃないみたいね)
しかし、ミリアは容赦なく甘い声をエルにかける。
『気持ちよかった?』
『あ、う・・・ん・・・。さい・・・こぉ・・・』
エルの脳裏に、人間の姿をとったミリアが投影される。
ミリアの脳裏にも、エルの姿が映し出された。
『私はフェリア様にこの喜びを教わったの。別に洗脳されたり操られてるわけじゃないのよ』
『気持ち・・・いい・・・の・・・』
(これは完全に壊れちゃってるわねぇ・・・)
かつての友の精神を破壊したことに、何の感慨も持たないミリア。
『だから、エルにも私の喜びをわけてあげる。独り占めなんてしないから・・・』
『もっと、気持ちよく、な、れる、の?』
『そう。永遠に、無限の快楽を・・・』
『あ・・・ああ・・・、欲しいぃ・・・』
エルは涙を流しながら、ミリアに懇願した。
『欲しいの、欲しいのぉ・・・、もっと、気持ちよく、なりたいぃ・・・』
『本当に? 一度深みにはまると、抜け出せないよ? それでも?』
ミリアはあえて躊躇するような言動をとる。
エルをじらす目的だ。
754 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 21:28 ID:WUBGlrGa
>>752 の「あとは通例のパターンである」の次、改行入れ忘れました。
なんか妙にミスタイプが目立つなぁ・・・
HS書くと興奮すんのかな・・・
755 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 21:34 ID:WUBGlrGa
『いいぃの、いいのぉ・・・! だから、早くぅ、もっとぉ!』
『うふふ、わかった。もう人間からお別れね。』
その言葉を最後に、二人の脳裏の映像はとぎれた。
――現実。
「ああぁ、もっと、ミリアぁ!!」
エルはダムが決壊したかのように、欲望の声を上げ続けていた。
「今あげるよ、エル」
先ほどハイリアの股間に埋めた触手をいったん自身の股間に戻す。
そして触手を操り、エルをそばに引き寄せた・
両手を股間にあてがい、こすり始める。
「ふふふふ・・・、ハイリアお姉様とは違う蟲をあげるね。」
ミリアの股間が緑の愛液で満たされると、エルの秘所に密着させる。
「あふぁ・・・」
粘液質のものが敏感な場所に触れる感触に、エルは恍惚の声を上げる。
「いくわよぉ・・・。ああん♪」
ミリアの中から人間の男性大の触手が伸びると、そのままエルを貫いた。
「きゃぁん! いいぃ!!」
エルは涎を垂らして女の喜びに打ち震えている。
否、女ではなく人外の喜びか。
756 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 21:43 ID:WUBGlrGa
「さぁ、たっぷりと私の娘達を注いであげる。・・・あはぁぁん」
ミリアの嬌声とともに、貫いている触手がどくん、どくんと脈打つ。
「ああぁー、くる! くるくるくるくるぅぅぅぅ!!」
無数の蟲達がエルの子宮に注がれている。
「もっとよぉ・・・、もっと・・・!」
たっぷり、たっぷり注ぐ。
「あぁー、あぁぁぁぁー・・・」
快楽にわななくエルの表情は、日常の彼女には考えられないものだった。
「もう十分かしらね。」
ミリアが言うと、蟲の注送を止めた。
そして代わりに何かの液体を触手に流す。
「うふふふふ・・・、これであなたも私の眷属・・・」
びゅくん、びゅくん、びゅくん・・・
近くにいるファルにも、その音は聞こえていた。
(く・・・!?)
ファルは必至になって禁断魔法を想像していた。
だが、高度になればなるほどに時間がかかる。
まだ半分少々しかイメージは完成していなかった。
「ミリア! 私の魔法が完成するまで、時間があるわ! いい加減正気に戻りなさい!!」
悪魔になったという事実を受け止めても、なおも説得を試みるファル。
理性を失い、破壊魔と化した彼女の、無意識のうちの友に対する声だった。
「私は正気よぉ・・・、ファルこそおかしいんじゃないの?」
757 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 21:49 ID:WUBGlrGa
そんな言葉を返すミリアの横で、エルの股間が『プシュウ!』と音を立てた。
蟲と液体で、彼女の子宮が満たされたのだった。
「ふふふ、あとは待つだけね」
ずちゅう、と音を立ててエルの股間から触手を引き抜く。
「ああぁぁ・・・」
エルは相変わらず快楽に壊れた表情だった。
「お姉様はそろそろ時間ね」
ミリアはハイリアがいる触手の固まりに目を向けた。
「さぁ、お姉様? ファルに最高の世界を教えてあげて」
その言葉に呼応するかのように、ハイリアを包んだ触手がほどけていく。
「うっふふふふふ・・・」
現れたハイリアは、どこかミリアに似ていた。
しかし、体の至る所に禍々しい模様が刻まれており、異形の器官をも備えていた。
(まだ、まだかかる・・・!)
そのハイリアを見ながら、ファルは焦燥にかられる。
異形の存在となったハイリアは、邪悪な姿にも関わらず異常なまでの美しさだった。
758 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 21:56 ID:WUBGlrGa
「イメージのお嬢ちゃん。ご主人様は、フェリア様から世界を喜びに包む使命を仰せつかったの。
邪魔したらご主人様も迷惑だし、世界の人々も迷惑なのよ・・・?」
「うるさい!!」
ファルは全身に魔力を帯びている。
その力量は、光の最高位の魔術師並みであった。
ファルの強力な魔力は、無意識のうちに彼女を宙に浮かせていた。
「お嬢ちゃんはまだ子供だから、わからないのよ。だからね」
ハイリアが歩み寄ってきた。
「お姉さんが手取り足取り教えてあ・げ・る」
そのままハイリアはファルに口づけをした。
あまりの突然さに、ファルは抵抗できない。
「んむぅ・・・」
一瞬遅れて、ファルは体をねじって抵抗を始めた。
しかし、なぜかその動きは徐々に小さくなり、そして最後には止まってしまった。
「んふふふ・・・、やっぱりね」
ハイリアはファルの唇を解放する。
「魔力の衣のおかげで、ご主人様の催淫の香りがきかなかったのね。」
「う・・・ぐ」
ファルは力が抜け、床にしゃがみこむ。
彼女を覆っていた魔力も、弱まっていった。
759 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 22:08 ID:WUBGlrGa
「その証拠に、ほら。私の体液を直接流し込んだらこれだもの。」
彼女の体液は、ミリアの体から発せられる催淫臭を濃縮して液化させたもの。
本人は否定していたものの、真症の淫乱であったが故に彼女はミリアの力でこう生まれ変わったのだった。
(ま、まずい・・・!)
もはや、ファルの目論見:次元破壊の連続禁断魔法は失敗に終わろうとしていた。
成功していれば、自分はおろか闇世界にいるフェリアにも大きな影響があったというのに・・・。
「ふふ、お姉様も今は立派な私の眷属ね」
「はぁい・・・、ご主人様のおかげです・・・」
ミリアの声に恍惚と感謝の返事をするハイリア。
「さぁ、ファルちゃんっていうんだっけ? ファルちゃんも、ご主人様の虜になってね」
「い・・・、いや・・・!」
ファルの爆発した力は、ハイリアの体液のせいで愛液となって流れ出ていっていた。
ハイリアは股間を激しくこすると、その手をファルの前に差し出した。
「う・・・、な、なに・・・」
「うふふ、今から可愛い私の子供が生まれるの」
その言葉と同時に、ハイリアの手のひらに付着していた緑の愛液が動き始める。
760 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 22:14 ID:WUBGlrGa
ぐちゅぐちゅ、と卑猥な音を立てながらその液体は細かい無数の蟲を形成していった。
「ひ・・・あ・・・」
ファルは目の前の異形の女が、自らの愛液から蟲を作り出した事実に恐怖を覚えた。
(や、闇って・・・!)
「さぁ、ご主人様が世界に広げようとしている喜びを感じてみて。きっと考えが変わるから」
「か、変わらないわよ!!」
ファルは虚勢を張った。
「どうかしらねぇ・・・」
ハイリアは無数の蟲が乗るその手を、ファルの秘所に当てた。
「ふあああ! いや、いやぁ・・・! やめてよぉ・・・!!」
ファルの声もむなしく、ハイリアの蟲はここぞとばかりにファルの穴に入り込んでいく。
「いやぁ、離してぇ! やめて、お姉さん!!」
ファルは暴れようとしているが、思うように動けない。
すでに蟲が作用し始めているのだ。
「もうちょっとで全部よぉ・・・」
ハイリアは妖しく微笑む。
「あっ、あああぅ、やめてぇ・・・!!」
徐々にファルの拒絶の声が小さくなっていく。
「さぁ、全部入ったわ。」
761 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 22:22 ID:WUBGlrGa
ハイリアは青緑色の手をファルの股間から離した。
「ゃぁ・・・」
「どう? 気持ちいいでしょ?」
いつしかファルの手は、片方が胸に、片方が秘所にあてがわれていた。
「き、気持ち・・・よく・・・なんか・・・」
最後まで言えず、ファルはうつむく。
「否定しなくていいのよ? ご主人様はファルちゃんのお友達なんだから。
あ、私がいるから本当のことを言えないのかな?」
ハイリアはおどけたように話した。
「それなら、本当にことを言えるようにしてあげたらどう?」
ミリアがハイリアに声を掛けた。
「その方がいいですかぁ?」
「私だって、ファルが乱れる所を見てみたいわ」
「わかりました、ご主人様がお望みなら・・・」
ハイリアはファルに向き直る。
「ご主人様がお望みなの。本当の声が聞きたいみたい」
すると、ハイリアの両肩についている毒腺がふくらんでいく。
「んふふ・・・、ウブな女の子がどこまで乱れるのかしら・・・。私も楽しみ」
ハイリアはファルの前に立った。
「さぁ、見せてね」
そしてファルに肩の毒腺を向け、大量の液体をそこから流し始めた。
「ふああ! いやぁ!!」
762 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 22:31 ID:WUBGlrGa
ねっとりとしたゲル状の液体は、ファルの下半身をゆっくりと包み込んでいく。
ファルは頭からハイリアの液体をかぶる格好になっている。
「うふふふ・・・」
ミリアもハイリアも、不敵な笑みを見せている。
「・・・ゃぁ・・・、・・・」
もはやファルの拒絶は聞こえなくなっていた。
代わりに、彼女の両手の動きが大きくなっているのがわかる。
エルと同じく自慰行為すら知らないファルが・・・。
うつむき加減なファルだが、手はしっかり動かしている。
「もぉ、本当の言葉が聞きたいのに。お姉さんが手伝ってあげようか?」
無言で自慰をするファルに、ハイリアが痺れをきらせた。
ハイリアは両手に毒腺からゲル状の液体をとると、ファルの秘所に塗り込んだ。
「ひぃああ!」
ファルはその悩ましいくも鋭い快感に、思わず声を上げた。
「あぁ、いい声ねぇ・・・。もっと鳴いてね」
再び毒腺から液体を取り、ファルの至る所に塗り込んでいく。
それを2回、3回と繰り返すうちにファルは先ほどとは異なる声を上げるようになっていた。
「気持ち、いい・・・の・・・?」
ファルは性行為における快楽など、全く知るよしもなかった。
その彼女が、今その快楽に目覚めようとしている。
「そう。これが、エルや私がご主人様からいただいた快楽なの。」
763 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 22:48 ID:WUBGlrGa
快楽の意味すら知らなかったファル。
初めての快感にとまどうのも無理はない。
「気に入った? ゆっくり味わっていいのよ。ここはあなたが切り離した空間なんだから」
同時にファルの体にさらに液体を塗り込んでいくハイリア。
「あはぁ・・・。気持ち・・・いい・・・」
禁断魔法を使った時とは比べられない、甘い声がファルの口から紡がれる。
「もっと鳴いて。私もご主人様も、あなたの鳴き声が聞きたいのよ」
もう一度ハイリアは毒腺をふくらませ、液体を浴びせかけた。
「ああぁ・・・、気持ちいい・・・、気持ちいいよぉ・・・」
「あはぁん、毒を出すと私も気持ちいいのよねぇ・・・」
いつしかハイリアは恍惚とした表情を浮かべていた。
数回にわたって毒を使い、ようやく感じ始めたというのだ。
さすがは真症の淫乱である。
「ほら、お姉さんも一緒に気持ちよくなってあげる」
ハイリアはそう言うと、ファルを抱きしめて横になった。
床はもはやハイリアの毒液で満たされているため、二人にとっては快感以外の感触はなかった。
「ああん、気持ちいいぃ、いいの・・・」
ファルは横になるとき股間を床にすり合わせたらしく、その刺激を感じていた。
「ここを、こうすると、もっと、気持ち、いい、かな・・・?」
ファルは試すように、床に股間をこすりつけてみた。
「ひいぃん!!」
強烈な快感が秘所から全身を駆けめぐる。
764 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 22:58 ID:WUBGlrGa
「そんなとこでこすらないで。私がなめてあげるわ」
ハイリアは69の体位になり、ファルの秘所に舌をのばす。
ぺちゃ・・・、くちゃぁ・・・
静かな異空間の部屋に、粘液質の音が響く。
「くぅうぅん・・・、いいぃ・・・」
甘い甘い刺激に、もはやファルは抵抗することを忘れていた。
同時にこの快楽に屈する意味も。
「ほら・・・(ぺちゃ)、ファルちゃんもなめて・・・(くちゅり)」
「あふ、は、はぁい」
ファルはハイリアの秘所に舌を当て、なめ始めた。
「ふは、いいわぁ」
淫魔のように顔をゆがめ、快楽を味わうハイリア。
二人はしばらくの間、互いの秘所をなめ続けるのだった。
(そろそろいいかしら)
ハイリアがなぜ69をしたか。
それには意味があるのだった。
「じゃあ、ファルちゃん。絶頂を味わってみよっか」
「ぜっちょう・・・?」
秘所をなめる舌を休め、ファルはハイリアを見つめる。
「そう。絶頂こそが、快楽の神髄。うーん、奥義って言った方がわかりやすい?」
奥義という言い方はどこか変だが、まぁそんなものである。
765 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 23:10 ID:WUBGlrGa
「お、うぎ、教えて、ください、お姉さんん・・・」
ファルはもはや快楽の虜だった。
「そのお望み、私がかなえてあげましょう~、てね」
おどけつつ、ハイリアはファルを仰向けにした。
「見ててね」
言うと、右手を股間にはわせた。
するとそこからミリアと同じような触手が顔をのぞかせた。
やはりミリアの眷属だけある。
基本的な能力は受け継いでいるようだ。
「あっ・・・」
潤んだ瞳で、ファルはその瞬間を見ていた。
妙にその触手が愛らしいものに見えて仕方がない。
ハイリアはその触手握ると、上下に動かす。
疑似男根を用いた自慰行為。
「ふはぁ!」
嬌声と共に、触手の先端から緑色の液体が勢いよく飛び出た。
やはり液体はミリア譲りの淫薬であるが、すさまじい濃度らしく異様なまでの甘ったるい香りがした。
「どう? これ、男の人が持ってるものよ。これをその穴に入れるのよ」
ハイリアはファルの秘所を指さした。
「あっ、ああ・・・、欲しい。その棒が欲しい・・・」
773 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 23:29 ID:WUBGlrGa
「じゃあ、あげる。いい子のファルちゃんには、意地悪しないわ」
ハイリアはファルを抱き寄せると、ゆっくりと触手を埋めていった。
同時に両の胸をもむ。
「ああ・・・、ああああーーー・・・」
ファルの瞳は焦点が合っていない。
ずぶずぶと入っていく触手。
「ファルちゃんの中、あったかぁい・・・」
そして、腰と腰が密着する。
「全部入ったわよ?」
ハイリアのその声も、ファルは聞こえていないようだ。
快楽の階段を上っていく人間特有の現象である。
そんなファルを、ハイリアは愛おしく思う。
「もっと喘いで、もっと気持ちよくなってね?」
上下運動を始めるハイリア。
「はあ、ああ・・・、あ・・・、あ、ああぁん・・・、あん・・・」
運動のたびにずちゅっ、ずちゅっ、とハイリアの毒液が膣で触手とこすれる音がする。
その行為のため、どんどん高みに昇っていくファル。
ハイリアもまんざらではないようだ。
「はぁ、ん・・・、私も気持ちよくなってきたわぁ・・・、あん」
その上下運動も、やがて速度が上がっていく。
「はぁはぁ、いいのぉ、いい、いい・・・はぁん」
774 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 23:36 ID:WUBGlrGa
「ああ、そろそろ逝っちゃうわぁ・・・」
ハイリアの触手も、本物の逸物のように堅くなっている。
「逝く? 逝くって、なんか、ああん・・・」
用語の意味がわからないファルにとって、『逝く』という言葉は恐怖の対象になったようだ。
「大丈夫よぉ、お姉さんがついてる、からぁ・・・」
言うと、ハイリアはファルにキスをした。
「ん・・・」
ファルが目を見開く。
ハイリアの口内から触手が入り込んできたのだ。
笑みを浮かべるハイリア。
ファルは無意識のうちに、触手を舌で愛撫し始めていた。
すべてが彼女を侵している淫らな気、そして香りのせいだった。
やがて、二人は同時に同じ感情を抱くのだった。
『イク・・・!』
「んんんんんんんんんーーーーー!!」
ファルは言葉にならない叫びをあげ、達する。
同時にハイリアは股間と口の、両方の触手から緑の精液を吹き出した。
776 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 23:44 ID:WUBGlrGa
横で傍観しているミリアにも、精液を注ぐ音が聞こえるような気がした。
どくん、どくん・・・
ハイリアの、人を堕落せしめる猛毒の精液が今、ファルを蹂躙している。
「ん・・・んん・ん・・・」
いくら出しても止まらないハイリアの精液。
それはやがて、ファルの腹をふくらませていった。
上下両方から注いでいるのだ。当然である。
しかし、ファルは苦しそうなそぶりは全く見せない。
もはや意識がないのだろうか?
ハイリアは気遣うことなく、延々と精液を注ぎ続ける――
ごぽっ、という音と共にハイリアは上下両方の口から触手を引き抜いた。
今やファルの体内は、ハイリアの精液で完全に満たされている。
ハイリアはファルを抱くと、ミリアの側の壁によりかからせた。
「ふは、あ、おねえ、さん・・・、きも、ち、よ、よか・・・」
それ以上話せなかった。
精液が肺に入ってきそうだったからだ。
本能的にそれを察知し、ファルは閉口した。
「私もたくさん出せて、気持ちよかったわぁ・・・」
「んふ、お姉様はやっぱり淫乱なのね。最初からそう思ってたけど。」
ミリアは微笑んだ。
777 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 23:50 ID:WUBGlrGa
「エルちゃんには何を寄生させたんですかぁ?」
ベッドの上のエルを見て、ハイリアがミリアにきいた。
「ふふ、私と同じ。妖淫蟲よ。」
「ああ、ご主人様を闇に目覚めさせてくれたっていうアレですかぁ」
「だけど、寄生させただけじゃないわ。」
「どういうことです?」
「それは見てのお楽しみ♪」
人間に蟲を寄生させることに何の躊躇もない二人の会話。
それを邪魔するかのように、ドアが一気に開け放たれた。
クラインとキールがようやく気づいたのだ。。
「エル、ファル!?」
キールが声をかけても、二人は返事をしない。
エルは気を失い、ファルは声を出せないだけだが。
「・・・おのれ」
クラインは背中から剣を抜いた。
ファルに見せた、あの父親譲りの剣だ。
悪魔を前にして、グレンピラーは春の木漏れ日のような暖かい輝きを放っていた。
4章
あたしは、強くなるために「光」の騎士団に入った。
どうして強くなる必要があったのかって?
今じゃもう、思い出せないな・・・。
「ねぇクライン、まだミリアは見つからないの?」
しかしクラインは首を横に振るだけだった。
「そっか・・・。」
エルはミリアのことを非常に心配している。
同じ年であり、育った町も同じ。
いわゆる『幼なじみ』とでも言えよう。
「ミリア・・・、もしかしてもう・・・」
「バカじゃないの!? そんなことあるわけ!」
キールの弱音にエルは怒鳴る。
だがエル自身、その台詞を皆まで言うことはできなかった。
やはり心のどこかで、ミリアの身に『最悪の事態』が起きていると考えてしまってるのだ。
事実、人間というものは恐怖や焦燥、心配といった精神異常に弱い。
いかに精神力の強い者でも、長期間その状態が続けばほぼ誰もが弱気になろう。
「・・・無事であることを祈るしかない。」
寡黙な青年、クラインがエルとキールに言う。
彼はかなり無口なため、戦闘中以外はほとんど口を開かない。
その彼がこうして二人に声をかけるということは、やはり彼も――。
636 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/04/30 01:44 ID:vsmNS7zT
ファルは光の主要な都市に来ていた。
先の戦闘で破損してしまったメンバーの武具を見るために。
「・・・どうも」
武器屋の親父から、『週間うえぽん』なる雑誌を買った。
雑誌と言っても写真やら付録やらがついているようなものではない。
紙に武器のラフ画が描いてあり、その特徴、定価などか列挙されているだけだ。
これは武器に限ったことではなく、防具、道具などでもほぼ共通だ。
そして冒険者はこれを目安・参考にして武具を選択するのである。
ファルは武器屋から出ると、行きつけの魔法屋へ向かう。
彼女はマジシャンだ。
それも、普通のマジシャンではなく『イメージマジシャン』とでも言える。
通常、魔法というものは呪文を唱え、精神を集中させて放つものである。
だが彼女は異なる。
ファルの魔法は呪文を唱える必要がない。
代わりに自らの頭の中で、発生させたい事象を事細かに描く。
それがファルの魔法だった。
「いらっしゃい・・・、おや、イメージのお嬢ちゃんね。」
店主は美しい女性だった。
ファルは常連なので、『イメージのお嬢ちゃん』で通っている。
「・・・」
ファルは店主の女性の目を見つめる。
「・・・そう、何かあったのね。」
それだけでファルからただならぬ何かを感じ取る。
658 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/05/11 22:40 ID:3WC5KOsI
「でも私の店にある道具、あなたには役に立たないでしょ?」
「・・・。」
事実だった。
脳内でのイメージに、文字は必要ない。
杖も必要ない。
「そのくせ、何度も来てくれるのはうれしいけどね。」
ファルは頼まれていた品を手に取る。
銀の光沢を持つ十字架、水色の光を放つ水晶球。
店主に渡す。
「・・・破邪のクロスに恵水の水晶。3200ミールね。」
ファルは料金を支払う。
「今度はゾンビ退治でもする気?」
恵水の水晶には、死者を土にかえす効果もある。
そして破邪のクロス。
アンデッド攻略のスタンダード装備だった。
「・・・・・・かもしれないから」
「え?」
ファルはうつむく。
659 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/05/11 22:40 ID:3WC5KOsI
「・・・死んでるかもしれないから!」
「闇にいいように操られてるかもしれないから、それを助けたいって?」
ファルは頷く。
「・・・確証もなしに準備をするのは、辛いだけよ。」
「・・・」
店主は商品を袋にいれ、ファルに手渡す。
ファルはそのまま店の出入り口に歩く。
「・・・また来てね。」
ファルはちらりと店主を仰ぎ、そして店を後にした。
ファルが去って数秒後。
店内の空間がゆがむ。
「・・・!?」
店主は異常を察知し、そのゆがみを見つめる。
ゆがみが大きくなる。穴があく。
「何・・・」
そこから現れたのは、漆黒のローブを着た少女だった。
「あら・・・、もう帰っちゃったかしら」
少女は店内を見回す。
「・・・ドアから入らない客なんて、初めてね」
660 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/05/11 22:41 ID:3WC5KOsI
「ああ、ごめんなさい。・・・さっき、私くらいの女の子が来なかった?」
店主は一瞬のうちに考える。
目の前の少女は何者か、と。
「いいえ、来てないわ」
正体不明の相手に情報を提供することもない。
「私の昔の仲間なんだけどーー」
少女は鼻をスンスンいわせた。
「おかしいわ。あの子のにおいがする。」
(・・・!?)
店主は、うすうす気づいた。
目前の少女が普通の人間ではないことに。
「あなた、さっき嘘ついたでしょう? 来てないって」
「ほ、本当に来てないわよ」
焦る。
「ううん、来た。あの子のにおいがするし、それに――」
「それに?」
「私が産んでいった蟲の気配がするもの」
(闇の者!)
