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無限の果肉 第六話
555 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/03/22 10:57 ID:e4mJ22OJ
<新しい生活 前編>
どんな事が起ころうとも時の流れは変わらない。
それは自分が人間以外の生物に犯されても、同じで。
もう、死んでも良い、だとか、夢かもしれない、なんて何度も思いながら魔物に犯されても。
時の流れは、変わらない。
「――ん」
意識が、覚醒していく。寝惚け眼のまま天井を何十秒も眺めた。
その顔はどこか赤く、色っぽい。呼吸する度に上下へと動く布団の動きも、寝起きにしてはペースが早い。
「――ふぁ――」
欠伸をし、窓から差し込む朝日がいつも以上に心地良くて、もう一度布団を被り直してしまおうか、と考える。
(違う。眠りたいと思うのは、日差しが気持ち良いから、っていう理由だけじゃない)
布団の中で、手をまさぐらせる。その手は寝巻きに潜り込み、羞恥の丘を覆う下着をゆっくりと触った。
「――んっ」
手から湿ったような感覚が、股間からはぴりりとした官能が、伝わってくる。
そこは、べっちょりと濡れていた。
(私。さっきまで夢を見てた。『新しい御主人様にめちゃくちゃに犯される夢』を)
もう心の整理は付いている。
昨日。自分はウラヌス様が封印していた魔物の封印を解いてしまい。そして、犯された。
そして、化け物が相手だというのに、今まで以上の快楽を感じていた事も。
そして、同時にこれ以上ない程の幸せも、感じていた。
その時に思った。この魔物に犯されることこそ、自分の存在意義であると。
自分は、あの魔物の為の、淫らなメイドであると。
「それに」
(精液、中に出されちゃったし。思いっきり。安全日じゃないのに)
「責任、取ってもらわないと」
一人で声を控えて笑う。
556 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/03/22 10:59 ID:e4mJ22OJ
「あ」
(私がねだったんだっけ)
ともかく。自分は、それほどまでにあの魔物を好きで、そしてあの魔物を自分を必要としている。
それなら、全てを受け入れようと、思った。
(それに……すっごく、気持ち良いしね)
淫乱な自分の事だ。ひょっとしたらこっちが、腹をくくった原因かもしれない。
(あ、昨日の事思い出したら、したくなってきちゃった)
どうしようか。
(いいや、しちゃえ)
官能に対しての羞恥が随分と擦り切れてしまったな、と思いつつ秘所に伸ばした手を――
――ノックの音が響いた。
「ネーアちゃん?」
フェルナの声と共に扉の蝶番が軋む。
「っ!?」
後ろ暗い事を考えていたせいか、その音に過敏に反応してしまう。
「……? ネーアちゃん? 起きてるの?」
「あ、うん。起きてるよ。何か用?」
「何って、もうとっくにミーティングの時間始まってるんだけど」
言われて初めて時計を見る。
「……あ」
六時を回ったところだった。ミーティングが六時から始まる事を考えると遅刻決定である。
「ご、ごめんっ。今すぐ用意していくからっ。フェルナはもう戻って」
「お仕事、するの?」
「え?」
「……ううん、なんでもない。フェルナ、先行くね」
言うや否やフェルナはさっさと部屋を出て行ってしまった。
扉が閉まる音が響き、その向こうから徐々に遠ざかっていく足音が聞こえる。
「今日のフェルナ、何だか変だったな」
(全然元気が無かった。いつもなら布団を捲ってでも起こしてくれるのに)
言うことを言って聞くことを聞くとさっさと出て行ってしまった。
557 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/03/22 11:03 ID:e4mJ22OJ
「どうしてあんなに、よそよそしかったんだろう? …………あ」
頭の中に、
フェルナの目の前で派手に絶頂に達する自分の姿が、
思い浮かんだ。
(そうだよね、気まずいよね、お互い)
むしろ、昨日あんな事があったばかりで普通に話が出来る方がおかしい。
(新しいご主人様とエッチしちゃった事がインパクト強すぎて、そんな事すっかり忘れてた)
「ふう」
自然と溜め息が零れる。
だがフェルナにああ言った手前、堂々と仕事をサボるわけにはいかない。それに、
(なんだろ? 精神的にはすごく参っている筈なのに、体は元気が有り余ってる感じ)
今なら何をやっても上手くいくような気がする。
「そんなわけないのにね」
ベッドから降り立ち、さっさと身支度を済ませてしまう。当然下着も替えた。
それが終わると換気の為に窓を開け、ミーティングを行う厨房へと向かった。
***
558 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/03/22 11:07 ID:e4mJ22OJ
「お早うございますっ。遅れてすみませんでしたっ」
厨房へ駆け込むと同時に声を張り上げる。
「ネーアさん?」
「あら、ほんとに来たわ」
「……」
その場に居たメイド全員の視線が、八人分の視線がこちらへと向けられる。
(あ、う……視線が痛い)
その半数が『邪魔だからどこかへ行け』という意思を持っている。
途端に、疎外感がネーアの心を包み込む。
自分が必要とされていない人間と、自覚してしまう。
(この感覚は、慣れそうに無いよ)
ティジフォーンを始めとする例の三人組に虐待を受けた方が、楽かもしれない。
「何をしに来たのですか?」
思ったそばからティジフォーンが辛らつな言葉を投げかけた。
「それは、その……お仕事を」
尻すぼまりになっていく自分の声が恨めしい。
「お仕事を……なんです? はっきりおっしゃって下さい」
(またそうやってっ。私がろくに仕事を出来ない事を分かった上で、
私に『仕事をしに来ました』なんて言わせる……!)
いつものネーアなら、雰囲気に呑まれティジフォーンの思惑どうりに苦汁を飲むしかない。
涙と屈辱を噛み締めながら、避けることの出来ない恥を掻くしかない。
だが、今のネーアは違った。
心の中に溢れているのは、屈辱や悲しみ、畏怖といった感情ではなく――
「そんな簡単な事も分からないんですか、ティジフォーンさん?」
笑顔を浮かべながら喋るネーアの心の中には、ただ『怒り』と『憎しみ』だけがあった。
ティジフォーンの眉が跳ね上がる。
「今、何とおっしゃられましたか? ネーアさん」
「あれ? 聞こえなかったんですかティジフォーンさん? 小さな声ではなかった筈ですけど?
