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蛹2
熱い。
身体の内側から、膿のような熱がじわじわと皮膚に向かって溶け出していくようだった。猛烈な倦怠感。朦朧とする意識。思い出したように時折走る悪寒。
あの晩から2日間を未央はほとんど眠って過ごしていた。陸上部はおろか講義を受けることもままならなかった。
つい今しがた目を覚まして、安物のパイプベッドの上で深く布団にもぐって横たわる自分に気がついたところだ。
じっとりとした汗が腋や太腿を伝うが、涼しくする気にはならない。
ただ今は何かに包まれて、じっとしていたかった。
熱の中心は下腹部にあった。生理の時のそれよりも遥かに強い熱が、未央の骨と肉を伝わって指先にまでこもっている。
わずかにみじろぐと、ふわぁっと胸に甘い痺れが広がった。
「っく」
喉の奥から声が漏れる。汗で濡れそぼったタンクトップと乳首が擦れただけでだ。
昨晩、あの女に襲われた悪夢で目を覚ました時から、どうしようもなく全身が敏感になっていた。
その前の晩にはただの風邪だと思っていた。
今は明らかな身体の変調に、病院へ行くことも考えないわけではない。
しかし、未央はひとりだった。
新橋にある割烹料理屋に勤める母親の帰りは遅く、昨夜も扉の向こうから声だけ未央にかけて眠りについていた。いつもは姉思いの妹も、彼氏に会いに行って昨夜は帰ってこない。
今日は土曜日。
たぶんお昼頃。
「っ」
首筋を伝う汗ですら愛撫のように未央を酔わせた。
いけない。
快感に伴う根拠のない罪悪感。
必死に未央は頭の中で拒んでいる。
そう、気持ち良い。
気持良くてたまらないのだ。
じっとしているのは理性。
布団に潜り込んで出てこないのは本能。
その真ん中に未央がいる。
急に熱が上がってきた気がした。
ベッドに横たわっているのに、ぐらりと身体が傾く錯覚を覚える。
はっとして身体をよじった。
「くふっ」
甘い声が漏れる。
全身を真綿のように包むけだるさ、その奥にある心地良さ。
熱い。
お腹の下が。その下の、太腿の間の、そこが。
「うぅ」
突然、柔らかなしかし強い快感を受ける。
そこに未央の手が伸びていた。自分で伸ばしたはずなのだが、そう意識はしていなかった。
ともかく、未央のパンティの上に彼女の手があった。
そっと軽く、こすってみる。
「ん!」
それだけで軽く意識は遠のいた。
いい。
良すぎる。
疑いを差し挟む余地もない。
それほどの快感をひと撫でで得られた。
もうひと撫で。
「んふぅ!」
陰唇から染みる快楽があっけなく未央の精神を捕らえた。
指が動く。
「んっ、あ、あ、あ、あ」
揃えた指が波打つように蠢く。
意識せずとも指先が震え、陰核に微妙な刺激を送り込む。
(なにこれ、なに、わたしどうなっちゃうの、いいっ、やっぱり、あの変な女……)
朦朧としていた意識が急速に覚醒して一点に集中していく。
燃え盛る波動が腰から背へ脳天へ一息に駆け抜けて止まらない。
「あっ、あっ、あ、あっ、あ、あ」
小刻みに動く指がパンティ越しに陰核と陰唇とを嬲る。
初めは遠慮がちだった動きが、ものの数十秒で大胆なものへと変化していった。
己の指の動きが快楽を生み、生まれた快楽が己を操る。
極めて簡潔な連鎖の輪。
するりと指がパンティの内側へ滑り込んだ。
もうすでにそこは愛液でぐっしょりと濡れ、生暖かい。
指はそのまま秘唇を捕らえる。
「あ!」
びくんっと身体が浮き上がり、布団から未央の顔が現れた。
寄せられた眉の上を汗が伝っていく。荒い息遣いが半開きの口から漏れる。
「はぁぅ、あ、はぁ、っ、ん」
止まらない。止められない。望めば望んだだけ快楽が手に入るのだ。
未央の指が秘唇を弄びながら愛液で濡れた陰核を打った。
「ふぁ!」
目を見開き、未央の動きが止まる。
延髄から大脳のてっぺんまでが白く焼けた。
深く白い靄が徐々に晴れていくかのように、未央の意識が戻ってくる。
(……わたし、イッた?)
