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288 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/09 20:56 ID:ARMilWxl
「BIOLOGIC宇宙生物研究所」が派遣した
調査隊の、警護を依頼された私は・・・
あの、惑星SR388へ、再び足を踏み入れることとなった。
メトロイドの巣窟であった、この惑星はまた・・・
私とベビーメトロイドが、出会った場所でもある。
今回の目的は、メトロイドが絶滅した後の
SR388の調査であった。
そして私は、今まで見たこともない生命体に、
襲われてしまったのだ。
私にとりついた生物の正体が、
「X」という寄生生物であったことは、後にわかった。
事の深刻さに気づかず、帰路についていた私を、
突然の異変が襲った。
「X」に神経中枢を侵された私は、意識を失い、
アステロイドベルトに突入してしまった。
激突の直前に、自動的に放出された、脱出ぽっどを
調査艇が回収し、銀河連邦本部へ運び込んだ。
しかし、到着までの間に増殖した「X」は、
私の身体を、パワードスーツごと大きく蝕んでいた。
289 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/09 20:57 ID:ARMilWxl
バイオ素材のパワードスーツは、装着時、私の身体と
一体化することが、事態を深刻化させてしまったようだ。
意識の無い私からスーツを脱がせることはできない。
したがって・・・
「X」に蝕まれたスーツの大部分は、身につけたまま
切り取られてゆき、私の姿をしだいに変化させていった。
だが、神経中枢の奥深くまでを浸食した「X」を
取り除くすべはなく、私の命は絶望視されていた。
ところが、唯一の治療法が見つかった。
「X」を除去できるワクチンが、
メトロイド細胞から作り出せるというのだ。
あの、ベビーメトロイドの細胞組織の一部が
連邦によって保管されていたらしい。
すぐにワクチンが作られ投与された。
ワクチンの効果は絶大であった。
結果、「X」は、みるみる消滅していった。
そして、私は奇跡的に一命を取り留めた。
その容姿を大きく変化させ、よびがえったのだ。
この事実をかみしめながら、今私は思う。
ベビーは、再び私の命を救ってくれたのだと・・・
CP「まもなく『B.S.L』に到着する。すみやかに、着陸態勢に移れ。」
スターシップのコンピュータが、通称「B.S.L」、
「BIOLOGIC宇宙生物研究所」への接近を告げた。
290 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/09 21:04 ID:ARMilWxl
調査隊が今回捕獲した生物は全て、
私の手術中に、「B.S.L」へと運び込まれていた。
やがて意識を取り戻した私は、「B.S.L」で起きた
原因不明の爆発事故を、知ることとなった。
その事故の報せに、言いしれぬ不安を覚えた私は今、
状況調査のため、「B.S.L」へと向かっているのだ。
その「B.S.L」における、私の行動は全て
このスターシップのコンピュータが、管理するようだ。
この無愛想な司令官に従うことを条件に、
連邦は新しいスターシップを、提供してくれたのだ。
他人に行動を指示されることを好まない私ではあるが、
司令官の下での任務は、これが2度目である。
そのことに気づき、私はふと・・・
ある人物の名前を、思い出した・・・
METOROID FUSION オープニングより抜粋
294 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/09 21:30 ID:ARMilWxl
スーツのほとんどを切り取られた私は、ほぼ全ての能力を失ってしまった。
チャージビームやプラズマビームはおろか、ミサイルまで撃てないのだ。
果たして、今の私にこのミッションを完遂できるのだろうか――
スターシップよりB.S.Lに降り立った私。
まずは生命反応のある、特別格納庫を目指せとの指示だ。
しかし、あのゼロミッションも私は攻略したのだ。
今回も、やり遂げてみせる・・・
スムーズに司令官の指示をこなしていく私。
いくつかの能力も取り戻し、その感覚に懐かしさを覚えていた。
チャージビームの、右手に熱い力が宿る感じ。
ハイジャンプの高揚感。
スピードブースターの疾走感。
その程度しか取り戻せていないが、しかし私にはうれしいものだった。
次の指示はバリアスーツをダウンロードせよとのこと。
銀河連邦が私を応援するために、データを作成してくれたそうだ。
295 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/09 21:39 ID:ARMilWxl
単にXを吸収する以外に、データをダウンロードしても取り戻せるようだ。
早速バリアスーツをダウンロードするため、データルームに向かう私。
しかし、その部屋に入った瞬間、私は絶句した。
なんと大型のXが、データをダウンロードしているのだ。
黙って見ているわけにもいかず、私は右手のアームキャノンからビームを放つ。
だが意味をなさないようだ。
しばらくすると、その大型のXはノードを破壊した後に去っていった。
「・・・」
念のため、ノードの様子を探る私。
完全に壊れてしまっているようだ。
だが、そこで私は妙なものを見つけた。
明らかにバリアスーツ以外のデータが、ノードに入っていたようなのだ。
他の能力のデータかもしれない。
私はそう思い、次の部屋に向かった。
するとそこには、先ほどデータをダウンロードした大型のXが。
奴は何かウニのような生物に擬態し、私に襲いかかってきた。
「くっ」
その突進を回避し、ミサイルを撃ち込む。
だがそのXは、ミサイルをはじいてしまった。
330 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 19:50 ID:6cGxLtQC
おかしい。
今までの「特殊なX」は、基本的にミサイルを撃ち込めばダメージを与えられたはず。
あの巨体に、まさかボムを使うわけにはいくまい。
ならば。
私は右手のアームキャノンに目を向けた。
「これで!」
チャージビームを最大限までため、大型のXに打ち込んでみた。
着弾。
するとその大型Xは、まるでよろけるように後ずさる。
・・・効いている?
期待できるレベルまでの挙動を示してはいないが、
しかし何らかのダメージは通っているかもしれない。
私は再度、チャージビームのエネルギーをため始めた。
だが、そのときウニ形状に擬態したXは、再び私に攻撃を仕掛けてきた。
すでにハイジャンプ能力は取り戻したが、微妙に高さが足りなかった。
「!」
足に衝撃が走る。
いくら弱体化してしまったとはいえ、パワードスーツを着用しているのだ。
若干のダメージで済んだようだ。
むろん、生身で受けていたら大惨事だったろう。
331 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 19:59 ID:6cGxLtQC
チャージビームのエネルギーは回避時のチャージアタックに使ってしまった。
再度ためる必要がある・・・。
空中でバランスを取り戻すと、私は足場に着地した。
敵の動きをしっかりと見切る。
そして満タンにまでたまったエネルギーを、大型のXに向けて放出した。
「やはり・・・」
そのXは、確かにダメージを受けているようだ。
ミサイルではなく、チャージビームによって――
そうと分かれば、あとは敵の攻撃にだけ注意すればよい。
私はつかの間の、有利に運べる「戦闘」という名の陶酔に身を沈めていった。
擬態を解除させ、真の姿を現したX。
この形状に変化させればミサイルは通る。
数発のミサイルを撃ち込み、私はついに大型ウニ形状Xを撃退することに成功した。
抵抗する力を失ったXは、空中でふわふわと浮遊している。
そのXの色は、ほのかにピンクを帯びた黄色であった。
「特殊なX」は通常のXとは異なり、サイズも大きい上に色も異なる。
私はXに近づくと、それを体内に吸収していった・・・。
同時に、パワードスーツの表面が何かでコーティングされていく感覚。
「これは・・・」
あのスペースシップの司令官が話していた、バリアスーツのデータだ。
332 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 20:09 ID:6cGxLtQC
パワードスーツは黄色っぽい光を放つと、その色に染色された。
「・・・」
また一つ、私に能力が戻った。
現時点での脅威であった、ブルーX――私に対抗するために変化したXであり、
これを吸収してしまうと急速に冷却され、ダメージとなってしまう――への抗体も完成した。
「そういえば・・・」
先ほど撃退したウニ形状のXは、データルームのノードからバリアスーツデータをダウンロードした。
その現場を目撃した時、気になるデータがコンソールに表示されていたような・・・。
気になる私は、一度データルームへ引き返すことにした。
つい先ほど、この部屋は大型Xによって破壊されたばかり。
私はあたりに散らかる残骸の上を歩き、コンソールに目を向けた。
「・・・」
どうやら、データのダウンロードモジュールは破壊されてもこのコンソールは生き残ったようだ。
あのXがバリアスーツデータをダウンロードした際に、同時にダウンロードした可能性がある。
すなわち、それを吸収した私にもそのデータが影響しているかもしれないのだ。
司令官からはバリアスーツ以外の話は聞いていないため、調べなければならない。
万が一、害のあるデータだとしたらミッションに支障を来す。
私はコンソール付属のキーやスイッチを操作し、生きているデータを見ていく。
333 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 20:19 ID:6cGxLtQC
「ん・・・?」
データの群れの中に、私はデータルームのダウンロード履歴情報を発見した。
これを見れば、先ほどの大型Xが何を余計にダウンロードしたか、そして私に宿ったかがわかるはず。
その中身を表示させてみる。
大型Xより以前にも、ここのデータルームの利用者はいたようだ。
B.S.L.の職員であろう。
問題は先ほどのXだ。
履歴情報を最新の日付へとフォーカスを移す。
「これか・・・」
セクター6 NOC データルーム利用履歴
現時刻より15分前
利用者ID:不明
利用者名:不明
ダウンロードデータ:BARIA.SAF PAR-SX.SAF
備考:不明な利用者です。本データノードは不特定利用を認めています。
不正アクセスが検出された場合、自動的にシャットダウンされます。
ステータス:データは正常に転送されましlっkdgh
履歴情報が最後まで記録されていない。
334 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 20:30 ID:6cGxLtQC
恐らく、Xがノードを破壊したために最後までコンソールに出力されなかったのだろう。
末尾のSAFは、SAMUS-FIXであろうか。
まぁ、それはあまり問題ではない。
BARIA.SAFはバリアスーツデータということが容易に分かるが、問題は後者。
私は後者のデータを検索し、アナライザーに読み込ませた。
「ん・・・?」
私自身にはデータ解析能力はない。
パワードスーツの能力を用いて、解析をしていく。
そして、そこに妙なものを発見した。
パワードスーツの根幹に関わる部分をプログラムしてあるのだ。
古代の鳥人文明の産物である、このパワードスーツ。
ゼロミッションにおいて入手した、私の相棒。
それを作り替えようというのか・・・?
とにかく、私は何が書き換えられたのかを調べることにする。
「何・・・」
明らかにおかしい。
胸や股間など、至る所のスーツ感度が異常な値に設定されているではないか。
この状態で該当箇所に攻撃を受けたら、一体どうなるのだろう・・・。
一抹の不安が、私の頭に生まれた。
「だがしかし・・・」
そう、司令官に問う以外に知る術はない。
私は妙な焦燥感に駆られながら、データルームを後にした。
各セクターの出入り口には、必ずナビゲーションルーム――司令官から指示を受ける設備――がある。
私はセクター6のナビゲーションルームにて、この怪奇なデータを報告した。
335 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 20:38 ID:6cGxLtQC
「バリアスーツデータ以外については何の連絡も入っていないが・・・」
「そうなのか?」
「うむ。本部からは特に何もない。」
「では、あのデータはどう説明できる?」
「君が来ることを想定したB.S.L.の職員などいるわけはないだろう。」
「誰もがXなどという生物が潜んでいるとは思わないだろうし・・・」
「ならば、技術者に擬態したXがデータを作成したのではないか?」
「何?」
「憶測にすぎんが・・・、Xが様々な生物に擬態するのは君なら嫌と言うほどわかっているはずだ」
当然である。
一度擬態をといても、奴らはしつこく再び擬態しようとする。
生に対する執念、というものであろうか。
「その時、擬態した生物の記憶や知識なども模倣できるとしたら・・・?」
「!」
「君に害のあるデータを作成することも、また不可能というわけではないということだ。」
「まんまと食わされたと?」
「いや、そうとは言い切れない。あくまで仮説にすぎん。」
「他の要因による可能性は?」
「先ほども言ったが、職員が君が来ることを予測していた場合だな」
「それは無い、と否定したのでは・・・」
「職員が全滅している今では、誰にもわからん。あくまで可能性の話だ。」
336 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 20:45 ID:6cGxLtQC
「・・・」
「とにかく、この件については本部に伝えておこう。何かわかれば、君にも知らせよう」
「了解した」
「さて、次の君の行動だが――」
やはり気になる。
この司令官が嘘をついている可能性もある・・・。
私は、人に指図されるのを好まない。
そのせいか、多少人間不信になっているのであろうか。
アイスミサイルデータをダウンロードし、ナビゲーションルームに戻ろうとしたその時。
突然警報が鳴り響き、警告らしき電子音声が流れた。
「!」
私はただごとでないことを感じ取り、ナビゲーションルームに急いだ。
「セクター3の室温が急上昇している」
「高温エリアか?」
「そうだ。最奥部にあるボイラー装置が何者かによりハッキングされている」
「ハッキングだと? 職員は全滅したはずじゃないのか?」
「ほぼ全滅、と言ったはずだ。職員かもしれないが、あるいは他の原因かもしれん。」
「どうすればいい?」
「セクター3最奥部に急行し、原因を解明せよ。実力排除でも構わん」
「了解した」
司令官とのブリーフィングを終えると、私はセクター3に急いだ。
セクター3。
高温環境を再現した施設。
337 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 20:57 ID:6cGxLtQC
以前来たときより、明らかに室温が上昇している。
最奥部のボイラー装置ハッキングの影響であろう。
私は今までは高温のために入れなかったマグマ地帯に足を踏み入れた。
すぐにバリアスーツが功を奏し、私は難なく進んでいく。
ボイラー室にたどり着くと、そこには機械を操作する職員の姿。
生き残りだろうか。
「おい?」
声を掛けるが、反応がない。
周囲の騒音が大きいために聞こえないのだろうか。
「おい、何をしている?」
声を大きくし、もう一度。
やはり反応はなく、職員はボイラー操作パネルをいじくっている。
明らかに聞こえる距離なのに反応がない。
まさか・・・
私は距離を置き、アームキャノンからビームを放つ。
職員に命中すると、そいつはこちらを初めて向いた。
・・・見た目は人間のようだが・・・。
「!!」
いや。
人間ではなかった。
職員は、Xが擬態していたのだ!
