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竜姫の趣味趣向(parasitism side)その3
380 ... sage 2014/04/11(金) 21:55:38.47 ID:boWbdjzz
レイアの泣き腫らしているであろう姿を見られず、ドラコは姉としてひどく辛かった。
そばにいるのにその涙をやさしく拭いてやることもできず、強く抱きしめることもできないのだ。
目と鼻の先で、妹が傷ついているにもかかわらず、何一つ力になれない自分自身に腹が立っていた。
自分は彼女の唯一の肉親。なのに、彼女を助けることも慰めることもできていない。
そう自覚するたびに彼女の一番の味方は自分であるというプライドにどんどん傷がついていくのをひしひしと感じていたからだ。
また、そうして彼女の理解者という立場でいることで己の自尊心を保っているという浅ましき自分自身に気付き嫌気がさす思いだった。
とにかく、一刻も早く自分をこの床に戒めている拘束をぶち壊し、妹の下へ駆け寄りたい気持ちでいっぱいだった。
そうできたなら、まず、その涙を親指で拭き、抱き寄せて耳元で『大丈夫だ』と髪を撫でながら囁き、
顔と顔を合わせ、目線を合わせながら舌を絡める深いキスを…それで…
…あれ、何考えてるんだオレ。
「あぁもう!オレってばさっきからなんか変だぜ!?レイア!とにかく返事しろよ!どうしたってんだ黙り込んで!おい!」
このとき彼女が黙りだしてから5分が経っていた。もっとも、彼女は姉の言葉を無視しているのではなく、眠りについているのだが…
しかもそれが、彼女という存在が危ぶまれかねない重要な瞬間であるとは、とてもではないがドラコには知りえない。
彼女…妹は、朝から大変に騒がしかった。苦しむわ大きな屁をするわ泣きじゃくるわとドラコが知る限りこれまで一番にうるさかった。
それがピタリと静かになり、返事すらしない。
もしかしたら彼女は死んでしまったんじゃないかと恐ろしい可能性が頭の中に生まれてはそれを根拠のない自信で否定する。
また、ドラコは自身の中の一つの衝動に対しても否定を続けていた。
先ほどから返事がない隣の実妹や、どこかの独房に収監されているという義妹のことを考えるたびに、彼女たちの睦み合いを想像してしまうのだ。
それを振り払っても、何か一つ部下や妹たちの心配をするたびに脳内の片隅に煩悩がよぎってしまう。
『そんなことを考えている場合じゃない』という理性が緩んでいるように猥らな妄想が泡のように出てきてはそれをつぶしていた。
もはや彼女のためにどう言葉をかけるかを考えていたはずの頭はずいぶん前から邪念と戦うことにいっぱいいっぱいになっている。
完全にピンクに塗りつぶされてしまっている脳を無理矢理に動かしているドラコだが、それには一つのタネがあった。
レイアが先ほど屁として放出した蟲のガス。
このガスは、将来の女王蜂となる個体から出てきたものである。
それゆえにそのガスには女王蜂ならではのフェロモンが大量に含まれていた。
そのフェロモンとは、一族の女性の中で唯一生殖にかかわる女王だからこそ出す交尾を促すためのもの。
そう、強すぎる女王の性の匂いに、ドラコは同性ながら欲情してしまっているのだ。
しかしそれを本人は知るよしもない。
聞かされてないのだ、当然知るはずもない。
実の妹が、憎き親の仇に凌辱されたことなど。その際に種付けされてしまったことなど。
その種が妹に根を張りその心身を栄養に成長していることなど。それは愛しき妹の一切合切を奪い去ろうとしていることなど。
また、その魔の手がじわりじわりとこの部屋に蔓延したフェロモンを通じて自分にも牙をむいていることなど。
そして、静寂を破るように、隣で何かが倒れる音がした。
381 ... sage 2014/04/11(金) 21:59:23.81 ID:boWbdjzz
自然と、ごくごく自然と私のまぶたは少しずつ開き、幾重にも重なったように見える部屋の中の景色がそっと魔力の照明を通じて見えてくる。
複眼の慣れないその感覚に眉をひそめていると、手足が動かないことに気付く。
…あぁ、そういえばそうだったと、埋め込まれている手足に力を込めるとそれを拘束し支えているハチミツの床がドロリと溶け出して解放されていく。
気がついたら視線の先に天井があった。
あ、一週間以上も身体を動かしてないんだよなと思い返し、手足を関節や筋をほぐすとバキバキと音が鳴る。相当体が固まっていたようだ。
『…あ、起きたみたいだね』と頭の中で声がする。…返事をしなくても『私』なんだからわかるでしょ、と思うと『あはぁ、バレたか』との返答。
寝ぼけ気味の頭を頬を叩いてすっきりさせていると、空気の振動が耳に飛び込んでくる。誰かの声なのだろうか。
いや、そっちに専念するより先に体を万全にしなければね。ほんの少しだけそれを受け流して体をほぐし終わったところで、そちらの方に集中する。
…私を呼ぶ声だ。
『そうだね、この声はドラコ、だっけ?』…そう、ドラコ・バハムーン。私の姉。私の…えへへ。
「ふふっ、そうだった。こんなに近くにいるんだった。」
つい、独り言と笑いがこぼれてしまった。『だって、大切な人が、探すまでもなくこんなそばにいたんだからね』…うるさいな、恥ずかしい。
ドラコは驚きに包まれ、歓喜した。
仕切りの端に何か液体が流れだすのが見えると、どさりと妹が仰向けに倒れるのが見えたのだ。
始めはボーっと視線を動かさず静止したままの彼女に困惑したが、手足を揉み始めた際に彼女は無事だと直感した。
「レイア!大丈夫だったか!良かったぜ、あんまり泣きっぱなしだから本当にほんとーに心配してたんだぜ!?」
矢継ぎ早にたくさんの言葉をかけて彼女の顔を久しぶりに見られた喜びを爆発させる。
だが、それに返事はない。
彼女は、事務的に自身の身体をいたわっているのみだ。
…あれ、とドラコの中に一抹の疑念が生じたが、まぁあんだけ泣く姿を聞かれたわけだし恥ずかしくて拗ねているんだろうと大して気にも留めなかった。
「ふふっ、そうだった。こんなに近くにいるんだった。」
そうこちらを見て言っている彼女の微笑んだ顔、それを見てドラコは本当に良かったとほっとした気持ちで同じく微笑んでいる。
一瞬だけ彼女は顔をしかめたが、それは瞬きのタイミングと重なりドラコには見えなかった。
もっとも見えた時点で妹の異変に気付くことは喜びに満ち溢れた今のドラコには難しいだろうが。
「…あぁ、やっとここから出られたな。もう一週間こんなところに閉じ込められてちゃ気が滅入るとこだったぜ。」
姉貴の半身が埋め込まれたハチミツ塊は溶かさず、部屋の隅にあった衛兵の槍で叩き割った。
『私』が目ざとく教えてくれた。『今はまだ早い』って。
姉貴は翼をはためかせ、張り付いたハチミツの破片を振り払っている。
パラパラとした音を立てて散らばるそれを見て、もったいないなって思う。ほら、食べるとカリカリしてておいしいんだよそれも?
自分で溶かしたハチミツを砕いた姉貴の汗がしみ込んだハチミツの欠片ですくって食べる。あぁ美味だ。
…でもローヤルゼリーの方がいい。あの酸味が欲しいな。
「あー、空が見てぇ、んでもって飛びてぇ…レイア、道知ってるか?早くここから出ようぜ?」
「…姉貴、ありがとう。」
そっと背後に立ち、振り向いたところで、顔を寄せる。
382 ... sage 2014/04/11(金) 22:00:42.49 ID:boWbdjzz
「…へ?」
「ありがとう、本当にありがとう。姉貴がいなかったら、一人だったら、私は、私は…」
「…ハッ、オレの世話焼きがしつこいってキレてたのが嘘みてぇだな。」
う、うるさい。いつもいつも私の隣にいられると嬉しいけどさすがに困るんだから…しょうがないじゃない…
『今だよ!押し倒せ!やればできるって!』…野次馬うるさい。少しくらい二人だけでいさせてよ。『ぶーぶー』いや、用があるときに出てきてよ。
『えー…じゃあしばらく黙るから、好きにしなね、もう。』…拗ねちゃった。まったく、こんな時くらい私の流儀でやらせてよね、もう。
「…怖かった。ずっとどこかで本当に隣に姉貴がいるのか、実はそう思い込んでるだけ、実は誰もいないんじゃないかって…」
「それ以上言うな。女がすたるぜ。」
姉貴の腕が、翼が、私の身体と頭を優しく包んで、優しくさすってくれる。…心がポカポカするよ。
あ、これで満足してちゃダメだ、
そう、『私』がいてくれるから、私は次に進める。…私に嘘はつけないからね。だから…もう一度、顔を…
「…んん!?」
「…ぅん、んちゃ、ん…ぷはぁ。」
あぁ、目、見開いちゃってる。唾液たっぷりもらっちゃったからびっくりしちゃったかな?
「おい、なんだよ。今の。…ん…!?」
「ん………えへへ…大好きだよ、姉貴…」
「…一応聞いてやるが、どういう意味だこれは?」
「意味もなにも、私は姉貴が好き。それだけのことじゃない…姉貴も、私が好きでしょう?」
「…不浄が………う、そんな目で見るな。…断りきれなくなっちゃうじゃないか。」
「知ってた?」
「姉妹だろ、当然だ。…前からエリーに慰められてる時の感じがおかしいと思ってたんだ。でもまさか、オレにとはな。」
「…じゃあ、頷いてよ。『はい』って言うだけなんだから、ね?」
「オレは姉ちゃんだぞ?嫌われるようなところも、汚いところも、苦手なことも全部分かっちゃってるだろう。それに、オレにそんな趣味はないぜ?
…もし、秘め事だからバレないようにオレに当たったなら…それはエリーに頼むぜ。」
「やだ、そんないじわる、言わないでよ…」
ギュッとこちらからも、いや、姉貴を上回る力で抱きしめる。姉貴の想いを超えられるように。
「ハッタリは、利かないか。」
「え…?」
「こんなところで告白されて助かったぜ。誰にも聞かれる心配がないしな。…それだけ本気なら、オレは『はい』だぜ?」
「あ、姉貴、」
「言うな言うな。…探るようなこと言って悪かった。相手が本気なら断らないのは女の当然の甲斐性だぜ?」
「ありがとう。姉貴は優しいね。」
しばらく見つめ合って、どっちともなくもう一度キスした。
…二人でエリーがやるようなことのマネをしてるだけだからお互い舌が拙いね。『でも、イヤじゃないんでしょう?』ちょ…首突っ込むなって!
『ほら、キスっていうのはねぇ、どこにするのも一緒なんだよ?こうやって体液を入れ替えるように舐め取って…』
うひゃあ!?『私』いきなり体動かさないでよね。あう、上手すぎ、そんな風にやったら、私も…
「…ぷは。……顔赤い、なんだよこれ、蛇にでも習ったとか言うんじゃねぇだろうな?
ホントに、妹として見れなくなるじゃないか…」
「最高の褒め言葉だよ、姉貴。」
「……あー、もう。続きは家でするぞ!エリーたちを助けて帰るぞ!」
「…じゃあ、こうさせてよ。」
姉貴の左手を私の右手がごく自然にそっととる。
姉貴の利き手。ということは、あぁわかった。
「…言えよ。レイア。相手の言質をとらずに付き合った気でいるのを許すほどオレはチャラチャラしてないぜ?」
「え?じゃあ…姉貴、」
『「私の苗床になってよ。」』
「…え?」
383 ... sage 2014/04/11(金) 22:04:52.21 ID:boWbdjzz
ぐさり、と姉貴の脇腹に私の尾が突き刺さる。あぁ、姉貴の血が…ごめんね、でも、私は…姉貴のこと愛してるから。こうするしかなくて。
「な、レイ、ア…!?ちぃっ!」
あ…さすが姉貴。捕まえようと思ったのに。うまく逃げちゃった。でも無理だよ、もうそこの出入り口は『私』が固めて開かないようにしてるから。
「どこに行くつもりなの?姉貴。…私たちの家は今日からここなんだから。」
「ちっくしょう!開け!くそう!」
「開かないよ。開けるわけないよ。…姉貴がここにいるんだから。逃がすわけがない。」
「…!なんだよ、レイア…どうしちまったんだよ…あいつらに何されたんだ…!?」
「…私はね。変わったんだ。素直になったんだ。姉貴が好きだって気持ちに、ウソをつくのはもう嫌なんだ。」
「それとこれとは話が違うだろう!オレはお前をぶん殴りたくない。だから、お前がここを塞いでるってなら、さっさとここを開けろよ…!」
「だめだよ、姉貴が私の苗床…いや、つがいになるって言ってくれるまで、絶対に出さない。」
「くそっ…話が通じないか!お前が何考えてるか知らねぇが…邪魔するなら本当に、本当にぶん殴るからな!」
「いいよ。姉貴がイヤっていうなら、実力行使だね。…この巣の女王の胸を貸すよ。」
…
あぁ、姉貴の顔がいろんな表情をみせてる。そりゃあそうだよね。ずっと憎んでいた存在に私がなっちゃったんだからさ。
複眼の視界には姉さんの顔がいくつも見える。贅沢な気分。
あはは…その悲しそうな顔、怒ってる顔、恨めしそうな顔、覚悟を決めた顔、全部私のものにしたいんだ。だからわかってもらうよ、姉貴。
「てめぇ!この…大馬鹿野郎がーっ!」
寸前のところでかわした姉貴の蹴りが後ろの壁をへこませている。うはぁ、いつみてもすごい一撃だ。まともにくらったら死んでたかも。
『ちょ、ちょっと!?何あの馬鹿力!?あんなのと戦う気なの!?』あぁもう、分かってるって。さっさと済ませるから落ち着いて。
「…次は避けられると思うなよ?」
「大丈夫。次はないから。」
「はぁ?…あれ、な!?なんだこりゃ!?」
『私』の力を借りて、床をぬかるませる。そして固める。たったこれだけのことだけど、これで姉貴の足が床にちょっと埋まっちゃった。
もうこれで決着だ。足を固めてしまえば蹴り中心に戦う姉貴はもうまともに戦えないんだよね。
それに、そろそろ…
「う…ん!?身体が…?レイア…お前…!」
「あはは、ごめんね。さっきの尻尾から毒を出させてもらったよ。…これで姉貴は全然動けない。私の勝ちってことだね。」
『私』がいるおかげで尻尾から毒液が出せるようになったんだよね。前に私がくらったのと同じものが…さ。
床に足先が埋まった状態でうつぶせに姉貴が倒れる。あぁ、姉貴の表情が見たい。どんな絶望した顔をしてるんだろう。
『…結構な趣味ねぇ。』ひどいこと言うなぁ。だって、姉貴のいろんな顔、全部違った魅力があって素敵なんだもの。
「…毒、か。この痺れ、蜂の連中のやつか。…マジかよ。本当に、あいつらのお仲間入りしちまったんだな、レイア…
はぁ………殺せよ。最悪お前がこうなっちまったことはしょうがないとしても、
オレが蜂の女王のつがいなんて、まっぴらごめんだ。それに、たとえお前が何者になっても、妹に殺されるなら姉として本望だ。」
「またそんなこと言って…姉貴も素直になろうよ?姉貴は…もう戦いたくないんでしょう?…騎士団、辞めたいんでしょう?
…ねぇ、私のつがいになってよ?そうすれば、もう血を見なくてもいいんだよ?もう誰かを殺すことはしなくていいんだよ?
私はさ、もう竜の誇りなんて捨てたんだ。だって、もう体裁を気にして自分を縛りつけていることのバカバカしさに気付いたから。
だから…姉貴も、私みたいに、」
「…やめろよ、」
「…え?」
「オレの知ってるレイアは…誰よりも強く、賢くて、兄弟思いで、誰よりも高い志を持ってる、そんな女だ。
蜂の連中に何をされたかは知らないけどさ…そんなふざけたことを言うな。
それとも…お前はレイアの姿をしてる別人なのか?そうじゃないだろう?」
「わ、私は変わったんだ!姉貴に私の愛を届けるためにね!」
「…レイアはレイアだ。そこが揺らぐわけがないだろう。…だから問題なんだよ。
正直、蜂の女王というなら今すぐにでも殺してやりたいが…ダメだダメ、力で勝てなくてしかも見た目がお前じゃ…な。
ほら、止めを刺せよ、もうオレはレイアにとっちゃ敵だろ?
それに、オレは一瞬でもレイアを殺してしまいたいくらいに憎んでしまったそんなオレが許せない。
憎むのはお前じゃなくてお前をこうした蜂のやつらだっていうのにな。」
384 ... sage 2014/04/11(金) 22:05:39.49 ID:boWbdjzz
『ねぇ、これって現実逃避してるんじゃない?』うーん、そうっぽいね。完全に殻に閉じこもっちゃった感じ?
『そうだね。頭が整理つかなくて死んで逃げようって魂胆じゃない?』だ、ダメだそんなこと!私は、姉貴のことが大好きなのに、死にたいなんて!
『もう言葉じゃ説得できなさそうだし、体で説得してみたら?』え、それってどういうこと?
『あはは、分かってるくせに、私はわかるよ。』ふふ、バレたか。…まぁ、やるしかないわね。姉貴も、素直になってくれたらいいな…
『あはぁ、ゾクゾクしてきちゃった。』ごめん、それ私も。
「…ねぇ姉貴。」
数分ほどの沈黙があった。
あいもかわらず、ドラコは床に突っ伏したまま。そして、先ほどからその脇に立つレイアも位置も変わってはいない。
ただ一つ違うのはレイアの顔が上気していることだろうか。
…彼女は姉に隠れて音をたてないように静かに、だがすさまじく淫靡に自身を慰めていた。
別に、倒れた姉の姿に劣情を催したということでこのような行為に及んだわけではない。…もっとも、彼女にとってこの姉が欲望の対象であることは確かだが。
彼女は自身の膣にできるだけ奥まで手を突き入れ、『彼女』と物理的な交信を交わしていた。
『彼女』によって竜の持つ頑強なそれから蜂の持つ簡素で多機能なものへと置き換わった内臓の、最も象徴的な『彼女』の臓器の準備を始めていた。
そう、彼女が彼女でなくなってしまった由縁、それを引き出そうとしているのだ。
「…ん、ん…んんん!…あはぁ…出た出た。」
「おいっ!?オレの見えないところで何をしてるんだよ!」
「あ…今からね、姉貴に私の愛の結晶をプレゼントするんだ…あぅ、もう想像しただけでイっちゃいそう…!
…ふふ、姉貴を私が…くく…はぁ…最ッ高に楽しくなってきた……っ!」
うつぶせに倒れているドラコからは見えないが、彼女の股間には立派な一物がそそり立っていた。産卵管である。
身の危険を感じ騒いでいる姉を無視し、彼女はそのブヨブヨとした一物に手を添え、感度を確かめるように撫でている。
「ん!…ぁあ、いけないいけない、あんまり一人で気持ち良くなってもいけないよね。」
もう一方の手でドラコの尻に手を乗せる。そこから手を下ろして秘裂に手を伸ばすと、堅い鱗とは対照的に柔らかいきれいなピンク色の粘膜が見える。
「お、おい、レイア、まさかとは思うけど、そんな…はは、オレをどうするつもりだよ?」
「え、説明しないと分かんない?あ、分かってるけど認めたくないんだ。かわいいねぇ姉貴。」
その粘膜の空間へとそっと産卵管をあてがう。先ほどからフェロモンを吸い込んでしまっているドラコの身体は火照って熱くなっているようだ。
ぬるりとした感触を秘部に感じ、ドラコは考えたくもなかったレイアの思惑と何が『出た』のかを理解することになる。
「姉貴を私の愛で染めるんだよ。」
彼女は一瞬の微かな抵抗にドラコの純潔が散るのを感じ笑みを浮かべた。
385 ... sage 2014/04/11(金) 22:06:24.80 ID:boWbdjzz
「ひうっ!?レイア!おい、やめろっ、なにを…!」
「何って、セックスしてるんじゃない。ああっ、姉貴のアソコきもちいいね…キュンキュンしちゃうよ。」
あっけらかんと性行為そのものを口走るレイアにドラコの顔は火でも吹きそうなくらいに赤い。実際出そうと思えば口から火くらい出せるのだが。
しかしそんなことをしても背中にのしかかるレイアがどくこともなければ秘部にみっちりと差し込まれたモノが抜けることもない。
とにかく起き上がって今すぐにでもこの行為を止めさせようとするも、先ほどから肩を掴むレイアの手に体重がかかっており押しのけることができない。
床に押し付けられた状態でせめてできることは、挿入されてしまったレイアの産卵管をわずかな力を込めて締め付けることくらいしかない。
だが、その抵抗はかえってドラコに快感をもたらし自身を逆に追い込むことになってしまうのは性知識があるならば言うまでもない。
ドラコは義妹の手技によるそれを上回る快感を享受させられつつも理性でそれを無視し、節操ない発言をしたとレイアを咎めようと努める。
「せ、せ…っ!?そ、そんなはしたないことを口にするな!…っぐ、何だこの感覚…!痛いはず、なのに…!?」
「あはは、感じてるんだよ。大丈夫大丈夫、膜を破った痛みは感じないようにさせてもらってるから。」
ドラコは困惑していた。話に聞いた純潔を失う苦痛は心身ともに深刻なものであるはずなのに、ショックこそあれ気持ちとしては落ち着いているし痛みもない。
それは自身が散々吸い込んでしまったフェロモンと注入された毒による二重の催淫作用によるものであるのだが、それは今は知るよしもない。
ただ、今感じる理解不能な感覚に困惑する思いでいっぱいなのだ。
それが性感であるというならなおさらだ。苦痛が予想されていたところに快楽などありえないと思えるからだ。
しかしこの感覚はまさに自身を慰めているときに感じていたものと同質のものである。それをドラコは認めたくない一心だった。
自身の自分でも触れたこともない最奥の部分に侵入しているそれは忌まわしき仇の一族の特徴だと分かっているから。
「感じてるだと…!?ふ、ふざけるな、女同士で交わって快感を覚えるはずなんか…!」
「えー?そんなことはないよ?…肉欲は突っ込んでもらえさえすれば満たされるんだから。」
耳元まで顔を寄せ囁く妹の台詞にドラコは頭がどうにかなりそうな思いだった。
あれだけ姉思いで純粋で聡明で立派だった妹がこんな浅ましく猥らになってしまうとは。セックスならともかく肉欲とは、と。
なおのこと顔が真っ赤に染まる反応を見て、嗜虐心がくすぐられたらしくレイアはさらに気分が盛り上がっている様子だ。
そのせいか彼女は産卵管の先端から根元まで全体をドラコのヴァギナにさらに侵入させ、そのため彼女の股間とドラコの臀部は密着した状態になっている。
子宮口近くをぬるりとした産卵管が刺激し、一瞬喘いでしまいそうになったのを反射的に歯を食いしばって堪えたのがレイアから見えた。
その反応で彼女が姉の方も準備ができたようだと判断するには充分であった。
「な…!?……レイア…こんなハレンチな女になっちまったのか…そんな…」
「今までの私が無駄に清純すぎたんだよ、姉貴。…それじゃあ慣れてきたと思うから動くよ?」
ドラコは今の状況が夢であってほしいと願った。妹が敵に洗脳され自分を強姦し純潔を散らされたというのだからそう思わざるを得ないだろう。
特に想い人はいなかったが、それでもいつかめぐり会うはずの伴侶に捧げるはずの処女をまさか妹に捧げることになるとは思ってもみなかったのだった。
もともとレイアに同性愛の傾向があることは知っていたが、同性同士の愛とはこんな即物的なものでなくもっとプラトニックなものだと勝手に思っていた。
ちなみに、毎日を訓練と戦いに費やしてきたドラコの性知識は少なかった。
妹たちの喜ぶ顔が見られればそれで満足で欲求不満にはならなかった。それでもどうしても悶々として仕方ないときは義妹が処理してくれていた。
しかし、実の妹は姉への愛をこのような形で表現している。それはドラコには知識の外のことであり理解の外のことでひどく卑しく考えられるものであった。
自分に対するレイアの想いとは欲情だったのか。純潔を奪うことだったのか。…姉を自らの手で傷ものにし穢すことだったのか。
それはドラコにとっては受け入れがたいことだった。孤高の存在である竜の一族の姉妹愛の形が性欲を満たし合うなどという低俗なものであって良いはずがないから。
386 ... sage 2014/04/11(金) 22:07:08.94 ID:boWbdjzz
「ま、待ってくれ、レイア。本当に、これはお前自身が望むことなのか?
もし…その場の勢いとか、衝動に任せてこんなことをしたのなら、もうここでやめてくれ…!
オレは、レイアをこれ以上他人を汚すようなヤツにはしたくない!お前にはもっと、正々堂々といてほしいんだ…!頼む…!オレは、」
レイアが好きだから、オレはレイアの姉だから、と言いかけたところだったが、その言葉はレイアが腰を動かしたことに邪魔されて声にならなかった。
レイアは彼女の良心に訴えかけようとした姉の姿を鼻で笑うように口角をわずかに上げる。
彼女にとっての良心はこれまでの彼女や今組み敷いている姉が持つそれとはもう違うと未だにわからないのか。
彼女はドラコがレイアがレイアであることを信じ続けているということが滑稽で仕方がなく見えたのだった。
たしかに私は私だ。だが、私は『私』でもある。そして、『私』が望んでいるから実の姉であろうが欲望のままに犯すのだ。
だからこそ、この産卵管で純潔を破り、子宮までその甘美な締め付けを味わい、今こうして一方的に腰を振っているのだ。
「あのさ…姉貴は自分の立場を分かって話してないよね?
姉貴はさ、今は私の下にいるんだよ?『汚す』って?馬鹿言わないでよ、『情けをもらう』の間違いじゃないの?
私のつがいなんだよ姉貴は、分かる?姉貴はさ、私のモノなんだよ。私のモノだから私が思った通りに好きにしていいんだよ。」
「っひぃ!…っぁ、や、っく!やめ…って!」
「やめるわけがないじゃない。さっきから私が姉貴の言うことを聞いた?聞いてないでしょう。」
「だ…ってぇ!…んく、レ、イアの…ぅ!?ためぇっ、に言ってる、からっ…!」
彼女は自身を心配する声には聴く耳は持っていない。
そのうえで眼前の姉を人形のような扱いで組み敷いて犯しているのだ。
愛している、たしかに大好きな人物だがだからといって口を出されようがそれを気にする考えは毛頭ない。
それに口では彼女のためにと言っているが実際には犯されている現状から逃れようと必死なだけなのだ。
ドラコにとって初めての性行為の相手が今のレイアであることは最悪の人選である。
それは、彼女が肉親であることや仇の眷属に堕ちてしまったこと、それに同性であること。ドラコが嫌悪する全てが当てはまる相手であった。
故に、ドラコは彼女に必死で彼女に止めるように訴え、彼女は腰を振ることを今更になって中断することなどまったく考えていないのだ。
ドラコの絞り出すような嘆願はレイアの腰使いの一つ一つに阻まれ、否定され、却下されていく。
その動きは感じる部分を刺激してはいるが乱雑で、まさにレイア本人が快楽を貪るための動きをしていると言い切れる。
しかし、本当の性行為の経験のないドラコには力任せに抜き差しする摩擦の刺激だけですら許容量を大幅に上回っていた。
そのためしだいにその言葉から意味のある単語が減っていき、数分のうちにその声は喘ぎ声だけになってしまっていた。
一服盛られているところにきて感じたことのない快楽の奔流が押し寄せ、感覚神経が下腹部一点に集中してはち切れそうになっていたのだ。
そしてそれは膣や子宮に本能からの指示を与えることにつながる。相手の性を受け入れる準備、そして自らが官能の絶頂を迎え入れる準備をである。
その機微は『彼女』がすぐに察知した。
「っ、あっ!?うぁっ、っくひっ!っんんぁ!」
「…あはぁ、姉貴っ、イッちゃいそうなんだね!私もっ、そろそろイきそうだよ!