自慰もしたことがなかった未央の身体に訪れた、初めての快楽。
その先にたどり着いた絶頂。
未体験だった領域のあまりの甘美さに、未央はおののいた。
おののきながら、布団をはいだ。
横たわったまま、タンクトップを脱ぐ。
そして愛液でしみができたパンティの裾に手をかけ、するりと足首まで下ろした。
ひとつひとつの動作に、甘い痺れとさらなる快楽への予感がよぎる。
わずかに開いたカーテンから漏れる光に、露になった未央の白い肌と、玉となった汗がきらめく。
呼吸はすでに整っていた。
そおっと、右手が股間に伸びる。
指がそこに触れるとともに、膨大な快楽が未央の身体に行き渡る。
「うわぁ……っ」
未央は確信した。これまでがどうであれ、この先どうなるのであれ、今はこの感覚を欲している。
左手は自然に胸の上に置かれた。
未央の掌にぴったりと収まる乳房の上に、自分の体温を感じるだけでも心地良い。
ゆっくりと動かすと、秘所から迸るそれとは質の違う快感が沸き起こった。
ふと右手を止め、両手で乳房を揉んでみた。
ふわりと軽く、それでいて濃密な甘さが広がる。
「くはぁ」
動きが速く、大胆になっていく。
「ふわ、ふあ、ふわぁあああ」
汲めども汲めども尽きぬ快楽の泉がふたつ、未央の胸の上で波紋を広げ続けている。今まで未央が、決して豊かとは言えない自分の乳房を意識する時は、下着を着ける時と満員電車ぐらいのものだった。
それが今はどうだ。まるでそこが自分の身体の一部とは思えない。
両手の人差し指できれいな薄桃色の乳首にそうっと触れ、さらに押し込む。
「っあ!」
鋭い快感が背中まで突き抜ける。指の腹でそうっと擦るようにすると、感電したような快楽が未央を打った。
「は……あ……あ……」
指の動きが止まらない。どんどん速く、微妙な動きへと変化していく。
「い……い……これ……」
ゆっくりと、意識が遠のいていく。
さきほどクリトリスで急激に迎えた絶頂とは違う。
じりじりと押し流されていき、最後にぱぁっと拡散した。
声は出ない。けだるげな表情と半開きの口。
かすかに反った背中。足の指だけが奇妙に曲げられてふるふると震えていた。
「……っはぁっ、いいっ、いいの、いいのっ」
胸の奥に溜め込まれていた吐息とともに声が出た。
去り行く快楽の波を慌ててまた呼び戻そうとするかのように、未央の右手がさっと秘部に当てられた。
「いっ……い、どうして、どうしてこんなに、気持ぃっいいの」
未央の秘部から溢れた愛液が、太腿まで濡らしている。
細かく震え、小さく蠢く指が陰唇を押し広げてクリトリスを擦る。
さきほどの乳房とは比較にならない、圧倒的な量の快楽電流が未央の全身を焦がし続けた。
「うあ、うああ、すごい、すごいよこれぇぇ」
くちゅ。
ぴちゅ。
時折、濡れそぼった未央の秘部が音を立てる。未央の中指が既に、入り口から少し奥までを行ったり来たりしていた。
ぞくぞくとした快感が股間から背筋を通って脳まで駆け抜けている。
「ふ、うふぅぅ、んんん」
左の人差し指が右の乳首をかすめ、すぐに戻ると押し倒して擦り抜ける。何度も何度もそれが繰り返される。
「ひ、くぅ」
時折びくんと腰が跳ね上がり、そのたびに未央は小さく悲鳴にも似た喘ぎ声を漏らす。 右手の指がクリトリスをつまんだ。
きゅぅと微かに力を込め、柔らかく撫でまわす。
今日初めて覚えた自慰のはずだが、ものの数十分で手馴れた色事師の手つきに近づいていた。
その間に何度も小さな絶頂を繰り返しつつ、未央は自分自身の指で追い詰められていく。
