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蛹3
「んふぅ、っく、ぅう」
妖しく未央の指が蠢き続け、喘ぎ声がやまない。
「いっ、いっ、ここ、こここなのっんん」
その嬌声がまた未央の指を指揮する。
今日目覚めてから何時間が経ったろうか。その間に未央は何度もイった。
途中で気絶するように数分まどろんだものの、異常なほど敏感になった身体が未央をすぐに呼び覚ますのだ。
「もう、もうっ、とまんない、とまんよぉっ」
指の動きはもう決して荒っぽいものにはならない。
未央は既に快楽を最大限に引き出す術を熟知している。
責めの手は極めて微妙で繊細だった。
触れるか触れぬかの距離で何度も陰核と乳首を指が行き来する。
擦り、押しつけ、思い出したようにつまんで、小さく捻り、またそうっと撫でる。
「すごい、すごいよ、そこ、そこそこ、あ、あ、ああっんああぁ」
もはやなんのためらいもなく、ぱぁっと未央の感覚が快楽に爆ぜる。
「イ、く、っ!」
絶頂を迎えて脱力する未央。
「はっ、は、ぁ、はっ、はっ」
50m走ダッシュを3本続けた直後のように、短く浅い呼吸が収まらない。
(ほんとに、どうして、こんなに、いいの)
「はっ、はぁ、ふ、ふぅ、ふぅ、んふ」
(いいかげん、そろそろ、やめなきゃ……)
未央は目の下の汗を拭いながら、呼吸を整え出した。
どくん。
「っ」
どくどく、どくん。
不整脈に似た心拍の不快を覚える。
と思うと、一段と身体の火照りが強まった。
(でも……)
再び両手が秘所に伸びる。
ひっきりなしに愛液をこぼして濡れそぼった陰唇をかきわけ、未央が一番弱い、一番好きな愛撫を繰り出す。
「くっはぅ、いっ、いいっ」
小休止したことでさらに感覚が鋭敏になったようだった。
一瞬のうちに軽い絶頂に追いやられる。
(だめ、どうして、とまらない、わたし、やめられない)
揃えた薬指と中指が未央の入り口で蠢きながら、人差し指は陰核を撫でる。
「いい、の、うぁっあっああぁ」
(だめっ、もう、そろそろやめないと)
「くぅ、また、またくる、とまんない、とめられないの」
未央の頭の片隅に小さな不安と焦りが生まれた。
「やめられない、やめたくない、もっと、いやぁ、もっともっともっとぉ……イくぅぅぅ」
今日何度となく未央の身体を駆け抜けた、渦巻く快感が未央を打ちのめした。
「はっ、は、ぁあん、いや、もっと、欲しい、きもちいいの、欲しいの」
絶頂に至っても指は動きを止めず、さらなる快楽を貪ろうとする。
恍惚感にたゆたいながら、未央の怖れは膨らんでいた。
(わたし……ほんとに、止められない?)
恐怖が高まっていくのと同時に、秘所から迸る快楽も強まっていく。
階段を1段、また1段と登っていくかのごとく、快感は増幅し目も眩むばかりになっていく。下腹部の熱さはまるでそこで炭が燃えているように、静かでしかし強かった。
意識を失いかけながらも、未央はおののていた。
(おかしいよ……絶対おかしい……こんなの……)
もはや手指の触感などない。ただ膨大な快感が全身に満たされて脈動しているだけだった。
飛び散った意識を必死でかき集めるようにして、固く閉じられた瞼を開く。
ぼんやりした視界の中、違和感に気づく。
(え……?)
未央の下腹部が、まるまると膨らんでいる。
驚愕で指の動きが止まり、一瞬で意識が覚醒する。
(これ……なに……うそ?)
まるで妊婦だ。マタニティードレスを着てもおかしくない曲線を未央の色白の肌が描いている。
巨大な恐怖に圧倒されながら、どうしようもない快楽に対する飢餓感が未央を襲う。考えるより速く、指が再び自分自身を蹂躙しはじめた。
「い……いい、いや、いや、これ、もう、すごい……」
もはや未央の身体は快楽の状態でいるのが当たり前になっているようだった。快感のない状態は呼吸を我慢しているのに等しい。
それぐらいの飢餓感だった。
(だめっ……やめないと、やめないと!)
