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(ツキに憑かれて 後編)
463 名無しさん@ピンキー sage 2009/12/12(土) 15:56:59 ID:NFcoL/6i
「やっ、たぁああああ~!」
僕は千切れんばかりに返された答案用紙を握り締め、今年最高と言ってもいいぐらいの喜びを噛み締めていた。
『くくっ、此方にも感謝してくれの?』
得意げな声の同居人が僕に言う。でもツキの言うとおり、今日のテストで赤点を回避できたのツキのお陰でもある。
今日の追試の数学テストの最終問題で、おそらく先生が配慮してくれたと思われる選択式の問題が出ていた。
だけど、先生の涙ぐましい心遣いも虚しく僕はその数式の解き方をすっかりと忘れてしまっていた。しかも、他の解けていない問題は複雑な上に選択肢ではなく途中式を含めて自分で答えを導き出す問題だ。
最悪なことに僕はその問題も途中までしか解けなかった。おそらくこのまま選択式の問題も間違えばほぼ赤点は確定してしまうだろう。
僕が必死に思い出そうとしても、テストの制限時間はもう1分ほどまで迫っていた。だけど僕の頭はもう数字と記号の羅列で爆発寸前。
その時だった。ツキが冷静な声で3、と僕に告げたのだ。
理由を聞いている暇なんてなかった。僕はツキの言うとおりに解答用紙に3、と大きく書くと最後の見直しをする暇もなく中立なチャイムが鳴り響いた。
そしてその2時間後。早くも返ってきた解答用紙には先生のにこやかな笑顔と共に、赤点ギリギリの得点がでかでかと記されていた。
「もちろんですよ。でも、なんで分かったんですか? まさか、この数式を知ってたとか?」
僕は軽い足取りで、土曜日の昼下がりの廊下を歩いていた。今日は追試の生徒だけが学校に呼ばれる日で、他の生徒の姿はもうなかった。……ま、まさか全校で追試がぼくだけってことはないよね?
『ああ、それはな……此方の“カン”だの』
「へぇーっ。そうな……」
『くっくっく、よぉ当たるもんじゃろ?』
背中を伝うのは季節的に運動でもしなければ掻きそうにない汗。だけど、その冷たさはまさに季節にぴったりなほどひんやりとしている。
「じゃ、じゃあ下手をしたら……」
『お主の申すところの……赤点というやつじゃの。くっく、おっとっと! し、しぃ!?』
ちょ、ちょっと目の前がくらくらしてきた……。それはそうだよね。ツキが数学の問題を分かるはずがないですよね。
『お主、此方を馬鹿にしておるな?』
「ば、馬鹿にしてるわけじゃないですよ! ただ、得意なものがあれば苦手なものもあって当然ですし……」
額に冷たい手を当てて頭を冷やしながら僕はツキをなだめる。それに勘だとしても、ツキのお陰で僕は赤点を回避できたのだから感謝しなくちゃいけない。
「本当にありがとう、ツキ」
『……お主のそういう素直なところが大好きじゃ。まぁ、よお頑張ったわ。帰ったらご褒美をやらんとの……くっくっく』
妖しさ100%にも素直に反応してしまうのも僕だけなのだろうか? うぅ、ズボンがキツキツに……。
『お主の顔は心をそのまま映す鏡のようじゃの。先ほども此方が助言するまで、お主はまるで地獄にでも落とされそうな顔をしておったわ』
かあーっ、と今度は身体全体が熱くなるのが分かる。多分、今も顔が茹だこの如く真っ赤になっているに違いない。
『じゃが、お主は此方の骸を見つけたときは返って毅然としてたの? 心悪くはなかったのかや?』
「それは……確かに直視するのは辛かったけど、実は前に」
『しぃ!』
「ひゃっ!」
ツキの突然の大声に僕は思わず飛び跳ねた。ど、どうしたのかな?
『お主が今思い出そうとした記憶、一体いつのものじゃ!?』
「え、ええっと確か……5年前、かな?」
『その記憶、此方にも見せておくれ! お願いじゃ!』
僕がツキに僕自身の罪を告白してから、ツキは僕の記憶を覗き見することはしないと言ってくれた。僕としてはもう、ツキに隠し事などするつもりはなかったから別によかったんだけど、ツキは頑なにそれを拒んでいた。
そのツキが僕の記憶の中の何かを知りたがっている。だとしたら僕には断る理由などない。
ちょうど教室に着いた僕は、自分の席に座ると5年前の夏の思い出を久しぶりに紐解くことにした。
464 名無しさん@ピンキー sage 2009/12/12(土) 15:57:51 ID:NFcoL/6i
5年前、あれは確か僕が小6で先輩が中学1年生になった夏。
同じ小学生同士の頃はそれこそ365日一緒にいたけどさすがにこの時期は先輩も進学したため、狭い田舎でも一ヶ月に一度会えば挨拶だけを交わすぐらいの仲になった。
そんな僕の小学生最後の夏休み、宿題である自由研究の材料を買うために町の方へと出向いたその帰り道だった。
まさにこの前のデジャブ。コンクリートの上に平べったい死体があったのだ。夕焼けで赤くそまる道路はそこだけ黒くなっていた。
山で蛇やイタチの死体を見たことは何度かあった。でも、コンクリートの上で死んでいるその死体は、山のそれとは明らかに違う冷たい恐ろしさがあった。
動物同士が争って死んだのなら死体が残ることなどほとんどない。それに草木が生い茂る山の中ではそれに気付くことは皆無と言ってもいい。
ただ、その死体は決して動物同士が争って死んだのではないことが一目で分かるほどに残酷な死に様で、夜でもない限りこの道を通ったならば気付かざるを得ないほどの存在感を放っていた。
そう、まるで本来ならこんな死に方すらあってはならないというほどの死体。それが僕の帰り道のど真ん中にぽつんと倒れていたのだ。
自転車から降りた僕はそれが単なる影ではなく黒猫の死体だと分かり……そして次の瞬間にはもう家についていた。
森の隙間から見える夕日は先ほどとほとんど位置が変わっていないように見える。いや、どう考えても家まで全力疾走で走ってきたとしか考えられない。
僕は逃げたのだ。猫の死体を置いて、そのまま。
吐き気は喉元一歩手前まで押し寄せて絶え間なく湧き出る汗も、口を閉じれないほどの荒い息もしているにも関わらず、異常な寒気が僕の背中を震わしていた。
それから家に入ると母さんの出した食事をほとんど残し、お風呂にも入らずに僕は布団に潜り込んだ。寝て全てを忘れてしまおう。僕はそう思ったのだ。
だけど寝れなかった。もちろん寝るにはあまりにも早い時間であったし、お風呂にも入ってなかったから眠気もなかった。
でも、そんなこと以上に頭にあったのは死体のこと。
果たしてあの死体はどうなるのだろうか? アリか何かが食べてくれるのだろうか? それともあのままずっとあそこに留まり続けるのだろうか?
