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Code:776
12 FBX ◆4gA1RyNyf. sage 2008/04/13(日) 00:40:06 ID:GnccHx2j
新スレを立ててもらえた様子で、安心して投下できる環境が整ったと。
これは全て・・・>>30の陰謀なのか。
今からガリガリ書いて適当にうpしますですよー
13 FBX ◆4gA1RyNyf. sage 2008/04/13(日) 02:08:19 ID:GnccHx2j
30ってなんだ自分w
ミスタイプも甚だしいw
とりあえず投下ー
前スレ776の書き込み通りに書こうと努力したけど・・・
アレ、これって段々・・・Code:Illusionに似てきてるような。
14 FBX@Code:776 ◆4gA1RyNyf. sage 2008/04/13(日) 02:08:54 ID:GnccHx2j
Code:776
いつもと違う帰り道を選んだのがいけなかった。
正直、あの時は後悔していたんだ…。
でもね。
今では後悔なんてしてない。
むしろ……、感謝してる。
あの日、私が出会った悪魔……。
「じゃーね、また明日ー」
「おう、またね」
雫(しずく)と別れ、私は自分の帰り道へと足を進める。
しかし桂(けい)の足取りはおぼつかなかった。
というのは雫と自分の体格の差だ。
今日は身体測定があって、まぁ色々と計測されたのだ。
(いいなぁ雫は。何を食べてるんだろう…)
そう、桂は自分の体型にコンプレックスを持つタイプの人間だった。
雫は同い年なのに、桂よりはかなり女性らしく見える体つきなのだ。
(本屋にでも行ってみようかな……)
そのコンプレックスこそが、彼女の運の尽きだった。
「ありがとうございましたー」
本屋の自動ドアが開き、桂が姿を現す。
「とりあえず良く分からなかったけど、買ってみた」
そう小さく声に出し、自分の行動を褒めた。
(近所の公園に行って、早速読んでみよう)
既に時刻は午後4時半。
彼方の空には美しい夕焼けが見える。
手の中にある紙袋を早く開きたい一心で、彼女の足は速くなる…
「どれどれ、と」
15 FBX@Code:776 ◆4gA1RyNyf. sage 2008/04/13(日) 02:09:36 ID:GnccHx2j
本屋の紙袋を開け、中から一冊の本を取り出す。
『How to 美』
いかにもなタイトルの本が出てきた。
ピンク色の帯には
『これであなたも美しさを手に入れよう!
町中の男性全員を振り返らせる美しさを、あなたに』
と大きく書かれている。
「ど、どんだけ凄いのかな?」
誇大広告にしか見えないその帯を解き、恐る恐る本を開く桂。
しかし期待に紅潮していた頬は、途端に平静時の物に戻ってしまった。
「…何、コレ??」
表紙をめくったそのページには、確かに目次があった。
しかし次のページには何も書かれていない。
「んー、印刷ミス? 乱丁とか落丁って奴かなぁ……」
などと呟きながらパラパラとめくっていく。
何も書かれていないページがひたすら続く。
「あーあ、期待してたのに…本屋に返さないと損だねこりゃ。あ?」
ページをめくる手の動きが止まる。
「これって……魔法陣」
開かれたページには真紅のインクで描かれた、円形の絵。
「しかも赤い。つーか何で本屋にこんなものが…」
右手でその魔法陣に触れてみる。
すると。
「きゃっ!!」
突如としてその魔法陣は真っ赤な光を放ち始めた。
「なに、何よぉ!」
桂は恐怖のあまり、公園から走り去ろうとする。
だがいくら走ろうとも公園の出口は近づかない。
「なんで、こんなに遠くなんてなかったはず!!」
『無駄よぉ、魔本の結界から出ようなんて普通の人間には無理な話』
「えっ」
桂はひたすら動かしていた足を止め、後ろを振り返る。
光を放っている本は空中に浮遊していた。
そして、そこに描かれている魔法陣から手が生えてきた。
「手! 手!」
16 FBX@Code:776 ◆4gA1RyNyf. sage 2008/04/13(日) 02:10:20 ID:GnccHx2j
『はいはい。五月蠅いから黙ってみてなさい』
「手があぁぁぁぁ!!」
目前で起きている事実に桂はパニック状態に陥っている。
『五月蠅いって言ってるでしょ』
「手が出てきて、じゃあ体……ってか人が入ってるのこの本!?」
そんなことを言っている間に、本から人型の陰が完全に吐き出されてきた。
『ふぅ、久しぶりの外界ねぇ……こっちの空気は淀んでておいしいわ』
「だ、誰よ! 人の買った本に勝手に入り込んで!!」
『私が先に入っていたの。その本をあなたが勝手に買ったんでしょ』
「お金払ったんだから私の本だもん!」
『あ、そう。それでコレはどんな本かしら?』
「ああああ、ダメ、見ないで!!」
『なになに……How to 美? ふ~ん………』
本から発生したその人型は微笑むかのような声を上げる。
「わ、私がどんな本を買おうと私の勝手よ」
自分の中にある思いを否定するかのように言い訳をする。
『へぇ……』
そんな声を聞いた瞬間、目の前の人影は消えた。
「あれ? いなくなった?」
『う・し・ろ』
「ひゃあああ!」
人影は桂の真後ろに移動し、桂の耳元で囁きかけたのだ。
『あなたの考えてること、だいたいわかったわ。私があなたの望む肉体をあげる』
「わ、私の望む肉体だなんて! 何わけのわかんない事を……」
『そういうこと。あなたは自分の体型に不満がある。さしずめ、友達に理想を見てるってとこ?