強靭な意志を発揮し、未央は指を止めた。
そして冷静さを取り戻すべく、一度目を閉じた。
無理に忘れようとしていた、あの晩のことが思い出される。
奇妙な女。突然現れた銃を持った男。
もしあの場で男の制止に従っていたら―――
ちくりと後悔の針が未央を刺す。
どくん。
「ぐっ」
どくどくどく、どくん、どくどくん。
心臓が明らかにおかしなリズムを刻み、身体が今までとは比較にならない熱を帯びた。 そして、乳房から猛烈な快楽が湧き上がった。
「くはぁん!」
未央は触れてはいない。しかし、乳房と乳首から背中に向かって、暴力的な快楽が突き抜ける。まるで快感でできたドリルで両の胸を穿たれているようだ。
「うっはぁぁああっ、なにこれ、いやっ、いやぁぁっ」
未央の両手は固く拳をつくって、ベッドに押し付けられている。身体に触れてはいない。
快楽のドリルに胸から背中まで貫かれた感覚と共に、未央はまた絶頂に堕とされた。
下腹部がびくん、と震え、蠕動しだす。
意識を失いかけた未央はそれでまた「現実」へと引き戻された。
「いやっだめ、なに、それへん、へんだってば、いや、すごい、いい、いぁああぁ、ああぁあああん」
下腹部全体が、びく、びくと震えている。未央の感覚では、自分の下半身はすでに溶けてなくなっている。
快感のマグマの中に浸されて溶けきっている。
「うぅぅんう、もうすごすぎるよ、だめ、しんじゃうよ、いいい、いく、イく、イっくうううう!」
下腹部の蠕動が激しさを増していき、唐突に未央を無感覚が襲う。
もとより快楽を感じる以外の感覚は限りなく機能を停止していたが、その快感すら感じない。
ほんの一瞬だけ、何も考えなくていい安息の瞬間が訪れる。
その直後、天国とも地獄ともつかぬ快楽の暴発。
「うぁあああああぁあああぁぁあああぁあああああ!」
耳を除いた未央の穴という穴から、液体が迸った。
汗、涙、鼻水、小便、大便、愛液、小ぶりの乳首からぷっくりと玉のような母乳すら顔を出した。
「ああああぁあぁあああんぅ、あああああああぁああああ!」
頭を激しく振り、狂ったように声を上げ続ける未央。
その下腹部が大きく蠢いて波打つ。
続いて、未央の秘裂からどっと何かが生まれ出た。
無数の襞と無数の瘤を持った、未央の愛液と破瓜の血で濡れた無数の触手。
太さはさまざまで、最も細く数も多いものは針金ほど。
最も太いものは赤ん坊の腕ほどあった。
その無数の触手が、未央の秘裂を押し広げながらずるずると長く這い出してきた。
「うはぁああ、うぁぁん」
人外の壮絶な快楽に、瞳が瞼の奥に裏返ったまま未央はたゆたっている。
触手は意外な機敏さでくるりと方向を変え、未央の身体に群がった。
太腿に巻きつき足の指まで絡めとり、脇を掠めながら乳房を覆いつくし、臍でとぐろを巻いた。
小さな陰核に殺到し、鎖骨からうなじを通って耳の穴に潜り込み、乳首を優しく突つく。
「うふぅ、ふぅ、ぅうん」
未央が忘我の境地からかろうじて舞い戻った時には、既に全身が大小の触手で埋め尽くされていた。
半眼の視界でも、自分の身に起こっている驚異は見て取れた。
(なに……いや……こんな……こんなの、いや、いやぁあ!)