すぐに私は戦闘態勢になると、ミサイルを用意する。
338 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 21:06 ID:6cGxLtQC
このタイプの大型Xは、こちらに向けてビームを放ってくる。
それは確かに私が失ったはずのワイドビーム。
チャージビームを取り戻す際に戦ったXも同じであった。
順当にビームをかわしながら、ミサイルを撃ち込んでいく。
数発食らってしまったが、どうにかなりそうだ。
自分の能力ながら、実に有効な武器だ。
広範囲に放てるため、私も回避がつらい。
何発目になるだろうか、ミサイルを命中させると大型Xはその堅い膜を失い、ふわふわと漂うだけになった。
「はぁ、はぁ・・・」
相当にスーツのエネルギーを消耗してしまった。
私と一体化するため、私も体力を消耗してしまう。
このXを吸収することで、エネルギーも体力も回復するだろう。
私は職員に擬態していたXを吸収した。
「これで・・・」
壁に向けてビームを放つと、それは確かにワイドビームだった。
こうして私はまた一つ、能力を取り戻したのだった。
――ブリーフィングルーム。
「・・・どうやら先ほどの仮説が正しいようだな」
「Xは擬態した生物の記憶、知識をも模倣するというアレか?」
「そうだ。恐らくそれで間違いないだろう。」
「では・・・」
「うむ。君が報告した未詳データは、彼ら・・・Xが作成した可能性が大きい。」
339 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 21:10 ID:6cGxLtQC
「・・・」
「メインデッキでの生命反応も、職員のものではなかった以上、彼らの生存は絶望的だ。」
確かにそうだ。
メインデッキには職員の死体がそこらじゅうに転がっていた。
そして、セクター3の職員に擬態したX。
これらは明らかに、職員の全滅を意味していた。
「本部からの連絡も、まだない。未詳データはこちらで回収したが、依然として解析中だ。」
「どのくらいかかる?」
「わからん。だが、相当にハイレベルな技術者だったようで、かなりの強度の暗号化がかけられているようだ」
「・・・」
「サムス」
「何だ?」
「異変は無いか?」
「・・・今のところ、何もない」
「ならば良い。我々だけでは、何の対応もできん。本部による解析が終わるのを待つしかないな」
「例えばどんな症状が考えられる?」
「戦闘的なもので言えば、君の能力を全て封印したり、スーツの防御力を低下させたりだろうな」
「・・・」
「恐いか?」
「いや。」
「ミッション中だ。確かに恐怖感を感じることもあるだろう。」
「何を馬鹿な。私は生身の状態で惑星ゼーベスから帰還できたんだぞ?」
「そこで伝説のパワードスーツを入手して、な」
そうだ。
パワードスーツを入手できたからこそ、帰還できたのだ。
340 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 21:16 ID:6cGxLtQC
「過去の話はこのくらいにしよう。本部から、パワーボムデータが送られてきた」
「パワーボムか・・・」
「セクター5のデータルームが生き残っている。そこでダウンロードせよ」
「了解した」
私はディスプレイに背を向けると、ブリーフィングルームを後にした。
「・・・まずい」
サムスの去った後、司令官はその電子頭脳を悩ませた。
セクター5のデータルームに、またしても謎のデータが送られているのだ。
「これ以上未詳データをダウンロードして、何も起きない保証はない」
だが、すでにサムスは去ってしまった。
何も起きなければいいのだが・・・。
セクター5。
寒冷地帯を再現したこのセクターは、雪の降り積もるエリアすら存在する。
データルームはその先だ。
ここでもバリアスーツは役立ってくれている。
ブルーXも吸収し、私は前へ前へと進んでいく。
そして、データルーム入り口。
私はただならぬ気配を感じた。
中に、何かいる・・・
「・・・!」
私は油断せずに、アームキャノンを入り口に向ける。
数秒間そうして警戒したが、何も出てこない。
341 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 21:22 ID:6cGxLtQC
ゆっくりとデータルーム入り口のシャッターに近づく。
「・・・行くしかないか」
諦め、私はシャッターを開けて中に足を踏み入れた。
「!?」
そこには、私がいた。
ダウンロードモジュールに収まっている私――そう、SA-X。
「ちぃ!」
今の私では、SA-Xとは戦えない。
なぶり殺されるのが関の山だろう。
私はきびすを返すと、データルームから出ようとした。
「何! 開け、開けよ!!」
だがシャッターはロックされていた。
反対側のシャッターにビームを撃ち込んでみるが、やはり開かない。
「くっ・・・」
絶望的だ。
いくらバリアスーツを持っていても、アイスビームで凍結しないだけ。
甚大なダメージを受けるだろう。
アイスミサイルを撃ち込んでも足止めにしかならない。
ダメージを与える術はないのだ。
なんとか脱出しようと、私が頭を回転させていると、SA-Xはダウンロードモジュールから離れた。
「!!!」
あわててアームキャノンを構える。
しかし、SA-Xはひるまずにこちらを向いた。
「くくく・・・」
「!」
SA-Xが笑った。
342 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 21:28 ID:6cGxLtQC
「何がおかしい!」
「うふふ・・・、マスターの私? もう袋のネズミだ」
SA-Xは、私の声で私にそう言った。
あえて口調を似せているようだが、本物の私とは若干違う。
艶がある、という感じだろうか・・・。
「だからどうした」
あくまで強気に出る。
「本物の私は、ここでXのしもべになる」
「何を!?」
その瞬間、私はアイスミサイルを放つ。
命中し、SA-Xは一瞬凍り付いたが、しかしすぐに元に戻った。
「ふふ、無意味なことは知ってるはず」
「・・・!」
ならば。
私はビームをチャージする。
ワイドビームを取り戻したのだ、もしかしたら何らかのダメージを与えられるかもしれない。
「それも無駄。プラズマとウェーブなくして、本物の私のコピーは倒せない」
「くっ!」
ビームを放った。
SA-Xは回避もせずに、ビームをその身で受け止めた。
だが、よろめきもしない。
何事もなかったかのように、SA-Xはそこに立っていた。
「う・・・あ・・・」
ここで初めて、私に恐怖が生まれた。
装備している武器が何一つ無効なのだ。
343 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 21:37 ID:6cGxLtQC
すなわち、抵抗はおろか、脱出のための時間稼ぎすら不可能。
「恐い? そうよねぇ」
SA-Xはゆっくりと私に歩み寄る。
「く、来るな!」
「あら、ひどい。私のマスターなのに、コピーを否定する気?」
歩み寄るSA-Xとは対照的に、私はゆっくりと後ずさる。
だが、すぐに壁にぶつかってしまった。
「ねぇ。おかしいと思わなかったの? セクター6のデータルームで。」
「!」
私は凍り付く。
司令官が仮説とは言っていたが、まさか本当にXの罠だったとは・・・
「くくく・・・、あのデータルームに残したデータ『PAR-SX.SAF』は、あなたのスーツを改造するためのもの」
「か、改造だと・・・」
そう問うことで、私は策を練る。
わずかでも時間を稼がなければ。
「そう。そして、私がここでダウンロードしたデータ・・・、まぁパワーボムは不要だったけど。
『PAR-SA-X.SAF』は、私があなたに寄生するためのもの」
「馬鹿な・・・、私はXを吸収できる!」
「そうね。でも、このデータをダウンロードしたコピーの私は、あなたに寄生できる」
まずい。
そんなことをされては、このB.S.L.のトラブルシューティングはおろか、私がトラブルメーカーになってしまう。
それだけは避けなければ。
344 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 21:43 ID:6cGxLtQC
気づくと、SA-Xはもう目の前に迫っていた。
「さ、御託は終わり。どういう意味か、教えてあげる」
言うと、SA-Xはぐちゅぐちゅと形状を変えると、全裸の私に姿を変えた。
「う・・・、やめろ! 人の身体を・・・!」
「その『人の身体』も、すぐ私のものになる」
SA-Xはなおも私に近づくと、私に抱きついた。
「は、離れろ!」
私は身体を精一杯振ってSA-Xを引き離そうとするが、全く意味をなさない。
「マスターの私は、戦いしか知らなかった」
「・・・!」
「ゼロミッションの記憶も、子供の時のゼーベスでの記憶もあるわ」
「Xが擬態した生物の記憶や知識を模倣するのは事実だったか!」
「くす・・・、そうよ。」
SA-Xは、パワードスーツを着た私の股間に手を伸ばす。
「でもね。コピーの私は、あなたより多くのことを知っている」
「やめろ!」
「それはね・・・。」
そしてSA-Xの手は、私の股間に触れた。
「うあ!」
「か・い・ら・く」
その声と、股間の感触は私に甚大なダメージを及ぼした。
精神的な、そして肉体的な。
今までに感じたことのない、何かすさまじい感覚。
345 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 21:52 ID:6cGxLtQC
免疫の無い攻撃のために、スーツは多大な量のエネルギーを消費した。
もう10分の1も残っていない。
何という攻撃力だ、SA-Xは・・・。
「ぐ、や、やめろ・・・!」
「あなたが今感じたのは、快感。その快感は、セクター6のデータルームからの土産よ」
「まさか・・・!」
「そう。あの『PAR-SX.SAF』は、あなたのスーツを快楽が貫通できるようにするためのもの」
非常に危険だ。
SA-Xは、さらに強力になったというのか!
私が失った能力を取り戻している間に――
「もう一回やってみようか」
「だ、ダメだ!」
本当にダメだ。
あと1回でも先ほどの攻撃を受ければ、スーツは間違いなく四散してしまうだろう。
エネルギーが切れると・・・、スーツははじけ飛ぶ。
「いくわよ」
「う、ぐ・・・!」
SA-Xの手が私の股間を再度、妖しくなで上げた。
「うあああぁ!!!」
「くすくす、もう終わりね」
私はスーツの警告音も耳にしながら、身体をのけぞらせた。
同時に私の身体全体を防御していたパワードスーツは、見るも無惨に砕け散った。
「あ・・・ああ・・・!」
ここからは、生身でのミッションなのか。
しかし、目の前の敵はゼロミッションとは違い、圧倒的な敵――私自身。
「さ・・・、あなたが知らなかった『快楽』、コピーの私がしっかり教えてあげる」
SA-Xは再び、私に抱きついた。
「そして、あなたの身体をもらって私がマスターになるわ」
SA-Xの宣戦布告が、二人以外誰もいないデータルームに響き渡った。
461 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 02:36:56 ID:KGJM56Ui
「はぁ、はぁ、はぁ、・・・」
私は肩で息をしながら、目の前の敵:SA-Xを凝視していた。
ゼロミッションの際はスペースシップから脱出する時間があったためにハンドガンを持っていたが、
今回はミッションの真っ最中にスーツを失った。
もう今の私に武器はない。
「諦めた方が楽になれるわ。何も考えず、ただ私の与える快楽に従って・・・」
SA-Xが手を伸ばす。
「そして、私に寄生されるの」
「!!!!」
私はSA-Xを自らの手で突き飛ばし、必死で向かい側のシャッターまで走った。
「開け、開けぇぇぇ!!!」
私はSA-Xの言葉により理性を保てなくなったのだ。
両手でシャッターを何度も何度も、力任せに叩きまくる。
だが、開かない。
「無駄よ。私の仲間がシャッターをロックしてるもの」
「うああああ!!」
今度は開閉装置をひたすら殴りつける。
すると。
「!!」
シューッ、という静かな音と同時にシャッターは開いた。
私はすぐさまそこから脱出した。
「予定外だわ・・・、でも」
SA-Xは含みのある笑みを浮かべた。
生身のまま走り続ける私。
462 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 02:41:14 ID:KGJM56Ui
どうにかXの追撃をかわし、私は辛うじてリチャージルーム――補給装置のある部屋
――へと逃げ込んでいた。
ここならXは来ない。
どういうわけか、各セクターに存在するリチャージルームやナビゲーションルーム、セーブルームには
Xは入ってこなかった。
データルームも基本的にはそうなのだが、先ほどのバリアスーツデータをダウンロードしたXもいる。
データルームは安全とは言い切れない。
「・・・」
息を整えると、補給に使用する装置を見る。
今の私には使えない。
これは、パワードスーツに装備されているアームキャノンから補給するためのもの。
生身では使えるわけがないのだ・・・。
「・・・どうしよう」
私はここに来て、再び巨大な恐怖感に襲われた。
身を守る物は本当に何もない。
この広く暗い宇宙のなか、未知の寄生生物「X」に占拠された宇宙研究所に一人。
今回は、生きて帰れないかもしれない。
私は素直に、その考えを受け入れるしかなかった。
「・・・」
だが、ここはリチャージルーム。
隣にはナビゲーションルームがある。
司令官が何か対抗手段を考えついたかもしれない。
私はわずかな希望にかけ、ナビゲーションルームに向かった。
463 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 03:12:29 ID:KGJM56Ui
「・・・」
司令官は無言で私を迎えた。
仕方のないことだ。
唯一の武器であり、防具であったパワードスーツを失った上、
SA-Xを始末できずにここに来たのだ。
何も言われても私から言い返せる言葉は無かった。
「過ぎた事だ。もういい。これからのことを考えるべきだな」
確かにそうだ。
悔いることはいつでもできるが、しかし生き延びることはこの先の策を考えなければできない。
生き延びなければ悔いることはおろか、もはや何もできなくなる。
「スーツを失った以上、もはや君はこのミッションを遂行することは不可能だろう。
幸いスペースシップはまだ無事だ。早急に戻りたまえ」
「・・・了解した」
任務失敗。
屈辱的な熟語が、私の脳裏を埋め尽くしていた。
しかし、この先の策は決まったが、まだ問題はある。
SA-Xの始末もそうだが、メインデッキをどう通過するか。
ドックに行くためにはメインデッキを通る必要があり、デッキはXに占拠されている。
「何か武器になりそうなものはないか?」
司令官が私に言う。
しかし、このナビゲーションルームには火器も鈍器も何もない。
「いや」
「そうか・・・」
464 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 03:17:26 ID:KGJM56Ui
「もし・・・」
私が口を開く。
「もし私がスペースシップに戻れなかったら、どうする?」
「何を・・・」
簡単には動じないこの司令官も、私のこの問いかけには動じたようだ。
「戻れない場合・・・、君がXによって殺されたり、ということか?
その場合は・・・、新たなエージェントを送るか、あるいは・・・」
「あるいは?」
その先の答えは予測できる。
「B.S.L.に核ミサイルを撃ち込み、君もろともXを滅ぼすことになるだろう」
やはり。
この広い宇宙だ。
B.S.L.の宙域にはB.S.L.以外何もない。
だから別に核ミサイルを使用したところで、誰も迷惑しないのだ。
「・・・正しい判断なのだろうな」
私は理解しようとした。
だが、それは不可能なことと私の心は必死に訴えていた。
「・・・では、行け」
私はディスプレイに背を向け、ゆっくりと歩き始めた。
自らの命を左右する、真の意味での「戦闘」をしに――
467 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 21:30:54 ID:KGJM56Ui
セクター5からメインデッキ下部へと上がる。
このメインデッキは、研究所職員達が居住するためのエリアと、
メインデッキ下部から各セクターへと移動する6個のエレベータからなる。
すなわちこのエレベータールームを通らなければ、隠し通路を利用する以外は
各セクターへと移動する方法はないのである。
そしてまた、スペースシップをとめてあるドックへも・・・。
「・・・Xか」
エレベーターの中で、私は頭を抱えた。
あんなゼリー状の、いかにも知能など持ち合わせていなさそうな連中に。
私は、唯一の武器であり防具であるパワードスーツを破壊された。
もうパワードスーツを修復することは不可能だろう。
惑星ゼーベスの失われた鳥人文明の遺産なのだ。
仮に修復できたとしても、その完全なる機能を復旧させることはできないだろう。
「くそっ」
私は誰もいないエレベーターの中で、一人悪態をついた。
悪態をついたところでどうなるわけでもないが、今の私にはそれしかできなかった。
この先のメインデッキには間違いなく相当数のXがいるだろう。
私はそこを突破しなければ、まず生きて帰れない。
やがてエレベーターがメインデッキ下部のエレベータールームに到着し、停止した。
ここはミッション中に何度も行き来している。
このエレベータールームにも、Xは基本的にいない。
幸いにも、今もXは一匹とて存在しなかった
468 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 21:37:53 ID:KGJM56Ui
セクター5行きのエレベータールームから、隣のセクター3行きの、
そしてさらに隣のセクター1行きのエレベータールームまで進む。
もう、今の私には使えない装置なのだ。
防具なくしてこの戦場では生きられない。
妙な名残惜しさを感じ、私はそのエレベーターを振り返る。
そう、セクター1はこのB.S.L.で初めて調査したセクターだった。
「・・・!」
そこで何故か、私の頬を涙が伝った。
私らしくもない。
涙など、あのゼロミッションの時ですら流さなかったというのに。
次に、「死」という冷酷な事象が私に訪れようとしている現実を改めてかみしめた。
恐らく私は感傷に浸っていること、そして「死」を実感したことで涙を流したのだろう。
「戦士に涙は不要な代物!」
私は自分に言い聞かせるように、誰もいないエレベータールームで叫んだ。
それはあたかも自分を勇気づけるかのようだった。
エレベータールーム中央の、メインデッキに上がるエレベーターに乗る。
この先で何があるかはわからない。
命が安全なのはここまでだ。
上にあがった途端に私は擬態したXに攻撃され、殺されるかもしれない。
あるいはXに再び寄生され、内側から死に至らしめられるかもしれない。
だが、行くしかなかった。
この、エレベーターを作動させるボタンを押さなくては何も始まらない。
私はここに再びミッション開始の新鮮さを覚えた。
469 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 21:43:43 ID:KGJM56Ui
ボタンを押す。
エレベーターがゆっくりと上昇を始めた。
「・・・」
メインデッキに到着したが、幸いXその部屋にXはいなかった。
背中には、SA-Xが破壊したとおぼしき壁。
目の前には居住区域へのシャッター。
「む・・・」
私は両手が震えていることに気づいた。
武者震いなのか、あるいは恐怖からくる震えなのか。
私は自分に前者だと思い聞かせ、ゆっくりと右足を踏み出す。
そして、シャッターを開けた。
その瞬間、私は壁に身を隠す。
ゆっくりと頭を出し、通路の様子をうかがう。
だが、何もいない。
当初もこの通路には何もいなかった。
私は全力で、次の部屋へと向かった。
ドックまであと4部屋程度の場所で、私は不審感を抱いた。
以前は転がっていた職員の死体がなくなり、かわりに床は柔らかいカーペットで覆われていた。
「・・・?」
Xの罠だろうか・・・。
しかしこの部屋には身を隠す壁や柱はない。
ここにXが現れたら最後だ。
私は全力疾走で次の部屋に向かうシャッターへと急いだ。
だが。
「!!!」
シャッターが不意に開くと、そこには・・・
「SA-X・・・!」
470 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 21:49:19 ID:KGJM56Ui
パワードスーツの姿となったSA-Xが、私の目の前にただずんでいた。
「くそ・・・っ!」
私はきびすを返し、この部屋に入ってきたシャッターを開けようとした。
しかし、またしても開かない。
「またか! 開け!!」
「無駄よ、私のマスターにしては物わかりが悪いわね」
SA-Xは部屋に入ってきた。
同時にシャッターが閉まると、SA-Xは開閉装置に向かってスーパーミサイルを放つ。
爆音と共に、開閉装置は粉砕された。
「離れて」
「!?」
SA-Xは私が必死に操作している、反対側の開閉装置にそのアームキャノンを向けた。
すると、そのままスーパーミサイルを放つ。
「うわ!!」
とっさに私は横っ飛びし、どうにかミサイルの直撃を免れる。
しかし、開閉装置にスーパーミサイルは直撃し、完全に破壊された。
「さ、これであなたは袋のネズミ。」
「・・・くっ」
私は床に両膝をつく。
ここで私は殺されるんだ・・・。
そう思った。
「殺されると思って?」
「!」
驚いた。
Xには人の考えを読む能力もあるというのか!
「貴様、私の考えを・・・」
「読めるわけないじゃない。でも、あなたに寄生した私だから。
なんとなくあなたの考えることはわかるわ。マスターだし」
そうか。
私に寄生し、その脳構造や記憶、感情も模倣するのなら私の考えを予測することも・・・。
471 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 21:56:01 ID:KGJM56Ui
「言っておくけれど、殺さないわ」
「何だと・・・?」
今まであれだけ必死になり、セクター3のボイラー室をハッキングしてまで
私を殺そうとしていたのだ。
(著者注:セクター3は温度が異常上昇すると耐えられなくなり、爆発します)
それを今更、殺さないとは・・・。
「何のつもりだ? さんざん私をB.S.L.から排除するために動いていた貴様が・・・」
「まぁ、殺すなら殺すでそれもいいんだけど」
何を考えている・・・?
「でも、せっかくマスターがいるんだから。他のXに寄生させて、
あなたのコピーを大量に作るわ。」
「!?」
まさか。
仮にこれが現実のものとなると、ベストコンディションの私:サムスが無数に生まれる。
それも、「X」の私が・・・。
その先どうするかをSA-Xに問いつめる必要などない。
さすがの私でも、その位は理解できる。
そう、あらゆる星や宇宙施設に侵略し、人間や他の生物を排除するつもりだろう。
そして、ベストコンディションの私の能力を持ってすれば不可能ではない。
「なんということだ・・・」
「クスクス、あなたの作戦ミスね。いや、正確にはあなたではない。
あなたに今回指令を出している人間のミスとも言えるわね」
「!」
そこまで読まれていたか。
Xに寄生され、自前のスペースシップを失った私は、新たなスペースシップと引き替えに
銀河連邦の司令官の指示に従って今回のミッションを遂行することになっている。
472 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 22:08:52 ID:KGJM56Ui
「可哀想なマスター・・・。」
「馬鹿に・・・するな・・・!」
哀れむSA-Xに、私は沸々と怒りがこみ上げてきた。
「あぁん、怒らないで。ねぇ、殺さないから。代わりにあなたの身体をちょうだい?」
「何を!」
「まぁ聞いて。取引しようって言っているのよ。私たち・・・、人間はXって呼んでるの?
