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スクール・パンデミック
266 スクール・パンデミック sage 2012/07/24(火) 23:19:38.02 ID:uC1Di9O3
261です。お待たせしました。
執筆しながら投稿しますので、遅筆はご容赦ください。
あと何分初めてですので、その辺りは暖かく見守ってください。
ではどうぞ。
創立100年の私立学校なんてのはあまり珍しくはないだろう。
ただまぁ、そこに今は使われていない旧校舎がそのままあるとなると話は別かもしれない。
なんて如何にもフィクションにありそうな設定だが、実は東京郊外にもあったりする。
「まさか母校をこんな形で再訪することになるとはな…」
びしっという擬音が聞こえてきそうなスーツを着た男が、木造の古そうな校舎を見上げる。
左手にはジェラルミンのケースを持ち、右手には携帯電話を持つ。
今流行りのスマートフォンではなく、所謂ガラケーという奴だ。
時計を見ると午後10時45分。約束の時間まであと15分ほどだ。
「では行くかな」
男は注意深く辺りを探りながら、旧校舎の中に消えていった。
「約束のものは?」
「これだ」
男の目の前には、自分が持つアタッシュケースと似たようなケースが広げられていた。
ただし、相手の中身は万札。万と言う単位ではないことは間違いないだろう。
「確かに」
男は満足そうにうなづいて取引相手を見る。
「では成立ということでいいな?」
「あぁ」
と、ケースを机に置こうとしたところで、ピリリと間抜けな音がした。
「すまん、出てよろしいかな?」
男が尋ねると、相手は不満そうに舌打ちする。
「さっさと済ませろ」
「感謝する」
そう言って男は胸ポケットに手を突っ込む。
「すぐに済むさ」
しかし男の手に握られていたのでは、黒く光る拳銃だった…
267 スクール・パンデミック sage 2012/07/24(火) 23:20:54.14 ID:uC1Di9O3
「くそっ!どうしてこうなった?」
暗闇の階段を駆け下りながら、男は唸る。
取引相手を殺してお金をだまし取ったまではよかった。
しかし何故か、当局にかぎつけられていたようで、追われる立場に。
「くそ!くそ!」
ケースは2つとも隠した。学生時代に偶然見つけた空き部屋にだ。あれは誰にも絶対見つけられない。
誰にも知られていないはずの部屋だ。その証拠に誰も使った形跡が20年経ってもなかった。
この先も絶対に見つからないという保証はないが、とりあえずは大丈夫だろう。
あとはこの場を逃げ切ってほどぼりが冷めてから回収しにくればいい。
とすれば、とりあえずこの場から逃げ切るのが先決だが…
「そこまでだ」
「ぐっ…。公安九課か…」
スーツを着たいかつい男が拳銃を手に待ち構えていた。まるでここに来るのを予測していたかのように。
「悪いが、私もここの出身でね。内部構造はよく知ってるつもりさ」
「なら、そのよしみで…」
「見逃すなどどいう変な気が起きないか、自分が心配だったが、それは杞憂だったようだな」
感情を全く表わさずに拳銃を構えた男が言う。
「それどころか、同じ学校の出身者にこんな奴がいるなんてと、腹立たしくなったな」
「ふん、私の見たところ先輩なんだがな…」
この場に及んでこんなことが言えるのかと男は少し自嘲した。
人間開き直ってしまえばこんなものかなんて、極めて客観的に考えてしまう。
「さて、無駄話をしてしまったが、これでおしまいだ。じきに私の仲間がくる」
スーツの男が言うのとほぼ同時に背後から足音がする。
「同じ学校のよしみだ。私の手で逝け」
「とんだよしみだな…」
「言ってろ」
直後に乾いた銃声が一発。旧校舎に響き渡った。
268 スクール・パンデミック sage 2012/07/24(火) 23:22:06.89 ID:uC1Di9O3
「奴はブツを持っていなかった」
<受け渡しは終わってるのではないか?>
「もしくはまだ渡さずに、どこかに隠し持っているか、だ」
<わかった。両方の線であたろう>
「俺は一度戻る。情報の集め直しだ」
<うむ。とりあえず御苦労>
「あぁ」
電話を切ると、スーツの男は足元に転がる死体を見下ろす。
「何もなければいいがな…」
誰にでもなく、意識したわけでもなく、そんな言葉が口から漏れた。
269 スクール・パンデミック sage 2012/07/24(火) 23:37:30.79 ID:uC1Di9O3
河原文香はこの学校の2年生である。
学業は並。運動は割と得意。部活からのオファーも時々。
さばさばした性格と、容姿端麗とも言える外見からモテないなんてこともない。
しかしそんな彼女が文学部に所属しているのにはちょっと理由がある。
古典文学好き。
いや、最早フェチと言ってもよいだろう。
文学部にいれば、いくら古典文学を読んでも文句は言われない。
実際中学の古典の授業ではまって以来、読みふけっている姿を見られてはからかわれたものだ。
―似合わない―
まぁ確かに自分は深窓のお嬢様のような容姿でもないし、
木漏れ日のさす窓の側に座って本を読む姿はあまり想像できない。
セミロングの髪は、遺伝のせいか地毛も茶色っぽく、目はちょっと吊り気味の大きめ。
手足は太くはなく、どちらかと言えばすらっとしているが、ちょっとばかり筋肉がついてる。
身長は165センチでちょっと痩せ型、バストはもうちょっとあればいいなと思っていたが、友達曰く、
「文香のは形と大きさといい、お手頃だよね!」
それでいて相手はEカップなのだから、バカにされているようにしか思えない。
中学までは私のが大きかったはずなんだがと、毎度首をひねってしまう。
270 スクール・パンデミック sage 2012/07/25(水) 00:04:19.84 ID:uC1Di9O3
そんな文香のお気に入りは旧校舎の屋上だ。
昼休みはちょっと時間が足りないにしても、放課後は時間があれば、結構こちらで過ごすことも多い。
誰もこず、静かでこの時期に快適に過ごせる屋上はまさに文香が読書する為に用意された場所、
と勝手に思うようにしてる。
戦前に建てられた木造建築の校舎で屋上があるのも不思議と言えば不思議だが、
文香の学校には、時計付きの洒落た鐘楼があった。それを見ると屋上があるのも何となくは納得できる。
「さぁてと!今日は平家物語の続きでも読みますかぁ!」
ご存知平家物語。
日本を代表する古典文学の一つだが、それを女子高生、しかも口語訳されたものではなく、
わざわざ原文で書かれた本を探し出して読んでいるのだから、滑稽と言えば滑稽なのかもしれない。
お気に入りの日が差す場所に腰かけると文香は早速分厚い本のページをめくりだす。
ぺラリ。
梅雨前のこの時期はセミのうるさい声もせず、鳥のさえずり程度と
グラウンドから時折聞こえる運動部の掛け声しか雑音になりえるものがない。
その為、最近は日没直前まで集中して読んでしまうこともしょっちゅうだった。
しかし今日は違った。
ページを3つほどめくったところで、視線がふと文字より上、
ちょうど鐘楼から3メートルくらい離れた場所に行った。
特に何もない。
いつも見ている風景だ。
気にせず文字に目を戻す。
ぺラリ
1ページめくったところでまたそこに目が行く。
また文字に目を戻す。
ぺラリ
チラリ
ぺラリ
チラリ
チラリ
ぺラリ
…
271 スクール・パンデミック sage 2012/07/25(水) 00:46:26.58 ID:GQ21fnLz
「あー、もう!集中できないじゃんか!!」
別に何が悪いというわけではない。強いて言うのなら文香が悪いのだが、それを否定するかの如く大きな声を出す。
「なーんか、今日変よ?」
腰かけてた場所からすっと立ち上がり、ちょっと短めのスカートの後ろの部分を両手ではたくと、
件の場所へスタスタと歩み寄ると、しゃがみこんでその辺りをじーっと観察してみる。
特に何もない。いつもと変わらない屋上の床がある。
しかし雰囲気が少しばかり違う。そう、普段からここを使っている文香でなければわからないような。
「普段から観察することを心がけていれば、ちょっとした変化にも気付くものさ…」
まるで、昔のイギリスの名探偵がいいそうなセリフを呟きながら、その辺りを撫でてみたり、コツコツと叩いてみる。
隣に髭の中肉中背の紳士がいれば、絵になるやもしれなかったが、これではただの不審者、いや残念な美少女である。
「…うっさい」
自分の脳内妄想にツッコミをいれながら、コツコツと叩き続ける。
と、
カンカン
明らかに先ほどとは違うがらんどうな音がした。
「見つけたよ!ワトソン君!」
思わずガッツポーズをしてから、慌てて辺りを見回してほっと溜息。
「こういう音がする時は下に何か空間があるって、ホームズ先生も言ってた!」
どうやら、彼女はドイルも愛読しているらしい。はて?ドイルは古典だったかな…
文香は嬉々として、その辺りを念入りにまさぐってみる。と、
ビンゴ。
直径わずか4センチくらいのくぼみがあった。上手い具合に指もひっかけられそうだ。
「よいしょ…っと!!」
腰を入れ、両手で思い切り引っ張りあげる。
が、湿気をすった古い木独特の感触で中々動かない。
「まさかスライド式?」
なんて考えてるうちに抵抗がすっと軽くなる。
まずいと思った時には後の祭り。思い切り尻もちをついてしまった。
「あいたたた…」
お尻をさすりながら、ぽっかりと空いた空間を見てみる。
縦横がそれぞれ50センチくらいの大きさで、覗いてみるとちょうどいい具合の場所に階段があった。
続
277 スクール・パンデミック sage 2012/07/25(水) 23:21:53.79 ID:GQ21fnLz
「何というご都合主義!何というテンプレ展開!」
如何にも隠し部屋ですと言わんばかりの階段。
そして狭いながらも下に降りて行けるスペースを見て文香は一人ごちる。
「でもこういうのってワクワクするよねー」
埃がちょっと多いのが気になったが、好奇心の方が優に勝ったのは言わずもがな。
頭をぶつけないように慎重に降りていくと、12畳くらいのスペースがあった。
案の定、埃くさい。
「こんな部屋あったんだー。知らなかったな…」
左手で鼻口を押さえながら、右手を顔の前でパタパタさせる。
所謂、うわーっ、埃くっさーというモーションだ。
それにしても、旧校舎内は隈なく散策したはずだが、こんな部屋があったとは意外だった。
「上以外に出口ないのかな?」
辺りをきょろきょろしてみると、割としっかりしてそうな扉があった。
近寄ってみると、どうやらこちらか押すタイプのようだ。
「よっと!…あれれ??」
ノブに手をかけて押したが、ピクリともしない。
さては自分の勘違いかと引いてもみたが、こちらもダメ。
「あーあ、扉の向こうに何か置いてあるのかなぁ」
推測すると場所的には隣は理科室か何かだったような気がする。
ならば物があっても仕方ないと、自分を納得させると、文香は改めてこの隠し部屋を眺めてみる。
入ってきた時は気づかなかったが、棚がたくさん置いてあり、物置として使われていた雰囲気を醸し出している。
最も今は埃だらけであったが。
そして部屋を見回していてあるものに気がつく。
278 スクール・パンデミック sage 2012/07/25(水) 23:22:31.01 ID:GQ21fnLz
「本?」
古そうな装丁の本が何冊も平積みにされてるのが見えた。ちょっと背を伸ばせば届きそうなところにある。
手にとってみて、文香は愕然とした。
「え?枕草子?」
慌ててページを開いてみて、更に驚愕する。
今時の本ではなく、江戸時代以前に作られたような、紐でしばって製本されたものだ。
当然中の文字も印刷ではなく、手書きの筆のようだ。しかも驚くほど状態がよい。
「これは読めるかも…?」
興奮した文香は枕草子があった近辺を探す。
「うわ、隣は土佐日記?新古今和歌集?」
有名どころと言われる作品がいくつもあった。しかも全部枕草子と同じような状態。
「これすごいよ!」
中には当然読んだこともあるものも見つかったが、それでも文香の興奮は醒めない。
再度見渡してみると、結構な量があるようだ。
学校の図書館にある古典文学はあらかた読み尽くしかけていた文香にとって、
これは僥倖と言えた。
「毎日通うしかない!」
しかし、生憎本を読める環境ではなさそうだ。
「借りてもいいよね?この埃の積もり具合だとかなりの年月読まれた形跡がないし」
本も埃積もるよりは、読まれた方が本望、なんちって、てへぺろと付け足す。
「でも何でこんなにたくさんあるんだろう?昔のお偉いさんにマニアがいたとかかな?」
首をかしげて考えるが、すぐやめる。
「まぁ、それはいいか。とりあえずその人には感謝しないとね!」
そして文香は棚に向き直り、パンっと顔の前で手を合わせる。
「では借りていきまーすっ」
鼻歌を歌いながら、スキップしそうな足取りで、数冊の本を抱えて文香は外に出た。
床に自分以外の足跡があったことに気付かずに…
261です。お待たせしました。
執筆しながら投稿しますので、遅筆はご容赦ください。
あと何分初めてですので、その辺りは暖かく見守ってください。
ではどうぞ。
創立100年の私立学校なんてのはあまり珍しくはないだろう。
ただまぁ、そこに今は使われていない旧校舎がそのままあるとなると話は別かもしれない。
なんて如何にもフィクションにありそうな設定だが、実は東京郊外にもあったりする。
「まさか母校をこんな形で再訪することになるとはな…」
びしっという擬音が聞こえてきそうなスーツを着た男が、木造の古そうな校舎を見上げる。
左手にはジェラルミンのケースを持ち、右手には携帯電話を持つ。
今流行りのスマートフォンではなく、所謂ガラケーという奴だ。
時計を見ると午後10時45分。約束の時間まであと15分ほどだ。
「では行くかな」
男は注意深く辺りを探りながら、旧校舎の中に消えていった。
「約束のものは?」
「これだ」
男の目の前には、自分が持つアタッシュケースと似たようなケースが広げられていた。
ただし、相手の中身は万札。万と言う単位ではないことは間違いないだろう。
「確かに」
男は満足そうにうなづいて取引相手を見る。
「では成立ということでいいな?」
「あぁ」
と、ケースを机に置こうとしたところで、ピリリと間抜けな音がした。
「すまん、出てよろしいかな?」
男が尋ねると、相手は不満そうに舌打ちする。
「さっさと済ませろ」
「感謝する」
そう言って男は胸ポケットに手を突っ込む。
「すぐに済むさ」
しかし男の手に握られていたのでは、黒く光る拳銃だった…
267 スクール・パンデミック sage 2012/07/24(火) 23:20:54.14 ID:uC1Di9O3
「くそっ!どうしてこうなった?」
暗闇の階段を駆け下りながら、男は唸る。
取引相手を殺してお金をだまし取ったまではよかった。
しかし何故か、当局にかぎつけられていたようで、追われる立場に。
「くそ!くそ!」
ケースは2つとも隠した。学生時代に偶然見つけた空き部屋にだ。あれは誰にも絶対見つけられない。
誰にも知られていないはずの部屋だ。その証拠に誰も使った形跡が20年経ってもなかった。
この先も絶対に見つからないという保証はないが、とりあえずは大丈夫だろう。
あとはこの場を逃げ切ってほどぼりが冷めてから回収しにくればいい。
とすれば、とりあえずこの場から逃げ切るのが先決だが…
「そこまでだ」
「ぐっ…。公安九課か…」
スーツを着たいかつい男が拳銃を手に待ち構えていた。まるでここに来るのを予測していたかのように。
「悪いが、私もここの出身でね。内部構造はよく知ってるつもりさ」
「なら、そのよしみで…」
「見逃すなどどいう変な気が起きないか、自分が心配だったが、それは杞憂だったようだな」
感情を全く表わさずに拳銃を構えた男が言う。
「それどころか、同じ学校の出身者にこんな奴がいるなんてと、腹立たしくなったな」
「ふん、私の見たところ先輩なんだがな…」
この場に及んでこんなことが言えるのかと男は少し自嘲した。
人間開き直ってしまえばこんなものかなんて、極めて客観的に考えてしまう。
「さて、無駄話をしてしまったが、これでおしまいだ。じきに私の仲間がくる」
スーツの男が言うのとほぼ同時に背後から足音がする。
「同じ学校のよしみだ。私の手で逝け」
「とんだよしみだな…」
「言ってろ」
直後に乾いた銃声が一発。旧校舎に響き渡った。
268 スクール・パンデミック sage 2012/07/24(火) 23:22:06.89 ID:uC1Di9O3
「奴はブツを持っていなかった」
<受け渡しは終わってるのではないか?>
「もしくはまだ渡さずに、どこかに隠し持っているか、だ」
<わかった。両方の線であたろう>
「俺は一度戻る。情報の集め直しだ」
<うむ。とりあえず御苦労>
「あぁ」
電話を切ると、スーツの男は足元に転がる死体を見下ろす。
「何もなければいいがな…」
誰にでもなく、意識したわけでもなく、そんな言葉が口から漏れた。
269 スクール・パンデミック sage 2012/07/24(火) 23:37:30.79 ID:uC1Di9O3
河原文香はこの学校の2年生である。
学業は並。運動は割と得意。部活からのオファーも時々。
さばさばした性格と、容姿端麗とも言える外見からモテないなんてこともない。
しかしそんな彼女が文学部に所属しているのにはちょっと理由がある。
古典文学好き。
いや、最早フェチと言ってもよいだろう。
文学部にいれば、いくら古典文学を読んでも文句は言われない。
実際中学の古典の授業ではまって以来、読みふけっている姿を見られてはからかわれたものだ。
―似合わない―
まぁ確かに自分は深窓のお嬢様のような容姿でもないし、
木漏れ日のさす窓の側に座って本を読む姿はあまり想像できない。
セミロングの髪は、遺伝のせいか地毛も茶色っぽく、目はちょっと吊り気味の大きめ。
手足は太くはなく、どちらかと言えばすらっとしているが、ちょっとばかり筋肉がついてる。
身長は165センチでちょっと痩せ型、バストはもうちょっとあればいいなと思っていたが、友達曰く、
「文香のは形と大きさといい、お手頃だよね!」
それでいて相手はEカップなのだから、バカにされているようにしか思えない。
中学までは私のが大きかったはずなんだがと、毎度首をひねってしまう。
270 スクール・パンデミック sage 2012/07/25(水) 00:04:19.84 ID:uC1Di9O3
そんな文香のお気に入りは旧校舎の屋上だ。
昼休みはちょっと時間が足りないにしても、放課後は時間があれば、結構こちらで過ごすことも多い。
誰もこず、静かでこの時期に快適に過ごせる屋上はまさに文香が読書する為に用意された場所、
と勝手に思うようにしてる。
戦前に建てられた木造建築の校舎で屋上があるのも不思議と言えば不思議だが、
文香の学校には、時計付きの洒落た鐘楼があった。それを見ると屋上があるのも何となくは納得できる。
「さぁてと!今日は平家物語の続きでも読みますかぁ!」
ご存知平家物語。
日本を代表する古典文学の一つだが、それを女子高生、しかも口語訳されたものではなく、
わざわざ原文で書かれた本を探し出して読んでいるのだから、滑稽と言えば滑稽なのかもしれない。
お気に入りの日が差す場所に腰かけると文香は早速分厚い本のページをめくりだす。
ぺラリ。
梅雨前のこの時期はセミのうるさい声もせず、鳥のさえずり程度と
グラウンドから時折聞こえる運動部の掛け声しか雑音になりえるものがない。
その為、最近は日没直前まで集中して読んでしまうこともしょっちゅうだった。
しかし今日は違った。
ページを3つほどめくったところで、視線がふと文字より上、
ちょうど鐘楼から3メートルくらい離れた場所に行った。
特に何もない。
いつも見ている風景だ。
気にせず文字に目を戻す。
ぺラリ
1ページめくったところでまたそこに目が行く。
また文字に目を戻す。
ぺラリ
チラリ
ぺラリ
チラリ
チラリ
ぺラリ
…
271 スクール・パンデミック sage 2012/07/25(水) 00:46:26.58 ID:GQ21fnLz
「あー、もう!集中できないじゃんか!!」
別に何が悪いというわけではない。強いて言うのなら文香が悪いのだが、それを否定するかの如く大きな声を出す。
「なーんか、今日変よ?」
腰かけてた場所からすっと立ち上がり、ちょっと短めのスカートの後ろの部分を両手ではたくと、
件の場所へスタスタと歩み寄ると、しゃがみこんでその辺りをじーっと観察してみる。
特に何もない。いつもと変わらない屋上の床がある。
しかし雰囲気が少しばかり違う。そう、普段からここを使っている文香でなければわからないような。
「普段から観察することを心がけていれば、ちょっとした変化にも気付くものさ…」
まるで、昔のイギリスの名探偵がいいそうなセリフを呟きながら、その辺りを撫でてみたり、コツコツと叩いてみる。
隣に髭の中肉中背の紳士がいれば、絵になるやもしれなかったが、これではただの不審者、いや残念な美少女である。
「…うっさい」
自分の脳内妄想にツッコミをいれながら、コツコツと叩き続ける。
と、
カンカン
明らかに先ほどとは違うがらんどうな音がした。
「見つけたよ!ワトソン君!」
思わずガッツポーズをしてから、慌てて辺りを見回してほっと溜息。
「こういう音がする時は下に何か空間があるって、ホームズ先生も言ってた!」
どうやら、彼女はドイルも愛読しているらしい。はて?ドイルは古典だったかな…
文香は嬉々として、その辺りを念入りにまさぐってみる。と、
ビンゴ。
直径わずか4センチくらいのくぼみがあった。上手い具合に指もひっかけられそうだ。
「よいしょ…っと!!」
腰を入れ、両手で思い切り引っ張りあげる。
が、湿気をすった古い木独特の感触で中々動かない。
「まさかスライド式?」
なんて考えてるうちに抵抗がすっと軽くなる。
まずいと思った時には後の祭り。思い切り尻もちをついてしまった。
「あいたたた…」
お尻をさすりながら、ぽっかりと空いた空間を見てみる。
縦横がそれぞれ50センチくらいの大きさで、覗いてみるとちょうどいい具合の場所に階段があった。
続
277 スクール・パンデミック sage 2012/07/25(水) 23:21:53.79 ID:GQ21fnLz
「何というご都合主義!何というテンプレ展開!」
如何にも隠し部屋ですと言わんばかりの階段。
そして狭いながらも下に降りて行けるスペースを見て文香は一人ごちる。
「でもこういうのってワクワクするよねー」
埃がちょっと多いのが気になったが、好奇心の方が優に勝ったのは言わずもがな。
頭をぶつけないように慎重に降りていくと、12畳くらいのスペースがあった。
案の定、埃くさい。
「こんな部屋あったんだー。知らなかったな…」
左手で鼻口を押さえながら、右手を顔の前でパタパタさせる。
所謂、うわーっ、埃くっさーというモーションだ。
それにしても、旧校舎内は隈なく散策したはずだが、こんな部屋があったとは意外だった。
「上以外に出口ないのかな?」
辺りをきょろきょろしてみると、割としっかりしてそうな扉があった。
近寄ってみると、どうやらこちらか押すタイプのようだ。
「よっと!…あれれ??」
ノブに手をかけて押したが、ピクリともしない。
さては自分の勘違いかと引いてもみたが、こちらもダメ。
「あーあ、扉の向こうに何か置いてあるのかなぁ」
推測すると場所的には隣は理科室か何かだったような気がする。
ならば物があっても仕方ないと、自分を納得させると、文香は改めてこの隠し部屋を眺めてみる。
入ってきた時は気づかなかったが、棚がたくさん置いてあり、物置として使われていた雰囲気を醸し出している。
最も今は埃だらけであったが。
そして部屋を見回していてあるものに気がつく。
278 スクール・パンデミック sage 2012/07/25(水) 23:22:31.01 ID:GQ21fnLz
「本?」
古そうな装丁の本が何冊も平積みにされてるのが見えた。ちょっと背を伸ばせば届きそうなところにある。
手にとってみて、文香は愕然とした。
「え?枕草子?」
慌ててページを開いてみて、更に驚愕する。
今時の本ではなく、江戸時代以前に作られたような、紐でしばって製本されたものだ。
当然中の文字も印刷ではなく、手書きの筆のようだ。しかも驚くほど状態がよい。
「これは読めるかも…?」
興奮した文香は枕草子があった近辺を探す。
「うわ、隣は土佐日記?新古今和歌集?」
有名どころと言われる作品がいくつもあった。しかも全部枕草子と同じような状態。
「これすごいよ!」
中には当然読んだこともあるものも見つかったが、それでも文香の興奮は醒めない。
再度見渡してみると、結構な量があるようだ。
学校の図書館にある古典文学はあらかた読み尽くしかけていた文香にとって、
これは僥倖と言えた。
「毎日通うしかない!」
しかし、生憎本を読める環境ではなさそうだ。
「借りてもいいよね?この埃の積もり具合だとかなりの年月読まれた形跡がないし」
本も埃積もるよりは、読まれた方が本望、なんちって、てへぺろと付け足す。
「でも何でこんなにたくさんあるんだろう?昔のお偉いさんにマニアがいたとかかな?」
首をかしげて考えるが、すぐやめる。
「まぁ、それはいいか。とりあえずその人には感謝しないとね!」
そして文香は棚に向き直り、パンっと顔の前で手を合わせる。
「では借りていきまーすっ」
鼻歌を歌いながら、スキップしそうな足取りで、数冊の本を抱えて文香は外に出た。
床に自分以外の足跡があったことに気付かずに…
魔法なんて……と。
251 魔法なんて……と、1日目。 ◆8wovNSzFUo sage 2012/07/19(木) 00:00:39.09 ID:90Ra2CnJ
【どうも、ダブルコネクトの人ですがまた、投降させていただきます。】
【では、即興ですが予告どおりに参ります。魔法少女の新機軸? どうぞ。】
少女は泣いた、慟哭した。
変わり果てた街並みを見据えて――魔法、それさえ有れば――と嘆き苦しんだ。
数日前、私の家に天使を名乗るぬいぐるみが現れた。
必要に契約をせびろうそれが、はたして本物だったのかは分からない。
ただ、少女の友人達が変わり果てた姿で街を蹂躙しているのは確かだ。
例えばその姿は、全身から汚猥な蟲を垂れ流す巨大な蛞蝓だったり、
或いは妊婦の様に膨らんだ腹部に口を開けて生物をそこで貪ったりなど様々だが、
どれも嘆かわしい姿で有るのは事実だった。
「彼女達を……救いたいかい?」
可愛らしい少女の様な声が耳をつつく。
そこには白いくまの姿のぬいぐるみ、頭には天使の輪を浮かべ、小さな翼で羽ばたいていた。
「貴方は、この前の天使?」
「そうだよ、君にとっては晴天の霹靂って奴なのかな?」
「ねぇ、お願い! 私を魔法少女にして!!」
彼が自分を天使だと認めた瞬間、私は彼に懇願した。
みんなを助けたかった、これ以上知り合いや友達が犠牲になるのは見ていられなかった。
次は自分かも知れないし、自分の家族かも知れない。そんな怯えた日々はもう嫌だった。
「良いんだね? 取り消しはできないよ、君は今日から魔法少女ライムスターチャイルドになる。それでもいいね?」
「うん、良いよ。私戦うよ……みんなを救いたいから、護りたいから!」
「なら、僕の頭に手を置いて? 契約の儀式と、肩慣らしを始めようじゃないか」
そして、私は彼の頭に手を添えた。腕の中を鈍痛が走り、力の連結を伝えた。
輪っかの奥に押し付ける様に手をあてがうと、どばっと光が満ち溢れる。
止めどなく流れ込むそれを、顔を苦痛に歪ませながらも受け止める。
血管の中、そして見えない精神世界へも流れ込む魔力、満たされる感覚を感じた。
焦がれるそれを胸に抱き、私は脳裏に浮かんだ言葉を叫んだ。
「エンゲージ、インパクト!!」
そして、《力》は目覚めた。
体を走りぬけ、魔法少女の可愛らしい衣装を光が紡ぎだす。
ラバー状のインナーにリボン、スカートなどが自動で精製される。
力が溢れてくる、体の中、秘所の神域で渦巻くのを感じる。
「ボクの力は強大だから、呑まれない様に気をつけてね? 後は体がやってくれるよ!」
252 魔法なんて……と、1日目。 ◆8wovNSzFUo sage 2012/07/19(木) 00:25:10.12 ID:FeW6l10N
――ふふふ、馬鹿だよね?