未央の覚醒を待っていたかのように、触手の蹂躙が始まった。
初めは胸だった。乳首を押し倒し、擦り抜ける。軽く縛って、摘み上げる。
「いやぁ、んっ……こぉんな、の、うっ……そぁんん」
あくまでも優しく、そして不意をついて強く。
陰核を撫でるそれは、より優しく機微に満ちている。
「やっいっやぁぁあくうぅ、すごい、だめっ、今までのより、ぜんぜん、すごい……いや、いいいっ」
感じながら、未央はどきりとした。
これほど悪夢のような奇怪な状況にもかかわらず、恐怖心がないことに。
未央は落ち着いていた。純白の快楽にたゆたいながらも、心の片隅がちゃんと未央を失わずにいる。
その小さいが確たる自我が未央には恐かった。
ぐぐっと下腹部が動く。猛烈な、今までとは全く違う快楽が未央の秘所を貫いた。
「あ!」
がつんと頭を殴られたような絶頂感が訪れた。一撃で未央はイった。
ぐっ、ぐっと下腹部が動くたびに、股間から伸びた触手の一部がわずかに出入りを繰り返していた。
「あ! あ、あはあ!」
膣に強い違和感とそれを遥かに凌ぐ快楽。触手が動いて初めて、未央は自分の中から自身が貫かれていることに気がついた。
「そ、んな……、い、やぁ、わた、し、んふ、誰ともまだしてあ! っくはぁ!」
わずかに残念な気持ちがあったが、すぐにそれも未央の心から掻き消えた。
「だ、め、ぇぇえええっ、いぃ、これ……うそみたいに、すごい、よぉぉ」
徐々に膣を出入りする触手の動きが大胆になっていく。
ずちゅ、ず、ずちゅ、と不規則に、大きな抽送が繰り返される。
「いや、すごい、すごぉい、いく、いっちゃうわたし、いやいやイいぃ、イく、イっくぅ!」
背中を浮かせ、全身を痙攣させる未央。
その表情は無邪気な子どもの微笑みに近い。
すべての触手がざわっとひとつなびいて、ゆらゆらと揺らめきながら責めの手を休めている。
「っは、はぁう、ああう、はぁっ」
快楽の小波にただよいながら、ようやく未央は認めた。
この、のたうつ触手は、自分自身なのだ。
今の今まで19年間、未央の身体の奥底に完全に抑圧され、統制されてきた欲求。
「はっ、は、ふぅあっんん」
再び、触手が蠢き出す。
きっかけはあの女だったのだろう。
だが、身体の内に潜んだ本能の覚醒を望んだのは自分だ。
「んはぁ、すっご、すごいイいぃの、イイのぉ」
ただひたすら未央が未央を感じさせるための動き。
そして、今も望んでいる。
多分、これからも。
「もっと、もっと、もっとして、こわれちゃうぐらい、もっと」
全身すべからくざわざわと這いまわる触手。
そこが性感帯であるかどうかにかかわらず、すべての触手が未央の肌を優しく責めた。
濡れた触手が未央の耳と鼻をほじくって、ぴちゃぴちゃと音を立てる。
だらしなく開いた唇にするりと入り込み、舌を巻きとって揉み上げる。
「イく、イくイくぅ、どこまでもイけるの、イけちゃうのああぁあああ」
乳房はひとつサイズが大きくなるほど膨らんでいる。
薄桃色だった乳首は今や固く真っ赤にしこっている。
触手で乳房をやわやわと揉むと、乳首の先からとろとろと母乳が流れ出た。
「あっはぁあ、おっぱいもすごい、イイのっおっぱいがイイのっ」
細めの触手の何本か、尻を撫でまわしていたものがあった。
未央がわずかに腰を持ち上げると、肛門を柔らかく揉みしだきながら1本、また1本と侵入していく。
「っここもぉ、入れちゃうのっふぁああぁぁああん」
未央はもう無数の触手の隅々まで意志を伝えることができるようになっていた。
自分の身体を、思うように、どこまでも、高みに昇らせることができる。
「はぁあ、あはぁはああ、イく、とまらないの、イくのとまらない、いあぁああぅん、イきっぱなしなの、すごおいのとまんないのぉぉ!」
未央は解放されていた。
何の制約もなく、思うまま貪ることができる。
望めば望むほど快楽が得られた。
無限の循環。
膣の責め方も未央はすぐに心得た。
ただ闇雲に前後させていたさっきとは違う。
膣をいっぱいに埋め尽くした触手はそれぞれが自由自在だ。
膨らみ、震え、擦り、突つき、うねる。
特に感じる場所に、触手の瘤をあてがうようにしてぐりぐりと押し付ける。