Xはマスター、あなたを殺さないわ。望むものは何でも与えるし、何でもする。
その代わり、大量のXが寄生してあなたをコピーする。
いい条件よ? 生命エネルギーは私たちXが与えるから不老不死。
おまけに寄生するときの快楽まで味わえるわけで――」
「黙れ! 私がそんな取引に応じるとでも思っているのか!」
「思うわね」
「!」
断言したSA-X相手に、私は言葉を断つ。
「セクター5で、あれだけ感じていたんだもの。マスターは快楽を知らない。
そして快楽に弱い。まぁ、パワードスーツを改造したってのもあるんだけれど」
「・・・」
「それから、パワードスーツはバイオ素材。さっきマスターがダウンロードした、
Xが寄生できるようにするモジュールはマスターの生身にも影響してるわ。
もちろん、神経の反応指数もね。」
「馬鹿な・・・」
つまりは、私はすでに娼婦のような身体となってしまったということだろうか。
確かにあのデータは、股間や胸など、敏感な部分の数値を書き換えていた。
「さ、どうするの? 応じるの、応じないの?」
「ぐ・・・」
SA-Xは冷たい声で言うと、私にアームキャノンを向けた。
否、と答えればその瞬間に私は死ぬだろう。
もちろん目の前のアームキャノンによってだ。
「・・・、そんなことを聞いて・・・、どうせ・・・」
473 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 22:27:47 ID:KGJM56Ui
私はあきらめかけていた。
しかし、まだ脱出する可能性はあるかもしれない。
ここはSA-Xに従うふりをしてみよう・・・。
「どうせ、選択肢は一つしかないんだろう?」
「わかってるじゃない」
SA-Xはパワードスーツ形態から、人間形状へと変わった。
そしてパチン、と指を鳴らす。
すると。
「!?」
無数のピンク色のXが壁を通過し、SA-Xの周囲を取り巻いたではないか。
「あら、驚いた? 私たちはゲル状だから、壁貫通くらいわけもないわ」
確かにそうだ。
そうでなければ、他の生物の身体にとけ込むようにして寄生などできるわけがない。
「この子たちはあなた専用に進化したX。たっぷりとよがり狂ってね」
その言葉と同時に、ピンク色のXは私に張り付いてきた。
「うわ!」
奇っ怪な感触に、私は思わず悲鳴を上げた。
「あ、びっくりした? 悪かったわ」
などと言いながら、SA-Xは近寄ってきた。
ゲル状のXが身体をはい回ると、得も言われぬ感触が私を支配する。
「うひ・・・」
妙な声を上げてしまった。
SA-Xは馬鹿にするだろうか。
「そんなに気持ちいい?」
気持ちいい?
これが、性の快楽による「気持ちいい」ということなのか。
戦いしか知らない私は、この快感と初めて出会った。
・・・好きになれそうだ。
474 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 22:35:45 ID:KGJM56Ui
「!」
いけない。
早くも虜になってしまうところだった。
快楽ごとき、この広い宇宙ではどこでも手に入るだろう。
私はそう思うことで、気を持ち直す。
気づくと、SA-Xは目の前に迫っていた。
「さ、気持ちよくなってね」
SA-Xは私を押し倒した。
このために床を柔らかくしたのか・・・。
私は今更気がついた。
「この床も、全部Xで作ったのよ?」
「何・・・」
こんなところにもXがいたと言うのか。
すでにXは手に負えない程に増殖してしまったようだ。
SA-Xは私の衣服――といっても、パワードスーツのアンダーウェアのみだが、
少ない衣服を脱がせていく。
「もう、面倒ね」
言うとSA-Xはアンダーウェアに手を同化させた。
「!?」
アンダーウェアが独りでに動く。
その奇妙な感触に思わずのけぞった。
次の瞬間、アンダーウェアははじけ飛んだ。
「さ、これで準備万端ね」
これではスペースシップに戻ったとしても、司令官に顔向けできないではないか。
いや、戻れるかすらわからないのだった。
「・・・」
早くも思考が混乱し始めているようだ。
475 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 23:19:03 ID:KGJM56Ui
「行くわよ」
SA-Xが両手を伸ばした。
「う・・・」
思わず私は身構える。
どうすることもできないと言うのに。
怖かった。
私は目をつぶる。
「ふふ・・・」
やがてSA-Xが私の胸を触る感触を得た。
そして、股間にも・・・
「ふあっ・・・」
だらしない声をあげた。
しかし、この感触・・・、気持ちいいというのか?
その「気持ちいい」という感触が、私を支配していく――
「無理しないで。私達に身体をささげる代償なんだから・・・」
そうだ、これは代償。
好きなだけ・・・
いや、ダメだ。
この誘惑に乗っては・・・!
「はぁ、はぁ、はぁ、」
どうしたことか、息が荒くなった。
「効いてきた?」
何だ・・・?
まさか、さっきから私にまとわりついているピンクのXが影響しているのか。
「なん、だ・・・」
苦し紛れに私は問う。
476 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 23:30:43 ID:KGJM56Ui
「その子達の力よ」
「う・・・?」
やはりピンク色のXによるものだったか。
「その子達はマスターの神経を刺激してるの。
マスターは気づかないかもしれないけど、人間の女が感じる微弱な快楽電波を出してるの」
私は股間に液体を感じた。
これは何だ・・・?
「ほら、ぬれてきた。研究所の職員の記憶によると・・・、『愛液』というみたいね。
人間の女が性的に感じている時に分泌されるみたい。」
そんなものが人間には備わっていたのか・・・。
「そ・・・んなもの・・・」
「うふふ、どうして人間のマスターよりXの私の方が詳しいのかしらね。
そりゃもちろん、他の人間に寄生して知識を奪ったからよ」
もはや自明となっている問いの答えを、SA-Xは我が物顔で言う。
「さ、もっと濡らしてね。すぐに理性なんか吹き飛ばしてあげる」
SA-Xはぐちゅぐちゅと形状を変え、腕を二本増やした。
「うぁ・・・!」
二本の手で私の乳房を、一本で身体を支えて残りの一本で股間をいじくっている。
いつしかSA-Xの周りには、黄色や赤など様々な毒々しい色のXが集まり、浮遊していた。
SA-Xの動きも徐々に激しくなっていく。
「ほら、ほら、どう? どうなの??」
「はぁ、ああぁ・・・、ひぃう!」
答えられず、ひたすら嬌声をあげる。
「ひ、気持ち、いい?、気持ちいぃ・・・」
『気持ちいい』という言葉の性的な意味を完全には理解していないためか、
私の口から漏れる言葉は疑問形だった。
「うふふ、ほぅらこんなに濡れてる。戦士でも、本当は女ってことね」
「いぃ、気持ち、いぃ・・・」
同じ言葉を発し続ける私の口。
477 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 23:45:25 ID:KGJM56Ui
「ふふ、確かある程度濡れていてば大丈夫なのよね」
SA-Xは一人で呟く。
すると浮遊していたXが、SA-Xの股間に集まりぐちょぐちょと融合し始めた。
「あはぁぁん・・・」
SA-Xに快楽を感じる神経があるのかわからないが、快楽の声を上げたようだ。
もう、今の私には抵抗するだけの気力も理性も残っていなかった。
「はふぅ、いぃ・・・」
「うふふふ・・・」
私を支える手を離し、SA-Xは自らの股間に集まったXをこねている。
だが私にそれを見てどうこうすることはできなかった。
粘液質の音が部屋に響くと、そこには・・・
「あふ・・・、できたわぁ。どう?」
SA-Xは自らの股間で作ったものを私に見せた。
「あ・・・!」
それはマーブルカラーの男性器。
まさに数種のXによって作られたことを意味していた。
「欲しい? ・・・って言ってもわかんないか」
SA-Xはつまらなさそうに私を見据えていた。
でも、私には男性器が何をするためのものかぐらいわかっていた。
一つは排泄。
もう一つは・・・、おそらくこれから私がされようとしている行為だろう。
「ひぅう!」
見るとSA-Xは、私の股間・・・、秘所という言い方の方がよいだろうか。
その秘所に、作成した男性器をこすりつけていた。
「あは、こんなに感じちゃって・・・」
失笑気味にそんなことを言った。
478 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/11 00:04:59 ID:sUVKZU0g
「ひぃん! あふ、ああぁん!!」
何度もそれを繰り返し、私も何度も悲鳴を上げる。
もちろん、快楽の悲鳴だ。
毎度毎度、私には強烈な「快感」がフィードバックされている。
「すごい感じ方ね。初な人間ってこんななのね」
人間から奪った記憶にその情報はなかったらしく、SA-Xは感心している。
「さて、そろそろ・・・、入れるわ」
『入れる』
その言葉に、私はひどい魅力を感じた。
『入れる』『入れる』『入れる』・・・
「ああああああぁぁぁぁぁ!!!!」
全身の神経が焼き切れそうな程の『気持ちよさ』と共に、私は大声で叫んだ。
「あああああ!! いぃ、いいいいいいぃぃいぃぃ!!!!」
「あはははは、おもしろいわぁ! 戦士ってこんなに乱れるものなのね!」
そう、SA-Xの股間に作られたモノが、私の秘所に侵入していたのだ。
ピンクXにより高められた性的な神経が、その刺激を3倍にも10倍にもしていた。
「ひぃぃいい、きもひ、いいぃいいい・・・」
言葉にならない声を発し、私はよがり狂う。
「これで、動くのね」
SA-Xは腰を前後させ始めた。
「いいぃ!!! うご、うっごおご!!!」
「ほらほら、もっとよぉ!!」
SA-Xは一気に動きを激しくした。
479 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/11 00:16:12 ID:sUVKZU0g
同時に浮遊していたXが、私の身体に密着してくる。
瞬く間に私はゲル状物質に覆われている妖女のようになってしまった。
グチュ! ビジュ!
もともとゲル状であるSA-Xも、少しずつ形状を崩し始めていた。
快楽のためか、それとも私に寄生するためか・・・
「そろそろいいわね。うふふ・・・」
妖しい笑みを浮かべながらSA-Xは一人言う。
「ああぁ、ああああ! いぃの、いいのぉあぁぁぁ!」
「さぁ、あなたがさんざん吸収したXをたっぷり味わってね! ああああぁん!!」
SA-Xの嬌声と共に、私の胎内に大量の何かが注がれていく。
暖かいそれは間違いなくXだろう。
SA-Xはゲル状の姿に戻ると、私の身体を一気に包み込む。
「・・・! ・・・・・・!!!!!」
秘所から、口からアナルから。
様々な部位から、X達は私の身体に寄生していった・・・。
「う・・・」
目を覚ました私。
「あっ・・・」
そこで私は、『終わった』ことに気づいた。
もうこの身体は私:サムス=アランの物ではなく、Xの物であることに。
両手を見つめても、変化はない。
だが・・・
「・・・」
両手から、液体がわき出す。
それはまごうことなくX。
「ふふ・・・」
自然と笑みが浮かんだ。
480 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/11 00:19:06 ID:sUVKZU0g
その瞬間、すべてが切り替わる。
「私はX」
そう、私はXなのだ。
この身体、全身はXの物。
自らXを生み出すこともできる・・・。
マザーXとでも言えようか。
「うふふ、あはは、あははははははは!」
狂ったように笑う。
快楽はいいものだ。
Xが教えてくれた。
そして、Xは私にとって主人だ。
排除しようとしていた私が信じられない。
これからはXのために、Xのためだけに生きよう。
私は誓った。
646 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :05/01/01 10:50:26 ID:CFB8eLAs
あの時、私を助けてくれたのがサムスお姉ちゃんだった。
辺境の惑星で発生した、銀河連邦に対する蜂起。
ようは反乱っていうことらしいけど・・・。
私は反乱を計画した人たちに捕らえられていた。
なんでも、私の血には失われた種族のものが流れているとかで、
犯人グループは私を研究したがっていたみたい。
冷たくて薄暗い牢屋に閉じこめられて、時々血液を抜かれたの。
時には変なスキャン装置みたいなのをかけられたこともあったっけ。
2,3回くらいならまだしも、何度も何度も繰り返されるその作業に
私は耐えられなくなっていた。
たぶん、お姉ちゃんが来るのがあと1日でも遅かったら、私は壊れていたかも。
そのくらい、限界まで来ていた。
「・・・」
私はいつものように、肩をふるわせて牢屋の真ん中で座っていた。
(きっと、ここから一生出られないんだろうな・・・。)
そんな思いも、毎日しているうちに慣れちゃった。
この薄暗くて冷たい、誰も来ない牢屋で私は一生――
「・・・!」
私は涙を流しているのに気づいた。
床にこぼれた雫を見て、初めて認知したみたい。
「あぁ・・・」
(自分が泣いているのもわからないくらい、私はおかしくなっちゃったのかな・・・。)
647 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :05/01/01 10:59:33 ID:CFB8eLAs
もう嫌だった。
白衣の人が来ると、それは採血の合図。
それが何人か来ると、それはスキャン装置にかけられる合図。
一応、1日3回の食事は出たけれど、粗末なものだった。
意地をはって食べないと、マシンガン持った人が来て脅すの。
体調が悪くて食べられないなら、白衣の人が来てクスリを飲ませるの。
そう、私はまさに「飼われて」いたの。
野蛮な蜂起集団に。
何となく、目を上げる。
私の眼球が脳裏に写すのは、目の前にある白い壁と牢屋の鉄棒。
「・・・」
見慣れた、それでいて無感傷な映像に私は何も感じない。
「!」
(足・・・音・・・)
私の耳は、確かにその音をとらえていた。
きっとまた、採血・・・。
私は元のように首を垂れ、じっとすることにした。
近づく足音。
何もできない自分。
(いつ・・・、私は楽になれるのかな・・・)
「楽」という言葉。
それは、今の私にとっては「死」という、何よりも甘い、甘い響きを持つ言葉を指すものだった。
648 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :05/01/01 11:10:58 ID:CFB8eLAs
「立てるか?」
「・・・?」
どうやら足音の主はすでに牢の鍵を開けたらしく、私に声をかけてきた。
でも、聞き慣れた白衣の人の無機質な声じゃなかった。
女の声――
(ぇ・・・)
私はゆっくりと、顔を上げてみる。
そこには紫色のごつごつした服を着た人がいた。
私に手をさしのべている。
「・・・、だ・・・・・・れ・・・?」
私はしばらく使わなかった「言葉」を、いま自分の意思表示のために精一杯絞り出した。
「私はサムス=アラン。この蜂起集団を壊滅しに来た。」
そして、その人はこう付け加えた。
「ルナ=ナイトメア」
「!」
嫌な・・・名前。
自分の名前。
「悪夢」っていう名前。
私は首を振った。
「・・・逃げないのか?」
「に・・・げ・・・る?」
「そうだ。私は上の階の研究室で、あなたの情報を手に入れた。
ひどい扱いを受けていたようだな。」
649 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :05/01/01 11:21:36 ID:CFB8eLAs
「・・・ぁ・・・ぅ・・・」
答える言葉が見つからない――、いや、見つかっても口に出せない。
「私がこの星を脱出すれば、その後このあたり一帯は宇宙から爆撃される。
この地下牢も、間違いなく粉砕されるだろうな。あなたは間違いなく死ぬ。」
「死・・・」
はぁ、と私は感嘆のため息をつく。
(死、死、死、死、死ぬ、死、死ぬ、死ぬは、楽、楽は、死、・・・)
サムスさんの言葉は、私の頭深くに響き渡り、そしてその単語は無限の連鎖となって私を汚染した。
「死、ぬ、は・・・、ら、く。死ぬ、死、ら、く、死、・・・」
「・・・」
口に出してそう言っていたみたいで、サムスさんが眉をひそめたみたいなのは何となくわかった。
#作者注:サムスのスーツは頭部も完全に覆い尽くし、目の部分にバイザーがあるだけ。
#その表情を見ることは、通常ゲーム時にはほぼない。
気づくと、サムスさんは牢から出て横を向いていた。
「死、死、死、・・・」
壊れたカセットデッキのように繰り返す私。
その間、サムスさんはなにやら手からビームを放っていた。
数分すると、サムスさんはまた牢に戻ってきた。
「敵だ。どうやらここに私がいることを感づかれたらしい。」
この人、蜂起集団を全滅しに来たんだよね。
じゃあ、武器を持っている。
ということは、人を殺せる。
殺せる――、私のことも殺せる。
殺せる・・・、殺されるということは、死ぬ。
死。死。死。
「あ・・・ぁ・・・」
「何か言いたいのか?」
650 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :05/01/01 11:30:23 ID:CFB8eLAs
出ない言葉を必死に出す。
「こ・・・、こ・・・、」
「・・・?」
私はサムスさんの右手を私の胸に当てて・・・
「こ、・・・ろ、し・・・、て・・・」
「!!」
サムスさんは私を振り払って立ち上がった。
「何を言う。死んでどうするんだ?」
どうもこうもないよ。
(死ねば、楽・・・)
その思いを言葉にしようとした時。
私の周囲は、透明な何かで覆われていた。
「・・・?」
私は無関心にそれを見つめた。
「私のスペースシップに送る。今のあなたは自力で歩けないだろうし、
歩けたところで敵に狙われるのが関の山。」
「や・・・だ・・・」
「殺せというのか?」
私はゆっくりうなずく。
「できない相談だ。蜂起犯ならまだしも、被害者を殺すことはできない。
依頼主の銀河連邦もそう言っている。あきらめろ」
サムスさんがそう言うと、私を取り込んだ透明な球体が移動し始めた。
「行くぞ」
サムスさんが向こうを向くのを見た瞬間、私は意識を失った。
目を覚ました時、最初に見えたのはグレーの天井だった。
651 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :05/01/01 11:37:26 ID:CFB8eLAs
目がかすんでいるのか、よく見えない。
「・・・が・・・で、・・・」
誰かが話しているみたい・・・。
でも、よく聞き取れない。
なんとなく、ここが牢屋じゃないことはわかった。
あと、私が生きているということもわかった。
死にたいのに・・・。
「まだクスリが効いているはずよ。眠っていなさい」
白衣を着た眼鏡の人が、私をのぞき込んでそう言った。
「・・・」
私は、言われるまま・・・
眠りに落ちていった。
734 名前:FBX@Code-MF ◆LURUsAQvXg :05/03/07 23:18:05 ID:6xnZrZlD
あれから数ヶ月して、私はやっとまともに言葉を話したりサムスさんと接することができるようになった。
メディカルチームっていう人たちによると、私の体は薬で汚染されてたらしい。
でも私の種族の特性のおかげで、後遺症も残らずに全部抜けたんだってさ。
「ルナ」
「なに?」
サムスお姉ちゃんが来た。
・・・パワードスーツで。
「またお仕事?」
「ああ。今度は厄介かもしれない」
私にはお姉ちゃんの仕事がよくわからなかったけど、
何か大事なもののために戦っているんじゃないのはわかった。
多分、お姉ちゃんは・・・いつかきっと死ぬ。
戦う理由が大きくて、それが守るべきものじゃなければ・・・。
私はなんとなく、それを知っていた。
「以前私が宇宙海賊から解放した惑星の調査らしい」
「SRなんとかっていうあそこ?」
「そうだ。メトロイドと私が初めて出会った惑星」
「ねぇ、私も――」
「ダメだ」
「・・・」
しょんぼりする私を横目に、お姉ちゃんは言った。
「ルナは戦うべきではない。君は被害者なんだ」
私が拉致されていた施設のことを言っているんだ。
735 名前:FBX@Code-MF ◆LURUsAQvXg :05/03/07 23:27:56 ID:6xnZrZlD
「・・・同時に加害者にもなり得る私の言える台詞ではないか・・・」
「そんなことないよ」
確かにパワードスーツの力でお姉ちゃんは戦ってる。
依頼されて、という立場だけに恐れているのかもしれない。
「・・・それじゃあ行ってくる」
「帰りは遅くなるの?」
「できるだけ早く帰ってくるさ」
微笑むと、お姉ちゃんはパワードスーツの頭部を装着して退出した。
「・・・」
私はどうも悪い予感がした。
お姉ちゃんに助けられてから、しばらく幸せだったから・・・。
そう、不安だったんだ。
――そしてその予感は当たってしまった。
お姉ちゃんが未知の生物に寄生されて、さらにスペースシップごと撃沈したというのだ。
私はすぐに駆けつけたが、もちろん面会など許されなかった。
スーツを着てサングラスをした男の人がいた。
「サムス=アランは今、非常に危険な状態だ」
「え・・・」
事故のしらせだけでもショックだったのに、そんな話・・・。
「未知の生物に襲われ、その影響で意識を失った。
その結果、スペースシップを操縦中だった彼女は小惑星群に突入し、
そのまま小惑星の一つに激突したのだ」
「う・・・そ・・・」
「残念だが、本当のことだ。現在緊急手術中だ」
私の足は震えていた。
736 名前:FBX@Code-MF ◆LURUsAQvXg :05/03/07 23:36:33 ID:6xnZrZlD
「まぁ・・・、手術の様子を見ることはできるが・・・。
君には刺激が強すぎるだろう。すすめられん」
「・・・結構です」
私はそこに用意されている椅子に腰を下ろした。
「サムスは君の命の恩人だけに辛いだろうが・・・」
このスーツの人が私に気を遣ってくれているのがわかる。
確かに恩人なのかもしれない。
私の心をここまで正常に戻してくれたんだから。
「今は回復を信じて、待つしか無い」
「・・・はい」
そして、しばらく沈黙が流れる。
初めて会うスーツの人は、ずっとそこに立ったまま。
「何か飲み物でも買ってこよう」
そう言い残し、部屋から出て行った。
「お姉ちゃん・・・」
数ヶ月の間で、サムスさんは私の家族になっていたんだ。
私はそう認識した。
スーツの人が戻ってきた。
手には二本のパック。
「君が好きなのは惑星SSD-223産のイートドリンクと聞いたよ」
イートっていうのは、植物の一種。
SSD-223は温暖な気候なので、年中この作物が収穫できる。
「・・・ありがとうございます」
受け取り、開封する。
737 名前:FBX@Code-MF ◆LURUsAQvXg :05/03/07 23:42:23 ID:6xnZrZlD
この人は人間的・・・って言うのかな?
