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(最後の人間の決断)
86 名無しさん@ピンキー sage 2009/08/30(日) 23:03:55 ID:ApPeRrxg
どうも、こんばんは~。
さて、とりあえず予告どおり作品をお見舞いさせていただきます。お覚悟を。
まっ、御託は並べず、とりあえず今から投下します。
お時間があれば見てってくだせぇ、だんな。
ちょっとだけ注意。不埒は後半集中、今回もENDが二つ、以上。
87 名無しさん@ピンキー sage 2009/08/30(日) 23:05:51 ID:ApPeRrxg
(1-1)
暗い。今自分は地面に接しているのか、それとも闇の中へと落下して行っているのかも分からないぐらいの暗闇が私の視界を覆っていた。
首を動かして周りを見ようとすることもままならない。まるで全身に血が通っていないかのように身体が重い。
しかし、その私の身体が突如揺り動かされた。私の力によるものではない。そして、私の視界に段々と光が灯り始めた。
「……ら? あ……た! 目が覚め……かしら?」
暗闇の中に差し込まれた光が私の目をくらませる。しかし、それを遮ろうと自然に右手が動いていた。
そして段々と肌寒い空気が私の身体を包んでいくのを感じる。それに刺激されるように、段々と目が光に慣れていく。
「あぁ、良かった。無事みたいね。あなた大丈夫?!」
「だ、れ?」
私は目の前で私を覗き込んでいる金髪の女性を見て、疑問を口にした。
その人物が私の身体を支え、上体を起こし上げてくれた。水の音がする。ここは……何処だろうか?
「怖かったわね。もう大丈夫よ。私はジェニファー。大統領のSPよ。あなたの名前は?」
ジェニファーさんが私の身体を軽く抱きしめながら聞いてきた。私は答えようと頭を働かせる。
「私は……え、私は……私は……分からない。分からない! 私は、だれ!?」
思い出せない。私の年齢も、私の家族も、私自身の顔さえ今の私には分からない。
「お、落ち着いて! まさか……記憶喪失?」
「はぁ、はぁ……、分からない。何も思い出せない、です」
「そう……でも。無理もないかもしれないわ。とりあえずここを出ましょう。危険だわ」
そう言って私に肩を貸して、ゆっくりと立ち上がらせてくれた。それでここがバスルームだと言う事に気付いた。
バスルームから小さな部屋通り抜けると、そこはどうやらホテルの部屋のようだった。その横長のベットにジェニファーさんが私をゆっくりと降ろした。
「ちょっと待ってて。更衣室からあなたの服を取ってくるから。出来れば、左にある鏡を見といてくれる? 何かを思い出すかもしれないわ」
私を残して出てきたばかりの更衣室にジェニファーさんは戻って行った。
私は左に顔を向けて、そこに映る……一人の人間の姿を確認した。白い肌とその肩に掛かる茶色い髪、あどけなさが残る童顔、しかし胸は大きい。でもその全てが私にとっては違和感のあるものだった。
そして足音共にジェニファーさんが私の元へ戻ってくると、苦笑いをしながら声をかけてきた。
「……その様子だと思い出してないみたいね。はい、これ。ちゃんと着替えを持って入ってたみたいね。汚れた服の隣にこれがあったわ」
ジェニファーさんはそう言って私にジーパンと白いTシャツ、そしてピンクのブルゾンと下着類をベットにおいた。
「とりあえず着替えながら聞いて欲しいのだけど、世界が今どういう状況におかれているか、覚えてる?」
「……ごめんなさい。まったく持って覚えてないです」
私は首を振った。するとジェニファーさんは微笑みながら首を振ってこう言った。
「大丈夫よ。今から説明するから安心して」
88 名無しさん@ピンキー sage 2009/08/30(日) 23:06:34 ID:ApPeRrxg
(1-2)
少し恥ずかしかったが、下着を身につけながら彼女の話に私は耳を傾けた。
「今から3ヶ月前ぐらい前から、人々に寄生体が寄生し始めたの。……と言っても、本当は1年以上前にこの国で見つかった寄生体が研究所から逃げ出したのだけれどね」
ジェニファーさんが黒いスーツの胸ポケットから手帳を取り出し、その中からなにか紙のようなものを取り出して私に見せた。
それは黒い液体で……そう、スライムのような物体が写された写真だった。
「この寄生体は人間の穴と言う穴から侵入するわ。それから3日ほどその体内に潜伏。そして3日後、男性なら肛門から、女性なら……膣から子供を産むように、自分の姿かたちが同じ生物が産まれるの」
ジェニファーさんはそう言って写真をしまうと、ゆっくりとベッドの右横へと移動してその場に屈んだ。
私もジーパンを履きながらそれを目で追うと、なにやらその床にピンクシーツが何重にも掛けられ、それが何かを隠すようにしかれている事に気づいた。
「ごめんなさい……見たくはないかもしれないけど、これを見れば何かを思い出すかもしれないから」
それだけ言うと、ジェニファーさんは一思いにそのシーツを引き剥がした。ピンクのシーツが私の視界を一瞬だけ隠す。
そしてそれが私の視界からずれると……一人の人間の姿があった。白い肌とその肩に掛かる茶色い髪、そしてそこに映る顔はどれも……先ほど見たことのあるものだ。
「これがあなたが産んだ寄生体。胸の大きさとか、顔の形が微妙に違うけど……そっくりでしょ? これがさっきあなたに覆いかぶさっていたの」
ジェニファーさんが私の顔を覗きこみながら話し、やがてシーツを元に戻した。
「……あまり、見ないほうが良いわ。私が後頭部の横から銃弾を撃っていて……あなたと違う部分が決定的にあるから」
そこからジェニファーさんが離れても、私はまだそれに目を奪われていた。果たして、このシーツのピンクの着色は……元々、シーツに彩色されたものだったのだろうか?
その答えを導き出す前に、私はジェニファーさんにTシャツを押し付けられた。その顔には微笑みを浮かべているが、これ以上私に横を向かせることは許してくれなさそうだった。
「この寄生体は自分が生み出されたあと、その宿主を抱きしめて……全身で溶かして身体に取り込むの。そして新しいスライム状の寄生体を一匹産む。食べた宿主の身体はその栄養素になるの。あなたはその一歩手前、おそらく寄生体の自分が生み出された直後に私に助けられたの」
それじゃあ……つまり、寄生体の自分を自分で産んで、それが寄生体じゃない自分を食べて、それがスライムの寄生体を一匹産む。つまり……。
「このままだとこの星は人間の形をした寄生体に乗っ取られる。大統領はそれを防ぐために今、動こうとしているの」
「い、一体……何をするつもりなんですか?」
私はジェニファーさんの顔を見たままブルゾンを着て、私の着替えを終わらした。それと同時にジェニファーさんも口を開いた。
「地球上から寄生体と、人間の両方のほとんどを今から……殺します」
そう言った瞬間、左のほうから大きな音が聞こえ、部屋の中にジェニファーさんと同じような格好をしたがたいのいい男が飛び込んできて、私を一瞥したあと、ジェニファーさんにこう言った。
「ジェニー、大統領が決断した。軍はもう当てにならない。今から突撃を敢行するとのことだ」
「……了解です。ごめんなさい、すぐに出発するわ。一緒に行きましょう」
「で、でも、私は寄生されたってことですよね? そ、それなのに私を連れて行っても」
「安心して。あなたの身体からはもう寄生体は出て行っている。寄生されてもそこから出て行った後なら、あなたの体内にはもう寄生体は残っていない。逆に外を歩いている人間よりよっぽど信頼できるわ」
ジェニファーさんが差し出した手を私が取るとゆっくりと私をベットから引き上げてくれた。
「残念だけど、ここにはあなたの服以外は何もなかったわ。……じゃあ、行きましょう」
89 名無しさん@ピンキー sage 2009/08/30(日) 23:07:18 ID:ApPeRrxg
(1-3)
「君が隣の部屋にいた少女だね。ジェニーによれば記憶喪失らしいが、私のことは分かるかね?」
白い髪のスーツを着た中年過ぎぐらいの男性が私に笑顔で話しかけてきた。
「だ、大統領、さん……です」
私は名前が分からなかったが、車の中で一人だけ格好が違うため、私はそう答えた。
「ははは、その様子だと私のことを覚えていなかったようだね。私はジョン・シルバー。現アメリカ合衆国の大統領をさせてもらっている。よろしく……ええと」
「ア、アリスです。ジェニファーさんに、とりあえずの名前を考えてもらいました」
「おお、そうか。よろしく、アリス。次の選挙には我が党に一票頼むよ」
私は差し出された大きな右手を慌てて掴んだ。大統領さんは楽しそうに笑顔で言ったが、握手を終えると苦笑いになりこう続けた。
「もっとも、党も、国も、人類さえも存続できるか分からないがね」
「ご安心を、大統領。私達が絶対にあなたをセーフルームまでお連れします」
「ありがとう、頼りにしているよ、ジェニー」
私の隣のジェニファーさんは大統領さんの言葉に敬礼をした。しかし……この車の中には私と大統領、そしてジェニファーさんと先ほどの男のSP、それと運転中の男のSP。わずかに5人だけしかいないのだ。
あのホテルには私達以外に誰もいなかった。ジェニファーさんによれば、大統領と彼の3人のSPはこのホテルに避難して偶然にも私が居た部屋の隣に入ったらしい。
暫くすると、隣の部屋からなにやら騒がし音がしてきて、ジェニファーさんが見に来てくれたところを私は助けられたらしかった。
「アリス、今私達はニューヨークの郊外にある緊急用施設に向かっている。その理由、君にも教えておこう」
大統領さんが表情を真剣なものに変えて、私にその理由を話し始めた。
「これからいく施設にはある設備がある。一つは隔離シェルター。別名セーフルームと呼んでいる。ここでなら、たとえこの国が水没しても一ヶ月ぐらいなら充分生きていける」
眉間に皺を寄せて大統領さんが続ける。
「更にもう一つ……あるミサイルの発射装置がその部屋にある。そのミサイルとはまる1ヶ月、地球上全てを低酸素状態、人間なら確実に死んでしまうような状態にさせるミサイルだ。唯一安全なのが、セーフルームなんだ」
「……つ、つまりそのセーフルームに残っている人間以外は」
「死ぬだろう。同時に世界中に電子機器を破壊、停止できる小型ミサイルも撃つ。寄生体は人間と基本的には同じ構造をしている。酸素がなければ生きてはいけない。おそらく1ヶ月の低酸素状態で地球もそれなりの被害は受けるはずだが、なんとか持ちこたえられるはずだ」
大統領さんがそれを言い切った瞬間、窓を幕で囲って車内灯をつけただけの車中が突然、大きな轟音と共に揺れだした。
「っ、見つかってしまいました! 一気に駆け抜けますから、捕まっててください!」
運転手のSPが叫ぶ声も、轟音でしばらく馬鹿になった耳ではなんとか聞こえる程度だ。
後部座席にいる2人のSPは車内の幕を破るように開くと、のどかな農村を走るこの車に併走するようにパトカーが何台もいた。
「そこの車止まりなさい! 我々は人間だ!」
パトカーから聞こえる声にジェニファーさんが怒りの声を上げた。
「だったらさっきの轟音はなんなのよ!」
2人のSPは窓を開け、手に持ったマシンガンのような銃をそれらの車に向けて発砲しだした。すぐ隣から聞こえるけたたましい音に私は耳を塞ぐ。
「君は伏せていなさい! 目も瞑って、何も見ちゃいけない!」
そう言いながらも大統領さん自身は拳銃を持って併走するパトカーに向かって発砲をしている。……私もやらなくちゃ。
私は後ろの荷物を漁って大統領と同じような拳銃取り出すと、窓からパトカーに狙いを定め、引き金を絞ぼりきった。
「きゃあああ!」
「ぐあああああああああああああ!」
大きな反動と銃声で私は思わず悲鳴を上げて尻餅を着いたが、どこかから私のものではない叫び声も聞こえた。
起き上がりながら窓の外を見てみると、先ほどのパトカーが全ていなくなっていた。
私は唖然とするジェニファーさんの視線の先を追うと、離れ行く車の後方で大破する何台ものパトカーが見えた。
「……なんという少女だ。よければ私のSPになってくれないかね?」
大統領が額に手をやってそう言うと、小さな笑いが車内に生まれた。
90 名無しさん@ピンキー sage 2009/08/30(日) 23:07:50 ID:ApPeRrxg
1-4)
「大統領、見えました!」
運転手が大きな声でフロントガラスの先に映るその大きな建物を示した。
「なんだか、大きな天文台みたいですね」
「いや、実際そうなんだよ。ここは普段は、天文台として一般公開もしている」
大統領さんはそう説明しながら、近づいてくる天文台を見ながら厳しそうな顔をした。
「誰も……いなければいいんですが」
「どうだろうな。この施設の存在を知っている人物は僅かしかいないが、それでもその機密を知っていてこの車に乗っていない人物は何人もいる」
大統領さんがジェニファーさんの言葉に頭を振った。
「大統領。では、作戦通りに行きますよ」
ジェニファーさんがそう言うと、大統領さんの表情が一気に曇った。やはり、不安なのだろうか?