これで契約は完了した、これで彼女は天界の尖兵だ。
ボクの魔力源は《夢》、それこそナーサリーライム、子供達の夢の様な力だ。
彼女の願いを触媒に、ボクの魔力が彼女を魔法少女へと変貌させた。
是非正義の為に戦って欲しい訳だけど、
ボクの力に?み込まれ、淫夢に溺れ、嘆かわしい姿になった異形を片付けてもらわないとね?
女神に昇華するとか依然に、失敗作の処理が最優先なんだよね。
保身、保身っと――
「ライムスターチャイルド、行きます!」
スカートとリボンがはためく、そして私は地を蹴り飛んだ。
高台から家々を何件も飛び越え、妊婦の様な異形と相対する。
ぶちぶちといやらしい音を立てるそれに、自然と体がつっこんでいく。そして、技を放つ。
「浄化の光、スターライトクオリアッ!!」
十字架の光が幾重にもクロスして走り、敵へと直撃する。
代償なのか、胸の奥がぐちゅりと音を鳴らした。
攻撃の霧が晴れると、敵の姿が顕になった。
無傷だ、しかも伸びてきた数多の触手に雁字搦めにされてしまう。
このままじゃ、食べられちゃう! そう思った瞬間だった。
べちょ、お尻の辺りに冷たく蠢く感覚。
なんと、私の肛門から黒々とした蚯蚓の様な影がはみ出した。
「いやあああっ!! ………・・・あれ?」
私、何を考えていたのかしら? これは具現化した魔力じゃないの。
怖がる必要は無い、むしろどんどん魔力を増やさなくては。
魔法少女は、魔力を生み出す永久機関なのだから。
あれ、私おかしいな。不気味なはずなのに凄くキモチイイ。
いや、これがアタリマエなんだ、私はマホウショウジョなのダカラ。
――そうだね、そろそろ脳味噌も真っ黒だよね。
過ぎた薬は毒だっていうけど、魔力も麻薬に似てるよね。
過剰摂取は良くないね、異形と戦わせるのが酷になっちゃうよ――
異形は元魔法少女だ。だから彼女らも魔力を生んでいる。
しかし、入りきらない魔力は溢れ出し、捉えた肉体へと流し込まれる。
そうでもしないと、本当に彼女らは魔力を生むだけの塊になってしまう。
だから、異形たちは意を決して人を襲い、溢れた魔力の媒介へと造り替えたのだった。
これが、異形が芋蔓式に増えるトリックだった。
気持ちいい、脚が黒く染まり、魔力に犯されていく。
引寄せられ、異形の中、触手蠢く膣内へと押し込まれそうになる。
膣は聖域、一番の魔力がたまる場所であり、胎盤を介して魔力を送る器官を生みやすかったのだ。
?み込んだ少女に、次々と触手を突き刺し、溢れる魔力を注ぎ込む。
それで少女がどうなろうと、異形は魔力を注ぎ込む異常なまでの快楽を味わえれば満足だった。
253 魔法なんて……と、1日目。 ◆8wovNSzFUo sage 2012/07/19(木) 00:39:54.50 ID:FeW6l10N
「あんっ、いやっ……ううん、もっと、もっと!!」
魔力、魔力、魔力……体中が蠢き、それは脳をも侵食し始める。
最初、頭に触れたとき、瞬時に針でそれは送り込まれていた。
ゲル状の黒い芋虫、それが魔力を生み出す根源だった。
自分の腹部と乳首、膣と肛門から溢れるそれを見れば理解できた。
自分は罠に嵌められたんだと、自分は利用されていたんだと。
「はあぁんっ! くる、くるぅ!」
口の中に触手が押し込まれ、黄緑の粘液をばら撒かれる。
その中にも無数に魔力源が渦巻いていた。
溢れそうな力に、膣が焼けそうに熱くなる。
その時、目前に出現した極太の触手が私の中へと絡みつき、しゃぶる様に進入した。
「ふあああああああああっ!! ら、らめ、ええええ、えっちぃ……!」
そうだ、《夢》の力に、いつしか少女は夢に誘われていた。
無数の触手に犯されてゆく淫夢、それが現実だとも知らないで。
半分現実、半分夢、しかし全部が魔力に食われた中で少女が嘶く。
どくん、と少女の全身が波打つように呼応し、少女は黄色い声と汁を漏らした。
「きゃんっ! あぅうう……」
次の瞬間には、全身が魔力源と合一を果たしていた。
気持ち良い、身体を内から解かされる感覚。
擽られ、愛撫され、嬲られる狂気。
「あんっ、あわわわわ……あヴぇ、あへっ、えへへへ」
壊れ、貪られる感覚。流し込まれ、破裂する感覚。
(つづきは、あしたで。)
255 魔法なんて……と2日目。 ◆8wovNSzFUo sage 2012/07/21(土) 20:16:34.33 ID:N0ImvcPr
(あわわ……、ごめんなさいです! ん……なんかお腹が……。)
(ゼラチン質のゲル状寄生体にサナダ虫モドキ孕まされ続けてましたのです!?)
(ああっ……また……。そんな感じでにゅるんりゅ謝罪させていただきます。)
(では、本編をどうぞです! 誠にすいませんでした、貴方に生涯病原体駆除する寄生虫をどうぞ。)
――そして、時は過ぎた。
魔力の醸し出す純粋なる毒気、機械に対する真水にも似た臭気に犯された街並。
人に取って異物でしかないそれが街往く人々を犯し続けるのを尻目に、
魔法少女と異形は強固に結びついていた、さながら胎児と母胎の様に。
「……はふっ……はふっ……はふんっ!?」
少女の魔力源は体内を巡回し、少女の意識を、肉体を侵食し続ける。
臍の緒の如き器官で接続された異形からも、それは比例するかの如く送られる。
全身の穴、肛門、膣口、口、耳、鼻、涙腺、そして汗腺や毛穴からでさえも彼ら、
魔力源がにゅるにゅると顔を出したり引っ込めたりする。
摺れる様な心地よさ、貫く様な刺激、込み上げる様な快楽。
それらは全て、黒光りするサナダ虫にも見えるそれが齎すものだった。
「ひうっ! ひひっ! ふ、ふにゃああああっ!?」
お尻に差し込まれたガソリンスタンドの給油機に似たそれから、
肛門が張り裂けそうになる程の魔力源を流し込まれる。
ふと見ると、その異形が心なしか収縮し、ヒトデの様な形に萎んでいる事に気付いた。
そこまで気を回せるのは、この快楽が日常に変貌しつつあるからなのだろうか?
そう思うと、秘所からずるりと生理みたいにゲルが滴り落ちた。
無数の魔力源、虫が蠢く様に悪寒を覚えるも、すぐさまそれは高揚に変わった。
「おうぇ、でる……おひっこ、びぃゆーびゅーでちゃう! はん! ヴぁううっ!?」
尿道を辿り、噴出した汁は黄緑。そそがれた液体にもにたゼラチン質で、
つまり気味なそれを押し出す所がぶぶぶと震える。
少しの逆流の感覚、鈍い痛みを伴う快楽。
どぽどぽと穢れた、いや清浄なる失禁を繰り返し、少女は蝦の様に反り返る。
その瞬間、表皮を泡立つ様に魔力源が逆上する。
「ヴぇええああああああああああああああっ!!」
そんな私の事なんて気にも留めない様に、異形が触手を突き出した。
その矛先は臍。十数年前までは母と繋がっていたそこへとかぶりつく。
われた先端から無数の食指が伸び、私の閉じた器官を再開発する。
「あああ、ああ…………あ。」
そして、異形はそのヒトデの如き黒い塊の五肢をそこに添え、一体化して殺到する。
熱を持ち、繋がる瞬間。回路を過電圧が狂わせるが如き情感と扇情の熱。
熱い、熱い、熱い、熱い、熱い熱い熱い熱いあついあついあついアツイアツイアツイアツイッ!!
256 魔法なんて……と2日目。 ◆8wovNSzFUo sage 2012/07/21(土) 20:44:29.87 ID:N0ImvcPr
全部、流れ込んでくる。魔力源と共に、その異形の本質でさえも。
その異形が、魔法少女の熟れの果てだっただなんて事でさえも。
熱と愉悦、最大級の波に意識そのものを単一化される中、私のそれは癒合した。
シンクロ、《夢》と《夢》とが飽くなき共振を始めた証であった。
ナーサリーライム、夢の色香、子供の……と呼ぶには些か似合わぬ中身だが、
それはどう捉えても、目前に形を現しだした幼き少女のものだった。
――それは遡る事、五日程前の事でした。でも、もっともっと……前だったのかもしれません。
『ねえ、ユキちゃんは魔法を使いたくはなぁい?』
いつも、私が抱いていたお人形さんが動き始めた。
そして少女の様な声で言ったのだ。茶色いウサギのお人形さんだった。
甘い、大人のお姉さんみたいな声だった。神様みたいだ、と思った。
『魔法使いさんに、なれるの……?』
『そうだよ、なんでも思い通り。《ソウゾウ》の力をユキちゃんにプレゼントしちゃうよ?』
『《ソウゾウ》……? カボチャの馬車も、綺麗なドレスも作れる?』
そう聞くと、ウサギは窓の冊子に飛び上がり、月夜を背にして嗤った。
×印の口が動いた訳でも、声を発した訳でもなかった。ただ、そんな気がした。
不気味だけど、好奇心旺盛な少女が勝てるわけが無かった。
子供っぽい、小学校のお友達に笑われ続けてきた。絵本が好きな私。
想像していた、魔法少女、いわゆる魔法使いになった私を。夢見ていた。
『契約、したげよっか? 良いんだよ? 《ソウゾウ》して……深く、鮮明に、くっきりと――』
『うん…………』
胸に手を当てる、ぎゅっと握り締める。熱が生まれる、熱い熱い心の熱が。
それを手にして縋りつくと、ウサギは静かに目線を下げた。見下ろされた。
そして、天使みたいな輪っかを光らせて、悪魔の様にウサギは嗤った。
『夢の国、ワンダーランドオブアリス。迷い込んだ、哀れな子羊……』
そして、縋りついた私の頭にウサギが手を置く。
撫でるように、揺らされる手から溢れ出る程の黒いうねうねが……溢れた。
『うわあああああああああああああああああああああっ!!!』
『魔法少女アマリリクス・アリス』
頭に直接それが飛び込んできて、ぐちゅぐちゅ、ぐちゃぐちゃ、ごにょごにょぎゅるぎゅる。
べきべき、ぼきょ、がりり、べりばり、ぬちゃ、にちゃにちゃにゅるんっ、ぷつん。
わたしを、めきょして、こわしちぇ、めちゃんこにしゅみゅままにりゅってごしゅごしゅした。
『ユキちゃん、君の名前は――今日からアリスだ。』
257 魔法なんて……と2日目。 ◆8wovNSzFUo sage 2012/07/21(土) 21:08:45.74 ID:N0ImvcPr
――そんな少女、アリスは後に力に呑まれた。
その、アリスを呑み込んだ異常な量の魔力が私に流れ込む。
残滓の一滴、粕の一欠片も残さないように、最後には体温計の液溜めの様な形で、
拓かれた臍から身体へと進入し、私へと移住をはじめる。
目前の少女、アリスはその記憶どおりの姿に戻り、
一糸纏わぬ姿で路上に崩れ落ちた。眠る様に丸くなり、静かな呼吸と共に動かなくなる。
寄生され、その相性の悪さ故に全てを吸い尽くされた少女。
静かに動く胸の奥、魔力の気配は既に無かった。
快楽に打ち震え、嗤い続けていた膝が静まり始める。
目前の光景、体内に淫猥な音と共に引っ込んでゆく魔力源。
アリスから押し付けられたそれ、《ソウゾウ》の力も交わり、《夢》は進化を始める。
黒い魔力に包まれた脚が、赤い光と共にそれをタイツに変貌させる。
膝丈までのタイツとガーターベルト。股間を覆う部分には、楔の様に穴を封じる下着が生まれた。
体の中で魔力源を押し留めるそれに、純粋な魔力が吸い込まれていく。
破れた聖域から溢れ出る魔力を抑え、さらに体内で増幅させ、共振させるのだ。
そのむず痒い感覚、下腹部の焼けおちそうな熱が堪らなく癖になる。
緩んだ口元を笑みに変え、より荘厳な姿へと変貌した神々しき魔法少女。
適格者がそこには居た。
《夢創》の力、銀河の様に煌く蒼銀の髪、煉獄の如き真紅の衣。
《物語》を生む少女、数多の魔力源を孕む魔法少女は向日葵に滴る油の如き瞳、
獣の如く縦に裂けた瞳孔をぱちくりさせて嗤った。
私は、遂にマホウショウジョになれた。嬉しい、ウレシイな。ウレシイよね?
ぎゅるると唸るお腹、渦巻く魔力は飽きたらじゅるり、新たな媒介を求めて疼きだす。
幸い、いや、幸か不幸か街中にはなりぞこないが沢山居る。
それぞれが思い思いに犯し、陵辱し植えつける。芋蔓式に異形のドールは増えていた。
それを全部食べれたら、貪れたらみんな……助かるんだよね?
だって、私にはそれができるんだから。
物語の種、瞬く星の子供達、それらを全て宿せたら、私はもっと――
もっと――
もっト――
モット――……?
――ミンナヲ、シアワセニ……デキルンダヨ、ネ?
疼く、ごりゅごりゅしゅるりなお腹に、わたしはマホウを収めてイった。
私は、ミンナを――マモリタイカラ。メガミ、ナル。 fin
【どうも、ダブルコネクトの人ですがまた、投降させていただきます。】
【では、即興ですが予告どおりに参ります。魔法少女の新機軸? どうぞ。】
少女は泣いた、慟哭した。
変わり果てた街並みを見据えて――魔法、それさえ有れば――と嘆き苦しんだ。
数日前、私の家に天使を名乗るぬいぐるみが現れた。
必要に契約をせびろうそれが、はたして本物だったのかは分からない。
ただ、少女の友人達が変わり果てた姿で街を蹂躙しているのは確かだ。
例えばその姿は、全身から汚猥な蟲を垂れ流す巨大な蛞蝓だったり、
或いは妊婦の様に膨らんだ腹部に口を開けて生物をそこで貪ったりなど様々だが、
どれも嘆かわしい姿で有るのは事実だった。
「彼女達を……救いたいかい?」
可愛らしい少女の様な声が耳をつつく。
そこには白いくまの姿のぬいぐるみ、頭には天使の輪を浮かべ、小さな翼で羽ばたいていた。
「貴方は、この前の天使?」
「そうだよ、君にとっては晴天の霹靂って奴なのかな?」
「ねぇ、お願い! 私を魔法少女にして!!」
彼が自分を天使だと認めた瞬間、私は彼に懇願した。
みんなを助けたかった、これ以上知り合いや友達が犠牲になるのは見ていられなかった。
次は自分かも知れないし、自分の家族かも知れない。そんな怯えた日々はもう嫌だった。
「良いんだね? 取り消しはできないよ、君は今日から魔法少女ライムスターチャイルドになる。それでもいいね?」
「うん、良いよ。私戦うよ……みんなを救いたいから、護りたいから!」
「なら、僕の頭に手を置いて? 契約の儀式と、肩慣らしを始めようじゃないか」
そして、私は彼の頭に手を添えた。腕の中を鈍痛が走り、力の連結を伝えた。
輪っかの奥に押し付ける様に手をあてがうと、どばっと光が満ち溢れる。
止めどなく流れ込むそれを、顔を苦痛に歪ませながらも受け止める。
血管の中、そして見えない精神世界へも流れ込む魔力、満たされる感覚を感じた。
焦がれるそれを胸に抱き、私は脳裏に浮かんだ言葉を叫んだ。
「エンゲージ、インパクト!!」
そして、《力》は目覚めた。
体を走りぬけ、魔法少女の可愛らしい衣装を光が紡ぎだす。
ラバー状のインナーにリボン、スカートなどが自動で精製される。
力が溢れてくる、体の中、秘所の神域で渦巻くのを感じる。
「ボクの力は強大だから、呑まれない様に気をつけてね? 後は体がやってくれるよ!」
252 魔法なんて……と、1日目。 ◆8wovNSzFUo sage 2012/07/19(木) 00:25:10.12 ID:FeW6l10N
――ふふふ、馬鹿だよね?
