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繭2
愛理の中に残されたかすかな理性が抵抗を命じた。
じりじりとサンダル履きの踵を後ろへ滑らせながら、よろめいて今にもしゃがみ込んでしまいそうな体を支えるべく壁に手をつく。
ぱちん。
突如愛理の視界が真っ白になり、反射的に閉じられた瞼の上に鈍い痛みがのしかかる。 さあっと血の気が引いた。考えずともわかる。照明をつけてしまったのだ、あろうことか。
目を開けるのが恐かった。今この瞼を開いたとき、見えるものを想像している自分自身にすらたまらない嫌悪感を覚えた。その思いも現実逃避かも知れない。闇の中ですらそれほどの非現実を見てしまったのだ。目を開けたくない――。
そっ、と複雑な触感が足の甲に起きた。
「やっ」
閉じたときと同じように、反射的に愛理は固く閉じた瞼を見開いてしまった。
烏賊の甲腕に似た幅広の触手が、素足の上を這ったのだ。その感触は暖かく湿って柔らかな人間の舌10枚にいっぺんに舐められるのに近いかも知れない。
その後は声にはならない。意思を働かせるまでもなく、奇妙な触手から本能的に足が離れようとする。サンダルが片方脱げた。そのまま後ろに送った足に体重をかけた途端、愛理はがくりと膝から崩れた。
「んあっ」
後ろへ尻餅をつく格好で座り込んだ愛理の素足を、幅広の触手がらせん状に這いずってゆっくりと絡めとっていく。ゆったりとしたスエットの裾に潜り込み、それが1センチ進む毎に、複雑な感触を白い肌に刻んだ。
「ふああっ」
気持ちいい。幾重にも折り重ねられた重厚な触感に脳が出した答えはそれだった。そして鼻腔から侵入して体内を満たしつづける甘さと呼応し、愛理の理性は性欲の閂を押さえる力を弱めてしまった。
いい。気持ちいい。
板張りの廊下についた手が部屋に対してか弱いつっかい棒となっていたが、あえなく肘の力が抜ける。途端、ぐっ、と触手に力がこもり、愛理は戸口から部屋へと引きずり入れられた。愛理は抵抗しない。
照明が煌煌とついた部屋の中は、今や非現実の極みを愛理に見せた。
部屋の奥、窓際にあるベッドの上に、こんもりとした有機物の塊がある。直径2メートルはあろうかという、巨大な卵とでも言うべきものだ。その大きさと質量で金属製のパイプベッドがたわんでいた。卵の表面は柔らかな無数の突起や丸みを帯びた裂け目で覆われており、それらが呼吸をするかのように蠕動している。肉卵もそこから伸びた無数の触手も、わずかな粘性と白濁色を持った分泌物で濡れ、特に裂け目からそれは豊富に滴って糸を引いていた。匂いの正体はこれだと愛理は感じた。妖しい花弁から漏れる蜜の匂いだったのだ。
既に犠牲者となっている美樹はその塊に四肢が埋もれ同化しているように見えた。そして塊から伸びた数えきれないほどの触手に巻き包まれ、弄ばれていた。その触手ひとつひとつがそれぞれの意思を感じさせる多様な動きを見せていた。美樹の肉体に巻きつき執拗に蠕動を続けるものはもちろん、その快楽の律動に合わせるかのように宙撫でるもの、地面を這って行きつ戻りつするもの。
ずずっ、ずずっ、と引きずられながら、愛理はその光景をぼんやりと見つめていた。愛理を引きずる触手に数本の加勢が加わる。それらが足に触れた時、ひん、と愛理は小さく鳴いた。
触手は実に様々の形をもっていた。美樹の耳元にまとわりつく細い触手は、全体に小さな漏斗のような肉片をぶらさげていた。その一つひとつの肉漏斗が、耳腔や首筋に吸い付いてはぬらぬらとした粘液を塗りたくる。
美樹の体の大部分を絡めとっている幅広の触手は、愛理の下半身を捕らえているそれと同じものだ。外側とも言うべき側は弾力と艶を持ち、烏賊の甲腕に似ている。一方内側は人間の小指ほどの大きさの、瑞々しく透き通った青灰色の小袋がびっしりと並んでいた。小袋はまるで水中にでもいるかのようになびき、揺らめいている。その滑やかな無数の「舌」が、美樹のほの白い肌を舐め、分泌液を塗りたくりながら、全身を包み上げて蠢きつづけているのだ。触手もそれに包まれる美樹の体も、白濁した液体でずぶ濡れとなって蛍光灯の光をてらてらと返していた。