ああ、三十路も超えればモウロクするって事ですか?」
『……っ!?』
559 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/03/22 11:08 ID:e4mJ22OJ
その言葉に厨房内に居たメイド全員が例外なく息を呑んだ。
その光景が何故か滑稽に見えてしょうがない。
「耳が遠くなったティジフォーンさんの為にもう一度お伝えします」
『耳が遠くなった』の部分を必要以上に強調して、続ける。
「メイドがミーティングにやってきたのだから、それは仕事をするという事です。
そんな事も分からないのですか――私はそう良いいました。分かってくれましたか?」
ティジフォーンの眉がこめかみが、絶命直前の昆虫のようにぴくぴくと痙攣している。
口元はいつもの笑みを浮かべながら、でも目は少しも笑っていない。
レアクトは口を『あ』の形に空けたまま硬直し、メライガが眉をひそめて私を見ている。
周りのメイド達は顔を真っ青にしながら事の成り行きを見守っていた。
その様子を見て、
何故か私は興奮した。あっと驚くメイド達の顔が心地良い。
まるで酔っ払いのように理性からタガが外れ、代わりに心の内から、
何かどす黒いものが、性的虐待を受けた時に感じた、負の感情が溢れ出て来る。
「そこまで言うなら、分かってるのでしょうね?」
押し殺した声にはいつもの、人を見下すような余裕は無い。
「はい? 分かりませんよ? だって、誰が、何をするのか仰って――」
みなまで言うことは無かった。
パアンッ、と頬を叩く音が厨房内に響く。
右頬が熱く、疼いている。
(叩かれた。……いや、違う)
「ネーアさんは水汲みをお願いします!」
ティジフォーンは一方的に言い放つと、他のメイド達の点呼と今日のノルマを次々と与えていく。
その言葉の端々に、いつも以上に棘が入っているのが分かる。
(私が叩かせたんだ。いつも笑顔を浮かべているあの顔を一瞬憎悪に歪ませて。
折檻の時だって直接的な暴力はした事が無かったのに。私が怒らせて、あの人に暴力を振るわせた)
ジンジンと疼く頬を押さえる。痛い。でもそれ以上に心地良い。
それは精神的な官能だった。
子宮が熱く疼いている。
時折、八つ当たり同然に声を張り上げるティジフォーンを観察しながら、ネーアは口の端を歪めた。
560 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/03/22 11:10 ID:e4mJ22OJ
***
屋敷の裏を進むと獣道よりかは幾分か舗装された山道が見えてくる。
この山道を大人の足で二十分ほど進むと小川に出る。
小川と言っても幅五十センチにも満たないその小川には、魚も住んではおらず、
せいぜい苔が生えている程度だ。その小川に沿って更に五分、上流を目指すと、
石、岩を剥き出しにした山肌に行き着く。
この山肌の合間から小川を形成する水が溢れ出しているのだ。
この屋敷での『水汲み』と呼ばれる仕事は、
取っての付いた水がめ(特別製。本体重量3キロ、最大内容量約10リットル)を使い、
合計100リットルの水を屋敷へと届ける重労働である。
週に二度、フェルナとレアクトが共同で行っているこの作業は、
二人が両手に水がめを持ち、三往復する事で仕事を完遂している。
使用時間は三時間。体力自慢の二人で仕事をやってこれだけ手間の掛かる仕事に、
やはり、ネーアは根を上げていた。
(無理だよ。こんなの)
水源の真下に置いた水がめが、水で満たされるまでの間、
休憩とばかりに適当なところに腰掛けた。
(他の子は朝食を取るために一時間や二時間で終わる作業ばかりなのに。どうして私だけ)
はあ、とため息を付く。
(それにどうして屋敷には井戸が無いのかなぁ。有ればこんな余分な労働しなくてすむのに)
メイドと言っても嫌な仕事は嫌だ。
(まあ、一往復も持たないかと思ってた割には結構頑張れてるんだけど)
実は、ネーアはすでに二往復を終えて今は三往復めの折り返し地点。
つい先日までの無能ぶりに比べれば奇跡とも思える成果を挙げていた。
(思ったより軽かったし一往復一時間も掛からなかったし、
もう動けない、とは言わないんだけど。腹筋とかついちゃったらどうしよう――)
そんな馬鹿な事を考えつつ、ふと口にする。
「お腹空いたなぁ」
561 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/03/22 11:11 ID:e4mJ22OJ
これが当面の問題だ。久しぶりの労働のせいか、ネーアの体の燃費が悪いのか、
彼女は今までに無い空腹感を覚える。
「でも、食べる物無いもんね」
この辺りには食事にも使われる山菜などが生えているが、自分がそんな物を探しても
せいぜい毒キノコを探し当てるのが関の山だろうと、ネーアは諦める。
(水なら幾らでもあるんだけど)
勢い良く水がめに注がれていく透明の液体を見つめる。
すでに容量を超えた分が、水がめから溢れ、こぼれている。
水で空腹は収まらない。むしろ逆効果だ。
「背に腹は代えられない、か」
水っ腹になろうとも後で後悔しようとも、一時的にでもこの空腹感から逃れるのなら、
そう思い、岩間から噴出す水へ、両の掌を添える。
労働した後の火照った体に、水の冷たさが心地良い。
両掌をお椀型に密着させ水を受け、飲んだ。
んく、んく――
(あれ? おいしい)
汗を流した直後だからか。何故かただの水が美味い。
掌の水が無くなると再び両手を伸ばし、水で満たす。そして一息で飲み干す。
また伸ばし、飲み干す。
そんな事何度も繰り返し、
(面倒くさいから直に飲もう)
今度はあふれ出る水へと口を開けて顔を近づける。
水が顔を、うなじを、胸元を濡らしていく。
(やだ。止まらない。水っ腹になっちゃうよ)
何かに憑かれたように延々と水を飲み続け、
「――はっ! はあっ! はあっ! はあっ……」
気が済んだのか水源からようやく顔を離す。
「……何やってるんだろう私」
空腹はごまかせた。無理をした割には不快感なんて微塵も無い。
むしろ美味しいご馳走を平らげた時のような、充足感すらある。
562 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/03/22 11:12 ID:e4mJ22OJ
「何か、変、だよね」
(そう言えば、ミーティングの時だって、私、ティジフォーンさんに凄い事言ってた)
そう、あの時ネーアは今までに一度も頭の上がらなかったティジフォーンに、
初めて盾突き、『折檻』以外の場で暴力を受けた。否。振るわせた。
(あの時の感覚、今でも忘れられない)
新しい御主人様に犯される直前の、背徳感と期待感の入り混じった高揚。
それは性的興奮と同種のものだった。
「なんだか自分の体じゃないみたい」
言いえて妙だな、とネーアは思う。
「ん、ふあ……」
自然と出たあくびをかみ殺す。満腹感と充足感が眠気を引き起こしたのだろうか。
(あれ、何で眠たくなるの? それにこんな所で寝たら風邪引いちゃうよ)
上半身もにわか雨に遭ったように水に濡れているというのに。
だが、鳥のさえずりや、水流の音、思い出したかのように吹くそよ風が、
ネーアの眉を重くする。
だがそれ以上に、
「……お日様、気持ちいい」
日の光のあまりの心地良さに陶酔する。
自然と足が動き最も日当たりの良い木の根元へと腰を下ろし、幹に背を預ける。
物の数秒も掛からない内に、ネーアの意識は闇に沈む。
***
夢を見た。
はっきりとは覚えていない。
ただ、濃厚な性臭と、ぬめる粘液と、どす黒い高揚感。
そして子宮の疼きだけは、はっきりと覚えていた。
「……んん」
意識が覚醒する。
563 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/03/22 11:13 ID:e4mJ22OJ
ぼう、とする頭で辺りを見渡す。山の中。すぐ近くには岩肌があり、
そこから水が吹き出ている。
「……あ、れ……? ここ、どこ?」
(御主人様はぁ?)
「まあ、いっかぁ」
目を擦りながら欲情したままの心と体を持て余し、
屋外だというのに、何のためらいも無くスカートの中にいきなり手を突っ込む。
子宮が疼いている。
(ああん、何だかすごく、エッチな気分だよぅ)
「……きゃんっ」
下着越しに触れたそこは、既に濡れていた。
(うわ、へんなの、びしょびしょだ。脱いじゃえ)
木の幹に背を預けたまま腰を浮かす。
屋外という状況が興奮を更に高める。
(誰か、見てたら、どうしよう。うわぁ、ドキドキするっ)
不安とそれを圧倒的に上回る期待を抱きながら、辺りに視線を這わす。すると、
水源の下で水を溢れさせている水がめを発見した。
「――あ」
熱が一気に冷める。
慌てて下着を穿き直すと空を見上げた。ほぼ自分の頭の直上で太陽が輝き、
さんさんと光を注いでいる。
もう正午近くだった。
「ああ――っ!」
立ち上がり水がめの元へと駆け寄ると空の水がめと交換する。
両の水がめが一杯になると、それを両手にぶら下げ山道を降りていく。
火事場の馬鹿力、だろうか。
水がめを持っている筈の両手は空気を持っているように、軽かった。
そして、屋敷へ帰るまでの間、ずっと子宮が疼いていた。
589 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/04/03 10:58 ID:pozqcesN
<新しい生活 後編>
「はあ……」
ため息が付いて出た。
「今日の私絶対変だよ」
昼間の水汲みに掛かった時間はおよそ六時間。並のメイドが一人で
この仕事をしたなら、この時間はなんの問題も無いのだが。ネーアはその内、
実に半分の三時間近くを休憩、もとい、寝て過ごした。実際、
彼女がこの仕事を終わらせるのには三時間しか掛かっていない事になる。
力自慢のフェルナとレアクトが二人で汗水垂らした時間と同じの上、ノルマをこなした
ネーアは汗一つ掻いていなかった。
その様子をその場に居合わせたメイド達が怪訝に見ていた事を、覚えている。
そして朝食兼昼食時。
朝から何も食べていない筈なのに、全く食欲が沸かなかった。
少しは食べたのだがスープ等の液体系のものしか摂らなかった。
「というか、お腹一杯だったんだよ。どうしてだろう?」
水しか飲んでない。その後三時間近く寝ていただけ。
なのに、その後は疲れを知らないように働いた。
嫌がらせとばかりにティジフォーンから言われた仕事を、ことごとくこなしていった。
全て終わった時は、なんだもう終わりか、とすら思った。
でも何よりもおかしいのは――
「――んっ、また……っ」
(アソコ、疼いてっ)
じくじく、じくじくと子宮が疼く。虫に刺された時の痒さと、
欲情して雌汁を垂れ流す時の疼きを足した感じ。
弄りたくて弄りたくてしょうがない。
(でも)
自室から窓の外を見る。既に夜の帳が降りた山林には虫の音しか聞こえない。
時刻は10時、消灯時間は過ぎている。
もうすぐ、新しい御主人様に可愛がってもらえるのだ。
590 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/04/03 10:59 ID:pozqcesN
それまでは我慢しなければいけない。
「……よし、行こう」
立ち上がる。格好はいつものメイド服。手には屋敷の鍵。金属製のわっかにまとめられた
十数個のそれらは、ネーアが歩みを進める為にじゃらじゃらと、大きな音を立てる。
仕事中、ティジフォーンの部屋から失敬したそれをエプロンのポケットに放り込む。
***
静まり返った屋敷の中を、足音を忍ばせて歩く。今まで何度もやってきた事だ。
『折檻』の名の下に、この身は様々な性的虐待を受けてきた。
処女を散らされ、人前で排尿し、尻を叩かれた。そして、恐怖するようになった。
月明かりしか届かないこの廊下を歩く事を。
今度は一体どんな折檻を受けるのか――と、孤独の中で不安を抱いた。
だが今は違う。心の中にあるのは恐怖でも不安でもない。
あるのは期待。それも、淫らな。
(あれ?)
