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黒き災い
411 FBX ◆4gA1RyNyf. sage 2007/01/01(月) 15:27:07 ID:0pK+OTGM
よし行きますZe
>>401「巫女」
>>404「和風」
>>405-406「虜→女王」
以上了解。
>>409「魔女」
コレについてはちょっと兼ね合いが難しいので、別な回で。
では執筆開始。
412 FBX@黒き災い ◆4gA1RyNyf. sage 2007/01/01(月) 16:10:31 ID:0pK+OTGM
あの日から一日たりとも忘れたことはない。
この私の中にある、魔に対する憎悪だけは。
「………行くのか」
鳥居の近くで声をかけられる。
「…はい」
答えるは巫女服姿の少女。
「これを持って行くと良いだろう」
鳥居の陰にいる男は、何やら棒状の長いものを渡す。
「緋色。お前なら使いこなせるやもしれん」
「これは……」
緋色と呼ばれた少女はそれを受け取る。
それは一振りの刀であった。
しかし刀にしては鞘の装飾が煌びやかであった。
そして何より、白銀の鎖で刀が抜けないように固定されている。
「この刀は『赤華』と言う。何故鎖で封印してあるかは、わかるな?」
「もちろんです」
「まだ時間はあるか?」
「多少でしたら」
緋色の答えを聞くと、男は鳥居の陰から出てきた。
「この俺……、『清流』がお前を拾って何年だろうか」
「今日で5年3ヶ月と22日、3刻ほどでしょうか」
「……そこまでお前の憎悪は強いのだな」
その言葉に対し、緋色はにっこりと微笑む。
「もちろんです。私の家族を皆殺しにしたんですから」
「俺はお前を助けることができなかった」
「それが何でしょうか」
「この5年3ヶ月。俺はいつでもお前に殺されても良いと思っていたよ」
全く表情を変化させない緋色。
413 FBX@黒き災い ◆4gA1RyNyf. sage 2007/01/01(月) 16:11:02 ID:0pK+OTGM
「もしお前の中にある憎悪に俺が多少でも含まれているなら……」
清流はそこまで言うと、腰に差していた刀を鞘ごと抜き、衣服の前をはだける。
「この刀『青風』で俺を殺すといい」
「どうしてですか?」
「理由は2つだ」
緋色は一応それを聞くつもりの様子である。
「1つ。赤華と青風は2本で1つ。片方ずつ俺と緋色が持っていても真価は発揮できん」
「それはあなたを殺す理由にはなりません」
「いや」
清流は全否定する。
「十分な理由となるのだよ。この2本の刀は、な。持ち主が異なる場合、刀が持ち主を
争わせるように仕向ける呪術がかかっている」
「………それで、あなたが私を殺す前に殺せと」
「逆だ。俺はお前を殺したくない」
「2つめの理由は見えました」
「言ってみろ」
「5年前に私達を守りきれなかった事に後ろめたさを感じている」
「………正解だ」
そう、この二人の物語は5年前から始まっていた………。
時は戦国。
平和な時代は終わりを告げ、時代は覇者を選ぶこととなった。
表の世界では人間同士が殺し合いをし、勝ったものが地位と名声を我がものとしていた。
あくまで『表の世界』での話では。
………そう、当然『裏の世界』も存在していた。
414 FBX@黒き災い ◆4gA1RyNyf. sage 2007/01/01(月) 16:11:33 ID:0pK+OTGM
各地に点在する古来からの神社。
そこには多くの聖職者が集っていた。
しかしその理由は平和を祈るといった、いわゆる祈願の為ではない。
退魔の為にである。
人間の戦乱に乗じ、邪なる者どもが徐々に表の世界へと進出してきていたのだ。
ある者は人間と結託し、戦乱に荷担することで力を蓄える。
ある者は人間を虜にし、人間を操ることで勢力を伸ばす。
またある者は人里を襲い、魔なる者を増やす。
人々はそういった者どもを『黒き災い』と称し、忌み嫌っていた。
緋色も『黒き災い』の被害者であった。
5年前から彼女はこの神社に奉仕していたが、家族は山の麓の里に住んでいた。
そこに『黒き災い』が現れ、彼女の家族や里の者を連れさらったのだ。
………一人残らず。
緋色は彼らを死んだと見なし、復讐の念をその小さな体に宿し続けていたのだ。
その彼女を拾ったのが清流。
巫女であったために『黒き災い』に殺されかけていた彼女を救ったのだ。
その後5年間、緋色は戦闘訓練を受け続けた。
自らの心が壊れるほどに。
「俺はな。5年前にこの里が『黒き災い』に襲われるという情報を掴んでいた」
「………」
「情報を掴んだのは里から10里の彼方。予定の時までわずか数刻しかなかった」
清流は青空を仰ぐ。
雲一つない、快晴だった。
「到着した時には既に遅かった。生存者を捜している最中、お前を見つけた」
「10里の彼方を徒歩で数刻というのは不可能です」
緋色は笑みを崩さない。
「いや。実際、不可能ではなかった」
415 FBX@黒き災い ◆4gA1RyNyf. sage 2007/01/01(月) 16:15:17 ID:0pK+OTGM
「と言うと?」
「10里の彼方にある街には馬を調達する手段があったんだ。
だが、俺の失敗で調達することはできなかった」
「失敗とは?」
「細かいことは気にするな。街に『黒き災い』の間者がいたんだよ」
「………」
「結論として、俺の機転の利かなさで間に合わなかったわけだ」
「そう、ですか」
言うと緋色は足下に置かれた青風を手に取る。
「俺にはお前に殺される理由があるのだよ」
「あなたが望むなら、私はあなたを殺します」
「いや、殺せ。その2つの理由以外に俺は重大な罪を犯しているからな」
「罪?」
青風を抜く緋色。
「お前を壊してしまったんだ………。純粋なお前に戦闘訓練を仕込んだせいでな。
5年前、悲しみで満ちあふれていたお前の心を憎悪で満たす結果となったんだからな」
「そんなことはありませんよ」
「そんなことはある。今のお前の表情だよ」
「え?」
「俺と話をする時は絶対に笑みを崩さない。そして、今のお前の笑みには………」
「笑みには?」
刀を振りかぶる緋色。
「殺戮を楽しみたいという念がありありと宿っているよ」
その言葉を終えると同時に、緋色は清流に向かって刀を振り下ろした。
松明すら使わず、緋色は洞窟を進む。
彼女の背中には2本の刀。
416 FBX@黒き災い ◆4gA1RyNyf. sage 2007/01/01(月) 16:44:26 ID:0pK+OTGM
青風と赤華。
紅白の巫女服には似合わない装備だった。
5年という歳月の間、戦闘訓練を施された彼女にとって2本の刀や周囲の暗さなどは何の問題でもない。
やがて洞窟の最深部に到着すると、そこには鋼鉄製の扉があった。
「この先、ですか」
呟くと赤華を抜き、両手で構えて目をつむる。
緋色は『気』を使える。
神経を集中させ、赤華に気を送り込む。
次の瞬間。
緋色が目を開くのと同時に、赤華を扉に向かって振り下ろす。
細身の刀身に見合わず、刀はまるで鋼鉄の棒でも振ったかのような音を奏でた。
するとどうか。
目の前の鋼鉄の扉が斜めに切断され、先に進めるようになったのだ。
いわゆる『斬鉄』を実行したのだった。
「………5年、修行した甲斐があった………というのでしょうか」
右手に握る赤華を見ると、嬉しそうな笑みを向ける。
開いた扉に向かって歩き出す緋色には、5年待ちわびた復讐を喜ぶ空気が漂っていた。
1時間ほど歩くと、洞窟を抜けた。
「………鏡の世界、ですか」
出た瞬間に緋色は理解した。
この洞窟に入る際に左側にあった石碑が右側にあるのだ。
「しかし暗いですね。ちょっと見えづらい程度ですが……」
ふと空を見上げる緋色。
その空虚な微笑みが、ピクリと動く。
「………どうやらここで間違いないようですね」
417 FBX@黒き災い ◆4gA1RyNyf. sage 2007/01/01(月) 16:46:20 ID:0pK+OTGM
見上げる空の色は、赤。
まさしく『黒き災い』の根城であることの証拠であった。
「緋色か」
「!」
青年の声がした。
どうやら目の前の木の陰からのようだった。
「………素直に帰った方が良い」
「あなたは誰ですか?」
「お前の兄だよ」
「………そうですか。残念です」
「残念?」
「私の復讐の幕を上げるのが、かつての兄様だというのが」
緋色は赤華と青風の両方を抜き、声の聞こえた方向に突進する。
「待て!」
「………」
その言葉には反応しなかった。
そのまま緋色は両の刀を振る。
「ぐっ………」
何本もの木が倒れる中、苦悶の声がこだました。
「本当に兄様でしたか」
「言っただろ………、俺は緋色には嘘をつかないってさ」
声の方向へと歩く緋色。
しかし、そこには異形の生物が横たわっているだけだった。
「『黒き災い』に取り込まれたのですね」
「体はとりこまれちまった。心は、見ての通り、さ」
苦しそうな表情らしきものを浮かべる生物。
「来世でもまた会えるよう、祈っています」
418 FBX@黒き災い ◆4gA1RyNyf. sage 2007/01/01(月) 17:07:39 ID:0pK+OTGM
「是非とも、頼むよ」
緋色は自らの兄の生を断ち切った。
それ以外は何の妨害も無く、緋色の神社があった場所に到着できた。
しかしそこにあるのは神社などではなく、おぞましい建築物。
いや、建築物という物なのかすら怪しい。
