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永久の果肉14
256 乙×風 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 18:58:12 ID:/Wkm2F56
皆様お待たせしました。乙×風です。
推敲に時間を掛け過ぎたみたいで月曜には投下できませんでした。申し訳ない。
前回のお話ですがクライマックスだけあって高評価のご様子。
私も執筆した甲斐があったというものです。
誤字等のご指摘もありがとうございました。
さて、永久の果肉エピローグを投下します。
(だいぶ長い、会話シーン多め、3P、大団円)
NGワードはこんな感じですか。
筆が乗っているせいでかつてないボリュームになっています。
エッチシーンはマリオンがリオとクロトの二人掛かりで責められて大変そうですw
勿論和姦ですよ。
こんなところですか。
以下本編です。お時間を取らせて申し訳ないですが良かったらごゆっくりお楽しみ下さい。
28レス程消費します。
257 永久の果肉14 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 18:59:41 ID:/Wkm2F56
最終話 ずっと一緒
夜も更けた丑三つ時。
静まり返ったリビディスタの屋敷――その一室から光が漏れていた。
正面玄関の真上、ドルキの寝室だ。
部屋の中にはドルキ、グリーズ、リオ、マリオン。
リビディスタの家族四人と、ネーアの姿がある。
「怪我はもういいのか」
窓の外をぼんやりと眺めていたドルキにグリーズが声を掛けた。
ええ、と頷き、振り向いたドルキの顔には、確かに傷らしい傷は残っていない。
だが、傷が癒えたとしても自分が取り返しのつかない事をした、という事実は消えない。
血は繋がっていなくとも、実の母親に暴力を振るった罪は許されるものではない。
「…ごめんなさい」
思わずリオは呟いていた。
母が憎い。それは変わらない。
しかしだ。だからと言ってドルキに復讐しても何の解決にもならない事に気付いたのだ。
仮にそれを果たしたとしても、今度はマリオンが、グリーズが悲しむ事になるのだから。
憎悪は連鎖する。どこかでそれを断ち切らなければならない。
スカートの端を掴み、握り締める。
母は、リシュテアはどうしたら報われるのだろうか。
自分が復讐を果たせばいいのだろうか。
それとも――
「リオは悪くない。母様が悪い」
ぽん、と肩に手が置かれた。
振り仰げばポーカーフェイスのままのマリオンがドルキを見詰めている。
ここにいる五人が全員、事の経緯を知っているのだ。
ドルキが企てた、リシュテア暗殺を。
街を混乱に貶めた今回の事件、その責任は誰にあるかと言えば、間違いなくドルキなのだ。
それもドルキ本人は分かっているのか、魔女は娘の辛らつな言葉に何の反論もしなかった。
「信じられない。お義母様を毒殺するなんて。見損なった」
「それに関してはワシも同意だ」
便乗したグリーズの態度にショックを受けたのだろうか。
ドルキが顔を上げ、縋るような視線を彼へと向ける。
それを見ると流石のリオも哀れに思えてきた。
永年慕ってきた夫にさえ見限られるのだから、その絶望は計り知れないものだろう。
「……もういいです…」
気が付けば、そんな事を口にしていた。
意外な所から出た助け舟に、全員の視線が集中する。
今回の件で最も心に大きな傷を負ったのはリオ自身だ。
その彼女からドルキを庇うような言葉が出てくるとは皆、夢にも思わなかったのだろう。
「一歩間違えれば…私も、お義母様と同じ事をしていたんですから…」
ドルキに重症を負わせ、グリーズを殺しかけた。
ドルキが責められるなら、自分も責められてしかるべきだろう。
「だから、もう、いいです…」
「私は納得出来ない。母様にはお義母様を殺した罪をちゃんと償って欲しい」
リシュテアを一番慕っていたのはマリオンだ。
ドルキの罪を許せる筈も無かった。
「街の皆にも真実を話して。その上で魔女の称号も返還して」
リビディスタの創設者が嫉妬の余り恋敵を謀殺した。
その事実を白日の下に晒せと言っているのだ。
だが、そんな事をすれば栄華を極めたリビディスタの家系は破滅だ。
ドルキ一人の問題ではなくなってしまう。
その事にマリオンも気付いたのか、急に口を閉ざし、俯いてしまった。
「あーもーっ、まだるっこしいわねぇ…っ。
家族揃って五体満足で生還出来たのよ? もっと喜びなさいよっ」
「そんな単純な問題では無い」
258 永久の果肉14 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 19:01:54 ID:/Wkm2F56
「貴方達人間がややこしく考えてるだけよ。
ようはそこの女に、リオの母親を殺した償いをさせればいいんでしょう?
だったら簡単よ。そこの女、」
「…ドルキですわ」
「そう。ドルキがリオの事をちゃんと育ててあげればいいのよ。
死んでしまったリオの母親の代わりにね。
私がリオのお母さんだったら、そうして欲しいって思うわ」
「それは…そうかもしれないですけど」
思わずドルキとリオ、二人が顔を見合わせ――余りの気まずさに視線を逸らす。
(あれだけ憎み合ったんだから、いきなり仲良くしろなんて言われても…)
「大体、問題はそれだけではありません。
このむす――こほん――リオの体は人外となったままです。
お腹の中には貴女が寄生させたアドニスもあるのですよ?
その責任はどう取るおつもりですか?」
「それこそリオの気持ち次第よ。
アドニスは体内の魔力が枯渇すれば枯れるわ。
リオが寄生させたメイド達のアドニスもそうよ。
さっきの戦いでリオに魔力を吸収されたせいで根こそぎ枯れちゃったわ。
後遺症も無く、生活に復帰出来るでしょうね」
「貴女がリオのアドニスの力を吸収すると?」
「まあ、リオが望むなら。リオの力を借りてそうしようかな、って話よ」
「でもネーアさん。お腹の中のアドニスが消えても、私の体は人間には戻りませんよ」
それには何の根拠も無いが確信めいたものがある。
一度覚醒してしまった魔物の血はそう簡単に抑え込む事は出来ないだろう。
ドルキと顔を合わせていれば、また暴走して彼女に傷を負わせてしまうかもしれない。
「それに私、言いました。ずっとネーアさんの傍に居るって。
それは今でも変わりません」
父の事を知り、母の事を知り、姉の事を知った。
自分がどれだけ愛されているか。
人間の生もまだまだ捨てたものではないと思った。
しかし思うのだ。
仮に自分が再びリビディスタの生活に戻ったとして。
その生活は幸せなものなのだろうか。
『武芸の家に悪魔が住み着いている』。
そんな噂が流れれば、姉にも父にも迷惑を掛けてしまう。
それでは人であった時と変わらない。
それにネーアはどうなる。
屋敷から飛び出した自分を保護し、慰め、契りを交わした彼女を放り出す気か。
ネーアは教えてくれた。
二百年における逃亡生活がどれほど寂しく、辛いものか。
人外の身でありながら、人の心を残している事がどれほど苦痛か。
そんな彼女を放っておけない。
(なんだ。最初から、答えは出てたんだ)
ネーアの言うとおり、ややこしく考える必要はなかった。
「私、リビディスタを出ていきます」
リオの言葉に一同が驚き、眼を見張った。
「ちょ、リオっ! 貴女本当にそれでいいの!?
折角お父さんと仲良くなれたのにっ、それをみすみす諦めるような…っ」
「それは…父様とはもっと一緒に居たいですけど」
ちらり、と横目で父を伺う。
娘が家を出ると言っているのに彼は相変わらずのポーカーフェイスだった。
だが彼も娘と心を同じくしている筈だ。
あの激しい戦いの時交わした言葉が、偽りとは思いえないから。
259 永久の果肉14 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 19:02:54 ID:/Wkm2F56
「貴方もっ、リオともっと一緒に居たいんじゃなかったの!?
家族の団欒とかは……あー、ちょっと想像出来ないけど…。
それでも、剣の稽古とかさっ、一緒にしたい事色々あるでしょうにっ」
「…そうだな…」
ふ、とグリーズの顔が僅かに綻んだ気がした。
彼が表情を見せる事は少ない。
もし見せたとしたら、それは彼の心情に大きな変化があった時だ。
今は野暮だと思い、シュトリの能力は使っていない。
だが父の心境が如何なるものか、大体分かるようになってきた気がする。
「だが。ワシには責任がある。
この街を三十年以上の月日を掛けて作り上げ、それを管理する責任がな。
リビディスタの家柄を穢す訳にもいかんのだ」
「あっきれた! この甲斐性無し! 唐変木!
結局リオよりも、過去の栄光に縋っているだけじゃない!
本当の父親なら娘一人くらい救ってみなさい!」
ばんばんっ――テーブルに触手を打ち付けながら抗議をするネーア。
その様子にグリーズとドルキが顔を見合わせた。
「言った通りだろう?」
「え、えぇ…本当に…怖いもの知らずというか、豪気というか。
野蛮というか――あら、失礼。聞き流してくださいませ。
兎も角、口の利き方があの女そっくりですわ」
夫妻で視線と言葉を通わす姿に、ネーアが、リオが首を傾げた。
マリオンはと言うと珍しく、くすくすと忍び笑いを漏らしている。
「な、何なのよ…二人して……マリオンも、気持ち悪いじゃない」
「いや、お前を見ているとリシュテアを思い出す」
「見た目は違いますが……雰囲気がそっくりなのです」
「……確かマリオンにも同じような事を言われたわ。
よっぽど似てるのね、リオのお母さんに」
(ネーアさんが、私のお母様にそっくり?)
今度はネーアとリオが顔を見合わせる番だった。
成熟した女としての美しさと、どこか少女としての可憐さを併せ持った不思議なアネモネ。
肌も髪も瞳も、人とは異なる翠の一色。
いや、内面の話なのか。
『命を粗末にするんじゃないの!』
お節介で。
『どうしてって、体、弱いんでしょ? 無理させたくないもの』
優しくて。
『ご馳走様♪ リオのお汁、とっても美味しかったわ♪』
エッチで。
『ねえリオ。やっぱり。モンスターになるなんて嫌?』
でも実は寂しがり屋さん。
「この子の、面倒を見てやってくれ」
唐突に、グリーズがネーアにそんな事を言った。
「は? ちょ、ちょっと待ってよっ。いきなりそんな事言われても」
「貴女なら……そう……あの女の代わりになれますわ」
「私もそう思う。ネーアなら、安心してリオを任せられる」
「み、皆して何なのよ一体…」
困り顔をするネーアに、更に追い討ちを掛けた。
260 永久の果肉14 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 19:04:07 ID:/Wkm2F56
「ネーアさん。私を一緒に連れて行くって言ってくれました。
ずっと一緒だって、言ってくれました。
エッチまでして、私を魔物にしてくれました。
あれは嘘だったんですか? 遊びだったんですかっ?
私を、騙したんですかっ!?」
瞳を潤ませながらまっすぐにネーアを見詰める。
ひっくひっくと嗚咽を漏らしながら、涙声で彼女に訴える。
「え、ええぇ!?」
上目遣いに見詰められたネーアは明らかに狼狽した。
続けざまに家族三人から敵意の篭った眼差しがモンスターの女に集中する。
家族からすれば可愛い娘を行きずりのモンスターに寝取られたようなものだ。
そして根が真面目なネーアは大なり小なり後ろめたく思っている筈なのである。
「う、嘘なんかじゃないわよ!? あれは本心よ! 神様なんか信じないけどっ。
居るんなら誓ってもいい! あたしは今でもリオと一緒に居たいと、」
「じゃあ決まりですね♪」
ぴたりと泣き止み、笑顔を浮かべたリオに、ネーアが呆然とした。
「だ、騙したわねっ!?」
「私、悪魔だもーん♪」
ぺろりと舌を出して悪戯っぽく笑う。
「あ、貴女って子はーーっ!!」
触手を展開して迫るネーアから逃げるように狭い室内を駆け回る。
「きゃはははっ」
「こらーーっ! 大人をからかうんじゃないのー!」
どたんばたんと家具を薙ぎ倒しながら傍迷惑な追いかけっこが始まった。
「あの…ここが私の部屋だとお忘れですか?
というか静かにして下さいな。屋敷の者が目を覚ましてしまいます」
呟くドルキの声は果たして二人に聞こえたのか。
「そうだ。父様」
「何だ」
「リオが出て行くなら。私も家を出ます」
「は!? マリオン! 何を勝手な事を言っているのです!
貴女が家を出る理由など、一体何処にあると言うのですか!?」
「私母様よりリオの方が好き。それじゃ駄目なの?」
「駄目に決まって、」
「勝手にしろこの親不孝者が。貴様は勘当だ」
言葉自体は厳しいものの、グリーズの表情自体は穏やかなものだった。
将来有望なマリオンをみすみす家から追い出したくは無い。
だがマリオンとリオ、それにネーアの三人なら上手くやっていく事が出来るだろう。
そう考えた彼が、不器用なりにもマリオンに送る手向けの言葉なのだ。
「はあ…もう勝手にして下さい…わたくしはもう知りません…」
部屋の中で暴れまわる魔物二匹。
それに突如家を出る事になった娘のマリオン。
頭痛の種にドルキは頭を抑えるのだった。
***
パセットは夢の中に居た。
『今日のおパンツはクマ柄でございます。お嬢様』
『パセットちゃんって喋り方と台詞の内容がちぐはぐだよね』
『それがパセットのキャラでございます故』
夢の中でパセットは屋敷の離れに居た。
いつものようにリオを起こし、彼女の世話をする。
着替えから始まり食事の用意。
ベッドメイキングを初めとした部屋の掃除。
風呂だけはお供させてもらえなかった。
それでも夜寝る時以外の殆どは彼女と共に過ごしていたと思う。
261 永久の果肉14 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 19:05:10 ID:/Wkm2F56
主従。友達。いや、或いはそれよりももっと深い絆で結ばれた何か。
もしどちらかが男だったなら――従者と主、いけない恋に落ちちゃったりなんかして。
『今エッチな事考えて無かった?』
『何故分かった!? いやいやいやいやいや!
違うよ? リオっちのつるぺたボディにあんな事やこんな事したいとか!
そんな事考えてないさ! でもね…! でもっ――
ぱ、パセット…リオっちとだったら……いやん♪ 恥ずかしい♪』
『あはは…』
苦笑いを浮かべるリオ。
彼女はもっと笑えばいいのに。可愛いんだし。
そう思って出会った時からずっと何かにつけてはその笑顔を拝もうと四苦八苦してきた。
それはもう、意地と言っていい。
いつも寂しそうに笑う彼女を、本気で、心の底から笑わしてあげたい。
それは面白おかしい、とかそういう意味じゃなくて。
生きてて良かったー、とか。
幸せだー、とか。そういうニュアンスの笑顔がみたいのだ。
でも、未だにそんな表情を見た事が無い。
そして、それはきっと、これからも。
『パセットちゃん? 私そろそろ行かなきゃ』
ばさり、と彼女の背中から蝙蝠の翼が生えた。
その姿はいつものワンピースではない。
人外に身を堕とした時の、黒のゴスロリ衣装だ。
『え?』
『だって私もう人間じゃないし。お屋敷には居られないよ。だから、お別れなの』
がらがらと、足元が崩れる感覚と共に夢の中の風景までが崩れていく。
離れの中の景色が岩肌を削るように剥がれ落ち、その下から暗闇が覗いた。
それは悪夢だった。
リオと離れ離れになってしまう。
悪魔となったリオが屋敷に潜入し――返り討ちに遭ってしまう。
そんなパセットの不安を具現化した夢だ。
『や、やだっ! 一緒に、パセットも一緒に行くっ』
『パセットちゃんは駄目。だって普通の人間だもの』
『そんな事無い! パセットだってお腹の中にお花のお化けが――』
そう言って腹に手を当てて、その下から何も感じない事に気付いた。
狂おしい官能も。堪えられない疼きも。腹を圧迫する感覚も――最早感じられない。
アドニスの花が、子宮から消えていた。
『え、何で…?』
『だからね? ここでお別れ。
ばいばいパセットちゃん。私、パセットちゃんが私のメイドさんで良かった』
『やだっ、やだやだやだやだやだやだやだ!! そんなの認められるかぁ!
そんな、今生の別れみたいなのっ、ヤダぁああっ!!』
『ありがとう』
そう言って笑うリオはやはりというか。
(ありがとうって言うなら、そんな悲しそうに笑うなぁ!!)
『さようなら』
『やだっ、リオッち!!』
背を向けて歩き出したリオに走り寄ろうとする。
だがリオとパセットしか居ない漆黒の空間。
パセットがどれだけ走ってもリオには追いつけない。
262 永久の果肉14 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 19:06:05 ID:/Wkm2F56
それどころか徐々に二人との差が開いていく。
頭の片隅では何となく気付いていた。
これが只の夢だという事に。
走っても走っても追い付けない――そんなのベタベタじゃないか、と。
けれど、それがもし夢であっても。
今リオと離れ離れになったら二度と会えない気がした。
だからパセットは走る。
どれだけ二人との差が開こうとも。
リオの後姿が米粒のように遠ざかっても。
絶対に諦めない。
諦めて、たまるか。
『リオッちーーーーーーーーーーっっっ!!!!』
手を伸ばし、どこまでも広がる黒い世界の中、あらん限りの声で叫んだ――
――ところでパセットは眼を覚ました。
「――あれ…? リオッち?」
暗闇の中、自分の右手が天井に向けて一直線に伸びていた。
がばりと上体を起こし、辺りをキョロキョロと見回す。
「何も見えん! ここは誰? ワタシは何処!?」
随分混乱していた。
夢を除けば――その夢の内容も急速に形を失い、曖昧になっていくが――
――最後の記憶は何だっただろうか?
「――――――――――――――――――――――あ、思い出した」
(大乱交大会でした)
メナンティお姉様の部屋で同僚を交えてそれはもうエロエロな事になってました。
「ってあれ!? あれれっ!?」
布団を剥ぎ取り、自分の格好を確認する。
誰かが着替えさせてくれたのだろう。
眼を凝らして良く見ると寝巻き姿という事が分かった。
その寝巻きの裾から手を突っ込み、下腹部に触れる。
「――無い。お花のお化け、無くなってる!?」
どくどくと脈打つアドニスの鼓動が感じられない。
(どうなってるの?)
リオと一緒に屋敷に潜入した。
そしてメナンティを皮切りに、同僚達に手を掛けてアドニスを植え付けていった。
(あれ、気持ちよかったなぁー、っていやいやそんな事考えてる場合じゃないし)
そう言えば部屋にドルキが入ってきた気がする。
それから――それから――
「どうなったの?」
そこで記憶が途切れていた。
(ちょっと待って。あの鬼ババアが入ったところで記憶が無いって事は……)
まさか、リオは。
『パセットちゃん? 私そろそろ行かなきゃ』
先程の悪夢がフラッシュバックした。
反射的にベッドから飛び出し、月明かりが僅かに漏れるカーテンを開き、光源を確保。
ガラス窓から漏れる月明かりで、ここが自分の部屋だと確認する。
パセットは急いで部屋を出た。
あれからどれだけ時間が経っているか分からない。
腹のアドニスが消えている理由も気になる。
そして何より、リオが一体どうなってしまったのか。
それらの疑問に答えてくれる人物に、会うしかない。
263 永久の果肉14 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 19:07:40 ID:/Wkm2F56
パセットは寝巻き姿に素足のまま、屋敷の廊下をぱたぱたと駆け抜ける。
問題の人――ドルキの寝室まで行くと扉の隙間から灯りが漏れていた。
ノックをしようとした瞬間、向こうから扉が開く。
「――貴様か」
扉の向こうから顔を出したのは我らが旦那様、グリーズその人だった。
本人の居ない所ではロリコンだの何だのと冗談を言うが目の前ではそうはいかない。
頭四つ分くらいは高い所から仏頂面で見下ろされれば流石に怖いし。
「ぐ、グリーズ様っ、ほ、本日は大変お日柄もよろしく…っ、グリーズ様に至っては、」
「普通に話せ」
「リオッちをどうしやがったんだコンチクショー!!!」
思わず本音が飛び出してから『あ』と口を塞ぐ。
ところが上目遣いにグリーズを見上げれば、彼は怒った様子もない。
彼は表情を変えないまま、只一言、
「一足違いだったな」
「…え? どういう事っすか?」
「マリオンとあの娘はリビディスタから勘当しました」
部屋から更にドルキが現れた。
「勘当って、じゃ、じゃあリオッちは!?」
「心配しなくとも生きている」
「よっしゃあああぁぁぁぁぁぁぁっっっっ!!!!!!」
ぴょんぴょんとその場で飛び跳ねる。
その様子に、これだから子供は、とドルキが呟き、グリーズが僅かに頬を緩ませた。
(あ、そうでした、今一応夜でした)
「えー色々お話を伺いたいところですが」
結局、今回の事件はどうやって解決したのか、とか。
まあ、復讐の対象だったリビディスタ夫妻が存命。
それに加え首謀者のリオと自分が存命。それにマリオンが揃って勘当となると。
割と穏便に解決したのかな、と思ってしまう。
(ま、それはいいや。後でリオッち本人から聞けばいいんだし)
今する事は、
「お願いがあります!」
ぶん、と音がするくらい頭を下げた。
そうだ。リオが居ないなら、自分も屋敷に留まる意味は無い。
(だってパセットは、リオッちのメイドさんなんだから!)
だから、その事をグリーズとドルキに伝えなければならない。
自分も屋敷を出て行くと。
頭の固そうな二人の事だから、大なり小なり反対されるだろうが、
「貴様はクビだ。何処へでも好きな所に行け」
「―――――――はい?」
「二度は言わん」
背を向けるグリーズ。
その向こうで、ドルキがくすくすと可笑しそうに笑っていた。ちょっと気持ち悪い。
(え? あれ? ひょっとして、旦那様、今の、気を遣ってくれたの?)
えーマジで? イメージと全然違うし。
というか照れてる? グリーズ様照れてますか? ツンデレですか?
「笑うな。何が可笑しい――貴様も、何をぼんやりしている?」
「え――と言いますと?」
「リオを追いかけるのだろう? さっさと支度を整えろ。森の中は危険だ」
どうにも言葉足らずだがこれはひょっとしてあれか。
まさか送ってくれる、という事なのだろうか。
「あ、ありがとうございます!!」
頭突きでもしそうな勢いで再び頭を下げた。
グリーズは何も言わなかった。
鉄面皮はびくともしていない。
だがその下に隠れた心が、ちゃんとした人間の――『父』のものであると理解した。
264 永久の果肉14 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 19:09:20 ID:/Wkm2F56
***
夜の帳が下りた森の中に、二つの異形と二つの人影が輪を作っていた。
異形の正体は、上半身に美しい女の裸体を晒した花型の魔物――アネモネだ。
それが二体。内一体は、
「ひっくっ…! ひくっ…! グリーズ様、グリーズ様ぁっ!」
かの英雄を名前を呼びながら大泣きしているそのアネモネはクロトだ。
愛するその男に首を切り落とされ――だが死なず、気が付けば森の中に一人だった。
屋敷を静かに後にした一同と合流する前から、彼女は泣き続けていたのである。
「よしよし。クロトさん。元気出して? もう一人じゃないよ?
