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五行戦隊 第三話
604 五行戦隊 第三話(1/19) ◆vPNY1/7866 sage 2008/07/24(木) 22:44:50 ID:b96jA7a7
町のはずれに、大きな市立運動場がある。
昔はスポーツ観戦目的で建てられたらしいが、維持費用にあてがうだけの採算が取れないため、
結局数年もしないうちに閉鎖となってしまった。
そのすぐ近くに、これまた市民に安らぎの場という名目で、広い面積の風致林が植えられた。
しかし、そもそも町の中心から離れたこの場所を訪ねる者がいるはずがなく、
今ではひとけの少ない寂れた場所となっている。
「へー、オレ達の町にこんな場所があったなんて。清見、お前は随分と詳しいじゃないか」
「自分達が住む地域の風水を調べるぐらい、ちゃんとできないとね。
遁術使いとして、常に地の利を考えなければいけないから」
静かな森の中、二人の少女が会話を交えながら歩いていた。
先の少女は見くびられた感じがしたのか、不服そうに頬を膨らます。
薄暗い夜、彼女の変身した後の炎のような真っ赤な髪や服が目立つ。
短く切った髪型とまっすぐ伸びる眉が、彼女のボーイッシュな性格を強調する。
白い手袋に包まれた細い指、紅を基調としたミニスカート。
くびれのある健康的な胴体を、神火の文様がかっこよく彩る。
「ふん、これなんだから、優等生は……いざという時は理論とかじゃなくて、行動で何としないと」
「まあ、それも確かに一理あるわね。
灯(あかり)がいつも猪突猛進してくれたおかげで、私達は今まで何とか勝てたし」
「それって、なんか褒められてないような気がするけど……」
「気のせいだよ」
きっぱりと言いきる、もう一人の冷淡な少女。
彼女のウェーブがかったヘアは青色を呈し、一人目の少女とよく似たコスチュームを身に纏う。
ただ違うのは、その服の色は清涼感のある水色で、表面にはシャボン玉のような文様が浮かんでいる。
少女の片方の手の上に、半透明の水晶玉が浮いていた。
その水晶玉をじっと見つめながらも、彼女は樹木にぶつかることなく悠然と歩き続ける。
灯と呼ばれた娘は頬をぽりぽり?きながら、なんとか相手に反駁しようと考え込む。
そんな時、彼女達の前方から声が起きた。
「灯、清見、そちらはどうだった」
颯爽と現れたのは、灯と同じぐらい長身の少女であった。
彼女はやはり二人と同じ服装をしているが、褐色のポニーテールと服の土色が大きな特徴だ。
「いいえ、だめ。鈴華の霊力反応が、まったくしないわ」
清見はようやく水晶玉から顔をあげ、今度は空を見上げた。
今夜の月は満月のはずだが、雲に隠れていたせいで、うっすらとした照りしか無い。
「睦美のほうは?」
「まだまだ」
灯の質問に対し、睦美はゆっくりと首を振った。
彼女は手に握る可愛らしい鈴を見て、心配そうに呟く。
「翠の話によれば、この近くで鈴を拾ったのだが……
今度こそ、なんとかして鈴華ちゃんの手掛かりを見つけ出さないと」
「睦美、そんな心配そうな顔すんなって。鈴華のことだ、またいつもみたいにけろりとした表情で出てくるよ。
それに、オレ達がここで落ち込んじゃ、なんにもならないだろ」
「ああ、分かってる。絶対、彼女の消息を探し出してやるんだから」
灯の明るい口調に励まされ、睦美も顔を和らげた。
その時、清見がポツリとあることを尋ねる。
605 五行戦隊 第三話(2/19) ◆vPNY1/7866 sage 2008/07/24(木) 22:45:33 ID:b96jA7a7
「その鈴を拾った翠が、今日はどうしちゃったの」
「ああ、そういや清見に言ってなかったっけ。彼女なら、今日は体調不良で学校を早退したぜ。凄い熱出してさ。
一時間目は本人が我慢してたみたいだけど、体がぶるぶる震えてて、先生も見かねて早退させたよ」
翠と同じクラスである灯が答えると、睦も続けた。
「そういえば、私も見たわ。翠が帰る時、顔がすごく赤くて、目付きも虚ろだった。
だから、今日はちゃんと休むように言っといたわ。大事に至らなければいいけど……」
ねぇねぇこれ終わったらお見舞いに行こうよ、と灯や睦美がやりとりしている側で、清見はしばし黙り込んだ。
「清見、どうかしたのか?」
「ええ。このような樹木がいっぱい生えている場所は、翠の力が最も発揮しやすいから、
もしいたら頼りかなと思って。……彼女の病気の原因は、なんなのかしらね」
「まあ、どうせ風邪でしょう。いくらオレ達は凄まじい霊力の持ち主だからって、ひく時はひいてしまうからね」
「でも灯だけいつも元気で、本当に助かるよ」
「ちょっと清見、それってどういう意味よ!」
「翠がいない今日は、灯の活躍に期待しているって意味だ」
「そ、そう……」
清見の言葉が一転して褒め言葉となったため、灯はすぐに対応できなかった。
彼女は側の木に寄りかかってから清見の顔しばらく見て、何か確信を得たように頬をほころばせる。
「はっはぁん。清見も鈴華のやつと同じで、素直じゃないんだから。いつも私に皮肉を言ってるが、
実は私を一番信頼してるでしょ?いいよいいよ、この灯の実力が、百人力だっていうことを見せてやるんだから」
「勘違いしないで。私はただ、あなたの火属性が森の地形に強いから、
せめていつも以上に戦ってくれればいいと思っただけだ」
「えっ?」
自分の属性が森に強いと言われて、灯は慌てて指を数えて属性関係を復習する。
しかし、彼女が思い出すよりも速く、清見が言葉を続ける。
「木は火を生み、土を克つ。この場所では、私や睦美より、あなたのほうが実力を発揮できる。
……と、陽子先生から何度も教わった相生相克の関係、まさか忘れてたりしないよね」
「い、いやだね清見。そんな基本中の基本を、オレが忘れるわけないじゃない」
灯は汗顔になって言葉を濁らした。
なんでもかんでも根性と気力で切り抜ける彼女にとって、
相克ならまだしも、相生の関係はいまだに覚え切れなかったのだ。
彼女の苦しい口調を感づいた睦美は、やれやれと苦笑した。
「ははは。まあ、今日は私に任せて。どんな敵が出ててきも、けちょんけちょんにやっつけてやるからさ」
「それは頼もしいわ。灯はいつも危なっかしい子だと思ってたけど、その考えを改めるわ」
「うっ……その褒めてるのか貶してるか分からない言い方、なんとかならないかな」
灯は側の木に寄りかかりながら、疑い深い目付きで清見を観察した。
「当然褒めてるよ。例えば、あなたがさっきから寄っている木の上に、
敵がいるというのにまったく動じないじゃない。感心しちゃうわ」
「ほえつ?」
灯はゆっくりと見上げた。
暗闇にまぎれて、頭上の枝に一匹の黒いスライムがへばりついていた。
そのスライムは唯一の目玉をぐるりと回し、灯をずっと前からのように睨み続ける。
薄暗い森の中、大きな白目玉と見つめ合うというのは、なかなか迫力のある事だった。
606 五行戦隊 第三話(3/19) ◆vPNY1/7866 sage 2008/07/24(木) 22:46:08 ID:b96jA7a7
灯はしばらく目をパチパチさせ、やがて大きな叫びを上げた。
「……キャ――!」
彼女はすかさず炎気を帯びた拳を振り上げると、目の前を樹木ごと灰へと燃やす。
「灯にも、女の子らしい悲鳴が出せたんだね」
「それってどういう意味だよ!っていうか、気付いていたなら、速く教えてくれよ!」
灯は涙目になりながら、清見の襟を掴んで強く揺らした。
だが、その途中で睦美に制止される。
「二人とも、気をつけて!どうやら私達は囲まれたらしい」
睦美は構えを取りながら言うと、灯はすぐに自分たちを見つめる無数の視線に気付いた。
森の暗闇を背景に、白い目玉達はまばたきをしながら三人を威圧する。
「どうやら彼らはずっと妖気を隠し、私達を待ち伏せしているようだ。
それで水晶玉のサーチにも引っ掛からなかったわ」
「ふふん、前より随分と賢くなってきたじゃないか。正面からじゃ勝てないから、
オレ達の不意を突こうって訳か。だが、ザコは所詮ザコ、全部返り討ちにしてやる!」
灯は不敵な笑みを浮かべ、拳を強く握り締めた。
その五本指の隙間から高温の炎気が漏れ出て、あたりを一瞬だけ明るく照らす。
突飛過ぎた遭遇で思わず声をあげたが、彼女は五行戦隊の中で最も負けず嫌いで、
敵が大勢いればいるほど燃えるタイプだ。
「待って!また何かがやってくるわ」
睦美と灯は清見が指差す方向を見ると、背筋を緊張させた。
森の奥から、一匹の大型スライムが現れた。
その黄色いスライムはヒトデの形をとり、地面から直立していた。
その中心には大きな目玉と、金色に輝く瞳があった。
「これは……!」
「この前と同じ、普通のやつよりも強い種類だな」
睦美と灯は同時に、数日前初めて戦った異種のスライムを思い出した。
今まで無かったボディーと、今まで無かった攻撃方法。
初見だったため、その場に居合わせた翠が負傷したこともあった。
しかし、最後は弱点である灯の炎に焼かれ、なんとか打倒することができた。
だが、彼女達はそのスライムが連れ出した物体を見て、更に愕然とした。
「す、鈴華……」
「鈴華ちゃん!」
「……!」
鉄製の十字架の上に、一人の小柄な少女が鎖に縛られていた。
気を失っているのか、彼女は目を閉じたままうなだれる。
「おい、鈴華、しっかりしろ!」
「……灯、みんな!」
鈴華は呼び声に気付き、目をゆっくりと開いた。
「みんな、ごめん……これは、罠よ!速く、ここから逃げて!」
「くっ……お前たち、よくも……よくも鈴華をいじめて!」
灯は今にも飛びかかる勢いだが、後ろから清見に肩を掴まれる。
「みんな、ここはいったん身を引こう」
「えっ?」
「どういうことだ、清見」
清見の突然すぎる意見に、灯と睦美は耳を疑った。
607 五行戦隊 第三話(5/19) ◆vPNY1/7866 sage 2008/07/24(木) 22:46:43 ID:b96jA7a7
「待ち伏せされているんじゃ、こっちに分が悪い。
いったんここから離れ、翠が完治するまで対策を練るべきだ」
「目の前に仲間が捕らえられてるのに、逃げるというのかよ!」
「鈴華自身も逃げてって言ってるし、彼女の忠告を聞くべきだ」
清見の相変わらない無感情の口調は、灯を仰天させる。
「そんなバカなこと、きるか!お前が行かないというのなら、オレだけでも行ってやる!」
「灯、一人じゃ危険だわ!」
飛び出る灯を追うように、睦美も駆け出した。
彼女たち動き出した次の瞬間、周辺の目玉スライムが一斉に蠢き、三人へと襲い掛かった。
清見は二人の後姿を見て、小さくため息を吐いた。
彼女は印を結ぶと、その周りに水の障壁が立ち上がり、迫り来る目玉スライムを巻き込む。
二人の背後を守るために、彼女はやってくる敵を一手に引き受けた。
先に走った灯は、すぐに鈴華のほうへ向かわなかった。
彼女はひとまず、鈴華の隣に立つ金色スライムの方へ飛びついた。
風の音から、後ろから睦美が迫る事を分かっていた。
金色のスライムに最も有効なのは、自分の火遁術である。
敵が妨害となる前に、それをまず叩き潰す。
金色スライムは目玉を怪しく輝かせると、そこから一本の鋼の槍を射出した。
灯は果敢に金色のスライムの前を立ちはだかり、槍を素手で掴み取る。
彼女の両手に握られた槍はたちまち溶解し、熱い溶液となって地面を燃え焦がした。
その後ろを走る睦美は、灯に目もくれずそのまま横を駆け抜ける。
彼女が指を立てて素早く念じると、鈴華を縛る鉄索は一瞬のうちに砂塵に埋もれ、圧砕された。
落下する鈴華を抱きしめると、睦美の目元が思わず熱くなる。
仲間の安否を心配してきた苦痛から、ようやく解放できるのだ。
「鈴華、しっかりして!」
「……睦美、助けてくれて、ありがとう……」
鈴華が努力して作った元気の無い笑顔は、睦美の心を痛ませた。
しかし、今は感傷に浸っている場面ではことを、彼女自身もよく知っていた。
頭を上げて灯の様子をうかがうと、睦美の顔色が急変した。
――金色スライムの一匹ぐらいで、自分が負ける要素など皆無である。
灯はそう確信していたし、実際彼女が放った爆砕拳は相手を一撃で倒してしまった。
急所である眼球を目掛けてやったとはいえ、
前回と比べてはあまりにもあっさりしていて、灯自身もビックリしたぐらいだ。
彼女は深く考えずに睦美のほう振り向こうとした途端、
足元に倒れる金色スライムの残骸から、突如無数の触手が伸び出た。
「なっ……」
言葉を言い終わる間もなく、彼女の体が触手に絡められる。
一際大きい植物が地面から突き出て、ハエトリグサのように花びらを開く。
そして動きが制限された灯を、そのまま頭から飲み込んだ。
睦美が灯を見たのは、ちょうど彼女の赤い靴が外にはみ出た時であった。
彼女はすかさず灯のほうへ駆け、指を立てて術を操った。
巨大ハエトリグサの表面にいくつかの目玉が見開き、見た目に反して素早い動きで逃げ出す。
だが次の瞬間、ハエトリグサがいる地面が轟音を立てながら崩れた。
睦美は素早くハエトリグサの花を開かせ、灯の体を引っ張り出した。
そして周囲の地表が大きく揺らすと、ハエトリグサを挟み潰した。
608 五行戦隊 第三話(5/19) ◆vPNY1/7866 sage 2008/07/24(木) 22:47:28 ID:b96jA7a7
断ち切られた触手を払った後、睦美は灯の肩を揺らす。
「灯!灯、しっかりして!」
灯の体は妖しい色の花粉にまみれていた。
彼女は体をぶるぶると震わせ、開いた口から何か伝えようとするが、舌がうまく回らないようだ。
「これは痺れの花粉?灯、もう動くな。後は私に任せ……」
「……う、し、ろ」
灯は慎重に口の形を作り、一文字ずつ音を捻り出した。
彼女の意図を察するや否や、睦美は土遁術を駆使した。
背後に大きな碑石がせり上がり、敵の武器を防ぐ。
森の中、金属と岩石が衝突する不快な音が響き渡る。
睦美は後ろに立つ人物の顔を見ると、心が大きく揺らいだ。
ついさきほど彼女が助けた鈴華が、両手で大剣を握り、碑石に切りかかっていた。
(鈴華が……私を襲っている?)
(なんで?)
(まさか、敵に操られて?)
(今ここにいるのは、偽者?)
(そうだとしたら、本物の鈴華はいったいどこに?)
数々の疑問が、一瞬のうちに睦美の頭をよぎった。
それはわずかな時間であったが、睦美の敗因となるには充分な間であった。
鈴華の肩から一株の花がのぼり、睦美の目の前で咲いた。
その毒々しい花びらが囲む中心に、不気味な目玉が生えてあった。
睦美は相手から距離をとろうとするが、鈴華はそれを許さない。
碑石に切りかかる大剣の重量が驚異のスピードで増え続け、睦美に迫り続ける。
霊力を練ることが段々と苦しくなったため、睦美は思わず息継ぎしてしまった。
そこで突如、鈴華の肩にのぼった花から、灯と同じ花粉を睦美の顔面に吹きかける。
(まずい!)