何故ならば………外壁が生きているかのように脈打っていたからだ。
「まったく、『黒き災い』というは本当に悪趣味ですね」
緋色の復讐はまだ始まったばかり。
彼女の微笑みは未だ崩れることはなかった。
「!」
敷地に入った瞬間、緋色は感じた。
「………結界ですか。この敷地全体を覆う巨大な物ですね」
「さっすがお姉ちゃん!」
「………」
背後から声が聞こえた。
ゆっくり振り返る緋色。
そこには1体の異形がいた。
「久しぶりだね。何年ぶりだろ?」
「現世では5年と2ヶ月です」
「ほえー、やっぱり時間の流れが違うんだねぇ………」
「こちらでは?」
「んーと、場所によって違うんだってさ。ここら辺は現世の1年が300年だって聞いたよ」
「300年、ですか………」
「だからねぇ、水花はお姉ちゃんより年上になっちゃったってことになるよね?」
「まぁ、そういうことになりますか」
「うーん………、なんか変だなぁ。どうしてそんなに笑ってるの?」
水花は緋色に聞いてみた。
昔の緋色はこんなに笑わなかった為だった。
「5年という時間、私は普通の少女として過ごしませんでした。
419 FBX@黒き災い ◆4gA1RyNyf. sage 2007/01/01(月) 17:21:31 ID:0pK+OTGM
だからせめて、表情だけは少女のままでいたかったんですよ」
「あたしはねー」
異形が陰から出てくる。
「こっちでは1500年間になるけど、その間何してたと思う?」
「あなたの姿を見れば想像つきます」
水花と呼ばれた元少女の体は、美しい物であった。
褐色の肌に銀色の髪。
整った顔つきを彩る紫の紅と化粧が、一際彼女を美しくしていた。
顔だけではない。
豊かに膨らんだ胸とくびれた腰、長い足。
どれを取っても最高の美女であった。
だが、その尖った耳と獣のような瞳が人間ではないことを物語っていた。
「それで、あなたは何をしに来たんですか?」
「んっと、お母様がお姉ちゃんを案内してって言うから」
「お母様? 私達のですか?」
「うーん………、たぶんお姉ちゃんは『違う』って言うだろうけど、そうだよ」
「そうですか」
右手を赤華へと持って行く緋色。
「あ、待って待って。本当に私は案内しろって言われただけなんだって」
「………まぁ、いいでしょう。兄様も心は支配されてなかったようですからね」
「………殺したの?」
「当たり前です。今の私にとって、『黒き災い』は復讐対象以外の何物でもありません」
「お兄ちゃん、最後までお母様の言うこと聞かなかったからかなぁ………」
「早く案内なさい。殺しますよ?」
「あー、わかったわかった。ついてきて」
420 FBX@黒き災い ◆4gA1RyNyf. sage 2007/01/01(月) 17:32:31 ID:0pK+OTGM
緋色は水花についていった。
建物らしきものに入ると、玄関には和服を着た女性が待ちかまえていた。
「ようこそいらっしゃいました」
「水花?」
「あぁ、この人は楓って言って、3万年くらい前からいるんだってさー」
「………私は歓迎されてるんですか?」
「もちろんです。お母様のご子息ですから」
緋色の笑みが、またしてもピクリと反応する。
「ちょ、ちょっと楓さん駄目だって。お姉ちゃんの前でお母様は駄目だって」
「あ、そうでした。気に障ったようでしたら失礼しました」
楓は丁寧に頭を下げる。
「………」
「さぁ、どうぞ。水花も」
「はーい」
「あぁ、履き物はこちらへ」
「『黒き災い』にも文化はあるんですね」
「もちろんです。何万人という人間をさらってきたわけですからね」
「楓さん、と言いましたか。私はあなた方を殺しに来た者ということをお忘れ無く」
「ええ、承知しております。さ、どうぞ」
緋色は履き物を脱ぐと楓について行く。
今度は水花が後ろについた。
しばらく歩き、階段を上ってまた歩く。
建物の外観の割に、中は相当広いようだった。
「意外と広いですね」
「ここに来られる方は皆そうおっしゃいますよ」
「この屋敷はねー、生きてるんだってさ」
「生きている?」
「うん。外から見たでしょ? 壁がどくんどくん動いてるの」
421 FBX@黒き災い ◆4gA1RyNyf. sage 2007/01/01(月) 17:39:19 ID:0pK+OTGM
「………ええ」
「だからね、必要な部屋はいつでも作れるんだってさー」
「結構便利ですよ。どうですか? 緋色さんもこちらに住まわれては」
「あいにくですが、『黒き災い』と共に住む気はありませんよ」
「残念です」
そんな会話を交わし終えると、楓が足を止めた。
「こちらです。先ほどは私達と言いましたが、緋色さんと水花のお母様ですね」
「………」
「さ、入ろー?」
緋色は襖をゆっくりと開けた。
その部屋は薄暗かったが、どこか甘い香りが漂っていた。
(香………のようですね)
桃色の煙を出している香炉が部屋の片隅に設置してあった。
「久しぶりね、緋色」
「………」
緋色は返事をしない。
目の前の存在が既に自分の母ではないことを悟っていたからだ。
『緋色様、ようこそおいでになりました』
部屋の左右に女中とおぼしき異形が列を作って丁寧に座礼をした。
「1500年ぶりになるわね………」
「お母様?」
この異界に来るまでの洞窟の暗さ、異界の暗さなら平気であった緋色。
しかし流石に屋敷の暗がりともなると見えないようだった。
「少し暗すぎるかしら? いいでしょう」
その声と同時に、一人の女中が室内の燭台に火をつけていく。
「『黒き災い』は火も使えるんですね」
「あら? 楓に聞いたはずでしょう?」
「!」
先ほどの会話をすべて聞かれていたようだった。
「ふふ、驚いているようね。私は『黒き災い』の王となったの。
422 FBX@黒き災い ◆4gA1RyNyf. sage 2007/01/01(月) 17:53:07 ID:0pK+OTGM
だから、他の子たちの考えてることとか話してることは全部わかるのよ」
「………」
緋色は一歩前へ出る。
「さ、あなたたちも挨拶しなさい」
すると女中が顔を上げた。
「………やはり」
「当然よ? 私達みんなさらわれたんだもの」
そう、女中は全員、かつて緋色の里に住んでいた者だった。
しかしそれらはすべて異形と化していた。
あるものは額に第3の目があり、あるものは髪の毛を服のようにまとわりつかせている。
またあるものは頭に角があり、またあるものは亡霊のように半透明になっていた。
「でも、さらわれた者の中でも私は違った。あなたが巫女になったように、
うちの家系は代々巫女を出していたみたいでね」
「それで?」
「巫女は『黒き災い』になるのに適した存在ってことよ」
「………話はその辺にして、どうでしょうか。再会の宴でも」
楓が口を入れた。
「そーだよぉ、あたし飽きちゃった。難しい話なんだもん」
「あらあら、水花は1500年たっても子供なのね。ま、いいわ」
その言葉と同時に部屋の雰囲気が一気に変わった。
座っていた女中や楓、水花から妖気が放たれ始めたのだ。
「あなたの母である、この麻花があなたを仲間にしてあげましょう」
緋色は既に両の刀を抜いていた。
戦いは膠着状態にあった。
襲いかかってきた女中が異常に強かったのだ。
「数が多いから油断したのかしら? それともかつての知り合いだから斬れないと?」
麻花が言う。
「………違います」
事実、違った。
緋色は全力で戦っていたし、油断など微塵もなかった。
「でしょうねぇ」
「………」
髪の毛を自由に操る異形によって四肢を拘束された緋色。
それでも笑みは崩れなかった。
423 FBX@黒き災い ◆4gA1RyNyf. sage 2007/01/01(月) 17:56:52 ID:0pK+OTGM
「あなたの敗因は、霊気を使えないこと」
「!」
その声は水花のものだった。
「気の力だけではあたしたちに致命傷は与えられないわ」
「水花………」
「んふ、いつまでも子供だと思った? そんなわけないじゃない」
「………」
「それともお兄ちゃんみたいに心は無事だったとでも?」
「わずかに期待していました」
「甘いわねぇ。1500年よ? 1500年の間、あたしたちはお母様に犯され、
『黒き災い』となるためにたくさんの教育を受けてきたんだもの」
「緋色」
「!」
今度の声は麻花のものだった。
「もうやめなさい。里の者は皆異形となり、残るはあなただけ」
「………何があろうとも、すべて滅ぼすまで私の復讐は終わりません」
「強情ね。強くなったのね緋色。気に入ったわ」
次の瞬間、麻花は緋色の目の前に移動していた。
「もう一度、私の娘として育ててあげる」
そういうと麻花は熟れた肉体を緋色に密接させ、緑色の唇を緋色と重ねた。
「んっ!」
これには流石の緋色も驚きの表情を見せた。
「あはっ、やっと表情が変わったわね」
水花が笑う。
「厳しい修行のせいで心が壊れちゃったのは一目見てわかったわよ」
水花は緋色の後ろに回り、緋色の胸をもむ。
無駄な脂肪の無い緋色の体は、筋肉でがっちりとしていたが貧相であった。
「でも、ちゅばっ………、すぐに母様が、ぴちゅ………治してあげる」
何度も何度も口づけをする麻花。
424 FBX@黒き災い ◆4gA1RyNyf. sage 2007/01/01(月) 18:06:04 ID:0pK+OTGM
しかし、緋色は麻花が左手で自らの秘所を弄くっているのを見ていた。
(何か企んでいますね………!)