私は地球の人間じゃないからよくわからないけれど・・・。
私の治療をしてくれたメディカルチームは人間っていう種族らしい。
彼らの医学は宇宙においても高レベルなんだって。
お姉ちゃんが・・・言ってた。
「・・・」
私はまた涙を流していることに気づいた。
「辛いだろうな」
「はい・・・」
「私も似たような境遇に陥ったことがある」
スーツの人は何か語り始めた。
「君とは違って、本物の家族だった。血のつながりのある・・・、
と言えばわかりやすいかな。私の兄は銀河連邦所属のエージェントだった」
『だった』という語尾に、私は少し違和感を覚えた。
「じゃあ・・・」
「死んださ。確か・・・、リドリーと言ったかな。そんな奴と戦って、
そして全滅したとか・・・聞いたよ」
リドリー・・・。
サムスお姉ちゃんも一人で戦ったことのある、大きな竜型の怪物だ。
「リドリーという奴は、宇宙海賊の幹部らしくてね。兄はそいつを
殲滅して、海賊そのものに打撃を与えるつもりだったらしい」
「・・・」
私は何も言えなかった。
そのリドリーを、お姉ちゃんが倒しただなんて・・・、言ったらショックだろうから。
738 名前:FBX@Code-MF ◆LURUsAQvXg :05/03/07 23:54:02 ID:6xnZrZlD
「その後に君が姉と慕う彼女・・・、サムス=アランが単身で突入した。
結果は成功。見事にリドリーもろとも惑星ゼーベスを破壊したそうだよ」
「知ってたんですか・・・」
「そりゃな。銀河連邦のエージェントなら誰でも知ってるさ。
君の恩人は銀河連邦の恩人でも・・・、いや有名人かな」
そして少し沈黙があって・・・。
「彼女の報告書を読んだよ。私の兄らしき死体も発見したってね。
エージェントの中でも戦闘チームはパワードスーツ着用の許可があるからね。
そのシリアルナンバーでわかるのさ」
「そうですか・・・」
そこで小さな電子音が鳴り響いた。
「?」
「おっと・・・、私だ」
スーツの人は私に背中を向け、何かぼそぼそと話し始めた。
エージェントらしく、通信機を携帯してるみたいだ。
「・・・」
(この人の方が辛いのかな・・・)
この人のお兄さんは死んだんだ。
私みたいに、手術してどうこうするレベルじゃなかった。
(私の方がまだ楽なのかな)
そんなことを考えていると、スーツの人はこっちを向き直っていた。
「ルナ君。サムスの手術が終了したそうだ」
「!」
立ち上がり、部屋から飛び出そうとする私を制したスーツの人。
「待ちたまえ。サムスは現在ICUにいるそうだ」
「でも」
「ダメだ。いずれにせよ面会謝絶だ。それにICUの様子だってひどいものらしい」
「・・・」
私は再びうつむく。
739 名前:FBX@Code-MF ◆LURUsAQvXg :05/03/08 00:03:29 ID:pbkE/CIH
「ひとまず今日は面会は許されないようだ。君も一度ホームに帰るといい」
ホームとは、私たちが生活するエリアのこと。
ホームルームやホームエリアという呼び方が本来らしいけれど、
それだと長いし学校の授業みたいだっていうことでホームとだけ呼ばれてる。
「はい」
「上から私も同行するよう言われている」
「え?」
どういうことだろう。
私を今更監視しても・・・。
「上からの取り計らいらしい。君の恩人がこの状態だ。
いつも一緒に生活しているだけに不安があるだろう。代わりにはならないが・・・」
「・・・」
お姉ちゃんが銀河連邦の仕事を請け負っている間、私は銀河連邦の設備で生活する。
もちろんお姉ちゃんが帰ってきたら、別な場所に移動するけれども。
とにかく、銀河連邦は事件の被害者や犠牲者には手厚い。
戦士やエージェントにはあまり良い待遇は与えられないのに・・・。
「・・・わかりました」
断るのも悪いし、この人は色々と気遣ってくれている。
私はその好意を受け入れることにした。
数日後、私の目の前に変わり果てたお姉ちゃんがいた。
「ルナ・・・」
「お姉ちゃん!」
未知の生物に寄生されて、仕方なしにスーツをあちこち切り取ったそうだ。
948 名前:FBX@Code-MF ◆LURUsAQvXg :2005/05/10(火) 00:36:17 ID:NGdTU0My
「良かった・・・、生きて・・・」
私はお姉ちゃんの身体に抱きついた。
パワードスーツのごつごつした手で、私をなでてくれる。
「サムス」
「・・・わかっている」
お姉ちゃんの後ろには、黒スーツとサングラスの人。
この間のエージェントとは違う人みたい・・・
「ルナ」
「なに?」
「私は・・・」
とても言いづらそうなお姉ちゃん。
なんとなく、言いたいことが伝わってくる。
「私に寄生した生物、Xについて調査・滅殺を依頼されている」
「!」
「スペースシップも失ってしまった今、この依頼を受けるしかないんだ・・・」
「で、でも!」
「危険は承知だ。そして・・・、今の私は本来の力を発揮できない。
Xについて調査すれば、取り戻す手段もわかるかもしれない。」
「・・・」
「わかるか? 本来の力が無ければ、君を守ることも難しくなるんだ」
「うん・・・」
結局、今回もお姉ちゃんを見送ることしかできなさそう。
「けれど、一つ安心して欲しいことがある。私は二度とXに寄生されない身体になった」
「え、X?」
「私に寄生した未知の生物のことだ。メディカルチームはXと呼んでいる。」
「じゃあ・・・?」
「確かに本来の力は失ったが、逆にXの脅威も若干緩和できたということだ」
949 名前:FBX@Code-MF ◆LURUsAQvXg :2005/05/10(火) 00:41:37 ID:NGdTU0My
「ルナ君」
お姉ちゃんの後ろのスーツが話しかけてきた。
「?」
「我々としても、サムスの能力が失われたのは遺憾なことだ。
しかし、Xという生物を駆逐しないことには宇宙に生きる生命全てが危険にさらされるのだ」
その人は、Xというのがどういう生物なのか・・・
どう危険で、その天敵など色々と教えてくれた。
「・・・というわけだ」
「・・・」
確かに恐ろしい生物だと思った。
他の生命体に寄生して、体内で増殖。
宿主を殺し、自らは奪取した遺伝子データでその生物に擬態する。
そしてその天敵である生命体は、かつてお姉ちゃんが深く関わったあのメトロイド。
もう絶滅しちゃったけれど、その遺伝子が保存されていたためにお姉ちゃんは助かった。
メトロイドの遺伝子からワクチンを作ったんだって。
「なかなか理解しがたいかもしれないが、しかしこれが現実なんだ」
「ルナ。私は必ず生きて帰ってくる。」
「お姉ちゃん・・・」
「今回もちゃんと帰ってきたじゃないか。心配することはない」
「・・・うん・・・」
私を安心させようと、そんな言葉をかけてくれる。
でも・・・、なんとなく私には分かっていた。
今度も、またよからぬことが起きることが・・・。
950 名前:FBX@Code-MF ◆LURUsAQvXg :2005/05/10(火) 00:51:53 ID:NGdTU0My
数日後、お姉ちゃんはスペースシップで旅立っていった。
私を元気づけてくれたエージェントの人は、よく私のところに来てくれる。
今のお姉ちゃんの状況なんかも時々教えてくれたりする。
お姉ちゃんが、「銀河連邦は被害者に手厚い」って言っていたけれど、
こういうことなのかな・・・?
「最近は勉強熱心なんだそうじゃないか」
「え? ああ、はい」
戦う力は無いけれど、お姉ちゃんが使えるような装備を作ったり
パワードスーツを改良できたらいいな、と思ったのがきっかけだった。
私は今、遺伝子や生命、はたまたエネルギーについても学んでいた。
「お姉ちゃんをサポートできれば、って思ったんです」
「そうか・・・。」
エージェントの人は、遠い目をする。
「私も最初は兄のサポートができれば、と思っていた。
そしてそれはどうにか実現できたんだ。兄の装備開発担当としてね」
「へぇ・・・」
「あの・・・、リドリーを叩こうとした際にも私の装備を持って行ってくれた。
しかし、兄はそれを使っても生きて帰ることはできなかったんだ・・・」
「・・・」
何かまずいことを話題にしちゃったかも。
「いや、気にしないでくれ。独り言さ。」
「でも・・・」
「いいんだ。兄は確かに志し半ばで力尽きたが、サムスがそれを達成してくれたんだ。
私はそれで満足なんだ。君も・・・、サムスをしっかりサポートしてやれるように
今から頑張るといい」
「はい。」
951 名前:FBX@Code-MF ◆LURUsAQvXg :2005/05/10(火) 00:58:32 ID:NGdTU0My
やっぱりこのエージェントの人は、いい人なんだろうな。
連邦から命令されて来てるんだろうけれど、ここまで私のことを気遣ってくれるなんて。
「ところで・・・」
「?」
「サムスから少し聞いていたんだが、君には特殊な能力があるそうだね。」
「・・・ええ」
あまり気乗りしない話題。
「いや、気分を害したなら謝るよ。だが、その能力について少し知りたくないか?」
「というと?」
「君自身がどんな力なのかを自覚してるのならいいんだが、そうでないならだ」
「・・・」
少し考える。
確かに、私には未知の能力があるらしい。
それが原因で拉致されて、あのどこかの惑星の設備に監禁されていた。
「もちろん知りたくないならそれでもいい。そこは君の自由だよ」
その「特殊な能力」でお姉ちゃんのサポートができればいいなぁ・・・。
「どんな力なんですか?」
「知っておくか。それも君の選択肢なんだから、いいだろう。」
エージェントの人は少し間をおいた。
「予知能力だ」
「え?」
「予知。君の種族には、未来を予知する力があるのさ」
「予知・・・」
「そう。どのくらい先のことなのか、それが正確なのかどうかは不明だがな」
「・・・」
「あまり気分の良い話題ではなかったかな? 悪かった。
今日はもう退散するとしよう。」
「・・・はい」
私はその人を見送った。
「・・・どうしよう」
952 名前:FBX@Code-MF ◆LURUsAQvXg :2005/05/10(火) 01:04:09 ID:NGdTU0My
予知能力。
サムスお姉ちゃんがXに寄生されちゃう前に感じた、あの嫌な予感。
そして今回お姉ちゃんが旅立つ時に感じた、嫌な感じ。
どうやら・・・、私に予知能力があるのは本当らしい。
本当にわずかみたいだけれど。
少なからずとも予知能力があるとするなら、今回お姉ちゃんは・・・!
「・・・」
私は窓から風景を見る。
風景――、風景とは言っても何もない宇宙空間。
ここは銀河連邦の宇宙ステーションなのだから。
そこに、一筋の赤い光が見えた。
「?」
あれは・・・
「あ・・・」
あの特徴的な形は、お姉ちゃんのスペースシップ!
良かった、ちゃんと帰ってきた・・・。
私は部屋を飛び出し、ドッグの方へ走り出した。
・・・そう、お姉ちゃんに身に起きたことを何も知らずに・・・。
292 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/09 21:10 ID:ARMilWxl
Code:MF
設定資料・装備について
Xとは?