それでは、自分はただあの人外の快楽に溺れる為に新しい御主人様に会いに行くのか。
いとおしいから会いに行くのではないのか。
愛してるから、セックスをしたい? それとも、
せっくすをしたいから、あいしている?
――ずくんっ。
「ふぁ……っ」
子宮の疼きに小さな声が漏れる。
体は後者を指し示した。
心の方の回答は――分からない。目的と行動がごっちゃになっている。
――ずくんっ。
「んっ……はっ」
子宮の疼きは止まらない。もう、羞恥の茂みはねっとりと濡れている。
「私は――」
答えを出せぬままネーアは暗闇の中を歩く。
591 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/04/03 11:01 ID:pozqcesN
厨房の勝手口の鍵を開き、虫の音と時折思い出したように吹く風の音を聞きながら、
折檻場所であった物置へと歩く。早足で。
胸の中の淫らな期待感は上限が無いように、どんどん膨れ上がってくる。
『水汲み』で汗の一つも掻かなかった筈なのに、今では息を荒げている。
月が雲に隠れた頃、物置に着く。何故か暗闇の中でも正確に物置の鍵を見つけ出す。
取り出したそれを鍵穴へと突っ込む――
『突っ込む』という言葉に何かを連想して股をぬらした。
今では鍵を開ける時間も扉を開ける時間ももどかしい。
(早く! はやく、はやくはやくぅっ!)
施錠の外れた金属製の分厚い扉を力任せに開ける。
昨日までは全体重をかけて片方の扉を開けるのが手一杯だったそれは、
ベニヤ板のように軽かった。
ぱっくりと口を開けた暗闇に何の躊躇も無く踏み込んでいく。
蝶番が悲鳴を上げながら、勢い余ってバウンドしてきた扉が大きな音を立てて閉まる。
同時に床の文様が赤く輝き(子宮が疼く)、次にロウソクが灯る。
石が擦れる音を立てて、目前の壁が上方向へとスライドする。
「は……は……はっ……はっ!」
息を荒げながら現れた階段に足を乗せる。
すると鼻腔にあの甘酸っぱい花のような匂いが。
――じゅんっ。
女陰が、蜜を吐き出す。意識が朦朧してくる。
快楽が先が愛情が先かという問題が、どうでも良くなってくる。
目の前に巨大な扉が現れる。この向こうに、桃源郷がある。
我慢に我慢してきた最高の快楽を目前にし、心臓は早鐘を打ったよう。
口の端からは、細く、唾液すら垂れている。
――ずくんっ。
「あんっ」
子宮が疼く。それと呼応するかのように足元の文様が赤く輝く。
扉が――開く。
野花の香りとメスの性臭を足したような甘酸っぱい香りが、溢れ出して来る。
592 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/04/03 11:02 ID:pozqcesN
「あ、ああっ……!」
その香りに意識が混濁する。それに反比例するように胸の鼓動が高鳴る。
ぼうとした意識で、
犬のように息を荒げながら、
肉の床を歩き、
そして辿り着く。
「お待たせしました。御主人様ぁ♪」
新しき主人の元へと。
***
「ぁん!」
花型の魔物は、昨日と同じようにネーアの体に細い触手達を絡ませ、その体を巨体の中心へと運ぶ。
股間に食い込んでくる触手が、ごりごりと淫裂と、真っ赤な肉真珠を擦り付ける。
その度に、頭がパンクしそうな、びりびりとした官能が広がる。
――にちゃり。
お姫様抱っこの格好で、肉の花弁に下ろされる。
呼吸を整えるまもなく花弁と同じ色をした十二本の触手達が殺到し、体の隅々まで愛撫していく。
ねちょねちょと粘液質な音を響かせながら、足の爪先から髪の毛の先まで触手達の分泌液を
塗り込み、揉み込められていく。
「あ、ああん♪ あんっ。お胸、気持ちいいです――きゃんっ――御主人様あ♪」
やや控えめな二つの双房を揉まれる度に、乳首に触手の疣が掠める度に、甘い愉悦が
ネーアの心と体を桃色に染めていく。
「あん!?」
唐突に羞恥の丘を舐め上げられ、蕩けそうな快楽に股間が痺れた。
――ねちょ、ねちょっ、ねちょ――にちゃあぁ。
「あっ! あっ! あんっ! あっ! ああん!」。
(気持ちいい! 気持ちいいよ! あそこ――あんっ♪――痺れてっ)
「あんっ! あっ――あ……」
触手達の動きが止まり、人外のクンニリングスも終わる。
(ん、まだイッてないのにぃ)
593 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/04/03 11:03 ID:pozqcesN
発情という名のスイッチが入ってしまったネーアは、
餌を目前にお預けを食らった犬のように 不満な表情を浮かべる。
「はやくぅ、続き、して、くださいぃ」
腰が意識せずとも淫らにくねる。全身を魔物の粘液でヌラヌラと照り輝かせながら、
童顔に娼婦のような、こ惑的な表情を浮かべるネーアはこれ以上ないほど艶かしい。
(ああ、なんだろぅ。今日、凄くエッチだよ。こんな、はしたない、おねだりなんかして)
だが、そんな事はどうでもいい。今は、ただ、快楽を貪りたい。
そして魔物も淫らな従士の想いに応える。
「――あん♪」
ネーアに絡みつかせた触手を巧みに操り、彼女を拘束すると、
ゆっくりと仰向けに倒す。足をM字に開かせ腰を持ち上げる。
ネーアの目には、綻び、涎をたらす自身の女陰が写っている。
女性が最も羞恥と屈辱を覚える体勢。まんぐり返し。
だが、その羞恥と屈辱も、今のネーアには快楽のスパイスにしかならない。
(うわぁ、はずかしい、この格好、おしりも、あそこも、丸見えで――
わあ、私のアソコ、ひくひく動いてる。エッチなお汁も、んぁ、どんどん溢れてる。
ああ、すごいエッチだよ。どきどきしてくるっ)
「はあっ、はあっ、はあっ」
――ごぽぽぽっ!
息を荒げるネーアの目に、自身の股間越しに魔物の性器がせり出してくる光景が写る。
乳白色の胴。先端に十字の切れ込み。およそ二センチ起きに張っている幾重ものエラ。
先端からとろとろと溢れ出る、白濁とした液体がそれらを満遍なく白く染め上げていく。。
いつ見ても背徳的で、魅力的な外観に、胸が高鳴る。
「ああ……っ」
(やっぱり、すごくおっきい。私の腕くらいある。あんなのが私の中に入ってたんだ。
私の中に入って、メチャクチャにかき回して、はあ、精液を、出したんだ)
その時の、めくるめく官能を思い出し、アソコが女臭い汁をこぷり、と噴出す。
同時に、
「んあっ」
鼻腔の中で主人の性臭を嗅ぎ取り、頭の中が真っ白になる。
594 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/04/03 11:04 ID:pozqcesN
(この、におい! あたま、がっ……しびれちゃうよぅ!)
栗の花と女の蜜、そして花の香りを足して発酵させたような、芳香な匂い。
この匂いを嗅いだだけで、淫らな事しか考えられなくなる。
あの異形の性器を突きこまれる事だけしかを考えられなくなる。
「いれて、くださいっ。お願いですっ、いれてぇ!」
今日丸一日我慢してきた性交への願望が爆発した。
(はやく、はやくぅっ)
魔物も我慢できないのか、巨大な生殖器が鎌首をもたげ、一気に突き込んだ。
――ぐにゅちゅちゅちゅちゅっ!
「はあああぁぁぁっっ!」
その瞬間。心の中のわだかまりが消し飛んだ。
好きだから、セックスしたいとか。
セックスしたいから、好きになったとか。
そんな事はどうでも良くなってしまった。ただ、
――ぐちゅちゅっ、ぐちゅちゅちゅちゅっ、ぐちゅちゅちゅぅ!