私も、ネーアさんも居るから。ね?」
アドニスの花弁の上に座り、リオは泣きじゃくるクロトをあやしていた。
背中に手を回して抱き付き、かつては銀髪だった翠色の髪を優しく撫でる。
「リオ様ぁっ…! 私、振られちゃいましたぁ…っ! ううっ! うわぁぁぁんっ!!」
「うん。うん。辛いよね。分かるよ。分かる。
今は、好きなだけ泣いてていいからね?」
「泣きたいのはリオも一緒じゃないの?」
背中から掛けられたのはネーアの声だった。
世にも美しいアネモネの女は心配げな表情でこちらを見詰めてくる。
そう、クロトもリオもリビディスタを追い出された身。
人間の世界を離れ、欲望と破壊の渦巻く人外の世へと踏み込んだ少女。
もう、父とは二度と会う事も無いだろう。
ネーアはそれを心配して言っているのだ。
「私は、大丈夫です。多分」
(ここには皆居るから。ネーアさんも、クロトさんも、それに、)
「それに、頼りになる姉も居ますから」
傍らの切り株に腰を落としていたマリオンに向けて、にこやかな笑みを送る。
この中で唯一の人間である腹違いの姉は照れくさそうに頷いた。
「どれだけ役に立てるか分からないけど、頑張る」
「何謙遜してるのよ? 人里離れた所なんて魔物やら凶悪な野生動物が沢山居るんだから。
その中で剣も魔術も使える人間が居るんだから心強いものだわ」
「そうは言うけど」
ちらり、とマリオンの視線がリオに向く。
「リオ、ひょっとしたらもう私よりも強くなってるかもしれない」
グリーズとの決闘の事だ。
あの時はがむしゃらに戦っていたからよく覚えていないのだが。
まあ、確かに、良く考えればあの剣神様と対等に渡り合ったというだけで凄いのだ。
向こうが勝ちを譲ってくれた事を差し引いても、リオは十分に強い。
「それにクロトさんは探索魔術と防御魔術のスペシャリスト。
生存率が高くて、ダンジョンの探索なんかじゃ重宝していた。
――まさかリオに種付けされてたなんて夢にも思わなかったけど」
「あう、ご、ごめんなさい」
クロトに種付けした時は魔物となった体を持て余していた。
体から溢れ出る欲望に抗えず、やりたい放題やってしまったのだ。
その結果が今のクロトである。完全な被害者だった。
「もういいじゃない。私は仲魔が増えた方が良いと思うし。賑やかだしね?」
もし仮に人間に戻れたとしてもだ。
グリーズと戦い、あまつさえ告白までしてしまった。
そんな状態で一体どの面下げて屋敷に戻るというのだ。
「あ、いや…そうじゃなくて…それは、もういいの、私も。
ただ、私以外の三人は、皆強い。ネーアもそうだった」
(そう言えば。ネーアさんと姉様、一度戦ったんだよね)
クロトを発見するまでの道すがらその話を聞いた。
激しい戦いだったそうな。
「だから、今更私一人が増えたくらいで、あまり戦力の足しにならない――そう思って」
姉の発言に丸い眼をぱちくりとさせた。
その後、二匹のアネモネと交互に顔を合わせる。
265 永久の果肉14 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 19:10:36 ID:/Wkm2F56
「私、リオを守る為に強くなった。
辛い修行にも耐えて、魔術の勉強もして。
リオの事を一人にして、実戦経験も積んで――
でも、そのリオは、もう私が守る必要が無いくらいに強くなってる。
だったら、私が居る意味は……」
「じゃ何で貴女は着いてきたのよ? 家でご両親の面倒見れば良かったじゃない」
「それは――リオが、心配だったから」
「? だったらそれでいいんじゃないんですかぁ?」
何時の間にか泣き止んでいたクロトが首を傾げながらそう言った。
「そうだよ。私、姉様の事、邪魔だなんて思わない。
姉様は私の事ずっと思ってくれてた。それは、これからもだよね?」
「う、うん」
ぴょんと、クロトのアドニスから飛び降り、その勢いのままマリオンに抱き付く。
(うにゃぁ…姉様、暖かい…♪)
「それじゃ、今度は絶対絶対一人にしないでね?
ずっと一緒に居てね? 私は、それで十分だから♪」
「……でも、私は、」
何か言い掛けた姉の唇に人差し指を添える。
「それにね? この四人の中で一番大変なのは姉様だと思うよ?」
すんすんと姉の胸元に顔を寄せて匂いを嗅ぐ。
いい匂いがした。
日向と、汗と、それに女の匂い。
大好きな、乙女の匂いが。
どくん、と胸が高鳴る。
同時にどろり、とした感情が流れ込んで来る。
(んにゃ、それは、いいの)
姉の体を抱きしめ体温を感じる。
そうする事で悪魔としての本能――他人を貪る暗い心が霧散した。
「――ああ、成る程ね」
こちらの言葉の意味に気付いたのか、ネーアがにやにやと笑っていた。
「え、え? 何?」
「ふふふ。姉様? 家を出て私達に付いて来るっていう事がどういう事か分かってますか?」
「え、それは…」
「覚悟、していますよね?」
ずくり、と腹の中のアドニスが疼く。
負の心は抑えられても、三つの魔物の因子による凶悪なまでの性欲は抑えられそうに無い。
「いや、まだ心の準備が、」
往生際の悪い姉の唇を、キスで塞いだ。
***
何が起こったか一瞬理解出来なかった。
「ん…っ、ふぅっ…、ちゅっ…、姉、様…っ」
(私、リオにキスされてるっ)
切り株に腰を下ろした体勢のまま硬直してしまった。
じゃれつくように抱き付いて妹がしたのは、歳に似合わない熱烈な口付けだった。
キスと言えば唇同士を合わせるくらいにしか思っていなかったので、思考停止してしまう。
実際には柔らかな舌が捻じ込まれ、唾液をまぶしながら咥内を嘗め回される。
ざらざらとした舌の感触は普通の人のものとは少し違うのだが、それを認識する暇もない。
「ちゅるっ、ちゅっ、レロレロっ、ちゅぷっ…っ、ふにゃっ、はぁっ」
「んっ…!? はっ、ぁふっ…、り、おっ…!」
(頭、蕩けるっ)
どろりとした唾液を大量に流し込まれ舌で無茶苦茶に攪拌される。
ぐちゃぐちゃと咥内からいやらしい音が響いて、それがどうしようもなく興奮する。
妹の唾液はどこか甘く、彼女の吐息を吸い込むと脳が痺れるようだった。
舌同士が触れ合い、粘膜同士が擦り合えばぞくりとするような感覚が背筋を駆け抜けた。
266 永久の果肉14 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 19:11:57 ID:/Wkm2F56
(あっ、これっ)
「ちゅぅぅうううぅぅっっ♪」
「んっ!? ――――――!!!!」
舌を思い切り吸引されて視界で火花が散った。
妹に抱きしめられた体がびくん、と一人でに震え、体から力が抜けていく。
「――ぷあっ♪ ご馳走様、姉様♪ どう姉様? 姉様も気持ち良かったでしょ♪」
(気持ちいい? 今のが?)
体が気だるい。
だがポカポカとしていて、頭がぼう、として。
姉妹で背徳的な行為をしているというのに幸せな気分だった。
キスだけで、こんなになってしまうのか。
こんなにも、気持ちいいのか。
「んにゃぁ? 姉様? チューだけでイッちゃった?」
妹の顔が急接近した。
キスをした相手が、それも大好きな妹の顔を間近で見るとそれだけで心臓が跳ね上がる。
「き、気持ち良くなんか無いっ。全然っ」
捨て台詞を吐いて、視線を外した。
どきどきどきどきどきっ!
心臓の音がやけに五月蝿い。正直、妹の顔を直視出来なかった。
きっと今頃真っ赤な顔をしているだろう。
全く、天邪鬼な自分の性格が恨めしい。
そしてそれを周りの者は皆理解しているようだった。
ネーアは当然として、リオも、クロトさえもくすくすと忍び笑いを漏らしている。
「わ、笑わないで」
「あははっ。ごめんごめんっ。だってあんまりにも可笑しいから。
マリオンってほんと初心よねー、可愛いわよ?」
「う、うるさいっ。からかわないでっ」
「ネーアさん、姉様の事からかってないよ?だって私も姉様の事可愛いと思うし。
でも、キスだけでそんなになるんなら、この先が思いやられるね?」
これからもっと凄い事するのにね――そう言って妹はぺろりと舌なめずりをした。
「…う」
(何このリオ怖い)
昼間の事件の時もそうだったが気弱で大人しい妹はもう変わってしまったのだ。
それを少し寂しく思い、同時にこの娘が大人になったらどんな女になるのか。
想像するだけで恐ろしい。
「さあ姉様♪ ベッドに行きましょう♪」
「え、ベッドって、何処」
「目の前に立派なベッドが二つもあるじゃないですか♪」
「あたし達をベッド扱いとは、なんというか本当に逞しくなったわねぇ。
あ。あたしは今回パスするわ。クロトに構ってあげて?」
ネーアの言葉に内心ほっと息をついた。
いくらなんでもアネモネ二匹と淫魔一匹に同時に責められたら死んでしまう。魂的に。
「それじゃクロトさん。お願いします♪」
「はい、リオ様ぁ♪」
しゅるるるるっ。
脚代わりの触手が何本が伸び、リオとリオに抱きつかれたままのこの体を拘束する。
普通の女ならこの時点で悲鳴の一つでもあげるのだろうが。
(何か、慣れちゃってる自分が居る)
ここ最近アネモネと――主にネーアと触れ合う機会が多かったからだろうか。
性的な接触は無かったが、アネモネに対しての危機感がすっかり薄れてしまった。
そんな益体の無い事を考えている内にクロトの真正面へと体を吊り上げられた。
「到着ー♪」
花冠の中央に尻餅を付くように着地。
鎧を通して、背中にクロトの肌の感触があった。
「さあクロト様ぁ? 鎧を脱ぎましょうねぇ♪」
267 永久の果肉14 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 19:12:55 ID:/Wkm2F56
体を拘束していた触手が一瞬離れたかと思うと衣服や鎧の隙間に侵入してきた。
「あ、馬鹿っ、勝手に脱がさないでっ」
「私も手伝うー♪ 姉様? 脱ぎ脱ぎしましょうねぇ♪」
「やあぁぁっっ!!」
あっと言う間だった。
抵抗らしい抵抗も出来ないまま、着ている物を全て脱がされてしまう。
アドニスの繋がりを利用しての見事な連携だったと言わざるをえない。
「…っっ、見ないで…っ」
顔が熱い。リオとキスした時よりも、顔が紅潮しているのが分かった。
それは羞恥心のせいだ。
人前で裸体を晒すだけでも恥ずかしいというのに、触手で淫靡に拘束されているのだ。
手を万歳の形に広げられ、脚はM字に開脚されている。
真正面のリオからは本当に丸見えだ。
月明かりに照らされたマリオンの体は決して豊かとは言えない。
胸は当然の事として、尻や太股の肉付きも少ない。
女の色香とは無縁な体型だ。
だが折れてしまいそうな四肢は均整がとれており、何かの芸術品のようだ。
真っ白い肌に掛かるブロンドの髪も、彼女の魅力を一層に引き立てていた。
「うにゃ。姉様の体綺麗♪ スレンダー系なんだね」
「…ほ、本当に…?」
涙目で、妹を見詰める。
何を感じたのか妹は目を瞬かせ、こくこくと首を縦に振った。
離れた所から『うわ。マリオンったら割と凶悪ね』なんて言葉が聞こえた気がした。
「でも私、胸、小さいし。リオより」
クロトやネーアに関しては、比較する事すらおこがましい。
ぐす、と鼻を啜る。
大好きな妹の前だから何とか耐えている。
だがこれが公衆の面前だったり男の前だったりすれば。
きっと大泣きするか見た者全員を斬殺していたかもしれなかった。
「え、ええ? そうかな?」
「…ぐすっ、そう…よ、見たら、分かる。私の胸は、小さ過ぎる」
「だ、大丈夫だよ姉様っ。私が一杯揉んで、大きくしてあげる!」
「ほ、本当っ?」
思わず目を輝かせてしまった。
(いや。違う。そうじゃない。揉んでも大きくなる訳ないし)
「や、やっぱりいいっ。私はこのままで」
「そんな事言わないで♪」
「――きゃっ!?」
妹の指先が緩やかな曲線を描く膨らみに触れた。
肌が敏感になっているのか、それだけで甘い官能が体に満ちる。
「にゃう♪ 姉様の肌すべすべー♪ ずっと触ってたくなる♪
ほらほら♪ クロトさんも触ってみて♪」
「はぁい♪ ではご相伴に預かりますぅ♪」
「え、ちょっ、待って――はんっ…!?」
肌を撫で回す妹の指がピンク色の藁を掠める。それも全く予測の出来ないタイミングで。
慣れない快感にもピンク色の先端は反応し、生意気にも自己主張を始めた。
「あっ!? 勃った、勃った♪」
「それじゃぁ、こちらもぉ♪」
「あっ、駄目っ」
背中からクロトが手を回し、乳首を中心に乳房を撫で回す。
触れるか触れないかくらいの絶妙なタッチに、左側の先端もあっと言う間にしこり立った。
(さ、触られてるだけなのに…っ)
過去、ネーア追撃中に犠牲者となった女性達の顔が浮かび上がる。
眉をハの字に寄せ、口をだらしなく開けた、いやらしい雌の顔。
魔物に襲われておきながら感じるなんてありえない――そんな事を当時は思ったものだが。
「いただきますぅ♪」
268 永久の果肉14 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 19:14:08 ID:/Wkm2F56
背中からクロトの甘ったるい声が聞こえた。
かと思うと一本の触手が鎌首をもたげ、その先端がくぱり、と十字に割れる。
内側にびちびちと柔毛触手がひしめき合うそれを左側の乳首へと近付けて、
「え、待って、それだめっ、駄目っ――きゃあぁぁっ!?」
ぱくり、と愛らしいサクランボを咥え込まれた瞬間、電気が走った。
充血し、敏感になったそこをぬるぬるとした細い触手の束に舐めしゃぶられ悶絶する。
(き、気持ちいいっ、私、駄目になっちゃうっ)
コンプレックスの対象だった胸を責められ、こんな醜態を晒すとは、夢にも思わなかった。
恥知らずな先端をくちゃくちゃと舐められ、或いは甘噛みされ、その愉悦に脳が蕩ける。
「姉様、エッチな顔にゃぁ♪」
「い、いやぁ…っ、見ないでぇ…っ」
「恥ずかしがらなくてもいいんだよ? これからもっともっと気持ちよくなるんだから♪」
言って妹は右の乳房へと顔を寄せて――ぱくり。
「あっ!? 駄目っ! だめっ!」
赤ん坊のように乳首に吸い付かれる。
ぺろぺろと先端を舌で何度も弾かれ、その度に快楽で視界が白んだ。
(エッチって、こんなに気持ちいいのっ)
戦う事しか知らなかったマリオンは、一人遊びはおろか、キスすらした事が無かったのだ。
興味が全く無い、とは言えなかったが、機会には恵まれなかった。
ところが実際に経験してみると、どうだ。
(びりびりして、痺れてっ、変になるっ)
心臓がどきどきと早鐘を打つ。
だがそれは実戦の空気の中感じる緊張や恐怖とは全然違って、どこか甘く、切ない。
頭もぼーとして、ろくな思考もままならない。
右と左の乳首から襲い来る、鋭い快楽に翻弄されるだけ。
「はあぁっ、はあっ、あぁっ!? やっ、かま、噛まないでっ!」
時折思い出したかのようにピンク色の先端を優しく噛まれ、喉から嬌声が独りでに漏れる。
じゅくり、と下腹部が疼いた。
「ふふふ。姉様のエッチな匂いがする♪」
顔を離したリオが微笑んだ。
コケティッシュな妹の笑みに、心拍数が更に上昇する。
つー、と乳首から伸びた唾液を舐めて切り取り、淫魔らしい表情を浮かべているのだ。
その愛らしくも妖しい笑みに、どきどきしながら魅入ってしまう。
アネモネ達はまだガスを撒いていない。
それでこれだけ心が掻き乱されるのだから流石淫魔と言ったところなのだろう。
それとも、自分はひょっとしてあれか。
生粋のレズビアンなのか。
「もういいかな?」
「うぅんっ」
急に二体の魔物の責めが終わる。
快楽という荒波から開放され、ほっとしたが体には火が着いてしまったらしい。
火照った体は切なく、快楽の余韻にじんじんと肌が疼いている。
特に下腹部――子宮ではそれが顕著だ。
じくじくとした疼きが腹から全身へと拡がっている。
何だか居ても立っても居られない。
「姉様? とっても濡れてるよ? あそこ、ぐちょぐちょだよ?」
妹の眼前に晒されたクレヴァスは解れ、口を大きく開いていた。
自慰もした事の無い生娘のそこからは、とろとろと新鮮な蜜を零している。
雌の匂いを発する愛液に髪と同じ色の恥毛が濡れて、色っぽさを演出していた。
「ば、馬鹿っ、そんな事、言わないでっ」
発情した自分の隅々まで妹に見られている。
それを思うと頭が沸騰しそうだった。
恥ずかしすぎて顔から火が出る。
「ふふふ♪ 姉様ほんとうに可愛いにゃぁ♪」
「ですねぇ♪ 初心な乙女、って感じですぅ♪」
「うー…!」
おもちゃにされている。
それは分かっているのだが体はすっかり出来上がってしまい逆らう事も出来ない。
269 永久の果肉14 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 19:14:59 ID:/Wkm2F56
何より、二人には悪意など一つも無いのは分かっているのだ。
誰の邪魔も入らぬ森の中、仲間同士でじゃれあうようなものだ。
じゃれ合うは無いか。ああでも魔物の慣性からすればいやらしい事もじゃれ合いのうち?
(そんな事より、体、疼いてっ)
「姉様、辛いよね?」
火照った体を持て余すこちらの心情を悟ってくれたのか、妹が優しい笑顔を浮かべた。
こくり、と小さく首を縦に振る。喋れば、情けない声が出てしまいそうだったから。
「準備も出来てるし、姉様の処女、リオが貰うよ?」
処女という言葉に体が震える。
別に貞操観念など持っては居ないし、異性との真っ当な恋愛にも執着は無い。
だが実の妹に犯される、という事実に、少なからず抵抗を覚えてしまった。
(…、違う、私は、リオを受け入れてあげないといけない)
自分は、結局妹に何もしてやれなかった。
強くなると言い張るのはいいし、実際に強くなった。
けれどそれが何の役に立った?
得た物より、失った物の方が大きいのではないか?
自分が屋敷を離れたせいでリオはこうして人外になってしまった。
ならその彼女を受け入れる事が、せめてもの罪滅ぼしではないのか。
例え、この体も魔へと堕ちるとしても。
「…分かった…」
ぽつりと呟くと、妹は嬉しそうに微笑んだ。
「うにゃぁ♪ 姉様大好き♪」
抱き付き、顔中にキスの雨をプレゼントしてくれる。
にゃうにゃうと鳴きながら、唇を舐めたり、首筋の匂いを嗅いだりしてきた。
それがくすぐったくて、微笑ましくて。
まるで猫がじゃれついてくるような感覚にこちらも頬が緩んでしまう。
「姉様ぁ…♪」
「リオ…」
そしてどちらからともなく再び口付けをした。
今回は妹に一方的にされるだけのキスではない。
互いに舌を絡ませ合い、相手の咥内へと自分の唾液を流し込む。
ふんふんと鼻で息をしながら、貪り合うようなディープキスに熱中した。
鼻に吹きかかる妹の吐息は甘く香り、胸を高鳴らせる。
甘酸っぱい唾液はまるで蜜のようで、いくらでも啜りたくなってくる。
舌をさりさりと削る猫舌も甘いばかりのキスの中では唯一の刺激となって、心地良かった。
(リオ、りおっ)
好き。大好き。
この感情が家族愛なのか恋愛なのかは分からない。
けれど手放したくない。ずっと一緒に居たい。
そして、その為には。
「はぁっ、はぁっ」
「ふにゃぁ…にゃうぅん…♪」
濃厚なキスを終え、僅かに互いの顔が離れる。
粘度の高い唾液が二人の間で銀色の橋を掛け、時間を掛けてぷつりと切れた。
「姉様ぁ…します、よ?」
「あ、ちょっと待って。私だけ裸なの、なんかずるい」
ぼやくように言うと妹はオッドアイを瞬かせた。
「うにゃ♪ そうだね♪」
黒いゴスロリドレスが揺らいだかと思うと黒い霧へと姿を変えた。
そして次の瞬間にはリオの体へと吸引されていく。
後には自分同様、生まれたままの姿になった妹の姿がある。
ふっくらとした肢体。
270 永久の果肉14 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 19:16:22 ID:/Wkm2F56
確実に膨らみ始めている乳房。
太股や、桃尻も丸みを帯びて、小さな体にも徐々に色気を帯び始めているのが分かる。
――というか明らかに、
(私よりもエッチな体をしている)
恨めしい。姉よりも優れた妹なんて存在しない――というのは言い過ぎだと思うけど。
遺伝子というか血のせいでここまで差が出るかと思うと悲しくなってくる。
(…それにしても)
妹の下腹部に思わず目がいってしまう。
同性の性器などまじまじ見る事は無かった上に妹のもの、ともなると興味もあるのだが――
(花だ)
ヴァギナの内側から咲いた肉の花が海星よろしく妹の股間にべったりと張り付いている。
花びらの内側は膣壁のように粘液に濡れたヒダが連なっていた。
四つある花弁は十字を形作り、その付け根からは計十二本の細い触手が生え出していた。
一本一本は小指程の太さでこれが獲物を拘束したり責めたりするわけだ。
中央の窪みには女性器の陰唇に酷似した割れ目が有り、粘度の高い蜜を垂れ流していた。
催淫性の高い蜜の香りに頭がぼーっ、として胸がどきどきと高鳴ってくる。
女の神聖な場所に寄生するおぞましい魔物だとは思う。
実際見てみると卑猥でグロテスクなものだとも思うが――
「あの、姉様? さっきからお股に突き刺さるような視線が…」
「ご、ごめんっ!? つい、」
見とれてしまった――口に出そうとしてその言葉を慌てて飲み込んだ。
「にゃふふ♪ リオのお花に見とれてたのかにゃぁ?」
バレバレだった。
「いいから! 早くするの!」
「にゃう♪ 分かったにゃぁ♪ しっかり見ててね、姉様♪」
妹が腹に力を込めた。
「ふにゃっ…! ――んにゃあぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!」
ずるずるずるずるっ!!