「うっうわぁああ、すごい、すごいよこんなのいいいイぃいいもっとすごいのキちゃううううぅううっ」
感じるために動かす。
気持ちイイ。
気持ちいいから動かす。
気持ちイイ。
動かすと気持ちいい。
気持ちイイ。
イイ。
もういわゆる「絶頂感」はなく、常にその瞬間が最高の高みだった。
螺旋を描くように、どこまでも昇っていく。
しかしじわじわと、指や触手といった身体の先端の方から、とろとろと溶けて流れ出して行くような感覚が訪れた。
そして溶け出していくところに、段違いの快感が生まれていた。
溶けていく感覚が次第に速くなり、ぐんぐん身体の中心へと迫っていく。
「もう、わたし、狂うの、狂ってるの、こわれちゃう、こわして、ころして、イかせて、わたしイくの、イいぃっくぅぅううううううううう!」
すべてを溶かしつくす究極の快楽が遂に未央の全身を占領した。
どばぁあああっ。
未央の全身の穴から、白く濁った液が噴き出した。
白濁液は涙や汗や涎となり、母乳や愛液の代わりとなって未央を濡らした。
未央の切れ長の目が白い涙の跡をつけて、虚ろに天井を見つめていた。
広い額が白濁液でてらてらと光る。
多くの男子生徒たちが自分の一物を含まれる夢想で何度も果てたその口には、微笑みが浮かんでいた。
ゆっくりと触手の群れが全身を包み込み、その顔も見えなくなった。
その日、母親の美恵子が帰宅したのは日付けが変わる頃だった。
妹の美樹は翌日の夜。隣人の神田愛理が現れたのがその深夜。
この町が、ウロボロス症候群による壊滅が公式に確認された、日本で最初の場所となる。
―― 「蛹」完 ――
妖しく未央の指が蠢き続け、喘ぎ声がやまない。
「いっ、いっ、ここ、こここなのっんん」
その嬌声がまた未央の指を指揮する。
今日目覚めてから何時間が経ったろうか。その間に未央は何度もイった。
途中で気絶するように数分まどろんだものの、異常なほど敏感になった身体が未央をすぐに呼び覚ますのだ。
「もう、もうっ、とまんない、とまんよぉっ」
指の動きはもう決して荒っぽいものにはならない。
未央は既に快楽を最大限に引き出す術を熟知している。
責めの手は極めて微妙で繊細だった。
触れるか触れぬかの距離で何度も陰核と乳首を指が行き来する。
擦り、押しつけ、思い出したようにつまんで、小さく捻り、またそうっと撫でる。
「すごい、すごいよ、そこ、そこそこ、あ、あ、ああっんああぁ」
もはやなんのためらいもなく、ぱぁっと未央の感覚が快楽に爆ぜる。
「イ、く、っ!」
絶頂を迎えて脱力する未央。
「はっ、は、ぁ、はっ、はっ」
50m走ダッシュを3本続けた直後のように、短く浅い呼吸が収まらない。
(ほんとに、どうして、こんなに、いいの)
「はっ、はぁ、ふ、ふぅ、ふぅ、んふ」
(いいかげん、そろそろ、やめなきゃ……)
未央は目の下の汗を拭いながら、呼吸を整え出した。
どくん。
「っ」
どくどく、どくん。
不整脈に似た心拍の不快を覚える。
と思うと、一段と身体の火照りが強まった。
(でも……)
再び両手が秘所に伸びる。
ひっきりなしに愛液をこぼして濡れそぼった陰唇をかきわけ、未央が一番弱い、一番好きな愛撫を繰り出す。
「くっはぅ、いっ、いいっ」
小休止したことでさらに感覚が鋭敏になったようだった。
一瞬のうちに軽い絶頂に追いやられる。
(だめ、どうして、とまらない、わたし、やめられない)
揃えた薬指と中指が未央の入り口で蠢きながら、人差し指は陰核を撫でる。
「いい、の、うぁっあっああぁ」
(だめっ、もう、そろそろやめないと)
「くぅ、また、またくる、とまんない、とめられないの」
未央の頭の片隅に小さな不安と焦りが生まれた。
「やめられない、やめたくない、もっと、いやぁ、もっともっともっとぉ……イくぅぅぅ」
今日何度となく未央の身体を駆け抜けた、渦巻く快感が未央を打ちのめした。
「はっ、は、ぁあん、いや、もっと、欲しい、きもちいいの、欲しいの」
絶頂に至っても指は動きを止めず、さらなる快楽を貪ろうとする。
恍惚感にたゆたいながら、未央の怖れは膨らんでいた。
(わたし……ほんとに、止められない?)