最も個性を発揮して目立つのが、とりわけ太い、蛸の吸盤のような斑状突起を持った触手だ。それが美樹の開かれた太ももの間でゆっくりとした不規則な前後運動を繰り返しているのが見える。美樹の後ろの穴も、幾重もの柔らかな肉襞を持った若干小ぶりな触手
で埋められている。これは太い蛸に似た触手の半分ほどのリズムで、ゆっくりと差し込まれては勢い良く引かれていた。これらの触手の動きに合わせて、美樹は低くくぐもったうめき声を上げ続けていた。
ひゅるっ、と幅広の触手が2本、愛理に向かって伸ばされた。床に横たわって惚けている愛理の両腕を巻きとると、ぐいっと上体を持ち上げる。下半身を蹂躙していた触手もぐっと太さを増し、力強く愛理の全身を宙に浮かせて悠々と支持した。意外な俊敏さで、愛理は肉卵のそばに引き寄せられた。
「ふぅっ」
下半身に巻きついていたうちの幅広の触手が1本、するりと臍の辺りから服の中へ潜り込んだ。そのまま下着の中へ分け入り、いきなり秘所に触れる。ひと撫でで、熱く湿っていた愛理の秘所から愉悦が広がった。
「うふああああは」
愛理は目を閉じ、吐息と共にうなだれてかすかに見開いた。天井近くの位置から、そこには狂気的な光景が見えた。美樹の体の前面が触れている肉卵の表面は、繊毛のように小さな触手がびっしりと生えていた。その先端は微細な花弁のようになっており、それぞれ美樹の体に吸い付いたり離れたりを繰り返している。
その繊毛の海の中に、人の顔らしきものが埋もれていた。未央だ。額の広い、鼻筋の通ったどちらかと言えば美人顔の面立ちは、間違いなく一級先輩だった未央のものだ。その未央の唇と、ぎゅっと瞼を閉じた美樹の唇は重なり合い、濃厚なキスをやむことなく続けている。
不意に二人の唇が離れた。
「んあ、んあああああっ、うううっ、くう、ううううっ」
途端に美樹の気違いじみた嬌声が上がる。
そっと美樹の耳元が未央の口元に近づけられ、そこで何事かを囁かれた。うめき声をかすかに弱めながら、美樹は確かに一つゆっくりと、うなずいた。
ふ、と美樹は宙吊りになっている愛理に気づいて見上げた。二人の視線が合う。とろんと半眼で口元から分泌液とも涎ともつかぬ液体を滴らせながら、美樹は悦楽に満ちた笑みを愛理に見せた。
かすかに唇を動かして、美樹は愛理に何かをつぶやいた。声は届かず、唇の動きだけが見て取れた。いおういあおう。母音の形だけならそう見えたが、濁った愛理の意識でわかるはずもない。
肉卵がふるふると震える。と、美樹の体に触れていた部分がばっくりと大きく割れた。糸を引いて開かれた内部は、小さな触手と、深い襞と、手のひらほどもある花弁のような様々の柔らかで鮮やかな突起で埋め尽くされている。そこに美樹は飲み込まれてゆく。肉卵の中の突起群が美樹を歓迎するように一斉に波打った。かくん、と美樹の首が後ろに折れ、天を仰ぐ。屈託のない、満足げな彼女の微笑みを愛理の網膜に残して、卵は速やかに閉じられた。その時、表面の小さな割れ目からぴゅっ、ぴゅっ、と白濁した液が溢れた。
そして滑らかにゆっくりと、愛理は肉卵の前まで下ろされていく。美樹を弄んでいたときに細かな触手の海となっていた肉卵の表面は、今は他の部分と同じ形状になっている。そこにあったはずの未央の顔もない。
美樹を内部に収め、手空きとなった幅広の触手が次々と鎌首をもたげた。ぼんやりと霞がかった意識の中、愛理はいくつかの思いを浮き沈みさせた。
あそこが気持いい
未央さんどうなっちゃったんだろう
恐い
美樹ちゃんすごく気持良さそうだった
これ気持悪い形
あたしどうなっちゃうんだろ
いい匂い
わけわかんない