睦美は素早く指を動かし念じると、碑石が六つの塊に分かれて飛び交い、鈴華の体をぶっ飛ばした。
その間、彼女は少なからず花粉を吸い込んでしまった。
そして次の瞬間、睦美は体中に無数のアリが這えているような嫌悪感を覚えた。
四肢に鈍い痒さが伝染し、足がまともに立つことさえできず、しゃがみこんでしまう。
両手はガタガタと震え、痺れによって一切の感覚を無くした。
「かかったわね、睦美」
「鈴華……!」
睦美は痺れる体を抱きしめて、自分に近づく少女を見つめる。
鈴華のかわいらしい顔には、自分が知っていた無邪気な表情がどこにもなかった。
その代わりに、今まで見たことも無いようなよこしまな笑みが浮かんでいた。
「さすがだね。あのわずかな一瞬で、がんばって息を止めてたのね。
まあそれでも、あなたの体は随分苦しくなったはずだわ」
「くっ……あなたは、一体……」
「本物の鈴華だ」
いつの間にか清見が睦美の側に立ち、彼女を支え起こした。
その後ろで、目玉スライム達の残骸が地面を埋め尽くす。
609 五行戦隊 第三話(6/19) ◆vPNY1/7866 sage 2008/07/24(木) 22:48:14 ID:b96jA7a7
「残念だったわ、清見ちゃん。あなたまで一緒にやられていれば、手間がほとんど省けたというのに」
「ええ、私も残念だわ。まさか仲間であったあなたと、これから戦わざるを得ないとは」
「清見、これは一体どういうことだ……鈴華は、一体どうしたのか?」
清見は無表情のまま水晶玉を差し出し、それを淡く輝かせた。
「よく見て、この力の波長を。確かに、これは鈴華の形と一致するわ。
……しかし、霊力ではなく、妖力としてね」
「なっ、なに?」
「つまり今の彼女は、そこら辺にいる妖獣達と同じ、
邪悪な存在となっている。そして、私達の敵になっているのよ」
清見は淡々としゃべり続けるが、その内容に睦美の全身の毛がよだつ。
「清見、何を言って……そんなこと、あるはずが……!」
「ふふふ、実際に見せてあげたほうがいいかしら」
鈴華は薄笑いを浮かべると、そのあどけない童顔に邪淫なオーラを負わせた。
彼女が着ていた黄色い五行戦隊のコスチュームは、
徐々に暗黄色へと変化し、その表面に多くの目玉が見開いた。
弾力を含んだ肉質に変化した布地は、まるで無数の蟲が集まってできたかのように、もぞもぞと蠢動する。
その面積も小さく収縮し、彼女のきめ細かい肌を露出させる。
肉布はやがて生き物のように湿気を帯び始め、ぬめりと彼女の肌に吸い付く。
胸を覆う部分が減り、乳の上部から滑らかな腋や二の腕まで露出する。
背中も大きく切り開かれ、真っ白な素肌が月光を浴びて妖艶に照り返す。
心なしか、鈴華の小さかったはずの胸は豊満なものに成長し、腰のくびれもくっきりと現れる。
スカートは無くなり、肉布に覆われた股間部は、女性のラインを魅力的になぞる。
しばらくすると、彼女の秘所から愛液が溢れ出て下へ垂れ降りる。
白い臀部も大きく露出させられ、人の目を惹く。
両足の肉布は帯状の布切れとなって、螺旋状を描きながら肉つきのいい太ももを取り巻く。
そしてふくらはぎより下へ行くと、それが硬質のヒールブーツとなる。
よく目を凝らしてみれば、肉布の裏面には無数の小さい突起が集まり、
そのイボイボたちがぬめりと鈴華の肌に付着することが分かる。
鈴華が動作をとるたびに、途切れた縁から粘液がピチャ、ピチャと小さく鳴り響く。
裏側全体は、それと同じ液体によって濡らされていることが想像できる。
彼女の今の格好は裸よりも恥ずかしく、そして淫らであった。
三人達はその大胆な格好を見て、思わず顔を赤らめた。
肉布が定型すると、その上に生えた目玉達はタイミングを揃ってぎょろぎょろ動き、清見たちを睨みつける。
極め付きに、鈴華の開いた胸肌の上部に、一つの目玉が縦にぐぱっと見開く。
目玉の中央には金色を呈した禍々しい瞳があった。
その目玉が見開いた途端、鈴華の全身から邪悪な妖気を放ち、官能を刺激する淫らな芳香が発散された。
彼女は腕を組み、口元を邪悪に吊り上げる。
「ふふふ……いかがかしら?これが今の私、妖眼蟲を取り込んだ新しい姿だわ。
百目様の敵となす者は、全部私が駆除してあげるわ。それがたとえあなた達でもね!」
「鈴華、お前……」
睦美は歯を食いしばり、悔しそうな声を漏らす。
灯はうまく喋ることができないが、鈴華の変わり果てた姿を見て、表情が激昂した。
「さて。清見ちゃんを生け捕りし損なったとはいえ、今の状況はあなた達に極めて不利だわ」
「くっ……」
睦美は起き上がろうとするが、痺れた体は彼女のいうことをうまく聞いてくれない。
周囲から、数匹ものヒトデ型の金色スライムが近寄る。
このままでは、敵の標的となることが明白だ。
目の前に鈴華がいるというのに、彼女を助けることができない……
そんな自分の不甲斐無さに、睦美は苛立った。
610 五行戦隊 第三話(7/19) ◆vPNY1/7866 sage 2008/07/24(木) 22:48:42 ID:b96jA7a7
「さあ、清見ちゃん、ここで潔く投降したらどうだい。私は、あなた達をあんまり傷付けたくないのよ」
鈴華は可愛らしい金切り声を発し、昔と同じような悪戯っぽい笑顔を三人に向ける。
だがその言葉の内容は、睦美たちの心を凍らせるものであった。
「残念ながら、そういう相談はまた今度にお願いするわ」
清見は突然水晶玉を地面に投げつけると、そこから直径十メートルもの小さな池ができた。
彼女が手を掲げると、水面から大きな水の腕が伸び出て、灯と睦美を引き寄せる。
「なにっ……!?」
「これは運動場近くの池の水を含んでいて、むこうとは繋がっている。
……今日は、鈴華の生存を確認できて何より。また機会があったら、あなたを助けてやるわ」
清見は二人の体をそのまま池に引っ込ませると、自身も水面の下へ沈んだ。
「逃さないわよ!」
鈴華は素早く一本の鎖を放ち、それを清見の腕に絡めさせる。
「くっ……」
「清見!」
「睦美、灯とさきに行って。私も後から行く」
「でも……」
「睦美と灯がここにいても、足手まといになるだけよ」
「……分かった」
睦美は力強く頷いて、灯を抱いたまま水底へ飛び込んだ。
清見は確かに毒舌ではあるが、彼女は常にまっとうな意見を出すことを、睦美はよく知っていた。
「逃がさないって言ったでしょ!」
鈴華は更に数本の鎖を放つが、それら全て清見の水の鞭によって叩き落される。
二人の姿が完全に消えた後、清見は水面全体を元の水晶玉に戻した。
「鈴華、あなたの相手は私だ」
「あ~あ、清見ちゃんのせいで、二匹分逃げちゃったじゃない」
鈴華は残念そうに呟いた後、可愛らしく舌を吐き出し、あっかんべを作った。
「なーんてね、清見ちゃんだけでも充分だわ。
あなたを生け捕りにして、百目さまにいっぱい褒めてもらうんだから」
「そう。なら、やってみるがいい」
冷夏の夜。
月の明りも少ない森に、ひんやりとした空気が流れる。
かつて仲間同士だった二人の少女が、互いに敵意をむき出す。
一人は表情の読み取れない冷ややかな目付き。
一人はあどけない顔に浮かべる邪悪な微笑み。
「清見ちゃんは、途中で私のことを疑ったでしょ。
ねえ、どうして?私、結構うまく演技できたつもりなのに」
「ええ、あからさまに変だというところは無かったわ。待ち伏せしたことも、人質を見せびらかしたにしても、
せいぜい警戒する程度の事だ。ただ、あなたが灯を見て初めて叫んだセリフが、おかしいと思った」
「ほお?」
「私が知っている鈴華は、内面では灯と互いに認めあっても、表向きでは無駄に張り合う照れ屋な性格なの。
自分が囚われる無様な姿なんか、灯だけには死んでも見せたくないでしょう。
だからあの時、あなたは灯を見るや否や、うるさいぐらいに強がって騒ぐと思っていたわ」
「うっ、清見ちゃんは相変わらず酷評だな」
611 五行戦隊 第三話(8/19) ◆vPNY1/7866 sage 2008/07/24(木) 22:49:21 ID:b96jA7a7
「それに、鈴華は仲間を大事に思う人。もし本当に私達を逃げさせるつもりなら、
わざわざ灯に向かって『逃げて』など、逆に煽るようなことを言わないわ」
「あははっ、感心しちゃうわ。あなたは、私よりも私を知り尽くしているのね……
でも、あの二人が脱出したところで、何も変わらないわ。この後ちゃんと生け捕りするんだから」
「そうさせないよう、私がここであなたを食い止める」
「ふふふ……別に私が行かなくても、他の人が行ってくれるけどね」
「なにっ……?」
鈴華の意味深長な言葉に、清見の眉が少し跳ねた。
「まあ、今は彼女達の心配をするより、自分の心配をしたほうがいいじゃないかしら」
「妖獣に精神を操られているあなたが、本来の実力を出せるとは思わないがな」
「操られてる?ふふふ……私は今、自分の意思で清見ちゃんと向き合ってるのよ……
百目様から、こんな素敵なプレゼントをもらったからね!」
鈴華はそう言うと、手で自分の秘所を広げた。
「うっ、あん……はぁうん!」
彼女は恍惚の表情を浮かべながら、濡れきったアソコから一本の触手を摘み出した。
触手は淫液にまみれながら、うねうねと蠢く。
その鎌首に一つの目玉が見開き、清見を見据える。
あまりにもおぞましい光景に、清見は顔をしかめた。
触手は、男性の性器のようなグロテスクな形だった。
その幹から濃厚な性フェロモンを撒き散らし、人間の心奥にある劣情を呼び起こす匂いを立たせる。
清見は思わず腕で鼻を覆い、
「これは……なんてすさまじい妖気だ……」
「ふふふ……この子を体に宿してから、私はもうエッチ無しでは生きられない体に調教されたのよ」
鈴華はいとおしそうに触手をさわり、優しく刺激を加える。
「エヘへッ。これとても気持ちいいのよ。ねぇ、清見ちゃんもこの妖眼蟲に寄生されてみない?
そうすれば、あなたも私と同じ仲間になれるわ」
「気持ち良い事は別に嫌いではない。ただ、化け物の言いなりだけは、なりたくないな」
清見は挑発を簡単にあしらうと、鈴華はつまらなさそうに頬を膨らます。
「あ~あ。やっぱり清見ちゃんだと、調子出ないよね。こういう時は、大声で悲鳴を上げたり、
すごく悲しむ表情を作ってくれたりしないと。かつての仲間が、邪悪な妖獣のしもべとなって立ちはだかる。
しかし、あなたは私に全力を使うこともできず、肉体的にも精神的にもダメージを負っていく……
くふふ、素敵なシーンと思わない?」
「そんな事を言っても、私は動揺なんかしないわ」
「本当かしらね。うふふ、じゃあもうちょっと見せてあげようか。妖眼を植えつけられてから、
私がどれほどいやらしい娘になったのか……今私が着ているこの服だって、
一杯エッチなことをしてくれるのよ」
鈴華は目を細めて、清美が見ている前で自分の乳房を揉んだ。
胸を覆っていた肉布は彼女の手つきに刺激され、より一層大幅に蠢きだした。
少女の童顔には、たちまち淫蕩に耽る恍惚が現る。
その肉布から醸し出す香りは、段々と濃度を増した。
しばらくすると、あたり一帯は人畜を発情させるような甘ったるい匂いが満ち溢れた。
その淫邪なさまを見て、清見はひそかに唇を噛み締めた。
「あん、はぁん、いいわ……うふふ、私は、とてもいやらし娘になっちゃったの。
目玉達に毎日犯され続けて、もう淫乱な事しか考えられない女の子になっちゃったわ。
ほら、私のアソコを見て。もうびしょ濡れになってるわ」
鈴華は見せ付けるように、秘所に生えた触手を動かしかき混ぜた。
彼女のアソコと触手との隙間からおびただしい量の愛液が溢れ出て、ふとももをたどって地面に滴る。
612 五行戦隊 第三話(9/19) ◆vPNY1/7866 sage 2008/07/24(木) 22:49:48 ID:b96jA7a7
鈴華はその液体の一部を指ですくうと、小さな口でおいしそうに頬張る。
「んんむ……はぁ、何度味わっても、すてきな味だわ。ああ、さっきまでずっと我慢してたから、
体がもううずうずして溜まらなくなってきたわ……清見ちゃん、私のところへ来て。
あなたにも妖眼蟲を植え付けて、一緒に気持ちよくなろうよ」
あたりを漂う淫靡な香りが、清見の感覚を刺激する
優しく誘惑する声が、彼女の心を愛撫する。
ぬちゃぬちゃと聞こえる淫らな水音。
少女が浮かべる魅惑な表情。
目の前にある鈴華の変わり果てた姿は、確かに悲しむべきものであった。
しかしその妖艶な姿は、なぜか清見の脳に焼き付けて離れてない。
「私は、これでも正義の一員……悪に屈するわけにはいかない」
「ふふふ、正義の一員ね……私の妖眼によれば、
あなたの心の奥底には、私よりずっと邪悪なものが潜んでいるらしいけど」
鈴華の胸に上部に生える大きな目玉は、突如まばゆい金色の光を放った。
すでに淫靡な光景によって惑わされた清見は、その光から目をそらすことができなかった。
幻惑のように輝く光の中、清見はふとかつての自分の姿を見つけた。
小さい頃、無口で無愛想だった彼女。
友達もできず、いくら優秀な成績を修めても、みんなから疎遠されてきた。
そのうち不思議な霊力が顕現してから、まわりから不気味な存在と思われ、何度もいじめられてきた。
その時感じたどす黒い感情が、今の彼女に蘇る。
「うっ……ぐっ……!」
清見の額から汗があふれた。
彼女は大きく呼吸を繰り返す様子を見て、鈴華は邪悪に微笑む。
「なるほど、清見ちゃんにはそういうつらい経験があったのね。
何も話してくれないから、今日初めて知ったわ。
でも、よく見せてもらったわ、その時あなたがどれほどの憎しみを抱いたかをね」
「……私は、もう……迷わない」
「はっ?」
清見の顔を徐々に毅然なものになると、鈴華は思わず驚いた。
「一年前の私なら、あなたの言葉に惑わされたかもしれない。
でも、今の私には、そんなまやかしは通用しない……今の私には、大事な人達がいるわ」
「くっ……」
「確かにあなたの言うとおり、私の心の奥底に邪悪なものが潜んでいたかもしれない。
でも、みんなや陽子先生と出会ってから、私は変わることができたんだ」
清見は目をつむると、初めて睦美に呼び止められた光景を思い出した。
あれは高校に入学して、間もなくのことだった。
それまでの経歴で、自分は他人との親交を拒絶した。
しかし、彼女は睦美の諦めの悪い熱意に負けて、いやいやながら五行戦隊に加入させられたのだ。
五行戦隊の指揮を取る陽子先生から、霊力ついていろいろ伝授された。
最初は一匹狼だった彼女だが、時間が進むに連れ、いつしかまわりに溶け込んだ。
仲間たちの暖かい笑顔が、清見の冷えきった心を温めてくれた。
「そして、鈴華……あなただって、私にとって大切な人だ」
「な、なにを!」
「かつてあなたが私を助けたように、今度は私があなたを救ってみせる!」
「そんな事、勝手に言ってなさいよ!」
613 五行戦隊 第三話(10/19) ◆vPNY1/7866 sage 2008/07/24(木) 22:50:19 ID:b96jA7a7
鈴華は左手でいきなり鎖を引っ張り、清見のバランスを崩した。
それと同時に、彼女は右手の剣を振り相手に切りかかる。
清見は瞬時に水晶玉を前に出して、相手の剣撃を防ぐ。
鈴華は自分が作り出した剣に自信があった。
例えどんな硬いモノでも、彼女の妖力によって合成された剣質にかかれば、豆腐のように切り裂けられる。
だがその自信があるだけに、予想に反して水晶玉を斬った手応えが無かった時、彼女は大いに驚いた。
剣撃を受け止めた水晶玉は、「ぼよーん」と音を立てて縦長に伸び曲がった。
「なんだね、曲芸師のマネかしら?そんな奇術じゃ、私の攻撃を防げないわ!」
鈴華は刃をそのまま滑らせると、水晶玉が伸びた部分にひびが入った。
そこに更なる力を込めると、ついに水色の玉が二つの塊に分かれた。
清見はとっさに後ろへ下がり、勢い余る剣撃を避ける。
「あははっ、これで清見ちゃんの得意武器が使えなくなったわね」
「それはどうかしら」
「えっ!?」
鈴華は割れた水晶玉を見ると、二つの塊に分かれた物体が、四つ、八つへと分裂し始めた。
個数が増えるにつれ分裂するスピードも増し、
またたく間に肉眼では確認できないぐらいの水滴となって、甘ったるい匂いを追い払って空中を充満する。
森の中はたちまち濃霧に覆われた状態となり、手を伸ばしただけで指が見えなくなる状態となった。
鈴華はすぐさま鎖を引っ張るが、その先は硫酸に溶かれた痕跡以外、何も無かった。
「こざかしい真似を……」
鈴華は剣を前に構え、あたりの様子を見回した。
前後左右に耳を傾けても、金色スライム達がバラバラに蠢く音しかなく、清見の気配が一向に現れない。
「清見ちゃん、そろそろ悪あがきを止めたらどうだい?潔く出ておいて」
彼女の語尾が終えたと同時に、突然遠くから「シュルーッ」という奇声があがった。
鈴華はすぐさま、それがスライムの断末魔であることを理解した。
「そこかっ!」
鈴華は一本の投げ槍を作り出し、物音のほうへ放り出した。
槍先が樹木に突き刺さる音が響いたが、それ以外の反応はまったくなかった。
「隠れながら、一匹ずつやる寸法かしら。随分と卑怯な手口じゃないの」
鈴華は挑発的に声を張り上げるが、彼女への返事はもう一匹のスライムによる悲鳴だった。
今度は、さきほどとは正反対の位置からの音であった。
(そんな……どうやって?)