花の中央からアドニスの生殖器が生え出した。
多重のエラを持つ肉色の胴。
疣が大量に張り付いた先端部分。
更にそこから細い触手が生え出し、うぞうぞとのたくっている。
自分の腕程もある、グロテスクな触手に思わず息を呑んだ。
「ふにゃぁぁっ♪ はぁっ…♪ はぁ♪ どう、姉様? リオの触手おチンポぉ♪」
官能を感じ、頬を赤くし、息を荒げるリオ。
股からもだらだらと愛液を垂れ流し、その姿は実に色っぽい。
(こ、これがアソコに入るの?)
だがこちらはその凄まじい外観にドン引きだ。
粘液に塗れて光る妹のイチモツは、こちらの穴の直径よりも遥かに大きい気がするのだが。
まあ、リオのものだと思えば怖くは無い――かもしれない。
試しに疣の生えた先端部分に指を絡めてみた。
「ふにゃぁっ!?」
「きゃっ」
びくん! と大仰に触手が跳ね上がる。
「ご、ごめんっ。痛かった?」
「ち、違うのっ…! いきなり触るなんて、思ってなかったからっ。
びっくりしたしただけ」
はぁはぁと妹は息を荒げていた。
敏感になっているのは、貧相なこの体だけではないという事か。
「もう少し、触っていい?」
「う、うにゃぁ…」
こくんと頷いた妹の顔は快楽に蕩けていた。
もっと触って欲しいとばかりに僅かに腰を押し付けられる。
自分はというと妹の触手ペニスに触る、というシチュエーションに興奮していた。
どきどきしながら今度は凶悪な多重エラ部分に指先で触れる。
「ふにゃぁっ…!」
びくり、と再び触手が脈打った。
(――あ、なんか可愛いかも)
271 永久の果肉14 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 19:17:19 ID:/Wkm2F56
調子に乗って触手に添えた人差し指と中指をツツーと下へと滑らせる。
「にゃうぅぅんっ…♪」
びくびく。触手が再び暴れ回る。
それを逃がさないように掌で抑え、その触手の形や温かさを感じた。
(あ…、やっぱり、全然怖くない…)
これなら、大丈夫だ。
と、いうかむしろ。早くしてみたいくらいだ。
(なんか、エロイ気分になってる)
下腹部のじくじくがいい加減切なくて、自分の指でかき回したいほど。
淫魔の愛撫とキス。それにリオのアドニスから漂う催淫香が理性を追いやっていた。
「ね、姉様ぁっ♪」
「きゃぁっ」
いきなり押し倒された。
息を荒げた妹にマウントポジションを決められ、触手をヴァギナにあてがわれる。
「リオ、もう我慢出来にゃいにゃぁっ♪」
「うんっ、私も、私もリオが欲しいっ」
頭が完全に上せて、自分でも何を言っているか分からなかった。
ただ、妹はその言葉に感動したらしく、目をうるうるとさせながら、
「うにゃあぁぁぁぁぁあぁんっ♪」
嬉しさの余りに謎の遠吠え。
同時に、触手ペニスを一息で奥まで突き入れた!
ずりゅりゅりゅっ!
「っ!? …、っ…っ!」
ぶつん。そんな音が聞こえたかと思うと体の芯から引き裂かれるような痛みが走る。
(う、痛ぁっ)
だが予想していた程ではない。
死ぬほど痛いと聞かされていたので、どんなものかと思ったが。
「ね、姉様の中、いいっ♪ きつきつでっ、たまんにゃいよぉ♪
姉様は? 姉様はどうっ?」
快感を感じるのはまだ無理だが、ヴァギナの中にリオの触手を感じる事は出来た。
痛みよりも異物感と温もりの方が勝っている感じだ。
(もっと、リオを感じたい)
蕩けた魂が激しい交わりを求めている。
この大きく、卑猥な形状をした触手で滅茶苦茶に犯して欲しい。
「んっ…大丈夫っ…動いても、いいよ…っ」
すぐさまリオは腰を動かした。
最奥まで突き入れた雌しべ触手をゆっくりと引き抜いていく。
「あっ!? ……っ、っ! っ…」
処女膜の残骸をずりずりと多重エラで擦り削られ、明確な痛みに襲われた。
だが、これくらいの痛みが何だ。
リオはもっと辛い目に会ってきたのだ。この程度の痛み、耐えてみせる。
歯を食いしばり、ヴァギナを蹂躙する触手を受け入れる。
だが何が気に入らないのか背中のクロトがうーんと不満げな声を上げた。
「駄目ですよぉマリオン様ぁ? そんなに力んじゃぁ? 私がもっと解してあげますねぇ♪」
(え、いやそんな余計なお世話…)
――ぱく。
「きゃぁっ!?」
両の乳首に触手が喰らい付いた。
そのままちゅーちゅーと先端を吸われ、頭で快楽の火花が散る。
「うにゃぁんっ♪ 締まる、締まるよぉ♪
クロトさぁんっ、もっと姉様にしてあげてぇ♪」
「はいぃ♪」
「いやっ、それっ、だめっ――きゃぁんっ」
右左右左と交互に弱点を甘噛みされる。
痛みを堪えているところに不意打ち気味に襲い掛かる快楽は只甘い。
喉の奥から自分のものとは思えないほどいやらしい嬌声が漏れ出した。
272 永久の果肉14 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 19:18:08 ID:/Wkm2F56
(エロイ声、勝手に出るっ)
「姉様、やらしいにゃぁ♪」
ちゅっ、と妹が額にキスをしてくれた。そしてすぐに腰の動きを再開する。
ずりゅ、りゅ…りゅ…。
「んっ!? はっ! あぁっ!」
ゆっくりと、焦らすように触手を挿入される。
先端の突起物、エラエラの感触、それに太い胴と肉の温もりを順番に感じた。
「はぁっ、はぁっ♪ どう、姉様っ? まだ痛む?」
「んっ少し、だけっ――きゃんっ」
ちゅう、と両乳首を同時に吸われ、いやらしい声が漏れる。
「ふふふ♪ じゃあ、もうちょっと気持ちよくなろうねっ」
妹がクロトに目配せ。アドニスを通して何かの指示を送る。
待ってましたとばかりに三本目の触手が花弁の根元から生え、くぱり、と口をあける。
乳首を咥え込んでいるおしべ触手と同じそれは、結合部のすぐ上辺りを目指していた。
そしてその先には、ぷっくりと充血し膨らんだ淫核がある。
直に触った事も無いが、そこが敏感な部分だという事くらいは知っていた。
どきり、と胸が妖しく高鳴る。
口を開けた触手がピンク色の真珠に徐々に近付くのを、息を荒げながら見詰める。
白状すると、期待していたのだ。
未知の快楽に心も体も焦がされる事を。
――ぱくり。
「…っ、っ、っ、…!? ああぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!」
そしてその快楽は期待以上だった。
つるつるとした肉の突起物はその表面が乳首以上に敏感だと思い知らされる。
(すごっ、びりびり、するっ)
粘液に濡れた細かな触手にぞろぞろと嘗め回され、その度に腰が跳ねた。
「あっ!? あぁっ…! あぁぁぁっ!」
「ふにゃぁんっ♪ 姉様のおマンコっ、きゅっ、きゅっ、ってなってる♪
リオの触手チンポっ、食べられてるよぉっ♪」
妹の卑猥な言葉遣いも耳に入らない。
全神経が下半身に集中していた。
小指程にも満たない肉が、びりびりとした官能の嵐を呼び、マリオンの自我を削ぎ取る。
(やばいっ、気持ち、いいっ)
「姉様っ、もうっ、いいよね? 姉様スケベな顔になってるもんっ。
だから、リオもっいっぱい動くよっ」
「うんっ、うんっ」
返事と同時に妹が本格的に腰を使い始めた。
ぱつっ! ぱつっ! ぱつっ!
「ああっ!? あひっ!! すごぃっ!!」
腹の中を極太の触手が蹂躙する。
ごりごりといやらしい形状をした肉竿が処女の残骸をかき回し、痛みを産む。
「こっちもペースをあげますよぉ♪」
じゅるるるるるっ!!
「んああぁぁぁぁぁぁぁっっ!!?」
充血する三つの突起物が同時に吸引され、痛みとは真逆の感覚に襲われる。
「姉様っ、姉様っ」
ばつっ! ぱつっ! ぱつっ!
激しく触手をピストンされ――
「はぁっ!! あぁうっ! ああっ!」
「ちゅぅー♪」
じゅるるるるっ!
「はあぁぁぁぁぁっ!!」
――敏感な三点を同時に吸引される。
「も、もうだめぇ!」
(頭っ、おかしくなるぅ)
痛みと快楽。その両方を同時に叩き込まれ脳はショート寸前だ。
273 永久の果肉14 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 19:19:18 ID:/Wkm2F56
体がガクガクと痙攣し、半開きになった口から唾液が垂れる。
しかも性に卓越した魔物二匹が本気で感じさせようと責め立ててるのだ。
そのせいで、痛みよりも快楽の割合の方が大きい。
「はあっ♪ はぁっ♪ 姉様っ? どうっ? 痛くて、気持ちよくてっ。
訳わかんないでしょっ? それとも、もうずっと気持ち良いの?
おまんこ、もう全然痛くないんじゃないの?」
「あっ! んっ! それ、はっ!」
ピストンのペースが途端に緩む。
がつがつと恥骨同士をぶつけ合うようなものではなく、拡張を主とした腰使いだ。
ふふふ、と妹は悪魔的な笑みを浮かべた。
くちくちくちっ。
「あっ!? あっ! それっ!?」
ヴァギナの浅い所で、素早く、揺するようなピストン。
散々穿り返された肉ヒダ一枚一枚に、丁寧に官能が与えられ背筋がぞくりとした。
痛みとも快楽ともつかない官能の嵐は、それ自体が判別不能の刺激でしかなかった。
だが今度は違う。
肉壷の入り口をぐちゃぐちゃと掻き回されれば蕩けそうな快楽が生まれるのだ。
(き、気持ちいいっ)
ついさっきまで処女だった体を空恐ろしい速度で開発されている。
そして今、ヘスペリスとしてのプライド、人間としての常識。
あらゆる束縛から開放されたマリオンは、妹の手で淫らに変えられていく事すら自ら望む。
「…もっと…」
「…にゃぁ? 姉様?」
頭が快楽で茹っている。
このままする事をすれば自分の体がどうなってしまうのか分かっている。
妹に種子を植え付けられアネモネとなってしまうのだろう。
だがそれでも良かった。
「…もっとしてぇ…」
恐ろしい程の猫撫で声だった。
妹がごくり、と生唾を飲み込んだのが分かる。
愛らしい猫目のオッドアイに移った自分の顔が、快楽に溺れる娼婦のように蕩けていた。
「にゃっ、にゃあんっ♪ 姉様っ♪ にゃうぅ♪」
ぐちゅっ! ぐちっ! じゅぷっ!
「あぁ!? あっ! それっ、それぇ!」
苛烈な突き込みに声が上がる。
「本気で、本気でいくにゃぁっ…! 姉様を、天国に連れて行ってあげるにゃぁっ」
ぐりんっ、と妹の腰が大きく時計回りに弧を描いた。
「あぁぁぁっ!?」
肉のチューブが触手の凹凸の形に拡張され、性感が掘り返される。
充血し、粘液に塗れた肉ヒダから甘美な官能が生まれ、全身を痺れさせた。
かと思うと今度は反対回りに腰が回転し、あぁんっ、と甘い嬌声を漏らす。
「はっ♪ はっ♪ はっ♪ はぁっ♪」
じゅぷっ、じゅぷっ、じゅぷっ、じゅぷっ…!
「あっ!? いっ! あんっ! あぁっ!」
だらしなく舌を垂らしたリオがこつこつと素早いピストンを繰り出した。
それも一突き毎に角度を変え、肉壷の中を万遍なく刺激してくる。
(あっ!? これっ、触手の疣疣っ、当たってるのが分かってっ)
敏感になった肉ヒダがぐりぐりと押付けられる触手の凹凸を感じてしまう。
「ぐりぐりされてっ、気持ちいいよっ…! ――あぁっ!?」
膣内のとある一点を触手の先端が掠めると、一際強い官能が襲い掛かる。
じいいん、とヴァギナ全体が痺れ、鼻の奥がつーんとした。
(い、今、すごいのがっ)
「ふにゃぁ♪ 姉様の、きゅうきゅうしてるにゃぁ♪ ここが、弱点なんだね♪」
にゃふふ、と淫靡に笑う妹、嫌な予感がした次の瞬間に、思い切り触手を突き込まれる。
じゅぷうっ!
「あひぃっ!!?」
深く、勢いを付けた一撃が『弱点』とやらに叩き込まれ意識が飛んだ。
274 永久の果肉14 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 19:20:29 ID:/Wkm2F56
下腹部がきゅう、と収斂し、白濁とした本気汁を結合部から噴出す。
「にゃはっ♪ しまるっ、しまるよぉっ♪ 姉様のおマンコっ、最高だよぉっ♪」
「ああっ!? 駄目っ! すごいっ! ああっ!」
ばつっ、ばつっ、と恥骨同士がぶつかり合う程の激しいストローク。
ひっきりなしにじゅぷじゅぷと卑猥な音が響き、マリオンの濃い匂いを辺りに撒き散らす。
「はぁ♪ はぁ♪ マリオン様、いやらしいっ。
マリオン様のマン汁の匂いがぷんぷんしてっ――私もっ、もう我慢できませんっ」
ずるるるるっ、と背後から触手がせり出した音がした。
それが何かを理解する思考力はもう残っていない。
Gスポットを荒々しく削り、かと思えば焦らすように触手をグラインドさせる――
そんな、緩急の付いたリオの責めに頭がピンク色に染まっていた。
これ以上されたら壊れるかも知れない。
なけなしの理性がぼんやりと考えた直後――菊門に何かが触れた。
ずりりりりりっ!!
「んああぁぁぁぁぁぁぁっっ!!?」
「はああぁぁっ♪ マリオン様のケツマンコヴァージンっ、頂いちゃいましたぁっ♪
ああっ♪ いいっ♪ いいですぅっ♪ とってもしまりますぅ♪」
「ふにゃぁ♪ クロトさんがっ、姉様のお尻犯したらっ、にゃんっ♪
おマンコのしまりもっ、よくにゃったよぉ♪」
(あっ? おしりっ? おしりっ、犯されてるっ?)
肛門にとんでもない圧迫感を感じる。
二、三日便秘で溜まった排泄物をまとめて出そうとしてもこれほどではないだろう。
そして敏感になった体はアヌスに凹凸の激しい極太触手の感触を捉えた。
「あっ!? おしりにっ、触手――あぁぁっ! 触手っ、入ってるうっ!」
じゅぷっ、じゅぷっ、じゅぷっ、じゅぷっ!
「ああぁっ!? いやあっ!? だめぇっ! だめえぇっ!!」
ヴァギナとアナル。二つの穴を同時に触手で突き込まれる。
リオが突き込めばクロトも突き込み、腹の中腸壁越しに触手同士が触れ合う。
その衝撃に白目が剥く。子宮がきゅうきゅうと収斂していた。
それが絶頂だという事に気付かないまま、延々とサンドイッチファックが続く。
ずるるるるるぅっ!
「んぎいいぃぃぃっっ!!?」
今度は同時に、ゆっくりと二本の触手を引き抜かれていく。
ごりっ、ごりっ、ごりっ――
生き物のようにうねり、締め付ける肉ヒダ一枚一枚をいやらしい形状の凹凸が掘り返す。
陰唇から引きずり出される触手に、肉穴が離すものかと咥え込み、肉ビラが捲れ上がった。
女性器の内側が、チーズ臭を放つ本気汁と一緒に月明かりに晒される。
「あっ! ひっ!」
敏感になっているヴァギナを掘り返され、更なるアクメへと追いやられた。
初めての絶頂にしては快楽の総量が桁外れだ。
子宮がキュン、キュン――と何度も収斂する感触は空恐ろしくなる程の快感だった。
意識が真っ白になり、全身が浮遊感に満たされる。
息苦しい尻の圧迫感もそれでどこかに消えてしまった。
むしろ未だに尻を穿り返す触手の感触すらも気持ち良い。
まるでアナルとヴァギナが繋がってしまったようだ。快楽しか感じない。
マリオンは半開きの口から涎を垂らし、意味の無い獣のような声を上げる。
アクメの波にがくがくと痙攣しながら、二匹の魔物にがつがつと細い体を犯されて、
「ふにゃああっ! でるよぉ! もうだめえっ! どぴゅどぴゅするにゃぁ!
姉様にぃっ――にゃっ! にゃあっ! 姉様に種付けするにゃぁぁっ!」
「私もぉっ! 出ますぅっ! マリオン様の尻穴にぃっ!
触手ザーメンびゅるびゅるしますぅっ!」
じゅぷじゅぷじゅぷじゅぷじゅぷっっ!!
「にゃぁっ! にゃあっ! あっ! でるにゃっ! でるでるでるにゃぁぁ!!
にゃっ、にゃっ! にゃっ! にゃああっ!! にゃあああぁぁぁぁっっ!
にゃうううううううううううううぅぅぅぅぅんっっっっ!!!」
275 永久の果肉14 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 19:21:40 ID:/Wkm2F56
「あっ! いっ! ああぁんっ! でますでますっあああああっ!!
ああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!」
二本の触手がどくどくと脈動する。
射精される。真っ白になった頭でぼんやりと考え、
ぢゅうううぅぅぅっ!!
その直後に乳首と陰核に喰らい付いていた触手に吸引された。
『ああああぁぁぁぁぁあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあっっっっ!!!!!!』
びゅるびゅるびゅるびゅるびゅるっっ!!
どぴゅっ! どぷどぷどぷどぷどぷっっ!!
三人の嬌声が美しいとも言える和音を生み出した直後。
ヴァギナとアナルに大量の精液が流し込まれる。
びゅるびゅると底が無いかと思う程子宮と直腸に白濁とした粘液が注がれ、腹が膨張する。
強すぎるアクメに、腹が徐々に張っていく感覚も分からない。
白目を剥き、涎を垂らし、潮を吹き、尿を漏らし――
それが二匹の魔物が流す体液に混じって全身をぐちゃぐちゃに汚す。
クロトのおしべ触手が三人を祝福するように射精し、全員の体を白くコーティングした。
どろどろになった体でアクメを味わい、三人で強く抱き合う。
(――あったかい)
熱い粘液と、妹の温もりを感じて、心に僅かに平穏が戻る。
だが次の瞬間子宮口をこじ開けて、ぼこり、とアドニスの種子が侵入し――
その衝撃で意識を失った。
***
「また、派手にやったわねぇ」
遠巻きから三人の交わりを眺めていたネーアは溜息交じりに呟いた。
特にクロトの悶えっぷりは絶景だった。
肝が据わっているというか開き直ったというか。
最初は少しぎこちなかったが、最後はもう立派な女だった。
(相手がリオだから、かな?)
このシスコンめ。
くすりと笑みが漏れる。仲良き事は美しきかな。
(貴女達は今まですれ違ってばっかりだったんだから。
これからは仲良くしていきなさいよ。ずっとね)
粘液に塗れた三人を見ながらそう思う。
傷心のクロトを元気付ける為にも今回は『ベッド役』を辞退したのだが。
中々具合が良さそうなので今度は自分も混ぜてもらおう。
「にゃぁ…姉様ぁ♪」
「あらぁ? マリオン様、気絶してますねぇ?」
「にゃうぅ。起きたらもう一回だにゃぁ♪」
「はいぃ♪」
当分自分の出番は回って来ないようだ。
「…やれやれね」
まあ、いいだろう。時間ならいくらでもある。
この四人で永遠にじゃれ合い続けるのもいいだろう。
――不意に視界が歪んだ。
「――あら?」
目にゴミが入ったのかと思い、指で瞳を拭う。
細い指が涙で濡れていた。
276 永久の果肉14 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 19:22:56 ID:/Wkm2F56
(泣いてるんだ、あたし)
アネモネになっても泣くんだなー。
と思いながら、この二百年間、ずっと涙を堪えてきたのを思い出した。
(あ、そうか。嬉し涙か、これ)
それもそうか。
昨日まではずっと独りだったのに。
今ではリオ、マリオン、クロト――三人の仲間がいる。
皆良い子で、彼女達と一緒ならどんな困難も乗り越えられえる気がする。
(…何か、生きてて良かった、って…そんな気がするわ…)
二百年に渡る逃亡生活も、この瞬間の為だと思えば、報われた気がした。
ただ、惜しむらくは――リオの気持ち。
「にゃう♪ にゃうぅん♪ ぺろぺろっ♪ ちゅっ♪ ちゅっ、ちゅぅ♪」
気絶した姉にじゃれつくネコマタと悪魔と人間のハーフの娘。
彼女は果たして救われたのだろうか。
人を止め、家を出、大好きな父と別れ、母親の仇も取れなかった。
そんな彼女を、自分が幸せにしてやる事が出来るだろうか。
(リオのお母さん、か)
もしくはその代わりだ。
まあ、これだけ歳が離れていれば娘、という感じもしないではない。
肌を合わせ、契りを結んだ仲であり、リオの事も少しは分かるつもりだ。
気がかりは、今のリオがどこか無理をしている事だ。
「姉様大好きにゃぁ♪」
ちゅう、と唇を合わせるリオを見ながら思う。
単に甘えてるだけにも見えるが、彼女は少なからず後悔している。
家を出るのも彼女の意思だが、それも後ろ髪を引かれるような想いだったのだ。
百歩譲って、父の事は諦めがついたのだろう。
自分を想ってくれる姉も一緒に着いて来る事になり、彼女は幸せとも言える。
だが、リオの心にはぽっかり穴が開いていたのだ。
今の彼女は、その穴を埋めようとマリオンに甘えているように見える。
ハッピーエンドかと思ったが、まだ一つ、何かが足りない。
それが何かを考え――
遠くから、人の気配が近付いてくるのを感じた。
***
盛大な3Pを終えて三十分も経った頃だろうか。
マリオンが『うぅん…』と呻き声を上げた。
「姉様? 目が覚めた?」
「り…お…?」
こちらを見返すブルーの瞳はどこかぼんやりとしていて、彼女はまだ夢の中にいるようだ。
「そうですよ♪ 私はリオですよ、姉様♪」
語尾にハートマークが付きそうな猫撫で声の後、姉の唇に唇を重ねる。
ちゅっ、と唇を合わせるだけのものだったが姉の目覚まし代わりにはなったらしい。
瞳に意思の光が戻り、阿呆のような顔が羞恥に染まっていく。
「ぅわぁ…っ」
「にゃう♪ 姉様可愛いにゃぁ♪」
すりすりと頬擦り。
ぶっ掛けられた触手汁がほっぺたで塗り伸ばされてぐちゃぐちゃと音を立てた。
別に狙った訳ではないが、その際に繋がったままの触手が捻れてマリオンが嬌声を上げる。
「…っ、まだ、刺さってる、のっ?」
「そうだよぉ♪ 姉様のおマンコが、今でもキュウキュウしめつけるにゃぁ♪」
「尻マンコの具合も大変いい具合ですぅ♪」
「いやだから…そういうエロイ言い方って…」
277 永久の果肉14 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 19:24:13 ID:/Wkm2F56
「にゃぁに? 姉様、今更怖気付いたにゃぁ?
