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繭3
深夜。
暗い路地から見える氷上家の窓には、厚手のカーテンを通して薄ぼんやりと影が浮かんでいる。それが人なのか家具なのか見ては取れない。わずかに開いた窓から夜風が入り込み、カーテンを揺らす。それに連れて、影もゆらりゆらりと形を変えた。
部屋の中は無情なほど明るかった。何の変哲もない蛍光灯が、室内の異常を余すところなく照らしていた。たわんだベッドの上に鎮座した巨大な肉卵は、部屋じゅうに触手を伸ばしている。あちこちに白濁液が染みをつくり、鈍く光っている。床を這って壁に沿い、中ほどまで上った触手の先がひくひくと震え、白濁液の飛沫を飛ばした。
そしてその異常に飲み込まれつつある神田愛理が、ひとり。
愛理の腰骨の辺りにとりわけ幅広の触手が巻き付いて、身体を宙に支えていた。四肢にはそれよりは小ぶりな触手が数本ずつ。それらがたゆたうように作業し、愛理の身体から着衣を脱がしにかかった。惚けた表情の愛理からゆっくりと脱がされて行く様は、母親に着替えさせられる乳児を思わせた。
「……脱がすのぉ? 脱がされるのぉ……」
愛理は小声で間延びした言葉を発する。
ニットのカーディガンが床に落ち、続いて数本の触手が一斉にかかってキャミソールと薄青のブラを脱がせた。Eカップは優にある豊かな丸みの乳房が露になって揺れた。そして色白の肌を、改めて触手たちは蹂躙していく。愛理の下には脱がされた着衣が折り重なった。触手に覆われた柔肌から、砂地に落とした水滴のように快楽が染み込んでいく。
「んはぅ、んはぁっ」
愛理は鼻にかかった鳴き声をあげた。触手が愛理の肌の上を滑りまとわりついて吸い、離れる。背中に、二の腕に、胸に、脇腹に、臍に、触手の突起が甘く温かに湿った快感の連打を続けざまに刻んで行く。そのたびに、ぴちゃ、きゅぅ、ずちゅっ、と汁気に溢れた音を立ててた。
「いっ、いいっ、ひあうっ」
それ以前に、秘所で蠢き続ける触手はひっきりなしに愛理に快楽を送り続けていた。そのあまりの深さに愛理は、まるで快楽そのものが波打つ水面へと腰まで浸かったかのような錯覚に陥った。
「うああ、うああぅ、深いの、気持いいのが、深いのぉ」
甘えた声を喉の奥から細く漏らしながら、さざめく愉悦の泉に浸り、愛理の足はゆらゆらと宙をたゆたう。内から外へ、外から内へ、皮膚や筋肉や骨格などそこには存在しないかのように、ただ水のように濃密な快楽が愛理の中に波紋を伴いながら広がり続けた。
ぱさ、と下にはいていたスエットとパンティが絨毯の上に落ちた。全裸となった愛理を襲う触手の数が増す。大小含め2、30からの様々の触手に、ほぼ余すところなく愛理の身体は埋め尽くされていた。
やがて愛理の豊満な二つの乳房の頂に、無数の繊毛が先端で蠢く触手がそっと触れた。
「ひっ……く」
触れられた瞬間、鋭く冷たい快感が愛理の乳首から背中までを深々と貫いた。そして両の乳房を串刺しにした冷感は、ふんわりとした熱に変わっていく。
「くぅっあ……なに、なにこれぇっ」
果てしなく甘やかな痺れが、乳房に充満し渦巻き肩へ腹へ腕へ腰へと溢れていく。
「んあ、んあああっ、いい、気持いい、むね、気持いいい」
分泌液にぬめる繊毛のひとつひとつが柔らかで弾力のある乳首を小刻みに舐め包んでいく。と、二本の触手の先端がにちゃぁ、と微かに音を立てて割れた。裂け目には幾重かの黒々とした襞、その内側には丸みを帯びた突起、そして奥から柔軟性のある管状の肉筒がぬっと突き出される。それ単体で何か海中生物の摂取口を思わせた。開いた口が薄桃の両乳首を同時に覆う。いったんは途切れた刺激が、口に含まれた途端に猛り狂って再び押し寄せた。
「んっっふはぁ、ふわぁぁぁぅ」
吸いつく襞の中では、小さな管に乳首が吸引されている。管の中のさらに小さな突起ひとつひとつが乳首を捻り擦り上げてはまた奥へと咥え直す。