「……すまない。よろしく頼む」
大統領の言葉に運転席と後部座席に座っていた二人の男のSPが力強く頷いた。
そして車は道を外れたところでゆっくりと停車し、後部座席にいた男のSPが無言でドアを開いた。
「大統領、アリスさん、降りてください。ここから歩きます」
「え? な、なんで私達だけ降りるんですか?」
私の言葉に一斉に皆、目を逸らした。その中でジェニファーさんが小さな声で私に言った。
「彼ら二人には……囮になってもらいます」
「お、囮?」
「このまま正面から突っ込んで、もし待ち伏せされていたらまずいことになる。だから私たちは裏口から侵入する」
ジェニファーさんと大統領さんが暗い表情で私に説明をした。
「大統領、ジェニー、それとお嬢さん、どうかご無事で」
「奴らは俺らが引き付けておきます。手はずどおり、もしいつか私たちがセーフルームに近づいても絶対に開けないで下さい。それは多分、私たちではないと思いますから」
そんな二人とは対照的に、車に残った二人の男のSPの表情には笑顔が浮かんでいた。
「二人とも……よろしく頼む」
大統領さんはそんな二人に向かって敬礼をした。ジェニファーさんもそれに続き、私も流れそうな涙をこらえながらそうした。
すると彼ら二人も真剣な顔で敬礼をし、そして後部座席のドアが閉じられると二人を乗せた車は天文台へと動き出した。
「……行こう。我々は彼らの勇気を無駄にしてはならない」
その車を見て涙を流してしまった私の肩に、大統領の大きな手が優しく載せられた。
「うぅっ、ぐすっ、……はい」
私は涙をブルゾンの袖で乱暴に拭き取ると、ジェニファーさんを先頭に、それに私と大統領が続くように歩き出した。
91 名無しさん@ピンキー sage 2009/08/30(日) 23:08:36 ID:ApPeRrxg
(1-5)
「あの二人、派手にやってくれているな」
目の前の天文台の反対側から、爆音やら銃撃音が絶え間なく聞こえている。聞こえているということは、あの二人はまだ生きているということなのだろう。
「開きました。ここからは一気に駆け抜けます。……準備はいいですか?」
ジェニファーさんが私と大統領さんに向かって確認をした。大統領は足首や手首などを回し、私はスニーカーの紐を結びなおした。
「では、行きます!」
大きなマシンガンを片手に、ジェニファーさんがドアを蹴破って建物に侵入するやいなや、こちらを振り向かずに走り出した。私と大統領もそれに続く。
そこはいきなり道が3つに分かれていたが、ジェニファーさんは迷わずに右に曲がる。それからも何度も通路を曲がったり、部屋を通り抜けたりする。
「くっ……銃声が……」
かなりの距離を走ってからこぼしたジェニファーさんの声で私もいつの間にか銃声も、爆音も消えていることに気付いた。階段も何度か降りたが、決して地下に潜っているから聞こえなくなったわけではないのだろう。
「もうすぐだ。アリス、頑張れ!」
私を心配してくれる大統領も、もう汗だくで走り方も最初に比べるとかなりおかしくなっている。
もちろん、私も例外ではない。先ほどから視界が揺れに揺れて仕方がない。頭も酸欠のために痛み、足だって今にももつれそうだ。
「ん!? あれだ! あのエレベータに乗り込め!」
大統領さんが指をさす先に銀色のドアがあり、先に辿り着いたジェニファーさんが横のパネルを操作している。
「ああ! なんで下の階にエレベータが下りているのよ!?」
ジェニファーさんが表示板を睨みつけて、壁を殴りつけた。表示板は『30』という数字から段々と数を減らしてきている。ここは地下5階、あと25階分を上ってきてもらわないといけない。
「いたぞ!」
しかしその時、背後からそんな叫び声が聞こえて、次の瞬間には銃声も聞こえ出した。
「くっ! ジェニファー、応戦するぞ!」
「はい! アリスさん、こっちに隠れて!」
私とジェニファーさんは通路を挟んで、大統領さんの向かい側の通路の横の壁に背中から張り付き、ジェニファーさんが通路の向こうへと銃撃を開始し、大統領も拳銃を取り出すと同じように発砲し始めた。
その時、私はジェニファーさんが撃ち終わると同時に、彼女の拳銃を手渡し、交代に渡されたマシンガンの弾倉を入れ替え、拳銃を撃ち終わった彼女から拳銃と交代にマシンガンを渡した。
「もう少しです! あと、10階でここに着きます!」
私はジェニファーさんに最後の弾倉を入れ終わったマシンガンを渡しながら叫んだ。
……『10』、『9』、『8』、『7』、『6』。
チーン、という音が一瞬だけ銃声の合間に鳴り、銀色のドアが左右に開いた。
「二人とも乗るんだ! 私がここを食い止める!」
大統領さんが銃撃を続けながらそう叫んだ。そして片手を青いスーツの内側に突っ込むと、こちらに何かを投げてきた。
「それがセーフルームを開ける唯一の鍵だ! 急げ、奴らが来る!」
「大統領、しかし!」
「行け! ジェニファー!」
あんなに優しい顔つきからは想像できないほどの剣幕で叫んだ大統領さんの言葉に押されるように、ジェニファーさんは私の身体を抱え込むようにしてエレベータに飛び込むと、エレベータのドアが静かに閉じられた。
92 名無しさん@ピンキー sage 2009/08/30(日) 23:09:04 ID:ApPeRrxg
(1-6)
銃声が遠いていくなか、ジェニファーさんは何も言わずに私の身体を抱きしめて一層強く抱きしめてこう言った。
「私……大統領を……守れなかった……くっ」
悲しみを噛み締めるようにジェニファーさんが零した。しかし、ゆっくりと私から離れると涙を拭きながらパネルの下を先ほど貰った鍵で開き、何かのケーブルを引き抜いた。
「これで……このエレベータはもう二度と上には昇らない。あとはセーフルームであのボタンを押したあとに動くエレベータが、唯一の地上への出口」
ケーブルを投げ捨て、鍵をパネルから引き抜くとそれを大事そうに握り締めた。
やがてパネルの上部の階数表示が『30』へと変わり、そしてチーンという音ともにエレベータが開かれた。
「待ってたわ。ジェニー」
「なっ!? リリィ?!」
開かれたドアの先で、ジェニファーさんと同じ黒いスーツを着た女性がこちらに拳銃を構えて立っていた。赤毛が混じったショートヘアーに、狼にように鋭い目つきのいかにもSPという女性だった。
「くっ!」
ワンテンポ遅れて、ジェニファーさんが持っていたマシンガンを構えようとそれを持ち上げた。しかし……。
「くあああああ!」
重い一発の銃声と共にジェニファーさんの右腕から血飛沫が上がると、彼女のマシンガンがエレベータの床にがしゃんと落ちた。
「あっと、あなたも動かないでちょうだいね。動いたら、ジェニーの頭に虫食い穴が開くわよ」
私に向かって微笑みながらリリィと呼ばれた女性は釘を刺した。
「さっ、二人ともそこから出てちょうだい。このエレベータは使えないみたいね。まぁ、暫くすれば迎えが来るでしょう」
リリィさんに脅されて私とジェニファーさんはゆっくりとエレベータの外に出た。
「はぁ……これで面白くなりそうね。くっくく……あはははははは!」
私とジェニファーさんがリリィさんに銃を向けられながら、目の前で楽しそうに笑う彼女を見ていた。
しかし突然、ジェニファーさんが握り締めたままの左手を開いてセーフルームの鍵を落とし、それと地面が接触する音が聞こえると同時にリリィさんさんに肩から突っ込んだ。同時に、彼女はもう一つ何か黒いものを地面に落とした。
「っ! アリス、それで彼女を撃って!」
私はジェニファーさんの腰から落とされた黒いもの……彼女の拳銃を持ってリリィさんに構える。
「ぐっ! 待ちなさい!」
ジェニファーさんに馬乗りされているリリィさんが、自らの持っている拳銃をジェニファーさんの唯一のふくよかな部分である胸に向かって突きつけていた。
しかしジェニファーさんは私に向かって叫んだ。臆する表情さえ見せずに。
「撃って、アリス! 撃てぇえええええ!」
93 名無しさん@ピンキー sage 2009/08/30(日) 23:09:40 ID:ApPeRrxg
(1-7)
私はそのジェニファーさんの必死の叫びに、リリィさんに向かって狙いをつけた拳銃の引き金を絞りきっていた。
一発の発砲音にほんのわずかに遅れて、もう一発の銃声が重なった。
リリィさんの額に穴が開き、彼女に馬乗りになっていたジェニファーさんがその横に崩れるように倒れた。黒いスーツの背中から、同系色の穴が開いている。
「ジェニファーさん!」
ジェニファーさんに駆け寄って、私はその顔を持ち上げた。彼女が咳をすると、その口から血が吐き出され、彼女の白くなった顔を赤く染め上げていく。
「ゴホッ! よ、よか、た……じ、実は……この階は、ミサイル、撃っても……すぐ酸素、消えないから……リ、ィ……死なない、とこ、だった……」
「ジェニファーさん! そうだ、セーフルームに治療薬ぐらいは」
「む、り……あ、ても……治せ、ない……しん、ぞう……貫通……してる……」
血を口の端から垂らしながら私の両目から流れ出した涙をジェニファーさんが震える手で拭き取り、ニコリと笑うと擦れた声で言った。
「い、き……て、せ、かい……お、わり……み、と、ど……け……て……」
その言葉を最後に首がカクりと横に垂れた。私の涙が彼女の頬に落ちても、彼女の表情は何一つ変わらなかった。
その時、地面がわずかにゆれ、耳に重い響きが小さく届いた。おそらく、上の階の人たちがこちらに降りてこようとしているのだろう。……ジェニファーさんの遺体をセーフルームに運ぶ余裕はなさそうだ。
私は涙を拭うのもせずに、ただ目を見開いたままのジェニファーさんの両目を閉じると、地面に落ちていた鍵を拾ってエレベータの間逆にある大きい扉へと近づいた。
その右の壁の鍵穴に鍵を差込てゆっくりとまわすと、その大きな扉が軋みながら開かれた。
もう一度耳に届いた轟音に私はせかされるようにその内部の部屋に入ると、点滅とブザーを鳴らしている『CLOSE』と書かれた赤いボタンを押して大きな扉を閉めた。
そして広いとはいえない部屋の奥で今度はブザー音が鳴り同じように点滅をしている部分があった。そこには『ALL CLEAR』と書かれた赤いボタンがあった。
私は迷わずそれを押した。すると、そのボタンの下から薄いガラスに守られた……そう、学校の消火栓の緊急用のボタンのようなそれが出てきた。
深呼吸を一つした後、私はそれを拳で叩き割り、内部のボタンを押した。
間を置かずに建物が大きく揺らぎ始め、私はとても立っていられずにその場に膝を着いてその振動に耐えた。しかし、耐えられないような音が絶えず耳を刺激している。
やがてその揺れと音が収まると、私は近くにあったいくつものテレビに近づいた。どうやらこの建物内の監視映像らしかった。
そこには建物内の人間が泡を吹きつつ倒れていく様子が映し出されていた。私は思わず目を背けてそのテレビから遠ざかった。
壁に寄りかかって誰もいない薄暗い部屋の中で一人、私は膝を抱えて暗闇に視界を投じた。もう何も……何も考えたくはなかった。
94 名無しさん@ピンキー sage 2009/08/30(日) 23:13:23 ID:ApPeRrxg
(1-8)
私は壁の穴から勝手に出てきたカンパンと水を口に運んでいた。決して美味しくはない。
水を口に含んで私は自分を罵った。あんなに人が死んでいく様を見ながら、一日もしてしまえばお腹がすいてしまっていた自分を。
それももう三日目。最初の日は映像を鮮明に思い出してしまい、食べたものをすぐに吐いてしまったものだが、今では淡々と食べられるようになっていた。
しっかりとカンパンを水で押し込んでから、私はちらりと監視映像を見た。そこに見えるのは誰もいない建物の内部か、動かなくなった人間の山。
その映像を見た私は、思う。一体私は何のために生きているのかと。私の人生が仮に80年だとして、おそらく私が10代だと考えれば、残りの60年余りを一体どうやって一人で消化すればいいのか、と。
自殺しようと考えたこともあった。しかし、ジェニファーさんが命懸けで私を守ってくれたのだ。それを無駄にすることはしたくはない。……でも、私に何をどうしろと言うのだろうか。
そんな事を考えていたとき、私の下腹部がズキズキと痛み出した。くぅうう……消化器官が調子悪いのだろうか?