ようやくはっきりした少女の正体。
661 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/05/11 22:42 ID:3WC5KOsI
店主はいつでも魔法を放てるように準備し始める。
「く・・・」
「嘘つくのは良くないよ? お姉さん。」
少女が店主に近づく。
「来ないで!」
「あらぁ・・・、魔法の準備をしてる。私と戦うの?」
(ばれてる・・・)
口で唱えずとも心で唱える。
上級な魔道士にとっては常識。
「無駄だと思うわよ?」
「うるさい!」
店主は魔法を完成させる。
「プラズマウェーブ!」
その手から緑色の光子が無数に放たれる。
光子は少女を貫くかに見えた。
だが。
「だから言ったのに・・・」
少女は右手を店主に差し出す。
すると、緑色の光子はそのまま霧散してしまった。
「・・・!」
唖然とする店主。
662 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/05/11 22:45 ID:3WC5KOsI
プラズマウェーブほどの魔法をかき消すとは・・・。
「プラズマウェーブ。『光』の高位魔法ね。でも、私には効かない。」
「うっ・・・」
「今の魔法で、あなたがかなり上級の魔道士ってことがわかったわ。
あなたを『闇』に染めてあげる。」
少女はローブに手をかけると、そのまま脱ぎ捨てた。
あらわになった体には、いくつもの蟲がまとわりついている。
「む、蟲・・・使い・・・」
「うーん、この間まではそうだったんだけど・・・。今は違うの。」
少女は右手を秘所に持っていく。
その穴から青紫色の触手があらわれ、彼女の手にからみつく。
「ま・・・さか・・・」
「あん・・・。よく見ててね。あはぁん・・・」
嬌声とともに、背中からも触手が伸びてきて少女を包み込む。
次の瞬間に触手が彼女の体から離れると、そこには別なモノがいた。
蟲魔ミリア。
それこそが少女だった。
「う・・・あ・・・!」
目を見開く店主。
「うふふ、驚いた? フェリア様に生まれ変わらせていただいたの。」
663 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/05/11 22:46 ID:3WC5KOsI
妖しく微笑むミリア。
「でも、スタイルはあんまり変わらなかったのよね。
あなたから精気を吸って、改造してみようかしら。」
平気な顔で恐ろしいことを言う。
「もう戦う気も失せたでしょ? 人外を相手にかなうはず、ないものね。」
ミリアはさらに店主に近づく。
店主はすさまじい恐怖に襲われていた。
「だから、選択肢を与えてあげる。」
「あ・・・あ・・・」
「一つ。ここで私に精気を吸い尽くされ、死体となってこの世をさまよう」
魔の者に精気を吸い尽くされれば、その魂は永遠にこの世にとどまることになる。
それは人間にとって最も恐れるべきことだ。
要するに、死ねない・楽になれない・来世に生まれ変われない。
この三拍子がそろってしまうのである。
「二つ。私の触手でズタズタに切り裂かれ、血液を吸い尽くされる。」
「ひ・・・」
ミリアの触手がうねり、店主を一気に絡め取る。
しかし、店主には抵抗すらできない。
664 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/05/11 22:47 ID:3WC5KOsI
「三つ。黒い快楽の虜となり、肉体を改造された後に私の下僕になる
気持ちいいわよぉ、たいていの女の子は狂っちゃうくらい気持ちいいの。」
触手は店主の服をすべて破った。
「さぁ、どれにする? あなたに選ばせてあ・げ・る」
「快・・・楽・・・、快楽を!」
三つの選択肢。
その中で最も甘美なものを、店主は選んだ。
「そうよねぇ、ゾンビになるのはイヤだし、死ぬのも怖いわよねぇ?」
店主はうんうんと頷く。
「それじゃ、早速始めるわよ?」
ミリアはその触手で店主をすぐ近くに引き寄せた。
「そういえば、名前を聞いてなかったわね?」
「ハイリア・・・」
「年は?」
「に、23・・・」
「やっぱり私より年上ね。それだけグラマラスなんだもの、当然よねぇ」
そしてミリアはハイリアを抱きしめた。
「さぁ、たっぷり楽しんでね。ハイリアお姉様。」
ハイリアはミリアから立ちのぼる毒々しくも甘美な香りに酔いしれて、
「ふぁい・・・」
力のない返事をかえした。
まずハイリアを絡め取っているミリアの触手は、蠕動運動のように動き、愛撫を始めた。
「あっ、ああっ・・・」
「お姉様、処女じゃあないみたいね。恋人でもいる?」
「処女は、捨てました・・・あんっ、こ、恋人も、い、ます」
「へぇー、それじゃかなりの好きモノ? 淫乱?」
「はぁ、ん・・・っ、そ、そん、違っ・・・」
665 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/05/11 22:48 ID:3WC5KOsI
乱れながらも答弁を続ける。
「ああ、そうそう。忘れてた。私はミリアっていうの。
フェリア様に力をいただいた、蟲魔のミリア。」
「ちゅ、ま・・・?」
全身を上気させながらも、ハイリアはかろうじて聞き返す。
「そう。フェリア様の配下の、蟲を司る悪魔よ。」
ミリアは右手をハイリアの股間に伸ばす。
「はうぁ・・・、ああぁ・・・」
ミリアの手が触れると、とたんにハイリアの表情が恍惚としたものになる。
すでにハイリアの秘所は、愛液とミリアの体を覆う粘液とでぐちょぐちょだ。
「うふふ、ちょっとさわっただけでこんなに感じて・・・。
お姉様、やっぱり淫乱なんだ?」
「うあふ、そん、なこと、言わない、でぇ・・・、はあ・・・」
口では抵抗しても、体は正直なのは常識である。
「そんな淫乱なお姉様に、私の蟲をプレゼントしちゃうわ」
左手で自らの秘所を愛撫し始めるミリア。
「あん、ああん、んん、いいわぁ・・・、闇って最高・・・。
あはぁ、あああん、ああん・・・、くうぅん!!」
ついには秘所に手を突っ込む。
やがて引き出された手には、筒状でピンク色をした蟲。
「私の体内で合成した蟲よ。魔淫蟲。
蟲の悪魔である私が自らの体で作ったから・・・、きっとすごいわよぉ」
666 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/05/11 22:49 ID:3WC5KOsI
先にミリアが寄生された妖淫蟲は、洗脳効果があるだけ。
しかしこの魔淫蟲は・・・。
「ああああ!」
そうこうしているうちに、ミリアの生み出した魔淫蟲はハイリアの中に入れられた。
もちろん秘所に。
「あああ、いい、イイ!! 気持ちいいいいいいい!!」
もはやその瞳には何も写っておらず、ただただ嬌声をあげるだけ。
「お姉様、きれいよぉ・・・、こんなに乱れて。」
ミリアはハイリアを抱きしめた。
「蟲が早くなじむようにしてあげる」
するとミリアは全身からピンク色の瘴気を発した。
同時にハイリアを床に寝かせ、自らの股間とハイリアの股間を合わせた。
「いくわよぉ」
股間同士でこする。
こする、こする、こする。
「あああ、ああああ! いいいいぁ、気持ち、いいい、ああああ」
もはやハイリアは崩壊寸前。
蟲の効果で高められた性感は、すでに限界に達していた。
そして。
「いっく、いいっくううううっぅぅぅ!!」
ハイリアは弓なりに体をのけぞらせ、激しく、激しく達した。
同時にピンクの瘴気がハイリアを包み込むーー
667 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/05/11 22:51 ID:3WC5KOsI
数分後。
ハイリアは激しい性交の疲れからか、ぐったりとしていた。
秘所と、呼吸に合わせて胸が上下するのみ。
そしてミリアはハイリアの割れ目に口づけをした。
「さぁ、起きてお姉様」
ハイリアはゆっくりと目を開いた。
「感想は?」
「あはぁ・・・、死んじゃうかと思いましたぁ・・・」
「うふふふ・・・、これからは望む時にあの快楽が得られるわ。
ほかの人間を襲って、仲間を増やせばね。」
「ああっ、本当ですかぁ? 私がんばりますぅ・・・」
ハイリアは性格までも作り替えられた。
清楚な魔術師から、淫乱な猥女に。
その秘所の割れ目からは、無数の触手が見え隠れしている。
「早速だけど、精気をちょうだい。私もスタイルよくなりたいの。」
「はぁい・・・」
ハイリアは恍惚の表情で、ミリアに抱かれていった。
724 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/04 01:39 ID:UKi/TIWy
かくして少しずつ、少しずつ「光」は「闇」に浸食されていく。
光あるところに必ず陰:闇はある。
しかし、闇あるところに必ず光はある。
互いが融合するところに――何があるのだろうか。
「ファル。何か考えているだろう?」
無口なクラインが、またしても話しかけてきた。
「・・・」
ファルとクラインは、この一団でもっとも静かだ。
互いに何かを秘めているのだろうか。
それとも、類は友を呼ぶだけなのだろうか。
「・・・さっき、魔法屋に行ってきたの」
そしてファルは買ってきた二つの道具をクラインに見せる。
「・・・君はそう判断したのか」
「うん・・・」
破邪のクロスと恵水の水晶。
クラインもまだ若いが、経験は一流の冒険家だ。
ファルの両手に納められている道具を見て、彼女が何を考えているか読みとる。
「俺はこう判断した」
クラインは背中に背負った鞘から剣を抜く。
725 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/04 01:40 ID:UKi/TIWy
晴れた夜空に輝く月の光を受けて、その剣の刀身は黄色く光った。
「それ・・・!」
「俺の両親の残してくれた剣だ。」
ファルが珍しく声を上げた。
それだけの剣だったからだ。
クラインの父親は聖戦士(パラディン)であり、
母親はゴッドプリースト(神クラスの魔術師)であった。
そして二人の仕事は――デビルハント。
「闇」の深淵から現れたり、人間が変質して現れる悪魔を狩る。
真の意味での、この世界の勇者だった。
「・・・太陽剣・・・グレンピラー・・・」
ファルがその名を口から発すると、それに呼応するかのように剣は光る。
「親父はこの剣で一億を超える悪魔を斬り、滅したと言う。」
「・・・クラインは・・・、ミリアが悪魔になったって・・・?」
ファルの声が悲しげに聞こえる。
「可能性はある、ということだ・・・」
「だからって・・・」
「君だって対アンデッド用の道具をそろえたじゃないか。
戦いは、あらゆる可能性を考慮すべき事象。ならば悪魔になった可能性も捨てきれない」
ファルはうつむく。
本当に・・・そうなんだろうか、と。
733 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 01:18 ID:WUBGlrGa
次の晩から、クラインは「修行をしてくる」と言い残してどこかに行くようになった。
聖戦士であった親の血が騒ぐのだろう。
彼自身、ミリアが行方不明になってから表情が変わってきた。
デビルハントを生業としてきた両親。
その二人を見ながら育ったクライン。
・・・いつしかクラインはデビルハントをできるようになりたいと思っていた。
その願いがこんな形で叶うかもしれないとは・・・。
「・・・。」
クラインは町外れの森に行き、訓練をする。
襲いかかる無数の悪魔相手を予測する訓練。
全方向を意識した防御訓練。
空中戦に対応するための訓練。
すべての訓練は彼の父親直伝。
それも、聖戦士になるための訓練であり、聖戦士が自らを鍛えるための訓練でもあった。
734 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 01:24 ID:WUBGlrGa
ファルはそんなクラインを見て、少し怖くなっていた。
「・・・。」
何も言わず、表情も変えない。
イメージマジシャンたる彼女には言葉も表情も必要ないのである。
しかし、そんな彼女でも心は必要。
精神こそがイメージマジシャンの力なのだから。
(クラインはミリアが悪魔になってたら・・・)
考えるだけで恐ろしい。
仲間同士で殺し合う事態になるのだから。
(クラインはデビルハントをするのが夢だったって・・・)
さらなる恐怖が彼女を襲う。
「・・・う・・・」
想像だけの恐怖であるが、イメージマジックという特殊な力を持つ彼女は、思わずシールドを展開してしまう。
パチパチッという音がたった。
「ファル?」
735 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 01:27 ID:WUBGlrGa
「ファル?」---
キールが近づいてくる。
シールドは透明なので、キールには見えない。
「どうしたの? ・・・きゃあ!」
バチッ!
電気が流れたような音とともに、キールが押し戻される。
「あっ・・・」
ファルはその音にようやく我に返る。
同時にシールドも消滅した。
「あ、ごめん・・・キール・・・」
「シールドを張ってたのね。何かあったの?」
「・・・ううん。」
否定の返事をする。
キールも、ファルが寡黙なことは承知している。
「宿屋の中でシールド展開したら人が通れないじゃない・・・」
注意して、キールは自分の部屋に戻っていく。
「・・・恐かったの」
「え?」
キールが振り返る。
「・・・クラインが、ミリアを殺しちゃうかもしれないから」
「クライン、デビルハントをやりたかったって言ってたね。」
736 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 01:35 ID:WUBGlrGa
キールもそのことは知っている。
「でも、ミリアを殺すことになるかもしれないのはクラインだけじゃないわ」
「・・・」
ファルはうつむく。
「私が殺すことになるかもしれないし、エルかもしれない。
クラインかもしれないし、あるいは・・・ファル。あなたかもしれない。」
「・・・!」
ファルの目が見開かれる。
「わたし・・・」
「決まったことじゃないわ。もしかしたら、よ。」
キールは 壁に寄りかかる。
「私たちのやっていることは、戦争。市民からはわからないかもしれないけど、戦争なのよ。
戦争っていうのは、殺し合い。このくらいはわかるよね?」
弱気なキールは、論理っぽいとこがある。
「味方だったミリアが敵になっていたら、ミリアは私たちを殺そうとしてくるでしょ?
だから、私たちはミリアを殺さなければいけない。」
「・・・でも」
「 別にミリア殺しを正当化するわけじゃないの。私だって・・・」
キールは右手を握りしめる。
737 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 01:37 ID:WUBGlrGa
「・・・」
ファルはようやく悟った。
(みんな苦しいんだ・・・)
ファルは無口、無表情。
心も周りに疎いのだった。
いつも苦しいのは自分だけ。
いつも悲しいのは自分だけ。
そう思っていた。
「ファル?」
ファルはキールに背を向けて、歩き出した。
738 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 02:11 ID:WUBGlrGa
意志の光を灯さない女性が、夜の町を歩いている。
その顔はうっすらと赤く紅潮しており、恍惚とした表情だった。
「はぁ・・・」
ハイリアは、今し方主人から受けた命を思い出す。
『ファルの匂いをたどって、宿を探し当てなさい』
魔淫蟲を宿している彼女の五感は、すでに常人のものではなかった。
股間に手を当てると、その中に寄生している魔淫蟲が蠢いているのがわかる。
「ひぁ・・・」
びくり、と彼女は快楽にふるえた。
何を隠そう、ハイリアのローブの中では魔淫蟲の触手が全身を愛撫しているのだから。
甘い快楽に身を沈めながら、彼女はファルたちの泊まる宿を探し当てた。
「あぁ・・・、ここねぇ・・・」
体内の魔淫蟲が、ミリアに信号を送る。
魔の者にしか感知できない、特殊な香り。
すると、ハイリアのとなりにミリアが現れた。
「お姉様、ありがとう。これでみんなを・・・」
漆黒のローブを着たミリアは、宿屋に入っていく。
その後に、ハイリアも続く。
739 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 03:17 ID:WUBGlrGa
宿屋に入ったミリアは、全身から甘い催眠性の香りを放ち始める。
もともと夜中なので必要ないかもしれないが、他の客が起きて騒ぐと困る。
クライン一行以外には興味がないためだ。
「ふふ・・・」
邪悪な笑みを浮かべながら、ミリアは階段を上っていく。
甘い香りはクライン達にもきいているはず。
ハイリアも彼女についてくる。
徐々に、自らが放った蟲の気配が近づいてくる。
まず、エルの部屋に入る。
鍵がかかっていたが、人外の彼女に鍵など何の意味もない。
触手を伸ばし、中から鍵を開けた。
部屋の中では、エルがベッドに横たわっていた。
ミリアの放った甘い香りの効果のようだ。
「起きて・・・」
エルをゆする。
起きない。
「ねぇ、エル? 起きてったらぁ」
「ん・・・」
エルがようやく体を起こす。
740 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 03:21 ID:WUBGlrGa
「あぁ・・・、ミリア。どうしたの、こんなに遅くに。」
「あなたを仲間にしてあげようと思って。」
「そう。・・・! ミリア!?」
エルはハッとしたようにミリアを見た。
「無事だったの!」
「無事よぉ。当たり前じゃない。」
「よかったぁ・・・」
さすがに強気なエルも、安堵の表情を浮かべる。
「でもどうしたの? そんな真っ黒なローブを着て。」
「これ? これはね。私が闇の者だからよ。」
「は?」
エルは意味がわからない。
「だからぁ。私は闇の者になったの。」
「冗談言わないの! ミリアはフィエル様に・・・」
「んもぉ、エルって本当に強情よね。いいわ。証拠を見せてあげる。」
ミリアはローブを脱ぎ捨てた。
むろん、ミリアは裸。
しかし以前エルが見た時とはスタイルが全然違う。
「あら、ミリア成長したのねー・・・」
証拠を見せる、と言われてもなおこの様子のエル。
「ええ。そこにいるハイリアお姉様から精気を吸って改造したの。」
「・・・?」
エルはようやく不審に思い始める。
741 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 03:27 ID:WUBGlrGa
ハイリアの方を見ると、彼女は物欲しそうな顔でミリアを見つめていた。
「でも、私が体を改造する前にフェリア様が私を生まれ変わらせてくれたの」
「フェ・・・、フェリアって!」
エルの不審がやっと警戒に変わった。
しかし、もう遅い。
ミリアの股間から数匹の蟲が出てくると、ミリアの裸体をはいずり回る。
「む、蟲・・・?」
「そう。私は闇の蟲使いミリア。そして・・・」
背中から青紫の触手が現れると、ミリアを包み込む。
触手が離れると、変わり果てたミリアの姿。
「う・・・!?」
驚きと同時に、その甘美なる催淫性の体臭を大量に吸ってしまう。
「ふぁ・・・」
力が抜け、ベッドに座り込むエル。
「そして、蟲魔ミリアでもあるのよ」
742 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 03:33 ID:WUBGlrGa
「う・・・、み、ミリア・・・」
エルは股間のうずきを必至に耐えながら、その言葉を発した。
「なぁに?」
「ど、どうして・・・」
「どうしてって・・・、私はフェリア様に闇のすばらしさを教えて頂いたの。
最高の快楽を得られて、それを好きなだけ味わえるのよ? 幸せじゃない」
ミリアの左手は、改造して豊満になった胸に。
右手は自身の股間にあてがわれていた。
「あぁ、気持ちいい・・・」
エルは大声を出そうと試みていた。
しかし、ミリアの淫臭のため息が荒くなっており、思うように声が出せない。
「はぁ、はぁ、・・・」
「さぁ、エル。あなたもこの快楽を味わって? きっと闇が気に入るわよ」
「い、いやぁ・・・」
エルはベッドの上をずりずりと後ずさる。
「もぉ・・・」
ミリアは背中の触手を素早く操り、エルを絡め取る。
「うぁ・・・!」
743 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 03:38 ID:WUBGlrGa
青紫色の毒々しい触手は体液を分泌しつつ、エルを愛撫し始めた。
「ふぁぅ・・・」
エルはその快感に酔いしれ、まるで子犬のような声を上げた。
「うふふ、可愛いわぁ・・・、エル」
そのままぐちゅぐちゅと音を立てながら触手は愛撫を続ける。
しかし。
「ミリア!!」
ドアが突然開かれると、そこにはファルがいた。
「あら、ファル? よく私の催淫臭に耐えられるわね」
「まさか・・・、ミリア、悪魔になっちゃったの!?」
ファルは相変わらず無表情だが、その両目からは涙。
「そうよぉ。フェリア様が、私を悪魔にしてくださったの。」
「それなら・・・」
ファルはうつむく。
「それなら?」
「私が、あなたを殺す」
ファルの目は、独特の色をしている。
それは、彼女が精神のリミットを外した証拠であった。
744 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 03:44 ID:WUBGlrGa
「殺す? 仲間のあなたが、私を殺すの?」
「あなたはもう、仲間じゃない」
今のファルは精神が肉体と理性を凌駕している。
目の前の悪魔から聞こえる言葉は、すべて敵のもの。
理性を経由して処理する間もなく、言葉を発していた。
すべてを押し込んでいたファルの精神が具現化しているのである。
「悲しいわね。仲間に『殺す』なんて言われるの」
「敵は全員殺すわ。それだけ。」
ファルは目を閉じると、目の前の敵を殲滅するためのイメージを思い描く。
「お姉様。」
「はい・・・、ご主人様。」
ハイリアはミリアの前に立つ。
「イメージのお嬢ちゃん? ご主人様に逆らっちゃだめじゃない・・・」
いかにも洗脳されてる人間らしく、意志のない、けだるげな口調で言った。
「魔法屋のお姉さん。あなたも、敵!」
ファルが手を前に突き出すと、彼女の魔法が発動した。
745 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 03:50 ID:WUBGlrGa
天井に穴があく。
真っ黒な穴。
そこから、無数の隕石が降り注いできた。
「うふふふ・・・。」
ハイリアは右手で股間を愛撫しつつ、左手をパチンと鳴らす。
「う!?」
すると、隕石はミリアとハイリアをよけてファルの方へ飛んできた。
とっさに防御のイメージを描くファル。
「!」
左手を突き出して魔法を発動させ、隕石を防御した。
「ふ、ファル・・・」
エルはかつて見たことのないファルの魔法に、驚きを隠せないでいた。
だが、驚いている間もミリアの触手に犯されていたが。
「エル。そろそろ逝かせてあげるわ」
ミリアの触手の動きが速まり、股間を中心としたものに変わっていく。
「ふあ、ぁぁぁあ・・・」
とたんにエルの表情が惚けたものになる。
「うふふふふふ・・・」
ゆっくりと、だが確実に速く。
746 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 03:55 ID:WUBGlrGa
同時に、エルの目から光が失われ、焦点が合わなくなっていく。
「ああ、あああぁぁぁ・・・」
「さぁ、闇の絶頂を教えてあげる。」
ミリアの目が妖しく光る。
触手の動きも、一気に大きくなった。
すると!