鈴華は愕然とした。
金色のスライムは、彼女が自ら生み出した妖獣である。
普通の小さいスライムと違って、彼女の能力を一部受け継いでいて、戦闘力ももちろん他より高い。
五行戦隊には劣るとはいえ、これほど短時間で倒されるのはおかしい。
(このままじっとしていたら、やられる……!)
鈴華は悔しそうに舌を鳴らした。
彼女は胸の目玉を妖しく輝かせ、スライム達が集中するように指示を下した。
「「シュルルル」」
何匹かの目玉スライムが声を上げると、その躯体が地面を這う摩擦音が聞こえてきた。
鈴華は慎重に音を聞き分け、警戒しながらゆっくりと進んだ。
しかし、目玉スライム達の群れに近づいたと思ったところ、突然全ての物音が消えた。
614 五行戦隊 第三話(11/19) ◆vPNY1/7866 sage 2008/07/24(木) 22:50:43 ID:b96jA7a7
「ちっ!」
彼女は急いで駆け寄ると、最後の目玉スライムが水溜りに沈んでいく光景を目にした。
目の前には、いつの間にか水場が広がっていた。
濃霧のせいで縁が見えないため、見た目以上の無量感を人に与える。
水の色は不透明で、その深さは知る由が無かった。
その水面に清見は足を軽やかに乗せて、鈴華を冷ややかに見つめる。
「私の水遁の陣を無用心に侵入する者は、底無しの水沼に引き込まれる。
鈴華、あなたがここで私に勝つ確率は、極小になるわ」
「ふん、短時間でこの規模の遁陣を作り出すとは……
でも忘れないで、私の剣は例え形の無い物でも斬れるからね!」
鈴華は握っている剣に妖気を集中させると、鍔の部分に大きな目玉が見開き、妖しく輝き出す。
そこから発される身を削るようなオーラを感じると、清見は表情を深刻なものへと変える。
「……陣破りの剣!」
清見が小声で呟いた次の瞬間、鈴華は全身の力で剣を振り下ろす。
凄まじいエネルギーが放たれると、水場は地面ごとズタズタに切り裂かれた。
水面の切り口は綺麗に斬られたまま、いつまでも経っても元に戻らない。
――陣破りの剣。
さまざまな妖術を使う妖獣相手に、鈴華が使うその技は何度も大活躍した。
炎や水、はては幻や異空間まで斬れるその剣技は、仲間たちを助けてきたのだ。
味方としては頼もしい特技だが、敵となった今、清見にとってこれ以上無いぐらい嫌な能力であった。
清見がいなくなった水面を見つめ、鈴華は微笑んだ。
「あらあら、とっさに隠れちゃったのね。でも、逃げてるだけじゃ、いつまでも私を倒せないわ」
「別に逃げたわけじゃない」
鈴華の耳元に、忽然と清見の囁きが響いた。
彼女は慌てて振り向くと、清見が操る水の鞭が鈴華の手首を叩く。
妖眼が生えた剣は残された水面に落ちると、泡一つ立たずに飲み込まれ。
「な、なぜそこに……?」
「霊力に満ちた水を経由すれば、私はどこへでも瞬間移動ができる。
……言ったでしょ、この領域内なら、あなたは勝てない」
鈴華は清見が指差す霧を見て、歯を食いしばって再び妖力を練りあげた。
「ふん、ならばこの霧ごと斬るまでだわ!」
「一度油断したら、そこで終わりよ!」
清見は霧の中に腕を伸ばし、大きなシャボン玉を取り出すとそれを鈴華に投げつけた。
鈴華は作りあげた妖剣で前を切り裂く。
しかし、シャボン玉はパンと弾いて、鈴華の前で破裂した。
中からドロドロした粘液が鈴華の四肢にねばりつくと、まるでのりのように彼女の体を貼り合わせる。
「な、なんなのよ……これ?」
「私が配合した、捕獲用の超強力接着剤だ」
「このっ……はなせ!」
鈴華は懸命に腕を動かし、なんとか粘液から脱出しようと試みた。
しかし、彼女があがけばあがくほど、粘液がきつくねばりつく。
数十秒もしないうちに、鈴華は完全に身動きが取れなくなった。
「これで、あなたの完敗だね」
「わ、私をどうするつもりよ!」
「あなたを操っているのは、その胸にある目玉だな。鈴華、その悪の目を摘み取らせてもらうわ」
清見は近くまで歩くと、鈴華の胸の上に手を差し伸べた。
615 五行戦隊 第三話(12/19) ◆vPNY1/7866 sage 2008/07/24(木) 22:51:16 ID:b96jA7a7
「ちょ、ちょっと!」
「これを取り除けば、あなたの意識も正常に戻るはずだ」
「タイム、タイム!でもでも、もしかしてそれを取ったら、私死んじゃうかもしれないよ?」
「大丈夫。妖獣に関する知識なら、私が一番豊富だ……まあ、それで亡くなったら、
それはそれで正義の味方である鈴華の本望だろう」
「ちょっと、勝手に人の本望を作るな!っていうか、あなたはいま自信無かったでしょ?
あなたは、それでも私を仲間だと思ってるのか」
「ああ、思っているわ。来年以降のこの日、私が責任を持ってお墓参りするから」
「ちょっと、真顔でそんな恐いことを言わないでよ」
清見が段々と冗談を言っているように見えなくなると、鈴華の顔は怯えはじめた。
彼女の手が伸びてくると、鈴華は思わず目を閉じた。
その時だった。
清見の背後から、一本の緑色の蔓が急速に伸び出る。
風切り音が聞こえた清見は、仕方なく体を横へそらす。
蔓の勢いはなおもとどまらず、粘液をまとう鈴華を絡めてむこうへ引き寄せた。
清見は目を大きく見開き、遠くから蔓を操る人物を見据える。
一人の緑色に彩なすロングヘアの少女が、足元をふらつかせながら現れた。
彼女の口から熱っぽい息が漏れ、
眼鏡を掛けていない瞳から苦悶と快楽が混ざり合った表情が読み取れる。
その顔立ちは紛れも無く五行戦隊の一人で、清見の仲間である翠であった。
しかし、普段の優しくてのほほんとした雰囲気は、今の彼女にはどこにも見当たらない。
肉つきの良いボディーは、鈴華と同様に、たくさんの邪悪な目玉が生えた肉布によって覆われていた。
鈴華とは違う緑色の肉布は、イボイボがびっしり生えた裏面を蠢きながら、彼女の柔肌をぬめりと撫で回す。
翠の瞳は潤んでいて、目の焦点がぼんやりしていた。
彼女の股間を覆う肉布の隙間から、ねっとりとした愛液が溢れ続ける。
「翠、あなたがどうしてここに」
「き、清見ちゃん……」
清見の視線にうしろめたさ感じたのか、翠は視線を逸らした。
彼女の美しい顔立ちはさっきから赤色に染められ、
普段の彼女から考えられない色っぽいものとなっている。
鈴華は不満そうな口を尖がらせ、
「翠ちゃん、今まで何やってるんだよ!」
「ご、ごめん……森の外に向かわる妖眼蟲たちに、指示を出しに行ったら……」
「森の外?……灯と睦美か!」
相手の言葉の意味を理解すると、清見は背中に冷え汗をかいた。
灯と睦美は、まだ痺れの状態から回復できていないはずだ。
霊力でいくらか維持できても、今の二人には、抵抗する力はさほど残っていない。
そんな無防備な二人に目玉スライムの軍団が襲ったら、大変な事になってしまう。
「それぐらいのことで、もたもたしないの。というか、速く私を助けなさいよ」
「は、はい……!」
翠は清見の視線をさけるように顔をうつむき、蔓が巻き付いた腕を振るわせた。
そこから更に数本の目玉が生えた蔓が伸び、鈴華の体に巻きついて粘液を綺麗に吸い取る。
「……翠、まさかあなたも鈴華と同じ、敵の手に堕ちたのか」
「……清見ちゃん、ごめん……」
翠は清見の言葉を否定することなく、荒い息を繰り返す。
616 五行戦隊 第三話(13/19) ◆vPNY1/7866 sage 2008/07/24(木) 22:51:42 ID:b96jA7a7
「最初に出てきた目玉が生えた花も、今になって考えればあなたが作り出したものなのね。
灯に手掛かりと称して鈴を渡したのも、全部あなたが仕組んだことだったわね」
「そ、それは……」
「ふふふ、そうよ」
鈴華は体に貼り付いた粘液を取り除いてもらった後、
翠の背後にまわり、彼女の豊満な乳房を後ろからまさぐった。
「あ、ああん……!」
翠の顔に悦楽の表情が浮かび、愛撫をもっと求めるかのように体を淫らに揺るがせ、鈴華へ寄り添う。
「翠……!」
「ふふふ……だいぶ感度が上がってきたようね。しかし、まだ完全に心が屈しているわけじゃないみたい。
あなたがなかなか堕ちなくて、妖眼蟲たちも手が焼いているわ。
まあ、この調子でいけば、もうすぐ完全に快楽の奴隷となるね」
「だ、だめ……私は、そんなことなんか……」
「何よ。いまさら、正義の味方になってるつもり?」
「きゃ――っ!」
突然、鈴華が翠の秘所を弄りだした。
「ほらほら、上からクリトリスをつついただけで、こんないやらしい汁を溢れさせちゃって。
ふふん、昨日なんか凄かったのよ?みんなの触手を咥えて、淫乱なメス犬のようによがりまくって、
イキまくってたわ。清見ちゃんにも見せてあげたいぐらいよ」
「あ、ふぁん……お、お願い……そんな事、言わないで……」
「体が欲しくて、たまらないくせに」
鈴華はもう片方の手の指を翠の口に入れると、翠は夢中になってそれをしゃぶった。
「これで分かったかしら?翠ちゃんはもう私と同様、妖眼蟲の忠実なしもべになったのよ。
うふふ、翠ちゃん!私と一緒に、清見ちゃんを捕らえちゃうわよ」
「は、はい……」
翠は恍惚のまま頷くと、鈴華と肩を並べた。
「これで形勢逆転だね。私達の実力はほぼ同じだから、
二対一では、さすがの清見ちゃんも不利になっちゃうわね」
「くっ……」
清見は唇を噛み締め、突然鈴華や翠との反対方向へ飛び上がった。
彼女は決して無茶をしない人物である。
今の彼女がなすべきことは、一刻も早くこの場から離れ、灯や睦美の側へ行く事である。
彼女が動き出したのと同時に、無数の矢がその背後を目掛けて射られた。
清見は地面を強く蹴り上げると、彼女の足元に集まってきた水滴が激流となって、
矢の雨を巻き上げながら鈴華の方へなだれ込む。
鈴華は素早く一つの大盾を作り出し、弾丸のように飛んでくる水玉をガードした。
水玉は重い銃弾のような衝突音を連発させ、盾によって次々と弾き飛ばされる。
「翠ちゃん、出番よ」
「うっ……」
鈴華の催促を受けて、翠はやましい表情を浮かべながらも、ふところから一握りの種を取り出した。
彼女はそれらをばらまくと、地面に付着した種はすぐさま数本の蔓に成長した。
それらの蔓はうねうねと伸び終わると、清見を絡めようと襲い掛かる。
清見は仕方なく攻撃を止め、軽快な動きで蔓をかわす。
だがその隙に鈴華は清見との距離を一気に縮め、電光石火のように一振りの大刀を振り回した。
鈴華の殺傷力の高い刃と、翠のトリッキーな植物攻撃。
相手の隙間の無い攻撃に、清見はたちまち劣勢に追いやられた。
霊力をためる時間もないため、彼女歯さきほどみたいに大掛かりの術を使うことができない。
617 五行戦隊 第三話(14/19) ◆vPNY1/7866 sage 2008/07/24(木) 22:52:08 ID:b96jA7a7
(くっ……さすがに、二人相手ではきつい……こんな事をしている場合じゃないのに)
顔には出さないものの、清見の心の中では焦燥に満ちていた。
灯と睦美に危険が一刻一刻と近づいていると思うと、彼女の心が大きく動揺した。
その不安は、やがて彼女の集中力を妨げた。
清見は鈴華の投げナイフを水鞭で打ち落としている間、突如二の腕に激しい痛みを感じた。
彼女は続けて襲ってくる花びらを乱れ打ちした後、二人から距離を取って着地した。
だがその細い腕には、一本のバラの花が痛々しく突き刺さっていた。
「ふふふ、これでもう決まったね。清見ちゃん、自分の傷を負ったところを良く見てごらん」
「……!」
清見は傷の方を一瞥すると、顔色が大きく変わった。
彼女は自分を傷つけたのは、翠がいつも愛用しているバラの花だと思い込んでいた。
だが今、その綺麗なバラの茎が蠢き、腕に何かを注入していた。
皮膚の上から、自分の腕に緑色の脈が広がっていくのが見える。
しかし、清見をもっと驚かせたのは、時間が進むにつれ腕から痛みが消え、
代わりに心地よい感触が広がっていく。
それは、天にも昇ったようなエクスタシーであった。
清見は天空と大地が回転しているような眩暈を感じた。
快感は彼女の予想をはるかに越えて、大きな波となって全身に拡散する。
そして花びらから目玉が見開いた瞬間、そのすさまじい衝撃に彼女の瞳孔は一気に広がった。
「ああああぁぁぁ!」
清見の膝が地面に突き、自制が効かなくなった口からよだれが零れ落ちる。
体は電気ショックを受けたあとのようにぶるぶる震える。
彼女は信じられないという表情で、自分の体を抱きしめる。
「いかがかしら、目玉に寄生される快感は」
鈴華はにんまりと微笑み、翠とともに清見の側へ歩み寄った。
「ううぅっ……私は、私は負けない!」
清見はかろうじて意識を正常に取り戻し、腕を抱きながら立ち上がった。
彼女の口からは、徐々に色っぽい吐息が漏れ始めた。
「ふふん、そんな体でどう抵抗するというの」
「うっ……」
足にはほとんど力が入らなくなり、心臓が高鳴り続ける。
清見は立てるのがやっとの状態で、鈴華たちを睨んだ。
うしろめたい表情の翠とは対照的に、鈴華は邪悪に染まりきった笑みを浮かべる。
「翠、例の物を清見に与えなさい」
「そ、それは……!」
「どうした、翠?」
「鈴華ちゃん、もう……やめようよ!私達は、これ以上過ちを犯してはいけない」
「ふん、その淫乱な体で、何を言っている!」
鈴華は翠の胸を強くまさぐると、一瞬正気を取り戻した翠は悩ましい声をあげた。
「あっ、はぁくっ……ああん!」
「翠!」
「ふふふ、あなた今まで、何度もしてきた事なのよ?もう何人にも、それを施してきたというのに。
ほら、翠ちゃん。速く自分のオマンコに指を入れなさい。あなただって感じて、興奮してるんでしょ?