「いい、胸、吸われて、ぇいいいいっ」
現実には乳首だけが飲み込まれているが、愛理の感覚は乳房まるごと法外な快楽に飲み込まれているようにしか思えない。下半身からさざめく波紋と乳房から沸き起こる津波が愛理の中でぶつかり合い、互いを膨らませながら跳ね返ってまた何度も行きつ戻りつを繰り返す。
「ふあああっ、だめ、もう、だめ、だめ、だめだめだめ、」
膨大な快感の情報が愛理の脳を急速に焦がし、占領していく。泡立つ毒にも似た肉欲の麻痺がその支配を完了したとき、愛理の感覚は放り投げられた。
「んああああああああああああっっっっ」
本能的な恐怖にも近い絶頂感が愛理を襲って意識を開放する。重たげに半眼となっていた瞼が開かれ、唇は驚きとも笑みともつかぬ形をとる。触手に巻きつかれて自由の利かない手足が小刻みに震え、背中から首にかけてびくん、びくん、と小さく痙攣を起こした。少し閉じられて半開きになった口の端から、涎が滴となって落ちた。
「うぅふ、ふぅぅふ」
深く早く呼吸をする以外はぐったりとして触手に支えられるに任せる愛理の身体に向かって、幾重にも折り重なった襞を持つ太い触手が肉卵の中央から伸びていった。
「や……」
霞む視界の向こうにうっすらと見えたそれに、愛理は本能的に注意を向けずにはいられなかった。
「それ……やぁ……」
焦らすような素振りも一瞬のためらいもなく、野太い触手が愛理の股の間を這い登って挿入された。
ひゅっ、と息を飲み込んで凍る愛理。
身体の中心から全身に向けて乱暴な無感覚が走った。これまでの狂おしいほどの快楽が一撃で打ち消される。鼻腔を満たし続けていた甘い匂いも、耳の奥まで分け入っていた粘着質の音も、全身の快感神経を占領していた絶妙な触感も、自らの心臓の鼓動ですら感じられぬ「0」の瞬間。
続いた反射的な吐息とともに、どっと快楽の奔流が愛理を押し流した。
「うわぁぁぁあああぁぁぁぁぅああああぁんんん!」
ヴァギナから全身に向けて疾るのはひたすら愛理の意識を押し流す「快」。触手が奥まで達したところで快楽の流れは岩に当たって砕けた波のように一瞬強まり、いったん静まる。そしてゆっくりと引かれる。引きずられてゆく。
「くっふぁぁぁぁ、ひ、はぁああああぅ!」
先ほどとは質が違う、しかしさらに強烈な快美の逆流が愛理を容赦なく襲った。続いてまた波が押し寄せる。引いていく。押し寄せる。
「うあ! うあはぁ! くあ! んあああぁ!」
繰り返し繰り返し、至悦の轟音が愛理を駆け抜け打ち震わせてやまない。
「いぎ、いいひ、いい、いいの、いいのぉぉぉ!」
ようやく、言語中枢に「快楽」の情報が伝わった。
「いいっ、いいっ、いいいいっく」
切れ切れの言葉の合間に息をつきながら、愛理は鳴いた。ざわめく他の触手たちが送る刺激も意識に上るようになる。首筋を埋め尽くし、耳朶をすくいあげ、鎖骨を這って乳房を包む。乳首を咥えて臍にもぐり込もうとし、背中を伝って尻をなぞる。二の腕にも太腿にも吸いついて手足の指をしゃぶって離さない。
そして秘裂の中を律動する触手の襞が、愛理の中のそれと絡み合い、名残と呼ぶには甚だ言い足りぬ余韻を残してまた激しく睦み合う。
「すごい、すごぉぉい、きもちいいっ、いいっ、よすぎるのっっう」
快楽が、身体の外側から染み込み、内側から迸り溢れる。内も外もなく愛理はその感覚へ溶け込んでいく。
愛理は目を閉じた。何も見えなくなり、自分が声をあげていることも自覚しなくなった。ただ、激流に身を任せて溺れた。溺れることを望んでいった。全身全霊が今与えられている快楽を享受することを求めた。
真っ暗な視界の中に、輝く鮮やかな色が見える。甲高いしかし不快ではない音が聞こえる。強い存在感の匂いがする。
あ。や。何これ。来る。来ちゃう。
愛理が意識の深淵でちらりとつぶやいたとき、真っ黒ななにかが急速に近づいてきた。
死を予感させるほど巨大な恐怖の仮面をかぶった感覚が愛理の中で音もなく弾けた。
「いやいやいやいやいいいいいいああああああああああ!!」