これで契約は完了した、これで彼女は天界の尖兵だ。
ボクの魔力源は《夢》、それこそナーサリーライム、子供達の夢の様な力だ。
彼女の願いを触媒に、ボクの魔力が彼女を魔法少女へと変貌させた。
是非正義の為に戦って欲しい訳だけど、
ボクの力に?み込まれ、淫夢に溺れ、嘆かわしい姿になった異形を片付けてもらわないとね?
女神に昇華するとか依然に、失敗作の処理が最優先なんだよね。
保身、保身っと――
「ライムスターチャイルド、行きます!」
スカートとリボンがはためく、そして私は地を蹴り飛んだ。
高台から家々を何件も飛び越え、妊婦の様な異形と相対する。
ぶちぶちといやらしい音を立てるそれに、自然と体がつっこんでいく。そして、技を放つ。
「浄化の光、スターライトクオリアッ!!」
十字架の光が幾重にもクロスして走り、敵へと直撃する。
代償なのか、胸の奥がぐちゅりと音を鳴らした。
攻撃の霧が晴れると、敵の姿が顕になった。
無傷だ、しかも伸びてきた数多の触手に雁字搦めにされてしまう。
このままじゃ、食べられちゃう! そう思った瞬間だった。
べちょ、お尻の辺りに冷たく蠢く感覚。
なんと、私の肛門から黒々とした蚯蚓の様な影がはみ出した。
「いやあああっ!! ………・・・あれ?」
私、何を考えていたのかしら? これは具現化した魔力じゃないの。
怖がる必要は無い、むしろどんどん魔力を増やさなくては。
魔法少女は、魔力を生み出す永久機関なのだから。
あれ、私おかしいな。不気味なはずなのに凄くキモチイイ。
いや、これがアタリマエなんだ、私はマホウショウジョなのダカラ。
――そうだね、そろそろ脳味噌も真っ黒だよね。
過ぎた薬は毒だっていうけど、魔力も麻薬に似てるよね。
過剰摂取は良くないね、異形と戦わせるのが酷になっちゃうよ――
異形は元魔法少女だ。だから彼女らも魔力を生んでいる。
しかし、入りきらない魔力は溢れ出し、捉えた肉体へと流し込まれる。
そうでもしないと、本当に彼女らは魔力を生むだけの塊になってしまう。
だから、異形たちは意を決して人を襲い、溢れた魔力の媒介へと造り替えたのだった。
これが、異形が芋蔓式に増えるトリックだった。
気持ちいい、脚が黒く染まり、魔力に犯されていく。
引寄せられ、異形の中、触手蠢く膣内へと押し込まれそうになる。
膣は聖域、一番の魔力がたまる場所であり、胎盤を介して魔力を送る器官を生みやすかったのだ。
?み込んだ少女に、次々と触手を突き刺し、溢れる魔力を注ぎ込む。
それで少女がどうなろうと、異形は魔力を注ぎ込む異常なまでの快楽を味わえれば満足だった。
253 魔法なんて……と、1日目。 ◆8wovNSzFUo sage 2012/07/19(木) 00:39:54.50 ID:FeW6l10N
「あんっ、いやっ……ううん、もっと、もっと!!」
魔力、魔力、魔力……体中が蠢き、それは脳をも侵食し始める。
最初、頭に触れたとき、瞬時に針でそれは送り込まれていた。
ゲル状の黒い芋虫、それが魔力を生み出す根源だった。
自分の腹部と乳首、膣と肛門から溢れるそれを見れば理解できた。
自分は罠に嵌められたんだと、自分は利用されていたんだと。
「はあぁんっ! くる、くるぅ!」
口の中に触手が押し込まれ、黄緑の粘液をばら撒かれる。
その中にも無数に魔力源が渦巻いていた。
溢れそうな力に、膣が焼けそうに熱くなる。
その時、目前に出現した極太の触手が私の中へと絡みつき、しゃぶる様に進入した。
「ふあああああああああっ!! ら、らめ、ええええ、えっちぃ……!」
そうだ、《夢》の力に、いつしか少女は夢に誘われていた。
無数の触手に犯されてゆく淫夢、それが現実だとも知らないで。
半分現実、半分夢、しかし全部が魔力に食われた中で少女が嘶く。
どくん、と少女の全身が波打つように呼応し、少女は黄色い声と汁を漏らした。
「きゃんっ! あぅうう……」
次の瞬間には、全身が魔力源と合一を果たしていた。
気持ち良い、身体を内から解かされる感覚。
擽られ、愛撫され、嬲られる狂気。
「あんっ、あわわわわ……あヴぇ、あへっ、えへへへ」
壊れ、貪られる感覚。流し込まれ、破裂する感覚。
(つづきは、あしたで。)
255 魔法なんて……と2日目。 ◆8wovNSzFUo sage 2012/07/21(土) 20:16:34.33 ID:N0ImvcPr
(あわわ……、ごめんなさいです! ん……なんかお腹が……。)
(ゼラチン質のゲル状寄生体にサナダ虫モドキ孕まされ続けてましたのです!?)
(ああっ……また……。そんな感じでにゅるんりゅ謝罪させていただきます。)
(では、本編をどうぞです! 誠にすいませんでした、貴方に生涯病原体駆除する寄生虫をどうぞ。)
――そして、時は過ぎた。
魔力の醸し出す純粋なる毒気、機械に対する真水にも似た臭気に犯された街並。
人に取って異物でしかないそれが街往く人々を犯し続けるのを尻目に、
魔法少女と異形は強固に結びついていた、さながら胎児と母胎の様に。
「……はふっ……はふっ……はふんっ!?」
少女の魔力源は体内を巡回し、少女の意識を、肉体を侵食し続ける。
臍の緒の如き器官で接続された異形からも、それは比例するかの如く送られる。
全身の穴、肛門、膣口、口、耳、鼻、涙腺、そして汗腺や毛穴からでさえも彼ら、
魔力源がにゅるにゅると顔を出したり引っ込めたりする。
摺れる様な心地よさ、貫く様な刺激、込み上げる様な快楽。
それらは全て、黒光りするサナダ虫にも見えるそれが齎すものだった。
「ひうっ! ひひっ! ふ、ふにゃああああっ!?」
お尻に差し込まれたガソリンスタンドの給油機に似たそれから、
肛門が張り裂けそうになる程の魔力源を流し込まれる。
ふと見ると、その異形が心なしか収縮し、ヒトデの様な形に萎んでいる事に気付いた。
そこまで気を回せるのは、この快楽が日常に変貌しつつあるからなのだろうか?
そう思うと、秘所からずるりと生理みたいにゲルが滴り落ちた。
無数の魔力源、虫が蠢く様に悪寒を覚えるも、すぐさまそれは高揚に変わった。
「おうぇ、でる……おひっこ、びぃゆーびゅーでちゃう! はん! ヴぁううっ!?」
尿道を辿り、噴出した汁は黄緑。そそがれた液体にもにたゼラチン質で、
つまり気味なそれを押し出す所がぶぶぶと震える。
少しの逆流の感覚、鈍い痛みを伴う快楽。
どぽどぽと穢れた、いや清浄なる失禁を繰り返し、少女は蝦の様に反り返る。
その瞬間、表皮を泡立つ様に魔力源が逆上する。
「ヴぇええああああああああああああああっ!!」
そんな私の事なんて気にも留めない様に、異形が触手を突き出した。
その矛先は臍。十数年前までは母と繋がっていたそこへとかぶりつく。
われた先端から無数の食指が伸び、私の閉じた器官を再開発する。
「あああ、ああ…………あ。」
そして、異形はそのヒトデの如き黒い塊の五肢をそこに添え、一体化して殺到する。
熱を持ち、繋がる瞬間。回路を過電圧が狂わせるが如き情感と扇情の熱。
熱い、熱い、熱い、熱い、熱い熱い熱い熱いあついあついあついアツイアツイアツイアツイッ!!
256 魔法なんて……と2日目。 ◆8wovNSzFUo sage 2012/07/21(土) 20:44:29.87 ID:N0ImvcPr
全部、流れ込んでくる。魔力源と共に、その異形の本質でさえも。
その異形が、魔法少女の熟れの果てだっただなんて事でさえも。
熱と愉悦、最大級の波に意識そのものを単一化される中、私のそれは癒合した。
シンクロ、《夢》と《夢》とが飽くなき共振を始めた証であった。
ナーサリーライム、夢の色香、子供の……と呼ぶには些か似合わぬ中身だが、
それはどう捉えても、目前に形を現しだした幼き少女のものだった。
――それは遡る事、五日程前の事でした。でも、もっともっと……前だったのかもしれません。
『ねえ、ユキちゃんは魔法を使いたくはなぁい?』
いつも、私が抱いていたお人形さんが動き始めた。
そして少女の様な声で言ったのだ。茶色いウサギのお人形さんだった。
甘い、大人のお姉さんみたいな声だった。神様みたいだ、と思った。
『魔法使いさんに、なれるの……?』
『そうだよ、なんでも思い通り。《ソウゾウ》の力をユキちゃんにプレゼントしちゃうよ?』
『《ソウゾウ》……? カボチャの馬車も、綺麗なドレスも作れる?』
そう聞くと、ウサギは窓の冊子に飛び上がり、月夜を背にして嗤った。
×印の口が動いた訳でも、声を発した訳でもなかった。ただ、そんな気がした。
不気味だけど、好奇心旺盛な少女が勝てるわけが無かった。
子供っぽい、小学校のお友達に笑われ続けてきた。絵本が好きな私。
想像していた、魔法少女、いわゆる魔法使いになった私を。夢見ていた。
『契約、したげよっか? 良いんだよ? 《ソウゾウ》して……深く、鮮明に、くっきりと――』
『うん…………』
胸に手を当てる、ぎゅっと握り締める。熱が生まれる、熱い熱い心の熱が。
それを手にして縋りつくと、ウサギは静かに目線を下げた。見下ろされた。
そして、天使みたいな輪っかを光らせて、悪魔の様にウサギは嗤った。
『夢の国、ワンダーランドオブアリス。迷い込んだ、哀れな子羊……』
そして、縋りついた私の頭にウサギが手を置く。
撫でるように、揺らされる手から溢れ出る程の黒いうねうねが……溢れた。
『うわあああああああああああああああああああああっ!!!』
『魔法少女アマリリクス・アリス』
頭に直接それが飛び込んできて、ぐちゅぐちゅ、ぐちゃぐちゃ、ごにょごにょぎゅるぎゅる。
べきべき、ぼきょ、がりり、べりばり、ぬちゃ、にちゃにちゃにゅるんっ、ぷつん。
わたしを、めきょして、こわしちぇ、めちゃんこにしゅみゅままにりゅってごしゅごしゅした。
『ユキちゃん、君の名前は――今日からアリスだ。』
257 魔法なんて……と2日目。 ◆8wovNSzFUo sage 2012/07/21(土) 21:08:45.74 ID:N0ImvcPr
――そんな少女、アリスは後に力に呑まれた。
その、アリスを呑み込んだ異常な量の魔力が私に流れ込む。
残滓の一滴、粕の一欠片も残さないように、最後には体温計の液溜めの様な形で、
拓かれた臍から身体へと進入し、私へと移住をはじめる。
目前の少女、アリスはその記憶どおりの姿に戻り、
一糸纏わぬ姿で路上に崩れ落ちた。眠る様に丸くなり、静かな呼吸と共に動かなくなる。
寄生され、その相性の悪さ故に全てを吸い尽くされた少女。
静かに動く胸の奥、魔力の気配は既に無かった。
快楽に打ち震え、嗤い続けていた膝が静まり始める。
目前の光景、体内に淫猥な音と共に引っ込んでゆく魔力源。
アリスから押し付けられたそれ、《ソウゾウ》の力も交わり、《夢》は進化を始める。
黒い魔力に包まれた脚が、赤い光と共にそれをタイツに変貌させる。
膝丈までのタイツとガーターベルト。股間を覆う部分には、楔の様に穴を封じる下着が生まれた。
体の中で魔力源を押し留めるそれに、純粋な魔力が吸い込まれていく。
破れた聖域から溢れ出る魔力を抑え、さらに体内で増幅させ、共振させるのだ。
そのむず痒い感覚、下腹部の焼けおちそうな熱が堪らなく癖になる。
緩んだ口元を笑みに変え、より荘厳な姿へと変貌した神々しき魔法少女。
適格者がそこには居た。
《夢創》の力、銀河の様に煌く蒼銀の髪、煉獄の如き真紅の衣。
《物語》を生む少女、数多の魔力源を孕む魔法少女は向日葵に滴る油の如き瞳、
獣の如く縦に裂けた瞳孔をぱちくりさせて嗤った。
私は、遂にマホウショウジョになれた。嬉しい、ウレシイな。ウレシイよね?
ぎゅるると唸るお腹、渦巻く魔力は飽きたらじゅるり、新たな媒介を求めて疼きだす。
幸い、いや、幸か不幸か街中にはなりぞこないが沢山居る。
それぞれが思い思いに犯し、陵辱し植えつける。芋蔓式に異形のドールは増えていた。
それを全部食べれたら、貪れたらみんな……助かるんだよね?
だって、私にはそれができるんだから。
物語の種、瞬く星の子供達、それらを全て宿せたら、私はもっと――
もっと――
もっト――
モット――……?
――ミンナヲ、シアワセニ……デキルンダヨ、ネ?
疼く、ごりゅごりゅしゅるりなお腹に、わたしはマホウを収めてイった。
私は、ミンナを――マモリタイカラ。メガミ、ナル。 fin
ダブルコネクト
240 ダブルコネクト sage 2012/07/08(日) 17:54:32.64 ID:T1OIze1F
とある未来、人はネットワーク上に自らの分身“アバター”の保有を義務付けられた。
毒を好む生物に汚染されきった外の世界から逃げる為、人々はシェルターに篭り、
自らそれを世界から途絶した。そう、これはそう遠くは無い未来だ。
ネットワーク世界内での擬似的な現実を再現する技術、
俗に言うヴァーチャルリアリティ(以下VR)が齎した逃避の時代の始まりだった。
今日も少女は、シェルターに並んだカプセルからネットへと没入する。
蜂の巣に住まう幼虫の様にずらりと並んだケージへとそれは保管される。
定期的に水や栄養分が送り込まれるため、餓死の心配は無い。
ただ、死亡通知や出生管理の届けだけは、今になっても現実署名だった。
没入する少女とは別に、とある女性がカプセル内で暴れていた。
正確には喘ぎ、のた打ち回っていたのだ。
管理局から送られる排水パイプ、養分パイプの中には触手。
蛙の卵の様な物体を纏う精子の様な蟲達が流れ込み、女性の中へと流れ込んでいた――。
「た、助けてっ! い、いやっ、なによこれ!!」
唐突に訪れた不快感に目を覚ますと、
口に加えてパイプからどろどろと黄緑色の液体が溢れていた。
零れたそれが胸や腹部にまとわりついて刺激する。
「ひゃ! な、なによこれ! なんなのよぉっ!」
ネットとの接続は途切れ、閉ざされたカプセルには逃げ場は無い。
もはやそれは棺桶といっても遜色は無いであろう。
「ああん、あんっ! ああぁあああっ!!」
下腹部まで下り、股関節を掌握したそれは蠕動を始める。
同時に、分泌された白い粘液に頭以外が沈んでしまう。
容赦なく全身を解し、粘液を染み込ませる蟲達。
彼らにとっては繁殖活動の一環であるそれは、女性にとっては愉悦だった。
全身の性感帯という性感帯を刺激され、粘液に感度を上げられる。
「ふああああぁ、あ、ああっ!!」
トドメとばかりに女性の身体を触手が縛り上げる。
粘液内で増殖された蟲達も、わらわらと女性にむらがる。
カプセル内は魑魅魍魎の巣と化していた。
そして、一際グロテスクな、卵を抱えた触手が穴という穴から女性を犯した。
「あああああああああああああっ? う、まれるううううううううっ!」
脳味噌でノルアドレナリンと蟲が異常分泌され、即座に達してしまう。
なのに、腹の、膣の中へと蟲が侵入する感覚は消えない。
内側から身体が軋み、子宮が激しく痙攣した。
子宮の中で卵が弾ける、その子達が卵管、卵巣へと食指を伸ばす。
きづいた時には全身が蟲になり、人智を超えた快楽に篭絡される。
「ふあああ! ああんっ、あふうううううううううううっ!!」
そして、女性の意識は闇へと沈む。
残されたのは母性本能と蟲の意志。
子作りの素晴しさ、醜き我が子の美しさに、女性の意識が堕ちていった。
241 ダブルコネクト sage 2012/07/08(日) 18:55:57.10 ID:T1OIze1F
――少女、彼女は実母が犯されていると知らず、今日も架空で欲を満たしていた。
『HALさんのおちんちん、ご立派ですね。モデリング素敵です!』
『ありがとう、丹精込めて違法改修したかいが有ったよ』
今や掲示板やSNSは擬似的なツリー構造都市となり、
彼女はふとした興味から偽装アクセスしたエロの祭典に入り浸っていた。
『ふふっ、楽しみです。服装は何がいいですか?』
『断固旧スクで!!』
そんな会話をしながら、子孫統制された現実で味わえない愉悦に浸る。
それだけが少女の希望で、数少ない生きる意義だった。
堕ちた世界に、理性のブレーキだなんて存在しない。
拡散され、拡がり続ける淫夢……それは、ある意味人類の最後の楽園だった。
アダムとイブの様に惹かれ合い、動物の様に合一を果たす。
『ふああああっ! イ、イくうううううっ!!』
脳内とダイレクトリンクした感情、喘ぎ声が迸る。
ずっとこのままこうしていたい、そんな事を思った瞬間だった。
【――ウイルス検知――】
『ぐあああああっ!?』
『うあ、HA……HALさんっ!?』
ずぼっと肉棒を抜き、少女が身体を起こす。
すると目の前に居た男性アバターが断末魔と共に黒い四角形に覆われる。
『HALさん! HALさんしっかり!!』
声も届かずに、全てが呑まれる。
ログアウト処理を開始するも、ラグ故に中々逃げられない。
『な、なによこれ……』
気付くと脚部を覆いつくす黒々しい2値ドットの塊。
白黒で構成された闇、ウイルスが少女の秘所へと纏わり付いた。
麻痺する感覚と同時に上塗りされていく身体。
蝕まれる瞬間、そこが羽根に変わるかの様に軽くなる。
『う……い??? ゛??ぁ?あ????あ????ああ????あ? っ!!』
頭が可笑しくなる、虫食いにされ、狂おしい程の闇に覆われる。
みんなもこうしてあげなくちゃ、そんな黒に塗りつぶされる。
わたしはこうしてたべられるのね、そんな白に塗りつぶされる。
私は最早、耐えが??き苦?と????に??゛??い????。
意識が文字化けを始め、危機感に煽られた少女は、遂に強制シャットダウンを決意した。
自分が唐突に漆黒に沈み、解かれるように揺り戻された。
242 ダブルコネクト sage 2012/07/08(日) 19:59:00.72 ID:T1OIze1F
……目を覚ます。懐かしい感覚、身体がある実感と共に覚醒する。
――しかし、悪夢は未だに終わらない。
カプセルが口を開けた。
そこから、のそりと満身創痍のまま乗り出し、転がる堕ちるように床へと倒れる。
「あいたたた……な、なんだっていうのよ、もう……」
手足を確認する。きちんと動く、人の形をしている。
ふと周囲を見回すと、使用時は格納されているカプセルが全て排斥されていた。
「な、なんでこんな……」
嫌な予感、ざわつく胸をきつく抱きしめる。
おそるおそる近づくと、正面にあったカプセルが蓋を開いた。
『あ…………う……うう゛っ!!』
「い、いやああああああああああっ!!」
中にはぎゅうぎゅうと犇く異形の塊、こちらに伸ばされた手も即座に呑まれた。
その塊が立ち上がる、ぐちゅぐちゅと醜い音を立て、無数の紐状触手を蠢かせる。
後ずさる度に、次々とカプセルが口を開け、中身をでろりとあふれ出させる。
正に悪夢の様な光景に戦慄し、四肢がわななき力が抜ける。
『いっしょ……、いっしょに…………!』
「く、くるなあっ!!」
狭い共有空間の中、囲まれた私に逃げ場はない。
足先に絡まる触手を蹴飛ばし、自分のカプセルまで走り出す。
カプセルの扉をしめると、外からにちゃにちゃという音と、ガツガツと叩く音が響く。
しかもその瞬間、自動的にカプセルは起動した――。
彼女のカプセルにもパイプより注ぎ込まれる化け物、
溺れるようにもがく中、強制的に半分ネットに接続される。
ウイルスの海、触手の海に溺れていく。
スクール水着の様に帯状の触手が身体を包む、
脳裏を白夢が焼いていく、それが黒へと焦がれていく、
唐突に鼓膜が痛み、脳に触手が直結する、
書き換えられる感覚、無くなってゆく自分、
脳に流し込まれる異形の意志、埋め立てられる心、消えうせる理性。
「うあああああああああああああああああああっ!!」
「はん、ああんっ! あう、あううっ!?」
現実と仮想が一つになる、カオスに溺れる2つの世界。
その狭間、夢現の境地で少女は哭いた。
243 ダブルコネクト sage 2012/07/08(日) 20:23:17.00 ID:T1OIze1F
――数日後、はたまたそれは数年後か。
「キモチイイ」「アカチャンホシイ」「シアワセ」「イキソウ」
「ミンナイッショ」「ウンイッショ」「ミンナシアワセ」「ウンシアワセ」
それは、ひとつになったみんなの意思だ。
私の、私達の中で蠢く鈍痛、繋がった血肉を芋虫が這いずり抜けた。
熱を持った股関節から白濁液が垂れる。それに集まる黒い羽虫が肉ごとそれを啜り尽くす。
しかし、止めどなく膨張と収縮を繰り返す腹部からは次々と、搾り出されるようにそれが零れる。
「あははっ、みんな今日も元気だね~!」
パクパクと閉開する子宮口、膨らんだ腹部に快感を伴う痛みが走る。
無理矢理膨らまされた乳房がぐちぐちと触手を生産する。
それが直結するたびに感度が倍化、感覚が共振して上乗せされる。
「ああんっ! 出る、出る出る出るううううううっ!!」
ドバドバと曖昧になる感覚の中精神が霧散し、バラバラにやって彼らに宿る。
彼らは全てを喰らう。彼らは文明を殺し、人物を食い潰す。
意識を結び、心を無理矢理縫い付ける。
そして、母胎としての性質と本能を植え付け、
適正の高い個体はマザーとして使役し、気の向くままに仲間を産ませる。
「ねぇ、貴方……HALさんだよね?」
ある子の視点でそれを覗くと、その獲物の中身が見えた。
ウイルスに犯され嘶く美少女、自分そっくりな女の子だった。
「貴方……女の子だったんだね……」
唇を吊り上げ、歪んだ笑みを浮かべた。
これで、彼女も母胎に改造できる。
それだけで、私の心は踊り狂っていた。
触手を伸ばす、彼女が喘いで仰け反り叫ぶ。
言葉は犯されちぐはぐで、狂ったようによがり狂う。
脳に私が侵入すると、あっさりと私を受け入れる。
私の中にウイルスが流れ込む、しかし犯されるのはみんな平等。
「「「う、うにゃああああああああああっ!!?」」」
そして――意識はシャットアウトした。
(勝手に失礼しました、つい衝動的に書き込みました。)
(少女にとっての現実は何処までなのか、下手するとまだ現実では侵食されてなかったり。)
(たくさんの捉え方があるので、是非色々妄想して悶々してくれればいいなと思います。)
(今、声を漏らしたそこの貴方も、私の蟲が――覗いていますよ? なんて。)
(駄文かつ長文をお読み頂き、どうもなのです。ではまた機会があれば。)
とある未来、人はネットワーク上に自らの分身“アバター”の保有を義務付けられた。