だからそれを超える身体をプレゼントするわ。私を外に出してくれたお礼にね……』
「理想……。雫……」
その台詞を聞き、桂はうつむく。
人影は再び桂の目前に移動してきた。
『私は人間が言う悪魔よ。本に封じられていた、美と愛欲を司る悪魔』
「悪魔って、嘘……」
17 FBX@Code:776 ◆4gA1RyNyf. sage 2008/04/13(日) 02:10:52 ID:GnccHx2j
『本から私が出てきた事実を否定できて? あなたの目の前で起きた事実をね』
「う………」
そこで公園の街灯に電気が付いた。
暗がりで見えなかった人影が、その正体を明らかにしていく。
桂の目の前にいる存在は確かに人外の者だった。
青く染まった肌を持ち、ほとんど全裸と言えるような服を纏っている。
頭には漆黒の羊の角が生えており、銀色の髪との対照さが魔の美しさを醸し出している。
黄金に染まった獣の瞳からは、誰が見てもわかるような邪淫の意志を感じられる。
背中にはコウモリのような巨大な翼があり、夜の眷属であることを形容していた。
巨大な乳房、異常なまでなくびれを持つ魔性の身体は全ての男を虜にするのだろう。
『私は淫魔エリシア。さぁ、あなたを作り替えてあ・げ・る』
エリシアは桂に近づいてくる。
桂は本能的な恐怖を覚え、後ずさる。
「こ、来ないで…」
『怖いの? あなたにお礼をしたいだけなのに』
「お礼なんていらない!」
『あら、そう。それなら………』
エリシアは背中の翼を開き、空中に浮遊する。
『襲っちゃう』
その言葉と共にエリシアは桂の元へ突進してきた。
「いやああああ!!」
元々結界から出られない桂には逃げ場がない。
『つかまーえた』
桂の両肩を掴んだエリシア。
そのまま桂の胸に頭を埋めていく。
「う、うっそ!! 何してるのぉ!!」
『あなたの中に入るのよ~』
文字通りエリシアは桂の中へと入り込んで行っている。
「やめて、やめてぇ!!」
『や~めない』
エリシアは速度を緩めることなく桂の中へと入っていく。
18 FBX@Code:776 ◆4gA1RyNyf. sage 2008/04/13(日) 02:11:37 ID:GnccHx2j
「やめ、て」
8割方エリシアが入りこんだ所で、桂の意識は途切れた。
「う………」
寝起きのような表情で桂が顔を上げた。
「あ………れ?」
桂の視界には見慣れた自分の部屋が映っていた。
頭をボリボリとかき、
「夢?」
首をかしげた。
『夢? だってぇ、かわいい~』
「う!?」
桂の頭の中に声が響く。
「なに、誰?」
『昨日の夕方、バス停前の公園、本屋で買ったHow to 美。これだけ言えばわかる?』
その台詞を耳にしていくにつれ、桂の顔色が青ざめていく。
『私はあなたに取り憑いたの。そしてあなたを淫魔に生まれ変わらせる』
「取り憑いた? 淫魔に?」
『そう。まぁ、お礼の一環だと思ってくれれば』
「悪魔がお礼なんてするはずない!!」
大声でそう断言する。
『言っておくけど他の人には私の声は聞こえないわ。狂ったかと思われるわよ』
「えっ……」
慌てて口を押さえる桂。
『さて、鏡を見てご覧なさい。服を脱いでね』
「どうして服を」
『いいから言うとおりになさい』
「うー……」
明らかな不満を顔に浮かべ、仕方なしに服を脱ぐ。
そして鏡の前へと歩み寄る。
「………嘘」
そこには雫をも凌駕する身体の自分がいた。
胸は爆発しそうなほどふくれあがり、今まで欠片も持ち得なかった腰のくびれがあった。
19 FBX@Code:776 ◆4gA1RyNyf. sage 2008/04/13(日) 02:12:52 ID:GnccHx2j