せっかくだしさ!一緒にイこうよ!ほら、卵、産むよ!姉貴のナカに!ほらっ!いく、いくよ!」
産むことに特化し発達した彼女の卵巣から小さな卵が何粒か放出され、それらが隊列をなして産卵管を通る。
ペニスを内側から擦るような感覚にレイアはなおのこと興奮し、ドラコはぷっくりと太さが増したその個所にギョッとした。
「待てよっ!抜いて、抜けって!腰を振るのを止めろっ!」
「やだぁ…!イクの、姉貴の膣内でイクのっ!あ、ひ、ふあああっ!!!」
「ダメ…ッ…んあふぁああぁっ!」
大きく腰を突き上げてズンと突くその勢いで産卵管が子宮口を押し開け未踏の最奥の中へと頭を突き入れる。
子宮周りの性感帯をまとめてなぞり上げるその衝撃的な官能に強固で頑なな精神が崩れさっていきドラコを絶頂へと導いていく。
そして、その刺激はレイアの方も限界に達し卵が産卵管の先端から姉の子宮へと注がれる。
プリプリというような音とともに自らの最も神聖な場所が他種族の卵に侵される感覚にドラコは倒錯的で破滅的なカタルシスを一瞬だけ得たのだった。
387 ... sage 2014/04/11(金) 22:09:41.83 ID:boWbdjzz
今夜も失礼しました。
この先は姉と妹を相手に頑張ってネチョらせたいですね、頑張ります
レイアの泣き腫らしているであろう姿を見られず、ドラコは姉としてひどく辛かった。
そばにいるのにその涙をやさしく拭いてやることもできず、強く抱きしめることもできないのだ。
目と鼻の先で、妹が傷ついているにもかかわらず、何一つ力になれない自分自身に腹が立っていた。
自分は彼女の唯一の肉親。なのに、彼女を助けることも慰めることもできていない。
そう自覚するたびに彼女の一番の味方は自分であるというプライドにどんどん傷がついていくのをひしひしと感じていたからだ。
また、そうして彼女の理解者という立場でいることで己の自尊心を保っているという浅ましき自分自身に気付き嫌気がさす思いだった。
とにかく、一刻も早く自分をこの床に戒めている拘束をぶち壊し、妹の下へ駆け寄りたい気持ちでいっぱいだった。
そうできたなら、まず、その涙を親指で拭き、抱き寄せて耳元で『大丈夫だ』と髪を撫でながら囁き、
顔と顔を合わせ、目線を合わせながら舌を絡める深いキスを…それで…
…あれ、何考えてるんだオレ。
「あぁもう!オレってばさっきからなんか変だぜ!?レイア!とにかく返事しろよ!どうしたってんだ黙り込んで!おい!」
このとき彼女が黙りだしてから5分が経っていた。もっとも、彼女は姉の言葉を無視しているのではなく、眠りについているのだが…
しかもそれが、彼女という存在が危ぶまれかねない重要な瞬間であるとは、とてもではないがドラコには知りえない。
彼女…妹は、朝から大変に騒がしかった。苦しむわ大きな屁をするわ泣きじゃくるわとドラコが知る限りこれまで一番にうるさかった。
それがピタリと静かになり、返事すらしない。
もしかしたら彼女は死んでしまったんじゃないかと恐ろしい可能性が頭の中に生まれてはそれを根拠のない自信で否定する。
また、ドラコは自身の中の一つの衝動に対しても否定を続けていた。
先ほどから返事がない隣の実妹や、どこかの独房に収監されているという義妹のことを考えるたびに、彼女たちの睦み合いを想像してしまうのだ。
それを振り払っても、何か一つ部下や妹たちの心配をするたびに脳内の片隅に煩悩がよぎってしまう。
『そんなことを考えている場合じゃない』という理性が緩んでいるように猥らな妄想が泡のように出てきてはそれをつぶしていた。
もはや彼女のためにどう言葉をかけるかを考えていたはずの頭はずいぶん前から邪念と戦うことにいっぱいいっぱいになっている。
完全にピンクに塗りつぶされてしまっている脳を無理矢理に動かしているドラコだが、それには一つのタネがあった。
レイアが先ほど屁として放出した蟲のガス。
このガスは、将来の女王蜂となる個体から出てきたものである。
それゆえにそのガスには女王蜂ならではのフェロモンが大量に含まれていた。
そのフェロモンとは、一族の女性の中で唯一生殖にかかわる女王だからこそ出す交尾を促すためのもの。
そう、強すぎる女王の性の匂いに、ドラコは同性ながら欲情してしまっているのだ。
しかしそれを本人は知るよしもない。
聞かされてないのだ、当然知るはずもない。
実の妹が、憎き親の仇に凌辱されたことなど。その際に種付けされてしまったことなど。
その種が妹に根を張りその心身を栄養に成長していることなど。それは愛しき妹の一切合切を奪い去ろうとしていることなど。
また、その魔の手がじわりじわりとこの部屋に蔓延したフェロモンを通じて自分にも牙をむいていることなど。
そして、静寂を破るように、隣で何かが倒れる音がした。
381 ... sage 2014/04/11(金) 21:59:23.81 ID:boWbdjzz
自然と、ごくごく自然と私のまぶたは少しずつ開き、幾重にも重なったように見える部屋の中の景色がそっと魔力の照明を通じて見えてくる。
複眼の慣れないその感覚に眉をひそめていると、手足が動かないことに気付く。
…あぁ、そういえばそうだったと、埋め込まれている手足に力を込めるとそれを拘束し支えているハチミツの床がドロリと溶け出して解放されていく。
気がついたら視線の先に天井があった。
あ、一週間以上も身体を動かしてないんだよなと思い返し、手足を関節や筋をほぐすとバキバキと音が鳴る。相当体が固まっていたようだ。
『…あ、起きたみたいだね』と頭の中で声がする。…返事をしなくても『私』なんだからわかるでしょ、と思うと『あはぁ、バレたか』との返答。
寝ぼけ気味の頭を頬を叩いてすっきりさせていると、空気の振動が耳に飛び込んでくる。誰かの声なのだろうか。
いや、そっちに専念するより先に体を万全にしなければね。ほんの少しだけそれを受け流して体をほぐし終わったところで、そちらの方に集中する。
…私を呼ぶ声だ。
『そうだね、この声はドラコ、だっけ?』…そう、ドラコ・バハムーン。私の姉。私の…えへへ。
「ふふっ、そうだった。こんなに近くにいるんだった。」
つい、独り言と笑いがこぼれてしまった。『だって、大切な人が、探すまでもなくこんなそばにいたんだからね』…うるさいな、恥ずかしい。
ドラコは驚きに包まれ、歓喜した。
仕切りの端に何か液体が流れだすのが見えると、どさりと妹が仰向けに倒れるのが見えたのだ。
始めはボーっと視線を動かさず静止したままの彼女に困惑したが、手足を揉み始めた際に彼女は無事だと直感した。
「レイア!大丈夫だったか!良かったぜ、あんまり泣きっぱなしだから本当にほんとーに心配してたんだぜ!?」
矢継ぎ早にたくさんの言葉をかけて彼女の顔を久しぶりに見られた喜びを爆発させる。
だが、それに返事はない。
彼女は、事務的に自身の身体をいたわっているのみだ。
…あれ、とドラコの中に一抹の疑念が生じたが、まぁあんだけ泣く姿を聞かれたわけだし恥ずかしくて拗ねているんだろうと大して気にも留めなかった。
「ふふっ、そうだった。こんなに近くにいるんだった。」
そうこちらを見て言っている彼女の微笑んだ顔、それを見てドラコは本当に良かったとほっとした気持ちで同じく微笑んでいる。
一瞬だけ彼女は顔をしかめたが、それは瞬きのタイミングと重なりドラコには見えなかった。
もっとも見えた時点で妹の異変に気付くことは喜びに満ち溢れた今のドラコには難しいだろうが。
「…あぁ、やっとここから出られたな。もう一週間こんなところに閉じ込められてちゃ気が滅入るとこだったぜ。」
姉貴の半身が埋め込まれたハチミツ塊は溶かさず、部屋の隅にあった衛兵の槍で叩き割った。
『私』が目ざとく教えてくれた。『今はまだ早い』って。
姉貴は翼をはためかせ、張り付いたハチミツの破片を振り払っている。
パラパラとした音を立てて散らばるそれを見て、もったいないなって思う。ほら、食べるとカリカリしてておいしいんだよそれも?
自分で溶かしたハチミツを砕いた姉貴の汗がしみ込んだハチミツの欠片ですくって食べる。あぁ美味だ。
…でもローヤルゼリーの方がいい。あの酸味が欲しいな。
「あー、空が見てぇ、んでもって飛びてぇ…レイア、道知ってるか?早くここから出ようぜ?」
「…姉貴、ありがとう。」
そっと背後に立ち、振り向いたところで、顔を寄せる。
382 ... sage 2014/04/11(金) 22:00:42.49 ID:boWbdjzz
「…へ?」
「ありがとう、本当にありがとう。姉貴がいなかったら、一人だったら、私は、私は…」
「…ハッ、オレの世話焼きがしつこいってキレてたのが嘘みてぇだな。」
う、うるさい。いつもいつも私の隣にいられると嬉しいけどさすがに困るんだから…しょうがないじゃない…
『今だよ!押し倒せ!やればできるって!』…野次馬うるさい。少しくらい二人だけでいさせてよ。『ぶーぶー』いや、用があるときに出てきてよ。
『えー…じゃあしばらく黙るから、好きにしなね、もう。』…拗ねちゃった。まったく、こんな時くらい私の流儀でやらせてよね、もう。
「…怖かった。ずっとどこかで本当に隣に姉貴がいるのか、実はそう思い込んでるだけ、実は誰もいないんじゃないかって…」
「それ以上言うな。女がすたるぜ。」
姉貴の腕が、翼が、私の身体と頭を優しく包んで、優しくさすってくれる。…心がポカポカするよ。
あ、これで満足してちゃダメだ、
そう、『私』がいてくれるから、私は次に進める。…私に嘘はつけないからね。だから…もう一度、顔を…
「…んん!?」
「…ぅん、んちゃ、ん…ぷはぁ。」
あぁ、目、見開いちゃってる。唾液たっぷりもらっちゃったからびっくりしちゃったかな?
「おい、なんだよ。今の。…ん…!?」
「ん………えへへ…大好きだよ、姉貴…」
「…一応聞いてやるが、どういう意味だこれは?」
「意味もなにも、私は姉貴が好き。それだけのことじゃない…姉貴も、私が好きでしょう?」
「…不浄が………う、そんな目で見るな。…断りきれなくなっちゃうじゃないか。」
「知ってた?」
「姉妹だろ、当然だ。…前からエリーに慰められてる時の感じがおかしいと思ってたんだ。でもまさか、オレにとはな。」
「…じゃあ、頷いてよ。『はい』って言うだけなんだから、ね?」
「オレは姉ちゃんだぞ?嫌われるようなところも、汚いところも、苦手なことも全部分かっちゃってるだろう。それに、オレにそんな趣味はないぜ?
…もし、秘め事だからバレないようにオレに当たったなら…それはエリーに頼むぜ。」
「やだ、そんないじわる、言わないでよ…」
ギュッとこちらからも、いや、姉貴を上回る力で抱きしめる。姉貴の想いを超えられるように。
「ハッタリは、利かないか。」
「え…?」
「こんなところで告白されて助かったぜ。誰にも聞かれる心配がないしな。…それだけ本気なら、オレは『はい』だぜ?」
「あ、姉貴、」
「言うな言うな。…探るようなこと言って悪かった。相手が本気なら断らないのは女の当然の甲斐性だぜ?」
「ありがとう。姉貴は優しいね。」
しばらく見つめ合って、どっちともなくもう一度キスした。
…二人でエリーがやるようなことのマネをしてるだけだからお互い舌が拙いね。『でも、イヤじゃないんでしょう?』ちょ…首突っ込むなって!
『ほら、キスっていうのはねぇ、どこにするのも一緒なんだよ?こうやって体液を入れ替えるように舐め取って…』
うひゃあ!?『私』いきなり体動かさないでよね。あう、上手すぎ、そんな風にやったら、私も…
「…ぷは。……顔赤い、なんだよこれ、蛇にでも習ったとか言うんじゃねぇだろうな?
ホントに、妹として見れなくなるじゃないか…」
「最高の褒め言葉だよ、姉貴。」
「……あー、もう。続きは家でするぞ!エリーたちを助けて帰るぞ!」
「…じゃあ、こうさせてよ。」
姉貴の左手を私の右手がごく自然にそっととる。
姉貴の利き手。ということは、あぁわかった。
「…言えよ。レイア。相手の言質をとらずに付き合った気でいるのを許すほどオレはチャラチャラしてないぜ?」
「え?じゃあ…姉貴、」
『「私の苗床になってよ。」』
「…え?」
383 ... sage 2014/04/11(金) 22:04:52.21 ID:boWbdjzz
ぐさり、と姉貴の脇腹に私の尾が突き刺さる。あぁ、姉貴の血が…ごめんね、でも、私は…姉貴のこと愛してるから。こうするしかなくて。
「な、レイ、ア…!?ちぃっ!」
あ…さすが姉貴。捕まえようと思ったのに。うまく逃げちゃった。でも無理だよ、もうそこの出入り口は『私』が固めて開かないようにしてるから。
「どこに行くつもりなの?姉貴。…私たちの家は今日からここなんだから。」
「ちっくしょう!開け!くそう!」
「開かないよ。開けるわけないよ。…姉貴がここにいるんだから。逃がすわけがない。」
「…!なんだよ、レイア…どうしちまったんだよ…あいつらに何されたんだ…!?」
「…私はね。変わったんだ。素直になったんだ。姉貴が好きだって気持ちに、ウソをつくのはもう嫌なんだ。」
「それとこれとは話が違うだろう!オレはお前をぶん殴りたくない。だから、お前がここを塞いでるってなら、さっさとここを開けろよ…!」
「だめだよ、姉貴が私の苗床…いや、つがいになるって言ってくれるまで、絶対に出さない。」
「くそっ…話が通じないか!お前が何考えてるか知らねぇが…邪魔するなら本当に、本当にぶん殴るからな!」
「いいよ。姉貴がイヤっていうなら、実力行使だね。…この巣の女王の胸を貸すよ。」
…
あぁ、姉貴の顔がいろんな表情をみせてる。そりゃあそうだよね。ずっと憎んでいた存在に私がなっちゃったんだからさ。
複眼の視界には姉さんの顔がいくつも見える。贅沢な気分。
あはは…その悲しそうな顔、怒ってる顔、恨めしそうな顔、覚悟を決めた顔、全部私のものにしたいんだ。だからわかってもらうよ、姉貴。
「てめぇ!この…大馬鹿野郎がーっ!」
寸前のところでかわした姉貴の蹴りが後ろの壁をへこませている。うはぁ、いつみてもすごい一撃だ。まともにくらったら死んでたかも。
『ちょ、ちょっと!?何あの馬鹿力!?あんなのと戦う気なの!?』あぁもう、分かってるって。さっさと済ませるから落ち着いて。
「…次は避けられると思うなよ?」
「大丈夫。次はないから。」
「はぁ?…あれ、な!?なんだこりゃ!?」
『私』の力を借りて、床をぬかるませる。そして固める。たったこれだけのことだけど、これで姉貴の足が床にちょっと埋まっちゃった。
もうこれで決着だ。足を固めてしまえば蹴り中心に戦う姉貴はもうまともに戦えないんだよね。
それに、そろそろ…
「う…ん!?身体が…?レイア…お前…!」
「あはは、ごめんね。さっきの尻尾から毒を出させてもらったよ。…これで姉貴は全然動けない。私の勝ちってことだね。」
『私』がいるおかげで尻尾から毒液が出せるようになったんだよね。前に私がくらったのと同じものが…さ。
床に足先が埋まった状態でうつぶせに姉貴が倒れる。あぁ、姉貴の表情が見たい。どんな絶望した顔をしてるんだろう。
『…結構な趣味ねぇ。』ひどいこと言うなぁ。だって、姉貴のいろんな顔、全部違った魅力があって素敵なんだもの。
「…毒、か。この痺れ、蜂の連中のやつか。…マジかよ。本当に、あいつらのお仲間入りしちまったんだな、レイア…
はぁ………殺せよ。最悪お前がこうなっちまったことはしょうがないとしても、
オレが蜂の女王のつがいなんて、まっぴらごめんだ。それに、たとえお前が何者になっても、妹に殺されるなら姉として本望だ。」
「またそんなこと言って…姉貴も素直になろうよ?姉貴は…もう戦いたくないんでしょう?…騎士団、辞めたいんでしょう?
…ねぇ、私のつがいになってよ?そうすれば、もう血を見なくてもいいんだよ?もう誰かを殺すことはしなくていいんだよ?
私はさ、もう竜の誇りなんて捨てたんだ。だって、もう体裁を気にして自分を縛りつけていることのバカバカしさに気付いたから。
だから…姉貴も、私みたいに、」
「…やめろよ、」
「…え?」
「オレの知ってるレイアは…誰よりも強く、賢くて、兄弟思いで、誰よりも高い志を持ってる、そんな女だ。
蜂の連中に何をされたかは知らないけどさ…そんなふざけたことを言うな。
それとも…お前はレイアの姿をしてる別人なのか?そうじゃないだろう?」
「わ、私は変わったんだ!姉貴に私の愛を届けるためにね!」
「…レイアはレイアだ。そこが揺らぐわけがないだろう。…だから問題なんだよ。
正直、蜂の女王というなら今すぐにでも殺してやりたいが…ダメだダメ、力で勝てなくてしかも見た目がお前じゃ…な。
ほら、止めを刺せよ、もうオレはレイアにとっちゃ敵だろ?
それに、オレは一瞬でもレイアを殺してしまいたいくらいに憎んでしまったそんなオレが許せない。
憎むのはお前じゃなくてお前をこうした蜂のやつらだっていうのにな。」
384 ... sage 2014/04/11(金) 22:05:39.49 ID:boWbdjzz
『ねぇ、これって現実逃避してるんじゃない?』うーん、そうっぽいね。完全に殻に閉じこもっちゃった感じ?
『そうだね。頭が整理つかなくて死んで逃げようって魂胆じゃない?』だ、ダメだそんなこと!私は、姉貴のことが大好きなのに、死にたいなんて!
『もう言葉じゃ説得できなさそうだし、体で説得してみたら?』え、それってどういうこと?
『あはは、分かってるくせに、私はわかるよ。』ふふ、バレたか。…まぁ、やるしかないわね。姉貴も、素直になってくれたらいいな…
『あはぁ、ゾクゾクしてきちゃった。』ごめん、それ私も。
「…ねぇ姉貴。」
数分ほどの沈黙があった。
あいもかわらず、ドラコは床に突っ伏したまま。そして、先ほどからその脇に立つレイアも位置も変わってはいない。
ただ一つ違うのはレイアの顔が上気していることだろうか。
…彼女は姉に隠れて音をたてないように静かに、だがすさまじく淫靡に自身を慰めていた。
別に、倒れた姉の姿に劣情を催したということでこのような行為に及んだわけではない。…もっとも、彼女にとってこの姉が欲望の対象であることは確かだが。
彼女は自身の膣にできるだけ奥まで手を突き入れ、『彼女』と物理的な交信を交わしていた。
『彼女』によって竜の持つ頑強なそれから蜂の持つ簡素で多機能なものへと置き換わった内臓の、最も象徴的な『彼女』の臓器の準備を始めていた。
そう、彼女が彼女でなくなってしまった由縁、それを引き出そうとしているのだ。
「…ん、ん…んんん!…あはぁ…出た出た。」
「おいっ!?オレの見えないところで何をしてるんだよ!」
「あ…今からね、姉貴に私の愛の結晶をプレゼントするんだ…あぅ、もう想像しただけでイっちゃいそう…!
…ふふ、姉貴を私が…くく…はぁ…最ッ高に楽しくなってきた……っ!」
うつぶせに倒れているドラコからは見えないが、彼女の股間には立派な一物がそそり立っていた。産卵管である。
身の危険を感じ騒いでいる姉を無視し、彼女はそのブヨブヨとした一物に手を添え、感度を確かめるように撫でている。
「ん!…ぁあ、いけないいけない、あんまり一人で気持ち良くなってもいけないよね。」
もう一方の手でドラコの尻に手を乗せる。そこから手を下ろして秘裂に手を伸ばすと、堅い鱗とは対照的に柔らかいきれいなピンク色の粘膜が見える。
「お、おい、レイア、まさかとは思うけど、そんな…はは、オレをどうするつもりだよ?」
「え、説明しないと分かんない?あ、分かってるけど認めたくないんだ。かわいいねぇ姉貴。」
その粘膜の空間へとそっと産卵管をあてがう。先ほどからフェロモンを吸い込んでしまっているドラコの身体は火照って熱くなっているようだ。
ぬるりとした感触を秘部に感じ、ドラコは考えたくもなかったレイアの思惑と何が『出た』のかを理解することになる。
「姉貴を私の愛で染めるんだよ。」
彼女は一瞬の微かな抵抗にドラコの純潔が散るのを感じ笑みを浮かべた。
385 ... sage 2014/04/11(金) 22:06:24.80 ID:boWbdjzz
「ひうっ!?レイア!おい、やめろっ、なにを…!」
「何って、セックスしてるんじゃない。ああっ、姉貴のアソコきもちいいね…キュンキュンしちゃうよ。」
あっけらかんと性行為そのものを口走るレイアにドラコの顔は火でも吹きそうなくらいに赤い。実際出そうと思えば口から火くらい出せるのだが。
しかしそんなことをしても背中にのしかかるレイアがどくこともなければ秘部にみっちりと差し込まれたモノが抜けることもない。
とにかく起き上がって今すぐにでもこの行為を止めさせようとするも、先ほどから肩を掴むレイアの手に体重がかかっており押しのけることができない。
床に押し付けられた状態でせめてできることは、挿入されてしまったレイアの産卵管をわずかな力を込めて締め付けることくらいしかない。
だが、その抵抗はかえってドラコに快感をもたらし自身を逆に追い込むことになってしまうのは性知識があるならば言うまでもない。
ドラコは義妹の手技によるそれを上回る快感を享受させられつつも理性でそれを無視し、節操ない発言をしたとレイアを咎めようと努める。
「せ、せ…っ!?そ、そんなはしたないことを口にするな!…っぐ、何だこの感覚…!痛いはず、なのに…!?」
「あはは、感じてるんだよ。大丈夫大丈夫、膜を破った痛みは感じないようにさせてもらってるから。」
ドラコは困惑していた。話に聞いた純潔を失う苦痛は心身ともに深刻なものであるはずなのに、ショックこそあれ気持ちとしては落ち着いているし痛みもない。
それは自身が散々吸い込んでしまったフェロモンと注入された毒による二重の催淫作用によるものであるのだが、それは今は知るよしもない。
ただ、今感じる理解不能な感覚に困惑する思いでいっぱいなのだ。
それが性感であるというならなおさらだ。苦痛が予想されていたところに快楽などありえないと思えるからだ。
しかしこの感覚はまさに自身を慰めているときに感じていたものと同質のものである。それをドラコは認めたくない一心だった。
自身の自分でも触れたこともない最奥の部分に侵入しているそれは忌まわしき仇の一族の特徴だと分かっているから。
「感じてるだと…!?ふ、ふざけるな、女同士で交わって快感を覚えるはずなんか…!」
「えー?そんなことはないよ?…肉欲は突っ込んでもらえさえすれば満たされるんだから。」
耳元まで顔を寄せ囁く妹の台詞にドラコは頭がどうにかなりそうな思いだった。
あれだけ姉思いで純粋で聡明で立派だった妹がこんな浅ましく猥らになってしまうとは。セックスならともかく肉欲とは、と。
なおのこと顔が真っ赤に染まる反応を見て、嗜虐心がくすぐられたらしくレイアはさらに気分が盛り上がっている様子だ。
そのせいか彼女は産卵管の先端から根元まで全体をドラコのヴァギナにさらに侵入させ、そのため彼女の股間とドラコの臀部は密着した状態になっている。
子宮口近くをぬるりとした産卵管が刺激し、一瞬喘いでしまいそうになったのを反射的に歯を食いしばって堪えたのがレイアから見えた。
その反応で彼女が姉の方も準備ができたようだと判断するには充分であった。
「な…!?……レイア…こんなハレンチな女になっちまったのか…そんな…」
「今までの私が無駄に清純すぎたんだよ、姉貴。…それじゃあ慣れてきたと思うから動くよ?」
ドラコは今の状況が夢であってほしいと願った。妹が敵に洗脳され自分を強姦し純潔を散らされたというのだからそう思わざるを得ないだろう。
特に想い人はいなかったが、それでもいつかめぐり会うはずの伴侶に捧げるはずの処女をまさか妹に捧げることになるとは思ってもみなかったのだった。
もともとレイアに同性愛の傾向があることは知っていたが、同性同士の愛とはこんな即物的なものでなくもっとプラトニックなものだと勝手に思っていた。
ちなみに、毎日を訓練と戦いに費やしてきたドラコの性知識は少なかった。
妹たちの喜ぶ顔が見られればそれで満足で欲求不満にはならなかった。それでもどうしても悶々として仕方ないときは義妹が処理してくれていた。
しかし、実の妹は姉への愛をこのような形で表現している。それはドラコには知識の外のことであり理解の外のことでひどく卑しく考えられるものであった。
自分に対するレイアの想いとは欲情だったのか。純潔を奪うことだったのか。…姉を自らの手で傷ものにし穢すことだったのか。
それはドラコにとっては受け入れがたいことだった。孤高の存在である竜の一族の姉妹愛の形が性欲を満たし合うなどという低俗なものであって良いはずがないから。
386 ... sage 2014/04/11(金) 22:07:08.94 ID:boWbdjzz
「ま、待ってくれ、レイア。本当に、これはお前自身が望むことなのか?
もし…その場の勢いとか、衝動に任せてこんなことをしたのなら、もうここでやめてくれ…!
オレは、レイアをこれ以上他人を汚すようなヤツにはしたくない!お前にはもっと、正々堂々といてほしいんだ…!頼む…!オレは、」
レイアが好きだから、オレはレイアの姉だから、と言いかけたところだったが、その言葉はレイアが腰を動かしたことに邪魔されて声にならなかった。
レイアは彼女の良心に訴えかけようとした姉の姿を鼻で笑うように口角をわずかに上げる。
彼女にとっての良心はこれまでの彼女や今組み敷いている姉が持つそれとはもう違うと未だにわからないのか。
彼女はドラコがレイアがレイアであることを信じ続けているということが滑稽で仕方がなく見えたのだった。
たしかに私は私だ。だが、私は『私』でもある。そして、『私』が望んでいるから実の姉であろうが欲望のままに犯すのだ。
だからこそ、この産卵管で純潔を破り、子宮までその甘美な締め付けを味わい、今こうして一方的に腰を振っているのだ。
「あのさ…姉貴は自分の立場を分かって話してないよね?
姉貴はさ、今は私の下にいるんだよ?『汚す』って?馬鹿言わないでよ、『情けをもらう』の間違いじゃないの?
私のつがいなんだよ姉貴は、分かる?姉貴はさ、私のモノなんだよ。私のモノだから私が思った通りに好きにしていいんだよ。」
「っひぃ!…っぁ、や、っく!やめ…って!」
「やめるわけがないじゃない。さっきから私が姉貴の言うことを聞いた?聞いてないでしょう。」
「だ…ってぇ!…んく、レ、イアの…ぅ!?ためぇっ、に言ってる、からっ…!」
彼女は自身を心配する声には聴く耳は持っていない。
そのうえで眼前の姉を人形のような扱いで組み敷いて犯しているのだ。
愛している、たしかに大好きな人物だがだからといって口を出されようがそれを気にする考えは毛頭ない。
それに口では彼女のためにと言っているが実際には犯されている現状から逃れようと必死なだけなのだ。
ドラコにとって初めての性行為の相手が今のレイアであることは最悪の人選である。
それは、彼女が肉親であることや仇の眷属に堕ちてしまったこと、それに同性であること。ドラコが嫌悪する全てが当てはまる相手であった。
故に、ドラコは彼女に必死で彼女に止めるように訴え、彼女は腰を振ることを今更になって中断することなどまったく考えていないのだ。
ドラコの絞り出すような嘆願はレイアの腰使いの一つ一つに阻まれ、否定され、却下されていく。
その動きは感じる部分を刺激してはいるが乱雑で、まさにレイア本人が快楽を貪るための動きをしていると言い切れる。
しかし、本当の性行為の経験のないドラコには力任せに抜き差しする摩擦の刺激だけですら許容量を大幅に上回っていた。
そのためしだいにその言葉から意味のある単語が減っていき、数分のうちにその声は喘ぎ声だけになってしまっていた。
一服盛られているところにきて感じたことのない快楽の奔流が押し寄せ、感覚神経が下腹部一点に集中してはち切れそうになっていたのだ。
そしてそれは膣や子宮に本能からの指示を与えることにつながる。相手の性を受け入れる準備、そして自らが官能の絶頂を迎え入れる準備をである。
その機微は『彼女』がすぐに察知した。
「っ、あっ!?うぁっ、っくひっ!っんんぁ!」
「…あはぁ、姉貴っ、イッちゃいそうなんだね!私もっ、そろそろイきそうだよ!
せっかくだしさ!一緒にイこうよ!ほら、卵、産むよ!姉貴のナカに!ほらっ!いく、いくよ!」
産むことに特化し発達した彼女の卵巣から小さな卵が何粒か放出され、それらが隊列をなして産卵管を通る。
ペニスを内側から擦るような感覚にレイアはなおのこと興奮し、ドラコはぷっくりと太さが増したその個所にギョッとした。
「待てよっ!抜いて、抜けって!腰を振るのを止めろっ!」
「やだぁ…!イクの、姉貴の膣内でイクのっ!あ、ひ、ふあああっ!!!」
「ダメ…ッ…んあふぁああぁっ!」
大きく腰を突き上げてズンと突くその勢いで産卵管が子宮口を押し開け未踏の最奥の中へと頭を突き入れる。
子宮周りの性感帯をまとめてなぞり上げるその衝撃的な官能に強固で頑なな精神が崩れさっていきドラコを絶頂へと導いていく。
そして、その刺激はレイアの方も限界に達し卵が産卵管の先端から姉の子宮へと注がれる。
プリプリというような音とともに自らの最も神聖な場所が他種族の卵に侵される感覚にドラコは倒錯的で破滅的なカタルシスを一瞬だけ得たのだった。
387 ... sage 2014/04/11(金) 22:09:41.83 ID:boWbdjzz
今夜も失礼しました。
この先は姉と妹を相手に頑張ってネチョらせたいですね、頑張ります
竜姫の趣味趣向(parasitism side)その2
357 ... sage 2014/03/30(日) 16:58:16.46 ID:oyHjdTVj
一度区切りのいいところまで出来たので、パソコンが空き次第に投下します
まだ終わりは見えませんが今夜もよろしくお願いしますね
358 ... sage 2014/03/30(日) 19:29:15.68 ID:oyHjdTVj
『竜姫の趣味趣向(parasitism side)』 その2を投下です。
「ぅ…ん…ううん…ん…?ここ、は…?」
「れ、レイア!目を覚ましたか!」
「…あ…姉、貴……?み、見ないでっ!来ちゃダメっ!」
「えっ!?ど、どうしたんだ、いったい…?
落ち着けよ、な?大丈夫だ、大丈夫。オレは側にいるけど、何があったか聞かないし、見ない。約束するよ…」
「あ、姉貴…ありがとう…
…落ち着いてきたかもしれない。姉貴、面と向かって話しよう、どこにいるの?
