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Happily Ever After
81 Happily Ever After - 1/9 sage 2011/06/15(水) 21:58:53.37 ID:2+oFbw1+
世界から、戦争が消えた。
そればかりではない。あらゆる犯罪、あらゆる争い事が、
この地球上から淘汰されようとしている。
しかしその一方で、かつて先進国であり、世界で唯一の平和憲法を持っていたわが国は、
依然としてこの世界情勢から取り残されたままだ。
わが国は未だに犯罪が絶えず、刑罰、裁判等の旧態依然とした制度を
撤廃することができていない。
こうした恥ずべき現状を、国民一人一人がしっかりと肝に銘じ、
国が一丸となって、遅れを取り戻すべく日々邁進することが、
いま国際社会において、この国に問われている課題である。
巴は、頭の中でその文章を反芻した。
それは今朝のニュースが繰り返し流している、新しく就任した総理大臣の着任挨拶だった。
今日はどのチャンネルをかけても、同じ男が、同じ服装で、同じ内容を喋っている。
なので必然的に、巴はその演説に耳を傾けざるを得なかった。
――――分からないことは、分かるまで繰り返しなさい。
それは、幼稚園の時からずっと、口酸っぱく言われてきたことだ。
だから巴は、特別に意識することなく、家を出てからもずっと、それを続けた。
まるで壊れた機械のように、無機質に。
82 Happily Ever After - 2/9 sage 2011/06/15(水) 22:00:00.57 ID:2+oFbw1+
屋外は、初夏の茹だるような熱気が、アスファルトから立ち上っていた。
雲ひとつない青空からは、爽やかな紫外線が、露出した肌を突き刺す。
衣替えを済ませたばかりの白い制服が汗で湿り、不快指数は上がり続けていた。
だからこそ、より一層その光景は――
不可思議で、巴の足と、狂ったような呟きの両方を思わず停止させるのに、
十分だった。
……真っ黒な服。真っ白な肌。
その愛らしくも暑苦しい姿で、その少女は道の真ん中に立っていた。
いつも人通りの多いはずのその道は、不気味に静まり返って、
巴の心臓の音を、よりクリアに反響させた。
「……あら、……ふふ、迷い猫かしら」
澄んだ声でそう言うと、少女は日傘を畳みながら、歩み寄って来る。
ゆっくりと、まっすぐに、じわじわと。
巴は、動けなかった。……そもそも、動く理由がなかった。
脚が震え、地面に跪いた。手に提げていた鞄が落ち、中身が散乱した。
……しかしそれは恐怖ではなく、……性的な興奮だった。
そして二人の影が重なり合うまで近づいたとき、巴はついに失禁した。
83 Happily Ever After - 3/9 sage 2011/06/15(水) 22:01:07.04 ID:2+oFbw1+
その少女から漏れ出た仄かな匂いが、たちまち全身を弛緩させ、
大量に分泌された唾液をだらだらと唇の端から零させる。
……その蜜に集まるかのように、少女の服の裾から蟲の大群が這い出て、
たちまち巴の全身を覆い尽くした。
「…………退屈ですわね」
白眼を剥いて痙攣する巴を、つまらなそうに一瞥した少女は、ぽつりと呟く。
「……もっと、抵抗してくださらないと……、面白くありませんわ……」
……既に、巴は内外からの蟲の愛撫に身をまかせ、幸せそうにそれを受け入れていた。
少女は、何もしていなかった。……ただ、近づいただけだった。
それだけで、巴はヒトとしての尊厳を完全に放棄した。
それほどまでに――、巴の自我は、希薄だった。
「……私の匂い……、……くすくす、……そんなに良かったのですか?」
少女が戯れに靴を脱ぎ、その靴下を鼻に押し当てると、巴は、
這いつくばった姿勢のまま身体をびくびくと暫くの間震わせ、
幸福感に包まれた表情のまま動かなくなった。
84 Happily Ever After - 4/9 sage 2011/06/15(水) 22:02:16.49 ID:2+oFbw1+
「……ふふ、……なんて、…………脆い」
少女は深い溜息をついた。