思考は働いているが、全身拘束されているために何もできない。
「んはぁっ」
突然麻花が叫び声を上げたと思うと、緋色の目の前で左手を見せる。
「………?」
その手には真っ黒な球体が乗っていた。
「コレが『黒き災い』の種。はるか昔、神に見放された者が邪神に授かった物よ」
「それをどうするんですか?」
緋色は恐れることなく言う。
彼女なりに時間を稼ぎ、反撃に転じる隙をうかがっているのだ。
「こうするの」
麻花はそれを飲み込んだ。
「あなたは私の娘。普通の異形にしておくのにはもったいない」
「あたしのお姉ちゃんだもん。とびっきりの異形になってもらわないとね」
「………」
そして、麻花はもう一度緋色に口づけをした。
「んっ………」
ぴちゃ、ぴちゃと二人の唇から卑猥な音が漏れる。
いや、緋色の後ろで水花が自慰を平行して行っているからかもしれない。
「んん………」
麻花がうめく。
(何………?)
麻花の喉が膨らみ、何かが上ってくる様子だ。
「!」
緋色は咄嗟に危機感を感じ、身をひねる。
しかし拘束された髪の毛は非常に頑丈で、びくともしない。
「んんんーーー!!!!!!!!!!!!」
麻花とも緋色ともわからない悲鳴が部屋に響いた。
麻花の口内から緋色のそれへと、何か異物が入り込んできたのだ。
それは結構な大きさであり、緋色はひたすらそれを飲み込むしかなかった。
ゴクッ、ゴクッ………
大きな咀嚼音が部屋にこだまする。
425 FBX@黒き災い ◆4gA1RyNyf. sage 2007/01/01(月) 18:13:55 ID:0pK+OTGM
しばらくして、麻花は唇を離した。
「ふはぁ………、どうかしら。女王の口づけは」
「………う」
(体が………おかしい?)
異物を飲み込んで、すぐに緋色は自身の肉体の異常を察知する。
「何をしたんですか」
「言ったでしょう。『黒き災い』の種をあなたに植え付けたの」
「私が『黒き災い』になると?」
「そういうことだよ」
後ろから水花の声。
「今度はお姉ちゃんの大事なところにあたしの嫌らしいお水をたっぷり塗るのよ」
麻花と水花が入れ替わる。
「そのためにさっきからクチュクチュしてたの」
水花は宙に浮くと、愛液でよく滑る秘所を緋色のそれへと押しつける。
「うはぁ………」
水花は快楽を感じ、声をあげる。
「ひぅ!?」
麻花が後ろから緋色を抱きしめ、耳に息を吹き込んだり首筋をなめている。
「や、やめて………」
「あらぁ、流石のお姉ちゃんもこういうことは初めてなのかしら?」
「いいえ、1500年前に『黒き災い』に一度強姦されてるはずよ」
「そうだったっけ? 1500年前だから覚えてないや」
(体が………熱くなってきてる………?)
話を聞きながらも、緋色は自分の体の異常を分析していた。
だがこの先どうなるかは全くわからない状態であった。
「さ、もっともっと嫌らしい汁を塗ってあげる」
水花は緋色の秘所だけにとどまらず、緋色の全身に愛液を塗り始めた。
「ん………、何ですかこの香り」
「コレはね、あたしの愛液のにおいよ」
「………」
「どんなにすました人間でもすぐに虜になっちゃうわよ」
「………」
「コレなんかどうかしら」
426 FBX@黒き災い ◆4gA1RyNyf. sage 2007/01/01(月) 18:20:13 ID:0pK+OTGM
麻花が後ろから緋色の秘所をつつく。
「ふあああ!!」
声は緋色のもの。
緋色の体は今や敏感の極みであり、秘所をつつかれただけで強烈な快楽を感じたのだ。
「あぁー!!」
「どうしたの水花」
「今のでお姉ちゃん、おまんこからねばねばしたのが飛び散ったよー?」
「い、言わないで!!」
水花の指摘に対し必死で抵抗する緋色。
「かーわいぃなー………」
水花はひどくいやらしい目つきで緋色の顔を見る。
「でもお姉ちゃんの目には憎しみが宿ってるのよね」
「………例え妹でも母であろうとも、私は二人を殺します」
「それじゃあ、そんなこと考えられないようにしてあげる」
水花は右手で自らの股間を、左手で緋色の股間を擦り始める。
「うっ………くっ………」
緋色は必死に快楽に耐える。
「ふはぁ、気持ちイイ………最高よね、こういう嫌らしいことって」
水花は快楽を純粋に受け入れ、その行動を賛美していた。
「あぁ、そうそう。緋色。あなた一度でも絶頂に達したら終わりよ」
「ぅ………、何ですって?」
「さっきあなたが飲み込んだ種が発芽して、あなたを支配しちゃうわ」
「うぅ………」
快楽に耐えながらも頭を回転させる緋色。
「つまり、私の娘として『黒き災い』になるってことねぇ」
「ぜ、ったいに………うっ………ふは、ならない……です」
「ま、どこまで耐えられるかが楽しみってとこだよね」
水花はさらに手の動きを加速させ、緋色と自身の快楽を高めていく。
427 FBX@黒き災い ◆4gA1RyNyf. sage 2007/01/01(月) 18:28:54 ID:0pK+OTGM
「お母様ぁ………」
周囲に控えている女中の一人が声を上げた。
「なぁに?」
「あの、その………私達も………」
「あぁ、そうだったわね。このまま私達だけというのも生殺しよね」
「そ、それじゃあ」
「いいわ。楽しみなさい。たっぷりと嫌らしい粘液を部屋に撒き散らすのよ」
「はぁい!!」
女中たちは嬉々として互いに絡み始めた。
体から生える触手で自慰行為をしたり、蛸のような吸盤で胸を吸ったり。
中でも花を全身にまとわりつかせた女中に吸い付く蝶の女中は、その中でも目立っていた。
「ほぉら………、見てごらんお姉ちゃん。1500年でみんな、完全に変わっちゃったんだよ」
「ううー、やめてぇ………」
緋色は顔を赤らめ、息を荒げていた。
「お姉ちゃんもそろそろ限界なんじゃない?」
「そんな、こと、ひぅ………無い………です」
緋色の後ろにいる麻花が怪しい口調で緋色の耳にささやく。
「ねぇ? 復讐なんてやめましょう? あなたはとらわれの身。私達は皆、異形の身。
あなた一人でどうこうできる状態じゃないのはわかってるんでしょう?」
「それ、でも、私………は………」
「巫女として5年間頑張ったんだから、あなたはそろそろ解放されるべきよ」
「ふく、………うんっ………しゅうは、やめ………ない………」
「少し考え方を変えてあげる」
麻花は口を開くと、そこから極細の触手が無数に現れる。
それらは自由にうねりながら、緋色の耳の中に入っていった。
「う………あぁああああ………」
突如として緋色の目つきは虚ろになり、全身が痙攣するかのようにふるえ始める。
「お姉ちゃん………、お母様の洗脳をたっぷり受け取ってね」
水花の手の動きは休むことを知らない。
もはやその動きは人間のそれを上回り、愛液が潤滑油となっていなければ摩擦で火傷するほどだ。
428 FBX@黒き災い ◆4gA1RyNyf. sage 2007/01/01(月) 18:35:59 ID:0pK+OTGM
『黒き災い』に脳をいじられた者が正常に戻ることはない。
触手は脳のなかに毒物を大量に注入し、脳を作り替えてしまうからだ。
どんな風に作り替えるかはその異形に自由があった。
やがて麻花は触手を抜く。
「さ、どんな気分かしら?」
水花が問う。
「さいこぉ………気持ちいぃわぁ………」
意志の光を失った緋色の瞳が、とろけるように潤んでいた。
「じゃあ種を発芽させちゃおうね」
水花の指が、緋色の大事な洞窟へと入っていく。
「あっ、あっ………入って、ふわぁ、ああっ」
「あたしも、入って、あはぁ………」
水花の指は自身の洞窟にも突入し始めていた。
「もっとぉ、入れてぇ………」
「ええ、大丈夫よお姉ちゃん、たっぷり、入れて、あげるぅ」
水花の指はゆっくり、ゆっくりと、しかし確実に入っていく。
「あっ、そこっ、ふは、イイ、よぉ………!」
「そ、ろそろ、イっちゃう? イっちゃうお姉ちゃん!?」
「うはぁ、イく、イくぅぅーーーーーーーーー!!!」
「あああああああああああーーーー!!」
水花と緋色は同時に絶頂に達し、果てた。
「緋色………、これであなたも私の娘よ」
麻花が慈しみを込めてそういった。
「お母様ぁ………」
快楽で気だるい体を動かし、麻花の方を向こうとする。
「拘束を外しなさい」
麻花の一言で、緋色を縛る髪の毛はほどけて女中のところに戻っていった。
429 FBX@黒き災い ◆4gA1RyNyf. sage 2007/01/01(月) 18:44:44 ID:0pK+OTGM
「お母様ぁ、緋色は愚かでしたぁ………」