その瞬間、感覚から漆黒の仮面が剥げ落ちる。その奥には眩しく真っ白な快楽。
「あ………ぁは………あ………っかはぁ」
小刻みな旋律を伴った膨大な悦楽の奔流がざぁっと愛理を押し流し、まだやまない。続いていく。かっと見開かれた目は何も見ていない。限界まで開かれた顎が微かにひくついている。触手に拘束されながらもぐんと伸ばされた四肢から全身にかけて小刻みに震え、足の指先は奇妙な角度に曲がったまま。呼吸すら今このときはしていない。
流れに翻弄され続け、どこまでも流れて行く錯覚に陥る。そしてすっと潮が引いていくかのようにやんわりと澱み、愛理の中にゆるやかな波紋を残した。
「気持ち……いいでしょ」
囁きが聞こえた。外界からの刺激を遮断し、内に沸き起こる感覚のみに貪欲となっていた愛理の意識。その蕾のように閉じこもっていた愛理を、囁きが優しく解きほぐす。
「こんなに素敵なの……初めてでしょ?」
濁っていた愛理の瞳孔が生の光をわずかに取り戻す。急速に視覚が蘇った。
「あ……ぅは………」
定まらぬ焦点がようやく一つになったとき、愛理の目の前に見覚えのある「顔」があった。
「え……お…かぁさ、ん……? みお、さんの……」
かすれた声が喉の奥から絞り出されるのにつられて、霧散していた理性が徐々に働きだした。確かに、目の前にある「顔」は未央の母だ。年の頃は四十前かそこらだったはずだが、今はもっと若く見える。
「嬉しいわ。来てくれて。愛理ちゃん」
にっこりと、慈しむように優しい笑みを浮かべる。微笑んだだけで垂れ気味の目がなくなるところも、かつて愛理の記憶にあるものと同じだ。
「今未央もすごぉく気持いいところ。美樹も喜んでる。こんなに、ほらすごい」
とろんと、淫らとしか言いようのない融けた目つきで愛理を見つめる。
「愛理ちゃんもわかるようになるの。みぃんなとけるの。だから、ね……?」
言いながら、鮮やかすぎるほど赤い舌がちろと顔を出し、彼女の唇の間を滑って湿らせた。
暗い路地から見える氷上家の窓には、厚手のカーテンを通して薄ぼんやりと影が浮かんでいる。それが人なのか家具なのか見ては取れない。わずかに開いた窓から夜風が入り込み、カーテンを揺らす。それに連れて、影もゆらりゆらりと形を変えた。
部屋の中は無情なほど明るかった。何の変哲もない蛍光灯が、室内の異常を余すところなく照らしていた。たわんだベッドの上に鎮座した巨大な肉卵は、部屋じゅうに触手を伸ばしている。あちこちに白濁液が染みをつくり、鈍く光っている。床を這って壁に沿い、中ほどまで上った触手の先がひくひくと震え、白濁液の飛沫を飛ばした。
そしてその異常に飲み込まれつつある神田愛理が、ひとり。
愛理の腰骨の辺りにとりわけ幅広の触手が巻き付いて、身体を宙に支えていた。四肢にはそれよりは小ぶりな触手が数本ずつ。それらがたゆたうように作業し、愛理の身体から着衣を脱がしにかかった。惚けた表情の愛理からゆっくりと脱がされて行く様は、母親に着替えさせられる乳児を思わせた。
「……脱がすのぉ? 脱がされるのぉ……」
愛理は小声で間延びした言葉を発する。
ニットのカーディガンが床に落ち、続いて数本の触手が一斉にかかってキャミソールと薄青のブラを脱がせた。Eカップは優にある豊かな丸みの乳房が露になって揺れた。そして色白の肌を、改めて触手たちは蹂躙していく。愛理の下には脱がされた着衣が折り重なった。触手に覆われた柔肌から、砂地に落とした水滴のように快楽が染み込んでいく。
「んはぅ、んはぁっ」
愛理は鼻にかかった鳴き声をあげた。触手が愛理の肌の上を滑りまとわりついて吸い、離れる。背中に、二の腕に、胸に、脇腹に、臍に、触手の突起が甘く温かに湿った快感の連打を続けざまに刻んで行く。そのたびに、ぴちゃ、きゅぅ、ずちゅっ、と汁気に溢れた音を立ててた。
「いっ、いいっ、ひあうっ」
それ以前に、秘所で蠢き続ける触手はひっきりなしに愛理に快楽を送り続けていた。そのあまりの深さに愛理は、まるで快楽そのものが波打つ水面へと腰まで浸かったかのような錯覚に陥った。