……脆く、単純で、愚かで、原始的だ。
このヒトという哀れな種族は、自ら産み出した‘兵器’によって滅ぶのだ。
そうだというのに、どうしてこんなにも、幸せそうなのか。
……種が滅びゆくさまに、何故気づかなかったのか。
少女は回想する。……今までの自分の、‘兵器’としての、所業を。
一人とて殺さず、一人とて殺させず。
一人とて苦しまず、一人とて苦しませず。
ヒトは少女を讃え、感謝し、誇りにさえした。
だが今や少女はもう、‘兵器’ではなかった。
そうであったなら、この戦争のない国を訪れたりはしなかっただろう。
この国に来たのは、少女自身の意志であり、それはヒトではない種族の意志であった。
その意志は、最初の犠牲者の躯を恍惚に満たしたまま、作り変えていく。
ヒトの肉体から、蟲の従順な奴隷として適したモノへと、ねちっこい水音を立てながら。
それは、今まで‘兵器’として幾度も繰り返してきたはずの行為と、
何ら変わりのないものではあったが――――
少女にとっては、全く意味の異なるモノだ。
85 Happily Ever After - 5/9 sage 2011/06/15(水) 22:03:22.09 ID:2+oFbw1+
欲望に忠実に。本能の赴くままに。
好きなだけ産み、好きなだけ増やし、好きなだけ成長する。
かつてこの星を支配した優れた知性体を隷属化し、思いのままに操り、
今度は自らがこの星を支配する。
――――それは、種としての至高の愉悦。
……
暫くすると、巴の肉体から音が止んだ。
外見には、殆ど変化がない。
ただ、その皮膚の何カ所かに形成された、小さな赤黒い腫瘍のようなものを除いては。
「……報告しなさい」
少女がそう命じると、その肉の芽から一本ずつ、針金のように細い触手が伸びて、
音もなく少女の肌の中に潜っていく。
『……女王様ノ予想通リ、……脳味噌ノ有用性、……低。
……解析ヲ実施、……‘苗床’ガ最適ト判断。
女王様ノ産卵、及ビ……孵化後ノ発育ニ適シタ環境ニ、肉体ヲ改変完了……』
「……ご苦労様。……戻って良いわ」
……少女は、どこか威厳に満ちた声で呟くと、横たわったままの巴の躯を見下ろす。
それとほぼ同時に、腫瘍から伸びていた触手が元の鞘に収まると、
操り人形のような不自然な動きで、巴の躯は地面を這いずり始めた。
86 Happily Ever After - 6/9 sage 2011/06/15(水) 22:04:28.32 ID:2+oFbw1+
そのまま、巴は仁王立ちになった少女の両脚の間まで来ると、
その場で仰向けになって、口を大きく開いたまま、再び動きを停止した。
「……ふふ、……せっかちな子ね……」
少女は、自らの奴隷のいじらしさに微笑を浮かべながら、そのまま、
巴の口に産道をあてがうように、真直ぐにそっと腰を下ろした。
「……ん……、んふっ……、……あっ……、あぁ……」
艶やかでくぐもった声が、少女の毒々しく紅い唇から漏れ始めると、
それに呼応するかのように少女の下半身が妖しくうねり、股の間から
直径十センチ弱はあろうかという産卵管の束が顔を覗かせる。
その脈動は華奢な少女の腰を振り回し、太さを増した肉の管は、
巴の喉奥からさらに下へと、激しく突き刺さるように進んでいく。
巴の口の中は、それらを受け入れるための温かく湿った柔らかな肉で再構成されていた。
産卵管や卵を傷つけるおそれのある硬い歯は全て肉の中に収納された。
喉は、産卵管が潤滑剤としての分泌する白く泡立った甘い粘液を、
ただ本能に従って嚥下することで、管の挿入を助ける。
87 Happily Ever After - 7/9 sage 2011/06/15(水) 22:05:34.72 ID:2+oFbw1+
食道のさらに奥に、かつて消化器官として存在していた数々の内臓は、
蟲によって跡形もなく耕され、すっかり専用の孵卵器と化していた。
多様な分泌腺は、温度・湿度を適正に保ち、孵化と成長を促進する。
びっしりと柔突起で埋め尽くされた臓壁は、
その滑らかな窪みに卵を抱え込み、卵をあらゆる衝撃から優しく守るだろう。
奥にようやくくたどり着いた少女の卵管は、その柔肉をそっと先端部で撫で回しながら、