毒を好む生物に汚染されきった外の世界から逃げる為、人々はシェルターに篭り、
自らそれを世界から途絶した。そう、これはそう遠くは無い未来だ。
ネットワーク世界内での擬似的な現実を再現する技術、
俗に言うヴァーチャルリアリティ(以下VR)が齎した逃避の時代の始まりだった。
今日も少女は、シェルターに並んだカプセルからネットへと没入する。
蜂の巣に住まう幼虫の様にずらりと並んだケージへとそれは保管される。
定期的に水や栄養分が送り込まれるため、餓死の心配は無い。
ただ、死亡通知や出生管理の届けだけは、今になっても現実署名だった。
没入する少女とは別に、とある女性がカプセル内で暴れていた。
正確には喘ぎ、のた打ち回っていたのだ。
管理局から送られる排水パイプ、養分パイプの中には触手。
蛙の卵の様な物体を纏う精子の様な蟲達が流れ込み、女性の中へと流れ込んでいた――。
「た、助けてっ! い、いやっ、なによこれ!!」
唐突に訪れた不快感に目を覚ますと、
口に加えてパイプからどろどろと黄緑色の液体が溢れていた。
零れたそれが胸や腹部にまとわりついて刺激する。
「ひゃ! な、なによこれ! なんなのよぉっ!」
ネットとの接続は途切れ、閉ざされたカプセルには逃げ場は無い。
もはやそれは棺桶といっても遜色は無いであろう。
「ああん、あんっ! ああぁあああっ!!」
下腹部まで下り、股関節を掌握したそれは蠕動を始める。
同時に、分泌された白い粘液に頭以外が沈んでしまう。
容赦なく全身を解し、粘液を染み込ませる蟲達。
彼らにとっては繁殖活動の一環であるそれは、女性にとっては愉悦だった。
全身の性感帯という性感帯を刺激され、粘液に感度を上げられる。
「ふああああぁ、あ、ああっ!!」
トドメとばかりに女性の身体を触手が縛り上げる。
粘液内で増殖された蟲達も、わらわらと女性にむらがる。
カプセル内は魑魅魍魎の巣と化していた。
そして、一際グロテスクな、卵を抱えた触手が穴という穴から女性を犯した。
「あああああああああああああっ? う、まれるううううううううっ!」
脳味噌でノルアドレナリンと蟲が異常分泌され、即座に達してしまう。
なのに、腹の、膣の中へと蟲が侵入する感覚は消えない。
内側から身体が軋み、子宮が激しく痙攣した。
子宮の中で卵が弾ける、その子達が卵管、卵巣へと食指を伸ばす。
きづいた時には全身が蟲になり、人智を超えた快楽に篭絡される。
「ふあああ! ああんっ、あふうううううううううううっ!!」
そして、女性の意識は闇へと沈む。
残されたのは母性本能と蟲の意志。
子作りの素晴しさ、醜き我が子の美しさに、女性の意識が堕ちていった。
241 ダブルコネクト sage 2012/07/08(日) 18:55:57.10 ID:T1OIze1F
――少女、彼女は実母が犯されていると知らず、今日も架空で欲を満たしていた。
『HALさんのおちんちん、ご立派ですね。モデリング素敵です!』
『ありがとう、丹精込めて違法改修したかいが有ったよ』
今や掲示板やSNSは擬似的なツリー構造都市となり、
彼女はふとした興味から偽装アクセスしたエロの祭典に入り浸っていた。
『ふふっ、楽しみです。服装は何がいいですか?』
『断固旧スクで!!』
そんな会話をしながら、子孫統制された現実で味わえない愉悦に浸る。
それだけが少女の希望で、数少ない生きる意義だった。
堕ちた世界に、理性のブレーキだなんて存在しない。
拡散され、拡がり続ける淫夢……それは、ある意味人類の最後の楽園だった。
アダムとイブの様に惹かれ合い、動物の様に合一を果たす。
『ふああああっ! イ、イくうううううっ!!』
脳内とダイレクトリンクした感情、喘ぎ声が迸る。
ずっとこのままこうしていたい、そんな事を思った瞬間だった。
【――ウイルス検知――】
『ぐあああああっ!?』
『うあ、HA……HALさんっ!?』
ずぼっと肉棒を抜き、少女が身体を起こす。
すると目の前に居た男性アバターが断末魔と共に黒い四角形に覆われる。
『HALさん! HALさんしっかり!!』
声も届かずに、全てが呑まれる。
ログアウト処理を開始するも、ラグ故に中々逃げられない。
『な、なによこれ……』
気付くと脚部を覆いつくす黒々しい2値ドットの塊。
白黒で構成された闇、ウイルスが少女の秘所へと纏わり付いた。
麻痺する感覚と同時に上塗りされていく身体。
蝕まれる瞬間、そこが羽根に変わるかの様に軽くなる。
『う……い??? ゛??ぁ?あ????あ????ああ????あ? っ!!』
頭が可笑しくなる、虫食いにされ、狂おしい程の闇に覆われる。
みんなもこうしてあげなくちゃ、そんな黒に塗りつぶされる。
わたしはこうしてたべられるのね、そんな白に塗りつぶされる。
私は最早、耐えが??き苦?と????に??゛??い????。
意識が文字化けを始め、危機感に煽られた少女は、遂に強制シャットダウンを決意した。
自分が唐突に漆黒に沈み、解かれるように揺り戻された。
242 ダブルコネクト sage 2012/07/08(日) 19:59:00.72 ID:T1OIze1F
……目を覚ます。懐かしい感覚、身体がある実感と共に覚醒する。
――しかし、悪夢は未だに終わらない。
カプセルが口を開けた。
そこから、のそりと満身創痍のまま乗り出し、転がる堕ちるように床へと倒れる。
「あいたたた……な、なんだっていうのよ、もう……」
手足を確認する。きちんと動く、人の形をしている。
ふと周囲を見回すと、使用時は格納されているカプセルが全て排斥されていた。
「な、なんでこんな……」
嫌な予感、ざわつく胸をきつく抱きしめる。
おそるおそる近づくと、正面にあったカプセルが蓋を開いた。
『あ…………う……うう゛っ!!』
「い、いやああああああああああっ!!」
中にはぎゅうぎゅうと犇く異形の塊、こちらに伸ばされた手も即座に呑まれた。
その塊が立ち上がる、ぐちゅぐちゅと醜い音を立て、無数の紐状触手を蠢かせる。
後ずさる度に、次々とカプセルが口を開け、中身をでろりとあふれ出させる。
正に悪夢の様な光景に戦慄し、四肢がわななき力が抜ける。
『いっしょ……、いっしょに…………!』
「く、くるなあっ!!」
狭い共有空間の中、囲まれた私に逃げ場はない。
足先に絡まる触手を蹴飛ばし、自分のカプセルまで走り出す。
カプセルの扉をしめると、外からにちゃにちゃという音と、ガツガツと叩く音が響く。
しかもその瞬間、自動的にカプセルは起動した――。
彼女のカプセルにもパイプより注ぎ込まれる化け物、
溺れるようにもがく中、強制的に半分ネットに接続される。
ウイルスの海、触手の海に溺れていく。
スクール水着の様に帯状の触手が身体を包む、
脳裏を白夢が焼いていく、それが黒へと焦がれていく、
唐突に鼓膜が痛み、脳に触手が直結する、
書き換えられる感覚、無くなってゆく自分、
脳に流し込まれる異形の意志、埋め立てられる心、消えうせる理性。
「うあああああああああああああああああああっ!!」
「はん、ああんっ! あう、あううっ!?」
現実と仮想が一つになる、カオスに溺れる2つの世界。
その狭間、夢現の境地で少女は哭いた。
243 ダブルコネクト sage 2012/07/08(日) 20:23:17.00 ID:T1OIze1F
――数日後、はたまたそれは数年後か。
「キモチイイ」「アカチャンホシイ」「シアワセ」「イキソウ」
「ミンナイッショ」「ウンイッショ」「ミンナシアワセ」「ウンシアワセ」
それは、ひとつになったみんなの意思だ。
私の、私達の中で蠢く鈍痛、繋がった血肉を芋虫が這いずり抜けた。
熱を持った股関節から白濁液が垂れる。それに集まる黒い羽虫が肉ごとそれを啜り尽くす。
しかし、止めどなく膨張と収縮を繰り返す腹部からは次々と、搾り出されるようにそれが零れる。
「あははっ、みんな今日も元気だね~!」
パクパクと閉開する子宮口、膨らんだ腹部に快感を伴う痛みが走る。
無理矢理膨らまされた乳房がぐちぐちと触手を生産する。
それが直結するたびに感度が倍化、感覚が共振して上乗せされる。
「ああんっ! 出る、出る出る出るううううううっ!!」
ドバドバと曖昧になる感覚の中精神が霧散し、バラバラにやって彼らに宿る。
彼らは全てを喰らう。彼らは文明を殺し、人物を食い潰す。
意識を結び、心を無理矢理縫い付ける。
そして、母胎としての性質と本能を植え付け、
適正の高い個体はマザーとして使役し、気の向くままに仲間を産ませる。
「ねぇ、貴方……HALさんだよね?」
ある子の視点でそれを覗くと、その獲物の中身が見えた。
ウイルスに犯され嘶く美少女、自分そっくりな女の子だった。
「貴方……女の子だったんだね……」
唇を吊り上げ、歪んだ笑みを浮かべた。
これで、彼女も母胎に改造できる。
それだけで、私の心は踊り狂っていた。
触手を伸ばす、彼女が喘いで仰け反り叫ぶ。
言葉は犯されちぐはぐで、狂ったようによがり狂う。
脳に私が侵入すると、あっさりと私を受け入れる。
私の中にウイルスが流れ込む、しかし犯されるのはみんな平等。
「「「う、うにゃああああああああああっ!!?」」」
そして――意識はシャットアウトした。
(勝手に失礼しました、つい衝動的に書き込みました。)
(少女にとっての現実は何処までなのか、下手するとまだ現実では侵食されてなかったり。)
(たくさんの捉え方があるので、是非色々妄想して悶々してくれればいいなと思います。)
(今、声を漏らしたそこの貴方も、私の蟲が――覗いていますよ? なんて。)
(駄文かつ長文をお読み頂き、どうもなのです。ではまた機会があれば。)
快楽のペッサリー
203 快楽のペッサリー sage 2012/06/27(水) 23:54:45.15 ID:OBYMUlxQ
その生物は、梅雨と共に現れた。
雨の粒の中に紛れていたのか、それともカビのようなものの一種なのか、いつの間に私の身体に忍び込んだのかさえ、私には分からない。
だけどそれの存在にはっきりと気づいたのは、もう既にそいつが、私の子宮をのっとった後だった。
はじめて気が付いたのは、お腹が変に張って、膨らんだような違和感を感じ、病院に行ってみたときだった。
子宮が膨らんでいるといわれて、産婦人科に見てもらってはじめて発覚した。子宮の中に、ゲル状の何かが詰まっている。
確かに、お腹を押してみると、まるで液体が入っているかのように異様に柔らかかった。
中がどうなっているのか、生まれて初めてのクスコで中を覗いてみると、お医者さんは仰天していた。
私もそれを見せてもらったら、膣の肉壁の奥に、黄緑色の奇妙な物体があった。
丸くつるつるで、真ん中が窪んでいるそれは、子宮口らしい。だけど、子宮口にはなにかよく分からない半透明で緑色のものが薄膜のように密着していて、子宮口を完全に包み込んでいた。
CTスキャンで調べられると、どうやらその何かが、子宮をみっちりと満たしているらしい。
前例がない、ただごとじゃないことは確かだった。私は特別な治療病院に入れられ、それを徹底的に調査されることになった。
私は集中治療室のような部屋で、分娩台のようなものに乗せられ、恥ずかしいくらい徹底的に子宮を調査された。
まずは、その奇妙な物質の採取をされた。
膣をクスコで開けるだけ開いて、子宮口を外に露出させられる。そして、子宮口に密着しているそれを、子宮口が傷つかないように慎重に、表面を擦るようにして剥ぎ取る。ところが剥ぎ取った部分はまたすぐ、子宮口から垂れ出る新しい粘液に包まれてしまった。
そこで、子宮口に小さな耳かきのようなものを挿入されて、中からも少量掻きだされた。それがもう、痛くて痛くて泣きそうになりながら、歯を食いしばって我慢した。
調査の結果、それはゲル状の単細胞生物だということが分かったらしい。私の子宮に寄生して増殖しているみたいだ。
それは、ペッサリーと名づけられて調査されることになった。
204 快楽のペッサリー sage 2012/06/27(水) 23:55:24.62 ID:OBYMUlxQ
ところが、その検査があった夜から、ペッサリーは急激に動き始めた。
表面を剥ぎ取ったり、子宮口から掻きだしたりされて、それに抵抗する気らしい。
ペッサリーは私の子宮の中で激しく蠢いた。私の子宮はペッサリーの動くままに、拡張され、引っ張られ、潰され、伸ばされて、卵管は激しく揺すられて、奥まで潜り込んだものは卵巣にまで染み込んできているようだった。
それだけじゃない。そうやって暴れているうちにペッサリーはどんどん膨らんで、そのうち子宮がぴちぴちに張ってきた。すると、子宮に入りきらないほど膨張したペッサリーは、私の子宮口からひり出すように無理矢理吐き出されてきた。
子宮口が内側からこじ開けられる激痛と、子宮を揺すられる不快感で、私はもだえ苦しんだ。
子宮口が中から拡がる……子宮の奥から進んできて、少しずつ、外に出てこようとしている……
苦しい、痛い、なのに
……気持ちいい?
子宮の奥からゼリー状のものが、どんどん押し出されていく。子宮の入り口まで、少しずつ中を拡げながら……
それなのに、痛みが鈍い。
そして、じわじわとおかしな快感がこみあげてくる。
子宮頸管の中にゲルが流れ込み、太く膨らんでくる。子宮口の窪みの先端が、少しずつ盛り上がってきた。出てきそう、出てきそう……
痛くない。ぜんぜん、痛くない。
それどころか……すごく気持ちいい?
ああっ、出てこようとしてる、狭い子宮頸管を少しずつ拡張しながら、中から外へ、押し出されようとしている……
気持ちいい、快感。思わず身を捩りたくなる。
気持ちよすぎて、頭がおかしくなりそう! もう我慢できない、もっと欲しい! 早く出てきて!
私が思わず念じた次の瞬間、内側からの圧力に耐えられなくなって、口を開く子宮口、そこから勢いよく飛び出すゲル状の液体。
ペッサリーの塊は、私の子宮口を完全に貫通した。
緑色のゲル状の液体と、それから、それが分泌するどろどろした紫色の液体が噴きだしてくる。
もう、ペッサリーにされるがままだった。
私の子宮が完全に支配される。
ペッサリーは爆発的に増殖して、子宮がパンパンに膨らまされて、まるで妊婦みたいなお腹にされる。入りきらない分は、卵管や子宮口に勢いよく流れ込んで、卵管は太く拡張されて、子宮口からも勢いよく吐き出されていく。
ペッサリーは子宮口に完全にとりついた。子宮口はまるで牽引されたかのように引っ張り伸ばされて、赤ちゃんでも産むみたいに中から拡張されて、穴はどんどん拡がっていく。はじめはタバコくらいに、そのうちジュース缶くらいに、そして、ペットボトルくらいに……
私の子宮は、だらしなく醜い形に改造されていく。ペッサリーの巣につくりかえられていく……。
205 快楽のペッサリー sage 2012/06/27(水) 23:56:33.88 ID:OBYMUlxQ
翌日、私の子宮の中のペッサリーについて、さらなる検査が行われた。
まず研究者たちが驚いたのは、私の子宮の変化だった。
子宮口は見るも無残に拡張されて、子宮の中を緑色のゲルが満たしているところが直に見える。そして、膣内を満たすどろどろの紫色の粘液。ペッサリーから染み出してるこの液体は身体の神経を狂わせる猛毒らしい。
私の子宮と膣は完全に痛覚を遮断されて、快感を感じる感覚につくりかえられていた。
子宮の肉質そのものも、毒によって変質していた。子宮口も子宮も、まるでグミのようにぷるぷるで弾力ある肉壁になり、臨月の妊婦より二回りも大きな内容物を難なく受け入れている。私の子宮は、ペッサリーを生み落すのに適した彼らの巣にされていた。
その日のうちに、研究者たちの手によって、ペッサリーの全摘出が開始された。
分娩台の上で、子宮の中に溜まったペッサリーたちを全てかきだしていく。子宮口がガバガバだったから、子宮の奥から掻きだす作業も楽に行われたみたいだった。
子宮の壁は傷つかないし、痛みは感じなかった。ただ、なにか胸に、異様な辛さを感じてしまった。
正直に言えば、かきだすのはやめてほしかったけど……結局、ペッサリーは全て子宮から取り出され、焼却処分されてしまった。
ペッサリーは除去しきられていたけれど、変質しきった子宮はどうにも手の施しようがなく、私はこのまま、退院することになってしまった。
私の子宮はもう二度と元には戻らない。特殊に変質した子宮壁はぶよぶよで、ペッサリーが埋めていた空間がなくなるとお腹がへこんで、かわりに肥大した子宮壁が押し合いへし合いするようになった。子宮口はガバガバで、元には戻らなかった。
ペッサリーに保護されていない子宮粘膜は外気に晒されっぱなしで、痛みの代わりの快感が歩くたびにぞくぞくと襲ってくる。
もちろん、もう赤ちゃんは産めない。でも、今となってはそんなことは、どうでもよかった。
私の中では、ペッサリーがいなくなったことが、妙に心の虚空になっていた。
二年後……
私は他の子となんら変わりない日常を送っていた。
ただ普通の子と違う事と言えば、私のお腹はちょっとだけ膨らんでいて、子宮の中には、ゲル状の主人がみっちりと詰まっていることくらいだ。
私の中のペッサリーはあの日、全て摘出されていたけれど、一度ペッサリーに浸食された卵巣は、月経のかわりにペッサリーを生み出す機能をもっていた。
私は子宮の中に再びペッサリーが復活したことを、誰にも言わなかった。
もし言えば、この子はまた摘出されてしまうからだ。
この子は私のいう事をよく聞いた。他の人にばれないようにと念じれば、その通り、増殖を抑えてお腹が目立たない程度になってくれる。まるで私の素直な子供のようだった。
もっとも、先代のペッサリーと私の卵子がかけあわさってできた子なのだから、子供というのにはふさわしいかもしれない。
ペッサリーの手によって、二年を費やし、私の身体は完成していた。
私の性器は、ペッサリーのために完全に作り変えられたのだ。子宮はペッサリーの寝床だ。ゴム状の子宮はペッサリーの遊び場。排卵はペッサリーの食事だった。
子宮口は拡げられ、伸びに伸ばされ、ついに膣外に突出してしまった。だけど、子宮口も、その内側の粘膜も、ペッサリーが完全に包んで保護してくれている。
それだけじゃない、彼らは膣粘膜をも保護し、さらに膣から出てきて、小陰唇、大陰唇やクリトリスの包皮の中まできれいに包んでくれたのだ。
そして、その露出した子宮口から、ペッサリーの収まりきらない身体が排出されるのだ。この子宮口は、ペッサリーを生み出すのに都合がいいように、長く伸ばされ、口をいっぱい広げられるように改造されていた。
私の子宮口から排出されたペッサリーの一部は私から離れて、水場に溶け込んでいく。そして……
他の女性に憑りつき、この喜びを教えるのだろうか。
206 名無しさん@ピンキー sage 2012/06/27(水) 23:57:43.19 ID:OBYMUlxQ
※ちなみに、ペッサリーとは子宮に装着する避妊器具のこと
とりあえず、お粗末でした。
その生物は、梅雨と共に現れた。
雨の粒の中に紛れていたのか、それともカビのようなものの一種なのか、いつの間に私の身体に忍び込んだのかさえ、私には分からない。
だけどそれの存在にはっきりと気づいたのは、もう既にそいつが、私の子宮をのっとった後だった。
はじめて気が付いたのは、お腹が変に張って、膨らんだような違和感を感じ、病院に行ってみたときだった。
子宮が膨らんでいるといわれて、産婦人科に見てもらってはじめて発覚した。子宮の中に、ゲル状の何かが詰まっている。
確かに、お腹を押してみると、まるで液体が入っているかのように異様に柔らかかった。
中がどうなっているのか、生まれて初めてのクスコで中を覗いてみると、お医者さんは仰天していた。
私もそれを見せてもらったら、膣の肉壁の奥に、黄緑色の奇妙な物体があった。
丸くつるつるで、真ん中が窪んでいるそれは、子宮口らしい。だけど、子宮口にはなにかよく分からない半透明で緑色のものが薄膜のように密着していて、子宮口を完全に包み込んでいた。
CTスキャンで調べられると、どうやらその何かが、子宮をみっちりと満たしているらしい。
前例がない、ただごとじゃないことは確かだった。私は特別な治療病院に入れられ、それを徹底的に調査されることになった。
私は集中治療室のような部屋で、分娩台のようなものに乗せられ、恥ずかしいくらい徹底的に子宮を調査された。
まずは、その奇妙な物質の採取をされた。
膣をクスコで開けるだけ開いて、子宮口を外に露出させられる。そして、子宮口に密着しているそれを、子宮口が傷つかないように慎重に、表面を擦るようにして剥ぎ取る。ところが剥ぎ取った部分はまたすぐ、子宮口から垂れ出る新しい粘液に包まれてしまった。
そこで、子宮口に小さな耳かきのようなものを挿入されて、中からも少量掻きだされた。それがもう、痛くて痛くて泣きそうになりながら、歯を食いしばって我慢した。
調査の結果、それはゲル状の単細胞生物だということが分かったらしい。私の子宮に寄生して増殖しているみたいだ。
それは、ペッサリーと名づけられて調査されることになった。
204 快楽のペッサリー sage 2012/06/27(水) 23:55:24.62 ID:OBYMUlxQ
ところが、その検査があった夜から、ペッサリーは急激に動き始めた。
表面を剥ぎ取ったり、子宮口から掻きだしたりされて、それに抵抗する気らしい。
ペッサリーは私の子宮の中で激しく蠢いた。私の子宮はペッサリーの動くままに、拡張され、引っ張られ、潰され、伸ばされて、卵管は激しく揺すられて、奥まで潜り込んだものは卵巣にまで染み込んできているようだった。
それだけじゃない。そうやって暴れているうちにペッサリーはどんどん膨らんで、そのうち子宮がぴちぴちに張ってきた。すると、子宮に入りきらないほど膨張したペッサリーは、私の子宮口からひり出すように無理矢理吐き出されてきた。
子宮口が内側からこじ開けられる激痛と、子宮を揺すられる不快感で、私はもだえ苦しんだ。
子宮口が中から拡がる……子宮の奥から進んできて、少しずつ、外に出てこようとしている……
苦しい、痛い、なのに
……気持ちいい?