って、あれ…えっ、なに、これっ!?」
視界にいない姉のもとへ歩いてゆこうとした彼女は、前へ出そうとした足に違和感を覚え、下を向くと同時に絶叫した。
驚くのも無理はない。彼女の前腕部と太もも、つまり両手両足が途中から床の中に入り込んでいるのだ。
彼女はぐっと力を入れて抜こうとするが、中でぴったりと密着していて引き抜くことはできないようだった。一応、手足は無事らしい。
焦って左右を見ると、そこにも壁。後ろも壁。だが、目の前だけは開放され、扉の類のものは取り付けられてない。位置からして、床よりも若干高いようだ。
こんな棚に収納されているような猟奇的な拘束、いったい何が起こっているのか…とじっくり考えてあることを思い出す。
彼女が初めに取り押さえられた時に取り付けられた固まったハチミツでできた枷。この床がそれと同じ色なのだ。
なるほど、手足を穴の開いた容器に差し入れた後その中をハチミツで満たし、四肢を埋め込んでしまったというわけか。
そう考えがまとまると、不自由な身体だが意外と心は落ち着いてくる。
彼女はよほど敵を無力化させることにこだわる連中だと溜め息をしながら状況の把握に努めようと思い立った。
「やっぱりレイアでもビックリするか。オレも気がついて初めは肝を冷やしたんだ。
まるで、手足を切り落とされたんじゃないかって思ったくらいだぜ。」
「姉貴も、同じように?って言うか、どこにいるの?ここ、どこなの?というか、姉貴たちはどうして捕まったの?」
「隣だ、右。まぁ、仕切りがあるから見えねぇけどな。
あと、オレたちがここに連れてこられたのは…オレの責任だ。オレに伝令が来たというから通したんだが…これが罠でさぁ。
エリーを人質にとられて、どうしようってオロオロしてるうちにキャンプごと包囲されちまった。それで仕方なく降伏だ。エリーの命には代えられないからな。
卑怯だけど、降参したふりをして隙をついて蹴散らそうって考えだった。だけどあいつらご丁寧に皆に一斉に毒針を突き立てやがったんだぜ?
そうそう、世話しにくるヤツが言うには、ここは雑居房だとよ。オレたちほとんど全員がたくさんの牢屋に分かれてこんな状態だとさ。
まったく、こんな磔みたいにしないと気が済まないなんて、あいつらよっぽどオレらの腕力が怖いみてぇだな。」
「え、エリーは!?」
「あいつは力ずくで脱獄される心配がないからって独房でのびのびやってるってよ。華奢なのがうらやましいなんて初めて思ったぜ。」
「そ、そうなの…」
「それにしたって、変装してオレたちを助けに来たんだって?やっぱりお前はエリーに似て頭が冴えるな。」
「でも、このザマじゃね。成功してないなら思いつかないのと一緒。」
「ははは、結果が全てじゃないだろ?オレはお前の頑張りを評価した。この事実があればお前はくじけない、そうだろ?」
「姉貴…ありがとう。辛い状況だけど、這いつくばってでも、私は頑張れる…!」
「その意気だぜ、レイア。今は無理だろうけど、絶対逃げるチャンスはあると思う。そこを逃さないように、気張っていこうな!」
それから一週間がたち、彼女たちの拘束生活は未だに続いていた。
窓もなく、魔力のランプが照らす明かりだけがついているため、外の時間は窺い知れないが、
食事の時間と排泄の時間と称して世話役がやってきてくれるため、だいたいの時刻をそれで知ることができた。
日に二度ある食事の時間に出されるものは、ハチミツだけ。
まぁ、こんな状態で贅沢は言えないが、魔蜂の習性からごくごく当たり前に口移しで食べさせてくるのはいい加減に勘弁してほしかった。
そんな食生活からか、最近四日ほど大の方が出てない。三日目に一週間ぶりのお通じが来てすっきりして以来、腸に固形物がないせいかもしれない。
そのことを報告したとき、返事がなかったので姉はまだ便秘が続いているのだろう。世話役の娘も下剤を用意すると言っていたっけ。
359 ... sage 2014/03/30(日) 19:30:48.16 ID:oyHjdTVj
しかし、なんだかんだ文句もあるが、レイアは一抹の安心を感じていた。
ここがあの憎き怨敵の居城と考えると反吐が出そうだが、ここまで至れり尽くせりの生活を過ごしたことは正直ない。
仕事をしなくともよいし、甘くておいしいハチミツが食べられる。
ちなみにときおりそれとは別に白いハチミツがもらえることがあるのだが、酸味が強くてそれは彼女には好みではなかったのは内緒だ。
暇なときは守衛に頼んで仕事のない補欠の娘を話相手に呼んでもらえることもできた。
四肢を埋め込まれて固定されていなければ普段彼女が休暇をとっているときよりも充実していた一週間となっただろう。
それに、なんといっても姉が常に隣にいる。それが彼女には心強かった。
そんな珍妙な生活を送り、敷居を隔てた隣にいる二人だが、レイアは一つだけ姉に言えないことがあった。
月の物が来ないと気付いたのは二日目のことだ。
彼女の計算では、本来ならば三日前…つまり、彼女がこの巣へと立ち入る前に来ているはずだった。
本当にたまたま遅れていただけだと思っていたそれは、二日、三日と遅れるにつれ、彼女にある懸念を思いつくことを強要させた。
そして、六日目にその最悪の想像が裏付けされてしまってた。
眠りから覚め、ふと下を見ると彼女のやんわりと割れた腹筋が見えるはずの下腹部が、一晩にして一回り二回りも大きくなっていたのだ。
息を呑み、悲鳴を上げそうになるがそれを首の皮一枚で止める。自分の異変を姉に知らせたくないからだ。
彼女はその時思っていた、たとえその場しのぎにしかならなくとも、現実逃避にすぎないとしても、姉に心配をかけたくないと。姉に恐れられたくないと。
だから、自身の異変が見えないことをいいことに、彼女は姉に何日も真実を隠し通した。
だが、彼女に非はない。最愛の家族にこんなことを知られるなど竜の一族でなくとも身の破滅を招く。誰が彼女の立場でも打ち明けられないだろう。
薄気味悪い蟲の卵を腹に植え付けられたことなど。
その卵のせいで懐妊したことなど。
そして、子宮の中にうごめく何かを感じていることなど。
だが、臭いものに蓋をしたままチャンスが巡ってくるほど世の中というものは甘くなかった。
いや、そもそも彼女の運命はもはや快方に向かうことはないのだが。
八日目の朝の食事が口移しで飲まされたとき、それは始まった。いや、最終段階に入ったというべきか。
「…ん?…あ、れ…!?今、お腹が、動いた…?」
「…あっ、ついに…!お母様に伝えなきゃ!」
「え、ちょっと!待ちなさい!」
大急ぎで駆け出した世話役に、何かを知っていると悟った彼女は必死で説明を求めるも、置いてきぼりにされた。
相当焦った様子の彼女に、隣にいる姉もただ事でない何かを感じ取る。
「おい、レイア、何があった?」
「え?いや、その…」
これまで秘密にしていたことが露見しそうになる恐怖から彼女の口からは答えとなる言葉は紡がれない。たとえ腹の中がもぞもぞと動く感覚に見舞われようと。
だがその代わりに返事をする者がいた。
「…おい、この音、なんだよ?」
「えっと…私にも、わからない。…ッ!?うわああがあぁっ!?」
彼女の腹が、腹が空いているかのようにグゥと鳴る。
ただそれだけのことだが、二人にはそれはとても恐ろしいものに感じられた。そして、その感覚は彼女にこれから起こることを鑑みると正しいものである。
腹部に突如猛烈な痛みを覚え、その焼き切れるような衝撃に全身がこわばり、苦痛から逃れようと不自由な身体をめいっぱい揺さぶる。
彼女は先日産み付けられた卵を出産してしまうと理解しひどく焦燥した。これが噂に聞く陣痛かと。
蟲の卵と竜のそれで見た目が違い過ぎる。もし隣の姉に産まれた卵を見られでもしたら…
「レイア!?どうしたんだ!?辛いのか、痛いのか、何が起こってるんだ!」
「いやあああっ!だめっ、言えない…っ!いっぐ…姉、貴には…っ…言えないよ…ぉおおおおおお!?」
ボコボコという音を立てながら、ただでさえポッコリと大きくなっていた彼女の腹がより歪に膨れ上がり、その張りつめた表皮が弾力の限界を訴える。
腹に直接空気をポンプで入れていくような異様な変化を現在進行形で行っている自らの身体に彼女は戦慄する。
激しい腹痛と己の身体に何が起こっているのか見当もつかない恐怖から冷や汗が後から後から出て彼女の全身がしっとりと濡れているのがわかる。
360 ... sage 2014/03/30(日) 19:32:07.29 ID:oyHjdTVj
自分の身体に起こったこの異変は確実に自分が思いついたそれではないという彼女の直感は実に正しい。
蟲の卵が他種族の胎内に入れられるということの目的とはだいたいがその幼生の養分としてその宿主を生贄に捧げるということだ。
そう、彼女に産み付けられた卵はすでに孵っていた。
その幼き蟲は、自身の殻を食べ、彼女の子宮に噛み付き、その血を養分として育っていった。彼女の腹が膨れていたのはこの蟲の成長のせいである。
普通ならばある程度大きくなったところで体外に這い出るなり彼女の血肉を喰らい尽くしてしまうなりするのだろうが、
それは人間の常識。魔界の生物の生態はもっと多様であった。
彼女の中で産まれたそれは、何日もの時間を擁して彼女の胎内で羽化までも済ませると、彼女の腹腔に針で小さく穴をあけて破り、腸へと侵攻していた。
その中でさらに血や老廃物を喰らいつつ大腸を移動するそれは排泄物としてガスを発生させている。
とどのつまり、彼女に生じた異変はこの蟲のガスが腹の中に充満し溜まったことによる張りつめた痛み…言い換えるなら度を越した便秘の症状のようなものだった。
蟲の身体自体が栓となっていくら力もうともほとんど排出されず、それでいて次から次へとガスの総体積は増える一方。
「レイア!レイア…っ!お前にはオレがついてるからな!…ちぃっ、なんで壊れねぇんだよ!ちくしょう!」
「う、ぐぅ…あ…ぁ゛…」
腸内全体が圧迫されるほどに高まった内圧に彼女の苦痛はピークに達し、もはや姉の気遣う声も耳に届かず、動かぬ四肢に力を込め苦痛に耐えているしかない。
大腸の端から端へと移動し、直腸へとたどり着いたその蟲は次に、直腸内で体を反転させた。
その際に隙間が生まれ、ようやく彼女を苦しめていたガスが解放される。
ボフッという大げさなような音を立て、彼女は大きなおならをした。
…沈黙ののち、二人の間に大きな笑いが起こる。
これだけ苦しむ声を出しておいてその理由がおならでは彼女も笑うしかないし、姉は姉で命にかかわることでなくて胸をなでおろす気分であった。
しかし、彼女の心配は完全には収まらなかった。先ほど蟲に押し破られた部分から伝わる苦痛の信号を感じていたからである。
今のがただのおならだったとして、この腹の中の痛みは何なのだろうか、という疑問だ。
その疑問にまるで答えるかのように、蟲が次の行動を起こす。
直腸の腸壁に噛み付いたそれは彼女の血を摂取しつつ、針から毒を、口から酸を彼女へと送り込む。
すると、彼女の体内組織が次第に形を歪め、ドロリと重力に負けるように崩壊し、溶けていった。
どうやら蟲の腹部が肛門を押さえつけて溶けた彼女の内臓が漏れ出すのをせき止めているようだった。
今度は突然に下っ腹が膨らみビール腹のように変化した自身の胴体に彼女は涙目になっている。
しかも、痛覚をマヒさせる毒を送り込まれたせいで、特に苦しく感じないところがまたさらに彼女を恐怖に陥れる。
苦痛を感じる能力を失った身体。あの憎き女王から受けた凌辱がフラッシュバックして彼女の精神を細切れにして砕いていく。
気付けば彼女は大声を上げて赤子のように泣きじゃくっていた。心が受け止められる苦しみの許容量がすでに限界を越していたのだ。
流れる涙と鼻水もいとわず悲しみに打ちひしがれる彼女と、彼女の声を聞いて焦燥するも己の無力さに歯ぎしりする姉。
そんな彼女たちに気付かれぬまま、蟲はドロドロになった彼女の体内をまるでジュースでも作るかのようにかき回している。
いや、その表現は比喩ではなく正しいのかもしれない。
それは彼女の体内に満ちるドロドロの液体は、まさしく彼女という人物の血肉そのものにより成り立つモノなのだから。
ひとしきりかき回すことに満足したのか、蟲はその手を休め静止した。
しかしすでに彼女の体内は臓器が溶けたさまざまな色の液体がグチャグチャにされ混沌としたものになっている。
それは、まるで羽化する前の蛹の中身のようである。
そう、彼女はまさしくこの蟲の蛹であった。
この蟲はすでに羽化した身体でなお、彼女の体内を繭にしてさらなる変態を行使しようとしていたのだ。
蟲は腹部を中心に器用に体をたたみ、自らの周囲に酸を噴霧し自らの身体すら溶かしてしまう。
もうそこには蛹の中身しか残ってはいなかった。
361 ... sage 2014/03/30(日) 19:33:18.39 ID:oyHjdTVj
時間の感覚も忘れ、ただただ狂ったように嗚咽が続いていた彼女の心が落ち着いたのは外では夕日が沈む時間になってからであった。
半日近く泣き続け疲れ切った彼女は姉の慰めの言葉に返事を帰すこともできないまま糸が切れるように居眠りしてしまっている。
真白く、空も地も同じ色。立っているのに浮遊しているかのような虚無感しかない空間。
ときおり誰でも経験する、夢だと自覚できている夢。その中に彼女は生まれたままの姿で立っていた。
「ねぇ、」という言葉に振り向くと、そこには鏡に映したように同じ姿勢で自分が立っていた。
いや、これは自分ではないと彼女は目の前の自分に訝しむ目線を送る。
なぜならその『彼女』は、額から触角を伸ばし、虫の持つそれのような透き通る薄い翅を生やし、蜂の持つ腹が尾の代わりに生えているのだから。
「貴様は誰だ。…まさか、私の魔虫への憎みが生みだした存在…とかか?」
「それは違うねぇ。私はお母様から生みだされた存在。おねーさんから生まれたものじゃない。」
「…そうか、貴様か、私の身体を断りもなく弄ったのは。…私の胎内で生まれたのは。」
憎悪のこもったその声に『彼女』は薄い笑みを浮かべる。
「ご名答!おねーさん、お母様が言った通り、すごく頭がいいヒトなんだねぇ!」
キャピキャピという擬音語が似合うはしゃぎように、彼女は反吐が出る思いだ。その表情はまさに、苦虫を噛み潰したよう。
「消えろ。百歩譲って、私の身体に居座ることは許しても…こうして夢にまで出るなど、私を愚弄するにもほどがあるぞ…!」
「あははは、たしかにそうだねぇ。おねーさん、私たちのことすっごく嫌いだもんねぇ…こんなこと言われちゃうのもしょうがないかぁ…」
後ろ手に手を合わせ、しょんぼりとした表情でふらふらと彼女の周りを歩く『彼女』。
そんな調子で元の位置まで一周した『彼女』が思いついたように手をポンとたたく。
「そうだ!おねーさん、私と勝負しない?」
「…私と勝負だと?」
「そ、私とおねーさんが勝負して…負けた方は勝った方に従うの。
おねーさん、私がここにいるのが嫌なんでしょ?でも…私は、もっとおねーさんとたくさんお話して…仲良くなりたいなぁって思ってる。
だから、勝負。しよう?断らないよね、おねーさん?」
彼女の頭の中に一抹の不安がよぎる。微笑する『彼女』が何を考えているのかは知らないが、竜は戦いを求められてそれを断ることはない。
さっきから『彼女』はなんでも知っているような口ぶりをしている。それがひどく不気味でならないのだ。
だが…どんな謀略があろうとも、退くことはできない。私の血が、誇りが、戦う以外の選択肢を望んでいないからだ。
「ふん、是非もない、その勝負乗った。必ず私が勝ち…貴様にはこの身体から出ていってもらうぞ。」
「そう、ありがとうねぇ、おねーさん。これで…
…心置きなくこの身体を支配できる…」
突如『彼女』は口元を歪めて不気味な笑顔になり、それと同時に指を鳴らす。
すると不意に彼女の身体が腰砕けになり地面に座り込んだまま動けなくなる。このふつふつと高まる感覚は…情欲…!?
「な…!?貴様、何を…!」
その問いには意も介さず、『彼女』は思わせぶるようにゆっくりと彼女へと歩みを進めていく。
「勝負の内容はねぇ…私がおねーさんにエッチなことをするから…それにイかずに10分耐えればいいってこと…じゃあ、行くよー?」
362 ... sage 2014/03/30(日) 19:34:16.29 ID:oyHjdTVj
「…っ!ぅあ、はっ…」
「おねーさん…まだ指一本しか入れてないんだよ?敏感だからって、それくらいでイッちゃったら張り合いないよねぇ?」
チッ…何だこいつ…さっきから要領を得た指使いであちこち刺激して。まだ始まって二、三分くらいも経ってないのに、完全にスイッチが入ってしまった…!
尻尾や翼の付け根の気持ち良いところまで撫でられて、まるで竜の身体の構造を全て心得ているみたいだ…
私自身ですら、自分の性感のツボなど少ししか知らないというのに…
「うるさ、い…っう!?」
「ほらほらぁ、二本目くらいで限界なんて言っちゃだめだよ?あ、こっちも欲しそうにヒクヒクしてるね…?」
「やめ、おい、そっちを触ってもなにも、っつ!?なぁああっ!?」
「あー、やっぱり二穴責めはいきなりはまずかったかなぁ?ほらほら、動かさないから、耐えて耐えて。」
「言われなくても…こんなの…余裕で耐えられる…!」
「あはぁ、それだけ大口叩けるなら大丈夫だねぇ。」
…大丈夫なわけがない。今の衝撃は、これがもし先ほどあの女王に犯されていた時にされていたなら一発で絶頂だったに違いない。
今のは偶然何かのはずみでそれを免れただけ。それを認めたくないから態度を大きくしただけ…
くそ、本当に、ただの魔蜂か?こいつは…!?まるでエリーの淫魔の手技を教わったかのような腕前をして…!
「あー、今、絶対余計なことを考えたねぇ!そんな目してたよ!
ダメだよ?戦士が勝負以外のことを考えてちゃ!お仕置きだよ!えいっ!」
「っ~~~っ!…ぅっく、う…あ、あれ…!?」
え…なんだ?今の…スッと快楽の波が引いたような…
絶対、絶対にイクと思ったのに…なんでだ!?もう少しのところだったのに…
…っておい、何考えてるんだ私。
魔蜂とはいえまるでドッペルゲンガーのような私にそっくりな…それこそ自分の分身のような奴にイかされるなど、恥の極みだ…!
クリへの責めに耐えられたのだから良しとしなければ。正直、今のは完全に負けたと思ったがな…危ない危ない。
「…あは、良かったねぇおねーさん耐えれて。」
「当然だ。孤高に生きる竜が己の性欲を自身で管理できなくてどうする。」
「へぇー?じゃあ、ぜーんぶいじっても問題ないね?」
「な、おい、それは…ッぅクぅっ……ぁあ…っは………あ…あ?…うっく…っつ…っはぁああ………う、うぅ?」
…おかしい、いよいよおかしく思えてきた。なぜ、なぜ絶頂しない?
あの憎き女王の凌辱を受けたときにはたしか性器と胸だけの刺激でイッてしまったはず…
それに加えて尻穴から挟むように圧迫されたりとかクリまで刺激されたりとかまでされてイかないわけがないんだ…
こんなに強い刺激を受けて、最後の一線を超えないわけがないじゃないか!
そもそもだいたい、身体がさっきから言うことを聞かないのもこいつが指を鳴らしてからだ。
こんじゃまるで、私がこいつの操り人形みたいじゃないか…!
くそ、私と同じ顔で何も知らないような表情でニコニコして…いったい、何を企んでるんだ…
363 ... sage 2014/03/30(日) 19:35:42.86 ID:oyHjdTVj
「ふふ、聞きたいことがいっぱいありそうだね。」
「あぁあるとも。貴様、私の身体に何をした?さっきから身体が動かないが、これは何なんだ。言っておくが、これでは勝負としてフェアじゃないぞ。」
「…今、そこで寝そべっているその身体が、おねーさんの身体…?あっははは…違うよ。」
「妙なことを言うな?私の身体が私のものでなければなんだというんだ?」
私のその言葉に、笑いが隠せないでいるという雰囲気の『彼女』。憎たらしい…
「…おねーさんの身体、実体はないよ?まぁ、それは私も同じ。だって、ここは夢の中、頭の中だけの世界だからねぇ。」
「だからなんだというんだ。」
「ごめんね、私おねーさんが自棄になって泣いてる間に、色々とさせてもらっちゃったんだ。具体的には…侵食からの乗っ取り、かなぁ。」
「…おい、まさかとは思うが、私の身体は…」
「あはぁ、分かっちゃったみたいだねぇ。…そう、おねーさんの身体…もとい、この身体はもう私のモノ。
私はおねーさんのこれまでの記憶とか、弱いところとか、好きなヒトとか…全部知ってるよ?…だって、私のカラダだもんねぇ。
もう、マンティコアのレイアというヒトは存在してないよ。見た目は同じでも中身はもう魔蜂…『私』だからねぇ。
ああそうだ、そのおねーさんの身体は私があげただけのかりそめのもの。私が作ったんだから、私がいくらでも制御できるんだ。」
私の表情はおそらく怒りに満ちている。自分は手のひらの上で踊らされただけだったのかと思うと悔しくてならない。
どうりで絶頂しないはずだ。この身体が『彼女』の思い通りになるならば、それを止めることは造作もないはず。
私の記憶を読んだならば、私の感じる部分を察知することなど容易であってしかるべきだ。
私が勝つ可能性はそもそもなくて、だからこそしばらく遊ぶような行動に出たと…
『彼女』はこんな手の込んだマネをして私を生殺しにして苛めたかっただけだったのか、くそっ…!
「今あるおねーさんの心は、言ってみちゃったら魂そのものなんだ。
せっかく身体を乗っ取っちゃうんだから、魂も屈服させてみちゃおっかなぁ…なんてねぇ。」
「ふざけるな、この、外道が…!」
「あ、そんなこと言っていいの?ちょっと傷ついたよ?
…あーあ、やーめた。もう少し粘っておねーさんが『お願いだからイカせて』って涙目になってお願いするまで待ってあげる気だったんだよ?
でも気が変わった。…今イかせる。」
すでに散々に弄られてトロトロに惚けかけている私の二つの穴に突き入れられた三本の指が突然に前後し、くねり、中を掻き回す。
それだけでも経験のない私にははち切れそうな思いで、確実に絶頂を迎えているつもりなのに…
まだ、一線を超えない、
超え…られない。
なんでこんなに張りつめているのにこんなに冷静なんだ私は……そう、か…狂う…ことすらも許されてない…んだ。
「くぅ…っぁ…!ぁ…かはっ…!?く…こんなの、許さ、ない…からなぁ…!」
「大丈夫だよ。さすがに意識までは乗っ取らないよ?…だけど、この身体は私のもので、おねーさんの心も私のもの。それはわかってねぇ?
…じゃあ、堕ちなよ、『元私』。」
「ぃぐ…あ…ぁぁぁがああ…っ!」
クリトリスを押しつぶされる雷のような快楽に撃たれ、私の意識は天へと吹き飛び、ゆらりゆらりと木の葉のように降下し、闇へと沈んでいった。
目の前の『私』が、ひどく純粋そうな目で微笑みかけていた。
その顔が近づき、互いの唇が---
364 名無しさん@ピンキー sage 2014/03/30(日) 19:40:36.00 ID:oyHjdTVj
お粗末さまでした。この程度の容量にこんなに時間がかかったのはcytusのせいなんだ!俺のせいじゃねぇ!
とりあえず主人公がこれで堕ちましたが…みなさまの食指が動くような内容じゃないですね。精進します。
今後も暖かい目で見てくれたらありがたいです。
一度区切りのいいところまで出来たので、パソコンが空き次第に投下します
まだ終わりは見えませんが今夜もよろしくお願いしますね
358 ... sage 2014/03/30(日) 19:29:15.68 ID:oyHjdTVj
『竜姫の趣味趣向(parasitism side)』 その2を投下です。
「ぅ…ん…ううん…ん…?ここ、は…?」
「れ、レイア!目を覚ましたか!」
「…あ…姉、貴……?み、見ないでっ!来ちゃダメっ!」
「えっ!?ど、どうしたんだ、いったい…?
落ち着けよ、な?大丈夫だ、大丈夫。オレは側にいるけど、何があったか聞かないし、見ない。約束するよ…」
「あ、姉貴…ありがとう…
…落ち着いてきたかもしれない。姉貴、面と向かって話しよう、どこにいるの?
って、あれ…えっ、なに、これっ!?」
視界にいない姉のもとへ歩いてゆこうとした彼女は、前へ出そうとした足に違和感を覚え、下を向くと同時に絶叫した。
驚くのも無理はない。彼女の前腕部と太もも、つまり両手両足が途中から床の中に入り込んでいるのだ。
彼女はぐっと力を入れて抜こうとするが、中でぴったりと密着していて引き抜くことはできないようだった。一応、手足は無事らしい。
焦って左右を見ると、そこにも壁。後ろも壁。だが、目の前だけは開放され、扉の類のものは取り付けられてない。位置からして、床よりも若干高いようだ。
こんな棚に収納されているような猟奇的な拘束、いったい何が起こっているのか…とじっくり考えてあることを思い出す。
彼女が初めに取り押さえられた時に取り付けられた固まったハチミツでできた枷。この床がそれと同じ色なのだ。
なるほど、手足を穴の開いた容器に差し入れた後その中をハチミツで満たし、四肢を埋め込んでしまったというわけか。
そう考えがまとまると、不自由な身体だが意外と心は落ち着いてくる。
彼女はよほど敵を無力化させることにこだわる連中だと溜め息をしながら状況の把握に努めようと思い立った。
「やっぱりレイアでもビックリするか。オレも気がついて初めは肝を冷やしたんだ。
まるで、手足を切り落とされたんじゃないかって思ったくらいだぜ。」
「姉貴も、同じように?って言うか、どこにいるの?ここ、どこなの?というか、姉貴たちはどうして捕まったの?」
「隣だ、右。まぁ、仕切りがあるから見えねぇけどな。
あと、オレたちがここに連れてこられたのは…オレの責任だ。オレに伝令が来たというから通したんだが…これが罠でさぁ。
エリーを人質にとられて、どうしようってオロオロしてるうちにキャンプごと包囲されちまった。それで仕方なく降伏だ。エリーの命には代えられないからな。
卑怯だけど、降参したふりをして隙をついて蹴散らそうって考えだった。だけどあいつらご丁寧に皆に一斉に毒針を突き立てやがったんだぜ?
