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埋めSS 『筒』
969 埋めSS 『筒』 sage 2011/06/06(月) 23:02:07.42 ID:vLTYCban
……目を覚ますと、不思議な空間の中にその少女はいた。
辺りは薄暗く、少女の視界はぼやけていた。
人工的な空間なのか、地面には凹凸が全くない。
水平な床は、巨大なコンパスで描いたような歪みのない円形に切り取られており、
そこから垂直に、高さ数十メートルの絶壁が聳えていた。
少女が頭上を見上げると、そこには円形に区切られた空があった。
吸い込まれそうな漆黒の巨大円の中心に、煌々と満月が輝いていた。
気が遠くなるほどの距離に存在するというそれが、
少女に与えられた唯一の光源のようだった。
970 埋めSS 『筒』 sage 2011/06/06(月) 23:07:08.96 ID:vLTYCban
……少女は、この空間の中で、独りだった。
少女には、ここが何処で、何故自分がこんな奇妙な場所にいるのか分からなかったし、
それを知る術も無いようだった。
少女の記憶は欠落し、目を覚ます前の情報だけが、不自然に断絶していた。
それでも何故か、少女は極めて冷静で、恐怖心は欠片も感じていなかった。
……あまりの事態に、感情が麻痺してしまったのだろうか。
そんな考えを巡らせていた少女の首筋に、突然、生暖かい感触が走った。
971 埋めSS 『筒』 sage 2011/06/06(月) 23:11:15.04 ID:vLTYCban
……雨だろうか。
翳りのない月光を湛える空から落ちてきたそれを、
何気なく拭った少女の掌には、
赤黒い、肉色の芋虫がこびりついていた。
少女が周りを見渡すと、まるでにわか雨が降り出したかのように、
ぴちゃぴちゃ、軽快な音を奏でながら、
円形の床が、その芋虫の色で一色に塗り潰されていくところだった。
972 埋めSS 『筒』 sage 2011/06/06(月) 23:14:48.04 ID:vLTYCban
少女のあげた悲痛な叫び声は、小雨から土砂降りへと変わった天候の所為で、
虚しくも掻き消されてしまう。
逃げ場を失った少女の頭上から、大量の芋虫がびちびち蠢きながら降り注ぎ、覆い尽くしていった。
……いつしか、少女の両足は地面を離れ、全身は粘ついた真っ赤な流体の水面に浮かんでいた。
少女は、内側も外側も、――あらゆる意味で、既に芋虫で一杯だった。
少女は思う。
……愛しい。
全身をずっと、この子たちの温もりに浸していたい。
この子たちの為なら、何だってできるし、してあげたい。
973 埋めSS 『筒』 sage 2011/06/06(月) 23:18:03.44 ID:vLTYCban
……美味しい。
口の中を埋め尽くして蠢く、極上の甘露と、
鼻孔をひくつかせてやまない、馨しい香り。
食道から胃が、全て満たされることによる幸福を、ずっと感じていたい。
……気持ちいい。
股座の二つの穴で、無数のこの子たちが暴れる官能。
数秒おきに訪れる絶頂で収縮する穴が、この子たちを擦り潰し、
それによって滲み出た芳醇なエキスを啜りあげる、恍惚。
974 埋めSS 『筒』 sage 2011/06/06(月) 23:22:14.94 ID:vLTYCban
そこに、降り注ぐ無数の芋虫に嫌悪を示していたあの少女はどこにもいない。
少女は芋虫の虜であり、芋虫と共にある生を誓った、芋虫そのものであった。
――だがその段階すら、少女にとっては最早過去形にすぎない。
何故なら、その時既に、彼女は巨大な美しい翅を羽ばたかせる、
一匹の蝶に変わっていたのだから。
『……ああ、気がつけば、あんなに遠かった月面が、こんなにも近い。』
もし、哀れな誰かが……、
抜け殻になった筒の底から、夜空を見上げたなら、