身長も伸びており、女の桂が見ても文字通りの『良い女』がそこにはいた。
『これがプレゼント。お礼ってのはこういうことよ』
「信じらんない」
『そりゃねー……。私が取り憑いたからこんな身体になったのよ』
「そうなの?」
エリシアと会話をしながらも、桂は自分の身体をまじまじと観察している。
『あのね。私は淫魔よ。それも始祖』
「しそ? 私はあんまり好きじゃないな」
『………何と勘違いしてるの? 始祖っていうのはルーツということ』
「ルーツ? ご先祖様ってこと?」
『まぁそういうことね。で、私には淫魔を作る力もあるんだけど………
まぁそれはおいおい話すとして』
「ひゃぁっ!」
桂は突然声を上げた。
『ふふ、どう? 淫魔に取り憑かれた身体はとっても敏感になるの』
自分の映る鏡を見ながら桂は乳房をもんでみたのだ。
別に性的な欲求があった訳ではなく、シリコンが詰まってないか確認しようとしたのだ。
「これ、何? シリコンじゃないの?」
『作り物じゃないわ。本物』
「凄い………ひゃう!」
あちらこちらを触る度に悲鳴を上げる。
『そうそう、もっと綺麗になる方法があるわ』
「もっと? この姿よりももっと綺麗に?」
『もちろん。それも大して難しい方法じゃないわ』
「何? 教えて」
『簡単なことよ。私は淫魔と言ったわよね』
「うん」
『わからない?』
鏡を見ながら桂は首を振る。
『最近の人間はそういう知識が少ないのかしら………。Hすればいいの』
その言葉が頭に響いた瞬間、鏡に映る桂の瞳が一瞬禍々しく光を帯びた。
20 FBX@Code:776 ◆4gA1RyNyf. sage 2008/04/13(日) 02:13:20 ID:GnccHx2j
光を凝視した桂は何のためらいもなく、その言葉への返事を返す。
「わかったわ」
土曜日。
桂があの魔本を手にした日の翌日。
エリシアに憑依された桂は、太陽の光が苦手になっていた。
「………眠い」
生活リズムが崩れた訳ではなく、純粋に眠いのだ。
ぼそりと一言残すと、再び布団に潜り込んでしまう。
数時間後、桂はもう一度目を覚ました。
午後5時。
ほとんど太陽が沈んでいる時刻だった。
「………」
起き上がる桂。
部屋はかなり暗くなっている。
しかし桂は電気を灯すことなく着替え始めた。
『暗いところで目が良く見える気分はどう?』
「新鮮な気分。今まで見えなかったのが不思議なくらいよ」
エリシアの声にも慣れ、徐々に自分の中の存在という認識にも慣れてきていた。
『悪魔は夕闇に適した存在よ。これからが私たちの時間』
「格好いいこと言うじゃない」
普段は着ないような服を選ぶ桂。
そのどれもが露出度の高い物だ。
『で、どこに行くの?』
「駅の反対側にある繁華街よ」
服を着終わった桂は鏡を見る。
「もっと綺麗な身体を手に入れに、ね」
鏡の中には遊び好きそうな女が映っていた。
21 FBX ◆4gA1RyNyf. sage 2008/04/13(日) 02:15:54 ID:GnccHx2j
766氏の書き込みをベースに作ったので、タイトルはCode:776。
でも書いていた思った。
やっぱりIllusionに似てきてしまう・・・書き手として。
ちょっと今回のネタはこの先が書けそうにない気がしてます。
どうしても以前自分で書いた物と同じになってるように感じちゃってw
なのでCode:776については完結を期待しないで下さい。
申し訳ないですけど。
>>10
氏のレポートに自分の作品名が載っていて感動w
TeXを使ったんですかね?