謎の寄生生命体。
他の生物の中に寄生し、増殖して宿主を殺す。
そしてXは、その生物に擬態することができる。
擬態している際は、サムスによって吸収されることはない。
吸収することで黄色のXはエネルギーを、緑のXはミサイルやパワーボムを、
赤いXは両方を補充することができる。
なお、中には特殊なXが存在し、これらは失われたサムスの特殊能力を持っている。
サムスはこの特殊なXを吸収することで、能力を取り戻してゆく。
SA-Xについて
切り取られたサムスのスーツに潜んでいたXが増殖し、サムスに擬態したもの。
ベストコンディションのサムスに擬態しているため、いわゆるフル装備となっている。
バリアスーツを持たないサムスは、SA-Xのアイスビームを受けると凍り付いてしまう。
293 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/09 21:11 ID:ARMilWxl
特殊能力について
モーフボール:球体になる。ボールになることで、狭い通路を通れる。
ボム:モーフボール状態で設置できる。隠し通路を発見できるが、武器としては弱い。
パワーボム:広範囲に威力があるボム。一気に壁を破壊できるので、隠し通路発見に便利。武器としても有効。
ハイジャンプ:高くジャンプできる。また、ボール状態でもジャンプできるようになる。(旧スプリングボール)
スピードブースター:走り続けると発動。高速ダッシュで、敵をひき殺す。ロケットジャンプに必要。
スペースジャンプ:空中で何回でもジャンプできるようになる。
スクリューアタック:触れるもの全てを撃滅する。ほぼ無敵。威力はたぶん最強。
ミサイル:通常のミサイル。一発の威力は、ビーム攻撃よりも強い。
スーパーミサイル:ミサイルの強化版。ミサイル三発分くらいの威力らしい。
アイスミサイル:スーパーミサイルに冷凍機能をつけたもの。敵を凍らせることができる。
SA-Xにも有効だが、わずかに足止めできる程度。
デフュージョンミサイル:エネルギーをためて発射するアイスミサイル。
周囲に冷気をまき散らし、広範囲の敵を凍らせる。
チャージビーム:通常のビームの二倍程度の当たり判定。ため撃ちをすることで、威力アップ。
ワイドビーム(旧スペイザー?):チャージビームの三倍程度の当たり判定。
広範囲の敵に命中させることができる。
プラズマビーム:敵を貫通するビーム。かなりの威力を誇る。
ウエイブビーム:壁を貫通するビーム。オシロスコープの画面みたいな軌道で飛ぶのが特徴。
バリアスーツ:高温・低温環境に対する防御スーツ。アイスビームを受けても凍らなくなる。
グラビティスーツ:水中でも自由に動けるようになる。また、マグマの中に入っても平気になる。
#SA-Xは、これら全てを装備してると思ってください。かなり脅威ですw
「BIOLOGIC宇宙生物研究所」が派遣した
調査隊の、警護を依頼された私は・・・
あの、惑星SR388へ、再び足を踏み入れることとなった。
メトロイドの巣窟であった、この惑星はまた・・・
私とベビーメトロイドが、出会った場所でもある。
今回の目的は、メトロイドが絶滅した後の
SR388の調査であった。
そして私は、今まで見たこともない生命体に、
襲われてしまったのだ。
私にとりついた生物の正体が、
「X」という寄生生物であったことは、後にわかった。
事の深刻さに気づかず、帰路についていた私を、
突然の異変が襲った。
「X」に神経中枢を侵された私は、意識を失い、
アステロイドベルトに突入してしまった。
激突の直前に、自動的に放出された、脱出ぽっどを
調査艇が回収し、銀河連邦本部へ運び込んだ。
しかし、到着までの間に増殖した「X」は、
私の身体を、パワードスーツごと大きく蝕んでいた。
289 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/09 20:57 ID:ARMilWxl
バイオ素材のパワードスーツは、装着時、私の身体と
一体化することが、事態を深刻化させてしまったようだ。
意識の無い私からスーツを脱がせることはできない。
したがって・・・
「X」に蝕まれたスーツの大部分は、身につけたまま
切り取られてゆき、私の姿をしだいに変化させていった。
だが、神経中枢の奥深くまでを浸食した「X」を
取り除くすべはなく、私の命は絶望視されていた。
ところが、唯一の治療法が見つかった。
「X」を除去できるワクチンが、
メトロイド細胞から作り出せるというのだ。
あの、ベビーメトロイドの細胞組織の一部が
連邦によって保管されていたらしい。
すぐにワクチンが作られ投与された。
ワクチンの効果は絶大であった。
結果、「X」は、みるみる消滅していった。
そして、私は奇跡的に一命を取り留めた。
その容姿を大きく変化させ、よびがえったのだ。
この事実をかみしめながら、今私は思う。
ベビーは、再び私の命を救ってくれたのだと・・・
CP「まもなく『B.S.L』に到着する。すみやかに、着陸態勢に移れ。」
スターシップのコンピュータが、通称「B.S.L」、
「BIOLOGIC宇宙生物研究所」への接近を告げた。
290 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/09 21:04 ID:ARMilWxl
調査隊が今回捕獲した生物は全て、
私の手術中に、「B.S.L」へと運び込まれていた。
やがて意識を取り戻した私は、「B.S.L」で起きた
原因不明の爆発事故を、知ることとなった。
その事故の報せに、言いしれぬ不安を覚えた私は今、
状況調査のため、「B.S.L」へと向かっているのだ。
その「B.S.L」における、私の行動は全て
このスターシップのコンピュータが、管理するようだ。
この無愛想な司令官に従うことを条件に、
連邦は新しいスターシップを、提供してくれたのだ。
他人に行動を指示されることを好まない私ではあるが、
司令官の下での任務は、これが2度目である。
そのことに気づき、私はふと・・・
ある人物の名前を、思い出した・・・
METOROID FUSION オープニングより抜粋
294 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/09 21:30 ID:ARMilWxl
スーツのほとんどを切り取られた私は、ほぼ全ての能力を失ってしまった。
チャージビームやプラズマビームはおろか、ミサイルまで撃てないのだ。
果たして、今の私にこのミッションを完遂できるのだろうか――
スターシップよりB.S.Lに降り立った私。
まずは生命反応のある、特別格納庫を目指せとの指示だ。
しかし、あのゼロミッションも私は攻略したのだ。
今回も、やり遂げてみせる・・・
スムーズに司令官の指示をこなしていく私。
いくつかの能力も取り戻し、その感覚に懐かしさを覚えていた。
チャージビームの、右手に熱い力が宿る感じ。
ハイジャンプの高揚感。
スピードブースターの疾走感。
その程度しか取り戻せていないが、しかし私にはうれしいものだった。
次の指示はバリアスーツをダウンロードせよとのこと。
銀河連邦が私を応援するために、データを作成してくれたそうだ。
295 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/09 21:39 ID:ARMilWxl
単にXを吸収する以外に、データをダウンロードしても取り戻せるようだ。
早速バリアスーツをダウンロードするため、データルームに向かう私。
しかし、その部屋に入った瞬間、私は絶句した。
なんと大型のXが、データをダウンロードしているのだ。
黙って見ているわけにもいかず、私は右手のアームキャノンからビームを放つ。
だが意味をなさないようだ。
しばらくすると、その大型のXはノードを破壊した後に去っていった。
「・・・」
念のため、ノードの様子を探る私。
完全に壊れてしまっているようだ。
だが、そこで私は妙なものを見つけた。
明らかにバリアスーツ以外のデータが、ノードに入っていたようなのだ。
他の能力のデータかもしれない。
私はそう思い、次の部屋に向かった。
するとそこには、先ほどデータをダウンロードした大型のXが。
奴は何かウニのような生物に擬態し、私に襲いかかってきた。
「くっ」
その突進を回避し、ミサイルを撃ち込む。
だがそのXは、ミサイルをはじいてしまった。
330 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 19:50 ID:6cGxLtQC
おかしい。
今までの「特殊なX」は、基本的にミサイルを撃ち込めばダメージを与えられたはず。
あの巨体に、まさかボムを使うわけにはいくまい。
ならば。
私は右手のアームキャノンに目を向けた。
「これで!」
チャージビームを最大限までため、大型のXに打ち込んでみた。
着弾。
するとその大型Xは、まるでよろけるように後ずさる。
・・・効いている?
期待できるレベルまでの挙動を示してはいないが、
しかし何らかのダメージは通っているかもしれない。
私は再度、チャージビームのエネルギーをため始めた。
だが、そのときウニ形状に擬態したXは、再び私に攻撃を仕掛けてきた。
すでにハイジャンプ能力は取り戻したが、微妙に高さが足りなかった。
「!」
足に衝撃が走る。
いくら弱体化してしまったとはいえ、パワードスーツを着用しているのだ。
若干のダメージで済んだようだ。
むろん、生身で受けていたら大惨事だったろう。
331 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 19:59 ID:6cGxLtQC
チャージビームのエネルギーは回避時のチャージアタックに使ってしまった。
再度ためる必要がある・・・。
空中でバランスを取り戻すと、私は足場に着地した。
敵の動きをしっかりと見切る。
そして満タンにまでたまったエネルギーを、大型のXに向けて放出した。
「やはり・・・」
そのXは、確かにダメージを受けているようだ。
ミサイルではなく、チャージビームによって――
そうと分かれば、あとは敵の攻撃にだけ注意すればよい。
私はつかの間の、有利に運べる「戦闘」という名の陶酔に身を沈めていった。
擬態を解除させ、真の姿を現したX。
この形状に変化させればミサイルは通る。
数発のミサイルを撃ち込み、私はついに大型ウニ形状Xを撃退することに成功した。
抵抗する力を失ったXは、空中でふわふわと浮遊している。
そのXの色は、ほのかにピンクを帯びた黄色であった。
「特殊なX」は通常のXとは異なり、サイズも大きい上に色も異なる。
私はXに近づくと、それを体内に吸収していった・・・。
同時に、パワードスーツの表面が何かでコーティングされていく感覚。
「これは・・・」
あのスペースシップの司令官が話していた、バリアスーツのデータだ。
332 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 20:09 ID:6cGxLtQC
パワードスーツは黄色っぽい光を放つと、その色に染色された。
「・・・」
また一つ、私に能力が戻った。
現時点での脅威であった、ブルーX――私に対抗するために変化したXであり、
これを吸収してしまうと急速に冷却され、ダメージとなってしまう――への抗体も完成した。
「そういえば・・・」
先ほど撃退したウニ形状のXは、データルームのノードからバリアスーツデータをダウンロードした。
その現場を目撃した時、気になるデータがコンソールに表示されていたような・・・。
気になる私は、一度データルームへ引き返すことにした。
つい先ほど、この部屋は大型Xによって破壊されたばかり。
私はあたりに散らかる残骸の上を歩き、コンソールに目を向けた。
「・・・」
どうやら、データのダウンロードモジュールは破壊されてもこのコンソールは生き残ったようだ。
あのXがバリアスーツデータをダウンロードした際に、同時にダウンロードした可能性がある。
すなわち、それを吸収した私にもそのデータが影響しているかもしれないのだ。
司令官からはバリアスーツ以外の話は聞いていないため、調べなければならない。
万が一、害のあるデータだとしたらミッションに支障を来す。
私はコンソール付属のキーやスイッチを操作し、生きているデータを見ていく。
333 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 20:19 ID:6cGxLtQC
「ん・・・?」
データの群れの中に、私はデータルームのダウンロード履歴情報を発見した。
これを見れば、先ほどの大型Xが何を余計にダウンロードしたか、そして私に宿ったかがわかるはず。
その中身を表示させてみる。
大型Xより以前にも、ここのデータルームの利用者はいたようだ。
B.S.L.の職員であろう。
問題は先ほどのXだ。
履歴情報を最新の日付へとフォーカスを移す。
「これか・・・」
セクター6 NOC データルーム利用履歴
現時刻より15分前
利用者ID:不明
利用者名:不明
ダウンロードデータ:BARIA.SAF PAR-SX.SAF
備考:不明な利用者です。本データノードは不特定利用を認めています。
不正アクセスが検出された場合、自動的にシャットダウンされます。
ステータス:データは正常に転送されましlっkdgh
履歴情報が最後まで記録されていない。
334 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 20:30 ID:6cGxLtQC
恐らく、Xがノードを破壊したために最後までコンソールに出力されなかったのだろう。
末尾のSAFは、SAMUS-FIXであろうか。
まぁ、それはあまり問題ではない。
BARIA.SAFはバリアスーツデータということが容易に分かるが、問題は後者。
私は後者のデータを検索し、アナライザーに読み込ませた。
「ん・・・?」
私自身にはデータ解析能力はない。
パワードスーツの能力を用いて、解析をしていく。
そして、そこに妙なものを発見した。
パワードスーツの根幹に関わる部分をプログラムしてあるのだ。
古代の鳥人文明の産物である、このパワードスーツ。
ゼロミッションにおいて入手した、私の相棒。
それを作り替えようというのか・・・?
とにかく、私は何が書き換えられたのかを調べることにする。
「何・・・」
明らかにおかしい。
胸や股間など、至る所のスーツ感度が異常な値に設定されているではないか。
この状態で該当箇所に攻撃を受けたら、一体どうなるのだろう・・・。
一抹の不安が、私の頭に生まれた。
「だがしかし・・・」
そう、司令官に問う以外に知る術はない。
私は妙な焦燥感に駆られながら、データルームを後にした。
各セクターの出入り口には、必ずナビゲーションルーム――司令官から指示を受ける設備――がある。
私はセクター6のナビゲーションルームにて、この怪奇なデータを報告した。
335 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 20:38 ID:6cGxLtQC
「バリアスーツデータ以外については何の連絡も入っていないが・・・」
「そうなのか?」
「うむ。本部からは特に何もない。」
「では、あのデータはどう説明できる?」
「君が来ることを想定したB.S.L.の職員などいるわけはないだろう。」
「誰もがXなどという生物が潜んでいるとは思わないだろうし・・・」
「ならば、技術者に擬態したXがデータを作成したのではないか?」
「何?」
「憶測にすぎんが・・・、Xが様々な生物に擬態するのは君なら嫌と言うほどわかっているはずだ」
当然である。
一度擬態をといても、奴らはしつこく再び擬態しようとする。
生に対する執念、というものであろうか。
「その時、擬態した生物の記憶や知識なども模倣できるとしたら・・・?」
「!」
「君に害のあるデータを作成することも、また不可能というわけではないということだ。」
「まんまと食わされたと?」
「いや、そうとは言い切れない。あくまで仮説にすぎん。」
「他の要因による可能性は?」
「先ほども言ったが、職員が君が来ることを予測していた場合だな」
「それは無い、と否定したのでは・・・」
「職員が全滅している今では、誰にもわからん。あくまで可能性の話だ。」
336 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 20:45 ID:6cGxLtQC
「・・・」
「とにかく、この件については本部に伝えておこう。何かわかれば、君にも知らせよう」
「了解した」
「さて、次の君の行動だが――」
やはり気になる。
この司令官が嘘をついている可能性もある・・・。
私は、人に指図されるのを好まない。
そのせいか、多少人間不信になっているのであろうか。
アイスミサイルデータをダウンロードし、ナビゲーションルームに戻ろうとしたその時。
突然警報が鳴り響き、警告らしき電子音声が流れた。
「!」
私はただごとでないことを感じ取り、ナビゲーションルームに急いだ。
「セクター3の室温が急上昇している」
「高温エリアか?」
「そうだ。最奥部にあるボイラー装置が何者かによりハッキングされている」
「ハッキングだと? 職員は全滅したはずじゃないのか?」
「ほぼ全滅、と言ったはずだ。職員かもしれないが、あるいは他の原因かもしれん。」
「どうすればいい?」
「セクター3最奥部に急行し、原因を解明せよ。実力排除でも構わん」
「了解した」
司令官とのブリーフィングを終えると、私はセクター3に急いだ。
セクター3。
高温環境を再現した施設。
337 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 20:57 ID:6cGxLtQC
以前来たときより、明らかに室温が上昇している。
最奥部のボイラー装置ハッキングの影響であろう。
私は今までは高温のために入れなかったマグマ地帯に足を踏み入れた。
すぐにバリアスーツが功を奏し、私は難なく進んでいく。
ボイラー室にたどり着くと、そこには機械を操作する職員の姿。
生き残りだろうか。
「おい?」
声を掛けるが、反応がない。
周囲の騒音が大きいために聞こえないのだろうか。
「おい、何をしている?」
声を大きくし、もう一度。
やはり反応はなく、職員はボイラー操作パネルをいじくっている。
明らかに聞こえる距離なのに反応がない。
まさか・・・
私は距離を置き、アームキャノンからビームを放つ。
職員に命中すると、そいつはこちらを初めて向いた。
・・・見た目は人間のようだが・・・。
「!!」
いや。
人間ではなかった。
職員は、Xが擬態していたのだ!
