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繭4
蛍光灯のほの白い光を淡く返す頬がゆっくりと愛理のそれに近づいていく。いや、触手群が愛理を引き寄せていた。
「ひう」
ついに愛理の身体が肉卵にぷちゃっと滑稽な音を立てて密着する。何本かの触手はその縛めを解いた。
愛理の目前に微笑みを湛えた未央の母の顔があった。額も首筋も白く血の気を感じさせないが、肌の艶と張りは生気に満ち溢れた少女のようだ。ふ、と微かに目を細めて、愛理の額に彼女の唇が触れた。やはり、冷たくはない。むしろ温かだ。
「や、おばさ……」
軽い拒否を示す愛理。想像の域を果てしなく越えた非現実の只中から、改めて浮かび上がった「近所の知り合い」という現実。
「おばさんはないでしょ。恵美子って呼んで」
えみこっていうんだ、はじめてしった。
うっすらとそんな言葉を心中に浮かべ、過去の氷上家との記憶を呼び覚ましている愛理の唇を、恵美子の柔らかなそれが包んだ。ふわりと唇が触れた感触と、続くぬめって引きずられる感覚が愛理の脳に重い楔を打ち込む。薄くて赤い舌がちろりと愛理の上唇を舐め、下唇を恵美子の上下が含んで吸う。撃ち込まれた快楽の楔は気体のようにほどけて愛理の脳に広がる。また包まれ、舌でなぞられ、軽く押し当てられるとまた含まれる。
「んあ、ふ、う、ん、む、ううぅ」
くぐもった声が知らず上がり、眉根が寄せられる。優しく、しかし圧倒的な快感。
えみこさんやめて。
始めそう言おうとしたが、言うことも叶わず言うつもりもすぐに消え失せた。
すごくいい。でもみきちゃんのおかあさん。でもきもちいい。しらなきゃよかった。なまえだってどうでもよかったのに。
恵美子は落ち着いた慈しむような瞳で愛理を見つめながら、唇の彷徨を続ける。口づけであって口づけではない。深い深い愛撫であり、侵略。つるりと舌が愛理の口腔に忍び込み、愛理のそれを捕らえた。絡め取られた舌と包まれる唇から快楽の和音が重く響く。
「んーっ、んん、んぅんん」
愛理はもはや気づく余裕もないが、触手の動きは和らいでいる。愛理の中と外で呼吸をするように微かな蠕動を繰り返しているだけだ。愛理は今やそれらを下地にして唇に集中し、全身を愛でられる錯覚に陥っている。
「んんー、んんんーっ、んんっは、くあああ、ふあぅぁ」
唐突に恵美子の唇が離された。そして満面の笑み。
「どう? キスでこんなになれるなんて知らなかったでしょ」
力なくわずかに舌を突き出して愛理はただうなだれている。
「もっともっと教えてあげる。もっともっともぉっとすごいの。どんなことより素敵なの。だから愛理ちゃんも、おいで、ね?」
最後に発された疑問形の抑揚に、なんとなく愛理の首が持ちあがる。
恵美子の舌が、ひどく肥大化して伸び、鎌首をもたげていた。それは不自然なほど鮮やかな赤で、太さは人の手首ほどもあり、表面を覆う微細な突起がふるふると蠢いている。
「いぁっ、いやぁっ!」
始めから完全に異形ではなかったことが、微かな現実がちらついていたことが、愛理にはひどく残酷だった。
これまでに見せたどんな動きよりも速く、幅広の触手が愛理の頭を固定し、数本の小さな触手が顎を開かせる。恵美子は依然慈愛の色を瞳に浮かべながら、蠢く舌で愛理の口を犯した。口腔をいっぱいに満たし、ゆるゆると内側の粘膜と擦れ合い、這いずって侵入していく。