あそこがぐじょぐじょになって、触ってほしいと言ってるのよ!」
「ああ、私は……私は……」
翠の表情に背徳的な快楽が染まる。
やがて、彼女は耐え切れない様子で指を秘所に入れてかき回した。
「翠、やめて!負けちゃだめ!」
「ごめん、清見ちゃん……私は、もう元に戻れないの!」
618 五行戦隊 第三話(15/19) ◆vPNY1/7866 sage 2008/07/24(木) 22:52:34 ID:b96jA7a7
翠は両目をつむり、快い刺激で顔を歪ませながら指を出し入りし続けた。
快楽に溺れる喘ぎ声を発すると、翠は体を淫らにひねり出す。
彼女は秘所を押し広げられ、中のひだひだが指を擦れる様子を見せ付ける。
「ああ、ああん……イク、私……イッちゃうぅ――!」
翠は指を奥まで突き上げると、そこから大量の愛液が噴き出た。
彼女の体に寄生した目玉たちは、
まるでその動きに呼応するかのようにまばたき、快楽の波を宿主に送り続ける。
鈴華はぐったりと地面にひざまずく翠を支えながら、彼女の秘所に指を入れてかきまわした。
「……ああぅ!」
「ふふふ、いいわ……今回も綺麗な種を生成できたわね。ほら、清見ちゃんも良く見て。
翠ちゃんのアソコから摘み出した寄生種を、これから清見ちゃんのオマンコに入れてあげるから」
鈴華は一つの種を摘み取りだし、それを清美に見せ付けた。
彼女の恐ろしい言葉に、清見は顔を青ざめた。
たっぷりと愛液にまみれたその種は、緑色の外殻を呈した。
外殻からは更に繊毛のような細い触手が伸び出て、気味の悪い蠕動運動を続ける。
清見はなんとか逃げようとするが、彼女のふらついた足取りはそれを許さなかった。
鈴華は清見を押し倒し、彼女の水色のスカートの下に手を潜らせる。
「い、いや……」
「ふふふ……大丈夫、あなたもいずれ喜ぶ顔になるわ」
「ああ……!」
鈴華の指が自分の下着の中に入り、秘裂の上に触れるのを感じると、清見は恐怖を帯びた悲鳴を上げた。
「おや、もうずぶ濡れになってるじゃない。ふふふ、そんなに気持ちよかったの?
それとも、翠ちゃんのオナニーを見て、興奮したのかしら」
「ち、ちがう!」
「まだ否定するというの。まあ、その口答えができなくなるように、種を寄生させてあげるわ!」
鈴華は口元に薄笑いをかかげて、指に寄生種を乗せたまま清見の秘所を突き進んだ。
「ああぁん!」
清見の口から悲鳴が漏れた。
彼女は鈴華をのけようとしたが、快感によって支配されかける体は、満足に力を出せなかった。
「だ、だめ――っ……ああぁぁ、なに、これ……入ってくる、お腹の中に入ってくる……ああああぁぁぁあ!」
清見は目を大きく見開き、背骨をそらした。
鈴華の指が膣の奥へゆっくりと進み、指の付け根がひっかかる所で止まった。
しかし、寄生種は彼女の指から離れ、なおも最奥へ侵入し続ける。
「あああ、だめ……それ以上は……ああがぁあぁぁ!」
清見は突然自分の子宮の入り口が押し広げられたのを感じた。
彼女はただ口を大きくあけて、お腹から伝わるショッキングな感触を耐え続けるしかなかった。
しなやかな肢体は激しく痙攣し、汗に濡れた髪が顔に貼りつく。
「はい、おしまい。タネがちゃんと清見ちゃんの体内に着床したよ。
これで、あなたも私達と同じになれるわ」
鈴華は嬉しそうに立ち上がり、勝利を確信した表情で四つん這いになる清見を見下ろす。
その油断している隙を見て、清見は彼女の細い足首を掴んだ。
「なにっ!?」
鈴華が驚く間もなく、体中に水滴が付着し始めた。
「す、水遁の術……ぐあああぁぁ!」
霊力を駆使しようとした途端、清見は悲鳴を上げて前屈みに倒れた。
「あっ、ど、どういうこと……?体から、霊力が……消えていく」
「あーあ、無理しちゃって。本当に頑固だから」
鈴華はやすやすと水の束縛から脱出し、苦しみもがく清見を見下ろす。
619 五行戦隊 第三話(16/19) ◆vPNY1/7866 sage 2008/07/24(木) 22:52:58 ID:b96jA7a7
「体に、力が入らない……ああん!あそこから……あそこから、霊力が吸われていく!」
「ふふふ、やっと気付いたかしら。翠ちゃんが産んだ種子は、彼女の力を持ってるのよ?
翠ちゃんの得意技のように、相手の妖力を吸い取り、無力化することができるの。
もっとも、今となっては霊力を吸い取るけどね」
「ご、ごめん、清見ちゃん……」
翠は悲しそうに清見を見つめながらも、彼女の痴態に触発されたのか、自分の秘所を再び弄りだした。
「うっ……こんな、こんなことで……」
清見は拳を握り締め膝を立てるが、痛みを伴う快感が波陣となって、彼女の神経をねじ曲げる。
「あっ、ああんっく……うあああぁぁ!」
突然子宮を通り抜ける細紐のような感触が、清見が必死に築き上げた精神力をあやふやなものにする。
彼女は慌てて自分の膣に目をやると、植物の芽のような物体が、ゆっくりと自分の秘裂から出てくる。
「これは……!なんなの……」
「その寄生植物は、宿主の霊力を吸収しながら、大きく成長するの。
清見ちゃんぐらいの霊力の持ち主なら、きっと大きな花が咲くでしょう」
「そんなの……!」
清見は腕を震わせながら、その新芽を摘み取ろうとした。
しかし、彼女が芽に触れた途端、全身に稲妻が走ったような感触に襲われる。
「はああぁんぐぅうう!」
「だめよ。その寄生種は、もうあなたの体の一部になったのよ。
寄生したアソコの部分は、あなたの精神を支配し、性欲を極限までに増大してくれるの」
「そ、そんなことは……ああぁん!」
清見は更に苦悶の声をあげた。
霊力が急速に消えていく感じと同時に、彼女の秘所から緑色の茎が伸びて、
うねうねと周りに葉っぱを成長させる。
茎は大きくなるとともに左右へ枝分かれはじめ、やがてその表面に不気味な目玉を見開き始める。
「あああぁぁぁ!」
まるで寄生植物が自分の体と一体化したかのようだった。
茎や葉が空気と触れる感触は、鮮明な快感として清見の脊髄に伝えられる。
「ああ、なんて素敵かしら」
鈴華は愛おしそうに新葉を撫ぜると、清見は更に大きく喘いだ。
(うっ……これ以上成長させたら、だめ……!)
清見は意を決すると、目を瞑って意識を集中し始めた。
彼女は霊力を丹田に凝縮させ、全ての雑念を取り払おうとした。
その途端、寄生植物が生長するスピードがぐんと下がった。
「ふふふ……あくまでも抵抗する気なのね。
ねぇ、翠ちゃん、彼女にもっと素直になる方法を教えてあげたら」
「ええっ……」
鈴華は翠を清見の前に押し出し、邪悪に微笑む。
「翠……!」
「うっ……ごめんね、清見ちゃん……私はもう我慢できないの!」
翠は潤いだ目で清見を見下ろし、彼女のすべらかな白いうなじに舌を這わせた。
「翠、やめて……ああぁんん!」
「はぉん……清見ちゃんの我慢している表情、すごくかわいいわ……」
翠は上気した表情で呟きなら、清見のコスチュームのボタンをはずし、彼女の綺麗な胸を外気に晒す。
620 五行戦隊 第三話(17/19) ◆vPNY1/7866 sage 2008/07/24(木) 22:53:25 ID:b96jA7a7
「お願い、翠……もうやめて!」
「清見ちゃん、もう観念しなさい」
鈴華は自分の秘所から伸びる目玉つきの触手を、むりやり清見の口内にねじ込ませた。
「んむっ……うぅぅん!」
「さあ、私の味をたっぷりと堪能させてあげるわ!」
「むぐぅんんん?」
鈴華は清見の頭を掴むと、腰を前後に揺らした。
その顔には、大切にしてきたものを穢したい歪んだ邪念が満ちていた。
触手は男根のように硬く熱く、清見の柔らかい舌の上を滑る。
その表面にある目玉から甘い媚薬のようなエキスが分泌され、彼女の唾液と混ざり合う。
「はぁん、気持ち良いわ……こうして、昔の仲間に口内を犯されている気分はどう?」
「ちゅぶ……むん、はぁっん」
清見の体は熱く滾り、意識が朦朧となった。
彼女は自身も気付かないうちに、鈴華のエキスを飲み込み始めた。
その精神が快感に溺れていくにつれ、膣に寄生する植物の動きが一段と加速した。
「ああん、はあぁん……ううっ、そろそろ出るわよ!」
「むぅん、うふぇ?!」
清見は口中の一物が熱くなったと感知した次の瞬間、
喉の奥にぶつかるような粘っこい液体が噴出された。
「んんぐぐう!?……はぅっ、けほん、けほん……」
あまりにも大量の液体に、清見は思わず顔をそらした。
口から白い熱液が溢れ出て、脳に焼きつくような異臭を放つ。
飲みきれなかった液体が清見の頬や胸にかかると、それを惜しむように、翠がその部分を舐めまわす。
「はあぁん、気持ちよかったわ。うふふっ、清見ちゃんは水を操るのが得意でしょ?
翠ちゃんに見習って、全部綺麗に飲み込まないとね」
そう言うと、鈴華はまだ呆然とする清見に唇を重ね合わせる。
「むぐぅん!?」
生まれて初めて体験するキスに、清見はうろたえた。
鈴華は彼女の口内に舌を入れ、
まだ残っている粘液をかき回しながら、それらを彼女の喉の奥へ押し込む。
うねうねとぬめったい舌は、彼女の唾液を携わって清見の舌を絡める。
さきほど彼女が出した濁液はそれと混合して、より芳しい味をかもし出す。
清見は最初こそ抵抗したものの、やがて甘い感触に感化され、
鈴華にされるがままにねばっこい液体を飲み込んでしまう。
「んっはぁー。ははん、どうだった清見ちゃん?初めてのディープキス、気持ちよかったでしょ?」
「はぁ、はぁ……そ、そんなの……なんとも、思わないわ」
「うそつき。あなたのあそこから生える寄生植物が、もうこんなにも生長したのに」
清見はぼんやりと下を見ると、新芽はいつの間にか暗緑色の幹に成長し、地面に根ざした。
「ふふふ……もう今から霊力をコントロールしようとしても遅いからね」
鈴華はそう言って清見の乳首を指でせめたて、彼女を大きく呻かせた。
翠はこぼれた淫液をたどって、清見の口元に舌を這わせる。
「ああ、清見ちゃん……なんていやらしい匂いかしら。
鈴華ちゃんと清見ちゃんの味が、一緒くたになってるわ」
彼女はうっとりと清見を覗き込み、やがて彼女に唇を重ねた。
「むむん……」
一度鈴華に蹂躙されたためか、清見が抵抗する力が明らかに弱まった。
ねちゅねちゅという水音を立てながら、清見と翠の口元にいやらしい液体がこぼれ落ちる。
その乱れる様子を目にして、鈴華は心からほくそ笑んだ。
「うふふ、そろそろだね」
621 五行戦隊 第三話(18/19) ◆vPNY1/7866 sage 2008/07/24(木) 22:53:51 ID:b96jA7a7
地面に根ざした植物は、やがて数枚の毒々しい肉片が伸びはじめた。
肉片は薄く広がり、徐々に清見の体を包み上げる。
「なに、これは……」
清見は突然体中を巡る焦燥感に襲われた。
彼女は自分の体を弱々しく抱きしめ、これから起こる恐ろしい光景を待つしかなかった。
やがて肉片はラフレシアにも勝るような巨大なものとなり、清見をゆっくりとその中心へ閉じはじめた。
清見はそこから離れようとしたが、膣と植物の間に繋がる部分が彼女を悶えさせる。
まわりの蔓は一斉に巻きつき、霊力を失った彼女を束縛した。
「いやだ……ここから出して!」
清見は絶望的な表情を浮かべ、鈴華と翠を見つめた。
しかし、その視線も途中で肉片によって途切れた。
やがて数枚の肉片が完全に閉じきると、一つの大きな蕾がそこに現れた。
蕾の中心部である子房は大きく膨らんでいて、
その表面には不気味な脈絡が走り、血管のようにドクドク鼓動を続ける。
「ふふふ……清見ちゃん、あなたがその蕾から出た時どんな姿になるのか……
ああ、考えるだけで興奮しちゃうわ」
「うっ、清見……ちゃん……」
翠は顔を火照りながら、罪悪感にまみれる表情を浮かべた。
そんな彼女に、鈴華は小悪魔な笑顔を浮かべながら、秘所に生えた触手を突き立てる。
「翠ちゃんも、そろそろ諦めたら?あなたは気持ちいいことさえできれば、何もいらない淫乱娘だから」
「ああぁん!」
翠の体は鈴華に押し倒され、濡れきった秘所が相手の触手に突かれる。
清見を包んだ蕾の表面には、十個の細い筋が浮かび上がった。
そのうちの一つから、大きな目玉が不気味に見開いた。
□
自分が気を失って、どのくらいの時間が経ったんだろうか。
「ううん、ここは……」
清見は朦朧とした目を開き、まわりを見渡した。
気を失う前の光景を思い出しながら、彼女はここの不気味さに気付く。
彼女は肉片でできた空間に囚われていた。
中は狭く暗く、むせ返るような甘い香りが満ち溢れていた。
体中に気だるい心地よさが走り、清見の思考力を鈍らせる。
「なんとかここから脱出して、睦美や灯に伝えないと……」
清見は体を動かそうとすると、四肢がまわりの肉片にのめり込んでいる事に気付く。
そして自分の股間部の服が溶かされ、晒しだされた秘所は繊毛がびっしりと生えた雄しべと繋がっていた。
雄しべは妖しく蠢きだすと、清見は背中をえびのようにそらした。
622 五行戦隊 第三話(19/19) ◆vPNY1/7866 sage 2008/07/24(木) 22:54:14 ID:b96jA7a7
「うんっ……あはあぁん!」
清見は口から快楽に悩む声を漏らした。
周りの甘い空気を吸い込むと、頭中までその淡いピンク色に染めてしまいそうだ。
四肢は肘や膝まで肉片に絡まれ、周囲が脈動するとともに邪悪なオーラが注ぎ込まれる。
気をしっかり持たないと、思わず自ら腰を浮かせて、雄しべに体をこすり付けたくなってしまう。
肉片の表面には多くの目玉が生えており、清見をあざ笑うかのように彼女を見つめる。
蕾の天井から絶えずとろりとした粘液が分泌され、
清見の体に垂れ落ちてから、彼女の太ももあたりへ溜まっていく。
粘液が柔肌を撫で落ちる度に、清見の心に淫靡な気持ちが生じる。
青色のコスチュームはその粘液を含んでしまうと、
ゆっくりと溶け出して、なんと同じ成分の汁に分解されて下へ流れ落ちる。
その恐ろしい光景は、彼女を驚愕させる。
バトルコスチュームの保護まで失うと、彼女は完全に無力な少女と化してしまう。
(そうなったら、私も鈴華や翠と同じように、妖獣のしもべとなってしまうのか……?)