すぐに私は戦闘態勢になると、ミサイルを用意する。
338 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 21:06 ID:6cGxLtQC
このタイプの大型Xは、こちらに向けてビームを放ってくる。
それは確かに私が失ったはずのワイドビーム。
チャージビームを取り戻す際に戦ったXも同じであった。
順当にビームをかわしながら、ミサイルを撃ち込んでいく。
数発食らってしまったが、どうにかなりそうだ。
自分の能力ながら、実に有効な武器だ。
広範囲に放てるため、私も回避がつらい。
何発目になるだろうか、ミサイルを命中させると大型Xはその堅い膜を失い、ふわふわと漂うだけになった。
「はぁ、はぁ・・・」
相当にスーツのエネルギーを消耗してしまった。
私と一体化するため、私も体力を消耗してしまう。
このXを吸収することで、エネルギーも体力も回復するだろう。
私は職員に擬態していたXを吸収した。
「これで・・・」
壁に向けてビームを放つと、それは確かにワイドビームだった。
こうして私はまた一つ、能力を取り戻したのだった。
――ブリーフィングルーム。
「・・・どうやら先ほどの仮説が正しいようだな」
「Xは擬態した生物の記憶、知識をも模倣するというアレか?」
「そうだ。恐らくそれで間違いないだろう。」
「では・・・」
「うむ。君が報告した未詳データは、彼ら・・・Xが作成した可能性が大きい。」
339 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 21:10 ID:6cGxLtQC
「・・・」
「メインデッキでの生命反応も、職員のものではなかった以上、彼らの生存は絶望的だ。」
確かにそうだ。
メインデッキには職員の死体がそこらじゅうに転がっていた。
そして、セクター3の職員に擬態したX。
これらは明らかに、職員の全滅を意味していた。
「本部からの連絡も、まだない。未詳データはこちらで回収したが、依然として解析中だ。」
「どのくらいかかる?」
「わからん。だが、相当にハイレベルな技術者だったようで、かなりの強度の暗号化がかけられているようだ」
「・・・」
「サムス」
「何だ?」
「異変は無いか?」
「・・・今のところ、何もない」
「ならば良い。我々だけでは、何の対応もできん。本部による解析が終わるのを待つしかないな」
「例えばどんな症状が考えられる?」
「戦闘的なもので言えば、君の能力を全て封印したり、スーツの防御力を低下させたりだろうな」
「・・・」
「恐いか?」
「いや。」
「ミッション中だ。確かに恐怖感を感じることもあるだろう。」
「何を馬鹿な。私は生身の状態で惑星ゼーベスから帰還できたんだぞ?」
「そこで伝説のパワードスーツを入手して、な」
そうだ。
パワードスーツを入手できたからこそ、帰還できたのだ。
340 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 21:16 ID:6cGxLtQC
「過去の話はこのくらいにしよう。本部から、パワーボムデータが送られてきた」
「パワーボムか・・・」
「セクター5のデータルームが生き残っている。そこでダウンロードせよ」
「了解した」
私はディスプレイに背を向けると、ブリーフィングルームを後にした。
「・・・まずい」
サムスの去った後、司令官はその電子頭脳を悩ませた。
セクター5のデータルームに、またしても謎のデータが送られているのだ。
「これ以上未詳データをダウンロードして、何も起きない保証はない」
だが、すでにサムスは去ってしまった。
何も起きなければいいのだが・・・。
セクター5。
寒冷地帯を再現したこのセクターは、雪の降り積もるエリアすら存在する。
データルームはその先だ。
ここでもバリアスーツは役立ってくれている。
ブルーXも吸収し、私は前へ前へと進んでいく。
そして、データルーム入り口。
私はただならぬ気配を感じた。
中に、何かいる・・・
「・・・!」
私は油断せずに、アームキャノンを入り口に向ける。
数秒間そうして警戒したが、何も出てこない。
341 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 21:22 ID:6cGxLtQC
ゆっくりとデータルーム入り口のシャッターに近づく。
「・・・行くしかないか」
諦め、私はシャッターを開けて中に足を踏み入れた。
「!?」
そこには、私がいた。
ダウンロードモジュールに収まっている私――そう、SA-X。
「ちぃ!」
今の私では、SA-Xとは戦えない。
なぶり殺されるのが関の山だろう。
私はきびすを返すと、データルームから出ようとした。
「何! 開け、開けよ!!」
だがシャッターはロックされていた。
反対側のシャッターにビームを撃ち込んでみるが、やはり開かない。
「くっ・・・」
絶望的だ。
いくらバリアスーツを持っていても、アイスビームで凍結しないだけ。
甚大なダメージを受けるだろう。
アイスミサイルを撃ち込んでも足止めにしかならない。
ダメージを与える術はないのだ。
なんとか脱出しようと、私が頭を回転させていると、SA-Xはダウンロードモジュールから離れた。
「!!!」
あわててアームキャノンを構える。
しかし、SA-Xはひるまずにこちらを向いた。
「くくく・・・」
「!」
SA-Xが笑った。
342 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 21:28 ID:6cGxLtQC
「何がおかしい!」
「うふふ・・・、マスターの私? もう袋のネズミだ」
SA-Xは、私の声で私にそう言った。
あえて口調を似せているようだが、本物の私とは若干違う。
艶がある、という感じだろうか・・・。
「だからどうした」
あくまで強気に出る。
「本物の私は、ここでXのしもべになる」
「何を!?」
その瞬間、私はアイスミサイルを放つ。
命中し、SA-Xは一瞬凍り付いたが、しかしすぐに元に戻った。
「ふふ、無意味なことは知ってるはず」
「・・・!」
ならば。
私はビームをチャージする。
ワイドビームを取り戻したのだ、もしかしたら何らかのダメージを与えられるかもしれない。
「それも無駄。プラズマとウェーブなくして、本物の私のコピーは倒せない」
「くっ!」
ビームを放った。
SA-Xは回避もせずに、ビームをその身で受け止めた。
だが、よろめきもしない。
何事もなかったかのように、SA-Xはそこに立っていた。
「う・・・あ・・・」
ここで初めて、私に恐怖が生まれた。
装備している武器が何一つ無効なのだ。
343 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 21:37 ID:6cGxLtQC
すなわち、抵抗はおろか、脱出のための時間稼ぎすら不可能。
「恐い? そうよねぇ」
SA-Xはゆっくりと私に歩み寄る。
「く、来るな!」
「あら、ひどい。私のマスターなのに、コピーを否定する気?」
歩み寄るSA-Xとは対照的に、私はゆっくりと後ずさる。
だが、すぐに壁にぶつかってしまった。
「ねぇ。おかしいと思わなかったの? セクター6のデータルームで。」
「!」
私は凍り付く。
司令官が仮説とは言っていたが、まさか本当にXの罠だったとは・・・
「くくく・・・、あのデータルームに残したデータ『PAR-SX.SAF』は、あなたのスーツを改造するためのもの」
「か、改造だと・・・」
そう問うことで、私は策を練る。
わずかでも時間を稼がなければ。
「そう。そして、私がここでダウンロードしたデータ・・・、まぁパワーボムは不要だったけど。
『PAR-SA-X.SAF』は、私があなたに寄生するためのもの」
「馬鹿な・・・、私はXを吸収できる!」
「そうね。でも、このデータをダウンロードしたコピーの私は、あなたに寄生できる」
まずい。
そんなことをされては、このB.S.L.のトラブルシューティングはおろか、私がトラブルメーカーになってしまう。
それだけは避けなければ。
344 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 21:43 ID:6cGxLtQC
気づくと、SA-Xはもう目の前に迫っていた。
「さ、御託は終わり。どういう意味か、教えてあげる」
言うと、SA-Xはぐちゅぐちゅと形状を変えると、全裸の私に姿を変えた。
「う・・・、やめろ! 人の身体を・・・!」
「その『人の身体』も、すぐ私のものになる」
SA-Xはなおも私に近づくと、私に抱きついた。
「は、離れろ!」
私は身体を精一杯振ってSA-Xを引き離そうとするが、全く意味をなさない。
「マスターの私は、戦いしか知らなかった」
「・・・!」
「ゼロミッションの記憶も、子供の時のゼーベスでの記憶もあるわ」
「Xが擬態した生物の記憶や知識を模倣するのは事実だったか!」
「くす・・・、そうよ。」
SA-Xは、パワードスーツを着た私の股間に手を伸ばす。
「でもね。コピーの私は、あなたより多くのことを知っている」
「やめろ!」
「それはね・・・。」
そしてSA-Xの手は、私の股間に触れた。
「うあ!」
「か・い・ら・く」
その声と、股間の感触は私に甚大なダメージを及ぼした。
精神的な、そして肉体的な。
今までに感じたことのない、何かすさまじい感覚。
345 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/26 21:52 ID:6cGxLtQC
免疫の無い攻撃のために、スーツは多大な量のエネルギーを消費した。
もう10分の1も残っていない。
何という攻撃力だ、SA-Xは・・・。
「ぐ、や、やめろ・・・!」
「あなたが今感じたのは、快感。その快感は、セクター6のデータルームからの土産よ」
「まさか・・・!」
「そう。あの『PAR-SX.SAF』は、あなたのスーツを快楽が貫通できるようにするためのもの」
非常に危険だ。
SA-Xは、さらに強力になったというのか!
私が失った能力を取り戻している間に――
「もう一回やってみようか」
「だ、ダメだ!」
本当にダメだ。
あと1回でも先ほどの攻撃を受ければ、スーツは間違いなく四散してしまうだろう。
エネルギーが切れると・・・、スーツははじけ飛ぶ。
「いくわよ」
「う、ぐ・・・!」
SA-Xの手が私の股間を再度、妖しくなで上げた。
「うあああぁ!!!」
「くすくす、もう終わりね」
私はスーツの警告音も耳にしながら、身体をのけぞらせた。
同時に私の身体全体を防御していたパワードスーツは、見るも無惨に砕け散った。
「あ・・・ああ・・・!」
ここからは、生身でのミッションなのか。
しかし、目の前の敵はゼロミッションとは違い、圧倒的な敵――私自身。
「さ・・・、あなたが知らなかった『快楽』、コピーの私がしっかり教えてあげる」
SA-Xは再び、私に抱きついた。
「そして、あなたの身体をもらって私がマスターになるわ」
SA-Xの宣戦布告が、二人以外誰もいないデータルームに響き渡った。
461 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 02:36:56 ID:KGJM56Ui
「はぁ、はぁ、はぁ、・・・」
私は肩で息をしながら、目の前の敵:SA-Xを凝視していた。
ゼロミッションの際はスペースシップから脱出する時間があったためにハンドガンを持っていたが、
今回はミッションの真っ最中にスーツを失った。
もう今の私に武器はない。
「諦めた方が楽になれるわ。何も考えず、ただ私の与える快楽に従って・・・」
SA-Xが手を伸ばす。
「そして、私に寄生されるの」
「!!!!」
私はSA-Xを自らの手で突き飛ばし、必死で向かい側のシャッターまで走った。
「開け、開けぇぇぇ!!!」
私はSA-Xの言葉により理性を保てなくなったのだ。
両手でシャッターを何度も何度も、力任せに叩きまくる。
だが、開かない。
「無駄よ。私の仲間がシャッターをロックしてるもの」
「うああああ!!」
今度は開閉装置をひたすら殴りつける。
すると。
「!!」
シューッ、という静かな音と同時にシャッターは開いた。
私はすぐさまそこから脱出した。
「予定外だわ・・・、でも」
SA-Xは含みのある笑みを浮かべた。
生身のまま走り続ける私。
462 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 02:41:14 ID:KGJM56Ui
どうにかXの追撃をかわし、私は辛うじてリチャージルーム――補給装置のある部屋
――へと逃げ込んでいた。
ここならXは来ない。
どういうわけか、各セクターに存在するリチャージルームやナビゲーションルーム、セーブルームには
Xは入ってこなかった。
データルームも基本的にはそうなのだが、先ほどのバリアスーツデータをダウンロードしたXもいる。
データルームは安全とは言い切れない。
「・・・」
息を整えると、補給に使用する装置を見る。
今の私には使えない。
これは、パワードスーツに装備されているアームキャノンから補給するためのもの。
生身では使えるわけがないのだ・・・。
「・・・どうしよう」
私はここに来て、再び巨大な恐怖感に襲われた。
身を守る物は本当に何もない。
この広く暗い宇宙のなか、未知の寄生生物「X」に占拠された宇宙研究所に一人。
今回は、生きて帰れないかもしれない。
私は素直に、その考えを受け入れるしかなかった。
「・・・」
だが、ここはリチャージルーム。
隣にはナビゲーションルームがある。
司令官が何か対抗手段を考えついたかもしれない。
私はわずかな希望にかけ、ナビゲーションルームに向かった。
463 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 03:12:29 ID:KGJM56Ui
「・・・」
司令官は無言で私を迎えた。
仕方のないことだ。
唯一の武器であり、防具であったパワードスーツを失った上、
SA-Xを始末できずにここに来たのだ。
何も言われても私から言い返せる言葉は無かった。
「過ぎた事だ。もういい。これからのことを考えるべきだな」
確かにそうだ。
悔いることはいつでもできるが、しかし生き延びることはこの先の策を考えなければできない。
生き延びなければ悔いることはおろか、もはや何もできなくなる。
「スーツを失った以上、もはや君はこのミッションを遂行することは不可能だろう。
幸いスペースシップはまだ無事だ。早急に戻りたまえ」
「・・・了解した」
任務失敗。
屈辱的な熟語が、私の脳裏を埋め尽くしていた。
しかし、この先の策は決まったが、まだ問題はある。
SA-Xの始末もそうだが、メインデッキをどう通過するか。
ドックに行くためにはメインデッキを通る必要があり、デッキはXに占拠されている。
「何か武器になりそうなものはないか?」
司令官が私に言う。
しかし、このナビゲーションルームには火器も鈍器も何もない。
「いや」
「そうか・・・」
464 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 03:17:26 ID:KGJM56Ui
「もし・・・」
私が口を開く。
「もし私がスペースシップに戻れなかったら、どうする?」
「何を・・・」
簡単には動じないこの司令官も、私のこの問いかけには動じたようだ。
「戻れない場合・・・、君がXによって殺されたり、ということか?
その場合は・・・、新たなエージェントを送るか、あるいは・・・」
「あるいは?」
その先の答えは予測できる。
「B.S.L.に核ミサイルを撃ち込み、君もろともXを滅ぼすことになるだろう」
やはり。
この広い宇宙だ。
B.S.L.の宙域にはB.S.L.以外何もない。
だから別に核ミサイルを使用したところで、誰も迷惑しないのだ。
「・・・正しい判断なのだろうな」
私は理解しようとした。
だが、それは不可能なことと私の心は必死に訴えていた。
「・・・では、行け」
私はディスプレイに背を向け、ゆっくりと歩き始めた。
自らの命を左右する、真の意味での「戦闘」をしに――
467 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 21:30:54 ID:KGJM56Ui
セクター5からメインデッキ下部へと上がる。
このメインデッキは、研究所職員達が居住するためのエリアと、
メインデッキ下部から各セクターへと移動する6個のエレベータからなる。
すなわちこのエレベータールームを通らなければ、隠し通路を利用する以外は
各セクターへと移動する方法はないのである。
そしてまた、スペースシップをとめてあるドックへも・・・。
「・・・Xか」
エレベーターの中で、私は頭を抱えた。
あんなゼリー状の、いかにも知能など持ち合わせていなさそうな連中に。
私は、唯一の武器であり防具であるパワードスーツを破壊された。
もうパワードスーツを修復することは不可能だろう。
惑星ゼーベスの失われた鳥人文明の遺産なのだ。
仮に修復できたとしても、その完全なる機能を復旧させることはできないだろう。
「くそっ」
私は誰もいないエレベーターの中で、一人悪態をついた。
悪態をついたところでどうなるわけでもないが、今の私にはそれしかできなかった。
この先のメインデッキには間違いなく相当数のXがいるだろう。
私はそこを突破しなければ、まず生きて帰れない。
やがてエレベーターがメインデッキ下部のエレベータールームに到着し、停止した。
ここはミッション中に何度も行き来している。
このエレベータールームにも、Xは基本的にいない。
幸いにも、今もXは一匹とて存在しなかった
468 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 21:37:53 ID:KGJM56Ui
セクター5行きのエレベータールームから、隣のセクター3行きの、
そしてさらに隣のセクター1行きのエレベータールームまで進む。
もう、今の私には使えない装置なのだ。
防具なくしてこの戦場では生きられない。
妙な名残惜しさを感じ、私はそのエレベーターを振り返る。
そう、セクター1はこのB.S.L.で初めて調査したセクターだった。
「・・・!」
そこで何故か、私の頬を涙が伝った。
私らしくもない。
涙など、あのゼロミッションの時ですら流さなかったというのに。
次に、「死」という冷酷な事象が私に訪れようとしている現実を改めてかみしめた。
恐らく私は感傷に浸っていること、そして「死」を実感したことで涙を流したのだろう。
「戦士に涙は不要な代物!」
私は自分に言い聞かせるように、誰もいないエレベータールームで叫んだ。
それはあたかも自分を勇気づけるかのようだった。
エレベータールーム中央の、メインデッキに上がるエレベーターに乗る。
この先で何があるかはわからない。
命が安全なのはここまでだ。
上にあがった途端に私は擬態したXに攻撃され、殺されるかもしれない。
あるいはXに再び寄生され、内側から死に至らしめられるかもしれない。
だが、行くしかなかった。
この、エレベーターを作動させるボタンを押さなくては何も始まらない。
私はここに再びミッション開始の新鮮さを覚えた。
469 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 21:43:43 ID:KGJM56Ui
ボタンを押す。
エレベーターがゆっくりと上昇を始めた。
「・・・」
メインデッキに到着したが、幸いXその部屋にXはいなかった。
背中には、SA-Xが破壊したとおぼしき壁。
目の前には居住区域へのシャッター。
「む・・・」
私は両手が震えていることに気づいた。
武者震いなのか、あるいは恐怖からくる震えなのか。
私は自分に前者だと思い聞かせ、ゆっくりと右足を踏み出す。
そして、シャッターを開けた。
その瞬間、私は壁に身を隠す。
ゆっくりと頭を出し、通路の様子をうかがう。
だが、何もいない。
当初もこの通路には何もいなかった。
私は全力で、次の部屋へと向かった。
ドックまであと4部屋程度の場所で、私は不審感を抱いた。
以前は転がっていた職員の死体がなくなり、かわりに床は柔らかいカーペットで覆われていた。
「・・・?」
Xの罠だろうか・・・。
しかしこの部屋には身を隠す壁や柱はない。
ここにXが現れたら最後だ。
私は全力疾走で次の部屋に向かうシャッターへと急いだ。
だが。
「!!!」
シャッターが不意に開くと、そこには・・・
「SA-X・・・!」
470 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 21:49:19 ID:KGJM56Ui
パワードスーツの姿となったSA-Xが、私の目の前にただずんでいた。
「くそ・・・っ!」
私はきびすを返し、この部屋に入ってきたシャッターを開けようとした。
しかし、またしても開かない。
「またか! 開け!!」
「無駄よ、私のマスターにしては物わかりが悪いわね」
SA-Xは部屋に入ってきた。
同時にシャッターが閉まると、SA-Xは開閉装置に向かってスーパーミサイルを放つ。
爆音と共に、開閉装置は粉砕された。
「離れて」
「!?」
SA-Xは私が必死に操作している、反対側の開閉装置にそのアームキャノンを向けた。
すると、そのままスーパーミサイルを放つ。
「うわ!!」
とっさに私は横っ飛びし、どうにかミサイルの直撃を免れる。
しかし、開閉装置にスーパーミサイルは直撃し、完全に破壊された。
「さ、これであなたは袋のネズミ。」
「・・・くっ」
私は床に両膝をつく。
ここで私は殺されるんだ・・・。
そう思った。
「殺されると思って?」
「!」
驚いた。
Xには人の考えを読む能力もあるというのか!
「貴様、私の考えを・・・」
「読めるわけないじゃない。でも、あなたに寄生した私だから。
なんとなくあなたの考えることはわかるわ。マスターだし」
そうか。
私に寄生し、その脳構造や記憶、感情も模倣するのなら私の考えを予測することも・・・。
471 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 21:56:01 ID:KGJM56Ui
「言っておくけれど、殺さないわ」
「何だと・・・?」
今まであれだけ必死になり、セクター3のボイラー室をハッキングしてまで
私を殺そうとしていたのだ。
(著者注:セクター3は温度が異常上昇すると耐えられなくなり、爆発します)
それを今更、殺さないとは・・・。
「何のつもりだ? さんざん私をB.S.L.から排除するために動いていた貴様が・・・」
「まぁ、殺すなら殺すでそれもいいんだけど」
何を考えている・・・?
「でも、せっかくマスターがいるんだから。他のXに寄生させて、
あなたのコピーを大量に作るわ。」
「!?」
まさか。
仮にこれが現実のものとなると、ベストコンディションの私:サムスが無数に生まれる。
それも、「X」の私が・・・。
その先どうするかをSA-Xに問いつめる必要などない。
さすがの私でも、その位は理解できる。
そう、あらゆる星や宇宙施設に侵略し、人間や他の生物を排除するつもりだろう。
そして、ベストコンディションの私の能力を持ってすれば不可能ではない。
「なんということだ・・・」
「クスクス、あなたの作戦ミスね。いや、正確にはあなたではない。
あなたに今回指令を出している人間のミスとも言えるわね」
「!」
そこまで読まれていたか。
Xに寄生され、自前のスペースシップを失った私は、新たなスペースシップと引き替えに
銀河連邦の司令官の指示に従って今回のミッションを遂行することになっている。
472 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 22:08:52 ID:KGJM56Ui
「可哀想なマスター・・・。」
「馬鹿に・・・するな・・・!」
哀れむSA-Xに、私は沸々と怒りがこみ上げてきた。
「あぁん、怒らないで。ねぇ、殺さないから。代わりにあなたの身体をちょうだい?」
「何を!」
「まぁ聞いて。取引しようって言っているのよ。私たち・・・、人間はXって呼んでるの?