「うああ、うああぅ、深いの、気持いいのが、深いのぉ」
甘えた声を喉の奥から細く漏らしながら、さざめく愉悦の泉に浸り、愛理の足はゆらゆらと宙をたゆたう。内から外へ、外から内へ、皮膚や筋肉や骨格などそこには存在しないかのように、ただ水のように濃密な快楽が愛理の中に波紋を伴いながら広がり続けた。
ぱさ、と下にはいていたスエットとパンティが絨毯の上に落ちた。全裸となった愛理を襲う触手の数が増す。大小含め2、30からの様々の触手に、ほぼ余すところなく愛理の身体は埋め尽くされていた。
やがて愛理の豊満な二つの乳房の頂に、無数の繊毛が先端で蠢く触手がそっと触れた。
「ひっ……く」
触れられた瞬間、鋭く冷たい快感が愛理の乳首から背中までを深々と貫いた。そして両の乳房を串刺しにした冷感は、ふんわりとした熱に変わっていく。
「くぅっあ……なに、なにこれぇっ」
果てしなく甘やかな痺れが、乳房に充満し渦巻き肩へ腹へ腕へ腰へと溢れていく。
「んあ、んあああっ、いい、気持いい、むね、気持いいい」
分泌液にぬめる繊毛のひとつひとつが柔らかで弾力のある乳首を小刻みに舐め包んでいく。と、二本の触手の先端がにちゃぁ、と微かに音を立てて割れた。裂け目には幾重かの黒々とした襞、その内側には丸みを帯びた突起、そして奥から柔軟性のある管状の肉筒がぬっと突き出される。それ単体で何か海中生物の摂取口を思わせた。開いた口が薄桃の両乳首を同時に覆う。いったんは途切れた刺激が、口に含まれた途端に猛り狂って再び押し寄せた。
「んっっふはぁ、ふわぁぁぁぅ」
吸いつく襞の中では、小さな管に乳首が吸引されている。管の中のさらに小さな突起ひとつひとつが乳首を捻り擦り上げてはまた奥へと咥え直す。
「いい、胸、吸われて、ぇいいいいっ」
現実には乳首だけが飲み込まれているが、愛理の感覚は乳房まるごと法外な快楽に飲み込まれているようにしか思えない。下半身からさざめく波紋と乳房から沸き起こる津波が愛理の中でぶつかり合い、互いを膨らませながら跳ね返ってまた何度も行きつ戻りつを繰り返す。
「ふあああっ、だめ、もう、だめ、だめ、だめだめだめ、」
膨大な快感の情報が愛理の脳を急速に焦がし、占領していく。泡立つ毒にも似た肉欲の麻痺がその支配を完了したとき、愛理の感覚は放り投げられた。
「んああああああああああああっっっっ」
本能的な恐怖にも近い絶頂感が愛理を襲って意識を開放する。重たげに半眼となっていた瞼が開かれ、唇は驚きとも笑みともつかぬ形をとる。触手に巻きつかれて自由の利かない手足が小刻みに震え、背中から首にかけてびくん、びくん、と小さく痙攣を起こした。少し閉じられて半開きになった口の端から、涎が滴となって落ちた。
「うぅふ、ふぅぅふ」
深く早く呼吸をする以外はぐったりとして触手に支えられるに任せる愛理の身体に向かって、幾重にも折り重なった襞を持つ太い触手が肉卵の中央から伸びていった。
「や……」
霞む視界の向こうにうっすらと見えたそれに、愛理は本能的に注意を向けずにはいられなかった。
「それ……やぁ……」
焦らすような素振りも一瞬のためらいもなく、野太い触手が愛理の股の間を這い登って挿入された。
ひゅっ、と息を飲み込んで凍る愛理。
身体の中心から全身に向けて乱暴な無感覚が走った。これまでの狂おしいほどの快楽が一撃で打ち消される。鼻腔を満たし続けていた甘い匂いも、耳の奥まで分け入っていた粘着質の音も、全身の快感神経を占領していた絶妙な触感も、自らの心臓の鼓動ですら感じられぬ「0」の瞬間。
続いた反射的な吐息とともに、どっと快楽の奔流が愛理を押し流した。
「うわぁぁぁあああぁぁぁぁぅああああぁんんん!」
ヴァギナから全身に向けて疾るのはひたすら愛理の意識を押し流す「快」。触手が奥まで達したところで快楽の流れは岩に当たって砕けた波のように一瞬強まり、いったん静まる。そしてゆっくりと引かれる。引きずられてゆく。