リオ達と一緒に来るっていう事はぁ、こうやっていつでもどこでもエロエロしちゃう――
って事なんだよぉ? だからぁ、猥語くらい慣れないと駄目にゃぁ♪」
ネーアと交わった時、彼女に言われた事と同じ事を姉にも言ってやる。
魔物になる事、また魔物と共に行く者の為の通過儀礼のようなものだった。
「うぅ…頑張る…」
「その意気にゃぁ♪」
抱き付いて、熱い抱擁を交わす。
ただ、全身にクロトの粘液をぶっ掛けられている状態だった。
なので身じろぎをする度にヌチャヌチャと肌と合わさった場所から派手に音が鳴った。
アクメ後で敏感になった肌同士が粘液越しに擦れて、それだけで蕩けそうになってしまう。
「んっ!? も、…もうっ、どろどろじゃない…っ」
「そうだねぇ♪」
「アソコも、お尻も、ずっと刺さりっぱなしで……穴、広がる…」
「にゃう♪ そうなったら私達の触手じゃないと満足出来なくなっちゃうね♪」
「それ、本気で言ってるのか冗談で言ってるのか分からない」
「にゃははは…っ」
三人で穏やかに笑い合う。
幸せだった。人間だった時の頃と比べて、今はまるで天国にでも居るようだ。
こんなに幸せになれるのだったら、やっぱり人間を止めて良かったと思っている。
けれど――
「姉様?」
「何?」
「本当に、良かったの?」
「…今更そんな、水臭い」
「んにゃ…そうなんだけど……でも……
私、姉様の中にアドニスの種子、植え付けちゃったよ?」
種子が成長すれば姉もクロトのようにアネモネになってしまう。
二本の脚で大地に立つ事が出来なくなり、剣も使えなくなるだろう。
記憶や人格はそのまま継承されるが、その魂は最早人間の時とは別物なのだ。
魔物になれば、本能には逆らえなくなってしまう。
ドス黒い欲求が体中を駆け巡り、衝動の赴くまま人間達に害を与えてしまう。
それをこの身を以って知っているのだ。
自分はいい。自ら選んだ道だ。
クロトも、ここまでこればどうしようもない。
アネモネ化させてしまった責任として、死ぬまで面倒を見てやるつもりだ。
(けど、姉様は?)
姉までもアネモネとなってしまったら――
ところがマリオンはこちらの心情を察してくれたのか、笑顔で答えてくれた。
「いい。別にアネモネになっても」
「でも…」
「というか。私だけ仲間外れにしないで」
姉だけ人間のままでは大なり小なり後ろめたい、という事だろうか。
(でも、自分の体の事なんだから。もっと考えてくれないと。
私と違って人間としては将来有望なんだし。もう種付けしちゃったけど)
はあ、と思わず溜息を吐いてしまう。
姉の同意の元とはいえ、種付けは早計だったか。
欲を言えば姉には人間のままで居てもらいたかったのだ。
「ちょっとリオ? 貴女真剣に悩み過ぎよ?」
横合いから掛かった声はネーアのものだ。
今の今まで傍観を決め込んでいたのに――何か思うところでもあるのだろうか。
というか腹のアドニスを通じて彼女がどうにもこの状況を楽観的に捉えているのが分かる。
「だって、勢い余って――という訳ではないですけど。いや、それもあるかもしれないけど。
姉様に種付けしちゃったんですよ? 姉様、アネモネになっちゃう」
「なって欲しくないの?」
「それは……多分…」
278 永久の果肉14 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 19:25:42 ID:/Wkm2F56
なんだか自分でも良く分からないが、姉には人外にはなって欲しくない。
「そう? なら、ならなければいいんじゃない?」
『え?』
姉妹が、同時に目を丸くした。
何だそれ。まるで、嫌ならアネモネにならなくてもいい、みたいな言い方。
「どういう事ですかぁ?」
「皆勘違いしているみたいだけど。
本来アネモネって成体になったアドニスと女性が完全に同化した姿の事を言うのよ?
種子を植え付けられたからって、絶対にアネモネになるわけじゃないわ」
今度はクロトを含めて、三人で顔を見合わせた。
「普通、女が子宮の中で種子を育てて、産んで、それから同化するまで二、三日掛かるのよ。
まあ、クロトの場合はリオのせいでそれが何倍にも早送りされちゃったみたいだけど。
兎も角、産んだアドニスと同化するまでタイムラグがあるのよ」
「あ、そうか。それじゃ、アドニスと同化してアネモネになるかどうかって、」
「そう。本人が決められるのよ。
まあ、それまで散々エッチして頭の中ピンク色一色だろうから。
大抵自分から進んでアドニスと同化しちゃうんだけどね。
それにもう一つ。アドニスは十分な魔力を蓄えないと成長しない。
それにどころか下手をすれば枯れてしまうわ」
「あっ、そうかっ」
屋敷での戦いの時、メイド達に植え付けたアドニスを全て枯らしてしまった。
つまり。魔力を吸い取れば、マリオンの中のアドニスをいつでも枯らす事が出来る。
「リオの中のアドニスがいつまで経っても成体にならないのもそのせいね。
蓄えた魔力を、種付けや戦闘に使っているから全然成長していないのよ」
「…そういえば、そうですね」
「まあ、折角植え付けた種子だし。私にとっては孫みたいなものだから。
アドニスを枯らす事は出来れば避けて欲しいところね。
兎も角、そういう事だから。何も心配する必要は無いわよ?」
姉妹でもう一度顔を見合わせた。
「なんか、拍子抜け。覚悟してたのに」
「あらあ? 別にアネモネになってくれてもいいのよ?
あたしとしては仲間が増えるならそれに越した事はないからね♪」
「…それに関しては保留という事で」
「そ。期待せずに待ってるわ」
(何だ、それじゃぁ、何も心配する事なかったんだ)
ネーアの言うとおり、自分が悲観的過ぎただけだ。
「えへへへへ…♪」
嬉しさの余り、すりすりと姉に頬擦りする。
もう、何か幸せ一杯だった。
今までリビディスタの屋敷で肩身の狭い想いをしながら生きてきた。
自分の存在理由も分からなくて、心の底から信じる事が出来る人も居なくて。
生きているのか死んでいるのか良く分からない、薄っぺらい生を送ってきた。
父に陵辱され、母に疎まれ――リビディスタの屋敷は自分にとって牢獄だった。
だがそんな辛い日々も、今となっては思い出だ。
自分はもう一人じゃない。
ネーアが居る。
マリオンが居る。
クロトが居る。
もう、寂しい思いはしなくていい。
でも、何か、足りない。
『リオっち♪』
栗色の髪に、犬耳のような癖毛を持つメイドさん。
279 永久の果肉14 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 19:26:53 ID:/Wkm2F56
パセットが、ここには居ないのだ。
「リオ?」
「? どうしたの姉様」
真剣な目をした姉がこちらを見詰めていた。
「あの子、置いてきて良かったの?」
今の心中をずばりと言い当てられて鼻白む。
鈍感だと思っていた姉に心の機微を読み取られるなどとは夢にも思わなかった。
思わずバツの悪そうな顔をしてしまう。
「…いいんだよ。きっと」
そう。自分はそう思ったから眠ったままのパセットを起こす事無く屋敷を出た。
「だって。パセットちゃんはもう何年も私の為に頑張ってくれたもん。
もう、自由にならなきゃ」
パセットはずっと一緒に居てくれた。
どれだけ怒っても、八つ当たりして理不尽な事を言っても。
ずっと笑顔を見せてくれた。
どう考えても悪いのはこっちなのに嫌な顔一つする事は無かった。
けれど、全く苦痛でない筈がないのだ。
屋敷、という閉鎖された空間の中で、こんな陰気な少女に付っきりなのだから。
口にこそ出さなくとも、腹の中には色々と溜め込んでいる筈なのだ。
「私みたいな子に構って、一生を棒に振る事は無いよ」
そう。それがパセットの為だ。
「それに私、もう人間じゃないし」
えへへ、と笑う。
「それ、私にも同じ事が言える?」
姉が真剣な表情で問い掛けてきた。
「私も、立場としてはあの子と同じ。でもリオに付いて来た」
「それは、姉様は、ずっと私の事を思ってくれてたからだよね?
でもパセットちゃんは仕事で」
「…リオのばか」
「…え? 姉様?」
「私もばかだけど、リオもばか。鈍感」
「え、ええっ?」
「私もあの子も変わらない。リオの事、大切に思ってる。
私は妹として、あの子は……多分、友達として。
仕事だからとかじゃないの。あの子はリオの事、そんな風に思ってない。
じゃないと、リオが屋敷から居なくなった時、泣いたりしない」
「え?」
(泣いてたの? あのパセットちゃんが? 私の為に?)
あの元気の塊のような娘が、泣いていた? 信じられない。
もう三年以上一緒に居るが彼女が泣いているところなんて見た事が――
(――あ、そういえば。街でパセットちゃんと再会した時、泣いてたような…)
おっぱい揉ませろとか何時も通りの冗談を言っていた気もするが。
あの時のパセットは嬉しさ半分怒り半分といった感じ状態だった。
そう、彼女は心配してくれていたのだ。
メイドとその主人、としてではなく。
たった一人の親友として。
(――でも)
「だったら尚更…そんなパセットちゃんを、私は巻き込みたくない」
大事な友達だからこそ、人として幸せに生きて欲しい。
魔物となった自分に付き合って、危険な目に遭って欲しくないのだ。
ネーアやクロトと共に行く以上、人里には近付く事が出来ない。
魔物が蔓延る、こんな森の中を常に歩く事になる。
アネモネのガスや、姉妹の戦闘能力を考えればある程度の安全は保障出来るだろう。
だがそれも絶対ではない。
常に死と隣合わせになるかもしれない。
280 永久の果肉14 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 19:27:56 ID:/Wkm2F56
そんな危険な旅に、何の力も無い友人を連れて行く事なんて出来る筈が無かった。
「でも、それはリオの我侭」
「それは、そうかもしれないけど。いいの! 我侭でも!
私はパセットちゃんに付いて来て欲しくないの!」
もし、襲い来る魔物達からパセットを守り切れなかったら。
自分の力が及ばないせいで彼女が傷を負うような事になったら。
自分は一生後悔するだろう。
あの時、一緒に連れて行くんじゃなかった――と。
そんな想いをするくらいなら、最初から、
「でも、あの子はそうは思ってなかったみたいね」
遠巻きから見ていたネーアがポツリと呟いた。
「え?」
遠くの山から日の出が見え、薄暗い視界が徐々に明るくなってくる。
すると眼下に広がる山間の獣道から人影か近付いてくるのが分かった。
その人影は息を荒げながらしゃむにに走り、こちらへと向かってくる。
大きな旅行鞄を背負い、メイド服を着用し、栗色の髪を揺らす彼女は間違いなく、
「パセットちゃん!?」
「――ぜえっ! ぜっ! はあっ!」
メイド服の少女は魔物三匹と人間一人の輪へと接近すると、膝に手を付いて息を整えた。
全員が見守る中、その少女は顔を上げて、
「うっわエッロっ!?」
顔真っ赤にして背中を向けてしまった。
そう言えばこちらはマリオンとエッチして、そのままの姿だ。
クロトの花の上で、三人が密着したまま、今も二本の触手で繋がっている。
刺激の強い光景だった筈だがメイドの少女は背を向けたまま大きく深呼吸。
それを三、四回繰り返して、くるり、とこちらに振り向いた。
「頼もーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっっっっっっっ!!!!!!」
山中に響き渡る大声だった。
遠くの方で野鳥の集団が羽音を立てて、一斉に飛び立つのを見た。
「いや。そんなに大きな声ださなくとも聞こえるから」
全員が全員耳を押さえていた。
「う。面目無い。体力有り余ってたんで」
(息を切らせながら走ってきた癖に…)
まあ、それだけ必死だったという事か。
この森の中を一人で来るからには何かしらの準備もしていたと思うが。
それにしたって余程の覚悟と度胸がなければ出来る事ではない。
(私に、わざわざ会う為に。そんな事)
やっぱり危険だ。
今回は何とか追いついてきたけど、これ以降一緒に居て無事で居られる保障は無い。
マリオンと違ってこの子は何の力も無い只の少女なのだから。
「パセットちゃん。帰って」
「え?」
281 永久の果肉14 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 19:29:26 ID:/Wkm2F56
冷たく、突き放つような言葉に、流石の少女も困惑した表情を浮かべた。
「ど、どうしてさ…っ、どうしてそんな事言うのさっ。
パセットは、リオっちのメイドさんだぞ!
ご主人様が居ないと、パセットはメイドさんじゃなくなっちゃうんだぞ!?」
「パセットちゃん? リオ=リビディスタはもうこの世の何処にも居ないの」
マリオンから触手を引き抜き、花から飛び降りる。
魔力を制御し、裸体に黒く、卑猥なゴスロリドレスを纏わせた。
じゃきり、と爪を伸ばし、そのまま右手をメイドへと突きつける。
「私はモンスター。人を襲い、犯し、精を吸う恐ろしい魔物なの。
分かるパセットちゃん? 私にもうメイドさんはいらないの。
だから帰っ、」
「ふ、」
「…ふ?」
カタカタとパセットが肩を震わせていた。
俯き加減で表情は見えない。
シュトリの能力で彼女の心を読み取ろうと目を凝らして、
「ふっざけんなああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっ!!!!!!」
彼女の怒りが叩き付けられた。
「にゃうっ!?」
そのまま地面に押し倒されてしまう。
こっちは凶器だって持ってるのに、怖くは無いのか。
「二回だ!」
「え?」
「二回もっ、居なくなったんだ! パセットの前から!
何も言わずにっ、いきなり消えて! 何でっ!? どうして黙って行くのさ!?
パセットの事、嫌いなのか!? ならいい! それならパセットも諦める!
諦めて里に帰ってやる! けどっ、パセットの事少しでも好きなら、諦めない!
リオッちが何と言おうと付いて行ってやる! 地獄でも何処でもね!
さあリオッち!! 大嫌いっ、って今ここで言ってみろ!
パセットの目を見て言ってみろっ!!」
メイド少女の持つ気迫に完全に呑まれていた。
涙目で、歯を剥き出しにしながら激昂する友人の気持ちが痛い程伝わってくる。
置いてけぼりにされた事を不甲斐無く思い、同時に置き去りにしたこちらを恨んでいた。
そしてその激しい感情の奥に根ざしてるのは――純粋な好意なのだ。
「嫌いな訳、無いじゃないっ」
そんな人間を、どうして嫌いになれよう。
「私、パセットちゃんの事、大好きだもんっ!」
「だったらっ」
「だから、だよ! 私、パセットちゃんには幸せになって欲しいもんっ!
私みたいな化け物に付いて来たら、絶対に不幸になるもんっ!
だから、だからパセットちゃんの事を置いて来たのにっ!
どうして分かってくれないのっ!?」
「ひゃっ!?」
体を起こし、こちらを組み伏せていたパセットを突き飛ばす。
尻餅を付いたパセットが苦痛の声を上げ、思わず『あっ』と声を上げる。
が、そんな動揺を悟られまいと背中を向けると、押し殺した声で言い放つ。
「痛いでしょ? 私、もうモンスターなんだよ?
それはパセットちゃん本人がよく知ってる筈だよね?
だって嫌がるパセットちゃんを犯して、無理矢理種子を植え付けたのは、私なんだから」
溢れ出る衝動のままパセットを陵辱し、その精神を破壊した。
それも一時的なものだったらしく今はこうして元気に振舞っているが。
「私達と一緒に来るっていう事は、また同じような目に何度も遭うって事だよ?
ううん。ひょっとしたらもっと酷い事をするかもしれない。
暴走した私は、自分でも止められないのっ」
282 永久の果肉14 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 19:30:53 ID:/Wkm2F56
両腕強く自分の体を抱き締める。
この細腕にはパセットくらいなら簡単に八つ裂きで切る力がある。
そして魔物の本能は、完全に抑制する事は出来ない。
我慢は出来ても、いつか必ず爆発する時が来る。
その時に、目の前の友人に手を出さない、という自身が無い。
「私、怖いのっ!
また昨日みたいに暴走したら、パセットちゃんにもっと酷い事をするっ。
ひょっとしたら、殺しちゃうかもしれないっ!
そんなの絶対に嫌なのっ!! だからっ、だからっ」
最後は言葉にならなかった。
ぽろぽろと涙が溢れてきて、泣きじゃくってしまう。
こうして人間らしい感情はあっても、自分の中には確かに魔物が居るのだ。
パセットには、その餌食になって欲しくない。
「――リオッちの言いたい事は分かった。
まあ、言ってみれば前科持ちだもんね。心配になるのも分かる」
パセットはどっこらしょっと、なんて言いながら立ち上がり、スカートを両手ではたく。
それから何かを考えるように顎に手を当てて――
「ポクポクポク――チーンっ!」
何か閃いたらしい。擬音をわざわざ言葉にして言うあたりらしいというか何というか。
「大丈夫! リオッちはパセットに酷い事しないって!」
なんて、あっけらかんと言うのだった。
「な、何でそんな事言えるのっ!? 昨日の今日だよ!?
酷い目に遭ったばかりでしょ!?」
「何となくだ!! それじゃ悪いか!?」
「えぇ!? 何も根拠が無いの!? さっき何か考えてるみたいだったのに!?」
「ウチの婆ちゃんは言っていた! 『馬鹿は考えるだけ無駄』と!!
余計なお世話だっちゅーねん!」
セルフ突っ込みを入れるパセットに一同愕然としていた。
「だから根拠は無い!!」
「そ、そんな無茶苦茶な!?」
「リオッちどうだ!? 自分を信じられないか!?」
「あ、当たり前だよ!」
「けどパセットはリオッちを信じる!」
「そ、そんな事言われてもっ」
「なら自分を信じるな! パセットを信じろ!
リオッちを信じる、パセットを信じるんだ! これなら問題ナシ! 万事解決ぅッ!」
(もう訳わかんないよぉっ)
思わず頭を抱えてしまう。
「リオ、観念なさい。貴女の負けよ」
「ネーアさん…」
「ほらリオッち。そこのお花のお姉さんもそう言ってる事だし。ね? ね? ね?」
そう言って笑うメイドの少女は、大地を照らす太陽のように眩しい。
その笑顔に何度助けられた事だろう。
(……そっか、私はパセットちゃんに恩返しをしなきゃならない)
彼女がそう望むなら、その我侭を叶えてあげるというのが筋だろう。
じっと、パセットを見詰めて、
「ほんとに、いいんだね?」
「おうさ!」
「私、もう魔物さんだよ?」
「しつこい! リオッちはリオッちだ!」
283 永久の果肉14 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 19:32:00 ID:/Wkm2F56
「また、悪い事するかもしれないよ?」
「そんときゃパセットが張り倒してでも正気に戻してあげるさ!」
「…どうして…」
どうしてこの少女は、こんなにも自分に尽くしてくれるのだろう。
いや、本当は分かってる。
パセットが自分をどう思ってくれてるのか。
ただそれを、言葉にして欲しかった。
冗談ではなく真剣に。
相思相愛の恋人同士が愛を囁き合うように。
「だって友達じゃん♪」
ほら。やっぱり。
馬鹿なパセットちゃん。
ただ友達、なんて言う理由だけで、お屋敷での生活を捨てて、一緒に付いて来るなんて。
ほんと、救いようの無いお馬鹿さん。
「パセットちゃんって、真性の馬鹿だよね」
「にゃにぃ!? 昨日エッチした時『ずっと一緒ぉ♪』とか言ってたのはこの口だぞ!?」
「あにゃっ!?」
ぐい、と唇を左右に引っ張られて間抜けな顔を晒した。
「にゃったにゃぁ!」
「ふひっ!?」
負けじとパセットの唇を左右に引っ張ってお返しする。
「ひほっちへんふぁふぁおー!」
(リオッち変な顔ー!)
「ぱふぇっふぉふぁんふぁってへんふぁふぁおー!」
(パセットちゃんだって変な顔ー!)
「ひほっひふぉほうふぁへんふぁ!」
(リオッちの方が変だぁ!)
「ぱふぇっふぉふぁんふぉほうふぁへん!」
(パセットちゃんの方が変!)
ぎりぎりと唇を引っ張り合って激しい攻防戦を繰り広げる。
子供らしい喧嘩を、皆がが生暖かい目で見守っていた。
『あはははははっ』
朝焼けの森に二人の少女の笑いが響く。
リオとパセット。魔物と人間。主君と従者。
いや、そんなしがらみをものともしない、強い絆を彼女達は持っている。
この五人の行く先には、きっと様々な試練があるだろう。
人間からも、魔物からも疎まれたこの五人はきっと何処にも受け入れてはもらえない。
でも、きっと大丈夫。この五人ならどんな困難も乗り越えられる。
天国のお母さん。私を産んでくれてありがとう。
姉様も、パセットも、こんな私に付いて来てくれてありがとう。
私は今、とっても幸せです。
そして願わくば、どうかこの幸せがいつまでも続きますように。
ずっと。永久に。
284 乙×風 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 19:34:01 ID:/Wkm2F56
はーい最終話終了です。皆様お疲れ様でした。
70KBは長かったですねぇ(汗 、何でこんなに長くなったのだか。
お時間を取らせてしまってほんと申し訳ない。
せめて、時間を忘れるほど愉しんでもらえたらいいのですが。
今回、エッチシーンを入れたおかげでマリオンのキャラがぐんと立った気がします。
自分の体にコンプレックスを持ってるマリオンは裸になる度に、
『…どうせ貧相だし…』
とか言いながら瞳をうるうるさせてちょっぴりいじけるわけですな。
逆に褒めると嬉しそうな顔をして、上目遣いで『本当?』なんて聞いてきます。
不器用なおねーさんがそんな時だけ子供っぽくなるというギャップが実にエクセレント。
とか馬鹿な事を考えながらエチシーンを書いていました。あほですね。
さあ、今から後日談を書く作業に戻ります。二週間くらい掛かるかな?
来週には経過報告も兼ねて次回予告だけでも投下しようと思います。
いつものように誤字脱字感想等よろしくお願いしますー。
それではまたお会いしましょう。
ロリータっ、万歳!!