「あっ、あああああああああああぁぁっぁぁぁぁぁぁっぁ!!」
股間から大量の潮を吹き、エルは達したのだった。
「くっ!」
そんなエルを目にしながら、ファルは次の魔法を発動させた。
「無駄よぉ・・・」
ハイリアは再び、左手をならそうとした。
しかし。
「え・・・?」
ファルが発動させたのは、禁断魔法の一種だった。
『宿屋の一室』という名の空間が、通常の次元から切り離されたのだ。
「もう、禁断魔法も禁呪の魔法もどうでもいい。私は、敵を殺す!」
殺気でギラギラと光るファルの目には、もはや何も映っていなかった。
747 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 04:01 ID:WUBGlrGa
直後、ファルは今度は左手で魔法を発動させる。
「次はこれよ! ディメンジョン=スラッシュ」
通常の次元から切り離したのは、このためだった。
異次元に放り出された宿屋の部屋は、不可視の力でズタズタに切り裂かれていく。
「ご、ご主人様!」
ハイリアはミリアを見た。
「大丈夫よ、お姉様。」
その声と同時に、ミリアの股間から一本の触手が現れると、それはハイリアの秘所に潜り込んだ。
また、ミリアは何かの呪文を唱えた。このためか、部屋の破壊は収まった。
「ひぃあ!!」
そして触手は、どくん、どくんと何かを注ぎ込む。
「あはぁ、あふぅ・・・!」
触手が抜けると、ハイリアの股間から触手が大量に現れる。
ハイリアの服を一気に破ると、そのまま彼女を包み込んでしまった。
「禁呪の魔法を止めるなんて! ミリア、絶対に殺す!!」
752 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 21:16 ID:WUBGlrGa
ファルは次のイメージを描き始めた。
「魔法屋のお姉さんも! 悪く思わないで!!」
そんな台詞がファルの口から出ても、まだ魔法は放たない。
強大な何かを描いているのだろうか。
「クス・・・、ファルったらムキになっちゃって」
ミリアは今し方絶頂に達したばかりのエルに向き直る。
「ねぇ、エル? 闇はね、今さっきエルが感じた幸せを無限に与えてくれるの」
「う・・・あ・・・」
エルは放心状態だった。
性行為を体験したことすらない彼女にとって、闇の、人外の快楽は精神崩壊すら起こしかねないものだった。
「んもう・・・、心ここにあらずねぇ・・・」
ファルはそう言うと、エルを絡め取っている触手の一本をエルの股間に沈めた。
「ああっ・・・」
「理性に聞けないなら、直接頭の中に話しかけるしかないわね」
彼女の取るこの方法は、悪魔ならではの手段であった。
どこからともなく声が聞こえ、その甘い誘いに乗ると・・・。
あとは通例のパターンである。
『エル・・・、エル?』
『ふあ・・・い・・・』
753 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 21:24 ID:WUBGlrGa
(もう、おかしくなっちゃったのは理性だけじゃないみたいね)
しかし、ミリアは容赦なく甘い声をエルにかける。
『気持ちよかった?』
『あ、う・・・ん・・・。さい・・・こぉ・・・』
エルの脳裏に、人間の姿をとったミリアが投影される。
ミリアの脳裏にも、エルの姿が映し出された。
『私はフェリア様にこの喜びを教わったの。別に洗脳されたり操られてるわけじゃないのよ』
『気持ち・・・いい・・・の・・・』
(これは完全に壊れちゃってるわねぇ・・・)
かつての友の精神を破壊したことに、何の感慨も持たないミリア。
『だから、エルにも私の喜びをわけてあげる。独り占めなんてしないから・・・』
『もっと、気持ちよく、な、れる、の?』
『そう。永遠に、無限の快楽を・・・』
『あ・・・ああ・・・、欲しいぃ・・・』
エルは涙を流しながら、ミリアに懇願した。
『欲しいの、欲しいのぉ・・・、もっと、気持ちよく、なりたいぃ・・・』
『本当に? 一度深みにはまると、抜け出せないよ? それでも?』
ミリアはあえて躊躇するような言動をとる。
エルをじらす目的だ。
754 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 21:28 ID:WUBGlrGa
>>752 の「あとは通例のパターンである」の次、改行入れ忘れました。
なんか妙にミスタイプが目立つなぁ・・・
HS書くと興奮すんのかな・・・
755 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 21:34 ID:WUBGlrGa
『いいぃの、いいのぉ・・・! だから、早くぅ、もっとぉ!』
『うふふ、わかった。もう人間からお別れね。』
その言葉を最後に、二人の脳裏の映像はとぎれた。
――現実。
「ああぁ、もっと、ミリアぁ!!」
エルはダムが決壊したかのように、欲望の声を上げ続けていた。
「今あげるよ、エル」
先ほどハイリアの股間に埋めた触手をいったん自身の股間に戻す。
そして触手を操り、エルをそばに引き寄せた・
両手を股間にあてがい、こすり始める。
「ふふふふ・・・、ハイリアお姉様とは違う蟲をあげるね。」
ミリアの股間が緑の愛液で満たされると、エルの秘所に密着させる。
「あふぁ・・・」
粘液質のものが敏感な場所に触れる感触に、エルは恍惚の声を上げる。
「いくわよぉ・・・。ああん♪」
ミリアの中から人間の男性大の触手が伸びると、そのままエルを貫いた。
「きゃぁん! いいぃ!!」
エルは涎を垂らして女の喜びに打ち震えている。
否、女ではなく人外の喜びか。
756 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 21:43 ID:WUBGlrGa
「さぁ、たっぷりと私の娘達を注いであげる。・・・あはぁぁん」
ミリアの嬌声とともに、貫いている触手がどくん、どくんと脈打つ。
「ああぁー、くる! くるくるくるくるぅぅぅぅ!!」
無数の蟲達がエルの子宮に注がれている。
「もっとよぉ・・・、もっと・・・!」
たっぷり、たっぷり注ぐ。
「あぁー、あぁぁぁぁー・・・」
快楽にわななくエルの表情は、日常の彼女には考えられないものだった。
「もう十分かしらね。」
ミリアが言うと、蟲の注送を止めた。
そして代わりに何かの液体を触手に流す。
「うふふふふ・・・、これであなたも私の眷属・・・」
びゅくん、びゅくん、びゅくん・・・
近くにいるファルにも、その音は聞こえていた。
(く・・・!?)
ファルは必至になって禁断魔法を想像していた。
だが、高度になればなるほどに時間がかかる。
まだ半分少々しかイメージは完成していなかった。
「ミリア! 私の魔法が完成するまで、時間があるわ! いい加減正気に戻りなさい!!」
悪魔になったという事実を受け止めても、なおも説得を試みるファル。
理性を失い、破壊魔と化した彼女の、無意識のうちの友に対する声だった。
「私は正気よぉ・・・、ファルこそおかしいんじゃないの?」
757 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 21:49 ID:WUBGlrGa
そんな言葉を返すミリアの横で、エルの股間が『プシュウ!』と音を立てた。
蟲と液体で、彼女の子宮が満たされたのだった。
「ふふふ、あとは待つだけね」
ずちゅう、と音を立ててエルの股間から触手を引き抜く。
「ああぁぁ・・・」
エルは相変わらず快楽に壊れた表情だった。
「お姉様はそろそろ時間ね」
ミリアはハイリアがいる触手の固まりに目を向けた。
「さぁ、お姉様? ファルに最高の世界を教えてあげて」
その言葉に呼応するかのように、ハイリアを包んだ触手がほどけていく。
「うっふふふふふ・・・」
現れたハイリアは、どこかミリアに似ていた。
しかし、体の至る所に禍々しい模様が刻まれており、異形の器官をも備えていた。
(まだ、まだかかる・・・!)
そのハイリアを見ながら、ファルは焦燥にかられる。
異形の存在となったハイリアは、邪悪な姿にも関わらず異常なまでの美しさだった。
758 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 21:56 ID:WUBGlrGa
「イメージのお嬢ちゃん。ご主人様は、フェリア様から世界を喜びに包む使命を仰せつかったの。
邪魔したらご主人様も迷惑だし、世界の人々も迷惑なのよ・・・?」
「うるさい!!」
ファルは全身に魔力を帯びている。
その力量は、光の最高位の魔術師並みであった。
ファルの強力な魔力は、無意識のうちに彼女を宙に浮かせていた。
「お嬢ちゃんはまだ子供だから、わからないのよ。だからね」
ハイリアが歩み寄ってきた。
「お姉さんが手取り足取り教えてあ・げ・る」
そのままハイリアはファルに口づけをした。
あまりの突然さに、ファルは抵抗できない。
「んむぅ・・・」
一瞬遅れて、ファルは体をねじって抵抗を始めた。
しかし、なぜかその動きは徐々に小さくなり、そして最後には止まってしまった。
「んふふふ・・・、やっぱりね」
ハイリアはファルの唇を解放する。
「魔力の衣のおかげで、ご主人様の催淫の香りがきかなかったのね。」
「う・・・ぐ」
ファルは力が抜け、床にしゃがみこむ。
彼女を覆っていた魔力も、弱まっていった。
759 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 22:08 ID:WUBGlrGa
「その証拠に、ほら。私の体液を直接流し込んだらこれだもの。」
彼女の体液は、ミリアの体から発せられる催淫臭を濃縮して液化させたもの。
本人は否定していたものの、真症の淫乱であったが故に彼女はミリアの力でこう生まれ変わったのだった。
(ま、まずい・・・!)
もはや、ファルの目論見:次元破壊の連続禁断魔法は失敗に終わろうとしていた。
成功していれば、自分はおろか闇世界にいるフェリアにも大きな影響があったというのに・・・。
「ふふ、お姉様も今は立派な私の眷属ね」
「はぁい・・・、ご主人様のおかげです・・・」
ミリアの声に恍惚と感謝の返事をするハイリア。
「さぁ、ファルちゃんっていうんだっけ? ファルちゃんも、ご主人様の虜になってね」
「い・・・、いや・・・!」
ファルの爆発した力は、ハイリアの体液のせいで愛液となって流れ出ていっていた。
ハイリアは股間を激しくこすると、その手をファルの前に差し出した。
「う・・・、な、なに・・・」
「うふふ、今から可愛い私の子供が生まれるの」
その言葉と同時に、ハイリアの手のひらに付着していた緑の愛液が動き始める。
760 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 22:14 ID:WUBGlrGa
ぐちゅぐちゅ、と卑猥な音を立てながらその液体は細かい無数の蟲を形成していった。
「ひ・・・あ・・・」
ファルは目の前の異形の女が、自らの愛液から蟲を作り出した事実に恐怖を覚えた。
(や、闇って・・・!)
「さぁ、ご主人様が世界に広げようとしている喜びを感じてみて。きっと考えが変わるから」
「か、変わらないわよ!!」
ファルは虚勢を張った。
「どうかしらねぇ・・・」
ハイリアは無数の蟲が乗るその手を、ファルの秘所に当てた。
「ふあああ! いや、いやぁ・・・! やめてよぉ・・・!!」
ファルの声もむなしく、ハイリアの蟲はここぞとばかりにファルの穴に入り込んでいく。
「いやぁ、離してぇ! やめて、お姉さん!!」
ファルは暴れようとしているが、思うように動けない。
すでに蟲が作用し始めているのだ。
「もうちょっとで全部よぉ・・・」
ハイリアは妖しく微笑む。
「あっ、あああぅ、やめてぇ・・・!!」
徐々にファルの拒絶の声が小さくなっていく。
「さぁ、全部入ったわ。」
761 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 22:22 ID:WUBGlrGa
ハイリアは青緑色の手をファルの股間から離した。
「ゃぁ・・・」
「どう? 気持ちいいでしょ?」
いつしかファルの手は、片方が胸に、片方が秘所にあてがわれていた。
「き、気持ち・・・よく・・・なんか・・・」
最後まで言えず、ファルはうつむく。
「否定しなくていいのよ? ご主人様はファルちゃんのお友達なんだから。
あ、私がいるから本当のことを言えないのかな?」
ハイリアはおどけたように話した。
「それなら、本当にことを言えるようにしてあげたらどう?」
ミリアがハイリアに声を掛けた。
「その方がいいですかぁ?」
「私だって、ファルが乱れる所を見てみたいわ」
「わかりました、ご主人様がお望みなら・・・」
ハイリアはファルに向き直る。
「ご主人様がお望みなの。本当の声が聞きたいみたい」
すると、ハイリアの両肩についている毒腺がふくらんでいく。
「んふふ・・・、ウブな女の子がどこまで乱れるのかしら・・・。私も楽しみ」
ハイリアはファルの前に立った。
「さぁ、見せてね」
そしてファルに肩の毒腺を向け、大量の液体をそこから流し始めた。
「ふああ! いやぁ!!」
762 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 22:31 ID:WUBGlrGa
ねっとりとしたゲル状の液体は、ファルの下半身をゆっくりと包み込んでいく。
ファルは頭からハイリアの液体をかぶる格好になっている。
「うふふふ・・・」
ミリアもハイリアも、不敵な笑みを見せている。
「・・・ゃぁ・・・、・・・」
もはやファルの拒絶は聞こえなくなっていた。
代わりに、彼女の両手の動きが大きくなっているのがわかる。
エルと同じく自慰行為すら知らないファルが・・・。
うつむき加減なファルだが、手はしっかり動かしている。
「もぉ、本当の言葉が聞きたいのに。お姉さんが手伝ってあげようか?」
無言で自慰をするファルに、ハイリアが痺れをきらせた。
ハイリアは両手に毒腺からゲル状の液体をとると、ファルの秘所に塗り込んだ。
「ひぃああ!」
ファルはその悩ましいくも鋭い快感に、思わず声を上げた。
「あぁ、いい声ねぇ・・・。もっと鳴いてね」
再び毒腺から液体を取り、ファルの至る所に塗り込んでいく。
それを2回、3回と繰り返すうちにファルは先ほどとは異なる声を上げるようになっていた。
「気持ち、いい・・・の・・・?」
ファルは性行為における快楽など、全く知るよしもなかった。
その彼女が、今その快楽に目覚めようとしている。
「そう。これが、エルや私がご主人様からいただいた快楽なの。」
763 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 22:48 ID:WUBGlrGa
快楽の意味すら知らなかったファル。
初めての快感にとまどうのも無理はない。
「気に入った? ゆっくり味わっていいのよ。ここはあなたが切り離した空間なんだから」
同時にファルの体にさらに液体を塗り込んでいくハイリア。
「あはぁ・・・。気持ち・・・いい・・・」
禁断魔法を使った時とは比べられない、甘い声がファルの口から紡がれる。
「もっと鳴いて。私もご主人様も、あなたの鳴き声が聞きたいのよ」
もう一度ハイリアは毒腺をふくらませ、液体を浴びせかけた。
「ああぁ・・・、気持ちいい・・・、気持ちいいよぉ・・・」
「あはぁん、毒を出すと私も気持ちいいのよねぇ・・・」
いつしかハイリアは恍惚とした表情を浮かべていた。
数回にわたって毒を使い、ようやく感じ始めたというのだ。
さすがは真症の淫乱である。
「ほら、お姉さんも一緒に気持ちよくなってあげる」
ハイリアはそう言うと、ファルを抱きしめて横になった。
床はもはやハイリアの毒液で満たされているため、二人にとっては快感以外の感触はなかった。
「ああん、気持ちいいぃ、いいの・・・」
ファルは横になるとき股間を床にすり合わせたらしく、その刺激を感じていた。
「ここを、こうすると、もっと、気持ち、いい、かな・・・?」
ファルは試すように、床に股間をこすりつけてみた。
「ひいぃん!!」
強烈な快感が秘所から全身を駆けめぐる。
764 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 22:58 ID:WUBGlrGa
「そんなとこでこすらないで。私がなめてあげるわ」
ハイリアは69の体位になり、ファルの秘所に舌をのばす。
ぺちゃ・・・、くちゃぁ・・・
静かな異空間の部屋に、粘液質の音が響く。
「くぅうぅん・・・、いいぃ・・・」
甘い甘い刺激に、もはやファルは抵抗することを忘れていた。
同時にこの快楽に屈する意味も。
「ほら・・・(ぺちゃ)、ファルちゃんもなめて・・・(くちゅり)」
「あふ、は、はぁい」
ファルはハイリアの秘所に舌を当て、なめ始めた。
「ふは、いいわぁ」
淫魔のように顔をゆがめ、快楽を味わうハイリア。
二人はしばらくの間、互いの秘所をなめ続けるのだった。
(そろそろいいかしら)
ハイリアがなぜ69をしたか。
それには意味があるのだった。
「じゃあ、ファルちゃん。絶頂を味わってみよっか」
「ぜっちょう・・・?」
秘所をなめる舌を休め、ファルはハイリアを見つめる。
「そう。絶頂こそが、快楽の神髄。うーん、奥義って言った方がわかりやすい?」
奥義という言い方はどこか変だが、まぁそんなものである。
765 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 23:10 ID:WUBGlrGa
「お、うぎ、教えて、ください、お姉さんん・・・」
ファルはもはや快楽の虜だった。
「そのお望み、私がかなえてあげましょう~、てね」
おどけつつ、ハイリアはファルを仰向けにした。
「見ててね」
言うと、右手を股間にはわせた。
するとそこからミリアと同じような触手が顔をのぞかせた。
やはりミリアの眷属だけある。
基本的な能力は受け継いでいるようだ。
「あっ・・・」
潤んだ瞳で、ファルはその瞬間を見ていた。
妙にその触手が愛らしいものに見えて仕方がない。
ハイリアはその触手握ると、上下に動かす。
疑似男根を用いた自慰行為。
「ふはぁ!」
嬌声と共に、触手の先端から緑色の液体が勢いよく飛び出た。
やはり液体はミリア譲りの淫薬であるが、すさまじい濃度らしく異様なまでの甘ったるい香りがした。
「どう? これ、男の人が持ってるものよ。これをその穴に入れるのよ」
ハイリアはファルの秘所を指さした。
「あっ、ああ・・・、欲しい。その棒が欲しい・・・」
773 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 23:29 ID:WUBGlrGa
「じゃあ、あげる。いい子のファルちゃんには、意地悪しないわ」
ハイリアはファルを抱き寄せると、ゆっくりと触手を埋めていった。
同時に両の胸をもむ。
「ああ・・・、ああああーーー・・・」
ファルの瞳は焦点が合っていない。
ずぶずぶと入っていく触手。
「ファルちゃんの中、あったかぁい・・・」
そして、腰と腰が密着する。
「全部入ったわよ?」
ハイリアのその声も、ファルは聞こえていないようだ。
快楽の階段を上っていく人間特有の現象である。
そんなファルを、ハイリアは愛おしく思う。
「もっと喘いで、もっと気持ちよくなってね?」
上下運動を始めるハイリア。
「はあ、ああ・・・、あ・・・、あ、ああぁん・・・、あん・・・」
運動のたびにずちゅっ、ずちゅっ、とハイリアの毒液が膣で触手とこすれる音がする。
その行為のため、どんどん高みに昇っていくファル。
ハイリアもまんざらではないようだ。
「はぁ、ん・・・、私も気持ちよくなってきたわぁ・・・、あん」
その上下運動も、やがて速度が上がっていく。
「はぁはぁ、いいのぉ、いい、いい・・・はぁん」
774 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 23:36 ID:WUBGlrGa
「ああ、そろそろ逝っちゃうわぁ・・・」
ハイリアの触手も、本物の逸物のように堅くなっている。
「逝く? 逝くって、なんか、ああん・・・」
用語の意味がわからないファルにとって、『逝く』という言葉は恐怖の対象になったようだ。
「大丈夫よぉ、お姉さんがついてる、からぁ・・・」
言うと、ハイリアはファルにキスをした。
「ん・・・」
ファルが目を見開く。
ハイリアの口内から触手が入り込んできたのだ。
笑みを浮かべるハイリア。
ファルは無意識のうちに、触手を舌で愛撫し始めていた。
すべてが彼女を侵している淫らな気、そして香りのせいだった。
やがて、二人は同時に同じ感情を抱くのだった。
『イク・・・!』
「んんんんんんんんんーーーーー!!」
ファルは言葉にならない叫びをあげ、達する。
同時にハイリアは股間と口の、両方の触手から緑の精液を吹き出した。
776 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 23:44 ID:WUBGlrGa
横で傍観しているミリアにも、精液を注ぐ音が聞こえるような気がした。
どくん、どくん・・・
ハイリアの、人を堕落せしめる猛毒の精液が今、ファルを蹂躙している。
「ん・・・んん・ん・・・」
いくら出しても止まらないハイリアの精液。
それはやがて、ファルの腹をふくらませていった。
上下両方から注いでいるのだ。当然である。
しかし、ファルは苦しそうなそぶりは全く見せない。
もはや意識がないのだろうか?
ハイリアは気遣うことなく、延々と精液を注ぎ続ける――
ごぽっ、という音と共にハイリアは上下両方の口から触手を引き抜いた。
今やファルの体内は、ハイリアの精液で完全に満たされている。
ハイリアはファルを抱くと、ミリアの側の壁によりかからせた。
「ふは、あ、おねえ、さん・・・、きも、ち、よ、よか・・・」
それ以上話せなかった。
精液が肺に入ってきそうだったからだ。
本能的にそれを察知し、ファルは閉口した。
「私もたくさん出せて、気持ちよかったわぁ・・・」
「んふ、お姉様はやっぱり淫乱なのね。最初からそう思ってたけど。」
ミリアは微笑んだ。
777 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/06/13 23:50 ID:WUBGlrGa
「エルちゃんには何を寄生させたんですかぁ?」
ベッドの上のエルを見て、ハイリアがミリアにきいた。
「ふふ、私と同じ。妖淫蟲よ。」
「ああ、ご主人様を闇に目覚めさせてくれたっていうアレですかぁ」
「だけど、寄生させただけじゃないわ。」
「どういうことです?」
「それは見てのお楽しみ♪」
人間に蟲を寄生させることに何の躊躇もない二人の会話。
それを邪魔するかのように、ドアが一気に開け放たれた。
クラインとキールがようやく気づいたのだ。。
「エル、ファル!?」
キールが声をかけても、二人は返事をしない。
エルは気を失い、ファルは声を出せないだけだが。
「・・・おのれ」
クラインは背中から剣を抜いた。
ファルに見せた、あの父親譲りの剣だ。
悪魔を前にして、グレンピラーは春の木漏れ日のような暖かい輝きを放っていた。
Code:Illusion 2章+3章
2章
管理塔に数匹の妖淫蟲を放っただけで、街は陥落した。
この街の管理者が女性だったからだ。
だが、『光』の勢力はこの街が落ちたことを知らない。
それこそが蟲の力であり、フェリアがミリアを蟲使いとした理由だった。
「簡単すぎたかしら、ミリア?」
509 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/03/01 01:35 ID:TMZuagIQ
「いえ、すべてはフェリア様から頂いたこの力のおかげです。」
「ふふ・・・」
闇の中、フェリアはほくそ笑む。
「次はかつての仲間のところにでも行きなさい。」
「ですが・・・、大丈夫でしょうか?」
「今回は様子を見てくるだけでいいわ。あなたみたいに、
私の下僕になりそうな娘を仲間の中から選んでもいいし。」
「承知しました。」
ミリアが去ろうとしたが、
「お待ちなさい。」
「はい?」
「あなたにもう少し、力をあげる。近くにきなさい。」
「は・・・。」
フェリアの手から邪悪な妖気が放たれる。
妖気はミリアを包み込んでいく。
「ああ・・・、いい・・・。」
ミリアは恍惚とした表情になる。
妖気を放ちながら、フェリアは言う。
510 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/03/01 01:36 ID:TMZuagIQ
「あなたが使う蟲を強化するの。あなた自身の力もね。
まだ心の片隅で仲間を思っていたみたいだけれど・・・、その心も消してあげる。
今度帰ってきたら、あなたを完全な闇の化身にしてあげるわ。」
「ああ・・・、はい、フェリア様ぁ・・・」
妖気を浴びたミリアの体は、より艶かしく、より邪悪なものとなった。
ミリアのまとう漆黒のローブも、妖気のために黒く輝き始めた。
やがてフェリアは妖気を収めた。
「さぁ、お行きなさいな。」
「はい・・・。」
ミリアは新たな力を得た高揚感でいっぱいだった。
深夜、ミリアはキール達が宿を取っている町へ現れた。
「・・・あそこね・・・。」
ミリアは宿屋へ足を進める。
しかし。
「・・・あら?」
その向かいには娼館。
やはりこの世界にも、こういった水商売のようなものがあるのだ。
532 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/03/14 22:47 ID:5ZvyxeOc
「あふ、あふううう、ああ、気持ち、いいい・・・」
「いいわぁ・・・、そろそろ出るわね。」
ミリアのモノではないが、快感や触感はミリアに伝わるようだ。
そして、蟲がびくびくと震えた。
「あ、あ、出る、出ちゃうぅ!」
「ああん、ああ、ああああーーーー!」
ミリアが蟲の粘液を注ぐと同時に、少女も絶頂に達した。
たっぷり2分ほど、少女の中にミリアは注入し続けた。
ごぽり、という音と同時にミリアは蟲を引きぬく。
「どうだったかしら?」
「あはぁ・・・、とっても、良かったですぅ・・・」
「うふふふ・・・。」
ミリアが股間の蟲をさすると、それはミリアの膣に戻っていった。
(そろそろ寄生完了かしらね--)
「みんな、立ちあがってこっちを向いて。」
533 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/03/14 22:47 ID:5ZvyxeOc
「・・・少し楽しんでいこうかしら。」
ミリアはその内部にワープする。
フェリアから妖気を与えられたミリアにとって、この程度は朝飯前になっていた。
「な、何? あなた・・・」
突如姿をあらわしたミリアに戸惑いを隠せない女達。
「何って・・・? ふふふふ、あなた達をここから解き放ってあげるのよ・・・。」
ミリアは出入り口の前に移動する。
そして、漆黒のローブを脱ぎ捨てた。
「まあ・・・」
さすがの娼婦達も驚く。
ミリアはローブの下に何も身につけていなかったのだ。
「あなた達は『光』を信じてるでしょうけど・・・、その実態がここよ。」
「・・・そんなこと・・・、みんなわかってるわよ・・・。」
一人の娼婦がそう言った。
534 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/03/14 22:49 ID:5ZvyxeOc
「まぁ、そうでしょうね。だから・・・、『闇』に来ない?