栄養をたっぷりと蓄えたその土に、可愛らしい白い球体を、無数に植え付けていく。
……卵がひとつ卵管を出ていくたびに、少女の肉体と精神は歓喜に震えた。
十、二十、三十、……
初めは緩やかに。
百、二百、三百、……
徐々に堰を切ったように、荒々しく。
千、二千、三千、四千、五千、……
やがてそれは瞬く間に空間を埋め尽くし、行き場を求めて母たる卵管を押し戻し始める。
だが、押し戻されながらも、それはまだ愛しい子供の生を世に放ち続け、
そしてとうとう逆流した自らの分泌液に押し流されながら排出されると、
名残惜しそうに、止まった。
88 Happily Ever After - 8/9 sage 2011/06/15(水) 22:06:46.18 ID:2+oFbw1+
……
……少女は、肩で息をしながら余韻に浸っていた。
それは少女にとって、久々の産卵だった。
管の中や子宮内の、出し切れずに残ったモノの感触が仄かな疼きを催す、
懐かしい感覚。
陶然となりながらふと見れば、巴はまだ細かい痙攣を続けている。
その口から溢れてこぼれんばかりの卵を、巴の長い舌が掬い取り、
少しずつ、押し込むように健気に飲み込んでいた。
……もう、あの器はあれで限界だろう。
そう思ったのか、地面に蜷局を巻いていた卵管は、
するすると彼女の中に吸い込まれていく。
そう、少女にとっては、資源の制約などない。
苗床の器など、ここらには掃いて捨てるほど転がっているのだ。
時間の制約もない。
だから、全てを奴隷に任せたりせずに――――
女王である自分自身が、じっくりと侵略を愉しむことができるのだ。
――――だから、慌てることはない。
少女は自分にそう言い聞かせると、しばしの間、その気だるい余韻の中に微睡むことを決めた。
――――ああ、この国は何て『平和』なのだろう――――
そんなことをぼんやりと思いながら、少女は束の間の白昼夢に、意識を委ねた。
89 Happily Ever After - 9/9 sage 2011/06/15(水) 22:07:56.69 ID:2+oFbw1+
・・・分母を9にしたはいいが8までしかなかった。
すいません。以上です。
世界から、戦争が消えた。
そればかりではない。あらゆる犯罪、あらゆる争い事が、
この地球上から淘汰されようとしている。
しかしその一方で、かつて先進国であり、世界で唯一の平和憲法を持っていたわが国は、
依然としてこの世界情勢から取り残されたままだ。
わが国は未だに犯罪が絶えず、刑罰、裁判等の旧態依然とした制度を
撤廃することができていない。
こうした恥ずべき現状を、国民一人一人がしっかりと肝に銘じ、
国が一丸となって、遅れを取り戻すべく日々邁進することが、
いま国際社会において、この国に問われている課題である。
巴は、頭の中でその文章を反芻した。
それは今朝のニュースが繰り返し流している、新しく就任した総理大臣の着任挨拶だった。
今日はどのチャンネルをかけても、同じ男が、同じ服装で、同じ内容を喋っている。
なので必然的に、巴はその演説に耳を傾けざるを得なかった。
――――分からないことは、分かるまで繰り返しなさい。
それは、幼稚園の時からずっと、口酸っぱく言われてきたことだ。
だから巴は、特別に意識することなく、家を出てからもずっと、それを続けた。
まるで壊れた機械のように、無機質に。
82 Happily Ever After - 2/9 sage 2011/06/15(水) 22:00:00.57 ID:2+oFbw1+
屋外は、初夏の茹だるような熱気が、アスファルトから立ち上っていた。
雲ひとつない青空からは、爽やかな紫外線が、露出した肌を突き刺す。
衣替えを済ませたばかりの白い制服が汗で湿り、不快指数は上がり続けていた。
だからこそ、より一層その光景は――
不可思議で、巴の足と、狂ったような呟きの両方を思わず停止させるのに、
十分だった。
……真っ黒な服。真っ白な肌。
その愛らしくも暑苦しい姿で、その少女は道の真ん中に立っていた。
いつも人通りの多いはずのその道は、不気味に静まり返って、
巴の心臓の音を、よりクリアに反響させた。