「んーーーーーーーーーーーーーっ」
真上を向いて目を見開いた愛理の咽喉を通過し、食道を押し広げながらさらに奥へ、奥へ。猛烈な圧迫感と窒息感が愛理を絶望の縁に追いやる。遂に恵美子の舌は内臓に達した。そしてひくん、とひとつ波打つ。
「ぅん!」
腸の奥に熾き火が灯る。炭のように静かな、しかし確かな熱が、愛理の身体のちょうど中心に生まれて膨らんでいく。ひくん、ともうひとつ。熱は急激に育ってとぐろを巻くかのように疼いた。極上の蜜の甘さを含んだ毒。ひくん。三度波打たれ、愛理の全身は完全に毒に犯された。ねっとりとした疼きは、まるでそれ自体意志を持っているかのように、ゆっくりとでもなく急速にでもなく、本能を焦らし反射に応じながら広がって行く。
「っ、ぅぅうぅっ」
ずるずるっ、といきなり舌が引き抜かれると、愛理の口元から白濁液が溢れ、辺りにも大量にぶちまけられた。
巨大な舌はぼたぼたと大粒の雫をこぼしながら、瞬く間に恵美子の柔らかな唇の間にしまい込まれた。何事もなかったかのように、恵美子はまた鮮やかな舌をちろりと覗かせ、唇の周りについた白濁液を舐め取ってくすっと笑った。
「あ、う、あは、あはぁ」
中空を見つめて呆然とする愛理の中は、灼熱に焼き焦がされていた。
「う、きふ、ふあは」
目が見開かれ、はく、はく、と口は小さく開閉を繰り返す。
「い、いひ、いふ、いふぅん」
眉根が寄って全身が小刻みに震え出し、秘唇から溢れる愛液は急激に量を増す。
「あ、あは、あはっ、いっ、いいっ、いいいっ」
目が細められ、唇は震えながら明らかな悦びの形に歪む。
「いい、いいいっ、いいいいのぉぉぉ!!」
愛理の表情が満面の壊れた笑みに凍りついた。ぽっちゃりした舌が突き出される。
その嬌声を合図に、肉卵の表面がざわめき立った。何度かの身震いの後、野原に群生する植物が一斉に開花したかのように、そこは無数の肉芽の海と化していた。
恵美子がにっこりと笑う。母親が、よくできた子どもを誉めるときの目だった。
「さっきまでのもすごかったでしょ。五感が全部研ぎ澄まされて、ぜぇんぶ気持良くなって。でも、今までのは練習なの」
肉芽の海は柔らかく、優しく愛理の身体の前面を埋もれさせて揺らいだ。直径6mmにも満たぬ小さな肉芽が、吸いつき、離れる。それが触れる場所すべてで何万回と繰り返される。執拗に繰り返される。
「ふふ。これからは今まで知らなかった世界が待ってるの。だぁれも知らなかったわたしたちが」
人体の触感限界を遥かに超えるはずの微細な愛撫が、愛理には全て知覚できた。むしろ今愛理の意識は覚醒している。匂いに誘われていた時の混濁した意識とは全く逆だ。今愛理は、肉卵が送り込む快感を隅々まで知覚させられていた。
「すごい、いきぃぃぃふぅんはっすごいよ、きもちいいのいいのふあああぅはぁ」
緩慢だった他の触手も動きを取り戻す。肉卵に触れていない場所を、愛理の内側を、再び蹂躙する。それは優しげな肉芽の海に対して、壮絶に甘い痺れの豪雨だった。
「いはあああ、いんぁあああああああ」
前後の秘裂を行き来していた太い襞つきの触手は、前ほど激しい動きを見せていない。小刻みに振動しながら、ゆっくり、ゆっくりと出入りを繰り返している。全ての細やかで膨大な刺激は、この快楽の地響きで裏打ちされていた。平べったく小さな、内部に長い柔らかなつらら状の突起を持った触手が両耳を咥えて震え、金管楽器の連打にも似た快感が脳の両側から擦り込まれる。太く大きな触手が2本、がばぁっと大きく口を開いて丸みを帯びた尻に吸い着くと、ゆったりとうねりを起こす。内側で大小の肉びらが吸着し、圧迫して離れるたびに快楽が炸裂した。