しかし、その痛みが段々と別のものに代わっていく……。えっ……なんで? なんで……気持ち良いんだろう?
それはまるで……自慰行為をしたときの快感に似ていた。そしてそれは私の官能を徐々に高ぶらせていく。
「はぁ、はぁ、くぅぅうあああ! な、なんでぇ? はぁあああ、だめ、だめ! な、何かでちゃぅううううう!」
愛液が出て絶頂に達しそうな感覚が私を襲う。何故? 私はそんな興奮するようなものなんてみてないのに……。
しかし、私の膣から今にも愛液が外の空気を吸いたくてたまらない、とでも言うかのように私の絶頂を誘っている。
「きゃあああああ、だめぇえええええええええ!」
私はそう言いながらも膣から液体を放出させた。しかしそれだけでは私の官能は納まらず、膣の奥から何かが這い出てこようとしている。
「ぃゃあああああ、な、なにか、でてきちゃぅぅうううううう!」
そしてその一部が私の膣から頭を出した。それはまるで暗闇が私の膣から生まれてくるかのようなほど真っ黒でぬるりとした液体だった。
「はぁ、こ、すれてるぅう、くふぁああああ。そ、こぁああああらめぇえええええ!」
私の感じやすい部分をわざと通っているかのように刺激したまま、私の膣からそれは絶え間なく這い出てくる。
「ひぃ、ひぃ、ふぅううう、くぅん! ……ひぃ、ひぃ」
呼吸をラマーズ法のようにすると、その物体が私の中から出てくるのも大分楽になってくる。痛いわけではないが、絶え間なく快感が襲ってくると息をするのさえも忘れてしまう。
「ひぃああ、いぁぁあああ! ひぃ、ふぁああああああああああああ!」
たっぷり10分ほどは掛かっただろうか。私から生まれた闇の水溜りは大きな水溜りぐらいの大きさで私の膣の前に溜まっていた。
95 名無しさん@ピンキー sage 2009/08/30(日) 23:13:52 ID:ApPeRrxg
(1-9)
それが呼吸さえもが疲労する行為に感じるほど疲れ切った私の目の前で、地震で揺れる液体のように揺れ動いている。
そう、思った次の瞬間、いきなりその水溜りが噴水の水のように宙に向かって立ち上り始めたかと思うと、人の形を作り始めたのだ。
長い髪が毛の一本一本まで生え、その下に輪郭が出来ていき、目と鼻と口、耳などがそこに加わっていく。
細い首が途中で生まれ、胸の部分で大きな膨らみが生まれる。そこからくびれる様におなかが出来ていき、恥部の割れ目が出来ると水が二つに分かれていく。
そして長くて細い華奢な足が完成すると同時に、その足下にあった水溜りは既になくなっていて、目の前には黒いマネキンのような人影が出来ていた。
次の瞬間、その身体がまるで光を放つかのように一瞬で彩色されていった。長い茶色い髪、童顔だといわれる顔、その割に成長していると笑われる胸、そしていくら食べても太らないと自慢のお腹……どれも見覚えがあるものだった。
「な、んで……私が……」
「ありがとう、私。私を産んでくれて」
私が産んだ私はそう言って、ニヤリと不敵に笑うと、彼女の出産の疲れで動けないでいる私に馬乗りになってきた。やっと終わらない快感から解き放たれた濡れた膣が、同じような彼女のそれと重なり、私に新しい快感を与え始めた。
「ねぇ、何か思い出さない? ふふっ、私はもう思い出したよ」
そう言って私の上に乗っかっている私が、彼女の下にいる私に向かってそう言ってきた。確かに、この光景はいつか見たことがあった。
「その顔だと思い出してない、って顔ね。じゃあ、こう言えば思い出すかしら」
私に乗っかる私が少しだけ考えたような仕草をして、こう言った。
「えっと……大丈夫だよ、レラ……お姉ちゃんに全てまかせて……」
その言葉を聞いた瞬間、私の頭の中に情報の津波が襲ってきた。
96 名無しさん@ピンキー sage 2009/08/30(日) 23:15:11 ID:ApPeRrxg
(1-10)
「レラ~、お待たせ~」
こんな状況なのにやけに間延びした声で、リムお姉ちゃんがバスルームに入ってきた。
「お姉ちゃん、大丈夫? やけにトイレ長かったみたいだけど」
「あ、うん。ほら、食事のあとにすぐ逃げ出したからトイレ行く暇なくてさぁ、いやぁ快便だったわ」
そう言ってお姉ちゃんは私の身体の背中に回ると、不意に抱きついてきたのだ。
「わ! な、なに?! どうしたの、お姉ちゃん!?」
「レラ、怖かった。レラを助けたとき、私本当はあなたを見捨てようか一瞬だけ迷っちゃった……」
「あ、当たり前だよ! あんなに人がいっぱい襲ってきたんだから! それに……お姉ちゃんは、結局私を助けてくれた。襲ってきた男の人をぶん殴って、さ」
私は胸の辺りに巻かれたお姉ちゃんの腕を抱きしめた。今浴びているシャワーのお湯より優しくて温かいぬくもりが伝わってくる。
「ふふ……じゃあ、私のこと大好き?」
「もちろん、お姉ちゃん」
私がそう言うと、後ろから私の頬にキスをし、そしてその次の瞬間、信じられない力で私を押し倒したのだ。
「きゃああ! い、痛ったぁ~……お、お姉ちゃん大丈……」
私の上に乗りかかるお姉ちゃんの顔は……何故かとても楽しそうだった。
「ごめんね。でも、これからは優しくやってあげるから……じゃあ、ちょっと濡らそうか」
そう言うとお姉ちゃんが私の視界の下の方へとフェードアウトしていった。
それを私が上体を起こして追おうとした瞬間、私の……恥ずかしい部分をぬめりとした感触が襲った。
「ひゃあ! お、お姉ちゃん?!」
私は思わず手でその部分を覆おうとしたが、お姉ちゃんの手が私の手を抑えた。
「んんっ、大丈夫だよ、レラ……お姉ちゃんに全てまかせて……」
そう言って私の秘所を一定の感覚で優しく舐めてくる。私は足を閉じようとするが、その刺激が襲ってくるたびに足から力が抜けてそれすらままならない。
「あんっ! ひぃっ! お、お姉ちゃん、んあっ! や、めてぇ……」
「あっ、レラ、あなたの蜜が出てきたよ。んんっ、か~んろかんろ、あはっ」
「やぁあぁああ、おねえちゃんにぃいいいいい、すわえてるぅううう!」
秘所の中に姉の舌が段々と侵入して、私の入り口を嘗め回してくる。私は思わずその刺激に身体を浮き上がらせてしまう。
「んんっ、ふぅ。もうそろそろ大丈夫でしょ。これで痛くならないわ」
そしてさっきの映像を逆回しするように、私の視界の下から姉がフェードインしてくる。自分の口をぺろりと嘗め回しながら。
「はぁ、はぁ……おねえちゃん、いったいどうして?」
「ふふ、大丈夫。ちょっと待ってね。……ぁ、ふぁっ、でぇ、でてきたぁあ」
お姉ちゃんが火照った顔で自身の秘所をいじっている。その顔は悦にいったものだ。
「んぁあああああっ!」
そして大きく身体を仰け反らせたかと思うと、黒くて長い触手のようなものをそこから出してきたのだ。
「きゃぁあああああ!」
「ふぁぁああ、もう我慢できない。いくねぇ、レラ」
97 名無しさん@ピンキー sage 2009/08/30(日) 23:16:49 ID:ApPeRrxg
(1-11)★ちょっとグロいかも
悲鳴を上げる私に赤く染まった顔で微笑み掛けると、その黒い触手が私の視界から消え去り、そして私の恥部に何かの異物感を感じた。それが何なのかなど、見なくても分かっている。
「ぁああぁあああ! はいってぇえええ、こないでぇえええええええ!」
そんな叫び声を私が上げても無駄だった。その触手は私への遠慮などまったく気にもせずに私の奥へと侵入してくる。
「きゃはぁあああん! レラのなかぁああ、あついぃいいいいいいい!」
「らめぇえええええ! ぬいてぇえええええええ、おねえちゃんんんんんぁああああああああ!」
私はお姉ちゃんのよがる姿に必死に助けを求める。しかしお姉ちゃんは私の入り口と自身の入り口を重ねるようにして小刻みに前後している。まるで男の人がしてるみたいに。
やがて前かがみになってたお姉ちゃんの胸と、私の胸が重なる。同じぐらいの大きさの胸がお互いをもみ合って、互いに刺激を送り送られている。
「はぁあん、れらぁああ、そんな顔してたらぁあ、わたしもっといじめちゃぅうううう!」
お姉ちゃんがそう言うと同時に、私の中を蹂躙している触手の速度が一気に上がる。それに対する悲鳴を上げようとしたときには、姉に唇を奪われていた。
「んんっ! んんんんんっ! んんんんんんんんんんんんんんん!」
私は舌を絡ませようとしてくるお姉ちゃんをもう受け入れていた。それは間近にあるお姉ちゃんの顔が、いかにも気持よさそうにしていたからだ。
おそらくそれは私とて同じことだろう。もう私の中は、触手を拒むどころかそれを楽しんでいる。それを私のものにしてしまいたいぐらいに。
「んぁあああ、いくよぉぉおおおおお、うけとってぇ、れらぁああああああああああ!」
「ふぁあああああああああんっ、なにかぁあああああくるぅううううううううううう!」
私は揺れ動く視界で、それが私の中に入ってくる瞬間を見た。お姉ちゃんの女の部分が大きく私の気持いい部分から離れたと思ったら、お姉ちゃんの中から出ていた触手がそこから離れて私の中に消えていった。
「んぁあああああああ、わたしのなかでぇええええ、おねえちゃんのがうごくぅううううううう!」
「はぁはぁ、あは、だいじょうぶ、もうすぐわたしとおなじになれるからぁ……あははははは」
私とそっくりな顔のお姉ちゃんが楽しそうに笑っている。双子の私の姉が、妹の私を犯して楽しそうに笑っている。
だから私も同じように笑った。だって私達は双子なんだから、片方が笑ったら同じように笑わなきゃ、それこそおかしいことだ。
そうして大声で笑っていたときだった。突如、姉は頭から私の左側へと思い切り倒れた。そしてバスルームに反響するように銃声が響いている。
私が左を見ると、飛び散った脳漿や頭部の皮膚のカケラがバスルームの壁にべったりと赤黒い色を塗っている。
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
私はそれを見て発狂した。怒りと恐怖と、悲しみと……いや、感情の全てを爆発させるように叫んでいた。
叫びながら私の頭がボーッとしてきた。かすんだ視界の中で金髪の女性が私に何かを話しかけている。
しかし、その声は私の耳に届くことはなく、私はそのまま暗闇へと引きずりこまれた。
98 名無しさん@ピンキー sage 2009/08/30(日) 23:17:22 ID:ApPeRrxg
(1-12)
「うぁ……あぁ……」
リムお姉ちゃんと私は、双子の姉妹だった。性格はちょっと違っていたけど……。
私が着ているこの服も……これは着替えなんかじゃない。リムお姉ちゃんがあの時着ていた服だ。綺麗に畳まれていたのは、それを一度も着ていなかったからじゃない。お姉ちゃんが自分の服をしっかりと畳んだからだ……。
「そ……んな……じゃあ……ジェニファーさんが殺したのは……」
「双子のリム姉さんでしょうね。最も、寄生体のリム姉さんだったみたいだけど。ほら、あの時トイレ長かったから、多分あのときに産んだんだよ。それで食べられちゃったんだろうね。姉さんは寄生体の自分に。そして私の養分となったのね」
自分の身体を抱きしめて微笑みながら目を瞑る寄生体の私。
「でも、まさかこんなことになるとはね。もう、私の仲間はみんな死んじゃったでしょうね。もちろん、あなたの仲間もね……ふふっ、怖い? これから一ヶ月は私と二人きりでここで過ごすのよ?」
「……った。」
私は涙と言葉を同時に零した。私に乗りかかっている寄生体の私が首をかしげて聞き返してくる。
「え? なんて言ったのかしら?」
「よかったぁ……よかった……わたし、もうずっと……ひとりぼっちなんじゃないかって……ううっ」
私は寄生体の私の腕を引っ張って、無理矢理に抱きしめた。
「あらあら、このままだと、私はあなたを溶かしちゃうわよ? 知ってるでしょ? 寄生体が宿主から出たあと、こうやって宿主を食べるのは?」
「それでもいい。一人ぼっちで生きていくより……ずっとまし」
私はそう言って一層強く、私と同じ身体を抱きしめる。同じ大きさの胸が押し合い、私は同じ私の顔に向かって唇を近づけた。
そのまま彼女の口の中に私の舌を入れようとするが、彼女はゆっくりと私から離れて口を人差し指で拭うとこう言った。
「ふふふ、う~そ。そんなことしない。あなたしか人間がいなくなったならもう寄生体を増やす必要もないし……なによりあなた、可愛い顔してるから」