ここでは嫌々娼婦してるんでしょうけど、『闇』は違うわ。
フェリア様は最高の快楽を与えてくださるわ。」
「で、でも・・・。『闇』の所はここから遠いし・・・。」
「躊躇するのはわかるわ。今夜は『闇』を体験させてあげる。
それで気に入った娘は私についてくればいいのよ。」
ミリアは股間に手を這わせる。
「あはぁ・・・、さぁ、快楽の世界へ・・・。」
その言葉と同時に、ミリアの秘所から緑色の蟲が産み落とされる。
「あふ・・・、気持ちいいわ・・・」
娼婦達はそれをおぞましそうに見ている。
「この子達は魔毒蟲(またいちゅう)。この子達をお○んこに入れるのよ」
しかし、娼婦達は呆然としている。
「大丈夫よ、私の中にいたんだから。害はないわ。」
(--もちろん最初はね。)
ミリアは内心でそう呟く。
すると、一人の娼婦が魔毒蟲を手に取る。
「わたし、正直言って・・・『闇』にあこがれてたの。」
そして彼女は、蟲をゆっくりと秘所に持っていく。
--くちゅり。
535 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/03/14 22:50 ID:5ZvyxeOc
「はあ・・・」
彼女は恍惚の声をあげる。
「ど、どうなの・・・?」
他の娼婦達が恐る恐る尋ねる。
「痛くないの?」
「ふあ・・・、全然、痛くなんか、ない、よ・・・、あん・・・」
魔毒蟲を股間に入れた娼婦が答えた。
「でも私は・・・、なんか気持ち悪いわ・・・。」
「あら、そんな言葉が出るとは思わなかったわ。」
ミリアが言った。
「あなた達、いつも男のアレをぶち込まれてるんでしょ?
この子達のほうがよっぽど綺麗じゃないの。それに、入れても妊娠しないし」
「う・・・、でも・・・。」
「ああん・・・、とっても気持ちいいわよぉ・・・、うあん・・・」
その声に誘われたらしく、娼婦達は一人、二人と魔毒蟲を秘所に入れていく。
「あはああん・・・、ああ、これ・・・、いいのぉ・・・」
「あああ・・・、気持ちいいぃ・・・」
しかし、他の全員が魔毒蟲を秘所に入れたのに、一人だけ悩む娘がいた。
「どうしたの?」
536 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/03/14 22:51 ID:5ZvyxeOc
ミリアが優しく問いかける。
「なんか、怖くって・・・。」
「みんなを見なさいよ。あんなに気持ちよさそう。」
「でも・・・。」
「あなた・・・、処女?」
「え・・・。」
ミリアはその娘を抱きしめる。
「あ、ちょ、ちょっと・・・。」
(香りでわかるわ。この子、処女だわ・・・)
「処女でしょう?」
「・・・はい。」
恥ずかしそうに、その娘は答えた。
「それじゃあ、私がもらっちゃおうかしら。」
「え・・・」
抱きしめたままのミリアの股間から、ペ○スをコピーしたような蟲が頭を出した。
「い、いや・・・」
彼女はミリアから離れる。
537 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/03/14 22:52 ID:5ZvyxeOc
「怖くなんかないわ。大丈夫よ・・・」
ミリアの股間の蟲が、ピンク色の気体を噴出した。
「あ・・・」
それは甘い香りのする媚香。
処女ですらわずかの吸引量で発情してしまう、フェリアの妖気で強化された蟲の能力だ。
「あ・・・あ・・・、か、体が・・・熱い・・・」
「ほら、入れるわよ。」
ミリアは彼女を寝かせると、腰を下ろした。
「あ・・・ああああああああああああ・・・」
「あはぁ・・・、きつくって・・・いいわぁ・・・」
媚香のせいか、ミリアの犯している少女に痛みはないようだ。
「動くわよぉ・・・」
ミリアは腰を動かし始める。
538 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/03/14 22:53 ID:5ZvyxeOc
「あふ、あふううう、ああ、気持ち、いいい・・・」
「いいわぁ・・・、そろそろ出るわね。」
ミリアのモノではないが、快感や触感はミリアに伝わるようだ。
そして、蟲がびくびくと震えた。
「あ、あ、出る、出ちゃうぅ!」
「ああん、ああ、ああああーーーー!」
ミリアが蟲の粘液を注ぐと同時に、少女も絶頂に達した。
たっぷり2分ほど、少女の中にミリアは注入し続けた。
ごぽり、という音と同時にミリアは蟲を引きぬく。
「どうだったかしら?」
「あはぁ・・・、とっても、良かったですぅ・・・」
「うふふふ・・・。」
ミリアが股間の蟲をさすると、それはミリアの膣に戻っていった。
(そろそろ寄生完了かしらね--)
「みんな、立ちあがってこっちを向いて。」
626 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/04/30 01:13 ID:vsmNS7zT
「みんな、立ちあがってこっちを向いて。」
するとどうか。
ミリアが犯した少女を除いて、娼婦達は立ちあがりミリアの方を向く。
彼女達の体が豊満になっている。
「あなた達が膣に入れた蟲は、完全に着床したはず。
二度と離れることはないわ。それから、魔毒蟲はあなた達の体を作りかえたの。
おっぱいも大きくなってるだろうし、腰だって細くなっているわ。
同時に全身から自分の意思で体液を分泌できるわ。それも猛毒のね。
それこそが魔毒蟲の力・・・。さぁ、恨みのある者を殺しておいでなさい。」
ミリアが命令すると、娼婦達はふらふらと部屋を出ていった。
「あなたは別。私があなたの中に出した液体が、あなたを作り変えてくれるわ。」
床で寝ている少女にミリアは言ったが、彼女には聞こえていないようだった。
「あ・・・あ・・・、気持ち・・・いい・・・の・・・」
少女は夢見る瞳で延々とつぶやいていた。
627 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/04/30 01:14 ID:vsmNS7zT
そして宿屋に侵入し、かつての仲間を見つけたミリア。
全員が個室ではなく、男性陣だけ大部屋で寝ていた。
女性陣は個室を当てられたようだ。
「ふふ・・・」
ミリアはそれぞれの部屋でローブをはだけ、股間から蟲の卵を産み落とす。
監視の役目を持つ蟲なので、サイズも小さい。
「あとは・・・、一人になったところを狙えば・・・。うふふふ・・・。」
ミリアはフェリアの居城へワープしていった。
628 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/04/30 01:14 ID:vsmNS7zT
3章
城に戻ったミリア。
すぐにフェリアに呼び出された。
「参りました。」
「お帰り、ミリア。仲間とは会えた?」
「はい、会えました。蟲を残してきたので、いつでも襲えます。」
「クスクス・・・、上出来ね。」
「ありがとうございます。」
ミリアは礼をする。
「さて・・・、約束どおり、あなたを闇の化身にしてあげる。」
「はっ」
「私が人間をやめたことは知っていて?」
「存じております」
フェリアは着ているものを脱いだ。
「あなたもやめることになるわ。そして、純粋な邪悪となり・・・。」
フェリアの姿が変わっていく。
美しく、白い裸体が妖気と闇の波動で黒く輝いている。
一瞬後には、無数の触手を蠢かす妖花となったフェリアがいた。
花弁の中心に、裸体のフェリアがいる形だ。
「私の依代となるの。私の命とて有限なのよ。」
フェリアからはねっとりとした、甘い香りが漂ってくる。
ミリアの蟲では作り出せないような濃度だ。
629 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/04/30 01:15 ID:vsmNS7zT
「あ・・・」
ミリアはその香りに当てられる。
フェリアの触手がミリアを捕らえると、妖花の花弁に連れてくる。
「さぁ、お入り・・・」
触手が解かれると、ミリアの体は花の中に沈む。
花の中は、流動質のある液体で満たされている。
「うあ・・・あ・・・」
惚けた表情でミリアが声をあげる。
フェリアがミリアを抱き、二人で液体の中に沈んでいく。
「あふ・・・」
フェリアはミリアの膣口を大きく開かせ、液体が膣に入りやすいようにする。
ミリアの膣に入った液体は、ミリアの膣を満たす。
それだけではない。
そのままミリアの膣から体内に吸収されていく。
膣には蟲もいるというのに--
数分後、フェリアはミリアを抱き上げる。
「さぁ・・・、次は私の愛液を飲みなさい。」
「ふぁい・・・」
目つきも虚ろなミリアは、フェリアの秘所に口を当てる。
「うんっ!」
フェリアの声と同時に、秘所から液体が滝のように流れてきた。
630 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/04/30 01:16 ID:vsmNS7zT
ぴちゃ、ぴちゃ、ぴちゃ・・・
ミリアはひたすらにそれを飲む。
「ふふ・・・、いいわ・・・。」
そのまま、フェリアの妖花は花びらを閉じていった。
ミリアが妖花の中に入って1日。
花びらが開き始めた。
「あはぁぁぁぁぁ・・・」
ミリアの恍惚とした声が響く。
「ふふふ・・・、すっかり生まれ変わったわね。」
フェリアも姿をあらわした。
「さぁ、私にその姿を見せて。蟲魔ミリア。」
フェリアはミリアを触手で地面に下ろす。
「はぁい、フェリア様ぁ・・・」
粘液でぐちゃぐちゃのミリア。
「あはぁぁぁぁあん・・・」
嬌声と共に、変化し始めるミリアの体。
数秒後には異形の姿となったミリアがいた。
青緑色の皮膚からは常に何かの粘液が分泌されている。
背中から紫色の触手を大量に生やし、ざわざわと蠢いている。
股間と乳首から滴る、緑の体液。
その体から香る淫臭。
631 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/04/30 01:17 ID:vsmNS7zT
『光』の魔法剣士だったミリアは蟲使いとなり、そして蟲魔ミリアとなった。
「さぁ、その魔の肉体で『光』の人間達を虜にしてしまいなさい。
女は犯し、洗脳して戦力に。男からは精気を集めるのよ。」
「あふぅ・・・、かしこまりましたぁ。」
ミリアは人間の姿に戻ると、ローブを身に着けた。
「いってまいります。」
女の発情臭を残し、ミリアはワープしていった。
シィズは、ミリアが街から連れかえって来た娼婦達に犯されていた。
彼女が『この娘たち、さびしいんだって』と言った瞬間に飛びかかってきたのだ。
「くああ・・・、ちょっと、やめ・・・」
あらかじめ解毒剤を飲んでいるので、シィズに害は無い。床は娼婦達の緑色の体液でぐちょぐちょだ。
「シィズ様もぉ・・・、ミリア様に蟲をもらったらどぉですぅ・・・?」
「とっても気持ちイイですよぉ・・・。あんっ」
(それも、いい、かも・・・)
「ふあああん・・・!」
シィズはまだまだ苦労しそうだった。
管理塔に数匹の妖淫蟲を放っただけで、街は陥落した。
この街の管理者が女性だったからだ。
だが、『光』の勢力はこの街が落ちたことを知らない。
それこそが蟲の力であり、フェリアがミリアを蟲使いとした理由だった。
「簡単すぎたかしら、ミリア?」
509 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/03/01 01:35 ID:TMZuagIQ
「いえ、すべてはフェリア様から頂いたこの力のおかげです。」
「ふふ・・・」
闇の中、フェリアはほくそ笑む。
「次はかつての仲間のところにでも行きなさい。」
「ですが・・・、大丈夫でしょうか?」
「今回は様子を見てくるだけでいいわ。あなたみたいに、
私の下僕になりそうな娘を仲間の中から選んでもいいし。」
「承知しました。」
ミリアが去ろうとしたが、
「お待ちなさい。」
「はい?」
「あなたにもう少し、力をあげる。近くにきなさい。」
「は・・・。」
フェリアの手から邪悪な妖気が放たれる。
妖気はミリアを包み込んでいく。
「ああ・・・、いい・・・。」
ミリアは恍惚とした表情になる。
妖気を放ちながら、フェリアは言う。
510 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/03/01 01:36 ID:TMZuagIQ
「あなたが使う蟲を強化するの。あなた自身の力もね。
まだ心の片隅で仲間を思っていたみたいだけれど・・・、その心も消してあげる。
今度帰ってきたら、あなたを完全な闇の化身にしてあげるわ。」
「ああ・・・、はい、フェリア様ぁ・・・」
妖気を浴びたミリアの体は、より艶かしく、より邪悪なものとなった。
ミリアのまとう漆黒のローブも、妖気のために黒く輝き始めた。
やがてフェリアは妖気を収めた。
「さぁ、お行きなさいな。」
「はい・・・。」
ミリアは新たな力を得た高揚感でいっぱいだった。
深夜、ミリアはキール達が宿を取っている町へ現れた。
「・・・あそこね・・・。」
ミリアは宿屋へ足を進める。
しかし。
「・・・あら?」
その向かいには娼館。
やはりこの世界にも、こういった水商売のようなものがあるのだ。
532 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/03/14 22:47 ID:5ZvyxeOc
「あふ、あふううう、ああ、気持ち、いいい・・・」
「いいわぁ・・・、そろそろ出るわね。」
ミリアのモノではないが、快感や触感はミリアに伝わるようだ。
そして、蟲がびくびくと震えた。
「あ、あ、出る、出ちゃうぅ!」
「ああん、ああ、ああああーーーー!」
ミリアが蟲の粘液を注ぐと同時に、少女も絶頂に達した。
たっぷり2分ほど、少女の中にミリアは注入し続けた。
ごぽり、という音と同時にミリアは蟲を引きぬく。
「どうだったかしら?」
「あはぁ・・・、とっても、良かったですぅ・・・」
「うふふふ・・・。」
ミリアが股間の蟲をさすると、それはミリアの膣に戻っていった。
(そろそろ寄生完了かしらね--)
「みんな、立ちあがってこっちを向いて。」
533 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/03/14 22:47 ID:5ZvyxeOc
「・・・少し楽しんでいこうかしら。」
ミリアはその内部にワープする。
フェリアから妖気を与えられたミリアにとって、この程度は朝飯前になっていた。
「な、何? あなた・・・」
突如姿をあらわしたミリアに戸惑いを隠せない女達。
「何って・・・? ふふふふ、あなた達をここから解き放ってあげるのよ・・・。」
ミリアは出入り口の前に移動する。
そして、漆黒のローブを脱ぎ捨てた。
「まあ・・・」
さすがの娼婦達も驚く。
ミリアはローブの下に何も身につけていなかったのだ。
「あなた達は『光』を信じてるでしょうけど・・・、その実態がここよ。」
「・・・そんなこと・・・、みんなわかってるわよ・・・。」
一人の娼婦がそう言った。
534 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/03/14 22:49 ID:5ZvyxeOc
「まぁ、そうでしょうね。だから・・・、『闇』に来ない?
ここでは嫌々娼婦してるんでしょうけど、『闇』は違うわ。
フェリア様は最高の快楽を与えてくださるわ。」
「で、でも・・・。『闇』の所はここから遠いし・・・。」
「躊躇するのはわかるわ。今夜は『闇』を体験させてあげる。
それで気に入った娘は私についてくればいいのよ。」
ミリアは股間に手を這わせる。
「あはぁ・・・、さぁ、快楽の世界へ・・・。」
その言葉と同時に、ミリアの秘所から緑色の蟲が産み落とされる。
「あふ・・・、気持ちいいわ・・・」
娼婦達はそれをおぞましそうに見ている。
「この子達は魔毒蟲(またいちゅう)。この子達をお○んこに入れるのよ」
しかし、娼婦達は呆然としている。
「大丈夫よ、私の中にいたんだから。害はないわ。」
(--もちろん最初はね。)
ミリアは内心でそう呟く。
すると、一人の娼婦が魔毒蟲を手に取る。
「わたし、正直言って・・・『闇』にあこがれてたの。」
そして彼女は、蟲をゆっくりと秘所に持っていく。
--くちゅり。
535 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/03/14 22:50 ID:5ZvyxeOc
「はあ・・・」
彼女は恍惚の声をあげる。
「ど、どうなの・・・?」
他の娼婦達が恐る恐る尋ねる。
「痛くないの?」
「ふあ・・・、全然、痛くなんか、ない、よ・・・、あん・・・」
魔毒蟲を股間に入れた娼婦が答えた。
「でも私は・・・、なんか気持ち悪いわ・・・。」
「あら、そんな言葉が出るとは思わなかったわ。」
ミリアが言った。
「あなた達、いつも男のアレをぶち込まれてるんでしょ?
この子達のほうがよっぽど綺麗じゃないの。それに、入れても妊娠しないし」
「う・・・、でも・・・。」
「ああん・・・、とっても気持ちいいわよぉ・・・、うあん・・・」
その声に誘われたらしく、娼婦達は一人、二人と魔毒蟲を秘所に入れていく。
「あはああん・・・、ああ、これ・・・、いいのぉ・・・」
「あああ・・・、気持ちいいぃ・・・」
しかし、他の全員が魔毒蟲を秘所に入れたのに、一人だけ悩む娘がいた。
「どうしたの?」
536 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/03/14 22:51 ID:5ZvyxeOc
ミリアが優しく問いかける。
「なんか、怖くって・・・。」
「みんなを見なさいよ。あんなに気持ちよさそう。」
「でも・・・。」
「あなた・・・、処女?」
「え・・・。」
ミリアはその娘を抱きしめる。
「あ、ちょ、ちょっと・・・。」
(香りでわかるわ。この子、処女だわ・・・)
「処女でしょう?」
「・・・はい。」
恥ずかしそうに、その娘は答えた。
「それじゃあ、私がもらっちゃおうかしら。」
「え・・・」
抱きしめたままのミリアの股間から、ペ○スをコピーしたような蟲が頭を出した。
「い、いや・・・」
彼女はミリアから離れる。
537 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/03/14 22:52 ID:5ZvyxeOc
「怖くなんかないわ。大丈夫よ・・・」
ミリアの股間の蟲が、ピンク色の気体を噴出した。
「あ・・・」
それは甘い香りのする媚香。
処女ですらわずかの吸引量で発情してしまう、フェリアの妖気で強化された蟲の能力だ。
「あ・・・あ・・・、か、体が・・・熱い・・・」
「ほら、入れるわよ。」
ミリアは彼女を寝かせると、腰を下ろした。
「あ・・・ああああああああああああ・・・」
「あはぁ・・・、きつくって・・・いいわぁ・・・」
媚香のせいか、ミリアの犯している少女に痛みはないようだ。
「動くわよぉ・・・」
ミリアは腰を動かし始める。
538 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/03/14 22:53 ID:5ZvyxeOc
「あふ、あふううう、ああ、気持ち、いいい・・・」
「いいわぁ・・・、そろそろ出るわね。」
ミリアのモノではないが、快感や触感はミリアに伝わるようだ。
そして、蟲がびくびくと震えた。
「あ、あ、出る、出ちゃうぅ!」
「ああん、ああ、ああああーーーー!」
ミリアが蟲の粘液を注ぐと同時に、少女も絶頂に達した。
たっぷり2分ほど、少女の中にミリアは注入し続けた。
ごぽり、という音と同時にミリアは蟲を引きぬく。
「どうだったかしら?」
「あはぁ・・・、とっても、良かったですぅ・・・」
「うふふふ・・・。」
ミリアが股間の蟲をさすると、それはミリアの膣に戻っていった。
(そろそろ寄生完了かしらね--)
「みんな、立ちあがってこっちを向いて。」
626 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/04/30 01:13 ID:vsmNS7zT
「みんな、立ちあがってこっちを向いて。」
するとどうか。
ミリアが犯した少女を除いて、娼婦達は立ちあがりミリアの方を向く。
彼女達の体が豊満になっている。
「あなた達が膣に入れた蟲は、完全に着床したはず。
二度と離れることはないわ。それから、魔毒蟲はあなた達の体を作りかえたの。
おっぱいも大きくなってるだろうし、腰だって細くなっているわ。
同時に全身から自分の意思で体液を分泌できるわ。それも猛毒のね。
それこそが魔毒蟲の力・・・。さぁ、恨みのある者を殺しておいでなさい。」
ミリアが命令すると、娼婦達はふらふらと部屋を出ていった。
「あなたは別。私があなたの中に出した液体が、あなたを作り変えてくれるわ。」
床で寝ている少女にミリアは言ったが、彼女には聞こえていないようだった。
「あ・・・あ・・・、気持ち・・・いい・・・の・・・」
少女は夢見る瞳で延々とつぶやいていた。
627 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/04/30 01:14 ID:vsmNS7zT
そして宿屋に侵入し、かつての仲間を見つけたミリア。
全員が個室ではなく、男性陣だけ大部屋で寝ていた。
女性陣は個室を当てられたようだ。
「ふふ・・・」
ミリアはそれぞれの部屋でローブをはだけ、股間から蟲の卵を産み落とす。
監視の役目を持つ蟲なので、サイズも小さい。
「あとは・・・、一人になったところを狙えば・・・。うふふふ・・・。」
ミリアはフェリアの居城へワープしていった。
628 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/04/30 01:14 ID:vsmNS7zT
3章
城に戻ったミリア。
すぐにフェリアに呼び出された。
「参りました。」
「お帰り、ミリア。仲間とは会えた?」
「はい、会えました。蟲を残してきたので、いつでも襲えます。」
「クスクス・・・、上出来ね。」
「ありがとうございます。」
ミリアは礼をする。
「さて・・・、約束どおり、あなたを闇の化身にしてあげる。」
「はっ」
「私が人間をやめたことは知っていて?」
「存じております」
フェリアは着ているものを脱いだ。
「あなたもやめることになるわ。そして、純粋な邪悪となり・・・。」
フェリアの姿が変わっていく。
美しく、白い裸体が妖気と闇の波動で黒く輝いている。
一瞬後には、無数の触手を蠢かす妖花となったフェリアがいた。
花弁の中心に、裸体のフェリアがいる形だ。
「私の依代となるの。私の命とて有限なのよ。」
フェリアからはねっとりとした、甘い香りが漂ってくる。
ミリアの蟲では作り出せないような濃度だ。
629 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/04/30 01:15 ID:vsmNS7zT
「あ・・・」
ミリアはその香りに当てられる。
フェリアの触手がミリアを捕らえると、妖花の花弁に連れてくる。
「さぁ、お入り・・・」
触手が解かれると、ミリアの体は花の中に沈む。
花の中は、流動質のある液体で満たされている。
「うあ・・・あ・・・」
惚けた表情でミリアが声をあげる。
フェリアがミリアを抱き、二人で液体の中に沈んでいく。
「あふ・・・」
フェリアはミリアの膣口を大きく開かせ、液体が膣に入りやすいようにする。
ミリアの膣に入った液体は、ミリアの膣を満たす。
それだけではない。
そのままミリアの膣から体内に吸収されていく。
膣には蟲もいるというのに--
数分後、フェリアはミリアを抱き上げる。
「さぁ・・・、次は私の愛液を飲みなさい。」
「ふぁい・・・」
目つきも虚ろなミリアは、フェリアの秘所に口を当てる。
「うんっ!」
フェリアの声と同時に、秘所から液体が滝のように流れてきた。
630 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/04/30 01:16 ID:vsmNS7zT
ぴちゃ、ぴちゃ、ぴちゃ・・・
ミリアはひたすらにそれを飲む。
「ふふ・・・、いいわ・・・。」
そのまま、フェリアの妖花は花びらを閉じていった。
ミリアが妖花の中に入って1日。
花びらが開き始めた。
「あはぁぁぁぁぁ・・・」
ミリアの恍惚とした声が響く。
「ふふふ・・・、すっかり生まれ変わったわね。」
フェリアも姿をあらわした。
「さぁ、私にその姿を見せて。蟲魔ミリア。」
フェリアはミリアを触手で地面に下ろす。
「はぁい、フェリア様ぁ・・・」
粘液でぐちゃぐちゃのミリア。
「あはぁぁぁぁあん・・・」
嬌声と共に、変化し始めるミリアの体。
数秒後には異形の姿となったミリアがいた。
青緑色の皮膚からは常に何かの粘液が分泌されている。
背中から紫色の触手を大量に生やし、ざわざわと蠢いている。
股間と乳首から滴る、緑の体液。
その体から香る淫臭。
631 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/04/30 01:17 ID:vsmNS7zT
『光』の魔法剣士だったミリアは蟲使いとなり、そして蟲魔ミリアとなった。
「さぁ、その魔の肉体で『光』の人間達を虜にしてしまいなさい。
女は犯し、洗脳して戦力に。男からは精気を集めるのよ。」
「あふぅ・・・、かしこまりましたぁ。」
ミリアは人間の姿に戻ると、ローブを身に着けた。
「いってまいります。」
女の発情臭を残し、ミリアはワープしていった。
シィズは、ミリアが街から連れかえって来た娼婦達に犯されていた。
彼女が『この娘たち、さびしいんだって』と言った瞬間に飛びかかってきたのだ。
「くああ・・・、ちょっと、やめ・・・」
あらかじめ解毒剤を飲んでいるので、シィズに害は無い。床は娼婦達の緑色の体液でぐちょぐちょだ。
「シィズ様もぉ・・・、ミリア様に蟲をもらったらどぉですぅ・・・?」
「とっても気持ちイイですよぉ・・・。あんっ」
(それも、いい、かも・・・)
「ふあああん・・・!」
シィズはまだまだ苦労しそうだった。
無限の果肉 第六話
555 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/03/22 10:57 ID:e4mJ22OJ
<新しい生活 前編>
どんな事が起ころうとも時の流れは変わらない。
それは自分が人間以外の生物に犯されても、同じで。
もう、死んでも良い、だとか、夢かもしれない、なんて何度も思いながら魔物に犯されても。
時の流れは、変わらない。
「――ん」
意識が、覚醒していく。寝惚け眼のまま天井を何十秒も眺めた。
その顔はどこか赤く、色っぽい。呼吸する度に上下へと動く布団の動きも、寝起きにしてはペースが早い。
「――ふぁ――」
欠伸をし、窓から差し込む朝日がいつも以上に心地良くて、もう一度布団を被り直してしまおうか、と考える。
(違う。眠りたいと思うのは、日差しが気持ち良いから、っていう理由だけじゃない)
布団の中で、手をまさぐらせる。その手は寝巻きに潜り込み、羞恥の丘を覆う下着をゆっくりと触った。
「――んっ」
手から湿ったような感覚が、股間からはぴりりとした官能が、伝わってくる。
そこは、べっちょりと濡れていた。
(私。さっきまで夢を見てた。『新しい御主人様にめちゃくちゃに犯される夢』を)
もう心の整理は付いている。
昨日。自分はウラヌス様が封印していた魔物の封印を解いてしまい。そして、犯された。
そして、化け物が相手だというのに、今まで以上の快楽を感じていた事も。
そして、同時にこれ以上ない程の幸せも、感じていた。
その時に思った。この魔物に犯されることこそ、自分の存在意義であると。
自分は、あの魔物の為の、淫らなメイドであると。
「それに」
(精液、中に出されちゃったし。思いっきり。安全日じゃないのに)
「責任、取ってもらわないと」
一人で声を控えて笑う。
556 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/03/22 10:59 ID:e4mJ22OJ
「あ」
(私がねだったんだっけ)
ともかく。自分は、それほどまでにあの魔物を好きで、そしてあの魔物を自分を必要としている。
それなら、全てを受け入れようと、思った。
(それに……すっごく、気持ち良いしね)
淫乱な自分の事だ。ひょっとしたらこっちが、腹をくくった原因かもしれない。
(あ、昨日の事思い出したら、したくなってきちゃった)
どうしようか。
(いいや、しちゃえ)
官能に対しての羞恥が随分と擦り切れてしまったな、と思いつつ秘所に伸ばした手を――
――ノックの音が響いた。
「ネーアちゃん?」
フェルナの声と共に扉の蝶番が軋む。
「っ!?」
後ろ暗い事を考えていたせいか、その音に過敏に反応してしまう。
「……? ネーアちゃん? 起きてるの?」
「あ、うん。起きてるよ。何か用?」
「何って、もうとっくにミーティングの時間始まってるんだけど」
言われて初めて時計を見る。
「……あ」
六時を回ったところだった。ミーティングが六時から始まる事を考えると遅刻決定である。
「ご、ごめんっ。今すぐ用意していくからっ。フェルナはもう戻って」
「お仕事、するの?」
「え?」
「……ううん、なんでもない。フェルナ、先行くね」
言うや否やフェルナはさっさと部屋を出て行ってしまった。
扉が閉まる音が響き、その向こうから徐々に遠ざかっていく足音が聞こえる。
「今日のフェルナ、何だか変だったな」
(全然元気が無かった。いつもなら布団を捲ってでも起こしてくれるのに)
言うことを言って聞くことを聞くとさっさと出て行ってしまった。
557 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/03/22 11:03 ID:e4mJ22OJ
「どうしてあんなに、よそよそしかったんだろう? …………あ」
頭の中に、
フェルナの目の前で派手に絶頂に達する自分の姿が、
思い浮かんだ。
(そうだよね、気まずいよね、お互い)
むしろ、昨日あんな事があったばかりで普通に話が出来る方がおかしい。
(新しいご主人様とエッチしちゃった事がインパクト強すぎて、そんな事すっかり忘れてた)
「ふう」
自然と溜め息が零れる。
だがフェルナにああ言った手前、堂々と仕事をサボるわけにはいかない。それに、
(なんだろ? 精神的にはすごく参っている筈なのに、体は元気が有り余ってる感じ)
今なら何をやっても上手くいくような気がする。
「そんなわけないのにね」
ベッドから降り立ち、さっさと身支度を済ませてしまう。当然下着も替えた。
それが終わると換気の為に窓を開け、ミーティングを行う厨房へと向かった。
***
558 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/03/22 11:07 ID:e4mJ22OJ
「お早うございますっ。遅れてすみませんでしたっ」
厨房へ駆け込むと同時に声を張り上げる。
「ネーアさん?」
「あら、ほんとに来たわ」
「……」
その場に居たメイド全員の視線が、八人分の視線がこちらへと向けられる。
(あ、う……視線が痛い)
その半数が『邪魔だからどこかへ行け』という意思を持っている。
途端に、疎外感がネーアの心を包み込む。
自分が必要とされていない人間と、自覚してしまう。
(この感覚は、慣れそうに無いよ)
ティジフォーンを始めとする例の三人組に虐待を受けた方が、楽かもしれない。
「何をしに来たのですか?」
思ったそばからティジフォーンが辛らつな言葉を投げかけた。
「それは、その……お仕事を」
尻すぼまりになっていく自分の声が恨めしい。
「お仕事を……なんです? はっきりおっしゃって下さい」
(またそうやってっ。私がろくに仕事を出来ない事を分かった上で、
私に『仕事をしに来ました』なんて言わせる……!)