恐怖が高まっていくのと同時に、秘所から迸る快楽も強まっていく。
階段を1段、また1段と登っていくかのごとく、快感は増幅し目も眩むばかりになっていく。下腹部の熱さはまるでそこで炭が燃えているように、静かでしかし強かった。
意識を失いかけながらも、未央はおののていた。
(おかしいよ……絶対おかしい……こんなの……)
もはや手指の触感などない。ただ膨大な快感が全身に満たされて脈動しているだけだった。
飛び散った意識を必死でかき集めるようにして、固く閉じられた瞼を開く。
ぼんやりした視界の中、違和感に気づく。
(え……?)
未央の下腹部が、まるまると膨らんでいる。
驚愕で指の動きが止まり、一瞬で意識が覚醒する。
(これ……なに……うそ?)
まるで妊婦だ。マタニティードレスを着てもおかしくない曲線を未央の色白の肌が描いている。
巨大な恐怖に圧倒されながら、どうしようもない快楽に対する飢餓感が未央を襲う。考えるより速く、指が再び自分自身を蹂躙しはじめた。
「い……いい、いや、いや、これ、もう、すごい……」
もはや未央の身体は快楽の状態でいるのが当たり前になっているようだった。快感のない状態は呼吸を我慢しているのに等しい。
それぐらいの飢餓感だった。
(だめっ……やめないと、やめないと!)
強靭な意志を発揮し、未央は指を止めた。
そして冷静さを取り戻すべく、一度目を閉じた。
無理に忘れようとしていた、あの晩のことが思い出される。
奇妙な女。突然現れた銃を持った男。
もしあの場で男の制止に従っていたら―――
ちくりと後悔の針が未央を刺す。
どくん。
「ぐっ」
どくどくどく、どくん、どくどくん。
心臓が明らかにおかしなリズムを刻み、身体が今までとは比較にならない熱を帯びた。 そして、乳房から猛烈な快楽が湧き上がった。
「くはぁん!」
未央は触れてはいない。しかし、乳房と乳首から背中に向かって、暴力的な快楽が突き抜ける。まるで快感でできたドリルで両の胸を穿たれているようだ。
「うっはぁぁああっ、なにこれ、いやっ、いやぁぁっ」
未央の両手は固く拳をつくって、ベッドに押し付けられている。身体に触れてはいない。
快楽のドリルに胸から背中まで貫かれた感覚と共に、未央はまた絶頂に堕とされた。
下腹部がびくん、と震え、蠕動しだす。
意識を失いかけた未央はそれでまた「現実」へと引き戻された。
「いやっだめ、なに、それへん、へんだってば、いや、すごい、いい、いぁああぁ、ああぁあああん」
下腹部全体が、びく、びくと震えている。未央の感覚では、自分の下半身はすでに溶けてなくなっている。
快感のマグマの中に浸されて溶けきっている。
「うぅぅんう、もうすごすぎるよ、だめ、しんじゃうよ、いいい、いく、イく、イっくうううう!」
下腹部の蠕動が激しさを増していき、唐突に未央を無感覚が襲う。
もとより快楽を感じる以外の感覚は限りなく機能を停止していたが、その快感すら感じない。
ほんの一瞬だけ、何も考えなくていい安息の瞬間が訪れる。
その直後、天国とも地獄ともつかぬ快楽の暴発。
「うぁあああああぁあああぁぁあああぁあああああ!」
耳を除いた未央の穴という穴から、液体が迸った。
汗、涙、鼻水、小便、大便、愛液、小ぶりの乳首からぷっくりと玉のような母乳すら顔を出した。
「ああああぁあぁあああんぅ、あああああああぁああああ!」
頭を激しく振り、狂ったように声を上げ続ける未央。
その下腹部が大きく蠢いて波打つ。