全身に快楽の残る緋色は、ゆっくりと麻花のへと歩み寄る。
「いいのよ。わかれば、それでいいの」
「ひあああ!!」
緋色が突然悲鳴をあげる。
なんと麻花の秘所から黒い触手が伸び、緋色のそれを貫いていた。
「さ、これは私からの祝儀よ」
麻花はずん、ずんとその触手で緋色を突く。
「あっ、あっ、すごっ、いっ、これって、あぁっ」
「そう、よ………、5年前、あなたが強姦されたのと、同じ、触手よっ」
イったばかりで敏感な緋色が絶頂に達するのに要する時間はわずかだった。
「らめ、ふあ、またイっちゃうですぅ、ふああっ」
「いいのよ。イきなさい、緋色っ」
「あっ、あああああーーーーー!!!」
「うあっ、出るぅ!!!」
麻花の触手の先端から、黒く濁った精汁が大量に注がれる。
緋色は麻花に抱きかかえられるように秘所を貫かれていた。
彼女の子宮に放たれる精汁の音は、近くにいる水花にも聞こえていた。
「いいなぁ、お姉ちゃん。お母様からあんなに注いでもらって………」
「うふふ……、水花にもあとでたっぷりあげるわ」
「うん♪」
「それは私の台詞です」
「え?」
麻花に黒い毒精を注がれた緋色は、ゆらりと麻花から離れると直立した。
「脳をいじられ、魔精を注がれましたが………憎悪は消えていませんよお母様」
「嘘を言わないのよ緋色。異形の洗脳が解けることなど………」
「そうではありません。お母様の洗脳は憎悪を消すことまでしなかったということです」
「え………?」
「私が『黒き災い』の女王となってあげましょう。それでお前たちを支配し、人間を滅ぼす」
緋色はそう宣言すると、その体が突然液状化した。
「なっ!!」
水花があわてて攻撃態勢に入る。
430 FBX@黒き災い ◆4gA1RyNyf. sage 2007/01/01(月) 18:55:09 ID:0pK+OTGM
しかし液体となった緋色は麻花の顔へと群がり、その中へと入っていく。
「ごぼっ! やめ、ごぶっ………」
やがて液体の緋色は麻花の中へと完全に姿を消すと、麻花の姿が変わっていった。
病的に白かった肌は黒ずんだ灰色のものに。
紫色の瞳は殺意で満たされた緋色のものに。
先ほどまで麻花がはやしていた股間の触手の本数が増えていき、下半身を包み込む。
「私は『黒き災い』の女王。卑色」
「!!!」
水花はその威圧感に圧倒され、身動きできない。
目の前の異形は、まるで修羅のような殺意と憎悪をまとっている。
しかしその肉体の上半身は艶めかしい女体という差がある。
下半身の触手は周囲の女中を絡め取り、既に犯していた。
「水花。貴様は私の奴隷にしてくれよう」
何本もの触手が水花へと飛び交い、すぐに拘束される。
10秒後、水花は50回は絶頂に達していた。
「コレが私の種。受け入れるがいい」
まるで子供の鞠の2倍はあるほどの巨大な種子が現れ、水花の腹部へと入った。
いや、突き刺さったという表現の方が正しいかもしれない。
緋色のように口からではなく、直接腹部へと入っていったのだ。
「がはっ」
水花は青い血を口から吐く。
にもかかわらず緋色の触手がうねっているため、イき続けることしかできなかった。
ちょうど3000回ほど水花が絶頂に達すると、卑色は水花を解放した。
「さぁ、貴様の名は?」
「はぁ、はぁ、………あたしの名前は『邪水花』」
「貴様は何だ?」
「『黒き災い』の女王、卑色閣下の絶対なる奴隷」
「ならば忠誠の証を示せ」
「承知しました」
生まれ変わった水花――邪水花は卑色の秘所へと移動し、奉仕をし始めた。
「ククク………、我が復讐。ここに完遂せり」
431 FBX@黒き災い ◆4gA1RyNyf. sage 2007/01/01(月) 19:03:34 ID:0pK+OTGM
緋色の復讐は、自身が卑色となることで完成したのだった。
現世。
神社の鳥居には、緋色に切られた清流が横たわっていた。
全身から大量の血液が流れ、もう長くはないのは明らかだった。
(緋色………、すまない………)
青空を仰ぎながら、確実に死へと歩んでいる清流。
しかしその目には一切の後悔が無かった。
(復讐を完遂して、お前に何が残るか………。それはお前次第だな………)
だがその思考は爆音と共に中断させられた。
「!?」
わずかに動く首で、その爆音の方向を見る。
緋色が出た神社が壊滅していたのだ。
「な………んだ………」
動こうとするが、血液が不足しているために動けない。
「清流。まだ生きていたのね」
「ひ………いろ………なのか………」
「私は卑色。『黒き災い』の女王」
「な………に………」
清流の目の前に現れた卑色。
その背後には触手で絡め取られ、邪なる種子を植え付けられている巫女。
「ま……さか」
「そう。私の復讐は完成したわ。私が女王となり、僕を支配するという結果でね」
すると清流の周囲に何者かが降り立つ音がした。
「その子らはこの神社の巫女だった者どもよ。
この私がまとう憎悪と淫猥の邪念を植え付けたら、案外使える子になったわ」
「ばか………な」
「馬鹿? あまり私を怒らせない方がいいわ」
「う………」
「貴様は私の家族を救えなかった。だから殺す、というのは簡単すぎる。
貴様はこのまま傷の癒えぬ体にし、永遠の命を与えて僕どもに犯し続けさせてやる」
「なに………!」
「クククク、死ぬこともできずに激痛という苦痛にさいなまれ、
強姦される快楽を永遠に感じるの………。まさしく貴様に相応しい刑罰ね」
それを聞くと、清流の視界は真っ暗になった。
432 FBX@黒き災い ◆4gA1RyNyf. sage 2007/01/01(月) 19:07:03 ID:0pK+OTGM
それを聞くと、清流の視界は真っ暗になった。
時は2007年。
この地には伝説が存在した。
曰く、それを払うことは不可能。
曰く、人間がそれに犯されれば僕となり。
曰く、逆らえば永遠の苦痛を強いられる。
だが生還した目撃者によると、その異形は一人の男を常に嬲っていたという。
彼の地は呪われし地。
憎悪と邪淫うずまく、世界で最も邪悪な地。
決して近づくことなかれ。
決して立ち入る事なかれ。
なもなくば、永遠の苦痛がそなたを待っておろう………
==完==
433 FBX ◆4gA1RyNyf. sage 2007/01/01(月) 19:09:35 ID:0pK+OTGM
気づいたらすごい長くなっててビビったですよマジwww
どーですかね。
一応>>411で返事した要素は取り入れたつもりですが。
今回も設定リストなんかは考えることなく、ひたすら書いてました。
#緋色→卑色は考えてやりましたがね(・∀・)
サーセンですが、激しく疲れましたOTL
マシンガン投下したかったとですが、今日はコレまでってことで。
明日、もしくは明後日に>>409の魔女ネタやってみようかと。
なので魔女シチュと、取り入れてほしい要素をどうぞ。
↓先着5レスくらいでおながいします。
よし行きますZe
>>401「巫女」
>>404「和風」
>>405-406「虜→女王」
以上了解。
>>409「魔女」
コレについてはちょっと兼ね合いが難しいので、別な回で。
では執筆開始。
412 FBX@黒き災い ◆4gA1RyNyf. sage 2007/01/01(月) 16:10:31 ID:0pK+OTGM
あの日から一日たりとも忘れたことはない。
この私の中にある、魔に対する憎悪だけは。
「………行くのか」
鳥居の近くで声をかけられる。
「…はい」
答えるは巫女服姿の少女。
「これを持って行くと良いだろう」
鳥居の陰にいる男は、何やら棒状の長いものを渡す。
「緋色。お前なら使いこなせるやもしれん」
「これは……」
緋色と呼ばれた少女はそれを受け取る。
それは一振りの刀であった。
しかし刀にしては鞘の装飾が煌びやかであった。
そして何より、白銀の鎖で刀が抜けないように固定されている。
「この刀は『赤華』と言う。何故鎖で封印してあるかは、わかるな?」
「もちろんです」
「まだ時間はあるか?」
「多少でしたら」
緋色の答えを聞くと、男は鳥居の陰から出てきた。
「この俺……、『清流』がお前を拾って何年だろうか」
「今日で5年3ヶ月と22日、3刻ほどでしょうか」
「……そこまでお前の憎悪は強いのだな」
その言葉に対し、緋色はにっこりと微笑む。
「もちろんです。私の家族を皆殺しにしたんですから」
「俺はお前を助けることができなかった」
「それが何でしょうか」
「この5年3ヶ月。俺はいつでもお前に殺されても良いと思っていたよ」