……少しでも大人びたかったのかもしれない。怖いものと向き合えば、正義を守れば少しだけ大人になれるんじゃないか、って。
僕は母親に気付かれないように家を飛び出して、全速力であの道路へと向って山を降りていた。自転車のか弱いライトで闇を切り裂いて一気に駆け抜ける。
やがて山道からコンクリートの道路に飛び出た僕はあの猫が死んでいた場所へと急いだ。
だけど……その猫の死体は消えていた。
暗闇でもそれはすぐに分かった。自転車のライトが血痕とわずかな肉片を照らしたからだ。一応、周りも見てみたがやっぱり死体自体はなかった。
僕は安心したような、後悔するような複雑な気持ちを抱えながら、家路へと付いたんだ。一体誰が……、とそんなことを考えながら山を登って。
その途中だった。突然、山道の外れから人影が飛び出し、僕は急ブレーキと急ハンドルでなんとかそれを避けた。
セーラー服に身を包んだその人は、僕の知っているその人よりその姿はずっと大人びて見えた。
それは久しぶりに会う先輩だった。……先輩は最後に会った時より大きく、そして綺麗になっていた。
先輩は僕を見ると驚いた顔をしながら、慌てた様子で両手を後ろに隠してこちらに話しかけてきたんだ。なんでもない。ただのたわいのない話を。
だけど僕は気付いていた。
月明かりに照らされた先輩のセーラー服に少しだけ赤いシミと、おそらく地面を掘ったのであろう茶色い土が付いていたことに。
それを隠して笑う先輩。久しぶりの会話だった。相変わらずの可愛らしい笑顔に今までなかった綺麗さが加わってもう僕は直視しただけで顔が熱くなってしまうほどだった。
それが僕の小学生最後の夏休みの思い出。そして先輩に……恋をしたのも多分、その日からだったんだろう。
465 名無しさん@ピンキー sage 2009/12/12(土) 15:58:30 ID:NFcoL/6i
「……っと、こんなところですかね。……あの時、僕は凄く後悔したからツキを見たときも動揺せずに死体を埋葬したんですよ。……ツキ?」
珍しく黙り込んでしまった同居人に僕は少しだけ不安になる。
ツキが来てくれてから多分初めて頭の中が静かになって僕は孤独感を覚えた。つい1ヶ月前まではそれが普通だったはずなのに。
初めてツキと話した時にツキが言っていた、お主が此方で、此方がお主、という言葉に僕は恐怖を覚えてガタガタと震えていた。
だけど今は……これ以上嬉しい言葉はないってことを、このとき僕は勝手に実感していた。
『しぃ!』
「うわっと!」
またしてもツキの突然の声に少しだけ驚いたけど、それより僕はツキの声が久しぶりに聞けたことが嬉しかった。
『此方を、此方をそのおなごに会わせておくれ!』
だけどそのツキの声はとても焦っていて、まるで僕はツキにすがりつかれているような気がした。
そっか。追試の勉強やら何やらがあって、ツキと一緒になってから先輩にはまだ一度も会ってないんだっけ。
「分かった。すぐに会いに行こう」
なんで先輩と会いたいのか、なんてことはもちろん聞かない。ツキだって僕の過去を知らずとも僕を好きだといってくれたのだから。
僕は机の横にかけておいたリュックを右肩に引っ掛けると廊下を全力疾走で駆け抜けて二十段近くある階段を一気に飛び降りた。手足を使って着地した僕の身体に思い響きが電流のように伝わる。
ツキが一緒になってからはとにかく身体が軽かった。今までの僕の身体と比べれば、今は全身がまるで風に乗る木の葉になった気分だった。
だから最近はそれが楽しくてまるで小さな子供みたいに走ることさえもが毎日の楽しみになってたけど、今は走るのが楽しいから走っているわけじゃない。
まだ同居人と出会って1ヶ月しか経ってないけど、僕には無言のツキの心がまるで自分のものと同じように分かっていた。
今、ツキは期待と不安で焦っている。
その期待が果たして何であって、不安が何であるかなんて僕には分からない。だけど、僕にはできることが一つだけある。
それは大好きな同居人のために全力で先輩の元に向うこと。僕みたいな馬鹿でもできることだけど僕しか出来ないことでもあるんだ。
だから、僕は全力で走るんだ。一分でも、一秒でも、一瞬でも早くツキが先輩と会えるように。
466 名無しさん@ピンキー sage 2009/12/12(土) 15:59:04 ID:NFcoL/6i
ロックしたタイヤから白煙が上がるんじゃないかというほどの急停止で先輩のアパートの前で僕は自転車を停める。2階建ての木造アパート、先輩はここの2階のいちばん奥の部屋に住んでいる。
休日だったこともあり、僕は先輩が今日もスーパーで働いていると思い込んでたけど、実際にそちらに行ってみたところ先輩は休みであるということを店長さんが教えてくれた。
どうやら僕が追試の勉強に追われている間、先輩も働きづめだったようで今日は久しぶりの休みらしい。
僕がこのアパートに来たのは先輩が中学を卒業した後に一度だけ、それも僕の家から先輩がこのアパートで一人暮らしを始めるときに母さんと一緒にその手伝いのために来たときだけだ。
それもあれから先輩と二人だけで密室の空間にいることが僕は恐くなったからだ。
『しぃ……すまぬ』
「あっ、ごめんなさい。くすっ、大丈夫ですよ。さっ、行きますか」
くだらないことを思い出してしまった僕はツキに心配をさせてしまったことに気付き、駆け足で茶色く錆びた階段を一気に駆け上がった。
休日の昼間のアパートは思いのほか静まり返っていて、僕はもしかしたら先輩もどこかに出かけてるんじゃないかと一瞬だけ不安になってしまう。
でも、これ以上ツキに心配は掛けたくない僕はそれを拭い去って先輩の部屋の前に着くなり、一呼吸おいてからすぐさまドアをノックした。
それほど強く叩かなくても土気色の鉄のドアはアパートの廊下に重く響いた。住んでいる人はこれで自分のドアがノックされたのか、他の人のドアがノックされたのかが見当がつくのかな?
だけどそんな疑問は叩いてわずか2秒で吹き飛んでしまった。
静かだったアパートに響いたドアのノック音がまだ残響を残している間に、先輩の部屋の中からボスン、という鈍い音が聞こえてきたのだ。
僕が口をハの字に曲げながらドアの前で硬直しいると、土気色のドアは何の前触れもなく突然開かれた。
あまりに勢いのついたそれを僕はすんでの所でかわし、そしてジャージとねずみ色のシャツをはだけて着ている先輩と対面した。
「し、しぃちゃん!? ど、どうしたの?」
僕の顔を見るなり目を見開いた先輩に、僕はどう答えようか悩みながらとりあえず苦笑いをした。
しかし突然、頭の中でツキが口を開いた。
『やはり……の』
『なっ!?』
「「えっ?!」」
その言葉に対してわずかに遅れて聞き覚えのない誰かの声、そしてそれに対しての僕が驚く声と先輩が驚く声が重なった。
『元気にしておったかの、“ひな”』
『……うん』
母親が子供に優しく話し掛けるような声でツキが言うと、少しだけ間を開けて静かな声が先輩のほうから聞こえてきた。でも、それはやっぱり先輩とは違う声だ。
「と、とりあえず中に入って」
先輩も混乱しているみたいだったけど僕を部屋の中へと迎え入れてくれた。
最初に目に入った台所は綺麗に整えられていた。僕の家に住んでいた時から先輩はこまめに掃除をするほうだったし僕としては、それは当たり前だった。
だけど、そこから畳みの部屋に迎え入れられたときは一瞬動きが止まってしまった。……別にでっかいゴキブリがいたとか、生ゴミが山積みされてたわけではない。一見すればやっぱりそこは綺麗に整えられてはいるんだ。
467 名無しさん@ピンキー sage 2009/12/12(土) 15:59:41 ID:NFcoL/6i
ただ、部屋の右側にある押入れのふすまに……ちゃぶ台が突き刺さっていたんだ。どこかの前衛的なアーティストの作品なら僕は思わず納得してしまったかもしれない。
口を半開きにしている僕の視線に気付いたのか、先輩は明らかな作り笑いを僕にしながらそれを引き抜く。すると、白いふすまに大き目のブラックホールが生まれた。
そのままちゃぶ台を部屋の中央に置いた先輩は、僕をふすまの向かい側に座らせて自分はその穴を見せないように僕の向かい側に座った。
「え、えっと……と、とりあえず」
『茶菓子は結構じゃ。その前に汝にお礼を申したい。……ひなを可愛がってくれてこと、心から感謝いたしまする』
腰を浮かせた先輩に、ツキがすかさず口を開いた。頭の中に響くその声はやはり先輩にも聞こえているらしく、先輩はそれを聞き終わると困ったような表情をしながらそのまま腰を降ろした。
『さて……ひな。久方の再会を喜びたいところじゃが、此方の想像が間違っておらぬならば、その前にお主はしぃに謝らなくてはならないと思うのじゃが?』
まるで冒頭の三十分ほどを見逃した映画を見るように、僕がまったく話の内容を掴めずにいるにも関わらず話は進められていた。