子宮の奥からゼリー状のものが、どんどん押し出されていく。子宮の入り口まで、少しずつ中を拡げながら……
それなのに、痛みが鈍い。
そして、じわじわとおかしな快感がこみあげてくる。
子宮頸管の中にゲルが流れ込み、太く膨らんでくる。子宮口の窪みの先端が、少しずつ盛り上がってきた。出てきそう、出てきそう……
痛くない。ぜんぜん、痛くない。
それどころか……すごく気持ちいい?
ああっ、出てこようとしてる、狭い子宮頸管を少しずつ拡張しながら、中から外へ、押し出されようとしている……
気持ちいい、快感。思わず身を捩りたくなる。
気持ちよすぎて、頭がおかしくなりそう! もう我慢できない、もっと欲しい! 早く出てきて!
私が思わず念じた次の瞬間、内側からの圧力に耐えられなくなって、口を開く子宮口、そこから勢いよく飛び出すゲル状の液体。
ペッサリーの塊は、私の子宮口を完全に貫通した。
緑色のゲル状の液体と、それから、それが分泌するどろどろした紫色の液体が噴きだしてくる。
もう、ペッサリーにされるがままだった。
私の子宮が完全に支配される。
ペッサリーは爆発的に増殖して、子宮がパンパンに膨らまされて、まるで妊婦みたいなお腹にされる。入りきらない分は、卵管や子宮口に勢いよく流れ込んで、卵管は太く拡張されて、子宮口からも勢いよく吐き出されていく。
ペッサリーは子宮口に完全にとりついた。子宮口はまるで牽引されたかのように引っ張り伸ばされて、赤ちゃんでも産むみたいに中から拡張されて、穴はどんどん拡がっていく。はじめはタバコくらいに、そのうちジュース缶くらいに、そして、ペットボトルくらいに……
私の子宮は、だらしなく醜い形に改造されていく。ペッサリーの巣につくりかえられていく……。
205 快楽のペッサリー sage 2012/06/27(水) 23:56:33.88 ID:OBYMUlxQ
翌日、私の子宮の中のペッサリーについて、さらなる検査が行われた。
まず研究者たちが驚いたのは、私の子宮の変化だった。
子宮口は見るも無残に拡張されて、子宮の中を緑色のゲルが満たしているところが直に見える。そして、膣内を満たすどろどろの紫色の粘液。ペッサリーから染み出してるこの液体は身体の神経を狂わせる猛毒らしい。
私の子宮と膣は完全に痛覚を遮断されて、快感を感じる感覚につくりかえられていた。
子宮の肉質そのものも、毒によって変質していた。子宮口も子宮も、まるでグミのようにぷるぷるで弾力ある肉壁になり、臨月の妊婦より二回りも大きな内容物を難なく受け入れている。私の子宮は、ペッサリーを生み落すのに適した彼らの巣にされていた。
その日のうちに、研究者たちの手によって、ペッサリーの全摘出が開始された。
分娩台の上で、子宮の中に溜まったペッサリーたちを全てかきだしていく。子宮口がガバガバだったから、子宮の奥から掻きだす作業も楽に行われたみたいだった。
子宮の壁は傷つかないし、痛みは感じなかった。ただ、なにか胸に、異様な辛さを感じてしまった。
正直に言えば、かきだすのはやめてほしかったけど……結局、ペッサリーは全て子宮から取り出され、焼却処分されてしまった。
ペッサリーは除去しきられていたけれど、変質しきった子宮はどうにも手の施しようがなく、私はこのまま、退院することになってしまった。
私の子宮はもう二度と元には戻らない。特殊に変質した子宮壁はぶよぶよで、ペッサリーが埋めていた空間がなくなるとお腹がへこんで、かわりに肥大した子宮壁が押し合いへし合いするようになった。子宮口はガバガバで、元には戻らなかった。
ペッサリーに保護されていない子宮粘膜は外気に晒されっぱなしで、痛みの代わりの快感が歩くたびにぞくぞくと襲ってくる。
もちろん、もう赤ちゃんは産めない。でも、今となってはそんなことは、どうでもよかった。
私の中では、ペッサリーがいなくなったことが、妙に心の虚空になっていた。
二年後……
私は他の子となんら変わりない日常を送っていた。
ただ普通の子と違う事と言えば、私のお腹はちょっとだけ膨らんでいて、子宮の中には、ゲル状の主人がみっちりと詰まっていることくらいだ。
私の中のペッサリーはあの日、全て摘出されていたけれど、一度ペッサリーに浸食された卵巣は、月経のかわりにペッサリーを生み出す機能をもっていた。
私は子宮の中に再びペッサリーが復活したことを、誰にも言わなかった。
もし言えば、この子はまた摘出されてしまうからだ。
この子は私のいう事をよく聞いた。他の人にばれないようにと念じれば、その通り、増殖を抑えてお腹が目立たない程度になってくれる。まるで私の素直な子供のようだった。
もっとも、先代のペッサリーと私の卵子がかけあわさってできた子なのだから、子供というのにはふさわしいかもしれない。
ペッサリーの手によって、二年を費やし、私の身体は完成していた。
私の性器は、ペッサリーのために完全に作り変えられたのだ。子宮はペッサリーの寝床だ。ゴム状の子宮はペッサリーの遊び場。排卵はペッサリーの食事だった。
子宮口は拡げられ、伸びに伸ばされ、ついに膣外に突出してしまった。だけど、子宮口も、その内側の粘膜も、ペッサリーが完全に包んで保護してくれている。
それだけじゃない、彼らは膣粘膜をも保護し、さらに膣から出てきて、小陰唇、大陰唇やクリトリスの包皮の中まできれいに包んでくれたのだ。
そして、その露出した子宮口から、ペッサリーの収まりきらない身体が排出されるのだ。この子宮口は、ペッサリーを生み出すのに都合がいいように、長く伸ばされ、口をいっぱい広げられるように改造されていた。
私の子宮口から排出されたペッサリーの一部は私から離れて、水場に溶け込んでいく。そして……
他の女性に憑りつき、この喜びを教えるのだろうか。
206 名無しさん@ピンキー sage 2012/06/27(水) 23:57:43.19 ID:OBYMUlxQ
※ちなみに、ペッサリーとは子宮に装着する避妊器具のこと
とりあえず、お粗末でした。
The serious desease of...
140 FBX ◆4gA1RyNyf. sage 2012/05/13(日) 16:31:37.51 ID:6cgdu3QN
さてさて、よく言われるファンタジー世界ではモンスターという存在がいますね。
で、人間様はたいてい町中に住んでいる。
物によってはモンスターと人間が仲良しな設定もあるけれど・・・
あれ?
じゃあ野生というか、町に住んでないモンスターってどうやって生活してんの?
そういう興味からわいたネタを今から書き始めます。
そんなに長くないしブランクがあるので、あんまりエロくないかもですけどw
141 FBX@The serious desease of... ◆4gA1RyNyf. sage 2012/05/13(日) 17:28:58.75 ID:6cgdu3QN
争いごとのない平和な世界にも、問題は起こるものだ。
その世界が人間によるものならまだしも、魔物が共存する世界ならば尚更・・・
これはそんな常識がない世界の事件である。
「じゃ、いってきます」
ある晴れた涼しい日のこと。
自宅から出た少女――リオンは森へと歩き出した。
ここは人間の住まう集落。
街と言えるほど大きくはなく、しかし農村というには活気がある。
街道上の宿場町といった様子の集落は、住民と旅人で今日も賑わう。
市街地からの商人は服を持ち寄り、田園地域からの商人は食料などを持ち寄る。
そんな双方にとってプラスになる商業の集落でもあった。
では集落に住む人々はどうかというと、商人と取引をしつつも自給自足の生活をしている。
田畑を耕して食料を得、それと交換で商人から日用品を得る。
だが、入手できるものは自分たちで入手するのが方針となっていた。
このリオンもまた、その一人である。
「うーん・・・買い物で手に入ればいいんだけどね」
とりあえずリオンは手近な商人に声をかけていく。
「あ、すいません。アルラウネの蜜ってあります?」
リオンが声をかけた商人は少々太り気味のヒゲをはやした人だった。
「あー、ウチは武器防具の専門でね。薬草くらいならあるんだけども」
言うと、隣の女性が話しかけてくる。
この商人の妻だろうか。
「お嬢ちゃんくらいの子がアルラウネの蜜っていうのは気になるわねぇ・・・」
ニタニタと怪しく笑いながらそう話してくる。
「そうなの?」
当のリオンはそれがどういう物なのかを知らない。
単に彼女の母親にそう言われただけだった。
「お母さんに頼まれただけで、何に使うかは知らないの」
「あら、そう・・・」
「お前、知ってるのか?」
「えぇもちろん。あなたの武器屋を出店する資金を作るのに使ったのよ」
「え・・・それってお前」
「???」
内輪話になったと思ったリオンは謎の使い道を考えつつ、その場を後にした。
「アルラウネって言うくらいだから・・・うーん」
142 名無しさん@ピンキー sage 2012/05/13(日) 17:29:02.19 ID:+tSRi8Ak
wktk
143 FBX@The serious desease of... ◆4gA1RyNyf. sage 2012/05/13(日) 17:29:19.28 ID:6cgdu3QN
むろん、アルラウネとは魔物の名称である。
自然豊かな森に生息する魔物で、その姿は美しい女性。
しかし下半身は植物そのもの・・・という、魔物としては定番な存在であった。
リオンの住む集落の近所にも彼女たちは生息していた。
「マリーさんにもらうかなぁ」
そしてリオンは森へと入っていった。
「止まれ人間」
「?」
突然声をかけられ、リオンは思わず立ち止まる。
すると目の前に人が現れた。
「今この森は危険だ。何があるかわからない」
「えー、そうなんですか?」
「む・・・リオンか」
人影はリオンに近づいてきた。
「あ、ミリスさん」
知り合いとわかりリオンは安心した。
ミリスはリオンが幼い頃から仲の良いエルフ。
人の姿形ではあるが、森の住人たるエルフは人間の集落には住まない。
彼女は森に居を構えている。
「危険って・・・何があったんですか?」
「んん、そうだな。私たちエルフには影響がないらしいから・・・人間も大丈夫かもしれないが」
「?」
「どうも植物系の魔物に伝染病が流行っているらしいんだ」
「え、伝染病?」
「そう。いまエルフの医師はみんな調査しているところでね」
「えー、どうしよう・・・」
「何か用事があるのか?」
「うん。マリーさんに蜜をもらおうと思って」
144 FBX@The serious desease of... ◆4gA1RyNyf. sage 2012/05/13(日) 17:31:21.89 ID:6cgdu3QN
「蜜を? リオンもそういう年頃になったのか・・・」
「え??」
「まぁ、事情を詳しく説明しておこう。立ち話も何だ、私の家に行こうか」
「うん!」
二人は森の奥へと歩いて行った。
「うーん?」
「まぁ簡単に言えばだな」
凡愚というわけではないか、リオンはミリスの説明が理解できなかった。
元々エルフは人間よりも賢い節がある。
森に生きる種族として必要な知識を得るためなのかもしれない。
ミリスの説明はこうだ。
ある日を境に、植物系の魔物達の様子が変わったというのだ。
彼女たちは皆お互いの蜜をなめ合ったり塗りたくったりするという。
とあるエルフが調査のために観察をしていると、それら魔物同士で抱き合ったりすることもあった。
注意深く観察していたが、次なる変化が森に訪れた。
どうも花の香りのようなにおいが薄く立ちこめ始めたのだ。
人間よりも敏感なエルフはいち早く察知して警戒しているが、集落の人間は気づいていない。
だが、この現象は過去に起きたことのないもので、エルフ達も戸惑っている・・・
「人間には気づかないものを私たちは気づける」
「うん」
「で、気づいた私たちは警戒しているわけ」
「うーん・・・何が起きてるの?」
「それは私たちもわからない。だから警戒することしかできないんだよ」
「マリーさんの所へ行かないとなんだよねぇ」
困った、という表情のリオン。
145 FBX@The serious desease of... ◆4gA1RyNyf. sage 2012/05/13(日) 17:34:07.62 ID:6cgdu3QN
「ともかく私から言えることは、においのする方向へは近づいてはいけない」
「そっちにいそうな気がするんだけどもね」
「命より大切な物ってことではないのだろう?」
「うん。お使いみたいなものだし」
「なら、早めに帰った方がいい。エイダは賢い人間だから、許してくれるはずだ」
エイダとはリオンの母親である。
人間の10倍近い寿命を持つエルフにとっては、人間の2世代を見守ることなど容易い。
ミリスはエイダが幼い頃からの友であり、リオンが生まれた時にも立ち会っていたほどだった。
「わかった。今日は早めに帰るよ」
「それがいい」
リオンは立ち上がる。
「万が一のため、これを渡しておこう」
ミリスが小さい棒状のものを渡す。
「?」
「この森の枝で作った笛だ。私たちエルフにだけ聞こえる音が出る」
「えー、そんなのあるんだ・・・」
「吹けば近くにいるエルフが来てくれるだろう。私の名前を出せば彼女らもわかってくれる」
「うん、わかった」
ミリスから安全の切り札をもらい、リオンはエルフの集落を後にした。
集落を出てからしばらく歩くと、小さい湖があった。
「結構歩いたし・・・ここで少し休もうかな」
リオンは湖畔に腰掛け、持っていた水筒の水を飲む。
そこでふと違和感を感じた。
「ん・・・、なんか甘いにおいがする?」
周囲を見渡すが、特に異常は見当たらない。
湖の周りには静かな森が広がっているだけだった。
146 FBX@The serious desease of... ◆4gA1RyNyf. sage 2012/05/13(日) 17:41:31.10 ID:6cgdu3QN
いや、その時点ですでにおかしかった。
本当に静か。
虫や小動物が動く音すらしないのだから。
「え、なんか静かすぎる・・・? まずいかな」
リオンは水筒をしまい、立ち上がる。
が、立ち上がれなかった。
「あ、あれ??」
体に力が入らない。
「おかしいな、立ち上がれないほど疲れてたなんて・・・」
そこでリオンの背後にある湖で、ごぼりという音がした。
「!?」
リオンは振り向いて音の正体を探る。
しかし何か生物がいる気配はしなかった。
「え、何あれ・・・ 水の色が変わっていく?」
そう、湖の中心から青緑色が広がってきていた。
そしてそれが湖畔に近づくにつれ、リオンの感じていたにおいが強くなっていく。
「うそ、これやばいんじゃ」
「あらぁ、リオンじゃない」
「え?」
森の奥から声が聞こえた。
がさがさと草を分ける音がし、その声の主は姿を現す。
「マリーさん」
「何してるの、こんな所で」
「よかった、マリーさんに用事があったの」
「用事?」
「うん。マリーさんの蜜をお母さんが欲しがってて」
「あら・・・ エイダもお盛んね」
「お盛ん??」
「ふふふ・・・」
147 FBX@The serious desease of... ◆4gA1RyNyf. sage 2012/05/13(日) 17:45:17.35 ID:6cgdu3QN
マリーは淫蕩な笑みをうかべ、リオンに近づく。
しかしその動作は途中で止まった。
「いけない・・・ リオン、早く森から出て」
「えっ?」
「湖の水を見なさい。あれはとても危険な水」
「あの青緑色っぽいのが危険なの?」
「そう。このにおいがわからないかしら」
「においって、甘いにおいのことかな」
「わかってるなら早く森を出なさい。そしてしばらく近づいてはダメ」
「いったい何があったの? ミリスさんも危険危険って」
「ミリスが言うなら間違いないわ。さぁ早く!」
マリーは全身をプルプル震わせている。
「で、でも体が動かないの」
「もうそこまで毒されて・・・ちょっと我慢してね」
マリーはその体の一部であるツタを伸ばし、ミリスの前に持って行く。
するとツタの先端には花弁ができ、花が開いていく。
「この花の香りをかげば治るわ。さぁ、私が正気のうちに早く」
「う、うん」
リオンは花に顔を近づけ、息を吸う。
まるで感覚を失ったようだった体は途端に回復していく。
「しばらく蜜は諦めるようにエイダに言うのよ。いいわね」
「わかった」
リオンは立ち上がり、歩き始める。
「集落の他の人間にも伝えて。エルフから連絡があるまで森に入ってはダメって」
「マリーさん・・・ うん」
「急いで。他の魔物が現れるかもしれないわ」
148 FBX@The serious desease of... ◆4gA1RyNyf. sage 2012/05/13(日) 17:49:07.32 ID:6cgdu3QN
リオンはうなずき、走り始めた。
「くぅ・・・、気持ちいい・・・」
リオンが去った湖畔でマリーは顔をとろけさせる。
マリーの体は植物の花弁から生えている形だ。
膝元あたりまでが花弁に隠れており、そこから上は人間と何ら変わりは無い。
その体の色が緑色をしているという点以外は。
「リオンん・・・逃げてねぇ・・・」
悩ましく体をくねらせ、マリーは右手で秘所に触れる。
「あはぁ・・・」
右手は快楽を生み出すための動作を始めた。
「湖も・・・汚染されちゃってるのねぇ・・・」
ゆっくりと顔を湖に向ける。
水の色はもうほとんどが青緑に染まってしまっている。
そして更に黄色っぽい水が中央から湧いてきているようだ。
「ミリスは気づいてるけどぉ・・・あたし、もうリオンに会えないかもね・・・」
そう自嘲すると、湖の水が一気に盛り上がる。
「あ・・・」
姿を現したのは何らかの生物らしきもの。
ぬめる体表からはイソギンチャクのような無数の触手が生えている。
ちょうど大型の魚類が口を開けているような姿のそれは、その口から強烈な甘い香りを発している。
「なに・・・、あれが原因なのぉ」
そのマリーの声を聞くが早いか、その謎の物体は口から粘液質の液体をはき出す。
「きゃあ!?」
全身でその液体をかぶったマリー。
「え・・・なに、この液体・・・動いて」
粘液まみれのマリーは快楽の中で不安を感じる。
そしてその不安は現実のものとなった。
「あ・・・あ・・・」
粘液はマリーの全身を覆うと、微細な震動を起こし始めた。
149 FBX@The serious desease of... ◆4gA1RyNyf. sage 2012/05/13(日) 17:56:52.77 ID:6cgdu3QN
「ああ・・・あ・・・」
もはやマリーは言葉すら発することが出来ない。
そう、粘液は微細な震動を起こすことでマリーに快楽のみを与えているのだ。
そしてその震動は徐々に大きくなっていく。
「ふああ・・・」
やがてぐじゅぐじゅという音を立て始める。
湖に現れた謎の生命体とマリー以外何もいない、静かな湖畔に卑猥な音が響く。
「なにこれぇ・・・すごいぃ・・・」
別にマリーが自慰行為をしているということはない。
彼女は何もしていない。
秘所につっこんだ右手すら動かしていないのだ。
粘液から与えられる快楽だけで悶えているのである。
「ああ、あああ・・・らめ、いくぅ」
ぷしゅぅ、という子気味の良い音がした。
マリーが絶頂したのだった。
右手は秘所から引き抜かれ、体を弓なりにして快楽に身を任せている。
そこで粘液が次なる動作を始めた。
「あひゃあああ・・・」
体を覆っていた粘液がマリーの秘所へと入っていった。
「すご、はいって・・・いっぱい、きてぇ・・・!!」
8割方粘液が入り込むと、湖で沈黙を保っていた物体が動作を起こした。
粘液を射出した口から青い触手が4本伸びてきた。
それらはマリーの秘所、口、乳首の4カ所へと入り込み、あるいは吸い付く。
「んむぅうう」
(な、なにこれぇ・・・私、どうなっちゃうの)
言葉にならない言葉を胸の中で発する。
しかしそんなことでは、今から行われようとしている淫行は防げない。
謎の物体は更に2本、細い触手を伸ばしてくる。
150 FBX@The serious desease of... ◆4gA1RyNyf. sage 2012/05/13(日) 17:58:45.92 ID:6cgdu3QN
それらはマリーの耳に入り込み、そのまま脳を犯し始めた。
「んほぉおおおおおお!!」
最初の4本からは粘液がどんどん注ぎ込まれていく。
体へ急速に吸収されているらしく、見た目からは体に変化が現れない。
胸に注ぎ込まれている粘液だけが彼女の胸を更に大きくしていく。
「寄生虫セロノイド・・・これか!」
ミリスは文献をあさり、ついに発見した。
1万年ほど前にこの地域へ姿を現し、猛威をふるった寄生虫。
植物系の魔物に強力な寄生力を持つ。
セロノイドは水中に巣を作り、そこである程度繁殖すると地上へ進出する。
巣は水を変化させて作られるため、多少ダメージを与えても意味をなさない。
地上へ進出した固体は、植物系の魔物に大きな効果を与える催淫臭を発する。
時としてその催淫臭は他のタイプの生物にも効果を現すが、そのにおいには気づきにくいという。
まんまと植物系の魔物を犯して寄生したセロノイドは、魔物の体内で爆発的に増殖する。
魔物はセロノイドから与えられる快楽に抗えず、常に発情・オルガスムスを覚える。
セロノイドに操られて魔物が移動すると、その通り道はセロノイドの卵を含む粘液で汚染される。
植物系の魔物は皆、地下からも養分を得る。
セロノイドの卵も同時に取り込み、そして寄生されていく・・・
「く、しかし・・・対処法が書いていない・・・」
そこでミリスは気づく。
1万年前に流行したとして、どうやって終息したのか?