いつものネーアなら、雰囲気に呑まれティジフォーンの思惑どうりに苦汁を飲むしかない。
涙と屈辱を噛み締めながら、避けることの出来ない恥を掻くしかない。
だが、今のネーアは違った。
心の中に溢れているのは、屈辱や悲しみ、畏怖といった感情ではなく――
「そんな簡単な事も分からないんですか、ティジフォーンさん?」
笑顔を浮かべながら喋るネーアの心の中には、ただ『怒り』と『憎しみ』だけがあった。
ティジフォーンの眉が跳ね上がる。
「今、何とおっしゃられましたか? ネーアさん」
「あれ? 聞こえなかったんですかティジフォーンさん? 小さな声ではなかった筈ですけど?
ああ、三十路も超えればモウロクするって事ですか?」
『……っ!?』
559 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/03/22 11:08 ID:e4mJ22OJ
その言葉に厨房内に居たメイド全員が例外なく息を呑んだ。
その光景が何故か滑稽に見えてしょうがない。
「耳が遠くなったティジフォーンさんの為にもう一度お伝えします」
『耳が遠くなった』の部分を必要以上に強調して、続ける。
「メイドがミーティングにやってきたのだから、それは仕事をするという事です。
そんな事も分からないのですか――私はそう良いいました。分かってくれましたか?」
ティジフォーンの眉がこめかみが、絶命直前の昆虫のようにぴくぴくと痙攣している。
口元はいつもの笑みを浮かべながら、でも目は少しも笑っていない。
レアクトは口を『あ』の形に空けたまま硬直し、メライガが眉をひそめて私を見ている。
周りのメイド達は顔を真っ青にしながら事の成り行きを見守っていた。
その様子を見て、
何故か私は興奮した。あっと驚くメイド達の顔が心地良い。
まるで酔っ払いのように理性からタガが外れ、代わりに心の内から、
何かどす黒いものが、性的虐待を受けた時に感じた、負の感情が溢れ出て来る。
「そこまで言うなら、分かってるのでしょうね?」
押し殺した声にはいつもの、人を見下すような余裕は無い。
「はい? 分かりませんよ? だって、誰が、何をするのか仰って――」
みなまで言うことは無かった。
パアンッ、と頬を叩く音が厨房内に響く。
右頬が熱く、疼いている。
(叩かれた。……いや、違う)
「ネーアさんは水汲みをお願いします!」
ティジフォーンは一方的に言い放つと、他のメイド達の点呼と今日のノルマを次々と与えていく。
その言葉の端々に、いつも以上に棘が入っているのが分かる。
(私が叩かせたんだ。いつも笑顔を浮かべているあの顔を一瞬憎悪に歪ませて。
折檻の時だって直接的な暴力はした事が無かったのに。私が怒らせて、あの人に暴力を振るわせた)
ジンジンと疼く頬を押さえる。痛い。でもそれ以上に心地良い。
それは精神的な官能だった。
子宮が熱く疼いている。
時折、八つ当たり同然に声を張り上げるティジフォーンを観察しながら、ネーアは口の端を歪めた。
560 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/03/22 11:10 ID:e4mJ22OJ
***
屋敷の裏を進むと獣道よりかは幾分か舗装された山道が見えてくる。
この山道を大人の足で二十分ほど進むと小川に出る。
小川と言っても幅五十センチにも満たないその小川には、魚も住んではおらず、
せいぜい苔が生えている程度だ。その小川に沿って更に五分、上流を目指すと、
石、岩を剥き出しにした山肌に行き着く。
この山肌の合間から小川を形成する水が溢れ出しているのだ。
この屋敷での『水汲み』と呼ばれる仕事は、
取っての付いた水がめ(特別製。本体重量3キロ、最大内容量約10リットル)を使い、
合計100リットルの水を屋敷へと届ける重労働である。
週に二度、フェルナとレアクトが共同で行っているこの作業は、
二人が両手に水がめを持ち、三往復する事で仕事を完遂している。
使用時間は三時間。体力自慢の二人で仕事をやってこれだけ手間の掛かる仕事に、
やはり、ネーアは根を上げていた。
(無理だよ。こんなの)
水源の真下に置いた水がめが、水で満たされるまでの間、
休憩とばかりに適当なところに腰掛けた。
(他の子は朝食を取るために一時間や二時間で終わる作業ばかりなのに。どうして私だけ)
はあ、とため息を付く。
(それにどうして屋敷には井戸が無いのかなぁ。有ればこんな余分な労働しなくてすむのに)
メイドと言っても嫌な仕事は嫌だ。
(まあ、一往復も持たないかと思ってた割には結構頑張れてるんだけど)
実は、ネーアはすでに二往復を終えて今は三往復めの折り返し地点。
つい先日までの無能ぶりに比べれば奇跡とも思える成果を挙げていた。
(思ったより軽かったし一往復一時間も掛からなかったし、
もう動けない、とは言わないんだけど。腹筋とかついちゃったらどうしよう――)
そんな馬鹿な事を考えつつ、ふと口にする。
「お腹空いたなぁ」
561 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/03/22 11:11 ID:e4mJ22OJ
これが当面の問題だ。久しぶりの労働のせいか、ネーアの体の燃費が悪いのか、
彼女は今までに無い空腹感を覚える。
「でも、食べる物無いもんね」
この辺りには食事にも使われる山菜などが生えているが、自分がそんな物を探しても
せいぜい毒キノコを探し当てるのが関の山だろうと、ネーアは諦める。
(水なら幾らでもあるんだけど)
勢い良く水がめに注がれていく透明の液体を見つめる。
すでに容量を超えた分が、水がめから溢れ、こぼれている。
水で空腹は収まらない。むしろ逆効果だ。
「背に腹は代えられない、か」
水っ腹になろうとも後で後悔しようとも、一時的にでもこの空腹感から逃れるのなら、
そう思い、岩間から噴出す水へ、両の掌を添える。
労働した後の火照った体に、水の冷たさが心地良い。
両掌をお椀型に密着させ水を受け、飲んだ。
んく、んく――
(あれ? おいしい)
汗を流した直後だからか。何故かただの水が美味い。
掌の水が無くなると再び両手を伸ばし、水で満たす。そして一息で飲み干す。
また伸ばし、飲み干す。
そんな事何度も繰り返し、
(面倒くさいから直に飲もう)
今度はあふれ出る水へと口を開けて顔を近づける。
水が顔を、うなじを、胸元を濡らしていく。
(やだ。止まらない。水っ腹になっちゃうよ)
何かに憑かれたように延々と水を飲み続け、
「――はっ! はあっ! はあっ! はあっ……」
気が済んだのか水源からようやく顔を離す。
「……何やってるんだろう私」
空腹はごまかせた。無理をした割には不快感なんて微塵も無い。
むしろ美味しいご馳走を平らげた時のような、充足感すらある。
562 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/03/22 11:12 ID:e4mJ22OJ
「何か、変、だよね」
(そう言えば、ミーティングの時だって、私、ティジフォーンさんに凄い事言ってた)
そう、あの時ネーアは今までに一度も頭の上がらなかったティジフォーンに、
初めて盾突き、『折檻』以外の場で暴力を受けた。否。振るわせた。
(あの時の感覚、今でも忘れられない)
新しい御主人様に犯される直前の、背徳感と期待感の入り混じった高揚。
それは性的興奮と同種のものだった。
「なんだか自分の体じゃないみたい」
言いえて妙だな、とネーアは思う。
「ん、ふあ……」
自然と出たあくびをかみ殺す。満腹感と充足感が眠気を引き起こしたのだろうか。
(あれ、何で眠たくなるの? それにこんな所で寝たら風邪引いちゃうよ)
上半身もにわか雨に遭ったように水に濡れているというのに。
だが、鳥のさえずりや、水流の音、思い出したかのように吹くそよ風が、
ネーアの眉を重くする。
だがそれ以上に、
「……お日様、気持ちいい」
日の光のあまりの心地良さに陶酔する。
自然と足が動き最も日当たりの良い木の根元へと腰を下ろし、幹に背を預ける。
物の数秒も掛からない内に、ネーアの意識は闇に沈む。
***
夢を見た。
はっきりとは覚えていない。
ただ、濃厚な性臭と、ぬめる粘液と、どす黒い高揚感。
そして子宮の疼きだけは、はっきりと覚えていた。
「……んん」
意識が覚醒する。
563 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/03/22 11:13 ID:e4mJ22OJ
ぼう、とする頭で辺りを見渡す。山の中。すぐ近くには岩肌があり、
そこから水が吹き出ている。
「……あ、れ……? ここ、どこ?」
(御主人様はぁ?)
「まあ、いっかぁ」
目を擦りながら欲情したままの心と体を持て余し、
屋外だというのに、何のためらいも無くスカートの中にいきなり手を突っ込む。
子宮が疼いている。
(ああん、何だかすごく、エッチな気分だよぅ)
「……きゃんっ」
下着越しに触れたそこは、既に濡れていた。
(うわ、へんなの、びしょびしょだ。脱いじゃえ)
木の幹に背を預けたまま腰を浮かす。
屋外という状況が興奮を更に高める。
(誰か、見てたら、どうしよう。うわぁ、ドキドキするっ)
不安とそれを圧倒的に上回る期待を抱きながら、辺りに視線を這わす。すると、
水源の下で水を溢れさせている水がめを発見した。
「――あ」
熱が一気に冷める。
慌てて下着を穿き直すと空を見上げた。ほぼ自分の頭の直上で太陽が輝き、
さんさんと光を注いでいる。
もう正午近くだった。
「ああ――っ!」
立ち上がり水がめの元へと駆け寄ると空の水がめと交換する。
両の水がめが一杯になると、それを両手にぶら下げ山道を降りていく。
火事場の馬鹿力、だろうか。
水がめを持っている筈の両手は空気を持っているように、軽かった。
そして、屋敷へ帰るまでの間、ずっと子宮が疼いていた。
589 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/04/03 10:58 ID:pozqcesN
<新しい生活 後編>
「はあ……」
ため息が付いて出た。
「今日の私絶対変だよ」
昼間の水汲みに掛かった時間はおよそ六時間。並のメイドが一人で
この仕事をしたなら、この時間はなんの問題も無いのだが。ネーアはその内、
実に半分の三時間近くを休憩、もとい、寝て過ごした。実際、
彼女がこの仕事を終わらせるのには三時間しか掛かっていない事になる。
力自慢のフェルナとレアクトが二人で汗水垂らした時間と同じの上、ノルマをこなした
ネーアは汗一つ掻いていなかった。
その様子をその場に居合わせたメイド達が怪訝に見ていた事を、覚えている。
そして朝食兼昼食時。
朝から何も食べていない筈なのに、全く食欲が沸かなかった。
少しは食べたのだがスープ等の液体系のものしか摂らなかった。
「というか、お腹一杯だったんだよ。どうしてだろう?」
水しか飲んでない。その後三時間近く寝ていただけ。
なのに、その後は疲れを知らないように働いた。
嫌がらせとばかりにティジフォーンから言われた仕事を、ことごとくこなしていった。
全て終わった時は、なんだもう終わりか、とすら思った。
でも何よりもおかしいのは――
「――んっ、また……っ」
(アソコ、疼いてっ)
じくじく、じくじくと子宮が疼く。虫に刺された時の痒さと、
欲情して雌汁を垂れ流す時の疼きを足した感じ。
弄りたくて弄りたくてしょうがない。
(でも)
自室から窓の外を見る。既に夜の帳が降りた山林には虫の音しか聞こえない。
時刻は10時、消灯時間は過ぎている。
もうすぐ、新しい御主人様に可愛がってもらえるのだ。
590 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/04/03 10:59 ID:pozqcesN
それまでは我慢しなければいけない。
「……よし、行こう」
立ち上がる。格好はいつものメイド服。手には屋敷の鍵。金属製のわっかにまとめられた
十数個のそれらは、ネーアが歩みを進める為にじゃらじゃらと、大きな音を立てる。
仕事中、ティジフォーンの部屋から失敬したそれをエプロンのポケットに放り込む。
***
静まり返った屋敷の中を、足音を忍ばせて歩く。今まで何度もやってきた事だ。
『折檻』の名の下に、この身は様々な性的虐待を受けてきた。
処女を散らされ、人前で排尿し、尻を叩かれた。そして、恐怖するようになった。
月明かりしか届かないこの廊下を歩く事を。
今度は一体どんな折檻を受けるのか――と、孤独の中で不安を抱いた。
だが今は違う。心の中にあるのは恐怖でも不安でもない。
あるのは期待。それも、淫らな。
(あれ?)
それでは、自分はただあの人外の快楽に溺れる為に新しい御主人様に会いに行くのか。
いとおしいから会いに行くのではないのか。
愛してるから、セックスをしたい? それとも、
せっくすをしたいから、あいしている?
――ずくんっ。
「ふぁ……っ」
子宮の疼きに小さな声が漏れる。
体は後者を指し示した。
心の方の回答は――分からない。目的と行動がごっちゃになっている。
――ずくんっ。
「んっ……はっ」
子宮の疼きは止まらない。もう、羞恥の茂みはねっとりと濡れている。
「私は――」
答えを出せぬままネーアは暗闇の中を歩く。
591 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/04/03 11:01 ID:pozqcesN
厨房の勝手口の鍵を開き、虫の音と時折思い出したように吹く風の音を聞きながら、
折檻場所であった物置へと歩く。早足で。
胸の中の淫らな期待感は上限が無いように、どんどん膨れ上がってくる。
『水汲み』で汗の一つも掻かなかった筈なのに、今では息を荒げている。
月が雲に隠れた頃、物置に着く。何故か暗闇の中でも正確に物置の鍵を見つけ出す。
取り出したそれを鍵穴へと突っ込む――
『突っ込む』という言葉に何かを連想して股をぬらした。
今では鍵を開ける時間も扉を開ける時間ももどかしい。
(早く! はやく、はやくはやくぅっ!)
施錠の外れた金属製の分厚い扉を力任せに開ける。
昨日までは全体重をかけて片方の扉を開けるのが手一杯だったそれは、
ベニヤ板のように軽かった。
ぱっくりと口を開けた暗闇に何の躊躇も無く踏み込んでいく。
蝶番が悲鳴を上げながら、勢い余ってバウンドしてきた扉が大きな音を立てて閉まる。
同時に床の文様が赤く輝き(子宮が疼く)、次にロウソクが灯る。
石が擦れる音を立てて、目前の壁が上方向へとスライドする。
「は……は……はっ……はっ!」
息を荒げながら現れた階段に足を乗せる。
すると鼻腔にあの甘酸っぱい花のような匂いが。
――じゅんっ。
女陰が、蜜を吐き出す。意識が朦朧してくる。
快楽が先が愛情が先かという問題が、どうでも良くなってくる。
目の前に巨大な扉が現れる。この向こうに、桃源郷がある。
我慢に我慢してきた最高の快楽を目前にし、心臓は早鐘を打ったよう。
口の端からは、細く、唾液すら垂れている。
――ずくんっ。
「あんっ」
子宮が疼く。それと呼応するかのように足元の文様が赤く輝く。
扉が――開く。
野花の香りとメスの性臭を足したような甘酸っぱい香りが、溢れ出して来る。
592 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/04/03 11:02 ID:pozqcesN
「あ、ああっ……!」
その香りに意識が混濁する。それに反比例するように胸の鼓動が高鳴る。
ぼうとした意識で、
犬のように息を荒げながら、
肉の床を歩き、
そして辿り着く。
「お待たせしました。御主人様ぁ♪」
新しき主人の元へと。
***
「ぁん!」
花型の魔物は、昨日と同じようにネーアの体に細い触手達を絡ませ、その体を巨体の中心へと運ぶ。
股間に食い込んでくる触手が、ごりごりと淫裂と、真っ赤な肉真珠を擦り付ける。
その度に、頭がパンクしそうな、びりびりとした官能が広がる。
――にちゃり。
お姫様抱っこの格好で、肉の花弁に下ろされる。
呼吸を整えるまもなく花弁と同じ色をした十二本の触手達が殺到し、体の隅々まで愛撫していく。
ねちょねちょと粘液質な音を響かせながら、足の爪先から髪の毛の先まで触手達の分泌液を
塗り込み、揉み込められていく。
「あ、ああん♪ あんっ。お胸、気持ちいいです――きゃんっ――御主人様あ♪」
やや控えめな二つの双房を揉まれる度に、乳首に触手の疣が掠める度に、甘い愉悦が
ネーアの心と体を桃色に染めていく。
「あん!?」
唐突に羞恥の丘を舐め上げられ、蕩けそうな快楽に股間が痺れた。
――ねちょ、ねちょっ、ねちょ――にちゃあぁ。
「あっ! あっ! あんっ! あっ! ああん!」。
(気持ちいい! 気持ちいいよ! あそこ――あんっ♪――痺れてっ)
「あんっ! あっ――あ……」
触手達の動きが止まり、人外のクンニリングスも終わる。
(ん、まだイッてないのにぃ)
593 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/04/03 11:03 ID:pozqcesN
発情という名のスイッチが入ってしまったネーアは、
餌を目前にお預けを食らった犬のように 不満な表情を浮かべる。
「はやくぅ、続き、して、くださいぃ」
腰が意識せずとも淫らにくねる。全身を魔物の粘液でヌラヌラと照り輝かせながら、
童顔に娼婦のような、こ惑的な表情を浮かべるネーアはこれ以上ないほど艶かしい。
(ああ、なんだろぅ。今日、凄くエッチだよ。こんな、はしたない、おねだりなんかして)
だが、そんな事はどうでもいい。今は、ただ、快楽を貪りたい。
そして魔物も淫らな従士の想いに応える。
「――あん♪」
ネーアに絡みつかせた触手を巧みに操り、彼女を拘束すると、
ゆっくりと仰向けに倒す。足をM字に開かせ腰を持ち上げる。
ネーアの目には、綻び、涎をたらす自身の女陰が写っている。
女性が最も羞恥と屈辱を覚える体勢。まんぐり返し。
だが、その羞恥と屈辱も、今のネーアには快楽のスパイスにしかならない。
(うわぁ、はずかしい、この格好、おしりも、あそこも、丸見えで――
わあ、私のアソコ、ひくひく動いてる。エッチなお汁も、んぁ、どんどん溢れてる。
ああ、すごいエッチだよ。どきどきしてくるっ)
「はあっ、はあっ、はあっ」
――ごぽぽぽっ!