続いて、未央の秘裂からどっと何かが生まれ出た。
無数の襞と無数の瘤を持った、未央の愛液と破瓜の血で濡れた無数の触手。
太さはさまざまで、最も細く数も多いものは針金ほど。
最も太いものは赤ん坊の腕ほどあった。
その無数の触手が、未央の秘裂を押し広げながらずるずると長く這い出してきた。
「うはぁああ、うぁぁん」
人外の壮絶な快楽に、瞳が瞼の奥に裏返ったまま未央はたゆたっている。
触手は意外な機敏さでくるりと方向を変え、未央の身体に群がった。
太腿に巻きつき足の指まで絡めとり、脇を掠めながら乳房を覆いつくし、臍でとぐろを巻いた。
小さな陰核に殺到し、鎖骨からうなじを通って耳の穴に潜り込み、乳首を優しく突つく。
「うふぅ、ふぅ、ぅうん」
未央が忘我の境地からかろうじて舞い戻った時には、既に全身が大小の触手で埋め尽くされていた。
半眼の視界でも、自分の身に起こっている驚異は見て取れた。
(なに……いや……こんな……こんなの、いや、いやぁあ!)
未央の覚醒を待っていたかのように、触手の蹂躙が始まった。
初めは胸だった。乳首を押し倒し、擦り抜ける。軽く縛って、摘み上げる。
「いやぁ、んっ……こぉんな、の、うっ……そぁんん」
あくまでも優しく、そして不意をついて強く。
陰核を撫でるそれは、より優しく機微に満ちている。
「やっいっやぁぁあくうぅ、すごい、だめっ、今までのより、ぜんぜん、すごい……いや、いいいっ」
感じながら、未央はどきりとした。
これほど悪夢のような奇怪な状況にもかかわらず、恐怖心がないことに。
未央は落ち着いていた。純白の快楽にたゆたいながらも、心の片隅がちゃんと未央を失わずにいる。
その小さいが確たる自我が未央には恐かった。
ぐぐっと下腹部が動く。猛烈な、今までとは全く違う快楽が未央の秘所を貫いた。
「あ!」
がつんと頭を殴られたような絶頂感が訪れた。一撃で未央はイった。
ぐっ、ぐっと下腹部が動くたびに、股間から伸びた触手の一部がわずかに出入りを繰り返していた。
「あ! あ、あはあ!」
膣に強い違和感とそれを遥かに凌ぐ快楽。触手が動いて初めて、未央は自分の中から自身が貫かれていることに気がついた。
「そ、んな……、い、やぁ、わた、し、んふ、誰ともまだしてあ! っくはぁ!」
わずかに残念な気持ちがあったが、すぐにそれも未央の心から掻き消えた。
「だ、め、ぇぇえええっ、いぃ、これ……うそみたいに、すごい、よぉぉ」
徐々に膣を出入りする触手の動きが大胆になっていく。
ずちゅ、ず、ずちゅ、と不規則に、大きな抽送が繰り返される。
「いや、すごい、すごぉい、いく、いっちゃうわたし、いやいやイいぃ、イく、イっくぅ!」
背中を浮かせ、全身を痙攣させる未央。
その表情は無邪気な子どもの微笑みに近い。
すべての触手がざわっとひとつなびいて、ゆらゆらと揺らめきながら責めの手を休めている。
「っは、はぁう、ああう、はぁっ」
快楽の小波にただよいながら、ようやく未央は認めた。
この、のたうつ触手は、自分自身なのだ。
今の今まで19年間、未央の身体の奥底に完全に抑圧され、統制されてきた欲求。
「はっ、は、ふぅあっんん」
再び、触手が蠢き出す。
きっかけはあの女だったのだろう。
だが、身体の内に潜んだ本能の覚醒を望んだのは自分だ。
「んはぁ、すっご、すごいイいぃの、イイのぉ」
ただひたすら未央が未央を感じさせるための動き。
そして、今も望んでいる。
多分、これからも。