「ぐああっ、くはあああっ、うわ、うわぁんく、はああぁあおんんんん」
愛理は触手に緩く支えられている頭をがくがくと振り、焦点を失って濁った目をゆっくりと閉じたり突然開いたりさせている。
なにより愛理の狂喜を垣間見させるのは、口元の屈託のない笑みだった。この笑みが、幾重もの襞をもった触手が秘裂の間で激しく注送されるたびにきつく閉じられ、そして開かれた時にはまた張り付いていた。その表情はどこまでも無邪気で、何の思考も感じさせず、美しかった。
「ふぅんくぅ、あああああああ、いぎぃっひっはうんあはあ」
全身をくまなく暴れ狂う快楽が、愛理の身体を溢れ出さんとするかのようだった。実際に、汗と白濁液が絡み合って火照りきった身体をてかてかと濡らし、愛液はとめどなくあふれ、頭が激しく振られるたびに涙と鼻水と涎とが時折散った。
「もう、こぉんなに喜んで。ね、すごいでしょ」
触手が愛理の頭を再び押さえつける。小さく笑って、恵美子はまた愛理の唇を塞いだ。
「んー、んんん、んむうう、うむぅぅぅぅ」
そして生まれたばかりの仔をそうするように、形は人間のそれだが異常に長く赤い舌で愛理の顔を舐めまわした。
白濁液を直に飲まされたときから、愛理は絶頂の頂に留まっていた。ひたすら留まり続けている。快楽の突風が吹きすさぶ山の頂に磔にされて悶え叫んでいるのだ。
恵美子が唇を離した。
「あぷぅあっ、あぁあいい、もっと、やだもっとんぁあああ」
狂喜を張り付かせたままの表情で、愛理は要求した。恵美子は微笑んでまた応え、胸が張り裂けんばかりの愛理の嬌声がくぐもる。
左の手首と肘と腋の下とを支えている触手の縛めが、明らかに弱められた。支えられてはいるが自由になった愛理の手は、初め肉卵の表面で快楽に打ち震えて開いたり閉じたりしていたが、やがてすぐ何かを求めるように肉卵にしがみついた。口づけを続ける恵美子の目が微かに細くなる。そのままずぶずぶと何の抵抗もなく、愛理の手は触手の中に埋もれた。
「きゃふっ………!」
肘まで腕が飲み込まれる。途端、愛理の中の感覚では肘から先が快楽に融けた。融けてなくなってしまうのではない、融けたままなのだ。存在は確かにあるがしかし、どろどろの快楽、溶岩ではなく「溶悦」の状態だ。そしてこれまでとは一線を画した感覚が愛理に流れ込む。
「んん。いいわよ、愛理ちゃん」
恵美子が初めて、恍惚とした表情を見せた。
「やっ、くはあ、なに、ぅっこれ、なにすごいっうそいいあああ」
腕そのものが腕と愛理に快楽を与えている感覚。愛理は一瞬でこの感覚を理解し、本能的に求めた。肉体の反射と愛理自身の精神が、瞬時に快楽を青天井に増幅していく。求めれば求めるほど、愛理の左肘は彼我の境界を失い、解放されていった。
「こっちも、ほら」
右の手の縛めも解かれる。その手は知らず肉卵を求め、そして沈んでいく。
「うふあああああああああ!」
倍加ではなく、乗算だった。瞳は驚愕に開かれ、しかし口元にはいっそう喜悦を浮かべながら、愛理は快楽を求めた。
「んん~……愛理ちゃん、素敵よ、すごい、気持いいのね、気持いいでしょう」
恵美子が愉悦を満面に湛えて喘ぐ。
「だからもっとほら、おいで」