優しく微笑んで私の唇についばむように軽く触れ、そしてもう一度微笑んでから再度唇を重ね合わせてきた。私はすかさず彼女の口の中に自分の舌を滑り込ませる。彼女もそれを優しく受け入れてくれた。
「ああんっ、んんっんっ、んんん~」
「んっ、んんんっ」
私には彼女の身体、彼女の動きが手に取るように分かった。だから、私が喜ぶように彼女の口内を蹂躙していく。
相手の歯茎を舐めまわし、そして舌を突きあうようにしてから、滑りあうようにお互い絡ませあう。
目の前にあるのは私と同じ顔なのに……それなのに、その顔はとても綺麗で可愛かった。鏡で自分を見ていたときはそんなこと感じないのに……私、おかしくなってるのかな……。
「んん~っ……ねぇ、あなたはジェニファーに新しい名前貰ったでしょ? だから私がレラ。あなたがアリス。んふ、これでいいでしょ?」
「いい、それでいいからぁ、もっとぉきもちよぉくしてぇ……れらぁ、おねがぃ……」
「ふふ、分かった。アリスのこと、もっと可愛がってあげる……」
同じ顔なのに、私には到底出せないような笑顔をレラは私に向けてきた。
堪らなくなって私はレラの身体を強引に引き寄せると、その豊満な胸の可愛らしい先っぽを咥えた。するとレラはお人形のような手で私の頭を優しく撫でてくれる。
「いいよぉ、ありすぅ。あぅう……」
「んっあ、えへへ……れらぁのちくびが、きゅんってたってるぅ……かわぃい……」
99 名無しさん@ピンキー sage 2009/08/30(日) 23:19:02 ID:ApPeRrxg
(1-13)
私の唾液で濡れたレラの胸の先っぽが、まるで赤ちゃんが二本足でゆっくりと立ち上がろうとするみたいに大きくなっていく。
それを再び咥えて、舌で転がすように舐めながら、時折アマガミをしてそのたびに反応するレラの顔を私は楽しんでいた。
「うあぁぁぁ、きもちぃぃ……くあっ!? そ、んなぁかまないでぇ……そんなことぉされたらぁ……おかしくなっちゃうよぉぉ……」
レラの口からそんな声が出ていても、彼女は自ら私の顔に胸をくっつけようとしてきている……。まったくぅ……正直じゃないんだから。
天邪鬼な彼女をいさめるように、柔らかい胸をもみながら、その先端を断続的にアマガミする。
「くっ、ひぃ、だぁ、めぇ、あぁ、たぁ、まぁ、がぁ、おぉ、かぁ、しぃ、くぅ、なぁ、るぅ!」
私がアマガミするたびにレラは言葉を切った。何とも可愛らしいその反応に私はさらにアマガミを続けてあげる。
「あああああんっ、れちゃぅううううううううううううう!」
レラが太もも辺りについていた自分の秘所を私の同じ部分にあてがうと、その部分が密着するように身体を抱きしめて、大きな嬌声を上げて達した。
彼女の秘所から出た温かいお汁がそのまま私の中にゆっくりと垂れながら入ってきた。
顔をずらしてその部分を見てみると、それはどうやら何の変哲もない愛液のようだった。やっぱり寄生体でも人間なんだ、と私はその時改めて思った。
「くはぁ、はぁ……ごめん……わたしだけ、いっちゃったぁ……こんどは、アリスのば~ん」
口で息をしながら私の上からどいたレラは、私を起き上がらせると、先ほどとそれぞれの体位を入れ替わるようにレラが下になり、手を引っ張って私を自分の上にのせてくれた。
そしてゆっくりと私の胸にレラの顔が埋まっていく。私は先ほどレラがやってくれたように頭を優しく撫でてあげる。
やがて彼女は顔を上げると、私のようにいきなり乳首を咥えるようなことはせずに、優しい手つきで私の胸を揉みほぐしてきた。
「はぁあ、これぇええ、きもちぃいい……」
そんな彼女の手さばきは見事なるものだった。私は先ほど咥えながらただ揉みくちゃに彼女の胸をいじるだけだったが、レラのは力加減や揉み方を絶えず変化させて私を飽きさせない。
「あぁ……そんなかおしてるといじめたくなっちゃうな……」
レラはそう言って再び私の胸の顔を近づけたと思いきや、突然私の胸に短く鋭い痛みが駆け抜けた。
「ひぁああっ!」
あまりの気持ちよさで先ほどまでぼやけていた頭が一瞬で覚醒される。レラはそんな私の様子に不敵に笑っていた。
「んふふ……さっきのわたしのきもちわかったぁ? からだがおなじだから、よぉくわかるでしょ?」
言われてみると、痛みと反比例するようにじわじわと快感が胸から伝わってきた。こんな……感じだったんだ……。
「も、もしかして……おこってる、の?」
「ふふ、ぎゃ~く。きもちよかったから、アリスにもやってあげようとおもって」
「あぁ、ありがと……うれしい」
私の言葉にレラはにっこりと笑うと、私の乳首を優しく咥えた。彼女の舌で私の乳首は踊らされている。
「ふぁああ、すごぉぉいいぃぃぃ……あんっ!」
優しい刺激に身を任せようとすると、突然のアマガミが乱入してそれを許さない。
100 名無しさん@ピンキー sage 2009/08/30(日) 23:19:43 ID:ApPeRrxg
(1-14)
「そ、そんなぁつよく、しないでぇえ……」
「んぁっ、わたしにもこれぐらいのつよさでやってたんだよ、アリスはぁ」
頬を膨らまして不満そうな表情でレラは言った。こ、こんなつよくしてたんだ、わたし……。
「でもだいじょうぶ……なれてきたらそれもきもちよくなるから……は~むっ」
レラが再び私の乳首を咥えて優しい刺激と鋭い刺激を交互に送ってくる。
「んっ、ふぁっ! ああっ、やんっ! そ、んあ! こう、ごに! しな、いでぇ!」
私はそのアメとムチの刺激に身をよじらせた。私は鋭い刺激を断続的に送っていたのに、彼女はそれに優しい刺激を混ぜることによって、それぞれの刺激を高めあっている。
「ひいぁっ! いっ、くぅううううううううううううう!」
ついに耐え切れなくなって私がそう叫ぶと、レラは先ほどのように素早く私の秘所と彼女の秘所をぴったりとつけてきた。それが更に刺激を与えて私は、いってしまった。
「やぁあああああああああんっ、でてるぅうううううううう!」
「ふぁあああああああああんっ、きてるぅうううううううう!」
私から出た愛液が、今度はレラの中に浸入していく。レラがまるでそれを一滴も逃すまいとするように身体を強く抱きしめてきた。
「あっはぁぁ、わたしのとぉ、アリスのがぁまざってはいってきてるうぅ……じゃあこんどはぁ、いっしょにいこっかぁ」
レラが今度は何をしてくれるのかと楽しみにしながら、私は彼女の上を降りて横に座った。
するとレラが上体を起こすと、足をM字に開いて私に自分のおま○こを見えるような位置に座ると、右手がゆっくりとその中へと潜り込んで行った。
「ひぃああああっ、これだけぇいっちゃいそう……くぅはあぁぁん……」
ぐちゃぐちゃに濡れたおま○こからいやらしい水音を鳴らしながら、快感に身をよじるレラに私は見入っていた。
「んはぁ、みぃつけぇた。みてて、ねぇ……いくよぉ……んはぁああああああああああああ!」
右手が完全に彼女の中に消えそうになったとき、レラはそう言って右手を一息に引き抜いた。
その手には……見覚えのある黒い触手が握られていた。
「あぁ、それはぁおねぇちゃんが、きせいしてくれたときのだぁ」
「はぁはぁはぁ……これはわたしのからだのいちぶだから、きせいはできないんだけど、これでぇいっしょに、いこっ?」
レラが両手を広げて私に微笑み掛ける。私はもちろん迷わずにその胸に飛び込む。
「じゃあ、ゆっくりときてぇ……これをぉありすのなかにぃ、いれてあげてぇ」
101 名無しさん@ピンキー sage 2009/08/30(日) 23:20:06 ID:ApPeRrxg
(1-15)
右手で触手を固定して私への侵入を待つレラを、私は両手を彼女の首に、両足を彼女の腰に巻きつけるように抱いて、私への入り口をその触手のまるっこいさきっぽにあてがった。
「ふあぁぁぁ……もうがまんできないぃい! はやくきてぇえええ!」
「うん、いっくよぉ……くっ、ふぁあああああああああ!」
「ああああああああああああああんっ!」
私は一息に腰を下ろしきった。濡れた私の中にすっぽりとレラの触手が入ってきた。とてつもない快感の嵐が頭を一気に真っ白にしてしまう。
「つつまれてるぅうう! アリスのあったかいなかにぃ、わたしのがぁつつまれてるよぉぉぉおおお!」
「きゃぅううううううう! えへへ……レラのぉ、たべちゃったああぁぁぁ……」
身体の中でピクピクとレラのものが痙攣している。同じようにレラ自身も虚ろな目で挿入の快感に浸っているようだった。
私はその無防備な唇を奪い、そのままゆっくりと子宮近くまで侵入している触手を抜いていく。それでも彼女の触手は筒にでも包まれているように元気に起きている。
「んんんんんんっ! ぷはぁ、やだぁ! ぬかないでぇええ!」
レラが私の身体を抱きしめて、私の行為を止めようとする。その子供のように必死にすがる顔がまた可愛らしい。
私は触手が抜ける直前で止まると、安心したような顔をしたレラに向かって彼女がするような不適な笑みを浮かべると、再び一気に腰を下ろした。
「ぁああああああああああんっ!」
「はぁあああああああああんっ!」
私は再び侵入された快感に、レラは再び挿入した快感に甘い嬌声を二人揃って合唱した。
しかし私の動きはそれで一段落はしない。お互いの太ももが重なったと同時にまた一気に腰を浮かせて触手を抜いていく。
「ひぃあああああああああああ!?」
解き放たれていく触手の快感にレラが声を上げたと同時に、一気に腰を下ろして再び彼女の触手を下の口で食べすすんでいく。
「んぁああああああああああああ!」
それを素早く繰り返して私はレラを快感の頂点へと誘っていく……なんて思いながら、結局は自分の快感を貪るために腰を動かしているのだけれど、ね。
「きゃはぁんっ! ふぁあぁ! くぅうううう!」
「あああああんっ! らぁあああ! めぇえええ! ありすぅううううう、いくぅうううううううう!」
「きてぇええええええ! れらぁああああああああああ!」
レラの触手が私の腰の動き以上に素早く動き始め、私も快感の頂点が目の前に訪れた。
「いっくぅうううううううううう! ふぁあああぁあああああああああああ!」
「きゃああああああああああああ! あっつぃいいいいいいいいいいいいい!」
私の中にレラの愛液が触手を通して直接注ぎ込まれる。同時に触手は私が出す愛液は吸っているようで、私は暫く達したあともその快感に身をよがらせることになった。
「ありがと……おいしかったよぉ、ありすのぉ……」
「はぁはぁ……こちらこそ……れらぁ……もっと、もっとあなたのにおい、わたしにつけてぇ」
レラの胸の中に顔を埋めて私は懇願した。
「……こわいんだ……わかるよ……わたしもおなじ……」
その言葉に私は顔を胸から離して彼女の顔を見た。彼女はニコリと微笑んで続ける。
「だぁいじょうぶ……もうはなれない……ううん、はなれなれない」
私の髪を撫でつけ、そのまま私の首に顔を近づけると優しく舐め始めた。私もそれを真似て彼女の首筋を舐めつける。
「これで……もうだいじょうぶ……アリスにわたしのにおいがついたよぉ……」
「うん……レラにもわたしのにおい、ついたぁ……」
二人して顔を見合わせると、ニコリと笑って再び交わりを再開した。
(終)
どうも、こんばんは~。
さて、とりあえず予告どおり作品をお見舞いさせていただきます。お覚悟を。
まっ、御託は並べず、とりあえず今から投下します。
お時間があれば見てってくだせぇ、だんな。
ちょっとだけ注意。不埒は後半集中、今回もENDが二つ、以上。
87 名無しさん@ピンキー sage 2009/08/30(日) 23:05:51 ID:ApPeRrxg
(1-1)
暗い。今自分は地面に接しているのか、それとも闇の中へと落下して行っているのかも分からないぐらいの暗闇が私の視界を覆っていた。
首を動かして周りを見ようとすることもままならない。まるで全身に血が通っていないかのように身体が重い。
しかし、その私の身体が突如揺り動かされた。私の力によるものではない。そして、私の視界に段々と光が灯り始めた。
「……ら? あ……た! 目が覚め……かしら?」
暗闇の中に差し込まれた光が私の目をくらませる。しかし、それを遮ろうと自然に右手が動いていた。
そして段々と肌寒い空気が私の身体を包んでいくのを感じる。それに刺激されるように、段々と目が光に慣れていく。
「あぁ、良かった。無事みたいね。あなた大丈夫?!」
「だ、れ?」
私は目の前で私を覗き込んでいる金髪の女性を見て、疑問を口にした。
その人物が私の身体を支え、上体を起こし上げてくれた。水の音がする。ここは……何処だろうか?