そうそう、世話しにくるヤツが言うには、ここは雑居房だとよ。オレたちほとんど全員がたくさんの牢屋に分かれてこんな状態だとさ。
まったく、こんな磔みたいにしないと気が済まないなんて、あいつらよっぽどオレらの腕力が怖いみてぇだな。」
「え、エリーは!?」
「あいつは力ずくで脱獄される心配がないからって独房でのびのびやってるってよ。華奢なのがうらやましいなんて初めて思ったぜ。」
「そ、そうなの…」
「それにしたって、変装してオレたちを助けに来たんだって?やっぱりお前はエリーに似て頭が冴えるな。」
「でも、このザマじゃね。成功してないなら思いつかないのと一緒。」
「ははは、結果が全てじゃないだろ?オレはお前の頑張りを評価した。この事実があればお前はくじけない、そうだろ?」
「姉貴…ありがとう。辛い状況だけど、這いつくばってでも、私は頑張れる…!」
「その意気だぜ、レイア。今は無理だろうけど、絶対逃げるチャンスはあると思う。そこを逃さないように、気張っていこうな!」
それから一週間がたち、彼女たちの拘束生活は未だに続いていた。
窓もなく、魔力のランプが照らす明かりだけがついているため、外の時間は窺い知れないが、
食事の時間と排泄の時間と称して世話役がやってきてくれるため、だいたいの時刻をそれで知ることができた。
日に二度ある食事の時間に出されるものは、ハチミツだけ。
まぁ、こんな状態で贅沢は言えないが、魔蜂の習性からごくごく当たり前に口移しで食べさせてくるのはいい加減に勘弁してほしかった。
そんな食生活からか、最近四日ほど大の方が出てない。三日目に一週間ぶりのお通じが来てすっきりして以来、腸に固形物がないせいかもしれない。
そのことを報告したとき、返事がなかったので姉はまだ便秘が続いているのだろう。世話役の娘も下剤を用意すると言っていたっけ。
359 ... sage 2014/03/30(日) 19:30:48.16 ID:oyHjdTVj
しかし、なんだかんだ文句もあるが、レイアは一抹の安心を感じていた。
ここがあの憎き怨敵の居城と考えると反吐が出そうだが、ここまで至れり尽くせりの生活を過ごしたことは正直ない。
仕事をしなくともよいし、甘くておいしいハチミツが食べられる。
ちなみにときおりそれとは別に白いハチミツがもらえることがあるのだが、酸味が強くてそれは彼女には好みではなかったのは内緒だ。
暇なときは守衛に頼んで仕事のない補欠の娘を話相手に呼んでもらえることもできた。
四肢を埋め込まれて固定されていなければ普段彼女が休暇をとっているときよりも充実していた一週間となっただろう。
それに、なんといっても姉が常に隣にいる。それが彼女には心強かった。
そんな珍妙な生活を送り、敷居を隔てた隣にいる二人だが、レイアは一つだけ姉に言えないことがあった。
月の物が来ないと気付いたのは二日目のことだ。
彼女の計算では、本来ならば三日前…つまり、彼女がこの巣へと立ち入る前に来ているはずだった。
本当にたまたま遅れていただけだと思っていたそれは、二日、三日と遅れるにつれ、彼女にある懸念を思いつくことを強要させた。
そして、六日目にその最悪の想像が裏付けされてしまってた。
眠りから覚め、ふと下を見ると彼女のやんわりと割れた腹筋が見えるはずの下腹部が、一晩にして一回り二回りも大きくなっていたのだ。
息を呑み、悲鳴を上げそうになるがそれを首の皮一枚で止める。自分の異変を姉に知らせたくないからだ。
彼女はその時思っていた、たとえその場しのぎにしかならなくとも、現実逃避にすぎないとしても、姉に心配をかけたくないと。姉に恐れられたくないと。
だから、自身の異変が見えないことをいいことに、彼女は姉に何日も真実を隠し通した。
だが、彼女に非はない。最愛の家族にこんなことを知られるなど竜の一族でなくとも身の破滅を招く。誰が彼女の立場でも打ち明けられないだろう。
薄気味悪い蟲の卵を腹に植え付けられたことなど。
その卵のせいで懐妊したことなど。
そして、子宮の中にうごめく何かを感じていることなど。
だが、臭いものに蓋をしたままチャンスが巡ってくるほど世の中というものは甘くなかった。
いや、そもそも彼女の運命はもはや快方に向かうことはないのだが。
八日目の朝の食事が口移しで飲まされたとき、それは始まった。いや、最終段階に入ったというべきか。
「…ん?…あ、れ…!?今、お腹が、動いた…?」
「…あっ、ついに…!お母様に伝えなきゃ!」
「え、ちょっと!待ちなさい!」
大急ぎで駆け出した世話役に、何かを知っていると悟った彼女は必死で説明を求めるも、置いてきぼりにされた。
相当焦った様子の彼女に、隣にいる姉もただ事でない何かを感じ取る。
「おい、レイア、何があった?」
「え?いや、その…」
これまで秘密にしていたことが露見しそうになる恐怖から彼女の口からは答えとなる言葉は紡がれない。たとえ腹の中がもぞもぞと動く感覚に見舞われようと。
だがその代わりに返事をする者がいた。
「…おい、この音、なんだよ?」
「えっと…私にも、わからない。…ッ!?うわああがあぁっ!?」
彼女の腹が、腹が空いているかのようにグゥと鳴る。
ただそれだけのことだが、二人にはそれはとても恐ろしいものに感じられた。そして、その感覚は彼女にこれから起こることを鑑みると正しいものである。
腹部に突如猛烈な痛みを覚え、その焼き切れるような衝撃に全身がこわばり、苦痛から逃れようと不自由な身体をめいっぱい揺さぶる。
彼女は先日産み付けられた卵を出産してしまうと理解しひどく焦燥した。これが噂に聞く陣痛かと。
蟲の卵と竜のそれで見た目が違い過ぎる。もし隣の姉に産まれた卵を見られでもしたら…
「レイア!?どうしたんだ!?辛いのか、痛いのか、何が起こってるんだ!」
「いやあああっ!だめっ、言えない…っ!いっぐ…姉、貴には…っ…言えないよ…ぉおおおおおお!?」
ボコボコという音を立てながら、ただでさえポッコリと大きくなっていた彼女の腹がより歪に膨れ上がり、その張りつめた表皮が弾力の限界を訴える。
腹に直接空気をポンプで入れていくような異様な変化を現在進行形で行っている自らの身体に彼女は戦慄する。
激しい腹痛と己の身体に何が起こっているのか見当もつかない恐怖から冷や汗が後から後から出て彼女の全身がしっとりと濡れているのがわかる。
360 ... sage 2014/03/30(日) 19:32:07.29 ID:oyHjdTVj
自分の身体に起こったこの異変は確実に自分が思いついたそれではないという彼女の直感は実に正しい。
蟲の卵が他種族の胎内に入れられるということの目的とはだいたいがその幼生の養分としてその宿主を生贄に捧げるということだ。
そう、彼女に産み付けられた卵はすでに孵っていた。
その幼き蟲は、自身の殻を食べ、彼女の子宮に噛み付き、その血を養分として育っていった。彼女の腹が膨れていたのはこの蟲の成長のせいである。
普通ならばある程度大きくなったところで体外に這い出るなり彼女の血肉を喰らい尽くしてしまうなりするのだろうが、
それは人間の常識。魔界の生物の生態はもっと多様であった。
彼女の中で産まれたそれは、何日もの時間を擁して彼女の胎内で羽化までも済ませると、彼女の腹腔に針で小さく穴をあけて破り、腸へと侵攻していた。
その中でさらに血や老廃物を喰らいつつ大腸を移動するそれは排泄物としてガスを発生させている。
とどのつまり、彼女に生じた異変はこの蟲のガスが腹の中に充満し溜まったことによる張りつめた痛み…言い換えるなら度を越した便秘の症状のようなものだった。
蟲の身体自体が栓となっていくら力もうともほとんど排出されず、それでいて次から次へとガスの総体積は増える一方。
「レイア!レイア…っ!お前にはオレがついてるからな!…ちぃっ、なんで壊れねぇんだよ!ちくしょう!」
「う、ぐぅ…あ…ぁ゛…」
腸内全体が圧迫されるほどに高まった内圧に彼女の苦痛はピークに達し、もはや姉の気遣う声も耳に届かず、動かぬ四肢に力を込め苦痛に耐えているしかない。
大腸の端から端へと移動し、直腸へとたどり着いたその蟲は次に、直腸内で体を反転させた。
その際に隙間が生まれ、ようやく彼女を苦しめていたガスが解放される。
ボフッという大げさなような音を立て、彼女は大きなおならをした。
…沈黙ののち、二人の間に大きな笑いが起こる。
これだけ苦しむ声を出しておいてその理由がおならでは彼女も笑うしかないし、姉は姉で命にかかわることでなくて胸をなでおろす気分であった。
しかし、彼女の心配は完全には収まらなかった。先ほど蟲に押し破られた部分から伝わる苦痛の信号を感じていたからである。
今のがただのおならだったとして、この腹の中の痛みは何なのだろうか、という疑問だ。
その疑問にまるで答えるかのように、蟲が次の行動を起こす。
直腸の腸壁に噛み付いたそれは彼女の血を摂取しつつ、針から毒を、口から酸を彼女へと送り込む。
すると、彼女の体内組織が次第に形を歪め、ドロリと重力に負けるように崩壊し、溶けていった。
どうやら蟲の腹部が肛門を押さえつけて溶けた彼女の内臓が漏れ出すのをせき止めているようだった。
今度は突然に下っ腹が膨らみビール腹のように変化した自身の胴体に彼女は涙目になっている。
しかも、痛覚をマヒさせる毒を送り込まれたせいで、特に苦しく感じないところがまたさらに彼女を恐怖に陥れる。
苦痛を感じる能力を失った身体。あの憎き女王から受けた凌辱がフラッシュバックして彼女の精神を細切れにして砕いていく。
気付けば彼女は大声を上げて赤子のように泣きじゃくっていた。心が受け止められる苦しみの許容量がすでに限界を越していたのだ。
流れる涙と鼻水もいとわず悲しみに打ちひしがれる彼女と、彼女の声を聞いて焦燥するも己の無力さに歯ぎしりする姉。
そんな彼女たちに気付かれぬまま、蟲はドロドロになった彼女の体内をまるでジュースでも作るかのようにかき回している。
いや、その表現は比喩ではなく正しいのかもしれない。
それは彼女の体内に満ちるドロドロの液体は、まさしく彼女という人物の血肉そのものにより成り立つモノなのだから。
ひとしきりかき回すことに満足したのか、蟲はその手を休め静止した。
しかしすでに彼女の体内は臓器が溶けたさまざまな色の液体がグチャグチャにされ混沌としたものになっている。
それは、まるで羽化する前の蛹の中身のようである。
そう、彼女はまさしくこの蟲の蛹であった。
この蟲はすでに羽化した身体でなお、彼女の体内を繭にしてさらなる変態を行使しようとしていたのだ。
蟲は腹部を中心に器用に体をたたみ、自らの周囲に酸を噴霧し自らの身体すら溶かしてしまう。
もうそこには蛹の中身しか残ってはいなかった。
361 ... sage 2014/03/30(日) 19:33:18.39 ID:oyHjdTVj
時間の感覚も忘れ、ただただ狂ったように嗚咽が続いていた彼女の心が落ち着いたのは外では夕日が沈む時間になってからであった。
半日近く泣き続け疲れ切った彼女は姉の慰めの言葉に返事を帰すこともできないまま糸が切れるように居眠りしてしまっている。
真白く、空も地も同じ色。立っているのに浮遊しているかのような虚無感しかない空間。
ときおり誰でも経験する、夢だと自覚できている夢。その中に彼女は生まれたままの姿で立っていた。
「ねぇ、」という言葉に振り向くと、そこには鏡に映したように同じ姿勢で自分が立っていた。
いや、これは自分ではないと彼女は目の前の自分に訝しむ目線を送る。
なぜならその『彼女』は、額から触角を伸ばし、虫の持つそれのような透き通る薄い翅を生やし、蜂の持つ腹が尾の代わりに生えているのだから。
「貴様は誰だ。…まさか、私の魔虫への憎みが生みだした存在…とかか?」
「それは違うねぇ。私はお母様から生みだされた存在。おねーさんから生まれたものじゃない。」
「…そうか、貴様か、私の身体を断りもなく弄ったのは。…私の胎内で生まれたのは。」
憎悪のこもったその声に『彼女』は薄い笑みを浮かべる。
「ご名答!おねーさん、お母様が言った通り、すごく頭がいいヒトなんだねぇ!」
キャピキャピという擬音語が似合うはしゃぎように、彼女は反吐が出る思いだ。その表情はまさに、苦虫を噛み潰したよう。
「消えろ。百歩譲って、私の身体に居座ることは許しても…こうして夢にまで出るなど、私を愚弄するにもほどがあるぞ…!」
「あははは、たしかにそうだねぇ。おねーさん、私たちのことすっごく嫌いだもんねぇ…こんなこと言われちゃうのもしょうがないかぁ…」
後ろ手に手を合わせ、しょんぼりとした表情でふらふらと彼女の周りを歩く『彼女』。
そんな調子で元の位置まで一周した『彼女』が思いついたように手をポンとたたく。
「そうだ!おねーさん、私と勝負しない?」
「…私と勝負だと?」
「そ、私とおねーさんが勝負して…負けた方は勝った方に従うの。
おねーさん、私がここにいるのが嫌なんでしょ?でも…私は、もっとおねーさんとたくさんお話して…仲良くなりたいなぁって思ってる。
だから、勝負。しよう?断らないよね、おねーさん?」
彼女の頭の中に一抹の不安がよぎる。微笑する『彼女』が何を考えているのかは知らないが、竜は戦いを求められてそれを断ることはない。
さっきから『彼女』はなんでも知っているような口ぶりをしている。それがひどく不気味でならないのだ。
だが…どんな謀略があろうとも、退くことはできない。私の血が、誇りが、戦う以外の選択肢を望んでいないからだ。
「ふん、是非もない、その勝負乗った。必ず私が勝ち…貴様にはこの身体から出ていってもらうぞ。」
「そう、ありがとうねぇ、おねーさん。これで…
…心置きなくこの身体を支配できる…」
突如『彼女』は口元を歪めて不気味な笑顔になり、それと同時に指を鳴らす。
すると不意に彼女の身体が腰砕けになり地面に座り込んだまま動けなくなる。このふつふつと高まる感覚は…情欲…!?
「な…!?貴様、何を…!」
その問いには意も介さず、『彼女』は思わせぶるようにゆっくりと彼女へと歩みを進めていく。
「勝負の内容はねぇ…私がおねーさんにエッチなことをするから…それにイかずに10分耐えればいいってこと…じゃあ、行くよー?」
362 ... sage 2014/03/30(日) 19:34:16.29 ID:oyHjdTVj
「…っ!ぅあ、はっ…」
「おねーさん…まだ指一本しか入れてないんだよ?敏感だからって、それくらいでイッちゃったら張り合いないよねぇ?」
チッ…何だこいつ…さっきから要領を得た指使いであちこち刺激して。まだ始まって二、三分くらいも経ってないのに、完全にスイッチが入ってしまった…!
尻尾や翼の付け根の気持ち良いところまで撫でられて、まるで竜の身体の構造を全て心得ているみたいだ…
私自身ですら、自分の性感のツボなど少ししか知らないというのに…
「うるさ、い…っう!?」
「ほらほらぁ、二本目くらいで限界なんて言っちゃだめだよ?あ、こっちも欲しそうにヒクヒクしてるね…?」
「やめ、おい、そっちを触ってもなにも、っつ!?なぁああっ!?」
「あー、やっぱり二穴責めはいきなりはまずかったかなぁ?ほらほら、動かさないから、耐えて耐えて。」
「言われなくても…こんなの…余裕で耐えられる…!」
「あはぁ、それだけ大口叩けるなら大丈夫だねぇ。」
…大丈夫なわけがない。今の衝撃は、これがもし先ほどあの女王に犯されていた時にされていたなら一発で絶頂だったに違いない。
今のは偶然何かのはずみでそれを免れただけ。それを認めたくないから態度を大きくしただけ…
くそ、本当に、ただの魔蜂か?こいつは…!?まるでエリーの淫魔の手技を教わったかのような腕前をして…!
「あー、今、絶対余計なことを考えたねぇ!そんな目してたよ!
ダメだよ?戦士が勝負以外のことを考えてちゃ!お仕置きだよ!えいっ!」
「っ~~~っ!…ぅっく、う…あ、あれ…!?」
え…なんだ?今の…スッと快楽の波が引いたような…
絶対、絶対にイクと思ったのに…なんでだ!?もう少しのところだったのに…
…っておい、何考えてるんだ私。
魔蜂とはいえまるでドッペルゲンガーのような私にそっくりな…それこそ自分の分身のような奴にイかされるなど、恥の極みだ…!
クリへの責めに耐えられたのだから良しとしなければ。正直、今のは完全に負けたと思ったがな…危ない危ない。
「…あは、良かったねぇおねーさん耐えれて。」
「当然だ。孤高に生きる竜が己の性欲を自身で管理できなくてどうする。」
「へぇー?じゃあ、ぜーんぶいじっても問題ないね?」
「な、おい、それは…ッぅクぅっ……ぁあ…っは………あ…あ?…うっく…っつ…っはぁああ………う、うぅ?」
…おかしい、いよいよおかしく思えてきた。なぜ、なぜ絶頂しない?
あの憎き女王の凌辱を受けたときにはたしか性器と胸だけの刺激でイッてしまったはず…
それに加えて尻穴から挟むように圧迫されたりとかクリまで刺激されたりとかまでされてイかないわけがないんだ…
こんなに強い刺激を受けて、最後の一線を超えないわけがないじゃないか!
そもそもだいたい、身体がさっきから言うことを聞かないのもこいつが指を鳴らしてからだ。
こんじゃまるで、私がこいつの操り人形みたいじゃないか…!
くそ、私と同じ顔で何も知らないような表情でニコニコして…いったい、何を企んでるんだ…
363 ... sage 2014/03/30(日) 19:35:42.86 ID:oyHjdTVj
「ふふ、聞きたいことがいっぱいありそうだね。」
「あぁあるとも。貴様、私の身体に何をした?さっきから身体が動かないが、これは何なんだ。言っておくが、これでは勝負としてフェアじゃないぞ。」
「…今、そこで寝そべっているその身体が、おねーさんの身体…?あっははは…違うよ。」
「妙なことを言うな?私の身体が私のものでなければなんだというんだ?」
私のその言葉に、笑いが隠せないでいるという雰囲気の『彼女』。憎たらしい…
「…おねーさんの身体、実体はないよ?まぁ、それは私も同じ。だって、ここは夢の中、頭の中だけの世界だからねぇ。」
「だからなんだというんだ。」
「ごめんね、私おねーさんが自棄になって泣いてる間に、色々とさせてもらっちゃったんだ。具体的には…侵食からの乗っ取り、かなぁ。」
「…おい、まさかとは思うが、私の身体は…」
「あはぁ、分かっちゃったみたいだねぇ。…そう、おねーさんの身体…もとい、この身体はもう私のモノ。
私はおねーさんのこれまでの記憶とか、弱いところとか、好きなヒトとか…全部知ってるよ?…だって、私のカラダだもんねぇ。
もう、マンティコアのレイアというヒトは存在してないよ。見た目は同じでも中身はもう魔蜂…『私』だからねぇ。
ああそうだ、そのおねーさんの身体は私があげただけのかりそめのもの。私が作ったんだから、私がいくらでも制御できるんだ。」
私の表情はおそらく怒りに満ちている。自分は手のひらの上で踊らされただけだったのかと思うと悔しくてならない。
どうりで絶頂しないはずだ。この身体が『彼女』の思い通りになるならば、それを止めることは造作もないはず。
私の記憶を読んだならば、私の感じる部分を察知することなど容易であってしかるべきだ。
私が勝つ可能性はそもそもなくて、だからこそしばらく遊ぶような行動に出たと…
『彼女』はこんな手の込んだマネをして私を生殺しにして苛めたかっただけだったのか、くそっ…!
「今あるおねーさんの心は、言ってみちゃったら魂そのものなんだ。
せっかく身体を乗っ取っちゃうんだから、魂も屈服させてみちゃおっかなぁ…なんてねぇ。」
「ふざけるな、この、外道が…!」
「あ、そんなこと言っていいの?ちょっと傷ついたよ?
…あーあ、やーめた。もう少し粘っておねーさんが『お願いだからイカせて』って涙目になってお願いするまで待ってあげる気だったんだよ?
でも気が変わった。…今イかせる。」
すでに散々に弄られてトロトロに惚けかけている私の二つの穴に突き入れられた三本の指が突然に前後し、くねり、中を掻き回す。
それだけでも経験のない私にははち切れそうな思いで、確実に絶頂を迎えているつもりなのに…
まだ、一線を超えない、
超え…られない。
なんでこんなに張りつめているのにこんなに冷静なんだ私は……そう、か…狂う…ことすらも許されてない…んだ。
「くぅ…っぁ…!ぁ…かはっ…!?く…こんなの、許さ、ない…からなぁ…!」
「大丈夫だよ。さすがに意識までは乗っ取らないよ?…だけど、この身体は私のもので、おねーさんの心も私のもの。それはわかってねぇ?
…じゃあ、堕ちなよ、『元私』。」
「ぃぐ…あ…ぁぁぁがああ…っ!」
クリトリスを押しつぶされる雷のような快楽に撃たれ、私の意識は天へと吹き飛び、ゆらりゆらりと木の葉のように降下し、闇へと沈んでいった。
目の前の『私』が、ひどく純粋そうな目で微笑みかけていた。
その顔が近づき、互いの唇が---
364 名無しさん@ピンキー sage 2014/03/30(日) 19:40:36.00 ID:oyHjdTVj
お粗末さまでした。この程度の容量にこんなに時間がかかったのはcytusのせいなんだ!俺のせいじゃねぇ!
とりあえず主人公がこれで堕ちましたが…みなさまの食指が動くような内容じゃないですね。精進します。
今後も暖かい目で見てくれたらありがたいです。
竜姫の趣味趣向(parasitism side)
341 ... sage 2014/03/27(木) 23:33:27.01 ID:AYqx/RnX
>>331です。とりあえず途中まで投下します。前置きが長いのはご愛嬌で。
もしそれが面倒なら最後のレスまで飛ばしてください。
『竜姫の趣味趣向(parasitism side)』
人間の世界で些細な肌の色などで差別やいさかいが生まれるように、魔界に住む者達も決して一枚岩ではない。
魔界の中でも異種族との間の衝突はあり、特に魔竜族と魔虫族の民族間紛争は深刻であった。
その理由としてはごく簡単なことで、『産めや育てや』の精神を持つ魔虫族は、『孤高』を常に肝に銘じている魔竜族にとっては忌むべき存在なのだ。
また、魔虫族からすれば集団行動を嫌う教育理念と高すぎる上昇志向を持つ魔竜族の民族性は軽蔑する点として大きい。
その緊張は、魔竜族の長が魔虫族の長と話し合い、政略結婚にて和議が結ばれる方向で話がまとまりつつある今も変わらなかった。
レイア・バハムーン。
生まれながらにして将来を約束されたも同然と言われる家系に、三姉妹の次女として生まれ、
竜の部族の戦士ならば誰もがその肩書きを欲する高位な存在、騎士団に二人の姉妹と共に所属している竜亜目合成獣科マンティコアの剣士。
族長の直属の部隊の一員として仕える誰もが羨むエリートだが、その人生は決して順風満帆なものではなかった。
魔虫族との交戦が行われている前線近くにあった家は彼女が初等教育を受けている頃に魔蜂の部隊に襲撃され、その両親とともに灰と化した。
たとえ良家の生まれでも、親族という概念が存在しない魔竜族に彼女に救いの手を差し伸べる者はおらず、
彼女はすでに騎士団に所属していた姉の助けを借りて血のにじむような努力からこれまでの半生を何とか勝ち組として暮らしてきた。
だが、その研鑚のもとに成り立った安寧の生活にも、ついに亀裂が走ることになってしまった。
「そんな…姉貴が、負けたって言うのか!?」
「そうなのよー…私が谷まで降りてって川へ水を汲みに行ってる間にね、キャンプはもう火の海だったのよ…」
「くっ…被害は!?」
「それがわかったら苦労しないわよー、身体が乾くの覚悟で探したけどキャンプには死体は一つもなくて資材も盗まれてもぬけの殻だったのよー。
…一つ言えることは、ここまで帰ってこられたのがアタシ一人だけってこと。…分かるわね、部隊長?」
「…遺体がないということは、何らかの方法で姉貴の部隊は無力化させられ、敵に連行されたことになる。
基本的に、この戦線で現れる敵は…ほとんどが魔蟻で残りが魔蜂。だけど、進軍経路の敵を全て薙ぎ払う魔蟻がこんな人質をとる作戦をするなんて考えにくい。
というか、団長たる姉貴の直属の部隊を押さえることのできる頭脳派は、魔虫族にはそもそも、一人しかいない…!」
「魔蜂の長、女王蜂のパラレビー、ねー…まさか、部隊長の因縁の敵が、こんなところで現れるとはねぇ。何の因果よ、これー…」
「いや、だけど…これは私には絶好の好機ともいえる…奴らのことだ、捕虜とはいえ必ず巣に持ち帰っているだろう。
もし、私がそこに潜入し、捕虜を解放できれば…」
「内側から崩せるー…ね。でも…危ない橋を渡ることになるわね。
たしかに、成功すれば部隊長の妹…エリーちゃんだっけ、それと団長たちを救うことができるわよ?それに、仇だって討てるかもしれないわね…
でも…相手はアタシたちとは違う。文化も、頭の中も、何もかもがアタシたちの理解の範疇を超えてるやつらよー…」
「それはもちろん分かってる…だけど、私は、このまま座して姉貴たちに敗者の烙印を押させたくないんだ!」
「部隊長…分かったわよ、どうせ私は伝令にすぎないから部隊長に文句言える立場じゃないしねー…
…笑顔でまた会えるよね、レイア先輩…」
「おい、その呼び名はよせと言ったろ…だけど、素直にその思い、受け取るよ。
ほら、小指、出しなよ。指切りげんまん、嘘ついたら針千本飲ます、指切った!…これで合ってたっけな。」
「…えっ?なんなのよ、コレー…?」
「あぁ、人間の奴らが誓約を交わす時の作法らしい。このくらいリスクを負えば必ず成功できるって願掛けだな、たぶん。」
342 ... sage 2014/03/27(木) 23:34:38.01 ID:AYqx/RnX
先ほどの驚くべき報告を伝えたあの伝令は別の部隊長に報告へ向かい、今は部屋に彼女一人のみがいる。
「…よしっ!そうと決まれば、工作の開始だ…!」
騎士団の寮の自室、レイアは頬を叩いて気合いを入れつつひとりごちる。
その声こそ快活で元気そうな印象を与えるものだが、顔は引きつり、手足に生えた毛も逆立っていて、緊張の色が隠せない。
常勝を求められる魔竜族の戦士は、一度の敗北で退役が確定してしまう。
もし、捕虜の取引で囚われた姉と妹が帰ってきたとしても、自分一人の稼ぎでは二人を養うのは難しいだろう。
竜の社会に他民族に屈した者など排されるべきものなのだから。
彼女が手勢を率いて軍事的手段に出るとしても、彼女たちを救出しただけでは同じ。張られるレッテルは『敗者』の二文字でしかない。
つまり彼女たちへの社会的制裁を阻止するためには、『彼女たちが敵軍を潰走へと追いやった勝者である』という事実がどうしても必要なのだ。
それに、相手は騎士団の団長である彼女の姉ドラコと、騎士団の参謀役を務める妹エリーを擁する精鋭部隊をもってしても敵わなかった相手だ。
普段の自分たちがするようなありきたりの陳腐な行軍では、救い出すどころか返り討ちの可能性の方が高いとも考えられる。
だが…だからといってきちんと作戦を練ってこの問題に望むことを上層部は許すだろうか?答えは、否だ。
正攻法で堂々と勝ってこそ、竜の戦い。つまり、小手先の策すら用意することは本来認められていないのだ。
彼女の妹であるエリーが軍師の役職についているのは、彼女がもともと淫魔族からの養子で、部族の常識が通じない外部の者だからである。
彼女自身、マンティコアという純潔の竜とは程遠い合成獣の種族に属するからこそ、ここまで考えが及んでいる。
姉、ドラコも低級な翼竜の姿を持ち、体力ではなく頭脳で勝負するタイプの人物だからこそ今の地位を得た。
つまり、
「さぁ、どうやって潜入するか…」
レイアの最愛の姉妹たちを守るためには、
「奴らを騙し、陥れる、大きな一手を…」
彼女が独断で行動を起こすほかないのだ。
「姉貴、エリー…必ず、必ず勝って、勝って帰ろう!」
結論を言えば、
「何だ、くそっ!?なぜわかった!やめろ!離せッ!」
「だってねぇ、触角のない子は今は一人もいないはずだもんねぇ。」
「そうだねぇ、この前アネスちゃんが右の触手折れちゃって入院してるくらいだしねぇ。」
「それに、よく見るとおねーさんみたいに背が高くておっぱい大きくていかにもうまく飛べなさそうな体型、お母様くらいしか知らないしねぇ。」
レイアは魔蜂の巣の入り口であっさりと捕まってしまった。
彼女がとった策とは、魔蜂を討伐し、その皮を剥いで作った衣装で変装をしようという大胆かつ、視力の弱い魔虫族の特性を利用した巧妙な奇策だった。
…だが、甲殻を再現し、尻尾を再現し、羽や複眼まで似せたところで、彼女は出来栄えに満足し作業を切り上げてしまったのだ。
そのため、触角という魔虫族最大の特徴が再現されておらず、あっさりと看破されてしまった。
そう、魔竜族特有の慢心という呪縛が、彼女を失敗へと追いやったのだ。
突然の侵入者に若干のどよめきこそ生まれるが、そこはチームワークを最大の得意技とする魔虫族、
レイアはまるで世間話でもしているようなテンションで先ほどから会話している門番と衛兵によって身ぐるみを剥がされ、
彼女の武器であるレイピアと短剣を押収され、固めたハチミツのブロックでできた枷で両手を拘束され、その間に侵入者の報が全ての仲間に行き渡っていた。
その報は巣の主であるパラレビーへと伝わり、結果としてレイアは取り押さえられてから宿敵の前に引き出され尋問されるまで5分とかからなかった。
このまるで流れ作業を行っているようなこの素早い対応に、レイアは魔竜族の組織体制とを比較して嫉妬し、同時にとても大きな恐怖を覚えた。
人海戦術を行うことに長けた民族という認識しかなかった魔蜂のあまりに見事な対応。
まるで組織の人物全てがまるで一人の人間であるような淀みない情報伝達、慌てることのない鋼の対応力、仲間一人の体調まで共有する記憶力…
そのどれもが自分たちに足りないものであり、欲していたものだった。
そして、それを仕切る存在…それが、この目の前の女であり、女王蜂であり、両親の仇。
レイアは、わけのわからないほどに強く打ちひしがれる感覚に襲われ、圧倒され、脱力した。
それは、竜の戦士ならば死を覚悟したその瞬間まで味わうことのない、絶望だった。
343 ... sage 2014/03/27(木) 23:35:30.89 ID:AYqx/RnX
何度も、何度もその身体を…腕を、足を、腹を、頭を引き裂くことを夢見たその女王蜂の姿はさながら女神のような美貌を持っていた。
…もっとも、魔に生きる者にとってその表現は、人間が娼婦を雌犬呼ばわりすることと同義であるが…
むちむち、という表現が似合いそうな四肢は、先端が薄く甲殻に覆われた人外の姿をしているのを差し引いても官能的に見える肉付きの良さ。
胴体はほっそりとして極端と言われかねないほど短く、人間界の蜂と同様に尻尾のようなあの器官が本来の腹部であることがうかがえる。
腰回りの骨格がガッチリしているのか、臀部はレイアが嫉妬しかねないほどに大きく、少し歩くだけで男を誘うようにプルプルと揺れている。
育児と出産に追われている女王蜂ならではと言いたげに自己主張する豊満な胸は、もし彼女がレイアの怨敵でなければ揉みしだきたい衝動に駆られるところだ。
淫靡で熟れた身体に反し、その顔は清純で純潔を保った瑞々しい笑みを浮かべている。幼子が気に入った玩具を抱きかかえているかのような、そんな表情。
だが、世の男性からしてみれば、そのような表情がこの情欲くすぐられる肉体についてると気付けば、なおのこと滾ってしまうだろう。
服装はよく見れば上着のボタンが二つしか付けられておらず、肌着の首元の切れ込みがへそまで届かんばかりに伸びており、授乳しやすいように配慮されている。
下がスラックスなのはおそらく腰から突き出た蜂の腹部を露出させるのに適しているからであろう。
そのようないでたちからか、いささか女王という言葉が見た目には似合っていない活動的で男勝りな印象も与えられる。
化粧は薄く、自らの美貌を高めることに興味などないと言っているようなものだが、もともとの顔面偏差値が高いのでそんなことは気にならない。
レイアを興味ありげに見つめるその瞳は深遠な黒で、複眼の特性を持つことはパッと見でわからない、蠱惑(こわく)的な目つきだ。
「うふふ、遠路はるばるよく参ったのう、竜の娘子よ。
そなたの変装、なかなか見事であったと聞いたぞ。それこそ、触角を付け忘れなかったら危うかったと。
大方、妾が婚儀をするための準備で生じる隙と、捕虜の解放が狙いじゃろうな?成功されたらまずいことになっておったわ。」
一般に、家族形態をとる魔虫の一族の者は人間の幼子ほどの体型で成長が止まる。
空を舞い、捕食のためのみに動く彼女らに生殖行動のための能力を身につける必要も、豊かな体格になる必要もないからだ。
その証拠に、二人がかりでレイアを押さえつけ、女王に危害を加えないようにしているこの娘たちは、ずいぶんと貧相な背丈と胸をしている。
レイアは、横目でその二人を見やり、かつて両親を失った時自分は確かこのくらいの背丈だったと思い返し、
続いて目の前の自分の持つそれを一回り上回る魅力を持つ豊満な肉体美を見せているこの巣の女王を見て、いっそう彼女らへの憎悪が大きくなる。
彼女の両親を殺すよう命じた黒幕はこの目の前の女王蜂であり、間違いなくその実行犯の実母でもあるのだから。
また、そんな憎むべき存在が敬畏してやまない我らが主である皇太子殿下のもとに嫁ぐことが決まっていることが彼女には許せないのだ。
「実に、実に見事じゃのう、娘子よ。ゆえに、その勇敢な心意気を称え、そなたへの尋問は妾自らが行う。光栄に思うがよいぞ。」
その発言に憤りを隠せず、身を乗り出すレイアだが、両脇に立つ兵が槍を構えて彼女を押さえつけ、跪いた状態から動けない。
先ほど巣の入り口で取り押さえられた際にチクリとした痛みを覚えたが、あの時に毒針で刺されたのだろうか。
立てばこの両脇の二人の1.5倍はあるかもしれない彼女の恵まれた体躯は痺れ、彼女たちを振りほどけるような十分な力が入らなかった。
レイアは己の至らなさ、無力さを心中で嘆いた。
眼前に我が怨敵を見据えているというのに、その居城のその自室にまで来れたのに、
武器を持っていないどころか、拘束され、裸で跪かされているという状況にだ。
手を封じられようとも姉ならば徒手武術を習得しているため足が無事なら戦える。妹ならば魔術使いなので喉が無事なら戦える。しかし、自分にはそれがない。
あと少し、万全を期していればあの喉元に手が届いたのに…そう思うと、むせび泣きたい衝動に駆られたが、それは種族の誇りが許さなかった。
344 ... sage 2014/03/27(木) 23:37:11.12 ID:AYqx/RnX
「ふん、貴様なんかに特別扱いしても何も出ないぞ?おだてれば木に登る上層部のプライドで凝り固まった連中と私は違う。」
「ふふふ、さすがにこんな変わったことをしでかすほどの者は気骨が違うようじゃの。娘子よ、妾はお主のような者、嫌いではないぞ?」
「さっきから娘娘ってうるさいね、私には…」
「レイア・バハムーン…と呼べば満足かの?娘子よ。」
レイアの目が見開かれ、額に大きな汗の粒が浮かび上がる。
バカな、そう頭に浮かんだまま、彼女は口をパクパクさせ、言葉が出ないでいる。
彼女はもっぱら前線から離れた後方支援と、街の哨戒を担当する部隊に所属し、戦いの場には未だに出ていない。
つまり、敵方に彼女の名前と顔が一致するものなどいるはずもないのだ。
情報戦のいかに重要であるかを知る彼女にとって、その事実は頭を鈍器で殴打されたような衝撃であった。
もしや、我ら軍の内情を全て、知られてしまっている…!?