少女のように無邪気な微笑みを見せて、恵美子は誘った。
「ひう」
ついに愛理の身体が肉卵にぷちゃっと滑稽な音を立てて密着する。何本かの触手はその縛めを解いた。
愛理の目前に微笑みを湛えた未央の母の顔があった。額も首筋も白く血の気を感じさせないが、肌の艶と張りは生気に満ち溢れた少女のようだ。ふ、と微かに目を細めて、愛理の額に彼女の唇が触れた。やはり、冷たくはない。むしろ温かだ。
「や、おばさ……」
軽い拒否を示す愛理。想像の域を果てしなく越えた非現実の只中から、改めて浮かび上がった「近所の知り合い」という現実。
「おばさんはないでしょ。恵美子って呼んで」
えみこっていうんだ、はじめてしった。
うっすらとそんな言葉を心中に浮かべ、過去の氷上家との記憶を呼び覚ましている愛理の唇を、恵美子の柔らかなそれが包んだ。ふわりと唇が触れた感触と、続くぬめって引きずられる感覚が愛理の脳に重い楔を打ち込む。薄くて赤い舌がちろりと愛理の上唇を舐め、下唇を恵美子の上下が含んで吸う。撃ち込まれた快楽の楔は気体のようにほどけて愛理の脳に広がる。また包まれ、舌でなぞられ、軽く押し当てられるとまた含まれる。
「んあ、ふ、う、ん、む、ううぅ」
くぐもった声が知らず上がり、眉根が寄せられる。優しく、しかし圧倒的な快感。
えみこさんやめて。
始めそう言おうとしたが、言うことも叶わず言うつもりもすぐに消え失せた。
すごくいい。でもみきちゃんのおかあさん。でもきもちいい。しらなきゃよかった。なまえだってどうでもよかったのに。
恵美子は落ち着いた慈しむような瞳で愛理を見つめながら、唇の彷徨を続ける。口づけであって口づけではない。深い深い愛撫であり、侵略。つるりと舌が愛理の口腔に忍び込み、愛理のそれを捕らえた。絡め取られた舌と包まれる唇から快楽の和音が重く響く。
「んーっ、んん、んぅんん」
愛理はもはや気づく余裕もないが、触手の動きは和らいでいる。愛理の中と外で呼吸をするように微かな蠕動を繰り返しているだけだ。愛理は今やそれらを下地にして唇に集中し、全身を愛でられる錯覚に陥っている。
「んんー、んんんーっ、んんっは、くあああ、ふあぅぁ」
唐突に恵美子の唇が離された。そして満面の笑み。
「どう? キスでこんなになれるなんて知らなかったでしょ」
力なくわずかに舌を突き出して愛理はただうなだれている。
「もっともっと教えてあげる。もっともっともぉっとすごいの。どんなことより素敵なの。だから愛理ちゃんも、おいで、ね?」
最後に発された疑問形の抑揚に、なんとなく愛理の首が持ちあがる。
恵美子の舌が、ひどく肥大化して伸び、鎌首をもたげていた。それは不自然なほど鮮やかな赤で、太さは人の手首ほどもあり、表面を覆う微細な突起がふるふると蠢いている。
「いぁっ、いやぁっ!」
始めから完全に異形ではなかったことが、微かな現実がちらついていたことが、愛理にはひどく残酷だった。
これまでに見せたどんな動きよりも速く、幅広の触手が愛理の頭を固定し、数本の小さな触手が顎を開かせる。恵美子は依然慈愛の色を瞳に浮かべながら、蠢く舌で愛理の口を犯した。口腔をいっぱいに満たし、ゆるゆると内側の粘膜と擦れ合い、這いずって侵入していく。
「んーーーーーーーーーーーーーっ」
真上を向いて目を見開いた愛理の咽喉を通過し、食道を押し広げながらさらに奥へ、奥へ。猛烈な圧迫感と窒息感が愛理を絶望の縁に追いやる。遂に恵美子の舌は内臓に達した。そしてひくん、とひとつ波打つ。