その時のことを想像すると、清見はぞっとした。
(睦美、灯……どうか無事でいて……)
清見は祈るような気持ちで、仲間たちの名前を念じた。
それを最後に、彼女の意識が深い闇に沈んだ。
<つづく>
町のはずれに、大きな市立運動場がある。
昔はスポーツ観戦目的で建てられたらしいが、維持費用にあてがうだけの採算が取れないため、
結局数年もしないうちに閉鎖となってしまった。
そのすぐ近くに、これまた市民に安らぎの場という名目で、広い面積の風致林が植えられた。
しかし、そもそも町の中心から離れたこの場所を訪ねる者がいるはずがなく、
今ではひとけの少ない寂れた場所となっている。
「へー、オレ達の町にこんな場所があったなんて。清見、お前は随分と詳しいじゃないか」
「自分達が住む地域の風水を調べるぐらい、ちゃんとできないとね。
遁術使いとして、常に地の利を考えなければいけないから」
静かな森の中、二人の少女が会話を交えながら歩いていた。
先の少女は見くびられた感じがしたのか、不服そうに頬を膨らます。
薄暗い夜、彼女の変身した後の炎のような真っ赤な髪や服が目立つ。
短く切った髪型とまっすぐ伸びる眉が、彼女のボーイッシュな性格を強調する。
白い手袋に包まれた細い指、紅を基調としたミニスカート。
くびれのある健康的な胴体を、神火の文様がかっこよく彩る。
「ふん、これなんだから、優等生は……いざという時は理論とかじゃなくて、行動で何としないと」
「まあ、それも確かに一理あるわね。
灯(あかり)がいつも猪突猛進してくれたおかげで、私達は今まで何とか勝てたし」
「それって、なんか褒められてないような気がするけど……」
「気のせいだよ」
きっぱりと言いきる、もう一人の冷淡な少女。
彼女のウェーブがかったヘアは青色を呈し、一人目の少女とよく似たコスチュームを身に纏う。
ただ違うのは、その服の色は清涼感のある水色で、表面にはシャボン玉のような文様が浮かんでいる。
少女の片方の手の上に、半透明の水晶玉が浮いていた。
その水晶玉をじっと見つめながらも、彼女は樹木にぶつかることなく悠然と歩き続ける。
灯と呼ばれた娘は頬をぽりぽり?きながら、なんとか相手に反駁しようと考え込む。
そんな時、彼女達の前方から声が起きた。
「灯、清見、そちらはどうだった」
颯爽と現れたのは、灯と同じぐらい長身の少女であった。
彼女はやはり二人と同じ服装をしているが、褐色のポニーテールと服の土色が大きな特徴だ。
「いいえ、だめ。鈴華の霊力反応が、まったくしないわ」
清見はようやく水晶玉から顔をあげ、今度は空を見上げた。
今夜の月は満月のはずだが、雲に隠れていたせいで、うっすらとした照りしか無い。
「睦美のほうは?」
「まだまだ」
灯の質問に対し、睦美はゆっくりと首を振った。
彼女は手に握る可愛らしい鈴を見て、心配そうに呟く。
「翠の話によれば、この近くで鈴を拾ったのだが……
今度こそ、なんとかして鈴華ちゃんの手掛かりを見つけ出さないと」
「睦美、そんな心配そうな顔すんなって。鈴華のことだ、またいつもみたいにけろりとした表情で出てくるよ。
それに、オレ達がここで落ち込んじゃ、なんにもならないだろ」
「ああ、分かってる。絶対、彼女の消息を探し出してやるんだから」
灯の明るい口調に励まされ、睦美も顔を和らげた。
その時、清見がポツリとあることを尋ねる。
605 五行戦隊 第三話(2/19) ◆vPNY1/7866 sage 2008/07/24(木) 22:45:33 ID:b96jA7a7
「その鈴を拾った翠が、今日はどうしちゃったの」
「ああ、そういや清見に言ってなかったっけ。彼女なら、今日は体調不良で学校を早退したぜ。凄い熱出してさ。
一時間目は本人が我慢してたみたいだけど、体がぶるぶる震えてて、先生も見かねて早退させたよ」
翠と同じクラスである灯が答えると、睦も続けた。
「そういえば、私も見たわ。翠が帰る時、顔がすごく赤くて、目付きも虚ろだった。
だから、今日はちゃんと休むように言っといたわ。大事に至らなければいいけど……」
ねぇねぇこれ終わったらお見舞いに行こうよ、と灯や睦美がやりとりしている側で、清見はしばし黙り込んだ。
「清見、どうかしたのか?」
「ええ。このような樹木がいっぱい生えている場所は、翠の力が最も発揮しやすいから、
もしいたら頼りかなと思って。……彼女の病気の原因は、なんなのかしらね」
「まあ、どうせ風邪でしょう。いくらオレ達は凄まじい霊力の持ち主だからって、ひく時はひいてしまうからね」
「でも灯だけいつも元気で、本当に助かるよ」
「ちょっと清見、それってどういう意味よ!」
「翠がいない今日は、灯の活躍に期待しているって意味だ」
「そ、そう……」
清見の言葉が一転して褒め言葉となったため、灯はすぐに対応できなかった。
彼女は側の木に寄りかかってから清見の顔しばらく見て、何か確信を得たように頬をほころばせる。
「はっはぁん。清見も鈴華のやつと同じで、素直じゃないんだから。いつも私に皮肉を言ってるが、
実は私を一番信頼してるでしょ?いいよいいよ、この灯の実力が、百人力だっていうことを見せてやるんだから」
「勘違いしないで。私はただ、あなたの火属性が森の地形に強いから、
せめていつも以上に戦ってくれればいいと思っただけだ」
「えっ?」
自分の属性が森に強いと言われて、灯は慌てて指を数えて属性関係を復習する。
しかし、彼女が思い出すよりも速く、清見が言葉を続ける。
「木は火を生み、土を克つ。この場所では、私や睦美より、あなたのほうが実力を発揮できる。
……と、陽子先生から何度も教わった相生相克の関係、まさか忘れてたりしないよね」
「い、いやだね清見。そんな基本中の基本を、オレが忘れるわけないじゃない」
灯は汗顔になって言葉を濁らした。
なんでもかんでも根性と気力で切り抜ける彼女にとって、
相克ならまだしも、相生の関係はいまだに覚え切れなかったのだ。
彼女の苦しい口調を感づいた睦美は、やれやれと苦笑した。
「ははは。まあ、今日は私に任せて。どんな敵が出ててきも、けちょんけちょんにやっつけてやるからさ」
「それは頼もしいわ。灯はいつも危なっかしい子だと思ってたけど、その考えを改めるわ」
「うっ……その褒めてるのか貶してるか分からない言い方、なんとかならないかな」
灯は側の木に寄りかかりながら、疑い深い目付きで清見を観察した。
「当然褒めてるよ。例えば、あなたがさっきから寄っている木の上に、
敵がいるというのにまったく動じないじゃない。感心しちゃうわ」
「ほえつ?」
灯はゆっくりと見上げた。
暗闇にまぎれて、頭上の枝に一匹の黒いスライムがへばりついていた。
そのスライムは唯一の目玉をぐるりと回し、灯をずっと前からのように睨み続ける。
薄暗い森の中、大きな白目玉と見つめ合うというのは、なかなか迫力のある事だった。
606 五行戦隊 第三話(3/19) ◆vPNY1/7866 sage 2008/07/24(木) 22:46:08 ID:b96jA7a7
灯はしばらく目をパチパチさせ、やがて大きな叫びを上げた。
「……キャ――!」
彼女はすかさず炎気を帯びた拳を振り上げると、目の前を樹木ごと灰へと燃やす。
「灯にも、女の子らしい悲鳴が出せたんだね」
「それってどういう意味だよ!っていうか、気付いていたなら、速く教えてくれよ!」
灯は涙目になりながら、清見の襟を掴んで強く揺らした。
だが、その途中で睦美に制止される。
「二人とも、気をつけて!どうやら私達は囲まれたらしい」
睦美は構えを取りながら言うと、灯はすぐに自分たちを見つめる無数の視線に気付いた。
森の暗闇を背景に、白い目玉達はまばたきをしながら三人を威圧する。
「どうやら彼らはずっと妖気を隠し、私達を待ち伏せしているようだ。
それで水晶玉のサーチにも引っ掛からなかったわ」
「ふふん、前より随分と賢くなってきたじゃないか。正面からじゃ勝てないから、
オレ達の不意を突こうって訳か。だが、ザコは所詮ザコ、全部返り討ちにしてやる!」
灯は不敵な笑みを浮かべ、拳を強く握り締めた。
その五本指の隙間から高温の炎気が漏れ出て、あたりを一瞬だけ明るく照らす。
突飛過ぎた遭遇で思わず声をあげたが、彼女は五行戦隊の中で最も負けず嫌いで、
敵が大勢いればいるほど燃えるタイプだ。
「待って!また何かがやってくるわ」
睦美と灯は清見が指差す方向を見ると、背筋を緊張させた。
森の奥から、一匹の大型スライムが現れた。
その黄色いスライムはヒトデの形をとり、地面から直立していた。
その中心には大きな目玉と、金色に輝く瞳があった。
「これは……!」
「この前と同じ、普通のやつよりも強い種類だな」
睦美と灯は同時に、数日前初めて戦った異種のスライムを思い出した。
今まで無かったボディーと、今まで無かった攻撃方法。
初見だったため、その場に居合わせた翠が負傷したこともあった。
しかし、最後は弱点である灯の炎に焼かれ、なんとか打倒することができた。
だが、彼女達はそのスライムが連れ出した物体を見て、更に愕然とした。
「す、鈴華……」
「鈴華ちゃん!」
「……!」
鉄製の十字架の上に、一人の小柄な少女が鎖に縛られていた。
気を失っているのか、彼女は目を閉じたままうなだれる。
「おい、鈴華、しっかりしろ!」
「……灯、みんな!」
鈴華は呼び声に気付き、目をゆっくりと開いた。
「みんな、ごめん……これは、罠よ!速く、ここから逃げて!」
「くっ……お前たち、よくも……よくも鈴華をいじめて!」
灯は今にも飛びかかる勢いだが、後ろから清見に肩を掴まれる。
「みんな、ここはいったん身を引こう」
「えっ?」
「どういうことだ、清見」
清見の突然すぎる意見に、灯と睦美は耳を疑った。
607 五行戦隊 第三話(5/19) ◆vPNY1/7866 sage 2008/07/24(木) 22:46:43 ID:b96jA7a7
「待ち伏せされているんじゃ、こっちに分が悪い。
いったんここから離れ、翠が完治するまで対策を練るべきだ」
「目の前に仲間が捕らえられてるのに、逃げるというのかよ!」
「鈴華自身も逃げてって言ってるし、彼女の忠告を聞くべきだ」
清見の相変わらない無感情の口調は、灯を仰天させる。
「そんなバカなこと、きるか!お前が行かないというのなら、オレだけでも行ってやる!」
「灯、一人じゃ危険だわ!」
飛び出る灯を追うように、睦美も駆け出した。
彼女たち動き出した次の瞬間、周辺の目玉スライムが一斉に蠢き、三人へと襲い掛かった。
清見は二人の後姿を見て、小さくため息を吐いた。
彼女は印を結ぶと、その周りに水の障壁が立ち上がり、迫り来る目玉スライムを巻き込む。
二人の背後を守るために、彼女はやってくる敵を一手に引き受けた。
先に走った灯は、すぐに鈴華のほうへ向かわなかった。
彼女はひとまず、鈴華の隣に立つ金色スライムの方へ飛びついた。
風の音から、後ろから睦美が迫る事を分かっていた。
金色のスライムに最も有効なのは、自分の火遁術である。
敵が妨害となる前に、それをまず叩き潰す。
金色スライムは目玉を怪しく輝かせると、そこから一本の鋼の槍を射出した。
灯は果敢に金色のスライムの前を立ちはだかり、槍を素手で掴み取る。
彼女の両手に握られた槍はたちまち溶解し、熱い溶液となって地面を燃え焦がした。
その後ろを走る睦美は、灯に目もくれずそのまま横を駆け抜ける。
彼女が指を立てて素早く念じると、鈴華を縛る鉄索は一瞬のうちに砂塵に埋もれ、圧砕された。
落下する鈴華を抱きしめると、睦美の目元が思わず熱くなる。
仲間の安否を心配してきた苦痛から、ようやく解放できるのだ。
「鈴華、しっかりして!」
「……睦美、助けてくれて、ありがとう……」
鈴華が努力して作った元気の無い笑顔は、睦美の心を痛ませた。
しかし、今は感傷に浸っている場面ではことを、彼女自身もよく知っていた。
頭を上げて灯の様子をうかがうと、睦美の顔色が急変した。
――金色スライムの一匹ぐらいで、自分が負ける要素など皆無である。
灯はそう確信していたし、実際彼女が放った爆砕拳は相手を一撃で倒してしまった。
急所である眼球を目掛けてやったとはいえ、
前回と比べてはあまりにもあっさりしていて、灯自身もビックリしたぐらいだ。
彼女は深く考えずに睦美のほう振り向こうとした途端、
足元に倒れる金色スライムの残骸から、突如無数の触手が伸び出た。
「なっ……」
言葉を言い終わる間もなく、彼女の体が触手に絡められる。
一際大きい植物が地面から突き出て、ハエトリグサのように花びらを開く。
そして動きが制限された灯を、そのまま頭から飲み込んだ。
睦美が灯を見たのは、ちょうど彼女の赤い靴が外にはみ出た時であった。
彼女はすかさず灯のほうへ駆け、指を立てて術を操った。
巨大ハエトリグサの表面にいくつかの目玉が見開き、見た目に反して素早い動きで逃げ出す。
だが次の瞬間、ハエトリグサがいる地面が轟音を立てながら崩れた。
睦美は素早くハエトリグサの花を開かせ、灯の体を引っ張り出した。
そして周囲の地表が大きく揺らすと、ハエトリグサを挟み潰した。
608 五行戦隊 第三話(5/19) ◆vPNY1/7866 sage 2008/07/24(木) 22:47:28 ID:b96jA7a7
断ち切られた触手を払った後、睦美は灯の肩を揺らす。
「灯!灯、しっかりして!」
灯の体は妖しい色の花粉にまみれていた。
彼女は体をぶるぶると震わせ、開いた口から何か伝えようとするが、舌がうまく回らないようだ。
「これは痺れの花粉?灯、もう動くな。後は私に任せ……」
「……う、し、ろ」
灯は慎重に口の形を作り、一文字ずつ音を捻り出した。
彼女の意図を察するや否や、睦美は土遁術を駆使した。
背後に大きな碑石がせり上がり、敵の武器を防ぐ。
森の中、金属と岩石が衝突する不快な音が響き渡る。
睦美は後ろに立つ人物の顔を見ると、心が大きく揺らいだ。
ついさきほど彼女が助けた鈴華が、両手で大剣を握り、碑石に切りかかっていた。
(鈴華が……私を襲っている?)
(なんで?)
(まさか、敵に操られて?)
(今ここにいるのは、偽者?)
(そうだとしたら、本物の鈴華はいったいどこに?)
数々の疑問が、一瞬のうちに睦美の頭をよぎった。
それはわずかな時間であったが、睦美の敗因となるには充分な間であった。
鈴華の肩から一株の花がのぼり、睦美の目の前で咲いた。
その毒々しい花びらが囲む中心に、不気味な目玉が生えてあった。
睦美は相手から距離をとろうとするが、鈴華はそれを許さない。
碑石に切りかかる大剣の重量が驚異のスピードで増え続け、睦美に迫り続ける。
霊力を練ることが段々と苦しくなったため、睦美は思わず息継ぎしてしまった。
そこで突如、鈴華の肩にのぼった花から、灯と同じ花粉を睦美の顔面に吹きかける。
(まずい!)