今回姿を現したのはなぜか?
「・・・1万年前に駆除しきれず、何らかの形で封印していたとしたら?」
ありえる話だ。
151 FBX@The serious desease of... ◆4gA1RyNyf. sage 2012/05/13(日) 18:08:41.60 ID:6cgdu3QN
その時代に生きる人々の力ではどうしようもできず、仕方なく問題を先送りする。
そしてその問題は人々の知られざる所で深刻化・肥大化し、後の時代で大惨事を引き起こす。
「だとしたら、封印に用いていた何かがあるはずだ・・・」
ミリスは再び文献をあさるのだった。
触手は凄まじい勢いでうねり続け、マリーの体内に寄生虫の卵を含む粘液を注ぎ続ける。
もはや彼女は子宮も、乳房も、消化器も、そして脳も卵で満たされつつあった。
「むぉ・・・ぉ・・・」
白目をむいてセロノイドの寄生快楽に屈するマリー。
すると、マリーに挿入されていた触手が抜けていった。
十分に卵で満たしたと判断したのだろうか。
「・・・・・・」
マリーはすでに気を失い、全身を痙攣させていた。
湖の物体・・・セロノイドの巣は触手を戻すと沈黙を保つ。
しばらくすると、マリーの体に変化が現れた。
大量に寄生卵を注がれた秘所から黄色の粘液が溢れ始め、足下の花弁へと落ちていく。
花弁には元々蜜が溜まっており、そこに滴る。
瞬く間に寄生卵は蜜を吸収して成長し、無数の蟲が生まれた。
膨れた乳房からも黄色のミルクが流れ始めていた。
緑色の肌は青みがかっていき、生まれた蟲が這いずり始める。
マリーのツタが蠢き始めると、その先端に花弁が現れる。
どれもこれも毒々しい赤紫色をしており、そこから粘液質の液体が吹き付けられていく。
寄生卵のシャワーを浴びながらマリーは目を覚ました。
かつてリオンを見つめていた優しい瞳は、主人であるセロノイドの快楽に溺れた淫蕩な色に染まっていた。
リオンはひたすら走り続ける。
マリーの花の香りが効果を示しており、いつも以上に体が軽いのだ。
155 FBX@The serious desease of... ◆4gA1RyNyf. sage 2012/05/13(日) 21:33:43.56 ID:6cgdu3QN
(やっぱりミリスさんの言うことはほんとだった・・・!)
ミリスはリオンに嘘をついたことがなかった。
エルフという種族自体が真面目気質の強い種族であるが、ミリスは特にそれが強かった。
人間よりも圧倒的に長い寿命の中で、人間を見守る役目を感じていたからかもしれない・・・
「きゃぁっ!」
リオンは地面に伸びていた根に躓き、盛大に転んでしまった。
「いった・・・」
幸いにも怪我はなかった。
「結構走ったけど、まだ距離ありそうだなぁ」
湖からの逃避行はエルフの集落を通らずに実行されていた。
本来はエルフの集落を通った方が近いのだが、マリーの警告から焦っていたため遠回りしていた。
「あら? 人間じゃなぁい・・・」
艶めかしい声がリオンの耳に届いた。
「え・・・」
ミリスもマリーも『危険』と警告する森の中。
聞こえた声に最大限の警戒をし始めた。
「うっふふふふ・・・」
しっとりとした色気の声と共に植物のツタがリオンを襲った。
「きゃぁ!?」
「つかまえたぁ・・・」
ツタはリオンの全身に絡みつき、身動きを封じてしまった。
「ふふふ・・・」
笑い声と共にツタの主が姿を表した。
やはり、マリーと同じアルラウネだった。
「アルラウネ・・・マリーさんの知り合い?」
リオンは恐怖の中でそう質問してみた。
「えぇ・・・そうよ」
「じゃ、じゃあどうして私を」
「マリー様に言われたからに決まってるじゃない」
「えっ?」
「とりあえず捕まえてって言われたから捕まえたのよぉ」
「・・・」
156 FBX@The serious desease of... ◆4gA1RyNyf. sage 2012/05/13(日) 21:34:55.18 ID:6cgdu3QN
(そういえばマリーさんは・・・あの時焦っていた。私を逃がそうと)
冷静にリオンは考えを巡らせる。
(そして今、目の前のアルラウネは『マリー様』って言ってる。じゃあ・・・)
そして判断。
リオンはマリーの花の香気で強化された力で抵抗を始めた。
「きゃ、ちょっとぉ・・・暴れちゃだぁめ」
アルラウネはツタを伸ばし、先端に花を作り出した。
「やだ! 離してよ!!」
「んふふ・・・マリー様から頂いた新しい香り。あなたが実験台よぉ」
ツタの花はそのままリオンの顔に伸び、彼女の口と鼻をふさぐ。
「んむぅ!?」
慌てて息を止める。
しかし全力疾走を続けていた彼女の心拍数は高く、瞬く間に酸素を消費してしまった。
我慢できず、息を大きく吸う。
そしてリオンは花の甘い香りを感じると、一瞬にして気を失った。
「マリー様ぁ・・・連れてきましたぁ・・・」
「・・・合格ねぇ。じゃ、卵を入れてあげる」
「あぁ、早く、早くぅ」
マリーは淫猥な笑みを作ると、十数本のツタを操り目の前のアルラウネの秘所へ突っ込む。
「あひゃあああ、きたぁああああ!!」
すでに粘液まみれだったツタは障害無く子宮の奥深くへ入り込む。
時間を置かず、それらのツタは激しくうねり始めた。
もちろん、リオンを拉致してきたアルラウネに寄生卵を植え付けているのだ。
このアルラウネは、マリーが通った道を偶然通ってしまったのだ。
地表にばらまかれた卵のいくつかが彼女に寄生し、快楽を与え続けた。
やがてセロノイドは彼女の脳に達すると、マリーの情報を流し込んだのだ。
セロノイドの巣であり女王となった彼女に従え・・・と。
「もっと、もっとぉおおお!!」
157 FBX@The serious desease of... ◆4gA1RyNyf. sage 2012/05/13(日) 21:35:43.46 ID:6cgdu3QN
「いいわ。あなたがセロノイドそのものになっちゃうくらい入れてアゲル・・・」
そして更に注そうする勢いを速く、そして強くするマリー。
もはやリオンの知る優しいマリーは存在しないのだ。
やがて寄生卵の粘液を注がれすぎたせいか、アルラウネは口から盛大に粘液を吐き出して果てた。
「くっふふふふふ・・・セロノイド漬けアルラウネ・・・素晴らしいわぁ・・・くはぁ」
マリーの体表を這いずるセロノイドが彼女の乳首を優しく噛んだ。
「いいわ、もっとしなさぁい・・・この森を私の、セロノイドのものにぃ・・・」
青く染まったマリーの体。
秘所ではセロノイドが激しく出入りを繰り返し、マリーを満たし続ける。
足下の花弁の蜜からはセロノイドが生まれ続け、周囲の草むらへと旅立っていくのだ。
そう、今やマリーはセロノイドの巣であり女王。
彼女の体内で寄生虫は生まれ、成長し、そして卵を産み続ける。
地表へと降り立った固体は森へと出て行き、他の植物系の魔物へ寄生するのだ。
「う・・・」
ツタをほどかれていたリオンが目を覚ます。
「ふふふふ・・・」
マリーは邪悪な笑みを浮かべ、ツタを伸ばす。
リオンの意識が覚醒する前に絡め取ってしまう。
「ここ・・・は・・・」
ぼーっとする頭で周囲を見渡す。
少しして、ようやく自分が何かに絡みつかれて動けないことに気づく。
「え・・・なにこれ・・・って、マリーさん?」
そして目の前に寄生虫の母となったマリーの姿を認めた。
「んふふふふふふ・・・おはよう、リオン」
舌なめずりをするマリー。
「マリーさん、森はだいじょ・・・!?」
やっとリオンは異常に気づいた。
マリーが彼女の知る姿ではないことに。
「森は大丈夫よぉ・・・私の物になるんだしね」
「え・・・」
「でもねリオン。私は森だけじゃ足りないわぁ」
158 FBX@The serious desease of... ◆4gA1RyNyf. sage 2012/05/13(日) 21:36:56.33 ID:6cgdu3QN
「・・・」
マリーの変貌ぶりに恐怖することしかできないリオン。
「人間の所にも行ってぇ・・・ふふふふ・・・・・・あら、お目覚めね」
そしてマリーの視線が移る。
先ほどマリーに寄生卵を大量に注がれたアルラウネの元へと。
そのアルラウネは異形となっていた。
一見すると通常のアルラウネの形なのだが、腰のあたりに新たな器官が出来ていた。
マリー同様、胸は肥大化しているしセロノイドが這いずり回っているのもある。
「それじゃあ・・・リオンであなたの新しい力を試してみなさぁい」
「あはぁ・・・はぁい・・・」
アルラウネはリオンの元へ近づく。
「かわいい・・・人間の女の子ってこんなに・・・」
「い、いや・・・来ないで・・・」
「つれないわねぇ。マリー様とは仲良くしていたんでしょ?」
「それは」
「別にいいじゃない。あたしはマリー様の奴隷。そう、蟲さんの奴隷でもね・・・」
アルラウネの新しい器官から一本の非常に細い触手が伸ばされた。
そのままリオンに近づくと、リオンの胸を突き刺さる。
「うっ・・・!?」
「ちょっと血をもらうだけよ・・・ふふ」
すぐにそれは抜かれる。
「マリー様、強い蟲さんを一匹・・・」
「強い子を? いいわ。・・・んはぁ」
びじゅる、という卑猥な音がマリーの股間で聞こえた。
出入りしていた蟲がどくと、股間の穴から一回り大きめの蟲が出てきた。
蟲は地表を這うと、アルラウネの体へ上っていった。
「ふふふ・・・さ、血と混ぜてアゲル」
アルラウネは蟲をつかむと、腰の器官の口へと入れてしまう。
「・・・」
リオンはひたすら見守ることしか出来ない。
その新たな器官からは粘液質の音が大きく聞こえる。
取り込んだ蟲を砕いて溶かしているような・・・そんな音。
「さぁて・・・どんな子が産まれるのかしらねぇ・・・ふふ」
159 FBX@The serious desease of... ◆4gA1RyNyf. sage 2012/05/13(日) 21:37:32.15 ID:6cgdu3QN
「ね、ねぇマリーさん・・・何をするつもりなの・・・?」
「さぁ? あの子の企みだからわからないわねぇ」
全て見通しているような笑いを浮かべるマリー。
ツタに拘束され、マリーを見上げるような状態のリオンは背筋が冷たくなった。
「出来た」
リオンは、彼女の後ろにいるアルラウネの声をを聞いた。
そして音もなく迫ってくるアルラウネ。
マリーはツタを操り、リオンをアルラウネの方へ向ける。
「で・・・何をしたの?」
あいかわらずニヤニヤしながらマリーが問う。
「うっふふ・・・マリー様の蟲さんを人間に寄生するよう作り替えましたぁ」
「あらぁ、それは面白いわねぇ・・・」
白々しく言うマリー。
「そろそろ夕方だし、一気に寄生させちゃいなさぁい」
「はーい」
「い、いや! やめて!!」
リオンはツタに拘束されながらも暴れるが、セロノイドに強化されたツタはびくともしない。
アルラウネの腰にある異形の器官がリオンの秘所に接触した。
「ひっ・・・」
「さ、あなたの大事なご主人様よぉ・・・んふぁあ」
喘ぎ声と共にぐじゅりという音がし、その異形の器官から大きな蟲がひり出された。
蟲はそのままリオンの秘所に張り付く。
「い、いやぁ変なものくっつけないでぇ!!!」
「大丈夫、すぐ良くなるからぁ・・・ふふふ」
「これでリオンも仲間なのねぇ・・・」
マリーは恍惚の表情でリオンを見つめる。
「今だから言っちゃうけどぉ・・・私ね、リオンを犯したかったの」
「え・・・」
その告白にショックを受けるリオン。
親しくしていたマリーが、そんな思いで自分を見ていたことに。
「う、嘘でしょマリーさん・・・」
「嘘じゃないわ。じゃあ聞くけど、アルラウネの蜜は何に使うか知ってるの?」
「え・・・知らない・・・」
「でしょお?」
160 FBX@The serious desease of... ◆4gA1RyNyf. sage 2012/05/13(日) 21:38:24.79 ID:6cgdu3QN
これだから人間の子供は、というような表情で二匹のアルラウネは苦笑する。
「教えてあげる。アルラウネの蜜はね、媚薬そのものなの」
「び、びやく?」
「そう、媚薬。生き物をエッチな気分にしちゃう成分が入ってるの」
「エッチって・・・ええ??」
「それを欲しがるリオンのお母さんって・・・うふふふふ・・・」
「お母さん・・・どうしてそんなものをほしええああ!!」
突然リオンは悲鳴を上げた。
「いやああ、入ってこないで!!」
秘所に密着した蟲がリオンの中に入り込み始めたのだった。
「ほらほら、どんどん入っちゃっていいのよぉ~」
蟲を生み出したアルラウネはそんなことを言いながら手で蟲をぐいぐいと押す。
その勢いもあり、蟲はかなりのスピードでリオンの中に入り込んでいく。
「きもちわる、やめてやめてぇ」
「ほぉら、もう半分以上入っちゃったわよぉ・・・」
「こんなに大きな蟲さんが簡単に入っちゃうなんてねぇ、リオンはエッチだったのね」
マリーが卑猥な台詞を発する。
「まぁそうよねぇ、リオンを産んだエイダももう若くないのに・・・
なのにアルラウネの蜜を欲しがるだなんてね。ひょっとして淫乱の血筋なんじゃなぁい?」
「ほら、もうほとんど入っちゃったわぁ」
「ぃ・・・いやぁ・・・」
自分の胎内に異物が侵入してくる異常な感覚に耐えるリオン。
しかし耐えたところで何も変わらない。
(ミリスさんの笛さえ・・・ふければ・・・)
もちろん、全身を拘束されているリオンにはそんなことは不可能だ。
「はい、全部入っちゃった」
「え」
リオンは自分の股間を見下ろす。
そこには何もなかった。
確かに先ほどまで異物がくっついていたのだが。
「気分はどう? 悪いってことはないはずだけど・・・」
マリーはリオンの顔をのぞき込む。
「マリー様ぁ、リオンちゃんはまだ若いからぁ・・・」
「そっか、エッチなことなんか知らないのかな~」
「知らない! 知らない知らなぁ!??」
そこでリオンの台詞は途切れた。
拘束されながらも体を弓なりに反らし痙攣している。
161 FBX@The serious desease of... ◆4gA1RyNyf. sage 2012/05/13(日) 21:39:20.52 ID:6cgdu3QN
「あれ? ひょっとしてイった?」
「あ・・・あ・・・」
うめき声を上げ、白目をむいて痙攣するリオン。
「うーん??」
リオンに蟲を入れたアルラウネは体勢を低くし、リオンの秘所をのぞき込む。
指で広げ、膣の中を観察する。
「あー、中で蟲さんが触手をぬるぬるしてますねぇ」
「奥の方は見える?」
「いやー、さすがに暗くて・・・」
「卵巣まで汚染してくれればいいんだけどね」
「なんだ、マリー様やっぱりわかってる・・・」
「当たり前でしょ。誰があなたを改造したと思ってるのよ」
「えへへへ・・・スケベな魔物にしてくれてありがとうございますぅ」
「ま、とりあえずはこれでよし。リオンを森の外に連れて行くわよ」
「はーい」
マリー達アルラウネにつれられ、ただ絶頂を繰り返し続けるリオンは運ばれていく。
森の外に到着する頃には日も暮れており、心配した集落の人間が来ていた。
「お・・・お、アルラウネ殿か」
先頭にいた人間の男が気づく。
「あらぁ、人間の・・・だぁれ?」
「リオンの知りあいです。リオンは・・・」
「あぁ、ちょうど良かった。リオンを連れてきたのよぉ」
ツタを操り、マリーはリオンを人間の集団に渡す。
「たまたま水辺で見つけたの。怪我はしてないと思うけど、念のため安静がいいわねぇ」
「おお、ありがとうございます」
「それとぉ・・・この子が欲しがってた、アルラウネの蜜よ」
液体の詰まった小瓶を渡すマリー。
「あ、アルラウネ殿の蜜を・・・この子が?」
「えぇ。何でもエイダに頼まれたとかって」
「エイダが? ふーむ・・・」
「ま、深く関わらないのが吉ってねぇ。私たちはこれで失礼するわぁ」
そう言って森側へ下がるマリー。
162 FBX@The serious desease of... ◆4gA1RyNyf. sage 2012/05/13(日) 21:40:13.49 ID:6cgdu3QN
「あー、そうでしたな。だから我らはうまくやってこれたというもの」
「そういうことよぉ。それじゃあね」
「リオンが世話になり申した。いずれ礼に伺います」
その言葉に、マリーは背中を向けて手を振る。
人間達はリオンを自宅へと運び込むのだった。
エイダはリオンが到着すると、何も言わずにベッドへ寝かせた。
自分がアルラウネの蜜を頼んだためにこうなったのだから・・・と。
目が覚めたらきちんと謝ると心に決め、エイダは自分の寝室へと戻っていった。
深夜。
一日経過しないうちから異常が起きていた。
リオンの股間から大量の触手と粘液が溢れ、ベッドをびしょびしょにしたのだ。
人間用セロノイドはリオンの子宮に寄生し、確実に彼女を改造していた。
むろん股間から溢れている粘液は寄生卵だらけである。
今や彼女のベッドはセロノイドの巣となっていた。
寄生卵から産まれた幼虫は、リオンのベッドに染みついた汗などを糧に成長していく。
瞬く間にベッドはセロノイドだらけになり、布団の中に満ちていった。
やがて触手はリオンの体を包み込んでいく。
粘液を分泌させながら、リオンはセロノイドにより改造されていく・・・
朝。
リオンの部屋にやってきたエイダは、ドアの外からも異常を感じていた。
甘い香りがするのだ。
リオンは香水を使うような洒落っ気のある少女ではない。
それは母親であるエイダが一番よく知っている。
「じゃあ、このにおいは・・・?」
エイダは意を決してドアを開けた。
「な・・・これは!」
リオンの部屋は一晩にして魔界と化していた。
床には青みがかった触手が張り巡らされ、蟲が這いずり回る。
ベッドがあった位置には触手の塊があるのだ。
そしてどぎつい甘い香り・・・
「り、リオン!?」
163 FBX@The serious desease of... ◆4gA1RyNyf. sage 2012/05/13(日) 21:41:04.25 ID:6cgdu3QN
強い嫌悪感を覚えつつもエイダは触手の塊へと進んで行く。
なんとかたどり着くと、エイダは体に衝撃を感じた。
「え?」
塊から触手が一本伸びていた。
たどっていくと、それは自分の胸を貫いていたのだ。
「うそ・・・」
触手は何やら蠕動している。
同時にその塊は中にあるものを見せるかのようにほどけていく。
『ふふふ・・・』
確かにリオンの声。
だが人間の声帯による声ではないような、そんな声色だった。
「り、リオン・・・なの・・・?」
『そうだよお母さん』
ついに触手がすべて解ける。
そこには黄緑色の肌をした愛娘がいた。
『お母さん。ありがとう。アルラウネの蜜のお使いのおかげでこうなれた』
「こうって」
『森で新種の寄生虫に寄生されたの。ほんとは植物の魔物だけに寄生するみたいだけど』
「・・・」
何も言えないエイダ。
自分の性欲がこの子を変えてしまった。
その自責の念がエイダを硬直させているのだった。
『アルラウネのマリーさん達に新しく蟲を作ってもらったんだ』
その言いようは、あたかも自分が望んで寄生されたようなものになっていた。
「それで、私をどうするの?」
『ふふふふ・・・どうって?』
「もうアルラウネの蜜の使い道、知ってるんでしょう?」
『もちろん。エッチな人が使う媚薬だってね』
「じゃあ・・・」
『お母さんはここでセロノイド生産工場になってもらうから』
「え?」
エイダはセロノイドという言葉が何かを知らなかった。
『あ、そうか。セロノイドっていうのはこの蟲さんのこと』
リオンは自分の体を這いずり回る蟲を一匹、手に取る。
『大丈夫だよ。淫乱なお母さんだったらいくらでも生めるよ』
「い、いや・・・やめて・・・」
『やめるわけないじゃない。お父さんが死んでから、毎晩してたんでしょ?』
「えっ、いやそれは」
164 FBX@The serious desease of... ◆4gA1RyNyf. sage 2012/05/13(日) 21:42:01.92 ID:6cgdu3QN
『ほらね。だからアルラウネの蜜なんかを買いに行かせたんだしね』
「・・・」
『さぁ、この触手に包まれて改造されなさい』
「ひっ、いやああ!!」
有無を言わさずエイダは触手の渦に飲み込まれていく。
リオンは立ち上がり、部屋の出入り口へと歩いて行く。
部屋から出たリオンはいつもと変わらない見た目になっていた。
「くふふふ・・・擬態はいくらでも出来るみたいね」
さらに股間から蟲を作り出すと全身に這わせ、服に擬態させていく。
家を出る頃には擬態は完了していた。
国を治める政府は、街道沿いの集落が壊滅したという発表を行った。
一切の連絡が途絶え、調査に向かわせたチームも帰ってこない、と。
リオンがセロノイド寄生体となってからわずか三日。
たった三日で集落は完全に汚染されつくしたのだ。
「ここが壊滅されたという発表のあった集落です」
彼女は報道の役目を負った政府の人間。
魔法のアイテムを用いて映像を送りながら実況をしていた。
「しかしどうでしょう、見た目には全く変化はありません。のどかな風景です」
配信用アイテムを動かし、周囲の風景を撮影する。
「言うなれば人が歩いていない・・・という点だけです。少し中へ入ってみましょう」
報道担当は足を進めていく。
かつては商人が行き来して賑わっていた広場にも誰もいない。
動物すらいない。
「これはまさしくゴーストタウン・・・本当に、本当に誰もいません」
映像は広場中央の噴水を映し出す。
「この噴水は集落のシンボル・・・、ここに人間が住む礎として作られたものです。
地下からの湧き水は綺麗で、飲み水にも適しています」
噴水の水面に近づく報道担当。
映像もそれにあわせて近づいていく。
「私も少しのどが渇きました。ちょっと失礼して・・・」
報道担当は手で水をすくい、一口飲む。
「いやぁ、おいしいです。それにしても何があったのでしょうか」
「私から説明しよう」
「!?」
165 FBX@The serious desease of... ◆4gA1RyNyf. sage 2012/05/13(日) 21:42:51.88 ID:6cgdu3QN
誰もいない広場に声がこだまする。
「ど、どなたでしょうか・・・」
「さっきからあなたのことを見ていたよ」
「ひっ!」
報道担当の後ろに彼女はいた。
「全く、気づいているなら出てきてくださいよ」
「集落を害する者かもしれないと警戒していたのだよ」
「えーと、見たところエルフですよね。お名前は?」
「ミリスだ」
「ミリスさん、この集落で何か事件があったのでしょうか?」
「あぁ、あったよ」
「や、やはり・・・」
「知りたいのか?」
「私はそのために派遣されてきたんですよ」
「なるほど」
ミリスは噴水の近くに腰掛ける。
「ところで・・・この水を飲んでいたね?」
「はい、飲みましたけど」
「そうか・・・ならば、残念だけどあなたはもうこちら側の存在」
「え?」
「それは撮影用のアイテムかな?」
「はい」
「じゃあ、あなたが染まっていく様を国中に生中継することになるんだな」
ミリスはニヤニヤと笑う。
「いったい何を言って・・・」
「こういうことだよ」
言うと、ミリスは報道担当を抱きしめてキスをした。
そのまま口から触手を伸ばし、報道担当の中に埋めると寄生卵の粘液を流し込む。
報道担当が汚染され尽くすのに時間はかからなかった・・・
そうして、国中の人々がセロノイドに汚染されていく。
最初はマリー、リオン、エイダ。
166 FBX@The serious desease of... ◆4gA1RyNyf. sage 2012/05/13(日) 21:44:08.72 ID:6cgdu3QN
エイダが自宅で寄生卵を産み、溢れさせていく。
家に収まらない分は家の外に溢れ、地面にしみこむ。
大地が汚染されると道ばたの植物が汚染されていく。
元々植物系の魔物に寄生する蟲だけあり、植物への汚染は速かった。
田畑の作物が汚染されると更に人間への寄生は促進される。
リオンが集落に戻った翌日、リオンはミリスにもらった笛を吹いた。
1時間としないうちにミリスが駆けつけたが、もちろんそれはリオンの罠。
ミリスも抵抗ままならずにあえなく寄生され、セロノイドの奴隷となってしまった。
もはやアルラウネどころか人間も、そしてエルフも。
みんなセロノイドに寄生されていた。
そして快楽のままに卵を産み、お互いに犯しあう。
新たな旅人が通りかかれば寄生させて旅立たせる。
時々はマリーやリオンが他の街へ出向き、直接手を下す。
といってもオナニーをしているだけで街一つが完全に汚染されるというから恐ろしい。
それほどまでにセロノイドの感染力は強力だった。
この大陸がセロノイドの巣窟となるのも、そう時間はかからないだろう――
-The serious desease of... "EVERYTHING" : fin. -
167 FBX ◆4gA1RyNyf. sage 2012/05/13(日) 21:45:49.51 ID:6cgdu3QN
と、こんな感じで。
かなーり久々なのでイージーミスやらかしてるかもですけど。
五行戦隊の人が来たのを思い出して、やってみました。
野生の魔物の生態は気になるとこだけど、それはこのスレと違うテーマなのでw
そこは深く突っ込まないでくださいw
まぁモンスター娘スレあたりで議論されたりするだろうけどw
さてさて、よく言われるファンタジー世界ではモンスターという存在がいますね。
で、人間様はたいてい町中に住んでいる。
物によってはモンスターと人間が仲良しな設定もあるけれど・・・
あれ?