いや、それどころか…
「ふふふ…我ら一族を甘く見るでない。この巣に住まう全ての子らが見聞きした情報はすべて最後には妾の下に集約されるのじゃからな…」
「貴様…!まさか、私にとって貴様が怨敵と知って…!」
「良いではないか、妾はここまで他人に感情を向けられることなど初めてでな、
たとえそれが恨みであろうと、そこまで妾を想うそなたを、妾は愛おしく思うぞ?」
「…ふざけたことを……このぉっ!父を、母を侮辱するかッ!許さん!この手で引き裂いてやるっ!っつ、離せぇっ!」
許さない。殺してやる。憎悪が渦を巻き彼女にまとわりつき、その身体を目の前の女王へと向かわせようとする。
その意志の力こそ強かったが、毒に蝕まれ押さえつけられている身ではどうにもならなかった。
もはや、後ろ手にされた手首に鎮められた蜜塊の手枷が背中にかける重量にすら抗えない。
彼女はすでに忘我という自身の毒に意識を蝕まれている。身をよじり不自由な身体で少しでも前に行こうともがく姿は半狂乱と言って差し支えないものだ。
「おやおや、物騒じゃの。せっかく妾がそなたに位を授けようとしているのに。」
レイアはその言葉を耳にし一瞬だが動きが止まる。
聞き間違いかと直前に過ぎ去った記憶を巻き戻し整理したが、やはり聞き間違いはないようだった。
なぜ、今にも襲いかかりそうな表情で睨みつける私に位を授けるなどと?
キョトンとした顔で真意を測りかねている彼女。
毒の効き目を信頼しているのであろう。今まさに憎悪を向けられている女王は彼女のすぐ目の前にまで歩を進め、その眼前に座り目線の高さを合わせた。
「そなたたち姉妹には、申し訳ないことをしたと思っておる。
…おぬしの父母は主戦派の一大勢力でな、和議を申し入れるためには口封じするよりなかったのじゃ。」
彼女の頬に手のひらをつけ、慈しみをこめて撫で擦る。忌々しい怨敵からの思いがけない行動に、レイアは怒ることすらできず目を白黒させている。
「正直なところ、そなたたちが両親を失ったくらいでここまで難儀するとは思わなかったのじゃ。
我らは幼子は皆で…地域で育てる。ゆえに、そなたたちのその後の暮らしを聞いて驚いた…
誰も保護者に名乗り出ぬとは、そなたらが孤独に生きていっていたとは、とな。
それを知る前ならば、もしお主に会ったらこう言っていたじゃろうな、『平和のためだ、許せ』と。」
もし、それが頬を撫でられながらではなく真顔で言われた一言であったら、彼女は頭に血が上りすぎて憤死していただろう。
それくらいのセリフを自然と聞き流してしまうのだから、彼女にとってこの怨敵の母性が自らに向くのが理解しがたいことなのであったのであろう。
彼女には母性愛という経験がない。
それは、厳格に育てられて母に甘えられないまま死別してしまったこともあるし、
母代わりであった姉のドラコが彼女に向けていた愛が父性愛に近いものであったこともある。
もっとも、騎士になること前提の激しい訓練を重ね、男同然の不器用な性格に育ったドラコに、母親の包容力を求めること自体が無理な話であったのだが。
345 ... sage 2014/03/27(木) 23:38:04.82 ID:AYqx/RnX
「妾のうがった物の考え方のせいで、そなたら姉妹には迷惑をかけ、辛い思いをさせてしまった。
もともと、和議が正式に発令された暁には…その詫びに、そなたらを養子に迎えようと思っていたのじゃ。
だが…良い誤算だった、和議の交渉を有利に進めようと前線の基地を接収した際にそなたの姉と妹、そして今そなたがここにやってきた。
これで我が野ぼ…いや、悲願を成すことができるというものじゃよ。」
呆れたようなもしくは意味がわからないというような表情のままの彼女の伸ばしっぱなしの前髪をかきあげ、女王は彼女の額にキスをする。
顔を真っ赤にして息もできず固まってしまっている彼女を尻目に、彼女の反応を半ば楽しんでいる女王。
その女王は指示を出し彼女を押さえつけている衛兵を退室するよう命じた。
「ふふ…初めはそなたの姉にしようと思ったが…あの娘は役目を負わせるには荒々しすぎての…
次に目を付けたのは妹…じゃが、淫魔の類の者には妾はちと相性が悪い。あちらの方が一枚上手じゃからの。
その点、そなたは良さそうよな。気丈な性格、肉付き良い体格、姉妹を思いやる心、どれもふさわしい…」
跪いた姿勢のまま振り返り、去っていく衛兵を訝しんでいた彼女は、衣擦れの音がすることに驚き毒で痺れて回らない首で精いっぱいの速さで前を向く。
すると、先ほどまできちんと着込んでいたはずの女王が服を傍らの床の上にたたみ、恥ずかしがりもせずむしろ胸を張って全裸で佇んでいた。
ティアラや服に隠れていた触角や乳首、陰毛までもまるで見せつけているかのように惜しげもなく彼女の視界に晒している。
彼女に考え得るすべての事柄のその更に斜め上を行く女王の行動にもうレイアはすでに考えることを止めてしまった。
「ふふ、知ってるとは思うが妾はじきに嫁がねばならない。ゆえに…この巣の女王の座が空く。
別段我が腹を痛めて産んだ子に任せてもよいのだが…そなたが気に入った。そなたがふさわしい。
妾から、そなたへの詫びの印だ…我が財と地位と役職を、この巣ごとそのまま全て遣わそう。じゃから、この巣の女王の代理を頼まれてはくれぬか?」
「本当に、心底から貴様ら虫の考えにはついていけない。いまさら罪の重さに気付いて贖罪とは。
…だが、相手の命乞いも聞かず嬲り殺すオークの連中よりよほど賢明だ。…姉と妹の安全は、その部下たちの安全は約束してくれるな?」
「もちろんじゃ。あの基地を制圧したのは、かの地を和議の話をするときの脅し文句に使う心積もりでおったからじゃ。
そもそもあの捕虜どもは傷つける気などさらさらないわ。」
「そうか、そうか…ならば断わる意味もないというもの。
このレイア、竜の恥を忍び…その提案、受けよう。」
苦渋の決断であることは、彼女の眉間のしわを見れば予想がつくし、その頬を伝う物体を見れば一目で理解できるだろう。
無理もない、これで彼女の姉妹と、その仲間たちの未来は断たれたも同然なのだ。その重圧は一人の双肩にかかるには重い荷であった。
敵国に捕虜として攫われた落伍者が出ただけでも問題なのに、それを助けに行って捕まり提示された要求を呑み恩赦を得るなど、生き恥をさらすようなもの。
もう、故郷の土を踏むことすら彼女には許されないであろう。また、監督責任者の問題として、騎士団長である姉や軍師の妹も同じ咎を背負うことになる。
姉たちが捕まったという第一報を聞いたあの時の知己との約束は、果たせなかった。
でも、ここでこの女王を討ち取ろうと無駄に足掻くよりは賢明で妥当だ。騎士団上がりの竜の傭兵など魔界中で引っ張りだこになること間違いない。
民間の存在へと下り、プライドを捨てることは苦行だが…カタチにこだわらなければ自分たちにいくらでも働き口などあるのだ。
苦悩したその顔を不思議そうに見つめる女王は、おそらく彼女たちの風習…というより、彼女たちの立場に理解が足りないのであろう。
気丈な顔で涙を抑えきれずにいるがそれでも顔を上げ前を向いているレイアと、小首をかしげ笑顔でその顔を覗き込んで様子を見ているパラレビー、
種族の壁がどうしようもなく二人の間を、魔竜族と魔虫族をさえぎっていた。
346 ... sage 2014/03/27(木) 23:40:02.32 ID:AYqx/RnX
「ふふ、受け入れているのならばこのような戒めなど必要ないな。」
女王はそう言うのが早いかレイアの手枷に触れる。すると、いきなり固形だったそれが融解し、元のハチミツへと戻っていく。
これは魔蜂特有の能力。自らの魔力がしみ込んだ液体を自由自在に変化させられるのだ。
この能力はレイアも知っているためこの出来事には大して驚きもしないが、実はこの巣丸ごとがその能力によって建造されたものだとは知るよしもない。
「しかし器用な力だな、息をするような感覚でできるのだろう?便利そうで憧れる。」
「それを言うなら、そなたたちが空を飛ぶ時に自然と風を集めていることこそ憧れるわ。
我らが飛ぶときはきちんと羽の向きなどとあれこれ意識して飛んでいるというに、そなたら竜はただ羽ばたくだけで進むことができるのじゃからな。」
そこまで話して顔を見合わせ、二人で笑う。このときレイアは異文化交流というものの楽しさを一瞬だが理解した気持ちになった。
「で…代理の女王、と言ったな?それは、どのような仕事をすればよいのだ?
もしかして、私に影武者になれと?」
毒に体が慣れてきた彼女は、固まったように動かない身体を強引に動かさせて床にぺたんと座り込み、
体育館座りの体勢で先ほどまで手枷が鎮められていた手首をさすっている。
彼女が影武者という発想に至ったのはある意味自然だ。彼女は目の前の文字通り裸の付き合いをしている女王とよく似た輪郭をしている。
豊満なボディーラインと胴が短くて足が長い体格、手足に生えた細かい毛と翼と尻尾があることなど二人の見た目には共通点が多い。
それに、女王蜂の代わり、もとい女王と同じ体格を持つ者は巣にはいるはずがなく、こうして外部の者にその任務を託すとも考えられた。
だが、彼女は獅子の体格と竜の翼、それに蠍の尾を持つ合成獣の開祖キマイラを祖先に持つ種族。よく目を凝らさなくとも二人の区別はつく。
彼女が女王に扮したとして一人も騙せないだろう。では、彼女は何をすればよいのだろうか?
答えを知る女王は彼女の目の前に膝立ちの状態でしばらく佇んでいたが、
その答えを示すようにゆっくりと首を振ると唐突に彼女の肩を掴み、勢いのまま床に彼女を巻き込んで倒れ込む。
「影武者…?そんなもの、いるはずがない。そなたには…本当に、女王になってもらうのじゃ。」
「女王になる?私が?…はっ、私は竜の者。種族が違いすぎて無理がある。」
背中にひんやりとした感触を感じつつ、またもや真意のつかめない言動を受けた彼女は、今度こそと冷静にその言葉を解釈しようと身構える。
それは、会話の主導権を向こうに掴まれたままなのがだんだん気に食わなくなってきたこともあるが、
何よりその言葉の示す意味を早く読み解かねばいけないような虫の知らせが彼女の頭の中でしたからだった。
「そういえば、そなたはなぜ女王蜂が卵を産むばかりで性交をしないと思う?」
「…?たしかに、言われてみれば妙なことだが…なぜそのような下世話な話を?」
そこまで言って、彼女は自身と目の前の女王の体勢に違和感を覚える。
床に寝そべった自分の上に座られている今の状況。これが蜂たちの会話風景なんだろうかと。
肩を掴まれ、彼女の引き締まった腹筋の上に尻がのしかかっているため、向こうがどいてくれなければ起き上がられそうにない。
そこまで考えが及び、彼女の肩にジワリとイヤな汗が出るのを感じた。
いや待てよ。この会話自体はもしかしたら重要ではないじゃないのだろうか。
もし…その目的が、自分をこの組み敷いた体勢に持ってくることだとしたら。
「その理由は、我ら女王は生涯に一度しか肌を合わせぬからだ。我らの仲間は、一回の行為で一生分の卵を産めるようにできておるのじゃ。」
「…つまり、逆を言えば女王は一度だけは行為に及ぶということか?…おい待て、貴様、一生分の卵って、まさか、」
「そうその通り、そのただ一度をしてもらうぞ。大丈夫じゃ、痛くない。痛覚ならとうに毒で麻痺して機能しておらん。処女を失った痛みなど感じまいて。」
その瞬間、彼女は股間に湿気た感触を感じた。
「…さぁ、我が子を、孕んでくれ。これもそなたのためじゃ、許せ。」
そして、それが何なのか知る余地さえ与えられずにその物体は彼女の秘裂に突き入れられた。
348 ... sage 2014/03/27(木) 23:44:23.50 ID:AYqx/RnX
「ん…そなた、自慰もしたことがないのか?ここまで締まりの良い生娘も珍しい…残念じゃのう、産卵でこの締りが失われると思うと…」
「う、う、うわああああああ!!!やめろ!やめろやめろやめろ!私を汚すな!私は、私は誇り高き竜の一族だ!私が矮小な虫と交わってよいはずなどっ!」
「もうそんなこと言わなくてよいのじゃよ。誇り、夢、力…そんなもののために頭を悩ませなくてもよいのじゃ…
そなたは、女王という機能の型に嵌まっていればよいのじゃから…な。
不自由なことも場合によれば幸せじゃよ?それ以上もそれ以下の暮らしも忘れてしまえば、必然的に頂点の幸せ者になれるのじゃからな。」
「そんな卑屈な生き方など、貴様は受け入れようと我が血は許さ…うぐっ!?あっ…!ちぃっ!」
「…あ…そこが善いのじゃな?ふふふ、咥えたままたくさん涎を垂らして、よっぽど妾の産卵管が口に合うとみえるの。」
「やめ、やめろ…!やめてくれ…感じてなど、いない。後生だから、許してくれ…!」
「ふふ、竜が嘘をつくなんてらしくないのう?そなたの身体はこんなに歓喜に打ち震えているというに。」
「あああああああ!!!嫌だぁああああああ!!!」
「これ、暴れるな。あまり横暴な手段に出るならその子宮に毒針を突き立てて使い物にならなくしてもよいのじゃぞ?」
彼女が知るそこに受け入れるべきものより明らかに柔軟で長いものがにゅるにゅると滑らかに前後するたび、彼女の心身に衝撃が加えられた。
産卵管、蜂が毒針を出す器官であり、また卵を産み落とす役目も持つ場所だ。そんなものを、女の場所に突き入れられてしまった。
…純潔を捧げてしまった。
そんな彼女に跨る女王は今しがたずいぶんと物騒な発言をしたが、その嗜虐的な表情から考えるに毛頭そんな手段に出る気はないのだろう。
そもそもこの女王には、据え膳であるこの竜の娘を食することしか頭にないのだから。
しかし、それを知るはずもない彼女は恐怖におののいていた。
女を蹂躙され、さらに抵抗すればそれをダメにすると脅されているのだ、おぞましい以外の何物でもないだろう。
それでいてしかも、浅ましいことに自分の身体はこの残忍な女王からの責めにすぐさま昂りだしたのだ。
青ざめるような顔をしているつもりなのに頬は朱に染まり、あまりの恐怖に身体は震えているにもかかわらず彼女の三つの突起は固く尖り刺激を求めていた。
生存本能から荒くなった息は鼻を通る際に彼女自身の雌の匂いを伝え、狂いそうな嫌悪感にさいなまれている心には徐々に快楽が主張を始めてきていたのだ。
その間にも女王は彼女を弄び、導き、その拒む心を侵食していった。
彼女が『イヤ』と言えば『初心だ』と返し優しく愛撫し恥丘をなぞり、
彼女が『ダメ』と言えば『大丈夫』と耳元で囁き耳たぶを舐め上げ、
彼女が『やめて』と言えば『嘘だ』と乳首をつねり高まる性感を自認させていた。
彼女は自分の身体を、自身の性器を呪った。
愛し愛される相手ならともかく、親の仇で姉妹を誘拐したこの憎き敵に強姦され、
あまつさえ性感を高められているこの事実が、彼女の胸と心とおまけに彼女に突き立てられた産卵管をちぎりそうな勢いに締め付けている。
だが、実は彼女がここまで熱に浮かされているのはからくりがある。
先ほどから散々に彼女を苦しめた毒、これが彼女を強引に善がらせていたのだ。
筋弛緩効果を持ち、全身に力が入らなくなり神経が鈍感になる作用に隠れて、性欲を高め色に酔わせる媚薬の機能を持つこの淫毒が彼女をここまで狂わせていた。
しかし、つい先ほどまで処女であった彼女にそのようなことが分かるはずもない。
性行というものを耳でしか知らぬ乙女であった彼女に、この快感が己の内から生じたものでないという分析などできようはずもなかった。
また自然体での交わりを当然とする魔竜族の彼女に、媚薬という言葉は皮肉のようだがまさにファンタジーの中の代物だったのだ。
だが、下腹部に襲いかかる叩きつけられるような衝撃と、
いつの間にか奪われていた唇から注がれる蜂の蜜と、
左右の胸をいたわるようにこねくり回す愛撫に、彼女の中で何かが開発されていったのは事実だった。
始めは罪悪感のみを与えていたその快楽の波は、彼女の股間から、胸から、口から波紋のように広がり、彼女のかたくなな嫌悪感を体外に放出させた。
それはたとえば女王に舐め取られ唾液へと置換されている汗であり、女王の産卵管を咥えさせられ弄ばれている膣からあふれる蜜であった。
349 ... sage 2014/03/27(木) 23:45:22.56 ID:AYqx/RnX
そして、そこに端を発する声色の変化に、女王の無垢そうな顔が歪んだ笑みを浮かべる。
彼女は自らという存在をグチャグチャに掻き乱されたような所在ない惚けた顔で、
一瞬でも気を抜けば喘いでしまいかねない声を必死で押さえつつうわごとのように許しを乞うていた。
命令口調だったその言葉も、すがるような言葉選びとなり、竜の文化に疎い女王にも彼女が陥落しかけてきたと知るには火を見るより明らかだった。
「やめろ…ほんとうに、やめて、ください…お願い、です、から…!わ、私、おかしく、なる…」
「今だけは壊れても構わないぞ?その善がる狂う姿、誰にも言わぬゆえな…じゃから、妾に身を任せ、安心して逝くとよい。」
「い、いや…だ、こわれたくない、私は、わたしは…騎士団の、誇り…竜の…、わたし…ぅあ…あっあっ…ぃやぁ……」
「…!そろそろ、妾も余裕がなくなってきたわ…さぁ、卵を産むぞ、これで!そなたも女王じゃ!そなたに、歴代女王からの祝福を!」
「あ、いや、なに、くるっ…いやああああああああああああああああっ!!!」
彼女の中の奥の奥、子宮の中までにねじ込まれた産卵管から、スポンと卵が飛び出し続いてそれを保護する液体がそそがれる。
子宮口をこじ開けられる感覚と固形物が通る刺激でレイアは気をやってしまったままの様子だ。
せめて、快楽という逃げ道があって彼女にはせめてもの救いだっただろう。そうでなければあまりのおぞましさに気絶することは容易に考えられる。
もっとも、意識を保っていられてしまったこともある意味酷な現実だが。
女王はひとしきり液体を注ぎ終わり彼女の子宮がとろとろのゼリーで満たされたことを確認したところで、その管を彼女から抜き自身の腹内へと戻す。
その刺激にすら、彼女の経験のない身体は快楽が振り切れてしまい跳ねるように動いてしまう。
「あぁ…良いものを持っていたぞ。特に逝く時など妾も頭が焼き切れそうな心地良さであったわ。まったく、竜の娘はみなしてここまで締りが良いのか?