「あんっ! あんっ! はぁっ! すごい! すごいよおっ!」
股間が壊れるかと思うほどの刺激が、堪らないほど好きだった。
(ああっ、あそこっ、あっ! ぎちぎちに広がってっ――あんっ! うあぁっ、
ごしゅじんさまの、はいってるっ! あんっ、おっきいオチン○ン、はいってるよ!)
腕ほどもある生殖器が、中へと出入りする度に、小陰唇が肉ビラをはみ出し、引き込まれる。
白濁とした粘液に淫らに輝きながら、貝類の身のように蠢く自身の股間を見て、
際限なくテンションが上がっていく。
「あっ、あっ、あっ、あっ! もっと、もっとっ!」
淫らな要望に魔物が応えたようだ。
「ひあっ!?」
第三の刺激が加えられる。場所は肛門。
乳白色の生殖器が膣内を蹂躙するその向こうで、茶色のすぼまりがゾワゾワとした繊毛に
揉み解される感触を覚える。細長い何かが、皺に溜まった恥垢を舐め取るように、
丹念に丹念にその身を擦り付ける。その度にむず痒いような、じれったいような、
ぴりぴりとした刺激が湧き上がった。
595 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/04/03 11:05 ID:pozqcesN
「ひあっ、あんっ、あんっ、あんっ――ああっ、そこ、はっ……!」
茶色の窄まりは、触手の愛撫を受け柔らかく、ほぐれていく。そして、
「ひぅっ!?」
(お、おしりの中、おしりのなかに、はいってくる! ニュルニュルしたのが、
はいってくるよぅ!)
ぬらぬらの粘液に濡れたミミズの束が、肛門へと割り入っていく。
元でも無理な体勢の上、今は動いていないが――膣内にははちきれそうな生殖器で腹の中は一杯だ。
だが、繊毛の束は容赦なく大腸の入り口へと雪崩れ込む。
「ああ……っ、うっ……はっ、はっ、はっ、はっ――」
(アソコも、おしりも、いっぱいっ、いっぱいだよっ! はあっ、はっ、くるしいよっ)
だが、その息苦しいのが良い。真性Mのネーアには少し苦しいくらいが丁度良い。
(ああっ、うごいてるっ。うごいてるよっ)
内臓へ進入を果たした細長い触手は、喜びに打つ震えるようにその身をくねさせ、
腸壁の肉ヒダを刺激する。その度に、息苦しいような、
むず痒いような小さな愉悦を感じる。
「はっはっはっはっはっはっ――ああっ!? ひああっ!?」
息苦しさに、涎を垂らしながら犬のように息を荒げていた時、
突如、触手たちの動きが止まり――尻の中に粘液を撃ち出した。
「あっ! ああっ! ああんっ!」
腸壁を冷たい粘液に叩かれて、理解不能の快感が背筋を駆け上がった。
そして精液が噴出すように腸内へと吐き出された液体は、
まんぐり返しになったネーアの中を遡り、腸内を犯していく。
「はあっ、はあっ、は……あんっ!?」
止まっていた腸内の触手達が再び動き出す。
尻の中に更に繊毛触手を流し込み、腸壁の肉ヒダを擦り、舐め上げ、揉み解していく。
先程の蹂躙が子供の遊びだと思えるほど、それらの愛撫は勢いを増している。
ビチャビチャという音が尻の中から聞こえてくるような錯覚を受け、同時に、
そんなに激しく動かれたら尻が、内臓が壊れてしまう――そんな不安さえ覚える。
だが、
「あっ!? ああ! あああっ! ああんっ!」
596 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/04/03 11:06 ID:pozqcesN
涎と共に吐き出されたのは甘い喘ぎ声。
(ど、どうしてっ? お尻、こんなに――あんっ――メチャクチャにいじられてるのにっ
――あんっ――すごくきもちいよっ! ああんっ♪)
腸壁が削り取られるような激しい動きに、甘い愉悦を覚えてしまう。
それが、先程腸内に吐き出された催淫性の液体によるものだとは気付く由も無かった。
――ジュブブ、ジュブブッ! ジュブ、ジュブッ!
膣内で動きを止めていた極太触手がピストン運動を再開する。
二つの穴を出入りする触手は肉の壁越しに、別の穴を蹂躙する触手と体を
こすり合わせるように動いた。
「んああっ! すごいぃ! ああっ! ああっ! ああん!
御主人様のっ、なかで擦れてっ、おしりも、アソコもっ、きもちいいよっ!」
膣と腸を隔てる肉の壁が削り取られるような感覚とともに、
脳の皺が無くなると思う程の強烈な快楽を覚える。
(こわれるっ! きもちよすぎてっ! ――ああっ! こわれちゃうぅっ! )
だが、触手に蹂躙されている大陰唇と肛門が、下品な音を吐き出す度に。
メスの本気汁と触手の粘液の混合液が顔を濡らす度に。
むせ返りそうな性交の匂いが鼻腔をつく度に――
(もっと、して欲しいっ! おかしくなってもいいからっ! こわれてもいいからっ!
もっとしてほしい!)
――淫らな気持ちが溢れ出す。
「あんっ! あんっ! あんっ! もっとぉ! もっとしてぇ! ごしゅじんさまっ!」
魔物は淫らなメイドの望みを叶えた。
――ジュブジュブジュブジュブジュブッ!
二穴内の触手が、内臓を突き破らんとばかりな苛烈なピストン運動を交互に繰り出す。
「あ! あ! あ! あ! あ! あっ! ああっ! だめえっ! もうだめぇ!」
絶頂が近い。朱に染まったネーアの体がビクビクと痙攣し始める。
蕩け落ちてしまいそうな甘美な快楽に、真っ白な刺激が混じった。
もう後一押しで絶頂に達する。そんなネーアの股間に口を開けた一本の触手が近づき――
「……っ!?」
淫核をくわえ込んだ。
597 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/04/03 11:07 ID:pozqcesN
「ああああああぁぁぁぁっっっ!!」
駄目押しには強すぎる桃色の刺激。体の快楽容量を容易くオーバーし、ネーアは絶頂を迎えた。
ガクガクガクガクッ! と壊れたように痙攣する。
いつもの様に、いや、いつも以上にだらしなく舌を垂らし、涎を垂らし。
突き込まれたままの股間からはメスの本気汁を卑猥な音と共に吐き出している。
(……! あっ……! ああっ……!)
思考が止まり、視界が真っ白に染まっていく中で、自分の膣が淫らに蠕動するのを感じる。
そして動きを止めた触手達が、急激に膨張していく感触も。
思考停止していた筈の脳が、次の瞬間が予想し、ネーアは淫らな笑みを浮かべた。
――ビュルルルルッ!! ビュルルルルッ!!
「あはっ! ああああああぁぁぁぁっっ!!」
(で、でてる! ごしゅじん、さまのがっ、たくさん……! ああっ!)
びちゃびちゃと膣壁を子宮口をぬめる精液に叩かれる度に、軽いオルガズムを得る。
精液の量は昨日と同じで――蛇口を捻った水道管――という形容が以外考え付かない。
そして、精液が膣内を真っ白に満たすと、今度は子宮内に雪崩れ込む。
「……っ! ……っ!」
腹の中が熱い液体で満たされる感覚に声にならない声を上げる。
(おなか……、あつい……! ああ! すごいっ! すごい!!)
熱いだけではなかった。心も体も、『満たされる』ような感覚。
まるでメスの本能以外の何かが、精液を受けて満足した――そんな感覚。
だが交合果たしたメスの本能よりも、その得体の知れない満足感の方が、
遥かに充実していた。まるで、この為に人外の主人と交わった、とでも言うように。
――ビュルッ! ビュルッ!
