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謙虚な妖魔
594 名無しさん@ピンキー sage 2014/08/02(土) 21:19:21.11 ID:gHOV2Zqa
自然界において「強い」とはどういうことか。
それは生存競争に勝つことであり、生存競争に勝つということはすなわち生き残ることだ。
かつて地球を支配した恐竜は滅び、小さな虫や哺乳類は生き残った。
自然界は弱肉強食ではない。
適者生存である。
小さなクラゲのようなものが空中を漂っている。
それは、妖魔と呼ばれる存在の一種だった。
妖魔は人間を襲う。男は補食し、女は犯し、自らの糧とする。
だがこのクラゲはとても人間を襲って殺したりできるようには見えない。
実際この妖魔、そしてその同種たちは妖魔の中でも最も弱く矮小な存在だった。
そしてそれこそが彼らの強さでもあった。
かつて幾多の強大かつ凶悪な妖魔が現れ、そして滅びたか。
あるものは退魔師に滅せられ、あるものは強くなりすぎた自身を維持できずに自滅した。
このクラゲの妖魔は逆の道を模索した。
とにかく目立たないように、増えすぎず、減りすぎず、退魔師たちにも特別目をつけられないような存在になった。
生き残るために。
今、クラゲ妖魔が一匹、とある学校の窓から校内に入り込んだ。
強大な妖魔ならともかく、もともと身体が小さい上に半透明な彼らは霊力のない普通の人間には殆ど見えない。
放課後になり下校したり部活へ向かう生徒たちの誰にも気付かれず廊下を漂い、「女子更衣室」と書かれた部屋のドアの隙間からスルリと中へ入り込んだ
中には誰もいない。
たくさんのロッカーのうちの一つが半開きになっていた。
妖魔はその中に入り込むと中にあった女子生徒の下着に取り付き、まるで溶けこむように消えてしまった
595 名無しさん@ピンキー sage 2014/08/02(土) 21:19:57.29 ID:gHOV2Zqa
「おつかれー!」
亜紀は部活を終え、更衣室で着替えを済ませると友人に別れを告げ、学校を後にした。
帰宅途中、股間に違和感を覚える。
「…?」
(なんか下着が食い込んでるような感じ…)
かといって誰が見ているかわからない外で下着を直すようなことはしたくない。
(胸もなんかむず痒いし…)
貧乳というほどではないが大きいとも言えない自分の胸を見下ろす
「うーん?」
違和感を拭えないまま、亜紀はかばんを持ち直すと再び歩き始めた
「~♪」
浴室から亜紀の鼻歌が聞こえる。
隣の更衣室の洗濯カゴには先程まで来ていた亜紀の下着が放り込まれていた。
その下着からすぅ…と、妖魔が現れる。いつものようにフワフワと空中を移動し、今度は亜紀の替えの下着に取り付くと、再びその身を溶けこませた。
深夜。
昼間の部活の疲れからか、亜紀は深い眠りに落ちている。
パジャマの下でゆっくりと上下する亜紀の胸、その膨らみを覆うブラジャーが蠢きだした
内側の繊維がブラシのように毛羽立ち、さわさわと愛撫する
全体がゆっくりと波打ち、絶妙な力加減でマッサージする。
「…ううーん」
ソフト過ぎるその感覚は亜紀を覚醒させるまでには至らない。愛撫は次の段階に進んだ。
胸へのマッサージで半勃起した乳首、その周りの繊維が解け、乳輪を外縁とする半球状に変化した。
そしてその半球はまるで吸盤のように乳首に張り付くと、内側に粘液を染み出させたのだ。
さらに一部の繊維が独立して粘液を乳首に塗りたくる。
あっという間に粘液まみれになる亜紀の乳首。
もはや完全に勃起した乳頭が繊維触手にしごかれるさまはとてつもなく淫靡だ。
吸盤から漏れておっぱいの表面に流れだした粘液は、相変わらず愛撫を続けていたブラシに引き伸ばされ、やがて胸全体に塗り込められる
それにともなってブラシの愛撫もヌルヌルとしたハードなものに変わっていく。
「はぁ…はぁ…ん……あぁ…」
亜紀の息が荒い。明らかに感じていた。
無意識に股間をもぞもぞとこすり合わせる。
その股間ではパンティーが胸と同じように亜紀のアソコを愛撫している
パンティーの布地がそのまま亜紀の秘所に押し付けられるように凹むと、そのままゆっくりと蟻の戸渡りの方へ流れていく
おしりの方へ抜けると、今度はまた秘所から。そのさまはまるで透明人間がパンティー越しに触っているかのようだ
胸とアソコへの刺激で徐々に愛液が染み出てくるが、布地が押し付けられるたびに吸い込まれるように消えていく。
これだけの愛撫を受けているにもかかわらず、股間に押し付けられるパンティーにはシミひとつ無い。
「はぁはぁはぁはぁ」
止めどない刺激に顔を赤くし、今にも目覚めそうになっている亜紀の頭上に、青白い光が灯る。
それは下着と同化したクラゲ妖魔本体の触手の先端だ。胸元から伸びているところを見ると、ブラジャーから出ているようだ
ぼんやりと輝くそれは亜紀の額に触れる。よく見ると先端が半ば埋まっているようにも見えた。
「あっ………はあっ……んっ」
亜紀が若干苦しそうに眉根を寄せる。快感に耐えているようにも見えた。
時間にして数秒にも満たないその行為が終わると、触手は消え、下着も元の状態に戻った。
亜紀も元のように安らかな寝顔を見せて寝入っているが、その股間からは愛撫の余韻か、愛液が滲み出ていた…
596 名無しさん@ピンキー sage 2014/08/02(土) 21:57:47.86 ID:gHOV2Zqa
クラゲ妖魔は2つの能力を特化させている。擬態・同化能力と意識操作である。
前者は身を隠したり、捕食のために使う。
意識操作はとり憑いた対象を逃さないためのもの。
対象の意識に次のようなことを段階的に刷り込むのだ
まず
「気持ちよくなっていることを周囲に知られてはならない」
次に
「気持ちよくなるのは普通の事」
そして
「妖魔は自分を気持ちよくしてくれる存在」
(なんかおかしい…)
ここ数日、亜紀は身体に違和感を覚えていた。
熱っぽいというか気だるいというか、どうにもふわふわとした感覚がまとわりついてはなれないのだ。
しかもその感覚は少しづつ強くなっているような気がする
「亜紀どうしたの?ボーっとして」
「えっ?あ、なんでもないよ」
(皆に心配かけちゃいけないな)
その違和感を誰にも相談しないまま、更に数日が過ぎた
「だーっ!つっかれたぁ~!」
風呂からあがり、パジャマ姿の亜紀は自室のベッドにうつ伏せにダイブした
「はぁ~…」
枕に顔をうずめて大きく息を吐くと、ごろりと仰向けになった
「…」
右手を伸ばして枕元の携帯を取る。見ると時刻は8時をまわった所。
そのまま右腕を顔に落とし、蛍光灯の光を遮る。
(あーヤバイ…これ寝るパターンかも…電気消さなきゃ…)
そう思いつつも、身体は動かない。
…もぞ
(んっ)
ほんの少し。ほんの少し足を動かしただけ。
股間に刺激が走った。
寝返ったときに下着がよじれたのだろうか。パンティーが食い込んでる気がした。
(直さないと)
尻を浮かせ、左手をパジャマに差し入れてパンティーを直す。
布地が股間にすれた。
「んあっ」
(今の…)
左手を股間に持っていき、触れる。
ぴりっ
「んっ!」
布地越しにつっと動かす
「ああん…」
(…これ)
口を半開きにし、若干息が荒くなった亜紀は…
(…)
おもむろに立ち上がると部屋の鍵をかけ、電気を消し、布団に潜り込んだ。
「はぁ……はぁ……」
暗闇の中、自分の吐息が耳につく。
さっき直したはずのパンティーがまた股間に張り付いているような感覚を覚える。
乳首が勃起しているのだろうか。胸の先っぽからじくじくとした刺激を感じる。
「はぁ…はぁ…はぁ」
左手を股間に、右手を胸に伸ばす。
亜紀はそういう行為を、全くしたことがないわけではなかった。
耳年増な友人の話を引き気味に聞いたその日の夜、試しに触ってみたことはあったが、聞いたほどのものではなかった。
だが今は違う。胸とアソコから発せられるゾクゾクとした感覚が背中を這い上がってくる。
597 名無しさん@ピンキー sage 2014/08/02(土) 23:03:49.93 ID:gHOV2Zqa
下着越しに股間を触り、中指と人差し指で前後にこする。
「あ…はぁん…んん…」
さっきまでとは違う、はっきりとした快感が亜紀を襲う
指の動きが徐々に強く、早くなる。
右手はブラジャー越しの薄い胸を撫でている。ただそれだけなのに気持ちいい。
直接触ってはいない。布地がおっぱいに押し付けられるだけで気持ちいい。
勃起した乳首がブラの裏地に擦れるのが気持ちいい。
ブラ越しでも分かるほどそそり立った乳首をつめ先でカリカリと擦ると背中が浮くほどの快感が走った
(あぁ…いい…)
もう止められなかった。
暗闇の中。
邪魔なふとんはどかされ、上半身のパジャマは首元まで捲りあげられている。
さらに下半身はパンティーのみという淫らな姿で、亜紀は寝息を立てていた。
亜紀の頭上に光が灯る。妖魔の触手だ。今度はロウソクのような、橙色の光だった。
触手は以前と同じように亜紀の額にその先端を当てた。
しばらくして、亜紀の部屋は元通りの暗闇になった。
放課後の女子更衣室。
「ちょっとトイレいってくるねー」
「亜紀また~?」
「さっきも部活中にいってたじゃん」
「じつは昨日変なものを拾って食べてしまって…」
「先手を取られた!」
「なはは、じゃ、先帰ってて~」
冗談めかして笑うと亜紀はトイレに向かう。
個室に入り、鍵をかけた瞬間、それまでの快活な少女の顔は消え蠱惑的な表情に変わる。
上着を脱ぎ上半身はブラだけになった亜紀は便座に深く腰掛け、後ろに寄りかかると恥ずかしげもなく足を広げ、がに股の状態になった。
亜紀は下着越しの方が直接触るよりも好きになっていた。
布地のざらつきが性感帯をこする感覚や、愛液を吸ったパンティーのベトつきがたまらないのだ。
「んんんっ…」
(声…でちゃうっ)
ブラの上から乳輪をくるくるとこすり、トイレに入る前からビンビンに勃起した乳首をキュッとつまむと、
左手でこすっているアソコから愛液が溢れ出す。
愛液の絡んだ指をフェラチオでもするかのようにチュパチュパとしゃぶり、背徳的なその行為に酔う。
唾液まみれの左手を今度は胸に持って行き、ブラを唾液で湿らせると、右手でいじっているのとはまた違った快感が生まれる。
揉みしだき、押しつぶし、乳首を抉り、乳頭をつまむ。
「はぁっ…はああぁ、ああん…」
左右の胸でそれぞれ違ういじり方をするその手つき、声を出さないように眉根を寄せて快感に耐えるその表情は普段の亜紀からは想像もつかない淫猥さだ。
598 名無しさん@ピンキー sage 2014/08/02(土) 23:08:02.75 ID:gHOV2Zqa
ネットのオナニー動画参考にしつつ書いてたら賢者になったのでとりあえずここまで
妖魔さんの活躍する本番までいかんかった…
書きたかったアイデア
マスクに同化した妖魔に口を犯されながら日常生活
604 名無しさん@ピンキー sage 2014/08/03(日) 22:00:32.89 ID:hUW1pwoE
>>597の続き
今度は右手を股間に持って行き、人差し指から薬指の3本の指をアソコに押し付けると円を描くように動かす。
「んん…ううん…」
愛液を吸ってベトベトになった下着が擦れて気持ちいい。
時折中指を曲げて下着越しにカリカリとひっかくとまるで電気が走ったように体をのけぞらせる。
愛液の染みはどんどん広がり、湿ったパンティーが股間にピッタリと貼り付く。
張り付いた部分からもゾクゾクとした快感が沸き起こるが、亜紀はそれに疑問を持たない。
更にオナニーに没頭し、がに股のまま浮いた足からは靴が脱げ、紺のソックスに包まれたつま先が快感に呼応して曲げ伸ばされる。
(ああ、きもちい…もっと…中…)
ちゅぷ…と、中指の先を下着ごとアソコに潜り込ませる。
あふれだす愛液が布地の吸水力を越え中指を濡らす。指をさらに奥へ。
直接入れるのとは違い下着越しのため、布地が陰唇を巻き込んで引っ張られていく。
ゆっくりとした、だが確実な動きで潜り込む中指はすでに第一関節辺りまで見えなくなっていた。
「はあ…はあ…はあ」
その様を亜紀は潤んだ目で見つめる。
自らのしているあまりにもみだらな行為それ自体に興奮する。
学校という神聖な場所で、トイレに隠れて、こんなにいやらしいことをしている。
ほんの数分前まで友人と他愛のない会話をしていた自分が、制服をはだけて足を開いたはしたない格好をしている。
部活仲間と笑い合って肩をたたいたその手が、指が、愛液にまみれアソコに潜り込んでいる。
その事実が亜紀の快感を更に高める。充血した乳首がブラを押し上げるほど勃起し、アソコから愛液があふれだす。
(なんてHなんだろう…)
罪悪感はない。バレてはいけないという背徳感はそのままに、快感を得ることに対する罪悪感をなくした亜紀は淫れることに躊躇など無い。
アソコに潜り込んだ指先を動かす。
「あんっ…」
慌てて唇を噛んで声を抑える。だが一旦動き出した指を止めることはもはやできない。
パンティーの布地の微妙なざらつきが膣壁を擦り、指先が動くたびに染み込んだ愛液がくちくちと音を立てる。
左手はブラがひしゃげるほど胸を激しく揉みしだき、勃起した乳首はブラの裏地に不規則にこすられて予想の付かない快感を亜紀に送り込む。
「んっ…くぅん…んひ……い…」
(私のおっぱい…乳首が…)
眉間にしわを寄せて声が出ないよう快感に耐える亜紀。上気して汗ばんだ頬に前髪が張り付き、みだらとしか言いようのない表情だ。
腰のあたりからそれまでと違うぞわりとした快感が湧き起こる。
押し転がされる乳首から、あるいはかき回されるアソコから発生した快感が蓄積していくかのように増えていく。
背中をゾクゾクと這い上がってくる。絶頂の予感に亜紀は更に激しく自らを辱める。
薄い胸を押しつぶすように乳首を押さえつけ、そのままグリグリとこねる。ブラの裏地に押し付けられて乳首が上下左右に転がる。
アソコをかき回す中指は更に動きを激しくし、あふれた愛液がお尻の穴の方まで染みてくる。
さらに亜紀は、それまであえて触っていなかった箇所、すでにぷっくりと充血したクリトリスをパンティー腰に親指で押しつぶした。
「ひぃっ、んんんんんん…!!!」
堪らず出そうになった嬌声を必死に噛み殺す。快感が等比級数的に高まる。絶頂まで秒読み段階だ。
(イクっ…もうイッちゃう!!)
左手はブラごと摘んだ乳首を引っ張りながら扱き、右手の中指はメチャクチャにアソコをかき乱し、親指でパンティーの下のクリトリスを引っ掻いた。
つま先がきゅっと丸まる。
「んんっ!んんんんんんんんんんんん!!!!!!」
首を貯水タンクに当たるほどのけぞらせ、背中を浮かせ、亜紀は絶頂を迎えた。
605 名無しさん@ピンキー sage 2014/08/03(日) 23:53:41.25 ID:hUW1pwoE
亜紀は変わった。
妖魔によって刷り込まれた意識が完全に定着し、傍目には以前とかわりなく、しかしその内面は淫乱としか言いようのないものに変えられてしまっていた。
授業はまじめに受けているものの、会話や食事中などの他愛のない時間には常にいやらしいことを考え、友人の前で密かにそういう思いを抱いている自分自身に興奮した。
トイレに向かう前には胸と股間に意識を集中し、下着がこすれる感覚だけで性感を高める。
個室に入りスカートに手を突っ込めばパンティーがすでに湿り、上着を脱げば勃起した乳首がブラを押し上げるほどに。
声が出ない程度の軽い絶頂を迎えるのに5分もかからない。それでも怪しまれないように毎回場所を変え、時には教室に残ったまま過ごした。
トイレ以外でもオナニーをした。放課後の図書室の人目につかない席で本を読むふりをしながら達した時などは、
背徳感のせいかトイレの時より興奮し、帰ってからその自分の姿で思い出しオナニーをしたほどだった。
妖魔は機が熟したことを悟った。
連日たっぷりと亜紀の愛液を吸い、力を蓄えた妖魔は、ついに意識操作の最終段階に入ることにしたのだ。
今までの意識操作は、あくまで人間の常識の範疇に収まっている。だが最後は違う。
妖魔という異質な存在を認めさせるほどの意識操作は、この小さな妖魔が蓄えられる力のほとんどを費やす大仕事だ。
意思の強い宿主に当たり下着ごと燃やされたり、退魔機関に駆け込まれて為す術もなく滅せられた同族は数知れず。
それでもその弱さゆえに退魔師に眼を付けられず、大規模な駆除をされることなく種を保ってきた。
宿主を完全に虜にしさえすれば、前述の理由からもバレることは殆ど無い。
個体の弱さゆえの種としての強さ。
亜紀にとり憑いた妖魔も、今まさに自らの種としての使命を果たそうとしていた。
亜紀はその日もいつものように自室のベッドでオナニーにふけっていた。
今日は妙に性欲が収まらない。帰宅してからトイレで1回、入浴時に1回、ベッドで二回も達している。
さすがの亜紀もおかしいと思ったが、深く刷り込まれた快感への欲求が猜疑心をはるかに上回っていた。
左手の中指と人差し指をパンティーごとアソコに深く差し込み、交互に動かしたり膣を広げたりして快感をむさぼる。
薄い胸を包むブラはこれまでの行為で愛液と唾液にまみれ、乳首の色が透けて見えるほどだった。
右手がその尖りきった乳首を左右交互に愛撫する。摘み、扱き、ひっかき、押し潰していた。
「あぁん……ん、あん…」
(もっと……もっと気持ちよくなりたい…イキたい…)
亜紀は絶頂することしか頭にない。
手の動きが激しくなり、いつものあのゾクゾクとした感覚が高まってきた。
「あぁっ、あああんっ!」
(イク…イクイクイクイクッ…)
亜紀の身体が激しく悶え、アソコから愛液が溢れる。
そして亜紀は…
「はぁんッ…イク…イッ…………ッ!?」
(…!?)
絶頂を迎えられない。
(なんで、なんでぇ…)
グチュグチュと股間を穿り、胸を揉みしだく。が、絶頂がやってこない。開放されるはずのゾクゾクとした感覚が背中から離れない。
イけない。
亜紀は混乱しながらもオナニーを止めることができない。だがどんなに自身を慰めても、快感の頂点に達することができない。
「はぁん…なんでぇ…ああぁん……イキたいのにぃ…!」
亜紀の顔が快感と困惑で歪む。その頭上に輝く光。ぼんやりとした赤い光。
(…なに…これ?)
収まらない快感で朦朧とした亜紀は気づいていないが、その光は亜紀のブラジャーから伸びる半透明の触手の先端に灯っている
妖しく輝くその光はゆっくりと亜紀の顔に降りて行く。
「きゃ」
とっさにかざした手をすり抜け、光が亜紀の額に触れた。
「あっ…」
亜紀が目を見開く。頭のなかに何かが入ってくる。意識を書き換えられる。
「あっあっあっあっあっ」
目を白黒させながら亜紀が悶える。身体が断続的に痙攣し、ベッドがギシギシと軋む。
(光が…なにこ…気持い…あっ……イキた……いく…?)
触れられていない股間からくちゅくちゅと音がする。ブラが蠢いて乳首に張り付くと、吸いだすように布地を変形させる。
(イク……いく…もっと……いきたい…ああああ……いかせ…?……いかせて……くれる…?)
パンティーの布地がずるりとアソコに潜り込み、膣壁から陰唇全体に吸い付き、擦った。
クリトリスが乳首を同じように吸い上げられ、両乳首と三点同時にキュッ!と捻られた。
瞬間、
「ッ!!!!!!!!!」
頭の中が真っ白になった。
606 名無しさん@ピンキー sage 2014/08/04(月) 01:20:44.75 ID:lBnhix0Y
昼休みの学校。教室では中の良い生徒同士で机を並べ、思い思いに食事をとっている。
「亜紀さぁ~」
「ん~?」
ブラの裏地から伸びる繊維触手が乳輪をチロチロと舐めている。
「なんか最近雰囲気変わったよね」
「え~なに急に~?変わってないよぉ」
勃起した乳頭の根本に触手が群がり、先端に向かって一斉にシュルシュルと扱き上げる。
「いや、なんかこう…ねえ?」
「ねえ?って言われても」
尻を包む布地は内側がざわりと波打ち、常に撫で回されているような感覚を伝える。
「一味違うっていうか」
「何じゃそりゃ?」
股間ではパンティーの布地がクチュクチュとアソコをえぐっている。
溢れだすはずの愛液はその全てが布地に吸い込まれて消えていく。匂いすら出ていない。
「まあ気にするなってこった」
「あんたが言い出したんじゃないんかーいっ!」
身体を倒して正面に座る友人にチョップのマネをする。
亜紀が再び身体を起こした時に、机の縁に胸を擦りつけたことに気づいたものはいなかった。
休み時間。
(もうイッちゃいそう…)
トイレの個室に入った亜紀はそのまますぐ便座に座る。
(お願い、イかせて…)
目をうるませながら頭のなかで何者かに懇願すると、上半身と下半身から快感が押し寄せた。
ブラの裏地から粘液が染み出し、一瞬で乳房がヌルヌルとした感覚に包まれる。
内側に生えた無数の繊毛触手が乳房に粘液を塗りたくり、擦り込む。
触手がブラシのように乳房の根本から乳首に向かって扱き上げるように愛撫する。
乳房全体が粘液まみれになっているにもかかわらず、ブラの外側には一切漏れておらず、ブラウスにもシミひとつできてない。
ブラの背中の紐からはそうめんくらいの細さの長めの触手が伸び、時折背中をゾロリと舐めあげる。
自分では愛撫できない肩甲骨の間を舐められるたびに、亜紀は背中を反らせて快感に悶える。
そうして仰け反ると胸を張る事になり、乳房が触手ブラシに激しく押し付けられる形になる。
(き……気持ちいい……っ!)
粘液をまぶされていやらしく勃起した乳首は、吸盤状に変化したブラの生地に吸い上げられると同時に内側に生えた繊毛触手で扱かれる。
乳首を吸い上げたまま長めの触手が乳頭の根本にくるりと巻きつき、わずかに締め上げる。
うっ血し膨れたピンク色の乳頭の先端に筆のように束ねられた繊毛触手が迫り、くるくるとソフトに愛撫しだした。
(あん、ああん…いじわるしないでぇ…もっとぉ…)
物足りない乳頭への刺激に亜紀が身悶えしながら愛撫をねだる。
乳頭を縛る触手は時たま緩んだり締まったりとマイペースに変化し、そのたびに先端に受ける筆触手の刺激に強弱が生まれ、亜紀の脳髄に波のような快感を送り込む。
自分を掻き抱くように曲げられ震える亜紀の両腕。だがその先の手は軽く握られたまま、どこにも触れていない。
今すぐにでも乳首をしごきたい衝動に耐え、あえて亜紀は「他人に責められている」快感を噛み締めていた。
愛液を吸い続けるパンティーは膣に潜り込んでいるだけでなく、陰唇のヒダの細部に至るまで布地が張り付き、いやらしくヒクつく亜紀のアソコをそのままかたどっていた。
張り付いた布地はゆっくりと蠕動し、ざらついた刺激を絶え間なく与えている。
膣に潜り込んだ部分からは先端が口のようになった繊毛触手が無数に生え、愛液を催促するかのように膣壁にチュパチュパとキスを繰り返す。
尻から腰骨、下腹部を覆う部分の生地はあいかわらず撫で回すように蠢き、亜紀の知らない性感帯を開発しつつある。
クリトリスには陰唇と同じように布地が張り付いてるが、特に目立った動きを見せていなかった。
いや、「動かないこと」でクリトリスを責めていた。
乳首や膣、尻からの快感を受けたクリトリスに血流が集まり、淫らな肉豆が一回り膨らむ。膨らもうとした。
パンティーの布地がまるで拘束具のように、勃起しようとするクリトリスを締め上げる。
(はう…クリが…)
クリトリスがギチギチと締め付けられる。もどかしいその刺激に亜紀の腰がいやらしくうねる。
607 名無しさん@ピンキー sage 2014/08/04(月) 01:24:16.69 ID:lBnhix0Y
また中途半端だけどここまで。
謙虚な妖魔は宿主一筋。浮気はしません。
後やりたいのは乳首に淫液注射して母乳体質に改造し、友達と会話しながらの搾乳とか。
吸った母乳をアソコに塗りこんだりとかもいいね
自然界において「強い」とはどういうことか。
それは生存競争に勝つことであり、生存競争に勝つということはすなわち生き残ることだ。
かつて地球を支配した恐竜は滅び、小さな虫や哺乳類は生き残った。
自然界は弱肉強食ではない。
適者生存である。
小さなクラゲのようなものが空中を漂っている。
それは、妖魔と呼ばれる存在の一種だった。
妖魔は人間を襲う。男は補食し、女は犯し、自らの糧とする。
だがこのクラゲはとても人間を襲って殺したりできるようには見えない。
実際この妖魔、そしてその同種たちは妖魔の中でも最も弱く矮小な存在だった。
そしてそれこそが彼らの強さでもあった。
かつて幾多の強大かつ凶悪な妖魔が現れ、そして滅びたか。
あるものは退魔師に滅せられ、あるものは強くなりすぎた自身を維持できずに自滅した。
このクラゲの妖魔は逆の道を模索した。
とにかく目立たないように、増えすぎず、減りすぎず、退魔師たちにも特別目をつけられないような存在になった。
生き残るために。
今、クラゲ妖魔が一匹、とある学校の窓から校内に入り込んだ。
強大な妖魔ならともかく、もともと身体が小さい上に半透明な彼らは霊力のない普通の人間には殆ど見えない。
放課後になり下校したり部活へ向かう生徒たちの誰にも気付かれず廊下を漂い、「女子更衣室」と書かれた部屋のドアの隙間からスルリと中へ入り込んだ
中には誰もいない。
たくさんのロッカーのうちの一つが半開きになっていた。
妖魔はその中に入り込むと中にあった女子生徒の下着に取り付き、まるで溶けこむように消えてしまった
595 名無しさん@ピンキー sage 2014/08/02(土) 21:19:57.29 ID:gHOV2Zqa
「おつかれー!」
亜紀は部活を終え、更衣室で着替えを済ませると友人に別れを告げ、学校を後にした。
帰宅途中、股間に違和感を覚える。
「…?」
(なんか下着が食い込んでるような感じ…)
かといって誰が見ているかわからない外で下着を直すようなことはしたくない。
(胸もなんかむず痒いし…)
貧乳というほどではないが大きいとも言えない自分の胸を見下ろす
「うーん?」
違和感を拭えないまま、亜紀はかばんを持ち直すと再び歩き始めた
「~♪」
浴室から亜紀の鼻歌が聞こえる。
隣の更衣室の洗濯カゴには先程まで来ていた亜紀の下着が放り込まれていた。
その下着からすぅ…と、妖魔が現れる。いつものようにフワフワと空中を移動し、今度は亜紀の替えの下着に取り付くと、再びその身を溶けこませた。
深夜。
昼間の部活の疲れからか、亜紀は深い眠りに落ちている。
パジャマの下でゆっくりと上下する亜紀の胸、その膨らみを覆うブラジャーが蠢きだした
内側の繊維がブラシのように毛羽立ち、さわさわと愛撫する
全体がゆっくりと波打ち、絶妙な力加減でマッサージする。
「…ううーん」
ソフト過ぎるその感覚は亜紀を覚醒させるまでには至らない。愛撫は次の段階に進んだ。
胸へのマッサージで半勃起した乳首、その周りの繊維が解け、乳輪を外縁とする半球状に変化した。
そしてその半球はまるで吸盤のように乳首に張り付くと、内側に粘液を染み出させたのだ。
さらに一部の繊維が独立して粘液を乳首に塗りたくる。
あっという間に粘液まみれになる亜紀の乳首。
もはや完全に勃起した乳頭が繊維触手にしごかれるさまはとてつもなく淫靡だ。
吸盤から漏れておっぱいの表面に流れだした粘液は、相変わらず愛撫を続けていたブラシに引き伸ばされ、やがて胸全体に塗り込められる
それにともなってブラシの愛撫もヌルヌルとしたハードなものに変わっていく。
「はぁ…はぁ…ん……あぁ…」
亜紀の息が荒い。明らかに感じていた。
無意識に股間をもぞもぞとこすり合わせる。
その股間ではパンティーが胸と同じように亜紀のアソコを愛撫している
パンティーの布地がそのまま亜紀の秘所に押し付けられるように凹むと、そのままゆっくりと蟻の戸渡りの方へ流れていく
おしりの方へ抜けると、今度はまた秘所から。そのさまはまるで透明人間がパンティー越しに触っているかのようだ
胸とアソコへの刺激で徐々に愛液が染み出てくるが、布地が押し付けられるたびに吸い込まれるように消えていく。
これだけの愛撫を受けているにもかかわらず、股間に押し付けられるパンティーにはシミひとつ無い。
「はぁはぁはぁはぁ」
止めどない刺激に顔を赤くし、今にも目覚めそうになっている亜紀の頭上に、青白い光が灯る。
それは下着と同化したクラゲ妖魔本体の触手の先端だ。胸元から伸びているところを見ると、ブラジャーから出ているようだ
ぼんやりと輝くそれは亜紀の額に触れる。よく見ると先端が半ば埋まっているようにも見えた。
「あっ………はあっ……んっ」
亜紀が若干苦しそうに眉根を寄せる。快感に耐えているようにも見えた。
時間にして数秒にも満たないその行為が終わると、触手は消え、下着も元の状態に戻った。
亜紀も元のように安らかな寝顔を見せて寝入っているが、その股間からは愛撫の余韻か、愛液が滲み出ていた…
596 名無しさん@ピンキー sage 2014/08/02(土) 21:57:47.86 ID:gHOV2Zqa
クラゲ妖魔は2つの能力を特化させている。擬態・同化能力と意識操作である。
前者は身を隠したり、捕食のために使う。
意識操作はとり憑いた対象を逃さないためのもの。
対象の意識に次のようなことを段階的に刷り込むのだ
まず
「気持ちよくなっていることを周囲に知られてはならない」
次に
「気持ちよくなるのは普通の事」
そして
「妖魔は自分を気持ちよくしてくれる存在」
(なんかおかしい…)
ここ数日、亜紀は身体に違和感を覚えていた。
熱っぽいというか気だるいというか、どうにもふわふわとした感覚がまとわりついてはなれないのだ。
しかもその感覚は少しづつ強くなっているような気がする
「亜紀どうしたの?ボーっとして」
「えっ?あ、なんでもないよ」
(皆に心配かけちゃいけないな)
その違和感を誰にも相談しないまま、更に数日が過ぎた
「だーっ!つっかれたぁ~!」
風呂からあがり、パジャマ姿の亜紀は自室のベッドにうつ伏せにダイブした
「はぁ~…」
枕に顔をうずめて大きく息を吐くと、ごろりと仰向けになった
「…」
右手を伸ばして枕元の携帯を取る。見ると時刻は8時をまわった所。
そのまま右腕を顔に落とし、蛍光灯の光を遮る。
(あーヤバイ…これ寝るパターンかも…電気消さなきゃ…)
そう思いつつも、身体は動かない。
…もぞ
(んっ)
ほんの少し。ほんの少し足を動かしただけ。
股間に刺激が走った。
寝返ったときに下着がよじれたのだろうか。パンティーが食い込んでる気がした。
(直さないと)
尻を浮かせ、左手をパジャマに差し入れてパンティーを直す。
布地が股間にすれた。
「んあっ」
(今の…)
左手を股間に持っていき、触れる。
ぴりっ
「んっ!」
布地越しにつっと動かす
「ああん…」
(…これ)
口を半開きにし、若干息が荒くなった亜紀は…
(…)
おもむろに立ち上がると部屋の鍵をかけ、電気を消し、布団に潜り込んだ。
「はぁ……はぁ……」
暗闇の中、自分の吐息が耳につく。
さっき直したはずのパンティーがまた股間に張り付いているような感覚を覚える。
乳首が勃起しているのだろうか。胸の先っぽからじくじくとした刺激を感じる。
「はぁ…はぁ…はぁ」
左手を股間に、右手を胸に伸ばす。
亜紀はそういう行為を、全くしたことがないわけではなかった。
耳年増な友人の話を引き気味に聞いたその日の夜、試しに触ってみたことはあったが、聞いたほどのものではなかった。
だが今は違う。胸とアソコから発せられるゾクゾクとした感覚が背中を這い上がってくる。
597 名無しさん@ピンキー sage 2014/08/02(土) 23:03:49.93 ID:gHOV2Zqa
下着越しに股間を触り、中指と人差し指で前後にこする。
「あ…はぁん…んん…」
さっきまでとは違う、はっきりとした快感が亜紀を襲う
指の動きが徐々に強く、早くなる。
右手はブラジャー越しの薄い胸を撫でている。ただそれだけなのに気持ちいい。
直接触ってはいない。布地がおっぱいに押し付けられるだけで気持ちいい。
勃起した乳首がブラの裏地に擦れるのが気持ちいい。
ブラ越しでも分かるほどそそり立った乳首をつめ先でカリカリと擦ると背中が浮くほどの快感が走った
(あぁ…いい…)
もう止められなかった。
暗闇の中。
邪魔なふとんはどかされ、上半身のパジャマは首元まで捲りあげられている。
さらに下半身はパンティーのみという淫らな姿で、亜紀は寝息を立てていた。
亜紀の頭上に光が灯る。妖魔の触手だ。今度はロウソクのような、橙色の光だった。
触手は以前と同じように亜紀の額にその先端を当てた。
しばらくして、亜紀の部屋は元通りの暗闇になった。
放課後の女子更衣室。
「ちょっとトイレいってくるねー」
「亜紀また~?」
「さっきも部活中にいってたじゃん」
「じつは昨日変なものを拾って食べてしまって…」
「先手を取られた!」
「なはは、じゃ、先帰ってて~」
冗談めかして笑うと亜紀はトイレに向かう。
個室に入り、鍵をかけた瞬間、それまでの快活な少女の顔は消え蠱惑的な表情に変わる。
上着を脱ぎ上半身はブラだけになった亜紀は便座に深く腰掛け、後ろに寄りかかると恥ずかしげもなく足を広げ、がに股の状態になった。
亜紀は下着越しの方が直接触るよりも好きになっていた。
布地のざらつきが性感帯をこする感覚や、愛液を吸ったパンティーのベトつきがたまらないのだ。
「んんんっ…」
(声…でちゃうっ)
ブラの上から乳輪をくるくるとこすり、トイレに入る前からビンビンに勃起した乳首をキュッとつまむと、
左手でこすっているアソコから愛液が溢れ出す。
愛液の絡んだ指をフェラチオでもするかのようにチュパチュパとしゃぶり、背徳的なその行為に酔う。
唾液まみれの左手を今度は胸に持って行き、ブラを唾液で湿らせると、右手でいじっているのとはまた違った快感が生まれる。
揉みしだき、押しつぶし、乳首を抉り、乳頭をつまむ。
「はぁっ…はああぁ、ああん…」
左右の胸でそれぞれ違ういじり方をするその手つき、声を出さないように眉根を寄せて快感に耐えるその表情は普段の亜紀からは想像もつかない淫猥さだ。
598 名無しさん@ピンキー sage 2014/08/02(土) 23:08:02.75 ID:gHOV2Zqa
ネットのオナニー動画参考にしつつ書いてたら賢者になったのでとりあえずここまで
妖魔さんの活躍する本番までいかんかった…
書きたかったアイデア
マスクに同化した妖魔に口を犯されながら日常生活
604 名無しさん@ピンキー sage 2014/08/03(日) 22:00:32.89 ID:hUW1pwoE
>>597の続き
今度は右手を股間に持って行き、人差し指から薬指の3本の指をアソコに押し付けると円を描くように動かす。
「んん…ううん…」
愛液を吸ってベトベトになった下着が擦れて気持ちいい。
時折中指を曲げて下着越しにカリカリとひっかくとまるで電気が走ったように体をのけぞらせる。
愛液の染みはどんどん広がり、湿ったパンティーが股間にピッタリと貼り付く。
張り付いた部分からもゾクゾクとした快感が沸き起こるが、亜紀はそれに疑問を持たない。
更にオナニーに没頭し、がに股のまま浮いた足からは靴が脱げ、紺のソックスに包まれたつま先が快感に呼応して曲げ伸ばされる。
(ああ、きもちい…もっと…中…)
ちゅぷ…と、中指の先を下着ごとアソコに潜り込ませる。
あふれだす愛液が布地の吸水力を越え中指を濡らす。指をさらに奥へ。
直接入れるのとは違い下着越しのため、布地が陰唇を巻き込んで引っ張られていく。
ゆっくりとした、だが確実な動きで潜り込む中指はすでに第一関節辺りまで見えなくなっていた。
「はあ…はあ…はあ」
その様を亜紀は潤んだ目で見つめる。
自らのしているあまりにもみだらな行為それ自体に興奮する。
学校という神聖な場所で、トイレに隠れて、こんなにいやらしいことをしている。
ほんの数分前まで友人と他愛のない会話をしていた自分が、制服をはだけて足を開いたはしたない格好をしている。
部活仲間と笑い合って肩をたたいたその手が、指が、愛液にまみれアソコに潜り込んでいる。
その事実が亜紀の快感を更に高める。充血した乳首がブラを押し上げるほど勃起し、アソコから愛液があふれだす。
(なんてHなんだろう…)
罪悪感はない。バレてはいけないという背徳感はそのままに、快感を得ることに対する罪悪感をなくした亜紀は淫れることに躊躇など無い。
アソコに潜り込んだ指先を動かす。
「あんっ…」
慌てて唇を噛んで声を抑える。だが一旦動き出した指を止めることはもはやできない。
パンティーの布地の微妙なざらつきが膣壁を擦り、指先が動くたびに染み込んだ愛液がくちくちと音を立てる。
左手はブラがひしゃげるほど胸を激しく揉みしだき、勃起した乳首はブラの裏地に不規則にこすられて予想の付かない快感を亜紀に送り込む。
「んっ…くぅん…んひ……い…」
(私のおっぱい…乳首が…)
眉間にしわを寄せて声が出ないよう快感に耐える亜紀。上気して汗ばんだ頬に前髪が張り付き、みだらとしか言いようのない表情だ。
腰のあたりからそれまでと違うぞわりとした快感が湧き起こる。
押し転がされる乳首から、あるいはかき回されるアソコから発生した快感が蓄積していくかのように増えていく。
背中をゾクゾクと這い上がってくる。絶頂の予感に亜紀は更に激しく自らを辱める。
薄い胸を押しつぶすように乳首を押さえつけ、そのままグリグリとこねる。ブラの裏地に押し付けられて乳首が上下左右に転がる。
アソコをかき回す中指は更に動きを激しくし、あふれた愛液がお尻の穴の方まで染みてくる。
さらに亜紀は、それまであえて触っていなかった箇所、すでにぷっくりと充血したクリトリスをパンティー腰に親指で押しつぶした。
「ひぃっ、んんんんんん…!!!」
堪らず出そうになった嬌声を必死に噛み殺す。快感が等比級数的に高まる。絶頂まで秒読み段階だ。
(イクっ…もうイッちゃう!!)