「怖かったわね。もう大丈夫よ。私はジェニファー。大統領のSPよ。あなたの名前は?」
ジェニファーさんが私の身体を軽く抱きしめながら聞いてきた。私は答えようと頭を働かせる。
「私は……え、私は……私は……分からない。分からない! 私は、だれ!?」
思い出せない。私の年齢も、私の家族も、私自身の顔さえ今の私には分からない。
「お、落ち着いて! まさか……記憶喪失?」
「はぁ、はぁ……、分からない。何も思い出せない、です」
「そう……でも。無理もないかもしれないわ。とりあえずここを出ましょう。危険だわ」
そう言って私に肩を貸して、ゆっくりと立ち上がらせてくれた。それでここがバスルームだと言う事に気付いた。
バスルームから小さな部屋通り抜けると、そこはどうやらホテルの部屋のようだった。その横長のベットにジェニファーさんが私をゆっくりと降ろした。
「ちょっと待ってて。更衣室からあなたの服を取ってくるから。出来れば、左にある鏡を見といてくれる? 何かを思い出すかもしれないわ」
私を残して出てきたばかりの更衣室にジェニファーさんは戻って行った。
私は左に顔を向けて、そこに映る……一人の人間の姿を確認した。白い肌とその肩に掛かる茶色い髪、あどけなさが残る童顔、しかし胸は大きい。でもその全てが私にとっては違和感のあるものだった。
そして足音共にジェニファーさんが私の元へ戻ってくると、苦笑いをしながら声をかけてきた。
「……その様子だと思い出してないみたいね。はい、これ。ちゃんと着替えを持って入ってたみたいね。汚れた服の隣にこれがあったわ」
ジェニファーさんはそう言って私にジーパンと白いTシャツ、そしてピンクのブルゾンと下着類をベットにおいた。
「とりあえず着替えながら聞いて欲しいのだけど、世界が今どういう状況におかれているか、覚えてる?」
「……ごめんなさい。まったく持って覚えてないです」
私は首を振った。するとジェニファーさんは微笑みながら首を振ってこう言った。
「大丈夫よ。今から説明するから安心して」
88 名無しさん@ピンキー sage 2009/08/30(日) 23:06:34 ID:ApPeRrxg
(1-2)
少し恥ずかしかったが、下着を身につけながら彼女の話に私は耳を傾けた。
「今から3ヶ月前ぐらい前から、人々に寄生体が寄生し始めたの。……と言っても、本当は1年以上前にこの国で見つかった寄生体が研究所から逃げ出したのだけれどね」
ジェニファーさんが黒いスーツの胸ポケットから手帳を取り出し、その中からなにか紙のようなものを取り出して私に見せた。
それは黒い液体で……そう、スライムのような物体が写された写真だった。
「この寄生体は人間の穴と言う穴から侵入するわ。それから3日ほどその体内に潜伏。そして3日後、男性なら肛門から、女性なら……膣から子供を産むように、自分の姿かたちが同じ生物が産まれるの」
ジェニファーさんはそう言って写真をしまうと、ゆっくりとベッドの右横へと移動してその場に屈んだ。
私もジーパンを履きながらそれを目で追うと、なにやらその床にピンクシーツが何重にも掛けられ、それが何かを隠すようにしかれている事に気づいた。
「ごめんなさい……見たくはないかもしれないけど、これを見れば何かを思い出すかもしれないから」
それだけ言うと、ジェニファーさんは一思いにそのシーツを引き剥がした。ピンクのシーツが私の視界を一瞬だけ隠す。
そしてそれが私の視界からずれると……一人の人間の姿があった。白い肌とその肩に掛かる茶色い髪、そしてそこに映る顔はどれも……先ほど見たことのあるものだ。
「これがあなたが産んだ寄生体。胸の大きさとか、顔の形が微妙に違うけど……そっくりでしょ? これがさっきあなたに覆いかぶさっていたの」
ジェニファーさんが私の顔を覗きこみながら話し、やがてシーツを元に戻した。
「……あまり、見ないほうが良いわ。私が後頭部の横から銃弾を撃っていて……あなたと違う部分が決定的にあるから」
そこからジェニファーさんが離れても、私はまだそれに目を奪われていた。果たして、このシーツのピンクの着色は……元々、シーツに彩色されたものだったのだろうか?
その答えを導き出す前に、私はジェニファーさんにTシャツを押し付けられた。その顔には微笑みを浮かべているが、これ以上私に横を向かせることは許してくれなさそうだった。
「この寄生体は自分が生み出されたあと、その宿主を抱きしめて……全身で溶かして身体に取り込むの。そして新しいスライム状の寄生体を一匹産む。食べた宿主の身体はその栄養素になるの。あなたはその一歩手前、おそらく寄生体の自分が生み出された直後に私に助けられたの」
それじゃあ……つまり、寄生体の自分を自分で産んで、それが寄生体じゃない自分を食べて、それがスライムの寄生体を一匹産む。つまり……。
「このままだとこの星は人間の形をした寄生体に乗っ取られる。大統領はそれを防ぐために今、動こうとしているの」
「い、一体……何をするつもりなんですか?」
私はジェニファーさんの顔を見たままブルゾンを着て、私の着替えを終わらした。それと同時にジェニファーさんも口を開いた。
「地球上から寄生体と、人間の両方のほとんどを今から……殺します」
そう言った瞬間、左のほうから大きな音が聞こえ、部屋の中にジェニファーさんと同じような格好をしたがたいのいい男が飛び込んできて、私を一瞥したあと、ジェニファーさんにこう言った。
「ジェニー、大統領が決断した。軍はもう当てにならない。今から突撃を敢行するとのことだ」
「……了解です。ごめんなさい、すぐに出発するわ。一緒に行きましょう」
「で、でも、私は寄生されたってことですよね? そ、それなのに私を連れて行っても」
「安心して。あなたの身体からはもう寄生体は出て行っている。寄生されてもそこから出て行った後なら、あなたの体内にはもう寄生体は残っていない。逆に外を歩いている人間よりよっぽど信頼できるわ」
ジェニファーさんが差し出した手を私が取るとゆっくりと私をベットから引き上げてくれた。
「残念だけど、ここにはあなたの服以外は何もなかったわ。……じゃあ、行きましょう」
89 名無しさん@ピンキー sage 2009/08/30(日) 23:07:18 ID:ApPeRrxg
(1-3)
「君が隣の部屋にいた少女だね。ジェニーによれば記憶喪失らしいが、私のことは分かるかね?」
白い髪のスーツを着た中年過ぎぐらいの男性が私に笑顔で話しかけてきた。
「だ、大統領、さん……です」
私は名前が分からなかったが、車の中で一人だけ格好が違うため、私はそう答えた。
「ははは、その様子だと私のことを覚えていなかったようだね。私はジョン・シルバー。現アメリカ合衆国の大統領をさせてもらっている。よろしく……ええと」
「ア、アリスです。ジェニファーさんに、とりあえずの名前を考えてもらいました」
「おお、そうか。よろしく、アリス。次の選挙には我が党に一票頼むよ」
私は差し出された大きな右手を慌てて掴んだ。大統領さんは楽しそうに笑顔で言ったが、握手を終えると苦笑いになりこう続けた。
「もっとも、党も、国も、人類さえも存続できるか分からないがね」
「ご安心を、大統領。私達が絶対にあなたをセーフルームまでお連れします」
「ありがとう、頼りにしているよ、ジェニー」
私の隣のジェニファーさんは大統領さんの言葉に敬礼をした。しかし……この車の中には私と大統領、そしてジェニファーさんと先ほどの男のSP、それと運転中の男のSP。わずかに5人だけしかいないのだ。
あのホテルには私達以外に誰もいなかった。ジェニファーさんによれば、大統領と彼の3人のSPはこのホテルに避難して偶然にも私が居た部屋の隣に入ったらしい。
暫くすると、隣の部屋からなにやら騒がし音がしてきて、ジェニファーさんが見に来てくれたところを私は助けられたらしかった。
「アリス、今私達はニューヨークの郊外にある緊急用施設に向かっている。その理由、君にも教えておこう」
大統領さんが表情を真剣なものに変えて、私にその理由を話し始めた。
「これからいく施設にはある設備がある。一つは隔離シェルター。別名セーフルームと呼んでいる。ここでなら、たとえこの国が水没しても一ヶ月ぐらいなら充分生きていける」
眉間に皺を寄せて大統領さんが続ける。
「更にもう一つ……あるミサイルの発射装置がその部屋にある。そのミサイルとはまる1ヶ月、地球上全てを低酸素状態、人間なら確実に死んでしまうような状態にさせるミサイルだ。唯一安全なのが、セーフルームなんだ」
「……つ、つまりそのセーフルームに残っている人間以外は」
「死ぬだろう。同時に世界中に電子機器を破壊、停止できる小型ミサイルも撃つ。寄生体は人間と基本的には同じ構造をしている。酸素がなければ生きてはいけない。おそらく1ヶ月の低酸素状態で地球もそれなりの被害は受けるはずだが、なんとか持ちこたえられるはずだ」
大統領さんがそれを言い切った瞬間、窓を幕で囲って車内灯をつけただけの車中が突然、大きな轟音と共に揺れだした。
「っ、見つかってしまいました! 一気に駆け抜けますから、捕まっててください!」
運転手のSPが叫ぶ声も、轟音でしばらく馬鹿になった耳ではなんとか聞こえる程度だ。
後部座席にいる2人のSPは車内の幕を破るように開くと、のどかな農村を走るこの車に併走するようにパトカーが何台もいた。
「そこの車止まりなさい! 我々は人間だ!」
パトカーから聞こえる声にジェニファーさんが怒りの声を上げた。
「だったらさっきの轟音はなんなのよ!」
2人のSPは窓を開け、手に持ったマシンガンのような銃をそれらの車に向けて発砲しだした。すぐ隣から聞こえるけたたましい音に私は耳を塞ぐ。
「君は伏せていなさい! 目も瞑って、何も見ちゃいけない!」
そう言いながらも大統領さん自身は拳銃を持って併走するパトカーに向かって発砲をしている。……私もやらなくちゃ。
私は後ろの荷物を漁って大統領と同じような拳銃取り出すと、窓からパトカーに狙いを定め、引き金を絞ぼりきった。
「きゃあああ!」
「ぐあああああああああああああ!」
大きな反動と銃声で私は思わず悲鳴を上げて尻餅を着いたが、どこかから私のものではない叫び声も聞こえた。
起き上がりながら窓の外を見てみると、先ほどのパトカーが全ていなくなっていた。
私は唖然とするジェニファーさんの視線の先を追うと、離れ行く車の後方で大破する何台ものパトカーが見えた。
「……なんという少女だ。よければ私のSPになってくれないかね?」
大統領が額に手をやってそう言うと、小さな笑いが車内に生まれた。
90 名無しさん@ピンキー sage 2009/08/30(日) 23:07:50 ID:ApPeRrxg
1-4)
「大統領、見えました!」
運転手が大きな声でフロントガラスの先に映るその大きな建物を示した。
「なんだか、大きな天文台みたいですね」
「いや、実際そうなんだよ。ここは普段は、天文台として一般公開もしている」
大統領さんはそう説明しながら、近づいてくる天文台を見ながら厳しそうな顔をした。
「誰も……いなければいいんですが」
「どうだろうな。この施設の存在を知っている人物は僅かしかいないが、それでもその機密を知っていてこの車に乗っていない人物は何人もいる」
大統領さんがジェニファーさんの言葉に頭を振った。
「大統領。では、作戦通りに行きますよ」
ジェニファーさんがそう言うと、大統領さんの表情が一気に曇った。やはり、不安なのだろうか?