『そ、それは……』
ツキの言葉に動揺した声が先輩の方から聞こえてくると、先輩はその声の主を心配するような表情で僕の方を向いてこう言ってくる。
「あ、あの。もうやめてあげてくだ」
『ひな。しぃはの……まだそのおなごを』
『う、うるさい!』
ツキの言葉を遮って尖った叫び声が全面から僕を吹き飛ばすように遅い掛かり、僕は思わず身体を震わした。
『だったら……だったら!』
「きゃっ! ちょ、ちょっと! やっ、だ、だめっ……!」
叫び声を上げた声の主が何かを決意したように言うと、先輩が弾かれたように立ち上がり自分が穿いているジャージのズボンに右手を掛け、しかし先輩自身はそれを拒むかのような声と共に左手でそれを抑え始めた。
滑稽なその姿に僕はしばし見とれてたが、あやうくジャージのズボンが本当にずり下がろうとしたので急いで顔を俯いて視界を茶色いちゃぶ台に固定した。
『本当に好きだって言うなら、このくーを抱いてみなさい!』
あまりに突拍子のない言葉に僕は思わず顔を上げてしまい、そして僕はズボンを下げている先輩の姿に目を奪われた。
……僕が女の人の裸を現実でこんな近くで見たことはない。だから確信はないけど……け、けど……でも、こ、これがついているのは……。
「あ、あぁ……」
「いっ、やあぁ……み、見ないで」
あまりの衝撃に言葉を失った僕は先輩の言葉すら無視してそれから視線を外すこともできなくなってしまっていた。
先輩の股間には……男にしかついていないはずのモノが天に向ってそびえ立っていたんだ。
『はぁ……まぁ、いいじゃろ。じゃが、しぃがそのおなごを抱いた時は、覚悟できてるの?』
『ふふふっ、もちろん。でも言っとくけど、くーはこれで自慰をするのは大好きよ? さっきもちゃぶ台を蹴り飛ばしちゃうほど夢中になってたんだから』
先輩はひな、という誰かの言葉に両手で顔を覆ってしまった。僕はあまりに突拍子のない事態の連続に頭がパニック状態になっている。
『しぃ、決めるのじゃ。そのおなごを抱くのか、抱かぬのかをの』
だ、抱けって……ちょ、ちょっとは説明ぐらいしてくれたって――。
『すまぬ……それは、今は出来ぬ。ただお主は……あのおなごが好きなのじゃろ?』
ツキの言葉に僕の大混乱だった頭の中が真っ白になり、そして僕はただ単純に先輩が好きか、好きではないかを考える。
その答えは一桁同士の足し算をするより簡単だった。
「うん」
『くくくっ、ならあのおなごを抱いてやるのじゃ。此方がぬしをそれに相応しい身体にしてやるからの』
えっ、と僕がその言葉の意味を聞き返す前にそれは始まった。
468 名無しさん@ピンキー sage 2009/12/12(土) 16:01:34 ID:NFcoL/6i
まず僕が感じたのは手足の違和感。まるでその骨についている肉が身体の内側へと引っ張られるような感触だ。
その違和感に袖をまくると……僕の腕は段々と細くなり始めていた。
「なっ!?」
「し、しぃちゃん?!」
まるでSF映画のワンシーンのようなその光景に驚く僕と先輩を尻目に、その変化が僕のあらゆるところへと広がり始めた。
心配そうな先輩の顔がぼやけ始めて顔の筋肉が動かせなくなり、何か息苦しいと思えば僕のブレザーの胸がまるで女子の制服のように膨れ始めている。
やがてその膨らみに遮られて僕の足すら見えなくなる頃……僕の股間に言いようのないムズムズ感が襲ったと思ったら、それが段々と退き始め今度は感じたことないスースーとした感触をそこに感じ始めた。
そして段々と違和感がなくなり始めて視界が再び安定し始めると、最後に僕のYシャツとブレザーのボタンが勢いよく吹き飛んでいき、そしてそこから二つの果実の谷間を見ることが出来た。
『くくっ、左の鏡を見てみんせ』
少しだけ乱れた呼吸を整えながら、僕はツキが言った通りに左を向いてそこに掛けられていた全身鏡を見てみた。
僕の見覚えのある少女が、僕の制服を着て、僕のほうを見ていた。
鏡の中の虚像に唖然としながら、僕は右手を動かしてみる。すると、当然だけど虚像の中の少女も同じように動いた。
溢れんばかりの胸に黄金色の長い髪、そしてその髪の上から覗く二つの小さな耳……ここ数週間はほとんど毎晩見ているその少女の姿は、まさしくツキが人間に化けたときの姿そのものだった。
『これなら、あのおなごと繋がれるじゃろ。……此方が毎晩お主にやったことを思い出して、あのおなごを喜ばしてみんせ』
そう言われて思い出した僕は、逆側の先輩の方を振り向くと先ほど僕が先輩に生えているモノを見たときのように、先輩もまた口を半開きにして僕を驚きの表情で見ていた。
だけど、僕の頭の中にあったのはツキが言った喜ばしてみんせ、という言葉だった。そして更に先輩が僕を拒絶した5年前の出来事を思い出し、僕は全てを悟った。
先輩は好きなのは……男性じゃなくて女性だったんだ、って。
思えば僕はよく女々しいと言われていた。ツキが僕によくかわいい、と言っていたのも僕がやっぱり女の子っぽいからだったんだろう。
でも、そうだとしたら今の僕……ツキの姿をした僕なら先輩は受け入れてくれるはず。
『くっくっく……ほれ、その召し物を脱いでおなごに近寄らんか』
僕はツキに言われて僕に見入っている先輩の前でブレザーとスラックスを脱いで、そしてYシャツのボタンに手を掛けた。
『おっと、しぃ。こういう時はの、かえって僅かな衣を纏っているほうがそそるもんじゃ。お主にもわかるじゃろ?』
その言葉に再び鏡で自分の姿を見れば、その虚像に思わずドクリと心臓が大きく跳ねた。黄金色の髪とその白いYシャツはよく映えていて、まるで洋風の人形のような触れがたい儚さをかもし出していた。
『それと、これを忘れておったの。これがない此方はやはり似合わん』
完成された料理の隠し味を忘れていたかのような口調でツキが言うと、僕はお尻の上辺りに何かが映えてくるような感覚を覚えた。
だけどその違和感は数瞬ですぐに引き、それに引き換えて僕の身体にまるで三本目の足が生えたような感覚が生まれる。
ためしにそれを動かすと僕の虚像の背後で揺らめくそれに僕は思わず笑ってしまう。何がおかしかったのか、自分でも分からないけど何故だか笑ってしまった。
髪と同じように黄金色でその先っぽだけ真っ白なそれは、数週間前に僕の口に入り込んだものでもあり、そして今では僕の同居人のトレードマークとも言っていいものだった。
469 名無しさん@ピンキー sage 2009/12/12(土) 16:03:03 ID:NFcoL/6i
そうして僕は完全な変化(へんげ)を終えると、ゆっくりと尻尾を回すように振り返り、目を見開いて僕に見入っている先輩にじわじわと近づく。
ツキの身長はぼくより高かったけど先輩には敵わない。先輩の目の前まで近づいた僕は、驚きのあまりなのか動けなくなっている先輩を舐めるように見上げる。
そして先輩の驚いた顔に向けてゆっくりと背伸びをし、驚いてまだ半開きになっている口に小鳥がついばむようなキスを繰り返した。
僕の唾液で先輩の唇を軽く濡らしたところで、僕は先輩の唇に完全にぼくのそれを重ね、そして今度は舌で先輩の唇に唾液を塗りたくっていく。
先輩の吐いた甘い吐息を何度か吸い込んだところで、するりと僕は先輩の口の中に舌を侵入させて、奥のほうに怖気づいていた先輩の舌に絡めていく。
二人のくぐもった息を交し合ったところで、僕は先輩の首に両腕を絡めると少しだけ体重をかけて先輩の体勢をゆっくりと崩し、ふすまを背にした状態で座わらせた。
「んっ……くすっ、先輩のもうビンビンですね」
「やっ。言わ……ないで」
「恥ずかしがることないですよ。今からぼ……………………………………此方が気持ちよく、させてやるからの」
此方はおなごの股に生えたそのいちもつに顔を近づけ、口元に手をあてて此方を見ているおなごに笑いかけてやり、そしてその膨れた頭に軽い接吻をしてやる。
「んぁんっ!」
それだけで大きな声を上げたおなごに此方は少し驚いたがそのまま四足で這うと顔をそのイチモツに近づけ、おなごのモノの根元からに舌を這わせる。
「ひぁぁぁ……」
「くくくっ。さてと、お主のイチモツはどんな味をしておるのかの?」
おなごに舌なめずりをしながら妖しく笑いかけてやると、此方は涎をイチモツの頭に蜘蛛のように糸をたらしてやると、それ伝うようにしてイチモツをくわえ込んだ。
「んぁああああん!」
イチモツを口に納めた此方が頭を上げると、おなごは此方に弄ばれる此方のような顔をしておった。くくくっ、かわいいやつじゃ。
此方はおなごがわずかに余裕を取り戻すを待ち、冷静さの欠片が表情に浮かび上がると同時にイチモツを空気と共に吸い上げ始めた。
途端におなごは目を見開き、阿呆のように口を開いて声になっておらぬ叫びをあげおった。