TeXニシャンを目指してるものでしてw
新スレを立ててもらえた様子で、安心して投下できる環境が整ったと。
これは全て・・・>>30の陰謀なのか。
今からガリガリ書いて適当にうpしますですよー
13 FBX ◆4gA1RyNyf. sage 2008/04/13(日) 02:08:19 ID:GnccHx2j
30ってなんだ自分w
ミスタイプも甚だしいw
とりあえず投下ー
前スレ776の書き込み通りに書こうと努力したけど・・・
アレ、これって段々・・・Code:Illusionに似てきてるような。
14 FBX@Code:776 ◆4gA1RyNyf. sage 2008/04/13(日) 02:08:54 ID:GnccHx2j
Code:776
いつもと違う帰り道を選んだのがいけなかった。
正直、あの時は後悔していたんだ…。
でもね。
今では後悔なんてしてない。
むしろ……、感謝してる。
あの日、私が出会った悪魔……。
「じゃーね、また明日ー」
「おう、またね」
雫(しずく)と別れ、私は自分の帰り道へと足を進める。
しかし桂(けい)の足取りはおぼつかなかった。
というのは雫と自分の体格の差だ。
今日は身体測定があって、まぁ色々と計測されたのだ。
(いいなぁ雫は。何を食べてるんだろう…)
そう、桂は自分の体型にコンプレックスを持つタイプの人間だった。
雫は同い年なのに、桂よりはかなり女性らしく見える体つきなのだ。
(本屋にでも行ってみようかな……)
そのコンプレックスこそが、彼女の運の尽きだった。
「ありがとうございましたー」
本屋の自動ドアが開き、桂が姿を現す。
「とりあえず良く分からなかったけど、買ってみた」
そう小さく声に出し、自分の行動を褒めた。
(近所の公園に行って、早速読んでみよう)
既に時刻は午後4時半。
彼方の空には美しい夕焼けが見える。
手の中にある紙袋を早く開きたい一心で、彼女の足は速くなる…
「どれどれ、と」
15 FBX@Code:776 ◆4gA1RyNyf. sage 2008/04/13(日) 02:09:36 ID:GnccHx2j
本屋の紙袋を開け、中から一冊の本を取り出す。
『How to 美』
いかにもなタイトルの本が出てきた。
ピンク色の帯には
『これであなたも美しさを手に入れよう!
町中の男性全員を振り返らせる美しさを、あなたに』
と大きく書かれている。
「ど、どんだけ凄いのかな?」
誇大広告にしか見えないその帯を解き、恐る恐る本を開く桂。
しかし期待に紅潮していた頬は、途端に平静時の物に戻ってしまった。
「…何、コレ??」
表紙をめくったそのページには、確かに目次があった。
しかし次のページには何も書かれていない。
「んー、印刷ミス? 乱丁とか落丁って奴かなぁ……」
などと呟きながらパラパラとめくっていく。
何も書かれていないページがひたすら続く。
「あーあ、期待してたのに…本屋に返さないと損だねこりゃ。あ?」
ページをめくる手の動きが止まる。
「これって……魔法陣」
開かれたページには真紅のインクで描かれた、円形の絵。
「しかも赤い。つーか何で本屋にこんなものが…」
右手でその魔法陣に触れてみる。
すると。
「きゃっ!!」
突如としてその魔法陣は真っ赤な光を放ち始めた。
「なに、何よぉ!」
桂は恐怖のあまり、公園から走り去ろうとする。
だがいくら走ろうとも公園の出口は近づかない。
「なんで、こんなに遠くなんてなかったはず!!」
『無駄よぉ、魔本の結界から出ようなんて普通の人間には無理な話』
「えっ」
桂はひたすら動かしていた足を止め、後ろを振り返る。
光を放っている本は空中に浮遊していた。
そして、そこに描かれている魔法陣から手が生えてきた。
「手! 手!」
16 FBX@Code:776 ◆4gA1RyNyf. sage 2008/04/13(日) 02:10:20 ID:GnccHx2j
『はいはい。五月蠅いから黙ってみてなさい』
「手があぁぁぁぁ!!」
目前で起きている事実に桂はパニック状態に陥っている。
『五月蠅いって言ってるでしょ』
「手が出てきて、じゃあ体……ってか人が入ってるのこの本!?」
そんなことを言っている間に、本から人型の陰が完全に吐き出されてきた。
『ふぅ、久しぶりの外界ねぇ……こっちの空気は淀んでておいしいわ』
「だ、誰よ! 人の買った本に勝手に入り込んで!!」
『私が先に入っていたの。その本をあなたが勝手に買ったんでしょ』
「お金払ったんだから私の本だもん!」
『あ、そう。それでコレはどんな本かしら?』
「ああああ、ダメ、見ないで!!」
『なになに……How to 美? ふ~ん………』
本から発生したその人型は微笑むかのような声を上げる。
「わ、私がどんな本を買おうと私の勝手よ」
自分の中にある思いを否定するかのように言い訳をする。
『へぇ……』
そんな声を聞いた瞬間、目の前の人影は消えた。
「あれ? いなくなった?」
『う・し・ろ』
「ひゃあああ!」
人影は桂の真後ろに移動し、桂の耳元で囁きかけたのだ。
『あなたの考えてること、だいたいわかったわ。私があなたの望む肉体をあげる』
「わ、私の望む肉体だなんて! 何わけのわかんない事を……」
『そういうこと。あなたは自分の体型に不満がある。さしずめ、友達に理想を見てるってとこ?