子宮内をも精液で満たされ、物理容量を超えた分が、生殖器と媚肉の間から噴出す。
びちゃびちゃとそれは本能を満たされたメスの笑みを浮かべるネーアの頬を叩いた。
鼻の曲がりそうな性臭が漂い始める。
たっぷりと数十秒痙攣していた体が止まり、犬のように呼吸を整える。
「はあっ! はあっ! はあっ! はあ! はあっ……はあ……はぁ……」
体中でくすぶっている絶頂の余韻をかみ締める。
(……わたし、幸せ……)
598 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/04/03 11:08 ID:pozqcesN
もうどうなっても良かった。この幸福〈快楽〉の為なら、死んでもかまわない。
「……はあ――あんっ。くさぁい♪」
秘穴から腹部を辿って、胸元にまで垂れて来る精液と性液の混合液に、下腹部が疼いた。
「ねえ、御主人様ぁ?」
甘ったるい、媚びた声。
――夜は長い。
「もっと、しませんか?」
心臓は背徳的な興奮に早鐘を打ち、膣壁が淫汁を吐き出す。
――劣情が止まらない。
「あん♪」
再び動き出した触手に甘い声が上がる。
――誰にも知られる事のないその空間で、淫らなメイドは喘ぎ続けた。
<新しい生活 前編>
どんな事が起ころうとも時の流れは変わらない。
それは自分が人間以外の生物に犯されても、同じで。
もう、死んでも良い、だとか、夢かもしれない、なんて何度も思いながら魔物に犯されても。
時の流れは、変わらない。
「――ん」
意識が、覚醒していく。寝惚け眼のまま天井を何十秒も眺めた。
その顔はどこか赤く、色っぽい。呼吸する度に上下へと動く布団の動きも、寝起きにしてはペースが早い。
「――ふぁ――」
欠伸をし、窓から差し込む朝日がいつも以上に心地良くて、もう一度布団を被り直してしまおうか、と考える。
(違う。眠りたいと思うのは、日差しが気持ち良いから、っていう理由だけじゃない)
布団の中で、手をまさぐらせる。その手は寝巻きに潜り込み、羞恥の丘を覆う下着をゆっくりと触った。
「――んっ」
手から湿ったような感覚が、股間からはぴりりとした官能が、伝わってくる。
そこは、べっちょりと濡れていた。
(私。さっきまで夢を見てた。『新しい御主人様にめちゃくちゃに犯される夢』を)
もう心の整理は付いている。
昨日。自分はウラヌス様が封印していた魔物の封印を解いてしまい。そして、犯された。
そして、化け物が相手だというのに、今まで以上の快楽を感じていた事も。
そして、同時にこれ以上ない程の幸せも、感じていた。
その時に思った。この魔物に犯されることこそ、自分の存在意義であると。
自分は、あの魔物の為の、淫らなメイドであると。
「それに」
(精液、中に出されちゃったし。思いっきり。安全日じゃないのに)
「責任、取ってもらわないと」
一人で声を控えて笑う。
556 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/03/22 10:59 ID:e4mJ22OJ
「あ」
(私がねだったんだっけ)
ともかく。自分は、それほどまでにあの魔物を好きで、そしてあの魔物を自分を必要としている。
それなら、全てを受け入れようと、思った。
(それに……すっごく、気持ち良いしね)
淫乱な自分の事だ。ひょっとしたらこっちが、腹をくくった原因かもしれない。
(あ、昨日の事思い出したら、したくなってきちゃった)
どうしようか。
(いいや、しちゃえ)
官能に対しての羞恥が随分と擦り切れてしまったな、と思いつつ秘所に伸ばした手を――
――ノックの音が響いた。
「ネーアちゃん?」
フェルナの声と共に扉の蝶番が軋む。
「っ!?」
後ろ暗い事を考えていたせいか、その音に過敏に反応してしまう。
「……? ネーアちゃん? 起きてるの?」
「あ、うん。起きてるよ。何か用?」
「何って、もうとっくにミーティングの時間始まってるんだけど」
言われて初めて時計を見る。
「……あ」
六時を回ったところだった。ミーティングが六時から始まる事を考えると遅刻決定である。
「ご、ごめんっ。今すぐ用意していくからっ。フェルナはもう戻って」
「お仕事、するの?」
「え?」
「……ううん、なんでもない。フェルナ、先行くね」
言うや否やフェルナはさっさと部屋を出て行ってしまった。
扉が閉まる音が響き、その向こうから徐々に遠ざかっていく足音が聞こえる。
「今日のフェルナ、何だか変だったな」
(全然元気が無かった。いつもなら布団を捲ってでも起こしてくれるのに)
言うことを言って聞くことを聞くとさっさと出て行ってしまった。
557 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/03/22 11:03 ID:e4mJ22OJ
「どうしてあんなに、よそよそしかったんだろう? …………あ」
頭の中に、
フェルナの目の前で派手に絶頂に達する自分の姿が、
思い浮かんだ。
(そうだよね、気まずいよね、お互い)
むしろ、昨日あんな事があったばかりで普通に話が出来る方がおかしい。
(新しいご主人様とエッチしちゃった事がインパクト強すぎて、そんな事すっかり忘れてた)
「ふう」
自然と溜め息が零れる。
だがフェルナにああ言った手前、堂々と仕事をサボるわけにはいかない。それに、
(なんだろ? 精神的にはすごく参っている筈なのに、体は元気が有り余ってる感じ)
今なら何をやっても上手くいくような気がする。
「そんなわけないのにね」
ベッドから降り立ち、さっさと身支度を済ませてしまう。当然下着も替えた。
それが終わると換気の為に窓を開け、ミーティングを行う厨房へと向かった。
***
558 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/03/22 11:07 ID:e4mJ22OJ
「お早うございますっ。遅れてすみませんでしたっ」
厨房へ駆け込むと同時に声を張り上げる。
「ネーアさん?」
「あら、ほんとに来たわ」
「……」
その場に居たメイド全員の視線が、八人分の視線がこちらへと向けられる。
(あ、う……視線が痛い)
その半数が『邪魔だからどこかへ行け』という意思を持っている。
途端に、疎外感がネーアの心を包み込む。
自分が必要とされていない人間と、自覚してしまう。
(この感覚は、慣れそうに無いよ)
ティジフォーンを始めとする例の三人組に虐待を受けた方が、楽かもしれない。
「何をしに来たのですか?」
思ったそばからティジフォーンが辛らつな言葉を投げかけた。
「それは、その……お仕事を」
尻すぼまりになっていく自分の声が恨めしい。
「お仕事を……なんです? はっきりおっしゃって下さい」
(またそうやってっ。私がろくに仕事を出来ない事を分かった上で、
私に『仕事をしに来ました』なんて言わせる……!)
いつものネーアなら、雰囲気に呑まれティジフォーンの思惑どうりに苦汁を飲むしかない。
涙と屈辱を噛み締めながら、避けることの出来ない恥を掻くしかない。
だが、今のネーアは違った。
心の中に溢れているのは、屈辱や悲しみ、畏怖といった感情ではなく――
「そんな簡単な事も分からないんですか、ティジフォーンさん?」
笑顔を浮かべながら喋るネーアの心の中には、ただ『怒り』と『憎しみ』だけがあった。
ティジフォーンの眉が跳ね上がる。
「今、何とおっしゃられましたか? ネーアさん」
「あれ? 聞こえなかったんですかティジフォーンさん? 小さな声ではなかった筈ですけど?