やがて此方の唾液に濡れたおなごのイチモツの竿が姿を現し、口の中に頭が残っておるうちに再びそれを口の中に納めに入る。
それから此方は呼吸と同じくおなごのイチモツを口の中で反芻しておると、狐の雄が達するのと変わらぬほどでおなごはどうやらその直前まで辿り着いたようじゃった。
「くっ、はんっ、くぅっ!」
おなごは腰を浮かせ、此方の口の抽送に合わせて腰を動かすまでになりおった。その顔は恥などとうに忘れ、すっかり己が欲を求めんとするものに変わっておる。
「んあああっ、くるぅうう! くるぅううう!」
やがておなごは此方の頭を掴み、達するための最後の快感を得るがために強引に此方の抽送を早め始めおった。
此方もそれに抗わず、なすがままにイチモツを咥えて達するために身を任す。
して、おなごが此方の喉元までイチモツを納めさせると同じくおなごは達した。
「くぁあああああああんっ! ひっ、くぅぅぅぅぅ」
「ぐぅっ! ごぉ、んんぐ、んんっ、ぷはっ! ケホケホ」
おなごから放たれた子種は此方の口の中を雄の匂いで湯水の如く満たし、更に二度三度続けて放たれた子種はむせてしまった此方の顔へと降りかかりおった。
「し、しぃちゃんごめん!」
「くぅ、んっぅ……くくく。立派な子種じゃな。むせ返りそうな匂いじゃし、量も大したものじゃ。じゃが……」
「きゃんっ!」
イチモツを掴まれただけでかわらしいい悲鳴をあげよるおなごに近寄り、喉で笑いながら此方はおなごの震える耳元で囁く。
「まだまだ残っておるようじゃの。むしろいきり立っておるようにも見える。くくく」
此方の言葉に恥を思い出したおなごが真っ赤に火照る。
470 名無しさん@ピンキー sage 2009/12/12(土) 16:04:25 ID:NFcoL/6i
そのかわいらしい反応に此方は身体を離し、おなごに見えるように膝を折って足を広げ、此方の下の口を指で開いて見せつける。途端に此方の指を蜜が伝う。
「それをここに納めたいじゃろ? 此方も物足りのうて身悶えしてしまいそうじゃ。おなごのお主ならわかるじゃろ?」
「ひぁっ、くぅぅ……」
おなごは獣のように息を荒げ、此方の穴に目を奪われおった。くくく、そうじゃそうじゃ。かわいらしいのものじゃ。
「ほれっ、どうしたのじゃ? 此方と繋がりたくないのかや?」
「あぐぅぅぅ……くっ、ああああ!」
此方の誘惑に堕ちたおなごは此方を荒々しく押し倒し、まるで飢えた雄の獣のように唇を重ね、此方の胸を乱暴に弄り始めおった。
「んんっ、くはっぅ、はぁはぁ……くはんっ、いれたいぃぃ、いれたぃのにぃいぃいい」
おなごは此方の穴の位置は分かっているもののあまりに焦っているのか、必死に此方の下の唇にイチモツを擦り付けるのみで中々入ろうとせん。
「くくく。ほれほれ、此方をこれ以上焦らすつもりかや? 仕方ないの、くくく」
此方は再び指で穴を広げてやると、おなごはなんとも嬉しそうに顔を綻ばせ、そしてゆっくりと此方の中へとイチモツを入れはじめおった。
「くぁあああんん! すい、こまれるっぅぅぅ!」
「くぅぅぅぅ! あぐぁぁ」
おなごのイチモツは膨らんだ頭が此方の唇を押し広げながら亀のように鈍足に入ってきおった。
そして膨らんだ頭を此方が咥え込むと、おなごが一息に身体を此方に向けて落とし、イチモツが此方の最深部を勢いよく突きおった。
「ひぁあああああああああんっ!」
「くぁあああああああ! あが、っいぃ……くくく、あつい棒が、此方の中で震えておる」
「はぁはぁ、しぃちゃんの中、あったかくて、んっ、ぐちゅぐちゅしてるぅぅぅ」
「くくく、ほれっ、いつまでも止まっているつもりじゃ?」
此方に突き刺さったままになっておるおなごに言うと、こくりとおなごは生唾を飲み、此方から竿を引き抜きはじめおった。
「かはぁぁぁ、なっ、からみ、ついてくるぅぅぅぅ……!」
対して此方はわざと下の唇を締め、おなごのイチモツを抱き込まんとする。
「んんぁ! このまま、お主のイチモツを、食べてしまいたいぐらいじゃ。くぅぅぅ」
「くっぅぅぅ、あぁぅ! はぁぁぅぅ、んんんっ!」
おなごは呻きながらやっとのことで竿を引き抜くと、間も開けずに再び此方の中へと沈ませおった。
471 名無しさん@ピンキー sage 2009/12/12(土) 16:05:15 ID:NFcoL/6i
けぁああんっ、その、調子じゃ。はんっ、くゅんんっ!」
「くんっ、んぅぅ! すごいぃ、すごいょぉお。しぃちゃんのなか、きもちいいよぉ!」
此方の腰を掴んだおなごは乱暴に此方の中を蹂躙しおった。その顔はまさに雄のそれと同じじゃ。恐悦に顔が嗤い、己が欲望のために相手を愛す雄の姿そのものじゃ。
「んぐぅ、はぅ、んんぁっ! しぃちゃん、なかに、ださせてぇ! いいよね? いいよね!」
「ぅつう! くくく、お主の、ぐぅ、子種、全て此方のものじゃ。んぅぐぅ!」
「ふぁあああっ、っぅ、うれしいいぃぃぃ」
嘘のない笑い顔でおなごは言うと、己が全てで此方を染めんとするおなごは身を此方に預け、唇をまさぐると同時に涎を絶えず送り、そして奪っていきおった。
その間も此方の中を蹂躙することはやめることなく、むしろより一層激しく此方を愛してきおった。
「くぅぅっ! もう、らめぇぇ、でちゃうぅぅ。おち○ちん、はれつしちゃうぅぅぅ!」
「んっかぁくぅぅっ! 此方も、限界じゃ、はようぅ、くぁああんっ!」
此方はおなごの首根っこに腕を回して抱き寄せ、嫌が応にも此方の中から逃げ出せんようにおなごを捕まえた。
「くはああんっ! 出すのじゃ、お主の、こだねぇえええええええ!」
「あああああああああ! でるぅうううううううう! ふぁああああああああああんっ!」
おなごが此方の奥で時が止まったように動きが固まり、同時に此方の下腹部に熱い子種がまるで洪水の如く流し込まれてきた。
「けはっ! あっ、つぃのが、ながれ、こんでおるうぅぅ」
「んぐっ、くんんっ! とまらないぃぃぃ。くああああんっ!」
更にイチモツから子種を搾り出そうとしたおなごが勢いあまって此方の中からモノを抜いてしまい、同時に出た子種が雨のように此方の身体と布を濡らしおった。
「くふぅ……はぁはぁはぁ……」
「んんっ、くくくくくくっ。ほれ、お主の子種が此方の穴に満ちておる」
此方は穴を広げてそこに溜まった子種を息を切らし横になっておるおなごに見せつけた。
して、此方はゆっくりと立ち上がりおなごに近寄ると、再びおなごのイチモツを掴む。
「あああんっ! さわっちゃ、あっ、だめえぇぇぇ」
「くくくくくっ、じゃがまだまだお主の中には子種が残っておるようじゃの? くくく、これは全て此方のものじゃぞ? んっ」
「ひぁっ!? す、すっちゃ、らめぇえええええええええ! きゃああああんっ!」
此方はわずかにへたれたおなごのイチモツを咥え込むと一息に吸い上げた。途端におなごは痙攣し、甘い嬌声を上げおる。
「ケホケホ、ほれっ、もういきり立ちおった。まだまだ終わらぬぞ? くくく」
口の中に飛び込みおった子種に喉を詰まらせながらも、此方はそれを飲み込み、そして再びいきり立ったイチモツの上に跨りそれを納め始めた。
それからおなごが気絶するまで……いんや、してもしばらく此方はおなごをしゃぶりつくしたのじゃ。
<<終>>
「やっ、たぁああああ~!」
僕は千切れんばかりに返された答案用紙を握り締め、今年最高と言ってもいいぐらいの喜びを噛み締めていた。
『くくっ、此方にも感謝してくれの?』
得意げな声の同居人が僕に言う。でもツキの言うとおり、今日のテストで赤点を回避できたのツキのお陰でもある。
今日の追試の数学テストの最終問題で、おそらく先生が配慮してくれたと思われる選択式の問題が出ていた。
だけど、先生の涙ぐましい心遣いも虚しく僕はその数式の解き方をすっかりと忘れてしまっていた。しかも、他の解けていない問題は複雑な上に選択肢ではなく途中式を含めて自分で答えを導き出す問題だ。
最悪なことに僕はその問題も途中までしか解けなかった。おそらくこのまま選択式の問題も間違えばほぼ赤点は確定してしまうだろう。
僕が必死に思い出そうとしても、テストの制限時間はもう1分ほどまで迫っていた。だけど僕の頭はもう数字と記号の羅列で爆発寸前。
その時だった。ツキが冷静な声で3、と僕に告げたのだ。
理由を聞いている暇なんてなかった。僕はツキの言うとおりに解答用紙に3、と大きく書くと最後の見直しをする暇もなく中立なチャイムが鳴り響いた。
そしてその2時間後。早くも返ってきた解答用紙には先生のにこやかな笑顔と共に、赤点ギリギリの得点がでかでかと記されていた。
「もちろんですよ。でも、なんで分かったんですか? まさか、この数式を知ってたとか?」
僕は軽い足取りで、土曜日の昼下がりの廊下を歩いていた。今日は追試の生徒だけが学校に呼ばれる日で、他の生徒の姿はもうなかった。……ま、まさか全校で追試がぼくだけってことはないよね?