「ぅん!」
腸の奥に熾き火が灯る。炭のように静かな、しかし確かな熱が、愛理の身体のちょうど中心に生まれて膨らんでいく。ひくん、ともうひとつ。熱は急激に育ってとぐろを巻くかのように疼いた。極上の蜜の甘さを含んだ毒。ひくん。三度波打たれ、愛理の全身は完全に毒に犯された。ねっとりとした疼きは、まるでそれ自体意志を持っているかのように、ゆっくりとでもなく急速にでもなく、本能を焦らし反射に応じながら広がって行く。
「っ、ぅぅうぅっ」
ずるずるっ、といきなり舌が引き抜かれると、愛理の口元から白濁液が溢れ、辺りにも大量にぶちまけられた。
巨大な舌はぼたぼたと大粒の雫をこぼしながら、瞬く間に恵美子の柔らかな唇の間にしまい込まれた。何事もなかったかのように、恵美子はまた鮮やかな舌をちろりと覗かせ、唇の周りについた白濁液を舐め取ってくすっと笑った。
「あ、う、あは、あはぁ」
中空を見つめて呆然とする愛理の中は、灼熱に焼き焦がされていた。
「う、きふ、ふあは」
目が見開かれ、はく、はく、と口は小さく開閉を繰り返す。
「い、いひ、いふ、いふぅん」
眉根が寄って全身が小刻みに震え出し、秘唇から溢れる愛液は急激に量を増す。
「あ、あは、あはっ、いっ、いいっ、いいいっ」
目が細められ、唇は震えながら明らかな悦びの形に歪む。
「いい、いいいっ、いいいいのぉぉぉ!!」
愛理の表情が満面の壊れた笑みに凍りついた。ぽっちゃりした舌が突き出される。
その嬌声を合図に、肉卵の表面がざわめき立った。何度かの身震いの後、野原に群生する植物が一斉に開花したかのように、そこは無数の肉芽の海と化していた。
恵美子がにっこりと笑う。母親が、よくできた子どもを誉めるときの目だった。
「さっきまでのもすごかったでしょ。五感が全部研ぎ澄まされて、ぜぇんぶ気持良くなって。でも、今までのは練習なの」
肉芽の海は柔らかく、優しく愛理の身体の前面を埋もれさせて揺らいだ。直径6mmにも満たぬ小さな肉芽が、吸いつき、離れる。それが触れる場所すべてで何万回と繰り返される。執拗に繰り返される。
「ふふ。これからは今まで知らなかった世界が待ってるの。だぁれも知らなかったわたしたちが」
人体の触感限界を遥かに超えるはずの微細な愛撫が、愛理には全て知覚できた。むしろ今愛理の意識は覚醒している。匂いに誘われていた時の混濁した意識とは全く逆だ。今愛理は、肉卵が送り込む快感を隅々まで知覚させられていた。
「すごい、いきぃぃぃふぅんはっすごいよ、きもちいいのいいのふあああぅはぁ」
緩慢だった他の触手も動きを取り戻す。肉卵に触れていない場所を、愛理の内側を、再び蹂躙する。それは優しげな肉芽の海に対して、壮絶に甘い痺れの豪雨だった。
「いはあああ、いんぁあああああああ」
前後の秘裂を行き来していた太い襞つきの触手は、前ほど激しい動きを見せていない。小刻みに振動しながら、ゆっくり、ゆっくりと出入りを繰り返している。全ての細やかで膨大な刺激は、この快楽の地響きで裏打ちされていた。平べったく小さな、内部に長い柔らかなつらら状の突起を持った触手が両耳を咥えて震え、金管楽器の連打にも似た快感が脳の両側から擦り込まれる。太く大きな触手が2本、がばぁっと大きく口を開いて丸みを帯びた尻に吸い着くと、ゆったりとうねりを起こす。内側で大小の肉びらが吸着し、圧迫して離れるたびに快楽が炸裂した。