左手はブラごと摘んだ乳首を引っ張りながら扱き、右手の中指はメチャクチャにアソコをかき乱し、親指でパンティーの下のクリトリスを引っ掻いた。
つま先がきゅっと丸まる。
「んんっ!んんんんんんんんんんんん!!!!!!」
首を貯水タンクに当たるほどのけぞらせ、背中を浮かせ、亜紀は絶頂を迎えた。
605 名無しさん@ピンキー sage 2014/08/03(日) 23:53:41.25 ID:hUW1pwoE
亜紀は変わった。
妖魔によって刷り込まれた意識が完全に定着し、傍目には以前とかわりなく、しかしその内面は淫乱としか言いようのないものに変えられてしまっていた。
授業はまじめに受けているものの、会話や食事中などの他愛のない時間には常にいやらしいことを考え、友人の前で密かにそういう思いを抱いている自分自身に興奮した。
トイレに向かう前には胸と股間に意識を集中し、下着がこすれる感覚だけで性感を高める。
個室に入りスカートに手を突っ込めばパンティーがすでに湿り、上着を脱げば勃起した乳首がブラを押し上げるほどに。
声が出ない程度の軽い絶頂を迎えるのに5分もかからない。それでも怪しまれないように毎回場所を変え、時には教室に残ったまま過ごした。
トイレ以外でもオナニーをした。放課後の図書室の人目につかない席で本を読むふりをしながら達した時などは、
背徳感のせいかトイレの時より興奮し、帰ってからその自分の姿で思い出しオナニーをしたほどだった。
妖魔は機が熟したことを悟った。
連日たっぷりと亜紀の愛液を吸い、力を蓄えた妖魔は、ついに意識操作の最終段階に入ることにしたのだ。
今までの意識操作は、あくまで人間の常識の範疇に収まっている。だが最後は違う。
妖魔という異質な存在を認めさせるほどの意識操作は、この小さな妖魔が蓄えられる力のほとんどを費やす大仕事だ。
意思の強い宿主に当たり下着ごと燃やされたり、退魔機関に駆け込まれて為す術もなく滅せられた同族は数知れず。
それでもその弱さゆえに退魔師に眼を付けられず、大規模な駆除をされることなく種を保ってきた。
宿主を完全に虜にしさえすれば、前述の理由からもバレることは殆ど無い。
個体の弱さゆえの種としての強さ。
亜紀にとり憑いた妖魔も、今まさに自らの種としての使命を果たそうとしていた。
亜紀はその日もいつものように自室のベッドでオナニーにふけっていた。
今日は妙に性欲が収まらない。帰宅してからトイレで1回、入浴時に1回、ベッドで二回も達している。
さすがの亜紀もおかしいと思ったが、深く刷り込まれた快感への欲求が猜疑心をはるかに上回っていた。
左手の中指と人差し指をパンティーごとアソコに深く差し込み、交互に動かしたり膣を広げたりして快感をむさぼる。
薄い胸を包むブラはこれまでの行為で愛液と唾液にまみれ、乳首の色が透けて見えるほどだった。
右手がその尖りきった乳首を左右交互に愛撫する。摘み、扱き、ひっかき、押し潰していた。
「あぁん……ん、あん…」
(もっと……もっと気持ちよくなりたい…イキたい…)
亜紀は絶頂することしか頭にない。
手の動きが激しくなり、いつものあのゾクゾクとした感覚が高まってきた。
「あぁっ、あああんっ!」
(イク…イクイクイクイクッ…)
亜紀の身体が激しく悶え、アソコから愛液が溢れる。
そして亜紀は…
「はぁんッ…イク…イッ…………ッ!?」
(…!?)
絶頂を迎えられない。
(なんで、なんでぇ…)
グチュグチュと股間を穿り、胸を揉みしだく。が、絶頂がやってこない。開放されるはずのゾクゾクとした感覚が背中から離れない。
イけない。
亜紀は混乱しながらもオナニーを止めることができない。だがどんなに自身を慰めても、快感の頂点に達することができない。
「はぁん…なんでぇ…ああぁん……イキたいのにぃ…!」
亜紀の顔が快感と困惑で歪む。その頭上に輝く光。ぼんやりとした赤い光。
(…なに…これ?)
収まらない快感で朦朧とした亜紀は気づいていないが、その光は亜紀のブラジャーから伸びる半透明の触手の先端に灯っている
妖しく輝くその光はゆっくりと亜紀の顔に降りて行く。
「きゃ」
とっさにかざした手をすり抜け、光が亜紀の額に触れた。
「あっ…」
亜紀が目を見開く。頭のなかに何かが入ってくる。意識を書き換えられる。
「あっあっあっあっあっ」
目を白黒させながら亜紀が悶える。身体が断続的に痙攣し、ベッドがギシギシと軋む。
(光が…なにこ…気持い…あっ……イキた……いく…?)
触れられていない股間からくちゅくちゅと音がする。ブラが蠢いて乳首に張り付くと、吸いだすように布地を変形させる。
(イク……いく…もっと……いきたい…ああああ……いかせ…?……いかせて……くれる…?)
パンティーの布地がずるりとアソコに潜り込み、膣壁から陰唇全体に吸い付き、擦った。
クリトリスが乳首を同じように吸い上げられ、両乳首と三点同時にキュッ!と捻られた。
瞬間、
「ッ!!!!!!!!!」
頭の中が真っ白になった。
606 名無しさん@ピンキー sage 2014/08/04(月) 01:20:44.75 ID:lBnhix0Y
昼休みの学校。教室では中の良い生徒同士で机を並べ、思い思いに食事をとっている。
「亜紀さぁ~」
「ん~?」
ブラの裏地から伸びる繊維触手が乳輪をチロチロと舐めている。
「なんか最近雰囲気変わったよね」
「え~なに急に~?変わってないよぉ」
勃起した乳頭の根本に触手が群がり、先端に向かって一斉にシュルシュルと扱き上げる。
「いや、なんかこう…ねえ?」
「ねえ?って言われても」
尻を包む布地は内側がざわりと波打ち、常に撫で回されているような感覚を伝える。
「一味違うっていうか」
「何じゃそりゃ?」
股間ではパンティーの布地がクチュクチュとアソコをえぐっている。
溢れだすはずの愛液はその全てが布地に吸い込まれて消えていく。匂いすら出ていない。
「まあ気にするなってこった」
「あんたが言い出したんじゃないんかーいっ!」
身体を倒して正面に座る友人にチョップのマネをする。
亜紀が再び身体を起こした時に、机の縁に胸を擦りつけたことに気づいたものはいなかった。
休み時間。
(もうイッちゃいそう…)
トイレの個室に入った亜紀はそのまますぐ便座に座る。
(お願い、イかせて…)
目をうるませながら頭のなかで何者かに懇願すると、上半身と下半身から快感が押し寄せた。
ブラの裏地から粘液が染み出し、一瞬で乳房がヌルヌルとした感覚に包まれる。
内側に生えた無数の繊毛触手が乳房に粘液を塗りたくり、擦り込む。
触手がブラシのように乳房の根本から乳首に向かって扱き上げるように愛撫する。
乳房全体が粘液まみれになっているにもかかわらず、ブラの外側には一切漏れておらず、ブラウスにもシミひとつできてない。
ブラの背中の紐からはそうめんくらいの細さの長めの触手が伸び、時折背中をゾロリと舐めあげる。
自分では愛撫できない肩甲骨の間を舐められるたびに、亜紀は背中を反らせて快感に悶える。
そうして仰け反ると胸を張る事になり、乳房が触手ブラシに激しく押し付けられる形になる。
(き……気持ちいい……っ!)
粘液をまぶされていやらしく勃起した乳首は、吸盤状に変化したブラの生地に吸い上げられると同時に内側に生えた繊毛触手で扱かれる。
乳首を吸い上げたまま長めの触手が乳頭の根本にくるりと巻きつき、わずかに締め上げる。
うっ血し膨れたピンク色の乳頭の先端に筆のように束ねられた繊毛触手が迫り、くるくるとソフトに愛撫しだした。
(あん、ああん…いじわるしないでぇ…もっとぉ…)
物足りない乳頭への刺激に亜紀が身悶えしながら愛撫をねだる。
乳頭を縛る触手は時たま緩んだり締まったりとマイペースに変化し、そのたびに先端に受ける筆触手の刺激に強弱が生まれ、亜紀の脳髄に波のような快感を送り込む。
自分を掻き抱くように曲げられ震える亜紀の両腕。だがその先の手は軽く握られたまま、どこにも触れていない。
今すぐにでも乳首をしごきたい衝動に耐え、あえて亜紀は「他人に責められている」快感を噛み締めていた。
愛液を吸い続けるパンティーは膣に潜り込んでいるだけでなく、陰唇のヒダの細部に至るまで布地が張り付き、いやらしくヒクつく亜紀のアソコをそのままかたどっていた。
張り付いた布地はゆっくりと蠕動し、ざらついた刺激を絶え間なく与えている。
膣に潜り込んだ部分からは先端が口のようになった繊毛触手が無数に生え、愛液を催促するかのように膣壁にチュパチュパとキスを繰り返す。
尻から腰骨、下腹部を覆う部分の生地はあいかわらず撫で回すように蠢き、亜紀の知らない性感帯を開発しつつある。
クリトリスには陰唇と同じように布地が張り付いてるが、特に目立った動きを見せていなかった。
いや、「動かないこと」でクリトリスを責めていた。
乳首や膣、尻からの快感を受けたクリトリスに血流が集まり、淫らな肉豆が一回り膨らむ。膨らもうとした。
パンティーの布地がまるで拘束具のように、勃起しようとするクリトリスを締め上げる。
(はう…クリが…)
クリトリスがギチギチと締め付けられる。もどかしいその刺激に亜紀の腰がいやらしくうねる。
607 名無しさん@ピンキー sage 2014/08/04(月) 01:24:16.69 ID:lBnhix0Y
また中途半端だけどここまで。
謙虚な妖魔は宿主一筋。浮気はしません。
後やりたいのは乳首に淫液注射して母乳体質に改造し、友達と会話しながらの搾乳とか。
吸った母乳をアソコに塗りこんだりとかもいいね
(ハリガネムシ?)
520 名無しさん@ピンキー 2014/07/10(木) 21:00:49.73 ID:gfaD6pKR
寄生虫博物館よかった。エロスのアイディアも湧いてくる。
521 名無しさん@ピンキー sage 2014/07/10(木) 22:29:24.86 ID:pe73AQ4H
ガチの寄生虫もいけるとかすげぇな
庭にいたカマキリからハリガネムシがこんにちはしてるとこ見たことあるけど
あれはアウトだった…
522 名無しさん@ピンキー 2014/07/11(金) 12:27:52.72 ID:w6w8SpG8
女の子の耳の穴から触手さんこんにちはしてもイケるのに、
虫のケツ穴からハリガネムシさんこんにちははキツイとわ
いやキツイな
523 名無しさん@ピンキー sage 2014/07/11(金) 20:51:41.00 ID:rkYGVrsk
擬人化すればあるいは
524 名無しさん@ピンキー sage 2014/07/11(金) 23:02:42.29 ID:RcBI4RdI
女の子の体に入り込んだ体を乗っ取るハリガネムシ。
初めは強い渇きに水分を強く欲するようになる。
この時点でハリガネムシを取り除くことができれば乗っ取りを防げるが
該当する種は夏場に孵化し寄生するため、発見は困難を極める。
寄生したばかりのハリガネムシは水分によって急速に肥大、成長。
触手を伸ばし神経と接続。あたかも神経になりすまし、新陳代謝の応用によって次第に全身の神経系にとって代わっていく。
このころになると、宿主は強烈な倦怠感に襲われるようになり、体を動かすことさえ億劫となる。
これは運動神経の掌握を悟られないよう、神経細胞と一体化したハリガネムシから、脳へと倦怠感を促す信号が贈られるようになるためである。
完全に運動神経を掌握し脳からの情報を遮断できるようになると、体の自由を手に入れる。
しかしまだ、乗っ取りは完了しておらず、ハリガネムシ自体もあくまで脳の情報を模倣し運動をトレースし寄生を勘付かれないようにする機能しかない。
宿主も、多少の動作の遅れと言った違和感を感じつつ、寄生に気付かないケースがほとんどである。
本格的な乗っ取りは、脳細胞への接続から開始される。
神経細胞のみと一体化した段階では、虫としての知性と意識しか持たないが、脳と繋がることによって、宿主が蓄えた知識を学習。
一気に高度な知性と高等な意識を獲得する。その際、形成される意識が男性的なものであるのは、
この種のハリガネムシのうち人体に寄生するのは雄性のみ故である。
当然ながら通常とは異なる挙動を強制されるため、脳は強い疲労と栄養の欠乏にさらされる。
宿主の思考は鈍り、猛烈な糖分に対する欲求には抗えず、自身がさらさらる倦怠感や動作の遅れを考えることさえままならず
半ばハリガネムシに操られるようにして、日がな一日糖分を補給することを疑問に感じることさえなくなる。
日本における宿主は健康な十代が圧倒的に多いが、この年代はことさら精神のバランスを崩しやすく、また周囲もそれに対して強く出ることができない
―――つまり不登校と言う隔離された状態に置かれやすく、寄生が露見しにくいのが一番の原因であった。
もっともここまで寄生が進んだ場合、除去はほぼ不可能と言ってよく、完全に手遅れ。とみなされる。
レントゲンでは、脊髄として脈打つ巨大な蟲の胴がありありと確認できる状態である。
そうして宿主と肉体的に完全に一体化したハリガネムシは、宿主の人格を吸収し、
あらゆる知識や記憶、経験を、自身のものとする。一見それは宿主そのものと見えるが、言動の端々には虫としての自我、
なにより男性としての趣向が散見される。多くの場合、寄生した女性と同性との性交を強烈するが
これは女性の体が次世代を育む苗床として適しているためである。
知らずハリガネムシに取って代わられた女性と交わった女性は苗床となるものの、
卵自体は極省の粒であり、排泄物に混じって排泄される際にも、決して発見されることなく、水流に解き放たれる。
こうしてハリガネムシは繁殖を繰り返し、現在10代の女子は約半数。発見と対策の遅れた全世代である20代に至ってはなんど90%もの女性がハリガネムシが成り代わった者であり
政治的にも無視できない存在となり、人類を侵食しているのは、先日可決された『新人類保護法』―――通称ハリガネムシ法にも記憶が新しいだろう。
私も新人類となった今、ハリガネムシ族の更なる発展のため、この肉体を使ってより多くの女性を籠絡し仲間を増やしつつ
人間どうしのカップル形成を阻害し、少子化を加速させるべく、日夜性技を磨くため、こうして自慰にふけりつつ現状を記している。
元の人格は完全に消し去ったわけではないので、先ほどからまた騒いでいるが、それもあと数日すれば完全に消えてなくなるだろう。
もはや自慰の刺激がなければ、こうして激しく主張することさえ覚束ないのだから。先輩のハリガネムシ族から教わった遊びだが、終わりだと思うと名残惜しい。
一際激しくイッたところで本体が爪の間から出てしまったようだ。面倒なので、その先にインクをつけて結びの文を書いた。
今日はもう早く寝るとしよう。
525 名無しさん@ピンキー sage 2014/07/11(金) 23:03:19.74 ID:RcBI4RdI
みたいのを考えたけど誰か書いてくんないだろうかなあ・・・
526 名無しさん@ピンキー sage 2014/07/12(土) 10:36:20.32 ID:+WENnnaZ
いやそれだけ書いてあればもう十分だと思うけど
そして一言「それハリガネムシじゃねぇ」
528 名無しさん@ピンキー sage 2014/07/12(土) 23:50:02.67 ID:KCxf83GD
>>524
少子化進んだら人口逆ピラミッドでハリガネムシ諸共先細りなんですがそれは
むしろ新人類が進化して直接ハリガネ娘を産んでしまうとか?
寄生虫博物館よかった。エロスのアイディアも湧いてくる。
521 名無しさん@ピンキー sage 2014/07/10(木) 22:29:24.86 ID:pe73AQ4H
ガチの寄生虫もいけるとかすげぇな
庭にいたカマキリからハリガネムシがこんにちはしてるとこ見たことあるけど
あれはアウトだった…
522 名無しさん@ピンキー 2014/07/11(金) 12:27:52.72 ID:w6w8SpG8
女の子の耳の穴から触手さんこんにちはしてもイケるのに、
虫のケツ穴からハリガネムシさんこんにちははキツイとわ
いやキツイな
523 名無しさん@ピンキー sage 2014/07/11(金) 20:51:41.00 ID:rkYGVrsk
擬人化すればあるいは
524 名無しさん@ピンキー sage 2014/07/11(金) 23:02:42.29 ID:RcBI4RdI
女の子の体に入り込んだ体を乗っ取るハリガネムシ。
初めは強い渇きに水分を強く欲するようになる。
この時点でハリガネムシを取り除くことができれば乗っ取りを防げるが
該当する種は夏場に孵化し寄生するため、発見は困難を極める。
寄生したばかりのハリガネムシは水分によって急速に肥大、成長。
触手を伸ばし神経と接続。あたかも神経になりすまし、新陳代謝の応用によって次第に全身の神経系にとって代わっていく。
このころになると、宿主は強烈な倦怠感に襲われるようになり、体を動かすことさえ億劫となる。
これは運動神経の掌握を悟られないよう、神経細胞と一体化したハリガネムシから、脳へと倦怠感を促す信号が贈られるようになるためである。
完全に運動神経を掌握し脳からの情報を遮断できるようになると、体の自由を手に入れる。
しかしまだ、乗っ取りは完了しておらず、ハリガネムシ自体もあくまで脳の情報を模倣し運動をトレースし寄生を勘付かれないようにする機能しかない。
宿主も、多少の動作の遅れと言った違和感を感じつつ、寄生に気付かないケースがほとんどである。
本格的な乗っ取りは、脳細胞への接続から開始される。
神経細胞のみと一体化した段階では、虫としての知性と意識しか持たないが、脳と繋がることによって、宿主が蓄えた知識を学習。
一気に高度な知性と高等な意識を獲得する。その際、形成される意識が男性的なものであるのは、
この種のハリガネムシのうち人体に寄生するのは雄性のみ故である。
当然ながら通常とは異なる挙動を強制されるため、脳は強い疲労と栄養の欠乏にさらされる。
宿主の思考は鈍り、猛烈な糖分に対する欲求には抗えず、自身がさらさらる倦怠感や動作の遅れを考えることさえままならず
半ばハリガネムシに操られるようにして、日がな一日糖分を補給することを疑問に感じることさえなくなる。
日本における宿主は健康な十代が圧倒的に多いが、この年代はことさら精神のバランスを崩しやすく、また周囲もそれに対して強く出ることができない
―――つまり不登校と言う隔離された状態に置かれやすく、寄生が露見しにくいのが一番の原因であった。
もっともここまで寄生が進んだ場合、除去はほぼ不可能と言ってよく、完全に手遅れ。とみなされる。
レントゲンでは、脊髄として脈打つ巨大な蟲の胴がありありと確認できる状態である。
そうして宿主と肉体的に完全に一体化したハリガネムシは、宿主の人格を吸収し、
あらゆる知識や記憶、経験を、自身のものとする。一見それは宿主そのものと見えるが、言動の端々には虫としての自我、
なにより男性としての趣向が散見される。多くの場合、寄生した女性と同性との性交を強烈するが
これは女性の体が次世代を育む苗床として適しているためである。
知らずハリガネムシに取って代わられた女性と交わった女性は苗床となるものの、
卵自体は極省の粒であり、排泄物に混じって排泄される際にも、決して発見されることなく、水流に解き放たれる。
こうしてハリガネムシは繁殖を繰り返し、現在10代の女子は約半数。発見と対策の遅れた全世代である20代に至ってはなんど90%もの女性がハリガネムシが成り代わった者であり
政治的にも無視できない存在となり、人類を侵食しているのは、先日可決された『新人類保護法』―――通称ハリガネムシ法にも記憶が新しいだろう。
私も新人類となった今、ハリガネムシ族の更なる発展のため、この肉体を使ってより多くの女性を籠絡し仲間を増やしつつ
人間どうしのカップル形成を阻害し、少子化を加速させるべく、日夜性技を磨くため、こうして自慰にふけりつつ現状を記している。
元の人格は完全に消し去ったわけではないので、先ほどからまた騒いでいるが、それもあと数日すれば完全に消えてなくなるだろう。
もはや自慰の刺激がなければ、こうして激しく主張することさえ覚束ないのだから。先輩のハリガネムシ族から教わった遊びだが、終わりだと思うと名残惜しい。
一際激しくイッたところで本体が爪の間から出てしまったようだ。面倒なので、その先にインクをつけて結びの文を書いた。
今日はもう早く寝るとしよう。
525 名無しさん@ピンキー sage 2014/07/11(金) 23:03:19.74 ID:RcBI4RdI
みたいのを考えたけど誰か書いてくんないだろうかなあ・・・
526 名無しさん@ピンキー sage 2014/07/12(土) 10:36:20.32 ID:+WENnnaZ
いやそれだけ書いてあればもう十分だと思うけど
そして一言「それハリガネムシじゃねぇ」
528 名無しさん@ピンキー sage 2014/07/12(土) 23:50:02.67 ID:KCxf83GD
>>524
少子化進んだら人口逆ピラミッドでハリガネムシ諸共先細りなんですがそれは
むしろ新人類が進化して直接ハリガネ娘を産んでしまうとか?
つぶ
496 名無しさん@ピンキー sage 2014/06/15(日) 21:02:59.36 ID:swM+aRJ3
蒸し暑い夜に滾って書いたもので8レス投下します。
この板は初めてなので不手際があったらすみません。
・第1章完(寄生完了まで)
・寄生描写を書ききった時点で賢者に襲われたため性描写がない不具合
・明日キャビアを食べる予定の人は読まないのが吉
よろしくお願いします。
497 つぶ(1/8) sage 2014/06/15(日) 21:03:44.99 ID:swM+aRJ3
ピピピ、ピピピ、と耳元で電子音が鳴る。
坂宮(さかみや)あずさは朦朧とする手で携帯を掴み、ぷち、とアラームを切った。
続いてベッドからゆっくりと身体を起こす。
ぼさぼさの髪と一緒に惰眠の誘惑を振り切るように、二度三度と頭を振った。
「あー……一限出るのだるいよ……」
呟きながらも足取りはきっちりユニットバスへと向かう。
この季節は湿度が高いうえ、日によっては夜中でも十分暑い。
着替える前にシャワーで一通り汗を流すのが、もはや欠かせない習慣だった。
ワンルームの狭い室内から、バスタオルを引っ掴んで五歩。
あずさは上下に隙間の空いたドアを開ける。
「……ん?」
バスタブの隅に、黒い塊があった。
「なに、あれ」
瞬時に警戒心が跳ね上がった。
カビ、にしてはこんもりと盛り上がっているし、安アパートといってもネズミなどの動物が入り込むほどボロくはない。
慎重に近付くと、その物体を覗きこみ――、
「ひ、っ……!!」
『それら』は多数の得体の知れない粒。
黒くてらてらと濡れた大小の粒が、びっしりと浴槽に張り付いている。
まるで無数の目に凝視されているように、あずさの全身に生理的な鳥肌が立った。
「~~! ~~~~!!」
あずさは声にならない悲鳴を上げながら、それでも必死に手を動かした。
壁に掛けてあるシャワーを掴み、お湯の方の蛇口を全開にする。
ブシャァッ!! と噴き出した熱いお湯を直に浴びせると、『それら』は白く濁っていくようだった。
流れない『それら』に泣きそうになりながらお湯を掛け続ける。
と、やがて表面を覆っていた粘液が洗われたからか、一粒一粒と滑り、排水溝へと消えていった。
498 つぶ(2/8) sage 2014/06/15(日) 21:04:31.45 ID:swM+aRJ3
「はぁ、はぁ……」
震える手で浴槽の栓を落とす。
『あれら』が熱で死滅したかは分からなかった。
カビの仲間なのか、なにかの卵なのか……。
「はぁ……お風呂、みのりに借りよ……」
息と精神を必死に落ち着かせながら、あずさは自分に言い聞かせた。
週一で掃除しているバスルームは清潔に見えるが、あんなものを見た直後に使う気にはならない。
排水溝に流れた『あれら』が万が一まだ生きている『なにか』で、栓を開けた瞬間這い出してきたらと思うとぞっとした。
それに講義には出なければならない。
『あれら』に関しては、帰宅してから水道の専門家に頼ろう……。
「みのり、起きてるといいけど……」
寮暮らしの親友にメールをするため、あずさはバスルームを出た。
洗面所もあの中だから、顔は流しで洗わないと。
おぞましさから目を逸らすためにわざと日常的な身支度の手順通りに身体を動かしていく。
――この春から大学に進学し、アパートで独り暮らしを始めた彼女は、相応に心臓が鍛えられていた。
当然のことだろう。
訪問販売も突風で飛んで行った網戸も、全ての家庭の敵である黒いお客様にだって、自分で判断し対処しなければならなかったのだから。
だからといって、起きるのが対処できる問題だけとは限らないのだが――。
499 つぶ(3/8) sage 2014/06/15(日) 21:05:10.08 ID:swM+aRJ3
------
「はー、今朝はありがとねー。ほんとにあれ何だったんだろう……」
「いいけど。食事中はその話しないでよ?」
現在、昼休み。
ごった返す学食で向かい合わせの席を確保し、あずさと穣はトレイをテーブルに置いた。
運よく起きていた友人にシャワーを借りた見返りとして、昼食のデザート一品を奢ることになったのだ。
「うー、ごめん」
「不動産屋に言って水道屋を呼べば大丈夫でしょ。ね、ご飯食べよ」
さっさと思考を切り替えてフォークにミートソーススパゲッティを絡める親友をあずさは頼もしく思う。
真木穣(まき みのり)。
そこそこ色を抜いたセミショートの髪はきれいに外に跳ねている。
すっと通った鼻筋と涼しげな目元は女子高なら王子様になれそうで、遊んでいる風にも見える髪色の印象を引き締める。
キャミソールに羽織った薄青のブラウス、今はテーブルの下に隠れた細身のジーンズという服装は、自分の魅力を理解しているセレクトだろう。
熱心にスパゲティをほおばる姿はむしろ可愛い部類だったが。
彼女とは大学に入ってからの友人だった。
理知的な冷静さと、男らしさすら感じるさっぱりした性格が気持ちよくて絡んでいたら、二ヶ月で親友と呼べるほどの仲に急進展していたのだ。
性格と顔つきに反し小柄でメリハリの利いたボディラインについては秘かに嫉妬していたりもする。
そんな風だから男の人がちらちら見たりしていることもあるが、穣は男女ともに実際に付き合う友人が少ない。
キツい性格ではないのに外見と口数の少なさで近寄りがたい美人と思われているのかもしれなかった。
500 つぶ(4/8) sage 2014/06/15(日) 21:05:51.47 ID:swM+aRJ3
(みんな見る目がないよね)
やはり脳裏に朝の光景がちらつき、あずさは食事の手が進まない。
ポトフのジャガイモをスプーンでつつきながら関係のないことを考えて気を紛らわせている。
「あー……、やっぱり気分悪いよね。洗浄が済むまでシャワー貸すし、アパートにいるのも怖かったら私の部屋泊まれば?」
「みのりー! ありがとう愛してる!」
「現金。てか無理にでも食べないと午後の授業保たないよ」
本当に、性格までできた穣にアプローチする男性がいないのが、あずさには不思議だった。
(っていうか、みのりレベルでフリーなら私はどうなっちゃうの!)
心中でテーブルを叩き、あずさはヤケになって細かくなったジャガイモを口に含んだ。
嫌なことを忘れようとして親友のことを考えていたのに、どうしてこうなったのか。
あずさも穣と同じく小柄な方だ。
ただ、似ているのはそこだけ。
全体に幼い印象の顔。
始終きょとんとしたような目と低い鼻、丸い輪郭。
青味さえ帯びた黒髪――というとアニメかなにかのキャラクターのようだが、それくらい艶やかなセミロングの髪だけは気に入っている。
その髪はサイドで一部だけくくり、今日は紺色のリボンを結んでいた。
だが体型はよくいえばスレンダー、マニア向けにいえばつるぺたロリ体型である。
親友やサークルの友達には女として多少のコンプレックスを感じてしまう。
(みのりみたいにEカップ欲しいなんて贅沢は言わないからさ……せめてBになればいいのに)
ふんわりとしたキュロットに柄Tとレースの入った半袖パーカーを合わせた姿も、本人は『こういうのしか似合わないから』と思っている。
いわゆるキレイめや、カッコいいスタイルには気負いしてしまうのだ。
だが壁を作らない性格で男性とも気兼ねなく話すあずさは、実はあずかり知らぬところで男の話題に上ることが多い。
『小動物っぽくて和む』など、本人が望んだ方向性ではないにせよ。
501 つぶ(5/8) sage 2014/06/15(日) 21:06:26.90 ID:swM+aRJ3
------
その日はサークルも休み足早に帰宅した。
携帯や、講義の合間に計算室でネット検索したものの、『あれら』に似た生物などは見付からなかった。
ひとまず様子を見つつ不動産屋に連絡し、今日中に対処してもらえないのであれば穣の部屋に世話になることになっている。
「お風呂の栓開けてみなきゃダメかなぁー……」
気分も重く三階まで上り、自室に入って。
「……? なんか匂う?」
靴を脱ぎながら、あずさは玄関の扉を閉めてしまった。
再び密閉された空間となった室内にはやはりなにかの臭気がこもっている。
鼻の奥がスースーするくせに生臭さがあるような、不思議な匂いだ。
首を傾げてユニットバスのドアの方に目をやった瞬間、
急に匂いが濃くなったような気がした。
「……っ、きゃぁぁっ!」
換気のための下側の隙間。
そこから、朝見たものと同じ黒い粒が、大量に、溢れ出している。
ひ、と腰が崩れ落ちそうになり、廊下に沿った流し台に手を付く。
同時にふらついた足が、ぐちゃりと生ぬるいなにかを踏んだ。
「なに? ……い、嫌ぁぁぁぁぁっ!!!」
足元にも同じような粒、粒、つぶ。
ここだけでない。
廊下のところどころに、粒の塊が溜まっている。
「え、足が、取れない!!!?」
上げようとした足は、何故か接着剤でくっつけたみたいに気持ち悪い感触の中に固定されていた。
無理に体勢を変えようとした反動で、最悪なことにあずさの身体はうつぶせに倒れこむ。
謎の物体が蔓延した床の上に――。
いや。
(なに、これ!? 身体が思うように動かない!!)
バランスうんぬん以前に、腕や足に力が入らなくなっている。
指先に触れた粒から逃れようとして手を引こうとしても、足のように接着はされていないのにゆっくりとしか動かない。
502 つぶ(6/8) sage 2014/06/15(日) 21:07:02.02 ID:swM+aRJ3
パニックを起こした彼女が気付くことはないが、これは感じていた匂いが原因だった。
末端から神経をマヒさせる即効性のガス。
廊下にある塊のいくつかが徐々にそれを分泌し、夕方まで掛けて部屋中に充満させていたのだ。
さらに。
わずかづつ動かしている指がおぞましい粒から解放されることはない。
遅々としたあずさの手と同じくらいの速さで、『それら』はあずさの身体に向けて移動している。
(舌も回らなくなって…………え?)
ず、ず、と。
体温を求めるように這いずってくる、粒。
(あ、や、)
なにか助けになるものを、と必死に見回した視界のなかで、あちらでも、こちらでも。
ず、ず、ず、ずるり……。
最初に踏んだ足も、徐々に覆われていくような感触がする。
ぼとり。
ドアの隙間から新たに塊が吐き出される――。
(いや……いやいやいやいやいやいややだやだやだやだやだやだやだやだやだ!!! こないでこないでこないでこないでぇぇぇ!! きもちわるいしんじゃういやいやいやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああ!!!!)