ああ、三十路も超えればモウロクするって事ですか?」
『……っ!?』
559 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/03/22 11:08 ID:e4mJ22OJ
その言葉に厨房内に居たメイド全員が例外なく息を呑んだ。
その光景が何故か滑稽に見えてしょうがない。
「耳が遠くなったティジフォーンさんの為にもう一度お伝えします」
『耳が遠くなった』の部分を必要以上に強調して、続ける。
「メイドがミーティングにやってきたのだから、それは仕事をするという事です。
そんな事も分からないのですか――私はそう良いいました。分かってくれましたか?」
ティジフォーンの眉がこめかみが、絶命直前の昆虫のようにぴくぴくと痙攣している。
口元はいつもの笑みを浮かべながら、でも目は少しも笑っていない。
レアクトは口を『あ』の形に空けたまま硬直し、メライガが眉をひそめて私を見ている。
周りのメイド達は顔を真っ青にしながら事の成り行きを見守っていた。
その様子を見て、
何故か私は興奮した。あっと驚くメイド達の顔が心地良い。
まるで酔っ払いのように理性からタガが外れ、代わりに心の内から、
何かどす黒いものが、性的虐待を受けた時に感じた、負の感情が溢れ出て来る。
「そこまで言うなら、分かってるのでしょうね?」
押し殺した声にはいつもの、人を見下すような余裕は無い。
「はい? 分かりませんよ? だって、誰が、何をするのか仰って――」
みなまで言うことは無かった。
パアンッ、と頬を叩く音が厨房内に響く。
右頬が熱く、疼いている。
(叩かれた。……いや、違う)
「ネーアさんは水汲みをお願いします!」
ティジフォーンは一方的に言い放つと、他のメイド達の点呼と今日のノルマを次々と与えていく。
その言葉の端々に、いつも以上に棘が入っているのが分かる。
(私が叩かせたんだ。いつも笑顔を浮かべているあの顔を一瞬憎悪に歪ませて。
折檻の時だって直接的な暴力はした事が無かったのに。私が怒らせて、あの人に暴力を振るわせた)
ジンジンと疼く頬を押さえる。痛い。でもそれ以上に心地良い。
それは精神的な官能だった。
子宮が熱く疼いている。
時折、八つ当たり同然に声を張り上げるティジフォーンを観察しながら、ネーアは口の端を歪めた。
560 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/03/22 11:10 ID:e4mJ22OJ
***
屋敷の裏を進むと獣道よりかは幾分か舗装された山道が見えてくる。
この山道を大人の足で二十分ほど進むと小川に出る。
小川と言っても幅五十センチにも満たないその小川には、魚も住んではおらず、
せいぜい苔が生えている程度だ。その小川に沿って更に五分、上流を目指すと、
石、岩を剥き出しにした山肌に行き着く。
この山肌の合間から小川を形成する水が溢れ出しているのだ。
この屋敷での『水汲み』と呼ばれる仕事は、
取っての付いた水がめ(特別製。本体重量3キロ、最大内容量約10リットル)を使い、
合計100リットルの水を屋敷へと届ける重労働である。
週に二度、フェルナとレアクトが共同で行っているこの作業は、
二人が両手に水がめを持ち、三往復する事で仕事を完遂している。
使用時間は三時間。体力自慢の二人で仕事をやってこれだけ手間の掛かる仕事に、
やはり、ネーアは根を上げていた。
(無理だよ。こんなの)
水源の真下に置いた水がめが、水で満たされるまでの間、
休憩とばかりに適当なところに腰掛けた。
(他の子は朝食を取るために一時間や二時間で終わる作業ばかりなのに。どうして私だけ)
はあ、とため息を付く。
(それにどうして屋敷には井戸が無いのかなぁ。有ればこんな余分な労働しなくてすむのに)
メイドと言っても嫌な仕事は嫌だ。
(まあ、一往復も持たないかと思ってた割には結構頑張れてるんだけど)
実は、ネーアはすでに二往復を終えて今は三往復めの折り返し地点。
つい先日までの無能ぶりに比べれば奇跡とも思える成果を挙げていた。
(思ったより軽かったし一往復一時間も掛からなかったし、
もう動けない、とは言わないんだけど。腹筋とかついちゃったらどうしよう――)
そんな馬鹿な事を考えつつ、ふと口にする。
「お腹空いたなぁ」
561 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/03/22 11:11 ID:e4mJ22OJ
これが当面の問題だ。久しぶりの労働のせいか、ネーアの体の燃費が悪いのか、
彼女は今までに無い空腹感を覚える。
「でも、食べる物無いもんね」
この辺りには食事にも使われる山菜などが生えているが、自分がそんな物を探しても
せいぜい毒キノコを探し当てるのが関の山だろうと、ネーアは諦める。
(水なら幾らでもあるんだけど)
勢い良く水がめに注がれていく透明の液体を見つめる。
すでに容量を超えた分が、水がめから溢れ、こぼれている。
水で空腹は収まらない。むしろ逆効果だ。
「背に腹は代えられない、か」
水っ腹になろうとも後で後悔しようとも、一時的にでもこの空腹感から逃れるのなら、
そう思い、岩間から噴出す水へ、両の掌を添える。
労働した後の火照った体に、水の冷たさが心地良い。
両掌をお椀型に密着させ水を受け、飲んだ。
んく、んく――
(あれ? おいしい)
汗を流した直後だからか。何故かただの水が美味い。
掌の水が無くなると再び両手を伸ばし、水で満たす。そして一息で飲み干す。
また伸ばし、飲み干す。
そんな事何度も繰り返し、
(面倒くさいから直に飲もう)
今度はあふれ出る水へと口を開けて顔を近づける。
水が顔を、うなじを、胸元を濡らしていく。
(やだ。止まらない。水っ腹になっちゃうよ)
何かに憑かれたように延々と水を飲み続け、
「――はっ! はあっ! はあっ! はあっ……」
気が済んだのか水源からようやく顔を離す。
「……何やってるんだろう私」
空腹はごまかせた。無理をした割には不快感なんて微塵も無い。
むしろ美味しいご馳走を平らげた時のような、充足感すらある。
562 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/03/22 11:12 ID:e4mJ22OJ
「何か、変、だよね」
(そう言えば、ミーティングの時だって、私、ティジフォーンさんに凄い事言ってた)
そう、あの時ネーアは今までに一度も頭の上がらなかったティジフォーンに、
初めて盾突き、『折檻』以外の場で暴力を受けた。否。振るわせた。
(あの時の感覚、今でも忘れられない)
新しい御主人様に犯される直前の、背徳感と期待感の入り混じった高揚。
それは性的興奮と同種のものだった。
「なんだか自分の体じゃないみたい」
言いえて妙だな、とネーアは思う。
「ん、ふあ……」
自然と出たあくびをかみ殺す。満腹感と充足感が眠気を引き起こしたのだろうか。
(あれ、何で眠たくなるの? それにこんな所で寝たら風邪引いちゃうよ)
上半身もにわか雨に遭ったように水に濡れているというのに。
だが、鳥のさえずりや、水流の音、思い出したかのように吹くそよ風が、
ネーアの眉を重くする。
だがそれ以上に、
「……お日様、気持ちいい」
日の光のあまりの心地良さに陶酔する。
自然と足が動き最も日当たりの良い木の根元へと腰を下ろし、幹に背を預ける。
物の数秒も掛からない内に、ネーアの意識は闇に沈む。
***
夢を見た。
はっきりとは覚えていない。
ただ、濃厚な性臭と、ぬめる粘液と、どす黒い高揚感。
そして子宮の疼きだけは、はっきりと覚えていた。
「……んん」
意識が覚醒する。
563 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/03/22 11:13 ID:e4mJ22OJ
ぼう、とする頭で辺りを見渡す。山の中。すぐ近くには岩肌があり、
そこから水が吹き出ている。
「……あ、れ……? ここ、どこ?」
(御主人様はぁ?)
「まあ、いっかぁ」
目を擦りながら欲情したままの心と体を持て余し、
屋外だというのに、何のためらいも無くスカートの中にいきなり手を突っ込む。
子宮が疼いている。
(ああん、何だかすごく、エッチな気分だよぅ)
「……きゃんっ」
下着越しに触れたそこは、既に濡れていた。
(うわ、へんなの、びしょびしょだ。脱いじゃえ)
木の幹に背を預けたまま腰を浮かす。
屋外という状況が興奮を更に高める。
(誰か、見てたら、どうしよう。うわぁ、ドキドキするっ)
不安とそれを圧倒的に上回る期待を抱きながら、辺りに視線を這わす。すると、
水源の下で水を溢れさせている水がめを発見した。
「――あ」
熱が一気に冷める。
慌てて下着を穿き直すと空を見上げた。ほぼ自分の頭の直上で太陽が輝き、
さんさんと光を注いでいる。
もう正午近くだった。
「ああ――っ!」
立ち上がり水がめの元へと駆け寄ると空の水がめと交換する。
両の水がめが一杯になると、それを両手にぶら下げ山道を降りていく。
火事場の馬鹿力、だろうか。
水がめを持っている筈の両手は空気を持っているように、軽かった。
そして、屋敷へ帰るまでの間、ずっと子宮が疼いていた。
589 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/04/03 10:58 ID:pozqcesN
<新しい生活 後編>
「はあ……」
ため息が付いて出た。
「今日の私絶対変だよ」
昼間の水汲みに掛かった時間はおよそ六時間。並のメイドが一人で
この仕事をしたなら、この時間はなんの問題も無いのだが。ネーアはその内、
実に半分の三時間近くを休憩、もとい、寝て過ごした。実際、
彼女がこの仕事を終わらせるのには三時間しか掛かっていない事になる。
力自慢のフェルナとレアクトが二人で汗水垂らした時間と同じの上、ノルマをこなした
ネーアは汗一つ掻いていなかった。
その様子をその場に居合わせたメイド達が怪訝に見ていた事を、覚えている。
そして朝食兼昼食時。
朝から何も食べていない筈なのに、全く食欲が沸かなかった。
少しは食べたのだがスープ等の液体系のものしか摂らなかった。
「というか、お腹一杯だったんだよ。どうしてだろう?」
水しか飲んでない。その後三時間近く寝ていただけ。
なのに、その後は疲れを知らないように働いた。
嫌がらせとばかりにティジフォーンから言われた仕事を、ことごとくこなしていった。
全て終わった時は、なんだもう終わりか、とすら思った。
でも何よりもおかしいのは――
「――んっ、また……っ」
(アソコ、疼いてっ)
じくじく、じくじくと子宮が疼く。虫に刺された時の痒さと、
欲情して雌汁を垂れ流す時の疼きを足した感じ。
弄りたくて弄りたくてしょうがない。
(でも)
自室から窓の外を見る。既に夜の帳が降りた山林には虫の音しか聞こえない。
時刻は10時、消灯時間は過ぎている。
もうすぐ、新しい御主人様に可愛がってもらえるのだ。
590 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/04/03 10:59 ID:pozqcesN
それまでは我慢しなければいけない。
「……よし、行こう」
立ち上がる。格好はいつものメイド服。手には屋敷の鍵。金属製のわっかにまとめられた
十数個のそれらは、ネーアが歩みを進める為にじゃらじゃらと、大きな音を立てる。
仕事中、ティジフォーンの部屋から失敬したそれをエプロンのポケットに放り込む。
***
静まり返った屋敷の中を、足音を忍ばせて歩く。今まで何度もやってきた事だ。
『折檻』の名の下に、この身は様々な性的虐待を受けてきた。
処女を散らされ、人前で排尿し、尻を叩かれた。そして、恐怖するようになった。
月明かりしか届かないこの廊下を歩く事を。
今度は一体どんな折檻を受けるのか――と、孤独の中で不安を抱いた。
だが今は違う。心の中にあるのは恐怖でも不安でもない。
あるのは期待。それも、淫らな。
(あれ?)