『ああ、それはな……此方の“カン”だの』
「へぇーっ。そうな……」
『くっくっく、よぉ当たるもんじゃろ?』
背中を伝うのは季節的に運動でもしなければ掻きそうにない汗。だけど、その冷たさはまさに季節にぴったりなほどひんやりとしている。
「じゃ、じゃあ下手をしたら……」
『お主の申すところの……赤点というやつじゃの。くっく、おっとっと! し、しぃ!?』
ちょ、ちょっと目の前がくらくらしてきた……。それはそうだよね。ツキが数学の問題を分かるはずがないですよね。
『お主、此方を馬鹿にしておるな?』
「ば、馬鹿にしてるわけじゃないですよ! ただ、得意なものがあれば苦手なものもあって当然ですし……」
額に冷たい手を当てて頭を冷やしながら僕はツキをなだめる。それに勘だとしても、ツキのお陰で僕は赤点を回避できたのだから感謝しなくちゃいけない。
「本当にありがとう、ツキ」
『……お主のそういう素直なところが大好きじゃ。まぁ、よお頑張ったわ。帰ったらご褒美をやらんとの……くっくっく』
妖しさ100%にも素直に反応してしまうのも僕だけなのだろうか? うぅ、ズボンがキツキツに……。
『お主の顔は心をそのまま映す鏡のようじゃの。先ほども此方が助言するまで、お主はまるで地獄にでも落とされそうな顔をしておったわ』
かあーっ、と今度は身体全体が熱くなるのが分かる。多分、今も顔が茹だこの如く真っ赤になっているに違いない。
『じゃが、お主は此方の骸を見つけたときは返って毅然としてたの? 心悪くはなかったのかや?』
「それは……確かに直視するのは辛かったけど、実は前に」
『しぃ!』
「ひゃっ!」
ツキの突然の大声に僕は思わず飛び跳ねた。ど、どうしたのかな?
『お主が今思い出そうとした記憶、一体いつのものじゃ!?』
「え、ええっと確か……5年前、かな?」
『その記憶、此方にも見せておくれ! お願いじゃ!』
僕がツキに僕自身の罪を告白してから、ツキは僕の記憶を覗き見することはしないと言ってくれた。僕としてはもう、ツキに隠し事などするつもりはなかったから別によかったんだけど、ツキは頑なにそれを拒んでいた。
そのツキが僕の記憶の中の何かを知りたがっている。だとしたら僕には断る理由などない。
ちょうど教室に着いた僕は、自分の席に座ると5年前の夏の思い出を久しぶりに紐解くことにした。
464 名無しさん@ピンキー sage 2009/12/12(土) 15:57:51 ID:NFcoL/6i
5年前、あれは確か僕が小6で先輩が中学1年生になった夏。
同じ小学生同士の頃はそれこそ365日一緒にいたけどさすがにこの時期は先輩も進学したため、狭い田舎でも一ヶ月に一度会えば挨拶だけを交わすぐらいの仲になった。
そんな僕の小学生最後の夏休み、宿題である自由研究の材料を買うために町の方へと出向いたその帰り道だった。
まさにこの前のデジャブ。コンクリートの上に平べったい死体があったのだ。夕焼けで赤くそまる道路はそこだけ黒くなっていた。
山で蛇やイタチの死体を見たことは何度かあった。でも、コンクリートの上で死んでいるその死体は、山のそれとは明らかに違う冷たい恐ろしさがあった。
動物同士が争って死んだのなら死体が残ることなどほとんどない。それに草木が生い茂る山の中ではそれに気付くことは皆無と言ってもいい。
ただ、その死体は決して動物同士が争って死んだのではないことが一目で分かるほどに残酷な死に様で、夜でもない限りこの道を通ったならば気付かざるを得ないほどの存在感を放っていた。
そう、まるで本来ならこんな死に方すらあってはならないというほどの死体。それが僕の帰り道のど真ん中にぽつんと倒れていたのだ。
自転車から降りた僕はそれが単なる影ではなく黒猫の死体だと分かり……そして次の瞬間にはもう家についていた。
森の隙間から見える夕日は先ほどとほとんど位置が変わっていないように見える。いや、どう考えても家まで全力疾走で走ってきたとしか考えられない。
僕は逃げたのだ。猫の死体を置いて、そのまま。
吐き気は喉元一歩手前まで押し寄せて絶え間なく湧き出る汗も、口を閉じれないほどの荒い息もしているにも関わらず、異常な寒気が僕の背中を震わしていた。
それから家に入ると母さんの出した食事をほとんど残し、お風呂にも入らずに僕は布団に潜り込んだ。寝て全てを忘れてしまおう。僕はそう思ったのだ。
だけど寝れなかった。もちろん寝るにはあまりにも早い時間であったし、お風呂にも入ってなかったから眠気もなかった。
でも、そんなこと以上に頭にあったのは死体のこと。
果たしてあの死体はどうなるのだろうか? アリか何かが食べてくれるのだろうか? それともあのままずっとあそこに留まり続けるのだろうか?