「うぁぁ……変だ……変だよわたし……くる、すごいのきちゃぅっ」
巨大な絶頂の津波が押し寄せる予感がする。
そして未央は、自ら恍惚の淵へと駆け寄っていることを自覚していた。
指の動きはもはや繊細さを失い、荒々しく性感帯を蹂躙し続ける。
「イく、イくの、わたし、イくのぉぉっ!」
絶頂の瞬間。快楽で全身が白熱して蒸発してしまうかのような感覚が未央を襲う。
「んっぁあぁぁぁあぁー!」
全身の筋肉が不随意的に収縮し、腹筋が薄く浮きあがって未央の上体はがばっと持ち上げられた。
未央は目と唇を閉じたまま首をわずかに後ろに折り、肩をすぼめ、左手で右の二の腕を抱きしめた状態で、指先まで全身硬直して痙攣していた。
しばらくそのまま彫像のように天井を仰いでいたが、やがて固く閉じられた瞳がゆっくりと開かれ、浅く短い呼吸が再開された。
鈍い視界の向こうに、自分の鏡台が見えた。
そこに映るのは衣服を脱ぎ散らかしたベッドの上に座っている未央。
うっすらと全身にかいた未央の汗が、カーテンの隙間から漏れる光をきらきらと返していた。
目は細くけだるげに開けられ、口元には我知らず恍惚とした笑みが浮かんでいる。
一瞬、自分でない誰かが鏡に映り込んでいるかと思ったが、すぐに思い返した。
――わたし、意外とかわいいじゃない。
小さく笑って、そのままどさっと仰向けに倒れ込んだ。
身体はまだ火照っている。ごろりとうつ伏せになって、大きく深呼吸をした。
心臓の鼓動も収まっていない。
まだ、足りない。
身体の内側から、膿のような熱がじわじわと皮膚に向かって溶け出していくようだった。猛烈な倦怠感。朦朧とする意識。思い出したように時折走る悪寒。
あの晩から2日間を未央はほとんど眠って過ごしていた。陸上部はおろか講義を受けることもままならなかった。
つい今しがた目を覚まして、安物のパイプベッドの上で深く布団にもぐって横たわる自分に気がついたところだ。
じっとりとした汗が腋や太腿を伝うが、涼しくする気にはならない。
ただ今は何かに包まれて、じっとしていたかった。
熱の中心は下腹部にあった。生理の時のそれよりも遥かに強い熱が、未央の骨と肉を伝わって指先にまでこもっている。
わずかにみじろぐと、ふわぁっと胸に甘い痺れが広がった。
「っく」
喉の奥から声が漏れる。汗で濡れそぼったタンクトップと乳首が擦れただけでだ。
昨晩、あの女に襲われた悪夢で目を覚ました時から、どうしようもなく全身が敏感になっていた。
その前の晩にはただの風邪だと思っていた。
今は明らかな身体の変調に、病院へ行くことも考えないわけではない。
しかし、未央はひとりだった。
新橋にある割烹料理屋に勤める母親の帰りは遅く、昨夜も扉の向こうから声だけ未央にかけて眠りについていた。いつもは姉思いの妹も、彼氏に会いに行って昨夜は帰ってこない。
今日は土曜日。
たぶんお昼頃。
「っ」
首筋を伝う汗ですら愛撫のように未央を酔わせた。
いけない。
快感に伴う根拠のない罪悪感。
必死に未央は頭の中で拒んでいる。
そう、気持ち良い。
気持良くてたまらないのだ。
じっとしているのは理性。
布団に潜り込んで出てこないのは本能。
その真ん中に未央がいる。
急に熱が上がってきた気がした。
ベッドに横たわっているのに、ぐらりと身体が傾く錯覚を覚える。
はっとして身体をよじった。
「くふっ」
甘い声が漏れる。
全身を真綿のように包むけだるさ、その奥にある心地良さ。
熱い。
お腹の下が。その下の、太腿の間の、そこが。