綺麗な銀の正円の上に妖艶な影が滑るのは、いくらかの慰みに、……なるのだろうか。
……目を覚ますと、不思議な空間の中にその少女はいた。
辺りは薄暗く、少女の視界はぼやけていた。
人工的な空間なのか、地面には凹凸が全くない。
水平な床は、巨大なコンパスで描いたような歪みのない円形に切り取られており、
そこから垂直に、高さ数十メートルの絶壁が聳えていた。
少女が頭上を見上げると、そこには円形に区切られた空があった。
吸い込まれそうな漆黒の巨大円の中心に、煌々と満月が輝いていた。
気が遠くなるほどの距離に存在するというそれが、
少女に与えられた唯一の光源のようだった。
970 埋めSS 『筒』 sage 2011/06/06(月) 23:07:08.96 ID:vLTYCban
……少女は、この空間の中で、独りだった。
少女には、ここが何処で、何故自分がこんな奇妙な場所にいるのか分からなかったし、
それを知る術も無いようだった。
少女の記憶は欠落し、目を覚ます前の情報だけが、不自然に断絶していた。
それでも何故か、少女は極めて冷静で、恐怖心は欠片も感じていなかった。
……あまりの事態に、感情が麻痺してしまったのだろうか。
そんな考えを巡らせていた少女の首筋に、突然、生暖かい感触が走った。
971 埋めSS 『筒』 sage 2011/06/06(月) 23:11:15.04 ID:vLTYCban
……雨だろうか。
翳りのない月光を湛える空から落ちてきたそれを、
何気なく拭った少女の掌には、
赤黒い、肉色の芋虫がこびりついていた。
少女が周りを見渡すと、まるでにわか雨が降り出したかのように、
ぴちゃぴちゃ、軽快な音を奏でながら、
円形の床が、その芋虫の色で一色に塗り潰されていくところだった。
972 埋めSS 『筒』 sage 2011/06/06(月) 23:14:48.04 ID:vLTYCban
少女のあげた悲痛な叫び声は、小雨から土砂降りへと変わった天候の所為で、
虚しくも掻き消されてしまう。
逃げ場を失った少女の頭上から、大量の芋虫がびちびち蠢きながら降り注ぎ、覆い尽くしていった。
……いつしか、少女の両足は地面を離れ、全身は粘ついた真っ赤な流体の水面に浮かんでいた。
少女は、内側も外側も、――あらゆる意味で、既に芋虫で一杯だった。
少女は思う。
……愛しい。
全身をずっと、この子たちの温もりに浸していたい。
この子たちの為なら、何だってできるし、してあげたい。
973 埋めSS 『筒』 sage 2011/06/06(月) 23:18:03.44 ID:vLTYCban
……美味しい。
口の中を埋め尽くして蠢く、極上の甘露と、
鼻孔をひくつかせてやまない、馨しい香り。
食道から胃が、全て満たされることによる幸福を、ずっと感じていたい。
……気持ちいい。
股座の二つの穴で、無数のこの子たちが暴れる官能。
数秒おきに訪れる絶頂で収縮する穴が、この子たちを擦り潰し、
それによって滲み出た芳醇なエキスを啜りあげる、恍惚。
974 埋めSS 『筒』 sage 2011/06/06(月) 23:22:14.94 ID:vLTYCban
そこに、降り注ぐ無数の芋虫に嫌悪を示していたあの少女はどこにもいない。
少女は芋虫の虜であり、芋虫と共にある生を誓った、芋虫そのものであった。
――だがその段階すら、少女にとっては最早過去形にすぎない。
何故なら、その時既に、彼女は巨大な美しい翅を羽ばたかせる、
一匹の蝶に変わっていたのだから。
『……ああ、気がつけば、あんなに遠かった月面が、こんなにも近い。』
もし、哀れな誰かが……、
抜け殻になった筒の底から、夜空を見上げたなら、
綺麗な銀の正円の上に妖艶な影が滑るのは、いくらかの慰みに、……なるのだろうか。
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