ぐるり、と眼球が裏返る。
口の端からつぅとよだれを垂らし、嫌悪と恐怖に焼き切れたあずさの意識は暗闇へと沈んでいった。
503 つぶ(7/8) sage 2014/06/15(日) 21:07:33.74 ID:swM+aRJ3
------
ず、ず、と。
蠢く人間大の塊。
表面はぞわぞわと波打ち、何かを咀嚼するかのように見える。
あれから二時間後。
あずさの華奢な身体は黒い粒に覆われ、飲み込まれていた。
身体の下にまでつめかけた『それら』に持ち上げられ完全に粒でコーティングされた状態である。
しかし粒の動きは止まらない。
顔面に近い『それら』は半開きの口、鼻、耳などからあずさの体内に侵入していく。
下半身ではキュロットの隙間から細い脚を上り、ショーツを押しのけるように膣口に。
塊の中のそれを確認するものはいないが、膣はパンパンになって下腹部が膨れている。
あぶれた一部は後ろの穴に殺到し、さらには尿道にまで小さい粒が滑り込んでいく。
Tシャツの裾からはこれ幸いとへそに集まり、また1ミリに満たない極小の粒はつつましい胸の先端にある乳腺をこじ開けていった。
少しづつ内部に粒が溜まっているのだろう。
乳輪全体が薄い胸の中心でぷっくりと盛り上がってしまっている。
粒にとって、よりよい環境への移住は生物としての本能であり、神経ガスなどは遺伝子に刻み込まれた機能だった。
時折びくんと身体が強張る。
痛みや、自分自身でも慰めたことのない性感ではない、もっと決定的ななにかがあずさを引き攣らせている。
膣内では純潔を示す膜に少しづつ圧力が加わり、ついにそれを突き破って子宮内を、卵巣までを凌辱する。
侵入した粒の他にも、最高の環境を得て体内で爆発的に粒が生まれていた。
それだけではない。
もともとなにかが出入りするための穴だけでなく、あずさの体内では無理やり体組織そのものへの侵食が始まっていた。
ある粒は口内に溶け込むようにその身を同化させる。
ある粒は乳腺を押し広げながら血管に逆流する。
ある粒は小腸の内側を溶かし他の臓器に潜り込む。
ある粒は膣壁を破り筋繊維にめり込む。
あずさの人としての身体を食い散らす動きは、まるで全身を粒で置き換えようとしているようだった。
だが、それでも、あずさが痛みに覚醒することはない。
欠片ほどの異物感さえ感じることはない。
他の全ての器官の前に――真っ先に冒されていたのは脳だった。
505 つぶ(8/8) sage 2014/06/15(日) 21:10:31.05 ID:swM+aRJ3
耳から次々に侵入した粒は脳に食い込むと、周囲の組織を脳細胞を貪り始める。
それは養分としてだけでなく、遺伝子情報を取り込んでいるのだ。
生命の設計図を得た粒は急激に機能を分化、高度化させ、『その部位に必要な役割』を果たせるように細胞の欠損を補っていく。
そのサイクルがあまりに早すぎ、あずさの精神は死を迎えぬままに、宿る物質をすげ替えられていた。
今あずさの頭蓋骨の中にはシナプスを帯びた細胞と神経ではなく、元の脳と過不足ない能力を持った粒の集合が詰まっている。
同時に身体の各部位の入れ替わりも進む。
ある程度侵食が進んだ器官の粒は異形の『脳』に統括されさらに活動が活性化する。
そう、今やあずさの脳を模した機能を使い、主体的に身体改造を行う知性を獲得していた。
生命の設計図から身体の各機能や本能を読み取った粒はいち早く脳の感覚受容を遮断し、痛みや不快感を除いている。
心臓や肺の侵食により多くの粒をあてるなど、作業に優先順位までつけていた。
各所の筋肉は粘液によって強く結合した粒が膨張と伸縮を行い、人間らしい動きができるように。
肺胞はほぼそのままの形で、その部分の粒自身が酸素と二酸化炭素を交換するようように。
胴の中間部には溶解液を自在に発する粒を配置し、口から取り込んだものを養分とするように。
卵巣部は分裂増殖に特化した粒が群がり、全身に新たな粒を供給するように。
人体本来の配置を残したままの改造だが血管だけは無くなっており、心臓にあたる部位が酸素や養分を乗せた分泌液を送り出すと、砂浜に染み込む海水のように全身に浸透するようになっていた。
ぼこぼこと歪んでいた皮膚がゆっくりと落ち着いていく。
それは粒の群体が、一通りの作業を終えた証し。
どろりと流れ出すように、あずさの全身を覆っていた黒い粒がはがれた。
誰かがこの姿を見たら、失神する直前に連想するのはカエルの卵だろう。
いまやあずさの身体組織は骨格、皮膚、眼球、髪、爪、そういった一部を残し完全に粒へと置き換わっている。
ヒトの形をした半透明の袋の中にぎっしりと黒いなにかが詰まっている――その無残な生命があずさのなれの果てだった。
506 名無しさん@ピンキー sage 2014/06/15(日) 21:12:34.75 ID:swM+aRJ3
以上です。お付き合いありがとうございました。
>>504は連投避けです。
精神を保存したまま肉体を全取り替えされるのが書きたかったんです。
この後は適当な相手(隣人とかサークル仲間とか)で小手調べしつつ親友に魔手を伸ばす予定でしたが力尽きました。
おかげで昼食シーンが完全に未回収に……。
いつか続き落とすことがあったらまた読んでくれるとうれしいです。
所謂よその子を了解をとってお借りしたのですが、こんなエグい目に合っているとは想像するまい。
蒸し暑い夜に滾って書いたもので8レス投下します。
この板は初めてなので不手際があったらすみません。
・第1章完(寄生完了まで)
・寄生描写を書ききった時点で賢者に襲われたため性描写がない不具合
・明日キャビアを食べる予定の人は読まないのが吉
よろしくお願いします。
497 つぶ(1/8) sage 2014/06/15(日) 21:03:44.99 ID:swM+aRJ3
ピピピ、ピピピ、と耳元で電子音が鳴る。
坂宮(さかみや)あずさは朦朧とする手で携帯を掴み、ぷち、とアラームを切った。
続いてベッドからゆっくりと身体を起こす。
ぼさぼさの髪と一緒に惰眠の誘惑を振り切るように、二度三度と頭を振った。
「あー……一限出るのだるいよ……」
呟きながらも足取りはきっちりユニットバスへと向かう。
この季節は湿度が高いうえ、日によっては夜中でも十分暑い。
着替える前にシャワーで一通り汗を流すのが、もはや欠かせない習慣だった。
ワンルームの狭い室内から、バスタオルを引っ掴んで五歩。
あずさは上下に隙間の空いたドアを開ける。
「……ん?」
バスタブの隅に、黒い塊があった。
「なに、あれ」
瞬時に警戒心が跳ね上がった。
カビ、にしてはこんもりと盛り上がっているし、安アパートといってもネズミなどの動物が入り込むほどボロくはない。
慎重に近付くと、その物体を覗きこみ――、
「ひ、っ……!!」
『それら』は多数の得体の知れない粒。
黒くてらてらと濡れた大小の粒が、びっしりと浴槽に張り付いている。
まるで無数の目に凝視されているように、あずさの全身に生理的な鳥肌が立った。
「~~! ~~~~!!」
あずさは声にならない悲鳴を上げながら、それでも必死に手を動かした。
壁に掛けてあるシャワーを掴み、お湯の方の蛇口を全開にする。
ブシャァッ!! と噴き出した熱いお湯を直に浴びせると、『それら』は白く濁っていくようだった。
流れない『それら』に泣きそうになりながらお湯を掛け続ける。
と、やがて表面を覆っていた粘液が洗われたからか、一粒一粒と滑り、排水溝へと消えていった。
498 つぶ(2/8) sage 2014/06/15(日) 21:04:31.45 ID:swM+aRJ3
「はぁ、はぁ……」
震える手で浴槽の栓を落とす。
『あれら』が熱で死滅したかは分からなかった。
カビの仲間なのか、なにかの卵なのか……。
「はぁ……お風呂、みのりに借りよ……」
息と精神を必死に落ち着かせながら、あずさは自分に言い聞かせた。
週一で掃除しているバスルームは清潔に見えるが、あんなものを見た直後に使う気にはならない。
排水溝に流れた『あれら』が万が一まだ生きている『なにか』で、栓を開けた瞬間這い出してきたらと思うとぞっとした。
それに講義には出なければならない。
『あれら』に関しては、帰宅してから水道の専門家に頼ろう……。
「みのり、起きてるといいけど……」
寮暮らしの親友にメールをするため、あずさはバスルームを出た。
洗面所もあの中だから、顔は流しで洗わないと。
おぞましさから目を逸らすためにわざと日常的な身支度の手順通りに身体を動かしていく。
――この春から大学に進学し、アパートで独り暮らしを始めた彼女は、相応に心臓が鍛えられていた。
当然のことだろう。
訪問販売も突風で飛んで行った網戸も、全ての家庭の敵である黒いお客様にだって、自分で判断し対処しなければならなかったのだから。
だからといって、起きるのが対処できる問題だけとは限らないのだが――。
499 つぶ(3/8) sage 2014/06/15(日) 21:05:10.08 ID:swM+aRJ3
------
「はー、今朝はありがとねー。ほんとにあれ何だったんだろう……」
「いいけど。食事中はその話しないでよ?」
現在、昼休み。
ごった返す学食で向かい合わせの席を確保し、あずさと穣はトレイをテーブルに置いた。
運よく起きていた友人にシャワーを借りた見返りとして、昼食のデザート一品を奢ることになったのだ。
「うー、ごめん」
「不動産屋に言って水道屋を呼べば大丈夫でしょ。ね、ご飯食べよ」
さっさと思考を切り替えてフォークにミートソーススパゲッティを絡める親友をあずさは頼もしく思う。
真木穣(まき みのり)。
そこそこ色を抜いたセミショートの髪はきれいに外に跳ねている。
すっと通った鼻筋と涼しげな目元は女子高なら王子様になれそうで、遊んでいる風にも見える髪色の印象を引き締める。
キャミソールに羽織った薄青のブラウス、今はテーブルの下に隠れた細身のジーンズという服装は、自分の魅力を理解しているセレクトだろう。
熱心にスパゲティをほおばる姿はむしろ可愛い部類だったが。
彼女とは大学に入ってからの友人だった。
理知的な冷静さと、男らしさすら感じるさっぱりした性格が気持ちよくて絡んでいたら、二ヶ月で親友と呼べるほどの仲に急進展していたのだ。
性格と顔つきに反し小柄でメリハリの利いたボディラインについては秘かに嫉妬していたりもする。
そんな風だから男の人がちらちら見たりしていることもあるが、穣は男女ともに実際に付き合う友人が少ない。
キツい性格ではないのに外見と口数の少なさで近寄りがたい美人と思われているのかもしれなかった。
500 つぶ(4/8) sage 2014/06/15(日) 21:05:51.47 ID:swM+aRJ3
(みんな見る目がないよね)
やはり脳裏に朝の光景がちらつき、あずさは食事の手が進まない。
ポトフのジャガイモをスプーンでつつきながら関係のないことを考えて気を紛らわせている。
「あー……、やっぱり気分悪いよね。洗浄が済むまでシャワー貸すし、アパートにいるのも怖かったら私の部屋泊まれば?」
「みのりー! ありがとう愛してる!」
「現金。てか無理にでも食べないと午後の授業保たないよ」
本当に、性格までできた穣にアプローチする男性がいないのが、あずさには不思議だった。
(っていうか、みのりレベルでフリーなら私はどうなっちゃうの!)
心中でテーブルを叩き、あずさはヤケになって細かくなったジャガイモを口に含んだ。
嫌なことを忘れようとして親友のことを考えていたのに、どうしてこうなったのか。
あずさも穣と同じく小柄な方だ。
ただ、似ているのはそこだけ。
全体に幼い印象の顔。
始終きょとんとしたような目と低い鼻、丸い輪郭。
青味さえ帯びた黒髪――というとアニメかなにかのキャラクターのようだが、それくらい艶やかなセミロングの髪だけは気に入っている。
その髪はサイドで一部だけくくり、今日は紺色のリボンを結んでいた。
だが体型はよくいえばスレンダー、マニア向けにいえばつるぺたロリ体型である。
親友やサークルの友達には女として多少のコンプレックスを感じてしまう。
(みのりみたいにEカップ欲しいなんて贅沢は言わないからさ……せめてBになればいいのに)
ふんわりとしたキュロットに柄Tとレースの入った半袖パーカーを合わせた姿も、本人は『こういうのしか似合わないから』と思っている。
いわゆるキレイめや、カッコいいスタイルには気負いしてしまうのだ。
だが壁を作らない性格で男性とも気兼ねなく話すあずさは、実はあずかり知らぬところで男の話題に上ることが多い。
『小動物っぽくて和む』など、本人が望んだ方向性ではないにせよ。
501 つぶ(5/8) sage 2014/06/15(日) 21:06:26.90 ID:swM+aRJ3
------
その日はサークルも休み足早に帰宅した。
携帯や、講義の合間に計算室でネット検索したものの、『あれら』に似た生物などは見付からなかった。
ひとまず様子を見つつ不動産屋に連絡し、今日中に対処してもらえないのであれば穣の部屋に世話になることになっている。
「お風呂の栓開けてみなきゃダメかなぁー……」
気分も重く三階まで上り、自室に入って。
「……? なんか匂う?」
靴を脱ぎながら、あずさは玄関の扉を閉めてしまった。
再び密閉された空間となった室内にはやはりなにかの臭気がこもっている。
鼻の奥がスースーするくせに生臭さがあるような、不思議な匂いだ。
首を傾げてユニットバスのドアの方に目をやった瞬間、
急に匂いが濃くなったような気がした。
「……っ、きゃぁぁっ!」
換気のための下側の隙間。
そこから、朝見たものと同じ黒い粒が、大量に、溢れ出している。
ひ、と腰が崩れ落ちそうになり、廊下に沿った流し台に手を付く。
同時にふらついた足が、ぐちゃりと生ぬるいなにかを踏んだ。
「なに? ……い、嫌ぁぁぁぁぁっ!!!」
足元にも同じような粒、粒、つぶ。
ここだけでない。
廊下のところどころに、粒の塊が溜まっている。
「え、足が、取れない!!!?」
上げようとした足は、何故か接着剤でくっつけたみたいに気持ち悪い感触の中に固定されていた。
無理に体勢を変えようとした反動で、最悪なことにあずさの身体はうつぶせに倒れこむ。
謎の物体が蔓延した床の上に――。
いや。
(なに、これ!? 身体が思うように動かない!!)
バランスうんぬん以前に、腕や足に力が入らなくなっている。
指先に触れた粒から逃れようとして手を引こうとしても、足のように接着はされていないのにゆっくりとしか動かない。
502 つぶ(6/8) sage 2014/06/15(日) 21:07:02.02 ID:swM+aRJ3
パニックを起こした彼女が気付くことはないが、これは感じていた匂いが原因だった。
末端から神経をマヒさせる即効性のガス。
廊下にある塊のいくつかが徐々にそれを分泌し、夕方まで掛けて部屋中に充満させていたのだ。
さらに。
わずかづつ動かしている指がおぞましい粒から解放されることはない。
遅々としたあずさの手と同じくらいの速さで、『それら』はあずさの身体に向けて移動している。
(舌も回らなくなって…………え?)
ず、ず、と。
体温を求めるように這いずってくる、粒。
(あ、や、)
なにか助けになるものを、と必死に見回した視界のなかで、あちらでも、こちらでも。
ず、ず、ず、ずるり……。
最初に踏んだ足も、徐々に覆われていくような感触がする。
ぼとり。
ドアの隙間から新たに塊が吐き出される――。
(いや……いやいやいやいやいやいややだやだやだやだやだやだやだやだやだ!!! こないでこないでこないでこないでぇぇぇ!! きもちわるいしんじゃういやいやいやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああ!!!!)
ぐるり、と眼球が裏返る。
口の端からつぅとよだれを垂らし、嫌悪と恐怖に焼き切れたあずさの意識は暗闇へと沈んでいった。
503 つぶ(7/8) sage 2014/06/15(日) 21:07:33.74 ID:swM+aRJ3
------
ず、ず、と。
蠢く人間大の塊。
表面はぞわぞわと波打ち、何かを咀嚼するかのように見える。
あれから二時間後。
あずさの華奢な身体は黒い粒に覆われ、飲み込まれていた。
身体の下にまでつめかけた『それら』に持ち上げられ完全に粒でコーティングされた状態である。
しかし粒の動きは止まらない。
顔面に近い『それら』は半開きの口、鼻、耳などからあずさの体内に侵入していく。
下半身ではキュロットの隙間から細い脚を上り、ショーツを押しのけるように膣口に。
塊の中のそれを確認するものはいないが、膣はパンパンになって下腹部が膨れている。
あぶれた一部は後ろの穴に殺到し、さらには尿道にまで小さい粒が滑り込んでいく。
Tシャツの裾からはこれ幸いとへそに集まり、また1ミリに満たない極小の粒はつつましい胸の先端にある乳腺をこじ開けていった。
少しづつ内部に粒が溜まっているのだろう。
乳輪全体が薄い胸の中心でぷっくりと盛り上がってしまっている。
粒にとって、よりよい環境への移住は生物としての本能であり、神経ガスなどは遺伝子に刻み込まれた機能だった。
時折びくんと身体が強張る。
痛みや、自分自身でも慰めたことのない性感ではない、もっと決定的ななにかがあずさを引き攣らせている。
膣内では純潔を示す膜に少しづつ圧力が加わり、ついにそれを突き破って子宮内を、卵巣までを凌辱する。
侵入した粒の他にも、最高の環境を得て体内で爆発的に粒が生まれていた。
それだけではない。
もともとなにかが出入りするための穴だけでなく、あずさの体内では無理やり体組織そのものへの侵食が始まっていた。
ある粒は口内に溶け込むようにその身を同化させる。
ある粒は乳腺を押し広げながら血管に逆流する。
ある粒は小腸の内側を溶かし他の臓器に潜り込む。
ある粒は膣壁を破り筋繊維にめり込む。
あずさの人としての身体を食い散らす動きは、まるで全身を粒で置き換えようとしているようだった。
だが、それでも、あずさが痛みに覚醒することはない。
欠片ほどの異物感さえ感じることはない。
他の全ての器官の前に――真っ先に冒されていたのは脳だった。
505 つぶ(8/8) sage 2014/06/15(日) 21:10:31.05 ID:swM+aRJ3
耳から次々に侵入した粒は脳に食い込むと、周囲の組織を脳細胞を貪り始める。
それは養分としてだけでなく、遺伝子情報を取り込んでいるのだ。
生命の設計図を得た粒は急激に機能を分化、高度化させ、『その部位に必要な役割』を果たせるように細胞の欠損を補っていく。
そのサイクルがあまりに早すぎ、あずさの精神は死を迎えぬままに、宿る物質をすげ替えられていた。
今あずさの頭蓋骨の中にはシナプスを帯びた細胞と神経ではなく、元の脳と過不足ない能力を持った粒の集合が詰まっている。
同時に身体の各部位の入れ替わりも進む。
ある程度侵食が進んだ器官の粒は異形の『脳』に統括されさらに活動が活性化する。
そう、今やあずさの脳を模した機能を使い、主体的に身体改造を行う知性を獲得していた。
生命の設計図から身体の各機能や本能を読み取った粒はいち早く脳の感覚受容を遮断し、痛みや不快感を除いている。
心臓や肺の侵食により多くの粒をあてるなど、作業に優先順位までつけていた。
各所の筋肉は粘液によって強く結合した粒が膨張と伸縮を行い、人間らしい動きができるように。
肺胞はほぼそのままの形で、その部分の粒自身が酸素と二酸化炭素を交換するようように。
胴の中間部には溶解液を自在に発する粒を配置し、口から取り込んだものを養分とするように。
卵巣部は分裂増殖に特化した粒が群がり、全身に新たな粒を供給するように。
人体本来の配置を残したままの改造だが血管だけは無くなっており、心臓にあたる部位が酸素や養分を乗せた分泌液を送り出すと、砂浜に染み込む海水のように全身に浸透するようになっていた。
ぼこぼこと歪んでいた皮膚がゆっくりと落ち着いていく。
それは粒の群体が、一通りの作業を終えた証し。
どろりと流れ出すように、あずさの全身を覆っていた黒い粒がはがれた。
誰かがこの姿を見たら、失神する直前に連想するのはカエルの卵だろう。
いまやあずさの身体組織は骨格、皮膚、眼球、髪、爪、そういった一部を残し完全に粒へと置き換わっている。
ヒトの形をした半透明の袋の中にぎっしりと黒いなにかが詰まっている――その無残な生命があずさのなれの果てだった。
506 名無しさん@ピンキー sage 2014/06/15(日) 21:12:34.75 ID:swM+aRJ3
以上です。お付き合いありがとうございました。
>>504は連投避けです。
精神を保存したまま肉体を全取り替えされるのが書きたかったんです。
この後は適当な相手(隣人とかサークル仲間とか)で小手調べしつつ親友に魔手を伸ばす予定でしたが力尽きました。
おかげで昼食シーンが完全に未回収に……。
いつか続き落とすことがあったらまた読んでくれるとうれしいです。
所謂よその子を了解をとってお借りしたのですが、こんなエグい目に合っているとは想像するまい。
五行戦隊 第八話『黒炎の羽ばたき』
443 五行戦隊 ◆vPNY1/7866 sage 2014/06/01(日) 07:18:55.91 ID:xsJ58xTF
連鎖悪堕ちと触手スーツな寄生もの、第八話。
<前回まで>
鈴華【金】清見【水】:寄生済み。学校生徒を人質に暗躍
翠【木】:寄生済み。エロエロな拷問を受ける
灯【火】:進行中。人質の生徒を救出しようと行動
睦美【土】:健在
444 五行戦隊 第八話『黒炎の羽ばたき(1/19)』 sage 2014/06/01(日) 07:21:01.97 ID:xsJ58xTF
朝の空は、鉛色の曇り空だった。
朝日はほとんど遮られ、日光のかわりに冷たい雨粒が地上に注がれる。
通勤時間を過ぎた道路は閑散としていて、町全体に陰鬱とした空気が漂う。
道端に立つ一本の街路灯。
そこのもともと電球があった位置に、一匹の異形の蟲がすり替わる。
芋虫のような体の表面に目玉が生え、その単眼を使って町の様子を静かに眺める。
ふと、異形の蟲は何かを見つけたか、瞳孔の虹彩をレンズのように絞った。
遠く離れた建物の上を、一つの赤い影が高速に移動していた。
目が醒めるほど鮮烈な赤い衣装。
それを着こなした人物は、誰かに気付かれることもなく、
屋根裏を平地のように渡って疾走する。
一瞬にして通り過ぎる赤色は、陽炎のように美しかった。
蟲は目玉を端から端へと移すが、やがて視界の外へと消えてしまう。
すぐに異形はアメーバのように変形して街灯の上へ這い登った。
黒一色だった軟体は妖しくうねり、まわりへ微弱な妖気を発する。
それが信号となり、遠くの仲間と情報交換する手段となる。
だが今回はどうしてか、信号の返事がなかなか返ってこない。
その時だった。
二本の指が妖眼蟲を摘み上げる。
「監視カメラの役目、ご苦労さん」
妖眼蟲は驚くように目玉を見開く。
ついさきほど通り過ぎたはずの赤服が眼前に現れた。
不敵な笑みを掲げた少女が、街灯の頂上でしゃがみこむ。
ほがらかな顔立ちだった。
凛とした目元や陰の無い表情は、ボーイッシュな可愛さを作り出す。
その明るい雰囲気に近付いただけで、体中が太陽の光を浴びたようにポカポカする。
だが妖魔にとって、その活力はこの上ない忌々しいものだった。
妖眼蟲はすぐさま動いた。
液体のように指の合間からはみ出すと、一瞬にして少女の頭から足元まで覆うほど広がる。
だがその途端、少女の手から放たれた高熱が肉質を浸透する。
薄くなったことが逆に仇となって、高速に溶け出してしまった。
敵が完全に浄化したことを確認すると、少女は地上に降り、
すぐ近くの壁の影に身を隠した。
「ハァ……」
付近に人の気配は無い。
それが分かった途端、少女は壁にもたれ、息を漏らした。
さきほどまでの雰囲気と一変して、彼女は風邪を患ったように目をトロンとさせ、
呼吸にねっとりとした熱を帯びた。
両腕に抱きしめられる体は、一向に震えが収まらない。
少女の名前は灯(あかり)、五行戦隊の一員。
妖魔に陥れられた仲間を助けるため、学校へと向かっている途中である。
しかし今の彼女には、とある発作に悩まされている。
「うぅ……」
熱い息を漏らすと、灯はついに太ももを広げてしまった。
そして悔しそうに唇を噛み締め、おそるおそる手つきでスカートの下を触れる。
思った以上びっしょり濡れた下着に、頬がますます赤くなる。
だが、それでも手の動きは止まらない。
下着の更なる奥にある、女の子の一番大切な部分に触れるまで。
445 五行戦隊 第八話『黒炎の羽ばたき(2/19)』 sage 2014/06/01(日) 07:23:34.70 ID:xsJ58xTF
「ううぅ……ん!」
灯は必死に喘ぎ声を抑え、背中を壁に預ける。
そのままうずくまって息を大きく乱した。
意識が一度淫欲に負けると、もはや取り戻すことは不可能だった。
無意識のうちにもう片方の手も服の上から胸をまさぐり、溢れる欲望に身を任せる。
誰かが通りかかると思うと、麻薬にも似た背徳感が脳を麻痺させる。
近くの気配をしきりに確認しながらも、灯は体の愛撫を止めなかった。
体が快感に跳ねるごとに、声の抑制がだんだんと効かなくなる。
こうして町中で自慰するのは、もう三度目になる。
最初は我慢しようとも思った。
だが抑えれば抑えるほど、体に宿る疼きが際限なく増大し、
結局より大きな欲火となって身を焦がす。
「はあああぅっ……!」
灯は最後に締め付けるような嬌声をあげた。
少しずつ力を抜きながら、その場でぐったりと崩れる。
絶頂を迎えた後のぼんやりとした心地良さ。
そんな夢見心地に浸りながら、灯は愛液が付着した指をぼんやり見つめた。
「イク」という行為にも、少しずつ慣れてきた。
少し前まで処女だった自分にはとても考えられないことだった。
自慰することは死ぬほど恥かしい。
だが今となって、それ以上に厳しい問題が発生していた。
(だめ、もうこの程度の刺激じゃ……満足できない)
中途半端に鎮火した火事のように、体のあちこちに余熱ばかりが残る。
少しでも火の気があれば、すぐにも乾ききった草のように燃え盛りそうだ。
アイツにされた時と比べたら、何もかも足りなかった。
たくましい陰茎。
ねっとりと愛撫する触手。
いやらしい糸を引く汁、立ちこもるような淫臭。
そして自分の意思などまったく構わずに、一方的な蹂躙。
自慰するたびに、アイツに犯された記憶が何度も何度も浮上してくる。
「く……っ!」
灯は幻像を払うかのように地面に拳を殴りつける。
犯されたことは確かに屈辱だった。
しかしそれよりずっと屈辱なのは、自分の体がそれを求めようとしていることだった。
さきほどの妖眼蟲も、外見を見ただけで、心臓が異様にドキドキした。
(しっかりしなきゃ……! あの蟲どもを倒して、みんなを助けるんだから!)
灯は自分の心を抑え、改めて勇気の炎を焚きつけた。
五行戦隊随一の闘志の持ち主として。
446 五行戦隊 第八話『黒炎の羽ばたき(3/19)』 sage 2014/06/01(日) 07:25:59.34 ID:xsJ58xTF
□
学校のまわりは、しーんとしていた。
授業時間に入ったせいか、喧騒音は聞こえなかった。
正門から見える校舎の建物は、普段と同じような穏やかな雰囲気が流れる。
灯は学校の裏側に回りこむと、塀の前で立ち止まった。
そして路傍から小石を拾い、敷地の内側へポイと投げる。
放物線を描く小石が壁の上方を越えようとした途端、何の脈絡もなく消えた。
空にはただ透明の波紋が少し揺れるだけだった。
そのわずかな変化を、灯は見逃さない。
(なるほど……結界でご丁寧に学校をまるごと包んでるわけか)
灯は目をまばたきさせ、素早く敵の意図を探った。
結界から感じる妖気の力は少なく、攻撃能力は皆無だった。
おそらく通行を制限するだけのものだろう。
外からの進入のみを許し、内側の光や物音を全て遮る。
発見を遅らせることもできるため、人質を閉じ込める鳥篭としては最適であろう。
こんな術式を施した人物が誰なのか、だいたい見当はつく。
五行戦隊の中でもとびっきり知識豊富な人物。
無愛想で、人が盛り上がっているところに水をさす嫌なヤツ。
しかしどんな絶望的なピンチでも動じない、頼りになるヤツ。
感傷の気持ちを胸に仕舞い込むと、灯は首からさげた赤い勾玉に触れた。
身にまとっていたバトルスーツは赤い炎と化し吸い込まれ、
変身前の制服姿が浮かび上がる。
結界に殺傷力は無さそうだが、護霊服を着たまま通過すれば
確実に霊力と反発してしまう。
術者の力を考えれば、それでは感づかれてしまうだろう。
灯は勇敢な女の子であるが、決して無謀ではない。
敵の要求は、正午に学校の屋上へ来ること。
ということは、それまでの間は別のことに手間をかけているはず。
正面から突っ込むより、こうして不意を突いたほうが勝機も上がるはず。
灯は壁の中央につま先をつけ、軽々と一躍した。
そのまま壁を飛び越え、猫のように物音立てず着地する。
まわりにあるのは校舎裏の雑木林で、敵影は見当たらなかった。
しかし、あたりの風景は激変する。
(なんて凄まじい妖気……!)
呼吸するや否や、灯は息が詰まりそうになった。
薄ピンク色の大気が学校の敷地全体を充満し、甘ったるい匂いが鼻腔から入り込む。
甘い微風は服の隙間から肌を撫ぜ、ねっとりとした湿気がこびり付く。
霊感の無い人間には、このような現象に違和感を覚えないだろう。
だが長時間この妖気の中で生活していれば、いずれ精神が淫らに感応してしまう。
背後を見ると、紫色の膜が塀から空高くまで伸び、校外の様子が一切見えない。
(一方通行、ってわけか)
それほど強固な結界ではないから、自分のような使い手なら簡単に突破できる。
だが妖気を一箇所に閉じ込めることは、灯にとっても都合が良かった。
なんとしても、町まで被害を広げないために。
447 五行戦隊 第八話『黒炎の羽ばたき(4/19)』 sage 2014/06/01(日) 07:28:10.01 ID:xsJ58xTF
灯はそこから一歩踏み出すと、軽いめまいに襲われた。
空気を多く吸い込んだだけで、ぼんやりとした恍惚が頭を包む。
下腹部あたりにゾクゾクするような疼きがまた蘇る。
無意識のうちに手で置くと、刺激が大きく反応する。
(ひゃっ……!)