「うぅ」
突然、柔らかなしかし強い快感を受ける。
そこに未央の手が伸びていた。自分で伸ばしたはずなのだが、そう意識はしていなかった。
ともかく、未央のパンティの上に彼女の手があった。
そっと軽く、こすってみる。
「ん!」
それだけで軽く意識は遠のいた。
いい。
良すぎる。
疑いを差し挟む余地もない。
それほどの快感をひと撫でで得られた。
もうひと撫で。
「んふぅ!」
陰唇から染みる快楽があっけなく未央の精神を捕らえた。
指が動く。
「んっ、あ、あ、あ、あ」
揃えた指が波打つように蠢く。
意識せずとも指先が震え、陰核に微妙な刺激を送り込む。
(なにこれ、なに、わたしどうなっちゃうの、いいっ、やっぱり、あの変な女……)
朦朧としていた意識が急速に覚醒して一点に集中していく。
燃え盛る波動が腰から背へ脳天へ一息に駆け抜けて止まらない。
「あっ、あっ、あ、あっ、あ、あ」
小刻みに動く指がパンティ越しに陰核と陰唇とを嬲る。
初めは遠慮がちだった動きが、ものの数十秒で大胆なものへと変化していった。
己の指の動きが快楽を生み、生まれた快楽が己を操る。
極めて簡潔な連鎖の輪。
するりと指がパンティの内側へ滑り込んだ。
もうすでにそこは愛液でぐっしょりと濡れ、生暖かい。
指はそのまま秘唇を捕らえる。
「あ!」
びくんっと身体が浮き上がり、布団から未央の顔が現れた。
寄せられた眉の上を汗が伝っていく。荒い息遣いが半開きの口から漏れる。
「はぁぅ、あ、はぁ、っ、ん」
止まらない。止められない。望めば望んだだけ快楽が手に入るのだ。
未央の指が秘唇を弄びながら愛液で濡れた陰核を打った。
「ふぁ!」
目を見開き、未央の動きが止まる。
延髄から大脳のてっぺんまでが白く焼けた。
深く白い靄が徐々に晴れていくかのように、未央の意識が戻ってくる。
(……わたし、イッた?)
自慰もしたことがなかった未央の身体に訪れた、初めての快楽。
その先にたどり着いた絶頂。
未体験だった領域のあまりの甘美さに、未央はおののいた。
おののきながら、布団をはいだ。
横たわったまま、タンクトップを脱ぐ。
そして愛液でしみができたパンティの裾に手をかけ、するりと足首まで下ろした。
ひとつひとつの動作に、甘い痺れとさらなる快楽への予感がよぎる。
わずかに開いたカーテンから漏れる光に、露になった未央の白い肌と、玉となった汗がきらめく。
呼吸はすでに整っていた。
そおっと、右手が股間に伸びる。
指がそこに触れるとともに、膨大な快楽が未央の身体に行き渡る。
「うわぁ……っ」
未央は確信した。これまでがどうであれ、この先どうなるのであれ、今はこの感覚を欲している。
左手は自然に胸の上に置かれた。
未央の掌にぴったりと収まる乳房の上に、自分の体温を感じるだけでも心地良い。
ゆっくりと動かすと、秘所から迸るそれとは質の違う快感が沸き起こった。
ふと右手を止め、両手で乳房を揉んでみた。
ふわりと軽く、それでいて濃密な甘さが広がる。
「くはぁ」
動きが速く、大胆になっていく。
「ふわ、ふあ、ふわぁあああ」
汲めども汲めども尽きぬ快楽の泉がふたつ、未央の胸の上で波紋を広げ続けている。今まで未央が、決して豊かとは言えない自分の乳房を意識する時は、下着を着ける時と満員電車ぐらいのものだった。
それが今はどうだ。まるでそこが自分の身体の一部とは思えない。
両手の人差し指できれいな薄桃色の乳首にそうっと触れ、さらに押し込む。
「っあ!」