Xはマスター、あなたを殺さないわ。望むものは何でも与えるし、何でもする。
その代わり、大量のXが寄生してあなたをコピーする。
いい条件よ? 生命エネルギーは私たちXが与えるから不老不死。
おまけに寄生するときの快楽まで味わえるわけで――」
「黙れ! 私がそんな取引に応じるとでも思っているのか!」
「思うわね」
「!」
断言したSA-X相手に、私は言葉を断つ。
「セクター5で、あれだけ感じていたんだもの。マスターは快楽を知らない。
そして快楽に弱い。まぁ、パワードスーツを改造したってのもあるんだけれど」
「・・・」
「それから、パワードスーツはバイオ素材。さっきマスターがダウンロードした、
Xが寄生できるようにするモジュールはマスターの生身にも影響してるわ。
もちろん、神経の反応指数もね。」
「馬鹿な・・・」
つまりは、私はすでに娼婦のような身体となってしまったということだろうか。
確かにあのデータは、股間や胸など、敏感な部分の数値を書き換えていた。
「さ、どうするの? 応じるの、応じないの?」
「ぐ・・・」
SA-Xは冷たい声で言うと、私にアームキャノンを向けた。
否、と答えればその瞬間に私は死ぬだろう。
もちろん目の前のアームキャノンによってだ。
「・・・、そんなことを聞いて・・・、どうせ・・・」
473 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 22:27:47 ID:KGJM56Ui
私はあきらめかけていた。
しかし、まだ脱出する可能性はあるかもしれない。
ここはSA-Xに従うふりをしてみよう・・・。
「どうせ、選択肢は一つしかないんだろう?」
「わかってるじゃない」
SA-Xはパワードスーツ形態から、人間形状へと変わった。
そしてパチン、と指を鳴らす。
すると。
「!?」
無数のピンク色のXが壁を通過し、SA-Xの周囲を取り巻いたではないか。
「あら、驚いた? 私たちはゲル状だから、壁貫通くらいわけもないわ」
確かにそうだ。
そうでなければ、他の生物の身体にとけ込むようにして寄生などできるわけがない。
「この子たちはあなた専用に進化したX。たっぷりとよがり狂ってね」
その言葉と同時に、ピンク色のXは私に張り付いてきた。
「うわ!」
奇っ怪な感触に、私は思わず悲鳴を上げた。
「あ、びっくりした? 悪かったわ」
などと言いながら、SA-Xは近寄ってきた。
ゲル状のXが身体をはい回ると、得も言われぬ感触が私を支配する。
「うひ・・・」
妙な声を上げてしまった。
SA-Xは馬鹿にするだろうか。
「そんなに気持ちいい?」
気持ちいい?
これが、性の快楽による「気持ちいい」ということなのか。
戦いしか知らない私は、この快感と初めて出会った。
・・・好きになれそうだ。
474 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 22:35:45 ID:KGJM56Ui
「!」
いけない。
早くも虜になってしまうところだった。
快楽ごとき、この広い宇宙ではどこでも手に入るだろう。
私はそう思うことで、気を持ち直す。
気づくと、SA-Xは目の前に迫っていた。
「さ、気持ちよくなってね」
SA-Xは私を押し倒した。
このために床を柔らかくしたのか・・・。
私は今更気がついた。
「この床も、全部Xで作ったのよ?」
「何・・・」
こんなところにもXがいたと言うのか。
すでにXは手に負えない程に増殖してしまったようだ。
SA-Xは私の衣服――といっても、パワードスーツのアンダーウェアのみだが、
少ない衣服を脱がせていく。
「もう、面倒ね」
言うとSA-Xはアンダーウェアに手を同化させた。
「!?」
アンダーウェアが独りでに動く。
その奇妙な感触に思わずのけぞった。
次の瞬間、アンダーウェアははじけ飛んだ。
「さ、これで準備万端ね」
これではスペースシップに戻ったとしても、司令官に顔向けできないではないか。
いや、戻れるかすらわからないのだった。
「・・・」
早くも思考が混乱し始めているようだ。
475 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 23:19:03 ID:KGJM56Ui
「行くわよ」
SA-Xが両手を伸ばした。
「う・・・」
思わず私は身構える。
どうすることもできないと言うのに。
怖かった。
私は目をつぶる。
「ふふ・・・」
やがてSA-Xが私の胸を触る感触を得た。
そして、股間にも・・・
「ふあっ・・・」
だらしない声をあげた。
しかし、この感触・・・、気持ちいいというのか?
その「気持ちいい」という感触が、私を支配していく――
「無理しないで。私達に身体をささげる代償なんだから・・・」
そうだ、これは代償。
好きなだけ・・・
いや、ダメだ。
この誘惑に乗っては・・・!
「はぁ、はぁ、はぁ、」
どうしたことか、息が荒くなった。
「効いてきた?」
何だ・・・?
まさか、さっきから私にまとわりついているピンクのXが影響しているのか。
「なん、だ・・・」
苦し紛れに私は問う。
476 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 23:30:43 ID:KGJM56Ui
「その子達の力よ」
「う・・・?」
やはりピンク色のXによるものだったか。
「その子達はマスターの神経を刺激してるの。
マスターは気づかないかもしれないけど、人間の女が感じる微弱な快楽電波を出してるの」
私は股間に液体を感じた。
これは何だ・・・?
「ほら、ぬれてきた。研究所の職員の記憶によると・・・、『愛液』というみたいね。
人間の女が性的に感じている時に分泌されるみたい。」
そんなものが人間には備わっていたのか・・・。
「そ・・・んなもの・・・」
「うふふ、どうして人間のマスターよりXの私の方が詳しいのかしらね。
そりゃもちろん、他の人間に寄生して知識を奪ったからよ」
もはや自明となっている問いの答えを、SA-Xは我が物顔で言う。
「さ、もっと濡らしてね。すぐに理性なんか吹き飛ばしてあげる」
SA-Xはぐちゅぐちゅと形状を変え、腕を二本増やした。
「うぁ・・・!」
二本の手で私の乳房を、一本で身体を支えて残りの一本で股間をいじくっている。
いつしかSA-Xの周りには、黄色や赤など様々な毒々しい色のXが集まり、浮遊していた。
SA-Xの動きも徐々に激しくなっていく。
「ほら、ほら、どう? どうなの??」
「はぁ、ああぁ・・・、ひぃう!」
答えられず、ひたすら嬌声をあげる。
「ひ、気持ち、いい?、気持ちいぃ・・・」
『気持ちいい』という言葉の性的な意味を完全には理解していないためか、
私の口から漏れる言葉は疑問形だった。
「うふふ、ほぅらこんなに濡れてる。戦士でも、本当は女ってことね」
「いぃ、気持ち、いぃ・・・」
同じ言葉を発し続ける私の口。
477 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/10 23:45:25 ID:KGJM56Ui
「ふふ、確かある程度濡れていてば大丈夫なのよね」
SA-Xは一人で呟く。
すると浮遊していたXが、SA-Xの股間に集まりぐちょぐちょと融合し始めた。
「あはぁぁん・・・」
SA-Xに快楽を感じる神経があるのかわからないが、快楽の声を上げたようだ。
もう、今の私には抵抗するだけの気力も理性も残っていなかった。
「はふぅ、いぃ・・・」
「うふふふ・・・」
私を支える手を離し、SA-Xは自らの股間に集まったXをこねている。
だが私にそれを見てどうこうすることはできなかった。
粘液質の音が部屋に響くと、そこには・・・
「あふ・・・、できたわぁ。どう?」
SA-Xは自らの股間で作ったものを私に見せた。
「あ・・・!」
それはマーブルカラーの男性器。
まさに数種のXによって作られたことを意味していた。
「欲しい? ・・・って言ってもわかんないか」
SA-Xはつまらなさそうに私を見据えていた。
でも、私には男性器が何をするためのものかぐらいわかっていた。
一つは排泄。
もう一つは・・・、おそらくこれから私がされようとしている行為だろう。
「ひぅう!」
見るとSA-Xは、私の股間・・・、秘所という言い方の方がよいだろうか。
その秘所に、作成した男性器をこすりつけていた。
「あは、こんなに感じちゃって・・・」
失笑気味にそんなことを言った。
478 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/11 00:04:59 ID:sUVKZU0g
「ひぃん! あふ、ああぁん!!」
何度もそれを繰り返し、私も何度も悲鳴を上げる。
もちろん、快楽の悲鳴だ。
毎度毎度、私には強烈な「快感」がフィードバックされている。
「すごい感じ方ね。初な人間ってこんななのね」
人間から奪った記憶にその情報はなかったらしく、SA-Xは感心している。
「さて、そろそろ・・・、入れるわ」
『入れる』
その言葉に、私はひどい魅力を感じた。
『入れる』『入れる』『入れる』・・・
「ああああああぁぁぁぁぁ!!!!」
全身の神経が焼き切れそうな程の『気持ちよさ』と共に、私は大声で叫んだ。
「あああああ!! いぃ、いいいいいいぃぃいぃぃ!!!!」
「あはははは、おもしろいわぁ! 戦士ってこんなに乱れるものなのね!」
そう、SA-Xの股間に作られたモノが、私の秘所に侵入していたのだ。
ピンクXにより高められた性的な神経が、その刺激を3倍にも10倍にもしていた。
「ひぃぃいい、きもひ、いいぃいいい・・・」
言葉にならない声を発し、私はよがり狂う。
「これで、動くのね」
SA-Xは腰を前後させ始めた。
「いいぃ!!! うご、うっごおご!!!」
「ほらほら、もっとよぉ!!」
SA-Xは一気に動きを激しくした。
479 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/11 00:16:12 ID:sUVKZU0g
同時に浮遊していたXが、私の身体に密着してくる。
瞬く間に私はゲル状物質に覆われている妖女のようになってしまった。
グチュ! ビジュ!
もともとゲル状であるSA-Xも、少しずつ形状を崩し始めていた。
快楽のためか、それとも私に寄生するためか・・・
「そろそろいいわね。うふふ・・・」
妖しい笑みを浮かべながらSA-Xは一人言う。
「ああぁ、ああああ! いぃの、いいのぉあぁぁぁ!」
「さぁ、あなたがさんざん吸収したXをたっぷり味わってね! ああああぁん!!」
SA-Xの嬌声と共に、私の胎内に大量の何かが注がれていく。
暖かいそれは間違いなくXだろう。
SA-Xはゲル状の姿に戻ると、私の身体を一気に包み込む。
「・・・! ・・・・・・!!!!!」
秘所から、口からアナルから。
様々な部位から、X達は私の身体に寄生していった・・・。
「う・・・」
目を覚ました私。
「あっ・・・」
そこで私は、『終わった』ことに気づいた。
もうこの身体は私:サムス=アランの物ではなく、Xの物であることに。
両手を見つめても、変化はない。
だが・・・
「・・・」
両手から、液体がわき出す。
それはまごうことなくX。
「ふふ・・・」
自然と笑みが浮かんだ。
480 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/10/11 00:19:06 ID:sUVKZU0g
その瞬間、すべてが切り替わる。
「私はX」
そう、私はXなのだ。
この身体、全身はXの物。
自らXを生み出すこともできる・・・。
マザーXとでも言えようか。
「うふふ、あはは、あははははははは!」
狂ったように笑う。
快楽はいいものだ。
Xが教えてくれた。
そして、Xは私にとって主人だ。
排除しようとしていた私が信じられない。
これからはXのために、Xのためだけに生きよう。
私は誓った。
646 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :05/01/01 10:50:26 ID:CFB8eLAs
あの時、私を助けてくれたのがサムスお姉ちゃんだった。
辺境の惑星で発生した、銀河連邦に対する蜂起。
ようは反乱っていうことらしいけど・・・。
私は反乱を計画した人たちに捕らえられていた。
なんでも、私の血には失われた種族のものが流れているとかで、
犯人グループは私を研究したがっていたみたい。
冷たくて薄暗い牢屋に閉じこめられて、時々血液を抜かれたの。
時には変なスキャン装置みたいなのをかけられたこともあったっけ。
2,3回くらいならまだしも、何度も何度も繰り返されるその作業に
私は耐えられなくなっていた。
たぶん、お姉ちゃんが来るのがあと1日でも遅かったら、私は壊れていたかも。
そのくらい、限界まで来ていた。
「・・・」
私はいつものように、肩をふるわせて牢屋の真ん中で座っていた。
(きっと、ここから一生出られないんだろうな・・・。)
そんな思いも、毎日しているうちに慣れちゃった。
この薄暗くて冷たい、誰も来ない牢屋で私は一生――
「・・・!」
私は涙を流しているのに気づいた。
床にこぼれた雫を見て、初めて認知したみたい。
「あぁ・・・」
(自分が泣いているのもわからないくらい、私はおかしくなっちゃったのかな・・・。)
647 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :05/01/01 10:59:33 ID:CFB8eLAs
もう嫌だった。
白衣の人が来ると、それは採血の合図。
それが何人か来ると、それはスキャン装置にかけられる合図。
一応、1日3回の食事は出たけれど、粗末なものだった。
意地をはって食べないと、マシンガン持った人が来て脅すの。
体調が悪くて食べられないなら、白衣の人が来てクスリを飲ませるの。
そう、私はまさに「飼われて」いたの。
野蛮な蜂起集団に。
何となく、目を上げる。
私の眼球が脳裏に写すのは、目の前にある白い壁と牢屋の鉄棒。
「・・・」
見慣れた、それでいて無感傷な映像に私は何も感じない。
「!」
(足・・・音・・・)
私の耳は、確かにその音をとらえていた。
きっとまた、採血・・・。
私は元のように首を垂れ、じっとすることにした。
近づく足音。
何もできない自分。
(いつ・・・、私は楽になれるのかな・・・)
「楽」という言葉。
それは、今の私にとっては「死」という、何よりも甘い、甘い響きを持つ言葉を指すものだった。
648 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :05/01/01 11:10:58 ID:CFB8eLAs
「立てるか?」
「・・・?」
どうやら足音の主はすでに牢の鍵を開けたらしく、私に声をかけてきた。
でも、聞き慣れた白衣の人の無機質な声じゃなかった。
女の声――
(ぇ・・・)
私はゆっくりと、顔を上げてみる。
そこには紫色のごつごつした服を着た人がいた。
私に手をさしのべている。
「・・・、だ・・・・・・れ・・・?」
私はしばらく使わなかった「言葉」を、いま自分の意思表示のために精一杯絞り出した。
「私はサムス=アラン。この蜂起集団を壊滅しに来た。」
そして、その人はこう付け加えた。
「ルナ=ナイトメア」
「!」
嫌な・・・名前。
自分の名前。
「悪夢」っていう名前。
私は首を振った。
「・・・逃げないのか?」
「に・・・げ・・・る?」
「そうだ。私は上の階の研究室で、あなたの情報を手に入れた。
ひどい扱いを受けていたようだな。」
649 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :05/01/01 11:21:36 ID:CFB8eLAs
「・・・ぁ・・・ぅ・・・」
答える言葉が見つからない――、いや、見つかっても口に出せない。
「私がこの星を脱出すれば、その後このあたり一帯は宇宙から爆撃される。
この地下牢も、間違いなく粉砕されるだろうな。あなたは間違いなく死ぬ。」
「死・・・」
はぁ、と私は感嘆のため息をつく。
(死、死、死、死、死ぬ、死、死ぬ、死ぬは、楽、楽は、死、・・・)
サムスさんの言葉は、私の頭深くに響き渡り、そしてその単語は無限の連鎖となって私を汚染した。
「死、ぬ、は・・・、ら、く。死ぬ、死、ら、く、死、・・・」
「・・・」
口に出してそう言っていたみたいで、サムスさんが眉をひそめたみたいなのは何となくわかった。
#作者注:サムスのスーツは頭部も完全に覆い尽くし、目の部分にバイザーがあるだけ。
#その表情を見ることは、通常ゲーム時にはほぼない。
気づくと、サムスさんは牢から出て横を向いていた。
「死、死、死、・・・」
壊れたカセットデッキのように繰り返す私。
その間、サムスさんはなにやら手からビームを放っていた。
数分すると、サムスさんはまた牢に戻ってきた。
「敵だ。どうやらここに私がいることを感づかれたらしい。」
この人、蜂起集団を全滅しに来たんだよね。
じゃあ、武器を持っている。
ということは、人を殺せる。
殺せる――、私のことも殺せる。
殺せる・・・、殺されるということは、死ぬ。
死。死。死。
「あ・・・ぁ・・・」
「何か言いたいのか?」
650 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :05/01/01 11:30:23 ID:CFB8eLAs
出ない言葉を必死に出す。
「こ・・・、こ・・・、」
「・・・?」
私はサムスさんの右手を私の胸に当てて・・・
「こ、・・・ろ、し・・・、て・・・」
「!!」
サムスさんは私を振り払って立ち上がった。
「何を言う。死んでどうするんだ?」
どうもこうもないよ。
(死ねば、楽・・・)
その思いを言葉にしようとした時。
私の周囲は、透明な何かで覆われていた。
「・・・?」
私は無関心にそれを見つめた。
「私のスペースシップに送る。今のあなたは自力で歩けないだろうし、
歩けたところで敵に狙われるのが関の山。」
「や・・・だ・・・」
「殺せというのか?」
私はゆっくりうなずく。
「できない相談だ。蜂起犯ならまだしも、被害者を殺すことはできない。
依頼主の銀河連邦もそう言っている。あきらめろ」
サムスさんがそう言うと、私を取り込んだ透明な球体が移動し始めた。
「行くぞ」
サムスさんが向こうを向くのを見た瞬間、私は意識を失った。
目を覚ました時、最初に見えたのはグレーの天井だった。
651 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :05/01/01 11:37:26 ID:CFB8eLAs
目がかすんでいるのか、よく見えない。
「・・・が・・・で、・・・」
誰かが話しているみたい・・・。
でも、よく聞き取れない。
なんとなく、ここが牢屋じゃないことはわかった。
あと、私が生きているということもわかった。
死にたいのに・・・。
「まだクスリが効いているはずよ。眠っていなさい」
白衣を着た眼鏡の人が、私をのぞき込んでそう言った。
「・・・」
私は、言われるまま・・・
眠りに落ちていった。
734 名前:FBX@Code-MF ◆LURUsAQvXg :05/03/07 23:18:05 ID:6xnZrZlD
あれから数ヶ月して、私はやっとまともに言葉を話したりサムスさんと接することができるようになった。
メディカルチームっていう人たちによると、私の体は薬で汚染されてたらしい。
でも私の種族の特性のおかげで、後遺症も残らずに全部抜けたんだってさ。
「ルナ」
「なに?」
サムスお姉ちゃんが来た。
・・・パワードスーツで。
「またお仕事?」
「ああ。今度は厄介かもしれない」
私にはお姉ちゃんの仕事がよくわからなかったけど、
何か大事なもののために戦っているんじゃないのはわかった。
多分、お姉ちゃんは・・・いつかきっと死ぬ。
戦う理由が大きくて、それが守るべきものじゃなければ・・・。
私はなんとなく、それを知っていた。
「以前私が宇宙海賊から解放した惑星の調査らしい」
「SRなんとかっていうあそこ?」
「そうだ。メトロイドと私が初めて出会った惑星」
「ねぇ、私も――」
「ダメだ」
「・・・」
しょんぼりする私を横目に、お姉ちゃんは言った。
「ルナは戦うべきではない。君は被害者なんだ」
私が拉致されていた施設のことを言っているんだ。
735 名前:FBX@Code-MF ◆LURUsAQvXg :05/03/07 23:27:56 ID:6xnZrZlD
「・・・同時に加害者にもなり得る私の言える台詞ではないか・・・」
「そんなことないよ」
確かにパワードスーツの力でお姉ちゃんは戦ってる。
依頼されて、という立場だけに恐れているのかもしれない。
「・・・それじゃあ行ってくる」
「帰りは遅くなるの?」
「できるだけ早く帰ってくるさ」
微笑むと、お姉ちゃんはパワードスーツの頭部を装着して退出した。
「・・・」
私はどうも悪い予感がした。
お姉ちゃんに助けられてから、しばらく幸せだったから・・・。
そう、不安だったんだ。
――そしてその予感は当たってしまった。
お姉ちゃんが未知の生物に寄生されて、さらにスペースシップごと撃沈したというのだ。
私はすぐに駆けつけたが、もちろん面会など許されなかった。
スーツを着てサングラスをした男の人がいた。
「サムス=アランは今、非常に危険な状態だ」
「え・・・」
事故のしらせだけでもショックだったのに、そんな話・・・。
「未知の生物に襲われ、その影響で意識を失った。
その結果、スペースシップを操縦中だった彼女は小惑星群に突入し、
そのまま小惑星の一つに激突したのだ」
「う・・・そ・・・」
「残念だが、本当のことだ。現在緊急手術中だ」
私の足は震えていた。
736 名前:FBX@Code-MF ◆LURUsAQvXg :05/03/07 23:36:33 ID:6xnZrZlD
「まぁ・・・、手術の様子を見ることはできるが・・・。
君には刺激が強すぎるだろう。すすめられん」
「・・・結構です」
私はそこに用意されている椅子に腰を下ろした。
「サムスは君の命の恩人だけに辛いだろうが・・・」
このスーツの人が私に気を遣ってくれているのがわかる。
確かに恩人なのかもしれない。
私の心をここまで正常に戻してくれたんだから。
「今は回復を信じて、待つしか無い」
「・・・はい」
そして、しばらく沈黙が流れる。
初めて会うスーツの人は、ずっとそこに立ったまま。
「何か飲み物でも買ってこよう」
そう言い残し、部屋から出て行った。
「お姉ちゃん・・・」
数ヶ月の間で、サムスさんは私の家族になっていたんだ。
私はそう認識した。
スーツの人が戻ってきた。
手には二本のパック。
「君が好きなのは惑星SSD-223産のイートドリンクと聞いたよ」
イートっていうのは、植物の一種。
SSD-223は温暖な気候なので、年中この作物が収穫できる。
「・・・ありがとうございます」
受け取り、開封する。
737 名前:FBX@Code-MF ◆LURUsAQvXg :05/03/07 23:42:23 ID:6xnZrZlD
この人は人間的・・・って言うのかな?