だからそれを超える身体をプレゼントするわ。私を外に出してくれたお礼にね……』
「理想……。雫……」
その台詞を聞き、桂はうつむく。
人影は再び桂の目前に移動してきた。
『私は人間が言う悪魔よ。本に封じられていた、美と愛欲を司る悪魔』
「悪魔って、嘘……」
17 FBX@Code:776 ◆4gA1RyNyf. sage 2008/04/13(日) 02:10:52 ID:GnccHx2j
『本から私が出てきた事実を否定できて? あなたの目の前で起きた事実をね』
「う………」
そこで公園の街灯に電気が付いた。
暗がりで見えなかった人影が、その正体を明らかにしていく。
桂の目の前にいる存在は確かに人外の者だった。
青く染まった肌を持ち、ほとんど全裸と言えるような服を纏っている。
頭には漆黒の羊の角が生えており、銀色の髪との対照さが魔の美しさを醸し出している。
黄金に染まった獣の瞳からは、誰が見てもわかるような邪淫の意志を感じられる。
背中にはコウモリのような巨大な翼があり、夜の眷属であることを形容していた。
巨大な乳房、異常なまでなくびれを持つ魔性の身体は全ての男を虜にするのだろう。
『私は淫魔エリシア。さぁ、あなたを作り替えてあ・げ・る』
エリシアは桂に近づいてくる。
桂は本能的な恐怖を覚え、後ずさる。
「こ、来ないで…」
『怖いの? あなたにお礼をしたいだけなのに』
「お礼なんていらない!」
『あら、そう。それなら………』
エリシアは背中の翼を開き、空中に浮遊する。
『襲っちゃう』
その言葉と共にエリシアは桂の元へ突進してきた。
「いやああああ!!」
元々結界から出られない桂には逃げ場がない。
『つかまーえた』
桂の両肩を掴んだエリシア。
そのまま桂の胸に頭を埋めていく。
「う、うっそ!! 何してるのぉ!!」
『あなたの中に入るのよ~』
文字通りエリシアは桂の中へと入り込んで行っている。
「やめて、やめてぇ!!」
『や~めない』
エリシアは速度を緩めることなく桂の中へと入っていく。
18 FBX@Code:776 ◆4gA1RyNyf. sage 2008/04/13(日) 02:11:37 ID:GnccHx2j
「やめ、て」
8割方エリシアが入りこんだ所で、桂の意識は途切れた。
「う………」
寝起きのような表情で桂が顔を上げた。
「あ………れ?」
桂の視界には見慣れた自分の部屋が映っていた。
頭をボリボリとかき、
「夢?」
首をかしげた。
『夢? だってぇ、かわいい~』
「う!?」
桂の頭の中に声が響く。
「なに、誰?」
『昨日の夕方、バス停前の公園、本屋で買ったHow to 美。これだけ言えばわかる?』
その台詞を耳にしていくにつれ、桂の顔色が青ざめていく。
『私はあなたに取り憑いたの。そしてあなたを淫魔に生まれ変わらせる』
「取り憑いた? 淫魔に?」
『そう。まぁ、お礼の一環だと思ってくれれば』
「悪魔がお礼なんてするはずない!!」
大声でそう断言する。
『言っておくけど他の人には私の声は聞こえないわ。狂ったかと思われるわよ』
「えっ……」
慌てて口を押さえる桂。
『さて、鏡を見てご覧なさい。服を脱いでね』
「どうして服を」
『いいから言うとおりになさい』
「うー……」
明らかな不満を顔に浮かべ、仕方なしに服を脱ぐ。
そして鏡の前へと歩み寄る。
「………嘘」
そこには雫をも凌駕する身体の自分がいた。
胸は爆発しそうなほどふくれあがり、今まで欠片も持ち得なかった腰のくびれがあった。
19 FBX@Code:776 ◆4gA1RyNyf. sage 2008/04/13(日) 02:12:52 ID:GnccHx2j