鋭い快感が背中まで突き抜ける。指の腹でそうっと擦るようにすると、感電したような快楽が未央を打った。
「は……あ……あ……」
指の動きが止まらない。どんどん速く、微妙な動きへと変化していく。
「い……い……これ……」
ゆっくりと、意識が遠のいていく。
さきほどクリトリスで急激に迎えた絶頂とは違う。
じりじりと押し流されていき、最後にぱぁっと拡散した。
声は出ない。けだるげな表情と半開きの口。
かすかに反った背中。足の指だけが奇妙に曲げられてふるふると震えていた。
「……っはぁっ、いいっ、いいの、いいのっ」
胸の奥に溜め込まれていた吐息とともに声が出た。
去り行く快楽の波を慌ててまた呼び戻そうとするかのように、未央の右手がさっと秘部に当てられた。
「いっ……い、どうして、どうしてこんなに、気持ぃっいいの」
未央の秘部から溢れた愛液が、太腿まで濡らしている。
細かく震え、小さく蠢く指が陰唇を押し広げてクリトリスを擦る。
さきほどの乳房とは比較にならない、圧倒的な量の快楽電流が未央の全身を焦がし続けた。
「うあ、うああ、すごい、すごいよこれぇぇ」
くちゅ。
ぴちゅ。
時折、濡れそぼった未央の秘部が音を立てる。未央の中指が既に、入り口から少し奥までを行ったり来たりしていた。
ぞくぞくとした快感が股間から背筋を通って脳まで駆け抜けている。
「ふ、うふぅぅ、んんん」
左の人差し指が右の乳首をかすめ、すぐに戻ると押し倒して擦り抜ける。何度も何度もそれが繰り返される。
「ひ、くぅ」
時折びくんと腰が跳ね上がり、そのたびに未央は小さく悲鳴にも似た喘ぎ声を漏らす。 右手の指がクリトリスをつまんだ。
きゅぅと微かに力を込め、柔らかく撫でまわす。
今日初めて覚えた自慰のはずだが、ものの数十分で手馴れた色事師の手つきに近づいていた。
その間に何度も小さな絶頂を繰り返しつつ、未央は自分自身の指で追い詰められていく。
「うぁぁ……変だ……変だよわたし……くる、すごいのきちゃぅっ」
巨大な絶頂の津波が押し寄せる予感がする。
そして未央は、自ら恍惚の淵へと駆け寄っていることを自覚していた。
指の動きはもはや繊細さを失い、荒々しく性感帯を蹂躙し続ける。
「イく、イくの、わたし、イくのぉぉっ!」
絶頂の瞬間。快楽で全身が白熱して蒸発してしまうかのような感覚が未央を襲う。
「んっぁあぁぁぁあぁー!」
全身の筋肉が不随意的に収縮し、腹筋が薄く浮きあがって未央の上体はがばっと持ち上げられた。
未央は目と唇を閉じたまま首をわずかに後ろに折り、肩をすぼめ、左手で右の二の腕を抱きしめた状態で、指先まで全身硬直して痙攣していた。
しばらくそのまま彫像のように天井を仰いでいたが、やがて固く閉じられた瞳がゆっくりと開かれ、浅く短い呼吸が再開された。
鈍い視界の向こうに、自分の鏡台が見えた。
そこに映るのは衣服を脱ぎ散らかしたベッドの上に座っている未央。
うっすらと全身にかいた未央の汗が、カーテンの隙間から漏れる光をきらきらと返していた。
目は細くけだるげに開けられ、口元には我知らず恍惚とした笑みが浮かんでいる。
一瞬、自分でない誰かが鏡に映り込んでいるかと思ったが、すぐに思い返した。
――わたし、意外とかわいいじゃない。
小さく笑って、そのままどさっと仰向けに倒れ込んだ。
身体はまだ火照っている。ごろりとうつ伏せになって、大きく深呼吸をした。
心臓の鼓動も収まっていない。
まだ、足りない。
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