「くっふぁぁぁぁ、ひ、はぁああああぅ!」
先ほどとは質が違う、しかしさらに強烈な快美の逆流が愛理を容赦なく襲った。続いてまた波が押し寄せる。引いていく。押し寄せる。
「うあ! うあはぁ! くあ! んあああぁ!」
繰り返し繰り返し、至悦の轟音が愛理を駆け抜け打ち震わせてやまない。
「いぎ、いいひ、いい、いいの、いいのぉぉぉ!」
ようやく、言語中枢に「快楽」の情報が伝わった。
「いいっ、いいっ、いいいいっく」
切れ切れの言葉の合間に息をつきながら、愛理は鳴いた。ざわめく他の触手たちが送る刺激も意識に上るようになる。首筋を埋め尽くし、耳朶をすくいあげ、鎖骨を這って乳房を包む。乳首を咥えて臍にもぐり込もうとし、背中を伝って尻をなぞる。二の腕にも太腿にも吸いついて手足の指をしゃぶって離さない。
そして秘裂の中を律動する触手の襞が、愛理の中のそれと絡み合い、名残と呼ぶには甚だ言い足りぬ余韻を残してまた激しく睦み合う。
「すごい、すごぉぉい、きもちいいっ、いいっ、よすぎるのっっう」
快楽が、身体の外側から染み込み、内側から迸り溢れる。内も外もなく愛理はその感覚へ溶け込んでいく。
愛理は目を閉じた。何も見えなくなり、自分が声をあげていることも自覚しなくなった。ただ、激流に身を任せて溺れた。溺れることを望んでいった。全身全霊が今与えられている快楽を享受することを求めた。
真っ暗な視界の中に、輝く鮮やかな色が見える。甲高いしかし不快ではない音が聞こえる。強い存在感の匂いがする。
あ。や。何これ。来る。来ちゃう。
愛理が意識の深淵でちらりとつぶやいたとき、真っ黒ななにかが急速に近づいてきた。
死を予感させるほど巨大な恐怖の仮面をかぶった感覚が愛理の中で音もなく弾けた。
「いやいやいやいやいいいいいいああああああああああ!!」
その瞬間、感覚から漆黒の仮面が剥げ落ちる。その奥には眩しく真っ白な快楽。
「あ………ぁは………あ………っかはぁ」
小刻みな旋律を伴った膨大な悦楽の奔流がざぁっと愛理を押し流し、まだやまない。続いていく。かっと見開かれた目は何も見ていない。限界まで開かれた顎が微かにひくついている。触手に拘束されながらもぐんと伸ばされた四肢から全身にかけて小刻みに震え、足の指先は奇妙な角度に曲がったまま。呼吸すら今このときはしていない。
流れに翻弄され続け、どこまでも流れて行く錯覚に陥る。そしてすっと潮が引いていくかのようにやんわりと澱み、愛理の中にゆるやかな波紋を残した。
「気持ち……いいでしょ」
囁きが聞こえた。外界からの刺激を遮断し、内に沸き起こる感覚のみに貪欲となっていた愛理の意識。その蕾のように閉じこもっていた愛理を、囁きが優しく解きほぐす。
「こんなに素敵なの……初めてでしょ?」
濁っていた愛理の瞳孔が生の光をわずかに取り戻す。急速に視覚が蘇った。
「あ……ぅは………」
定まらぬ焦点がようやく一つになったとき、愛理の目の前に見覚えのある「顔」があった。
「え……お…かぁさ、ん……? みお、さんの……」
かすれた声が喉の奥から絞り出されるのにつられて、霧散していた理性が徐々に働きだした。確かに、目の前にある「顔」は未央の母だ。年の頃は四十前かそこらだったはずだが、今はもっと若く見える。
「嬉しいわ。来てくれて。愛理ちゃん」
にっこりと、慈しむように優しい笑みを浮かべる。微笑んだだけで垂れ気味の目がなくなるところも、かつて愛理の記憶にあるものと同じだ。
「今未央もすごぉく気持いいところ。美樹も喜んでる。こんなに、ほらすごい」
とろんと、淫らとしか言いようのない融けた目つきで愛理を見つめる。
「愛理ちゃんもわかるようになるの。みぃんなとけるの。だから、ね……?」
言いながら、鮮やかすぎるほど赤い舌がちろと顔を出し、彼女の唇の間を滑って湿らせた。
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