灯は慌てて手を引っ込め、そのまま触り続けたい衝動を抑えた。
わずかに残った感触が残像のようにいつまでも焼き付く。
(ちょっと、余裕ないかも……)
歯を食いしばりながら、灯は呼吸量をなるたけ抑えた。
変身すれば対抗できるだろうが、同時に妖眼蟲に気付かれるリスクも高まる。
(これは人質をこっそり助けるためだから。
別にこの空気をもっと吸いたい、わけじゃないんだから……)
どこか言い訳まがいの気持ちを抱きつつ、
灯はふわふわした感覚のまま雑木林から歩み出た。
熱を帯びた体の奥に、成長しつつある妖気の鼓動に気付くことも無く。
「なっ……なにこれ?」
校庭に出るや否や、灯は目を疑った。
目の前にそびえるは緑色の建築物。
それがツタに覆い尽くされた校舎だと理解するには、しばらくかかった。
建物がまるごと寄生されているのだ。
屋上を中心におびただしい量の寄生蔓が流れ出て、学校全体を緑色に染め変える。
もともと小綺麗だった白壁の上を、妖葉の絨毯がぎっしり敷き詰める。
咲き綻びる花びらから胞子が噴き出て、空気を淫らなピンク色に染め続ける。
壁の底を這い回る太い茎がドクンドクンと脈動する。
まるで魔界に迷い込んだような不気味な景観だった。
一際強烈な妖気が、校舎の屋上から感じる。
脅迫映像にもあった通り、おそらくそこに鈴華と清見がいるはず。
しかし灯はそこへ近付くどころか、まったく違う方向へ歩み出した。
校舎に寄生する植物を観察すると、灯はあることに気付いた。
壁底に張り付いている太いツタは皆一つの方角へと集結していた。
目の前の異変と比べれば、それは取るに足らない事柄だった。
しかし、灯はそこに何か重要なことを感じ取った。
校舎から離れるほど茎同士は深く絡め合う。
その先にある建築物の正面へやってくると、灯は怪訝そうに眉を動かす。
「これは……体育館?」
まばたきしながら、灯は奇怪なものを見るような目で見上げた。
建物のあらゆる窓や隙間から植物が突き破り、校舎方面へと繋がる。
四方八方へと伸びる太茎はそれぞれドクン、ドクンと脈打ち、
その生々しさがまた不気味さを増す。
外縁を沿って歩くと、灯は比較的隙間の空いた窓を一つ見つける。
側のツタを掴んで登り、窓から体をねじり込んで中の様子をうかがう。
449 五行戦隊 第八話『黒炎の羽ばたき(5/19)』 sage 2014/06/01(日) 07:30:25.18 ID:xsJ58xTF
ここは体育館すぐ隣のプール室だった。
何よりも目線を吸引したのは、プール中央に鎮座する一本の巨樹。
数人いても抱き切れない太い幹や、天井を衝くほどの高さは、
社で祭られる神木を連想させる。
だがこの大樹から感じる気配は、決して神々しいものではなかった。
その材木は、なんと肉質にうねっていた。
醜悪な姿をした枝は天井に届くと、無秩序にまわりへと延伸する。
おかしいのは樹だけではない。
プールを満たしているのも青い水ではなく、ドロドロした白い粘液だった。
淫臭の匂いがたちこめるそこに、十数人ほどの少女達が浸かっていた。
ある者は水面下から伸びる触手の愛撫を受け、ある者はほかの少女と白液を塗り合いながらキスし、
またある者は何人もの男子に輪姦されていた。
彼女達の表情に共通するのは、淫らな幸せ。
それぞれの体から垂れ落ちた精液や愛液はプールに滴ると、
そのまま粘液として同化される。
水面を浮かぶ大きなハスの花や、その表面を彩る雫の輝かは、
どこか堕落した桃源郷のように人の心を虜にする。
灯はゾクッとした。
妖眼蟲はここで何をしようとしているのか、直感的に分かった。
巨大樹は吸い上げた淫気を幹の中で濃縮した後、それを校舎側へと供給している。
成長した寄生植物は催淫香を放ち、胞子を撒き散らしながら人間に寄生する。
そうして虜にした人間から、更なる淫気を集めるだろう。
ここは妖眼蟲の培養槽替わりにされているのだ。
さしずめ、ここにいる人達は妖眼蟲の繁殖を助ける奴隷のような存在だろう。
(妖眼蟲の……奴隷……)
その言葉を意識した途端、灯は頬を赤らめた。
少し考えただけで、甘美な感情が体を充満していく。
プールから漂う淫香は外よりも数倍濃密で、体を火照らせるのに十分だった。
この白液の中に肌を沈めたらどれほど気持ち良いか、想像しただけで頭がぼーっとする。
淫行を繰り広げる少女達は、誰もが幸せそうな表情を浮かべる。
彼女達が今どんな気持ちでいるか、灯にはたやすく想像できた。
女であれば誰であろうと、一度その快楽を味わえば虜となってしまう。
妖眼蟲と出会う前の自分ならいざ知らず、今となっては否定する気も無くなった。
心に綻びが生まれてしまう。
それまで灯が隠していた気配が、わずかに緩んだ。
その瞬間、壁に無数の妖眼が見開き、その全ての視線を灯に集中する。
灯が掴んでいた窓枠はぐにゃり沈むと、バランスを失って室内へ倒れ込んだ。
舌打ちしながら、灯はくるりと回転して着地する。
「壁に耳あり障子に目ありってか。妖魔のくせに、
セキュリティーががっちりしてるんだから」
近くの天井や壁に目玉が次々と寄せ集める中、灯は不敵な表情を浮かべる。
赤い勾玉を握り締めると、正面に炎輪が現れる。
そこを通過した灯は、真っ赤なコスチュームを身にまとった。
――どうやらこの場所は、鈴華や清見達が苦労して用意したらしい。
だったら二人がいない間、全部ぶっ壊して台無しにしてやる。
450 五行戦隊 第八話『黒炎の羽ばたき(6/19)』 sage 2014/06/01(日) 07:33:04.05 ID:xsJ58xTF
「さあ、かかってきなさい!」
灯は炎を掴むと、両手にそれぞれ赤い霊気の鉤爪が覆う。
そして彼女が走り出したと同時、妖眼蟲の群れがトビウオのように壁から飛び出す。
「はぁあああっ!」
灯はおたけびを上げると、スピードを一切緩めず突き進んだ。
烈火の鉤爪に少しでもかすると、妖眼蟲は一瞬にして燃やし尽くされ浄化される。
波のように寄せて来る蟲に対し、赤炎の少女は少しも怯まなかった。
「蹴散らす!」
灯の炎をまとった蹴りは、鋭い刃のように敵陣を突破していく。
その凄まじい闘志に押されるように、妖眼蟲の群れが徐々に後退する。
「「シュルルル……」」
ふと、生き残った妖眼蟲は一斉に唸り声をあげた。
彼らは一箇所に集まると、互いの体を貼り合わせて、一匹の巨大生物に融合する。
だがその融合が終わるのを待たずに、灯は巨体の端を持ち上げた。
そしてプールのほうへ向け、渾身の力で背負い投げを放った。
「シュルル!?」
予想外の事態に対処もできず、鈍い声をあげながら投げ飛ばされる蟲の集合体。
灯は間を空けずに、その上方へ飛びかかる。
踏み蹴りの足先が妖魔の肉塊に重々しくめり込む。
次の瞬間、フリッパーに弾かれたピンボールのごとく、巨大肉塊が落下する。
水面と接するよりも速く、内部まで叩き込まれた炎気が邪肉全体を貫通する。
バラバラに分解した蟲の残滓が直下の水面へ降りかかり、
そこから伸び出る触手の動きを牽制した。
一方踏み台を蹴落とした灯はプールの上空を一気に飛び越え、
弾丸の勢いで巨大樹に向かって突進する。
一撃でしとめてやる。
そう思いながら、灯は寄生樹中央にある大きな目玉を見据え
拳をギラギラに燃やした。
突如、彼女の足元から水柱が噴き上がった。
灯は即座に体勢を変え、水面に浮かぶハスの緑葉に飛び移る。
水柱は途中から無数の水玉に変化し周囲に降り注ぐ。
その中から、ひとりの人物が現れる。
無口な少女だった。
彼女は水上の何も無いところで立っていた。
透き通った柔肌は水に濡れ、青髪は氷海から切り出したブルーアイスのように美しい。
だが灯の明るい可愛さとは対照的に、その少女の美に邪悪さが含まれていた。
ダークブルーと黒の触手スーツはしなやかな体にぴったりと密着し、
体の女性的なラインを際立たせる。
大胆に露出した背中やヒップに食い込むレオタードのデザインは、
見る者の淫欲を煽り立てる。
胸部にフィットする肉布も、ぬめるように下乳のラインまでくっきり浮かばせ、
ほどよく膨らんだ乳房の形を描き出す。
少女がもともと持つ清らかさからか、
性欲を惹き立てる服装にも関わらずそこに下品さは一切無かった。
触手スーツの表面には、両脚から這いのぼるように次々と妖眼が見開き、青い眼光を輝かせる。
451 五行戦隊 第八話『黒炎の羽ばたき(7/19)』 sage 2014/06/01(日) 07:35:21.80 ID:xsJ58xTF
灯が以前見たときと比べ、彼女の寄生された姿は一段と似合っていた。
宿主が持つクールな雰囲気になまめかしさが加わり、
その冷たい瞳に一瞥されただけで、魂さえも捧げて彼女の足元に跪きたくなる。
思わず屈従したくなる色香が彼女の体から放たれる。
「清見……!」
灯はすりつぶすようにその名を呼んだ。
青装束の少女は無表情のまま灯を見つめる。
「指定した時間よりだいぶ速いようだが」
「待たせると悪いと思って」
「場所も違う」
「少し寄り道しただけだ。これから行こうってところよ」
「見学は面白かったかい」
「ええ。あんたの後ろにあるその妖怪ツリーがなんなのか、ぜひ教えてほしいところだ」
灯は激情を抑えながら、淡々と受け答えた。
平常心なくして勝てるほど甘い敵ではない。
だが彼女の外見が美しくなればなるほど、怒りの気持ちが込み上がる。
なぜならば、今の彼女は妖眼蟲の寄生スーツを着ているのだ。
敵の服装を完璧に着こなす姿を見ると、なんとも言えない悔しさが胸を締め付ける。
清見の青い瞳からは、感情が一切読み取れない。
だが分かることも一つある。
清見から感じる妖気は、以前対峙した時よりも確実に強くなった。
それが何を意味しているのか、灯は薄々感付いていた。
鈴華や翠と同様、彼女もまた人間から淫気を吸収し、蟲として成長しているのだ。
「やはりここが気になったか。ここで待てば必ず灯と会えるって言ったが。
鈴華ったら、信じてくれなくて」
なまあたたかい空気が両者の間を流れる。
バトルスーツの間に湿気や冷や汗がべとつき、なんとも心地が悪かった。
待ち伏せされていたのか。
灯はなんとか相手の表情から読み解こうとした。
が、清見は相変わらず起伏の乏しい口調で説明を続ける。
「この樹も、我々の寄生計画の一部だ。地上全て支配するため、
いずれ強力な退魔機関と戦うことになる。一般人の寄生は簡単だとしても、
格上の退魔士が現れると、妖眼蟲の戦闘力では対処できない場面も出てくる」
「そのために、オレ達を取り込もうってわけか」
「ええ。しかし、優秀な退魔士はいつでも確保できるとは限らない。
この寄生樹の実験が成功すれば、我々はより速く、より多くの戦力を手に入れることができる」
「戦力、だと……?」
「人間には、もともと霊力の素質を持つ者が多く存在する。
だがほとんどの人間は能力を開発することなく、そのまま一生を終える」
「素質だけあっても、引き出せた者はごくわずかだからな。
オレ達だって先生と出会って修行してなかったら、今頃普通の高校生だった」
「そこでこの寄生樹の出番です。人間から採取した淫気を濃縮し与える。
厳しい修行を一切行わなくても、上級妖魔に匹敵する者を生み出せるの」
「なに……っ?」
灯はハッとなって仰ぎ、枝の間に結んだいくつかの果実を見つめた。
一個一個の果実の中に、膝を抱きかかえる人間の輪郭がぼやけて見える。
452 五行戦隊 第八話『黒炎の羽ばたき(8/19)』 sage 2014/06/01(日) 07:37:35.50 ID:xsJ58xTF
「まさか……あの中には?」
「そう、彼女達は選ばれた幸運な人間。そこで彼女達が生まれ変わるまで、
ある人の寄生の記憶を見せられる。とても甘い夢としてね」
清見は寄生樹の根元に歩み寄ると、その表面に手を上から下へと滑らせる。
木質は柔らかい肉片のように開き、女性の陰部を連想させるような裂け目が現れる
むせ返るほど甘い蜜の香りが解き放たれる。
その中に囚われた人物を見つけると、灯は瞠目した。
まさしく彼女が探し求めた五行戦隊の仲間、翠であった。
少女の手足は、サーモンピンク色の樹肉に深く埋め込まれる。
ミミズのような触手が少女の体を束縛する。
口にはボールギャグを噛まされ、頭部にはヘッドホン型の触手が覆う。
顔の上半部は触肉の眼帯に遮られたため、その表情を知ることができない。
しかし、身につけている暗緑色の寄生服は確かに翠のものだった。
以前と少し違うのは、今の彼女の股間に貞操帯が装着されていた。
彼女がガクッと震えるたび、柔肌と貞操帯の隙間から愛液がトロリと溢れ出る。
五感を封じられた彼女は灯に気付くこともなく、ただ悶え続けることしか許されない。
「しばらくの間、彼女に寄生樹のコアを務めてもらってるの」
「寄生樹の……コアだと?」
「この樹はまだ生まれたばかりだから、いろいろ学習しないといけないの。
そこで彼女がもたらす情報を分析し常時発情させることで、
人間をコントロールする方法を知る。記憶を読み取り、退魔士の戦闘術を知る。
そして翠が寄生された時の快感を何度も再生し、その映像をほかの娘達にも見せることで、
集団的に奴隷へと洗脳していく」
清見はそこまで言うと、サッと後ろへかわした。
灼熱の大火珠が彼女の目の前をかすめ、水面にぶつかって火花を散らす。
灯の怒声が空気を震わせる。
「ひどい……酷すぎる! そんなことのために、翠をそんな酷い目にあわせるのか!」
再度手中に霊力を集め、灯は追撃の火炎弾を放つ。
だが清見はスケート選手のように水面を優雅に滑り、迫り来る攻撃を次々とかわす。
「勘違いしないで。今の彼女は、女として最高の幸せを味わっている。
絶頂寸前のところで留まり、永遠の快楽に溺れる」
「そんな身勝手なことを!」
灯のコスチュームがパチパチと音を立てて燃え上がった。
五行戦隊の中で、灯の能力には一つの特徴があった。
彼女が怒りを覚えれば覚えるほど、その力は何倍にも増幅される。
その熱気を遠くから感じた清見は、小さくほくそ笑んだ。
「いいわよ、灯。その調子で、あなたの全力を私に見せて」
「言われなくたって!」
次の瞬間、灯は迅雷の勢いで空を切り裂いた。
赤い爪撃は灼熱の炎をまとい、一直線飛んでいく。
清見はすかさずしゃがんで水面を掴み、大きなテーブルクロスのように翻す。
火の熱気と水の波が相打つ。
熱気は一重の差で水幕を破り、その直後の位置に命中する。
だが蒸気が霧散した後、清見の姿はそこにはいなかった。
453 五行戦隊 第八話『黒炎の羽ばたき(9/19)』 sage 2014/06/01(日) 07:39:48.38 ID:xsJ58xTF
「素晴らしい一撃。でも、まだまだこんなものじゃないでしょ」
「っ!?」
耳元で唐突に囁かれる声。
灯は振り向くと同時に肘鉄を放った。
一瞬見えた清見の姿は葉のまわりにある水に溶け込むと、
今度は十歩より先の水面を割って現れる。
更に追撃しようとする灯。
だがそこで異変に気付く。
雨が降っていた。
室内にも関わらず、雨粒が降り注いでいた。
最初は気にも留まらなかった小雨が、次第に勢いを増して大粒な水滴となる。
それはプールの水と同じ白い液体で、頬を滴る水滴から芳醇な香りが漂う。
生ぬるい湿気や粘着質な肌触りは不快感以外にも、いやらしい気分にさせてくれる。
天井を仰ぐと、そこには小腸のような肉質がうねりを重ねていた。
しきりに分泌された粘液はプールに降りかかり、
無数の波紋を作っては、水の中に溶け込んでいく。
それを浴びた触手や、四方の乱交に耽る少女達は、まるで喜ぶかのように体をくねらせる。
一方の灯は、深海一万メートルに沈められたような息苦しさに襲われた。
妖気は空気中まで溢れ出るほど強まり、立っているだけでもつらい。
清見はまるで享受するよう両手を広げ、雨滴を受け止める。
暗い青色の触手スーツは一段と活発化し、ぬめぬめと宿主の体を愛撫する。
「なんと気持ちのいい雨かしら」
清見は白い雨を指先ですくい、何気ない仕草で舐め取った。
その官能的な動作を見ただけで、灯の体がピクンと跳ねる。
今すぐ変身を解除して雨を浴びたい。
その欲望と抗うだけで手一杯になる。
「このプールに触れようとしなかったのは利口だ。これもあなたの天性の勘からでしょう。
でも、そんなの関係無いの。ここにいる時点で、あなたの敗北が決まっている」
「随分な言い草だな」
灯はなんとか踏ん張りながらも、強気な言葉を綴った。
体に重くのしかかるのは、妖力の圧力だけではない。
体内から沸き起こる欲情は今にも肉体への支配力を強める。
「この水妖陣の中にいる限り、魔に属するモノは増幅され、
逆に霊的な存在は弱められる。特に火属性のあなたにしてみれば、最悪な感じだろう」
「ふん、回りくどい割りには大したこと無いな。
こんな燃費の悪い術を張って、そっちこそ先に息切れしないか?」
「それには心配無用。この術陣の妖力を維持しているのは、私ではないから」
「なにっ?」
清見に言われて、灯は初めてまわりの少女達を見直した。
白液の中で情事に没頭する少女達。
こちらに対し攻撃する気配が無かったから、灯も放って置いていた。
しかしプールの香りに隠されているが、
彼女達の位置取りには確かに妖気の流れが感じられた。
454 五行戦隊 第八話『黒炎の羽ばたき(10/19)』 sage 2014/06/01(日) 07:42:24.96 ID:xsJ58xTF
「術式は確かに私のものだが、彼女達の淫気こそがここの結界を構成するエネルギー。
あなたも感じているでしょ? この淫雨の中にいると、
身も心もどんどん淫らになっていくの」
「くっ、馬鹿な……!」
「人間の感情は、とても強力なものなの。それを今から、あなたに味わってもらうわ」
清見は一つの水晶珠を取り出すと、それをポトッと水の中に落とした。
邪悪な気配が集まり出す。
突如、水面に不気味な眼球がギョッと見開く。
プールの水が吸い寄せられるように波立つと、
水晶珠が落ちた位置に液体の巨体が立ち上がる。
「出でよ、水魔人!」
「ブシュルルル――!!」
清見の呼び声に呼応すると、一体の水の巨人が起き上がった。
青白い体の表面は絶えず波を打ち、その内側に無数の妖眼が浮遊する。
天井まで届く頭部の中央に、水晶珠が全体を支配する大目玉となって反転する。
その瞬間、凄まじい妖気の嵐が室内を吹き荒れる。
「っ……!」
灯は敵の巨体に、思わず息を呑んだ。
その肩に清見が乗り、巨人とともに灯を見下ろす。
半透明の巨躯に天井からの明かりが透き通り、上から薄い影を落とす。
「どう、この子。男達が私に捧げた淫気から作り出したものなの。
気をつけたほうがいいわ。普通の蟲と違い、私の能力を受けた直系だから――」
清見が喋っている最中、灯は火の矢のように高々と飛んだ。
先手必勝が灯のスタイル。
だが彼女の火拳が清見に届く直前、
水魔人の腕が横から目にも止まらないスピードで薙ぎ払った。
咄嗟に受け止める灯。
正面から機関車とぶつかったような衝撃がバトルスーツへ分散し、体に響き渡る。
「――だから、力もスピードも一般の蟲よりずっと上なの」
「ぐはっ……!」
灯の体はプールサイドへと弾き飛ばされ、床のタイルを何枚も剥がした。
だが灯はその場で立ち上がることなく、ただちに飛び退いた。
一瞬遅れて、巨大な魔手がその場を握り潰す。
(ぐっ……体が、うまく動かない!)
イメージしたほど、距離が稼げなかった。
次に近付く巨人の手に、灯はとうとう捕まってしまった。
降り注ぐ雨の中、身につけた護霊服は鉛のように重い。
逆に敵は巨体にも関わらず、思ったよりもはるかに俊敏だった。
水魔人は灯を掴んだまま手を胴体に突っ込むと、灯はなんと敵の体内に含まれてしまった。
肌が露出した部分から、毒々しい妖液が浸っていく。
大量の水が鼻や口から入り、灯の自由を封じる。
だが、灯が最も恐怖を覚えるのはこれからだった。
(霊力が……吸収されてる!?)
もがき苦しむ間、灯はその異変に驚愕する。
なんと体から霊力がどんどん溶け出ているのだ。
かわりに心地良い倦怠感が体に染み渡り、抵抗しようとする意思を静める。
455 五行戦隊 第八話『黒炎の羽ばたき(11/19)』 sage 2014/06/01(日) 07:44:27.56 ID:xsJ58xTF
妖魔にとって、霊力は致命的弱点のはずだ。
それが今、水の妖眼巨人はまるで飴玉のように、自分をしゃぶっているのだ。
溶け出した霊力をなんの隔たりも無く、直接妖液の中へ取り込まれる。
ふと水魔人の胴体の一部が赤く変色し、大きな音を立てて破裂した。
中から突き破って出た灯は、ありったけの霊力を両腕から解き放つ。
「クロスファイア!」
左右から放たれた二本の火柱が、水魔人の体上を交差する。
X字の火炎斬は頭部と胴体を貫き、背中側から飛び出る。
技を放った反動とともに、灯はなんとか力を振り絞ってプール際へ飛び退いた。
「ハァ、ハァ……!」
灯はひざまずいたまま、しばらく動けずにいた。
粘液まみれな体を拭くこともできず、ただ荒々しい呼吸を繰り返す。
その視線の先に、徐々に元の形へ再生する水魔人の姿があった。
一度気化したはずの液体はすぐ元に戻り、体の部位を形成する。
破壊された妖眼はプールから汲み上げた水流とともに補充される。
額の妖眼も二三度まばたきすると、元通りに見開く。
とりわけ最後の事実が灯にとってショックだった。
(そんな……あれが妖眼蟲の弱点じゃなかったのか!?)
こちらを見下ろしたままゆっくり近付く水魔人。
脱出する際、爆砕したはずの右腕もいつの間にか再生が終わり、
損傷した痕跡さえ見つけられない。
胸裏に生まれつつある恐怖を、灯は必死に抑えた。
全力で繰り出したつもりの攻撃が、敵に傷一つ与えられていない。
「無様なものね」
水魔人の肩の上で傍観する清見。
ふと彼女は体液の中へ沈むと、次の瞬間、灯の背後に涌き出た水溜りから現れる。
彼女は疲れきった灯に近付き、優しく囁いた。
「今のあなたが勝つ方法は、一つだけある」
「なに?――うっん!」
耳たぶをついばむ清見の唇。
その感触に、灯は思わず喘ぎ声に近い吐息をあげた。
欲情が一気にたぎり出す。
恍惚とした心地の中、耳側で奏でる言葉は一字一句妖しい音色となって心を絡め取る。
「思い出してごらん。あなたの体には、私が植えつけたモノがあるはずでしょ?」
ドクン、と灯の心が高鳴った。
忘れようとすればするほど、心の奥を巣食う黒い記憶が思い浮かぶ。
清見が優しく撫で下ろす手つきが、その封印を剥がし始める。
「その力を使いなさい」
ドクン、と灯の心が更に高鳴った。
低いトーンの囁き声は、催眠術のように脳内に留まる。
消耗しきった気力の隙を埋めるように、黒い力が沸き起こる。
妖眼の巨人がゆっくり接近すると、おもむろに腕を振り下ろした。
迫り来る攻撃に、灯は本能的に拳で受け止める。
黒い炎をまとった拳が、一瞬にして敵の片腕を焼き飛ばす。
456 五行戦隊 第八話『黒炎の羽ばたき(12/19)』 sage 2014/06/01(日) 07:46:31.36 ID:xsJ58xTF
「ブシュウゥゥ――!」
妖眼獣は驚愕したように全身から摩擦音を放ち、後ろへずり下がった。
黒炎に焼かれた部分は時間が経ても治らず、それどころかじわじわ上部へと延焼する。
だが敵以上に驚いたのは灯自身だった。
我に返って自分の腕を見ると、バトルコスチュームの手袋がなんと漆黒に変色した。
「見事なまでに綺麗な色になったね」
「くっ……オレに何をした!?」
灯のパンチを避けると、清見は唐突に灯のスカートの下に手を潜らせる。
「下着に滲みこんだこの匂い……ふふ。灯、あなたは自慰したでしょ」
それも何度も、と清見は付け加える。
「な……っ!」
いきなり図星を突かれて、灯は攻撃も忘れ顔を真っ赤にさせた。
「気付いていないの? 今のあなたは、私達と同じ匂いがするの。
男女問わず発情させる、格別淫らな匂いをね」
「ふ、ふざけるな! 誰がお前と同じなんか……」
「あらあら。その正体こそ、ついさっきあなたを助けた力なのに」
「どういう……こと!?」
灯は言葉を失った。
漆黒に変色したバトルスーツの布地が、なんと触肉化し始めたのだ。
陰雨が朽木を腐らせるようにじわじわと侵蝕する。
一度触手化した布地は、更にまわりの部分を感染させる。
肌にべっとり吸い付く感触は、まるで生き物のようだ。
手袋の甲に一筋の割れ目が浮かび上がる。
その割れ目が拡がるにつれ、ゾクリとするような甘い痺れが腕を支配する。
邪悪な衝動が心に流れ込む。
何が起こっているか、考える暇も無かった。
灯はすぐさまもう片方の手でその割れ目を抑え、持てる限りの霊力で浄化した。
裂け目の広がりはなんとか抑えられたが、
そこに発現しつつある邪念に、心がドクンドクン鼓動する。
「抗うだけ無駄よ。一度妖眼に魅入られた者は、二度とその誘惑を振り切れない。
あなたも私と同じ、妖眼蟲の奴隷になる運命なのよ」
『妖眼蟲の奴隷』というフレーズを聴いた途端、灯は脳天までじんと熱くなった。
ふと、水魔人の体から十本の触手が矢のように射出される。
灯はなんとか避けようとしたが、体を少し逸らしただけで甘い痺れが溢れかえった。
その隙に、全ての触手が彼女の体を縛り取る。
「ぐうぅぅ……!」
灯は首を締め付ける触手に手をそえ、必死にもがいた。
浄化が中断されたため、侵蝕された腕から全身へと妖力が溢れ出る。
「難しく考える必要は無い。霊力と同じイメージで、その力を放出すればいいよ」
「ぐああああ……!」
灯は無我夢中になって、腕に宿る毒々しい力を解放した。
黒い炎は毒ミズチのごとく触手を燃やす。
その火の先にかすめただけで水中の妖眼までが枯れ死んでいく。
毒火は更に水魔人の本体まで辿り着き、
黒く爛れた肉塊は腐臭を放ちながら剥がれ落ちる。
「シュルルル!?」
水巨人はひるんだようにおののきながら引き下がった。
457 五行戦隊 第八話『黒炎の羽ばたき(13/19)』 sage 2014/06/01(日) 07:48:37.60 ID:xsJ58xTF
「うっ……ぐぅ……!」
灯は攻撃を放った腕を押さえながら、地面に膝をついた。
身のあちこちに邪悪な気が漂い始めているのが分かる。
妖力のエネルギーは確かに強力だった。
自分でも恐怖を覚えるくらいに。
寄生化したスーツの裏側はべっとりと肌に吸い付き、更なる欲望を呼び覚ます。
「あなたの子宮に寄生させた妖眼蟲、思ったよりずっと順調に成長できたわね」
「オレの……子宮だと?」
灯は自分の下腹部を意識した。
その時、清見に犯された記憶の全貌がフラッシュバックする。
「あの時……!」
「でも勘違いしないで。蟲がここまで成長できたのも、全てあなたのおかげよ」
「なん……だと!?」
「宿主が絶頂を迎える度、寄生している妖眼蟲に淫気を与える。
ここまで健やかに育っていたということは、
あなたがよっぽどいやらしい気持ちでオナニーしたでしょう」
「そんな……そんな……!」
あまりにもショッキングな事実だった。
灯の打ちのめされた表情を鑑賞しながら、清見は更に蠱惑的な声でささやく。
「我慢しないで。全てを妖眼蟲に委ねなさい」
「――っ!?」
清見の優しい手つきが、灯をゾクリとさせる。
その指先に誘導されるように腕の寄生化が加速し、
とうとう肩口までが触肉によって覆われた。
柔らかい唇が灯の手の甲に口付けをする。
たったそれだけのことで、灯の全身に衝撃が走った。
「あああっ……!」
触肉化した手の甲、割れ目はついに完全に開き、一つの妖眼として開眼してしまった。
それは清見とは違う、赤く燃えるような瞳だった。
初めて妖眼と視界を共有する感覚。
灯は軽いめまいを覚えながらも、その甘美な快感に混乱する。
「最初は敏感かもしれないけど、すぐに慣れるよ。
もっとも、これからもっと増えていくが」
清見の言った通り、触肉化が定着した部位には新たな筋目が浮かび上がった。
絶望的な状況とは裏腹に、灯の心にどんどん淫美な感情が増えていく。
同時に、胸中を巣食う邪念が急速に拡大する。
「さあ灯、私に見せて。あなたが邪悪の力に染まっていく瞬間を」
清見はそう言いながら、奴隷へと生まれ変わる少女の首筋にキスをした。
だが次の瞬間、彼女は顔色を変えて灯から離れる。
青い寄生スーツの脇腹の部分に、炎が燃えていた。
だが清見は自身の傷に顧みることなく、灯を凝視する。
灯は手の甲に開いた妖眼を、自分の手で燃やし潰した。
「一度開眼した妖眼に、支配されない人間はいない。
それを自分の意志で傷つけた……だと?」
458 五行戦隊 第八話『黒炎の羽ばたき(14/19)』 sage 2014/06/01(日) 07:50:50.08 ID:xsJ58xTF
清見は未知の生物を見るような目で灯を見つめた。
今の彼女にとって、それは自分の肉体を傷つけるのと同じくらい精神的苦痛があるはず。
だがその顔立ちは、最後まで凛然としていた。
「なぜだ……なぜそこまで抗える」
「蟲ケラごときが……人間の心を操れると思うな!」
痛みにも関わらず、灯は清見を睨みつける。
無感情だった清見の目つきに暗澹の色が滲む。
「無意味な。妖眼はあなたを守るために自己修復をする。
それに、寄生化はすぐにもあなたの全身に伝わる」
「ならば、こうしてやるまでだ」
灯は左手を手刀にして燃やすと、右腕を付け根ごと焼き斬ろうとした。
その直前、清見の放った水触手がそれを絡める。
「クソっ……離せ!」
「あなたの体はすでに百眼様のもの。勝手に傷付けられては困る」
清見はいつも以上に冷たい目線を灯に注いだ。
「失望したわ、灯。潜在能力だけなら、あなたは間違いなく私達の中で最高だった……
その力を引き出し、最強の妖眼蟲に仕立てるために、
私がどれほど期待したと思っている」
「そいつは残念だった。だがな、例え死んでも妖魔の手下なんかにならないわ!」
「あなたの正義は所詮その程度なのか。興醒めだわ」
清見は指示を下すと、側に控えていた水魔人は灯を押し包み、彼女を再び取り込んだ。
(ぐううぅ……だめだ!)
今度こそ完全に捕えられた。
左へ右へともがいたが、水中では力がまるで発揮できない。
液体の中、苦しむ少女の周りに目玉が集まる。
あるいは観察するかのように、あるいは嘲笑するかのように、ただじっと見つめ続く。
粘液がすぐにバトルスーツを浸透した。
今までの妖眼蟲とは比べ物にならないほど高い侵食性。
元から触肉化したこともあって、霊力の繊維がいとも簡単に溶解、同化していく。
口から入った溶液は五臓六腑へと染み渡り、体内を魔に染め変える。
だが、その過程には苦痛はまったく無かった。
ただ霊力が徐々に妖力へ変換されていく脱力感に、灯の意識が闇へと堕ちる。
(オレの力じゃ、結局誰も救えないのか……)
焦点も定まらないまま、灯は外を見つめた。
水魔人の半透明の液体を越えて、清見の姿が遠ざかっていく。
二度と取り戻せない遠いところ場所へ。
これまでなんとか保ってきた戦意が崩れて、ただ諦観だけが胸を占める。
(ごめんなさい、陽子先生……あなたから、正義の大切さを教わってもらったのに)
懺悔の念を浮かびながら、灯は静かにまぶたを閉じた。
ゆらゆら浮かぶ水がほどよい微醺をもたらし、なんとも気持ちいい。
何もかも、この液体に溶かされていくようだ。
意志も、力も、心に宿る正義の炎までも。
(最後に一目でもいいから、あの人に会いたかった――)
灯はぼんやりと眠った。
その時、清見は何か思い出したのか、ふと灯に話しかける。
459 五行戦隊 第八話『黒炎の羽ばたき(15/19)』 sage 2014/06/01(日) 07:53:01.81 ID:xsJ58xTF
「そういえば……万が一のためとびっきりの切り札を用意したが。
灯がギブアップしたせいで、使い道が無くなったわね。
残しても面倒だし、処分してくるわ」
(…………)
「三年C組の沖田先輩」
(……ッ!?)
唐突な言葉に、灯の意識が一気に覚醒する。
「サッカー部のエース。爽やかな見た目と優しい態度から、
女子の間で高い人気を博す。灯もその一人で、陸上部の活動の傍ら彼のことが気になり、
淡い恋心を抱くようになる。ただ恋愛が人一倍奥手な灯はそれ以上踏み出せるはずもなく、
片思いの日々が続く」
灯の顔色が幾度となく変わっていく。
自分ですら意識しなかったことを、清見がすらすらとまとめていく。
その動揺ぶりを楽しみながら、清見の言葉は更に続く。
「灯のことなら、私はなんでも知っている。灯は寝るときいつも熊のぬいぐるみを抱いていること。
いまだに白馬の王子様を夢見ていること」
まるで友達をからかうように、清見の口調はどこか楽しげだった。
だが次のセリフを発する時、彼女の表情は氷河のごとく凍えた。
「灯、友人として忠告するわ。あんなクズは、あなたにはふさわしくない。
彼のことを諦めないと、あなたはいずれ後悔する」
脳内まで響く黒い声。
その中に込められた憎悪の念に、灯は血の気が引いた。
「それでも嫌と言うなら、私が『始末』してあげる」
言葉に込められた明確な殺意。
それは灯が今まで聞いたこともない清見の声だった。
「実はあなたがここに来るまで、三年C組の男子生徒を全て捕えているの。
あなたがここで眠る間、私がこれから一人ずつ魂の残滓まで吸い尽くしてやるわ」
なんのためにそんなことを、と灯は力一杯叫んだが、
口から漏れ出るのは気泡だけだった。
だが、清見はまるで予測したように答える。
「だって、私の灯を奪おうとしたもの。そんな人とクラスメートの男達なら、
地獄の苦痛を味わいながら死んでも当然よね?
それを息切れの間際まで極上の快楽を味わえるなら、男としては至高の幸せだわ」
「……ッ!」
「想像してごらん? あなたが好きな男が、これから卑屈な体勢で私の陰部に口付けをし、
何度も私への愛を誓いながら、私に全ての精気を捧げるの。
その魂は輪廻することも許されず、私の胎内で快楽の咽び声をあげる。
何年も何十年も、永遠に」
水の中に閉じ込められた灯は、怒り狂うように清見を睨んだ。
だが彼女がいくら暴れても、水魔人の体内から脱出することができない。
ふと、清見は陰湿な笑みを浮かべた。
この表情を作った時の清見は、本当に可愛かった。
460 五行戦隊 第八話『黒炎の羽ばたき(16/19)』 sage 2014/06/01(日) 07:55:03.34 ID:xsJ58xTF
「灯、嬉しかったのよ。あなたの処女があんな男に取られる前に奪えたことを。
あの時、あなたがどれほど悔しい気持ちでいたか、
想像しただけでゾクゾクが止まらなかったわ」
清見は言い捨てながら、出口のほうへ歩み出た。
「そこで正義の無力さを噛み締めるがいいわ」
その時。
水魔人の表面が激しく波打った。
溶液は半透明の白色からオレンジ、赤へと変色していく。
異変に気付いた水魔人はジュルルルと唸り声をあげ、
体内にある少女に目玉が集まる。
清見が振り返ったとき、水魔人の体はすでに沸騰し始めた。
灯が身にまとったバトルスーツは、それまでより数倍もの速さで侵蝕化する。
ベースだった白地は混沌とした黒に反転し、赤だった部分は暗い紅に染まる。
バトルスーツの表面に縦割りの線が走ると、触手の帯のように枝分かれる。
それと同時に、コスチュームの形状が扇情的なものに変化していく。
胸の部位は乳房の勾配にぴったり張り付き、少女の魅力的な膨らみを浮き彫りにする。
下半身もカットを施され、面積が減った布地は健康的な太ももを露出させる。
四肢には触手がらせん状に絡みつき、
それぞれロンググローブやブーツに変形して覆う。
「シュルルル!」
寄生される少女とは対照的に、妖眼魔人は苦しそうに震えた。
赤く変色した体液は滾りきった血のように、灯の触手スーツに吸収されていく。
引き寄せられる妖眼。
その一つ一つスーツと接触すると、小さくしぼんで、スーツの表面に取り込まれる。
清見は素早く自身の寄生スーツの一部を触手に変化させ、
水魔人の額にある一番大きい妖眼を摘み出す。
目玉から元に戻った水晶珠は、まるで熱湯から拾い上げたように熱かった。
だが清見をさらに驚かしたのは、自分が繰り出した水触手さえも赤い液体に同化され、
灯の寄生服に吸収されたことだった。
「逆寄生……だと?」
清見は驚喜の混じった目線で変化を見届けた。
大量にあった水魔人の体積は、あっという間に吸い尽くされる。
そこの妖眼は逐一灯の寄生スーツに組み込まれ、赤い眼光が輝くようになる。
灯の胸元にあった霊玉は、完全なる妖玉として転生した。
その瞬間、彼女の全身からおびただしい妖気が漂う。
全ての寄生が終息する。
赤と黒に構成された新しい触手スーツ。
肉質の触装は新生の初々しさを帯び、淫らに蠢く。
鈴華や翠、清見に次いで、ついに四人目の五行戦隊が悪に堕ちた。
解放された灯は床に両膝をつく。
その姿は生まれたばかりの赤子のように弱々しかった。
だが清見にははっきりと見えた。
灯の両目には、以前にはなかった情欲という感情がしっかりと刻まれていることを。
461 五行戦隊 第八話『黒炎の羽ばたき(17/19)』 sage 2014/06/01(日) 07:57:12.75 ID:xsJ58xTF
「おめでとう、灯。これであなたも妖眼蟲のしもべ」
「オレが……妖眼蟲に?」
「ええ。驚いたわ。本来妖眼を製造するのに、
宿主の霊力でじっくりと作らなければいけないのに。
まさか、あんな強引な方法で終わらすなんて」
まだ戸惑う灯に、清見は手を貸してその身を起こす。
その瞬間だった。
灯の手は電光石火のごとく清見の小腹に触れた。
それが攻撃だと認識できたのは、強烈な熱気が体を貫いた直後だった。
清見は激しい痛みを耐えながら、即座に足取りを変えて距離を取る。
だが灯の追撃が、すぐそこまで迫ってきた。
妖気に満ちた重厚な掌破が、矢継ぎ早に三度も続けて同じ位置に直撃する。
清見は更に十歩ほど飛び離れた後、膝を曲げた。
触手服の胴体部が赤黒く焼き爛れ、下にある素肌が外気に晒される。
くっきりと刻印された手のひらの形が、その傷の深さを表す。
不意打ちだったため、清見は妖気で防御することがほとんどできなかった。
邪炎の燃焼は更にまわりの触肉へと広がる。
清見は改めて灯を見つめた。
その瞳には、確かに情欲が孕んでいた。
だがそれ以外にも、灯が以前から持っているものも存在していた。
天地の闇を凌駕する勇気の炎が。
「馬鹿な……あなたの身も心も、完全に妖魔のものになったはず」
「ハァ、ハァ……それが、どうした!」
清見は驚いた。
ゆっくりと身を起こす灯。
その肢体は美しくも淫らで、凄まじいほどの妖気を放つ。
だがゆっくりと上げた灯の顔には、不屈の闘志が健在だった。
「要するに……蟲に憑り付かれると、ちょっとエッチになるってだけだろ」
「簡単に言ってくれる。今のあなたに宿っているのは、
大勢の人間を一瞬にして染めてしまうほどの淫気だぞ」
灯は短時間のうちに、大量の淫気を吸収している。
これほどの量の淫気が一箇所に集めれば、一般人なら廃人になってもおかしくない。
そうならないのは、彼女達五行戦隊が一流の退魔士だからである。
だが灯はその上で妖眼蟲の支配を退け、寄生前の意思を持ち続けている。
そんなこと、できるはずが無い。
「くっ……!」
灯は苦しそうに自分の胸倉を掴んだ。
新生したばかりの寄生スーツは、とりわけ人間の精液を欲する。
それも抵抗すればするほど、大きな欲望となって跳ね返ってくる。
「やはりな。この淫気に感応しない人間などいない。
今は抵抗できても、あなたの心はすぐ淫らに染まっていく」
「……先生はオレに、正義の本当の意味を教えてくれた」
462 五行戦隊 第八話『黒炎の羽ばたき(18/19)』 sage 2014/06/01(日) 07:59:42.78 ID:xsJ58xTF
「笑えるわね。そんな姿になって、まだ正義を主張できるのか」
「馬鹿だな、清見は」
「なにっ?」
「姿形なんか、正義とは関係無いんだよ。
たとえこの身が外道に堕ちようと、オレの志に一片の変わりは無いんだから!」
灯は一喝すると、寄生スーツの妖眼が一斉に赤い光を放った。
漆黒の気焔が空中に舞い上がり、火の鳥の形をかたどり始める。
それは今まで灯が召喚する聖鳥とは違う、邪炎の妖鳥だった。
「すまない、相棒……オレが力不足のせいで、お前までこんな惨めな姿にさせちまって」
灯は背後の守護霊に謝罪の言葉を申した。
本来は聖なる炎に包まれるはずの鳳凰が、今では黒い炎をまとった両翼を広げ、
天に向かってつらそうな鳴き声をあげる。
体に浮かぶ優美な妖紋は、美しいとともに禍々しかった。
「だけど、今だけは力を貸してくれ。どうしても、倒さなきゃいけない奴がいるんだ!」
灯はそう言って飛び上がり、妖鳥の邪炎を全身で受け止めた。
黒翼がはばたく熱風は空中で逆巻き、水面にさざなみを作る。
突如、灯は邪鳳凰の妖気をまとったまま清見に向かって突進する。
「喰らいやがれ!」
その妖気を向けられただけで、清見は体中の水分が干からびるように感じた。
熱気に煽られた体は汗が滝のように噴き出る。
おぞましいほど溢れるエネルギーの気配に、清見の体は自ずとわななく。
人間には、ピンチになればなるほど強くなるタイプがいる。
灯はそういう人間である。
いざ敵として相対するとその恐ろしさを改めて感じ取る。
「やはり、あなたのことは理解できそうにないわ」
清見はぶっきらぼうに、しかしどこか楽しそうに呟いた。
汗珠が頬から垂れ落ちる中、彼女は体の正面に水晶珠を構える。
灯の全力の一撃を受け止めるには、彼女も全力を出すほかない。
だが妖気を練り上げようとした途端、灼熱の苦痛が体内を蹂躙する。
「くっ……!」
清見のこめかみが引きつる。
さきほど受けたダメージはいまだに体を焼き続け、
少しでも力を使うと痛みが暴発する。
本来なら致命傷にも等しかった直撃。
それをなんとか失神せず持ちこたえたのも、清見の並外れた精神力のおかげだった。
だが戦闘力が著しく削られたことに変わりはない。
「ブラックバーニングバード!」
「ミストウォーム!」
火の鳥が直前まで迫り来る最善なタイミングに、清見は迎撃した。
水晶珠の周囲に無数の水珠が集まり、次の瞬間空間全体を包み込んだ。
妖気と妖気が激しくにぶつかり合う。
相殺しきれないエネルギーは余波となってまわりへ伝搬される。
463 五行戦隊 第八話『黒炎の羽ばたき(19/19)』 sage 2014/06/01(日) 08:01:56.57 ID:xsJ58xTF
「素晴らしい……素晴らしいよ、灯。でも、ここまでのようね」
両手で水の幕を受け止める清見は、冷静な口調で語りかける。
「どれほど瞬発力に優れても、私とあなたとでは 根本的に属性の優位差がある。
たとえこの場をやり過ごしても、この結界の中であなたは消耗して敗北する。
それが灯、あなたの限界なのよ」
「オレの限界を決めるのは、オレだぁああああ!」
灯が腹の底から叫んだ。
その妖力は更に強まり、拳が見る見るうちに水バリアの中にめり込んでいく。
止め処なく漲るエネルギーに、清見は呆然と見張る。
黒鳳凰の炎が水幕を完全に跳ね返すと、一秒も立たずに全てを焼却した。
その中から突き抜けた灯はなおも勢い衰えず、清見の頬を思いっきり殴った。
妖鳥の熱気がその場で激しい爆発を引き起こす。
攻撃をまともに受けた清見は、猛烈な勢いで後方の壁に叩き付けられる。
彼女が身に着ていた触手スーツは、ついに全てがボロボロとなって剥がれ落ちる。
「みごと……だわ」
最後に賞賛の言葉を切り出すと、清見はその場で倒れた。
相手が意識を失ったことを確認してから、灯はハァ、ハァと息を乱した。
「うぐ……っ!」
限界以上力を使用した反動が全身を襲う。
激しい消耗のせいで、今にも意識を失いそうだ。
触手化したスーツはもぞもぞと蠢き、精気を補充するよう宿主にサインを送る。
灯は歯を食いしばって耐えながら、ゆっくりと寄生樹の根元に近付く。
翠は相変わらず幹の中に囚われている。
その両肩を掴むと、灯は疲労困憊な体を後ろへ向かって目一杯倒した。
少女に巻きついていた蔓触手が次々と引きちぎられ、
失った宿主を取り戻そうとうねうね浮遊する。
灯は更にぎこちない動きで翠の体を外へ引きずった。
あとはこの樹さえ倒せば。
空洞となった根元部に向かって、灯は両手を重ねた。
枯渇寸前の妖気を少しずつかき集める。
ここまで無抵抗だった様子を見ると、寄生樹はどうやら戦闘向けに作られていないようだ。
強力な一撃を叩き込めば、難なく破壊できるだろう。
妖眼蟲に授けられた妖力で妖眼蟲を倒すなど、なんとも皮肉なことだ。
そんなことを思い浮かべながら、灯は寄生樹を見上げた。
同じタイミングに、幹の中央にある妖眼も灯を見下ろす。
意外と綺麗な瞳だった。
赤ん坊を思わせる澄んだ目だ、と灯は思った。
暗紅色の触手スーツの隙間から、クチュネチュといういやらしい水音が漏れる。
464 五行戦隊 sage 2014/06/01(日) 08:04:16.25 ID:xsJ58xTF
以上です。
途中支援下さった方ありがとうございます。
次回は大エロ回
連鎖悪堕ちと触手スーツな寄生もの、第八話。
<前回まで>
鈴華【金】清見【水】:寄生済み。学校生徒を人質に暗躍
翠【木】:寄生済み。エロエロな拷問を受ける
灯【火】:進行中。人質の生徒を救出しようと行動
睦美【土】:健在
444 五行戦隊 第八話『黒炎の羽ばたき(1/19)』 sage 2014/06/01(日) 07:21:01.97 ID:xsJ58xTF
朝の空は、鉛色の曇り空だった。
朝日はほとんど遮られ、日光のかわりに冷たい雨粒が地上に注がれる。
通勤時間を過ぎた道路は閑散としていて、町全体に陰鬱とした空気が漂う。
道端に立つ一本の街路灯。
そこのもともと電球があった位置に、一匹の異形の蟲がすり替わる。
芋虫のような体の表面に目玉が生え、その単眼を使って町の様子を静かに眺める。
ふと、異形の蟲は何かを見つけたか、瞳孔の虹彩をレンズのように絞った。
遠く離れた建物の上を、一つの赤い影が高速に移動していた。
目が醒めるほど鮮烈な赤い衣装。
それを着こなした人物は、誰かに気付かれることもなく、
屋根裏を平地のように渡って疾走する。
一瞬にして通り過ぎる赤色は、陽炎のように美しかった。
蟲は目玉を端から端へと移すが、やがて視界の外へと消えてしまう。
すぐに異形はアメーバのように変形して街灯の上へ這い登った。
黒一色だった軟体は妖しくうねり、まわりへ微弱な妖気を発する。
それが信号となり、遠くの仲間と情報交換する手段となる。
だが今回はどうしてか、信号の返事がなかなか返ってこない。
その時だった。
二本の指が妖眼蟲を摘み上げる。
「監視カメラの役目、ご苦労さん」
妖眼蟲は驚くように目玉を見開く。
ついさきほど通り過ぎたはずの赤服が眼前に現れた。
不敵な笑みを掲げた少女が、街灯の頂上でしゃがみこむ。
ほがらかな顔立ちだった。
凛とした目元や陰の無い表情は、ボーイッシュな可愛さを作り出す。
その明るい雰囲気に近付いただけで、体中が太陽の光を浴びたようにポカポカする。
だが妖魔にとって、その活力はこの上ない忌々しいものだった。
妖眼蟲はすぐさま動いた。
液体のように指の合間からはみ出すと、一瞬にして少女の頭から足元まで覆うほど広がる。
だがその途端、少女の手から放たれた高熱が肉質を浸透する。
薄くなったことが逆に仇となって、高速に溶け出してしまった。
敵が完全に浄化したことを確認すると、少女は地上に降り、
すぐ近くの壁の影に身を隠した。
「ハァ……」
付近に人の気配は無い。
それが分かった途端、少女は壁にもたれ、息を漏らした。
さきほどまでの雰囲気と一変して、彼女は風邪を患ったように目をトロンとさせ、
呼吸にねっとりとした熱を帯びた。
両腕に抱きしめられる体は、一向に震えが収まらない。
少女の名前は灯(あかり)、五行戦隊の一員。
妖魔に陥れられた仲間を助けるため、学校へと向かっている途中である。
しかし今の彼女には、とある発作に悩まされている。
「うぅ……」
熱い息を漏らすと、灯はついに太ももを広げてしまった。
そして悔しそうに唇を噛み締め、おそるおそる手つきでスカートの下を触れる。
思った以上びっしょり濡れた下着に、頬がますます赤くなる。
だが、それでも手の動きは止まらない。
下着の更なる奥にある、女の子の一番大切な部分に触れるまで。
445 五行戦隊 第八話『黒炎の羽ばたき(2/19)』 sage 2014/06/01(日) 07:23:34.70 ID:xsJ58xTF
「ううぅ……ん!」
灯は必死に喘ぎ声を抑え、背中を壁に預ける。
そのままうずくまって息を大きく乱した。
意識が一度淫欲に負けると、もはや取り戻すことは不可能だった。
無意識のうちにもう片方の手も服の上から胸をまさぐり、溢れる欲望に身を任せる。
誰かが通りかかると思うと、麻薬にも似た背徳感が脳を麻痺させる。
近くの気配をしきりに確認しながらも、灯は体の愛撫を止めなかった。
体が快感に跳ねるごとに、声の抑制がだんだんと効かなくなる。
こうして町中で自慰するのは、もう三度目になる。
最初は我慢しようとも思った。
だが抑えれば抑えるほど、体に宿る疼きが際限なく増大し、
結局より大きな欲火となって身を焦がす。
「はあああぅっ……!」
灯は最後に締め付けるような嬌声をあげた。
少しずつ力を抜きながら、その場でぐったりと崩れる。
絶頂を迎えた後のぼんやりとした心地良さ。
そんな夢見心地に浸りながら、灯は愛液が付着した指をぼんやり見つめた。
「イク」という行為にも、少しずつ慣れてきた。
少し前まで処女だった自分にはとても考えられないことだった。
自慰することは死ぬほど恥かしい。
だが今となって、それ以上に厳しい問題が発生していた。
(だめ、もうこの程度の刺激じゃ……満足できない)
中途半端に鎮火した火事のように、体のあちこちに余熱ばかりが残る。
少しでも火の気があれば、すぐにも乾ききった草のように燃え盛りそうだ。
アイツにされた時と比べたら、何もかも足りなかった。
たくましい陰茎。
ねっとりと愛撫する触手。
いやらしい糸を引く汁、立ちこもるような淫臭。
そして自分の意思などまったく構わずに、一方的な蹂躙。
自慰するたびに、アイツに犯された記憶が何度も何度も浮上してくる。
「く……っ!」
灯は幻像を払うかのように地面に拳を殴りつける。
犯されたことは確かに屈辱だった。
しかしそれよりずっと屈辱なのは、自分の体がそれを求めようとしていることだった。
さきほどの妖眼蟲も、外見を見ただけで、心臓が異様にドキドキした。
(しっかりしなきゃ……! あの蟲どもを倒して、みんなを助けるんだから!)