私は地球の人間じゃないからよくわからないけれど・・・。
私の治療をしてくれたメディカルチームは人間っていう種族らしい。
彼らの医学は宇宙においても高レベルなんだって。
お姉ちゃんが・・・言ってた。
「・・・」
私はまた涙を流していることに気づいた。
「辛いだろうな」
「はい・・・」
「私も似たような境遇に陥ったことがある」
スーツの人は何か語り始めた。
「君とは違って、本物の家族だった。血のつながりのある・・・、
と言えばわかりやすいかな。私の兄は銀河連邦所属のエージェントだった」
『だった』という語尾に、私は少し違和感を覚えた。
「じゃあ・・・」
「死んださ。確か・・・、リドリーと言ったかな。そんな奴と戦って、
そして全滅したとか・・・聞いたよ」
リドリー・・・。
サムスお姉ちゃんも一人で戦ったことのある、大きな竜型の怪物だ。
「リドリーという奴は、宇宙海賊の幹部らしくてね。兄はそいつを
殲滅して、海賊そのものに打撃を与えるつもりだったらしい」
「・・・」
私は何も言えなかった。
そのリドリーを、お姉ちゃんが倒しただなんて・・・、言ったらショックだろうから。
738 名前:FBX@Code-MF ◆LURUsAQvXg :05/03/07 23:54:02 ID:6xnZrZlD
「その後に君が姉と慕う彼女・・・、サムス=アランが単身で突入した。
結果は成功。見事にリドリーもろとも惑星ゼーベスを破壊したそうだよ」
「知ってたんですか・・・」
「そりゃな。銀河連邦のエージェントなら誰でも知ってるさ。
君の恩人は銀河連邦の恩人でも・・・、いや有名人かな」
そして少し沈黙があって・・・。
「彼女の報告書を読んだよ。私の兄らしき死体も発見したってね。
エージェントの中でも戦闘チームはパワードスーツ着用の許可があるからね。
そのシリアルナンバーでわかるのさ」
「そうですか・・・」
そこで小さな電子音が鳴り響いた。
「?」
「おっと・・・、私だ」
スーツの人は私に背中を向け、何かぼそぼそと話し始めた。
エージェントらしく、通信機を携帯してるみたいだ。
「・・・」
(この人の方が辛いのかな・・・)
この人のお兄さんは死んだんだ。
私みたいに、手術してどうこうするレベルじゃなかった。
(私の方がまだ楽なのかな)
そんなことを考えていると、スーツの人はこっちを向き直っていた。
「ルナ君。サムスの手術が終了したそうだ」
「!」
立ち上がり、部屋から飛び出そうとする私を制したスーツの人。
「待ちたまえ。サムスは現在ICUにいるそうだ」
「でも」
「ダメだ。いずれにせよ面会謝絶だ。それにICUの様子だってひどいものらしい」
「・・・」
私は再びうつむく。
739 名前:FBX@Code-MF ◆LURUsAQvXg :05/03/08 00:03:29 ID:pbkE/CIH
「ひとまず今日は面会は許されないようだ。君も一度ホームに帰るといい」
ホームとは、私たちが生活するエリアのこと。
ホームルームやホームエリアという呼び方が本来らしいけれど、
それだと長いし学校の授業みたいだっていうことでホームとだけ呼ばれてる。
「はい」
「上から私も同行するよう言われている」
「え?」
どういうことだろう。
私を今更監視しても・・・。
「上からの取り計らいらしい。君の恩人がこの状態だ。
いつも一緒に生活しているだけに不安があるだろう。代わりにはならないが・・・」
「・・・」
お姉ちゃんが銀河連邦の仕事を請け負っている間、私は銀河連邦の設備で生活する。
もちろんお姉ちゃんが帰ってきたら、別な場所に移動するけれども。
とにかく、銀河連邦は事件の被害者や犠牲者には手厚い。
戦士やエージェントにはあまり良い待遇は与えられないのに・・・。
「・・・わかりました」
断るのも悪いし、この人は色々と気遣ってくれている。
私はその好意を受け入れることにした。
数日後、私の目の前に変わり果てたお姉ちゃんがいた。
「ルナ・・・」
「お姉ちゃん!」
未知の生物に寄生されて、仕方なしにスーツをあちこち切り取ったそうだ。
948 名前:FBX@Code-MF ◆LURUsAQvXg :2005/05/10(火) 00:36:17 ID:NGdTU0My
「良かった・・・、生きて・・・」
私はお姉ちゃんの身体に抱きついた。
パワードスーツのごつごつした手で、私をなでてくれる。
「サムス」
「・・・わかっている」
お姉ちゃんの後ろには、黒スーツとサングラスの人。
この間のエージェントとは違う人みたい・・・
「ルナ」
「なに?」
「私は・・・」
とても言いづらそうなお姉ちゃん。
なんとなく、言いたいことが伝わってくる。
「私に寄生した生物、Xについて調査・滅殺を依頼されている」
「!」
「スペースシップも失ってしまった今、この依頼を受けるしかないんだ・・・」
「で、でも!」
「危険は承知だ。そして・・・、今の私は本来の力を発揮できない。
Xについて調査すれば、取り戻す手段もわかるかもしれない。」
「・・・」
「わかるか? 本来の力が無ければ、君を守ることも難しくなるんだ」
「うん・・・」
結局、今回もお姉ちゃんを見送ることしかできなさそう。
「けれど、一つ安心して欲しいことがある。私は二度とXに寄生されない身体になった」
「え、X?」
「私に寄生した未知の生物のことだ。メディカルチームはXと呼んでいる。」
「じゃあ・・・?」
「確かに本来の力は失ったが、逆にXの脅威も若干緩和できたということだ」
949 名前:FBX@Code-MF ◆LURUsAQvXg :2005/05/10(火) 00:41:37 ID:NGdTU0My
「ルナ君」
お姉ちゃんの後ろのスーツが話しかけてきた。
「?」
「我々としても、サムスの能力が失われたのは遺憾なことだ。
しかし、Xという生物を駆逐しないことには宇宙に生きる生命全てが危険にさらされるのだ」
その人は、Xというのがどういう生物なのか・・・
どう危険で、その天敵など色々と教えてくれた。
「・・・というわけだ」
「・・・」
確かに恐ろしい生物だと思った。
他の生命体に寄生して、体内で増殖。
宿主を殺し、自らは奪取した遺伝子データでその生物に擬態する。
そしてその天敵である生命体は、かつてお姉ちゃんが深く関わったあのメトロイド。
もう絶滅しちゃったけれど、その遺伝子が保存されていたためにお姉ちゃんは助かった。
メトロイドの遺伝子からワクチンを作ったんだって。
「なかなか理解しがたいかもしれないが、しかしこれが現実なんだ」
「ルナ。私は必ず生きて帰ってくる。」
「お姉ちゃん・・・」
「今回もちゃんと帰ってきたじゃないか。心配することはない」
「・・・うん・・・」
私を安心させようと、そんな言葉をかけてくれる。
でも・・・、なんとなく私には分かっていた。
今度も、またよからぬことが起きることが・・・。
950 名前:FBX@Code-MF ◆LURUsAQvXg :2005/05/10(火) 00:51:53 ID:NGdTU0My
数日後、お姉ちゃんはスペースシップで旅立っていった。
私を元気づけてくれたエージェントの人は、よく私のところに来てくれる。
今のお姉ちゃんの状況なんかも時々教えてくれたりする。
お姉ちゃんが、「銀河連邦は被害者に手厚い」って言っていたけれど、
こういうことなのかな・・・?
「最近は勉強熱心なんだそうじゃないか」
「え? ああ、はい」
戦う力は無いけれど、お姉ちゃんが使えるような装備を作ったり
パワードスーツを改良できたらいいな、と思ったのがきっかけだった。
私は今、遺伝子や生命、はたまたエネルギーについても学んでいた。
「お姉ちゃんをサポートできれば、って思ったんです」
「そうか・・・。」
エージェントの人は、遠い目をする。
「私も最初は兄のサポートができれば、と思っていた。
そしてそれはどうにか実現できたんだ。兄の装備開発担当としてね」
「へぇ・・・」
「あの・・・、リドリーを叩こうとした際にも私の装備を持って行ってくれた。
しかし、兄はそれを使っても生きて帰ることはできなかったんだ・・・」
「・・・」
何かまずいことを話題にしちゃったかも。
「いや、気にしないでくれ。独り言さ。」
「でも・・・」
「いいんだ。兄は確かに志し半ばで力尽きたが、サムスがそれを達成してくれたんだ。
私はそれで満足なんだ。君も・・・、サムスをしっかりサポートしてやれるように
今から頑張るといい」
「はい。」
951 名前:FBX@Code-MF ◆LURUsAQvXg :2005/05/10(火) 00:58:32 ID:NGdTU0My
やっぱりこのエージェントの人は、いい人なんだろうな。
連邦から命令されて来てるんだろうけれど、ここまで私のことを気遣ってくれるなんて。
「ところで・・・」
「?」
「サムスから少し聞いていたんだが、君には特殊な能力があるそうだね。」
「・・・ええ」
あまり気乗りしない話題。
「いや、気分を害したなら謝るよ。だが、その能力について少し知りたくないか?」
「というと?」
「君自身がどんな力なのかを自覚してるのならいいんだが、そうでないならだ」
「・・・」
少し考える。
確かに、私には未知の能力があるらしい。
それが原因で拉致されて、あのどこかの惑星の設備に監禁されていた。
「もちろん知りたくないならそれでもいい。そこは君の自由だよ」
その「特殊な能力」でお姉ちゃんのサポートができればいいなぁ・・・。
「どんな力なんですか?」
「知っておくか。それも君の選択肢なんだから、いいだろう。」
エージェントの人は少し間をおいた。
「予知能力だ」
「え?」
「予知。君の種族には、未来を予知する力があるのさ」
「予知・・・」
「そう。どのくらい先のことなのか、それが正確なのかどうかは不明だがな」
「・・・」
「あまり気分の良い話題ではなかったかな? 悪かった。
今日はもう退散するとしよう。」
「・・・はい」
私はその人を見送った。
「・・・どうしよう」
952 名前:FBX@Code-MF ◆LURUsAQvXg :2005/05/10(火) 01:04:09 ID:NGdTU0My
予知能力。
サムスお姉ちゃんがXに寄生されちゃう前に感じた、あの嫌な予感。
そして今回お姉ちゃんが旅立つ時に感じた、嫌な感じ。
どうやら・・・、私に予知能力があるのは本当らしい。
本当にわずかみたいだけれど。
少なからずとも予知能力があるとするなら、今回お姉ちゃんは・・・!
「・・・」
私は窓から風景を見る。
風景――、風景とは言っても何もない宇宙空間。
ここは銀河連邦の宇宙ステーションなのだから。
そこに、一筋の赤い光が見えた。
「?」
あれは・・・
「あ・・・」
あの特徴的な形は、お姉ちゃんのスペースシップ!
良かった、ちゃんと帰ってきた・・・。
私は部屋を飛び出し、ドッグの方へ走り出した。
・・・そう、お姉ちゃんに身に起きたことを何も知らずに・・・。
292 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/09 21:10 ID:ARMilWxl
Code:MF
設定資料・装備について
Xとは?
謎の寄生生命体。
他の生物の中に寄生し、増殖して宿主を殺す。
そしてXは、その生物に擬態することができる。
擬態している際は、サムスによって吸収されることはない。
吸収することで黄色のXはエネルギーを、緑のXはミサイルやパワーボムを、
赤いXは両方を補充することができる。
なお、中には特殊なXが存在し、これらは失われたサムスの特殊能力を持っている。
サムスはこの特殊なXを吸収することで、能力を取り戻してゆく。
SA-Xについて
切り取られたサムスのスーツに潜んでいたXが増殖し、サムスに擬態したもの。
ベストコンディションのサムスに擬態しているため、いわゆるフル装備となっている。
バリアスーツを持たないサムスは、SA-Xのアイスビームを受けると凍り付いてしまう。
293 名前:FBX@Code:MF ◆LURUsAQvXg :04/08/09 21:11 ID:ARMilWxl
特殊能力について
モーフボール:球体になる。ボールになることで、狭い通路を通れる。
ボム:モーフボール状態で設置できる。隠し通路を発見できるが、武器としては弱い。
パワーボム:広範囲に威力があるボム。一気に壁を破壊できるので、隠し通路発見に便利。武器としても有効。
ハイジャンプ:高くジャンプできる。また、ボール状態でもジャンプできるようになる。(旧スプリングボール)
スピードブースター:走り続けると発動。高速ダッシュで、敵をひき殺す。ロケットジャンプに必要。
スペースジャンプ:空中で何回でもジャンプできるようになる。
スクリューアタック:触れるもの全てを撃滅する。ほぼ無敵。威力はたぶん最強。
ミサイル:通常のミサイル。一発の威力は、ビーム攻撃よりも強い。
スーパーミサイル:ミサイルの強化版。ミサイル三発分くらいの威力らしい。
アイスミサイル:スーパーミサイルに冷凍機能をつけたもの。敵を凍らせることができる。
SA-Xにも有効だが、わずかに足止めできる程度。
デフュージョンミサイル:エネルギーをためて発射するアイスミサイル。
周囲に冷気をまき散らし、広範囲の敵を凍らせる。
チャージビーム:通常のビームの二倍程度の当たり判定。ため撃ちをすることで、威力アップ。
ワイドビーム(旧スペイザー?):チャージビームの三倍程度の当たり判定。
広範囲の敵に命中させることができる。
プラズマビーム:敵を貫通するビーム。かなりの威力を誇る。
ウエイブビーム:壁を貫通するビーム。オシロスコープの画面みたいな軌道で飛ぶのが特徴。
バリアスーツ:高温・低温環境に対する防御スーツ。アイスビームを受けても凍らなくなる。
グラビティスーツ:水中でも自由に動けるようになる。また、マグマの中に入っても平気になる。
#SA-Xは、これら全てを装備してると思ってください。かなり脅威ですw
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