「……すまない。よろしく頼む」
大統領の言葉に運転席と後部座席に座っていた二人の男のSPが力強く頷いた。
そして車は道を外れたところでゆっくりと停車し、後部座席にいた男のSPが無言でドアを開いた。
「大統領、アリスさん、降りてください。ここから歩きます」
「え? な、なんで私達だけ降りるんですか?」
私の言葉に一斉に皆、目を逸らした。その中でジェニファーさんが小さな声で私に言った。
「彼ら二人には……囮になってもらいます」
「お、囮?」
「このまま正面から突っ込んで、もし待ち伏せされていたらまずいことになる。だから私たちは裏口から侵入する」
ジェニファーさんと大統領さんが暗い表情で私に説明をした。
「大統領、ジェニー、それとお嬢さん、どうかご無事で」
「奴らは俺らが引き付けておきます。手はずどおり、もしいつか私たちがセーフルームに近づいても絶対に開けないで下さい。それは多分、私たちではないと思いますから」
そんな二人とは対照的に、車に残った二人の男のSPの表情には笑顔が浮かんでいた。
「二人とも……よろしく頼む」
大統領さんはそんな二人に向かって敬礼をした。ジェニファーさんもそれに続き、私も流れそうな涙をこらえながらそうした。
すると彼ら二人も真剣な顔で敬礼をし、そして後部座席のドアが閉じられると二人を乗せた車は天文台へと動き出した。
「……行こう。我々は彼らの勇気を無駄にしてはならない」
その車を見て涙を流してしまった私の肩に、大統領の大きな手が優しく載せられた。
「うぅっ、ぐすっ、……はい」
私は涙をブルゾンの袖で乱暴に拭き取ると、ジェニファーさんを先頭に、それに私と大統領が続くように歩き出した。
91 名無しさん@ピンキー sage 2009/08/30(日) 23:08:36 ID:ApPeRrxg
(1-5)
「あの二人、派手にやってくれているな」
目の前の天文台の反対側から、爆音やら銃撃音が絶え間なく聞こえている。聞こえているということは、あの二人はまだ生きているということなのだろう。
「開きました。ここからは一気に駆け抜けます。……準備はいいですか?」
ジェニファーさんが私と大統領さんに向かって確認をした。大統領は足首や手首などを回し、私はスニーカーの紐を結びなおした。
「では、行きます!」
大きなマシンガンを片手に、ジェニファーさんがドアを蹴破って建物に侵入するやいなや、こちらを振り向かずに走り出した。私と大統領もそれに続く。
そこはいきなり道が3つに分かれていたが、ジェニファーさんは迷わずに右に曲がる。それからも何度も通路を曲がったり、部屋を通り抜けたりする。
「くっ……銃声が……」
かなりの距離を走ってからこぼしたジェニファーさんの声で私もいつの間にか銃声も、爆音も消えていることに気付いた。階段も何度か降りたが、決して地下に潜っているから聞こえなくなったわけではないのだろう。
「もうすぐだ。アリス、頑張れ!」
私を心配してくれる大統領も、もう汗だくで走り方も最初に比べるとかなりおかしくなっている。
もちろん、私も例外ではない。先ほどから視界が揺れに揺れて仕方がない。頭も酸欠のために痛み、足だって今にももつれそうだ。
「ん!? あれだ! あのエレベータに乗り込め!」
大統領さんが指をさす先に銀色のドアがあり、先に辿り着いたジェニファーさんが横のパネルを操作している。
「ああ! なんで下の階にエレベータが下りているのよ!?」
ジェニファーさんが表示板を睨みつけて、壁を殴りつけた。表示板は『30』という数字から段々と数を減らしてきている。ここは地下5階、あと25階分を上ってきてもらわないといけない。
「いたぞ!」
しかしその時、背後からそんな叫び声が聞こえて、次の瞬間には銃声も聞こえ出した。
「くっ! ジェニファー、応戦するぞ!」
「はい! アリスさん、こっちに隠れて!」
私とジェニファーさんは通路を挟んで、大統領さんの向かい側の通路の横の壁に背中から張り付き、ジェニファーさんが通路の向こうへと銃撃を開始し、大統領も拳銃を取り出すと同じように発砲し始めた。
その時、私はジェニファーさんが撃ち終わると同時に、彼女の拳銃を手渡し、交代に渡されたマシンガンの弾倉を入れ替え、拳銃を撃ち終わった彼女から拳銃と交代にマシンガンを渡した。
「もう少しです! あと、10階でここに着きます!」
私はジェニファーさんに最後の弾倉を入れ終わったマシンガンを渡しながら叫んだ。
……『10』、『9』、『8』、『7』、『6』。
チーン、という音が一瞬だけ銃声の合間に鳴り、銀色のドアが左右に開いた。
「二人とも乗るんだ! 私がここを食い止める!」
大統領さんが銃撃を続けながらそう叫んだ。そして片手を青いスーツの内側に突っ込むと、こちらに何かを投げてきた。
「それがセーフルームを開ける唯一の鍵だ! 急げ、奴らが来る!」
「大統領、しかし!」
「行け! ジェニファー!」
あんなに優しい顔つきからは想像できないほどの剣幕で叫んだ大統領さんの言葉に押されるように、ジェニファーさんは私の身体を抱え込むようにしてエレベータに飛び込むと、エレベータのドアが静かに閉じられた。
92 名無しさん@ピンキー sage 2009/08/30(日) 23:09:04 ID:ApPeRrxg
(1-6)
銃声が遠いていくなか、ジェニファーさんは何も言わずに私の身体を抱きしめて一層強く抱きしめてこう言った。
「私……大統領を……守れなかった……くっ」
悲しみを噛み締めるようにジェニファーさんが零した。しかし、ゆっくりと私から離れると涙を拭きながらパネルの下を先ほど貰った鍵で開き、何かのケーブルを引き抜いた。
「これで……このエレベータはもう二度と上には昇らない。あとはセーフルームであのボタンを押したあとに動くエレベータが、唯一の地上への出口」
ケーブルを投げ捨て、鍵をパネルから引き抜くとそれを大事そうに握り締めた。
やがてパネルの上部の階数表示が『30』へと変わり、そしてチーンという音ともにエレベータが開かれた。
「待ってたわ。ジェニー」
「なっ!? リリィ?!」
開かれたドアの先で、ジェニファーさんと同じ黒いスーツを着た女性がこちらに拳銃を構えて立っていた。赤毛が混じったショートヘアーに、狼にように鋭い目つきのいかにもSPという女性だった。
「くっ!」
ワンテンポ遅れて、ジェニファーさんが持っていたマシンガンを構えようとそれを持ち上げた。しかし……。
「くあああああ!」
重い一発の銃声と共にジェニファーさんの右腕から血飛沫が上がると、彼女のマシンガンがエレベータの床にがしゃんと落ちた。
「あっと、あなたも動かないでちょうだいね。動いたら、ジェニーの頭に虫食い穴が開くわよ」
私に向かって微笑みながらリリィと呼ばれた女性は釘を刺した。
「さっ、二人ともそこから出てちょうだい。このエレベータは使えないみたいね。まぁ、暫くすれば迎えが来るでしょう」
リリィさんに脅されて私とジェニファーさんはゆっくりとエレベータの外に出た。
「はぁ……これで面白くなりそうね。くっくく……あはははははは!」
私とジェニファーさんがリリィさんに銃を向けられながら、目の前で楽しそうに笑う彼女を見ていた。
しかし突然、ジェニファーさんが握り締めたままの左手を開いてセーフルームの鍵を落とし、それと地面が接触する音が聞こえると同時にリリィさんさんに肩から突っ込んだ。同時に、彼女はもう一つ何か黒いものを地面に落とした。
「っ! アリス、それで彼女を撃って!」
私はジェニファーさんの腰から落とされた黒いもの……彼女の拳銃を持ってリリィさんに構える。
「ぐっ! 待ちなさい!」
ジェニファーさんに馬乗りされているリリィさんが、自らの持っている拳銃をジェニファーさんの唯一のふくよかな部分である胸に向かって突きつけていた。
しかしジェニファーさんは私に向かって叫んだ。臆する表情さえ見せずに。
「撃って、アリス! 撃てぇえええええ!」
93 名無しさん@ピンキー sage 2009/08/30(日) 23:09:40 ID:ApPeRrxg
(1-7)
私はそのジェニファーさんの必死の叫びに、リリィさんに向かって狙いをつけた拳銃の引き金を絞りきっていた。
一発の発砲音にほんのわずかに遅れて、もう一発の銃声が重なった。
リリィさんの額に穴が開き、彼女に馬乗りになっていたジェニファーさんがその横に崩れるように倒れた。黒いスーツの背中から、同系色の穴が開いている。
「ジェニファーさん!」
ジェニファーさんに駆け寄って、私はその顔を持ち上げた。彼女が咳をすると、その口から血が吐き出され、彼女の白くなった顔を赤く染め上げていく。
「ゴホッ! よ、よか、た……じ、実は……この階は、ミサイル、撃っても……すぐ酸素、消えないから……リ、ィ……死なない、とこ、だった……」
「ジェニファーさん! そうだ、セーフルームに治療薬ぐらいは」
「む、り……あ、ても……治せ、ない……しん、ぞう……貫通……してる……」
血を口の端から垂らしながら私の両目から流れ出した涙をジェニファーさんが震える手で拭き取り、ニコリと笑うと擦れた声で言った。
「い、き……て、せ、かい……お、わり……み、と、ど……け……て……」
その言葉を最後に首がカクりと横に垂れた。私の涙が彼女の頬に落ちても、彼女の表情は何一つ変わらなかった。
その時、地面がわずかにゆれ、耳に重い響きが小さく届いた。おそらく、上の階の人たちがこちらに降りてこようとしているのだろう。……ジェニファーさんの遺体をセーフルームに運ぶ余裕はなさそうだ。
私は涙を拭うのもせずに、ただ目を見開いたままのジェニファーさんの両目を閉じると、地面に落ちていた鍵を拾ってエレベータの間逆にある大きい扉へと近づいた。
その右の壁の鍵穴に鍵を差込てゆっくりとまわすと、その大きな扉が軋みながら開かれた。
もう一度耳に届いた轟音に私はせかされるようにその内部の部屋に入ると、点滅とブザーを鳴らしている『CLOSE』と書かれた赤いボタンを押して大きな扉を閉めた。
そして広いとはいえない部屋の奥で今度はブザー音が鳴り同じように点滅をしている部分があった。そこには『ALL CLEAR』と書かれた赤いボタンがあった。
私は迷わずそれを押した。すると、そのボタンの下から薄いガラスに守られた……そう、学校の消火栓の緊急用のボタンのようなそれが出てきた。
深呼吸を一つした後、私はそれを拳で叩き割り、内部のボタンを押した。
間を置かずに建物が大きく揺らぎ始め、私はとても立っていられずにその場に膝を着いてその振動に耐えた。しかし、耐えられないような音が絶えず耳を刺激している。
やがてその揺れと音が収まると、私は近くにあったいくつものテレビに近づいた。どうやらこの建物内の監視映像らしかった。
そこには建物内の人間が泡を吹きつつ倒れていく様子が映し出されていた。私は思わず目を背けてそのテレビから遠ざかった。
壁に寄りかかって誰もいない薄暗い部屋の中で一人、私は膝を抱えて暗闇に視界を投じた。もう何も……何も考えたくはなかった。
94 名無しさん@ピンキー sage 2009/08/30(日) 23:13:23 ID:ApPeRrxg
(1-8)
私は壁の穴から勝手に出てきたカンパンと水を口に運んでいた。決して美味しくはない。
水を口に含んで私は自分を罵った。あんなに人が死んでいく様を見ながら、一日もしてしまえばお腹がすいてしまっていた自分を。
それももう三日目。最初の日は映像を鮮明に思い出してしまい、食べたものをすぐに吐いてしまったものだが、今では淡々と食べられるようになっていた。
しっかりとカンパンを水で押し込んでから、私はちらりと監視映像を見た。そこに見えるのは誰もいない建物の内部か、動かなくなった人間の山。
その映像を見た私は、思う。一体私は何のために生きているのかと。私の人生が仮に80年だとして、おそらく私が10代だと考えれば、残りの60年余りを一体どうやって一人で消化すればいいのか、と。
自殺しようと考えたこともあった。しかし、ジェニファーさんが命懸けで私を守ってくれたのだ。それを無駄にすることはしたくはない。……でも、私に何をどうしろと言うのだろうか。
そんな事を考えていたとき、私の下腹部がズキズキと痛み出した。くぅうう……消化器官が調子悪いのだろうか?