灯は自分の心を抑え、改めて勇気の炎を焚きつけた。
五行戦隊随一の闘志の持ち主として。
446 五行戦隊 第八話『黒炎の羽ばたき(3/19)』 sage 2014/06/01(日) 07:25:59.34 ID:xsJ58xTF
□
学校のまわりは、しーんとしていた。
授業時間に入ったせいか、喧騒音は聞こえなかった。
正門から見える校舎の建物は、普段と同じような穏やかな雰囲気が流れる。
灯は学校の裏側に回りこむと、塀の前で立ち止まった。
そして路傍から小石を拾い、敷地の内側へポイと投げる。
放物線を描く小石が壁の上方を越えようとした途端、何の脈絡もなく消えた。
空にはただ透明の波紋が少し揺れるだけだった。
そのわずかな変化を、灯は見逃さない。
(なるほど……結界でご丁寧に学校をまるごと包んでるわけか)
灯は目をまばたきさせ、素早く敵の意図を探った。
結界から感じる妖気の力は少なく、攻撃能力は皆無だった。
おそらく通行を制限するだけのものだろう。
外からの進入のみを許し、内側の光や物音を全て遮る。
発見を遅らせることもできるため、人質を閉じ込める鳥篭としては最適であろう。
こんな術式を施した人物が誰なのか、だいたい見当はつく。
五行戦隊の中でもとびっきり知識豊富な人物。
無愛想で、人が盛り上がっているところに水をさす嫌なヤツ。
しかしどんな絶望的なピンチでも動じない、頼りになるヤツ。
感傷の気持ちを胸に仕舞い込むと、灯は首からさげた赤い勾玉に触れた。
身にまとっていたバトルスーツは赤い炎と化し吸い込まれ、
変身前の制服姿が浮かび上がる。
結界に殺傷力は無さそうだが、護霊服を着たまま通過すれば
確実に霊力と反発してしまう。
術者の力を考えれば、それでは感づかれてしまうだろう。
灯は勇敢な女の子であるが、決して無謀ではない。
敵の要求は、正午に学校の屋上へ来ること。
ということは、それまでの間は別のことに手間をかけているはず。
正面から突っ込むより、こうして不意を突いたほうが勝機も上がるはず。
灯は壁の中央につま先をつけ、軽々と一躍した。
そのまま壁を飛び越え、猫のように物音立てず着地する。
まわりにあるのは校舎裏の雑木林で、敵影は見当たらなかった。
しかし、あたりの風景は激変する。
(なんて凄まじい妖気……!)
呼吸するや否や、灯は息が詰まりそうになった。
薄ピンク色の大気が学校の敷地全体を充満し、甘ったるい匂いが鼻腔から入り込む。
甘い微風は服の隙間から肌を撫ぜ、ねっとりとした湿気がこびり付く。
霊感の無い人間には、このような現象に違和感を覚えないだろう。
だが長時間この妖気の中で生活していれば、いずれ精神が淫らに感応してしまう。
背後を見ると、紫色の膜が塀から空高くまで伸び、校外の様子が一切見えない。
(一方通行、ってわけか)
それほど強固な結界ではないから、自分のような使い手なら簡単に突破できる。
だが妖気を一箇所に閉じ込めることは、灯にとっても都合が良かった。
なんとしても、町まで被害を広げないために。
447 五行戦隊 第八話『黒炎の羽ばたき(4/19)』 sage 2014/06/01(日) 07:28:10.01 ID:xsJ58xTF
灯はそこから一歩踏み出すと、軽いめまいに襲われた。
空気を多く吸い込んだだけで、ぼんやりとした恍惚が頭を包む。
下腹部あたりにゾクゾクするような疼きがまた蘇る。
無意識のうちに手で置くと、刺激が大きく反応する。
(ひゃっ……!)
灯は慌てて手を引っ込め、そのまま触り続けたい衝動を抑えた。
わずかに残った感触が残像のようにいつまでも焼き付く。
(ちょっと、余裕ないかも……)
歯を食いしばりながら、灯は呼吸量をなるたけ抑えた。
変身すれば対抗できるだろうが、同時に妖眼蟲に気付かれるリスクも高まる。
(これは人質をこっそり助けるためだから。
別にこの空気をもっと吸いたい、わけじゃないんだから……)
どこか言い訳まがいの気持ちを抱きつつ、
灯はふわふわした感覚のまま雑木林から歩み出た。
熱を帯びた体の奥に、成長しつつある妖気の鼓動に気付くことも無く。
「なっ……なにこれ?」
校庭に出るや否や、灯は目を疑った。
目の前にそびえるは緑色の建築物。
それがツタに覆い尽くされた校舎だと理解するには、しばらくかかった。
建物がまるごと寄生されているのだ。
屋上を中心におびただしい量の寄生蔓が流れ出て、学校全体を緑色に染め変える。
もともと小綺麗だった白壁の上を、妖葉の絨毯がぎっしり敷き詰める。
咲き綻びる花びらから胞子が噴き出て、空気を淫らなピンク色に染め続ける。
壁の底を這い回る太い茎がドクンドクンと脈動する。
まるで魔界に迷い込んだような不気味な景観だった。
一際強烈な妖気が、校舎の屋上から感じる。
脅迫映像にもあった通り、おそらくそこに鈴華と清見がいるはず。
しかし灯はそこへ近付くどころか、まったく違う方向へ歩み出した。
校舎に寄生する植物を観察すると、灯はあることに気付いた。
壁底に張り付いている太いツタは皆一つの方角へと集結していた。
目の前の異変と比べれば、それは取るに足らない事柄だった。
しかし、灯はそこに何か重要なことを感じ取った。
校舎から離れるほど茎同士は深く絡め合う。
その先にある建築物の正面へやってくると、灯は怪訝そうに眉を動かす。
「これは……体育館?」
まばたきしながら、灯は奇怪なものを見るような目で見上げた。
建物のあらゆる窓や隙間から植物が突き破り、校舎方面へと繋がる。
四方八方へと伸びる太茎はそれぞれドクン、ドクンと脈打ち、
その生々しさがまた不気味さを増す。
外縁を沿って歩くと、灯は比較的隙間の空いた窓を一つ見つける。
側のツタを掴んで登り、窓から体をねじり込んで中の様子をうかがう。
449 五行戦隊 第八話『黒炎の羽ばたき(5/19)』 sage 2014/06/01(日) 07:30:25.18 ID:xsJ58xTF
ここは体育館すぐ隣のプール室だった。
何よりも目線を吸引したのは、プール中央に鎮座する一本の巨樹。
数人いても抱き切れない太い幹や、天井を衝くほどの高さは、
社で祭られる神木を連想させる。
だがこの大樹から感じる気配は、決して神々しいものではなかった。
その材木は、なんと肉質にうねっていた。
醜悪な姿をした枝は天井に届くと、無秩序にまわりへと延伸する。
おかしいのは樹だけではない。
プールを満たしているのも青い水ではなく、ドロドロした白い粘液だった。
淫臭の匂いがたちこめるそこに、十数人ほどの少女達が浸かっていた。
ある者は水面下から伸びる触手の愛撫を受け、ある者はほかの少女と白液を塗り合いながらキスし、
またある者は何人もの男子に輪姦されていた。
彼女達の表情に共通するのは、淫らな幸せ。
それぞれの体から垂れ落ちた精液や愛液はプールに滴ると、
そのまま粘液として同化される。
水面を浮かぶ大きなハスの花や、その表面を彩る雫の輝かは、
どこか堕落した桃源郷のように人の心を虜にする。
灯はゾクッとした。
妖眼蟲はここで何をしようとしているのか、直感的に分かった。
巨大樹は吸い上げた淫気を幹の中で濃縮した後、それを校舎側へと供給している。
成長した寄生植物は催淫香を放ち、胞子を撒き散らしながら人間に寄生する。
そうして虜にした人間から、更なる淫気を集めるだろう。
ここは妖眼蟲の培養槽替わりにされているのだ。
さしずめ、ここにいる人達は妖眼蟲の繁殖を助ける奴隷のような存在だろう。
(妖眼蟲の……奴隷……)
その言葉を意識した途端、灯は頬を赤らめた。
少し考えただけで、甘美な感情が体を充満していく。
プールから漂う淫香は外よりも数倍濃密で、体を火照らせるのに十分だった。
この白液の中に肌を沈めたらどれほど気持ち良いか、想像しただけで頭がぼーっとする。
淫行を繰り広げる少女達は、誰もが幸せそうな表情を浮かべる。
彼女達が今どんな気持ちでいるか、灯にはたやすく想像できた。
女であれば誰であろうと、一度その快楽を味わえば虜となってしまう。
妖眼蟲と出会う前の自分ならいざ知らず、今となっては否定する気も無くなった。
心に綻びが生まれてしまう。
それまで灯が隠していた気配が、わずかに緩んだ。
その瞬間、壁に無数の妖眼が見開き、その全ての視線を灯に集中する。
灯が掴んでいた窓枠はぐにゃり沈むと、バランスを失って室内へ倒れ込んだ。
舌打ちしながら、灯はくるりと回転して着地する。
「壁に耳あり障子に目ありってか。妖魔のくせに、
セキュリティーががっちりしてるんだから」
近くの天井や壁に目玉が次々と寄せ集める中、灯は不敵な表情を浮かべる。
赤い勾玉を握り締めると、正面に炎輪が現れる。
そこを通過した灯は、真っ赤なコスチュームを身にまとった。
――どうやらこの場所は、鈴華や清見達が苦労して用意したらしい。
だったら二人がいない間、全部ぶっ壊して台無しにしてやる。
450 五行戦隊 第八話『黒炎の羽ばたき(6/19)』 sage 2014/06/01(日) 07:33:04.05 ID:xsJ58xTF
「さあ、かかってきなさい!」
灯は炎を掴むと、両手にそれぞれ赤い霊気の鉤爪が覆う。
そして彼女が走り出したと同時、妖眼蟲の群れがトビウオのように壁から飛び出す。
「はぁあああっ!」
灯はおたけびを上げると、スピードを一切緩めず突き進んだ。
烈火の鉤爪に少しでもかすると、妖眼蟲は一瞬にして燃やし尽くされ浄化される。
波のように寄せて来る蟲に対し、赤炎の少女は少しも怯まなかった。
「蹴散らす!」
灯の炎をまとった蹴りは、鋭い刃のように敵陣を突破していく。
その凄まじい闘志に押されるように、妖眼蟲の群れが徐々に後退する。
「「シュルルル……」」
ふと、生き残った妖眼蟲は一斉に唸り声をあげた。
彼らは一箇所に集まると、互いの体を貼り合わせて、一匹の巨大生物に融合する。
だがその融合が終わるのを待たずに、灯は巨体の端を持ち上げた。
そしてプールのほうへ向け、渾身の力で背負い投げを放った。
「シュルル!?」
予想外の事態に対処もできず、鈍い声をあげながら投げ飛ばされる蟲の集合体。
灯は間を空けずに、その上方へ飛びかかる。
踏み蹴りの足先が妖魔の肉塊に重々しくめり込む。
次の瞬間、フリッパーに弾かれたピンボールのごとく、巨大肉塊が落下する。
水面と接するよりも速く、内部まで叩き込まれた炎気が邪肉全体を貫通する。
バラバラに分解した蟲の残滓が直下の水面へ降りかかり、
そこから伸び出る触手の動きを牽制した。
一方踏み台を蹴落とした灯はプールの上空を一気に飛び越え、
弾丸の勢いで巨大樹に向かって突進する。
一撃でしとめてやる。
そう思いながら、灯は寄生樹中央にある大きな目玉を見据え
拳をギラギラに燃やした。
突如、彼女の足元から水柱が噴き上がった。
灯は即座に体勢を変え、水面に浮かぶハスの緑葉に飛び移る。
水柱は途中から無数の水玉に変化し周囲に降り注ぐ。
その中から、ひとりの人物が現れる。
無口な少女だった。
彼女は水上の何も無いところで立っていた。
透き通った柔肌は水に濡れ、青髪は氷海から切り出したブルーアイスのように美しい。
だが灯の明るい可愛さとは対照的に、その少女の美に邪悪さが含まれていた。
ダークブルーと黒の触手スーツはしなやかな体にぴったりと密着し、
体の女性的なラインを際立たせる。
大胆に露出した背中やヒップに食い込むレオタードのデザインは、
見る者の淫欲を煽り立てる。
胸部にフィットする肉布も、ぬめるように下乳のラインまでくっきり浮かばせ、
ほどよく膨らんだ乳房の形を描き出す。
少女がもともと持つ清らかさからか、
性欲を惹き立てる服装にも関わらずそこに下品さは一切無かった。
触手スーツの表面には、両脚から這いのぼるように次々と妖眼が見開き、青い眼光を輝かせる。
451 五行戦隊 第八話『黒炎の羽ばたき(7/19)』 sage 2014/06/01(日) 07:35:21.80 ID:xsJ58xTF
灯が以前見たときと比べ、彼女の寄生された姿は一段と似合っていた。
宿主が持つクールな雰囲気になまめかしさが加わり、
その冷たい瞳に一瞥されただけで、魂さえも捧げて彼女の足元に跪きたくなる。
思わず屈従したくなる色香が彼女の体から放たれる。
「清見……!」
灯はすりつぶすようにその名を呼んだ。
青装束の少女は無表情のまま灯を見つめる。
「指定した時間よりだいぶ速いようだが」
「待たせると悪いと思って」
「場所も違う」
「少し寄り道しただけだ。これから行こうってところよ」
「見学は面白かったかい」
「ええ。あんたの後ろにあるその妖怪ツリーがなんなのか、ぜひ教えてほしいところだ」
灯は激情を抑えながら、淡々と受け答えた。
平常心なくして勝てるほど甘い敵ではない。
だが彼女の外見が美しくなればなるほど、怒りの気持ちが込み上がる。
なぜならば、今の彼女は妖眼蟲の寄生スーツを着ているのだ。
敵の服装を完璧に着こなす姿を見ると、なんとも言えない悔しさが胸を締め付ける。
清見の青い瞳からは、感情が一切読み取れない。
だが分かることも一つある。
清見から感じる妖気は、以前対峙した時よりも確実に強くなった。
それが何を意味しているのか、灯は薄々感付いていた。
鈴華や翠と同様、彼女もまた人間から淫気を吸収し、蟲として成長しているのだ。
「やはりここが気になったか。ここで待てば必ず灯と会えるって言ったが。
鈴華ったら、信じてくれなくて」
なまあたたかい空気が両者の間を流れる。
バトルスーツの間に湿気や冷や汗がべとつき、なんとも心地が悪かった。
待ち伏せされていたのか。
灯はなんとか相手の表情から読み解こうとした。
が、清見は相変わらず起伏の乏しい口調で説明を続ける。
「この樹も、我々の寄生計画の一部だ。地上全て支配するため、
いずれ強力な退魔機関と戦うことになる。一般人の寄生は簡単だとしても、
格上の退魔士が現れると、妖眼蟲の戦闘力では対処できない場面も出てくる」
「そのために、オレ達を取り込もうってわけか」
「ええ。しかし、優秀な退魔士はいつでも確保できるとは限らない。
この寄生樹の実験が成功すれば、我々はより速く、より多くの戦力を手に入れることができる」
「戦力、だと……?」
「人間には、もともと霊力の素質を持つ者が多く存在する。
だがほとんどの人間は能力を開発することなく、そのまま一生を終える」
「素質だけあっても、引き出せた者はごくわずかだからな。
オレ達だって先生と出会って修行してなかったら、今頃普通の高校生だった」
「そこでこの寄生樹の出番です。人間から採取した淫気を濃縮し与える。
厳しい修行を一切行わなくても、上級妖魔に匹敵する者を生み出せるの」
「なに……っ?」
灯はハッとなって仰ぎ、枝の間に結んだいくつかの果実を見つめた。
一個一個の果実の中に、膝を抱きかかえる人間の輪郭がぼやけて見える。
452 五行戦隊 第八話『黒炎の羽ばたき(8/19)』 sage 2014/06/01(日) 07:37:35.50 ID:xsJ58xTF
「まさか……あの中には?」
「そう、彼女達は選ばれた幸運な人間。そこで彼女達が生まれ変わるまで、
ある人の寄生の記憶を見せられる。とても甘い夢としてね」
清見は寄生樹の根元に歩み寄ると、その表面に手を上から下へと滑らせる。
木質は柔らかい肉片のように開き、女性の陰部を連想させるような裂け目が現れる
むせ返るほど甘い蜜の香りが解き放たれる。
その中に囚われた人物を見つけると、灯は瞠目した。
まさしく彼女が探し求めた五行戦隊の仲間、翠であった。
少女の手足は、サーモンピンク色の樹肉に深く埋め込まれる。
ミミズのような触手が少女の体を束縛する。
口にはボールギャグを噛まされ、頭部にはヘッドホン型の触手が覆う。
顔の上半部は触肉の眼帯に遮られたため、その表情を知ることができない。
しかし、身につけている暗緑色の寄生服は確かに翠のものだった。
以前と少し違うのは、今の彼女の股間に貞操帯が装着されていた。
彼女がガクッと震えるたび、柔肌と貞操帯の隙間から愛液がトロリと溢れ出る。
五感を封じられた彼女は灯に気付くこともなく、ただ悶え続けることしか許されない。
「しばらくの間、彼女に寄生樹のコアを務めてもらってるの」
「寄生樹の……コアだと?」
「この樹はまだ生まれたばかりだから、いろいろ学習しないといけないの。
そこで彼女がもたらす情報を分析し常時発情させることで、
人間をコントロールする方法を知る。記憶を読み取り、退魔士の戦闘術を知る。
そして翠が寄生された時の快感を何度も再生し、その映像をほかの娘達にも見せることで、
集団的に奴隷へと洗脳していく」
清見はそこまで言うと、サッと後ろへかわした。
灼熱の大火珠が彼女の目の前をかすめ、水面にぶつかって火花を散らす。
灯の怒声が空気を震わせる。
「ひどい……酷すぎる! そんなことのために、翠をそんな酷い目にあわせるのか!」
再度手中に霊力を集め、灯は追撃の火炎弾を放つ。
だが清見はスケート選手のように水面を優雅に滑り、迫り来る攻撃を次々とかわす。
「勘違いしないで。今の彼女は、女として最高の幸せを味わっている。
絶頂寸前のところで留まり、永遠の快楽に溺れる」
「そんな身勝手なことを!」
灯のコスチュームがパチパチと音を立てて燃え上がった。
五行戦隊の中で、灯の能力には一つの特徴があった。
彼女が怒りを覚えれば覚えるほど、その力は何倍にも増幅される。
その熱気を遠くから感じた清見は、小さくほくそ笑んだ。
「いいわよ、灯。その調子で、あなたの全力を私に見せて」
「言われなくたって!」
次の瞬間、灯は迅雷の勢いで空を切り裂いた。
赤い爪撃は灼熱の炎をまとい、一直線飛んでいく。
清見はすかさずしゃがんで水面を掴み、大きなテーブルクロスのように翻す。
火の熱気と水の波が相打つ。
熱気は一重の差で水幕を破り、その直後の位置に命中する。
だが蒸気が霧散した後、清見の姿はそこにはいなかった。
453 五行戦隊 第八話『黒炎の羽ばたき(9/19)』 sage 2014/06/01(日) 07:39:48.38 ID:xsJ58xTF
「素晴らしい一撃。でも、まだまだこんなものじゃないでしょ」
「っ!?」
耳元で唐突に囁かれる声。
灯は振り向くと同時に肘鉄を放った。
一瞬見えた清見の姿は葉のまわりにある水に溶け込むと、
今度は十歩より先の水面を割って現れる。
更に追撃しようとする灯。
だがそこで異変に気付く。
雨が降っていた。
室内にも関わらず、雨粒が降り注いでいた。
最初は気にも留まらなかった小雨が、次第に勢いを増して大粒な水滴となる。
それはプールの水と同じ白い液体で、頬を滴る水滴から芳醇な香りが漂う。
生ぬるい湿気や粘着質な肌触りは不快感以外にも、いやらしい気分にさせてくれる。
天井を仰ぐと、そこには小腸のような肉質がうねりを重ねていた。
しきりに分泌された粘液はプールに降りかかり、
無数の波紋を作っては、水の中に溶け込んでいく。
それを浴びた触手や、四方の乱交に耽る少女達は、まるで喜ぶかのように体をくねらせる。
一方の灯は、深海一万メートルに沈められたような息苦しさに襲われた。
妖気は空気中まで溢れ出るほど強まり、立っているだけでもつらい。
清見はまるで享受するよう両手を広げ、雨滴を受け止める。
暗い青色の触手スーツは一段と活発化し、ぬめぬめと宿主の体を愛撫する。
「なんと気持ちのいい雨かしら」
清見は白い雨を指先ですくい、何気ない仕草で舐め取った。
その官能的な動作を見ただけで、灯の体がピクンと跳ねる。
今すぐ変身を解除して雨を浴びたい。
その欲望と抗うだけで手一杯になる。
「このプールに触れようとしなかったのは利口だ。これもあなたの天性の勘からでしょう。
でも、そんなの関係無いの。ここにいる時点で、あなたの敗北が決まっている」
「随分な言い草だな」
灯はなんとか踏ん張りながらも、強気な言葉を綴った。
体に重くのしかかるのは、妖力の圧力だけではない。
体内から沸き起こる欲情は今にも肉体への支配力を強める。
「この水妖陣の中にいる限り、魔に属するモノは増幅され、
逆に霊的な存在は弱められる。特に火属性のあなたにしてみれば、最悪な感じだろう」
「ふん、回りくどい割りには大したこと無いな。
こんな燃費の悪い術を張って、そっちこそ先に息切れしないか?」
「それには心配無用。この術陣の妖力を維持しているのは、私ではないから」
「なにっ?」
清見に言われて、灯は初めてまわりの少女達を見直した。
白液の中で情事に没頭する少女達。
こちらに対し攻撃する気配が無かったから、灯も放って置いていた。
しかしプールの香りに隠されているが、
彼女達の位置取りには確かに妖気の流れが感じられた。
454 五行戦隊 第八話『黒炎の羽ばたき(10/19)』 sage 2014/06/01(日) 07:42:24.96 ID:xsJ58xTF
「術式は確かに私のものだが、彼女達の淫気こそがここの結界を構成するエネルギー。
あなたも感じているでしょ? この淫雨の中にいると、
身も心もどんどん淫らになっていくの」
「くっ、馬鹿な……!」
「人間の感情は、とても強力なものなの。それを今から、あなたに味わってもらうわ」
清見は一つの水晶珠を取り出すと、それをポトッと水の中に落とした。
邪悪な気配が集まり出す。
突如、水面に不気味な眼球がギョッと見開く。
プールの水が吸い寄せられるように波立つと、
水晶珠が落ちた位置に液体の巨体が立ち上がる。
「出でよ、水魔人!」
「ブシュルルル――!!」
清見の呼び声に呼応すると、一体の水の巨人が起き上がった。
青白い体の表面は絶えず波を打ち、その内側に無数の妖眼が浮遊する。
天井まで届く頭部の中央に、水晶珠が全体を支配する大目玉となって反転する。
その瞬間、凄まじい妖気の嵐が室内を吹き荒れる。
「っ……!」
灯は敵の巨体に、思わず息を呑んだ。
その肩に清見が乗り、巨人とともに灯を見下ろす。
半透明の巨躯に天井からの明かりが透き通り、上から薄い影を落とす。
「どう、この子。男達が私に捧げた淫気から作り出したものなの。
気をつけたほうがいいわ。普通の蟲と違い、私の能力を受けた直系だから――」
清見が喋っている最中、灯は火の矢のように高々と飛んだ。
先手必勝が灯のスタイル。
だが彼女の火拳が清見に届く直前、
水魔人の腕が横から目にも止まらないスピードで薙ぎ払った。
咄嗟に受け止める灯。
正面から機関車とぶつかったような衝撃がバトルスーツへ分散し、体に響き渡る。
「――だから、力もスピードも一般の蟲よりずっと上なの」
「ぐはっ……!」
灯の体はプールサイドへと弾き飛ばされ、床のタイルを何枚も剥がした。
だが灯はその場で立ち上がることなく、ただちに飛び退いた。
一瞬遅れて、巨大な魔手がその場を握り潰す。
(ぐっ……体が、うまく動かない!)
イメージしたほど、距離が稼げなかった。
次に近付く巨人の手に、灯はとうとう捕まってしまった。
降り注ぐ雨の中、身につけた護霊服は鉛のように重い。
逆に敵は巨体にも関わらず、思ったよりもはるかに俊敏だった。
水魔人は灯を掴んだまま手を胴体に突っ込むと、灯はなんと敵の体内に含まれてしまった。
肌が露出した部分から、毒々しい妖液が浸っていく。
大量の水が鼻や口から入り、灯の自由を封じる。
だが、灯が最も恐怖を覚えるのはこれからだった。
(霊力が……吸収されてる!?)
もがき苦しむ間、灯はその異変に驚愕する。
なんと体から霊力がどんどん溶け出ているのだ。
かわりに心地良い倦怠感が体に染み渡り、抵抗しようとする意思を静める。
455 五行戦隊 第八話『黒炎の羽ばたき(11/19)』 sage 2014/06/01(日) 07:44:27.56 ID:xsJ58xTF
妖魔にとって、霊力は致命的弱点のはずだ。
それが今、水の妖眼巨人はまるで飴玉のように、自分をしゃぶっているのだ。
溶け出した霊力をなんの隔たりも無く、直接妖液の中へ取り込まれる。
ふと水魔人の胴体の一部が赤く変色し、大きな音を立てて破裂した。
中から突き破って出た灯は、ありったけの霊力を両腕から解き放つ。
「クロスファイア!」
左右から放たれた二本の火柱が、水魔人の体上を交差する。
X字の火炎斬は頭部と胴体を貫き、背中側から飛び出る。
技を放った反動とともに、灯はなんとか力を振り絞ってプール際へ飛び退いた。
「ハァ、ハァ……!」
灯はひざまずいたまま、しばらく動けずにいた。
粘液まみれな体を拭くこともできず、ただ荒々しい呼吸を繰り返す。
その視線の先に、徐々に元の形へ再生する水魔人の姿があった。
一度気化したはずの液体はすぐ元に戻り、体の部位を形成する。
破壊された妖眼はプールから汲み上げた水流とともに補充される。
額の妖眼も二三度まばたきすると、元通りに見開く。
とりわけ最後の事実が灯にとってショックだった。
(そんな……あれが妖眼蟲の弱点じゃなかったのか!?)