皆様お待たせしました。乙×風です。
推敲に時間を掛け過ぎたみたいで月曜には投下できませんでした。申し訳ない。
前回のお話ですがクライマックスだけあって高評価のご様子。
私も執筆した甲斐があったというものです。
誤字等のご指摘もありがとうございました。
さて、永久の果肉エピローグを投下します。
(だいぶ長い、会話シーン多め、3P、大団円)
NGワードはこんな感じですか。
筆が乗っているせいでかつてないボリュームになっています。
エッチシーンはマリオンがリオとクロトの二人掛かりで責められて大変そうですw
勿論和姦ですよ。
こんなところですか。
以下本編です。お時間を取らせて申し訳ないですが良かったらごゆっくりお楽しみ下さい。
28レス程消費します。
257 永久の果肉14 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 18:59:41 ID:/Wkm2F56
最終話 ずっと一緒
夜も更けた丑三つ時。
静まり返ったリビディスタの屋敷――その一室から光が漏れていた。
正面玄関の真上、ドルキの寝室だ。
部屋の中にはドルキ、グリーズ、リオ、マリオン。
リビディスタの家族四人と、ネーアの姿がある。
「怪我はもういいのか」
窓の外をぼんやりと眺めていたドルキにグリーズが声を掛けた。
ええ、と頷き、振り向いたドルキの顔には、確かに傷らしい傷は残っていない。
だが、傷が癒えたとしても自分が取り返しのつかない事をした、という事実は消えない。
血は繋がっていなくとも、実の母親に暴力を振るった罪は許されるものではない。
「…ごめんなさい」
思わずリオは呟いていた。
母が憎い。それは変わらない。
しかしだ。だからと言ってドルキに復讐しても何の解決にもならない事に気付いたのだ。
仮にそれを果たしたとしても、今度はマリオンが、グリーズが悲しむ事になるのだから。
憎悪は連鎖する。どこかでそれを断ち切らなければならない。
スカートの端を掴み、握り締める。
母は、リシュテアはどうしたら報われるのだろうか。
自分が復讐を果たせばいいのだろうか。
それとも――
「リオは悪くない。母様が悪い」
ぽん、と肩に手が置かれた。
振り仰げばポーカーフェイスのままのマリオンがドルキを見詰めている。
ここにいる五人が全員、事の経緯を知っているのだ。
ドルキが企てた、リシュテア暗殺を。
街を混乱に貶めた今回の事件、その責任は誰にあるかと言えば、間違いなくドルキなのだ。
それもドルキ本人は分かっているのか、魔女は娘の辛らつな言葉に何の反論もしなかった。
「信じられない。お義母様を毒殺するなんて。見損なった」
「それに関してはワシも同意だ」
便乗したグリーズの態度にショックを受けたのだろうか。
ドルキが顔を上げ、縋るような視線を彼へと向ける。
それを見ると流石のリオも哀れに思えてきた。
永年慕ってきた夫にさえ見限られるのだから、その絶望は計り知れないものだろう。
「……もういいです…」
気が付けば、そんな事を口にしていた。
意外な所から出た助け舟に、全員の視線が集中する。
今回の件で最も心に大きな傷を負ったのはリオ自身だ。
その彼女からドルキを庇うような言葉が出てくるとは皆、夢にも思わなかったのだろう。
「一歩間違えれば…私も、お義母様と同じ事をしていたんですから…」
ドルキに重症を負わせ、グリーズを殺しかけた。
ドルキが責められるなら、自分も責められてしかるべきだろう。
「だから、もう、いいです…」
「私は納得出来ない。母様にはお義母様を殺した罪をちゃんと償って欲しい」
リシュテアを一番慕っていたのはマリオンだ。
ドルキの罪を許せる筈も無かった。
「街の皆にも真実を話して。その上で魔女の称号も返還して」
リビディスタの創設者が嫉妬の余り恋敵を謀殺した。
その事実を白日の下に晒せと言っているのだ。
だが、そんな事をすれば栄華を極めたリビディスタの家系は破滅だ。
ドルキ一人の問題ではなくなってしまう。
その事にマリオンも気付いたのか、急に口を閉ざし、俯いてしまった。
「あーもーっ、まだるっこしいわねぇ…っ。
家族揃って五体満足で生還出来たのよ? もっと喜びなさいよっ」
「そんな単純な問題では無い」
258 永久の果肉14 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 19:01:54 ID:/Wkm2F56
「貴方達人間がややこしく考えてるだけよ。
ようはそこの女に、リオの母親を殺した償いをさせればいいんでしょう?
だったら簡単よ。そこの女、」
「…ドルキですわ」
「そう。ドルキがリオの事をちゃんと育ててあげればいいのよ。
死んでしまったリオの母親の代わりにね。
私がリオのお母さんだったら、そうして欲しいって思うわ」
「それは…そうかもしれないですけど」
思わずドルキとリオ、二人が顔を見合わせ――余りの気まずさに視線を逸らす。
(あれだけ憎み合ったんだから、いきなり仲良くしろなんて言われても…)
「大体、問題はそれだけではありません。
このむす――こほん――リオの体は人外となったままです。
お腹の中には貴女が寄生させたアドニスもあるのですよ?
その責任はどう取るおつもりですか?」
「それこそリオの気持ち次第よ。
アドニスは体内の魔力が枯渇すれば枯れるわ。
リオが寄生させたメイド達のアドニスもそうよ。
さっきの戦いでリオに魔力を吸収されたせいで根こそぎ枯れちゃったわ。
後遺症も無く、生活に復帰出来るでしょうね」
「貴女がリオのアドニスの力を吸収すると?」
「まあ、リオが望むなら。リオの力を借りてそうしようかな、って話よ」
「でもネーアさん。お腹の中のアドニスが消えても、私の体は人間には戻りませんよ」
それには何の根拠も無いが確信めいたものがある。
一度覚醒してしまった魔物の血はそう簡単に抑え込む事は出来ないだろう。
ドルキと顔を合わせていれば、また暴走して彼女に傷を負わせてしまうかもしれない。
「それに私、言いました。ずっとネーアさんの傍に居るって。
それは今でも変わりません」
父の事を知り、母の事を知り、姉の事を知った。
自分がどれだけ愛されているか。
人間の生もまだまだ捨てたものではないと思った。
しかし思うのだ。
仮に自分が再びリビディスタの生活に戻ったとして。
その生活は幸せなものなのだろうか。
『武芸の家に悪魔が住み着いている』。
そんな噂が流れれば、姉にも父にも迷惑を掛けてしまう。
それでは人であった時と変わらない。
それにネーアはどうなる。
屋敷から飛び出した自分を保護し、慰め、契りを交わした彼女を放り出す気か。
ネーアは教えてくれた。
二百年における逃亡生活がどれほど寂しく、辛いものか。
人外の身でありながら、人の心を残している事がどれほど苦痛か。
そんな彼女を放っておけない。
(なんだ。最初から、答えは出てたんだ)
ネーアの言うとおり、ややこしく考える必要はなかった。
「私、リビディスタを出ていきます」
リオの言葉に一同が驚き、眼を見張った。
「ちょ、リオっ! 貴女本当にそれでいいの!?
折角お父さんと仲良くなれたのにっ、それをみすみす諦めるような…っ」
「それは…父様とはもっと一緒に居たいですけど」
ちらり、と横目で父を伺う。
娘が家を出ると言っているのに彼は相変わらずのポーカーフェイスだった。
だが彼も娘と心を同じくしている筈だ。
あの激しい戦いの時交わした言葉が、偽りとは思いえないから。
259 永久の果肉14 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 19:02:54 ID:/Wkm2F56
「貴方もっ、リオともっと一緒に居たいんじゃなかったの!?
家族の団欒とかは……あー、ちょっと想像出来ないけど…。
それでも、剣の稽古とかさっ、一緒にしたい事色々あるでしょうにっ」
「…そうだな…」
ふ、とグリーズの顔が僅かに綻んだ気がした。
彼が表情を見せる事は少ない。
もし見せたとしたら、それは彼の心情に大きな変化があった時だ。
今は野暮だと思い、シュトリの能力は使っていない。
だが父の心境が如何なるものか、大体分かるようになってきた気がする。
「だが。ワシには責任がある。
この街を三十年以上の月日を掛けて作り上げ、それを管理する責任がな。
リビディスタの家柄を穢す訳にもいかんのだ」
「あっきれた! この甲斐性無し! 唐変木!
結局リオよりも、過去の栄光に縋っているだけじゃない!
本当の父親なら娘一人くらい救ってみなさい!」
ばんばんっ――テーブルに触手を打ち付けながら抗議をするネーア。
その様子にグリーズとドルキが顔を見合わせた。
「言った通りだろう?」
「え、えぇ…本当に…怖いもの知らずというか、豪気というか。
野蛮というか――あら、失礼。聞き流してくださいませ。
兎も角、口の利き方があの女そっくりですわ」
夫妻で視線と言葉を通わす姿に、ネーアが、リオが首を傾げた。
マリオンはと言うと珍しく、くすくすと忍び笑いを漏らしている。
「な、何なのよ…二人して……マリオンも、気持ち悪いじゃない」
「いや、お前を見ているとリシュテアを思い出す」
「見た目は違いますが……雰囲気がそっくりなのです」
「……確かマリオンにも同じような事を言われたわ。
よっぽど似てるのね、リオのお母さんに」
(ネーアさんが、私のお母様にそっくり?)
今度はネーアとリオが顔を見合わせる番だった。
成熟した女としての美しさと、どこか少女としての可憐さを併せ持った不思議なアネモネ。
肌も髪も瞳も、人とは異なる翠の一色。
いや、内面の話なのか。
『命を粗末にするんじゃないの!』
お節介で。
『どうしてって、体、弱いんでしょ? 無理させたくないもの』
優しくて。
『ご馳走様♪ リオのお汁、とっても美味しかったわ♪』
エッチで。
『ねえリオ。やっぱり。モンスターになるなんて嫌?』
でも実は寂しがり屋さん。
「この子の、面倒を見てやってくれ」
唐突に、グリーズがネーアにそんな事を言った。
「は? ちょ、ちょっと待ってよっ。いきなりそんな事言われても」
「貴女なら……そう……あの女の代わりになれますわ」
「私もそう思う。ネーアなら、安心してリオを任せられる」
「み、皆して何なのよ一体…」
困り顔をするネーアに、更に追い討ちを掛けた。
260 永久の果肉14 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 19:04:07 ID:/Wkm2F56
「ネーアさん。私を一緒に連れて行くって言ってくれました。
ずっと一緒だって、言ってくれました。
エッチまでして、私を魔物にしてくれました。
あれは嘘だったんですか? 遊びだったんですかっ?
私を、騙したんですかっ!?」
瞳を潤ませながらまっすぐにネーアを見詰める。
ひっくひっくと嗚咽を漏らしながら、涙声で彼女に訴える。
「え、ええぇ!?」
上目遣いに見詰められたネーアは明らかに狼狽した。
続けざまに家族三人から敵意の篭った眼差しがモンスターの女に集中する。
家族からすれば可愛い娘を行きずりのモンスターに寝取られたようなものだ。
そして根が真面目なネーアは大なり小なり後ろめたく思っている筈なのである。
「う、嘘なんかじゃないわよ!? あれは本心よ! 神様なんか信じないけどっ。
居るんなら誓ってもいい! あたしは今でもリオと一緒に居たいと、」
「じゃあ決まりですね♪」
ぴたりと泣き止み、笑顔を浮かべたリオに、ネーアが呆然とした。
「だ、騙したわねっ!?」
「私、悪魔だもーん♪」
ぺろりと舌を出して悪戯っぽく笑う。
「あ、貴女って子はーーっ!!」
触手を展開して迫るネーアから逃げるように狭い室内を駆け回る。
「きゃはははっ」
「こらーーっ! 大人をからかうんじゃないのー!」
どたんばたんと家具を薙ぎ倒しながら傍迷惑な追いかけっこが始まった。
「あの…ここが私の部屋だとお忘れですか?
というか静かにして下さいな。屋敷の者が目を覚ましてしまいます」
呟くドルキの声は果たして二人に聞こえたのか。
「そうだ。父様」
「何だ」
「リオが出て行くなら。私も家を出ます」
「は!? マリオン! 何を勝手な事を言っているのです!
貴女が家を出る理由など、一体何処にあると言うのですか!?」
「私母様よりリオの方が好き。それじゃ駄目なの?」
「駄目に決まって、」
「勝手にしろこの親不孝者が。貴様は勘当だ」
言葉自体は厳しいものの、グリーズの表情自体は穏やかなものだった。
将来有望なマリオンをみすみす家から追い出したくは無い。
だがマリオンとリオ、それにネーアの三人なら上手くやっていく事が出来るだろう。
そう考えた彼が、不器用なりにもマリオンに送る手向けの言葉なのだ。
「はあ…もう勝手にして下さい…わたくしはもう知りません…」
部屋の中で暴れまわる魔物二匹。
それに突如家を出る事になった娘のマリオン。
頭痛の種にドルキは頭を抑えるのだった。
***
パセットは夢の中に居た。
『今日のおパンツはクマ柄でございます。お嬢様』
『パセットちゃんって喋り方と台詞の内容がちぐはぐだよね』
『それがパセットのキャラでございます故』
夢の中でパセットは屋敷の離れに居た。
いつものようにリオを起こし、彼女の世話をする。
着替えから始まり食事の用意。
ベッドメイキングを初めとした部屋の掃除。
風呂だけはお供させてもらえなかった。
それでも夜寝る時以外の殆どは彼女と共に過ごしていたと思う。
261 永久の果肉14 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 19:05:10 ID:/Wkm2F56
主従。友達。いや、或いはそれよりももっと深い絆で結ばれた何か。
もしどちらかが男だったなら――従者と主、いけない恋に落ちちゃったりなんかして。
『今エッチな事考えて無かった?』
『何故分かった!? いやいやいやいやいや!
違うよ? リオっちのつるぺたボディにあんな事やこんな事したいとか!
そんな事考えてないさ! でもね…! でもっ――
ぱ、パセット…リオっちとだったら……いやん♪ 恥ずかしい♪』
『あはは…』
苦笑いを浮かべるリオ。
彼女はもっと笑えばいいのに。可愛いんだし。
そう思って出会った時からずっと何かにつけてはその笑顔を拝もうと四苦八苦してきた。
それはもう、意地と言っていい。
いつも寂しそうに笑う彼女を、本気で、心の底から笑わしてあげたい。
それは面白おかしい、とかそういう意味じゃなくて。
生きてて良かったー、とか。
幸せだー、とか。そういうニュアンスの笑顔がみたいのだ。
でも、未だにそんな表情を見た事が無い。
そして、それはきっと、これからも。
『パセットちゃん? 私そろそろ行かなきゃ』
ばさり、と彼女の背中から蝙蝠の翼が生えた。
その姿はいつものワンピースではない。
人外に身を堕とした時の、黒のゴスロリ衣装だ。
『え?』
『だって私もう人間じゃないし。お屋敷には居られないよ。だから、お別れなの』
がらがらと、足元が崩れる感覚と共に夢の中の風景までが崩れていく。
離れの中の景色が岩肌を削るように剥がれ落ち、その下から暗闇が覗いた。
それは悪夢だった。
リオと離れ離れになってしまう。
悪魔となったリオが屋敷に潜入し――返り討ちに遭ってしまう。
そんなパセットの不安を具現化した夢だ。
『や、やだっ! 一緒に、パセットも一緒に行くっ』
『パセットちゃんは駄目。だって普通の人間だもの』
『そんな事無い! パセットだってお腹の中にお花のお化けが――』
そう言って腹に手を当てて、その下から何も感じない事に気付いた。
狂おしい官能も。堪えられない疼きも。腹を圧迫する感覚も――最早感じられない。
アドニスの花が、子宮から消えていた。
『え、何で…?』
『だからね? ここでお別れ。
ばいばいパセットちゃん。私、パセットちゃんが私のメイドさんで良かった』
『やだっ、やだやだやだやだやだやだやだ!! そんなの認められるかぁ!
そんな、今生の別れみたいなのっ、ヤダぁああっ!!』
『ありがとう』
そう言って笑うリオはやはりというか。
(ありがとうって言うなら、そんな悲しそうに笑うなぁ!!)
『さようなら』
『やだっ、リオッち!!』
背を向けて歩き出したリオに走り寄ろうとする。
だがリオとパセットしか居ない漆黒の空間。
パセットがどれだけ走ってもリオには追いつけない。
262 永久の果肉14 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 19:06:05 ID:/Wkm2F56
それどころか徐々に二人との差が開いていく。
頭の片隅では何となく気付いていた。
これが只の夢だという事に。
走っても走っても追い付けない――そんなのベタベタじゃないか、と。
けれど、それがもし夢であっても。
今リオと離れ離れになったら二度と会えない気がした。
だからパセットは走る。
どれだけ二人との差が開こうとも。
リオの後姿が米粒のように遠ざかっても。
絶対に諦めない。
諦めて、たまるか。
『リオッちーーーーーーーーーーっっっ!!!!』
手を伸ばし、どこまでも広がる黒い世界の中、あらん限りの声で叫んだ――
――ところでパセットは眼を覚ました。
「――あれ…? リオッち?」
暗闇の中、自分の右手が天井に向けて一直線に伸びていた。
がばりと上体を起こし、辺りをキョロキョロと見回す。
「何も見えん! ここは誰? ワタシは何処!?」
随分混乱していた。
夢を除けば――その夢の内容も急速に形を失い、曖昧になっていくが――
――最後の記憶は何だっただろうか?
「――――――――――――――――――――――あ、思い出した」
(大乱交大会でした)
メナンティお姉様の部屋で同僚を交えてそれはもうエロエロな事になってました。
「ってあれ!? あれれっ!?」
布団を剥ぎ取り、自分の格好を確認する。
誰かが着替えさせてくれたのだろう。
眼を凝らして良く見ると寝巻き姿という事が分かった。
その寝巻きの裾から手を突っ込み、下腹部に触れる。
「――無い。お花のお化け、無くなってる!?」
どくどくと脈打つアドニスの鼓動が感じられない。
(どうなってるの?)
リオと一緒に屋敷に潜入した。
そしてメナンティを皮切りに、同僚達に手を掛けてアドニスを植え付けていった。
(あれ、気持ちよかったなぁー、っていやいやそんな事考えてる場合じゃないし)
そう言えば部屋にドルキが入ってきた気がする。
それから――それから――
「どうなったの?」
そこで記憶が途切れていた。
(ちょっと待って。あの鬼ババアが入ったところで記憶が無いって事は……)
まさか、リオは。
『パセットちゃん? 私そろそろ行かなきゃ』
先程の悪夢がフラッシュバックした。
反射的にベッドから飛び出し、月明かりが僅かに漏れるカーテンを開き、光源を確保。
ガラス窓から漏れる月明かりで、ここが自分の部屋だと確認する。
パセットは急いで部屋を出た。
あれからどれだけ時間が経っているか分からない。
腹のアドニスが消えている理由も気になる。
そして何より、リオが一体どうなってしまったのか。
それらの疑問に答えてくれる人物に、会うしかない。
263 永久の果肉14 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 19:07:40 ID:/Wkm2F56
パセットは寝巻き姿に素足のまま、屋敷の廊下をぱたぱたと駆け抜ける。
問題の人――ドルキの寝室まで行くと扉の隙間から灯りが漏れていた。
ノックをしようとした瞬間、向こうから扉が開く。
「――貴様か」
扉の向こうから顔を出したのは我らが旦那様、グリーズその人だった。
本人の居ない所ではロリコンだの何だのと冗談を言うが目の前ではそうはいかない。
頭四つ分くらいは高い所から仏頂面で見下ろされれば流石に怖いし。
「ぐ、グリーズ様っ、ほ、本日は大変お日柄もよろしく…っ、グリーズ様に至っては、」
「普通に話せ」
「リオッちをどうしやがったんだコンチクショー!!!」
思わず本音が飛び出してから『あ』と口を塞ぐ。
ところが上目遣いにグリーズを見上げれば、彼は怒った様子もない。
彼は表情を変えないまま、只一言、
「一足違いだったな」
「…え? どういう事っすか?」
「マリオンとあの娘はリビディスタから勘当しました」
部屋から更にドルキが現れた。
「勘当って、じゃ、じゃあリオッちは!?」
「心配しなくとも生きている」
「よっしゃあああぁぁぁぁぁぁぁっっっっ!!!!!!」
ぴょんぴょんとその場で飛び跳ねる。
その様子に、これだから子供は、とドルキが呟き、グリーズが僅かに頬を緩ませた。
(あ、そうでした、今一応夜でした)
「えー色々お話を伺いたいところですが」
結局、今回の事件はどうやって解決したのか、とか。
まあ、復讐の対象だったリビディスタ夫妻が存命。
それに加え首謀者のリオと自分が存命。それにマリオンが揃って勘当となると。
割と穏便に解決したのかな、と思ってしまう。
(ま、それはいいや。後でリオッち本人から聞けばいいんだし)
今する事は、
「お願いがあります!」
ぶん、と音がするくらい頭を下げた。
そうだ。リオが居ないなら、自分も屋敷に留まる意味は無い。
(だってパセットは、リオッちのメイドさんなんだから!)
だから、その事をグリーズとドルキに伝えなければならない。
自分も屋敷を出て行くと。
頭の固そうな二人の事だから、大なり小なり反対されるだろうが、
「貴様はクビだ。何処へでも好きな所に行け」
「―――――――はい?」
「二度は言わん」
背を向けるグリーズ。
その向こうで、ドルキがくすくすと可笑しそうに笑っていた。ちょっと気持ち悪い。
(え? あれ? ひょっとして、旦那様、今の、気を遣ってくれたの?)
えーマジで? イメージと全然違うし。
というか照れてる? グリーズ様照れてますか? ツンデレですか?
「笑うな。何が可笑しい――貴様も、何をぼんやりしている?」
「え――と言いますと?」
「リオを追いかけるのだろう? さっさと支度を整えろ。森の中は危険だ」
どうにも言葉足らずだがこれはひょっとしてあれか。
まさか送ってくれる、という事なのだろうか。
「あ、ありがとうございます!!」
頭突きでもしそうな勢いで再び頭を下げた。
グリーズは何も言わなかった。
鉄面皮はびくともしていない。
だがその下に隠れた心が、ちゃんとした人間の――『父』のものであると理解した。
264 永久の果肉14 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 19:09:20 ID:/Wkm2F56
***
夜の帳が下りた森の中に、二つの異形と二つの人影が輪を作っていた。
異形の正体は、上半身に美しい女の裸体を晒した花型の魔物――アネモネだ。
それが二体。内一体は、
「ひっくっ…! ひくっ…! グリーズ様、グリーズ様ぁっ!」
かの英雄を名前を呼びながら大泣きしているそのアネモネはクロトだ。
愛するその男に首を切り落とされ――だが死なず、気が付けば森の中に一人だった。
屋敷を静かに後にした一同と合流する前から、彼女は泣き続けていたのである。
「よしよし。クロトさん。元気出して? もう一人じゃないよ?