睦美は素早く指を動かし念じると、碑石が六つの塊に分かれて飛び交い、鈴華の体をぶっ飛ばした。
その間、彼女は少なからず花粉を吸い込んでしまった。
そして次の瞬間、睦美は体中に無数のアリが這えているような嫌悪感を覚えた。
四肢に鈍い痒さが伝染し、足がまともに立つことさえできず、しゃがみこんでしまう。
両手はガタガタと震え、痺れによって一切の感覚を無くした。
「かかったわね、睦美」
「鈴華……!」
睦美は痺れる体を抱きしめて、自分に近づく少女を見つめる。
鈴華のかわいらしい顔には、自分が知っていた無邪気な表情がどこにもなかった。
その代わりに、今まで見たことも無いようなよこしまな笑みが浮かんでいた。
「さすがだね。あのわずかな一瞬で、がんばって息を止めてたのね。
まあそれでも、あなたの体は随分苦しくなったはずだわ」
「くっ……あなたは、一体……」
「本物の鈴華だ」
いつの間にか清見が睦美の側に立ち、彼女を支え起こした。
その後ろで、目玉スライム達の残骸が地面を埋め尽くす。
609 五行戦隊 第三話(6/19) ◆vPNY1/7866 sage 2008/07/24(木) 22:48:14 ID:b96jA7a7
「残念だったわ、清見ちゃん。あなたまで一緒にやられていれば、手間がほとんど省けたというのに」
「ええ、私も残念だわ。まさか仲間であったあなたと、これから戦わざるを得ないとは」
「清見、これは一体どういうことだ……鈴華は、一体どうしたのか?」
清見は無表情のまま水晶玉を差し出し、それを淡く輝かせた。
「よく見て、この力の波長を。確かに、これは鈴華の形と一致するわ。
……しかし、霊力ではなく、妖力としてね」
「なっ、なに?」
「つまり今の彼女は、そこら辺にいる妖獣達と同じ、
邪悪な存在となっている。そして、私達の敵になっているのよ」
清見は淡々としゃべり続けるが、その内容に睦美の全身の毛がよだつ。
「清見、何を言って……そんなこと、あるはずが……!」
「ふふふ、実際に見せてあげたほうがいいかしら」
鈴華は薄笑いを浮かべると、そのあどけない童顔に邪淫なオーラを負わせた。
彼女が着ていた黄色い五行戦隊のコスチュームは、
徐々に暗黄色へと変化し、その表面に多くの目玉が見開いた。
弾力を含んだ肉質に変化した布地は、まるで無数の蟲が集まってできたかのように、もぞもぞと蠢動する。
その面積も小さく収縮し、彼女のきめ細かい肌を露出させる。
肉布はやがて生き物のように湿気を帯び始め、ぬめりと彼女の肌に吸い付く。
胸を覆う部分が減り、乳の上部から滑らかな腋や二の腕まで露出する。
背中も大きく切り開かれ、真っ白な素肌が月光を浴びて妖艶に照り返す。
心なしか、鈴華の小さかったはずの胸は豊満なものに成長し、腰のくびれもくっきりと現れる。
スカートは無くなり、肉布に覆われた股間部は、女性のラインを魅力的になぞる。
しばらくすると、彼女の秘所から愛液が溢れ出て下へ垂れ降りる。
白い臀部も大きく露出させられ、人の目を惹く。
両足の肉布は帯状の布切れとなって、螺旋状を描きながら肉つきのいい太ももを取り巻く。
そしてふくらはぎより下へ行くと、それが硬質のヒールブーツとなる。
よく目を凝らしてみれば、肉布の裏面には無数の小さい突起が集まり、
そのイボイボたちがぬめりと鈴華の肌に付着することが分かる。
鈴華が動作をとるたびに、途切れた縁から粘液がピチャ、ピチャと小さく鳴り響く。
裏側全体は、それと同じ液体によって濡らされていることが想像できる。
彼女の今の格好は裸よりも恥ずかしく、そして淫らであった。
三人達はその大胆な格好を見て、思わず顔を赤らめた。
肉布が定型すると、その上に生えた目玉達はタイミングを揃ってぎょろぎょろ動き、清見たちを睨みつける。
極め付きに、鈴華の開いた胸肌の上部に、一つの目玉が縦にぐぱっと見開く。
目玉の中央には金色を呈した禍々しい瞳があった。
その目玉が見開いた途端、鈴華の全身から邪悪な妖気を放ち、官能を刺激する淫らな芳香が発散された。
彼女は腕を組み、口元を邪悪に吊り上げる。
「ふふふ……いかがかしら?これが今の私、妖眼蟲を取り込んだ新しい姿だわ。
百目様の敵となす者は、全部私が駆除してあげるわ。それがたとえあなた達でもね!」
「鈴華、お前……」
睦美は歯を食いしばり、悔しそうな声を漏らす。
灯はうまく喋ることができないが、鈴華の変わり果てた姿を見て、表情が激昂した。
「さて。清見ちゃんを生け捕りし損なったとはいえ、今の状況はあなた達に極めて不利だわ」
「くっ……」
睦美は起き上がろうとするが、痺れた体は彼女のいうことをうまく聞いてくれない。
周囲から、数匹ものヒトデ型の金色スライムが近寄る。
このままでは、敵の標的となることが明白だ。
目の前に鈴華がいるというのに、彼女を助けることができない……
そんな自分の不甲斐無さに、睦美は苛立った。
610 五行戦隊 第三話(7/19) ◆vPNY1/7866 sage 2008/07/24(木) 22:48:42 ID:b96jA7a7
「さあ、清見ちゃん、ここで潔く投降したらどうだい。私は、あなた達をあんまり傷付けたくないのよ」
鈴華は可愛らしい金切り声を発し、昔と同じような悪戯っぽい笑顔を三人に向ける。
だがその言葉の内容は、睦美たちの心を凍らせるものであった。
「残念ながら、そういう相談はまた今度にお願いするわ」
清見は突然水晶玉を地面に投げつけると、そこから直径十メートルもの小さな池ができた。
彼女が手を掲げると、水面から大きな水の腕が伸び出て、灯と睦美を引き寄せる。
「なにっ……!?」
「これは運動場近くの池の水を含んでいて、むこうとは繋がっている。
……今日は、鈴華の生存を確認できて何より。また機会があったら、あなたを助けてやるわ」
清見は二人の体をそのまま池に引っ込ませると、自身も水面の下へ沈んだ。
「逃さないわよ!」
鈴華は素早く一本の鎖を放ち、それを清見の腕に絡めさせる。
「くっ……」
「清見!」
「睦美、灯とさきに行って。私も後から行く」
「でも……」
「睦美と灯がここにいても、足手まといになるだけよ」
「……分かった」
睦美は力強く頷いて、灯を抱いたまま水底へ飛び込んだ。
清見は確かに毒舌ではあるが、彼女は常にまっとうな意見を出すことを、睦美はよく知っていた。
「逃がさないって言ったでしょ!」
鈴華は更に数本の鎖を放つが、それら全て清見の水の鞭によって叩き落される。
二人の姿が完全に消えた後、清見は水面全体を元の水晶玉に戻した。
「鈴華、あなたの相手は私だ」
「あ~あ、清見ちゃんのせいで、二匹分逃げちゃったじゃない」
鈴華は残念そうに呟いた後、可愛らしく舌を吐き出し、あっかんべを作った。
「なーんてね、清見ちゃんだけでも充分だわ。
あなたを生け捕りにして、百目さまにいっぱい褒めてもらうんだから」
「そう。なら、やってみるがいい」
冷夏の夜。
月の明りも少ない森に、ひんやりとした空気が流れる。
かつて仲間同士だった二人の少女が、互いに敵意をむき出す。
一人は表情の読み取れない冷ややかな目付き。
一人はあどけない顔に浮かべる邪悪な微笑み。
「清見ちゃんは、途中で私のことを疑ったでしょ。
ねえ、どうして?私、結構うまく演技できたつもりなのに」
「ええ、あからさまに変だというところは無かったわ。待ち伏せしたことも、人質を見せびらかしたにしても、
せいぜい警戒する程度の事だ。ただ、あなたが灯を見て初めて叫んだセリフが、おかしいと思った」
「ほお?」
「私が知っている鈴華は、内面では灯と互いに認めあっても、表向きでは無駄に張り合う照れ屋な性格なの。
自分が囚われる無様な姿なんか、灯だけには死んでも見せたくないでしょう。
だからあの時、あなたは灯を見るや否や、うるさいぐらいに強がって騒ぐと思っていたわ」
「うっ、清見ちゃんは相変わらず酷評だな」
611 五行戦隊 第三話(8/19) ◆vPNY1/7866 sage 2008/07/24(木) 22:49:21 ID:b96jA7a7
「それに、鈴華は仲間を大事に思う人。もし本当に私達を逃げさせるつもりなら、
わざわざ灯に向かって『逃げて』など、逆に煽るようなことを言わないわ」
「あははっ、感心しちゃうわ。あなたは、私よりも私を知り尽くしているのね……
でも、あの二人が脱出したところで、何も変わらないわ。この後ちゃんと生け捕りするんだから」
「そうさせないよう、私がここであなたを食い止める」
「ふふふ……別に私が行かなくても、他の人が行ってくれるけどね」
「なにっ……?」
鈴華の意味深長な言葉に、清見の眉が少し跳ねた。
「まあ、今は彼女達の心配をするより、自分の心配をしたほうがいいじゃないかしら」
「妖獣に精神を操られているあなたが、本来の実力を出せるとは思わないがな」
「操られてる?ふふふ……私は今、自分の意思で清見ちゃんと向き合ってるのよ……
百目様から、こんな素敵なプレゼントをもらったからね!」
鈴華はそう言うと、手で自分の秘所を広げた。
「うっ、あん……はぁうん!」
彼女は恍惚の表情を浮かべながら、濡れきったアソコから一本の触手を摘み出した。
触手は淫液にまみれながら、うねうねと蠢く。
その鎌首に一つの目玉が見開き、清見を見据える。
あまりにもおぞましい光景に、清見は顔をしかめた。
触手は、男性の性器のようなグロテスクな形だった。
その幹から濃厚な性フェロモンを撒き散らし、人間の心奥にある劣情を呼び起こす匂いを立たせる。
清見は思わず腕で鼻を覆い、
「これは……なんてすさまじい妖気だ……」
「ふふふ……この子を体に宿してから、私はもうエッチ無しでは生きられない体に調教されたのよ」
鈴華はいとおしそうに触手をさわり、優しく刺激を加える。
「エヘへッ。これとても気持ちいいのよ。ねぇ、清見ちゃんもこの妖眼蟲に寄生されてみない?
そうすれば、あなたも私と同じ仲間になれるわ」
「気持ち良い事は別に嫌いではない。ただ、化け物の言いなりだけは、なりたくないな」
清見は挑発を簡単にあしらうと、鈴華はつまらなさそうに頬を膨らます。
「あ~あ。やっぱり清見ちゃんだと、調子出ないよね。こういう時は、大声で悲鳴を上げたり、
すごく悲しむ表情を作ってくれたりしないと。かつての仲間が、邪悪な妖獣のしもべとなって立ちはだかる。
しかし、あなたは私に全力を使うこともできず、肉体的にも精神的にもダメージを負っていく……
くふふ、素敵なシーンと思わない?」
「そんな事を言っても、私は動揺なんかしないわ」
「本当かしらね。うふふ、じゃあもうちょっと見せてあげようか。妖眼を植えつけられてから、
私がどれほどいやらしい娘になったのか……今私が着ているこの服だって、
一杯エッチなことをしてくれるのよ」
鈴華は目を細めて、清美が見ている前で自分の乳房を揉んだ。
胸を覆っていた肉布は彼女の手つきに刺激され、より一層大幅に蠢きだした。
少女の童顔には、たちまち淫蕩に耽る恍惚が現る。
その肉布から醸し出す香りは、段々と濃度を増した。
しばらくすると、あたり一帯は人畜を発情させるような甘ったるい匂いが満ち溢れた。
その淫邪なさまを見て、清見はひそかに唇を噛み締めた。
「あん、はぁん、いいわ……うふふ、私は、とてもいやらし娘になっちゃったの。
目玉達に毎日犯され続けて、もう淫乱な事しか考えられない女の子になっちゃったわ。
ほら、私のアソコを見て。もうびしょ濡れになってるわ」
鈴華は見せ付けるように、秘所に生えた触手を動かしかき混ぜた。
彼女のアソコと触手との隙間からおびただしい量の愛液が溢れ出て、ふとももをたどって地面に滴る。
612 五行戦隊 第三話(9/19) ◆vPNY1/7866 sage 2008/07/24(木) 22:49:48 ID:b96jA7a7
鈴華はその液体の一部を指ですくうと、小さな口でおいしそうに頬張る。
「んんむ……はぁ、何度味わっても、すてきな味だわ。ああ、さっきまでずっと我慢してたから、
体がもううずうずして溜まらなくなってきたわ……清見ちゃん、私のところへ来て。
あなたにも妖眼蟲を植え付けて、一緒に気持ちよくなろうよ」
あたりを漂う淫靡な香りが、清見の感覚を刺激する
優しく誘惑する声が、彼女の心を愛撫する。
ぬちゃぬちゃと聞こえる淫らな水音。
少女が浮かべる魅惑な表情。
目の前にある鈴華の変わり果てた姿は、確かに悲しむべきものであった。
しかしその妖艶な姿は、なぜか清見の脳に焼き付けて離れてない。
「私は、これでも正義の一員……悪に屈するわけにはいかない」
「ふふふ、正義の一員ね……私の妖眼によれば、
あなたの心の奥底には、私よりずっと邪悪なものが潜んでいるらしいけど」
鈴華の胸に上部に生える大きな目玉は、突如まばゆい金色の光を放った。
すでに淫靡な光景によって惑わされた清見は、その光から目をそらすことができなかった。
幻惑のように輝く光の中、清見はふとかつての自分の姿を見つけた。
小さい頃、無口で無愛想だった彼女。
友達もできず、いくら優秀な成績を修めても、みんなから疎遠されてきた。
そのうち不思議な霊力が顕現してから、まわりから不気味な存在と思われ、何度もいじめられてきた。
その時感じたどす黒い感情が、今の彼女に蘇る。
「うっ……ぐっ……!」
清見の額から汗があふれた。
彼女は大きく呼吸を繰り返す様子を見て、鈴華は邪悪に微笑む。
「なるほど、清見ちゃんにはそういうつらい経験があったのね。
何も話してくれないから、今日初めて知ったわ。
でも、よく見せてもらったわ、その時あなたがどれほどの憎しみを抱いたかをね」
「……私は、もう……迷わない」
「はっ?」
清見の顔を徐々に毅然なものになると、鈴華は思わず驚いた。
「一年前の私なら、あなたの言葉に惑わされたかもしれない。
でも、今の私には、そんなまやかしは通用しない……今の私には、大事な人達がいるわ」
「くっ……」
「確かにあなたの言うとおり、私の心の奥底に邪悪なものが潜んでいたかもしれない。
でも、みんなや陽子先生と出会ってから、私は変わることができたんだ」
清見は目をつむると、初めて睦美に呼び止められた光景を思い出した。
あれは高校に入学して、間もなくのことだった。
それまでの経歴で、自分は他人との親交を拒絶した。
しかし、彼女は睦美の諦めの悪い熱意に負けて、いやいやながら五行戦隊に加入させられたのだ。
五行戦隊の指揮を取る陽子先生から、霊力ついていろいろ伝授された。
最初は一匹狼だった彼女だが、時間が進むに連れ、いつしかまわりに溶け込んだ。
仲間たちの暖かい笑顔が、清見の冷えきった心を温めてくれた。
「そして、鈴華……あなただって、私にとって大切な人だ」
「な、なにを!」
「かつてあなたが私を助けたように、今度は私があなたを救ってみせる!」
「そんな事、勝手に言ってなさいよ!」
613 五行戦隊 第三話(10/19) ◆vPNY1/7866 sage 2008/07/24(木) 22:50:19 ID:b96jA7a7
鈴華は左手でいきなり鎖を引っ張り、清見のバランスを崩した。
それと同時に、彼女は右手の剣を振り相手に切りかかる。
清見は瞬時に水晶玉を前に出して、相手の剣撃を防ぐ。
鈴華は自分が作り出した剣に自信があった。
例えどんな硬いモノでも、彼女の妖力によって合成された剣質にかかれば、豆腐のように切り裂けられる。
だがその自信があるだけに、予想に反して水晶玉を斬った手応えが無かった時、彼女は大いに驚いた。
剣撃を受け止めた水晶玉は、「ぼよーん」と音を立てて縦長に伸び曲がった。
「なんだね、曲芸師のマネかしら?そんな奇術じゃ、私の攻撃を防げないわ!」
鈴華は刃をそのまま滑らせると、水晶玉が伸びた部分にひびが入った。
そこに更なる力を込めると、ついに水色の玉が二つの塊に分かれた。
清見はとっさに後ろへ下がり、勢い余る剣撃を避ける。
「あははっ、これで清見ちゃんの得意武器が使えなくなったわね」
「それはどうかしら」
「えっ!?」
鈴華は割れた水晶玉を見ると、二つの塊に分かれた物体が、四つ、八つへと分裂し始めた。
個数が増えるにつれ分裂するスピードも増し、
またたく間に肉眼では確認できないぐらいの水滴となって、甘ったるい匂いを追い払って空中を充満する。
森の中はたちまち濃霧に覆われた状態となり、手を伸ばしただけで指が見えなくなる状態となった。
鈴華はすぐさま鎖を引っ張るが、その先は硫酸に溶かれた痕跡以外、何も無かった。
「こざかしい真似を……」
鈴華は剣を前に構え、あたりの様子を見回した。
前後左右に耳を傾けても、金色スライム達がバラバラに蠢く音しかなく、清見の気配が一向に現れない。
「清見ちゃん、そろそろ悪あがきを止めたらどうだい?潔く出ておいて」
彼女の語尾が終えたと同時に、突然遠くから「シュルーッ」という奇声があがった。
鈴華はすぐさま、それがスライムの断末魔であることを理解した。
「そこかっ!」
鈴華は一本の投げ槍を作り出し、物音のほうへ放り出した。
槍先が樹木に突き刺さる音が響いたが、それ以外の反応はまったくなかった。
「隠れながら、一匹ずつやる寸法かしら。随分と卑怯な手口じゃないの」
鈴華は挑発的に声を張り上げるが、彼女への返事はもう一匹のスライムによる悲鳴だった。
今度は、さきほどとは正反対の位置からの音であった。
(そんな……どうやって?)