こちらを見下ろしたままゆっくり近付く水魔人。
脱出する際、爆砕したはずの右腕もいつの間にか再生が終わり、
損傷した痕跡さえ見つけられない。
胸裏に生まれつつある恐怖を、灯は必死に抑えた。
全力で繰り出したつもりの攻撃が、敵に傷一つ与えられていない。
「無様なものね」
水魔人の肩の上で傍観する清見。
ふと彼女は体液の中へ沈むと、次の瞬間、灯の背後に涌き出た水溜りから現れる。
彼女は疲れきった灯に近付き、優しく囁いた。
「今のあなたが勝つ方法は、一つだけある」
「なに?――うっん!」
耳たぶをついばむ清見の唇。
その感触に、灯は思わず喘ぎ声に近い吐息をあげた。
欲情が一気にたぎり出す。
恍惚とした心地の中、耳側で奏でる言葉は一字一句妖しい音色となって心を絡め取る。
「思い出してごらん。あなたの体には、私が植えつけたモノがあるはずでしょ?」
ドクン、と灯の心が高鳴った。
忘れようとすればするほど、心の奥を巣食う黒い記憶が思い浮かぶ。
清見が優しく撫で下ろす手つきが、その封印を剥がし始める。
「その力を使いなさい」
ドクン、と灯の心が更に高鳴った。
低いトーンの囁き声は、催眠術のように脳内に留まる。
消耗しきった気力の隙を埋めるように、黒い力が沸き起こる。
妖眼の巨人がゆっくり接近すると、おもむろに腕を振り下ろした。
迫り来る攻撃に、灯は本能的に拳で受け止める。
黒い炎をまとった拳が、一瞬にして敵の片腕を焼き飛ばす。
456 五行戦隊 第八話『黒炎の羽ばたき(12/19)』 sage 2014/06/01(日) 07:46:31.36 ID:xsJ58xTF
「ブシュウゥゥ――!」
妖眼獣は驚愕したように全身から摩擦音を放ち、後ろへずり下がった。
黒炎に焼かれた部分は時間が経ても治らず、それどころかじわじわ上部へと延焼する。
だが敵以上に驚いたのは灯自身だった。
我に返って自分の腕を見ると、バトルコスチュームの手袋がなんと漆黒に変色した。
「見事なまでに綺麗な色になったね」
「くっ……オレに何をした!?」
灯のパンチを避けると、清見は唐突に灯のスカートの下に手を潜らせる。
「下着に滲みこんだこの匂い……ふふ。灯、あなたは自慰したでしょ」
それも何度も、と清見は付け加える。
「な……っ!」
いきなり図星を突かれて、灯は攻撃も忘れ顔を真っ赤にさせた。
「気付いていないの? 今のあなたは、私達と同じ匂いがするの。
男女問わず発情させる、格別淫らな匂いをね」
「ふ、ふざけるな! 誰がお前と同じなんか……」
「あらあら。その正体こそ、ついさっきあなたを助けた力なのに」
「どういう……こと!?」
灯は言葉を失った。
漆黒に変色したバトルスーツの布地が、なんと触肉化し始めたのだ。
陰雨が朽木を腐らせるようにじわじわと侵蝕する。
一度触手化した布地は、更にまわりの部分を感染させる。
肌にべっとり吸い付く感触は、まるで生き物のようだ。
手袋の甲に一筋の割れ目が浮かび上がる。
その割れ目が拡がるにつれ、ゾクリとするような甘い痺れが腕を支配する。
邪悪な衝動が心に流れ込む。
何が起こっているか、考える暇も無かった。
灯はすぐさまもう片方の手でその割れ目を抑え、持てる限りの霊力で浄化した。
裂け目の広がりはなんとか抑えられたが、
そこに発現しつつある邪念に、心がドクンドクン鼓動する。
「抗うだけ無駄よ。一度妖眼に魅入られた者は、二度とその誘惑を振り切れない。
あなたも私と同じ、妖眼蟲の奴隷になる運命なのよ」
『妖眼蟲の奴隷』というフレーズを聴いた途端、灯は脳天までじんと熱くなった。
ふと、水魔人の体から十本の触手が矢のように射出される。
灯はなんとか避けようとしたが、体を少し逸らしただけで甘い痺れが溢れかえった。
その隙に、全ての触手が彼女の体を縛り取る。
「ぐうぅぅ……!」
灯は首を締め付ける触手に手をそえ、必死にもがいた。
浄化が中断されたため、侵蝕された腕から全身へと妖力が溢れ出る。
「難しく考える必要は無い。霊力と同じイメージで、その力を放出すればいいよ」
「ぐああああ……!」
灯は無我夢中になって、腕に宿る毒々しい力を解放した。
黒い炎は毒ミズチのごとく触手を燃やす。
その火の先にかすめただけで水中の妖眼までが枯れ死んでいく。
毒火は更に水魔人の本体まで辿り着き、
黒く爛れた肉塊は腐臭を放ちながら剥がれ落ちる。
「シュルルル!?」
水巨人はひるんだようにおののきながら引き下がった。
457 五行戦隊 第八話『黒炎の羽ばたき(13/19)』 sage 2014/06/01(日) 07:48:37.60 ID:xsJ58xTF
「うっ……ぐぅ……!」
灯は攻撃を放った腕を押さえながら、地面に膝をついた。
身のあちこちに邪悪な気が漂い始めているのが分かる。
妖力のエネルギーは確かに強力だった。
自分でも恐怖を覚えるくらいに。
寄生化したスーツの裏側はべっとりと肌に吸い付き、更なる欲望を呼び覚ます。
「あなたの子宮に寄生させた妖眼蟲、思ったよりずっと順調に成長できたわね」
「オレの……子宮だと?」
灯は自分の下腹部を意識した。
その時、清見に犯された記憶の全貌がフラッシュバックする。
「あの時……!」
「でも勘違いしないで。蟲がここまで成長できたのも、全てあなたのおかげよ」
「なん……だと!?」
「宿主が絶頂を迎える度、寄生している妖眼蟲に淫気を与える。
ここまで健やかに育っていたということは、
あなたがよっぽどいやらしい気持ちでオナニーしたでしょう」
「そんな……そんな……!」
あまりにもショッキングな事実だった。
灯の打ちのめされた表情を鑑賞しながら、清見は更に蠱惑的な声でささやく。
「我慢しないで。全てを妖眼蟲に委ねなさい」
「――っ!?」
清見の優しい手つきが、灯をゾクリとさせる。
その指先に誘導されるように腕の寄生化が加速し、
とうとう肩口までが触肉によって覆われた。
柔らかい唇が灯の手の甲に口付けをする。
たったそれだけのことで、灯の全身に衝撃が走った。
「あああっ……!」
触肉化した手の甲、割れ目はついに完全に開き、一つの妖眼として開眼してしまった。
それは清見とは違う、赤く燃えるような瞳だった。
初めて妖眼と視界を共有する感覚。
灯は軽いめまいを覚えながらも、その甘美な快感に混乱する。
「最初は敏感かもしれないけど、すぐに慣れるよ。
もっとも、これからもっと増えていくが」
清見の言った通り、触肉化が定着した部位には新たな筋目が浮かび上がった。
絶望的な状況とは裏腹に、灯の心にどんどん淫美な感情が増えていく。
同時に、胸中を巣食う邪念が急速に拡大する。
「さあ灯、私に見せて。あなたが邪悪の力に染まっていく瞬間を」
清見はそう言いながら、奴隷へと生まれ変わる少女の首筋にキスをした。
だが次の瞬間、彼女は顔色を変えて灯から離れる。
青い寄生スーツの脇腹の部分に、炎が燃えていた。
だが清見は自身の傷に顧みることなく、灯を凝視する。
灯は手の甲に開いた妖眼を、自分の手で燃やし潰した。
「一度開眼した妖眼に、支配されない人間はいない。
それを自分の意志で傷つけた……だと?」
458 五行戦隊 第八話『黒炎の羽ばたき(14/19)』 sage 2014/06/01(日) 07:50:50.08 ID:xsJ58xTF
清見は未知の生物を見るような目で灯を見つめた。
今の彼女にとって、それは自分の肉体を傷つけるのと同じくらい精神的苦痛があるはず。
だがその顔立ちは、最後まで凛然としていた。
「なぜだ……なぜそこまで抗える」
「蟲ケラごときが……人間の心を操れると思うな!」
痛みにも関わらず、灯は清見を睨みつける。
無感情だった清見の目つきに暗澹の色が滲む。
「無意味な。妖眼はあなたを守るために自己修復をする。
それに、寄生化はすぐにもあなたの全身に伝わる」
「ならば、こうしてやるまでだ」
灯は左手を手刀にして燃やすと、右腕を付け根ごと焼き斬ろうとした。
その直前、清見の放った水触手がそれを絡める。
「クソっ……離せ!」
「あなたの体はすでに百眼様のもの。勝手に傷付けられては困る」
清見はいつも以上に冷たい目線を灯に注いだ。
「失望したわ、灯。潜在能力だけなら、あなたは間違いなく私達の中で最高だった……
その力を引き出し、最強の妖眼蟲に仕立てるために、
私がどれほど期待したと思っている」
「そいつは残念だった。だがな、例え死んでも妖魔の手下なんかにならないわ!」
「あなたの正義は所詮その程度なのか。興醒めだわ」
清見は指示を下すと、側に控えていた水魔人は灯を押し包み、彼女を再び取り込んだ。
(ぐううぅ……だめだ!)
今度こそ完全に捕えられた。
左へ右へともがいたが、水中では力がまるで発揮できない。
液体の中、苦しむ少女の周りに目玉が集まる。
あるいは観察するかのように、あるいは嘲笑するかのように、ただじっと見つめ続く。
粘液がすぐにバトルスーツを浸透した。
今までの妖眼蟲とは比べ物にならないほど高い侵食性。
元から触肉化したこともあって、霊力の繊維がいとも簡単に溶解、同化していく。
口から入った溶液は五臓六腑へと染み渡り、体内を魔に染め変える。
だが、その過程には苦痛はまったく無かった。
ただ霊力が徐々に妖力へ変換されていく脱力感に、灯の意識が闇へと堕ちる。
(オレの力じゃ、結局誰も救えないのか……)
焦点も定まらないまま、灯は外を見つめた。
水魔人の半透明の液体を越えて、清見の姿が遠ざかっていく。
二度と取り戻せない遠いところ場所へ。
これまでなんとか保ってきた戦意が崩れて、ただ諦観だけが胸を占める。
(ごめんなさい、陽子先生……あなたから、正義の大切さを教わってもらったのに)
懺悔の念を浮かびながら、灯は静かにまぶたを閉じた。
ゆらゆら浮かぶ水がほどよい微醺をもたらし、なんとも気持ちいい。
何もかも、この液体に溶かされていくようだ。
意志も、力も、心に宿る正義の炎までも。
(最後に一目でもいいから、あの人に会いたかった――)
灯はぼんやりと眠った。
その時、清見は何か思い出したのか、ふと灯に話しかける。
459 五行戦隊 第八話『黒炎の羽ばたき(15/19)』 sage 2014/06/01(日) 07:53:01.81 ID:xsJ58xTF
「そういえば……万が一のためとびっきりの切り札を用意したが。
灯がギブアップしたせいで、使い道が無くなったわね。
残しても面倒だし、処分してくるわ」
(…………)
「三年C組の沖田先輩」
(……ッ!?)
唐突な言葉に、灯の意識が一気に覚醒する。
「サッカー部のエース。爽やかな見た目と優しい態度から、
女子の間で高い人気を博す。灯もその一人で、陸上部の活動の傍ら彼のことが気になり、
淡い恋心を抱くようになる。ただ恋愛が人一倍奥手な灯はそれ以上踏み出せるはずもなく、
片思いの日々が続く」
灯の顔色が幾度となく変わっていく。
自分ですら意識しなかったことを、清見がすらすらとまとめていく。
その動揺ぶりを楽しみながら、清見の言葉は更に続く。
「灯のことなら、私はなんでも知っている。灯は寝るときいつも熊のぬいぐるみを抱いていること。
いまだに白馬の王子様を夢見ていること」
まるで友達をからかうように、清見の口調はどこか楽しげだった。
だが次のセリフを発する時、彼女の表情は氷河のごとく凍えた。
「灯、友人として忠告するわ。あんなクズは、あなたにはふさわしくない。
彼のことを諦めないと、あなたはいずれ後悔する」
脳内まで響く黒い声。
その中に込められた憎悪の念に、灯は血の気が引いた。
「それでも嫌と言うなら、私が『始末』してあげる」
言葉に込められた明確な殺意。
それは灯が今まで聞いたこともない清見の声だった。
「実はあなたがここに来るまで、三年C組の男子生徒を全て捕えているの。
あなたがここで眠る間、私がこれから一人ずつ魂の残滓まで吸い尽くしてやるわ」
なんのためにそんなことを、と灯は力一杯叫んだが、
口から漏れ出るのは気泡だけだった。
だが、清見はまるで予測したように答える。
「だって、私の灯を奪おうとしたもの。そんな人とクラスメートの男達なら、
地獄の苦痛を味わいながら死んでも当然よね?
それを息切れの間際まで極上の快楽を味わえるなら、男としては至高の幸せだわ」
「……ッ!」
「想像してごらん? あなたが好きな男が、これから卑屈な体勢で私の陰部に口付けをし、
何度も私への愛を誓いながら、私に全ての精気を捧げるの。
その魂は輪廻することも許されず、私の胎内で快楽の咽び声をあげる。
何年も何十年も、永遠に」
水の中に閉じ込められた灯は、怒り狂うように清見を睨んだ。
だが彼女がいくら暴れても、水魔人の体内から脱出することができない。
ふと、清見は陰湿な笑みを浮かべた。
この表情を作った時の清見は、本当に可愛かった。
460 五行戦隊 第八話『黒炎の羽ばたき(16/19)』 sage 2014/06/01(日) 07:55:03.34 ID:xsJ58xTF
「灯、嬉しかったのよ。あなたの処女があんな男に取られる前に奪えたことを。
あの時、あなたがどれほど悔しい気持ちでいたか、
想像しただけでゾクゾクが止まらなかったわ」
清見は言い捨てながら、出口のほうへ歩み出た。
「そこで正義の無力さを噛み締めるがいいわ」
その時。
水魔人の表面が激しく波打った。
溶液は半透明の白色からオレンジ、赤へと変色していく。
異変に気付いた水魔人はジュルルルと唸り声をあげ、
体内にある少女に目玉が集まる。
清見が振り返ったとき、水魔人の体はすでに沸騰し始めた。
灯が身にまとったバトルスーツは、それまでより数倍もの速さで侵蝕化する。
ベースだった白地は混沌とした黒に反転し、赤だった部分は暗い紅に染まる。
バトルスーツの表面に縦割りの線が走ると、触手の帯のように枝分かれる。
それと同時に、コスチュームの形状が扇情的なものに変化していく。
胸の部位は乳房の勾配にぴったり張り付き、少女の魅力的な膨らみを浮き彫りにする。
下半身もカットを施され、面積が減った布地は健康的な太ももを露出させる。
四肢には触手がらせん状に絡みつき、
それぞれロンググローブやブーツに変形して覆う。
「シュルルル!」
寄生される少女とは対照的に、妖眼魔人は苦しそうに震えた。
赤く変色した体液は滾りきった血のように、灯の触手スーツに吸収されていく。
引き寄せられる妖眼。
その一つ一つスーツと接触すると、小さくしぼんで、スーツの表面に取り込まれる。
清見は素早く自身の寄生スーツの一部を触手に変化させ、
水魔人の額にある一番大きい妖眼を摘み出す。
目玉から元に戻った水晶珠は、まるで熱湯から拾い上げたように熱かった。
だが清見をさらに驚かしたのは、自分が繰り出した水触手さえも赤い液体に同化され、
灯の寄生服に吸収されたことだった。
「逆寄生……だと?」
清見は驚喜の混じった目線で変化を見届けた。
大量にあった水魔人の体積は、あっという間に吸い尽くされる。
そこの妖眼は逐一灯の寄生スーツに組み込まれ、赤い眼光が輝くようになる。
灯の胸元にあった霊玉は、完全なる妖玉として転生した。
その瞬間、彼女の全身からおびただしい妖気が漂う。
全ての寄生が終息する。
赤と黒に構成された新しい触手スーツ。
肉質の触装は新生の初々しさを帯び、淫らに蠢く。
鈴華や翠、清見に次いで、ついに四人目の五行戦隊が悪に堕ちた。
解放された灯は床に両膝をつく。
その姿は生まれたばかりの赤子のように弱々しかった。
だが清見にははっきりと見えた。
灯の両目には、以前にはなかった情欲という感情がしっかりと刻まれていることを。
461 五行戦隊 第八話『黒炎の羽ばたき(17/19)』 sage 2014/06/01(日) 07:57:12.75 ID:xsJ58xTF
「おめでとう、灯。これであなたも妖眼蟲のしもべ」
「オレが……妖眼蟲に?」
「ええ。驚いたわ。本来妖眼を製造するのに、
宿主の霊力でじっくりと作らなければいけないのに。
まさか、あんな強引な方法で終わらすなんて」
まだ戸惑う灯に、清見は手を貸してその身を起こす。
その瞬間だった。
灯の手は電光石火のごとく清見の小腹に触れた。
それが攻撃だと認識できたのは、強烈な熱気が体を貫いた直後だった。
清見は激しい痛みを耐えながら、即座に足取りを変えて距離を取る。
だが灯の追撃が、すぐそこまで迫ってきた。
妖気に満ちた重厚な掌破が、矢継ぎ早に三度も続けて同じ位置に直撃する。
清見は更に十歩ほど飛び離れた後、膝を曲げた。
触手服の胴体部が赤黒く焼き爛れ、下にある素肌が外気に晒される。
くっきりと刻印された手のひらの形が、その傷の深さを表す。
不意打ちだったため、清見は妖気で防御することがほとんどできなかった。
邪炎の燃焼は更にまわりの触肉へと広がる。
清見は改めて灯を見つめた。
その瞳には、確かに情欲が孕んでいた。
だがそれ以外にも、灯が以前から持っているものも存在していた。
天地の闇を凌駕する勇気の炎が。
「馬鹿な……あなたの身も心も、完全に妖魔のものになったはず」
「ハァ、ハァ……それが、どうした!」
清見は驚いた。
ゆっくりと身を起こす灯。
その肢体は美しくも淫らで、凄まじいほどの妖気を放つ。
だがゆっくりと上げた灯の顔には、不屈の闘志が健在だった。
「要するに……蟲に憑り付かれると、ちょっとエッチになるってだけだろ」
「簡単に言ってくれる。今のあなたに宿っているのは、
大勢の人間を一瞬にして染めてしまうほどの淫気だぞ」
灯は短時間のうちに、大量の淫気を吸収している。
これほどの量の淫気が一箇所に集めれば、一般人なら廃人になってもおかしくない。
そうならないのは、彼女達五行戦隊が一流の退魔士だからである。
だが灯はその上で妖眼蟲の支配を退け、寄生前の意思を持ち続けている。
そんなこと、できるはずが無い。
「くっ……!」
灯は苦しそうに自分の胸倉を掴んだ。
新生したばかりの寄生スーツは、とりわけ人間の精液を欲する。
それも抵抗すればするほど、大きな欲望となって跳ね返ってくる。
「やはりな。この淫気に感応しない人間などいない。
今は抵抗できても、あなたの心はすぐ淫らに染まっていく」
「……先生はオレに、正義の本当の意味を教えてくれた」
462 五行戦隊 第八話『黒炎の羽ばたき(18/19)』 sage 2014/06/01(日) 07:59:42.78 ID:xsJ58xTF
「笑えるわね。そんな姿になって、まだ正義を主張できるのか」
「馬鹿だな、清見は」
「なにっ?」
「姿形なんか、正義とは関係無いんだよ。
たとえこの身が外道に堕ちようと、オレの志に一片の変わりは無いんだから!」
灯は一喝すると、寄生スーツの妖眼が一斉に赤い光を放った。
漆黒の気焔が空中に舞い上がり、火の鳥の形をかたどり始める。
それは今まで灯が召喚する聖鳥とは違う、邪炎の妖鳥だった。
「すまない、相棒……オレが力不足のせいで、お前までこんな惨めな姿にさせちまって」
灯は背後の守護霊に謝罪の言葉を申した。
本来は聖なる炎に包まれるはずの鳳凰が、今では黒い炎をまとった両翼を広げ、
天に向かってつらそうな鳴き声をあげる。
体に浮かぶ優美な妖紋は、美しいとともに禍々しかった。
「だけど、今だけは力を貸してくれ。どうしても、倒さなきゃいけない奴がいるんだ!」
灯はそう言って飛び上がり、妖鳥の邪炎を全身で受け止めた。
黒翼がはばたく熱風は空中で逆巻き、水面にさざなみを作る。
突如、灯は邪鳳凰の妖気をまとったまま清見に向かって突進する。
「喰らいやがれ!」
その妖気を向けられただけで、清見は体中の水分が干からびるように感じた。
熱気に煽られた体は汗が滝のように噴き出る。
おぞましいほど溢れるエネルギーの気配に、清見の体は自ずとわななく。
人間には、ピンチになればなるほど強くなるタイプがいる。
灯はそういう人間である。
いざ敵として相対するとその恐ろしさを改めて感じ取る。
「やはり、あなたのことは理解できそうにないわ」
清見はぶっきらぼうに、しかしどこか楽しそうに呟いた。
汗珠が頬から垂れ落ちる中、彼女は体の正面に水晶珠を構える。
灯の全力の一撃を受け止めるには、彼女も全力を出すほかない。
だが妖気を練り上げようとした途端、灼熱の苦痛が体内を蹂躙する。
「くっ……!」
清見のこめかみが引きつる。
さきほど受けたダメージはいまだに体を焼き続け、
少しでも力を使うと痛みが暴発する。
本来なら致命傷にも等しかった直撃。
それをなんとか失神せず持ちこたえたのも、清見の並外れた精神力のおかげだった。
だが戦闘力が著しく削られたことに変わりはない。
「ブラックバーニングバード!」
「ミストウォーム!」
火の鳥が直前まで迫り来る最善なタイミングに、清見は迎撃した。
水晶珠の周囲に無数の水珠が集まり、次の瞬間空間全体を包み込んだ。
妖気と妖気が激しくにぶつかり合う。
相殺しきれないエネルギーは余波となってまわりへ伝搬される。
463 五行戦隊 第八話『黒炎の羽ばたき(19/19)』 sage 2014/06/01(日) 08:01:56.57 ID:xsJ58xTF
「素晴らしい……素晴らしいよ、灯。でも、ここまでのようね」
両手で水の幕を受け止める清見は、冷静な口調で語りかける。
「どれほど瞬発力に優れても、私とあなたとでは 根本的に属性の優位差がある。
たとえこの場をやり過ごしても、この結界の中であなたは消耗して敗北する。
それが灯、あなたの限界なのよ」
「オレの限界を決めるのは、オレだぁああああ!」
灯が腹の底から叫んだ。
その妖力は更に強まり、拳が見る見るうちに水バリアの中にめり込んでいく。
止め処なく漲るエネルギーに、清見は呆然と見張る。
黒鳳凰の炎が水幕を完全に跳ね返すと、一秒も立たずに全てを焼却した。
その中から突き抜けた灯はなおも勢い衰えず、清見の頬を思いっきり殴った。
妖鳥の熱気がその場で激しい爆発を引き起こす。
攻撃をまともに受けた清見は、猛烈な勢いで後方の壁に叩き付けられる。
彼女が身に着ていた触手スーツは、ついに全てがボロボロとなって剥がれ落ちる。
「みごと……だわ」
最後に賞賛の言葉を切り出すと、清見はその場で倒れた。
相手が意識を失ったことを確認してから、灯はハァ、ハァと息を乱した。
「うぐ……っ!」
限界以上力を使用した反動が全身を襲う。
激しい消耗のせいで、今にも意識を失いそうだ。
触手化したスーツはもぞもぞと蠢き、精気を補充するよう宿主にサインを送る。
灯は歯を食いしばって耐えながら、ゆっくりと寄生樹の根元に近付く。
翠は相変わらず幹の中に囚われている。
その両肩を掴むと、灯は疲労困憊な体を後ろへ向かって目一杯倒した。
少女に巻きついていた蔓触手が次々と引きちぎられ、
失った宿主を取り戻そうとうねうね浮遊する。
灯は更にぎこちない動きで翠の体を外へ引きずった。
あとはこの樹さえ倒せば。
空洞となった根元部に向かって、灯は両手を重ねた。
枯渇寸前の妖気を少しずつかき集める。
ここまで無抵抗だった様子を見ると、寄生樹はどうやら戦闘向けに作られていないようだ。
強力な一撃を叩き込めば、難なく破壊できるだろう。
妖眼蟲に授けられた妖力で妖眼蟲を倒すなど、なんとも皮肉なことだ。
そんなことを思い浮かべながら、灯は寄生樹を見上げた。
同じタイミングに、幹の中央にある妖眼も灯を見下ろす。
意外と綺麗な瞳だった。
赤ん坊を思わせる澄んだ目だ、と灯は思った。
暗紅色の触手スーツの隙間から、クチュネチュといういやらしい水音が漏れる。
464 五行戦隊 sage 2014/06/01(日) 08:04:16.25 ID:xsJ58xTF
以上です。
途中支援下さった方ありがとうございます。
次回は大エロ回
竜姫の趣味趣向(parasitism side)その4
405 ... sage 2014/04/27(日) 20:41:51.09 ID:Nd2ezjcw
いけた!ちょっと投下しますね
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『た、助けて…!』
『…ん?あらあら、かわいい子がこんなところに転がってるわね。…今日のご飯がこんなところで手に入るなんて、今日の占いは当たってるわね。』
『あ、あ…』
「うわああああああ!!!………あ…ゆ、め…か。」
嫌な夢を見てしまった。地獄のような記憶、今でも続くこの悪夢の最初の一幕。
あの時のことは思い返すことすらはばかられるけど…はぁ、この心苦しさを受け止めてくれる存在がいないのは寂しいな。
たしか…おとといで7年目になるのかしら。…悲しいな、誕生日をこんな監獄の中で過ごすとは、ね。
とは言っても、それは『エリー』の誕生日であって、『私』自身の誕生日じゃないんだけど…
7年前の今日、一人の人間がこの世を去った。その名はエラン。
そして、その代わりに一匹の淫魔が生まれた。その名はエリー。…そう、私だ。
私は当時、どこにでもいそうな悪ガキだった。
家を出れば近所の農家から野菜をくすね、学校に行けば教師を落とし穴に落とし、仲の良い親友にもときおりイタズラを仕掛けていたっけ。
そんな私に、隣町に大きなリゾート施設ができたことが耳に入ったのは、まさしくこの悪夢が始まる前日だったような憶えがある。
私が住んでいた町は魔界と人間界の境にあり、一歩町より東へ歩みを進めればそこはもう魔物が我が物顔で闊歩する世界だったわ。
その隣町…つまり、魔界側の町。そこにある完成したばかりのリゾート…私の奔放な好奇心をくすぐるには十分すぎたのよ。
『痛い…ダメだ………死ぬのかな、僕。』
たしか潜入するのは簡単なことだったと記憶している。
城壁に囲まれた故郷の町から抜け出すのには頭を使ったけど…そこを抜けたらあとは楽勝だったかな。
あそこは、話に聞く魔界のイメージとは違って人間界の歓楽街と何一つ変わらなかった。
そこを目的のリゾートを探して散策していると、たしか酔ったオークの群れだったかな…
人間臭いとわめきたてるその連中に見つかり…私はリンチを受けた。
隙を見て必死で逃げだし、私一人ギリギリが通れる細い道…というかそもそも通路として設計されてないところを滅茶苦茶に走った。
魔物の馬鹿力に握りつぶされた腕はボロボロに折れて、激痛どころじゃないわけわからないオーバーフローした感覚だけが頭に伝わっていたわ。
痛さと疲れで限界に達した私は、通りの袋小路の脇に座り込んで休むことにしたんだったっけ…
『…!?人が来る…た、助けて…!』
『…ん?あらあら、かわいい子がこんなところに転がってるわね。…今日のご飯がこんなところで手に入るなんて、今日の占いは当たってるわ。』
『あ、あ…悪魔…!』
『やだもう、あたしは悪魔じゃなくて淫魔よ?…まぁ、見た目的には一緒かぁ。』
『た、食べないで…!殺さないで!助けて!』
『あっはは、怖がっててかわいい。大丈夫よ。殺したりしないから。』
『ホント!?悪魔のお姉さん!助けてくれる!?』
『うんうん、とびきりに気持ち良くしてあげる。』
…この言葉が甘言だって気付くのはすぐだったわ。
そのヒトは、私の服をびりびりに破くと、私のちんちんを片手で握って軽く扱くと、自分の秘所へと滑り込ませたの。
思えばそのヒトのそこはすごかった。まさに人外の快楽…いや、人間のがどんなのだかはもう感じられないわけだけど。
とにかく、全体が私のちんちんと密着して、そこからさらにぞわぞわと動いて私に味わったことのない感覚を与えていった。
…射精まで至るのに10秒くらいもかからなかった。思えばあれが私の精通だったと思うわ。
その後も何回も腰を振らされ、体力が力尽きれば魔法で私を操り人形にして強引に腰を振らされた。
言うなら『天獄』ってね。あれは…最高に気持ち良くて、最低な苦痛だった。快感も過ぎれば拷問になるって、よく言ったもんよね。
そのまま、私は悪魔のお姉さんに跨れたまま、命の全てをその膣と子宮に注ぎ、私は人として死んだんだ。
…次に目を覚ましたのは、丸一日も後の事だったらしい。
起きて一番初めに驚いたのは自分の髪が肩にかかってたこと。そして次が、ちんちんがなかったこと。
そして、見知らぬ女の人が、私の横たわっていたベッドに突っ伏して居眠りしていたこと。
それが、レイア姉さんとの出会いだったのよね。
406 ... sage 2014/04/27(日) 20:43:03.80 ID:Nd2ezjcw
『…ふぁ…あ、起きたみたいじゃないか。』
『え、誰…?ここ、どこ…?僕、どうなって…』
『ん、混乱してるようだな。一つずつ答えよう。ここは私の家だ。お前があんな物騒なところで白濁まみれで倒れているから私がここで介抱させてもらった。
…お前は…元人間だな?それも、男だった。』
『元、人間…?』
『あぁ、すまない。お前の身体は、一度死んでいるんだ。大方、淫魔に生命力全てを吸い取られたんだろう。』
『…!?僕、白いおしっこ出し過ぎて幽霊になっちゃった…?』
『そうじゃあない。…お前を殺してしまった淫魔も、本意ではなかったんだろう。たぶん、死ぬ寸前で止めておくつもりができなかったんだろうな。
お前の身体は、淫魔の魔力に侵食され、淫魔そのものとしてすでに転生している。…せめてもの償いのつもりだったんだな。』
『…僕が、あの悪魔のお姉さんの、仲間に…?』
『そういうことになる。あと、気付いてると思うがお前の身体は女になっている。』
『元に戻れないの!?』
『無理だな。その身体は人間の生を終えている。…無理に人間の魔力をそそいだとして、最高が人間として死ねることってところだろうな…』
『…そんな…』
『分かる。痛いほどに、お前の気持ちが分かる。お前は全てを失ったことになるが、それは…私も経験したことがあるから、な。
…安心しろ。私はお前を傷つけない。お前のような者を放っておくことなんて私にはできないから。だからこそあの町から私の家まで搬送させてもらった。』
姉さんは黙って私を抱きしめた。その腕には慈しみの想いと強い力がこもっていた。
そのとき後ろでゆらゆら揺れる尻尾とか翼とかを見つけてそこで初めて姉さんも人間じゃないって気付いたけど、不思議と怖くはなかったわね。
むしろ、力強い腕やゴワゴワした体毛の感触に、お父さんのような心強さを感じていたっけ。
『迷惑、だったか?』
『え、いや、別に…』
『そうか、魔に生を受けた同法のためにこの力を振るえて、私も嬉しい。そうだ、お前、名前は?』
『え、えっと…え、エラン。エラン・ボア。』
『エラン、か……よし、お前は今からエリー・バハムーンと名乗れ!
嬉しく思うがいい、お前は人間から名族バハムーン家に名を連ねるものとなれるのだからな!』
『あ、はい。って、え、えぇっ?』
『あ、名乗るのを忘れていたな…我が名はレイア・バハムーン。この魔界広しと言えども勝るものはない心技体揃った最強の一族、バハムーン家の次女である!
そして、我が一任にて、お前はこの家の養子とし、保護する!』
『は、はぁ…』
『あっはは、事情が呑み込めないか。まぁ、ゆっくりわかっていくといいよ。うん、今のうちに理解していてほしいことは…そうだな、
一つ、お前の家はこれからこの家になるということ。この部屋はお前にやる、けっこう狭いが好きに使うといい。
二つ、お前が何かわからないことがあったら、私に尋ねること。…まぁ私も常識には疎い方だがな。
三つ、お前に危害を加える輩がいたら、その不届き者に私が制裁を加えること。私がお前を守る、もうお前をあんな姿にはしたくない。
四つ、お前と私は血が繋がらなくとも歴とした家族だということ。義兄弟とは思わず、本当の姉のように接してくれたら私も嬉しい。
五つ、お前はこれから自分のことを僕じゃなくて私って言うこと。…残念だが人間だったころのこだわりは捨てろ、生まれ変わったと思って生きるんだ。
六つ…あー、だめだ、要点をまとめるのが私は苦手でね。それじゃあ、飯を作ってやるからゆっくり休むんだぞ。あぁ、質問があったらまた今度に聞いてくれ。』
『あ、待って!』
『…ん、何だ?エリー?』
『あ、えっと…僕、じゃない…私を…レイアさんは助けてくれたんだよね?』
『ああ、そうだ。…それとエリー、レイアさん、は良くないぞ?姉妹なんだから、姉さんと呼んでいいんだぞ?』
『え…じゃ、じゃあ…レイア…姉さん…』
『うん、何だ?エリー?』
『…助けてくれて、ありがとう。』
『ふふっ、困ったときはお互いさま、人間はよくそう言うんだってね。お前は元人間だからそれに従ったまでだ。
だが…今後は魔界の常識に従ってもらうぞ?それこそ…郷に入らば郷に従え、だぞ。』
407 ... sage 2014/04/27(日) 20:50:53.49 ID:Nd2ezjcw
…あの時のドヤ顔混じりの笑顔、ずっと記憶の片隅に焼付いているわ。
頬骨の出っ張り具合、眉の角度、片方だけにできたえくぼ、化粧の色、全部覚えているつもり。
上流種族の竜族の中で低級悪魔である淫魔の私が暮らすのは姉さんたちが考えているよりも厳しく、ずっと、ずっと悪夢の中にいるような日々だった。
罵倒され、蔑まれ、暴力を振るわれ、差別され…だけど、それでも私は這いつくばって周囲に認められるまで努力し続けたわ。
それはあの時のレイア姉さんの朗らかの笑顔がずっと支えになってくれていたから。
レイア姉さんとドラコ姉さんの二人がこの悪夢の中で唯一の希望になってくれていたから。
だから人間と対立する魔物になってしまった事実も受け入れられたのよ。
それに葛藤してる姿を見せたら、心配性で考えすぎな姉さんたちってば絶対気にしちゃうから。
私はもう大丈夫だってこと、私はもう魔物として生きていけるってことを証明するために…私は自分が指揮した軍で故郷を落としたの。
そして、親に打ち勝って一人前というしきたりにならって、この手で、『エラン』の両親を殺した。
懐かしいなぁ、父さんと母さんが私の腕に胸を貫かれて膝から崩れていったあの瞬間。…涙が止まらなかったけど、スカッとした。
今ではもう、人間を襲うことに抵抗なんかないし、むしろ私の下でその命の源泉を枯らしていく人間の弱々しい様を見るとゾクゾクしちゃうくらい楽しい。
あ、でも、一番好きなのは姉さんたちが溜まっちゃったときの処理かな。なんでも、ひとりでエッチするのは部族の道徳に反するんだってね。
ドラコ姉さんはただ性欲が消えてくれることを望んでるだけだったから最近はご無沙汰だけど、
レイア姉さんは一応今後のために絶頂を知ってみたいって言ったから楽しませてもらってるわ。
姉さんたちのアソコをいじるのはなかなかに楽しい。感覚の鈍い竜族の中では意外と弄りがいのある反応をしてくれるから。
ふふふ…あれだけ気付かれないうちにいろいろ開発しちゃったから、そのうち気付かれて怒られちゃうかしら?
…あぁそうか、思い返すとあの笑顔を見た瞬間から、レイア姉さんのことが、
「ほぅ、さすがに二週間もここにいると暴れはしないようじゃの。」
顔を上げると、自分がこれまで見た画一化された見た目の働き蜂とは一線を画する背が高くて豊満な見た目の魔蜂がいた。
それが誰か理解した瞬間、人生で今まで体験した最高のそれをダブルスコアで上回るほどの殺意が湧いてきた。
「…あぁ、貴方ですか。義父上と義母上を…殺したのは。」
「まぁ、そうなるかの。」
「…よくぬけぬけとそのようなことを言えますね?ヒトの殺意をそんなあっけらかんとした顔で煽るとはいい根性していますね。私の大切な姉の実の両親を…!」
「おーおー、義姉に負けず気概があるの。まぁそう猛るな、妾はそなたに提案があるのじゃ。」
「提案…?良い予感はまるでしませんね。」
「そう言うな。まぁ聞く気がなくとも話すだけ話させておくれ。…妾はそなたを解放しようと思う。」
「へぇ、どういう風の吹き回しですかね?そんなことをしたらすぐにその首私の爪が掻っ捌きますよ?」
「ふふふ、それは危ない。では妾はその時には退散するとしよう。…これはゲームじゃ。
ゲームの内容は簡単、そなたがここを脱出することができれば勝ちじゃ。
妾はこれからそなたらの主、皇太子殿に嫁ぐためここを出立する。…その間、次の女王が即位するまでここは主が空白となり機能を停止する。
そう、おぬしにはその間の時間にならここを脱することができる可能性があるのじゃ。
…妾も娘たちも我ら全員誰も邪魔はせぬ、無事にこの入り組んだ巣から逃げおおせてみせよ。」
「…胸糞悪い趣向ですね。何を考えているのかは知りませんが…まぁいいでしょう。無事に本部まで帰還し、援軍を携えてここに戻ってくるとしましょうね。
おそらく、誰も私たちがここに収監されていることなど、まだ本部には連絡が届いていないでしょうから。」
「おやおや、そなたは竜の血を持たないというのに、やたらと血気盛んじゃの。」
「大切な姉を救うためならどんな手段を用いてもここを脱出し、戻ってきますよ?」
「それはいけない、では…
あっちじゃ、向こうの通路の右のつきあたり…そこの部屋にそなたの義姉がおる。ついでに助けていくとよい。」
「…理解できませんね。隊長格の私たちを解放することがどれだけの損失になるか理解していないのかしら。」
「ふふふ、損得勘定だけでしか動かない固い頭ではないということよ。…さて、衛兵を呼んでここを開けさせるとしよう。では、さらばじゃ。」
408 ... sage 2014/04/27(日) 20:52:40.48 ID:Nd2ezjcw
小さな魔法光の照明が並ぶ廊下を駆け抜け私は急ぐ。頭の中では、たくさんのことが思い浮かんだまま渦巻いていた。
相手は何を考えてこんな行動に出たのだろうか、自分は何を行うのが的確なのか。その分析を進めようとしていた。
床の小さな凹凸が素足に当たって痛い。この前できたマメがつぶれて血が出ているかもしれないがそんなことに限りある注意力を割いている余裕はない。
こんな時、この翼で飛べたらいいのにと思う。だが、もう少し魔物として歳を重ねて強くならなくてはそれは叶わない。それは大人になってからの話。
だがその一方で全くの膨らみもない胸は走るのには助かる。前に姉さんたちが全力で走るときに胸が上下して気になると言っていたのを思い出す。
飛べるようになるころにはこの胸も大きくなるのだろうか。そう思うとこの身体は上手くできているなとも思う。
…って違う、そんなことを考えている場合じゃなくて!
「ふぅああうあああああぁぁあっ……!」
やおら聞き覚えのある声色の悲鳴が響く。それはドラコ姉さんの声。
「やっぱりこの部屋からね…」
ひたすらに走っているうちに分かれ道についた。目の前は部屋で扉から直角に道が左右に伸びている。
たしか聞いた話が正しければこの部屋にドラコ姉さんがいる。
でも怪しい。この部隊どころか騎士団全体の長である姉さんの居場所をそんなさらっと教えるだろうか?捕虜の中で一番価値がある姉さんの居場所を?