全く表情を変化させない緋色。
413 FBX@黒き災い ◆4gA1RyNyf. sage 2007/01/01(月) 16:11:02 ID:0pK+OTGM
「もしお前の中にある憎悪に俺が多少でも含まれているなら……」
清流はそこまで言うと、腰に差していた刀を鞘ごと抜き、衣服の前をはだける。
「この刀『青風』で俺を殺すといい」
「どうしてですか?」
「理由は2つだ」
緋色は一応それを聞くつもりの様子である。
「1つ。赤華と青風は2本で1つ。片方ずつ俺と緋色が持っていても真価は発揮できん」
「それはあなたを殺す理由にはなりません」
「いや」
清流は全否定する。
「十分な理由となるのだよ。この2本の刀は、な。持ち主が異なる場合、刀が持ち主を
争わせるように仕向ける呪術がかかっている」
「………それで、あなたが私を殺す前に殺せと」
「逆だ。俺はお前を殺したくない」
「2つめの理由は見えました」
「言ってみろ」
「5年前に私達を守りきれなかった事に後ろめたさを感じている」
「………正解だ」
そう、この二人の物語は5年前から始まっていた………。
時は戦国。
平和な時代は終わりを告げ、時代は覇者を選ぶこととなった。
表の世界では人間同士が殺し合いをし、勝ったものが地位と名声を我がものとしていた。
あくまで『表の世界』での話では。
………そう、当然『裏の世界』も存在していた。
414 FBX@黒き災い ◆4gA1RyNyf. sage 2007/01/01(月) 16:11:33 ID:0pK+OTGM
各地に点在する古来からの神社。
そこには多くの聖職者が集っていた。
しかしその理由は平和を祈るといった、いわゆる祈願の為ではない。
退魔の為にである。
人間の戦乱に乗じ、邪なる者どもが徐々に表の世界へと進出してきていたのだ。
ある者は人間と結託し、戦乱に荷担することで力を蓄える。
ある者は人間を虜にし、人間を操ることで勢力を伸ばす。
またある者は人里を襲い、魔なる者を増やす。
人々はそういった者どもを『黒き災い』と称し、忌み嫌っていた。
緋色も『黒き災い』の被害者であった。
5年前から彼女はこの神社に奉仕していたが、家族は山の麓の里に住んでいた。
そこに『黒き災い』が現れ、彼女の家族や里の者を連れさらったのだ。
………一人残らず。
緋色は彼らを死んだと見なし、復讐の念をその小さな体に宿し続けていたのだ。
その彼女を拾ったのが清流。
巫女であったために『黒き災い』に殺されかけていた彼女を救ったのだ。
その後5年間、緋色は戦闘訓練を受け続けた。
自らの心が壊れるほどに。
「俺はな。5年前にこの里が『黒き災い』に襲われるという情報を掴んでいた」
「………」
「情報を掴んだのは里から10里の彼方。予定の時までわずか数刻しかなかった」
清流は青空を仰ぐ。
雲一つない、快晴だった。
「到着した時には既に遅かった。生存者を捜している最中、お前を見つけた」
「10里の彼方を徒歩で数刻というのは不可能です」
緋色は笑みを崩さない。
「いや。実際、不可能ではなかった」
415 FBX@黒き災い ◆4gA1RyNyf. sage 2007/01/01(月) 16:15:17 ID:0pK+OTGM
「と言うと?」
「10里の彼方にある街には馬を調達する手段があったんだ。
だが、俺の失敗で調達することはできなかった」
「失敗とは?」
「細かいことは気にするな。街に『黒き災い』の間者がいたんだよ」
「………」
「結論として、俺の機転の利かなさで間に合わなかったわけだ」
「そう、ですか」
言うと緋色は足下に置かれた青風を手に取る。
「俺にはお前に殺される理由があるのだよ」
「あなたが望むなら、私はあなたを殺します」
「いや、殺せ。その2つの理由以外に俺は重大な罪を犯しているからな」
「罪?」
青風を抜く緋色。
「お前を壊してしまったんだ………。純粋なお前に戦闘訓練を仕込んだせいでな。
5年前、悲しみで満ちあふれていたお前の心を憎悪で満たす結果となったんだからな」
「そんなことはありませんよ」
「そんなことはある。今のお前の表情だよ」
「え?」
「俺と話をする時は絶対に笑みを崩さない。そして、今のお前の笑みには………」
「笑みには?」
刀を振りかぶる緋色。
「殺戮を楽しみたいという念がありありと宿っているよ」
その言葉を終えると同時に、緋色は清流に向かって刀を振り下ろした。
松明すら使わず、緋色は洞窟を進む。
彼女の背中には2本の刀。
416 FBX@黒き災い ◆4gA1RyNyf. sage 2007/01/01(月) 16:44:26 ID:0pK+OTGM
青風と赤華。
紅白の巫女服には似合わない装備だった。
5年という歳月の間、戦闘訓練を施された彼女にとって2本の刀や周囲の暗さなどは何の問題でもない。
やがて洞窟の最深部に到着すると、そこには鋼鉄製の扉があった。
「この先、ですか」
呟くと赤華を抜き、両手で構えて目をつむる。
緋色は『気』を使える。
神経を集中させ、赤華に気を送り込む。
次の瞬間。
緋色が目を開くのと同時に、赤華を扉に向かって振り下ろす。
細身の刀身に見合わず、刀はまるで鋼鉄の棒でも振ったかのような音を奏でた。
するとどうか。
目の前の鋼鉄の扉が斜めに切断され、先に進めるようになったのだ。
いわゆる『斬鉄』を実行したのだった。
「………5年、修行した甲斐があった………というのでしょうか」
右手に握る赤華を見ると、嬉しそうな笑みを向ける。
開いた扉に向かって歩き出す緋色には、5年待ちわびた復讐を喜ぶ空気が漂っていた。
1時間ほど歩くと、洞窟を抜けた。
「………鏡の世界、ですか」
出た瞬間に緋色は理解した。
この洞窟に入る際に左側にあった石碑が右側にあるのだ。
「しかし暗いですね。ちょっと見えづらい程度ですが……」
ふと空を見上げる緋色。
その空虚な微笑みが、ピクリと動く。
「………どうやらここで間違いないようですね」
417 FBX@黒き災い ◆4gA1RyNyf. sage 2007/01/01(月) 16:46:20 ID:0pK+OTGM
見上げる空の色は、赤。
まさしく『黒き災い』の根城であることの証拠であった。
「緋色か」
「!」
青年の声がした。
どうやら目の前の木の陰からのようだった。
「………素直に帰った方が良い」
「あなたは誰ですか?」
「お前の兄だよ」
「………そうですか。残念です」
「残念?」
「私の復讐の幕を上げるのが、かつての兄様だというのが」
緋色は赤華と青風の両方を抜き、声の聞こえた方向に突進する。
「待て!」
「………」
その言葉には反応しなかった。
そのまま緋色は両の刀を振る。
「ぐっ………」
何本もの木が倒れる中、苦悶の声がこだました。
「本当に兄様でしたか」
「言っただろ………、俺は緋色には嘘をつかないってさ」
声の方向へと歩く緋色。
しかし、そこには異形の生物が横たわっているだけだった。
「『黒き災い』に取り込まれたのですね」
「体はとりこまれちまった。心は、見ての通り、さ」
苦しそうな表情らしきものを浮かべる生物。
「来世でもまた会えるよう、祈っています」
418 FBX@黒き災い ◆4gA1RyNyf. sage 2007/01/01(月) 17:07:39 ID:0pK+OTGM
「是非とも、頼むよ」
緋色は自らの兄の生を断ち切った。
それ以外は何の妨害も無く、緋色の神社があった場所に到着できた。
しかしそこにあるのは神社などではなく、おぞましい建築物。
いや、建築物という物なのかすら怪しい。
何故ならば………外壁が生きているかのように脈打っていたからだ。
「まったく、『黒き災い』というは本当に悪趣味ですね」
緋色の復讐はまだ始まったばかり。
彼女の微笑みは未だ崩れることはなかった。
「!」
敷地に入った瞬間、緋色は感じた。
「………結界ですか。この敷地全体を覆う巨大な物ですね」
「さっすがお姉ちゃん!」
「………」
背後から声が聞こえた。
ゆっくり振り返る緋色。
そこには1体の異形がいた。
「久しぶりだね。何年ぶりだろ?」
「現世では5年と2ヶ月です」
「ほえー、やっぱり時間の流れが違うんだねぇ………」
「こちらでは?」
「んーと、場所によって違うんだってさ。ここら辺は現世の1年が300年だって聞いたよ」
「300年、ですか………」
「だからねぇ、水花はお姉ちゃんより年上になっちゃったってことになるよね?」
「まぁ、そういうことになりますか」