私も、ネーアさんも居るから。ね?」
アドニスの花弁の上に座り、リオは泣きじゃくるクロトをあやしていた。
背中に手を回して抱き付き、かつては銀髪だった翠色の髪を優しく撫でる。
「リオ様ぁっ…! 私、振られちゃいましたぁ…っ! ううっ! うわぁぁぁんっ!!」
「うん。うん。辛いよね。分かるよ。分かる。
今は、好きなだけ泣いてていいからね?」
「泣きたいのはリオも一緒じゃないの?」
背中から掛けられたのはネーアの声だった。
世にも美しいアネモネの女は心配げな表情でこちらを見詰めてくる。
そう、クロトもリオもリビディスタを追い出された身。
人間の世界を離れ、欲望と破壊の渦巻く人外の世へと踏み込んだ少女。
もう、父とは二度と会う事も無いだろう。
ネーアはそれを心配して言っているのだ。
「私は、大丈夫です。多分」
(ここには皆居るから。ネーアさんも、クロトさんも、それに、)
「それに、頼りになる姉も居ますから」
傍らの切り株に腰を落としていたマリオンに向けて、にこやかな笑みを送る。
この中で唯一の人間である腹違いの姉は照れくさそうに頷いた。
「どれだけ役に立てるか分からないけど、頑張る」
「何謙遜してるのよ? 人里離れた所なんて魔物やら凶悪な野生動物が沢山居るんだから。
その中で剣も魔術も使える人間が居るんだから心強いものだわ」
「そうは言うけど」
ちらり、とマリオンの視線がリオに向く。
「リオ、ひょっとしたらもう私よりも強くなってるかもしれない」
グリーズとの決闘の事だ。
あの時はがむしゃらに戦っていたからよく覚えていないのだが。
まあ、確かに、良く考えればあの剣神様と対等に渡り合ったというだけで凄いのだ。
向こうが勝ちを譲ってくれた事を差し引いても、リオは十分に強い。
「それにクロトさんは探索魔術と防御魔術のスペシャリスト。
生存率が高くて、ダンジョンの探索なんかじゃ重宝していた。
――まさかリオに種付けされてたなんて夢にも思わなかったけど」
「あう、ご、ごめんなさい」
クロトに種付けした時は魔物となった体を持て余していた。
体から溢れ出る欲望に抗えず、やりたい放題やってしまったのだ。
その結果が今のクロトである。完全な被害者だった。
「もういいじゃない。私は仲魔が増えた方が良いと思うし。賑やかだしね?」
もし仮に人間に戻れたとしてもだ。
グリーズと戦い、あまつさえ告白までしてしまった。
そんな状態で一体どの面下げて屋敷に戻るというのだ。
「あ、いや…そうじゃなくて…それは、もういいの、私も。
ただ、私以外の三人は、皆強い。ネーアもそうだった」
(そう言えば。ネーアさんと姉様、一度戦ったんだよね)
クロトを発見するまでの道すがらその話を聞いた。
激しい戦いだったそうな。
「だから、今更私一人が増えたくらいで、あまり戦力の足しにならない――そう思って」
姉の発言に丸い眼をぱちくりとさせた。
その後、二匹のアネモネと交互に顔を合わせる。
265 永久の果肉14 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 19:10:36 ID:/Wkm2F56
「私、リオを守る為に強くなった。
辛い修行にも耐えて、魔術の勉強もして。
リオの事を一人にして、実戦経験も積んで――
でも、そのリオは、もう私が守る必要が無いくらいに強くなってる。
だったら、私が居る意味は……」
「じゃ何で貴女は着いてきたのよ? 家でご両親の面倒見れば良かったじゃない」
「それは――リオが、心配だったから」
「? だったらそれでいいんじゃないんですかぁ?」
何時の間にか泣き止んでいたクロトが首を傾げながらそう言った。
「そうだよ。私、姉様の事、邪魔だなんて思わない。
姉様は私の事ずっと思ってくれてた。それは、これからもだよね?」
「う、うん」
ぴょんと、クロトのアドニスから飛び降り、その勢いのままマリオンに抱き付く。
(うにゃぁ…姉様、暖かい…♪)
「それじゃ、今度は絶対絶対一人にしないでね?
ずっと一緒に居てね? 私は、それで十分だから♪」
「……でも、私は、」
何か言い掛けた姉の唇に人差し指を添える。
「それにね? この四人の中で一番大変なのは姉様だと思うよ?」
すんすんと姉の胸元に顔を寄せて匂いを嗅ぐ。
いい匂いがした。
日向と、汗と、それに女の匂い。
大好きな、乙女の匂いが。
どくん、と胸が高鳴る。
同時にどろり、とした感情が流れ込んで来る。
(んにゃ、それは、いいの)
姉の体を抱きしめ体温を感じる。
そうする事で悪魔としての本能――他人を貪る暗い心が霧散した。
「――ああ、成る程ね」
こちらの言葉の意味に気付いたのか、ネーアがにやにやと笑っていた。
「え、え? 何?」
「ふふふ。姉様? 家を出て私達に付いて来るっていう事がどういう事か分かってますか?」
「え、それは…」
「覚悟、していますよね?」
ずくり、と腹の中のアドニスが疼く。
負の心は抑えられても、三つの魔物の因子による凶悪なまでの性欲は抑えられそうに無い。
「いや、まだ心の準備が、」
往生際の悪い姉の唇を、キスで塞いだ。
***
何が起こったか一瞬理解出来なかった。
「ん…っ、ふぅっ…、ちゅっ…、姉、様…っ」
(私、リオにキスされてるっ)
切り株に腰を下ろした体勢のまま硬直してしまった。
じゃれつくように抱き付いて妹がしたのは、歳に似合わない熱烈な口付けだった。
キスと言えば唇同士を合わせるくらいにしか思っていなかったので、思考停止してしまう。
実際には柔らかな舌が捻じ込まれ、唾液をまぶしながら咥内を嘗め回される。
ざらざらとした舌の感触は普通の人のものとは少し違うのだが、それを認識する暇もない。
「ちゅるっ、ちゅっ、レロレロっ、ちゅぷっ…っ、ふにゃっ、はぁっ」
「んっ…!? はっ、ぁふっ…、り、おっ…!」
(頭、蕩けるっ)
どろりとした唾液を大量に流し込まれ舌で無茶苦茶に攪拌される。
ぐちゃぐちゃと咥内からいやらしい音が響いて、それがどうしようもなく興奮する。
妹の唾液はどこか甘く、彼女の吐息を吸い込むと脳が痺れるようだった。
舌同士が触れ合い、粘膜同士が擦り合えばぞくりとするような感覚が背筋を駆け抜けた。
266 永久の果肉14 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 19:11:57 ID:/Wkm2F56
(あっ、これっ)
「ちゅぅぅうううぅぅっっ♪」
「んっ!? ――――――!!!!」
舌を思い切り吸引されて視界で火花が散った。
妹に抱きしめられた体がびくん、と一人でに震え、体から力が抜けていく。
「――ぷあっ♪ ご馳走様、姉様♪ どう姉様? 姉様も気持ち良かったでしょ♪」
(気持ちいい? 今のが?)
体が気だるい。
だがポカポカとしていて、頭がぼう、として。
姉妹で背徳的な行為をしているというのに幸せな気分だった。
キスだけで、こんなになってしまうのか。
こんなにも、気持ちいいのか。
「んにゃぁ? 姉様? チューだけでイッちゃった?」
妹の顔が急接近した。
キスをした相手が、それも大好きな妹の顔を間近で見るとそれだけで心臓が跳ね上がる。
「き、気持ち良くなんか無いっ。全然っ」
捨て台詞を吐いて、視線を外した。
どきどきどきどきどきっ!
心臓の音がやけに五月蝿い。正直、妹の顔を直視出来なかった。
きっと今頃真っ赤な顔をしているだろう。
全く、天邪鬼な自分の性格が恨めしい。
そしてそれを周りの者は皆理解しているようだった。
ネーアは当然として、リオも、クロトさえもくすくすと忍び笑いを漏らしている。
「わ、笑わないで」
「あははっ。ごめんごめんっ。だってあんまりにも可笑しいから。
マリオンってほんと初心よねー、可愛いわよ?」
「う、うるさいっ。からかわないでっ」
「ネーアさん、姉様の事からかってないよ?だって私も姉様の事可愛いと思うし。
でも、キスだけでそんなになるんなら、この先が思いやられるね?」
これからもっと凄い事するのにね――そう言って妹はぺろりと舌なめずりをした。
「…う」
(何このリオ怖い)
昼間の事件の時もそうだったが気弱で大人しい妹はもう変わってしまったのだ。
それを少し寂しく思い、同時にこの娘が大人になったらどんな女になるのか。
想像するだけで恐ろしい。
「さあ姉様♪ ベッドに行きましょう♪」
「え、ベッドって、何処」
「目の前に立派なベッドが二つもあるじゃないですか♪」
「あたし達をベッド扱いとは、なんというか本当に逞しくなったわねぇ。
あ。あたしは今回パスするわ。クロトに構ってあげて?」
ネーアの言葉に内心ほっと息をついた。
いくらなんでもアネモネ二匹と淫魔一匹に同時に責められたら死んでしまう。魂的に。
「それじゃクロトさん。お願いします♪」
「はい、リオ様ぁ♪」
しゅるるるるっ。
脚代わりの触手が何本が伸び、リオとリオに抱きつかれたままのこの体を拘束する。
普通の女ならこの時点で悲鳴の一つでもあげるのだろうが。
(何か、慣れちゃってる自分が居る)
ここ最近アネモネと――主にネーアと触れ合う機会が多かったからだろうか。
性的な接触は無かったが、アネモネに対しての危機感がすっかり薄れてしまった。
そんな益体の無い事を考えている内にクロトの真正面へと体を吊り上げられた。
「到着ー♪」
花冠の中央に尻餅を付くように着地。
鎧を通して、背中にクロトの肌の感触があった。
「さあクロト様ぁ? 鎧を脱ぎましょうねぇ♪」
267 永久の果肉14 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 19:12:55 ID:/Wkm2F56
体を拘束していた触手が一瞬離れたかと思うと衣服や鎧の隙間に侵入してきた。
「あ、馬鹿っ、勝手に脱がさないでっ」
「私も手伝うー♪ 姉様? 脱ぎ脱ぎしましょうねぇ♪」
「やあぁぁっっ!!」
あっと言う間だった。
抵抗らしい抵抗も出来ないまま、着ている物を全て脱がされてしまう。
アドニスの繋がりを利用しての見事な連携だったと言わざるをえない。
「…っっ、見ないで…っ」
顔が熱い。リオとキスした時よりも、顔が紅潮しているのが分かった。
それは羞恥心のせいだ。
人前で裸体を晒すだけでも恥ずかしいというのに、触手で淫靡に拘束されているのだ。
手を万歳の形に広げられ、脚はM字に開脚されている。
真正面のリオからは本当に丸見えだ。
月明かりに照らされたマリオンの体は決して豊かとは言えない。
胸は当然の事として、尻や太股の肉付きも少ない。
女の色香とは無縁な体型だ。
だが折れてしまいそうな四肢は均整がとれており、何かの芸術品のようだ。
真っ白い肌に掛かるブロンドの髪も、彼女の魅力を一層に引き立てていた。
「うにゃ。姉様の体綺麗♪ スレンダー系なんだね」
「…ほ、本当に…?」
涙目で、妹を見詰める。
何を感じたのか妹は目を瞬かせ、こくこくと首を縦に振った。
離れた所から『うわ。マリオンったら割と凶悪ね』なんて言葉が聞こえた気がした。
「でも私、胸、小さいし。リオより」
クロトやネーアに関しては、比較する事すらおこがましい。
ぐす、と鼻を啜る。
大好きな妹の前だから何とか耐えている。
だがこれが公衆の面前だったり男の前だったりすれば。
きっと大泣きするか見た者全員を斬殺していたかもしれなかった。
「え、ええ? そうかな?」
「…ぐすっ、そう…よ、見たら、分かる。私の胸は、小さ過ぎる」
「だ、大丈夫だよ姉様っ。私が一杯揉んで、大きくしてあげる!」
「ほ、本当っ?」
思わず目を輝かせてしまった。
(いや。違う。そうじゃない。揉んでも大きくなる訳ないし)
「や、やっぱりいいっ。私はこのままで」
「そんな事言わないで♪」
「――きゃっ!?」
妹の指先が緩やかな曲線を描く膨らみに触れた。
肌が敏感になっているのか、それだけで甘い官能が体に満ちる。
「にゃう♪ 姉様の肌すべすべー♪ ずっと触ってたくなる♪
ほらほら♪ クロトさんも触ってみて♪」
「はぁい♪ ではご相伴に預かりますぅ♪」
「え、ちょっ、待って――はんっ…!?」
肌を撫で回す妹の指がピンク色の藁を掠める。それも全く予測の出来ないタイミングで。
慣れない快感にもピンク色の先端は反応し、生意気にも自己主張を始めた。
「あっ!? 勃った、勃った♪」
「それじゃぁ、こちらもぉ♪」
「あっ、駄目っ」
背中からクロトが手を回し、乳首を中心に乳房を撫で回す。
触れるか触れないかくらいの絶妙なタッチに、左側の先端もあっと言う間にしこり立った。
(さ、触られてるだけなのに…っ)
過去、ネーア追撃中に犠牲者となった女性達の顔が浮かび上がる。
眉をハの字に寄せ、口をだらしなく開けた、いやらしい雌の顔。
魔物に襲われておきながら感じるなんてありえない――そんな事を当時は思ったものだが。
「いただきますぅ♪」
268 永久の果肉14 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 19:14:08 ID:/Wkm2F56
背中からクロトの甘ったるい声が聞こえた。
かと思うと一本の触手が鎌首をもたげ、その先端がくぱり、と十字に割れる。
内側にびちびちと柔毛触手がひしめき合うそれを左側の乳首へと近付けて、
「え、待って、それだめっ、駄目っ――きゃあぁぁっ!?」
ぱくり、と愛らしいサクランボを咥え込まれた瞬間、電気が走った。
充血し、敏感になったそこをぬるぬるとした細い触手の束に舐めしゃぶられ悶絶する。
(き、気持ちいいっ、私、駄目になっちゃうっ)
コンプレックスの対象だった胸を責められ、こんな醜態を晒すとは、夢にも思わなかった。
恥知らずな先端をくちゃくちゃと舐められ、或いは甘噛みされ、その愉悦に脳が蕩ける。
「姉様、エッチな顔にゃぁ♪」
「い、いやぁ…っ、見ないでぇ…っ」
「恥ずかしがらなくてもいいんだよ? これからもっともっと気持ちよくなるんだから♪」
言って妹は右の乳房へと顔を寄せて――ぱくり。
「あっ!? 駄目っ! だめっ!」
赤ん坊のように乳首に吸い付かれる。
ぺろぺろと先端を舌で何度も弾かれ、その度に快楽で視界が白んだ。
(エッチって、こんなに気持ちいいのっ)
戦う事しか知らなかったマリオンは、一人遊びはおろか、キスすらした事が無かったのだ。
興味が全く無い、とは言えなかったが、機会には恵まれなかった。
ところが実際に経験してみると、どうだ。
(びりびりして、痺れてっ、変になるっ)
心臓がどきどきと早鐘を打つ。
だがそれは実戦の空気の中感じる緊張や恐怖とは全然違って、どこか甘く、切ない。
頭もぼーとして、ろくな思考もままならない。
右と左の乳首から襲い来る、鋭い快楽に翻弄されるだけ。
「はあぁっ、はあっ、あぁっ!? やっ、かま、噛まないでっ!」
時折思い出したかのようにピンク色の先端を優しく噛まれ、喉から嬌声が独りでに漏れる。
じゅくり、と下腹部が疼いた。
「ふふふ。姉様のエッチな匂いがする♪」
顔を離したリオが微笑んだ。
コケティッシュな妹の笑みに、心拍数が更に上昇する。
つー、と乳首から伸びた唾液を舐めて切り取り、淫魔らしい表情を浮かべているのだ。
その愛らしくも妖しい笑みに、どきどきしながら魅入ってしまう。
アネモネ達はまだガスを撒いていない。
それでこれだけ心が掻き乱されるのだから流石淫魔と言ったところなのだろう。
それとも、自分はひょっとしてあれか。
生粋のレズビアンなのか。
「もういいかな?」
「うぅんっ」
急に二体の魔物の責めが終わる。
快楽という荒波から開放され、ほっとしたが体には火が着いてしまったらしい。
火照った体は切なく、快楽の余韻にじんじんと肌が疼いている。
特に下腹部――子宮ではそれが顕著だ。
じくじくとした疼きが腹から全身へと拡がっている。
何だか居ても立っても居られない。
「姉様? とっても濡れてるよ? あそこ、ぐちょぐちょだよ?」
妹の眼前に晒されたクレヴァスは解れ、口を大きく開いていた。
自慰もした事の無い生娘のそこからは、とろとろと新鮮な蜜を零している。
雌の匂いを発する愛液に髪と同じ色の恥毛が濡れて、色っぽさを演出していた。
「ば、馬鹿っ、そんな事、言わないでっ」
発情した自分の隅々まで妹に見られている。
それを思うと頭が沸騰しそうだった。
恥ずかしすぎて顔から火が出る。
「ふふふ♪ 姉様ほんとうに可愛いにゃぁ♪」
「ですねぇ♪ 初心な乙女、って感じですぅ♪」
「うー…!」
おもちゃにされている。
それは分かっているのだが体はすっかり出来上がってしまい逆らう事も出来ない。
269 永久の果肉14 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 19:14:59 ID:/Wkm2F56
何より、二人には悪意など一つも無いのは分かっているのだ。
誰の邪魔も入らぬ森の中、仲間同士でじゃれあうようなものだ。
じゃれ合うは無いか。ああでも魔物の慣性からすればいやらしい事もじゃれ合いのうち?
(そんな事より、体、疼いてっ)
「姉様、辛いよね?」
火照った体を持て余すこちらの心情を悟ってくれたのか、妹が優しい笑顔を浮かべた。
こくり、と小さく首を縦に振る。喋れば、情けない声が出てしまいそうだったから。
「準備も出来てるし、姉様の処女、リオが貰うよ?」
処女という言葉に体が震える。
別に貞操観念など持っては居ないし、異性との真っ当な恋愛にも執着は無い。
だが実の妹に犯される、という事実に、少なからず抵抗を覚えてしまった。
(…、違う、私は、リオを受け入れてあげないといけない)
自分は、結局妹に何もしてやれなかった。
強くなると言い張るのはいいし、実際に強くなった。
けれどそれが何の役に立った?
得た物より、失った物の方が大きいのではないか?
自分が屋敷を離れたせいでリオはこうして人外になってしまった。
ならその彼女を受け入れる事が、せめてもの罪滅ぼしではないのか。
例え、この体も魔へと堕ちるとしても。
「…分かった…」
ぽつりと呟くと、妹は嬉しそうに微笑んだ。
「うにゃぁ♪ 姉様大好き♪」
抱き付き、顔中にキスの雨をプレゼントしてくれる。
にゃうにゃうと鳴きながら、唇を舐めたり、首筋の匂いを嗅いだりしてきた。
それがくすぐったくて、微笑ましくて。
まるで猫がじゃれついてくるような感覚にこちらも頬が緩んでしまう。
「姉様ぁ…♪」
「リオ…」
そしてどちらからともなく再び口付けをした。
今回は妹に一方的にされるだけのキスではない。
互いに舌を絡ませ合い、相手の咥内へと自分の唾液を流し込む。
ふんふんと鼻で息をしながら、貪り合うようなディープキスに熱中した。
鼻に吹きかかる妹の吐息は甘く香り、胸を高鳴らせる。
甘酸っぱい唾液はまるで蜜のようで、いくらでも啜りたくなってくる。
舌をさりさりと削る猫舌も甘いばかりのキスの中では唯一の刺激となって、心地良かった。
(リオ、りおっ)
好き。大好き。
この感情が家族愛なのか恋愛なのかは分からない。
けれど手放したくない。ずっと一緒に居たい。
そして、その為には。
「はぁっ、はぁっ」
「ふにゃぁ…にゃうぅん…♪」
濃厚なキスを終え、僅かに互いの顔が離れる。
粘度の高い唾液が二人の間で銀色の橋を掛け、時間を掛けてぷつりと切れた。
「姉様ぁ…します、よ?」
「あ、ちょっと待って。私だけ裸なの、なんかずるい」
ぼやくように言うと妹はオッドアイを瞬かせた。
「うにゃ♪ そうだね♪」
黒いゴスロリドレスが揺らいだかと思うと黒い霧へと姿を変えた。
そして次の瞬間にはリオの体へと吸引されていく。
後には自分同様、生まれたままの姿になった妹の姿がある。
ふっくらとした肢体。
270 永久の果肉14 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 19:16:22 ID:/Wkm2F56
確実に膨らみ始めている乳房。
太股や、桃尻も丸みを帯びて、小さな体にも徐々に色気を帯び始めているのが分かる。
――というか明らかに、
(私よりもエッチな体をしている)
恨めしい。姉よりも優れた妹なんて存在しない――というのは言い過ぎだと思うけど。
遺伝子というか血のせいでここまで差が出るかと思うと悲しくなってくる。
(…それにしても)
妹の下腹部に思わず目がいってしまう。
同性の性器などまじまじ見る事は無かった上に妹のもの、ともなると興味もあるのだが――
(花だ)
ヴァギナの内側から咲いた肉の花が海星よろしく妹の股間にべったりと張り付いている。
花びらの内側は膣壁のように粘液に濡れたヒダが連なっていた。
四つある花弁は十字を形作り、その付け根からは計十二本の細い触手が生え出していた。
一本一本は小指程の太さでこれが獲物を拘束したり責めたりするわけだ。
中央の窪みには女性器の陰唇に酷似した割れ目が有り、粘度の高い蜜を垂れ流していた。
催淫性の高い蜜の香りに頭がぼーっ、として胸がどきどきと高鳴ってくる。
女の神聖な場所に寄生するおぞましい魔物だとは思う。
実際見てみると卑猥でグロテスクなものだとも思うが――
「あの、姉様? さっきからお股に突き刺さるような視線が…」
「ご、ごめんっ!? つい、」
見とれてしまった――口に出そうとしてその言葉を慌てて飲み込んだ。
「にゃふふ♪ リオのお花に見とれてたのかにゃぁ?」
バレバレだった。
「いいから! 早くするの!」
「にゃう♪ 分かったにゃぁ♪ しっかり見ててね、姉様♪」
妹が腹に力を込めた。
「ふにゃっ…! ――んにゃあぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!」
ずるずるずるずるっ!!