……少しでも大人びたかったのかもしれない。怖いものと向き合えば、正義を守れば少しだけ大人になれるんじゃないか、って。
僕は母親に気付かれないように家を飛び出して、全速力であの道路へと向って山を降りていた。自転車のか弱いライトで闇を切り裂いて一気に駆け抜ける。
やがて山道からコンクリートの道路に飛び出た僕はあの猫が死んでいた場所へと急いだ。
だけど……その猫の死体は消えていた。
暗闇でもそれはすぐに分かった。自転車のライトが血痕とわずかな肉片を照らしたからだ。一応、周りも見てみたがやっぱり死体自体はなかった。
僕は安心したような、後悔するような複雑な気持ちを抱えながら、家路へと付いたんだ。一体誰が……、とそんなことを考えながら山を登って。
その途中だった。突然、山道の外れから人影が飛び出し、僕は急ブレーキと急ハンドルでなんとかそれを避けた。
セーラー服に身を包んだその人は、僕の知っているその人よりその姿はずっと大人びて見えた。
それは久しぶりに会う先輩だった。……先輩は最後に会った時より大きく、そして綺麗になっていた。
先輩は僕を見ると驚いた顔をしながら、慌てた様子で両手を後ろに隠してこちらに話しかけてきたんだ。なんでもない。ただのたわいのない話を。
だけど僕は気付いていた。
月明かりに照らされた先輩のセーラー服に少しだけ赤いシミと、おそらく地面を掘ったのであろう茶色い土が付いていたことに。
それを隠して笑う先輩。久しぶりの会話だった。相変わらずの可愛らしい笑顔に今までなかった綺麗さが加わってもう僕は直視しただけで顔が熱くなってしまうほどだった。
それが僕の小学生最後の夏休みの思い出。そして先輩に……恋をしたのも多分、その日からだったんだろう。
465 名無しさん@ピンキー sage 2009/12/12(土) 15:58:30 ID:NFcoL/6i
「……っと、こんなところですかね。……あの時、僕は凄く後悔したからツキを見たときも動揺せずに死体を埋葬したんですよ。……ツキ?」
珍しく黙り込んでしまった同居人に僕は少しだけ不安になる。
ツキが来てくれてから多分初めて頭の中が静かになって僕は孤独感を覚えた。つい1ヶ月前まではそれが普通だったはずなのに。
初めてツキと話した時にツキが言っていた、お主が此方で、此方がお主、という言葉に僕は恐怖を覚えてガタガタと震えていた。
だけど今は……これ以上嬉しい言葉はないってことを、このとき僕は勝手に実感していた。
『しぃ!』
「うわっと!」
またしてもツキの突然の声に少しだけ驚いたけど、それより僕はツキの声が久しぶりに聞けたことが嬉しかった。
『此方を、此方をそのおなごに会わせておくれ!』
だけどそのツキの声はとても焦っていて、まるで僕はツキにすがりつかれているような気がした。
そっか。追試の勉強やら何やらがあって、ツキと一緒になってから先輩にはまだ一度も会ってないんだっけ。
「分かった。すぐに会いに行こう」
なんで先輩と会いたいのか、なんてことはもちろん聞かない。ツキだって僕の過去を知らずとも僕を好きだといってくれたのだから。
僕は机の横にかけておいたリュックを右肩に引っ掛けると廊下を全力疾走で駆け抜けて二十段近くある階段を一気に飛び降りた。手足を使って着地した僕の身体に思い響きが電流のように伝わる。
ツキが一緒になってからはとにかく身体が軽かった。今までの僕の身体と比べれば、今は全身がまるで風に乗る木の葉になった気分だった。
だから最近はそれが楽しくてまるで小さな子供みたいに走ることさえもが毎日の楽しみになってたけど、今は走るのが楽しいから走っているわけじゃない。
まだ同居人と出会って1ヶ月しか経ってないけど、僕には無言のツキの心がまるで自分のものと同じように分かっていた。
今、ツキは期待と不安で焦っている。
その期待が果たして何であって、不安が何であるかなんて僕には分からない。だけど、僕にはできることが一つだけある。
それは大好きな同居人のために全力で先輩の元に向うこと。僕みたいな馬鹿でもできることだけど僕しか出来ないことでもあるんだ。
だから、僕は全力で走るんだ。一分でも、一秒でも、一瞬でも早くツキが先輩と会えるように。
466 名無しさん@ピンキー sage 2009/12/12(土) 15:59:04 ID:NFcoL/6i
ロックしたタイヤから白煙が上がるんじゃないかというほどの急停止で先輩のアパートの前で僕は自転車を停める。2階建ての木造アパート、先輩はここの2階のいちばん奥の部屋に住んでいる。
休日だったこともあり、僕は先輩が今日もスーパーで働いていると思い込んでたけど、実際にそちらに行ってみたところ先輩は休みであるということを店長さんが教えてくれた。
どうやら僕が追試の勉強に追われている間、先輩も働きづめだったようで今日は久しぶりの休みらしい。
僕がこのアパートに来たのは先輩が中学を卒業した後に一度だけ、それも僕の家から先輩がこのアパートで一人暮らしを始めるときに母さんと一緒にその手伝いのために来たときだけだ。
それもあれから先輩と二人だけで密室の空間にいることが僕は恐くなったからだ。
『しぃ……すまぬ』
「あっ、ごめんなさい。くすっ、大丈夫ですよ。さっ、行きますか」
くだらないことを思い出してしまった僕はツキに心配をさせてしまったことに気付き、駆け足で茶色く錆びた階段を一気に駆け上がった。
休日の昼間のアパートは思いのほか静まり返っていて、僕はもしかしたら先輩もどこかに出かけてるんじゃないかと一瞬だけ不安になってしまう。
でも、これ以上ツキに心配は掛けたくない僕はそれを拭い去って先輩の部屋の前に着くなり、一呼吸おいてからすぐさまドアをノックした。
それほど強く叩かなくても土気色の鉄のドアはアパートの廊下に重く響いた。住んでいる人はこれで自分のドアがノックされたのか、他の人のドアがノックされたのかが見当がつくのかな?
だけどそんな疑問は叩いてわずか2秒で吹き飛んでしまった。
静かだったアパートに響いたドアのノック音がまだ残響を残している間に、先輩の部屋の中からボスン、という鈍い音が聞こえてきたのだ。
僕が口をハの字に曲げながらドアの前で硬直しいると、土気色のドアは何の前触れもなく突然開かれた。
あまりに勢いのついたそれを僕はすんでの所でかわし、そしてジャージとねずみ色のシャツをはだけて着ている先輩と対面した。
「し、しぃちゃん!? ど、どうしたの?」
僕の顔を見るなり目を見開いた先輩に、僕はどう答えようか悩みながらとりあえず苦笑いをした。
しかし突然、頭の中でツキが口を開いた。
『やはり……の』
『なっ!?』
「「えっ?!」」
その言葉に対してわずかに遅れて聞き覚えのない誰かの声、そしてそれに対しての僕が驚く声と先輩が驚く声が重なった。
『元気にしておったかの、“ひな”』
『……うん』
母親が子供に優しく話し掛けるような声でツキが言うと、少しだけ間を開けて静かな声が先輩のほうから聞こえてきた。でも、それはやっぱり先輩とは違う声だ。
「と、とりあえず中に入って」
先輩も混乱しているみたいだったけど僕を部屋の中へと迎え入れてくれた。
最初に目に入った台所は綺麗に整えられていた。僕の家に住んでいた時から先輩はこまめに掃除をするほうだったし僕としては、それは当たり前だった。
だけど、そこから畳みの部屋に迎え入れられたときは一瞬動きが止まってしまった。……別にでっかいゴキブリがいたとか、生ゴミが山積みされてたわけではない。一見すればやっぱりそこは綺麗に整えられてはいるんだ。
467 名無しさん@ピンキー sage 2009/12/12(土) 15:59:41 ID:NFcoL/6i
ただ、部屋の右側にある押入れのふすまに……ちゃぶ台が突き刺さっていたんだ。どこかの前衛的なアーティストの作品なら僕は思わず納得してしまったかもしれない。
口を半開きにしている僕の視線に気付いたのか、先輩は明らかな作り笑いを僕にしながらそれを引き抜く。すると、白いふすまに大き目のブラックホールが生まれた。
そのままちゃぶ台を部屋の中央に置いた先輩は、僕をふすまの向かい側に座らせて自分はその穴を見せないように僕の向かい側に座った。
「え、えっと……と、とりあえず」
『茶菓子は結構じゃ。その前に汝にお礼を申したい。……ひなを可愛がってくれてこと、心から感謝いたしまする』