「うーん………、なんか変だなぁ。どうしてそんなに笑ってるの?」
水花は緋色に聞いてみた。
昔の緋色はこんなに笑わなかった為だった。
「5年という時間、私は普通の少女として過ごしませんでした。
419 FBX@黒き災い ◆4gA1RyNyf. sage 2007/01/01(月) 17:21:31 ID:0pK+OTGM
だからせめて、表情だけは少女のままでいたかったんですよ」
「あたしはねー」
異形が陰から出てくる。
「こっちでは1500年間になるけど、その間何してたと思う?」
「あなたの姿を見れば想像つきます」
水花と呼ばれた元少女の体は、美しい物であった。
褐色の肌に銀色の髪。
整った顔つきを彩る紫の紅と化粧が、一際彼女を美しくしていた。
顔だけではない。
豊かに膨らんだ胸とくびれた腰、長い足。
どれを取っても最高の美女であった。
だが、その尖った耳と獣のような瞳が人間ではないことを物語っていた。
「それで、あなたは何をしに来たんですか?」
「んっと、お母様がお姉ちゃんを案内してって言うから」
「お母様? 私達のですか?」
「うーん………、たぶんお姉ちゃんは『違う』って言うだろうけど、そうだよ」
「そうですか」
右手を赤華へと持って行く緋色。
「あ、待って待って。本当に私は案内しろって言われただけなんだって」
「………まぁ、いいでしょう。兄様も心は支配されてなかったようですからね」
「………殺したの?」
「当たり前です。今の私にとって、『黒き災い』は復讐対象以外の何物でもありません」
「お兄ちゃん、最後までお母様の言うこと聞かなかったからかなぁ………」
「早く案内なさい。殺しますよ?」
「あー、わかったわかった。ついてきて」
420 FBX@黒き災い ◆4gA1RyNyf. sage 2007/01/01(月) 17:32:31 ID:0pK+OTGM
緋色は水花についていった。
建物らしきものに入ると、玄関には和服を着た女性が待ちかまえていた。
「ようこそいらっしゃいました」
「水花?」
「あぁ、この人は楓って言って、3万年くらい前からいるんだってさー」
「………私は歓迎されてるんですか?」
「もちろんです。お母様のご子息ですから」
緋色の笑みが、またしてもピクリと反応する。
「ちょ、ちょっと楓さん駄目だって。お姉ちゃんの前でお母様は駄目だって」
「あ、そうでした。気に障ったようでしたら失礼しました」
楓は丁寧に頭を下げる。
「………」
「さぁ、どうぞ。水花も」
「はーい」
「あぁ、履き物はこちらへ」
「『黒き災い』にも文化はあるんですね」
「もちろんです。何万人という人間をさらってきたわけですからね」
「楓さん、と言いましたか。私はあなた方を殺しに来た者ということをお忘れ無く」
「ええ、承知しております。さ、どうぞ」
緋色は履き物を脱ぐと楓について行く。
今度は水花が後ろについた。
しばらく歩き、階段を上ってまた歩く。
建物の外観の割に、中は相当広いようだった。
「意外と広いですね」
「ここに来られる方は皆そうおっしゃいますよ」
「この屋敷はねー、生きてるんだってさ」
「生きている?」
「うん。外から見たでしょ? 壁がどくんどくん動いてるの」
421 FBX@黒き災い ◆4gA1RyNyf. sage 2007/01/01(月) 17:39:19 ID:0pK+OTGM
「………ええ」
「だからね、必要な部屋はいつでも作れるんだってさー」
「結構便利ですよ。どうですか? 緋色さんもこちらに住まわれては」
「あいにくですが、『黒き災い』と共に住む気はありませんよ」
「残念です」
そんな会話を交わし終えると、楓が足を止めた。
「こちらです。先ほどは私達と言いましたが、緋色さんと水花のお母様ですね」
「………」
「さ、入ろー?」
緋色は襖をゆっくりと開けた。
その部屋は薄暗かったが、どこか甘い香りが漂っていた。
(香………のようですね)
桃色の煙を出している香炉が部屋の片隅に設置してあった。
「久しぶりね、緋色」
「………」
緋色は返事をしない。
目の前の存在が既に自分の母ではないことを悟っていたからだ。
『緋色様、ようこそおいでになりました』
部屋の左右に女中とおぼしき異形が列を作って丁寧に座礼をした。
「1500年ぶりになるわね………」
「お母様?」
この異界に来るまでの洞窟の暗さ、異界の暗さなら平気であった緋色。
しかし流石に屋敷の暗がりともなると見えないようだった。
「少し暗すぎるかしら? いいでしょう」
その声と同時に、一人の女中が室内の燭台に火をつけていく。
「『黒き災い』は火も使えるんですね」
「あら? 楓に聞いたはずでしょう?」
「!」
先ほどの会話をすべて聞かれていたようだった。
「ふふ、驚いているようね。私は『黒き災い』の王となったの。
422 FBX@黒き災い ◆4gA1RyNyf. sage 2007/01/01(月) 17:53:07 ID:0pK+OTGM
だから、他の子たちの考えてることとか話してることは全部わかるのよ」
「………」
緋色は一歩前へ出る。
「さ、あなたたちも挨拶しなさい」
すると女中が顔を上げた。
「………やはり」
「当然よ? 私達みんなさらわれたんだもの」
そう、女中は全員、かつて緋色の里に住んでいた者だった。
しかしそれらはすべて異形と化していた。
あるものは額に第3の目があり、あるものは髪の毛を服のようにまとわりつかせている。
またあるものは頭に角があり、またあるものは亡霊のように半透明になっていた。
「でも、さらわれた者の中でも私は違った。あなたが巫女になったように、
うちの家系は代々巫女を出していたみたいでね」
「それで?」
「巫女は『黒き災い』になるのに適した存在ってことよ」
「………話はその辺にして、どうでしょうか。再会の宴でも」
楓が口を入れた。
「そーだよぉ、あたし飽きちゃった。難しい話なんだもん」
「あらあら、水花は1500年たっても子供なのね。ま、いいわ」
その言葉と同時に部屋の雰囲気が一気に変わった。
座っていた女中や楓、水花から妖気が放たれ始めたのだ。
「あなたの母である、この麻花があなたを仲間にしてあげましょう」
緋色は既に両の刀を抜いていた。
戦いは膠着状態にあった。
襲いかかってきた女中が異常に強かったのだ。
「数が多いから油断したのかしら? それともかつての知り合いだから斬れないと?」
麻花が言う。
「………違います」
事実、違った。
緋色は全力で戦っていたし、油断など微塵もなかった。
「でしょうねぇ」
「………」
髪の毛を自由に操る異形によって四肢を拘束された緋色。
それでも笑みは崩れなかった。
423 FBX@黒き災い ◆4gA1RyNyf. sage 2007/01/01(月) 17:56:52 ID:0pK+OTGM
「あなたの敗因は、霊気を使えないこと」
「!」
その声は水花のものだった。
「気の力だけではあたしたちに致命傷は与えられないわ」
「水花………」
「んふ、いつまでも子供だと思った? そんなわけないじゃない」
「………」
「それともお兄ちゃんみたいに心は無事だったとでも?」
「わずかに期待していました」
「甘いわねぇ。1500年よ? 1500年の間、あたしたちはお母様に犯され、
『黒き災い』となるためにたくさんの教育を受けてきたんだもの」
「緋色」
「!」
今度の声は麻花のものだった。
「もうやめなさい。里の者は皆異形となり、残るはあなただけ」
「………何があろうとも、すべて滅ぼすまで私の復讐は終わりません」
「強情ね。強くなったのね緋色。気に入ったわ」
次の瞬間、麻花は緋色の目の前に移動していた。
「もう一度、私の娘として育ててあげる」
そういうと麻花は熟れた肉体を緋色に密接させ、緑色の唇を緋色と重ねた。
「んっ!」
これには流石の緋色も驚きの表情を見せた。
「あはっ、やっと表情が変わったわね」
水花が笑う。
「厳しい修行のせいで心が壊れちゃったのは一目見てわかったわよ」
水花は緋色の後ろに回り、緋色の胸をもむ。
無駄な脂肪の無い緋色の体は、筋肉でがっちりとしていたが貧相であった。
「でも、ちゅばっ………、すぐに母様が、ぴちゅ………治してあげる」
何度も何度も口づけをする麻花。
424 FBX@黒き災い ◆4gA1RyNyf. sage 2007/01/01(月) 18:06:04 ID:0pK+OTGM
しかし、緋色は麻花が左手で自らの秘所を弄くっているのを見ていた。
(何か企んでいますね………!)