花の中央からアドニスの生殖器が生え出した。
多重のエラを持つ肉色の胴。
疣が大量に張り付いた先端部分。
更にそこから細い触手が生え出し、うぞうぞとのたくっている。
自分の腕程もある、グロテスクな触手に思わず息を呑んだ。
「ふにゃぁぁっ♪ はぁっ…♪ はぁ♪ どう、姉様? リオの触手おチンポぉ♪」
官能を感じ、頬を赤くし、息を荒げるリオ。
股からもだらだらと愛液を垂れ流し、その姿は実に色っぽい。
(こ、これがアソコに入るの?)
だがこちらはその凄まじい外観にドン引きだ。
粘液に塗れて光る妹のイチモツは、こちらの穴の直径よりも遥かに大きい気がするのだが。
まあ、リオのものだと思えば怖くは無い――かもしれない。
試しに疣の生えた先端部分に指を絡めてみた。
「ふにゃぁっ!?」
「きゃっ」
びくん! と大仰に触手が跳ね上がる。
「ご、ごめんっ。痛かった?」
「ち、違うのっ…! いきなり触るなんて、思ってなかったからっ。
びっくりしたしただけ」
はぁはぁと妹は息を荒げていた。
敏感になっているのは、貧相なこの体だけではないという事か。
「もう少し、触っていい?」
「う、うにゃぁ…」
こくんと頷いた妹の顔は快楽に蕩けていた。
もっと触って欲しいとばかりに僅かに腰を押し付けられる。
自分はというと妹の触手ペニスに触る、というシチュエーションに興奮していた。
どきどきしながら今度は凶悪な多重エラ部分に指先で触れる。
「ふにゃぁっ…!」
びくり、と再び触手が脈打った。
(――あ、なんか可愛いかも)
271 永久の果肉14 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 19:17:19 ID:/Wkm2F56
調子に乗って触手に添えた人差し指と中指をツツーと下へと滑らせる。
「にゃうぅぅんっ…♪」
びくびく。触手が再び暴れ回る。
それを逃がさないように掌で抑え、その触手の形や温かさを感じた。
(あ…、やっぱり、全然怖くない…)
これなら、大丈夫だ。
と、いうかむしろ。早くしてみたいくらいだ。
(なんか、エロイ気分になってる)
下腹部のじくじくがいい加減切なくて、自分の指でかき回したいほど。
淫魔の愛撫とキス。それにリオのアドニスから漂う催淫香が理性を追いやっていた。
「ね、姉様ぁっ♪」
「きゃぁっ」
いきなり押し倒された。
息を荒げた妹にマウントポジションを決められ、触手をヴァギナにあてがわれる。
「リオ、もう我慢出来にゃいにゃぁっ♪」
「うんっ、私も、私もリオが欲しいっ」
頭が完全に上せて、自分でも何を言っているか分からなかった。
ただ、妹はその言葉に感動したらしく、目をうるうるとさせながら、
「うにゃあぁぁぁぁぁあぁんっ♪」
嬉しさの余りに謎の遠吠え。
同時に、触手ペニスを一息で奥まで突き入れた!
ずりゅりゅりゅっ!
「っ!? …、っ…っ!」
ぶつん。そんな音が聞こえたかと思うと体の芯から引き裂かれるような痛みが走る。
(う、痛ぁっ)
だが予想していた程ではない。
死ぬほど痛いと聞かされていたので、どんなものかと思ったが。
「ね、姉様の中、いいっ♪ きつきつでっ、たまんにゃいよぉ♪
姉様は? 姉様はどうっ?」
快感を感じるのはまだ無理だが、ヴァギナの中にリオの触手を感じる事は出来た。
痛みよりも異物感と温もりの方が勝っている感じだ。
(もっと、リオを感じたい)
蕩けた魂が激しい交わりを求めている。
この大きく、卑猥な形状をした触手で滅茶苦茶に犯して欲しい。
「んっ…大丈夫っ…動いても、いいよ…っ」
すぐさまリオは腰を動かした。
最奥まで突き入れた雌しべ触手をゆっくりと引き抜いていく。
「あっ!? ……っ、っ! っ…」
処女膜の残骸をずりずりと多重エラで擦り削られ、明確な痛みに襲われた。
だが、これくらいの痛みが何だ。
リオはもっと辛い目に会ってきたのだ。この程度の痛み、耐えてみせる。
歯を食いしばり、ヴァギナを蹂躙する触手を受け入れる。
だが何が気に入らないのか背中のクロトがうーんと不満げな声を上げた。
「駄目ですよぉマリオン様ぁ? そんなに力んじゃぁ? 私がもっと解してあげますねぇ♪」
(え、いやそんな余計なお世話…)
――ぱく。
「きゃぁっ!?」
両の乳首に触手が喰らい付いた。
そのままちゅーちゅーと先端を吸われ、頭で快楽の火花が散る。
「うにゃぁんっ♪ 締まる、締まるよぉ♪
クロトさぁんっ、もっと姉様にしてあげてぇ♪」
「はいぃ♪」
「いやっ、それっ、だめっ――きゃぁんっ」
右左右左と交互に弱点を甘噛みされる。
痛みを堪えているところに不意打ち気味に襲い掛かる快楽は只甘い。
喉の奥から自分のものとは思えないほどいやらしい嬌声が漏れ出した。
272 永久の果肉14 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 19:18:08 ID:/Wkm2F56
(エロイ声、勝手に出るっ)
「姉様、やらしいにゃぁ♪」
ちゅっ、と妹が額にキスをしてくれた。そしてすぐに腰の動きを再開する。
ずりゅ、りゅ…りゅ…。
「んっ!? はっ! あぁっ!」
ゆっくりと、焦らすように触手を挿入される。
先端の突起物、エラエラの感触、それに太い胴と肉の温もりを順番に感じた。
「はぁっ、はぁっ♪ どう、姉様っ? まだ痛む?」
「んっ少し、だけっ――きゃんっ」
ちゅう、と両乳首を同時に吸われ、いやらしい声が漏れる。
「ふふふ♪ じゃあ、もうちょっと気持ちよくなろうねっ」
妹がクロトに目配せ。アドニスを通して何かの指示を送る。
待ってましたとばかりに三本目の触手が花弁の根元から生え、くぱり、と口をあける。
乳首を咥え込んでいるおしべ触手と同じそれは、結合部のすぐ上辺りを目指していた。
そしてその先には、ぷっくりと充血し膨らんだ淫核がある。
直に触った事も無いが、そこが敏感な部分だという事くらいは知っていた。
どきり、と胸が妖しく高鳴る。
口を開けた触手がピンク色の真珠に徐々に近付くのを、息を荒げながら見詰める。
白状すると、期待していたのだ。
未知の快楽に心も体も焦がされる事を。
――ぱくり。
「…っ、っ、っ、…!? ああぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!」
そしてその快楽は期待以上だった。
つるつるとした肉の突起物はその表面が乳首以上に敏感だと思い知らされる。
(すごっ、びりびり、するっ)
粘液に濡れた細かな触手にぞろぞろと嘗め回され、その度に腰が跳ねた。
「あっ!? あぁっ…! あぁぁぁっ!」
「ふにゃぁんっ♪ 姉様のおマンコっ、きゅっ、きゅっ、ってなってる♪
リオの触手チンポっ、食べられてるよぉっ♪」
妹の卑猥な言葉遣いも耳に入らない。
全神経が下半身に集中していた。
小指程にも満たない肉が、びりびりとした官能の嵐を呼び、マリオンの自我を削ぎ取る。
(やばいっ、気持ち、いいっ)
「姉様っ、もうっ、いいよね? 姉様スケベな顔になってるもんっ。
だから、リオもっいっぱい動くよっ」
「うんっ、うんっ」
返事と同時に妹が本格的に腰を使い始めた。
ぱつっ! ぱつっ! ぱつっ!
「ああっ!? あひっ!! すごぃっ!!」
腹の中を極太の触手が蹂躙する。
ごりごりといやらしい形状をした肉竿が処女の残骸をかき回し、痛みを産む。
「こっちもペースをあげますよぉ♪」
じゅるるるるるっ!!
「んああぁぁぁぁぁぁぁっっ!!?」
充血する三つの突起物が同時に吸引され、痛みとは真逆の感覚に襲われる。
「姉様っ、姉様っ」
ばつっ! ぱつっ! ぱつっ!
激しく触手をピストンされ――
「はぁっ!! あぁうっ! ああっ!」
「ちゅぅー♪」
じゅるるるるっ!
「はあぁぁぁぁぁっ!!」
――敏感な三点を同時に吸引される。
「も、もうだめぇ!」
(頭っ、おかしくなるぅ)
痛みと快楽。その両方を同時に叩き込まれ脳はショート寸前だ。
273 永久の果肉14 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 19:19:18 ID:/Wkm2F56
体がガクガクと痙攣し、半開きになった口から唾液が垂れる。
しかも性に卓越した魔物二匹が本気で感じさせようと責め立ててるのだ。
そのせいで、痛みよりも快楽の割合の方が大きい。
「はあっ♪ はぁっ♪ 姉様っ? どうっ? 痛くて、気持ちよくてっ。
訳わかんないでしょっ? それとも、もうずっと気持ち良いの?
おまんこ、もう全然痛くないんじゃないの?」
「あっ! んっ! それ、はっ!」
ピストンのペースが途端に緩む。
がつがつと恥骨同士をぶつけ合うようなものではなく、拡張を主とした腰使いだ。
ふふふ、と妹は悪魔的な笑みを浮かべた。
くちくちくちっ。
「あっ!? あっ! それっ!?」
ヴァギナの浅い所で、素早く、揺するようなピストン。
散々穿り返された肉ヒダ一枚一枚に、丁寧に官能が与えられ背筋がぞくりとした。
痛みとも快楽ともつかない官能の嵐は、それ自体が判別不能の刺激でしかなかった。
だが今度は違う。
肉壷の入り口をぐちゃぐちゃと掻き回されれば蕩けそうな快楽が生まれるのだ。
(き、気持ちいいっ)
ついさっきまで処女だった体を空恐ろしい速度で開発されている。
そして今、ヘスペリスとしてのプライド、人間としての常識。
あらゆる束縛から開放されたマリオンは、妹の手で淫らに変えられていく事すら自ら望む。
「…もっと…」
「…にゃぁ? 姉様?」
頭が快楽で茹っている。
このままする事をすれば自分の体がどうなってしまうのか分かっている。
妹に種子を植え付けられアネモネとなってしまうのだろう。
だがそれでも良かった。
「…もっとしてぇ…」
恐ろしい程の猫撫で声だった。
妹がごくり、と生唾を飲み込んだのが分かる。
愛らしい猫目のオッドアイに移った自分の顔が、快楽に溺れる娼婦のように蕩けていた。
「にゃっ、にゃあんっ♪ 姉様っ♪ にゃうぅ♪」
ぐちゅっ! ぐちっ! じゅぷっ!
「あぁ!? あっ! それっ、それぇ!」
苛烈な突き込みに声が上がる。
「本気で、本気でいくにゃぁっ…! 姉様を、天国に連れて行ってあげるにゃぁっ」
ぐりんっ、と妹の腰が大きく時計回りに弧を描いた。
「あぁぁぁっ!?」
肉のチューブが触手の凹凸の形に拡張され、性感が掘り返される。
充血し、粘液に塗れた肉ヒダから甘美な官能が生まれ、全身を痺れさせた。
かと思うと今度は反対回りに腰が回転し、あぁんっ、と甘い嬌声を漏らす。
「はっ♪ はっ♪ はっ♪ はぁっ♪」
じゅぷっ、じゅぷっ、じゅぷっ、じゅぷっ…!
「あっ!? いっ! あんっ! あぁっ!」
だらしなく舌を垂らしたリオがこつこつと素早いピストンを繰り出した。
それも一突き毎に角度を変え、肉壷の中を万遍なく刺激してくる。
(あっ!? これっ、触手の疣疣っ、当たってるのが分かってっ)
敏感になった肉ヒダがぐりぐりと押付けられる触手の凹凸を感じてしまう。
「ぐりぐりされてっ、気持ちいいよっ…! ――あぁっ!?」
膣内のとある一点を触手の先端が掠めると、一際強い官能が襲い掛かる。
じいいん、とヴァギナ全体が痺れ、鼻の奥がつーんとした。
(い、今、すごいのがっ)
「ふにゃぁ♪ 姉様の、きゅうきゅうしてるにゃぁ♪ ここが、弱点なんだね♪」
にゃふふ、と淫靡に笑う妹、嫌な予感がした次の瞬間に、思い切り触手を突き込まれる。
じゅぷうっ!
「あひぃっ!!?」
深く、勢いを付けた一撃が『弱点』とやらに叩き込まれ意識が飛んだ。
274 永久の果肉14 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 19:20:29 ID:/Wkm2F56
下腹部がきゅう、と収斂し、白濁とした本気汁を結合部から噴出す。
「にゃはっ♪ しまるっ、しまるよぉっ♪ 姉様のおマンコっ、最高だよぉっ♪」
「ああっ!? 駄目っ! すごいっ! ああっ!」
ばつっ、ばつっ、と恥骨同士がぶつかり合う程の激しいストローク。
ひっきりなしにじゅぷじゅぷと卑猥な音が響き、マリオンの濃い匂いを辺りに撒き散らす。
「はぁ♪ はぁ♪ マリオン様、いやらしいっ。
マリオン様のマン汁の匂いがぷんぷんしてっ――私もっ、もう我慢できませんっ」
ずるるるるっ、と背後から触手がせり出した音がした。
それが何かを理解する思考力はもう残っていない。
Gスポットを荒々しく削り、かと思えば焦らすように触手をグラインドさせる――
そんな、緩急の付いたリオの責めに頭がピンク色に染まっていた。
これ以上されたら壊れるかも知れない。
なけなしの理性がぼんやりと考えた直後――菊門に何かが触れた。
ずりりりりりっ!!
「んああぁぁぁぁぁぁぁっっ!!?」
「はああぁぁっ♪ マリオン様のケツマンコヴァージンっ、頂いちゃいましたぁっ♪
ああっ♪ いいっ♪ いいですぅっ♪ とってもしまりますぅ♪」
「ふにゃぁ♪ クロトさんがっ、姉様のお尻犯したらっ、にゃんっ♪
おマンコのしまりもっ、よくにゃったよぉ♪」
(あっ? おしりっ? おしりっ、犯されてるっ?)
肛門にとんでもない圧迫感を感じる。
二、三日便秘で溜まった排泄物をまとめて出そうとしてもこれほどではないだろう。
そして敏感になった体はアヌスに凹凸の激しい極太触手の感触を捉えた。
「あっ!? おしりにっ、触手――あぁぁっ! 触手っ、入ってるうっ!」
じゅぷっ、じゅぷっ、じゅぷっ、じゅぷっ!
「ああぁっ!? いやあっ!? だめぇっ! だめえぇっ!!」
ヴァギナとアナル。二つの穴を同時に触手で突き込まれる。
リオが突き込めばクロトも突き込み、腹の中腸壁越しに触手同士が触れ合う。
その衝撃に白目が剥く。子宮がきゅうきゅうと収斂していた。
それが絶頂だという事に気付かないまま、延々とサンドイッチファックが続く。
ずるるるるるぅっ!
「んぎいいぃぃぃっっ!!?」
今度は同時に、ゆっくりと二本の触手を引き抜かれていく。
ごりっ、ごりっ、ごりっ――
生き物のようにうねり、締め付ける肉ヒダ一枚一枚をいやらしい形状の凹凸が掘り返す。
陰唇から引きずり出される触手に、肉穴が離すものかと咥え込み、肉ビラが捲れ上がった。
女性器の内側が、チーズ臭を放つ本気汁と一緒に月明かりに晒される。
「あっ! ひっ!」
敏感になっているヴァギナを掘り返され、更なるアクメへと追いやられた。
初めての絶頂にしては快楽の総量が桁外れだ。
子宮がキュン、キュン――と何度も収斂する感触は空恐ろしくなる程の快感だった。
意識が真っ白になり、全身が浮遊感に満たされる。
息苦しい尻の圧迫感もそれでどこかに消えてしまった。
むしろ未だに尻を穿り返す触手の感触すらも気持ち良い。
まるでアナルとヴァギナが繋がってしまったようだ。快楽しか感じない。
マリオンは半開きの口から涎を垂らし、意味の無い獣のような声を上げる。
アクメの波にがくがくと痙攣しながら、二匹の魔物にがつがつと細い体を犯されて、
「ふにゃああっ! でるよぉ! もうだめえっ! どぴゅどぴゅするにゃぁ!
姉様にぃっ――にゃっ! にゃあっ! 姉様に種付けするにゃぁぁっ!」
「私もぉっ! 出ますぅっ! マリオン様の尻穴にぃっ!
触手ザーメンびゅるびゅるしますぅっ!」
じゅぷじゅぷじゅぷじゅぷじゅぷっっ!!
「にゃぁっ! にゃあっ! あっ! でるにゃっ! でるでるでるにゃぁぁ!!
にゃっ、にゃっ! にゃっ! にゃああっ!! にゃあああぁぁぁぁっっ!
にゃうううううううううううううぅぅぅぅぅんっっっっ!!!」
275 永久の果肉14 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 19:21:40 ID:/Wkm2F56
「あっ! いっ! ああぁんっ! でますでますっあああああっ!!
ああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!」
二本の触手がどくどくと脈動する。
射精される。真っ白になった頭でぼんやりと考え、
ぢゅうううぅぅぅっ!!
その直後に乳首と陰核に喰らい付いていた触手に吸引された。
『ああああぁぁぁぁぁあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあっっっっ!!!!!!』
びゅるびゅるびゅるびゅるびゅるっっ!!
どぴゅっ! どぷどぷどぷどぷどぷっっ!!
三人の嬌声が美しいとも言える和音を生み出した直後。
ヴァギナとアナルに大量の精液が流し込まれる。
びゅるびゅると底が無いかと思う程子宮と直腸に白濁とした粘液が注がれ、腹が膨張する。
強すぎるアクメに、腹が徐々に張っていく感覚も分からない。
白目を剥き、涎を垂らし、潮を吹き、尿を漏らし――
それが二匹の魔物が流す体液に混じって全身をぐちゃぐちゃに汚す。
クロトのおしべ触手が三人を祝福するように射精し、全員の体を白くコーティングした。
どろどろになった体でアクメを味わい、三人で強く抱き合う。
(――あったかい)
熱い粘液と、妹の温もりを感じて、心に僅かに平穏が戻る。
だが次の瞬間子宮口をこじ開けて、ぼこり、とアドニスの種子が侵入し――
その衝撃で意識を失った。
***
「また、派手にやったわねぇ」
遠巻きから三人の交わりを眺めていたネーアは溜息交じりに呟いた。
特にクロトの悶えっぷりは絶景だった。
肝が据わっているというか開き直ったというか。
最初は少しぎこちなかったが、最後はもう立派な女だった。
(相手がリオだから、かな?)
このシスコンめ。
くすりと笑みが漏れる。仲良き事は美しきかな。
(貴女達は今まですれ違ってばっかりだったんだから。
これからは仲良くしていきなさいよ。ずっとね)
粘液に塗れた三人を見ながらそう思う。
傷心のクロトを元気付ける為にも今回は『ベッド役』を辞退したのだが。
中々具合が良さそうなので今度は自分も混ぜてもらおう。
「にゃぁ…姉様ぁ♪」
「あらぁ? マリオン様、気絶してますねぇ?」
「にゃうぅ。起きたらもう一回だにゃぁ♪」
「はいぃ♪」
当分自分の出番は回って来ないようだ。
「…やれやれね」
まあ、いいだろう。時間ならいくらでもある。
この四人で永遠にじゃれ合い続けるのもいいだろう。
――不意に視界が歪んだ。
「――あら?」
目にゴミが入ったのかと思い、指で瞳を拭う。
細い指が涙で濡れていた。
276 永久の果肉14 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 19:22:56 ID:/Wkm2F56
(泣いてるんだ、あたし)
アネモネになっても泣くんだなー。
と思いながら、この二百年間、ずっと涙を堪えてきたのを思い出した。
(あ、そうか。嬉し涙か、これ)
それもそうか。
昨日まではずっと独りだったのに。
今ではリオ、マリオン、クロト――三人の仲間がいる。
皆良い子で、彼女達と一緒ならどんな困難も乗り越えられえる気がする。
(…何か、生きてて良かった、って…そんな気がするわ…)
二百年に渡る逃亡生活も、この瞬間の為だと思えば、報われた気がした。
ただ、惜しむらくは――リオの気持ち。
「にゃう♪ にゃうぅん♪ ぺろぺろっ♪ ちゅっ♪ ちゅっ、ちゅぅ♪」
気絶した姉にじゃれつくネコマタと悪魔と人間のハーフの娘。
彼女は果たして救われたのだろうか。
人を止め、家を出、大好きな父と別れ、母親の仇も取れなかった。
そんな彼女を、自分が幸せにしてやる事が出来るだろうか。
(リオのお母さん、か)
もしくはその代わりだ。
まあ、これだけ歳が離れていれば娘、という感じもしないではない。
肌を合わせ、契りを結んだ仲であり、リオの事も少しは分かるつもりだ。
気がかりは、今のリオがどこか無理をしている事だ。
「姉様大好きにゃぁ♪」
ちゅう、と唇を合わせるリオを見ながら思う。
単に甘えてるだけにも見えるが、彼女は少なからず後悔している。
家を出るのも彼女の意思だが、それも後ろ髪を引かれるような想いだったのだ。
百歩譲って、父の事は諦めがついたのだろう。
自分を想ってくれる姉も一緒に着いて来る事になり、彼女は幸せとも言える。
だが、リオの心にはぽっかり穴が開いていたのだ。
今の彼女は、その穴を埋めようとマリオンに甘えているように見える。
ハッピーエンドかと思ったが、まだ一つ、何かが足りない。
それが何かを考え――
遠くから、人の気配が近付いてくるのを感じた。
***
盛大な3Pを終えて三十分も経った頃だろうか。
マリオンが『うぅん…』と呻き声を上げた。
「姉様? 目が覚めた?」
「り…お…?」
こちらを見返すブルーの瞳はどこかぼんやりとしていて、彼女はまだ夢の中にいるようだ。
「そうですよ♪ 私はリオですよ、姉様♪」
語尾にハートマークが付きそうな猫撫で声の後、姉の唇に唇を重ねる。
ちゅっ、と唇を合わせるだけのものだったが姉の目覚まし代わりにはなったらしい。
瞳に意思の光が戻り、阿呆のような顔が羞恥に染まっていく。
「ぅわぁ…っ」
「にゃう♪ 姉様可愛いにゃぁ♪」
すりすりと頬擦り。
ぶっ掛けられた触手汁がほっぺたで塗り伸ばされてぐちゃぐちゃと音を立てた。
別に狙った訳ではないが、その際に繋がったままの触手が捻れてマリオンが嬌声を上げる。
「…っ、まだ、刺さってる、のっ?」
「そうだよぉ♪ 姉様のおマンコが、今でもキュウキュウしめつけるにゃぁ♪」
「尻マンコの具合も大変いい具合ですぅ♪」
「いやだから…そういうエロイ言い方って…」
277 永久の果肉14 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 19:24:13 ID:/Wkm2F56
「にゃぁに? 姉様、今更怖気付いたにゃぁ?