身長も伸びており、女の桂が見ても文字通りの『良い女』がそこにはいた。
『これがプレゼント。お礼ってのはこういうことよ』
「信じらんない」
『そりゃねー……。私が取り憑いたからこんな身体になったのよ』
「そうなの?」
エリシアと会話をしながらも、桂は自分の身体をまじまじと観察している。
『あのね。私は淫魔よ。それも始祖』
「しそ? 私はあんまり好きじゃないな」
『………何と勘違いしてるの? 始祖っていうのはルーツということ』
「ルーツ? ご先祖様ってこと?」
『まぁそういうことね。で、私には淫魔を作る力もあるんだけど………
まぁそれはおいおい話すとして』
「ひゃぁっ!」
桂は突然声を上げた。
『ふふ、どう? 淫魔に取り憑かれた身体はとっても敏感になるの』
自分の映る鏡を見ながら桂は乳房をもんでみたのだ。
別に性的な欲求があった訳ではなく、シリコンが詰まってないか確認しようとしたのだ。
「これ、何? シリコンじゃないの?」
『作り物じゃないわ。本物』
「凄い………ひゃう!」
あちらこちらを触る度に悲鳴を上げる。
『そうそう、もっと綺麗になる方法があるわ』
「もっと? この姿よりももっと綺麗に?」
『もちろん。それも大して難しい方法じゃないわ』
「何? 教えて」
『簡単なことよ。私は淫魔と言ったわよね』
「うん」
『わからない?』
鏡を見ながら桂は首を振る。
『最近の人間はそういう知識が少ないのかしら………。Hすればいいの』
その言葉が頭に響いた瞬間、鏡に映る桂の瞳が一瞬禍々しく光を帯びた。
20 FBX@Code:776 ◆4gA1RyNyf. sage 2008/04/13(日) 02:13:20 ID:GnccHx2j
光を凝視した桂は何のためらいもなく、その言葉への返事を返す。
「わかったわ」
土曜日。
桂があの魔本を手にした日の翌日。
エリシアに憑依された桂は、太陽の光が苦手になっていた。
「………眠い」
生活リズムが崩れた訳ではなく、純粋に眠いのだ。
ぼそりと一言残すと、再び布団に潜り込んでしまう。
数時間後、桂はもう一度目を覚ました。
午後5時。
ほとんど太陽が沈んでいる時刻だった。
「………」
起き上がる桂。
部屋はかなり暗くなっている。
しかし桂は電気を灯すことなく着替え始めた。
『暗いところで目が良く見える気分はどう?』
「新鮮な気分。今まで見えなかったのが不思議なくらいよ」
エリシアの声にも慣れ、徐々に自分の中の存在という認識にも慣れてきていた。
『悪魔は夕闇に適した存在よ。これからが私たちの時間』
「格好いいこと言うじゃない」
普段は着ないような服を選ぶ桂。
そのどれもが露出度の高い物だ。
『で、どこに行くの?』
「駅の反対側にある繁華街よ」
服を着終わった桂は鏡を見る。
「もっと綺麗な身体を手に入れに、ね」
鏡の中には遊び好きそうな女が映っていた。
21 FBX ◆4gA1RyNyf. sage 2008/04/13(日) 02:15:54 ID:GnccHx2j
766氏の書き込みをベースに作ったので、タイトルはCode:776。
でも書いていた思った。
やっぱりIllusionに似てきてしまう・・・書き手として。
ちょっと今回のネタはこの先が書けそうにない気がしてます。
どうしても以前自分で書いた物と同じになってるように感じちゃってw
なのでCode:776については完結を期待しないで下さい。
申し訳ないですけど。
>>10
氏のレポートに自分の作品名が載っていて感動w
TeXを使ったんですかね?
TeXニシャンを目指してるものでしてw
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