息を荒げるネーアの目に、自身の股間越しに魔物の性器がせり出してくる光景が写る。
乳白色の胴。先端に十字の切れ込み。およそ二センチ起きに張っている幾重ものエラ。
先端からとろとろと溢れ出る、白濁とした液体がそれらを満遍なく白く染め上げていく。。
いつ見ても背徳的で、魅力的な外観に、胸が高鳴る。
「ああ……っ」
(やっぱり、すごくおっきい。私の腕くらいある。あんなのが私の中に入ってたんだ。
私の中に入って、メチャクチャにかき回して、はあ、精液を、出したんだ)
その時の、めくるめく官能を思い出し、アソコが女臭い汁をこぷり、と噴出す。
同時に、
「んあっ」
鼻腔の中で主人の性臭を嗅ぎ取り、頭の中が真っ白になる。
594 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/04/03 11:04 ID:pozqcesN
(この、におい! あたま、がっ……しびれちゃうよぅ!)
栗の花と女の蜜、そして花の香りを足して発酵させたような、芳香な匂い。
この匂いを嗅いだだけで、淫らな事しか考えられなくなる。
あの異形の性器を突きこまれる事だけしかを考えられなくなる。
「いれて、くださいっ。お願いですっ、いれてぇ!」
今日丸一日我慢してきた性交への願望が爆発した。
(はやく、はやくぅっ)
魔物も我慢できないのか、巨大な生殖器が鎌首をもたげ、一気に突き込んだ。
――ぐにゅちゅちゅちゅちゅっ!
「はあああぁぁぁっっ!」
その瞬間。心の中のわだかまりが消し飛んだ。
好きだから、セックスしたいとか。
セックスしたいから、好きになったとか。
そんな事はどうでも良くなってしまった。ただ、
――ぐちゅちゅっ、ぐちゅちゅちゅちゅっ、ぐちゅちゅちゅぅ!
「あんっ! あんっ! はぁっ! すごい! すごいよおっ!」
股間が壊れるかと思うほどの刺激が、堪らないほど好きだった。
(ああっ、あそこっ、あっ! ぎちぎちに広がってっ――あんっ! うあぁっ、
ごしゅじんさまの、はいってるっ! あんっ、おっきいオチン○ン、はいってるよ!)
腕ほどもある生殖器が、中へと出入りする度に、小陰唇が肉ビラをはみ出し、引き込まれる。
白濁とした粘液に淫らに輝きながら、貝類の身のように蠢く自身の股間を見て、
際限なくテンションが上がっていく。
「あっ、あっ、あっ、あっ! もっと、もっとっ!」
淫らな要望に魔物が応えたようだ。
「ひあっ!?」
第三の刺激が加えられる。場所は肛門。
乳白色の生殖器が膣内を蹂躙するその向こうで、茶色のすぼまりがゾワゾワとした繊毛に
揉み解される感触を覚える。細長い何かが、皺に溜まった恥垢を舐め取るように、
丹念に丹念にその身を擦り付ける。その度にむず痒いような、じれったいような、
ぴりぴりとした刺激が湧き上がった。
595 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/04/03 11:05 ID:pozqcesN
「ひあっ、あんっ、あんっ、あんっ――ああっ、そこ、はっ……!」
茶色の窄まりは、触手の愛撫を受け柔らかく、ほぐれていく。そして、
「ひぅっ!?」
(お、おしりの中、おしりのなかに、はいってくる! ニュルニュルしたのが、
はいってくるよぅ!)
ぬらぬらの粘液に濡れたミミズの束が、肛門へと割り入っていく。
元でも無理な体勢の上、今は動いていないが――膣内にははちきれそうな生殖器で腹の中は一杯だ。
だが、繊毛の束は容赦なく大腸の入り口へと雪崩れ込む。
「ああ……っ、うっ……はっ、はっ、はっ、はっ――」
(アソコも、おしりも、いっぱいっ、いっぱいだよっ! はあっ、はっ、くるしいよっ)
だが、その息苦しいのが良い。真性Mのネーアには少し苦しいくらいが丁度良い。
(ああっ、うごいてるっ。うごいてるよっ)
内臓へ進入を果たした細長い触手は、喜びに打つ震えるようにその身をくねさせ、
腸壁の肉ヒダを刺激する。その度に、息苦しいような、
むず痒いような小さな愉悦を感じる。
「はっはっはっはっはっはっ――ああっ!? ひああっ!?」
息苦しさに、涎を垂らしながら犬のように息を荒げていた時、
突如、触手たちの動きが止まり――尻の中に粘液を撃ち出した。
「あっ! ああっ! ああんっ!」
腸壁を冷たい粘液に叩かれて、理解不能の快感が背筋を駆け上がった。
そして精液が噴出すように腸内へと吐き出された液体は、
まんぐり返しになったネーアの中を遡り、腸内を犯していく。
「はあっ、はあっ、は……あんっ!?」
止まっていた腸内の触手達が再び動き出す。
尻の中に更に繊毛触手を流し込み、腸壁の肉ヒダを擦り、舐め上げ、揉み解していく。
先程の蹂躙が子供の遊びだと思えるほど、それらの愛撫は勢いを増している。
ビチャビチャという音が尻の中から聞こえてくるような錯覚を受け、同時に、
そんなに激しく動かれたら尻が、内臓が壊れてしまう――そんな不安さえ覚える。
だが、
「あっ!? ああ! あああっ! ああんっ!」
596 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/04/03 11:06 ID:pozqcesN
涎と共に吐き出されたのは甘い喘ぎ声。
(ど、どうしてっ? お尻、こんなに――あんっ――メチャクチャにいじられてるのにっ
――あんっ――すごくきもちいよっ! ああんっ♪)
腸壁が削り取られるような激しい動きに、甘い愉悦を覚えてしまう。
それが、先程腸内に吐き出された催淫性の液体によるものだとは気付く由も無かった。
――ジュブブ、ジュブブッ! ジュブ、ジュブッ!
膣内で動きを止めていた極太触手がピストン運動を再開する。
二つの穴を出入りする触手は肉の壁越しに、別の穴を蹂躙する触手と体を
こすり合わせるように動いた。
「んああっ! すごいぃ! ああっ! ああっ! ああん!
御主人様のっ、なかで擦れてっ、おしりも、アソコもっ、きもちいいよっ!」
膣と腸を隔てる肉の壁が削り取られるような感覚とともに、
脳の皺が無くなると思う程の強烈な快楽を覚える。
(こわれるっ! きもちよすぎてっ! ――ああっ! こわれちゃうぅっ! )
だが、触手に蹂躙されている大陰唇と肛門が、下品な音を吐き出す度に。
メスの本気汁と触手の粘液の混合液が顔を濡らす度に。
むせ返りそうな性交の匂いが鼻腔をつく度に――
(もっと、して欲しいっ! おかしくなってもいいからっ! こわれてもいいからっ!
もっとしてほしい!)
――淫らな気持ちが溢れ出す。
「あんっ! あんっ! あんっ! もっとぉ! もっとしてぇ! ごしゅじんさまっ!」
魔物は淫らなメイドの望みを叶えた。
――ジュブジュブジュブジュブジュブッ!
二穴内の触手が、内臓を突き破らんとばかりな苛烈なピストン運動を交互に繰り出す。
「あ! あ! あ! あ! あ! あっ! ああっ! だめえっ! もうだめぇ!」
絶頂が近い。朱に染まったネーアの体がビクビクと痙攣し始める。
蕩け落ちてしまいそうな甘美な快楽に、真っ白な刺激が混じった。
もう後一押しで絶頂に達する。そんなネーアの股間に口を開けた一本の触手が近づき――
「……っ!?」
淫核をくわえ込んだ。
597 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/04/03 11:07 ID:pozqcesN
「ああああああぁぁぁぁっっっ!!」
駄目押しには強すぎる桃色の刺激。体の快楽容量を容易くオーバーし、ネーアは絶頂を迎えた。
ガクガクガクガクッ! と壊れたように痙攣する。
いつもの様に、いや、いつも以上にだらしなく舌を垂らし、涎を垂らし。
突き込まれたままの股間からはメスの本気汁を卑猥な音と共に吐き出している。
(……! あっ……! ああっ……!)
思考が止まり、視界が真っ白に染まっていく中で、自分の膣が淫らに蠕動するのを感じる。
そして動きを止めた触手達が、急激に膨張していく感触も。
思考停止していた筈の脳が、次の瞬間が予想し、ネーアは淫らな笑みを浮かべた。
――ビュルルルルッ!! ビュルルルルッ!!
「あはっ! ああああああぁぁぁぁっっ!!」
(で、でてる! ごしゅじん、さまのがっ、たくさん……! ああっ!)
びちゃびちゃと膣壁を子宮口をぬめる精液に叩かれる度に、軽いオルガズムを得る。
精液の量は昨日と同じで――蛇口を捻った水道管――という形容が以外考え付かない。
そして、精液が膣内を真っ白に満たすと、今度は子宮内に雪崩れ込む。
「……っ! ……っ!」
腹の中が熱い液体で満たされる感覚に声にならない声を上げる。
(おなか……、あつい……! ああ! すごいっ! すごい!!)
熱いだけではなかった。心も体も、『満たされる』ような感覚。
まるでメスの本能以外の何かが、精液を受けて満足した――そんな感覚。
だが交合果たしたメスの本能よりも、その得体の知れない満足感の方が、
遥かに充実していた。まるで、この為に人外の主人と交わった、とでも言うように。
――ビュルッ! ビュルッ!
子宮内をも精液で満たされ、物理容量を超えた分が、生殖器と媚肉の間から噴出す。
びちゃびちゃとそれは本能を満たされたメスの笑みを浮かべるネーアの頬を叩いた。
鼻の曲がりそうな性臭が漂い始める。
たっぷりと数十秒痙攣していた体が止まり、犬のように呼吸を整える。
「はあっ! はあっ! はあっ! はあ! はあっ……はあ……はぁ……」
体中でくすぶっている絶頂の余韻をかみ締める。
(……わたし、幸せ……)
598 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/04/03 11:08 ID:pozqcesN
もうどうなっても良かった。この幸福〈快楽〉の為なら、死んでもかまわない。
「……はあ――あんっ。くさぁい♪」
秘穴から腹部を辿って、胸元にまで垂れて来る精液と性液の混合液に、下腹部が疼いた。
「ねえ、御主人様ぁ?」
甘ったるい、媚びた声。
――夜は長い。
「もっと、しませんか?」
心臓は背徳的な興奮に早鐘を打ち、膣壁が淫汁を吐き出す。
――劣情が止まらない。
「あん♪」
再び動き出した触手に甘い声が上がる。
――誰にも知られる事のないその空間で、淫らなメイドは喘ぎ続けた。
<新しい生活 前編>
どんな事が起ころうとも時の流れは変わらない。
それは自分が人間以外の生物に犯されても、同じで。
もう、死んでも良い、だとか、夢かもしれない、なんて何度も思いながら魔物に犯されても。
時の流れは、変わらない。
「――ん」
意識が、覚醒していく。寝惚け眼のまま天井を何十秒も眺めた。
その顔はどこか赤く、色っぽい。呼吸する度に上下へと動く布団の動きも、寝起きにしてはペースが早い。
「――ふぁ――」
欠伸をし、窓から差し込む朝日がいつも以上に心地良くて、もう一度布団を被り直してしまおうか、と考える。
(違う。眠りたいと思うのは、日差しが気持ち良いから、っていう理由だけじゃない)
布団の中で、手をまさぐらせる。その手は寝巻きに潜り込み、羞恥の丘を覆う下着をゆっくりと触った。
「――んっ」
手から湿ったような感覚が、股間からはぴりりとした官能が、伝わってくる。
そこは、べっちょりと濡れていた。
(私。さっきまで夢を見てた。『新しい御主人様にめちゃくちゃに犯される夢』を)
もう心の整理は付いている。
昨日。自分はウラヌス様が封印していた魔物の封印を解いてしまい。そして、犯された。
そして、化け物が相手だというのに、今まで以上の快楽を感じていた事も。
そして、同時にこれ以上ない程の幸せも、感じていた。
その時に思った。この魔物に犯されることこそ、自分の存在意義であると。
自分は、あの魔物の為の、淫らなメイドであると。
「それに」
(精液、中に出されちゃったし。思いっきり。安全日じゃないのに)
「責任、取ってもらわないと」
一人で声を控えて笑う。
556 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/03/22 10:59 ID:e4mJ22OJ
「あ」
(私がねだったんだっけ)
ともかく。自分は、それほどまでにあの魔物を好きで、そしてあの魔物を自分を必要としている。
それなら、全てを受け入れようと、思った。
(それに……すっごく、気持ち良いしね)
淫乱な自分の事だ。ひょっとしたらこっちが、腹をくくった原因かもしれない。
(あ、昨日の事思い出したら、したくなってきちゃった)
どうしようか。
(いいや、しちゃえ)
官能に対しての羞恥が随分と擦り切れてしまったな、と思いつつ秘所に伸ばした手を――
――ノックの音が響いた。
「ネーアちゃん?」
フェルナの声と共に扉の蝶番が軋む。
「っ!?」
後ろ暗い事を考えていたせいか、その音に過敏に反応してしまう。
「……? ネーアちゃん? 起きてるの?」
「あ、うん。起きてるよ。何か用?」
「何って、もうとっくにミーティングの時間始まってるんだけど」
言われて初めて時計を見る。
「……あ」
六時を回ったところだった。ミーティングが六時から始まる事を考えると遅刻決定である。
「ご、ごめんっ。今すぐ用意していくからっ。フェルナはもう戻って」
「お仕事、するの?」
「え?」
「……ううん、なんでもない。フェルナ、先行くね」
言うや否やフェルナはさっさと部屋を出て行ってしまった。
扉が閉まる音が響き、その向こうから徐々に遠ざかっていく足音が聞こえる。
「今日のフェルナ、何だか変だったな」
(全然元気が無かった。いつもなら布団を捲ってでも起こしてくれるのに)
言うことを言って聞くことを聞くとさっさと出て行ってしまった。
557 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/03/22 11:03 ID:e4mJ22OJ
「どうしてあんなに、よそよそしかったんだろう? …………あ」
頭の中に、
フェルナの目の前で派手に絶頂に達する自分の姿が、
思い浮かんだ。
(そうだよね、気まずいよね、お互い)
むしろ、昨日あんな事があったばかりで普通に話が出来る方がおかしい。
(新しいご主人様とエッチしちゃった事がインパクト強すぎて、そんな事すっかり忘れてた)
「ふう」
自然と溜め息が零れる。
だがフェルナにああ言った手前、堂々と仕事をサボるわけにはいかない。それに、
(なんだろ? 精神的にはすごく参っている筈なのに、体は元気が有り余ってる感じ)
今なら何をやっても上手くいくような気がする。
「そんなわけないのにね」
ベッドから降り立ち、さっさと身支度を済ませてしまう。当然下着も替えた。
それが終わると換気の為に窓を開け、ミーティングを行う厨房へと向かった。
***
558 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/03/22 11:07 ID:e4mJ22OJ
「お早うございますっ。遅れてすみませんでしたっ」
厨房へ駆け込むと同時に声を張り上げる。
「ネーアさん?」
「あら、ほんとに来たわ」
「……」
その場に居たメイド全員の視線が、八人分の視線がこちらへと向けられる。
(あ、う……視線が痛い)
その半数が『邪魔だからどこかへ行け』という意思を持っている。
途端に、疎外感がネーアの心を包み込む。
自分が必要とされていない人間と、自覚してしまう。
(この感覚は、慣れそうに無いよ)
ティジフォーンを始めとする例の三人組に虐待を受けた方が、楽かもしれない。
「何をしに来たのですか?」
思ったそばからティジフォーンが辛らつな言葉を投げかけた。
「それは、その……お仕事を」
尻すぼまりになっていく自分の声が恨めしい。
「お仕事を……なんです? はっきりおっしゃって下さい」
(またそうやってっ。私がろくに仕事を出来ない事を分かった上で、
私に『仕事をしに来ました』なんて言わせる……!)
いつものネーアなら、雰囲気に呑まれティジフォーンの思惑どうりに苦汁を飲むしかない。
涙と屈辱を噛み締めながら、避けることの出来ない恥を掻くしかない。
だが、今のネーアは違った。
心の中に溢れているのは、屈辱や悲しみ、畏怖といった感情ではなく――
「そんな簡単な事も分からないんですか、ティジフォーンさん?」
笑顔を浮かべながら喋るネーアの心の中には、ただ『怒り』と『憎しみ』だけがあった。
ティジフォーンの眉が跳ね上がる。
「今、何とおっしゃられましたか? ネーアさん」
「あれ? 聞こえなかったんですかティジフォーンさん? 小さな声ではなかった筈ですけど?
ああ、三十路も超えればモウロクするって事ですか?」
『……っ!?』
559 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/03/22 11:08 ID:e4mJ22OJ
その言葉に厨房内に居たメイド全員が例外なく息を呑んだ。
その光景が何故か滑稽に見えてしょうがない。
「耳が遠くなったティジフォーンさんの為にもう一度お伝えします」
『耳が遠くなった』の部分を必要以上に強調して、続ける。
「メイドがミーティングにやってきたのだから、それは仕事をするという事です。
そんな事も分からないのですか――私はそう良いいました。分かってくれましたか?」
ティジフォーンの眉がこめかみが、絶命直前の昆虫のようにぴくぴくと痙攣している。
口元はいつもの笑みを浮かべながら、でも目は少しも笑っていない。
レアクトは口を『あ』の形に空けたまま硬直し、メライガが眉をひそめて私を見ている。
周りのメイド達は顔を真っ青にしながら事の成り行きを見守っていた。
その様子を見て、
何故か私は興奮した。あっと驚くメイド達の顔が心地良い。
まるで酔っ払いのように理性からタガが外れ、代わりに心の内から、
何かどす黒いものが、性的虐待を受けた時に感じた、負の感情が溢れ出て来る。
「そこまで言うなら、分かってるのでしょうね?」
押し殺した声にはいつもの、人を見下すような余裕は無い。
「はい? 分かりませんよ? だって、誰が、何をするのか仰って――」
みなまで言うことは無かった。
パアンッ、と頬を叩く音が厨房内に響く。
右頬が熱く、疼いている。
(叩かれた。……いや、違う)
「ネーアさんは水汲みをお願いします!」
ティジフォーンは一方的に言い放つと、他のメイド達の点呼と今日のノルマを次々と与えていく。
その言葉の端々に、いつも以上に棘が入っているのが分かる。
(私が叩かせたんだ。いつも笑顔を浮かべているあの顔を一瞬憎悪に歪ませて。
折檻の時だって直接的な暴力はした事が無かったのに。私が怒らせて、あの人に暴力を振るわせた)
ジンジンと疼く頬を押さえる。痛い。でもそれ以上に心地良い。
それは精神的な官能だった。
子宮が熱く疼いている。
時折、八つ当たり同然に声を張り上げるティジフォーンを観察しながら、ネーアは口の端を歪めた。
560 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/03/22 11:10 ID:e4mJ22OJ
***
屋敷の裏を進むと獣道よりかは幾分か舗装された山道が見えてくる。
この山道を大人の足で二十分ほど進むと小川に出る。
小川と言っても幅五十センチにも満たないその小川には、魚も住んではおらず、
せいぜい苔が生えている程度だ。その小川に沿って更に五分、上流を目指すと、
石、岩を剥き出しにした山肌に行き着く。
この山肌の合間から小川を形成する水が溢れ出しているのだ。
この屋敷での『水汲み』と呼ばれる仕事は、
取っての付いた水がめ(特別製。本体重量3キロ、最大内容量約10リットル)を使い、
合計100リットルの水を屋敷へと届ける重労働である。
週に二度、フェルナとレアクトが共同で行っているこの作業は、
二人が両手に水がめを持ち、三往復する事で仕事を完遂している。
使用時間は三時間。体力自慢の二人で仕事をやってこれだけ手間の掛かる仕事に、
やはり、ネーアは根を上げていた。
(無理だよ。こんなの)
水源の真下に置いた水がめが、水で満たされるまでの間、
休憩とばかりに適当なところに腰掛けた。
(他の子は朝食を取るために一時間や二時間で終わる作業ばかりなのに。どうして私だけ)
はあ、とため息を付く。
(それにどうして屋敷には井戸が無いのかなぁ。有ればこんな余分な労働しなくてすむのに)
メイドと言っても嫌な仕事は嫌だ。
(まあ、一往復も持たないかと思ってた割には結構頑張れてるんだけど)
実は、ネーアはすでに二往復を終えて今は三往復めの折り返し地点。
つい先日までの無能ぶりに比べれば奇跡とも思える成果を挙げていた。
(思ったより軽かったし一往復一時間も掛からなかったし、
もう動けない、とは言わないんだけど。腹筋とかついちゃったらどうしよう――)
そんな馬鹿な事を考えつつ、ふと口にする。
「お腹空いたなぁ」
561 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/03/22 11:11 ID:e4mJ22OJ
これが当面の問題だ。久しぶりの労働のせいか、ネーアの体の燃費が悪いのか、
彼女は今までに無い空腹感を覚える。
「でも、食べる物無いもんね」
この辺りには食事にも使われる山菜などが生えているが、自分がそんな物を探しても
せいぜい毒キノコを探し当てるのが関の山だろうと、ネーアは諦める。
(水なら幾らでもあるんだけど)
勢い良く水がめに注がれていく透明の液体を見つめる。
すでに容量を超えた分が、水がめから溢れ、こぼれている。
水で空腹は収まらない。むしろ逆効果だ。
「背に腹は代えられない、か」
水っ腹になろうとも後で後悔しようとも、一時的にでもこの空腹感から逃れるのなら、
そう思い、岩間から噴出す水へ、両の掌を添える。
労働した後の火照った体に、水の冷たさが心地良い。
両掌をお椀型に密着させ水を受け、飲んだ。
んく、んく――
(あれ? おいしい)
汗を流した直後だからか。何故かただの水が美味い。
掌の水が無くなると再び両手を伸ばし、水で満たす。そして一息で飲み干す。
また伸ばし、飲み干す。
そんな事何度も繰り返し、
(面倒くさいから直に飲もう)
今度はあふれ出る水へと口を開けて顔を近づける。
水が顔を、うなじを、胸元を濡らしていく。
(やだ。止まらない。水っ腹になっちゃうよ)
何かに憑かれたように延々と水を飲み続け、
「――はっ! はあっ! はあっ! はあっ……」
気が済んだのか水源からようやく顔を離す。
「……何やってるんだろう私」
空腹はごまかせた。無理をした割には不快感なんて微塵も無い。
むしろ美味しいご馳走を平らげた時のような、充足感すらある。
562 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/03/22 11:12 ID:e4mJ22OJ
「何か、変、だよね」
(そう言えば、ミーティングの時だって、私、ティジフォーンさんに凄い事言ってた)
そう、あの時ネーアは今までに一度も頭の上がらなかったティジフォーンに、
初めて盾突き、『折檻』以外の場で暴力を受けた。否。振るわせた。
(あの時の感覚、今でも忘れられない)
新しい御主人様に犯される直前の、背徳感と期待感の入り混じった高揚。
それは性的興奮と同種のものだった。
「なんだか自分の体じゃないみたい」
言いえて妙だな、とネーアは思う。
「ん、ふあ……」
自然と出たあくびをかみ殺す。満腹感と充足感が眠気を引き起こしたのだろうか。
(あれ、何で眠たくなるの? それにこんな所で寝たら風邪引いちゃうよ)
上半身もにわか雨に遭ったように水に濡れているというのに。
だが、鳥のさえずりや、水流の音、思い出したかのように吹くそよ風が、
ネーアの眉を重くする。
だがそれ以上に、
「……お日様、気持ちいい」
日の光のあまりの心地良さに陶酔する。
自然と足が動き最も日当たりの良い木の根元へと腰を下ろし、幹に背を預ける。
物の数秒も掛からない内に、ネーアの意識は闇に沈む。
***
夢を見た。
はっきりとは覚えていない。
ただ、濃厚な性臭と、ぬめる粘液と、どす黒い高揚感。
そして子宮の疼きだけは、はっきりと覚えていた。
「……んん」
意識が覚醒する。
563 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/03/22 11:13 ID:e4mJ22OJ
ぼう、とする頭で辺りを見渡す。山の中。すぐ近くには岩肌があり、
そこから水が吹き出ている。
「……あ、れ……? ここ、どこ?」
(御主人様はぁ?)