じゃあ野生というか、町に住んでないモンスターってどうやって生活してんの?
そういう興味からわいたネタを今から書き始めます。
そんなに長くないしブランクがあるので、あんまりエロくないかもですけどw
141 FBX@The serious desease of... ◆4gA1RyNyf. sage 2012/05/13(日) 17:28:58.75 ID:6cgdu3QN
争いごとのない平和な世界にも、問題は起こるものだ。
その世界が人間によるものならまだしも、魔物が共存する世界ならば尚更・・・
これはそんな常識がない世界の事件である。
「じゃ、いってきます」
ある晴れた涼しい日のこと。
自宅から出た少女――リオンは森へと歩き出した。
ここは人間の住まう集落。
街と言えるほど大きくはなく、しかし農村というには活気がある。
街道上の宿場町といった様子の集落は、住民と旅人で今日も賑わう。
市街地からの商人は服を持ち寄り、田園地域からの商人は食料などを持ち寄る。
そんな双方にとってプラスになる商業の集落でもあった。
では集落に住む人々はどうかというと、商人と取引をしつつも自給自足の生活をしている。
田畑を耕して食料を得、それと交換で商人から日用品を得る。
だが、入手できるものは自分たちで入手するのが方針となっていた。
このリオンもまた、その一人である。
「うーん・・・買い物で手に入ればいいんだけどね」
とりあえずリオンは手近な商人に声をかけていく。
「あ、すいません。アルラウネの蜜ってあります?」
リオンが声をかけた商人は少々太り気味のヒゲをはやした人だった。
「あー、ウチは武器防具の専門でね。薬草くらいならあるんだけども」
言うと、隣の女性が話しかけてくる。
この商人の妻だろうか。
「お嬢ちゃんくらいの子がアルラウネの蜜っていうのは気になるわねぇ・・・」
ニタニタと怪しく笑いながらそう話してくる。
「そうなの?」
当のリオンはそれがどういう物なのかを知らない。
単に彼女の母親にそう言われただけだった。
「お母さんに頼まれただけで、何に使うかは知らないの」
「あら、そう・・・」
「お前、知ってるのか?」
「えぇもちろん。あなたの武器屋を出店する資金を作るのに使ったのよ」
「え・・・それってお前」
「???」
内輪話になったと思ったリオンは謎の使い道を考えつつ、その場を後にした。
「アルラウネって言うくらいだから・・・うーん」
142 名無しさん@ピンキー sage 2012/05/13(日) 17:29:02.19 ID:+tSRi8Ak
wktk
143 FBX@The serious desease of... ◆4gA1RyNyf. sage 2012/05/13(日) 17:29:19.28 ID:6cgdu3QN
むろん、アルラウネとは魔物の名称である。
自然豊かな森に生息する魔物で、その姿は美しい女性。
しかし下半身は植物そのもの・・・という、魔物としては定番な存在であった。
リオンの住む集落の近所にも彼女たちは生息していた。
「マリーさんにもらうかなぁ」
そしてリオンは森へと入っていった。
「止まれ人間」
「?」
突然声をかけられ、リオンは思わず立ち止まる。
すると目の前に人が現れた。
「今この森は危険だ。何があるかわからない」
「えー、そうなんですか?」
「む・・・リオンか」
人影はリオンに近づいてきた。
「あ、ミリスさん」
知り合いとわかりリオンは安心した。
ミリスはリオンが幼い頃から仲の良いエルフ。
人の姿形ではあるが、森の住人たるエルフは人間の集落には住まない。
彼女は森に居を構えている。
「危険って・・・何があったんですか?」
「んん、そうだな。私たちエルフには影響がないらしいから・・・人間も大丈夫かもしれないが」
「?」
「どうも植物系の魔物に伝染病が流行っているらしいんだ」
「え、伝染病?」
「そう。いまエルフの医師はみんな調査しているところでね」
「えー、どうしよう・・・」
「何か用事があるのか?」
「うん。マリーさんに蜜をもらおうと思って」
144 FBX@The serious desease of... ◆4gA1RyNyf. sage 2012/05/13(日) 17:31:21.89 ID:6cgdu3QN
「蜜を? リオンもそういう年頃になったのか・・・」
「え??」
「まぁ、事情を詳しく説明しておこう。立ち話も何だ、私の家に行こうか」
「うん!」
二人は森の奥へと歩いて行った。
「うーん?」
「まぁ簡単に言えばだな」
凡愚というわけではないか、リオンはミリスの説明が理解できなかった。
元々エルフは人間よりも賢い節がある。
森に生きる種族として必要な知識を得るためなのかもしれない。
ミリスの説明はこうだ。
ある日を境に、植物系の魔物達の様子が変わったというのだ。
彼女たちは皆お互いの蜜をなめ合ったり塗りたくったりするという。
とあるエルフが調査のために観察をしていると、それら魔物同士で抱き合ったりすることもあった。
注意深く観察していたが、次なる変化が森に訪れた。
どうも花の香りのようなにおいが薄く立ちこめ始めたのだ。
人間よりも敏感なエルフはいち早く察知して警戒しているが、集落の人間は気づいていない。
だが、この現象は過去に起きたことのないもので、エルフ達も戸惑っている・・・
「人間には気づかないものを私たちは気づける」
「うん」
「で、気づいた私たちは警戒しているわけ」
「うーん・・・何が起きてるの?」
「それは私たちもわからない。だから警戒することしかできないんだよ」
「マリーさんの所へ行かないとなんだよねぇ」
困った、という表情のリオン。
145 FBX@The serious desease of... ◆4gA1RyNyf. sage 2012/05/13(日) 17:34:07.62 ID:6cgdu3QN
「ともかく私から言えることは、においのする方向へは近づいてはいけない」
「そっちにいそうな気がするんだけどもね」
「命より大切な物ってことではないのだろう?」
「うん。お使いみたいなものだし」
「なら、早めに帰った方がいい。エイダは賢い人間だから、許してくれるはずだ」
エイダとはリオンの母親である。
人間の10倍近い寿命を持つエルフにとっては、人間の2世代を見守ることなど容易い。
ミリスはエイダが幼い頃からの友であり、リオンが生まれた時にも立ち会っていたほどだった。
「わかった。今日は早めに帰るよ」
「それがいい」
リオンは立ち上がる。
「万が一のため、これを渡しておこう」
ミリスが小さい棒状のものを渡す。
「?」
「この森の枝で作った笛だ。私たちエルフにだけ聞こえる音が出る」
「えー、そんなのあるんだ・・・」
「吹けば近くにいるエルフが来てくれるだろう。私の名前を出せば彼女らもわかってくれる」
「うん、わかった」
ミリスから安全の切り札をもらい、リオンはエルフの集落を後にした。
集落を出てからしばらく歩くと、小さい湖があった。
「結構歩いたし・・・ここで少し休もうかな」
リオンは湖畔に腰掛け、持っていた水筒の水を飲む。
そこでふと違和感を感じた。
「ん・・・、なんか甘いにおいがする?」
周囲を見渡すが、特に異常は見当たらない。
湖の周りには静かな森が広がっているだけだった。
146 FBX@The serious desease of... ◆4gA1RyNyf. sage 2012/05/13(日) 17:41:31.10 ID:6cgdu3QN
いや、その時点ですでにおかしかった。
本当に静か。
虫や小動物が動く音すらしないのだから。
「え、なんか静かすぎる・・・? まずいかな」
リオンは水筒をしまい、立ち上がる。
が、立ち上がれなかった。
「あ、あれ??」
体に力が入らない。
「おかしいな、立ち上がれないほど疲れてたなんて・・・」
そこでリオンの背後にある湖で、ごぼりという音がした。
「!?」
リオンは振り向いて音の正体を探る。
しかし何か生物がいる気配はしなかった。
「え、何あれ・・・ 水の色が変わっていく?」
そう、湖の中心から青緑色が広がってきていた。
そしてそれが湖畔に近づくにつれ、リオンの感じていたにおいが強くなっていく。
「うそ、これやばいんじゃ」
「あらぁ、リオンじゃない」
「え?」
森の奥から声が聞こえた。
がさがさと草を分ける音がし、その声の主は姿を現す。
「マリーさん」
「何してるの、こんな所で」
「よかった、マリーさんに用事があったの」
「用事?」
「うん。マリーさんの蜜をお母さんが欲しがってて」
「あら・・・ エイダもお盛んね」
「お盛ん??」
「ふふふ・・・」
147 FBX@The serious desease of... ◆4gA1RyNyf. sage 2012/05/13(日) 17:45:17.35 ID:6cgdu3QN
マリーは淫蕩な笑みをうかべ、リオンに近づく。
しかしその動作は途中で止まった。
「いけない・・・ リオン、早く森から出て」
「えっ?」
「湖の水を見なさい。あれはとても危険な水」
「あの青緑色っぽいのが危険なの?」
「そう。このにおいがわからないかしら」
「においって、甘いにおいのことかな」
「わかってるなら早く森を出なさい。そしてしばらく近づいてはダメ」
「いったい何があったの? ミリスさんも危険危険って」
「ミリスが言うなら間違いないわ。さぁ早く!」
マリーは全身をプルプル震わせている。
「で、でも体が動かないの」
「もうそこまで毒されて・・・ちょっと我慢してね」
マリーはその体の一部であるツタを伸ばし、ミリスの前に持って行く。
するとツタの先端には花弁ができ、花が開いていく。
「この花の香りをかげば治るわ。さぁ、私が正気のうちに早く」
「う、うん」
リオンは花に顔を近づけ、息を吸う。
まるで感覚を失ったようだった体は途端に回復していく。
「しばらく蜜は諦めるようにエイダに言うのよ。いいわね」
「わかった」
リオンは立ち上がり、歩き始める。
「集落の他の人間にも伝えて。エルフから連絡があるまで森に入ってはダメって」
「マリーさん・・・ うん」
「急いで。他の魔物が現れるかもしれないわ」
148 FBX@The serious desease of... ◆4gA1RyNyf. sage 2012/05/13(日) 17:49:07.32 ID:6cgdu3QN
リオンはうなずき、走り始めた。
「くぅ・・・、気持ちいい・・・」
リオンが去った湖畔でマリーは顔をとろけさせる。
マリーの体は植物の花弁から生えている形だ。
膝元あたりまでが花弁に隠れており、そこから上は人間と何ら変わりは無い。
その体の色が緑色をしているという点以外は。
「リオンん・・・逃げてねぇ・・・」
悩ましく体をくねらせ、マリーは右手で秘所に触れる。
「あはぁ・・・」
右手は快楽を生み出すための動作を始めた。
「湖も・・・汚染されちゃってるのねぇ・・・」
ゆっくりと顔を湖に向ける。
水の色はもうほとんどが青緑に染まってしまっている。
そして更に黄色っぽい水が中央から湧いてきているようだ。
「ミリスは気づいてるけどぉ・・・あたし、もうリオンに会えないかもね・・・」
そう自嘲すると、湖の水が一気に盛り上がる。
「あ・・・」
姿を現したのは何らかの生物らしきもの。
ぬめる体表からはイソギンチャクのような無数の触手が生えている。
ちょうど大型の魚類が口を開けているような姿のそれは、その口から強烈な甘い香りを発している。
「なに・・・、あれが原因なのぉ」
そのマリーの声を聞くが早いか、その謎の物体は口から粘液質の液体をはき出す。
「きゃあ!?」
全身でその液体をかぶったマリー。
「え・・・なに、この液体・・・動いて」
粘液まみれのマリーは快楽の中で不安を感じる。
そしてその不安は現実のものとなった。
「あ・・・あ・・・」
粘液はマリーの全身を覆うと、微細な震動を起こし始めた。
149 FBX@The serious desease of... ◆4gA1RyNyf. sage 2012/05/13(日) 17:56:52.77 ID:6cgdu3QN
「ああ・・・あ・・・」
もはやマリーは言葉すら発することが出来ない。
そう、粘液は微細な震動を起こすことでマリーに快楽のみを与えているのだ。
そしてその震動は徐々に大きくなっていく。
「ふああ・・・」
やがてぐじゅぐじゅという音を立て始める。
湖に現れた謎の生命体とマリー以外何もいない、静かな湖畔に卑猥な音が響く。
「なにこれぇ・・・すごいぃ・・・」
別にマリーが自慰行為をしているということはない。
彼女は何もしていない。
秘所につっこんだ右手すら動かしていないのだ。
粘液から与えられる快楽だけで悶えているのである。
「ああ、あああ・・・らめ、いくぅ」
ぷしゅぅ、という子気味の良い音がした。
マリーが絶頂したのだった。
右手は秘所から引き抜かれ、体を弓なりにして快楽に身を任せている。
そこで粘液が次なる動作を始めた。
「あひゃあああ・・・」
体を覆っていた粘液がマリーの秘所へと入っていった。
「すご、はいって・・・いっぱい、きてぇ・・・!!」
8割方粘液が入り込むと、湖で沈黙を保っていた物体が動作を起こした。
粘液を射出した口から青い触手が4本伸びてきた。
それらはマリーの秘所、口、乳首の4カ所へと入り込み、あるいは吸い付く。
「んむぅうう」
(な、なにこれぇ・・・私、どうなっちゃうの)
言葉にならない言葉を胸の中で発する。
しかしそんなことでは、今から行われようとしている淫行は防げない。
謎の物体は更に2本、細い触手を伸ばしてくる。
150 FBX@The serious desease of... ◆4gA1RyNyf. sage 2012/05/13(日) 17:58:45.92 ID:6cgdu3QN
それらはマリーの耳に入り込み、そのまま脳を犯し始めた。
「んほぉおおおおおお!!」
最初の4本からは粘液がどんどん注ぎ込まれていく。
体へ急速に吸収されているらしく、見た目からは体に変化が現れない。
胸に注ぎ込まれている粘液だけが彼女の胸を更に大きくしていく。
「寄生虫セロノイド・・・これか!」
ミリスは文献をあさり、ついに発見した。
1万年ほど前にこの地域へ姿を現し、猛威をふるった寄生虫。
植物系の魔物に強力な寄生力を持つ。
セロノイドは水中に巣を作り、そこである程度繁殖すると地上へ進出する。
巣は水を変化させて作られるため、多少ダメージを与えても意味をなさない。
地上へ進出した固体は、植物系の魔物に大きな効果を与える催淫臭を発する。
時としてその催淫臭は他のタイプの生物にも効果を現すが、そのにおいには気づきにくいという。
まんまと植物系の魔物を犯して寄生したセロノイドは、魔物の体内で爆発的に増殖する。
魔物はセロノイドから与えられる快楽に抗えず、常に発情・オルガスムスを覚える。
セロノイドに操られて魔物が移動すると、その通り道はセロノイドの卵を含む粘液で汚染される。
植物系の魔物は皆、地下からも養分を得る。
セロノイドの卵も同時に取り込み、そして寄生されていく・・・
「く、しかし・・・対処法が書いていない・・・」
そこでミリスは気づく。
1万年前に流行したとして、どうやって終息したのか?
今回姿を現したのはなぜか?
「・・・1万年前に駆除しきれず、何らかの形で封印していたとしたら?」
ありえる話だ。
151 FBX@The serious desease of... ◆4gA1RyNyf. sage 2012/05/13(日) 18:08:41.60 ID:6cgdu3QN
その時代に生きる人々の力ではどうしようもできず、仕方なく問題を先送りする。
そしてその問題は人々の知られざる所で深刻化・肥大化し、後の時代で大惨事を引き起こす。
「だとしたら、封印に用いていた何かがあるはずだ・・・」
ミリスは再び文献をあさるのだった。
触手は凄まじい勢いでうねり続け、マリーの体内に寄生虫の卵を含む粘液を注ぎ続ける。
もはや彼女は子宮も、乳房も、消化器も、そして脳も卵で満たされつつあった。
「むぉ・・・ぉ・・・」
白目をむいてセロノイドの寄生快楽に屈するマリー。
すると、マリーに挿入されていた触手が抜けていった。
十分に卵で満たしたと判断したのだろうか。
「・・・・・・」
マリーはすでに気を失い、全身を痙攣させていた。
湖の物体・・・セロノイドの巣は触手を戻すと沈黙を保つ。
しばらくすると、マリーの体に変化が現れた。
大量に寄生卵を注がれた秘所から黄色の粘液が溢れ始め、足下の花弁へと落ちていく。
花弁には元々蜜が溜まっており、そこに滴る。
瞬く間に寄生卵は蜜を吸収して成長し、無数の蟲が生まれた。
膨れた乳房からも黄色のミルクが流れ始めていた。
緑色の肌は青みがかっていき、生まれた蟲が這いずり始める。
マリーのツタが蠢き始めると、その先端に花弁が現れる。
どれもこれも毒々しい赤紫色をしており、そこから粘液質の液体が吹き付けられていく。
寄生卵のシャワーを浴びながらマリーは目を覚ました。
かつてリオンを見つめていた優しい瞳は、主人であるセロノイドの快楽に溺れた淫蕩な色に染まっていた。
リオンはひたすら走り続ける。
マリーの花の香りが効果を示しており、いつも以上に体が軽いのだ。
155 FBX@The serious desease of... ◆4gA1RyNyf. sage 2012/05/13(日) 21:33:43.56 ID:6cgdu3QN
(やっぱりミリスさんの言うことはほんとだった・・・!)