鈴華は愕然とした。
金色のスライムは、彼女が自ら生み出した妖獣である。
普通の小さいスライムと違って、彼女の能力を一部受け継いでいて、戦闘力ももちろん他より高い。
五行戦隊には劣るとはいえ、これほど短時間で倒されるのはおかしい。
(このままじっとしていたら、やられる……!)
鈴華は悔しそうに舌を鳴らした。
彼女は胸の目玉を妖しく輝かせ、スライム達が集中するように指示を下した。
「「シュルルル」」
何匹かの目玉スライムが声を上げると、その躯体が地面を這う摩擦音が聞こえてきた。
鈴華は慎重に音を聞き分け、警戒しながらゆっくりと進んだ。
しかし、目玉スライム達の群れに近づいたと思ったところ、突然全ての物音が消えた。
614 五行戦隊 第三話(11/19) ◆vPNY1/7866 sage 2008/07/24(木) 22:50:43 ID:b96jA7a7
「ちっ!」
彼女は急いで駆け寄ると、最後の目玉スライムが水溜りに沈んでいく光景を目にした。
目の前には、いつの間にか水場が広がっていた。
濃霧のせいで縁が見えないため、見た目以上の無量感を人に与える。
水の色は不透明で、その深さは知る由が無かった。
その水面に清見は足を軽やかに乗せて、鈴華を冷ややかに見つめる。
「私の水遁の陣を無用心に侵入する者は、底無しの水沼に引き込まれる。
鈴華、あなたがここで私に勝つ確率は、極小になるわ」
「ふん、短時間でこの規模の遁陣を作り出すとは……
でも忘れないで、私の剣は例え形の無い物でも斬れるからね!」
鈴華は握っている剣に妖気を集中させると、鍔の部分に大きな目玉が見開き、妖しく輝き出す。
そこから発される身を削るようなオーラを感じると、清見は表情を深刻なものへと変える。
「……陣破りの剣!」
清見が小声で呟いた次の瞬間、鈴華は全身の力で剣を振り下ろす。
凄まじいエネルギーが放たれると、水場は地面ごとズタズタに切り裂かれた。
水面の切り口は綺麗に斬られたまま、いつまでも経っても元に戻らない。
――陣破りの剣。
さまざまな妖術を使う妖獣相手に、鈴華が使うその技は何度も大活躍した。
炎や水、はては幻や異空間まで斬れるその剣技は、仲間たちを助けてきたのだ。
味方としては頼もしい特技だが、敵となった今、清見にとってこれ以上無いぐらい嫌な能力であった。
清見がいなくなった水面を見つめ、鈴華は微笑んだ。
「あらあら、とっさに隠れちゃったのね。でも、逃げてるだけじゃ、いつまでも私を倒せないわ」
「別に逃げたわけじゃない」
鈴華の耳元に、忽然と清見の囁きが響いた。
彼女は慌てて振り向くと、清見が操る水の鞭が鈴華の手首を叩く。
妖眼が生えた剣は残された水面に落ちると、泡一つ立たずに飲み込まれ。
「な、なぜそこに……?」
「霊力に満ちた水を経由すれば、私はどこへでも瞬間移動ができる。
……言ったでしょ、この領域内なら、あなたは勝てない」
鈴華は清見が指差す霧を見て、歯を食いしばって再び妖力を練りあげた。
「ふん、ならばこの霧ごと斬るまでだわ!」
「一度油断したら、そこで終わりよ!」
清見は霧の中に腕を伸ばし、大きなシャボン玉を取り出すとそれを鈴華に投げつけた。
鈴華は作りあげた妖剣で前を切り裂く。
しかし、シャボン玉はパンと弾いて、鈴華の前で破裂した。
中からドロドロした粘液が鈴華の四肢にねばりつくと、まるでのりのように彼女の体を貼り合わせる。
「な、なんなのよ……これ?」
「私が配合した、捕獲用の超強力接着剤だ」
「このっ……はなせ!」
鈴華は懸命に腕を動かし、なんとか粘液から脱出しようと試みた。
しかし、彼女があがけばあがくほど、粘液がきつくねばりつく。
数十秒もしないうちに、鈴華は完全に身動きが取れなくなった。
「これで、あなたの完敗だね」
「わ、私をどうするつもりよ!」
「あなたを操っているのは、その胸にある目玉だな。鈴華、その悪の目を摘み取らせてもらうわ」
清見は近くまで歩くと、鈴華の胸の上に手を差し伸べた。
615 五行戦隊 第三話(12/19) ◆vPNY1/7866 sage 2008/07/24(木) 22:51:16 ID:b96jA7a7
「ちょ、ちょっと!」
「これを取り除けば、あなたの意識も正常に戻るはずだ」
「タイム、タイム!でもでも、もしかしてそれを取ったら、私死んじゃうかもしれないよ?」
「大丈夫。妖獣に関する知識なら、私が一番豊富だ……まあ、それで亡くなったら、
それはそれで正義の味方である鈴華の本望だろう」
「ちょっと、勝手に人の本望を作るな!っていうか、あなたはいま自信無かったでしょ?
あなたは、それでも私を仲間だと思ってるのか」
「ああ、思っているわ。来年以降のこの日、私が責任を持ってお墓参りするから」
「ちょっと、真顔でそんな恐いことを言わないでよ」
清見が段々と冗談を言っているように見えなくなると、鈴華の顔は怯えはじめた。
彼女の手が伸びてくると、鈴華は思わず目を閉じた。
その時だった。
清見の背後から、一本の緑色の蔓が急速に伸び出る。
風切り音が聞こえた清見は、仕方なく体を横へそらす。
蔓の勢いはなおもとどまらず、粘液をまとう鈴華を絡めてむこうへ引き寄せた。
清見は目を大きく見開き、遠くから蔓を操る人物を見据える。
一人の緑色に彩なすロングヘアの少女が、足元をふらつかせながら現れた。
彼女の口から熱っぽい息が漏れ、
眼鏡を掛けていない瞳から苦悶と快楽が混ざり合った表情が読み取れる。
その顔立ちは紛れも無く五行戦隊の一人で、清見の仲間である翠であった。
しかし、普段の優しくてのほほんとした雰囲気は、今の彼女にはどこにも見当たらない。
肉つきの良いボディーは、鈴華と同様に、たくさんの邪悪な目玉が生えた肉布によって覆われていた。
鈴華とは違う緑色の肉布は、イボイボがびっしり生えた裏面を蠢きながら、彼女の柔肌をぬめりと撫で回す。
翠の瞳は潤んでいて、目の焦点がぼんやりしていた。
彼女の股間を覆う肉布の隙間から、ねっとりとした愛液が溢れ続ける。
「翠、あなたがどうしてここに」
「き、清見ちゃん……」
清見の視線にうしろめたさ感じたのか、翠は視線を逸らした。
彼女の美しい顔立ちはさっきから赤色に染められ、
普段の彼女から考えられない色っぽいものとなっている。
鈴華は不満そうな口を尖がらせ、
「翠ちゃん、今まで何やってるんだよ!」
「ご、ごめん……森の外に向かわる妖眼蟲たちに、指示を出しに行ったら……」
「森の外?……灯と睦美か!」
相手の言葉の意味を理解すると、清見は背中に冷え汗をかいた。
灯と睦美は、まだ痺れの状態から回復できていないはずだ。
霊力でいくらか維持できても、今の二人には、抵抗する力はさほど残っていない。
そんな無防備な二人に目玉スライムの軍団が襲ったら、大変な事になってしまう。
「それぐらいのことで、もたもたしないの。というか、速く私を助けなさいよ」
「は、はい……!」
翠は清見の視線をさけるように顔をうつむき、蔓が巻き付いた腕を振るわせた。
そこから更に数本の目玉が生えた蔓が伸び、鈴華の体に巻きついて粘液を綺麗に吸い取る。
「……翠、まさかあなたも鈴華と同じ、敵の手に堕ちたのか」
「……清見ちゃん、ごめん……」
翠は清見の言葉を否定することなく、荒い息を繰り返す。
616 五行戦隊 第三話(13/19) ◆vPNY1/7866 sage 2008/07/24(木) 22:51:42 ID:b96jA7a7
「最初に出てきた目玉が生えた花も、今になって考えればあなたが作り出したものなのね。
灯に手掛かりと称して鈴を渡したのも、全部あなたが仕組んだことだったわね」
「そ、それは……」
「ふふふ、そうよ」
鈴華は体に貼り付いた粘液を取り除いてもらった後、
翠の背後にまわり、彼女の豊満な乳房を後ろからまさぐった。
「あ、ああん……!」
翠の顔に悦楽の表情が浮かび、愛撫をもっと求めるかのように体を淫らに揺るがせ、鈴華へ寄り添う。
「翠……!」
「ふふふ……だいぶ感度が上がってきたようね。しかし、まだ完全に心が屈しているわけじゃないみたい。
あなたがなかなか堕ちなくて、妖眼蟲たちも手が焼いているわ。
まあ、この調子でいけば、もうすぐ完全に快楽の奴隷となるね」
「だ、だめ……私は、そんなことなんか……」
「何よ。いまさら、正義の味方になってるつもり?」
「きゃ――っ!」
突然、鈴華が翠の秘所を弄りだした。
「ほらほら、上からクリトリスをつついただけで、こんないやらしい汁を溢れさせちゃって。
ふふん、昨日なんか凄かったのよ?みんなの触手を咥えて、淫乱なメス犬のようによがりまくって、
イキまくってたわ。清見ちゃんにも見せてあげたいぐらいよ」
「あ、ふぁん……お、お願い……そんな事、言わないで……」
「体が欲しくて、たまらないくせに」
鈴華はもう片方の手の指を翠の口に入れると、翠は夢中になってそれをしゃぶった。
「これで分かったかしら?翠ちゃんはもう私と同様、妖眼蟲の忠実なしもべになったのよ。
うふふ、翠ちゃん!私と一緒に、清見ちゃんを捕らえちゃうわよ」
「は、はい……」
翠は恍惚のまま頷くと、鈴華と肩を並べた。
「これで形勢逆転だね。私達の実力はほぼ同じだから、
二対一では、さすがの清見ちゃんも不利になっちゃうわね」
「くっ……」
清見は唇を噛み締め、突然鈴華や翠との反対方向へ飛び上がった。
彼女は決して無茶をしない人物である。
今の彼女がなすべきことは、一刻も早くこの場から離れ、灯や睦美の側へ行く事である。
彼女が動き出したのと同時に、無数の矢がその背後を目掛けて射られた。
清見は地面を強く蹴り上げると、彼女の足元に集まってきた水滴が激流となって、
矢の雨を巻き上げながら鈴華の方へなだれ込む。
鈴華は素早く一つの大盾を作り出し、弾丸のように飛んでくる水玉をガードした。
水玉は重い銃弾のような衝突音を連発させ、盾によって次々と弾き飛ばされる。
「翠ちゃん、出番よ」
「うっ……」
鈴華の催促を受けて、翠はやましい表情を浮かべながらも、ふところから一握りの種を取り出した。
彼女はそれらをばらまくと、地面に付着した種はすぐさま数本の蔓に成長した。
それらの蔓はうねうねと伸び終わると、清見を絡めようと襲い掛かる。
清見は仕方なく攻撃を止め、軽快な動きで蔓をかわす。
だがその隙に鈴華は清見との距離を一気に縮め、電光石火のように一振りの大刀を振り回した。
鈴華の殺傷力の高い刃と、翠のトリッキーな植物攻撃。
相手の隙間の無い攻撃に、清見はたちまち劣勢に追いやられた。
霊力をためる時間もないため、彼女歯さきほどみたいに大掛かりの術を使うことができない。
617 五行戦隊 第三話(14/19) ◆vPNY1/7866 sage 2008/07/24(木) 22:52:08 ID:b96jA7a7
(くっ……さすがに、二人相手ではきつい……こんな事をしている場合じゃないのに)
顔には出さないものの、清見の心の中では焦燥に満ちていた。
灯と睦美に危険が一刻一刻と近づいていると思うと、彼女の心が大きく動揺した。
その不安は、やがて彼女の集中力を妨げた。
清見は鈴華の投げナイフを水鞭で打ち落としている間、突如二の腕に激しい痛みを感じた。
彼女は続けて襲ってくる花びらを乱れ打ちした後、二人から距離を取って着地した。
だがその細い腕には、一本のバラの花が痛々しく突き刺さっていた。
「ふふふ、これでもう決まったね。清見ちゃん、自分の傷を負ったところを良く見てごらん」
「……!」
清見は傷の方を一瞥すると、顔色が大きく変わった。
彼女は自分を傷つけたのは、翠がいつも愛用しているバラの花だと思い込んでいた。
だが今、その綺麗なバラの茎が蠢き、腕に何かを注入していた。
皮膚の上から、自分の腕に緑色の脈が広がっていくのが見える。
しかし、清見をもっと驚かせたのは、時間が進むにつれ腕から痛みが消え、
代わりに心地よい感触が広がっていく。
それは、天にも昇ったようなエクスタシーであった。
清見は天空と大地が回転しているような眩暈を感じた。
快感は彼女の予想をはるかに越えて、大きな波となって全身に拡散する。
そして花びらから目玉が見開いた瞬間、そのすさまじい衝撃に彼女の瞳孔は一気に広がった。
「ああああぁぁぁ!」
清見の膝が地面に突き、自制が効かなくなった口からよだれが零れ落ちる。
体は電気ショックを受けたあとのようにぶるぶる震える。
彼女は信じられないという表情で、自分の体を抱きしめる。
「いかがかしら、目玉に寄生される快感は」
鈴華はにんまりと微笑み、翠とともに清見の側へ歩み寄った。
「ううぅっ……私は、私は負けない!」
清見はかろうじて意識を正常に取り戻し、腕を抱きながら立ち上がった。
彼女の口からは、徐々に色っぽい吐息が漏れ始めた。
「ふふん、そんな体でどう抵抗するというの」
「うっ……」
足にはほとんど力が入らなくなり、心臓が高鳴り続ける。
清見は立てるのがやっとの状態で、鈴華たちを睨んだ。
うしろめたい表情の翠とは対照的に、鈴華は邪悪に染まりきった笑みを浮かべる。
「翠、例の物を清見に与えなさい」
「そ、それは……!」
「どうした、翠?」
「鈴華ちゃん、もう……やめようよ!私達は、これ以上過ちを犯してはいけない」
「ふん、その淫乱な体で、何を言っている!」
鈴華は翠の胸を強くまさぐると、一瞬正気を取り戻した翠は悩ましい声をあげた。
「あっ、はぁくっ……ああん!」
「翠!」
「ふふふ、あなた今まで、何度もしてきた事なのよ?もう何人にも、それを施してきたというのに。
ほら、翠ちゃん。速く自分のオマンコに指を入れなさい。あなただって感じて、興奮してるんでしょ?