思考は働いているが、全身拘束されているために何もできない。
「んはぁっ」
突然麻花が叫び声を上げたと思うと、緋色の目の前で左手を見せる。
「………?」
その手には真っ黒な球体が乗っていた。
「コレが『黒き災い』の種。はるか昔、神に見放された者が邪神に授かった物よ」
「それをどうするんですか?」
緋色は恐れることなく言う。
彼女なりに時間を稼ぎ、反撃に転じる隙をうかがっているのだ。
「こうするの」
麻花はそれを飲み込んだ。
「あなたは私の娘。普通の異形にしておくのにはもったいない」
「あたしのお姉ちゃんだもん。とびっきりの異形になってもらわないとね」
「………」
そして、麻花はもう一度緋色に口づけをした。
「んっ………」
ぴちゃ、ぴちゃと二人の唇から卑猥な音が漏れる。
いや、緋色の後ろで水花が自慰を平行して行っているからかもしれない。
「んん………」
麻花がうめく。
(何………?)
麻花の喉が膨らみ、何かが上ってくる様子だ。
「!」
緋色は咄嗟に危機感を感じ、身をひねる。
しかし拘束された髪の毛は非常に頑丈で、びくともしない。
「んんんーーー!!!!!!!!!!!!」
麻花とも緋色ともわからない悲鳴が部屋に響いた。
麻花の口内から緋色のそれへと、何か異物が入り込んできたのだ。
それは結構な大きさであり、緋色はひたすらそれを飲み込むしかなかった。
ゴクッ、ゴクッ………
大きな咀嚼音が部屋にこだまする。
425 FBX@黒き災い ◆4gA1RyNyf. sage 2007/01/01(月) 18:13:55 ID:0pK+OTGM
しばらくして、麻花は唇を離した。
「ふはぁ………、どうかしら。女王の口づけは」
「………う」
(体が………おかしい?)
異物を飲み込んで、すぐに緋色は自身の肉体の異常を察知する。
「何をしたんですか」
「言ったでしょう。『黒き災い』の種をあなたに植え付けたの」
「私が『黒き災い』になると?」
「そういうことだよ」
後ろから水花の声。
「今度はお姉ちゃんの大事なところにあたしの嫌らしいお水をたっぷり塗るのよ」
麻花と水花が入れ替わる。
「そのためにさっきからクチュクチュしてたの」
水花は宙に浮くと、愛液でよく滑る秘所を緋色のそれへと押しつける。
「うはぁ………」
水花は快楽を感じ、声をあげる。
「ひぅ!?」
麻花が後ろから緋色を抱きしめ、耳に息を吹き込んだり首筋をなめている。
「や、やめて………」
「あらぁ、流石のお姉ちゃんもこういうことは初めてなのかしら?」
「いいえ、1500年前に『黒き災い』に一度強姦されてるはずよ」
「そうだったっけ? 1500年前だから覚えてないや」
(体が………熱くなってきてる………?)
話を聞きながらも、緋色は自分の体の異常を分析していた。
だがこの先どうなるかは全くわからない状態であった。
「さ、もっともっと嫌らしい汁を塗ってあげる」
水花は緋色の秘所だけにとどまらず、緋色の全身に愛液を塗り始めた。
「ん………、何ですかこの香り」
「コレはね、あたしの愛液のにおいよ」
「………」
「どんなにすました人間でもすぐに虜になっちゃうわよ」
「………」
「コレなんかどうかしら」
426 FBX@黒き災い ◆4gA1RyNyf. sage 2007/01/01(月) 18:20:13 ID:0pK+OTGM
麻花が後ろから緋色の秘所をつつく。
「ふあああ!!」
声は緋色のもの。
緋色の体は今や敏感の極みであり、秘所をつつかれただけで強烈な快楽を感じたのだ。
「あぁー!!」
「どうしたの水花」
「今のでお姉ちゃん、おまんこからねばねばしたのが飛び散ったよー?」
「い、言わないで!!」
水花の指摘に対し必死で抵抗する緋色。
「かーわいぃなー………」
水花はひどくいやらしい目つきで緋色の顔を見る。
「でもお姉ちゃんの目には憎しみが宿ってるのよね」
「………例え妹でも母であろうとも、私は二人を殺します」
「それじゃあ、そんなこと考えられないようにしてあげる」
水花は右手で自らの股間を、左手で緋色の股間を擦り始める。
「うっ………くっ………」
緋色は必死に快楽に耐える。
「ふはぁ、気持ちイイ………最高よね、こういう嫌らしいことって」
水花は快楽を純粋に受け入れ、その行動を賛美していた。
「あぁ、そうそう。緋色。あなた一度でも絶頂に達したら終わりよ」
「ぅ………、何ですって?」
「さっきあなたが飲み込んだ種が発芽して、あなたを支配しちゃうわ」
「うぅ………」
快楽に耐えながらも頭を回転させる緋色。
「つまり、私の娘として『黒き災い』になるってことねぇ」
「ぜ、ったいに………うっ………ふは、ならない……です」
「ま、どこまで耐えられるかが楽しみってとこだよね」
水花はさらに手の動きを加速させ、緋色と自身の快楽を高めていく。
427 FBX@黒き災い ◆4gA1RyNyf. sage 2007/01/01(月) 18:28:54 ID:0pK+OTGM
「お母様ぁ………」
周囲に控えている女中の一人が声を上げた。
「なぁに?」
「あの、その………私達も………」
「あぁ、そうだったわね。このまま私達だけというのも生殺しよね」
「そ、それじゃあ」
「いいわ。楽しみなさい。たっぷりと嫌らしい粘液を部屋に撒き散らすのよ」
「はぁい!!」
女中たちは嬉々として互いに絡み始めた。
体から生える触手で自慰行為をしたり、蛸のような吸盤で胸を吸ったり。
中でも花を全身にまとわりつかせた女中に吸い付く蝶の女中は、その中でも目立っていた。
「ほぉら………、見てごらんお姉ちゃん。1500年でみんな、完全に変わっちゃったんだよ」
「ううー、やめてぇ………」
緋色は顔を赤らめ、息を荒げていた。
「お姉ちゃんもそろそろ限界なんじゃない?」
「そんな、こと、ひぅ………無い………です」
緋色の後ろにいる麻花が怪しい口調で緋色の耳にささやく。
「ねぇ? 復讐なんてやめましょう? あなたはとらわれの身。私達は皆、異形の身。
あなた一人でどうこうできる状態じゃないのはわかってるんでしょう?」
「それ、でも、私………は………」
「巫女として5年間頑張ったんだから、あなたはそろそろ解放されるべきよ」
「ふく、………うんっ………しゅうは、やめ………ない………」
「少し考え方を変えてあげる」
麻花は口を開くと、そこから極細の触手が無数に現れる。
それらは自由にうねりながら、緋色の耳の中に入っていった。
「う………あぁああああ………」
突如として緋色の目つきは虚ろになり、全身が痙攣するかのようにふるえ始める。
「お姉ちゃん………、お母様の洗脳をたっぷり受け取ってね」
水花の手の動きは休むことを知らない。
もはやその動きは人間のそれを上回り、愛液が潤滑油となっていなければ摩擦で火傷するほどだ。
428 FBX@黒き災い ◆4gA1RyNyf. sage 2007/01/01(月) 18:35:59 ID:0pK+OTGM
『黒き災い』に脳をいじられた者が正常に戻ることはない。
触手は脳のなかに毒物を大量に注入し、脳を作り替えてしまうからだ。
どんな風に作り替えるかはその異形に自由があった。
やがて麻花は触手を抜く。
「さ、どんな気分かしら?」
水花が問う。
「さいこぉ………気持ちいぃわぁ………」
意志の光を失った緋色の瞳が、とろけるように潤んでいた。
「じゃあ種を発芽させちゃおうね」
水花の指が、緋色の大事な洞窟へと入っていく。
「あっ、あっ………入って、ふわぁ、ああっ」
「あたしも、入って、あはぁ………」
水花の指は自身の洞窟にも突入し始めていた。
「もっとぉ、入れてぇ………」
「ええ、大丈夫よお姉ちゃん、たっぷり、入れて、あげるぅ」
水花の指はゆっくり、ゆっくりと、しかし確実に入っていく。