ぷしゅ、と再び表面に液を分泌させて、肉卵が蠢いた。
じりじりとサンダル履きの踵を後ろへ滑らせながら、よろめいて今にもしゃがみ込んでしまいそうな体を支えるべく壁に手をつく。
ぱちん。
突如愛理の視界が真っ白になり、反射的に閉じられた瞼の上に鈍い痛みがのしかかる。 さあっと血の気が引いた。考えずともわかる。照明をつけてしまったのだ、あろうことか。
目を開けるのが恐かった。今この瞼を開いたとき、見えるものを想像している自分自身にすらたまらない嫌悪感を覚えた。その思いも現実逃避かも知れない。闇の中ですらそれほどの非現実を見てしまったのだ。目を開けたくない――。
そっ、と複雑な触感が足の甲に起きた。
「やっ」
閉じたときと同じように、反射的に愛理は固く閉じた瞼を見開いてしまった。
烏賊の甲腕に似た幅広の触手が、素足の上を這ったのだ。その感触は暖かく湿って柔らかな人間の舌10枚にいっぺんに舐められるのに近いかも知れない。
その後は声にはならない。意思を働かせるまでもなく、奇妙な触手から本能的に足が離れようとする。サンダルが片方脱げた。そのまま後ろに送った足に体重をかけた途端、愛理はがくりと膝から崩れた。
「んあっ」
後ろへ尻餅をつく格好で座り込んだ愛理の素足を、幅広の触手がらせん状に這いずってゆっくりと絡めとっていく。ゆったりとしたスエットの裾に潜り込み、それが1センチ進む毎に、複雑な感触を白い肌に刻んだ。
「ふああっ」
気持ちいい。幾重にも折り重ねられた重厚な触感に脳が出した答えはそれだった。そして鼻腔から侵入して体内を満たしつづける甘さと呼応し、愛理の理性は性欲の閂を押さえる力を弱めてしまった。
いい。気持ちいい。
板張りの廊下についた手が部屋に対してか弱いつっかい棒となっていたが、あえなく肘の力が抜ける。途端、ぐっ、と触手に力がこもり、愛理は戸口から部屋へと引きずり入れられた。愛理は抵抗しない。
照明が煌煌とついた部屋の中は、今や非現実の極みを愛理に見せた。
部屋の奥、窓際にあるベッドの上に、こんもりとした有機物の塊がある。直径2メートルはあろうかという、巨大な卵とでも言うべきものだ。その大きさと質量で金属製のパイプベッドがたわんでいた。卵の表面は柔らかな無数の突起や丸みを帯びた裂け目で覆われており、それらが呼吸をするかのように蠕動している。肉卵もそこから伸びた無数の触手も、わずかな粘性と白濁色を持った分泌物で濡れ、特に裂け目からそれは豊富に滴って糸を引いていた。匂いの正体はこれだと愛理は感じた。妖しい花弁から漏れる蜜の匂いだったのだ。
既に犠牲者となっている美樹はその塊に四肢が埋もれ同化しているように見えた。そして塊から伸びた数えきれないほどの触手に巻き包まれ、弄ばれていた。その触手ひとつひとつがそれぞれの意思を感じさせる多様な動きを見せていた。美樹の肉体に巻きつき執拗に蠕動を続けるものはもちろん、その快楽の律動に合わせるかのように宙撫でるもの、地面を這って行きつ戻りつするもの。
ずずっ、ずずっ、と引きずられながら、愛理はその光景をぼんやりと見つめていた。愛理を引きずる触手に数本の加勢が加わる。それらが足に触れた時、ひん、と愛理は小さく鳴いた。
触手は実に様々の形をもっていた。美樹の耳元にまとわりつく細い触手は、全体に小さな漏斗のような肉片をぶらさげていた。その一つひとつの肉漏斗が、耳腔や首筋に吸い付いてはぬらぬらとした粘液を塗りたくる。
美樹の体の大部分を絡めとっている幅広の触手は、愛理の下半身を捕らえているそれと同じものだ。外側とも言うべき側は弾力と艶を持ち、烏賊の甲腕に似ている。一方内側は人間の小指ほどの大きさの、瑞々しく透き通った青灰色の小袋がびっしりと並んでいた。小袋はまるで水中にでもいるかのようになびき、揺らめいている。その滑やかな無数の「舌」が、美樹のほの白い肌を舐め、分泌液を塗りたくりながら、全身を包み上げて蠢きつづけているのだ。触手もそれに包まれる美樹の体も、白濁した液体でずぶ濡れとなって蛍光灯の光をてらてらと返していた。