魔竜族は生まれながらにして逞しい筋肉を持つとは聞くが…まさかそこの筋肉も強いとはのう、傑作じゃな。
…おい、…そうだ、誤算はまだない、手はず通りに。」
「あ…あぁ…そん……な…入って……入っちゃっ…てる…」
レイアは仰向けに押し倒されたままの状態から動けず、部屋にやってきた衛兵たちに両肩を抱かれ、引きずるように連れて行かれた。
彼女は、耐えがたい屈辱と受け入れがたい現実から逃れるため、その瞳を閉じた。
せめて、彼女の股から垂れる紅が混じった白い液体を一度でも見てしまわないように、
そして、夢の中になら逃げられるから、と信じて…
350 名無しさん@ピンキー sage 2014/03/27(木) 23:51:16.92 ID:AYqx/RnX
ごめんなさいここで一度中断です。消化不良で申し訳ないです。
NGは...でお願いします。
自分の自家発電にお付き合いいただきありがとうございました。
>>331です。とりあえず途中まで投下します。前置きが長いのはご愛嬌で。
もしそれが面倒なら最後のレスまで飛ばしてください。
『竜姫の趣味趣向(parasitism side)』
人間の世界で些細な肌の色などで差別やいさかいが生まれるように、魔界に住む者達も決して一枚岩ではない。
魔界の中でも異種族との間の衝突はあり、特に魔竜族と魔虫族の民族間紛争は深刻であった。
その理由としてはごく簡単なことで、『産めや育てや』の精神を持つ魔虫族は、『孤高』を常に肝に銘じている魔竜族にとっては忌むべき存在なのだ。
また、魔虫族からすれば集団行動を嫌う教育理念と高すぎる上昇志向を持つ魔竜族の民族性は軽蔑する点として大きい。
その緊張は、魔竜族の長が魔虫族の長と話し合い、政略結婚にて和議が結ばれる方向で話がまとまりつつある今も変わらなかった。
レイア・バハムーン。
生まれながらにして将来を約束されたも同然と言われる家系に、三姉妹の次女として生まれ、
竜の部族の戦士ならば誰もがその肩書きを欲する高位な存在、騎士団に二人の姉妹と共に所属している竜亜目合成獣科マンティコアの剣士。
族長の直属の部隊の一員として仕える誰もが羨むエリートだが、その人生は決して順風満帆なものではなかった。
魔虫族との交戦が行われている前線近くにあった家は彼女が初等教育を受けている頃に魔蜂の部隊に襲撃され、その両親とともに灰と化した。
たとえ良家の生まれでも、親族という概念が存在しない魔竜族に彼女に救いの手を差し伸べる者はおらず、
彼女はすでに騎士団に所属していた姉の助けを借りて血のにじむような努力からこれまでの半生を何とか勝ち組として暮らしてきた。
だが、その研鑚のもとに成り立った安寧の生活にも、ついに亀裂が走ることになってしまった。
「そんな…姉貴が、負けたって言うのか!?」
「そうなのよー…私が谷まで降りてって川へ水を汲みに行ってる間にね、キャンプはもう火の海だったのよ…」
「くっ…被害は!?」
「それがわかったら苦労しないわよー、身体が乾くの覚悟で探したけどキャンプには死体は一つもなくて資材も盗まれてもぬけの殻だったのよー。
…一つ言えることは、ここまで帰ってこられたのがアタシ一人だけってこと。…分かるわね、部隊長?」
「…遺体がないということは、何らかの方法で姉貴の部隊は無力化させられ、敵に連行されたことになる。
基本的に、この戦線で現れる敵は…ほとんどが魔蟻で残りが魔蜂。だけど、進軍経路の敵を全て薙ぎ払う魔蟻がこんな人質をとる作戦をするなんて考えにくい。
というか、団長たる姉貴の直属の部隊を押さえることのできる頭脳派は、魔虫族にはそもそも、一人しかいない…!」
「魔蜂の長、女王蜂のパラレビー、ねー…まさか、部隊長の因縁の敵が、こんなところで現れるとはねぇ。何の因果よ、これー…」
「いや、だけど…これは私には絶好の好機ともいえる…奴らのことだ、捕虜とはいえ必ず巣に持ち帰っているだろう。
もし、私がそこに潜入し、捕虜を解放できれば…」
「内側から崩せるー…ね。でも…危ない橋を渡ることになるわね。
たしかに、成功すれば部隊長の妹…エリーちゃんだっけ、それと団長たちを救うことができるわよ?それに、仇だって討てるかもしれないわね…
でも…相手はアタシたちとは違う。文化も、頭の中も、何もかもがアタシたちの理解の範疇を超えてるやつらよー…」
「それはもちろん分かってる…だけど、私は、このまま座して姉貴たちに敗者の烙印を押させたくないんだ!」
「部隊長…分かったわよ、どうせ私は伝令にすぎないから部隊長に文句言える立場じゃないしねー…
…笑顔でまた会えるよね、レイア先輩…」
「おい、その呼び名はよせと言ったろ…だけど、素直にその思い、受け取るよ。
ほら、小指、出しなよ。指切りげんまん、嘘ついたら針千本飲ます、指切った!…これで合ってたっけな。」
「…えっ?なんなのよ、コレー…?」
「あぁ、人間の奴らが誓約を交わす時の作法らしい。このくらいリスクを負えば必ず成功できるって願掛けだな、たぶん。」
342 ... sage 2014/03/27(木) 23:34:38.01 ID:AYqx/RnX
先ほどの驚くべき報告を伝えたあの伝令は別の部隊長に報告へ向かい、今は部屋に彼女一人のみがいる。
「…よしっ!そうと決まれば、工作の開始だ…!」
騎士団の寮の自室、レイアは頬を叩いて気合いを入れつつひとりごちる。
その声こそ快活で元気そうな印象を与えるものだが、顔は引きつり、手足に生えた毛も逆立っていて、緊張の色が隠せない。
常勝を求められる魔竜族の戦士は、一度の敗北で退役が確定してしまう。
もし、捕虜の取引で囚われた姉と妹が帰ってきたとしても、自分一人の稼ぎでは二人を養うのは難しいだろう。
竜の社会に他民族に屈した者など排されるべきものなのだから。
彼女が手勢を率いて軍事的手段に出るとしても、彼女たちを救出しただけでは同じ。張られるレッテルは『敗者』の二文字でしかない。
つまり彼女たちへの社会的制裁を阻止するためには、『彼女たちが敵軍を潰走へと追いやった勝者である』という事実がどうしても必要なのだ。
それに、相手は騎士団の団長である彼女の姉ドラコと、騎士団の参謀役を務める妹エリーを擁する精鋭部隊をもってしても敵わなかった相手だ。
普段の自分たちがするようなありきたりの陳腐な行軍では、救い出すどころか返り討ちの可能性の方が高いとも考えられる。
だが…だからといってきちんと作戦を練ってこの問題に望むことを上層部は許すだろうか?答えは、否だ。
正攻法で堂々と勝ってこそ、竜の戦い。つまり、小手先の策すら用意することは本来認められていないのだ。
彼女の妹であるエリーが軍師の役職についているのは、彼女がもともと淫魔族からの養子で、部族の常識が通じない外部の者だからである。
彼女自身、マンティコアという純潔の竜とは程遠い合成獣の種族に属するからこそ、ここまで考えが及んでいる。
姉、ドラコも低級な翼竜の姿を持ち、体力ではなく頭脳で勝負するタイプの人物だからこそ今の地位を得た。
つまり、
「さぁ、どうやって潜入するか…」
レイアの最愛の姉妹たちを守るためには、
「奴らを騙し、陥れる、大きな一手を…」
彼女が独断で行動を起こすほかないのだ。
「姉貴、エリー…必ず、必ず勝って、勝って帰ろう!」
結論を言えば、
「何だ、くそっ!?なぜわかった!やめろ!離せッ!」
「だってねぇ、触角のない子は今は一人もいないはずだもんねぇ。」
「そうだねぇ、この前アネスちゃんが右の触手折れちゃって入院してるくらいだしねぇ。」
「それに、よく見るとおねーさんみたいに背が高くておっぱい大きくていかにもうまく飛べなさそうな体型、お母様くらいしか知らないしねぇ。」
レイアは魔蜂の巣の入り口であっさりと捕まってしまった。
彼女がとった策とは、魔蜂を討伐し、その皮を剥いで作った衣装で変装をしようという大胆かつ、視力の弱い魔虫族の特性を利用した巧妙な奇策だった。
…だが、甲殻を再現し、尻尾を再現し、羽や複眼まで似せたところで、彼女は出来栄えに満足し作業を切り上げてしまったのだ。
そのため、触角という魔虫族最大の特徴が再現されておらず、あっさりと看破されてしまった。
そう、魔竜族特有の慢心という呪縛が、彼女を失敗へと追いやったのだ。
突然の侵入者に若干のどよめきこそ生まれるが、そこはチームワークを最大の得意技とする魔虫族、
レイアはまるで世間話でもしているようなテンションで先ほどから会話している門番と衛兵によって身ぐるみを剥がされ、
彼女の武器であるレイピアと短剣を押収され、固めたハチミツのブロックでできた枷で両手を拘束され、その間に侵入者の報が全ての仲間に行き渡っていた。
その報は巣の主であるパラレビーへと伝わり、結果としてレイアは取り押さえられてから宿敵の前に引き出され尋問されるまで5分とかからなかった。
このまるで流れ作業を行っているようなこの素早い対応に、レイアは魔竜族の組織体制とを比較して嫉妬し、同時にとても大きな恐怖を覚えた。
人海戦術を行うことに長けた民族という認識しかなかった魔蜂のあまりに見事な対応。
まるで組織の人物全てがまるで一人の人間であるような淀みない情報伝達、慌てることのない鋼の対応力、仲間一人の体調まで共有する記憶力…
そのどれもが自分たちに足りないものであり、欲していたものだった。
そして、それを仕切る存在…それが、この目の前の女であり、女王蜂であり、両親の仇。
レイアは、わけのわからないほどに強く打ちひしがれる感覚に襲われ、圧倒され、脱力した。
それは、竜の戦士ならば死を覚悟したその瞬間まで味わうことのない、絶望だった。
343 ... sage 2014/03/27(木) 23:35:30.89 ID:AYqx/RnX
何度も、何度もその身体を…腕を、足を、腹を、頭を引き裂くことを夢見たその女王蜂の姿はさながら女神のような美貌を持っていた。
…もっとも、魔に生きる者にとってその表現は、人間が娼婦を雌犬呼ばわりすることと同義であるが…
むちむち、という表現が似合いそうな四肢は、先端が薄く甲殻に覆われた人外の姿をしているのを差し引いても官能的に見える肉付きの良さ。
胴体はほっそりとして極端と言われかねないほど短く、人間界の蜂と同様に尻尾のようなあの器官が本来の腹部であることがうかがえる。
腰回りの骨格がガッチリしているのか、臀部はレイアが嫉妬しかねないほどに大きく、少し歩くだけで男を誘うようにプルプルと揺れている。
育児と出産に追われている女王蜂ならではと言いたげに自己主張する豊満な胸は、もし彼女がレイアの怨敵でなければ揉みしだきたい衝動に駆られるところだ。
淫靡で熟れた身体に反し、その顔は清純で純潔を保った瑞々しい笑みを浮かべている。幼子が気に入った玩具を抱きかかえているかのような、そんな表情。
だが、世の男性からしてみれば、そのような表情がこの情欲くすぐられる肉体についてると気付けば、なおのこと滾ってしまうだろう。
服装はよく見れば上着のボタンが二つしか付けられておらず、肌着の首元の切れ込みがへそまで届かんばかりに伸びており、授乳しやすいように配慮されている。
下がスラックスなのはおそらく腰から突き出た蜂の腹部を露出させるのに適しているからであろう。
そのようないでたちからか、いささか女王という言葉が見た目には似合っていない活動的で男勝りな印象も与えられる。
化粧は薄く、自らの美貌を高めることに興味などないと言っているようなものだが、もともとの顔面偏差値が高いのでそんなことは気にならない。
レイアを興味ありげに見つめるその瞳は深遠な黒で、複眼の特性を持つことはパッと見でわからない、蠱惑(こわく)的な目つきだ。
「うふふ、遠路はるばるよく参ったのう、竜の娘子よ。
そなたの変装、なかなか見事であったと聞いたぞ。それこそ、触角を付け忘れなかったら危うかったと。
大方、妾が婚儀をするための準備で生じる隙と、捕虜の解放が狙いじゃろうな?成功されたらまずいことになっておったわ。」
一般に、家族形態をとる魔虫の一族の者は人間の幼子ほどの体型で成長が止まる。
空を舞い、捕食のためのみに動く彼女らに生殖行動のための能力を身につける必要も、豊かな体格になる必要もないからだ。
その証拠に、二人がかりでレイアを押さえつけ、女王に危害を加えないようにしているこの娘たちは、ずいぶんと貧相な背丈と胸をしている。
レイアは、横目でその二人を見やり、かつて両親を失った時自分は確かこのくらいの背丈だったと思い返し、
続いて目の前の自分の持つそれを一回り上回る魅力を持つ豊満な肉体美を見せているこの巣の女王を見て、いっそう彼女らへの憎悪が大きくなる。
彼女の両親を殺すよう命じた黒幕はこの目の前の女王蜂であり、間違いなくその実行犯の実母でもあるのだから。
また、そんな憎むべき存在が敬畏してやまない我らが主である皇太子殿下のもとに嫁ぐことが決まっていることが彼女には許せないのだ。
「実に、実に見事じゃのう、娘子よ。ゆえに、その勇敢な心意気を称え、そなたへの尋問は妾自らが行う。光栄に思うがよいぞ。」
その発言に憤りを隠せず、身を乗り出すレイアだが、両脇に立つ兵が槍を構えて彼女を押さえつけ、跪いた状態から動けない。
先ほど巣の入り口で取り押さえられた際にチクリとした痛みを覚えたが、あの時に毒針で刺されたのだろうか。
立てばこの両脇の二人の1.5倍はあるかもしれない彼女の恵まれた体躯は痺れ、彼女たちを振りほどけるような十分な力が入らなかった。
レイアは己の至らなさ、無力さを心中で嘆いた。
眼前に我が怨敵を見据えているというのに、その居城のその自室にまで来れたのに、
武器を持っていないどころか、拘束され、裸で跪かされているという状況にだ。
手を封じられようとも姉ならば徒手武術を習得しているため足が無事なら戦える。妹ならば魔術使いなので喉が無事なら戦える。しかし、自分にはそれがない。
あと少し、万全を期していればあの喉元に手が届いたのに…そう思うと、むせび泣きたい衝動に駆られたが、それは種族の誇りが許さなかった。
344 ... sage 2014/03/27(木) 23:37:11.12 ID:AYqx/RnX
「ふん、貴様なんかに特別扱いしても何も出ないぞ?おだてれば木に登る上層部のプライドで凝り固まった連中と私は違う。」
「ふふふ、さすがにこんな変わったことをしでかすほどの者は気骨が違うようじゃの。娘子よ、妾はお主のような者、嫌いではないぞ?」
「さっきから娘娘ってうるさいね、私には…」
「レイア・バハムーン…と呼べば満足かの?娘子よ。」
レイアの目が見開かれ、額に大きな汗の粒が浮かび上がる。
バカな、そう頭に浮かんだまま、彼女は口をパクパクさせ、言葉が出ないでいる。
彼女はもっぱら前線から離れた後方支援と、街の哨戒を担当する部隊に所属し、戦いの場には未だに出ていない。
つまり、敵方に彼女の名前と顔が一致するものなどいるはずもないのだ。
情報戦のいかに重要であるかを知る彼女にとって、その事実は頭を鈍器で殴打されたような衝撃であった。
もしや、我ら軍の内情を全て、知られてしまっている…!?
いや、それどころか…
「ふふふ…我ら一族を甘く見るでない。この巣に住まう全ての子らが見聞きした情報はすべて最後には妾の下に集約されるのじゃからな…」
「貴様…!まさか、私にとって貴様が怨敵と知って…!」
「良いではないか、妾はここまで他人に感情を向けられることなど初めてでな、
たとえそれが恨みであろうと、そこまで妾を想うそなたを、妾は愛おしく思うぞ?」
「…ふざけたことを……このぉっ!父を、母を侮辱するかッ!許さん!この手で引き裂いてやるっ!っつ、離せぇっ!」
許さない。殺してやる。憎悪が渦を巻き彼女にまとわりつき、その身体を目の前の女王へと向かわせようとする。
その意志の力こそ強かったが、毒に蝕まれ押さえつけられている身ではどうにもならなかった。
もはや、後ろ手にされた手首に鎮められた蜜塊の手枷が背中にかける重量にすら抗えない。
彼女はすでに忘我という自身の毒に意識を蝕まれている。身をよじり不自由な身体で少しでも前に行こうともがく姿は半狂乱と言って差し支えないものだ。
「おやおや、物騒じゃの。せっかく妾がそなたに位を授けようとしているのに。」
レイアはその言葉を耳にし一瞬だが動きが止まる。
聞き間違いかと直前に過ぎ去った記憶を巻き戻し整理したが、やはり聞き間違いはないようだった。
なぜ、今にも襲いかかりそうな表情で睨みつける私に位を授けるなどと?
キョトンとした顔で真意を測りかねている彼女。
毒の効き目を信頼しているのであろう。今まさに憎悪を向けられている女王は彼女のすぐ目の前にまで歩を進め、その眼前に座り目線の高さを合わせた。
「そなたたち姉妹には、申し訳ないことをしたと思っておる。
…おぬしの父母は主戦派の一大勢力でな、和議を申し入れるためには口封じするよりなかったのじゃ。」
彼女の頬に手のひらをつけ、慈しみをこめて撫で擦る。忌々しい怨敵からの思いがけない行動に、レイアは怒ることすらできず目を白黒させている。
「正直なところ、そなたたちが両親を失ったくらいでここまで難儀するとは思わなかったのじゃ。
我らは幼子は皆で…地域で育てる。ゆえに、そなたたちのその後の暮らしを聞いて驚いた…
誰も保護者に名乗り出ぬとは、そなたらが孤独に生きていっていたとは、とな。
それを知る前ならば、もしお主に会ったらこう言っていたじゃろうな、『平和のためだ、許せ』と。」
もし、それが頬を撫でられながらではなく真顔で言われた一言であったら、彼女は頭に血が上りすぎて憤死していただろう。
それくらいのセリフを自然と聞き流してしまうのだから、彼女にとってこの怨敵の母性が自らに向くのが理解しがたいことなのであったのであろう。
彼女には母性愛という経験がない。
それは、厳格に育てられて母に甘えられないまま死別してしまったこともあるし、
母代わりであった姉のドラコが彼女に向けていた愛が父性愛に近いものであったこともある。
もっとも、騎士になること前提の激しい訓練を重ね、男同然の不器用な性格に育ったドラコに、母親の包容力を求めること自体が無理な話であったのだが。
345 ... sage 2014/03/27(木) 23:38:04.82 ID:AYqx/RnX
「妾のうがった物の考え方のせいで、そなたら姉妹には迷惑をかけ、辛い思いをさせてしまった。
もともと、和議が正式に発令された暁には…その詫びに、そなたらを養子に迎えようと思っていたのじゃ。
だが…良い誤算だった、和議の交渉を有利に進めようと前線の基地を接収した際にそなたの姉と妹、そして今そなたがここにやってきた。
これで我が野ぼ…いや、悲願を成すことができるというものじゃよ。」
呆れたようなもしくは意味がわからないというような表情のままの彼女の伸ばしっぱなしの前髪をかきあげ、女王は彼女の額にキスをする。
顔を真っ赤にして息もできず固まってしまっている彼女を尻目に、彼女の反応を半ば楽しんでいる女王。
その女王は指示を出し彼女を押さえつけている衛兵を退室するよう命じた。
「ふふ…初めはそなたの姉にしようと思ったが…あの娘は役目を負わせるには荒々しすぎての…
次に目を付けたのは妹…じゃが、淫魔の類の者には妾はちと相性が悪い。あちらの方が一枚上手じゃからの。
その点、そなたは良さそうよな。気丈な性格、肉付き良い体格、姉妹を思いやる心、どれもふさわしい…」
跪いた姿勢のまま振り返り、去っていく衛兵を訝しんでいた彼女は、衣擦れの音がすることに驚き毒で痺れて回らない首で精いっぱいの速さで前を向く。
すると、先ほどまできちんと着込んでいたはずの女王が服を傍らの床の上にたたみ、恥ずかしがりもせずむしろ胸を張って全裸で佇んでいた。
ティアラや服に隠れていた触角や乳首、陰毛までもまるで見せつけているかのように惜しげもなく彼女の視界に晒している。
彼女に考え得るすべての事柄のその更に斜め上を行く女王の行動にもうレイアはすでに考えることを止めてしまった。
「ふふ、知ってるとは思うが妾はじきに嫁がねばならない。ゆえに…この巣の女王の座が空く。
別段我が腹を痛めて産んだ子に任せてもよいのだが…そなたが気に入った。そなたがふさわしい。
妾から、そなたへの詫びの印だ…我が財と地位と役職を、この巣ごとそのまま全て遣わそう。じゃから、この巣の女王の代理を頼まれてはくれぬか?」
「本当に、心底から貴様ら虫の考えにはついていけない。いまさら罪の重さに気付いて贖罪とは。
…だが、相手の命乞いも聞かず嬲り殺すオークの連中よりよほど賢明だ。…姉と妹の安全は、その部下たちの安全は約束してくれるな?」
「もちろんじゃ。あの基地を制圧したのは、かの地を和議の話をするときの脅し文句に使う心積もりでおったからじゃ。
そもそもあの捕虜どもは傷つける気などさらさらないわ。」
「そうか、そうか…ならば断わる意味もないというもの。
このレイア、竜の恥を忍び…その提案、受けよう。」
苦渋の決断であることは、彼女の眉間のしわを見れば予想がつくし、その頬を伝う物体を見れば一目で理解できるだろう。
無理もない、これで彼女の姉妹と、その仲間たちの未来は断たれたも同然なのだ。その重圧は一人の双肩にかかるには重い荷であった。
敵国に捕虜として攫われた落伍者が出ただけでも問題なのに、それを助けに行って捕まり提示された要求を呑み恩赦を得るなど、生き恥をさらすようなもの。
もう、故郷の土を踏むことすら彼女には許されないであろう。また、監督責任者の問題として、騎士団長である姉や軍師の妹も同じ咎を背負うことになる。
姉たちが捕まったという第一報を聞いたあの時の知己との約束は、果たせなかった。
でも、ここでこの女王を討ち取ろうと無駄に足掻くよりは賢明で妥当だ。騎士団上がりの竜の傭兵など魔界中で引っ張りだこになること間違いない。
民間の存在へと下り、プライドを捨てることは苦行だが…カタチにこだわらなければ自分たちにいくらでも働き口などあるのだ。
苦悩したその顔を不思議そうに見つめる女王は、おそらく彼女たちの風習…というより、彼女たちの立場に理解が足りないのであろう。
気丈な顔で涙を抑えきれずにいるがそれでも顔を上げ前を向いているレイアと、小首をかしげ笑顔でその顔を覗き込んで様子を見ているパラレビー、
種族の壁がどうしようもなく二人の間を、魔竜族と魔虫族をさえぎっていた。
346 ... sage 2014/03/27(木) 23:40:02.32 ID:AYqx/RnX
「ふふ、受け入れているのならばこのような戒めなど必要ないな。」
女王はそう言うのが早いかレイアの手枷に触れる。すると、いきなり固形だったそれが融解し、元のハチミツへと戻っていく。
これは魔蜂特有の能力。自らの魔力がしみ込んだ液体を自由自在に変化させられるのだ。
この能力はレイアも知っているためこの出来事には大して驚きもしないが、実はこの巣丸ごとがその能力によって建造されたものだとは知るよしもない。
「しかし器用な力だな、息をするような感覚でできるのだろう?便利そうで憧れる。」
「それを言うなら、そなたたちが空を飛ぶ時に自然と風を集めていることこそ憧れるわ。
我らが飛ぶときはきちんと羽の向きなどとあれこれ意識して飛んでいるというに、そなたら竜はただ羽ばたくだけで進むことができるのじゃからな。」
そこまで話して顔を見合わせ、二人で笑う。このときレイアは異文化交流というものの楽しさを一瞬だが理解した気持ちになった。
「で…代理の女王、と言ったな?それは、どのような仕事をすればよいのだ?
もしかして、私に影武者になれと?」
毒に体が慣れてきた彼女は、固まったように動かない身体を強引に動かさせて床にぺたんと座り込み、
体育館座りの体勢で先ほどまで手枷が鎮められていた手首をさすっている。
彼女が影武者という発想に至ったのはある意味自然だ。彼女は目の前の文字通り裸の付き合いをしている女王とよく似た輪郭をしている。
豊満なボディーラインと胴が短くて足が長い体格、手足に生えた細かい毛と翼と尻尾があることなど二人の見た目には共通点が多い。
それに、女王蜂の代わり、もとい女王と同じ体格を持つ者は巣にはいるはずがなく、こうして外部の者にその任務を託すとも考えられた。
だが、彼女は獅子の体格と竜の翼、それに蠍の尾を持つ合成獣の開祖キマイラを祖先に持つ種族。よく目を凝らさなくとも二人の区別はつく。
彼女が女王に扮したとして一人も騙せないだろう。では、彼女は何をすればよいのだろうか?
答えを知る女王は彼女の目の前に膝立ちの状態でしばらく佇んでいたが、
その答えを示すようにゆっくりと首を振ると唐突に彼女の肩を掴み、勢いのまま床に彼女を巻き込んで倒れ込む。
「影武者…?そんなもの、いるはずがない。そなたには…本当に、女王になってもらうのじゃ。」
「女王になる?私が?…はっ、私は竜の者。種族が違いすぎて無理がある。」
背中にひんやりとした感触を感じつつ、またもや真意のつかめない言動を受けた彼女は、今度こそと冷静にその言葉を解釈しようと身構える。
それは、会話の主導権を向こうに掴まれたままなのがだんだん気に食わなくなってきたこともあるが、
何よりその言葉の示す意味を早く読み解かねばいけないような虫の知らせが彼女の頭の中でしたからだった。
「そういえば、そなたはなぜ女王蜂が卵を産むばかりで性交をしないと思う?」
「…?たしかに、言われてみれば妙なことだが…なぜそのような下世話な話を?」
そこまで言って、彼女は自身と目の前の女王の体勢に違和感を覚える。
床に寝そべった自分の上に座られている今の状況。これが蜂たちの会話風景なんだろうかと。
肩を掴まれ、彼女の引き締まった腹筋の上に尻がのしかかっているため、向こうがどいてくれなければ起き上がられそうにない。
そこまで考えが及び、彼女の肩にジワリとイヤな汗が出るのを感じた。
いや待てよ。この会話自体はもしかしたら重要ではないじゃないのだろうか。
もし…その目的が、自分をこの組み敷いた体勢に持ってくることだとしたら。
「その理由は、我ら女王は生涯に一度しか肌を合わせぬからだ。我らの仲間は、一回の行為で一生分の卵を産めるようにできておるのじゃ。」
「…つまり、逆を言えば女王は一度だけは行為に及ぶということか?…おい待て、貴様、一生分の卵って、まさか、」
「そうその通り、そのただ一度をしてもらうぞ。大丈夫じゃ、痛くない。痛覚ならとうに毒で麻痺して機能しておらん。処女を失った痛みなど感じまいて。」
その瞬間、彼女は股間に湿気た感触を感じた。
「…さぁ、我が子を、孕んでくれ。これもそなたのためじゃ、許せ。」
そして、それが何なのか知る余地さえ与えられずにその物体は彼女の秘裂に突き入れられた。
348 ... sage 2014/03/27(木) 23:44:23.50 ID:AYqx/RnX
「ん…そなた、自慰もしたことがないのか?ここまで締まりの良い生娘も珍しい…残念じゃのう、産卵でこの締りが失われると思うと…」
「う、う、うわああああああ!!!やめろ!やめろやめろやめろ!私を汚すな!私は、私は誇り高き竜の一族だ!私が矮小な虫と交わってよいはずなどっ!」
「もうそんなこと言わなくてよいのじゃよ。誇り、夢、力…そんなもののために頭を悩ませなくてもよいのじゃ…
そなたは、女王という機能の型に嵌まっていればよいのじゃから…な。
不自由なことも場合によれば幸せじゃよ?それ以上もそれ以下の暮らしも忘れてしまえば、必然的に頂点の幸せ者になれるのじゃからな。」
「そんな卑屈な生き方など、貴様は受け入れようと我が血は許さ…うぐっ!?あっ…!ちぃっ!」
「…あ…そこが善いのじゃな?ふふふ、咥えたままたくさん涎を垂らして、よっぽど妾の産卵管が口に合うとみえるの。」
「やめ、やめろ…!やめてくれ…感じてなど、いない。後生だから、許してくれ…!」
「ふふ、竜が嘘をつくなんてらしくないのう?そなたの身体はこんなに歓喜に打ち震えているというに。」
「あああああああ!!!嫌だぁああああああ!!!」
「これ、暴れるな。あまり横暴な手段に出るならその子宮に毒針を突き立てて使い物にならなくしてもよいのじゃぞ?」
彼女が知るそこに受け入れるべきものより明らかに柔軟で長いものがにゅるにゅると滑らかに前後するたび、彼女の心身に衝撃が加えられた。
産卵管、蜂が毒針を出す器官であり、また卵を産み落とす役目も持つ場所だ。そんなものを、女の場所に突き入れられてしまった。
…純潔を捧げてしまった。
そんな彼女に跨る女王は今しがたずいぶんと物騒な発言をしたが、その嗜虐的な表情から考えるに毛頭そんな手段に出る気はないのだろう。
そもそもこの女王には、据え膳であるこの竜の娘を食することしか頭にないのだから。
しかし、それを知るはずもない彼女は恐怖におののいていた。
女を蹂躙され、さらに抵抗すればそれをダメにすると脅されているのだ、おぞましい以外の何物でもないだろう。
それでいてしかも、浅ましいことに自分の身体はこの残忍な女王からの責めにすぐさま昂りだしたのだ。
青ざめるような顔をしているつもりなのに頬は朱に染まり、あまりの恐怖に身体は震えているにもかかわらず彼女の三つの突起は固く尖り刺激を求めていた。
生存本能から荒くなった息は鼻を通る際に彼女自身の雌の匂いを伝え、狂いそうな嫌悪感にさいなまれている心には徐々に快楽が主張を始めてきていたのだ。
その間にも女王は彼女を弄び、導き、その拒む心を侵食していった。
彼女が『イヤ』と言えば『初心だ』と返し優しく愛撫し恥丘をなぞり、
彼女が『ダメ』と言えば『大丈夫』と耳元で囁き耳たぶを舐め上げ、
彼女が『やめて』と言えば『嘘だ』と乳首をつねり高まる性感を自認させていた。
彼女は自分の身体を、自身の性器を呪った。
愛し愛される相手ならともかく、親の仇で姉妹を誘拐したこの憎き敵に強姦され、
あまつさえ性感を高められているこの事実が、彼女の胸と心とおまけに彼女に突き立てられた産卵管をちぎりそうな勢いに締め付けている。
だが、実は彼女がここまで熱に浮かされているのはからくりがある。
先ほどから散々に彼女を苦しめた毒、これが彼女を強引に善がらせていたのだ。
筋弛緩効果を持ち、全身に力が入らなくなり神経が鈍感になる作用に隠れて、性欲を高め色に酔わせる媚薬の機能を持つこの淫毒が彼女をここまで狂わせていた。
しかし、つい先ほどまで処女であった彼女にそのようなことが分かるはずもない。
性行というものを耳でしか知らぬ乙女であった彼女に、この快感が己の内から生じたものでないという分析などできようはずもなかった。
また自然体での交わりを当然とする魔竜族の彼女に、媚薬という言葉は皮肉のようだがまさにファンタジーの中の代物だったのだ。
だが、下腹部に襲いかかる叩きつけられるような衝撃と、
いつの間にか奪われていた唇から注がれる蜂の蜜と、
左右の胸をいたわるようにこねくり回す愛撫に、彼女の中で何かが開発されていったのは事実だった。
始めは罪悪感のみを与えていたその快楽の波は、彼女の股間から、胸から、口から波紋のように広がり、彼女のかたくなな嫌悪感を体外に放出させた。
それはたとえば女王に舐め取られ唾液へと置換されている汗であり、女王の産卵管を咥えさせられ弄ばれている膣からあふれる蜜であった。
349 ... sage 2014/03/27(木) 23:45:22.56 ID:AYqx/RnX
そして、そこに端を発する声色の変化に、女王の無垢そうな顔が歪んだ笑みを浮かべる。
彼女は自らという存在をグチャグチャに掻き乱されたような所在ない惚けた顔で、
一瞬でも気を抜けば喘いでしまいかねない声を必死で押さえつつうわごとのように許しを乞うていた。
命令口調だったその言葉も、すがるような言葉選びとなり、竜の文化に疎い女王にも彼女が陥落しかけてきたと知るには火を見るより明らかだった。
「やめろ…ほんとうに、やめて、ください…お願い、です、から…!わ、私、おかしく、なる…」
「今だけは壊れても構わないぞ?その善がる狂う姿、誰にも言わぬゆえな…じゃから、妾に身を任せ、安心して逝くとよい。」
「い、いや…だ、こわれたくない、私は、わたしは…騎士団の、誇り…竜の…、わたし…ぅあ…あっあっ…ぃやぁ……」
「…!そろそろ、妾も余裕がなくなってきたわ…さぁ、卵を産むぞ、これで!そなたも女王じゃ!そなたに、歴代女王からの祝福を!」
「あ、いや、なに、くるっ…いやああああああああああああああああっ!!!」
彼女の中の奥の奥、子宮の中までにねじ込まれた産卵管から、スポンと卵が飛び出し続いてそれを保護する液体がそそがれる。
子宮口をこじ開けられる感覚と固形物が通る刺激でレイアは気をやってしまったままの様子だ。
せめて、快楽という逃げ道があって彼女にはせめてもの救いだっただろう。そうでなければあまりのおぞましさに気絶することは容易に考えられる。
もっとも、意識を保っていられてしまったこともある意味酷な現実だが。
女王はひとしきり液体を注ぎ終わり彼女の子宮がとろとろのゼリーで満たされたことを確認したところで、その管を彼女から抜き自身の腹内へと戻す。
その刺激にすら、彼女の経験のない身体は快楽が振り切れてしまい跳ねるように動いてしまう。
「あぁ…良いものを持っていたぞ。特に逝く時など妾も頭が焼き切れそうな心地良さであったわ。まったく、竜の娘はみなしてここまで締りが良いのか?
魔竜族は生まれながらにして逞しい筋肉を持つとは聞くが…まさかそこの筋肉も強いとはのう、傑作じゃな。
…おい、…そうだ、誤算はまだない、手はず通りに。」
「あ…あぁ…そん……な…入って……入っちゃっ…てる…」
レイアは仰向けに押し倒されたままの状態から動けず、部屋にやってきた衛兵たちに両肩を抱かれ、引きずるように連れて行かれた。
彼女は、耐えがたい屈辱と受け入れがたい現実から逃れるため、その瞳を閉じた。
せめて、彼女の股から垂れる紅が混じった白い液体を一度でも見てしまわないように、
そして、夢の中になら逃げられるから、と信じて…
350 名無しさん@ピンキー sage 2014/03/27(木) 23:51:16.92 ID:AYqx/RnX
ごめんなさいここで一度中断です。消化不良で申し訳ないです。
NGは...でお願いします。
自分の自家発電にお付き合いいただきありがとうございました。
画期的な方法
199 FBX@画期的な方法 ◆4gA1RyNyf. sage 2014/02/24(月) 02:37:04.06 ID:2KMjcb0H
どのような生物であっても必ず害になるものは存在する。
哺乳類や鳥類などはわかりやすいが、菌類や細菌類、
はたまた生物であるかどうか議論があるウイルスであってもそうだ。
人間はその英知をもって害と戦い、時には制圧し、あるいはされた。
かつて科学が未発達であった時代は人生50年と言われるほど弱かったのだ。
例えば病魔。
天然痘や黒死病など幾度となく人間はその数を減らさざるを得ない敵と相対した。
大きな犠牲を払いながらも、ある物の発見によって情勢は変わった。
抗生物質の発見やワクチンの発明。
この類の、革命とも言える大きな発見はそれまで繰り広げてきた戦いを大きく変えた。
不治の病とされていたものの幾つかは治るようになったのだ。
そのようにして、人類は害悪と戦い続けていた。
だが、それが生物性のものではなかったとしたら?