「もっと、もっと、もっとして、こわれちゃうぐらい、もっと」
全身すべからくざわざわと這いまわる触手。
そこが性感帯であるかどうかにかかわらず、すべての触手が未央の肌を優しく責めた。
濡れた触手が未央の耳と鼻をほじくって、ぴちゃぴちゃと音を立てる。
だらしなく開いた唇にするりと入り込み、舌を巻きとって揉み上げる。
「イく、イくイくぅ、どこまでもイけるの、イけちゃうのああぁあああ」
乳房はひとつサイズが大きくなるほど膨らんでいる。
薄桃色だった乳首は今や固く真っ赤にしこっている。
触手で乳房をやわやわと揉むと、乳首の先からとろとろと母乳が流れ出た。
「あっはぁあ、おっぱいもすごい、イイのっおっぱいがイイのっ」
細めの触手の何本か、尻を撫でまわしていたものがあった。
未央がわずかに腰を持ち上げると、肛門を柔らかく揉みしだきながら1本、また1本と侵入していく。
「っここもぉ、入れちゃうのっふぁああぁぁああん」
未央はもう無数の触手の隅々まで意志を伝えることができるようになっていた。
自分の身体を、思うように、どこまでも、高みに昇らせることができる。
「はぁあ、あはぁはああ、イく、とまらないの、イくのとまらない、いあぁああぅん、イきっぱなしなの、すごおいのとまんないのぉぉ!」
未央は解放されていた。
何の制約もなく、思うまま貪ることができる。
望めば望むほど快楽が得られた。
無限の循環。
膣の責め方も未央はすぐに心得た。
ただ闇雲に前後させていたさっきとは違う。
膣をいっぱいに埋め尽くした触手はそれぞれが自由自在だ。
膨らみ、震え、擦り、突つき、うねる。
特に感じる場所に、触手の瘤をあてがうようにしてぐりぐりと押し付ける。
「うっうわぁああ、すごい、すごいよこんなのいいいイぃいいもっとすごいのキちゃううううぅううっ」
感じるために動かす。
気持ちイイ。
気持ちいいから動かす。
気持ちイイ。
動かすと気持ちいい。
気持ちイイ。
イイ。
もういわゆる「絶頂感」はなく、常にその瞬間が最高の高みだった。
螺旋を描くように、どこまでも昇っていく。
しかしじわじわと、指や触手といった身体の先端の方から、とろとろと溶けて流れ出して行くような感覚が訪れた。
そして溶け出していくところに、段違いの快感が生まれていた。
溶けていく感覚が次第に速くなり、ぐんぐん身体の中心へと迫っていく。
「もう、わたし、狂うの、狂ってるの、こわれちゃう、こわして、ころして、イかせて、わたしイくの、イいぃっくぅぅううううううううう!」
すべてを溶かしつくす究極の快楽が遂に未央の全身を占領した。
どばぁあああっ。
未央の全身の穴から、白く濁った液が噴き出した。
白濁液は涙や汗や涎となり、母乳や愛液の代わりとなって未央を濡らした。
未央の切れ長の目が白い涙の跡をつけて、虚ろに天井を見つめていた。
広い額が白濁液でてらてらと光る。
多くの男子生徒たちが自分の一物を含まれる夢想で何度も果てたその口には、微笑みが浮かんでいた。
ゆっくりと触手の群れが全身を包み込み、その顔も見えなくなった。
その日、母親の美恵子が帰宅したのは日付けが変わる頃だった。
妹の美樹は翌日の夜。隣人の神田愛理が現れたのがその深夜。
この町が、ウロボロス症候群による壊滅が公式に確認された、日本で最初の場所となる。
―― 「蛹」完 ――
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