最も個性を発揮して目立つのが、とりわけ太い、蛸の吸盤のような斑状突起を持った触手だ。それが美樹の開かれた太ももの間でゆっくりとした不規則な前後運動を繰り返しているのが見える。美樹の後ろの穴も、幾重もの柔らかな肉襞を持った若干小ぶりな触手
で埋められている。これは太い蛸に似た触手の半分ほどのリズムで、ゆっくりと差し込まれては勢い良く引かれていた。これらの触手の動きに合わせて、美樹は低くくぐもったうめき声を上げ続けていた。
ひゅるっ、と幅広の触手が2本、愛理に向かって伸ばされた。床に横たわって惚けている愛理の両腕を巻きとると、ぐいっと上体を持ち上げる。下半身を蹂躙していた触手もぐっと太さを増し、力強く愛理の全身を宙に浮かせて悠々と支持した。意外な俊敏さで、愛理は肉卵のそばに引き寄せられた。
「ふぅっ」
下半身に巻きついていたうちの幅広の触手が1本、するりと臍の辺りから服の中へ潜り込んだ。そのまま下着の中へ分け入り、いきなり秘所に触れる。ひと撫でで、熱く湿っていた愛理の秘所から愉悦が広がった。
「うふああああは」
愛理は目を閉じ、吐息と共にうなだれてかすかに見開いた。天井近くの位置から、そこには狂気的な光景が見えた。美樹の体の前面が触れている肉卵の表面は、繊毛のように小さな触手がびっしりと生えていた。その先端は微細な花弁のようになっており、それぞれ美樹の体に吸い付いたり離れたりを繰り返している。
その繊毛の海の中に、人の顔らしきものが埋もれていた。未央だ。額の広い、鼻筋の通ったどちらかと言えば美人顔の面立ちは、間違いなく一級先輩だった未央のものだ。その未央の唇と、ぎゅっと瞼を閉じた美樹の唇は重なり合い、濃厚なキスをやむことなく続けている。
不意に二人の唇が離れた。
「んあ、んあああああっ、うううっ、くう、ううううっ」
途端に美樹の気違いじみた嬌声が上がる。
そっと美樹の耳元が未央の口元に近づけられ、そこで何事かを囁かれた。うめき声をかすかに弱めながら、美樹は確かに一つゆっくりと、うなずいた。
ふ、と美樹は宙吊りになっている愛理に気づいて見上げた。二人の視線が合う。とろんと半眼で口元から分泌液とも涎ともつかぬ液体を滴らせながら、美樹は悦楽に満ちた笑みを愛理に見せた。
かすかに唇を動かして、美樹は愛理に何かをつぶやいた。声は届かず、唇の動きだけが見て取れた。いおういあおう。母音の形だけならそう見えたが、濁った愛理の意識でわかるはずもない。
肉卵がふるふると震える。と、美樹の体に触れていた部分がばっくりと大きく割れた。糸を引いて開かれた内部は、小さな触手と、深い襞と、手のひらほどもある花弁のような様々の柔らかで鮮やかな突起で埋め尽くされている。そこに美樹は飲み込まれてゆく。肉卵の中の突起群が美樹を歓迎するように一斉に波打った。かくん、と美樹の首が後ろに折れ、天を仰ぐ。屈託のない、満足げな彼女の微笑みを愛理の網膜に残して、卵は速やかに閉じられた。その時、表面の小さな割れ目からぴゅっ、ぴゅっ、と白濁した液が溢れた。
そして滑らかにゆっくりと、愛理は肉卵の前まで下ろされていく。美樹を弄んでいたときに細かな触手の海となっていた肉卵の表面は、今は他の部分と同じ形状になっている。そこにあったはずの未央の顔もない。
美樹を内部に収め、手空きとなった幅広の触手が次々と鎌首をもたげた。ぼんやりと霞がかった意識の中、愛理はいくつかの思いを浮き沈みさせた。
あそこが気持いい
未央さんどうなっちゃったんだろう
恐い
美樹ちゃんすごく気持良さそうだった
これ気持悪い形
あたしどうなっちゃうんだろ
いい匂い
わけわかんない
ぷしゅ、と再び表面に液を分泌させて、肉卵が蠢いた。
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