それでは、自分はただあの人外の快楽に溺れる為に新しい御主人様に会いに行くのか。
いとおしいから会いに行くのではないのか。
愛してるから、セックスをしたい? それとも、
せっくすをしたいから、あいしている?
――ずくんっ。
「ふぁ……っ」
子宮の疼きに小さな声が漏れる。
体は後者を指し示した。
心の方の回答は――分からない。目的と行動がごっちゃになっている。
――ずくんっ。
「んっ……はっ」
子宮の疼きは止まらない。もう、羞恥の茂みはねっとりと濡れている。
「私は――」
答えを出せぬままネーアは暗闇の中を歩く。
591 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/04/03 11:01 ID:pozqcesN
厨房の勝手口の鍵を開き、虫の音と時折思い出したように吹く風の音を聞きながら、
折檻場所であった物置へと歩く。早足で。
胸の中の淫らな期待感は上限が無いように、どんどん膨れ上がってくる。
『水汲み』で汗の一つも掻かなかった筈なのに、今では息を荒げている。
月が雲に隠れた頃、物置に着く。何故か暗闇の中でも正確に物置の鍵を見つけ出す。
取り出したそれを鍵穴へと突っ込む――
『突っ込む』という言葉に何かを連想して股をぬらした。
今では鍵を開ける時間も扉を開ける時間ももどかしい。
(早く! はやく、はやくはやくぅっ!)
施錠の外れた金属製の分厚い扉を力任せに開ける。
昨日までは全体重をかけて片方の扉を開けるのが手一杯だったそれは、
ベニヤ板のように軽かった。
ぱっくりと口を開けた暗闇に何の躊躇も無く踏み込んでいく。
蝶番が悲鳴を上げながら、勢い余ってバウンドしてきた扉が大きな音を立てて閉まる。
同時に床の文様が赤く輝き(子宮が疼く)、次にロウソクが灯る。
石が擦れる音を立てて、目前の壁が上方向へとスライドする。
「は……は……はっ……はっ!」
息を荒げながら現れた階段に足を乗せる。
すると鼻腔にあの甘酸っぱい花のような匂いが。
――じゅんっ。
女陰が、蜜を吐き出す。意識が朦朧してくる。
快楽が先が愛情が先かという問題が、どうでも良くなってくる。
目の前に巨大な扉が現れる。この向こうに、桃源郷がある。
我慢に我慢してきた最高の快楽を目前にし、心臓は早鐘を打ったよう。
口の端からは、細く、唾液すら垂れている。
――ずくんっ。
「あんっ」
子宮が疼く。それと呼応するかのように足元の文様が赤く輝く。
扉が――開く。
野花の香りとメスの性臭を足したような甘酸っぱい香りが、溢れ出して来る。
592 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/04/03 11:02 ID:pozqcesN
「あ、ああっ……!」
その香りに意識が混濁する。それに反比例するように胸の鼓動が高鳴る。
ぼうとした意識で、
犬のように息を荒げながら、
肉の床を歩き、
そして辿り着く。
「お待たせしました。御主人様ぁ♪」
新しき主人の元へと。
***
「ぁん!」
花型の魔物は、昨日と同じようにネーアの体に細い触手達を絡ませ、その体を巨体の中心へと運ぶ。
股間に食い込んでくる触手が、ごりごりと淫裂と、真っ赤な肉真珠を擦り付ける。
その度に、頭がパンクしそうな、びりびりとした官能が広がる。
――にちゃり。
お姫様抱っこの格好で、肉の花弁に下ろされる。
呼吸を整えるまもなく花弁と同じ色をした十二本の触手達が殺到し、体の隅々まで愛撫していく。
ねちょねちょと粘液質な音を響かせながら、足の爪先から髪の毛の先まで触手達の分泌液を
塗り込み、揉み込められていく。
「あ、ああん♪ あんっ。お胸、気持ちいいです――きゃんっ――御主人様あ♪」
やや控えめな二つの双房を揉まれる度に、乳首に触手の疣が掠める度に、甘い愉悦が
ネーアの心と体を桃色に染めていく。
「あん!?」
唐突に羞恥の丘を舐め上げられ、蕩けそうな快楽に股間が痺れた。
――ねちょ、ねちょっ、ねちょ――にちゃあぁ。
「あっ! あっ! あんっ! あっ! ああん!」。
(気持ちいい! 気持ちいいよ! あそこ――あんっ♪――痺れてっ)
「あんっ! あっ――あ……」
触手達の動きが止まり、人外のクンニリングスも終わる。
(ん、まだイッてないのにぃ)
593 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/04/03 11:03 ID:pozqcesN
発情という名のスイッチが入ってしまったネーアは、
餌を目前にお預けを食らった犬のように 不満な表情を浮かべる。
「はやくぅ、続き、して、くださいぃ」
腰が意識せずとも淫らにくねる。全身を魔物の粘液でヌラヌラと照り輝かせながら、
童顔に娼婦のような、こ惑的な表情を浮かべるネーアはこれ以上ないほど艶かしい。
(ああ、なんだろぅ。今日、凄くエッチだよ。こんな、はしたない、おねだりなんかして)
だが、そんな事はどうでもいい。今は、ただ、快楽を貪りたい。
そして魔物も淫らな従士の想いに応える。
「――あん♪」
ネーアに絡みつかせた触手を巧みに操り、彼女を拘束すると、
ゆっくりと仰向けに倒す。足をM字に開かせ腰を持ち上げる。
ネーアの目には、綻び、涎をたらす自身の女陰が写っている。
女性が最も羞恥と屈辱を覚える体勢。まんぐり返し。
だが、その羞恥と屈辱も、今のネーアには快楽のスパイスにしかならない。
(うわぁ、はずかしい、この格好、おしりも、あそこも、丸見えで――
わあ、私のアソコ、ひくひく動いてる。エッチなお汁も、んぁ、どんどん溢れてる。
ああ、すごいエッチだよ。どきどきしてくるっ)
「はあっ、はあっ、はあっ」
――ごぽぽぽっ!
息を荒げるネーアの目に、自身の股間越しに魔物の性器がせり出してくる光景が写る。
乳白色の胴。先端に十字の切れ込み。およそ二センチ起きに張っている幾重ものエラ。
先端からとろとろと溢れ出る、白濁とした液体がそれらを満遍なく白く染め上げていく。。
いつ見ても背徳的で、魅力的な外観に、胸が高鳴る。
「ああ……っ」
(やっぱり、すごくおっきい。私の腕くらいある。あんなのが私の中に入ってたんだ。
私の中に入って、メチャクチャにかき回して、はあ、精液を、出したんだ)
その時の、めくるめく官能を思い出し、アソコが女臭い汁をこぷり、と噴出す。
同時に、
「んあっ」
鼻腔の中で主人の性臭を嗅ぎ取り、頭の中が真っ白になる。
594 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/04/03 11:04 ID:pozqcesN
(この、におい! あたま、がっ……しびれちゃうよぅ!)
栗の花と女の蜜、そして花の香りを足して発酵させたような、芳香な匂い。
この匂いを嗅いだだけで、淫らな事しか考えられなくなる。
あの異形の性器を突きこまれる事だけしかを考えられなくなる。
「いれて、くださいっ。お願いですっ、いれてぇ!」
今日丸一日我慢してきた性交への願望が爆発した。
(はやく、はやくぅっ)
魔物も我慢できないのか、巨大な生殖器が鎌首をもたげ、一気に突き込んだ。
――ぐにゅちゅちゅちゅちゅっ!
「はあああぁぁぁっっ!」
その瞬間。心の中のわだかまりが消し飛んだ。
好きだから、セックスしたいとか。
セックスしたいから、好きになったとか。
そんな事はどうでも良くなってしまった。ただ、
――ぐちゅちゅっ、ぐちゅちゅちゅちゅっ、ぐちゅちゅちゅぅ!
「あんっ! あんっ! はぁっ! すごい! すごいよおっ!」
股間が壊れるかと思うほどの刺激が、堪らないほど好きだった。
(ああっ、あそこっ、あっ! ぎちぎちに広がってっ――あんっ! うあぁっ、
ごしゅじんさまの、はいってるっ! あんっ、おっきいオチン○ン、はいってるよ!)