ゲームとやらをおもしろくするための罠、という発想は十分にある。つまりはこの扉を開いてはいけないような気がする。虫の知らせ的な直感でしかないけど。
そう考えてしばらく扉の前で考えているときに飛び込んできたこの叫び声。
しかし蓄音機を使った罠かもしれない。妙な胸騒ぎを押さえて警戒しつつ扉に耳を寄せて聞き耳を立てる。
「うっあぁ、っはぁ、あぁっ…!」
…どういうことだろうか。扉越しに聞こえてくるドラコ姉さんの声は上ずっていて、そこには魔力の奔流が確認できる。
この声は、心からの嬌声だ。私が何人もその状態まで陥れてきた、色に溺れた人間が出すそれを、尊敬する姉さんが出している。
そんな…誰よりも清廉潔白であることを自分に課していたドラコ姉さんがあんな私でも出せないような艶めかしい声を…
「姉さん!……ッ!?」
バッと扉を開けた私が見たものは生まれたままの姿で床に背中をつけて寝そべっていた姉さんだった。
だが…その姿は見るのも無残なほどに墜落していた。
利き手である左腕は秘所に向かっており乱暴に抜き差しを行いつつクリを摘まんで快楽をやみくもに食い荒らしている。
右腕は左胸を無慈悲に揉みしだいていて、指の腹で乳首を押し込むようにさすっているのが仰向けなのでよく見える。
私が視界に入っているはずなのに、虚ろな目から届く私という情報は姉さんの理性の弾けた頭では理解できないようだった。
「っふ、っふあ、あはっ…ああああ、あっ…うっ…」
喘ぐ声を聞くまでもない。充満する雌の匂いを嗅ぐまでもない。しとどに蜜を出す秘所を見るまでもない。
姉は、惚けていた。それだけで私には尊敬する姉が壊れてしまっていることが分かった。
目の前にいるのは姉でもなく騎士団長でもなく、絶頂を迎えるただそれだけのために命を消費する下品という表現もおこがましい一匹のメスだった。
「姉、さん…そんな、姉さん、何で…!?」
その声は届かない。
彼女の身体の五感は性感帯の触覚のみが機能し、他はその務めを放棄してしまったかのようだ。
頭の中に、悲しみと屈辱と驚きと侮蔑と憐みと怒りがまぜこぜになった混沌な感情が膨らむ。
…私が墜落させた人間にも家族がいて、ちょうど今の私のようなこんな気持ちだったのかしら。
この怒りの矛先は、こんなことをした犯人と、それに屈した姉の両方に向いている。
「………助けなきゃ。」
409 ... sage 2014/04/27(日) 20:55:19.01 ID:Nd2ezjcw
自分は淫魔だ。性欲を操る術には長けている。
彼女が色に狂っているのなら欲求を叶えつつ鎮めてやれば良い。自分は性欲の亢進と減退の両方を操作できる術をある程度心得ている。
性欲減退の魔法はドラコ姉さんがムラムラしたときに頼まれてよく使ってあげたものだけど…
「まさか…そんなに欲望が溜まってるとは思わなかったよ。姉さん。」
彼女の鱗のない下腹部に私の尖った爪をめり込ませ、皮を突き破り傷を作る。
燃えたぎるような火の魔力の濃縮された彼女の血をたっぷりと指につけ、ハートの形に塗り広げたところで両手をかざす。
むせ返るようなメスの匂いが血から漂う。…血液中にこんなに魅了の魔力が確認できるなんて、いったいどんな媚薬を盛られたというのかしら。
「…ごめん、姉さん。これ以上みっともない姿をさらしてほしくないんだ。…荒療治だけど失礼するよ。」
ボウ、という音を立てて両手の手のひらに二つの光が生じる。それは塗られた血のマークを乾かし、淫魔との血の盟約…淫紋へと姿を変える。
本来これは気に入った人間を捉えて逃れられなくする拘束具なのだけど…もともとの使い道なんかは今はどうでもいいか。
「う…?あ…!?っはぁあ!う…ぁあ!」
「ほら、これでイケるから…スッキリさせなよ、姉さん。」
淫紋を通じて念を送り彼女の感度を高めつつ、両手で胸を、尻尾でクリを撫で上げたりアソコに抜き差ししたりしてテンポよく刺激する。
すでに裂けていた膜の残骸が尻尾に触れ心が痛む。きっと心が壊れそうなくらいにつらい目に遭ったのだろう。…私にできるならそれを癒せればよいけど。
舌が手持ち無沙汰だからとりあえず彼女の唇を奪うことにした。
「ん……んん?」
甘い。…おや、姉さんの唇ってこんな甘かったかしら、と記憶の糸をたどろうとして、彼女の口内に大量のハチミツがあふれていることに気付く。
あまりにも甘ったるくて頭がくらくらする。牢屋に入れられていた時に食事として出されたそれよりもさらに濃い。こうなるなら耳を弄ぶべきだったかしら。
いや、姉さんの口の中を犯すこのめまいがする甘物を私の手で取り除いてあげなくては。
よく味わうと私でも少しムラムラしてしまうほどの催淫の味を感じる。血にしみ込んでいたピンクな魔力の根源はこれね。
「ん…ん!ん!んんんっ!!」
本気でイかせにかかったので彼女が念願の快楽に身体をうち震わせるまでには時間はかからなかった。
食事として性を弄ぶ私にはイかせるくらいは楽勝。
全身を突っ張り受け止めきれない快楽を享受しているその姿は私の知る彼女のこれまでには一切なかった姿。その顔は恥も外聞もないだらしない惚け顔。
これまで貞操を守り一度も堪能させてもらえなかった長姉のナカは激しく私の尻尾を噛み砕くように締め付け、その感触の良さに熱の籠った息が出そうになる。
でもそれはだめ、私までこの情欲の波に流されちゃいけない。
それにしても、あのドラコ姉さんのような人間界でもまず珍しいような清廉潔白な生粋の武人がこんなケダモノのような部分が僅かでもあるとは思わなかったわね。
もっと言うなら、それに姉さんが支配されるなんて思いつきもしない事実だわ。内側から崩れるような弱みを持っているヒトじゃないと思っていたし。
快感の雷に打たれて見開かれたその目に光が戻ることを祈って口内のハチミツを舐め取っては飲み込み、その色欲の世界へ誘う成分を体内で浄化していく。
…胃がもたれてムカムカしてくる。消化しきれないほどにその成分は強大なのだとひしひしと感じるわね。
私の浄化が追い付かないほどの潤沢な催淫の魔力…
こんなものを蜂は生成できるというなんて…
羨ましい。
410 ... sage 2014/04/27(日) 20:57:04.85 ID:Nd2ezjcw
処女をこじらせて性についてあれだけ汚らしいと偏見を持ってたドラコ姉さんがこんなことになるような力を持つ媚薬…
それを手にできたら…いくらだって食事には困らなくなるわ。
淫魔であるからには食事の方法として人間から生命力をいただくのだけど…その、精ではなく愛液の方が数倍美味しく感じる性分なのよね。
身体は淫魔の…女のモノとなったとはいえ、私の魂の根源は男なのだから仕方ない。いくら外見に態度を合わせたとしても、女性としたいのが本音だからね。
しかし…女性を襲うといっても同性に興味がある人でなければ私程度の実力では強引に絶頂まで導き生命力を奪うことはできない。
同性に性的に襲われるというのは耐性がある人とない人ではっきり分かれているものだから。
そういう行為に嫌悪感が少ない相手でも相当に丁寧な責め手で頑張ってようやく本番に臨めるという状態であるのが現状。
こんな年端もいかない少女のような見た目の魔族に誘惑されて欲情する人間の女なんて相当な物好きかロリコンか痴女かの三択なのよ。
けど、この媚薬を使えば心行くまで町中の女の善がり狂う姿を見ることができるしその味を愉しむこともできるかもしれない…
そんな私にとっての桃源郷、淫魔の楽園が成るかもしれないモノ。それが姉さんの口いっぱいに注がれていた。
飛竜のドラコ姉さんがこうなるのだから人間が相手なら一滴で廃人寸前というレベルかしら…
そこまで考えを巡らせて自分の息が荒くなっていることに気付く。
脱力した体と湿って張り付くショーツは私が僅かにだが達したことを伝える。それほど自分の心が歓喜に打ち震えているのね。
当然だ、夢ですら思い浮かべなかったような理想の世界の実現を叶える薬がここにはあるのだから。何とかして手に入れたい。
そんなものを手に入れたら私は鬼に金棒どころではない。…今更ながら私を人間の器から解いてくれたあの淫魔のお姉さんに感謝したい気持ちよ。
ゲスな笑みが止まらない。絶頂の余韻もあって最高に近い気分!
「…はぁ…っはっは…えへへ、何さ、私の望むものはこんなところにあったのね…!
うふふふふふふふふふ………ハチミツがこんなにすごいものだなんてね。こんなものを今までどこに溜め込んでたのかしら。」
「…あれ?エリー?」
「……え?」
なんで、という言葉が思いつき、それしか考えられなかった。
レイア姉さんはどうしてこんなところにいるのかしら、という疑問が派生し頭の中が疑問で覆い尽くされていく。
どうして身体からハチミツの匂いを気分が悪くなりそうなくらいにプンプンと漂わせているのかしら、
どうして頬がまるで恋をしているみたいな紅潮をしているのかしら、
どうして魔法を使わないはずなのに魅了の魔力を放出しているのかしら、
どうしてレイア姉さんもドラコ姉さんと同じ全裸なのかしら、
なぜギンギンとご立派なナニが股間から生えているのかしら。
「やっぱりエリーだ。こんなところにいたんだね。探したんだよ?」
「姉さん…!?そ、それって…!?」
「あ、これ?産卵管。」
さも当たり前のように答えるその回答に一瞬理解が追い付かず自分の耳から反対側へと言葉が抜けていく。
産卵管?蟲の生殖器がなぜ姉さんに?
い、いや、たしかに気になるけどそんなことよりもまずはドラコ姉さんを助けることが先決よね!
「姉さん!ドラコ姉さんが、おかしくなっちゃってるの!」
「あぁ、知ってる。私がそうしたんだ。」
「え?」
「私、いろいろあってね。ここの女王になったんだ。それで、私が産む卵の苗床として姉貴を選んだんだ。
でも……姉貴の理性はそれを拒んだ。だから、狂ってもらった。仕方ないね、あてがわれた役目を放棄するなんてここでは認められないのに。」
倫理的に明らかに脱線した理屈が姉さんの口から紡がれ、私はただただ唖然とするばかり。
まるで姉さんが私の知っている姉さんでない何かになってしまったみたいな、そんな心地がして姉さんの身体から漂う匂いとあいまって吐き気が催すような心地。
あんなに優しかった姉さんからはとてもじゃないけど想像つかないような言葉たちが、私を加速度的に困惑させる。
姉さんが女王?文脈的にそれは魔蜂の女王蜂ということかしら。あれだけ蟲を嫌悪していた姉さんが、何で…!?
411 ... sage 2014/04/27(日) 20:59:17.30 ID:Nd2ezjcw
「そんな、そんなこと、おかしいよ…!」
いろんな感情や思いが混濁してただただわけがわからないということが分かる。
「たしかにおかしいかもしれないけど、私はこうするしかなかったから。」
「なんで!?ドラコ姉さんのこと、好きなのに!?」
ハッと息を呑み、レイア姉さんが驚いた目で私を見つめる。
「あ…知ってたの?」
「当たり前よ。家族だから。だから意味がわかんないんじゃない!レイア姉さんは、ドラコ姉さんが大切なヒトなんでしょう!?
なのに…なんで傷つけるの!?そんなこと、姉さんは望んでないでしょう!」
「……しょうがないじゃない。もうこの身体は、蜂のモノなんだ。魔蜂のために私はこの身を捧げなきゃいけないんだ。
私だって、普通に姉貴を好きでいたいさ。でも姉貴はたとえ姿が私だとしても、蟲の女王の求愛に応じるわけがないじゃないか。
私は姉貴を愛してる。姉貴との子どもが欲しいとさえ思ってる。でも、姉貴はそれを拒んだ。
だから、こうするしかないんだ。」
レイア姉さんは床に寝そべって官能の渦に意識を失ったままのドラコ姉さんを見つめている。その瞳はすさまじく憂いを帯びていた。
握りしめたままのその拳はあまりの握力の強さに血が出てしまっていた。
そのとき、私は気付いた。今の姉さんは私の知っている通りのいつもの姉さんだった。
優しくて、勇敢で、勘が鋭くて、姉妹想いで、でも優しすぎるせいで無駄に悩みを抱えて突飛な行動に出てしまう危なっかしい、
でも尊敬できる私のレイア姉さんだった。
「…あは、まったく……姉さんってば、」
駆け寄って腰に手をまわして抱きしめる。なんかお腹にブヨブヨと当たるものがあるが気にしない。
「勝手に一人で思い詰めて、姉さんは一人じゃないでしょう?ドラコ姉さんがそれだけ好きなのはわかるけど、それを理由に振り回すのはダメだよ姉さん。」
「エリー?」
「何があったかは今は聞かない。
でも私は、レイア姉さんはドラコ姉さんが好きだってことに嘘偽りがなくて、
結ばれたいっていう想いを持ってるなら、きちんと真正面から向き合わないとダメよ?」
「でも、姉貴は、」
「でもも何もないわ。
女王?姉さんの事情なんてそんなことは言い訳にしかならないんだから。私は今の姉さんを受け入れるわ。だから姉さんも自信を持ってよ。
一度くらいフラれたらなんだってのよ、人間界にはこんな言葉があるんだよ、『三度目の正直』って言って、二回目までの失敗は考えないってことね。
もし、姉さんがドラコ姉さんに告白して嫌がられたからこんなことをしたって言うなら、すぐに止めてあげてよ。
心から愛してるってちゃんと伝えられたら、そのときはドラコ姉さんだって、きっと…」
姉さんは首を横に振る。
「女王だって、言ったろ?エリーに関係なくても姉貴に関係ないわけがない、私はもう姉貴の仇も同義なんだぞ?
そんな私を姉貴が愛せるはずがないって、わかっちゃったから…」
「…そんなことないよ。私は、愛してるから。」
姉さんを抱きしめる腕にギュッと力が入る。姉さんの胸元に埋もれていた上半身を起こすと姉さんは驚いたような顔をしていた。
「私は今、恋をしてるの。その相手は魔物で、人間だったころの私の仇って言えるよね。しかも、その人は義理とはいえ姉妹だったりしちゃってさ。
……ドラコ姉さんじゃなきゃダメ?…私じゃダメ?
私は姉さんのことが好きで、好きで好きでたまらなくて、それでも姉さんにはドラコ姉さんがいるって、そう思ってずっと押さえてたの。
ねぇ、姉さん。私、姉さんのためなら何だってするわ。
私の淫魔の力を使えば姉さんが特別努力しなくたってドラコ姉さんに受け入れてもらえることだってきっとできるはずなのよ。だから、姉さん…」
お腹に当たっていた柔らかいけど芯の通った感触のする産卵管をそっと手に添え、上へそそり立った状態から前に倒す。
私はつま先立ちをして、それの先端を女の部分へと押しつけ、
「私をさ、抱いてよ。」
ズブリと一気に挿入した。
412 ... sage 2014/04/27(日) 21:01:09.81 ID:Nd2ezjcw
「はっあ…大きい…ぃ…いいよぉ、姉さんの産卵管、気持ち良いよぉ…!」
私が普段相手にしている人間のそれよりも圧倒的な体積を持つそれが私のオンナの器官をゴリゴリと押し広げていく。
性行為に特化した淫魔の私だから大丈夫だったけど、普通の人間には太すぎて筋が切れてしまうかも…
先端が私の子宮に侵入したところで根元まで咥えこめた。子宮口がぽっかりと開かれる感覚は私には初めての感覚で、新鮮で劇的な官能が襲いかかる。
私と姉さんでは身長差があるからどうしてもこんな立ったままの体勢だと踵が浮いたままになる。
不安定な姿勢は自然と私のナカのあちこちを刺激してきてもうクラクラしそう。
「え、エリー!?何をしてるの!?」
「姉さんは…女王なんでしょ…?なら、私に卵を産み付けてよ…私も苗床にしてよ…!」
「そ、そんな…ほ、本気なの…!?」
「私の目を見てよ、本気の、本気よ…!
…惚れたヒトのために生きるのって、女の夢だと思わない?姉さん?」
「…いいの?一度私の卵を受け入れたらずっと私の慰み者になるんだよ?エリー、分かってるの?」
「姉さんは優しいね。…でも私はいいんだ。私は姉さんのために生きたい。だから、姉さんの好きにしてよ。…無茶苦茶にして構わない、お願い。」
姉さんは一瞬だけ怪訝な顔をしたけど、静かに、だけど深くうなずいてくれた。
体格差がある以上、立ったままやるのは無理があるって姉さんが床に寝そべるように指示する。
その言葉にいよいよ姉さんが本気で私を犯してくれると思うと、気持ちが高揚してきて前々から濡れていたアソコがさらにビチャビチャになってしまいそう。
床に仰向けになり、誘うような目つきで誘惑の魔法を乗せて視線を送る。
さすがに竜族だけあって効きは悪かったようだが、それでも姉さんのほんの少しの迷いを取り払うには十分だったようね。
「エリー…エリー!」
「ん!?んひぃ!姉さん!姉さん、これ、すごいよォ!」
ブヨブヨしていた産卵管が一層逞しく滾って私のナカへと滑り込み、その未体験の太さに脳髄が焼き切れてしまうのがハッキリと感じられる。
耳の横に構えていた私の手を捉えるように姉さんの鱗に包まれた大きな手が上から押さえた。
そして私の身体を支えにして大胆なストロークで腰を振り、ズンズンと産卵管を抜き差してる。…姉さんの愛は激しいわね。
体中で暴れまわる快楽に耐えながら、尻尾同士、翼同士を合わせて絡ませてほんの少しでも姉さんをいっぱいに感じようとする私。
前を見るとそこにはケモノのようなギラギラした目で私を見てる姉さんの姿。こんな浅ましい姿を姉さんが見せるなんて騎士団の誰が知りうるだろうか。
そんな目にさせて、堕としてしまったのは私。姉さんのなかのわずかな私への理性を壊してしまったのだから。
あぁ、まさしく私は立派な淫魔だ。性欲を餌に我が姉をも墜落させてしまった。
ふと視線を下げると、姉さんの豊満な胸が私の気持ち程度の胸に当たっていかにも柔らかそうに形を歪めているのが見える。
私はそれを見て薄く微笑み、絡ませた尻尾を解いてその先端を姉さんのビンビンに尖った乳首に当ててみる。
「…!?なに、するの…!?」
「えへへ、エナジードレインの応用。アソコじゃないから精力はもらえないけど、ミルクなら出るかもね?」
「え…あぅんっ!?ひあっ!?」
先っぽが二股に割れた尻尾が乳首に喰らいつき、チュウウウなんて音を立てながら吸い上げる淫魔の得意技。
乳首責めの刺激に姉さんの上体がそれたところを見計らい、翼でふんばってもう片方の乳首にキスし、舌で愛撫し、さらにカリッと甘噛みしてやった。
「くひっ!?」
「甘いね姉さん、無茶苦茶にしてとは言ったけどジッとしてるのは淫魔のプライドに関わるんだ。いっぱい奉仕させていただくよ。」
「うあ…そんなところ吸ったら…ぁあああ出ちゃううぅうう!!」
ビュッビュと口と尻尾の中に粘っこい液体が入ってくる。姉さんの母乳だね。
…いや、違う?なんだこれ、甘ったるい…?あ、もしかして、これ、ハチミツ!?
そう気付くのが早いか、私の身体は限界を突破し急速に火照りだした。
やっぱり!この味は私の口の中に入ったのはドラコ姉さんが飲まされたモノと同じ、催淫効果たっぷりのヤツ!どうしよう!?飲んじゃった!
嚥下しちゃった金色の液体が内部から私に働きかけ、私の感覚をさらに高め、受容できる快楽の上限を飛躍的に高める。
尻尾から取り込まれた方は尻尾全体に行き渡り、ただでさえ性感帯である尻尾をクリのように敏感にさせてしまってた。
ひぃい!?ほんの少しの空気の流れでイっちゃいそうだよォ!あうぅ、こんなの初めてだよっ!?
413 ... sage 2014/04/27(日) 21:04:39.02 ID:Nd2ezjcw
「や、やぁっ!?だめ、だめなの!んほぉあ!?」
「わたしも、だめっ…!腰が、止まんないんだっ!」
犬のようにだらしなく口を開きパンパンと腰を打ちつける姉さんがもたらす快楽の刺激は、とっくに私の受け止めきれる限界を超えていたわ。
でも、姉さんのハチミツの魔力が私の気を保たせて、姉さんに奉仕する任務から解かせなかった。
それでも私はほぼイキっぱなしの状態で、とうに普段なら絶頂の頂点にいるような昂りであるには変わらなくて。
私はそんな快楽の激流に撃たれつつも、僅かな淫魔のプライドと姉さんへの想いを頼りに乳首への奉仕と産卵管の締め付けを頑張って続けた。
本当ならもっといろんな務めをするのが淫魔の手技の神髄だけど、快感で頭は真っ白で、今できることはそれしかなかったの。
そして、私は頑張り抜いた。
「あ、あ、あ!出る!エリー、出すよ!卵、産むからね!」
「あう、姉さ、ん!愛してる…よ…ぉおおおおほぉおお!?」
うああ!?大きい!大きすぎる!?卵が産道から産卵管まで降りてきて、赤ちゃんよりほんの少し小さいかどうかくらいの直径にまで膨れ上がるっ!
「ダメっ、そんな太さで子宮口に来ちゃったら、や、やめ、壊れちゃ、んひぃいいいいいいいあああああああ!!!」
ズゴンと子宮の真ん中くらいにまで届いた産卵管の先端から、姉さんの卵がゴポリと吐き出されたのがおぼろげにわかった。
憧れの人とセックスして、その卵をお腹に宿すことができた。
私は、凄まじいエクスタシーの快楽と途方もないプラトニックな充足感に押し流され、そっと両目を閉じた。
これが夢でないといいな、と思いながら。
414 ... sage 2014/04/27(日) 21:18:59.87 ID:Nd2ezjcw
レイアが女王に犯されてから一月が経った。
最近、ここ何週間か静かだったこの巣が急に騒がしいと魔界では評判になっている。
「ほら、こっちに来てね。」
「くぅ…!何をする気なんだ!」
人間の娘が二人の魔蜂の娘に誘導され、歩かされている。
服は着ていないほとんど裸同然の格好なので分かりにくいが、首飾りや靴の装飾の細やかさから決して高貴とは言えないがそれなりの家の出身なのだろう。
「とっても気持ち良いことだよ?ねぇ女王様?」
連れてこられた部屋は謁見室。豪奢な装飾のついた玉座に腰掛けているのはレイアだ。
その服装は彼女を犯したあの女王を彷彿とさせる同じデザインのものである。
「あぁ、そうだな。まさしく人外の快楽だ。」
「何だ貴様は…!?私をどうするんだ!」
「あぁ、名乗るのが先だったね。私はレイア、この巣の女王だ。見たところ相当に警戒してるみたいだが…なに、絶対に殺しはしないさ。そこは一つ安心してよ。」
「…じゃあ何のために私を!?」
「そうだな、端的に言えば…」
レイアは玉座から立ち上がるとその娘の目の前まで歩く。
そこでやおら下穿きを下ろすと、そこには大きく屹立した産卵管があった。
「私の子を産んでもらいたい。」
両脇を押さえつけられて足掻くこともままならないまま、娘は押し倒されその秘裂を産卵管が貫いた。
「あうっ!?な、なんてこと…!イヤっ…!」
「うん?これだけ太いのに痛くないのか?…まぁ毎晩お父上の太いモノを受け入れていれば大丈夫か。」
「えっ……、な、なんで…それを…!?」
「うふふ、私たちの情報網は広いんだ。さ、動くよ。」
「や、やめっ、」
拒絶の言葉を阻むように唇覆いかぶさるレイア。
娘は普段自分が受けてきた激しい性行為にはない意外な行動に一瞬動きが止まる。
その隙を見計らったようにレイアの舌が娘の口内を蹂躙し、彼女の唾液もとい蜜を味わせる。
「ん…ん、んんんんん!?んんんん!!!」
強靭な竜族さえも堕としたその凄まじい蜜に到底耐えられる身体も精神も持ち合わせていなかった娘に、すぐさま狂ってしまいそうなほどの火照りに襲われた。
あらんかぎりの力で叫ぼうとするが、口をレイアにふさがれ、その声は意味のある言葉として発せられない。
レイアは熱心に舌を絡めて彼女に蜜が浸透するのを促しつつ、ニュルニュルと音を立てながら娘の感触を愉しみだした。
若さのわりに熟れて余裕があるらしい。この太さをすんなりと受け入れられるとは都合が良いと彼女は娘の唇を奪っている口元が綻ぶ。
蜜の魔力にあてられて発情しきった娘の膣内はしとどに濡れていて一度腰を振るたびに双方に電撃のような快感が流れる。
意識が飛びそうになっている娘はもとより、レイアも同じく快楽の頂点に到達していた。
「んぁ!うっふ…でるっ…!」
「…え、へぇ…?え!?ダメ、ダメぇえええええひゃあああああっ!?」
彼女の胎内でプリプリと音を立てながらその最奥にレイアは卵を吐き出す。
直感で何が起きているかを察した彼女は身の破滅を感じながらも、次の一瞬であまりの快楽の前になすすべもなく絶頂を迎えていた。
415 ... sage 2014/04/27(日) 21:20:50.88 ID:Nd2ezjcw
彼女に無事に卵を託すことができたと確認したレイアは気をやっている彼女を衛兵に運ばせる。
部屋に散らばった愛液やらハチミツやらの一通りの後始末を済ませると、人払いののち別の部屋に移動した。
そこは本来ならば雄蜂がいつか来る交尾の時のために過ごす部屋なのだが、そこには一匹も蜂の姿はなかった。
「おーい、元気にしてたかい?」
「ね~姉さん、私たち逃げる気なんてないからこれ外してよぉ。」
そこにいたのはレイアの姉妹二人。双方ともハチミツを固めてできた鎖と首輪で壁に繋がれている。
鎖は長く、身体を拘束する意味よりも部屋から逃げ出さないことを目的としているらしい。
その身体はレイアの催淫性のハチミツにまみれ、腹は卵が詰め込まれて臨月の妊婦のようになっていた。
「ダメだ、姉貴とエリーは確かに私にとっては特別だけど苗床が首輪で繋がれるのはここのルールなの。分かった?」
「やだよーヤダヤダ!こんなハチミツがずっと肌に触れてたらずっと気持ちがムラムラして落ち着かなくてつらいよ!」
「…それがどうしたっていうの?
苗床は私がいつ卵を産みたくなっても良いようにずっと発情してなきゃいけない、そうでしょう?」
「うえぇ!?そ、そんなぁ…!あんまりだよぉ…」
落胆した表情で床にへたり込むエリー。その真下にはずっと前から滴っていたのか彼女の愛液で水たまりができている。
「な、なぁ…れ、レイア…もう、オレ、限界…」
隣で壁に寄り掛かるドラコが荒い息を吐きながら助けを求める。その上気した顔は止まらない火照りによるものだ。
「あれ?どうしたのかな、姉貴?ちゃんと言葉にしないと分からないよ?」
あえて頭では理解しながらも姉の言葉を解していないそぶりを見せるレイア。焦らされたドラコは顔をさらに真っ赤にしつつ口を開く。
「う……あの、もう、身体が敏感すぎてもう駄目なんだ、でも、自分一人じゃ足りなくて、その…」
「その?」
「れ…レイアの、産卵管を突っ込んでくれ!頼む、オレはもうおかしくなっちゃいそうなんだ!はやく、お前のそれでグチャグチャにしてくれ!」
恥も外聞もかなぐり捨てたように凌辱を求めるドラコ。その顔には目に光こそ灯っていたが、その奥の瞳が快楽一色に染まっていたのは明らかだ。
「んー、ダメだよ姉貴、女王様に頼むならちゃんとお願いする言い方があるじゃない?
まぁでも、今日はそれで及第点にしてあげるよ。でも、明日はもっとちゃんとした台詞、考えておいてね。」
「っ!それじゃあ!?」
「でもまだだよ、この前の卵、まだ孵ってないでしょう?」
「うぅ…もうおかしくなるってよぉ…」
そのとき、二人の脇で座り込んでいたエリーが急に顔を上げる。
「あ、姉さん、来る…!ああああああ!!!」
エリーの膨れ上がった腹がもぞもぞと動くと、胎内から少しづつ時間をかけて小さな赤ん坊が産まれてきた。
人間のそれよりも二回り以上も小さいその赤ん坊をレイアは抱きかかえ、愛おしそうに口付けをした。
エリーに産み付けられたレイアの卵が彼女の胎内で孵り、成長して産まれた子どもである。
「また産まれたね。この子でエリーとの子どもは5人目だね、その調子!」
「あうう…これがマジで毎日なの…?」
「そりゃそうでしょ?毎日産み付けてるんだから毎日産まれてきて当たり前だよ?
ほら、姉さんの方が終わったらエリーにもまた新しい卵、産むからね。」
「ひええええ…苗床きついぃ…」
「自分で望んだんでしょ?」
「だって、こんなに大変なんて、」
「だっても何もないよ。いいんだよ?役目から逃げる軟弱な心を持ってるならそれは壊すだけなんだから…」
「ふええ、姉さんが怖いぃ…」
だが、姉の発言に恐れをなすエリーも、彼女との子を抱きかかえるレイアも、今まさに陣痛が始まり目を見開いているドラコも三人とも口元は笑っていた。
数年後に、魔王討伐のため旅立った勇者が蜂の一族の手にかかり消息を絶つというニュースが人間界に衝撃をもたらすのだが、それは別のお話。
この後滅茶苦茶交尾した。
いけた!ちょっと投下しますね
________________
『た、助けて…!』
『…ん?あらあら、かわいい子がこんなところに転がってるわね。…今日のご飯がこんなところで手に入るなんて、今日の占いは当たってるわね。』
『あ、あ…』
「うわああああああ!!!………あ…ゆ、め…か。」
嫌な夢を見てしまった。地獄のような記憶、今でも続くこの悪夢の最初の一幕。
あの時のことは思い返すことすらはばかられるけど…はぁ、この心苦しさを受け止めてくれる存在がいないのは寂しいな。
たしか…おとといで7年目になるのかしら。…悲しいな、誕生日をこんな監獄の中で過ごすとは、ね。
とは言っても、それは『エリー』の誕生日であって、『私』自身の誕生日じゃないんだけど…
7年前の今日、一人の人間がこの世を去った。その名はエラン。
そして、その代わりに一匹の淫魔が生まれた。その名はエリー。…そう、私だ。
私は当時、どこにでもいそうな悪ガキだった。
家を出れば近所の農家から野菜をくすね、学校に行けば教師を落とし穴に落とし、仲の良い親友にもときおりイタズラを仕掛けていたっけ。
そんな私に、隣町に大きなリゾート施設ができたことが耳に入ったのは、まさしくこの悪夢が始まる前日だったような憶えがある。
私が住んでいた町は魔界と人間界の境にあり、一歩町より東へ歩みを進めればそこはもう魔物が我が物顔で闊歩する世界だったわ。
その隣町…つまり、魔界側の町。そこにある完成したばかりのリゾート…私の奔放な好奇心をくすぐるには十分すぎたのよ。
『痛い…ダメだ………死ぬのかな、僕。』
たしか潜入するのは簡単なことだったと記憶している。
城壁に囲まれた故郷の町から抜け出すのには頭を使ったけど…そこを抜けたらあとは楽勝だったかな。
あそこは、話に聞く魔界のイメージとは違って人間界の歓楽街と何一つ変わらなかった。
そこを目的のリゾートを探して散策していると、たしか酔ったオークの群れだったかな…
人間臭いとわめきたてるその連中に見つかり…私はリンチを受けた。
隙を見て必死で逃げだし、私一人ギリギリが通れる細い道…というかそもそも通路として設計されてないところを滅茶苦茶に走った。
魔物の馬鹿力に握りつぶされた腕はボロボロに折れて、激痛どころじゃないわけわからないオーバーフローした感覚だけが頭に伝わっていたわ。
痛さと疲れで限界に達した私は、通りの袋小路の脇に座り込んで休むことにしたんだったっけ…
『…!?人が来る…た、助けて…!』
『…ん?あらあら、かわいい子がこんなところに転がってるわね。…今日のご飯がこんなところで手に入るなんて、今日の占いは当たってるわ。』
『あ、あ…悪魔…!』
『やだもう、あたしは悪魔じゃなくて淫魔よ?…まぁ、見た目的には一緒かぁ。』
『た、食べないで…!殺さないで!助けて!』
『あっはは、怖がっててかわいい。大丈夫よ。殺したりしないから。』
『ホント!?悪魔のお姉さん!助けてくれる!?』
『うんうん、とびきりに気持ち良くしてあげる。』
…この言葉が甘言だって気付くのはすぐだったわ。
そのヒトは、私の服をびりびりに破くと、私のちんちんを片手で握って軽く扱くと、自分の秘所へと滑り込ませたの。
思えばそのヒトのそこはすごかった。まさに人外の快楽…いや、人間のがどんなのだかはもう感じられないわけだけど。
とにかく、全体が私のちんちんと密着して、そこからさらにぞわぞわと動いて私に味わったことのない感覚を与えていった。
…射精まで至るのに10秒くらいもかからなかった。思えばあれが私の精通だったと思うわ。
その後も何回も腰を振らされ、体力が力尽きれば魔法で私を操り人形にして強引に腰を振らされた。
言うなら『天獄』ってね。あれは…最高に気持ち良くて、最低な苦痛だった。快感も過ぎれば拷問になるって、よく言ったもんよね。
そのまま、私は悪魔のお姉さんに跨れたまま、命の全てをその膣と子宮に注ぎ、私は人として死んだんだ。
…次に目を覚ましたのは、丸一日も後の事だったらしい。
起きて一番初めに驚いたのは自分の髪が肩にかかってたこと。そして次が、ちんちんがなかったこと。
そして、見知らぬ女の人が、私の横たわっていたベッドに突っ伏して居眠りしていたこと。
それが、レイア姉さんとの出会いだったのよね。
406 ... sage 2014/04/27(日) 20:43:03.80 ID:Nd2ezjcw
『…ふぁ…あ、起きたみたいじゃないか。』
『え、誰…?ここ、どこ…?僕、どうなって…』
『ん、混乱してるようだな。一つずつ答えよう。ここは私の家だ。お前があんな物騒なところで白濁まみれで倒れているから私がここで介抱させてもらった。
…お前は…元人間だな?それも、男だった。』
『元、人間…?』
『あぁ、すまない。お前の身体は、一度死んでいるんだ。大方、淫魔に生命力全てを吸い取られたんだろう。』
『…!?僕、白いおしっこ出し過ぎて幽霊になっちゃった…?』
『そうじゃあない。…お前を殺してしまった淫魔も、本意ではなかったんだろう。たぶん、死ぬ寸前で止めておくつもりができなかったんだろうな。
お前の身体は、淫魔の魔力に侵食され、淫魔そのものとしてすでに転生している。…せめてもの償いのつもりだったんだな。』
『…僕が、あの悪魔のお姉さんの、仲間に…?』
『そういうことになる。あと、気付いてると思うがお前の身体は女になっている。』
『元に戻れないの!?』
『無理だな。その身体は人間の生を終えている。…無理に人間の魔力をそそいだとして、最高が人間として死ねることってところだろうな…』
『…そんな…』
『分かる。痛いほどに、お前の気持ちが分かる。お前は全てを失ったことになるが、それは…私も経験したことがあるから、な。
…安心しろ。私はお前を傷つけない。お前のような者を放っておくことなんて私にはできないから。だからこそあの町から私の家まで搬送させてもらった。』
姉さんは黙って私を抱きしめた。その腕には慈しみの想いと強い力がこもっていた。
そのとき後ろでゆらゆら揺れる尻尾とか翼とかを見つけてそこで初めて姉さんも人間じゃないって気付いたけど、不思議と怖くはなかったわね。
むしろ、力強い腕やゴワゴワした体毛の感触に、お父さんのような心強さを感じていたっけ。
『迷惑、だったか?』
『え、いや、別に…』
『そうか、魔に生を受けた同法のためにこの力を振るえて、私も嬉しい。そうだ、お前、名前は?』
『え、えっと…え、エラン。エラン・ボア。』
『エラン、か……よし、お前は今からエリー・バハムーンと名乗れ!
嬉しく思うがいい、お前は人間から名族バハムーン家に名を連ねるものとなれるのだからな!』
『あ、はい。って、え、えぇっ?』
『あ、名乗るのを忘れていたな…我が名はレイア・バハムーン。この魔界広しと言えども勝るものはない心技体揃った最強の一族、バハムーン家の次女である!