「……あら、……ふふ、迷い猫かしら」
澄んだ声でそう言うと、少女は日傘を畳みながら、歩み寄って来る。
ゆっくりと、まっすぐに、じわじわと。
巴は、動けなかった。……そもそも、動く理由がなかった。
脚が震え、地面に跪いた。手に提げていた鞄が落ち、中身が散乱した。
……しかしそれは恐怖ではなく、……性的な興奮だった。
そして二人の影が重なり合うまで近づいたとき、巴はついに失禁した。
83 Happily Ever After - 3/9 sage 2011/06/15(水) 22:01:07.04 ID:2+oFbw1+
その少女から漏れ出た仄かな匂いが、たちまち全身を弛緩させ、
大量に分泌された唾液をだらだらと唇の端から零させる。
……その蜜に集まるかのように、少女の服の裾から蟲の大群が這い出て、
たちまち巴の全身を覆い尽くした。
「…………退屈ですわね」
白眼を剥いて痙攣する巴を、つまらなそうに一瞥した少女は、ぽつりと呟く。
「……もっと、抵抗してくださらないと……、面白くありませんわ……」
……既に、巴は内外からの蟲の愛撫に身をまかせ、幸せそうにそれを受け入れていた。
少女は、何もしていなかった。……ただ、近づいただけだった。
それだけで、巴はヒトとしての尊厳を完全に放棄した。
それほどまでに――、巴の自我は、希薄だった。
「……私の匂い……、……くすくす、……そんなに良かったのですか?」
少女が戯れに靴を脱ぎ、その靴下を鼻に押し当てると、巴は、
這いつくばった姿勢のまま身体をびくびくと暫くの間震わせ、
幸福感に包まれた表情のまま動かなくなった。
84 Happily Ever After - 4/9 sage 2011/06/15(水) 22:02:16.49 ID:2+oFbw1+
「……ふふ、……なんて、…………脆い」
少女は深い溜息をついた。
……脆く、単純で、愚かで、原始的だ。
このヒトという哀れな種族は、自ら産み出した‘兵器’によって滅ぶのだ。
そうだというのに、どうしてこんなにも、幸せそうなのか。
……種が滅びゆくさまに、何故気づかなかったのか。
少女は回想する。……今までの自分の、‘兵器’としての、所業を。
一人とて殺さず、一人とて殺させず。
一人とて苦しまず、一人とて苦しませず。
ヒトは少女を讃え、感謝し、誇りにさえした。
だが今や少女はもう、‘兵器’ではなかった。
そうであったなら、この戦争のない国を訪れたりはしなかっただろう。
この国に来たのは、少女自身の意志であり、それはヒトではない種族の意志であった。
その意志は、最初の犠牲者の躯を恍惚に満たしたまま、作り変えていく。
ヒトの肉体から、蟲の従順な奴隷として適したモノへと、ねちっこい水音を立てながら。
それは、今まで‘兵器’として幾度も繰り返してきたはずの行為と、
何ら変わりのないものではあったが――――
少女にとっては、全く意味の異なるモノだ。
85 Happily Ever After - 5/9 sage 2011/06/15(水) 22:03:22.09 ID:2+oFbw1+
欲望に忠実に。本能の赴くままに。
好きなだけ産み、好きなだけ増やし、好きなだけ成長する。
かつてこの星を支配した優れた知性体を隷属化し、思いのままに操り、
今度は自らがこの星を支配する。
――――それは、種としての至高の愉悦。
……
暫くすると、巴の肉体から音が止んだ。
外見には、殆ど変化がない。
ただ、その皮膚の何カ所かに形成された、小さな赤黒い腫瘍のようなものを除いては。
「……報告しなさい」
少女がそう命じると、その肉の芽から一本ずつ、針金のように細い触手が伸びて、
音もなく少女の肌の中に潜っていく。
『……女王様ノ予想通リ、……脳味噌ノ有用性、……低。
……解析ヲ実施、……‘苗床’ガ最適ト判断。
女王様ノ産卵、及ビ……孵化後ノ発育ニ適シタ環境ニ、肉体ヲ改変完了……』
「……ご苦労様。……戻って良いわ」
……少女は、どこか威厳に満ちた声で呟くと、横たわったままの巴の躯を見下ろす。
それとほぼ同時に、腫瘍から伸びていた触手が元の鞘に収まると、
操り人形のような不自然な動きで、巴の躯は地面を這いずり始めた。