リオ達と一緒に来るっていう事はぁ、こうやっていつでもどこでもエロエロしちゃう――
って事なんだよぉ? だからぁ、猥語くらい慣れないと駄目にゃぁ♪」
ネーアと交わった時、彼女に言われた事と同じ事を姉にも言ってやる。
魔物になる事、また魔物と共に行く者の為の通過儀礼のようなものだった。
「うぅ…頑張る…」
「その意気にゃぁ♪」
抱き付いて、熱い抱擁を交わす。
ただ、全身にクロトの粘液をぶっ掛けられている状態だった。
なので身じろぎをする度にヌチャヌチャと肌と合わさった場所から派手に音が鳴った。
アクメ後で敏感になった肌同士が粘液越しに擦れて、それだけで蕩けそうになってしまう。
「んっ!? も、…もうっ、どろどろじゃない…っ」
「そうだねぇ♪」
「アソコも、お尻も、ずっと刺さりっぱなしで……穴、広がる…」
「にゃう♪ そうなったら私達の触手じゃないと満足出来なくなっちゃうね♪」
「それ、本気で言ってるのか冗談で言ってるのか分からない」
「にゃははは…っ」
三人で穏やかに笑い合う。
幸せだった。人間だった時の頃と比べて、今はまるで天国にでも居るようだ。
こんなに幸せになれるのだったら、やっぱり人間を止めて良かったと思っている。
けれど――
「姉様?」
「何?」
「本当に、良かったの?」
「…今更そんな、水臭い」
「んにゃ…そうなんだけど……でも……
私、姉様の中にアドニスの種子、植え付けちゃったよ?」
種子が成長すれば姉もクロトのようにアネモネになってしまう。
二本の脚で大地に立つ事が出来なくなり、剣も使えなくなるだろう。
記憶や人格はそのまま継承されるが、その魂は最早人間の時とは別物なのだ。
魔物になれば、本能には逆らえなくなってしまう。
ドス黒い欲求が体中を駆け巡り、衝動の赴くまま人間達に害を与えてしまう。
それをこの身を以って知っているのだ。
自分はいい。自ら選んだ道だ。
クロトも、ここまでこればどうしようもない。
アネモネ化させてしまった責任として、死ぬまで面倒を見てやるつもりだ。
(けど、姉様は?)
姉までもアネモネとなってしまったら――
ところがマリオンはこちらの心情を察してくれたのか、笑顔で答えてくれた。
「いい。別にアネモネになっても」
「でも…」
「というか。私だけ仲間外れにしないで」
姉だけ人間のままでは大なり小なり後ろめたい、という事だろうか。
(でも、自分の体の事なんだから。もっと考えてくれないと。
私と違って人間としては将来有望なんだし。もう種付けしちゃったけど)
はあ、と思わず溜息を吐いてしまう。
姉の同意の元とはいえ、種付けは早計だったか。
欲を言えば姉には人間のままで居てもらいたかったのだ。
「ちょっとリオ? 貴女真剣に悩み過ぎよ?」
横合いから掛かった声はネーアのものだ。
今の今まで傍観を決め込んでいたのに――何か思うところでもあるのだろうか。
というか腹のアドニスを通じて彼女がどうにもこの状況を楽観的に捉えているのが分かる。
「だって、勢い余って――という訳ではないですけど。いや、それもあるかもしれないけど。
姉様に種付けしちゃったんですよ? 姉様、アネモネになっちゃう」
「なって欲しくないの?」
「それは……多分…」
278 永久の果肉14 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 19:25:42 ID:/Wkm2F56
なんだか自分でも良く分からないが、姉には人外にはなって欲しくない。
「そう? なら、ならなければいいんじゃない?」
『え?』
姉妹が、同時に目を丸くした。
何だそれ。まるで、嫌ならアネモネにならなくてもいい、みたいな言い方。
「どういう事ですかぁ?」
「皆勘違いしているみたいだけど。
本来アネモネって成体になったアドニスと女性が完全に同化した姿の事を言うのよ?
種子を植え付けられたからって、絶対にアネモネになるわけじゃないわ」
今度はクロトを含めて、三人で顔を見合わせた。
「普通、女が子宮の中で種子を育てて、産んで、それから同化するまで二、三日掛かるのよ。
まあ、クロトの場合はリオのせいでそれが何倍にも早送りされちゃったみたいだけど。
兎も角、産んだアドニスと同化するまでタイムラグがあるのよ」
「あ、そうか。それじゃ、アドニスと同化してアネモネになるかどうかって、」
「そう。本人が決められるのよ。
まあ、それまで散々エッチして頭の中ピンク色一色だろうから。
大抵自分から進んでアドニスと同化しちゃうんだけどね。
それにもう一つ。アドニスは十分な魔力を蓄えないと成長しない。
それにどころか下手をすれば枯れてしまうわ」
「あっ、そうかっ」
屋敷での戦いの時、メイド達に植え付けたアドニスを全て枯らしてしまった。
つまり。魔力を吸い取れば、マリオンの中のアドニスをいつでも枯らす事が出来る。
「リオの中のアドニスがいつまで経っても成体にならないのもそのせいね。
蓄えた魔力を、種付けや戦闘に使っているから全然成長していないのよ」
「…そういえば、そうですね」
「まあ、折角植え付けた種子だし。私にとっては孫みたいなものだから。
アドニスを枯らす事は出来れば避けて欲しいところね。
兎も角、そういう事だから。何も心配する必要は無いわよ?」
姉妹でもう一度顔を見合わせた。
「なんか、拍子抜け。覚悟してたのに」
「あらあ? 別にアネモネになってくれてもいいのよ?
あたしとしては仲間が増えるならそれに越した事はないからね♪」
「…それに関しては保留という事で」
「そ。期待せずに待ってるわ」
(何だ、それじゃぁ、何も心配する事なかったんだ)
ネーアの言うとおり、自分が悲観的過ぎただけだ。
「えへへへへ…♪」
嬉しさの余り、すりすりと姉に頬擦りする。
もう、何か幸せ一杯だった。
今までリビディスタの屋敷で肩身の狭い想いをしながら生きてきた。
自分の存在理由も分からなくて、心の底から信じる事が出来る人も居なくて。
生きているのか死んでいるのか良く分からない、薄っぺらい生を送ってきた。
父に陵辱され、母に疎まれ――リビディスタの屋敷は自分にとって牢獄だった。
だがそんな辛い日々も、今となっては思い出だ。
自分はもう一人じゃない。
ネーアが居る。
マリオンが居る。
クロトが居る。
もう、寂しい思いはしなくていい。
でも、何か、足りない。
『リオっち♪』
栗色の髪に、犬耳のような癖毛を持つメイドさん。
279 永久の果肉14 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 19:26:53 ID:/Wkm2F56
パセットが、ここには居ないのだ。
「リオ?」
「? どうしたの姉様」
真剣な目をした姉がこちらを見詰めていた。
「あの子、置いてきて良かったの?」
今の心中をずばりと言い当てられて鼻白む。
鈍感だと思っていた姉に心の機微を読み取られるなどとは夢にも思わなかった。
思わずバツの悪そうな顔をしてしまう。
「…いいんだよ。きっと」
そう。自分はそう思ったから眠ったままのパセットを起こす事無く屋敷を出た。
「だって。パセットちゃんはもう何年も私の為に頑張ってくれたもん。
もう、自由にならなきゃ」
パセットはずっと一緒に居てくれた。
どれだけ怒っても、八つ当たりして理不尽な事を言っても。
ずっと笑顔を見せてくれた。
どう考えても悪いのはこっちなのに嫌な顔一つする事は無かった。
けれど、全く苦痛でない筈がないのだ。
屋敷、という閉鎖された空間の中で、こんな陰気な少女に付っきりなのだから。
口にこそ出さなくとも、腹の中には色々と溜め込んでいる筈なのだ。
「私みたいな子に構って、一生を棒に振る事は無いよ」
そう。それがパセットの為だ。
「それに私、もう人間じゃないし」
えへへ、と笑う。
「それ、私にも同じ事が言える?」
姉が真剣な表情で問い掛けてきた。
「私も、立場としてはあの子と同じ。でもリオに付いて来た」
「それは、姉様は、ずっと私の事を思ってくれてたからだよね?
でもパセットちゃんは仕事で」
「…リオのばか」
「…え? 姉様?」
「私もばかだけど、リオもばか。鈍感」
「え、ええっ?」
「私もあの子も変わらない。リオの事、大切に思ってる。
私は妹として、あの子は……多分、友達として。
仕事だからとかじゃないの。あの子はリオの事、そんな風に思ってない。
じゃないと、リオが屋敷から居なくなった時、泣いたりしない」
「え?」
(泣いてたの? あのパセットちゃんが? 私の為に?)
あの元気の塊のような娘が、泣いていた? 信じられない。
もう三年以上一緒に居るが彼女が泣いているところなんて見た事が――
(――あ、そういえば。街でパセットちゃんと再会した時、泣いてたような…)
おっぱい揉ませろとか何時も通りの冗談を言っていた気もするが。
あの時のパセットは嬉しさ半分怒り半分といった感じ状態だった。
そう、彼女は心配してくれていたのだ。
メイドとその主人、としてではなく。
たった一人の親友として。
(――でも)
「だったら尚更…そんなパセットちゃんを、私は巻き込みたくない」
大事な友達だからこそ、人として幸せに生きて欲しい。
魔物となった自分に付き合って、危険な目に遭って欲しくないのだ。
ネーアやクロトと共に行く以上、人里には近付く事が出来ない。
魔物が蔓延る、こんな森の中を常に歩く事になる。
アネモネのガスや、姉妹の戦闘能力を考えればある程度の安全は保障出来るだろう。
だがそれも絶対ではない。
常に死と隣合わせになるかもしれない。
280 永久の果肉14 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 19:27:56 ID:/Wkm2F56
そんな危険な旅に、何の力も無い友人を連れて行く事なんて出来る筈が無かった。
「でも、それはリオの我侭」
「それは、そうかもしれないけど。いいの! 我侭でも!
私はパセットちゃんに付いて来て欲しくないの!」
もし、襲い来る魔物達からパセットを守り切れなかったら。
自分の力が及ばないせいで彼女が傷を負うような事になったら。
自分は一生後悔するだろう。
あの時、一緒に連れて行くんじゃなかった――と。
そんな想いをするくらいなら、最初から、
「でも、あの子はそうは思ってなかったみたいね」
遠巻きから見ていたネーアがポツリと呟いた。
「え?」
遠くの山から日の出が見え、薄暗い視界が徐々に明るくなってくる。
すると眼下に広がる山間の獣道から人影か近付いてくるのが分かった。
その人影は息を荒げながらしゃむにに走り、こちらへと向かってくる。
大きな旅行鞄を背負い、メイド服を着用し、栗色の髪を揺らす彼女は間違いなく、
「パセットちゃん!?」
「――ぜえっ! ぜっ! はあっ!」
メイド服の少女は魔物三匹と人間一人の輪へと接近すると、膝に手を付いて息を整えた。
全員が見守る中、その少女は顔を上げて、
「うっわエッロっ!?」
顔真っ赤にして背中を向けてしまった。
そう言えばこちらはマリオンとエッチして、そのままの姿だ。
クロトの花の上で、三人が密着したまま、今も二本の触手で繋がっている。
刺激の強い光景だった筈だがメイドの少女は背を向けたまま大きく深呼吸。
それを三、四回繰り返して、くるり、とこちらに振り向いた。
「頼もーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっっっっっっっ!!!!!!」
山中に響き渡る大声だった。
遠くの方で野鳥の集団が羽音を立てて、一斉に飛び立つのを見た。
「いや。そんなに大きな声ださなくとも聞こえるから」
全員が全員耳を押さえていた。
「う。面目無い。体力有り余ってたんで」
(息を切らせながら走ってきた癖に…)
まあ、それだけ必死だったという事か。
この森の中を一人で来るからには何かしらの準備もしていたと思うが。
それにしたって余程の覚悟と度胸がなければ出来る事ではない。
(私に、わざわざ会う為に。そんな事)
やっぱり危険だ。
今回は何とか追いついてきたけど、これ以降一緒に居て無事で居られる保障は無い。
マリオンと違ってこの子は何の力も無い只の少女なのだから。
「パセットちゃん。帰って」
「え?」
281 永久の果肉14 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 19:29:26 ID:/Wkm2F56
冷たく、突き放つような言葉に、流石の少女も困惑した表情を浮かべた。
「ど、どうしてさ…っ、どうしてそんな事言うのさっ。
パセットは、リオっちのメイドさんだぞ!
ご主人様が居ないと、パセットはメイドさんじゃなくなっちゃうんだぞ!?」
「パセットちゃん? リオ=リビディスタはもうこの世の何処にも居ないの」
マリオンから触手を引き抜き、花から飛び降りる。
魔力を制御し、裸体に黒く、卑猥なゴスロリドレスを纏わせた。
じゃきり、と爪を伸ばし、そのまま右手をメイドへと突きつける。
「私はモンスター。人を襲い、犯し、精を吸う恐ろしい魔物なの。
分かるパセットちゃん? 私にもうメイドさんはいらないの。
だから帰っ、」
「ふ、」
「…ふ?」
カタカタとパセットが肩を震わせていた。
俯き加減で表情は見えない。
シュトリの能力で彼女の心を読み取ろうと目を凝らして、
「ふっざけんなああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっ!!!!!!」
彼女の怒りが叩き付けられた。
「にゃうっ!?」
そのまま地面に押し倒されてしまう。
こっちは凶器だって持ってるのに、怖くは無いのか。
「二回だ!」
「え?」
「二回もっ、居なくなったんだ! パセットの前から!
何も言わずにっ、いきなり消えて! 何でっ!? どうして黙って行くのさ!?
パセットの事、嫌いなのか!? ならいい! それならパセットも諦める!
諦めて里に帰ってやる! けどっ、パセットの事少しでも好きなら、諦めない!
リオッちが何と言おうと付いて行ってやる! 地獄でも何処でもね!
さあリオッち!! 大嫌いっ、って今ここで言ってみろ!
パセットの目を見て言ってみろっ!!」
メイド少女の持つ気迫に完全に呑まれていた。
涙目で、歯を剥き出しにしながら激昂する友人の気持ちが痛い程伝わってくる。
置いてけぼりにされた事を不甲斐無く思い、同時に置き去りにしたこちらを恨んでいた。
そしてその激しい感情の奥に根ざしてるのは――純粋な好意なのだ。
「嫌いな訳、無いじゃないっ」
そんな人間を、どうして嫌いになれよう。
「私、パセットちゃんの事、大好きだもんっ!」
「だったらっ」
「だから、だよ! 私、パセットちゃんには幸せになって欲しいもんっ!
私みたいな化け物に付いて来たら、絶対に不幸になるもんっ!
だから、だからパセットちゃんの事を置いて来たのにっ!
どうして分かってくれないのっ!?」
「ひゃっ!?」
体を起こし、こちらを組み伏せていたパセットを突き飛ばす。
尻餅を付いたパセットが苦痛の声を上げ、思わず『あっ』と声を上げる。
が、そんな動揺を悟られまいと背中を向けると、押し殺した声で言い放つ。
「痛いでしょ? 私、もうモンスターなんだよ?
それはパセットちゃん本人がよく知ってる筈だよね?
だって嫌がるパセットちゃんを犯して、無理矢理種子を植え付けたのは、私なんだから」
溢れ出る衝動のままパセットを陵辱し、その精神を破壊した。
それも一時的なものだったらしく今はこうして元気に振舞っているが。
「私達と一緒に来るっていう事は、また同じような目に何度も遭うって事だよ?
ううん。ひょっとしたらもっと酷い事をするかもしれない。
暴走した私は、自分でも止められないのっ」
282 永久の果肉14 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 19:30:53 ID:/Wkm2F56
両腕強く自分の体を抱き締める。
この細腕にはパセットくらいなら簡単に八つ裂きで切る力がある。
そして魔物の本能は、完全に抑制する事は出来ない。
我慢は出来ても、いつか必ず爆発する時が来る。
その時に、目の前の友人に手を出さない、という自身が無い。
「私、怖いのっ!
また昨日みたいに暴走したら、パセットちゃんにもっと酷い事をするっ。
ひょっとしたら、殺しちゃうかもしれないっ!
そんなの絶対に嫌なのっ!! だからっ、だからっ」
最後は言葉にならなかった。
ぽろぽろと涙が溢れてきて、泣きじゃくってしまう。
こうして人間らしい感情はあっても、自分の中には確かに魔物が居るのだ。
パセットには、その餌食になって欲しくない。
「――リオッちの言いたい事は分かった。
まあ、言ってみれば前科持ちだもんね。心配になるのも分かる」
パセットはどっこらしょっと、なんて言いながら立ち上がり、スカートを両手ではたく。
それから何かを考えるように顎に手を当てて――
「ポクポクポク――チーンっ!」
何か閃いたらしい。擬音をわざわざ言葉にして言うあたりらしいというか何というか。
「大丈夫! リオッちはパセットに酷い事しないって!」
なんて、あっけらかんと言うのだった。
「な、何でそんな事言えるのっ!? 昨日の今日だよ!?
酷い目に遭ったばかりでしょ!?」
「何となくだ!! それじゃ悪いか!?」
「えぇ!? 何も根拠が無いの!? さっき何か考えてるみたいだったのに!?」
「ウチの婆ちゃんは言っていた! 『馬鹿は考えるだけ無駄』と!!
余計なお世話だっちゅーねん!」
セルフ突っ込みを入れるパセットに一同愕然としていた。
「だから根拠は無い!!」
「そ、そんな無茶苦茶な!?」
「リオッちどうだ!? 自分を信じられないか!?」
「あ、当たり前だよ!」
「けどパセットはリオッちを信じる!」
「そ、そんな事言われてもっ」
「なら自分を信じるな! パセットを信じろ!
リオッちを信じる、パセットを信じるんだ! これなら問題ナシ! 万事解決ぅッ!」
(もう訳わかんないよぉっ)
思わず頭を抱えてしまう。
「リオ、観念なさい。貴女の負けよ」
「ネーアさん…」
「ほらリオッち。そこのお花のお姉さんもそう言ってる事だし。ね? ね? ね?」
そう言って笑うメイドの少女は、大地を照らす太陽のように眩しい。
その笑顔に何度助けられた事だろう。
(……そっか、私はパセットちゃんに恩返しをしなきゃならない)
彼女がそう望むなら、その我侭を叶えてあげるというのが筋だろう。
じっと、パセットを見詰めて、
「ほんとに、いいんだね?」
「おうさ!」
「私、もう魔物さんだよ?」
「しつこい! リオッちはリオッちだ!」
283 永久の果肉14 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 19:32:00 ID:/Wkm2F56
「また、悪い事するかもしれないよ?」
「そんときゃパセットが張り倒してでも正気に戻してあげるさ!」
「…どうして…」
どうしてこの少女は、こんなにも自分に尽くしてくれるのだろう。
いや、本当は分かってる。
パセットが自分をどう思ってくれてるのか。
ただそれを、言葉にして欲しかった。
冗談ではなく真剣に。
相思相愛の恋人同士が愛を囁き合うように。
「だって友達じゃん♪」
ほら。やっぱり。
馬鹿なパセットちゃん。
ただ友達、なんて言う理由だけで、お屋敷での生活を捨てて、一緒に付いて来るなんて。
ほんと、救いようの無いお馬鹿さん。
「パセットちゃんって、真性の馬鹿だよね」
「にゃにぃ!? 昨日エッチした時『ずっと一緒ぉ♪』とか言ってたのはこの口だぞ!?」
「あにゃっ!?」
ぐい、と唇を左右に引っ張られて間抜けな顔を晒した。
「にゃったにゃぁ!」
「ふひっ!?」
負けじとパセットの唇を左右に引っ張ってお返しする。
「ひほっちへんふぁふぁおー!」
(リオッち変な顔ー!)
「ぱふぇっふぉふぁんふぁってへんふぁふぁおー!」
(パセットちゃんだって変な顔ー!)
「ひほっひふぉほうふぁへんふぁ!」
(リオッちの方が変だぁ!)
「ぱふぇっふぉふぁんふぉほうふぁへん!」
(パセットちゃんの方が変!)
ぎりぎりと唇を引っ張り合って激しい攻防戦を繰り広げる。
子供らしい喧嘩を、皆がが生暖かい目で見守っていた。
『あはははははっ』
朝焼けの森に二人の少女の笑いが響く。
リオとパセット。魔物と人間。主君と従者。
いや、そんなしがらみをものともしない、強い絆を彼女達は持っている。
この五人の行く先には、きっと様々な試練があるだろう。
人間からも、魔物からも疎まれたこの五人はきっと何処にも受け入れてはもらえない。
でも、きっと大丈夫。この五人ならどんな困難も乗り越えられる。
天国のお母さん。私を産んでくれてありがとう。
姉様も、パセットも、こんな私に付いて来てくれてありがとう。
私は今、とっても幸せです。
そして願わくば、どうかこの幸せがいつまでも続きますように。
ずっと。永久に。
284 乙×風 ◆VBguGDzqNI sage 2010/05/27(木) 19:34:01 ID:/Wkm2F56
はーい最終話終了です。皆様お疲れ様でした。
70KBは長かったですねぇ(汗 、何でこんなに長くなったのだか。
お時間を取らせてしまってほんと申し訳ない。
せめて、時間を忘れるほど愉しんでもらえたらいいのですが。
今回、エッチシーンを入れたおかげでマリオンのキャラがぐんと立った気がします。
自分の体にコンプレックスを持ってるマリオンは裸になる度に、
『…どうせ貧相だし…』
とか言いながら瞳をうるうるさせてちょっぴりいじけるわけですな。
逆に褒めると嬉しそうな顔をして、上目遣いで『本当?』なんて聞いてきます。
不器用なおねーさんがそんな時だけ子供っぽくなるというギャップが実にエクセレント。
とか馬鹿な事を考えながらエチシーンを書いていました。あほですね。
さあ、今から後日談を書く作業に戻ります。二週間くらい掛かるかな?
来週には経過報告も兼ねて次回予告だけでも投下しようと思います。
いつものように誤字脱字感想等よろしくお願いしますー。
それではまたお会いしましょう。
ロリータっ、万歳!!
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