しかし、その痛みが段々と別のものに代わっていく……。えっ……なんで? なんで……気持ち良いんだろう?
それはまるで……自慰行為をしたときの快感に似ていた。そしてそれは私の官能を徐々に高ぶらせていく。
「はぁ、はぁ、くぅぅうあああ! な、なんでぇ? はぁあああ、だめ、だめ! な、何かでちゃぅううううう!」
愛液が出て絶頂に達しそうな感覚が私を襲う。何故? 私はそんな興奮するようなものなんてみてないのに……。
しかし、私の膣から今にも愛液が外の空気を吸いたくてたまらない、とでも言うかのように私の絶頂を誘っている。
「きゃあああああ、だめぇえええええええええ!」
私はそう言いながらも膣から液体を放出させた。しかしそれだけでは私の官能は納まらず、膣の奥から何かが這い出てこようとしている。
「ぃゃあああああ、な、なにか、でてきちゃぅぅうううううう!」
そしてその一部が私の膣から頭を出した。それはまるで暗闇が私の膣から生まれてくるかのようなほど真っ黒でぬるりとした液体だった。
「はぁ、こ、すれてるぅう、くふぁああああ。そ、こぁああああらめぇえええええ!」
私の感じやすい部分をわざと通っているかのように刺激したまま、私の膣からそれは絶え間なく這い出てくる。
「ひぃ、ひぃ、ふぅううう、くぅん! ……ひぃ、ひぃ」
呼吸をラマーズ法のようにすると、その物体が私の中から出てくるのも大分楽になってくる。痛いわけではないが、絶え間なく快感が襲ってくると息をするのさえも忘れてしまう。
「ひぃああ、いぁぁあああ! ひぃ、ふぁああああああああああああ!」
たっぷり10分ほどは掛かっただろうか。私から生まれた闇の水溜りは大きな水溜りぐらいの大きさで私の膣の前に溜まっていた。
95 名無しさん@ピンキー sage 2009/08/30(日) 23:13:52 ID:ApPeRrxg
(1-9)
それが呼吸さえもが疲労する行為に感じるほど疲れ切った私の目の前で、地震で揺れる液体のように揺れ動いている。
そう、思った次の瞬間、いきなりその水溜りが噴水の水のように宙に向かって立ち上り始めたかと思うと、人の形を作り始めたのだ。
長い髪が毛の一本一本まで生え、その下に輪郭が出来ていき、目と鼻と口、耳などがそこに加わっていく。
細い首が途中で生まれ、胸の部分で大きな膨らみが生まれる。そこからくびれる様におなかが出来ていき、恥部の割れ目が出来ると水が二つに分かれていく。
そして長くて細い華奢な足が完成すると同時に、その足下にあった水溜りは既になくなっていて、目の前には黒いマネキンのような人影が出来ていた。
次の瞬間、その身体がまるで光を放つかのように一瞬で彩色されていった。長い茶色い髪、童顔だといわれる顔、その割に成長していると笑われる胸、そしていくら食べても太らないと自慢のお腹……どれも見覚えがあるものだった。
「な、んで……私が……」
「ありがとう、私。私を産んでくれて」
私が産んだ私はそう言って、ニヤリと不敵に笑うと、彼女の出産の疲れで動けないでいる私に馬乗りになってきた。やっと終わらない快感から解き放たれた濡れた膣が、同じような彼女のそれと重なり、私に新しい快感を与え始めた。
「ねぇ、何か思い出さない? ふふっ、私はもう思い出したよ」
そう言って私の上に乗っかっている私が、彼女の下にいる私に向かってそう言ってきた。確かに、この光景はいつか見たことがあった。
「その顔だと思い出してない、って顔ね。じゃあ、こう言えば思い出すかしら」
私に乗っかる私が少しだけ考えたような仕草をして、こう言った。
「えっと……大丈夫だよ、レラ……お姉ちゃんに全てまかせて……」
その言葉を聞いた瞬間、私の頭の中に情報の津波が襲ってきた。
96 名無しさん@ピンキー sage 2009/08/30(日) 23:15:11 ID:ApPeRrxg
(1-10)
「レラ~、お待たせ~」
こんな状況なのにやけに間延びした声で、リムお姉ちゃんがバスルームに入ってきた。
「お姉ちゃん、大丈夫? やけにトイレ長かったみたいだけど」
「あ、うん。ほら、食事のあとにすぐ逃げ出したからトイレ行く暇なくてさぁ、いやぁ快便だったわ」
そう言ってお姉ちゃんは私の身体の背中に回ると、不意に抱きついてきたのだ。
「わ! な、なに?! どうしたの、お姉ちゃん!?」
「レラ、怖かった。レラを助けたとき、私本当はあなたを見捨てようか一瞬だけ迷っちゃった……」
「あ、当たり前だよ! あんなに人がいっぱい襲ってきたんだから! それに……お姉ちゃんは、結局私を助けてくれた。襲ってきた男の人をぶん殴って、さ」
私は胸の辺りに巻かれたお姉ちゃんの腕を抱きしめた。今浴びているシャワーのお湯より優しくて温かいぬくもりが伝わってくる。
「ふふ……じゃあ、私のこと大好き?」
「もちろん、お姉ちゃん」
私がそう言うと、後ろから私の頬にキスをし、そしてその次の瞬間、信じられない力で私を押し倒したのだ。
「きゃああ! い、痛ったぁ~……お、お姉ちゃん大丈……」
私の上に乗りかかるお姉ちゃんの顔は……何故かとても楽しそうだった。
「ごめんね。でも、これからは優しくやってあげるから……じゃあ、ちょっと濡らそうか」
そう言うとお姉ちゃんが私の視界の下の方へとフェードアウトしていった。
それを私が上体を起こして追おうとした瞬間、私の……恥ずかしい部分をぬめりとした感触が襲った。
「ひゃあ! お、お姉ちゃん?!」
私は思わず手でその部分を覆おうとしたが、お姉ちゃんの手が私の手を抑えた。
「んんっ、大丈夫だよ、レラ……お姉ちゃんに全てまかせて……」
そう言って私の秘所を一定の感覚で優しく舐めてくる。私は足を閉じようとするが、その刺激が襲ってくるたびに足から力が抜けてそれすらままならない。
「あんっ! ひぃっ! お、お姉ちゃん、んあっ! や、めてぇ……」
「あっ、レラ、あなたの蜜が出てきたよ。んんっ、か~んろかんろ、あはっ」
「やぁあぁああ、おねえちゃんにぃいいいいい、すわえてるぅううう!」
秘所の中に姉の舌が段々と侵入して、私の入り口を嘗め回してくる。私は思わずその刺激に身体を浮き上がらせてしまう。
「んんっ、ふぅ。もうそろそろ大丈夫でしょ。これで痛くならないわ」
そしてさっきの映像を逆回しするように、私の視界の下から姉がフェードインしてくる。自分の口をぺろりと嘗め回しながら。
「はぁ、はぁ……おねえちゃん、いったいどうして?」
「ふふ、大丈夫。ちょっと待ってね。……ぁ、ふぁっ、でぇ、でてきたぁあ」
お姉ちゃんが火照った顔で自身の秘所をいじっている。その顔は悦にいったものだ。
「んぁあああああっ!」
そして大きく身体を仰け反らせたかと思うと、黒くて長い触手のようなものをそこから出してきたのだ。
「きゃぁあああああ!」
「ふぁぁああ、もう我慢できない。いくねぇ、レラ」
97 名無しさん@ピンキー sage 2009/08/30(日) 23:16:49 ID:ApPeRrxg
(1-11)★ちょっとグロいかも
悲鳴を上げる私に赤く染まった顔で微笑み掛けると、その黒い触手が私の視界から消え去り、そして私の恥部に何かの異物感を感じた。それが何なのかなど、見なくても分かっている。
「ぁああぁあああ! はいってぇえええ、こないでぇえええええええ!」
そんな叫び声を私が上げても無駄だった。その触手は私への遠慮などまったく気にもせずに私の奥へと侵入してくる。
「きゃはぁあああん! レラのなかぁああ、あついぃいいいいいいい!」
「らめぇえええええ! ぬいてぇえええええええ、おねえちゃんんんんんぁああああああああ!」
私はお姉ちゃんのよがる姿に必死に助けを求める。しかしお姉ちゃんは私の入り口と自身の入り口を重ねるようにして小刻みに前後している。まるで男の人がしてるみたいに。
やがて前かがみになってたお姉ちゃんの胸と、私の胸が重なる。同じぐらいの大きさの胸がお互いをもみ合って、互いに刺激を送り送られている。
「はぁあん、れらぁああ、そんな顔してたらぁあ、わたしもっといじめちゃぅうううう!」
お姉ちゃんがそう言うと同時に、私の中を蹂躙している触手の速度が一気に上がる。それに対する悲鳴を上げようとしたときには、姉に唇を奪われていた。
「んんっ! んんんんんっ! んんんんんんんんんんんんんんん!」
私は舌を絡ませようとしてくるお姉ちゃんをもう受け入れていた。それは間近にあるお姉ちゃんの顔が、いかにも気持よさそうにしていたからだ。
おそらくそれは私とて同じことだろう。もう私の中は、触手を拒むどころかそれを楽しんでいる。それを私のものにしてしまいたいぐらいに。
「んぁあああ、いくよぉぉおおおおお、うけとってぇ、れらぁああああああああああ!」
「ふぁあああああああああんっ、なにかぁあああああくるぅううううううううううう!」
私は揺れ動く視界で、それが私の中に入ってくる瞬間を見た。お姉ちゃんの女の部分が大きく私の気持いい部分から離れたと思ったら、お姉ちゃんの中から出ていた触手がそこから離れて私の中に消えていった。
「んぁあああああああ、わたしのなかでぇええええ、おねえちゃんのがうごくぅううううううう!」
「はぁはぁ、あは、だいじょうぶ、もうすぐわたしとおなじになれるからぁ……あははははは」
私とそっくりな顔のお姉ちゃんが楽しそうに笑っている。双子の私の姉が、妹の私を犯して楽しそうに笑っている。
だから私も同じように笑った。だって私達は双子なんだから、片方が笑ったら同じように笑わなきゃ、それこそおかしいことだ。
そうして大声で笑っていたときだった。突如、姉は頭から私の左側へと思い切り倒れた。そしてバスルームに反響するように銃声が響いている。
私が左を見ると、飛び散った脳漿や頭部の皮膚のカケラがバスルームの壁にべったりと赤黒い色を塗っている。
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
私はそれを見て発狂した。怒りと恐怖と、悲しみと……いや、感情の全てを爆発させるように叫んでいた。
叫びながら私の頭がボーッとしてきた。かすんだ視界の中で金髪の女性が私に何かを話しかけている。
しかし、その声は私の耳に届くことはなく、私はそのまま暗闇へと引きずりこまれた。
98 名無しさん@ピンキー sage 2009/08/30(日) 23:17:22 ID:ApPeRrxg
(1-12)
「うぁ……あぁ……」
リムお姉ちゃんと私は、双子の姉妹だった。性格はちょっと違っていたけど……。
私が着ているこの服も……これは着替えなんかじゃない。リムお姉ちゃんがあの時着ていた服だ。綺麗に畳まれていたのは、それを一度も着ていなかったからじゃない。お姉ちゃんが自分の服をしっかりと畳んだからだ……。
「そ……んな……じゃあ……ジェニファーさんが殺したのは……」
「双子のリム姉さんでしょうね。最も、寄生体のリム姉さんだったみたいだけど。ほら、あの時トイレ長かったから、多分あのときに産んだんだよ。それで食べられちゃったんだろうね。姉さんは寄生体の自分に。そして私の養分となったのね」
自分の身体を抱きしめて微笑みながら目を瞑る寄生体の私。
「でも、まさかこんなことになるとはね。もう、私の仲間はみんな死んじゃったでしょうね。もちろん、あなたの仲間もね……ふふっ、怖い? これから一ヶ月は私と二人きりでここで過ごすのよ?」
「……った。」
私は涙と言葉を同時に零した。私に乗りかかっている寄生体の私が首をかしげて聞き返してくる。
「え? なんて言ったのかしら?」
「よかったぁ……よかった……わたし、もうずっと……ひとりぼっちなんじゃないかって……ううっ」
私は寄生体の私の腕を引っ張って、無理矢理に抱きしめた。
「あらあら、このままだと、私はあなたを溶かしちゃうわよ? 知ってるでしょ? 寄生体が宿主から出たあと、こうやって宿主を食べるのは?」