あそこがぐじょぐじょになって、触ってほしいと言ってるのよ!」
「ああ、私は……私は……」
翠の表情に背徳的な快楽が染まる。
やがて、彼女は耐え切れない様子で指を秘所に入れてかき回した。
「翠、やめて!負けちゃだめ!」
「ごめん、清見ちゃん……私は、もう元に戻れないの!」
618 五行戦隊 第三話(15/19) ◆vPNY1/7866 sage 2008/07/24(木) 22:52:34 ID:b96jA7a7
翠は両目をつむり、快い刺激で顔を歪ませながら指を出し入りし続けた。
快楽に溺れる喘ぎ声を発すると、翠は体を淫らにひねり出す。
彼女は秘所を押し広げられ、中のひだひだが指を擦れる様子を見せ付ける。
「ああ、ああん……イク、私……イッちゃうぅ――!」
翠は指を奥まで突き上げると、そこから大量の愛液が噴き出た。
彼女の体に寄生した目玉たちは、
まるでその動きに呼応するかのようにまばたき、快楽の波を宿主に送り続ける。
鈴華はぐったりと地面にひざまずく翠を支えながら、彼女の秘所に指を入れてかきまわした。
「……ああぅ!」
「ふふふ、いいわ……今回も綺麗な種を生成できたわね。ほら、清見ちゃんも良く見て。
翠ちゃんのアソコから摘み出した寄生種を、これから清見ちゃんのオマンコに入れてあげるから」
鈴華は一つの種を摘み取りだし、それを清美に見せ付けた。
彼女の恐ろしい言葉に、清見は顔を青ざめた。
たっぷりと愛液にまみれたその種は、緑色の外殻を呈した。
外殻からは更に繊毛のような細い触手が伸び出て、気味の悪い蠕動運動を続ける。
清見はなんとか逃げようとするが、彼女のふらついた足取りはそれを許さなかった。
鈴華は清見を押し倒し、彼女の水色のスカートの下に手を潜らせる。
「い、いや……」
「ふふふ……大丈夫、あなたもいずれ喜ぶ顔になるわ」
「ああ……!」
鈴華の指が自分の下着の中に入り、秘裂の上に触れるのを感じると、清見は恐怖を帯びた悲鳴を上げた。
「おや、もうずぶ濡れになってるじゃない。ふふふ、そんなに気持ちよかったの?
それとも、翠ちゃんのオナニーを見て、興奮したのかしら」
「ち、ちがう!」
「まだ否定するというの。まあ、その口答えができなくなるように、種を寄生させてあげるわ!」
鈴華は口元に薄笑いをかかげて、指に寄生種を乗せたまま清見の秘所を突き進んだ。
「ああぁん!」
清見の口から悲鳴が漏れた。
彼女は鈴華をのけようとしたが、快感によって支配されかける体は、満足に力を出せなかった。
「だ、だめ――っ……ああぁぁ、なに、これ……入ってくる、お腹の中に入ってくる……ああああぁぁぁあ!」
清見は目を大きく見開き、背骨をそらした。
鈴華の指が膣の奥へゆっくりと進み、指の付け根がひっかかる所で止まった。
しかし、寄生種は彼女の指から離れ、なおも最奥へ侵入し続ける。
「あああ、だめ……それ以上は……ああがぁあぁぁ!」
清見は突然自分の子宮の入り口が押し広げられたのを感じた。
彼女はただ口を大きくあけて、お腹から伝わるショッキングな感触を耐え続けるしかなかった。
しなやかな肢体は激しく痙攣し、汗に濡れた髪が顔に貼りつく。
「はい、おしまい。タネがちゃんと清見ちゃんの体内に着床したよ。
これで、あなたも私達と同じになれるわ」
鈴華は嬉しそうに立ち上がり、勝利を確信した表情で四つん這いになる清見を見下ろす。
その油断している隙を見て、清見は彼女の細い足首を掴んだ。
「なにっ!?」
鈴華が驚く間もなく、体中に水滴が付着し始めた。
「す、水遁の術……ぐあああぁぁ!」
霊力を駆使しようとした途端、清見は悲鳴を上げて前屈みに倒れた。
「あっ、ど、どういうこと……?体から、霊力が……消えていく」
「あーあ、無理しちゃって。本当に頑固だから」
鈴華はやすやすと水の束縛から脱出し、苦しみもがく清見を見下ろす。
619 五行戦隊 第三話(16/19) ◆vPNY1/7866 sage 2008/07/24(木) 22:52:58 ID:b96jA7a7
「体に、力が入らない……ああん!あそこから……あそこから、霊力が吸われていく!」
「ふふふ、やっと気付いたかしら。翠ちゃんが産んだ種子は、彼女の力を持ってるのよ?
翠ちゃんの得意技のように、相手の妖力を吸い取り、無力化することができるの。
もっとも、今となっては霊力を吸い取るけどね」
「ご、ごめん、清見ちゃん……」
翠は悲しそうに清見を見つめながらも、彼女の痴態に触発されたのか、自分の秘所を再び弄りだした。
「うっ……こんな、こんなことで……」
清見は拳を握り締め膝を立てるが、痛みを伴う快感が波陣となって、彼女の神経をねじ曲げる。
「あっ、ああんっく……うあああぁぁ!」
突然子宮を通り抜ける細紐のような感触が、清見が必死に築き上げた精神力をあやふやなものにする。
彼女は慌てて自分の膣に目をやると、植物の芽のような物体が、ゆっくりと自分の秘裂から出てくる。
「これは……!なんなの……」
「その寄生植物は、宿主の霊力を吸収しながら、大きく成長するの。
清見ちゃんぐらいの霊力の持ち主なら、きっと大きな花が咲くでしょう」
「そんなの……!」
清見は腕を震わせながら、その新芽を摘み取ろうとした。
しかし、彼女が芽に触れた途端、全身に稲妻が走ったような感触に襲われる。
「はああぁんぐぅうう!」
「だめよ。その寄生種は、もうあなたの体の一部になったのよ。
寄生したアソコの部分は、あなたの精神を支配し、性欲を極限までに増大してくれるの」
「そ、そんなことは……ああぁん!」
清見は更に苦悶の声をあげた。
霊力が急速に消えていく感じと同時に、彼女の秘所から緑色の茎が伸びて、
うねうねと周りに葉っぱを成長させる。
茎は大きくなるとともに左右へ枝分かれはじめ、やがてその表面に不気味な目玉を見開き始める。
「あああぁぁぁ!」
まるで寄生植物が自分の体と一体化したかのようだった。
茎や葉が空気と触れる感触は、鮮明な快感として清見の脊髄に伝えられる。
「ああ、なんて素敵かしら」
鈴華は愛おしそうに新葉を撫ぜると、清見は更に大きく喘いだ。
(うっ……これ以上成長させたら、だめ……!)
清見は意を決すると、目を瞑って意識を集中し始めた。
彼女は霊力を丹田に凝縮させ、全ての雑念を取り払おうとした。
その途端、寄生植物が生長するスピードがぐんと下がった。
「ふふふ……あくまでも抵抗する気なのね。
ねぇ、翠ちゃん、彼女にもっと素直になる方法を教えてあげたら」
「ええっ……」
鈴華は翠を清見の前に押し出し、邪悪に微笑む。
「翠……!」
「うっ……ごめんね、清見ちゃん……私はもう我慢できないの!」
翠は潤いだ目で清見を見下ろし、彼女のすべらかな白いうなじに舌を這わせた。
「翠、やめて……ああぁんん!」
「はぉん……清見ちゃんの我慢している表情、すごくかわいいわ……」
翠は上気した表情で呟きなら、清見のコスチュームのボタンをはずし、彼女の綺麗な胸を外気に晒す。
620 五行戦隊 第三話(17/19) ◆vPNY1/7866 sage 2008/07/24(木) 22:53:25 ID:b96jA7a7
「お願い、翠……もうやめて!」
「清見ちゃん、もう観念しなさい」
鈴華は自分の秘所から伸びる目玉つきの触手を、むりやり清見の口内にねじ込ませた。
「んむっ……うぅぅん!」
「さあ、私の味をたっぷりと堪能させてあげるわ!」
「むぐぅんんん?」
鈴華は清見の頭を掴むと、腰を前後に揺らした。
その顔には、大切にしてきたものを穢したい歪んだ邪念が満ちていた。
触手は男根のように硬く熱く、清見の柔らかい舌の上を滑る。
その表面にある目玉から甘い媚薬のようなエキスが分泌され、彼女の唾液と混ざり合う。
「はぁん、気持ち良いわ……こうして、昔の仲間に口内を犯されている気分はどう?」
「ちゅぶ……むん、はぁっん」
清見の体は熱く滾り、意識が朦朧となった。
彼女は自身も気付かないうちに、鈴華のエキスを飲み込み始めた。
その精神が快感に溺れていくにつれ、膣に寄生する植物の動きが一段と加速した。
「ああん、はあぁん……ううっ、そろそろ出るわよ!」
「むぅん、うふぇ?!」
清見は口中の一物が熱くなったと感知した次の瞬間、
喉の奥にぶつかるような粘っこい液体が噴出された。
「んんぐぐう!?……はぅっ、けほん、けほん……」
あまりにも大量の液体に、清見は思わず顔をそらした。
口から白い熱液が溢れ出て、脳に焼きつくような異臭を放つ。
飲みきれなかった液体が清見の頬や胸にかかると、それを惜しむように、翠がその部分を舐めまわす。
「はあぁん、気持ちよかったわ。うふふっ、清見ちゃんは水を操るのが得意でしょ?
翠ちゃんに見習って、全部綺麗に飲み込まないとね」
そう言うと、鈴華はまだ呆然とする清見に唇を重ね合わせる。
「むぐぅん!?」
生まれて初めて体験するキスに、清見はうろたえた。
鈴華は彼女の口内に舌を入れ、
まだ残っている粘液をかき回しながら、それらを彼女の喉の奥へ押し込む。
うねうねとぬめったい舌は、彼女の唾液を携わって清見の舌を絡める。
さきほど彼女が出した濁液はそれと混合して、より芳しい味をかもし出す。
清見は最初こそ抵抗したものの、やがて甘い感触に感化され、
鈴華にされるがままにねばっこい液体を飲み込んでしまう。
「んっはぁー。ははん、どうだった清見ちゃん?初めてのディープキス、気持ちよかったでしょ?」
「はぁ、はぁ……そ、そんなの……なんとも、思わないわ」
「うそつき。あなたのあそこから生える寄生植物が、もうこんなにも生長したのに」
清見はぼんやりと下を見ると、新芽はいつの間にか暗緑色の幹に成長し、地面に根ざした。
「ふふふ……もう今から霊力をコントロールしようとしても遅いからね」
鈴華はそう言って清見の乳首を指でせめたて、彼女を大きく呻かせた。
翠はこぼれた淫液をたどって、清見の口元に舌を這わせる。
「ああ、清見ちゃん……なんていやらしい匂いかしら。
鈴華ちゃんと清見ちゃんの味が、一緒くたになってるわ」
彼女はうっとりと清見を覗き込み、やがて彼女に唇を重ねた。
「むむん……」
一度鈴華に蹂躙されたためか、清見が抵抗する力が明らかに弱まった。
ねちゅねちゅという水音を立てながら、清見と翠の口元にいやらしい液体がこぼれ落ちる。
その乱れる様子を目にして、鈴華は心からほくそ笑んだ。
「うふふ、そろそろだね」
621 五行戦隊 第三話(18/19) ◆vPNY1/7866 sage 2008/07/24(木) 22:53:51 ID:b96jA7a7
地面に根ざした植物は、やがて数枚の毒々しい肉片が伸びはじめた。
肉片は薄く広がり、徐々に清見の体を包み上げる。
「なに、これは……」
清見は突然体中を巡る焦燥感に襲われた。
彼女は自分の体を弱々しく抱きしめ、これから起こる恐ろしい光景を待つしかなかった。
やがて肉片はラフレシアにも勝るような巨大なものとなり、清見をゆっくりとその中心へ閉じはじめた。
清見はそこから離れようとしたが、膣と植物の間に繋がる部分が彼女を悶えさせる。
まわりの蔓は一斉に巻きつき、霊力を失った彼女を束縛した。
「いやだ……ここから出して!」
清見は絶望的な表情を浮かべ、鈴華と翠を見つめた。
しかし、その視線も途中で肉片によって途切れた。
やがて数枚の肉片が完全に閉じきると、一つの大きな蕾がそこに現れた。
蕾の中心部である子房は大きく膨らんでいて、
その表面には不気味な脈絡が走り、血管のようにドクドク鼓動を続ける。
「ふふふ……清見ちゃん、あなたがその蕾から出た時どんな姿になるのか……
ああ、考えるだけで興奮しちゃうわ」
「うっ、清見……ちゃん……」
翠は顔を火照りながら、罪悪感にまみれる表情を浮かべた。
そんな彼女に、鈴華は小悪魔な笑顔を浮かべながら、秘所に生えた触手を突き立てる。
「翠ちゃんも、そろそろ諦めたら?あなたは気持ちいいことさえできれば、何もいらない淫乱娘だから」
「ああぁん!」
翠の体は鈴華に押し倒され、濡れきった秘所が相手の触手に突かれる。
清見を包んだ蕾の表面には、十個の細い筋が浮かび上がった。
そのうちの一つから、大きな目玉が不気味に見開いた。
□
自分が気を失って、どのくらいの時間が経ったんだろうか。
「ううん、ここは……」
清見は朦朧とした目を開き、まわりを見渡した。
気を失う前の光景を思い出しながら、彼女はここの不気味さに気付く。
彼女は肉片でできた空間に囚われていた。
中は狭く暗く、むせ返るような甘い香りが満ち溢れていた。
体中に気だるい心地よさが走り、清見の思考力を鈍らせる。
「なんとかここから脱出して、睦美や灯に伝えないと……」
清見は体を動かそうとすると、四肢がまわりの肉片にのめり込んでいる事に気付く。
そして自分の股間部の服が溶かされ、晒しだされた秘所は繊毛がびっしりと生えた雄しべと繋がっていた。
雄しべは妖しく蠢きだすと、清見は背中をえびのようにそらした。
622 五行戦隊 第三話(19/19) ◆vPNY1/7866 sage 2008/07/24(木) 22:54:14 ID:b96jA7a7
「うんっ……あはあぁん!」
清見は口から快楽に悩む声を漏らした。
周りの甘い空気を吸い込むと、頭中までその淡いピンク色に染めてしまいそうだ。
四肢は肘や膝まで肉片に絡まれ、周囲が脈動するとともに邪悪なオーラが注ぎ込まれる。
気をしっかり持たないと、思わず自ら腰を浮かせて、雄しべに体をこすり付けたくなってしまう。
肉片の表面には多くの目玉が生えており、清見をあざ笑うかのように彼女を見つめる。
蕾の天井から絶えずとろりとした粘液が分泌され、
清見の体に垂れ落ちてから、彼女の太ももあたりへ溜まっていく。
粘液が柔肌を撫で落ちる度に、清見の心に淫靡な気持ちが生じる。
青色のコスチュームはその粘液を含んでしまうと、
ゆっくりと溶け出して、なんと同じ成分の汁に分解されて下へ流れ落ちる。
その恐ろしい光景は、彼女を驚愕させる。
バトルコスチュームの保護まで失うと、彼女は完全に無力な少女と化してしまう。
(そうなったら、私も鈴華や翠と同じように、妖獣のしもべとなってしまうのか……?)
その時のことを想像すると、清見はぞっとした。
(睦美、灯……どうか無事でいて……)
清見は祈るような気持ちで、仲間たちの名前を念じた。
それを最後に、彼女の意識が深い闇に沈んだ。
<つづく>
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