腰を浮かせた先輩に、ツキがすかさず口を開いた。頭の中に響くその声はやはり先輩にも聞こえているらしく、先輩はそれを聞き終わると困ったような表情をしながらそのまま腰を降ろした。
『さて……ひな。久方の再会を喜びたいところじゃが、此方の想像が間違っておらぬならば、その前にお主はしぃに謝らなくてはならないと思うのじゃが?』
まるで冒頭の三十分ほどを見逃した映画を見るように、僕がまったく話の内容を掴めずにいるにも関わらず話は進められていた。
『そ、それは……』
ツキの言葉に動揺した声が先輩の方から聞こえてくると、先輩はその声の主を心配するような表情で僕の方を向いてこう言ってくる。
「あ、あの。もうやめてあげてくだ」
『ひな。しぃはの……まだそのおなごを』
『う、うるさい!』
ツキの言葉を遮って尖った叫び声が全面から僕を吹き飛ばすように遅い掛かり、僕は思わず身体を震わした。
『だったら……だったら!』
「きゃっ! ちょ、ちょっと! やっ、だ、だめっ……!」
叫び声を上げた声の主が何かを決意したように言うと、先輩が弾かれたように立ち上がり自分が穿いているジャージのズボンに右手を掛け、しかし先輩自身はそれを拒むかのような声と共に左手でそれを抑え始めた。
滑稽なその姿に僕はしばし見とれてたが、あやうくジャージのズボンが本当にずり下がろうとしたので急いで顔を俯いて視界を茶色いちゃぶ台に固定した。
『本当に好きだって言うなら、このくーを抱いてみなさい!』
あまりに突拍子のない言葉に僕は思わず顔を上げてしまい、そして僕はズボンを下げている先輩の姿に目を奪われた。
……僕が女の人の裸を現実でこんな近くで見たことはない。だから確信はないけど……け、けど……でも、こ、これがついているのは……。
「あ、あぁ……」
「いっ、やあぁ……み、見ないで」
あまりの衝撃に言葉を失った僕は先輩の言葉すら無視してそれから視線を外すこともできなくなってしまっていた。
先輩の股間には……男にしかついていないはずのモノが天に向ってそびえ立っていたんだ。
『はぁ……まぁ、いいじゃろ。じゃが、しぃがそのおなごを抱いた時は、覚悟できてるの?』
『ふふふっ、もちろん。でも言っとくけど、くーはこれで自慰をするのは大好きよ? さっきもちゃぶ台を蹴り飛ばしちゃうほど夢中になってたんだから』
先輩はひな、という誰かの言葉に両手で顔を覆ってしまった。僕はあまりに突拍子のない事態の連続に頭がパニック状態になっている。
『しぃ、決めるのじゃ。そのおなごを抱くのか、抱かぬのかをの』
だ、抱けって……ちょ、ちょっとは説明ぐらいしてくれたって――。
『すまぬ……それは、今は出来ぬ。ただお主は……あのおなごが好きなのじゃろ?』
ツキの言葉に僕の大混乱だった頭の中が真っ白になり、そして僕はただ単純に先輩が好きか、好きではないかを考える。
その答えは一桁同士の足し算をするより簡単だった。
「うん」
『くくくっ、ならあのおなごを抱いてやるのじゃ。此方がぬしをそれに相応しい身体にしてやるからの』
えっ、と僕がその言葉の意味を聞き返す前にそれは始まった。
468 名無しさん@ピンキー sage 2009/12/12(土) 16:01:34 ID:NFcoL/6i
まず僕が感じたのは手足の違和感。まるでその骨についている肉が身体の内側へと引っ張られるような感触だ。
その違和感に袖をまくると……僕の腕は段々と細くなり始めていた。
「なっ!?」
「し、しぃちゃん?!」
まるでSF映画のワンシーンのようなその光景に驚く僕と先輩を尻目に、その変化が僕のあらゆるところへと広がり始めた。
心配そうな先輩の顔がぼやけ始めて顔の筋肉が動かせなくなり、何か息苦しいと思えば僕のブレザーの胸がまるで女子の制服のように膨れ始めている。
やがてその膨らみに遮られて僕の足すら見えなくなる頃……僕の股間に言いようのないムズムズ感が襲ったと思ったら、それが段々と退き始め今度は感じたことないスースーとした感触をそこに感じ始めた。
そして段々と違和感がなくなり始めて視界が再び安定し始めると、最後に僕のYシャツとブレザーのボタンが勢いよく吹き飛んでいき、そしてそこから二つの果実の谷間を見ることが出来た。
『くくっ、左の鏡を見てみんせ』
少しだけ乱れた呼吸を整えながら、僕はツキが言った通りに左を向いてそこに掛けられていた全身鏡を見てみた。
僕の見覚えのある少女が、僕の制服を着て、僕のほうを見ていた。
鏡の中の虚像に唖然としながら、僕は右手を動かしてみる。すると、当然だけど虚像の中の少女も同じように動いた。
溢れんばかりの胸に黄金色の長い髪、そしてその髪の上から覗く二つの小さな耳……ここ数週間はほとんど毎晩見ているその少女の姿は、まさしくツキが人間に化けたときの姿そのものだった。
『これなら、あのおなごと繋がれるじゃろ。……此方が毎晩お主にやったことを思い出して、あのおなごを喜ばしてみんせ』
そう言われて思い出した僕は、逆側の先輩の方を振り向くと先ほど僕が先輩に生えているモノを見たときのように、先輩もまた口を半開きにして僕を驚きの表情で見ていた。
だけど、僕の頭の中にあったのはツキが言った喜ばしてみんせ、という言葉だった。そして更に先輩が僕を拒絶した5年前の出来事を思い出し、僕は全てを悟った。
先輩は好きなのは……男性じゃなくて女性だったんだ、って。
思えば僕はよく女々しいと言われていた。ツキが僕によくかわいい、と言っていたのも僕がやっぱり女の子っぽいからだったんだろう。
でも、そうだとしたら今の僕……ツキの姿をした僕なら先輩は受け入れてくれるはず。
『くっくっく……ほれ、その召し物を脱いでおなごに近寄らんか』
僕はツキに言われて僕に見入っている先輩の前でブレザーとスラックスを脱いで、そしてYシャツのボタンに手を掛けた。
『おっと、しぃ。こういう時はの、かえって僅かな衣を纏っているほうがそそるもんじゃ。お主にもわかるじゃろ?』
その言葉に再び鏡で自分の姿を見れば、その虚像に思わずドクリと心臓が大きく跳ねた。黄金色の髪とその白いYシャツはよく映えていて、まるで洋風の人形のような触れがたい儚さをかもし出していた。
『それと、これを忘れておったの。これがない此方はやはり似合わん』
完成された料理の隠し味を忘れていたかのような口調でツキが言うと、僕はお尻の上辺りに何かが映えてくるような感覚を覚えた。
だけどその違和感は数瞬ですぐに引き、それに引き換えて僕の身体にまるで三本目の足が生えたような感覚が生まれる。
ためしにそれを動かすと僕の虚像の背後で揺らめくそれに僕は思わず笑ってしまう。何がおかしかったのか、自分でも分からないけど何故だか笑ってしまった。
髪と同じように黄金色でその先っぽだけ真っ白なそれは、数週間前に僕の口に入り込んだものでもあり、そして今では僕の同居人のトレードマークとも言っていいものだった。
469 名無しさん@ピンキー sage 2009/12/12(土) 16:03:03 ID:NFcoL/6i
そうして僕は完全な変化(へんげ)を終えると、ゆっくりと尻尾を回すように振り返り、目を見開いて僕に見入っている先輩にじわじわと近づく。
ツキの身長はぼくより高かったけど先輩には敵わない。先輩の目の前まで近づいた僕は、驚きのあまりなのか動けなくなっている先輩を舐めるように見上げる。
そして先輩の驚いた顔に向けてゆっくりと背伸びをし、驚いてまだ半開きになっている口に小鳥がついばむようなキスを繰り返した。
僕の唾液で先輩の唇を軽く濡らしたところで、僕は先輩の唇に完全にぼくのそれを重ね、そして今度は舌で先輩の唇に唾液を塗りたくっていく。
先輩の吐いた甘い吐息を何度か吸い込んだところで、するりと僕は先輩の口の中に舌を侵入させて、奥のほうに怖気づいていた先輩の舌に絡めていく。
二人のくぐもった息を交し合ったところで、僕は先輩の首に両腕を絡めると少しだけ体重をかけて先輩の体勢をゆっくりと崩し、ふすまを背にした状態で座わらせた。
「んっ……くすっ、先輩のもうビンビンですね」
「やっ。言わ……ないで」
「恥ずかしがることないですよ。今からぼ……………………………………此方が気持ちよく、させてやるからの」