元を断つか、適応するか。
まさしくそれは生存競争とも言える、過酷な戦いとなる。
…はずたった。
ガラスの割れる音が、静まった病棟に響く。
頑強な警備システムは全く意味をなさず、ただただ無意味に沈黙を続けていた。
ここは隔離病棟。
200 FBX@画期的な方法 ◆4gA1RyNyf. sage 2014/02/24(月) 02:37:36.32 ID:2KMjcb0H
最先端の科学力をもってしても対応できない患者が収容されていた。
彼らはひとまずのところ、微生物やウイルスの類に感染しているわけではないことはわかっていた。
逆に言うとそれしかわかっていない。
この時代ーー1950年代の日本は、その経済成長の裏に巨大な影を携えていた。
急速な工業化による環境汚染。
それに伴う様々な有害物質の排出と、それに伴う人体への影響。
明らかな健康被害は出ているものの、原因の特定が進まなかった時代でもあった。
『――』
その人型の影は何らかの言葉を発すると、そのまま歩き始めた。
階段の踊り場には1F/2Fと書かれている。
人影は上の階へと移動し始めた。
2階・・・3階・・・4階。
そこで足が止まった。
日本の病院には4階が存在しないことがある。
むろん、4という数字は死と発音が同じだからだ。
しかしこの病院にはそれがあった。
人影は階段から離れ、この4階の廊下へと足を進めていく。
201 FBX@画期的な方法 ◆4gA1RyNyf. sage 2014/02/24(月) 02:38:20.38 ID:2KMjcb0H
明らかに靴でも裸足でもない足音と共に・・・
444号室。
その中の患者は既に床についていた。
しかしまだ眠れてはいなかった。
「・・・」
(ここに来てから何日かな・・・)
無機質な病室は既に暗く、非常灯だけが唯一の光だ。
「!」
ベッドの住人は体をこわばらせる。
ドアの外から足音が聞こえる。
(もう消灯時間なのはともかく、見回りの時間じゃないような?)
普段は21時消灯。
そして最初の見回りは0時頃のはず・・・
目線を時計に動かすも、時刻は22時半。
明らかに見回りではない。
(お隣さんが先に逝っちゃったのかな? それともこれから逝っちゃう感じかも・・・)
この階には、もはや死ぬことしか出来ない者だけがいる。
最初ここに来た時は大いに絶望したものであった。
いつしかその絶望は傍観と呆れとなり、周囲の病室で先立つ旅人が現れても感想を持たなくなっていった。
いずれ自分に順番が回ってくることも理解しているし、やり残したことはあっても出来る体ではない。
だったらどうでもいいか、といった具合だった。
(・・・足音、止まった? 私の部屋の前っぽい?)
その足音は確かに止まっていた。
それも彼女の部屋の前で。
202 FBX@画期的な方法 ◆4gA1RyNyf. sage 2014/02/24(月) 02:38:57.88 ID:2KMjcb0H
隣人が先立ったのならばそれはおかしいし、今の彼女は重篤な容態変化があったわけでもない。
部屋の外では、階段の踊り場から突入してきた人影がいた。
この病棟には部屋番号しか表示されておらず、中の住人の名前は一切書かれていない。
『・・・』
人影は今、444号室の前にいる。
その手をドアノブにかけた。
カチャ、という音が室内に聞こえた。
(こんな時間に誰だろう? 目は覚めてるし、多分「お迎え」とかじゃないよね)
彼女は目線をドアに移す。
薄暗い非常灯の僅かな灯りにより、ドアがゆっくりと開いていくのが見えた。
「・・・どなたですか?」
思い切って声を出してみた。
ドアは開ききる前に止まった。
『私はあなたの姉に頼まれて来た者です。』
「えっ」
人間とは思えないような声が小さく聞こえた。
ベッドの住人はゆっくりと体を起こす。
『そのままで。私の姿は見ない方がいいと思うから・・・』
「・・・そこに椅子がある」
『見えています。この暗さでも全部。私は人間じゃないから』
「よくわからないけれど、とりあえず話を聞きましょう」
その来訪客は椅子をついたての裏に持ち込んだ。
『昼間のうちに管理棟であなたの情報を調べました』
「うん」
203 FBX@画期的な方法 ◆4gA1RyNyf. sage 2014/02/24(月) 02:39:43.84 ID:2KMjcb0H
『それを踏まえてあなたに提案があります』
「その情報、何となくわかるかな・・・。もってあと何日とか、そういうのでしょう?」
自分を人間ではない、と自己紹介した「それ」は沈黙を持って答えた。
「そろそろかな、とは思ってました。私より何日か前に来た人はもう逝っちゃったから」
『あなたのお姉さんは、あなたを救う手段を探して欲しいと懇願してきました』
「姉さん、まだそんなことを・・・」
『そうです。今の医療技術ではあなたを救うことはできない。』
「で、あなたが来た理由はそれに関係があるんですね?」
『はい。お姉さんはご自身の全てを捧げ、あなたを助けようとしました。
そしてその方法を持ってきたのです。』
「え?」
耳を疑うとはまさにこのことだったのだろう。
余命いくばくも無いと自覚しており、目の前の来訪者からはその裏付け情報すら存在すると言われたのだ。
しかし自分を助ける手段を提供しに来たと言う。
ありえるものなのだろうか。
『しかし、あなたご自身の意志を尊重して欲しいとも。』
「詳しく聞かせて下さい。」
『この階の患者は同じ原因による不治の病です。現在の医療では100%治療不可能です。
それはご存じの通り。ここからは私独自の研究によりわかったことですが――』
そこで一度言葉が途切れた。
「他言無用にしてほしい、とかですか?」
『そういうことです。誰も信じないでしょうけれど。』
「どうせじきに死ぬ体ですから。お墓まで持って行く秘密の1つくらい、あってもいいですよね。」
『本当に諦めているんですね。この階の患者は、みんな病原菌やウイルスのせいではありません。』
「・・・?」
204 FBX@画期的な方法 ◆4gA1RyNyf. sage 2014/02/24(月) 02:40:17.07 ID:2KMjcb0H
『つまり、現在の医療が主な対象としている病気ではないのです。だから当然、薬だって存在しない。
予防接種だって存在しない。一度発症したら最後、死ぬまで待つしかない・・・』
「そんなことってありえるんですか?」
『そう、普通はそう言います。あなたのお姉さんもそうでした。しかし答えはイエスです。
人間の体には有害となるものがたくさんあります。フグで死ぬ人、いるでしょう?』
「ああ、フグ毒・・・毒?」
『そう、毒。まさしくその毒です。この階の患者は全員、その毒に冒されているわけです。』
「・・・考えもしませんでした。」
『誰も毒であることを疑いもしない。だから当然解毒剤も作られていないというわけで』
「なるほど」
彼女は素直に納得していた。
あらゆる医者にかかっても、皆似たような検査しかされなかった。
すなわち原因を探せるはずがなかったのだ。
『この毒は人間だからこそ毒になってしまうのです。』
「あなたは人間ではないと先ほど?」
『私は科学者として、自らの体で実験をしたのですよ。そして・・・』
「・・・」
ついたてから人影が現れた。
しかし非常灯の灯りも直接当たるわけではないため、ほぼ見えない。
『これを。懐中電灯です。私の足下を照らしてみて下さい。』
「・・・うん」
ベッドに懐中電灯を投げてよこした。
彼女はそれを手に取り、床に向ける。
スイッチを入れると光がともり、病棟の無機質なグリーンの床が見えた。
『ゆっくりとこちらを照らして下さい。』
「・・・」
205 FBX@画期的な方法 ◆4gA1RyNyf. sage 2014/02/24(月) 02:40:50.69 ID:2KMjcb0H
「・・・」
おそるおそるそちらに光を向ける。
すぐに銀色の物体が見えた。
「・・・これは・・・?」
『止めて下さい。これは私の足なのですよ。』
「!」
『人間にとって毒であり、それにより死ぬのならば・・・人間をやめればいい。それだけのことです。』
「・・・! ・・・!」
彼女は目の前の現実に、ただただ驚くことしか出来なかった。
『ただ、私の成果をお姉さんに伝えたところ・・・あなたの意志を尊重したい、と。
人間のまま死にたいというのならば、それでもいい・・・ということでした。』
「そ、そうですか」
『ゆっくりと上を照らして下さい。』
言われるがまま、懐中電灯を上に向けていく。
つま先からすね、膝、もも・・・
腹部、胸、肩・・・
すべてが銀色だった。
思わず彼女の手がゆっくりと伸びる。
『触ると毒ですよ?』
「あ」
ぴたりと手が止まる。
『毒を克服するためではなく、私自身が毒になった・・・というようなものなのですよ。』
「そんなこと」
『できるんです。できてしまったんです。』
206 FBX@画期的な方法 ◆4gA1RyNyf. sage 2014/02/24(月) 02:41:37.61 ID:2KMjcb0H
「・・・」
『どうしますか? 私はどちらでも構いません。』
死を覚悟し、受け入れる準備すら出来ている人間がそんな話を聞いたら。
答えは1つしかなかった。
「その方法、私に。」
『では・・・』
その銀色の人型は、自らの腹部に右手を添えた。
『ショッキングですから見ない方がいいかと』
「私もそれをするようになるんでしょう?」
『ええ』
「ならば見ておきます。」
『気絶しないでくださいよ? ・・・んふぅ』
小さい喘ぎ声をあげ、その右手がずぶりとお腹の中に沈んだ。
そのまま何かを探すかのようにかき回す。
『くふ、ここ、かしら・・・あふ』
やがて手を抜く。
『私も元々は人間の女です。この体になった後に色々と自分の体を調べたんですが――』
その銀色が言うに、いくつかの特徴がわかったとのことだった。
1つ、体はベースにした毒素で構成されている。
2つ、元々が女だった自分には生殖器は残されている。
3つ、その生殖器からは「方法」を実行するためのモノを産み出せる。
4つ、その気になれば人間に擬態することは用意である。
まだまだ不明なことが多いそうだが、この4つのことはわかったらしい。
「その、つまり・・・あなたの体から産まれたものを使って私を作り替える、と。」
212 FBX@画期的な方法 ◆4gA1RyNyf. sage 2014/02/24(月) 21:06:10.08 ID:2KMjcb0H
『さすがお姉さんの言うとおり、賢い方ですね。』
腹部から抜いた手を開き、彼女に見せる。
『これをあなたのお腹に入れます。』
そこには蛍光色の、非常に細い繊維状の紐らしき束があった。
『これはあなたの中に入るとあらゆる臓器に根を伸ばし、付着し、同化します。
あなたを死に追いやっている毒素を吸い寄せ、それを使って体を作り替えていく。
ものの2,3時間であなたは新しい体を手に入れられますよ。』
「・・・」
『さぁ、脱いで下さい。』
「え? 口からじゃ?」
『私がどこからこれを産みだしたか見ていたでしょう?』
「う・・・でもなんでそこから?」
『体の中心とも言える場所だからと考えています。はっきりとはわかりませんがね。
それと、この紐みたいなものは生物です。周囲にある物質で宿主を作り替え、
自分たちにとって住みよい環境にする特性を持っています。
例えそれがこの生物にとって毒であったとしても、ものの数秒で適応してしまう。
おまけに宿主にもその耐性を与えるようです。』
「頑丈な生き物なんですね?」
『果たして地球の生物かどうかすらわかりませんがね。さぁ』
不安を覚えつつも、彼女は服を脱いでいく。
「・・・」
『慣れているみたいですね?』
213 FBX@画期的な方法 ◆4gA1RyNyf. sage 2014/02/24(月) 21:06:57.54 ID:2KMjcb0H
「検査とかで何度も脱いでいるから・・・」
すぐにその裸身があらわになる。
死を目前に控えた体はやせ細り、文字通り重篤な患者であることは明らかだった。
銀色の前に四つん這いになった。
『処女ですか?』
「ちょ、そんな急に・・・はい」
『大丈夫。痛くはありませんよ。私もそうでしたから。』
そうしているうちに、銀色の右手が伸びてきた。
『行きますよ?』
「あ、は、はい。」
ゆっくりと繊維状のものが差し込まれてきた。
「は・・・う・・・なんか変な・・・」
『ひんやりして気持ちいいでしょう?』
「あ、なんかくっついて・・・」
『あなたの体のあちこちに入り始めたんですよ。』
「あうあ・・・ああ・・・」
銀色は彼女の耳元に口を近づける。
『ほうら、全部入りました。あなたの全身に広がっていくのがわかるでしょう?』
「う、うん・・・それになんだか・・・気持ちいい・・・」
『ふふふ・・・』
小さい笑い声と共に、その銀色は彼女を抱きしめて押し倒した。
「へう・・・ひんやり・・・」
214 FBX@画期的な方法 ◆4gA1RyNyf. sage 2014/02/24(月) 21:07:36.29 ID:2KMjcb0H
『もう頭の方まで入っていったみたいですね。私の体は毒素の塊なのに、暴れもしない。』
「へふう・・・毒・・・」
『こうやって抱きしめていればすぐに私みたいになりますよ? だって』
そうして銀色は左手を彼女の股間に当て、
『あなたを死に追いやった毒素で私は出来ているんですから』
秘所に指を入れた。
「っ――!!?」
びくびくと体を震わせて絶頂に達するが、彼女の口からは声が出ない。
銀色の右手が口を塞いでいた。
『さぁ、楽しみましょう。あなたが人間じゃなくなるまで。』
444号室のベッドで、異様な儀式は始まった。
「うむぅ・・・」
銀色の人型は彼女の唇を奪う。
彼女は銀色から注がれる液体をひたすら飲み込んでいく。
その接合部からはわからないが、銀色の喉からはチューブのようなモノが伸びていた。
数秒で口を離すと、彼女の口を犯していたチューブもぐじゅぐじゅと小さく音を立てて銀色の中に戻っていく。
見ると彼女の首が銀色と同じ色になってきていた。
銀色は満足そうに微笑むと、今度はその胸を両手で持ち上げる。
『んふぅ・・・イイ・・・』
明らかに快楽の色を帯びた声を上げる。
215 FBX@画期的な方法 ◆4gA1RyNyf. sage 2014/02/24(月) 21:08:12.62 ID:2KMjcb0H
乳首と、その胸の盛り上がりの周囲から数本のチューブが産まれていた。
『ふふふ・・・』
チューブは自然に伸びていき、彼女の胸の対応する場所に次々と刺さっていった。
「くひっ?」
彼女の体はピクリと硬直し、驚きの声とも喘ぎ声とも取れる音を漏らす。
しかしすぐにそれは収まり、幸せそうな表情になっていく。
『生きていけることを実感してるのかしら・・・はふぅ』
銀色の喘ぎ声と共に胸から伸びたチューブが蠕動を始めた。
彼女の中に何かを注入しているのだ。
『これで胸から上はおしまいね・・・ふふふ、人間を作り替えるのっていいわぁ』
最初は命を救う使命感に満ちていた銀色だったが、今は仲間を増やす快楽と楽しみに溺れていた。
ぴくぴくと快楽の痙攣を繰り返す彼女の体は、もうだいぶ銀色と同じ色に染まってきていた。
『後は・・・ここね』
銀色の股間から、胸と同じように無数のチューブが作られた。
そして彼女の体を自信と同じ方向に向け、いわゆる駅弁の体位を取った。
『んっふふふふ・・・』
もはや邪悪とも取れる笑い声と共に、彼女をゆっくりと自らの股間へ下ろしていく。
声帯をも作り替えられた彼女からは声が上がらなかった。
『入った・・・入ったぁ・・・ああ・・・イイ』
チューブは自由自在にうねり、どんどん彼女の奥深くへと入り込んでいく。
その中で他のチューブと同じように液体をはき出し、または分泌していくのだ。
これも銀色にとっては快楽を感じる行為のようで、必死に声を抑えて絶頂を繰り返していた。
『んっふ! いひぃふ!!』
216 FBX@画期的な方法 ◆4gA1RyNyf. sage 2014/02/24(月) 21:09:05.02 ID:2KMjcb0H
どくん、どくんと二つの体、無数のチューブが同時に動く様は実に異様である。
『へ・・・あぁ・・・』
彼女の口から銀色と同じような異形の声が漏れる。
声帯の改造が終わったのだろうか。
見ると、上半身は完全に銀色と同じ色になっていた。
『あああ・・・』
それから数秒もたたずして、重なった二つの体は最高の快楽に打ち震えるのだった。
『これが・・・わたし・・・』
ベッドの上には人間だったモノ=彼女がいた。
『気分はどうかしら?』
『なんだか・・・体がとっても軽いです。さっきまでの重さが嘘のよう』
『それは良かった。あなたのお姉さんも喜んでいますよ』
喜ぶでしょう、ならばともかく・・・喜んでいますよ、とは?
『え?』
『私があなたのお姉さんだから』
『・・・あ!』
銀色の顔は、確かに彼女の姉だった。
『人間に擬態できる、というのはこういうこともできるわけ』
『お、お姉ちゃん・・・』
『お互い人間やめちゃったね。でもこれからは一緒だよ。ずっとね』
そう言うと銀色は彼女を抱きしめた。
『私たち、何になったの?』
217 FBX@画期的な方法 ◆4gA1RyNyf. sage 2014/02/24(月) 21:09:41.39 ID:2KMjcb0H
『一言で言うと、無機生命体とかかな』
『それってテレビとかでやってるSFドラマに出てくるような?』
『イメージは近いかも。でもあの生物に取り込ませられるのは無機物だけじゃないわ』
『例えば?』
『車の排気ガスとか。たぶん綺麗な真っ黒い体になると思うよ』
『え? じゃあ私たちの体はなにで出来ているの?』
『この銀色は新種の液体金属なのよ。最近近所の化学研究所で発明・・・発見?されたらしいの。
液体金属といえば水銀だけれど、水銀とは全然違うみたい。ま、どっちも人間には毒なんだけどね』
『へぇ・・・』
『液体金属だからね、こんなことだって出来るのよ?』
言うと姉は体を溶解して見せた。
『えっ!?』
『こうすれば昼間に情報を盗むことだって簡単でしょ』
『なるほど・・・』
もはや彼女はそれを異常とは思わなくなっていた。
思考は既に人間ではなくなっているのだ。
『それじゃ、そろそろ行きましょうか。この生物をもっと調べないとね』
『ねぇ、取り込む物質によって色が変わるんだよね?』
『今のところは「そうらしい」としかね。排気ガスでは試したけれど』
『例えばその物質が虹色みたいなのだったら・・・』
『たぶん体も虹色になるわよ』
『えー、面白ぉい・・・ふふふ・・・』
218 FBX@画期的な方法 ◆4gA1RyNyf. sage 2014/02/24(月) 21:10:15.70 ID:2KMjcb0H
『そうね・・・ふふ・・・』
0時の見回りで大騒ぎが起きたことは言うまでもない。
444号室の患者が忽然と姿を消したのだから。
この病棟の患者は全員、死を間近に控えた者達。
つまり自力で脱出したとしてものたれ死ぬのが関の山なのだから。
完全隔離された病棟から脱走者が出たことはもみ消され、明るみに出ることはなかった。
そして時を経て、もみ消したことが大きな過ちだったと国は気づくことになる。
病院の屋上の縁に腰掛ける二つの影。
月明かりを反射する二つの体は、非常に艶めかしく美しい銀色をしていた。
『これからどうする?』
『一度帰ろう。あの生物の研究は私の部屋で秘密にやっていたの』
『そうだったの・・・ありがとう、お姉ちゃん』
言うと片方の銀色はもう片方の肩を抱く。
『たった二人だけの姉妹だもの。当たり前よ』
『うん・・・』
『さぁ行こう。人間に擬態するのを忘れないでね?』
『もちろん』
屋上に液体がぐちゃぐちゃと蠢く音がわずかに響く。
二つの異形が人間に擬態する音だった。
「行こう、お姉ちゃん」
「うん」
自分たちが人間ではない証として、爪の色だけを銀色にして。
それ以外はまっとうな人間になっていた。
そして二人は妖しい笑みを浮かべつつ、病院の屋上から飛び降りた――
219 FBX@ ◆4gA1RyNyf. sage 2014/02/24(月) 21:14:20.30 ID:2KMjcb0H
と、こんな感じで。
実はこのネタ、ESETのパッケージで思いついたんですよね。
なんであのソフトってあんなキモイんだろう? と考えていたら脳内でry
気になる方はESETのホームページを見て下さいw
でコレ、1950年代という設定でやってます。
Codeシリーズじゃないので自分なりにある程度設定なんかも考えているので、
この先少しずつ続けていくことも可能だと思ってます。
ただご覧のように、昔に比べてエロ描写が物足りなくなってることを不安視してます。
ブランクのせいにはしたくないけど、どうしたもんかなぁ・・・
どうでもいいことですが、本物の水銀は人体に猛毒ですのでご注意を。
化学が未発達な時代、水銀は不老不死の薬だと勘違いされていた時代・地域もあったとか。
むろん、それを飲んだ人達は全員中毒死したことでしょうね・・・
どのような生物であっても必ず害になるものは存在する。
哺乳類や鳥類などはわかりやすいが、菌類や細菌類、
はたまた生物であるかどうか議論があるウイルスであってもそうだ。
人間はその英知をもって害と戦い、時には制圧し、あるいはされた。
かつて科学が未発達であった時代は人生50年と言われるほど弱かったのだ。
例えば病魔。
天然痘や黒死病など幾度となく人間はその数を減らさざるを得ない敵と相対した。
大きな犠牲を払いながらも、ある物の発見によって情勢は変わった。
抗生物質の発見やワクチンの発明。
この類の、革命とも言える大きな発見はそれまで繰り広げてきた戦いを大きく変えた。
不治の病とされていたものの幾つかは治るようになったのだ。
そのようにして、人類は害悪と戦い続けていた。
だが、それが生物性のものではなかったとしたら?
元を断つか、適応するか。
まさしくそれは生存競争とも言える、過酷な戦いとなる。
…はずたった。
ガラスの割れる音が、静まった病棟に響く。
頑強な警備システムは全く意味をなさず、ただただ無意味に沈黙を続けていた。
ここは隔離病棟。
200 FBX@画期的な方法 ◆4gA1RyNyf. sage 2014/02/24(月) 02:37:36.32 ID:2KMjcb0H
最先端の科学力をもってしても対応できない患者が収容されていた。
彼らはひとまずのところ、微生物やウイルスの類に感染しているわけではないことはわかっていた。
逆に言うとそれしかわかっていない。
この時代ーー1950年代の日本は、その経済成長の裏に巨大な影を携えていた。
急速な工業化による環境汚染。
それに伴う様々な有害物質の排出と、それに伴う人体への影響。
明らかな健康被害は出ているものの、原因の特定が進まなかった時代でもあった。
『――』
その人型の影は何らかの言葉を発すると、そのまま歩き始めた。
階段の踊り場には1F/2Fと書かれている。
人影は上の階へと移動し始めた。
2階・・・3階・・・4階。
そこで足が止まった。
日本の病院には4階が存在しないことがある。
むろん、4という数字は死と発音が同じだからだ。
しかしこの病院にはそれがあった。
人影は階段から離れ、この4階の廊下へと足を進めていく。
201 FBX@画期的な方法 ◆4gA1RyNyf. sage 2014/02/24(月) 02:38:20.38 ID:2KMjcb0H
明らかに靴でも裸足でもない足音と共に・・・
444号室。
その中の患者は既に床についていた。
しかしまだ眠れてはいなかった。
「・・・」
(ここに来てから何日かな・・・)
無機質な病室は既に暗く、非常灯だけが唯一の光だ。
「!」
ベッドの住人は体をこわばらせる。
ドアの外から足音が聞こえる。
(もう消灯時間なのはともかく、見回りの時間じゃないような?)
普段は21時消灯。
そして最初の見回りは0時頃のはず・・・
目線を時計に動かすも、時刻は22時半。
明らかに見回りではない。
(お隣さんが先に逝っちゃったのかな? それともこれから逝っちゃう感じかも・・・)
この階には、もはや死ぬことしか出来ない者だけがいる。
最初ここに来た時は大いに絶望したものであった。
いつしかその絶望は傍観と呆れとなり、周囲の病室で先立つ旅人が現れても感想を持たなくなっていった。
いずれ自分に順番が回ってくることも理解しているし、やり残したことはあっても出来る体ではない。
だったらどうでもいいか、といった具合だった。
(・・・足音、止まった? 私の部屋の前っぽい?)