腕ほどもある生殖器が、中へと出入りする度に、小陰唇が肉ビラをはみ出し、引き込まれる。
白濁とした粘液に淫らに輝きながら、貝類の身のように蠢く自身の股間を見て、
際限なくテンションが上がっていく。
「あっ、あっ、あっ、あっ! もっと、もっとっ!」
淫らな要望に魔物が応えたようだ。
「ひあっ!?」
第三の刺激が加えられる。場所は肛門。
乳白色の生殖器が膣内を蹂躙するその向こうで、茶色のすぼまりがゾワゾワとした繊毛に
揉み解される感触を覚える。細長い何かが、皺に溜まった恥垢を舐め取るように、
丹念に丹念にその身を擦り付ける。その度にむず痒いような、じれったいような、
ぴりぴりとした刺激が湧き上がった。
595 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/04/03 11:05 ID:pozqcesN
「ひあっ、あんっ、あんっ、あんっ――ああっ、そこ、はっ……!」
茶色の窄まりは、触手の愛撫を受け柔らかく、ほぐれていく。そして、
「ひぅっ!?」
(お、おしりの中、おしりのなかに、はいってくる! ニュルニュルしたのが、
はいってくるよぅ!)
ぬらぬらの粘液に濡れたミミズの束が、肛門へと割り入っていく。
元でも無理な体勢の上、今は動いていないが――膣内にははちきれそうな生殖器で腹の中は一杯だ。
だが、繊毛の束は容赦なく大腸の入り口へと雪崩れ込む。
「ああ……っ、うっ……はっ、はっ、はっ、はっ――」
(アソコも、おしりも、いっぱいっ、いっぱいだよっ! はあっ、はっ、くるしいよっ)
だが、その息苦しいのが良い。真性Mのネーアには少し苦しいくらいが丁度良い。
(ああっ、うごいてるっ。うごいてるよっ)
内臓へ進入を果たした細長い触手は、喜びに打つ震えるようにその身をくねさせ、
腸壁の肉ヒダを刺激する。その度に、息苦しいような、
むず痒いような小さな愉悦を感じる。
「はっはっはっはっはっはっ――ああっ!? ひああっ!?」
息苦しさに、涎を垂らしながら犬のように息を荒げていた時、
突如、触手たちの動きが止まり――尻の中に粘液を撃ち出した。
「あっ! ああっ! ああんっ!」
腸壁を冷たい粘液に叩かれて、理解不能の快感が背筋を駆け上がった。
そして精液が噴出すように腸内へと吐き出された液体は、
まんぐり返しになったネーアの中を遡り、腸内を犯していく。
「はあっ、はあっ、は……あんっ!?」
止まっていた腸内の触手達が再び動き出す。
尻の中に更に繊毛触手を流し込み、腸壁の肉ヒダを擦り、舐め上げ、揉み解していく。
先程の蹂躙が子供の遊びだと思えるほど、それらの愛撫は勢いを増している。
ビチャビチャという音が尻の中から聞こえてくるような錯覚を受け、同時に、
そんなに激しく動かれたら尻が、内臓が壊れてしまう――そんな不安さえ覚える。
だが、
「あっ!? ああ! あああっ! ああんっ!」
596 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/04/03 11:06 ID:pozqcesN
涎と共に吐き出されたのは甘い喘ぎ声。
(ど、どうしてっ? お尻、こんなに――あんっ――メチャクチャにいじられてるのにっ
――あんっ――すごくきもちいよっ! ああんっ♪)
腸壁が削り取られるような激しい動きに、甘い愉悦を覚えてしまう。
それが、先程腸内に吐き出された催淫性の液体によるものだとは気付く由も無かった。
――ジュブブ、ジュブブッ! ジュブ、ジュブッ!
膣内で動きを止めていた極太触手がピストン運動を再開する。
二つの穴を出入りする触手は肉の壁越しに、別の穴を蹂躙する触手と体を
こすり合わせるように動いた。
「んああっ! すごいぃ! ああっ! ああっ! ああん!
御主人様のっ、なかで擦れてっ、おしりも、アソコもっ、きもちいいよっ!」
膣と腸を隔てる肉の壁が削り取られるような感覚とともに、
脳の皺が無くなると思う程の強烈な快楽を覚える。
(こわれるっ! きもちよすぎてっ! ――ああっ! こわれちゃうぅっ! )
だが、触手に蹂躙されている大陰唇と肛門が、下品な音を吐き出す度に。
メスの本気汁と触手の粘液の混合液が顔を濡らす度に。
むせ返りそうな性交の匂いが鼻腔をつく度に――
(もっと、して欲しいっ! おかしくなってもいいからっ! こわれてもいいからっ!
もっとしてほしい!)
――淫らな気持ちが溢れ出す。
「あんっ! あんっ! あんっ! もっとぉ! もっとしてぇ! ごしゅじんさまっ!」
魔物は淫らなメイドの望みを叶えた。
――ジュブジュブジュブジュブジュブッ!
二穴内の触手が、内臓を突き破らんとばかりな苛烈なピストン運動を交互に繰り出す。
「あ! あ! あ! あ! あ! あっ! ああっ! だめえっ! もうだめぇ!」
絶頂が近い。朱に染まったネーアの体がビクビクと痙攣し始める。
蕩け落ちてしまいそうな甘美な快楽に、真っ白な刺激が混じった。
もう後一押しで絶頂に達する。そんなネーアの股間に口を開けた一本の触手が近づき――
「……っ!?」
淫核をくわえ込んだ。
597 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/04/03 11:07 ID:pozqcesN
「ああああああぁぁぁぁっっっ!!」
駄目押しには強すぎる桃色の刺激。体の快楽容量を容易くオーバーし、ネーアは絶頂を迎えた。
ガクガクガクガクッ! と壊れたように痙攣する。
いつもの様に、いや、いつも以上にだらしなく舌を垂らし、涎を垂らし。
突き込まれたままの股間からはメスの本気汁を卑猥な音と共に吐き出している。
(……! あっ……! ああっ……!)
思考が止まり、視界が真っ白に染まっていく中で、自分の膣が淫らに蠕動するのを感じる。
そして動きを止めた触手達が、急激に膨張していく感触も。
思考停止していた筈の脳が、次の瞬間が予想し、ネーアは淫らな笑みを浮かべた。
――ビュルルルルッ!! ビュルルルルッ!!
「あはっ! ああああああぁぁぁぁっっ!!」
(で、でてる! ごしゅじん、さまのがっ、たくさん……! ああっ!)
びちゃびちゃと膣壁を子宮口をぬめる精液に叩かれる度に、軽いオルガズムを得る。
精液の量は昨日と同じで――蛇口を捻った水道管――という形容が以外考え付かない。
そして、精液が膣内を真っ白に満たすと、今度は子宮内に雪崩れ込む。
「……っ! ……っ!」
腹の中が熱い液体で満たされる感覚に声にならない声を上げる。
(おなか……、あつい……! ああ! すごいっ! すごい!!)
熱いだけではなかった。心も体も、『満たされる』ような感覚。
まるでメスの本能以外の何かが、精液を受けて満足した――そんな感覚。
だが交合果たしたメスの本能よりも、その得体の知れない満足感の方が、
遥かに充実していた。まるで、この為に人外の主人と交わった、とでも言うように。
――ビュルッ! ビュルッ!
子宮内をも精液で満たされ、物理容量を超えた分が、生殖器と媚肉の間から噴出す。
びちゃびちゃとそれは本能を満たされたメスの笑みを浮かべるネーアの頬を叩いた。
鼻の曲がりそうな性臭が漂い始める。
たっぷりと数十秒痙攣していた体が止まり、犬のように呼吸を整える。
「はあっ! はあっ! はあっ! はあ! はあっ……はあ……はぁ……」
体中でくすぶっている絶頂の余韻をかみ締める。
(……わたし、幸せ……)
598 名前:乙×風【無限の果肉 第六話】 :04/04/03 11:08 ID:pozqcesN
もうどうなっても良かった。この幸福〈快楽〉の為なら、死んでもかまわない。
「……はあ――あんっ。くさぁい♪」
秘穴から腹部を辿って、胸元にまで垂れて来る精液と性液の混合液に、下腹部が疼いた。
「ねえ、御主人様ぁ?」
甘ったるい、媚びた声。
――夜は長い。
「もっと、しませんか?」
心臓は背徳的な興奮に早鐘を打ち、膣壁が淫汁を吐き出す。
――劣情が止まらない。
「あん♪」
再び動き出した触手に甘い声が上がる。
――誰にも知られる事のないその空間で、淫らなメイドは喘ぎ続けた。
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