86 Happily Ever After - 6/9 sage 2011/06/15(水) 22:04:28.32 ID:2+oFbw1+
そのまま、巴は仁王立ちになった少女の両脚の間まで来ると、
その場で仰向けになって、口を大きく開いたまま、再び動きを停止した。
「……ふふ、……せっかちな子ね……」
少女は、自らの奴隷のいじらしさに微笑を浮かべながら、そのまま、
巴の口に産道をあてがうように、真直ぐにそっと腰を下ろした。
「……ん……、んふっ……、……あっ……、あぁ……」
艶やかでくぐもった声が、少女の毒々しく紅い唇から漏れ始めると、
それに呼応するかのように少女の下半身が妖しくうねり、股の間から
直径十センチ弱はあろうかという産卵管の束が顔を覗かせる。
その脈動は華奢な少女の腰を振り回し、太さを増した肉の管は、
巴の喉奥からさらに下へと、激しく突き刺さるように進んでいく。
巴の口の中は、それらを受け入れるための温かく湿った柔らかな肉で再構成されていた。
産卵管や卵を傷つけるおそれのある硬い歯は全て肉の中に収納された。
喉は、産卵管が潤滑剤としての分泌する白く泡立った甘い粘液を、
ただ本能に従って嚥下することで、管の挿入を助ける。
87 Happily Ever After - 7/9 sage 2011/06/15(水) 22:05:34.72 ID:2+oFbw1+
食道のさらに奥に、かつて消化器官として存在していた数々の内臓は、
蟲によって跡形もなく耕され、すっかり専用の孵卵器と化していた。
多様な分泌腺は、温度・湿度を適正に保ち、孵化と成長を促進する。
びっしりと柔突起で埋め尽くされた臓壁は、
その滑らかな窪みに卵を抱え込み、卵をあらゆる衝撃から優しく守るだろう。
奥にようやくくたどり着いた少女の卵管は、その柔肉をそっと先端部で撫で回しながら、
栄養をたっぷりと蓄えたその土に、可愛らしい白い球体を、無数に植え付けていく。
……卵がひとつ卵管を出ていくたびに、少女の肉体と精神は歓喜に震えた。
十、二十、三十、……
初めは緩やかに。
百、二百、三百、……
徐々に堰を切ったように、荒々しく。
千、二千、三千、四千、五千、……
やがてそれは瞬く間に空間を埋め尽くし、行き場を求めて母たる卵管を押し戻し始める。
だが、押し戻されながらも、それはまだ愛しい子供の生を世に放ち続け、
そしてとうとう逆流した自らの分泌液に押し流されながら排出されると、
名残惜しそうに、止まった。
88 Happily Ever After - 8/9 sage 2011/06/15(水) 22:06:46.18 ID:2+oFbw1+
……
……少女は、肩で息をしながら余韻に浸っていた。
それは少女にとって、久々の産卵だった。
管の中や子宮内の、出し切れずに残ったモノの感触が仄かな疼きを催す、
懐かしい感覚。
陶然となりながらふと見れば、巴はまだ細かい痙攣を続けている。
その口から溢れてこぼれんばかりの卵を、巴の長い舌が掬い取り、
少しずつ、押し込むように健気に飲み込んでいた。
……もう、あの器はあれで限界だろう。
そう思ったのか、地面に蜷局を巻いていた卵管は、
するすると彼女の中に吸い込まれていく。
そう、少女にとっては、資源の制約などない。
苗床の器など、ここらには掃いて捨てるほど転がっているのだ。
時間の制約もない。
だから、全てを奴隷に任せたりせずに――――
女王である自分自身が、じっくりと侵略を愉しむことができるのだ。
――――だから、慌てることはない。
少女は自分にそう言い聞かせると、しばしの間、その気だるい余韻の中に微睡むことを決めた。
――――ああ、この国は何て『平和』なのだろう――――
そんなことをぼんやりと思いながら、少女は束の間の白昼夢に、意識を委ねた。
89 Happily Ever After - 9/9 sage 2011/06/15(水) 22:07:56.69 ID:2+oFbw1+
・・・分母を9にしたはいいが8までしかなかった。
すいません。以上です。
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