ミリスはリオンに嘘をついたことがなかった。
エルフという種族自体が真面目気質の強い種族であるが、ミリスは特にそれが強かった。
人間よりも圧倒的に長い寿命の中で、人間を見守る役目を感じていたからかもしれない・・・
「きゃぁっ!」
リオンは地面に伸びていた根に躓き、盛大に転んでしまった。
「いった・・・」
幸いにも怪我はなかった。
「結構走ったけど、まだ距離ありそうだなぁ」
湖からの逃避行はエルフの集落を通らずに実行されていた。
本来はエルフの集落を通った方が近いのだが、マリーの警告から焦っていたため遠回りしていた。
「あら? 人間じゃなぁい・・・」
艶めかしい声がリオンの耳に届いた。
「え・・・」
ミリスもマリーも『危険』と警告する森の中。
聞こえた声に最大限の警戒をし始めた。
「うっふふふふ・・・」
しっとりとした色気の声と共に植物のツタがリオンを襲った。
「きゃぁ!?」
「つかまえたぁ・・・」
ツタはリオンの全身に絡みつき、身動きを封じてしまった。
「ふふふ・・・」
笑い声と共にツタの主が姿を表した。
やはり、マリーと同じアルラウネだった。
「アルラウネ・・・マリーさんの知り合い?」
リオンは恐怖の中でそう質問してみた。
「えぇ・・・そうよ」
「じゃ、じゃあどうして私を」
「マリー様に言われたからに決まってるじゃない」
「えっ?」
「とりあえず捕まえてって言われたから捕まえたのよぉ」
「・・・」
156 FBX@The serious desease of... ◆4gA1RyNyf. sage 2012/05/13(日) 21:34:55.18 ID:6cgdu3QN
(そういえばマリーさんは・・・あの時焦っていた。私を逃がそうと)
冷静にリオンは考えを巡らせる。
(そして今、目の前のアルラウネは『マリー様』って言ってる。じゃあ・・・)
そして判断。
リオンはマリーの花の香気で強化された力で抵抗を始めた。
「きゃ、ちょっとぉ・・・暴れちゃだぁめ」
アルラウネはツタを伸ばし、先端に花を作り出した。
「やだ! 離してよ!!」
「んふふ・・・マリー様から頂いた新しい香り。あなたが実験台よぉ」
ツタの花はそのままリオンの顔に伸び、彼女の口と鼻をふさぐ。
「んむぅ!?」
慌てて息を止める。
しかし全力疾走を続けていた彼女の心拍数は高く、瞬く間に酸素を消費してしまった。
我慢できず、息を大きく吸う。
そしてリオンは花の甘い香りを感じると、一瞬にして気を失った。
「マリー様ぁ・・・連れてきましたぁ・・・」
「・・・合格ねぇ。じゃ、卵を入れてあげる」
「あぁ、早く、早くぅ」
マリーは淫猥な笑みを作ると、十数本のツタを操り目の前のアルラウネの秘所へ突っ込む。
「あひゃあああ、きたぁああああ!!」
すでに粘液まみれだったツタは障害無く子宮の奥深くへ入り込む。
時間を置かず、それらのツタは激しくうねり始めた。
もちろん、リオンを拉致してきたアルラウネに寄生卵を植え付けているのだ。
このアルラウネは、マリーが通った道を偶然通ってしまったのだ。
地表にばらまかれた卵のいくつかが彼女に寄生し、快楽を与え続けた。
やがてセロノイドは彼女の脳に達すると、マリーの情報を流し込んだのだ。
セロノイドの巣であり女王となった彼女に従え・・・と。
「もっと、もっとぉおおお!!」
157 FBX@The serious desease of... ◆4gA1RyNyf. sage 2012/05/13(日) 21:35:43.46 ID:6cgdu3QN
「いいわ。あなたがセロノイドそのものになっちゃうくらい入れてアゲル・・・」
そして更に注そうする勢いを速く、そして強くするマリー。
もはやリオンの知る優しいマリーは存在しないのだ。
やがて寄生卵の粘液を注がれすぎたせいか、アルラウネは口から盛大に粘液を吐き出して果てた。
「くっふふふふふ・・・セロノイド漬けアルラウネ・・・素晴らしいわぁ・・・くはぁ」
マリーの体表を這いずるセロノイドが彼女の乳首を優しく噛んだ。
「いいわ、もっとしなさぁい・・・この森を私の、セロノイドのものにぃ・・・」
青く染まったマリーの体。
秘所ではセロノイドが激しく出入りを繰り返し、マリーを満たし続ける。
足下の花弁の蜜からはセロノイドが生まれ続け、周囲の草むらへと旅立っていくのだ。
そう、今やマリーはセロノイドの巣であり女王。
彼女の体内で寄生虫は生まれ、成長し、そして卵を産み続ける。
地表へと降り立った固体は森へと出て行き、他の植物系の魔物へ寄生するのだ。
「う・・・」
ツタをほどかれていたリオンが目を覚ます。
「ふふふふ・・・」
マリーは邪悪な笑みを浮かべ、ツタを伸ばす。
リオンの意識が覚醒する前に絡め取ってしまう。
「ここ・・・は・・・」
ぼーっとする頭で周囲を見渡す。
少しして、ようやく自分が何かに絡みつかれて動けないことに気づく。
「え・・・なにこれ・・・って、マリーさん?」
そして目の前に寄生虫の母となったマリーの姿を認めた。
「んふふふふふふ・・・おはよう、リオン」
舌なめずりをするマリー。
「マリーさん、森はだいじょ・・・!?」
やっとリオンは異常に気づいた。
マリーが彼女の知る姿ではないことに。
「森は大丈夫よぉ・・・私の物になるんだしね」
「え・・・」
「でもねリオン。私は森だけじゃ足りないわぁ」
158 FBX@The serious desease of... ◆4gA1RyNyf. sage 2012/05/13(日) 21:36:56.33 ID:6cgdu3QN
「・・・」
マリーの変貌ぶりに恐怖することしかできないリオン。
「人間の所にも行ってぇ・・・ふふふふ・・・・・・あら、お目覚めね」
そしてマリーの視線が移る。
先ほどマリーに寄生卵を大量に注がれたアルラウネの元へと。
そのアルラウネは異形となっていた。
一見すると通常のアルラウネの形なのだが、腰のあたりに新たな器官が出来ていた。
マリー同様、胸は肥大化しているしセロノイドが這いずり回っているのもある。
「それじゃあ・・・リオンであなたの新しい力を試してみなさぁい」
「あはぁ・・・はぁい・・・」
アルラウネはリオンの元へ近づく。
「かわいい・・・人間の女の子ってこんなに・・・」
「い、いや・・・来ないで・・・」
「つれないわねぇ。マリー様とは仲良くしていたんでしょ?」
「それは」
「別にいいじゃない。あたしはマリー様の奴隷。そう、蟲さんの奴隷でもね・・・」
アルラウネの新しい器官から一本の非常に細い触手が伸ばされた。
そのままリオンに近づくと、リオンの胸を突き刺さる。
「うっ・・・!?」
「ちょっと血をもらうだけよ・・・ふふ」
すぐにそれは抜かれる。
「マリー様、強い蟲さんを一匹・・・」
「強い子を? いいわ。・・・んはぁ」
びじゅる、という卑猥な音がマリーの股間で聞こえた。
出入りしていた蟲がどくと、股間の穴から一回り大きめの蟲が出てきた。
蟲は地表を這うと、アルラウネの体へ上っていった。
「ふふふ・・・さ、血と混ぜてアゲル」
アルラウネは蟲をつかむと、腰の器官の口へと入れてしまう。
「・・・」
リオンはひたすら見守ることしか出来ない。
その新たな器官からは粘液質の音が大きく聞こえる。
取り込んだ蟲を砕いて溶かしているような・・・そんな音。
「さぁて・・・どんな子が産まれるのかしらねぇ・・・ふふ」
159 FBX@The serious desease of... ◆4gA1RyNyf. sage 2012/05/13(日) 21:37:32.15 ID:6cgdu3QN
「ね、ねぇマリーさん・・・何をするつもりなの・・・?」
「さぁ? あの子の企みだからわからないわねぇ」
全て見通しているような笑いを浮かべるマリー。
ツタに拘束され、マリーを見上げるような状態のリオンは背筋が冷たくなった。
「出来た」
リオンは、彼女の後ろにいるアルラウネの声をを聞いた。
そして音もなく迫ってくるアルラウネ。
マリーはツタを操り、リオンをアルラウネの方へ向ける。
「で・・・何をしたの?」
あいかわらずニヤニヤしながらマリーが問う。
「うっふふ・・・マリー様の蟲さんを人間に寄生するよう作り替えましたぁ」
「あらぁ、それは面白いわねぇ・・・」
白々しく言うマリー。
「そろそろ夕方だし、一気に寄生させちゃいなさぁい」
「はーい」
「い、いや! やめて!!」
リオンはツタに拘束されながらも暴れるが、セロノイドに強化されたツタはびくともしない。
アルラウネの腰にある異形の器官がリオンの秘所に接触した。
「ひっ・・・」
「さ、あなたの大事なご主人様よぉ・・・んふぁあ」
喘ぎ声と共にぐじゅりという音がし、その異形の器官から大きな蟲がひり出された。
蟲はそのままリオンの秘所に張り付く。
「い、いやぁ変なものくっつけないでぇ!!!」
「大丈夫、すぐ良くなるからぁ・・・ふふふ」
「これでリオンも仲間なのねぇ・・・」
マリーは恍惚の表情でリオンを見つめる。
「今だから言っちゃうけどぉ・・・私ね、リオンを犯したかったの」
「え・・・」
その告白にショックを受けるリオン。
親しくしていたマリーが、そんな思いで自分を見ていたことに。
「う、嘘でしょマリーさん・・・」
「嘘じゃないわ。じゃあ聞くけど、アルラウネの蜜は何に使うか知ってるの?」
「え・・・知らない・・・」
「でしょお?」
160 FBX@The serious desease of... ◆4gA1RyNyf. sage 2012/05/13(日) 21:38:24.79 ID:6cgdu3QN
これだから人間の子供は、というような表情で二匹のアルラウネは苦笑する。
「教えてあげる。アルラウネの蜜はね、媚薬そのものなの」
「び、びやく?」
「そう、媚薬。生き物をエッチな気分にしちゃう成分が入ってるの」
「エッチって・・・ええ??」
「それを欲しがるリオンのお母さんって・・・うふふふふ・・・」
「お母さん・・・どうしてそんなものをほしええああ!!」
突然リオンは悲鳴を上げた。
「いやああ、入ってこないで!!」
秘所に密着した蟲がリオンの中に入り込み始めたのだった。
「ほらほら、どんどん入っちゃっていいのよぉ~」
蟲を生み出したアルラウネはそんなことを言いながら手で蟲をぐいぐいと押す。
その勢いもあり、蟲はかなりのスピードでリオンの中に入り込んでいく。
「きもちわる、やめてやめてぇ」
「ほぉら、もう半分以上入っちゃったわよぉ・・・」
「こんなに大きな蟲さんが簡単に入っちゃうなんてねぇ、リオンはエッチだったのね」
マリーが卑猥な台詞を発する。
「まぁそうよねぇ、リオンを産んだエイダももう若くないのに・・・
なのにアルラウネの蜜を欲しがるだなんてね。ひょっとして淫乱の血筋なんじゃなぁい?」
「ほら、もうほとんど入っちゃったわぁ」
「ぃ・・・いやぁ・・・」
自分の胎内に異物が侵入してくる異常な感覚に耐えるリオン。
しかし耐えたところで何も変わらない。
(ミリスさんの笛さえ・・・ふければ・・・)
もちろん、全身を拘束されているリオンにはそんなことは不可能だ。
「はい、全部入っちゃった」
「え」
リオンは自分の股間を見下ろす。
そこには何もなかった。
確かに先ほどまで異物がくっついていたのだが。
「気分はどう? 悪いってことはないはずだけど・・・」
マリーはリオンの顔をのぞき込む。
「マリー様ぁ、リオンちゃんはまだ若いからぁ・・・」
「そっか、エッチなことなんか知らないのかな~」
「知らない! 知らない知らなぁ!??」
そこでリオンの台詞は途切れた。
拘束されながらも体を弓なりに反らし痙攣している。
161 FBX@The serious desease of... ◆4gA1RyNyf. sage 2012/05/13(日) 21:39:20.52 ID:6cgdu3QN
「あれ? ひょっとしてイった?」
「あ・・・あ・・・」
うめき声を上げ、白目をむいて痙攣するリオン。
「うーん??」
リオンに蟲を入れたアルラウネは体勢を低くし、リオンの秘所をのぞき込む。
指で広げ、膣の中を観察する。
「あー、中で蟲さんが触手をぬるぬるしてますねぇ」
「奥の方は見える?」
「いやー、さすがに暗くて・・・」
「卵巣まで汚染してくれればいいんだけどね」
「なんだ、マリー様やっぱりわかってる・・・」
「当たり前でしょ。誰があなたを改造したと思ってるのよ」
「えへへへ・・・スケベな魔物にしてくれてありがとうございますぅ」
「ま、とりあえずはこれでよし。リオンを森の外に連れて行くわよ」
「はーい」
マリー達アルラウネにつれられ、ただ絶頂を繰り返し続けるリオンは運ばれていく。
森の外に到着する頃には日も暮れており、心配した集落の人間が来ていた。
「お・・・お、アルラウネ殿か」
先頭にいた人間の男が気づく。
「あらぁ、人間の・・・だぁれ?」
「リオンの知りあいです。リオンは・・・」
「あぁ、ちょうど良かった。リオンを連れてきたのよぉ」
ツタを操り、マリーはリオンを人間の集団に渡す。
「たまたま水辺で見つけたの。怪我はしてないと思うけど、念のため安静がいいわねぇ」
「おお、ありがとうございます」
「それとぉ・・・この子が欲しがってた、アルラウネの蜜よ」
液体の詰まった小瓶を渡すマリー。
「あ、アルラウネ殿の蜜を・・・この子が?」
「えぇ。何でもエイダに頼まれたとかって」
「エイダが? ふーむ・・・」
「ま、深く関わらないのが吉ってねぇ。私たちはこれで失礼するわぁ」
そう言って森側へ下がるマリー。
162 FBX@The serious desease of... ◆4gA1RyNyf. sage 2012/05/13(日) 21:40:13.49 ID:6cgdu3QN
「あー、そうでしたな。だから我らはうまくやってこれたというもの」
「そういうことよぉ。それじゃあね」
「リオンが世話になり申した。いずれ礼に伺います」
その言葉に、マリーは背中を向けて手を振る。
人間達はリオンを自宅へと運び込むのだった。
エイダはリオンが到着すると、何も言わずにベッドへ寝かせた。
自分がアルラウネの蜜を頼んだためにこうなったのだから・・・と。
目が覚めたらきちんと謝ると心に決め、エイダは自分の寝室へと戻っていった。
深夜。
一日経過しないうちから異常が起きていた。
リオンの股間から大量の触手と粘液が溢れ、ベッドをびしょびしょにしたのだ。
人間用セロノイドはリオンの子宮に寄生し、確実に彼女を改造していた。
むろん股間から溢れている粘液は寄生卵だらけである。
今や彼女のベッドはセロノイドの巣となっていた。
寄生卵から産まれた幼虫は、リオンのベッドに染みついた汗などを糧に成長していく。
瞬く間にベッドはセロノイドだらけになり、布団の中に満ちていった。
やがて触手はリオンの体を包み込んでいく。
粘液を分泌させながら、リオンはセロノイドにより改造されていく・・・
朝。
リオンの部屋にやってきたエイダは、ドアの外からも異常を感じていた。
甘い香りがするのだ。
リオンは香水を使うような洒落っ気のある少女ではない。
それは母親であるエイダが一番よく知っている。
「じゃあ、このにおいは・・・?」
エイダは意を決してドアを開けた。
「な・・・これは!」
リオンの部屋は一晩にして魔界と化していた。
床には青みがかった触手が張り巡らされ、蟲が這いずり回る。
ベッドがあった位置には触手の塊があるのだ。
そしてどぎつい甘い香り・・・
「り、リオン!?」
163 FBX@The serious desease of... ◆4gA1RyNyf. sage 2012/05/13(日) 21:41:04.25 ID:6cgdu3QN
強い嫌悪感を覚えつつもエイダは触手の塊へと進んで行く。
なんとかたどり着くと、エイダは体に衝撃を感じた。
「え?」
塊から触手が一本伸びていた。
たどっていくと、それは自分の胸を貫いていたのだ。
「うそ・・・」
触手は何やら蠕動している。
同時にその塊は中にあるものを見せるかのようにほどけていく。
『ふふふ・・・』
確かにリオンの声。
だが人間の声帯による声ではないような、そんな声色だった。
「り、リオン・・・なの・・・?」
『そうだよお母さん』
ついに触手がすべて解ける。
そこには黄緑色の肌をした愛娘がいた。
『お母さん。ありがとう。アルラウネの蜜のお使いのおかげでこうなれた』
「こうって」
『森で新種の寄生虫に寄生されたの。ほんとは植物の魔物だけに寄生するみたいだけど』
「・・・」
何も言えないエイダ。
自分の性欲がこの子を変えてしまった。
その自責の念がエイダを硬直させているのだった。
『アルラウネのマリーさん達に新しく蟲を作ってもらったんだ』
その言いようは、あたかも自分が望んで寄生されたようなものになっていた。
「それで、私をどうするの?」
『ふふふふ・・・どうって?』
「もうアルラウネの蜜の使い道、知ってるんでしょう?」
『もちろん。エッチな人が使う媚薬だってね』
「じゃあ・・・」
『お母さんはここでセロノイド生産工場になってもらうから』
「え?」
エイダはセロノイドという言葉が何かを知らなかった。
『あ、そうか。セロノイドっていうのはこの蟲さんのこと』
リオンは自分の体を這いずり回る蟲を一匹、手に取る。
『大丈夫だよ。淫乱なお母さんだったらいくらでも生めるよ』
「い、いや・・・やめて・・・」
『やめるわけないじゃない。お父さんが死んでから、毎晩してたんでしょ?』
「えっ、いやそれは」
164 FBX@The serious desease of... ◆4gA1RyNyf. sage 2012/05/13(日) 21:42:01.92 ID:6cgdu3QN
『ほらね。だからアルラウネの蜜なんかを買いに行かせたんだしね』
「・・・」
『さぁ、この触手に包まれて改造されなさい』
「ひっ、いやああ!!」
有無を言わさずエイダは触手の渦に飲み込まれていく。
リオンは立ち上がり、部屋の出入り口へと歩いて行く。
部屋から出たリオンはいつもと変わらない見た目になっていた。
「くふふふ・・・擬態はいくらでも出来るみたいね」
さらに股間から蟲を作り出すと全身に這わせ、服に擬態させていく。
家を出る頃には擬態は完了していた。
国を治める政府は、街道沿いの集落が壊滅したという発表を行った。
一切の連絡が途絶え、調査に向かわせたチームも帰ってこない、と。
リオンがセロノイド寄生体となってからわずか三日。
たった三日で集落は完全に汚染されつくしたのだ。
「ここが壊滅されたという発表のあった集落です」
彼女は報道の役目を負った政府の人間。
魔法のアイテムを用いて映像を送りながら実況をしていた。
「しかしどうでしょう、見た目には全く変化はありません。のどかな風景です」
配信用アイテムを動かし、周囲の風景を撮影する。
「言うなれば人が歩いていない・・・という点だけです。少し中へ入ってみましょう」
報道担当は足を進めていく。
かつては商人が行き来して賑わっていた広場にも誰もいない。
動物すらいない。
「これはまさしくゴーストタウン・・・本当に、本当に誰もいません」
映像は広場中央の噴水を映し出す。
「この噴水は集落のシンボル・・・、ここに人間が住む礎として作られたものです。
地下からの湧き水は綺麗で、飲み水にも適しています」
噴水の水面に近づく報道担当。
映像もそれにあわせて近づいていく。
「私も少しのどが渇きました。ちょっと失礼して・・・」
報道担当は手で水をすくい、一口飲む。
「いやぁ、おいしいです。それにしても何があったのでしょうか」
「私から説明しよう」
「!?」
165 FBX@The serious desease of... ◆4gA1RyNyf. sage 2012/05/13(日) 21:42:51.88 ID:6cgdu3QN
誰もいない広場に声がこだまする。
「ど、どなたでしょうか・・・」
「さっきからあなたのことを見ていたよ」
「ひっ!」
報道担当の後ろに彼女はいた。
「全く、気づいているなら出てきてくださいよ」
「集落を害する者かもしれないと警戒していたのだよ」
「えーと、見たところエルフですよね。お名前は?」
「ミリスだ」
「ミリスさん、この集落で何か事件があったのでしょうか?」
「あぁ、あったよ」
「や、やはり・・・」
「知りたいのか?」
「私はそのために派遣されてきたんですよ」
「なるほど」
ミリスは噴水の近くに腰掛ける。
「ところで・・・この水を飲んでいたね?」
「はい、飲みましたけど」
「そうか・・・ならば、残念だけどあなたはもうこちら側の存在」
「え?」
「それは撮影用のアイテムかな?」
「はい」
「じゃあ、あなたが染まっていく様を国中に生中継することになるんだな」
ミリスはニヤニヤと笑う。
「いったい何を言って・・・」
「こういうことだよ」
言うと、ミリスは報道担当を抱きしめてキスをした。
そのまま口から触手を伸ばし、報道担当の中に埋めると寄生卵の粘液を流し込む。
報道担当が汚染され尽くすのに時間はかからなかった・・・
そうして、国中の人々がセロノイドに汚染されていく。
最初はマリー、リオン、エイダ。
166 FBX@The serious desease of... ◆4gA1RyNyf. sage 2012/05/13(日) 21:44:08.72 ID:6cgdu3QN
エイダが自宅で寄生卵を産み、溢れさせていく。
家に収まらない分は家の外に溢れ、地面にしみこむ。
大地が汚染されると道ばたの植物が汚染されていく。
元々植物系の魔物に寄生する蟲だけあり、植物への汚染は速かった。
田畑の作物が汚染されると更に人間への寄生は促進される。
リオンが集落に戻った翌日、リオンはミリスにもらった笛を吹いた。
1時間としないうちにミリスが駆けつけたが、もちろんそれはリオンの罠。
ミリスも抵抗ままならずにあえなく寄生され、セロノイドの奴隷となってしまった。
もはやアルラウネどころか人間も、そしてエルフも。
みんなセロノイドに寄生されていた。
そして快楽のままに卵を産み、お互いに犯しあう。
新たな旅人が通りかかれば寄生させて旅立たせる。
時々はマリーやリオンが他の街へ出向き、直接手を下す。
といってもオナニーをしているだけで街一つが完全に汚染されるというから恐ろしい。
それほどまでにセロノイドの感染力は強力だった。
この大陸がセロノイドの巣窟となるのも、そう時間はかからないだろう――
-The serious desease of... "EVERYTHING" : fin. -
167 FBX ◆4gA1RyNyf. sage 2012/05/13(日) 21:45:49.51 ID:6cgdu3QN
と、こんな感じで。
かなーり久々なのでイージーミスやらかしてるかもですけど。
五行戦隊の人が来たのを思い出して、やってみました。
野生の魔物の生態は気になるとこだけど、それはこのスレと違うテーマなのでw
そこは深く突っ込まないでくださいw
まぁモンスター娘スレあたりで議論されたりするだろうけどw
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