「あっ、そこっ、ふは、イイ、よぉ………!」
「そ、ろそろ、イっちゃう? イっちゃうお姉ちゃん!?」
「うはぁ、イく、イくぅぅーーーーーーーーー!!!」
「あああああああああああーーーー!!」
水花と緋色は同時に絶頂に達し、果てた。
「緋色………、これであなたも私の娘よ」
麻花が慈しみを込めてそういった。
「お母様ぁ………」
快楽で気だるい体を動かし、麻花の方を向こうとする。
「拘束を外しなさい」
麻花の一言で、緋色を縛る髪の毛はほどけて女中のところに戻っていった。
429 FBX@黒き災い ◆4gA1RyNyf. sage 2007/01/01(月) 18:44:44 ID:0pK+OTGM
「お母様ぁ、緋色は愚かでしたぁ………」
全身に快楽の残る緋色は、ゆっくりと麻花のへと歩み寄る。
「いいのよ。わかれば、それでいいの」
「ひあああ!!」
緋色が突然悲鳴をあげる。
なんと麻花の秘所から黒い触手が伸び、緋色のそれを貫いていた。
「さ、これは私からの祝儀よ」
麻花はずん、ずんとその触手で緋色を突く。
「あっ、あっ、すごっ、いっ、これって、あぁっ」
「そう、よ………、5年前、あなたが強姦されたのと、同じ、触手よっ」
イったばかりで敏感な緋色が絶頂に達するのに要する時間はわずかだった。
「らめ、ふあ、またイっちゃうですぅ、ふああっ」
「いいのよ。イきなさい、緋色っ」
「あっ、あああああーーーーー!!!」
「うあっ、出るぅ!!!」
麻花の触手の先端から、黒く濁った精汁が大量に注がれる。
緋色は麻花に抱きかかえられるように秘所を貫かれていた。
彼女の子宮に放たれる精汁の音は、近くにいる水花にも聞こえていた。
「いいなぁ、お姉ちゃん。お母様からあんなに注いでもらって………」
「うふふ……、水花にもあとでたっぷりあげるわ」
「うん♪」
「それは私の台詞です」
「え?」
麻花に黒い毒精を注がれた緋色は、ゆらりと麻花から離れると直立した。
「脳をいじられ、魔精を注がれましたが………憎悪は消えていませんよお母様」
「嘘を言わないのよ緋色。異形の洗脳が解けることなど………」
「そうではありません。お母様の洗脳は憎悪を消すことまでしなかったということです」
「え………?」
「私が『黒き災い』の女王となってあげましょう。それでお前たちを支配し、人間を滅ぼす」
緋色はそう宣言すると、その体が突然液状化した。
「なっ!!」
水花があわてて攻撃態勢に入る。
430 FBX@黒き災い ◆4gA1RyNyf. sage 2007/01/01(月) 18:55:09 ID:0pK+OTGM
しかし液体となった緋色は麻花の顔へと群がり、その中へと入っていく。
「ごぼっ! やめ、ごぶっ………」
やがて液体の緋色は麻花の中へと完全に姿を消すと、麻花の姿が変わっていった。
病的に白かった肌は黒ずんだ灰色のものに。
紫色の瞳は殺意で満たされた緋色のものに。
先ほどまで麻花がはやしていた股間の触手の本数が増えていき、下半身を包み込む。
「私は『黒き災い』の女王。卑色」
「!!!」
水花はその威圧感に圧倒され、身動きできない。
目の前の異形は、まるで修羅のような殺意と憎悪をまとっている。
しかしその肉体の上半身は艶めかしい女体という差がある。
下半身の触手は周囲の女中を絡め取り、既に犯していた。
「水花。貴様は私の奴隷にしてくれよう」
何本もの触手が水花へと飛び交い、すぐに拘束される。
10秒後、水花は50回は絶頂に達していた。
「コレが私の種。受け入れるがいい」
まるで子供の鞠の2倍はあるほどの巨大な種子が現れ、水花の腹部へと入った。
いや、突き刺さったという表現の方が正しいかもしれない。
緋色のように口からではなく、直接腹部へと入っていったのだ。
「がはっ」
水花は青い血を口から吐く。
にもかかわらず緋色の触手がうねっているため、イき続けることしかできなかった。
ちょうど3000回ほど水花が絶頂に達すると、卑色は水花を解放した。
「さぁ、貴様の名は?」
「はぁ、はぁ、………あたしの名前は『邪水花』」
「貴様は何だ?」
「『黒き災い』の女王、卑色閣下の絶対なる奴隷」
「ならば忠誠の証を示せ」
「承知しました」
生まれ変わった水花――邪水花は卑色の秘所へと移動し、奉仕をし始めた。
「ククク………、我が復讐。ここに完遂せり」
431 FBX@黒き災い ◆4gA1RyNyf. sage 2007/01/01(月) 19:03:34 ID:0pK+OTGM
緋色の復讐は、自身が卑色となることで完成したのだった。
現世。
神社の鳥居には、緋色に切られた清流が横たわっていた。
全身から大量の血液が流れ、もう長くはないのは明らかだった。
(緋色………、すまない………)
青空を仰ぎながら、確実に死へと歩んでいる清流。
しかしその目には一切の後悔が無かった。
(復讐を完遂して、お前に何が残るか………。それはお前次第だな………)
だがその思考は爆音と共に中断させられた。
「!?」
わずかに動く首で、その爆音の方向を見る。
緋色が出た神社が壊滅していたのだ。
「な………んだ………」
動こうとするが、血液が不足しているために動けない。
「清流。まだ生きていたのね」
「ひ………いろ………なのか………」
「私は卑色。『黒き災い』の女王」
「な………に………」
清流の目の前に現れた卑色。
その背後には触手で絡め取られ、邪なる種子を植え付けられている巫女。
「ま……さか」
「そう。私の復讐は完成したわ。私が女王となり、僕を支配するという結果でね」
すると清流の周囲に何者かが降り立つ音がした。
「その子らはこの神社の巫女だった者どもよ。
この私がまとう憎悪と淫猥の邪念を植え付けたら、案外使える子になったわ」
「ばか………な」
「馬鹿? あまり私を怒らせない方がいいわ」
「う………」
「貴様は私の家族を救えなかった。だから殺す、というのは簡単すぎる。
貴様はこのまま傷の癒えぬ体にし、永遠の命を与えて僕どもに犯し続けさせてやる」
「なに………!」
「クククク、死ぬこともできずに激痛という苦痛にさいなまれ、
強姦される快楽を永遠に感じるの………。まさしく貴様に相応しい刑罰ね」
それを聞くと、清流の視界は真っ暗になった。
432 FBX@黒き災い ◆4gA1RyNyf. sage 2007/01/01(月) 19:07:03 ID:0pK+OTGM
それを聞くと、清流の視界は真っ暗になった。
時は2007年。
この地には伝説が存在した。
曰く、それを払うことは不可能。
曰く、人間がそれに犯されれば僕となり。
曰く、逆らえば永遠の苦痛を強いられる。
だが生還した目撃者によると、その異形は一人の男を常に嬲っていたという。
彼の地は呪われし地。
憎悪と邪淫うずまく、世界で最も邪悪な地。
決して近づくことなかれ。
決して立ち入る事なかれ。
なもなくば、永遠の苦痛がそなたを待っておろう………
==完==
433 FBX ◆4gA1RyNyf. sage 2007/01/01(月) 19:09:35 ID:0pK+OTGM
気づいたらすごい長くなっててビビったですよマジwww
どーですかね。
一応>>411で返事した要素は取り入れたつもりですが。
今回も設定リストなんかは考えることなく、ひたすら書いてました。
#緋色→卑色は考えてやりましたがね(・∀・)
サーセンですが、激しく疲れましたOTL
マシンガン投下したかったとですが、今日はコレまでってことで。
明日、もしくは明後日に>>409の魔女ネタやってみようかと。
なので魔女シチュと、取り入れてほしい要素をどうぞ。
↓先着5レスくらいでおながいします。
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