「ぐああっ、くはあああっ、うわ、うわぁんく、はああぁあおんんんん」
愛理は触手に緩く支えられている頭をがくがくと振り、焦点を失って濁った目をゆっくりと閉じたり突然開いたりさせている。
なにより愛理の狂喜を垣間見させるのは、口元の屈託のない笑みだった。この笑みが、幾重もの襞をもった触手が秘裂の間で激しく注送されるたびにきつく閉じられ、そして開かれた時にはまた張り付いていた。その表情はどこまでも無邪気で、何の思考も感じさせず、美しかった。
「ふぅんくぅ、あああああああ、いぎぃっひっはうんあはあ」
全身をくまなく暴れ狂う快楽が、愛理の身体を溢れ出さんとするかのようだった。実際に、汗と白濁液が絡み合って火照りきった身体をてかてかと濡らし、愛液はとめどなくあふれ、頭が激しく振られるたびに涙と鼻水と涎とが時折散った。
「もう、こぉんなに喜んで。ね、すごいでしょ」
触手が愛理の頭を再び押さえつける。小さく笑って、恵美子はまた愛理の唇を塞いだ。
「んー、んんん、んむうう、うむぅぅぅぅ」
そして生まれたばかりの仔をそうするように、形は人間のそれだが異常に長く赤い舌で愛理の顔を舐めまわした。
白濁液を直に飲まされたときから、愛理は絶頂の頂に留まっていた。ひたすら留まり続けている。快楽の突風が吹きすさぶ山の頂に磔にされて悶え叫んでいるのだ。
恵美子が唇を離した。
「あぷぅあっ、あぁあいい、もっと、やだもっとんぁあああ」
狂喜を張り付かせたままの表情で、愛理は要求した。恵美子は微笑んでまた応え、胸が張り裂けんばかりの愛理の嬌声がくぐもる。
左の手首と肘と腋の下とを支えている触手の縛めが、明らかに弱められた。支えられてはいるが自由になった愛理の手は、初め肉卵の表面で快楽に打ち震えて開いたり閉じたりしていたが、やがてすぐ何かを求めるように肉卵にしがみついた。口づけを続ける恵美子の目が微かに細くなる。そのままずぶずぶと何の抵抗もなく、愛理の手は触手の中に埋もれた。
「きゃふっ………!」
肘まで腕が飲み込まれる。途端、愛理の中の感覚では肘から先が快楽に融けた。融けてなくなってしまうのではない、融けたままなのだ。存在は確かにあるがしかし、どろどろの快楽、溶岩ではなく「溶悦」の状態だ。そしてこれまでとは一線を画した感覚が愛理に流れ込む。
「んん。いいわよ、愛理ちゃん」
恵美子が初めて、恍惚とした表情を見せた。
「やっ、くはあ、なに、ぅっこれ、なにすごいっうそいいあああ」
腕そのものが腕と愛理に快楽を与えている感覚。愛理は一瞬でこの感覚を理解し、本能的に求めた。肉体の反射と愛理自身の精神が、瞬時に快楽を青天井に増幅していく。求めれば求めるほど、愛理の左肘は彼我の境界を失い、解放されていった。
「こっちも、ほら」
右の手の縛めも解かれる。その手は知らず肉卵を求め、そして沈んでいく。
「うふあああああああああ!」
倍加ではなく、乗算だった。瞳は驚愕に開かれ、しかし口元にはいっそう喜悦を浮かべながら、愛理は快楽を求めた。
「んん~……愛理ちゃん、素敵よ、すごい、気持いいのね、気持いいでしょう」
恵美子が愉悦を満面に湛えて喘ぐ。
「だからもっとほら、おいで」
少女のように無邪気な微笑みを見せて、恵美子は誘った。
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