その足音は確かに止まっていた。
それも彼女の部屋の前で。
202 FBX@画期的な方法 ◆4gA1RyNyf. sage 2014/02/24(月) 02:38:57.88 ID:2KMjcb0H
隣人が先立ったのならばそれはおかしいし、今の彼女は重篤な容態変化があったわけでもない。
部屋の外では、階段の踊り場から突入してきた人影がいた。
この病棟には部屋番号しか表示されておらず、中の住人の名前は一切書かれていない。
『・・・』
人影は今、444号室の前にいる。
その手をドアノブにかけた。
カチャ、という音が室内に聞こえた。
(こんな時間に誰だろう? 目は覚めてるし、多分「お迎え」とかじゃないよね)
彼女は目線をドアに移す。
薄暗い非常灯の僅かな灯りにより、ドアがゆっくりと開いていくのが見えた。
「・・・どなたですか?」
思い切って声を出してみた。
ドアは開ききる前に止まった。
『私はあなたの姉に頼まれて来た者です。』
「えっ」
人間とは思えないような声が小さく聞こえた。
ベッドの住人はゆっくりと体を起こす。
『そのままで。私の姿は見ない方がいいと思うから・・・』
「・・・そこに椅子がある」
『見えています。この暗さでも全部。私は人間じゃないから』
「よくわからないけれど、とりあえず話を聞きましょう」
その来訪客は椅子をついたての裏に持ち込んだ。
『昼間のうちに管理棟であなたの情報を調べました』
「うん」
203 FBX@画期的な方法 ◆4gA1RyNyf. sage 2014/02/24(月) 02:39:43.84 ID:2KMjcb0H
『それを踏まえてあなたに提案があります』
「その情報、何となくわかるかな・・・。もってあと何日とか、そういうのでしょう?」
自分を人間ではない、と自己紹介した「それ」は沈黙を持って答えた。
「そろそろかな、とは思ってました。私より何日か前に来た人はもう逝っちゃったから」
『あなたのお姉さんは、あなたを救う手段を探して欲しいと懇願してきました』
「姉さん、まだそんなことを・・・」
『そうです。今の医療技術ではあなたを救うことはできない。』
「で、あなたが来た理由はそれに関係があるんですね?」
『はい。お姉さんはご自身の全てを捧げ、あなたを助けようとしました。
そしてその方法を持ってきたのです。』
「え?」
耳を疑うとはまさにこのことだったのだろう。
余命いくばくも無いと自覚しており、目の前の来訪者からはその裏付け情報すら存在すると言われたのだ。
しかし自分を助ける手段を提供しに来たと言う。
ありえるものなのだろうか。
『しかし、あなたご自身の意志を尊重して欲しいとも。』
「詳しく聞かせて下さい。」
『この階の患者は同じ原因による不治の病です。現在の医療では100%治療不可能です。
それはご存じの通り。ここからは私独自の研究によりわかったことですが――』
そこで一度言葉が途切れた。
「他言無用にしてほしい、とかですか?」
『そういうことです。誰も信じないでしょうけれど。』
「どうせじきに死ぬ体ですから。お墓まで持って行く秘密の1つくらい、あってもいいですよね。」
『本当に諦めているんですね。この階の患者は、みんな病原菌やウイルスのせいではありません。』
「・・・?」
204 FBX@画期的な方法 ◆4gA1RyNyf. sage 2014/02/24(月) 02:40:17.07 ID:2KMjcb0H
『つまり、現在の医療が主な対象としている病気ではないのです。だから当然、薬だって存在しない。
予防接種だって存在しない。一度発症したら最後、死ぬまで待つしかない・・・』
「そんなことってありえるんですか?」
『そう、普通はそう言います。あなたのお姉さんもそうでした。しかし答えはイエスです。
人間の体には有害となるものがたくさんあります。フグで死ぬ人、いるでしょう?』
「ああ、フグ毒・・・毒?」
『そう、毒。まさしくその毒です。この階の患者は全員、その毒に冒されているわけです。』
「・・・考えもしませんでした。」
『誰も毒であることを疑いもしない。だから当然解毒剤も作られていないというわけで』
「なるほど」
彼女は素直に納得していた。
あらゆる医者にかかっても、皆似たような検査しかされなかった。
すなわち原因を探せるはずがなかったのだ。
『この毒は人間だからこそ毒になってしまうのです。』
「あなたは人間ではないと先ほど?」
『私は科学者として、自らの体で実験をしたのですよ。そして・・・』
「・・・」
ついたてから人影が現れた。
しかし非常灯の灯りも直接当たるわけではないため、ほぼ見えない。
『これを。懐中電灯です。私の足下を照らしてみて下さい。』
「・・・うん」
ベッドに懐中電灯を投げてよこした。
彼女はそれを手に取り、床に向ける。
スイッチを入れると光がともり、病棟の無機質なグリーンの床が見えた。
『ゆっくりとこちらを照らして下さい。』
「・・・」
205 FBX@画期的な方法 ◆4gA1RyNyf. sage 2014/02/24(月) 02:40:50.69 ID:2KMjcb0H
「・・・」
おそるおそるそちらに光を向ける。
すぐに銀色の物体が見えた。
「・・・これは・・・?」
『止めて下さい。これは私の足なのですよ。』
「!」
『人間にとって毒であり、それにより死ぬのならば・・・人間をやめればいい。それだけのことです。』
「・・・! ・・・!」
彼女は目の前の現実に、ただただ驚くことしか出来なかった。
『ただ、私の成果をお姉さんに伝えたところ・・・あなたの意志を尊重したい、と。
人間のまま死にたいというのならば、それでもいい・・・ということでした。』
「そ、そうですか」
『ゆっくりと上を照らして下さい。』
言われるがまま、懐中電灯を上に向けていく。
つま先からすね、膝、もも・・・
腹部、胸、肩・・・
すべてが銀色だった。
思わず彼女の手がゆっくりと伸びる。
『触ると毒ですよ?』
「あ」
ぴたりと手が止まる。
『毒を克服するためではなく、私自身が毒になった・・・というようなものなのですよ。』
「そんなこと」
『できるんです。できてしまったんです。』
206 FBX@画期的な方法 ◆4gA1RyNyf. sage 2014/02/24(月) 02:41:37.61 ID:2KMjcb0H
「・・・」
『どうしますか? 私はどちらでも構いません。』
死を覚悟し、受け入れる準備すら出来ている人間がそんな話を聞いたら。
答えは1つしかなかった。
「その方法、私に。」
『では・・・』
その銀色の人型は、自らの腹部に右手を添えた。
『ショッキングですから見ない方がいいかと』
「私もそれをするようになるんでしょう?」
『ええ』
「ならば見ておきます。」
『気絶しないでくださいよ? ・・・んふぅ』
小さい喘ぎ声をあげ、その右手がずぶりとお腹の中に沈んだ。
そのまま何かを探すかのようにかき回す。
『くふ、ここ、かしら・・・あふ』
やがて手を抜く。
『私も元々は人間の女です。この体になった後に色々と自分の体を調べたんですが――』
その銀色が言うに、いくつかの特徴がわかったとのことだった。
1つ、体はベースにした毒素で構成されている。
2つ、元々が女だった自分には生殖器は残されている。
3つ、その生殖器からは「方法」を実行するためのモノを産み出せる。
4つ、その気になれば人間に擬態することは用意である。
まだまだ不明なことが多いそうだが、この4つのことはわかったらしい。
「その、つまり・・・あなたの体から産まれたものを使って私を作り替える、と。」
212 FBX@画期的な方法 ◆4gA1RyNyf. sage 2014/02/24(月) 21:06:10.08 ID:2KMjcb0H
『さすがお姉さんの言うとおり、賢い方ですね。』
腹部から抜いた手を開き、彼女に見せる。
『これをあなたのお腹に入れます。』
そこには蛍光色の、非常に細い繊維状の紐らしき束があった。
『これはあなたの中に入るとあらゆる臓器に根を伸ばし、付着し、同化します。
あなたを死に追いやっている毒素を吸い寄せ、それを使って体を作り替えていく。
ものの2,3時間であなたは新しい体を手に入れられますよ。』
「・・・」
『さぁ、脱いで下さい。』
「え? 口からじゃ?」
『私がどこからこれを産みだしたか見ていたでしょう?』
「う・・・でもなんでそこから?」
『体の中心とも言える場所だからと考えています。はっきりとはわかりませんがね。
それと、この紐みたいなものは生物です。周囲にある物質で宿主を作り替え、
自分たちにとって住みよい環境にする特性を持っています。
例えそれがこの生物にとって毒であったとしても、ものの数秒で適応してしまう。
おまけに宿主にもその耐性を与えるようです。』
「頑丈な生き物なんですね?」
『果たして地球の生物かどうかすらわかりませんがね。さぁ』
不安を覚えつつも、彼女は服を脱いでいく。
「・・・」
『慣れているみたいですね?』
213 FBX@画期的な方法 ◆4gA1RyNyf. sage 2014/02/24(月) 21:06:57.54 ID:2KMjcb0H
「検査とかで何度も脱いでいるから・・・」
すぐにその裸身があらわになる。
死を目前に控えた体はやせ細り、文字通り重篤な患者であることは明らかだった。
銀色の前に四つん這いになった。
『処女ですか?』
「ちょ、そんな急に・・・はい」
『大丈夫。痛くはありませんよ。私もそうでしたから。』
そうしているうちに、銀色の右手が伸びてきた。
『行きますよ?』
「あ、は、はい。」
ゆっくりと繊維状のものが差し込まれてきた。
「は・・・う・・・なんか変な・・・」
『ひんやりして気持ちいいでしょう?』
「あ、なんかくっついて・・・」
『あなたの体のあちこちに入り始めたんですよ。』
「あうあ・・・ああ・・・」
銀色は彼女の耳元に口を近づける。
『ほうら、全部入りました。あなたの全身に広がっていくのがわかるでしょう?』
「う、うん・・・それになんだか・・・気持ちいい・・・」
『ふふふ・・・』
小さい笑い声と共に、その銀色は彼女を抱きしめて押し倒した。
「へう・・・ひんやり・・・」
214 FBX@画期的な方法 ◆4gA1RyNyf. sage 2014/02/24(月) 21:07:36.29 ID:2KMjcb0H
『もう頭の方まで入っていったみたいですね。私の体は毒素の塊なのに、暴れもしない。』
「へふう・・・毒・・・」
『こうやって抱きしめていればすぐに私みたいになりますよ? だって』
そうして銀色は左手を彼女の股間に当て、
『あなたを死に追いやった毒素で私は出来ているんですから』
秘所に指を入れた。
「っ――!!?」
びくびくと体を震わせて絶頂に達するが、彼女の口からは声が出ない。
銀色の右手が口を塞いでいた。
『さぁ、楽しみましょう。あなたが人間じゃなくなるまで。』
444号室のベッドで、異様な儀式は始まった。
「うむぅ・・・」
銀色の人型は彼女の唇を奪う。
彼女は銀色から注がれる液体をひたすら飲み込んでいく。
その接合部からはわからないが、銀色の喉からはチューブのようなモノが伸びていた。
数秒で口を離すと、彼女の口を犯していたチューブもぐじゅぐじゅと小さく音を立てて銀色の中に戻っていく。
見ると彼女の首が銀色と同じ色になってきていた。
銀色は満足そうに微笑むと、今度はその胸を両手で持ち上げる。
『んふぅ・・・イイ・・・』
明らかに快楽の色を帯びた声を上げる。
215 FBX@画期的な方法 ◆4gA1RyNyf. sage 2014/02/24(月) 21:08:12.62 ID:2KMjcb0H
乳首と、その胸の盛り上がりの周囲から数本のチューブが産まれていた。
『ふふふ・・・』
チューブは自然に伸びていき、彼女の胸の対応する場所に次々と刺さっていった。
「くひっ?」
彼女の体はピクリと硬直し、驚きの声とも喘ぎ声とも取れる音を漏らす。
しかしすぐにそれは収まり、幸せそうな表情になっていく。
『生きていけることを実感してるのかしら・・・はふぅ』
銀色の喘ぎ声と共に胸から伸びたチューブが蠕動を始めた。
彼女の中に何かを注入しているのだ。
『これで胸から上はおしまいね・・・ふふふ、人間を作り替えるのっていいわぁ』
最初は命を救う使命感に満ちていた銀色だったが、今は仲間を増やす快楽と楽しみに溺れていた。
ぴくぴくと快楽の痙攣を繰り返す彼女の体は、もうだいぶ銀色と同じ色に染まってきていた。
『後は・・・ここね』
銀色の股間から、胸と同じように無数のチューブが作られた。
そして彼女の体を自信と同じ方向に向け、いわゆる駅弁の体位を取った。
『んっふふふふ・・・』
もはや邪悪とも取れる笑い声と共に、彼女をゆっくりと自らの股間へ下ろしていく。
声帯をも作り替えられた彼女からは声が上がらなかった。
『入った・・・入ったぁ・・・ああ・・・イイ』
チューブは自由自在にうねり、どんどん彼女の奥深くへと入り込んでいく。
その中で他のチューブと同じように液体をはき出し、または分泌していくのだ。
これも銀色にとっては快楽を感じる行為のようで、必死に声を抑えて絶頂を繰り返していた。
『んっふ! いひぃふ!!』
216 FBX@画期的な方法 ◆4gA1RyNyf. sage 2014/02/24(月) 21:09:05.02 ID:2KMjcb0H
どくん、どくんと二つの体、無数のチューブが同時に動く様は実に異様である。
『へ・・・あぁ・・・』
彼女の口から銀色と同じような異形の声が漏れる。
声帯の改造が終わったのだろうか。
見ると、上半身は完全に銀色と同じ色になっていた。
『あああ・・・』
それから数秒もたたずして、重なった二つの体は最高の快楽に打ち震えるのだった。
『これが・・・わたし・・・』
ベッドの上には人間だったモノ=彼女がいた。
『気分はどうかしら?』
『なんだか・・・体がとっても軽いです。さっきまでの重さが嘘のよう』
『それは良かった。あなたのお姉さんも喜んでいますよ』
喜ぶでしょう、ならばともかく・・・喜んでいますよ、とは?
『え?』
『私があなたのお姉さんだから』
『・・・あ!』
銀色の顔は、確かに彼女の姉だった。
『人間に擬態できる、というのはこういうこともできるわけ』
『お、お姉ちゃん・・・』
『お互い人間やめちゃったね。でもこれからは一緒だよ。ずっとね』
そう言うと銀色は彼女を抱きしめた。
『私たち、何になったの?』
217 FBX@画期的な方法 ◆4gA1RyNyf. sage 2014/02/24(月) 21:09:41.39 ID:2KMjcb0H
『一言で言うと、無機生命体とかかな』
『それってテレビとかでやってるSFドラマに出てくるような?』
『イメージは近いかも。でもあの生物に取り込ませられるのは無機物だけじゃないわ』
『例えば?』
『車の排気ガスとか。たぶん綺麗な真っ黒い体になると思うよ』
『え? じゃあ私たちの体はなにで出来ているの?』
『この銀色は新種の液体金属なのよ。最近近所の化学研究所で発明・・・発見?されたらしいの。
液体金属といえば水銀だけれど、水銀とは全然違うみたい。ま、どっちも人間には毒なんだけどね』
『へぇ・・・』
『液体金属だからね、こんなことだって出来るのよ?』
言うと姉は体を溶解して見せた。
『えっ!?』
『こうすれば昼間に情報を盗むことだって簡単でしょ』
『なるほど・・・』
もはや彼女はそれを異常とは思わなくなっていた。
思考は既に人間ではなくなっているのだ。
『それじゃ、そろそろ行きましょうか。この生物をもっと調べないとね』
『ねぇ、取り込む物質によって色が変わるんだよね?』
『今のところは「そうらしい」としかね。排気ガスでは試したけれど』
『例えばその物質が虹色みたいなのだったら・・・』
『たぶん体も虹色になるわよ』
『えー、面白ぉい・・・ふふふ・・・』
218 FBX@画期的な方法 ◆4gA1RyNyf. sage 2014/02/24(月) 21:10:15.70 ID:2KMjcb0H
『そうね・・・ふふ・・・』
0時の見回りで大騒ぎが起きたことは言うまでもない。
444号室の患者が忽然と姿を消したのだから。
この病棟の患者は全員、死を間近に控えた者達。
つまり自力で脱出したとしてものたれ死ぬのが関の山なのだから。
完全隔離された病棟から脱走者が出たことはもみ消され、明るみに出ることはなかった。
そして時を経て、もみ消したことが大きな過ちだったと国は気づくことになる。
病院の屋上の縁に腰掛ける二つの影。
月明かりを反射する二つの体は、非常に艶めかしく美しい銀色をしていた。
『これからどうする?』
『一度帰ろう。あの生物の研究は私の部屋で秘密にやっていたの』
『そうだったの・・・ありがとう、お姉ちゃん』
言うと片方の銀色はもう片方の肩を抱く。
『たった二人だけの姉妹だもの。当たり前よ』
『うん・・・』
『さぁ行こう。人間に擬態するのを忘れないでね?』
『もちろん』
屋上に液体がぐちゃぐちゃと蠢く音がわずかに響く。
二つの異形が人間に擬態する音だった。
「行こう、お姉ちゃん」
「うん」
自分たちが人間ではない証として、爪の色だけを銀色にして。
それ以外はまっとうな人間になっていた。
そして二人は妖しい笑みを浮かべつつ、病院の屋上から飛び降りた――
219 FBX@ ◆4gA1RyNyf. sage 2014/02/24(月) 21:14:20.30 ID:2KMjcb0H
と、こんな感じで。
実はこのネタ、ESETのパッケージで思いついたんですよね。
なんであのソフトってあんなキモイんだろう? と考えていたら脳内でry
気になる方はESETのホームページを見て下さいw
でコレ、1950年代という設定でやってます。
Codeシリーズじゃないので自分なりにある程度設定なんかも考えているので、
この先少しずつ続けていくことも可能だと思ってます。
ただご覧のように、昔に比べてエロ描写が物足りなくなってることを不安視してます。
ブランクのせいにはしたくないけど、どうしたもんかなぁ・・・
どうでもいいことですが、本物の水銀は人体に猛毒ですのでご注意を。
化学が未発達な時代、水銀は不老不死の薬だと勘違いされていた時代・地域もあったとか。
むろん、それを飲んだ人達は全員中毒死したことでしょうね・・・
虫核闘少女3
131 ◆/RE1yarz86 sage 2014/02/08(土) 13:47:51.77 ID:UZ932Pr2
男を飲み込んで1時間、日付の変わる頃。
毎秒1回の鼓動を刻んでいた腹がぴたりと止まった。
腹の膨らみが下に降りるにつれ、秘所が開かれていき
飲み込む時と同じくらいまで広がると、一気に吐き出された。
吐き出されたのは男の亡骸でもなければ、赤子でもなく。
肉綱と同じような表面の、異形の肉の塊であった。
音を立てて少女の股関節が元に戻ると同時に
広がっていた少女の秘所も、元の一筋の線へと整っていった。
その直後、肉塊が少女へにじり寄り
安らかな寝息を立てる顔を残し、体を覆って蠢き出した。
132 ◆/RE1yarz86 sage 2014/02/08(土) 13:48:26.10 ID:UZ932Pr2
肉塊は上下に別れた後、細分化された。
少女の服は飲み込まれ、変化を終えた肉塊は新たな服となった。
下半身のなにも履いていなかったスカートは
素材が皮から肉塊へと変質したが表面は変わっていなかった。
内部にあった肉綱の意匠もそのままではあるが
前回と違い、表面は肉塊そのものであった。
また臀部の二つの山を覆うように
肉塊でできた湿布が貼り付き轟いていた。
前回のように、臀部に組織が侵入しているようではあるが
今すぐ行動を起こす意図は無いようであった。
133 ◆/RE1yarz86 sage 2014/02/08(土) 13:50:06.20 ID:UZ932Pr2
上半身は大きく様変わりし、下半身からきた肉綱の意匠は
上半身の肉塊に接続された後で途切れていた。
飲み込まれた皮のトップスの意匠はまったく反映されておらず
胸の部分は、表面を取り繕った二つの肉塊が鎮座しているだけだった。
肉塊は、ないはずの少女の胸として写っているような状態で
肉塊から伸びた厚い布地は脇腹と谷間を覆った。
臀部から上半身へは肉綱の水着の意匠はあるものの
背中はがら空きで、少女の背中の素肌を晒していた。
胸当てから宙に浮き紐がスカートへ繋がっているだけ
と言われかねない異様な風体であった。
134 ◆/RE1yarz86 sage 2014/02/08(土) 13:51:48.20 ID:UZ932Pr2
日の出で、少女は目を覚ます。
「んー!何にもなくてよく眠れたよー!」
伸びをした後立ち上がったのだが
「トイっ!・・・出ちゃった・・・あれ?」
立ち上がった瞬間、感じた粗相の汚れは足元になく
少女は首をかしげていた。
すでに少女の括約筋は、用をなさなくなっていた。
気にする間もなく、少女は糧を得るために動き出した。
135 ◆/RE1yarz86 sage 2014/02/08(土) 13:52:30.37 ID:UZ932Pr2
冒険者ギルド。
大きな街にはかならずある、冒険者の組合所有の建物だ。
冒険者に仕事を斡旋するのが主な業務であるが
特別な資格もなく、斡旋が受けられるのであった。
その斡旋というのも、仕事の要件と報酬が書かれたもので
特別な依頼でない限り期限が定められない物であった。
なぜこのような形態であるのか?
資質のない冒険者は野垂れ死ぬからである。
少女は仕事を確認した後、冒険者の初仕事へと向かうのであった。
175 ◆/RE1yarz86 sage 2014/02/21(金) 01:39:54.67 ID:z2NCVM7h
「うーん、無いなぁ」
依頼を受けて少女は街から徒歩数時間の湖を探索していた。
少女は十匹の大蛙が括りつけられた台車を引いていた。
「大蛙の卵なんて見当たらないよ・・・」
依頼の内容は、ごく普通の採取依頼であったが
指定された湖には卵や、それを抱えた大蛙は居なかった。
答えは単純なもので、大蛙の産卵時期では無いのであった。
依頼自体、半年前の物が次の時期の為に残されていたのであった。
「当分、蛙のお肉を食べるしかないね・・・」
台車を止めた少女は、焚き付けを集めに台車から離れた。
176 ◆/RE1yarz86 sage 2014/02/21(金) 01:40:59.44 ID:z2NCVM7h
その日の夜、煙の燻る薪の側の台車の上で。
大蛙を10匹すべて平らげた少女が眠っていた。
少女のお腹は平然としているが
下腹部に広がる肉スカートは、食事と同じだけ肥大していた。
今の少女では、すべての蛙を消化するのは難しいが
菊門から流れ作業のように、肉綱へ渡すことは可能だからであった。
食事は、消化されることなく消化器官を潜り抜け
少女は、汚れることのない粗相を最早気に留めなくなっていた。
こうして、大量の食事を楽しんでいた少女の尻の下で
粘着質の音と共に肉塊が肥大していったのであった。
177 ◆/RE1yarz86 sage 2014/02/21(金) 01:41:47.92 ID:z2NCVM7h
少女の体内が動き出す。
卵巣から、卵巣の一部が腹腔にむかって放たれた。
二つの肉片はそれぞれ臀部の脂肪の山の中へ潜り込んだ。
尻たぶの中心部に位置すると、10cm大まで大きくなった。
それに合わせて、肉塊が尻に張り付いた肉湿布に接続された。
肉塊が鼓動し縮むたびに、少女の尻は膨らんでいった。
受け取った栄養は内部の器官形成に用いられ
尻たぶの中には大量の脂肪が蓄積されていった。
二つの肉片は直腸に接続され、直腸は肥大化していった。
直腸より前の部分で大腸は閉塞していき、完全に閉じた。
肉片と直腸は、さながら子宮のような形となって
形成安定化のために脈動していた。
178 ◆/RE1yarz86 sage 2014/02/21(金) 01:42:36.19 ID:z2NCVM7h
翌朝、台車の上で巨大な尻にもたれかかって、
足を投げ出し目を覚ました。
「ん・・・どうやって卵を集めればぁ・・・」
寝ぼけながら考えるうちに、尻の違和感を感じとるが。
腹から脳に閃きという名の電撃を食らい、違和感は霧散した。
「私が産メばいいンだ!」
変な発音と共に、合点のいった表情を浮かべると
少女の腹部が膨らみ、尻の根本が轟き始めた。
直腸は更に肥大し、菊門は透明な液を吹いていた。
179 ◆/RE1yarz86 sage 2014/02/21(金) 01:44:00.28 ID:z2NCVM7h
覚えているだろうか?少女が初めて戦った、あの日。
少女に放たれた大蛙の多量の精は卵巣に記憶されていた。
しかし、そもそも子宮という器官は少ない卵を
外界に耐えられるようになるまで育てる器官である。
大量の卵を宿すには、少女の異常を以ってしても無理であった。
そこで元々蟲から産まれた卵巣は一計を案じた。
卵巣から、あたらしく大量の卵を作れる器官を作ればよいと。
しかし、子宮には余裕がない。
そこで直腸が選ばれたのであった。
子宮外妊娠に、偶然腸へ着床する場合があるからか。
180 ◆/RE1yarz86 sage 2014/02/21(金) 01:45:24.89 ID:z2NCVM7h
少女の直腸にはゼリー状の物体、大蛙の卵が詰まっていた。
肉片、いや第二卵巣からゼリーに包まれた卵が止めどなく送られていた。
卵で膨らんだ直腸は、少女の腹部を大きく膨らませ
その圧迫感は少女に快感を与えていた。
「あ・・・あっ出るぅ!」
菊門が直径10cmに広がると同時に
勢いよく大蛙の卵が噴出した。
しかし、卵を産み続けているにも関わらず
腹部は萎むどころか、大きく膨らみ続けていた。
第二卵巣が尻の栄養を最大限利用し
産む速度を上回る早さで卵を送り出しているからであった。
181 ◆/RE1yarz86 sage 2014/02/21(金) 01:46:32.79 ID:z2NCVM7h
やがて少女の尻は元の大きさに戻り、肉湿布も無くなったが
腹部は最初の尻より一回り小さい、大蛙九匹分にもなっていた。
「んぎぃいいいいいい!!!!」
少女は圧迫感と快楽によって、
周囲の猛獣も逃げ出すほどの咆哮を上げるが
卵の産まれるスピードは少女の疲労に伴い
1時間ごとに2割づつ減っていった。
やがて、腹が大蛙7匹分になる頃には
1分につき、内部の卵一つ分にまで減っていた。
182 ◆/RE1yarz86 sage 2014/02/21(金) 01:47:12.84 ID:z2NCVM7h
「ひぃ・・ひっぎああああ!!!」
卵巣が埒があかないと判断したのだろうか。
少女の菊門が、かつてないほど広がり始めた。
今産まれている卵の奥から、大蛙7匹分の大きさで
卵が塊となって覗いていた。
菊門がメートル単位で広がり
卵塊の直径と同じくらいになったところで
大きな粘着音と放屁音と共に、卵塊が一気に吐き出された。
前代未聞の大産卵と同時に達した少女の意識は
快楽の渦に飲み込まれて暗闇へと消えた。
183 名無しさん@ピンキー sage 2014/02/21(金) 02:23:33.66 ID:LpF99jHP
お、思いの外グロい…しかし盛大に乙です
184 ◆/RE1yarz86 sage 2014/02/21(金) 12:40:51.46 ID:2bi0GWla
規制解除テスト
お尻の改造、第一段階終了。次はどこを弄ろうかな・・・
>>183
まあ、パッカルコーンと同程度かな?
男を飲み込んで1時間、日付の変わる頃。
毎秒1回の鼓動を刻んでいた腹がぴたりと止まった。
腹の膨らみが下に降りるにつれ、秘所が開かれていき
飲み込む時と同じくらいまで広がると、一気に吐き出された。
吐き出されたのは男の亡骸でもなければ、赤子でもなく。
肉綱と同じような表面の、異形の肉の塊であった。
音を立てて少女の股関節が元に戻ると同時に
広がっていた少女の秘所も、元の一筋の線へと整っていった。
その直後、肉塊が少女へにじり寄り
安らかな寝息を立てる顔を残し、体を覆って蠢き出した。
132 ◆/RE1yarz86 sage 2014/02/08(土) 13:48:26.10 ID:UZ932Pr2
肉塊は上下に別れた後、細分化された。
少女の服は飲み込まれ、変化を終えた肉塊は新たな服となった。
下半身のなにも履いていなかったスカートは
素材が皮から肉塊へと変質したが表面は変わっていなかった。
内部にあった肉綱の意匠もそのままではあるが
前回と違い、表面は肉塊そのものであった。
また臀部の二つの山を覆うように
肉塊でできた湿布が貼り付き轟いていた。
前回のように、臀部に組織が侵入しているようではあるが
今すぐ行動を起こす意図は無いようであった。
133 ◆/RE1yarz86 sage 2014/02/08(土) 13:50:06.20 ID:UZ932Pr2
上半身は大きく様変わりし、下半身からきた肉綱の意匠は
上半身の肉塊に接続された後で途切れていた。
飲み込まれた皮のトップスの意匠はまったく反映されておらず
胸の部分は、表面を取り繕った二つの肉塊が鎮座しているだけだった。
肉塊は、ないはずの少女の胸として写っているような状態で
肉塊から伸びた厚い布地は脇腹と谷間を覆った。
臀部から上半身へは肉綱の水着の意匠はあるものの
背中はがら空きで、少女の背中の素肌を晒していた。
胸当てから宙に浮き紐がスカートへ繋がっているだけ
と言われかねない異様な風体であった。
134 ◆/RE1yarz86 sage 2014/02/08(土) 13:51:48.20 ID:UZ932Pr2
日の出で、少女は目を覚ます。
「んー!何にもなくてよく眠れたよー!」
伸びをした後立ち上がったのだが
「トイっ!・・・出ちゃった・・・あれ?」
立ち上がった瞬間、感じた粗相の汚れは足元になく
少女は首をかしげていた。
すでに少女の括約筋は、用をなさなくなっていた。
気にする間もなく、少女は糧を得るために動き出した。
135 ◆/RE1yarz86 sage 2014/02/08(土) 13:52:30.37 ID:UZ932Pr2
冒険者ギルド。
大きな街にはかならずある、冒険者の組合所有の建物だ。
冒険者に仕事を斡旋するのが主な業務であるが
特別な資格もなく、斡旋が受けられるのであった。
その斡旋というのも、仕事の要件と報酬が書かれたもので
特別な依頼でない限り期限が定められない物であった。
なぜこのような形態であるのか?
資質のない冒険者は野垂れ死ぬからである。
少女は仕事を確認した後、冒険者の初仕事へと向かうのであった。
175 ◆/RE1yarz86 sage 2014/02/21(金) 01:39:54.67 ID:z2NCVM7h
「うーん、無いなぁ」
依頼を受けて少女は街から徒歩数時間の湖を探索していた。
少女は十匹の大蛙が括りつけられた台車を引いていた。
「大蛙の卵なんて見当たらないよ・・・」
依頼の内容は、ごく普通の採取依頼であったが
指定された湖には卵や、それを抱えた大蛙は居なかった。
答えは単純なもので、大蛙の産卵時期では無いのであった。
依頼自体、半年前の物が次の時期の為に残されていたのであった。
「当分、蛙のお肉を食べるしかないね・・・」
台車を止めた少女は、焚き付けを集めに台車から離れた。
176 ◆/RE1yarz86 sage 2014/02/21(金) 01:40:59.44 ID:z2NCVM7h
その日の夜、煙の燻る薪の側の台車の上で。
大蛙を10匹すべて平らげた少女が眠っていた。
少女のお腹は平然としているが
下腹部に広がる肉スカートは、食事と同じだけ肥大していた。
今の少女では、すべての蛙を消化するのは難しいが
菊門から流れ作業のように、肉綱へ渡すことは可能だからであった。
食事は、消化されることなく消化器官を潜り抜け
少女は、汚れることのない粗相を最早気に留めなくなっていた。
こうして、大量の食事を楽しんでいた少女の尻の下で
粘着質の音と共に肉塊が肥大していったのであった。
177 ◆/RE1yarz86 sage 2014/02/21(金) 01:41:47.92 ID:z2NCVM7h
少女の体内が動き出す。
卵巣から、卵巣の一部が腹腔にむかって放たれた。
二つの肉片はそれぞれ臀部の脂肪の山の中へ潜り込んだ。
尻たぶの中心部に位置すると、10cm大まで大きくなった。
それに合わせて、肉塊が尻に張り付いた肉湿布に接続された。
肉塊が鼓動し縮むたびに、少女の尻は膨らんでいった。
受け取った栄養は内部の器官形成に用いられ
尻たぶの中には大量の脂肪が蓄積されていった。
二つの肉片は直腸に接続され、直腸は肥大化していった。
直腸より前の部分で大腸は閉塞していき、完全に閉じた。
肉片と直腸は、さながら子宮のような形となって
形成安定化のために脈動していた。
178 ◆/RE1yarz86 sage 2014/02/21(金) 01:42:36.19 ID:z2NCVM7h
翌朝、台車の上で巨大な尻にもたれかかって、
足を投げ出し目を覚ました。
「ん・・・どうやって卵を集めればぁ・・・」
寝ぼけながら考えるうちに、尻の違和感を感じとるが。
腹から脳に閃きという名の電撃を食らい、違和感は霧散した。
「私が産メばいいンだ!」
変な発音と共に、合点のいった表情を浮かべると
少女の腹部が膨らみ、尻の根本が轟き始めた。
直腸は更に肥大し、菊門は透明な液を吹いていた。
179 ◆/RE1yarz86 sage 2014/02/21(金) 01:44:00.28 ID:z2NCVM7h
覚えているだろうか?少女が初めて戦った、あの日。
少女に放たれた大蛙の多量の精は卵巣に記憶されていた。
しかし、そもそも子宮という器官は少ない卵を
外界に耐えられるようになるまで育てる器官である。
大量の卵を宿すには、少女の異常を以ってしても無理であった。
そこで元々蟲から産まれた卵巣は一計を案じた。
卵巣から、あたらしく大量の卵を作れる器官を作ればよいと。
しかし、子宮には余裕がない。
そこで直腸が選ばれたのであった。
子宮外妊娠に、偶然腸へ着床する場合があるからか。
180 ◆/RE1yarz86 sage 2014/02/21(金) 01:45:24.89 ID:z2NCVM7h
少女の直腸にはゼリー状の物体、大蛙の卵が詰まっていた。
肉片、いや第二卵巣からゼリーに包まれた卵が止めどなく送られていた。
卵で膨らんだ直腸は、少女の腹部を大きく膨らませ
その圧迫感は少女に快感を与えていた。
「あ・・・あっ出るぅ!」
菊門が直径10cmに広がると同時に
勢いよく大蛙の卵が噴出した。
しかし、卵を産み続けているにも関わらず
腹部は萎むどころか、大きく膨らみ続けていた。
第二卵巣が尻の栄養を最大限利用し
産む速度を上回る早さで卵を送り出しているからであった。
181 ◆/RE1yarz86 sage 2014/02/21(金) 01:46:32.79 ID:z2NCVM7h
やがて少女の尻は元の大きさに戻り、肉湿布も無くなったが
腹部は最初の尻より一回り小さい、大蛙九匹分にもなっていた。
「んぎぃいいいいいい!!!!」
少女は圧迫感と快楽によって、
周囲の猛獣も逃げ出すほどの咆哮を上げるが
卵の産まれるスピードは少女の疲労に伴い
1時間ごとに2割づつ減っていった。
やがて、腹が大蛙7匹分になる頃には
1分につき、内部の卵一つ分にまで減っていた。
182 ◆/RE1yarz86 sage 2014/02/21(金) 01:47:12.84 ID:z2NCVM7h
「ひぃ・・ひっぎああああ!!!」
卵巣が埒があかないと判断したのだろうか。
少女の菊門が、かつてないほど広がり始めた。
今産まれている卵の奥から、大蛙7匹分の大きさで
卵が塊となって覗いていた。
菊門がメートル単位で広がり
卵塊の直径と同じくらいになったところで
大きな粘着音と放屁音と共に、卵塊が一気に吐き出された。
前代未聞の大産卵と同時に達した少女の意識は
快楽の渦に飲み込まれて暗闇へと消えた。
183 名無しさん@ピンキー sage 2014/02/21(金) 02:23:33.66 ID:LpF99jHP
お、思いの外グロい…しかし盛大に乙です
184 ◆/RE1yarz86 sage 2014/02/21(金) 12:40:51.46 ID:2bi0GWla
規制解除テスト
お尻の改造、第一段階終了。次はどこを弄ろうかな・・・
>>183
まあ、パッカルコーンと同程度かな?