此方はおなごの股に生えたそのいちもつに顔を近づけ、口元に手をあてて此方を見ているおなごに笑いかけてやり、そしてその膨れた頭に軽い接吻をしてやる。
「んぁんっ!」
それだけで大きな声を上げたおなごに此方は少し驚いたがそのまま四足で這うと顔をそのイチモツに近づけ、おなごのモノの根元からに舌を這わせる。
「ひぁぁぁ……」
「くくくっ。さてと、お主のイチモツはどんな味をしておるのかの?」
おなごに舌なめずりをしながら妖しく笑いかけてやると、此方は涎をイチモツの頭に蜘蛛のように糸をたらしてやると、それ伝うようにしてイチモツをくわえ込んだ。
「んぁああああん!」
イチモツを口に納めた此方が頭を上げると、おなごは此方に弄ばれる此方のような顔をしておった。くくくっ、かわいいやつじゃ。
此方はおなごがわずかに余裕を取り戻すを待ち、冷静さの欠片が表情に浮かび上がると同時にイチモツを空気と共に吸い上げ始めた。
途端におなごは目を見開き、阿呆のように口を開いて声になっておらぬ叫びをあげおった。
やがて此方の唾液に濡れたおなごのイチモツの竿が姿を現し、口の中に頭が残っておるうちに再びそれを口の中に納めに入る。
それから此方は呼吸と同じくおなごのイチモツを口の中で反芻しておると、狐の雄が達するのと変わらぬほどでおなごはどうやらその直前まで辿り着いたようじゃった。
「くっ、はんっ、くぅっ!」
おなごは腰を浮かせ、此方の口の抽送に合わせて腰を動かすまでになりおった。その顔は恥などとうに忘れ、すっかり己が欲を求めんとするものに変わっておる。
「んあああっ、くるぅうう! くるぅううう!」
やがておなごは此方の頭を掴み、達するための最後の快感を得るがために強引に此方の抽送を早め始めおった。
此方もそれに抗わず、なすがままにイチモツを咥えて達するために身を任す。
して、おなごが此方の喉元までイチモツを納めさせると同じくおなごは達した。
「くぁあああああああんっ! ひっ、くぅぅぅぅぅ」
「ぐぅっ! ごぉ、んんぐ、んんっ、ぷはっ! ケホケホ」
おなごから放たれた子種は此方の口の中を雄の匂いで湯水の如く満たし、更に二度三度続けて放たれた子種はむせてしまった此方の顔へと降りかかりおった。
「し、しぃちゃんごめん!」
「くぅ、んっぅ……くくく。立派な子種じゃな。むせ返りそうな匂いじゃし、量も大したものじゃ。じゃが……」
「きゃんっ!」
イチモツを掴まれただけでかわらしいい悲鳴をあげよるおなごに近寄り、喉で笑いながら此方はおなごの震える耳元で囁く。
「まだまだ残っておるようじゃの。むしろいきり立っておるようにも見える。くくく」
此方の言葉に恥を思い出したおなごが真っ赤に火照る。
470 名無しさん@ピンキー sage 2009/12/12(土) 16:04:25 ID:NFcoL/6i
そのかわいらしい反応に此方は身体を離し、おなごに見えるように膝を折って足を広げ、此方の下の口を指で開いて見せつける。途端に此方の指を蜜が伝う。
「それをここに納めたいじゃろ? 此方も物足りのうて身悶えしてしまいそうじゃ。おなごのお主ならわかるじゃろ?」
「ひぁっ、くぅぅ……」
おなごは獣のように息を荒げ、此方の穴に目を奪われおった。くくく、そうじゃそうじゃ。かわいらしいのものじゃ。
「ほれっ、どうしたのじゃ? 此方と繋がりたくないのかや?」
「あぐぅぅぅ……くっ、ああああ!」
此方の誘惑に堕ちたおなごは此方を荒々しく押し倒し、まるで飢えた雄の獣のように唇を重ね、此方の胸を乱暴に弄り始めおった。
「んんっ、くはっぅ、はぁはぁ……くはんっ、いれたいぃぃ、いれたぃのにぃいぃいい」
おなごは此方の穴の位置は分かっているもののあまりに焦っているのか、必死に此方の下の唇にイチモツを擦り付けるのみで中々入ろうとせん。
「くくく。ほれほれ、此方をこれ以上焦らすつもりかや? 仕方ないの、くくく」
此方は再び指で穴を広げてやると、おなごはなんとも嬉しそうに顔を綻ばせ、そしてゆっくりと此方の中へとイチモツを入れはじめおった。
「くぁあああんん! すい、こまれるっぅぅぅ!」
「くぅぅぅぅ! あぐぁぁ」
おなごのイチモツは膨らんだ頭が此方の唇を押し広げながら亀のように鈍足に入ってきおった。
そして膨らんだ頭を此方が咥え込むと、おなごが一息に身体を此方に向けて落とし、イチモツが此方の最深部を勢いよく突きおった。
「ひぁあああああああああんっ!」
「くぁあああああああ! あが、っいぃ……くくく、あつい棒が、此方の中で震えておる」
「はぁはぁ、しぃちゃんの中、あったかくて、んっ、ぐちゅぐちゅしてるぅぅぅ」
「くくく、ほれっ、いつまでも止まっているつもりじゃ?」
此方に突き刺さったままになっておるおなごに言うと、こくりとおなごは生唾を飲み、此方から竿を引き抜きはじめおった。
「かはぁぁぁ、なっ、からみ、ついてくるぅぅぅぅ……!」
対して此方はわざと下の唇を締め、おなごのイチモツを抱き込まんとする。
「んんぁ! このまま、お主のイチモツを、食べてしまいたいぐらいじゃ。くぅぅぅ」
「くっぅぅぅ、あぁぅ! はぁぁぅぅ、んんんっ!」
おなごは呻きながらやっとのことで竿を引き抜くと、間も開けずに再び此方の中へと沈ませおった。
471 名無しさん@ピンキー sage 2009/12/12(土) 16:05:15 ID:NFcoL/6i
けぁああんっ、その、調子じゃ。はんっ、くゅんんっ!」
「くんっ、んぅぅ! すごいぃ、すごいょぉお。しぃちゃんのなか、きもちいいよぉ!」
此方の腰を掴んだおなごは乱暴に此方の中を蹂躙しおった。その顔はまさに雄のそれと同じじゃ。恐悦に顔が嗤い、己が欲望のために相手を愛す雄の姿そのものじゃ。
「んぐぅ、はぅ、んんぁっ! しぃちゃん、なかに、ださせてぇ! いいよね? いいよね!」
「ぅつう! くくく、お主の、ぐぅ、子種、全て此方のものじゃ。んぅぐぅ!」
「ふぁあああっ、っぅ、うれしいいぃぃぃ」
嘘のない笑い顔でおなごは言うと、己が全てで此方を染めんとするおなごは身を此方に預け、唇をまさぐると同時に涎を絶えず送り、そして奪っていきおった。
その間も此方の中を蹂躙することはやめることなく、むしろより一層激しく此方を愛してきおった。
「くぅぅっ! もう、らめぇぇ、でちゃうぅぅ。おち○ちん、はれつしちゃうぅぅぅ!」
「んっかぁくぅぅっ! 此方も、限界じゃ、はようぅ、くぁああんっ!」
此方はおなごの首根っこに腕を回して抱き寄せ、嫌が応にも此方の中から逃げ出せんようにおなごを捕まえた。
「くはああんっ! 出すのじゃ、お主の、こだねぇえええええええ!」
「あああああああああ! でるぅうううううううう! ふぁああああああああああんっ!」
おなごが此方の奥で時が止まったように動きが固まり、同時に此方の下腹部に熱い子種がまるで洪水の如く流し込まれてきた。
「けはっ! あっ、つぃのが、ながれ、こんでおるうぅぅ」
「んぐっ、くんんっ! とまらないぃぃぃ。くああああんっ!」
更にイチモツから子種を搾り出そうとしたおなごが勢いあまって此方の中からモノを抜いてしまい、同時に出た子種が雨のように此方の身体と布を濡らしおった。
「くふぅ……はぁはぁはぁ……」
「んんっ、くくくくくくっ。ほれ、お主の子種が此方の穴に満ちておる」
此方は穴を広げてそこに溜まった子種を息を切らし横になっておるおなごに見せつけた。
して、此方はゆっくりと立ち上がりおなごに近寄ると、再びおなごのイチモツを掴む。
「あああんっ! さわっちゃ、あっ、だめえぇぇぇ」
「くくくくくっ、じゃがまだまだお主の中には子種が残っておるようじゃの? くくく、これは全て此方のものじゃぞ? んっ」
「ひぁっ!? す、すっちゃ、らめぇえええええええええ! きゃああああんっ!」
此方はわずかにへたれたおなごのイチモツを咥え込むと一息に吸い上げた。途端におなごは痙攣し、甘い嬌声を上げおる。
「ケホケホ、ほれっ、もういきり立ちおった。まだまだ終わらぬぞ? くくく」
口の中に飛び込みおった子種に喉を詰まらせながらも、此方はそれを飲み込み、そして再びいきり立ったイチモツの上に跨りそれを納め始めた。
それからおなごが気絶するまで……いんや、してもしばらく此方はおなごをしゃぶりつくしたのじゃ。
<<終>>
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