「まあ、いっかぁ」
目を擦りながら欲情したままの心と体を持て余し、
屋外だというのに、何のためらいも無くスカートの中にいきなり手を突っ込む。
子宮が疼いている。
(ああん、何だかすごく、エッチな気分だよぅ)
「……きゃんっ」
下着越しに触れたそこは、既に濡れていた。
(うわ、へんなの、びしょびしょだ。脱いじゃえ)
木の幹に背を預けたまま腰を浮かす。
屋外という状況が興奮を更に高める。
(誰か、見てたら、どうしよう。うわぁ、ドキドキするっ)
不安とそれを圧倒的に上回る期待を抱きながら、辺りに視線を這わす。すると、
水源の下で水を溢れさせている水がめを発見した。
「――あ」
熱が一気に冷める。
慌てて下着を穿き直すと空を見上げた。ほぼ自分の頭の直上で太陽が輝き、
さんさんと光を注いでいる。
もう正午近くだった。
「ああ――っ!」
立ち上がり水がめの元へと駆け寄ると空の水がめと交換する。
両の水がめが一杯になると、それを両手にぶら下げ山道を降りていく。
火事場の馬鹿力、だろうか。
水がめを持っている筈の両手は空気を持っているように、軽かった。
そして、屋敷へ帰るまでの間、ずっと子宮が疼いていた。
589 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/04/03 10:58 ID:pozqcesN
<新しい生活 後編>
「はあ……」
ため息が付いて出た。
「今日の私絶対変だよ」
昼間の水汲みに掛かった時間はおよそ六時間。並のメイドが一人で
この仕事をしたなら、この時間はなんの問題も無いのだが。ネーアはその内、
実に半分の三時間近くを休憩、もとい、寝て過ごした。実際、
彼女がこの仕事を終わらせるのには三時間しか掛かっていない事になる。
力自慢のフェルナとレアクトが二人で汗水垂らした時間と同じの上、ノルマをこなした
ネーアは汗一つ掻いていなかった。
その様子をその場に居合わせたメイド達が怪訝に見ていた事を、覚えている。
そして朝食兼昼食時。
朝から何も食べていない筈なのに、全く食欲が沸かなかった。
少しは食べたのだがスープ等の液体系のものしか摂らなかった。
「というか、お腹一杯だったんだよ。どうしてだろう?」
水しか飲んでない。その後三時間近く寝ていただけ。
なのに、その後は疲れを知らないように働いた。
嫌がらせとばかりにティジフォーンから言われた仕事を、ことごとくこなしていった。
全て終わった時は、なんだもう終わりか、とすら思った。
でも何よりもおかしいのは――
「――んっ、また……っ」
(アソコ、疼いてっ)
じくじく、じくじくと子宮が疼く。虫に刺された時の痒さと、
欲情して雌汁を垂れ流す時の疼きを足した感じ。
弄りたくて弄りたくてしょうがない。
(でも)
自室から窓の外を見る。既に夜の帳が降りた山林には虫の音しか聞こえない。
時刻は10時、消灯時間は過ぎている。
もうすぐ、新しい御主人様に可愛がってもらえるのだ。
590 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/04/03 10:59 ID:pozqcesN
それまでは我慢しなければいけない。
「……よし、行こう」
立ち上がる。格好はいつものメイド服。手には屋敷の鍵。金属製のわっかにまとめられた
十数個のそれらは、ネーアが歩みを進める為にじゃらじゃらと、大きな音を立てる。
仕事中、ティジフォーンの部屋から失敬したそれをエプロンのポケットに放り込む。
***
静まり返った屋敷の中を、足音を忍ばせて歩く。今まで何度もやってきた事だ。
『折檻』の名の下に、この身は様々な性的虐待を受けてきた。
処女を散らされ、人前で排尿し、尻を叩かれた。そして、恐怖するようになった。
月明かりしか届かないこの廊下を歩く事を。
今度は一体どんな折檻を受けるのか――と、孤独の中で不安を抱いた。
だが今は違う。心の中にあるのは恐怖でも不安でもない。
あるのは期待。それも、淫らな。
(あれ?)
それでは、自分はただあの人外の快楽に溺れる為に新しい御主人様に会いに行くのか。
いとおしいから会いに行くのではないのか。
愛してるから、セックスをしたい? それとも、
せっくすをしたいから、あいしている?
――ずくんっ。
「ふぁ……っ」
子宮の疼きに小さな声が漏れる。
体は後者を指し示した。
心の方の回答は――分からない。目的と行動がごっちゃになっている。
――ずくんっ。
「んっ……はっ」
子宮の疼きは止まらない。もう、羞恥の茂みはねっとりと濡れている。
「私は――」
答えを出せぬままネーアは暗闇の中を歩く。
591 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/04/03 11:01 ID:pozqcesN
厨房の勝手口の鍵を開き、虫の音と時折思い出したように吹く風の音を聞きながら、
折檻場所であった物置へと歩く。早足で。
胸の中の淫らな期待感は上限が無いように、どんどん膨れ上がってくる。
『水汲み』で汗の一つも掻かなかった筈なのに、今では息を荒げている。
月が雲に隠れた頃、物置に着く。何故か暗闇の中でも正確に物置の鍵を見つけ出す。
取り出したそれを鍵穴へと突っ込む――
『突っ込む』という言葉に何かを連想して股をぬらした。
今では鍵を開ける時間も扉を開ける時間ももどかしい。
(早く! はやく、はやくはやくぅっ!)
施錠の外れた金属製の分厚い扉を力任せに開ける。
昨日までは全体重をかけて片方の扉を開けるのが手一杯だったそれは、
ベニヤ板のように軽かった。
ぱっくりと口を開けた暗闇に何の躊躇も無く踏み込んでいく。
蝶番が悲鳴を上げながら、勢い余ってバウンドしてきた扉が大きな音を立てて閉まる。
同時に床の文様が赤く輝き(子宮が疼く)、次にロウソクが灯る。
石が擦れる音を立てて、目前の壁が上方向へとスライドする。
「は……は……はっ……はっ!」
息を荒げながら現れた階段に足を乗せる。
すると鼻腔にあの甘酸っぱい花のような匂いが。
――じゅんっ。
女陰が、蜜を吐き出す。意識が朦朧してくる。
快楽が先が愛情が先かという問題が、どうでも良くなってくる。
目の前に巨大な扉が現れる。この向こうに、桃源郷がある。
我慢に我慢してきた最高の快楽を目前にし、心臓は早鐘を打ったよう。
口の端からは、細く、唾液すら垂れている。
――ずくんっ。
「あんっ」
子宮が疼く。それと呼応するかのように足元の文様が赤く輝く。
扉が――開く。
野花の香りとメスの性臭を足したような甘酸っぱい香りが、溢れ出して来る。
592 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/04/03 11:02 ID:pozqcesN
「あ、ああっ……!」
その香りに意識が混濁する。それに反比例するように胸の鼓動が高鳴る。
ぼうとした意識で、
犬のように息を荒げながら、
肉の床を歩き、
そして辿り着く。
「お待たせしました。御主人様ぁ♪」
新しき主人の元へと。
***
「ぁん!」
花型の魔物は、昨日と同じようにネーアの体に細い触手達を絡ませ、その体を巨体の中心へと運ぶ。
股間に食い込んでくる触手が、ごりごりと淫裂と、真っ赤な肉真珠を擦り付ける。
その度に、頭がパンクしそうな、びりびりとした官能が広がる。
――にちゃり。
お姫様抱っこの格好で、肉の花弁に下ろされる。
呼吸を整えるまもなく花弁と同じ色をした十二本の触手達が殺到し、体の隅々まで愛撫していく。
ねちょねちょと粘液質な音を響かせながら、足の爪先から髪の毛の先まで触手達の分泌液を
塗り込み、揉み込められていく。
「あ、ああん♪ あんっ。お胸、気持ちいいです――きゃんっ――御主人様あ♪」
やや控えめな二つの双房を揉まれる度に、乳首に触手の疣が掠める度に、甘い愉悦が
ネーアの心と体を桃色に染めていく。
「あん!?」
唐突に羞恥の丘を舐め上げられ、蕩けそうな快楽に股間が痺れた。
――ねちょ、ねちょっ、ねちょ――にちゃあぁ。
「あっ! あっ! あんっ! あっ! ああん!」。
(気持ちいい! 気持ちいいよ! あそこ――あんっ♪――痺れてっ)
「あんっ! あっ――あ……」
触手達の動きが止まり、人外のクンニリングスも終わる。
(ん、まだイッてないのにぃ)
593 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/04/03 11:03 ID:pozqcesN
発情という名のスイッチが入ってしまったネーアは、
餌を目前にお預けを食らった犬のように 不満な表情を浮かべる。
「はやくぅ、続き、して、くださいぃ」
腰が意識せずとも淫らにくねる。全身を魔物の粘液でヌラヌラと照り輝かせながら、
童顔に娼婦のような、こ惑的な表情を浮かべるネーアはこれ以上ないほど艶かしい。
(ああ、なんだろぅ。今日、凄くエッチだよ。こんな、はしたない、おねだりなんかして)
だが、そんな事はどうでもいい。今は、ただ、快楽を貪りたい。
そして魔物も淫らな従士の想いに応える。
「――あん♪」
ネーアに絡みつかせた触手を巧みに操り、彼女を拘束すると、
ゆっくりと仰向けに倒す。足をM字に開かせ腰を持ち上げる。
ネーアの目には、綻び、涎をたらす自身の女陰が写っている。
女性が最も羞恥と屈辱を覚える体勢。まんぐり返し。
だが、その羞恥と屈辱も、今のネーアには快楽のスパイスにしかならない。
(うわぁ、はずかしい、この格好、おしりも、あそこも、丸見えで――
わあ、私のアソコ、ひくひく動いてる。エッチなお汁も、んぁ、どんどん溢れてる。
ああ、すごいエッチだよ。どきどきしてくるっ)
「はあっ、はあっ、はあっ」
――ごぽぽぽっ!
息を荒げるネーアの目に、自身の股間越しに魔物の性器がせり出してくる光景が写る。
乳白色の胴。先端に十字の切れ込み。およそ二センチ起きに張っている幾重ものエラ。
先端からとろとろと溢れ出る、白濁とした液体がそれらを満遍なく白く染め上げていく。。
いつ見ても背徳的で、魅力的な外観に、胸が高鳴る。
「ああ……っ」
(やっぱり、すごくおっきい。私の腕くらいある。あんなのが私の中に入ってたんだ。
私の中に入って、メチャクチャにかき回して、はあ、精液を、出したんだ)
その時の、めくるめく官能を思い出し、アソコが女臭い汁をこぷり、と噴出す。
同時に、
「んあっ」
鼻腔の中で主人の性臭を嗅ぎ取り、頭の中が真っ白になる。
594 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/04/03 11:04 ID:pozqcesN
(この、におい! あたま、がっ……しびれちゃうよぅ!)
栗の花と女の蜜、そして花の香りを足して発酵させたような、芳香な匂い。
この匂いを嗅いだだけで、淫らな事しか考えられなくなる。
あの異形の性器を突きこまれる事だけしかを考えられなくなる。
「いれて、くださいっ。お願いですっ、いれてぇ!」
今日丸一日我慢してきた性交への願望が爆発した。
(はやく、はやくぅっ)
魔物も我慢できないのか、巨大な生殖器が鎌首をもたげ、一気に突き込んだ。
――ぐにゅちゅちゅちゅちゅっ!
「はあああぁぁぁっっ!」
その瞬間。心の中のわだかまりが消し飛んだ。
好きだから、セックスしたいとか。
セックスしたいから、好きになったとか。
そんな事はどうでも良くなってしまった。ただ、
――ぐちゅちゅっ、ぐちゅちゅちゅちゅっ、ぐちゅちゅちゅぅ!
「あんっ! あんっ! はぁっ! すごい! すごいよおっ!」
股間が壊れるかと思うほどの刺激が、堪らないほど好きだった。
(ああっ、あそこっ、あっ! ぎちぎちに広がってっ――あんっ! うあぁっ、
ごしゅじんさまの、はいってるっ! あんっ、おっきいオチン○ン、はいってるよ!)
腕ほどもある生殖器が、中へと出入りする度に、小陰唇が肉ビラをはみ出し、引き込まれる。
白濁とした粘液に淫らに輝きながら、貝類の身のように蠢く自身の股間を見て、
際限なくテンションが上がっていく。
「あっ、あっ、あっ、あっ! もっと、もっとっ!」
淫らな要望に魔物が応えたようだ。
「ひあっ!?」
第三の刺激が加えられる。場所は肛門。
乳白色の生殖器が膣内を蹂躙するその向こうで、茶色のすぼまりがゾワゾワとした繊毛に
揉み解される感触を覚える。細長い何かが、皺に溜まった恥垢を舐め取るように、
丹念に丹念にその身を擦り付ける。その度にむず痒いような、じれったいような、
ぴりぴりとした刺激が湧き上がった。
595 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/04/03 11:05 ID:pozqcesN
「ひあっ、あんっ、あんっ、あんっ――ああっ、そこ、はっ……!」
茶色の窄まりは、触手の愛撫を受け柔らかく、ほぐれていく。そして、
「ひぅっ!?」
(お、おしりの中、おしりのなかに、はいってくる! ニュルニュルしたのが、
はいってくるよぅ!)
ぬらぬらの粘液に濡れたミミズの束が、肛門へと割り入っていく。
元でも無理な体勢の上、今は動いていないが――膣内にははちきれそうな生殖器で腹の中は一杯だ。
だが、繊毛の束は容赦なく大腸の入り口へと雪崩れ込む。
「ああ……っ、うっ……はっ、はっ、はっ、はっ――」
(アソコも、おしりも、いっぱいっ、いっぱいだよっ! はあっ、はっ、くるしいよっ)
だが、その息苦しいのが良い。真性Mのネーアには少し苦しいくらいが丁度良い。
(ああっ、うごいてるっ。うごいてるよっ)
内臓へ進入を果たした細長い触手は、喜びに打つ震えるようにその身をくねさせ、
腸壁の肉ヒダを刺激する。その度に、息苦しいような、
むず痒いような小さな愉悦を感じる。
「はっはっはっはっはっはっ――ああっ!? ひああっ!?」
息苦しさに、涎を垂らしながら犬のように息を荒げていた時、
突如、触手たちの動きが止まり――尻の中に粘液を撃ち出した。
「あっ! ああっ! ああんっ!」
腸壁を冷たい粘液に叩かれて、理解不能の快感が背筋を駆け上がった。
そして精液が噴出すように腸内へと吐き出された液体は、
まんぐり返しになったネーアの中を遡り、腸内を犯していく。
「はあっ、はあっ、は……あんっ!?」
止まっていた腸内の触手達が再び動き出す。
尻の中に更に繊毛触手を流し込み、腸壁の肉ヒダを擦り、舐め上げ、揉み解していく。
先程の蹂躙が子供の遊びだと思えるほど、それらの愛撫は勢いを増している。
ビチャビチャという音が尻の中から聞こえてくるような錯覚を受け、同時に、
そんなに激しく動かれたら尻が、内臓が壊れてしまう――そんな不安さえ覚える。
だが、
「あっ!? ああ! あああっ! ああんっ!」
596 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/04/03 11:06 ID:pozqcesN
涎と共に吐き出されたのは甘い喘ぎ声。
(ど、どうしてっ? お尻、こんなに――あんっ――メチャクチャにいじられてるのにっ
――あんっ――すごくきもちいよっ! ああんっ♪)
腸壁が削り取られるような激しい動きに、甘い愉悦を覚えてしまう。
それが、先程腸内に吐き出された催淫性の液体によるものだとは気付く由も無かった。
――ジュブブ、ジュブブッ! ジュブ、ジュブッ!
膣内で動きを止めていた極太触手がピストン運動を再開する。
二つの穴を出入りする触手は肉の壁越しに、別の穴を蹂躙する触手と体を
こすり合わせるように動いた。
「んああっ! すごいぃ! ああっ! ああっ! ああん!
御主人様のっ、なかで擦れてっ、おしりも、アソコもっ、きもちいいよっ!」
膣と腸を隔てる肉の壁が削り取られるような感覚とともに、
脳の皺が無くなると思う程の強烈な快楽を覚える。
(こわれるっ! きもちよすぎてっ! ――ああっ! こわれちゃうぅっ! )
だが、触手に蹂躙されている大陰唇と肛門が、下品な音を吐き出す度に。
メスの本気汁と触手の粘液の混合液が顔を濡らす度に。
むせ返りそうな性交の匂いが鼻腔をつく度に――
(もっと、して欲しいっ! おかしくなってもいいからっ! こわれてもいいからっ!
もっとしてほしい!)
――淫らな気持ちが溢れ出す。
「あんっ! あんっ! あんっ! もっとぉ! もっとしてぇ! ごしゅじんさまっ!」
魔物は淫らなメイドの望みを叶えた。
――ジュブジュブジュブジュブジュブッ!
二穴内の触手が、内臓を突き破らんとばかりな苛烈なピストン運動を交互に繰り出す。
「あ! あ! あ! あ! あ! あっ! ああっ! だめえっ! もうだめぇ!」
絶頂が近い。朱に染まったネーアの体がビクビクと痙攣し始める。
蕩け落ちてしまいそうな甘美な快楽に、真っ白な刺激が混じった。
もう後一押しで絶頂に達する。そんなネーアの股間に口を開けた一本の触手が近づき――
「……っ!?」
淫核をくわえ込んだ。
597 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/04/03 11:07 ID:pozqcesN
「ああああああぁぁぁぁっっっ!!」
駄目押しには強すぎる桃色の刺激。体の快楽容量を容易くオーバーし、ネーアは絶頂を迎えた。
ガクガクガクガクッ! と壊れたように痙攣する。
いつもの様に、いや、いつも以上にだらしなく舌を垂らし、涎を垂らし。
突き込まれたままの股間からはメスの本気汁を卑猥な音と共に吐き出している。
(……! あっ……! ああっ……!)
思考が止まり、視界が真っ白に染まっていく中で、自分の膣が淫らに蠕動するのを感じる。
そして動きを止めた触手達が、急激に膨張していく感触も。
思考停止していた筈の脳が、次の瞬間が予想し、ネーアは淫らな笑みを浮かべた。
――ビュルルルルッ!! ビュルルルルッ!!
「あはっ! ああああああぁぁぁぁっっ!!」
(で、でてる! ごしゅじん、さまのがっ、たくさん……! ああっ!)
びちゃびちゃと膣壁を子宮口をぬめる精液に叩かれる度に、軽いオルガズムを得る。
精液の量は昨日と同じで――蛇口を捻った水道管――という形容が以外考え付かない。
そして、精液が膣内を真っ白に満たすと、今度は子宮内に雪崩れ込む。
「……っ! ……っ!」
腹の中が熱い液体で満たされる感覚に声にならない声を上げる。
(おなか……、あつい……! ああ! すごいっ! すごい!!)
熱いだけではなかった。心も体も、『満たされる』ような感覚。
まるでメスの本能以外の何かが、精液を受けて満足した――そんな感覚。
だが交合果たしたメスの本能よりも、その得体の知れない満足感の方が、
遥かに充実していた。まるで、この為に人外の主人と交わった、とでも言うように。
――ビュルッ! ビュルッ!