「それでもいい。一人ぼっちで生きていくより……ずっとまし」
私はそう言って一層強く、私と同じ身体を抱きしめる。同じ大きさの胸が押し合い、私は同じ私の顔に向かって唇を近づけた。
そのまま彼女の口の中に私の舌を入れようとするが、彼女はゆっくりと私から離れて口を人差し指で拭うとこう言った。
「ふふふ、う~そ。そんなことしない。あなたしか人間がいなくなったならもう寄生体を増やす必要もないし……なによりあなた、可愛い顔してるから」
優しく微笑んで私の唇についばむように軽く触れ、そしてもう一度微笑んでから再度唇を重ね合わせてきた。私はすかさず彼女の口の中に自分の舌を滑り込ませる。彼女もそれを優しく受け入れてくれた。
「ああんっ、んんっんっ、んんん~」
「んっ、んんんっ」
私には彼女の身体、彼女の動きが手に取るように分かった。だから、私が喜ぶように彼女の口内を蹂躙していく。
相手の歯茎を舐めまわし、そして舌を突きあうようにしてから、滑りあうようにお互い絡ませあう。
目の前にあるのは私と同じ顔なのに……それなのに、その顔はとても綺麗で可愛かった。鏡で自分を見ていたときはそんなこと感じないのに……私、おかしくなってるのかな……。
「んん~っ……ねぇ、あなたはジェニファーに新しい名前貰ったでしょ? だから私がレラ。あなたがアリス。んふ、これでいいでしょ?」
「いい、それでいいからぁ、もっとぉきもちよぉくしてぇ……れらぁ、おねがぃ……」
「ふふ、分かった。アリスのこと、もっと可愛がってあげる……」
同じ顔なのに、私には到底出せないような笑顔をレラは私に向けてきた。
堪らなくなって私はレラの身体を強引に引き寄せると、その豊満な胸の可愛らしい先っぽを咥えた。するとレラはお人形のような手で私の頭を優しく撫でてくれる。
「いいよぉ、ありすぅ。あぅう……」
「んっあ、えへへ……れらぁのちくびが、きゅんってたってるぅ……かわぃい……」
99 名無しさん@ピンキー sage 2009/08/30(日) 23:19:02 ID:ApPeRrxg
(1-13)
私の唾液で濡れたレラの胸の先っぽが、まるで赤ちゃんが二本足でゆっくりと立ち上がろうとするみたいに大きくなっていく。
それを再び咥えて、舌で転がすように舐めながら、時折アマガミをしてそのたびに反応するレラの顔を私は楽しんでいた。
「うあぁぁぁ、きもちぃぃ……くあっ!? そ、んなぁかまないでぇ……そんなことぉされたらぁ……おかしくなっちゃうよぉぉ……」
レラの口からそんな声が出ていても、彼女は自ら私の顔に胸をくっつけようとしてきている……。まったくぅ……正直じゃないんだから。
天邪鬼な彼女をいさめるように、柔らかい胸をもみながら、その先端を断続的にアマガミする。
「くっ、ひぃ、だぁ、めぇ、あぁ、たぁ、まぁ、がぁ、おぉ、かぁ、しぃ、くぅ、なぁ、るぅ!」
私がアマガミするたびにレラは言葉を切った。何とも可愛らしいその反応に私はさらにアマガミを続けてあげる。
「あああああんっ、れちゃぅううううううううううううう!」
レラが太もも辺りについていた自分の秘所を私の同じ部分にあてがうと、その部分が密着するように身体を抱きしめて、大きな嬌声を上げて達した。
彼女の秘所から出た温かいお汁がそのまま私の中にゆっくりと垂れながら入ってきた。
顔をずらしてその部分を見てみると、それはどうやら何の変哲もない愛液のようだった。やっぱり寄生体でも人間なんだ、と私はその時改めて思った。
「くはぁ、はぁ……ごめん……わたしだけ、いっちゃったぁ……こんどは、アリスのば~ん」
口で息をしながら私の上からどいたレラは、私を起き上がらせると、先ほどとそれぞれの体位を入れ替わるようにレラが下になり、手を引っ張って私を自分の上にのせてくれた。
そしてゆっくりと私の胸にレラの顔が埋まっていく。私は先ほどレラがやってくれたように頭を優しく撫でてあげる。
やがて彼女は顔を上げると、私のようにいきなり乳首を咥えるようなことはせずに、優しい手つきで私の胸を揉みほぐしてきた。
「はぁあ、これぇええ、きもちぃいい……」
そんな彼女の手さばきは見事なるものだった。私は先ほど咥えながらただ揉みくちゃに彼女の胸をいじるだけだったが、レラのは力加減や揉み方を絶えず変化させて私を飽きさせない。
「あぁ……そんなかおしてるといじめたくなっちゃうな……」
レラはそう言って再び私の胸の顔を近づけたと思いきや、突然私の胸に短く鋭い痛みが駆け抜けた。
「ひぁああっ!」
あまりの気持ちよさで先ほどまでぼやけていた頭が一瞬で覚醒される。レラはそんな私の様子に不敵に笑っていた。
「んふふ……さっきのわたしのきもちわかったぁ? からだがおなじだから、よぉくわかるでしょ?」
言われてみると、痛みと反比例するようにじわじわと快感が胸から伝わってきた。こんな……感じだったんだ……。
「も、もしかして……おこってる、の?」
「ふふ、ぎゃ~く。きもちよかったから、アリスにもやってあげようとおもって」
「あぁ、ありがと……うれしい」
私の言葉にレラはにっこりと笑うと、私の乳首を優しく咥えた。彼女の舌で私の乳首は踊らされている。
「ふぁああ、すごぉぉいいぃぃぃ……あんっ!」
優しい刺激に身を任せようとすると、突然のアマガミが乱入してそれを許さない。
100 名無しさん@ピンキー sage 2009/08/30(日) 23:19:43 ID:ApPeRrxg
(1-14)
「そ、そんなぁつよく、しないでぇえ……」
「んぁっ、わたしにもこれぐらいのつよさでやってたんだよ、アリスはぁ」
頬を膨らまして不満そうな表情でレラは言った。こ、こんなつよくしてたんだ、わたし……。
「でもだいじょうぶ……なれてきたらそれもきもちよくなるから……は~むっ」
レラが再び私の乳首を咥えて優しい刺激と鋭い刺激を交互に送ってくる。
「んっ、ふぁっ! ああっ、やんっ! そ、んあ! こう、ごに! しな、いでぇ!」
私はそのアメとムチの刺激に身をよじらせた。私は鋭い刺激を断続的に送っていたのに、彼女はそれに優しい刺激を混ぜることによって、それぞれの刺激を高めあっている。
「ひいぁっ! いっ、くぅううううううううううううう!」
ついに耐え切れなくなって私がそう叫ぶと、レラは先ほどのように素早く私の秘所と彼女の秘所をぴったりとつけてきた。それが更に刺激を与えて私は、いってしまった。
「やぁあああああああああんっ、でてるぅうううううううう!」
「ふぁあああああああああんっ、きてるぅうううううううう!」
私から出た愛液が、今度はレラの中に浸入していく。レラがまるでそれを一滴も逃すまいとするように身体を強く抱きしめてきた。
「あっはぁぁ、わたしのとぉ、アリスのがぁまざってはいってきてるうぅ……じゃあこんどはぁ、いっしょにいこっかぁ」
レラが今度は何をしてくれるのかと楽しみにしながら、私は彼女の上を降りて横に座った。
するとレラが上体を起こすと、足をM字に開いて私に自分のおま○こを見えるような位置に座ると、右手がゆっくりとその中へと潜り込んで行った。
「ひぃああああっ、これだけぇいっちゃいそう……くぅはあぁぁん……」
ぐちゃぐちゃに濡れたおま○こからいやらしい水音を鳴らしながら、快感に身をよじるレラに私は見入っていた。
「んはぁ、みぃつけぇた。みてて、ねぇ……いくよぉ……んはぁああああああああああああ!」
右手が完全に彼女の中に消えそうになったとき、レラはそう言って右手を一息に引き抜いた。
その手には……見覚えのある黒い触手が握られていた。
「あぁ、それはぁおねぇちゃんが、きせいしてくれたときのだぁ」
「はぁはぁはぁ……これはわたしのからだのいちぶだから、きせいはできないんだけど、これでぇいっしょに、いこっ?」
レラが両手を広げて私に微笑み掛ける。私はもちろん迷わずにその胸に飛び込む。
「じゃあ、ゆっくりときてぇ……これをぉありすのなかにぃ、いれてあげてぇ」
101 名無しさん@ピンキー sage 2009/08/30(日) 23:20:06 ID:ApPeRrxg
(1-15)
右手で触手を固定して私への侵入を待つレラを、私は両手を彼女の首に、両足を彼女の腰に巻きつけるように抱いて、私への入り口をその触手のまるっこいさきっぽにあてがった。
「ふあぁぁぁ……もうがまんできないぃい! はやくきてぇえええ!」
「うん、いっくよぉ……くっ、ふぁあああああああああ!」
「ああああああああああああああんっ!」
私は一息に腰を下ろしきった。濡れた私の中にすっぽりとレラの触手が入ってきた。とてつもない快感の嵐が頭を一気に真っ白にしてしまう。
「つつまれてるぅうう! アリスのあったかいなかにぃ、わたしのがぁつつまれてるよぉぉぉおおお!」
「きゃぅううううううう! えへへ……レラのぉ、たべちゃったああぁぁぁ……」
身体の中でピクピクとレラのものが痙攣している。同じようにレラ自身も虚ろな目で挿入の快感に浸っているようだった。
私はその無防備な唇を奪い、そのままゆっくりと子宮近くまで侵入している触手を抜いていく。それでも彼女の触手は筒にでも包まれているように元気に起きている。
「んんんんんんっ! ぷはぁ、やだぁ! ぬかないでぇええ!」
レラが私の身体を抱きしめて、私の行為を止めようとする。その子供のように必死にすがる顔がまた可愛らしい。
私は触手が抜ける直前で止まると、安心したような顔をしたレラに向かって彼女がするような不適な笑みを浮かべると、再び一気に腰を下ろした。
「ぁああああああああああんっ!」
「はぁあああああああああんっ!」
私は再び侵入された快感に、レラは再び挿入した快感に甘い嬌声を二人揃って合唱した。
しかし私の動きはそれで一段落はしない。お互いの太ももが重なったと同時にまた一気に腰を浮かせて触手を抜いていく。
「ひぃあああああああああああ!?」
解き放たれていく触手の快感にレラが声を上げたと同時に、一気に腰を下ろして再び彼女の触手を下の口で食べすすんでいく。
「んぁああああああああああああ!」
それを素早く繰り返して私はレラを快感の頂点へと誘っていく……なんて思いながら、結局は自分の快感を貪るために腰を動かしているのだけれど、ね。
「きゃはぁんっ! ふぁあぁ! くぅうううう!」
「あああああんっ! らぁあああ! めぇえええ! ありすぅううううう、いくぅうううううううう!」
「きてぇええええええ! れらぁああああああああああ!」
レラの触手が私の腰の動き以上に素早く動き始め、私も快感の頂点が目の前に訪れた。
「いっくぅうううううううううう! ふぁあああぁあああああああああああ!」
「きゃああああああああああああ! あっつぃいいいいいいいいいいいいい!」
私の中にレラの愛液が触手を通して直接注ぎ込まれる。同時に触手は私が出す愛液は吸っているようで、私は暫く達したあともその快感に身をよがらせることになった。
「ありがと……おいしかったよぉ、ありすのぉ……」
「はぁはぁ……こちらこそ……れらぁ……もっと、もっとあなたのにおい、わたしにつけてぇ」
レラの胸の中に顔を埋めて私は懇願した。
「……こわいんだ……わかるよ……わたしもおなじ……」
その言葉に私は顔を胸から離して彼女の顔を見た。彼女はニコリと微笑んで続ける。
「だぁいじょうぶ……もうはなれない……ううん、はなれなれない」
私の髪を撫でつけ、そのまま私の首に顔を近づけると優しく舐め始めた。私もそれを真似て彼女の首筋を舐めつける。
「これで……もうだいじょうぶ……アリスにわたしのにおいがついたよぉ……」
「うん……レラにもわたしのにおい、ついたぁ……」
二人して顔を見合わせると、ニコリと笑って再び交わりを再開した。
(終)
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