そして、我が一任にて、お前はこの家の養子とし、保護する!』
『は、はぁ…』
『あっはは、事情が呑み込めないか。まぁ、ゆっくりわかっていくといいよ。うん、今のうちに理解していてほしいことは…そうだな、
一つ、お前の家はこれからこの家になるということ。この部屋はお前にやる、けっこう狭いが好きに使うといい。
二つ、お前が何かわからないことがあったら、私に尋ねること。…まぁ私も常識には疎い方だがな。
三つ、お前に危害を加える輩がいたら、その不届き者に私が制裁を加えること。私がお前を守る、もうお前をあんな姿にはしたくない。
四つ、お前と私は血が繋がらなくとも歴とした家族だということ。義兄弟とは思わず、本当の姉のように接してくれたら私も嬉しい。
五つ、お前はこれから自分のことを僕じゃなくて私って言うこと。…残念だが人間だったころのこだわりは捨てろ、生まれ変わったと思って生きるんだ。
六つ…あー、だめだ、要点をまとめるのが私は苦手でね。それじゃあ、飯を作ってやるからゆっくり休むんだぞ。あぁ、質問があったらまた今度に聞いてくれ。』
『あ、待って!』
『…ん、何だ?エリー?』
『あ、えっと…僕、じゃない…私を…レイアさんは助けてくれたんだよね?』
『ああ、そうだ。…それとエリー、レイアさん、は良くないぞ?姉妹なんだから、姉さんと呼んでいいんだぞ?』
『え…じゃ、じゃあ…レイア…姉さん…』
『うん、何だ?エリー?』
『…助けてくれて、ありがとう。』
『ふふっ、困ったときはお互いさま、人間はよくそう言うんだってね。お前は元人間だからそれに従ったまでだ。
だが…今後は魔界の常識に従ってもらうぞ?それこそ…郷に入らば郷に従え、だぞ。』
407 ... sage 2014/04/27(日) 20:50:53.49 ID:Nd2ezjcw
…あの時のドヤ顔混じりの笑顔、ずっと記憶の片隅に焼付いているわ。
頬骨の出っ張り具合、眉の角度、片方だけにできたえくぼ、化粧の色、全部覚えているつもり。
上流種族の竜族の中で低級悪魔である淫魔の私が暮らすのは姉さんたちが考えているよりも厳しく、ずっと、ずっと悪夢の中にいるような日々だった。
罵倒され、蔑まれ、暴力を振るわれ、差別され…だけど、それでも私は這いつくばって周囲に認められるまで努力し続けたわ。
それはあの時のレイア姉さんの朗らかの笑顔がずっと支えになってくれていたから。
レイア姉さんとドラコ姉さんの二人がこの悪夢の中で唯一の希望になってくれていたから。
だから人間と対立する魔物になってしまった事実も受け入れられたのよ。
それに葛藤してる姿を見せたら、心配性で考えすぎな姉さんたちってば絶対気にしちゃうから。
私はもう大丈夫だってこと、私はもう魔物として生きていけるってことを証明するために…私は自分が指揮した軍で故郷を落としたの。
そして、親に打ち勝って一人前というしきたりにならって、この手で、『エラン』の両親を殺した。
懐かしいなぁ、父さんと母さんが私の腕に胸を貫かれて膝から崩れていったあの瞬間。…涙が止まらなかったけど、スカッとした。
今ではもう、人間を襲うことに抵抗なんかないし、むしろ私の下でその命の源泉を枯らしていく人間の弱々しい様を見るとゾクゾクしちゃうくらい楽しい。
あ、でも、一番好きなのは姉さんたちが溜まっちゃったときの処理かな。なんでも、ひとりでエッチするのは部族の道徳に反するんだってね。
ドラコ姉さんはただ性欲が消えてくれることを望んでるだけだったから最近はご無沙汰だけど、
レイア姉さんは一応今後のために絶頂を知ってみたいって言ったから楽しませてもらってるわ。
姉さんたちのアソコをいじるのはなかなかに楽しい。感覚の鈍い竜族の中では意外と弄りがいのある反応をしてくれるから。
ふふふ…あれだけ気付かれないうちにいろいろ開発しちゃったから、そのうち気付かれて怒られちゃうかしら?
…あぁそうか、思い返すとあの笑顔を見た瞬間から、レイア姉さんのことが、
「ほぅ、さすがに二週間もここにいると暴れはしないようじゃの。」
顔を上げると、自分がこれまで見た画一化された見た目の働き蜂とは一線を画する背が高くて豊満な見た目の魔蜂がいた。
それが誰か理解した瞬間、人生で今まで体験した最高のそれをダブルスコアで上回るほどの殺意が湧いてきた。
「…あぁ、貴方ですか。義父上と義母上を…殺したのは。」
「まぁ、そうなるかの。」
「…よくぬけぬけとそのようなことを言えますね?ヒトの殺意をそんなあっけらかんとした顔で煽るとはいい根性していますね。私の大切な姉の実の両親を…!」
「おーおー、義姉に負けず気概があるの。まぁそう猛るな、妾はそなたに提案があるのじゃ。」
「提案…?良い予感はまるでしませんね。」
「そう言うな。まぁ聞く気がなくとも話すだけ話させておくれ。…妾はそなたを解放しようと思う。」
「へぇ、どういう風の吹き回しですかね?そんなことをしたらすぐにその首私の爪が掻っ捌きますよ?」
「ふふふ、それは危ない。では妾はその時には退散するとしよう。…これはゲームじゃ。
ゲームの内容は簡単、そなたがここを脱出することができれば勝ちじゃ。
妾はこれからそなたらの主、皇太子殿に嫁ぐためここを出立する。…その間、次の女王が即位するまでここは主が空白となり機能を停止する。
そう、おぬしにはその間の時間にならここを脱することができる可能性があるのじゃ。
…妾も娘たちも我ら全員誰も邪魔はせぬ、無事にこの入り組んだ巣から逃げおおせてみせよ。」
「…胸糞悪い趣向ですね。何を考えているのかは知りませんが…まぁいいでしょう。無事に本部まで帰還し、援軍を携えてここに戻ってくるとしましょうね。
おそらく、誰も私たちがここに収監されていることなど、まだ本部には連絡が届いていないでしょうから。」
「おやおや、そなたは竜の血を持たないというのに、やたらと血気盛んじゃの。」
「大切な姉を救うためならどんな手段を用いてもここを脱出し、戻ってきますよ?」
「それはいけない、では…
あっちじゃ、向こうの通路の右のつきあたり…そこの部屋にそなたの義姉がおる。ついでに助けていくとよい。」
「…理解できませんね。隊長格の私たちを解放することがどれだけの損失になるか理解していないのかしら。」
「ふふふ、損得勘定だけでしか動かない固い頭ではないということよ。…さて、衛兵を呼んでここを開けさせるとしよう。では、さらばじゃ。」
408 ... sage 2014/04/27(日) 20:52:40.48 ID:Nd2ezjcw
小さな魔法光の照明が並ぶ廊下を駆け抜け私は急ぐ。頭の中では、たくさんのことが思い浮かんだまま渦巻いていた。
相手は何を考えてこんな行動に出たのだろうか、自分は何を行うのが的確なのか。その分析を進めようとしていた。
床の小さな凹凸が素足に当たって痛い。この前できたマメがつぶれて血が出ているかもしれないがそんなことに限りある注意力を割いている余裕はない。
こんな時、この翼で飛べたらいいのにと思う。だが、もう少し魔物として歳を重ねて強くならなくてはそれは叶わない。それは大人になってからの話。
だがその一方で全くの膨らみもない胸は走るのには助かる。前に姉さんたちが全力で走るときに胸が上下して気になると言っていたのを思い出す。
飛べるようになるころにはこの胸も大きくなるのだろうか。そう思うとこの身体は上手くできているなとも思う。
…って違う、そんなことを考えている場合じゃなくて!
「ふぅああうあああああぁぁあっ……!」
やおら聞き覚えのある声色の悲鳴が響く。それはドラコ姉さんの声。
「やっぱりこの部屋からね…」
ひたすらに走っているうちに分かれ道についた。目の前は部屋で扉から直角に道が左右に伸びている。
たしか聞いた話が正しければこの部屋にドラコ姉さんがいる。
でも怪しい。この部隊どころか騎士団全体の長である姉さんの居場所をそんなさらっと教えるだろうか?捕虜の中で一番価値がある姉さんの居場所を?
ゲームとやらをおもしろくするための罠、という発想は十分にある。つまりはこの扉を開いてはいけないような気がする。虫の知らせ的な直感でしかないけど。
そう考えてしばらく扉の前で考えているときに飛び込んできたこの叫び声。
しかし蓄音機を使った罠かもしれない。妙な胸騒ぎを押さえて警戒しつつ扉に耳を寄せて聞き耳を立てる。
「うっあぁ、っはぁ、あぁっ…!」
…どういうことだろうか。扉越しに聞こえてくるドラコ姉さんの声は上ずっていて、そこには魔力の奔流が確認できる。
この声は、心からの嬌声だ。私が何人もその状態まで陥れてきた、色に溺れた人間が出すそれを、尊敬する姉さんが出している。
そんな…誰よりも清廉潔白であることを自分に課していたドラコ姉さんがあんな私でも出せないような艶めかしい声を…
「姉さん!……ッ!?」
バッと扉を開けた私が見たものは生まれたままの姿で床に背中をつけて寝そべっていた姉さんだった。
だが…その姿は見るのも無残なほどに墜落していた。
利き手である左腕は秘所に向かっており乱暴に抜き差しを行いつつクリを摘まんで快楽をやみくもに食い荒らしている。
右腕は左胸を無慈悲に揉みしだいていて、指の腹で乳首を押し込むようにさすっているのが仰向けなのでよく見える。
私が視界に入っているはずなのに、虚ろな目から届く私という情報は姉さんの理性の弾けた頭では理解できないようだった。
「っふ、っふあ、あはっ…ああああ、あっ…うっ…」
喘ぐ声を聞くまでもない。充満する雌の匂いを嗅ぐまでもない。しとどに蜜を出す秘所を見るまでもない。
姉は、惚けていた。それだけで私には尊敬する姉が壊れてしまっていることが分かった。
目の前にいるのは姉でもなく騎士団長でもなく、絶頂を迎えるただそれだけのために命を消費する下品という表現もおこがましい一匹のメスだった。
「姉、さん…そんな、姉さん、何で…!?」
その声は届かない。
彼女の身体の五感は性感帯の触覚のみが機能し、他はその務めを放棄してしまったかのようだ。
頭の中に、悲しみと屈辱と驚きと侮蔑と憐みと怒りがまぜこぜになった混沌な感情が膨らむ。
…私が墜落させた人間にも家族がいて、ちょうど今の私のようなこんな気持ちだったのかしら。
この怒りの矛先は、こんなことをした犯人と、それに屈した姉の両方に向いている。
「………助けなきゃ。」
409 ... sage 2014/04/27(日) 20:55:19.01 ID:Nd2ezjcw
自分は淫魔だ。性欲を操る術には長けている。
彼女が色に狂っているのなら欲求を叶えつつ鎮めてやれば良い。自分は性欲の亢進と減退の両方を操作できる術をある程度心得ている。
性欲減退の魔法はドラコ姉さんがムラムラしたときに頼まれてよく使ってあげたものだけど…
「まさか…そんなに欲望が溜まってるとは思わなかったよ。姉さん。」
彼女の鱗のない下腹部に私の尖った爪をめり込ませ、皮を突き破り傷を作る。
燃えたぎるような火の魔力の濃縮された彼女の血をたっぷりと指につけ、ハートの形に塗り広げたところで両手をかざす。
むせ返るようなメスの匂いが血から漂う。…血液中にこんなに魅了の魔力が確認できるなんて、いったいどんな媚薬を盛られたというのかしら。
「…ごめん、姉さん。これ以上みっともない姿をさらしてほしくないんだ。…荒療治だけど失礼するよ。」
ボウ、という音を立てて両手の手のひらに二つの光が生じる。それは塗られた血のマークを乾かし、淫魔との血の盟約…淫紋へと姿を変える。
本来これは気に入った人間を捉えて逃れられなくする拘束具なのだけど…もともとの使い道なんかは今はどうでもいいか。
「う…?あ…!?っはぁあ!う…ぁあ!」
「ほら、これでイケるから…スッキリさせなよ、姉さん。」
淫紋を通じて念を送り彼女の感度を高めつつ、両手で胸を、尻尾でクリを撫で上げたりアソコに抜き差ししたりしてテンポよく刺激する。
すでに裂けていた膜の残骸が尻尾に触れ心が痛む。きっと心が壊れそうなくらいにつらい目に遭ったのだろう。…私にできるならそれを癒せればよいけど。
舌が手持ち無沙汰だからとりあえず彼女の唇を奪うことにした。
「ん……んん?」
甘い。…おや、姉さんの唇ってこんな甘かったかしら、と記憶の糸をたどろうとして、彼女の口内に大量のハチミツがあふれていることに気付く。
あまりにも甘ったるくて頭がくらくらする。牢屋に入れられていた時に食事として出されたそれよりもさらに濃い。こうなるなら耳を弄ぶべきだったかしら。
いや、姉さんの口の中を犯すこのめまいがする甘物を私の手で取り除いてあげなくては。
よく味わうと私でも少しムラムラしてしまうほどの催淫の味を感じる。血にしみ込んでいたピンクな魔力の根源はこれね。
「ん…ん!ん!んんんっ!!」
本気でイかせにかかったので彼女が念願の快楽に身体をうち震わせるまでには時間はかからなかった。
食事として性を弄ぶ私にはイかせるくらいは楽勝。
全身を突っ張り受け止めきれない快楽を享受しているその姿は私の知る彼女のこれまでには一切なかった姿。その顔は恥も外聞もないだらしない惚け顔。
これまで貞操を守り一度も堪能させてもらえなかった長姉のナカは激しく私の尻尾を噛み砕くように締め付け、その感触の良さに熱の籠った息が出そうになる。
でもそれはだめ、私までこの情欲の波に流されちゃいけない。
それにしても、あのドラコ姉さんのような人間界でもまず珍しいような清廉潔白な生粋の武人がこんなケダモノのような部分が僅かでもあるとは思わなかったわね。
もっと言うなら、それに姉さんが支配されるなんて思いつきもしない事実だわ。内側から崩れるような弱みを持っているヒトじゃないと思っていたし。
快感の雷に打たれて見開かれたその目に光が戻ることを祈って口内のハチミツを舐め取っては飲み込み、その色欲の世界へ誘う成分を体内で浄化していく。
…胃がもたれてムカムカしてくる。消化しきれないほどにその成分は強大なのだとひしひしと感じるわね。
私の浄化が追い付かないほどの潤沢な催淫の魔力…
こんなものを蜂は生成できるというなんて…
羨ましい。
410 ... sage 2014/04/27(日) 20:57:04.85 ID:Nd2ezjcw
処女をこじらせて性についてあれだけ汚らしいと偏見を持ってたドラコ姉さんがこんなことになるような力を持つ媚薬…
それを手にできたら…いくらだって食事には困らなくなるわ。
淫魔であるからには食事の方法として人間から生命力をいただくのだけど…その、精ではなく愛液の方が数倍美味しく感じる性分なのよね。
身体は淫魔の…女のモノとなったとはいえ、私の魂の根源は男なのだから仕方ない。いくら外見に態度を合わせたとしても、女性としたいのが本音だからね。
しかし…女性を襲うといっても同性に興味がある人でなければ私程度の実力では強引に絶頂まで導き生命力を奪うことはできない。
同性に性的に襲われるというのは耐性がある人とない人ではっきり分かれているものだから。
そういう行為に嫌悪感が少ない相手でも相当に丁寧な責め手で頑張ってようやく本番に臨めるという状態であるのが現状。
こんな年端もいかない少女のような見た目の魔族に誘惑されて欲情する人間の女なんて相当な物好きかロリコンか痴女かの三択なのよ。
けど、この媚薬を使えば心行くまで町中の女の善がり狂う姿を見ることができるしその味を愉しむこともできるかもしれない…
そんな私にとっての桃源郷、淫魔の楽園が成るかもしれないモノ。それが姉さんの口いっぱいに注がれていた。
飛竜のドラコ姉さんがこうなるのだから人間が相手なら一滴で廃人寸前というレベルかしら…
そこまで考えを巡らせて自分の息が荒くなっていることに気付く。
脱力した体と湿って張り付くショーツは私が僅かにだが達したことを伝える。それほど自分の心が歓喜に打ち震えているのね。
当然だ、夢ですら思い浮かべなかったような理想の世界の実現を叶える薬がここにはあるのだから。何とかして手に入れたい。
そんなものを手に入れたら私は鬼に金棒どころではない。…今更ながら私を人間の器から解いてくれたあの淫魔のお姉さんに感謝したい気持ちよ。
ゲスな笑みが止まらない。絶頂の余韻もあって最高に近い気分!
「…はぁ…っはっは…えへへ、何さ、私の望むものはこんなところにあったのね…!
うふふふふふふふふふ………ハチミツがこんなにすごいものだなんてね。こんなものを今までどこに溜め込んでたのかしら。」
「…あれ?エリー?」
「……え?」
なんで、という言葉が思いつき、それしか考えられなかった。
レイア姉さんはどうしてこんなところにいるのかしら、という疑問が派生し頭の中が疑問で覆い尽くされていく。
どうして身体からハチミツの匂いを気分が悪くなりそうなくらいにプンプンと漂わせているのかしら、
どうして頬がまるで恋をしているみたいな紅潮をしているのかしら、
どうして魔法を使わないはずなのに魅了の魔力を放出しているのかしら、
どうしてレイア姉さんもドラコ姉さんと同じ全裸なのかしら、
なぜギンギンとご立派なナニが股間から生えているのかしら。
「やっぱりエリーだ。こんなところにいたんだね。探したんだよ?」
「姉さん…!?そ、それって…!?」
「あ、これ?産卵管。」
さも当たり前のように答えるその回答に一瞬理解が追い付かず自分の耳から反対側へと言葉が抜けていく。
産卵管?蟲の生殖器がなぜ姉さんに?
い、いや、たしかに気になるけどそんなことよりもまずはドラコ姉さんを助けることが先決よね!
「姉さん!ドラコ姉さんが、おかしくなっちゃってるの!」
「あぁ、知ってる。私がそうしたんだ。」
「え?」
「私、いろいろあってね。ここの女王になったんだ。それで、私が産む卵の苗床として姉貴を選んだんだ。
でも……姉貴の理性はそれを拒んだ。だから、狂ってもらった。仕方ないね、あてがわれた役目を放棄するなんてここでは認められないのに。」
倫理的に明らかに脱線した理屈が姉さんの口から紡がれ、私はただただ唖然とするばかり。
まるで姉さんが私の知っている姉さんでない何かになってしまったみたいな、そんな心地がして姉さんの身体から漂う匂いとあいまって吐き気が催すような心地。
あんなに優しかった姉さんからはとてもじゃないけど想像つかないような言葉たちが、私を加速度的に困惑させる。
姉さんが女王?文脈的にそれは魔蜂の女王蜂ということかしら。あれだけ蟲を嫌悪していた姉さんが、何で…!?
411 ... sage 2014/04/27(日) 20:59:17.30 ID:Nd2ezjcw
「そんな、そんなこと、おかしいよ…!」
いろんな感情や思いが混濁してただただわけがわからないということが分かる。
「たしかにおかしいかもしれないけど、私はこうするしかなかったから。」
「なんで!?ドラコ姉さんのこと、好きなのに!?」
ハッと息を呑み、レイア姉さんが驚いた目で私を見つめる。
「あ…知ってたの?」
「当たり前よ。家族だから。だから意味がわかんないんじゃない!レイア姉さんは、ドラコ姉さんが大切なヒトなんでしょう!?
なのに…なんで傷つけるの!?そんなこと、姉さんは望んでないでしょう!」
「……しょうがないじゃない。もうこの身体は、蜂のモノなんだ。魔蜂のために私はこの身を捧げなきゃいけないんだ。
私だって、普通に姉貴を好きでいたいさ。でも姉貴はたとえ姿が私だとしても、蟲の女王の求愛に応じるわけがないじゃないか。
私は姉貴を愛してる。姉貴との子どもが欲しいとさえ思ってる。でも、姉貴はそれを拒んだ。
だから、こうするしかないんだ。」
レイア姉さんは床に寝そべって官能の渦に意識を失ったままのドラコ姉さんを見つめている。その瞳はすさまじく憂いを帯びていた。
握りしめたままのその拳はあまりの握力の強さに血が出てしまっていた。
そのとき、私は気付いた。今の姉さんは私の知っている通りのいつもの姉さんだった。
優しくて、勇敢で、勘が鋭くて、姉妹想いで、でも優しすぎるせいで無駄に悩みを抱えて突飛な行動に出てしまう危なっかしい、
でも尊敬できる私のレイア姉さんだった。
「…あは、まったく……姉さんってば、」
駆け寄って腰に手をまわして抱きしめる。なんかお腹にブヨブヨと当たるものがあるが気にしない。
「勝手に一人で思い詰めて、姉さんは一人じゃないでしょう?ドラコ姉さんがそれだけ好きなのはわかるけど、それを理由に振り回すのはダメだよ姉さん。」
「エリー?」
「何があったかは今は聞かない。
でも私は、レイア姉さんはドラコ姉さんが好きだってことに嘘偽りがなくて、
結ばれたいっていう想いを持ってるなら、きちんと真正面から向き合わないとダメよ?」
「でも、姉貴は、」
「でもも何もないわ。
女王?姉さんの事情なんてそんなことは言い訳にしかならないんだから。私は今の姉さんを受け入れるわ。だから姉さんも自信を持ってよ。
一度くらいフラれたらなんだってのよ、人間界にはこんな言葉があるんだよ、『三度目の正直』って言って、二回目までの失敗は考えないってことね。
もし、姉さんがドラコ姉さんに告白して嫌がられたからこんなことをしたって言うなら、すぐに止めてあげてよ。
心から愛してるってちゃんと伝えられたら、そのときはドラコ姉さんだって、きっと…」
姉さんは首を横に振る。
「女王だって、言ったろ?エリーに関係なくても姉貴に関係ないわけがない、私はもう姉貴の仇も同義なんだぞ?
そんな私を姉貴が愛せるはずがないって、わかっちゃったから…」
「…そんなことないよ。私は、愛してるから。」
姉さんを抱きしめる腕にギュッと力が入る。姉さんの胸元に埋もれていた上半身を起こすと姉さんは驚いたような顔をしていた。
「私は今、恋をしてるの。その相手は魔物で、人間だったころの私の仇って言えるよね。しかも、その人は義理とはいえ姉妹だったりしちゃってさ。
……ドラコ姉さんじゃなきゃダメ?…私じゃダメ?
私は姉さんのことが好きで、好きで好きでたまらなくて、それでも姉さんにはドラコ姉さんがいるって、そう思ってずっと押さえてたの。
ねぇ、姉さん。私、姉さんのためなら何だってするわ。
私の淫魔の力を使えば姉さんが特別努力しなくたってドラコ姉さんに受け入れてもらえることだってきっとできるはずなのよ。だから、姉さん…」
お腹に当たっていた柔らかいけど芯の通った感触のする産卵管をそっと手に添え、上へそそり立った状態から前に倒す。
私はつま先立ちをして、それの先端を女の部分へと押しつけ、
「私をさ、抱いてよ。」
ズブリと一気に挿入した。
412 ... sage 2014/04/27(日) 21:01:09.81 ID:Nd2ezjcw
「はっあ…大きい…ぃ…いいよぉ、姉さんの産卵管、気持ち良いよぉ…!」
私が普段相手にしている人間のそれよりも圧倒的な体積を持つそれが私のオンナの器官をゴリゴリと押し広げていく。
性行為に特化した淫魔の私だから大丈夫だったけど、普通の人間には太すぎて筋が切れてしまうかも…
先端が私の子宮に侵入したところで根元まで咥えこめた。子宮口がぽっかりと開かれる感覚は私には初めての感覚で、新鮮で劇的な官能が襲いかかる。
私と姉さんでは身長差があるからどうしてもこんな立ったままの体勢だと踵が浮いたままになる。
不安定な姿勢は自然と私のナカのあちこちを刺激してきてもうクラクラしそう。
「え、エリー!?何をしてるの!?」
「姉さんは…女王なんでしょ…?なら、私に卵を産み付けてよ…私も苗床にしてよ…!」
「そ、そんな…ほ、本気なの…!?」
「私の目を見てよ、本気の、本気よ…!
…惚れたヒトのために生きるのって、女の夢だと思わない?姉さん?」
「…いいの?一度私の卵を受け入れたらずっと私の慰み者になるんだよ?エリー、分かってるの?」
「姉さんは優しいね。…でも私はいいんだ。私は姉さんのために生きたい。だから、姉さんの好きにしてよ。…無茶苦茶にして構わない、お願い。」
姉さんは一瞬だけ怪訝な顔をしたけど、静かに、だけど深くうなずいてくれた。
体格差がある以上、立ったままやるのは無理があるって姉さんが床に寝そべるように指示する。
その言葉にいよいよ姉さんが本気で私を犯してくれると思うと、気持ちが高揚してきて前々から濡れていたアソコがさらにビチャビチャになってしまいそう。
床に仰向けになり、誘うような目つきで誘惑の魔法を乗せて視線を送る。
さすがに竜族だけあって効きは悪かったようだが、それでも姉さんのほんの少しの迷いを取り払うには十分だったようね。
「エリー…エリー!」
「ん!?んひぃ!姉さん!姉さん、これ、すごいよォ!」
ブヨブヨしていた産卵管が一層逞しく滾って私のナカへと滑り込み、その未体験の太さに脳髄が焼き切れてしまうのがハッキリと感じられる。
耳の横に構えていた私の手を捉えるように姉さんの鱗に包まれた大きな手が上から押さえた。
そして私の身体を支えにして大胆なストロークで腰を振り、ズンズンと産卵管を抜き差してる。…姉さんの愛は激しいわね。
体中で暴れまわる快楽に耐えながら、尻尾同士、翼同士を合わせて絡ませてほんの少しでも姉さんをいっぱいに感じようとする私。
前を見るとそこにはケモノのようなギラギラした目で私を見てる姉さんの姿。こんな浅ましい姿を姉さんが見せるなんて騎士団の誰が知りうるだろうか。
そんな目にさせて、堕としてしまったのは私。姉さんのなかのわずかな私への理性を壊してしまったのだから。
あぁ、まさしく私は立派な淫魔だ。性欲を餌に我が姉をも墜落させてしまった。
ふと視線を下げると、姉さんの豊満な胸が私の気持ち程度の胸に当たっていかにも柔らかそうに形を歪めているのが見える。
私はそれを見て薄く微笑み、絡ませた尻尾を解いてその先端を姉さんのビンビンに尖った乳首に当ててみる。
「…!?なに、するの…!?」
「えへへ、エナジードレインの応用。アソコじゃないから精力はもらえないけど、ミルクなら出るかもね?」
「え…あぅんっ!?ひあっ!?」
先っぽが二股に割れた尻尾が乳首に喰らいつき、チュウウウなんて音を立てながら吸い上げる淫魔の得意技。
乳首責めの刺激に姉さんの上体がそれたところを見計らい、翼でふんばってもう片方の乳首にキスし、舌で愛撫し、さらにカリッと甘噛みしてやった。
「くひっ!?」
「甘いね姉さん、無茶苦茶にしてとは言ったけどジッとしてるのは淫魔のプライドに関わるんだ。いっぱい奉仕させていただくよ。」
「うあ…そんなところ吸ったら…ぁあああ出ちゃううぅうう!!」
ビュッビュと口と尻尾の中に粘っこい液体が入ってくる。姉さんの母乳だね。
…いや、違う?なんだこれ、甘ったるい…?あ、もしかして、これ、ハチミツ!?
そう気付くのが早いか、私の身体は限界を突破し急速に火照りだした。
やっぱり!この味は私の口の中に入ったのはドラコ姉さんが飲まされたモノと同じ、催淫効果たっぷりのヤツ!どうしよう!?飲んじゃった!
嚥下しちゃった金色の液体が内部から私に働きかけ、私の感覚をさらに高め、受容できる快楽の上限を飛躍的に高める。
尻尾から取り込まれた方は尻尾全体に行き渡り、ただでさえ性感帯である尻尾をクリのように敏感にさせてしまってた。
ひぃい!?ほんの少しの空気の流れでイっちゃいそうだよォ!あうぅ、こんなの初めてだよっ!?
413 ... sage 2014/04/27(日) 21:04:39.02 ID:Nd2ezjcw
「や、やぁっ!?だめ、だめなの!んほぉあ!?」
「わたしも、だめっ…!腰が、止まんないんだっ!」
犬のようにだらしなく口を開きパンパンと腰を打ちつける姉さんがもたらす快楽の刺激は、とっくに私の受け止めきれる限界を超えていたわ。
でも、姉さんのハチミツの魔力が私の気を保たせて、姉さんに奉仕する任務から解かせなかった。
それでも私はほぼイキっぱなしの状態で、とうに普段なら絶頂の頂点にいるような昂りであるには変わらなくて。
私はそんな快楽の激流に撃たれつつも、僅かな淫魔のプライドと姉さんへの想いを頼りに乳首への奉仕と産卵管の締め付けを頑張って続けた。
本当ならもっといろんな務めをするのが淫魔の手技の神髄だけど、快感で頭は真っ白で、今できることはそれしかなかったの。
そして、私は頑張り抜いた。
「あ、あ、あ!出る!エリー、出すよ!卵、産むからね!」
「あう、姉さ、ん!愛してる…よ…ぉおおおおほぉおお!?」
うああ!?大きい!大きすぎる!?卵が産道から産卵管まで降りてきて、赤ちゃんよりほんの少し小さいかどうかくらいの直径にまで膨れ上がるっ!
「ダメっ、そんな太さで子宮口に来ちゃったら、や、やめ、壊れちゃ、んひぃいいいいいいいあああああああ!!!」
ズゴンと子宮の真ん中くらいにまで届いた産卵管の先端から、姉さんの卵がゴポリと吐き出されたのがおぼろげにわかった。
憧れの人とセックスして、その卵をお腹に宿すことができた。
私は、凄まじいエクスタシーの快楽と途方もないプラトニックな充足感に押し流され、そっと両目を閉じた。
これが夢でないといいな、と思いながら。
414 ... sage 2014/04/27(日) 21:18:59.87 ID:Nd2ezjcw
レイアが女王に犯されてから一月が経った。
最近、ここ何週間か静かだったこの巣が急に騒がしいと魔界では評判になっている。
「ほら、こっちに来てね。」
「くぅ…!何をする気なんだ!」
人間の娘が二人の魔蜂の娘に誘導され、歩かされている。
服は着ていないほとんど裸同然の格好なので分かりにくいが、首飾りや靴の装飾の細やかさから決して高貴とは言えないがそれなりの家の出身なのだろう。
「とっても気持ち良いことだよ?ねぇ女王様?」
連れてこられた部屋は謁見室。豪奢な装飾のついた玉座に腰掛けているのはレイアだ。
その服装は彼女を犯したあの女王を彷彿とさせる同じデザインのものである。
「あぁ、そうだな。まさしく人外の快楽だ。」
「何だ貴様は…!?私をどうするんだ!」
「あぁ、名乗るのが先だったね。私はレイア、この巣の女王だ。見たところ相当に警戒してるみたいだが…なに、絶対に殺しはしないさ。そこは一つ安心してよ。」
「…じゃあ何のために私を!?」
「そうだな、端的に言えば…」
レイアは玉座から立ち上がるとその娘の目の前まで歩く。
そこでやおら下穿きを下ろすと、そこには大きく屹立した産卵管があった。
「私の子を産んでもらいたい。」
両脇を押さえつけられて足掻くこともままならないまま、娘は押し倒されその秘裂を産卵管が貫いた。
「あうっ!?な、なんてこと…!イヤっ…!」
「うん?これだけ太いのに痛くないのか?…まぁ毎晩お父上の太いモノを受け入れていれば大丈夫か。」
「えっ……、な、なんで…それを…!?」
「うふふ、私たちの情報網は広いんだ。さ、動くよ。」
「や、やめっ、」
拒絶の言葉を阻むように唇覆いかぶさるレイア。
娘は普段自分が受けてきた激しい性行為にはない意外な行動に一瞬動きが止まる。
その隙を見計らったようにレイアの舌が娘の口内を蹂躙し、彼女の唾液もとい蜜を味わせる。
「ん…ん、んんんんん!?んんんん!!!」
強靭な竜族さえも堕としたその凄まじい蜜に到底耐えられる身体も精神も持ち合わせていなかった娘に、すぐさま狂ってしまいそうなほどの火照りに襲われた。
あらんかぎりの力で叫ぼうとするが、口をレイアにふさがれ、その声は意味のある言葉として発せられない。
レイアは熱心に舌を絡めて彼女に蜜が浸透するのを促しつつ、ニュルニュルと音を立てながら娘の感触を愉しみだした。
若さのわりに熟れて余裕があるらしい。この太さをすんなりと受け入れられるとは都合が良いと彼女は娘の唇を奪っている口元が綻ぶ。
蜜の魔力にあてられて発情しきった娘の膣内はしとどに濡れていて一度腰を振るたびに双方に電撃のような快感が流れる。
意識が飛びそうになっている娘はもとより、レイアも同じく快楽の頂点に到達していた。
「んぁ!うっふ…でるっ…!」
「…え、へぇ…?え!?ダメ、ダメぇえええええひゃあああああっ!?」
彼女の胎内でプリプリと音を立てながらその最奥にレイアは卵を吐き出す。
直感で何が起きているかを察した彼女は身の破滅を感じながらも、次の一瞬であまりの快楽の前になすすべもなく絶頂を迎えていた。
415 ... sage 2014/04/27(日) 21:20:50.88 ID:Nd2ezjcw
彼女に無事に卵を託すことができたと確認したレイアは気をやっている彼女を衛兵に運ばせる。
部屋に散らばった愛液やらハチミツやらの一通りの後始末を済ませると、人払いののち別の部屋に移動した。
そこは本来ならば雄蜂がいつか来る交尾の時のために過ごす部屋なのだが、そこには一匹も蜂の姿はなかった。
「おーい、元気にしてたかい?」
「ね~姉さん、私たち逃げる気なんてないからこれ外してよぉ。」
そこにいたのはレイアの姉妹二人。双方ともハチミツを固めてできた鎖と首輪で壁に繋がれている。
鎖は長く、身体を拘束する意味よりも部屋から逃げ出さないことを目的としているらしい。
その身体はレイアの催淫性のハチミツにまみれ、腹は卵が詰め込まれて臨月の妊婦のようになっていた。
「ダメだ、姉貴とエリーは確かに私にとっては特別だけど苗床が首輪で繋がれるのはここのルールなの。分かった?」
「やだよーヤダヤダ!こんなハチミツがずっと肌に触れてたらずっと気持ちがムラムラして落ち着かなくてつらいよ!」
「…それがどうしたっていうの?
苗床は私がいつ卵を産みたくなっても良いようにずっと発情してなきゃいけない、そうでしょう?」
「うえぇ!?そ、そんなぁ…!あんまりだよぉ…」
落胆した表情で床にへたり込むエリー。その真下にはずっと前から滴っていたのか彼女の愛液で水たまりができている。
「な、なぁ…れ、レイア…もう、オレ、限界…」
隣で壁に寄り掛かるドラコが荒い息を吐きながら助けを求める。その上気した顔は止まらない火照りによるものだ。
「あれ?どうしたのかな、姉貴?ちゃんと言葉にしないと分からないよ?」
あえて頭では理解しながらも姉の言葉を解していないそぶりを見せるレイア。焦らされたドラコは顔をさらに真っ赤にしつつ口を開く。
「う……あの、もう、身体が敏感すぎてもう駄目なんだ、でも、自分一人じゃ足りなくて、その…」
「その?」
「れ…レイアの、産卵管を突っ込んでくれ!頼む、オレはもうおかしくなっちゃいそうなんだ!はやく、お前のそれでグチャグチャにしてくれ!」
恥も外聞もかなぐり捨てたように凌辱を求めるドラコ。その顔には目に光こそ灯っていたが、その奥の瞳が快楽一色に染まっていたのは明らかだ。
「んー、ダメだよ姉貴、女王様に頼むならちゃんとお願いする言い方があるじゃない?
まぁでも、今日はそれで及第点にしてあげるよ。でも、明日はもっとちゃんとした台詞、考えておいてね。」
「っ!それじゃあ!?」
「でもまだだよ、この前の卵、まだ孵ってないでしょう?」
「うぅ…もうおかしくなるってよぉ…」
そのとき、二人の脇で座り込んでいたエリーが急に顔を上げる。
「あ、姉さん、来る…!ああああああ!!!」
エリーの膨れ上がった腹がもぞもぞと動くと、胎内から少しづつ時間をかけて小さな赤ん坊が産まれてきた。
人間のそれよりも二回り以上も小さいその赤ん坊をレイアは抱きかかえ、愛おしそうに口付けをした。
エリーに産み付けられたレイアの卵が彼女の胎内で孵り、成長して産まれた子どもである。
「また産まれたね。この子でエリーとの子どもは5人目だね、その調子!」
「あうう…これがマジで毎日なの…?」
「そりゃそうでしょ?毎日産み付けてるんだから毎日産まれてきて当たり前だよ?
ほら、姉さんの方が終わったらエリーにもまた新しい卵、産むからね。」
「ひええええ…苗床きついぃ…」
「自分で望んだんでしょ?」
「だって、こんなに大変なんて、」
「だっても何もないよ。いいんだよ?役目から逃げる軟弱な心を持ってるならそれは壊すだけなんだから…」
「ふええ、姉さんが怖いぃ…」
だが、姉の発言に恐れをなすエリーも、彼女との子を抱きかかえるレイアも、今まさに陣痛が始まり目を見開いているドラコも三人とも口元は笑っていた。
数年後に、魔王討伐のため旅立った勇者が蜂の一族の手にかかり消息を絶つというニュースが人間界に衝撃をもたらすのだが、それは別のお話。
この後滅茶苦茶交尾した。