子宮内をも精液で満たされ、物理容量を超えた分が、生殖器と媚肉の間から噴出す。
びちゃびちゃとそれは本能を満たされたメスの笑みを浮かべるネーアの頬を叩いた。
鼻の曲がりそうな性臭が漂い始める。
たっぷりと数十秒痙攣していた体が止まり、犬のように呼吸を整える。
「はあっ! はあっ! はあっ! はあ! はあっ……はあ……はぁ……」
体中でくすぶっている絶頂の余韻をかみ締める。
(……わたし、幸せ……)
598 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/04/03 11:08 ID:pozqcesN
もうどうなっても良かった。この幸福〈快楽〉の為なら、死んでもかまわない。
「……はあ――あんっ。くさぁい♪」
秘穴から腹部を辿って、胸元にまで垂れて来る精液と性液の混合液に、下腹部が疼いた。
「ねえ、御主人様ぁ?」
甘ったるい、媚びた声。
――夜は長い。
「もっと、しませんか?」
心臓は背徳的な興奮に早鐘を打ち、膣壁が淫汁を吐き出す。
――劣情が止まらない。
「あん♪」
再び動き出した触手に甘い声が上がる。
――誰にも知られる事のないその空間で、淫らなメイドは喘ぎ続けた。
Code:Illusion 1章
479 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/02/23 02:22 ID:V+P25t8M
--私は何をしているんだろう。
みんなと一緒に戦っていたはずなのに。
「あら、お目覚めかしら?」
「う・・・。」
目を開いても、真っ暗で何も見えない。
彼女はそんな空間にいた。
「ほら、しゃきっとしなさいな?」
そう言うと、彼女の前に立つ女が彼女の頬を軽くはたく。
「こ、ここは・・・」
「ふふ、ここは闇の女王フェリア様の城よ。」
「!?」
彼女は目を見開いて、目の前の女を見据える。
「あ、あんたは!?」
「ようやくわかった? 自分がどういう状況にあるか。ミリアちゃん?」
「う・・・」
ミリアと呼ばれた彼女は、この闇の空間で磔にされている。
それも全裸で。
「可愛い体よね。うふふ・・・。」
「わ、私を捕まえて何をするの!?」
「そんなに怒鳴らないの。」
480 名前:FBX@Code:Illision ◆4gA1RyNyf. :04/02/23 02:23 ID:V+P25t8M
女はミリアの周囲を少し歩きまわる。
丁度、人質を目の前にした犯罪者のようだ。
「私はシィズ。何度か戦場で会ったことあるかしらね?」
「知らないわね。」
「あら、そう? まぁいいわ。」
シィズと名乗った女は、再びミリアの周囲を歩く。
「『光』の連中、なかなか強いのよねぇ・・・。
あなた一人だけを捕らえたのにも、ちゃんと理由があるのよ?」
シィズはミリアの顎をつかみ、自身の顔に近づける。
「可愛い娘・・・。」
「くっ!」
ミリアは顔を左右に振って、シィズの手を退ける。
481 名前:FBX@Code:Illision ◆4gA1RyNyf. :04/02/23 02:24 ID:V+P25t8M
『光』と『闇』・・・。
この世界は、よく我々がゲームや小説などで目にするような戦闘の真っ最中だ。
当初は『光』も『闇』も一つのものであった。
放置しておけば安定であるものなのだ。
だが、当然それを良しとしない者もいる。
ある者が『光』と『闇』を分離させ、片方を己が力としたのだ。
もちろん光あるところに影--すなわち闇が存在する。
「ある者」こそが闇の女王フェリア。
その混沌たる闇の力を持って、すべてを手中に収めようとした。
フェリアとて、最初はそんな欲望など毛頭なかった。
自身の恋人を殺した者に復讐をしたかっただけだ。
だが、大きすぎる力を手にした人間は、さらなる欲望を生む。
それこそがフェリアの望む「すべて」だった。
逆に、この分離した『光』と『闇』を結合し、再び安定にしようとする者もいる。
その者こそが光の女王フィエル。
皮肉にも、フェリアとフィエルは双子の姉妹だった・・・。
482 名前:FBX@Code:Illision ◆4gA1RyNyf. :04/02/23 02:25 ID:V+P25t8M
戦いの中、ミリアはいつも思い出す。
自分の仕える主、フィエルのことを。
フィエルは自分の双子の妹を相手にしているのにも関わらず、いつも気丈に振舞う。
むしろ彼女はこう言う。
『闇の力により、人外の者と化したフェリア。彼女はもう私の妹ではありません』
と。
その意思と決断力に魅せられ、魔法剣士としてミリアは戦いに志願したのだった。
戦闘、戦いとは言うものの、実際に行う戦闘は街や国の取り合いである。
それも、少数戦力によるもの。
一般に知られる戦争:一万対一万というようなものではなかった。
それはフェリアとフィエルの、一般市民への被害を考えた行動なのかもしれない。
「ぐっ!」
ミリアは斬りかかってきた相手の剣を、自分の剣で止める。
余計なことを考えていたようだ。
しかし、次の瞬間にはミリアを襲った男は両断されていた。
「ほら、ぼんやりしないの!」
「あ・・・、悪い。」
仲間のティアに怒られる。
483 名前:FBX@Code:Illision ◆4gA1RyNyf. :04/02/23 02:26 ID:V+P25t8M
(またやっちゃった・・・。)
そう、ミリアは決して優れているわけではなかった。
「あんまりティアの足引っ張っちゃだめだよ~?」
キールにまで言われた。
ミリアは、キールこそ一番トロイと思ってる。
(う~・・・)
最近ミリアは負い目を感じている。
いつも迷惑かけてるのではないか、と。
その思いが、今度の作戦でミリア自身を危機にさらすことになるのだった。
「クラインがもうすぐ門を突破するころね。準備はいい?」
クラインとは、ミリア達とは別行動を取っている仲間。
ミリアのチームにはティア、キール、ファル。
クラインのチームにはエル、シオン、ジェイド。
4人+4人での行動だった。
今回の作戦は、『闇』に制圧された街を開放する作戦。
まずクラインのチームが先に街の中に潜入し、偵察。
その情報を元に、最も警備の薄くなる時間帯を縫ってミリアのチームが攻撃を開始する。
門とは、街の管理に関わるエリアへの門だ。
484 名前:FBX@Code:Illision ◆4gA1RyNyf. :04/02/23 02:27 ID:V+P25t8M
ミリア達は、門のすぐ近くまで接近する。
しかし、警備兵は全滅していて、門は全開だった。
「クライン達がやってくれたみたいね。」
ティアが分析した。
「・・・行こ。」
感情の無い声で言ったファル。
(なんでファルみたいなおとなしい子が戦いに来るのかな・・・)
ミリアは気になって仕方が無いが、聞くに聞けなかった。
門を通過し、管理塔と呼ばれる建物に入る。
「!!」
ミリアはそこで愕然とした。
クライン達4人が倒れ伏していたのだ。
「あら? 新しいお客さんかしら。」
暗い部屋の奥から女の声が聞こえる。
ミリアはクラインに走りよる。
「クライン!」
「う・・・む・・・」
生きている。
「気を・・・つけろ・・・。あの女、かなりの・・・」
「しゃべらないでいいよ。」
ミリアはクラインを制する。
そして剣を抜く。
485 名前:FBX@Code:Illision ◆4gA1RyNyf. :04/02/23 02:29 ID:V+P25t8M
同時にミリアの周囲にティア、キール、ファルが集う。
「4人がかり。それでそこで寝てる子達は勝てなかったわ?」
「うるさい!」
ミリアは女に斬りかかる。
剣を振り下ろすが、空を切るだけだった。
「・・・!?」
確かに目の前に女がいる。
「ミリア!」
その声で我に返ると、そのまま横に飛ぶ。
すると、先ほどまでミリアがいた場所を魔法が通過した。
しかし。
「え!?」
女はキールの放った魔法を右手の人差し指で止めていた。
「わからないかしら。闇こそが、私達の力なのよ?」
そこでミリアは気づいた。
どうして夜戦を挑んだ仲間が負けるのか。
どうして夜戦を挑む敵が強いのか。
「もう、つまらないわ。」
女は呟くと、今度は左手の人差し指をキール達に向けた。
同時に、地面に倒れていたクラインのチーム4人とキール達3人が消える。
「ああ!? 何をしたの!!」
ミリアが女をにらむ。
「別に何も・・・。街の外に飛ばしてあげただけよ。」
「くっ!」
486 名前:FBX@Code:Illision ◆4gA1RyNyf. :04/02/23 02:30 ID:V+P25t8M
ミリアは剣を正眼に構える。
今度は魔力を剣に注いでいる。
「あなた、魔法剣士だったの? ふ~ん・・・」
「行くわよ!」
ミリアはもう一度、斬りかかった。
だが、またしても剣は空を切る。
確かに目の前の女を斬ったはずなのに。
「・・・!」
「あなたも物分りが悪いわね。魔力を注いでも、私には当たらないわ。
でも、あなたのその力。興味あるのよね。」
「何を・・・。」
ミリアは再度剣を構える。
「どう? 私と一緒に来ない? あなたに更なる力を与えてあげる。」
「バカな、どうして私が闇になど!」
「そう、それじゃあ強制的に来てもらうまでね。」
女は左手をミリアに向けた。
「お・や・す・み」
その手から闇の波動が放たれると、ミリアはまるで紙きれのように吹き飛んだ。
488 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/02/23 22:28 ID:V+P25t8M
「思い出してもおもしろくないでしょうに・・・。」
「うるさい!」
シィズが口を出すが、ミリアはそれをはねつける。
「あなたが眠っている間に、色々と調べさせてもらったの。」
シィズはミリアの正面に立ち、ミリアを見据える。
「どうしてフィエルなんかに魅力を感じるのかしらね。
フェリア様だって、意思と決断力程度ならお持ちなのに・・・。」
「ちょっと!」
「どうしてそんなことを、って? もちろん、調べたのがあなたの頭だからよ。」
「!」
ミリアは驚いた。
まさか『闇』にそんな技術があろうとは・・・。
「御託はやめるわ。あなたにはこれからフェリア様の下僕になってもらうの。
フェリア様に直接お会いして、洗脳していただくのよ。」
「私は屈しないわよ!」
「さぁ、どうかしらね・・・。」
シィズがパチン、と指を鳴らすとミリアの裸体が上昇を始めた。
「ふふ、フェリア様に失礼のないようにね・・・。」
489 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/02/23 22:28 ID:V+P25t8M
やがて、ミリアの目の前に玉座とおぼしき影が見えるようになった。
どうやらここに『闇』の指導者、フェリアがいるようだ。
「ようこそ、私の城へ。」
闇の奥から声が聞こえる。
「シィズから話は聞いてるでしょう?」
ミリアの裸体が声のするほうへ移動し始めた。
「うわ・・・?」
真っ暗な中、わずかなロウソクの光で自分を拘束しているのが何かわかった。
肉色の触手だった。
「早速始めようかしら。」
フェリアがミリアに歩み寄る。
ぞっとするような美しさだった。
「うふふ・・・、これからあなたには快楽をあげる。」
その手には蟲のようなもの・・・。
「あなたはこの私、闇の女王フェリアにすべてを捧げるの。
そして、ここから出る時は蟲使いになっているでしょうね。」
「蟲使い!?」
それは、数多の妖蟲を使役して人間に破滅をもたらす存在。
「いや、やめて!」
フィエルの力ならともかく、仇成すフェリアの力になろうとは。
ミリアにとって最大の恐怖であり、屈辱であった。
490 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/02/23 22:29 ID:V+P25t8M
「さぁ・・・、たっぷり楽しんで。」
フェリアの手の蟲が、ミリアの秘所に当てられる。
蟲は喜ぶようにして、ミリアの中へと入っていった。
「ひあ!?」
ミリアの中で蟲が蠢く。
「うああ・・・ああ!!?」
「プレゼントした蟲は、妖淫蟲。女の子に寄生して、快楽の闇に堕としてくれる蟲よ。
あなたは蟲使いになるのだから、このくらいは憶えないとダメよ?」
ミリアを拘束している触手が徐々に動き始める。
「い、いやああ、やめてよぉ!」
ミリアの体を満遍なく愛撫し始めたのである。
「いやあ、やめ、やめ、ふああ・・・」
嫌がる声が少しずつ甘美なものへと変わっていく。
「ああ、あああん、あん、あん・・・、あ、ダメ、私、ダメ、ああ・・・」
それでも抵抗の意思は消えない。
「我慢なんかするのはおやめなさい。人間なんて所詮は快楽に勝てないのだから・・・。」
やがてミリアの中の蟲は、彼女の神経に触手を伸ばし始めた。
直接快楽神経を刺激しよう、というのである。
「あはぁ、あああん、ああ、気持ち、いい、いいの・・・、ああん、あん!」
徐々に抵抗の意思がそがれていく。
「ふふふ・・・、可愛いわよ。」
フェリアは言うと、自身の胸をはだける。
491 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/02/23 22:30 ID:V+P25t8M
陶器のように白い肌が闇に浮かび上がった。
その胸をミリアの口に寄せると、乳首をミリアの口に入れた。
「むああ、あああん、むあ・・・」
「さぁ、お飲みなさいな・・・。」
その乳首から緑色の液体が出てきた。
淫靡な香りのする、人を洗脳し、堕落させる乳液である。
ミリアは吐き出せずに飲み込む。
「むううあああ、あう、あーーー!」
ミリアの体が大きく痙攣した。
逝ったようである。
脱力したミリアから、乳首を離すフェリア。
「どうかしら。気持ち良かったでしょう?」
「う・・・あ・・・」
妖淫蟲は完全にミリアの膣と同化してしまった。
「その蟲はね、一度でも逝ったら最後。もう離れないわよ。
それと・・・、寄生させた人の完全な人形になってしまうの。」
「ふ・・・あ・・・あ・・・」
ミリアは放心状態だ。
「さぁ、私に忠誠を誓って。そうすればもっとよくしてあげる。」
「うう・・・あ、わ、私は、・・・」
闇の空間に、ミリアの敗北宣言が響き渡った。
508 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/03/01 01:35 ID:TMZuagIQ
数日後。
フェリアの前にミリアが立っていた。
しかし、かつての水色の鎧ではなく、漆黒のローブをまとって。
「ミリア。あなたは何?」
フェリアが問う。
ミリアは躊躇せずに答えた。
「私はフェリア様の下僕。蟲使いのミリアです。」
「そう・・・、あなたは蟲使いのミリア。もう魔法剣士ではないわ。」
フェリアは満足そうに告げた。
「さぁミリア。手始めに先日あなたが取り返そうとした町を襲いなさい。
あの後、シィズの留守をつかれて奪われてしまったわ。」
「かしこまりました。」
ミリアはローブを翻すと、フェリアの玉座を後にした。
--私は何をしているんだろう。
みんなと一緒に戦っていたはずなのに。
「あら、お目覚めかしら?」
「う・・・。」
目を開いても、真っ暗で何も見えない。
彼女はそんな空間にいた。
「ほら、しゃきっとしなさいな?」
そう言うと、彼女の前に立つ女が彼女の頬を軽くはたく。
「こ、ここは・・・」
「ふふ、ここは闇の女王フェリア様の城よ。」
「!?」
彼女は目を見開いて、目の前の女を見据える。
「あ、あんたは!?」
「ようやくわかった? 自分がどういう状況にあるか。ミリアちゃん?」
「う・・・」
ミリアと呼ばれた彼女は、この闇の空間で磔にされている。
それも全裸で。
「可愛い体よね。うふふ・・・。」
「わ、私を捕まえて何をするの!?」
「そんなに怒鳴らないの。」
480 名前:FBX@Code:Illision ◆4gA1RyNyf. :04/02/23 02:23 ID:V+P25t8M
女はミリアの周囲を少し歩きまわる。
丁度、人質を目の前にした犯罪者のようだ。
「私はシィズ。何度か戦場で会ったことあるかしらね?」
「知らないわね。」
「あら、そう? まぁいいわ。」
シィズと名乗った女は、再びミリアの周囲を歩く。
「『光』の連中、なかなか強いのよねぇ・・・。
あなた一人だけを捕らえたのにも、ちゃんと理由があるのよ?」
シィズはミリアの顎をつかみ、自身の顔に近づける。
「可愛い娘・・・。」
「くっ!」
ミリアは顔を左右に振って、シィズの手を退ける。
481 名前:FBX@Code:Illision ◆4gA1RyNyf. :04/02/23 02:24 ID:V+P25t8M
『光』と『闇』・・・。
この世界は、よく我々がゲームや小説などで目にするような戦闘の真っ最中だ。
当初は『光』も『闇』も一つのものであった。
放置しておけば安定であるものなのだ。
だが、当然それを良しとしない者もいる。
ある者が『光』と『闇』を分離させ、片方を己が力としたのだ。
もちろん光あるところに影--すなわち闇が存在する。
「ある者」こそが闇の女王フェリア。
その混沌たる闇の力を持って、すべてを手中に収めようとした。
フェリアとて、最初はそんな欲望など毛頭なかった。
自身の恋人を殺した者に復讐をしたかっただけだ。
だが、大きすぎる力を手にした人間は、さらなる欲望を生む。
それこそがフェリアの望む「すべて」だった。
逆に、この分離した『光』と『闇』を結合し、再び安定にしようとする者もいる。
その者こそが光の女王フィエル。
皮肉にも、フェリアとフィエルは双子の姉妹だった・・・。
482 名前:FBX@Code:Illision ◆4gA1RyNyf. :04/02/23 02:25 ID:V+P25t8M
戦いの中、ミリアはいつも思い出す。
自分の仕える主、フィエルのことを。
フィエルは自分の双子の妹を相手にしているのにも関わらず、いつも気丈に振舞う。
むしろ彼女はこう言う。
『闇の力により、人外の者と化したフェリア。彼女はもう私の妹ではありません』
と。
その意思と決断力に魅せられ、魔法剣士としてミリアは戦いに志願したのだった。
戦闘、戦いとは言うものの、実際に行う戦闘は街や国の取り合いである。
それも、少数戦力によるもの。
一般に知られる戦争:一万対一万というようなものではなかった。
それはフェリアとフィエルの、一般市民への被害を考えた行動なのかもしれない。
「ぐっ!」
ミリアは斬りかかってきた相手の剣を、自分の剣で止める。
余計なことを考えていたようだ。
しかし、次の瞬間にはミリアを襲った男は両断されていた。
「ほら、ぼんやりしないの!」
「あ・・・、悪い。」
仲間のティアに怒られる。
483 名前:FBX@Code:Illision ◆4gA1RyNyf. :04/02/23 02:26 ID:V+P25t8M
(またやっちゃった・・・。)
そう、ミリアは決して優れているわけではなかった。
「あんまりティアの足引っ張っちゃだめだよ~?」
キールにまで言われた。
ミリアは、キールこそ一番トロイと思ってる。
(う~・・・)
最近ミリアは負い目を感じている。
いつも迷惑かけてるのではないか、と。
その思いが、今度の作戦でミリア自身を危機にさらすことになるのだった。
「クラインがもうすぐ門を突破するころね。準備はいい?」
クラインとは、ミリア達とは別行動を取っている仲間。
ミリアのチームにはティア、キール、ファル。
クラインのチームにはエル、シオン、ジェイド。
4人+4人での行動だった。
今回の作戦は、『闇』に制圧された街を開放する作戦。
まずクラインのチームが先に街の中に潜入し、偵察。
その情報を元に、最も警備の薄くなる時間帯を縫ってミリアのチームが攻撃を開始する。
門とは、街の管理に関わるエリアへの門だ。
484 名前:FBX@Code:Illision ◆4gA1RyNyf. :04/02/23 02:27 ID:V+P25t8M
ミリア達は、門のすぐ近くまで接近する。
しかし、警備兵は全滅していて、門は全開だった。
「クライン達がやってくれたみたいね。」
ティアが分析した。
「・・・行こ。」
感情の無い声で言ったファル。
(なんでファルみたいなおとなしい子が戦いに来るのかな・・・)
ミリアは気になって仕方が無いが、聞くに聞けなかった。
門を通過し、管理塔と呼ばれる建物に入る。
「!!」
ミリアはそこで愕然とした。
クライン達4人が倒れ伏していたのだ。
「あら? 新しいお客さんかしら。」
暗い部屋の奥から女の声が聞こえる。
ミリアはクラインに走りよる。
「クライン!」
「う・・・む・・・」
生きている。
「気を・・・つけろ・・・。あの女、かなりの・・・」
「しゃべらないでいいよ。」
ミリアはクラインを制する。
そして剣を抜く。
485 名前:FBX@Code:Illision ◆4gA1RyNyf. :04/02/23 02:29 ID:V+P25t8M
同時にミリアの周囲にティア、キール、ファルが集う。
「4人がかり。それでそこで寝てる子達は勝てなかったわ?」
「うるさい!」
ミリアは女に斬りかかる。
剣を振り下ろすが、空を切るだけだった。
「・・・!?」
確かに目の前に女がいる。
「ミリア!」
その声で我に返ると、そのまま横に飛ぶ。
すると、先ほどまでミリアがいた場所を魔法が通過した。
しかし。
「え!?」
女はキールの放った魔法を右手の人差し指で止めていた。
「わからないかしら。闇こそが、私達の力なのよ?」
そこでミリアは気づいた。
どうして夜戦を挑んだ仲間が負けるのか。
どうして夜戦を挑む敵が強いのか。
「もう、つまらないわ。」
女は呟くと、今度は左手の人差し指をキール達に向けた。
同時に、地面に倒れていたクラインのチーム4人とキール達3人が消える。
「ああ!? 何をしたの!!」
ミリアが女をにらむ。
「別に何も・・・。街の外に飛ばしてあげただけよ。」
「くっ!」
486 名前:FBX@Code:Illision ◆4gA1RyNyf. :04/02/23 02:30 ID:V+P25t8M
ミリアは剣を正眼に構える。
今度は魔力を剣に注いでいる。
「あなた、魔法剣士だったの? ふ~ん・・・」
「行くわよ!」
ミリアはもう一度、斬りかかった。
だが、またしても剣は空を切る。
確かに目の前の女を斬ったはずなのに。
「・・・!」
「あなたも物分りが悪いわね。魔力を注いでも、私には当たらないわ。
でも、あなたのその力。興味あるのよね。」
「何を・・・。」
ミリアは再度剣を構える。
「どう? 私と一緒に来ない? あなたに更なる力を与えてあげる。」
「バカな、どうして私が闇になど!」
「そう、それじゃあ強制的に来てもらうまでね。」
女は左手をミリアに向けた。
「お・や・す・み」
その手から闇の波動が放たれると、ミリアはまるで紙きれのように吹き飛んだ。
488 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/02/23 22:28 ID:V+P25t8M
「思い出してもおもしろくないでしょうに・・・。」
「うるさい!」
シィズが口を出すが、ミリアはそれをはねつける。
「あなたが眠っている間に、色々と調べさせてもらったの。」
シィズはミリアの正面に立ち、ミリアを見据える。
「どうしてフィエルなんかに魅力を感じるのかしらね。
フェリア様だって、意思と決断力程度ならお持ちなのに・・・。」
「ちょっと!」
「どうしてそんなことを、って? もちろん、調べたのがあなたの頭だからよ。」
「!」
ミリアは驚いた。
まさか『闇』にそんな技術があろうとは・・・。
「御託はやめるわ。あなたにはこれからフェリア様の下僕になってもらうの。
フェリア様に直接お会いして、洗脳していただくのよ。」
「私は屈しないわよ!」
「さぁ、どうかしらね・・・。」
シィズがパチン、と指を鳴らすとミリアの裸体が上昇を始めた。
「ふふ、フェリア様に失礼のないようにね・・・。」
489 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/02/23 22:28 ID:V+P25t8M
やがて、ミリアの目の前に玉座とおぼしき影が見えるようになった。
どうやらここに『闇』の指導者、フェリアがいるようだ。
「ようこそ、私の城へ。」
闇の奥から声が聞こえる。
「シィズから話は聞いてるでしょう?」
ミリアの裸体が声のするほうへ移動し始めた。
「うわ・・・?」
真っ暗な中、わずかなロウソクの光で自分を拘束しているのが何かわかった。
肉色の触手だった。
「早速始めようかしら。」
フェリアがミリアに歩み寄る。
ぞっとするような美しさだった。
「うふふ・・・、これからあなたには快楽をあげる。」
その手には蟲のようなもの・・・。
「あなたはこの私、闇の女王フェリアにすべてを捧げるの。
そして、ここから出る時は蟲使いになっているでしょうね。」
「蟲使い!?」
それは、数多の妖蟲を使役して人間に破滅をもたらす存在。
「いや、やめて!」
フィエルの力ならともかく、仇成すフェリアの力になろうとは。
ミリアにとって最大の恐怖であり、屈辱であった。
490 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/02/23 22:29 ID:V+P25t8M
「さぁ・・・、たっぷり楽しんで。」
フェリアの手の蟲が、ミリアの秘所に当てられる。
蟲は喜ぶようにして、ミリアの中へと入っていった。
「ひあ!?」
ミリアの中で蟲が蠢く。
「うああ・・・ああ!!?」
「プレゼントした蟲は、妖淫蟲。女の子に寄生して、快楽の闇に堕としてくれる蟲よ。
あなたは蟲使いになるのだから、このくらいは憶えないとダメよ?」
ミリアを拘束している触手が徐々に動き始める。
「い、いやああ、やめてよぉ!」
ミリアの体を満遍なく愛撫し始めたのである。
「いやあ、やめ、やめ、ふああ・・・」
嫌がる声が少しずつ甘美なものへと変わっていく。
「ああ、あああん、あん、あん・・・、あ、ダメ、私、ダメ、ああ・・・」
それでも抵抗の意思は消えない。
「我慢なんかするのはおやめなさい。人間なんて所詮は快楽に勝てないのだから・・・。」
やがてミリアの中の蟲は、彼女の神経に触手を伸ばし始めた。
直接快楽神経を刺激しよう、というのである。
「あはぁ、あああん、ああ、気持ち、いい、いいの・・・、ああん、あん!」
徐々に抵抗の意思がそがれていく。
「ふふふ・・・、可愛いわよ。」
フェリアは言うと、自身の胸をはだける。
491 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/02/23 22:30 ID:V+P25t8M
陶器のように白い肌が闇に浮かび上がった。
その胸をミリアの口に寄せると、乳首をミリアの口に入れた。
「むああ、あああん、むあ・・・」
「さぁ、お飲みなさいな・・・。」
その乳首から緑色の液体が出てきた。
淫靡な香りのする、人を洗脳し、堕落させる乳液である。
ミリアは吐き出せずに飲み込む。
「むううあああ、あう、あーーー!」
ミリアの体が大きく痙攣した。
逝ったようである。
脱力したミリアから、乳首を離すフェリア。
「どうかしら。気持ち良かったでしょう?」
「う・・・あ・・・」
妖淫蟲は完全にミリアの膣と同化してしまった。
「その蟲はね、一度でも逝ったら最後。もう離れないわよ。
それと・・・、寄生させた人の完全な人形になってしまうの。」
「ふ・・・あ・・・あ・・・」
ミリアは放心状態だ。
「さぁ、私に忠誠を誓って。そうすればもっとよくしてあげる。」
「うう・・・あ、わ、私は、・・・」
闇の空間に、ミリアの敗北宣言が響き渡った。
508 名前:FBX@Code:Illusion ◆4gA1RyNyf. :04/03/01 01:35 ID:TMZuagIQ
数日後。
フェリアの前にミリアが立っていた。
しかし、かつての水色の鎧ではなく、漆黒のローブをまとって。
「ミリア。あなたは何?」
フェリアが問う。
ミリアは躊躇せずに答えた。
「私はフェリア様の下僕。蟲使いのミリアです。」
「そう・・・、あなたは蟲使いのミリア。もう魔法剣士ではないわ。」
フェリアは満足そうに告げた。
「さぁミリア。手始めに先日あなたが取り返そうとした町を襲いなさい。
あの後、シィズの留守をつかれて奪われてしまったわ。」
「かしこまりました。」
ミリアはローブを翻すと、フェリアの玉座を後にした。