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ハイブリッドエンジェル=カナエ プロローグ
839 名前:乙×風【ハイブリッドエンジェル=カナエ】 :2005/04/26(火) 17:12:47 ID:Zk6wtbjq
お待たせしました。携帯から設定だけ上げようかと思いましたが、
都合が付いたので本編を投稿します。今回の話はかなり長いです。
<ぷろろーぐ 舞い降りた天使> Aパート
「きゃあっ!」
宵闇を切り裂くような悲鳴を上げたのは、学生服姿の少女だった。
彼女の名前は『五十嵐 宮子』。『国立お茶のお湯学園』に通う女子だ。
その五十嵐が、自分の上にのしかかる『それ』を見、恐怖に戦慄いた。
小さく欠けた月明が、少女と、彼女の上にのしかかる者を浮かび上がらせる。
「ひっ!?」
それは化け物だった。
タコとエイリアンを足したような生物が、
紫色の身体を体液にぬめらせ、鋭角なラインの鎧を着込み、
少女を押し倒していた。
『ネルガル』。自らをそう名乗った彼らは、一月ほど前にこの秋葉原に突如現れ、
日本を、世界を騒がせた。超科学を駆使した兵器と人語を理解する知性を持つ彼らは、
学者達の間ではエイリアン、異次元人などと囁かれているが、その正体は定かではない。
ただはっきりしているのは、彼らの目的だ。
びりいっ!
「いやあ!」
ネルガルが顎下の触のうから粘液にまみれた触手を生やし、
ブレザーを、シャツを、引き裂く。月光の下に白い肌とピンク色のブラが露になると、
840 名前:乙×風【ハイブリッドエンジェル=カナエ】 :2005/04/26(火) 17:13:49 ID:Zk6wtbjq
触手はブラの下に潜り込むと繊毛を生やし、
ブラシのような形状をした先端で、乳首を磨き始めた。
「ひくっ!?」
まだ、男を経験していない少女の身体が、未知の感覚で震える。
「クククッ…感じているのか? 人間のメス?」
「そ、そんなこと……ぁ!?」
抗議の声は下着越しに割れ目をなぞられる事によって阻まれる。
媚薬成分を持つ白濁とした粘液が、緑と白の縞模様のパンツを、
そして触手を浮き彫らした白いブラを湿らしていた。
即効性のそれは、少女の性感を高め、
『彼らの目的を達成させ易くなるよう調整される』。
「なら感じさせてやろう」
「っ!? いやあ!」
ビュルビュルと湿っぽい音を立てながら、触のうからさらに触手が溢れる。
それらは脇の下を、うなじを、鎖骨を、脇腹を這い回る。
異臭を放つ粘液を裸身に塗りたくられる感触に、少女は嫌悪感と吐き気を覚えるが、
事態はそれだけでは終わらない。
触手は、スカートの内側、そしてルーズソックスの中まで侵入してくる。
「やああああぁぁぁ!! 気持ち悪いっ!」
生地と肌の狭間で粘液を滴らせる触手がのたうつ感触に、恥も外聞も無く悲鳴を上げる。
触手が暴れ回る度にソックスが、スカートが盛り上がり、蠢く。
「くくくっ! 気持ち悪いだと? なにっ、すぐに良くなる!」
「…!!」
その言葉の真意を問いただす前に、
――ビュルルルル! ビュルルル! ビチャビチャビチャッ!
841 名前:乙×風【ハイブリッドエンジェル=カナエ】 :2005/04/26(火) 17:14:49 ID:Zk6wtbjq
「きゃあぁあっ!?」
白濁液が、弾ける。粘性の高いゲル状のそれは、衣服の中で潰れ、広がる。
そしてその外側からもシャワーのように降り注ぎ、
少女の衣服と白い肌に幾つものダマを作り上げていく。
化け物から汚らわしい液体を浴びて、軽いショック状態に陥るが――
「……ああぁっ――いやぁっ…!」
身体中に纏わり付いた生暖かい粘液の感触が。
呼吸の度に鼻へと抜けていく粘液のイカ臭さが。
あまりにもおぞましく、そして屈辱的で――涙が流れた。
「悲劇のヒロイン気取りもそこまでだぞ? メスよ?」
ネルガルの宣告とともに触手が動き出した。
「――ひゃっ!?」
ねちゃにちゃ、と耳を覆いたくなるほどのような水音をたてながら、
衣服の下で触手が這いずり回る。
先程のようにうなじや脇、太ももの上を、吐き出した粘液を塗り広げるような動きだった。
そして、触手が乳首を、ショーツ越しの割れ目を掠める度に、
嫌悪感とは明らかに毛色の違う感触を覚えた。
言うまでも無い、それは性の愉悦。
(…ウソ!?)
信じられなかった。ネルガルと遭遇した事よりも、慰み者になろうとしている事よりも、
こんな化け物相手に感じている自分の身体が。
「そんな…っ、そんなこと――きゃん…っ?」
頭からそんな筈は無いと否定しても。ブラの記事をツンと押し上げている乳首が、
ショーツの内側に感じる濡れた感触が、全てを物語っている。
「フン。浅ましい生物め。畏怖するべき化け物に辱められて、感じているのか?」
「ち、ちがっ…これは! ――ぁん…!」
842 名前:乙×風【ハイブリッドエンジェル=カナエ】 :2005/04/26(火) 17:15:35 ID:Zk6wtbjq
違うわけが無い。身体中を白濁液まみれにした宮子は、触手による愛撫を受ける度に、
痺れるような快楽を感じていた。
(どうして? 私の身体、こんな敏感に!?)
それだけではない。精液を塗り込まれた箇所が――つまりは全身が――熱く、
疼いている。鼻に付く精臭にもいつの間にか嫌悪感が薄れている。それどころか、
このイカ臭い悪臭を嗅ぐと頭に靄がかかり、心地良い興奮が湧き上がっていく。
何も考えず、この興奮に任せてしまいそうになる。
「あう…そんな、そんなことっ――あっ…ん!? ダメ…ダメよぉ…」
(そんな事、許せない……のに)
部活の後輩からは『勝気で、高飛車』と敬遠されている宮子には、淫らな本能に流されるまま、
こんな化け物の相手をするなんて、プライドが許さない。
だが――
「何が駄目なものか。この淫乱め」
「あん…!」
ショーツ越しから割れ目をなぞられると、信じられないくらい甘い声を出してしまう。
「クククっ。なぞられただけでこの反応か。こうしたらどうなるのかな?」
「っ…!?」
足に巻きついた触手が膝裏を押し上げると、宮子にM字開脚を強要した。
「いや! こんな格好っ!」
触手は淫らなストレッチ続け、やがて少女の体勢はマングリ返しと呼ばれるものになった。
化け物の精液とそれ以外の体液を吸ったショーツ越しに、縦筋を綻ばした自らの性器が見える。
ベッタリと下着に張り付いたそれは、貝類の剥き身を思わせ、宮子は羞恥心で死にたくなった。
「いや! いや! 恥ずかしい!! ――きゃ!?」
その淫らに歪む割れ目に、触手が一本添えられる。
赤黒い胴には、粘液をじくじくと垂れ流す疣が無数に生えている。
(なんて、おぞましい…!)
843 名前:乙×風【ハイブリッドエンジェル=カナエ】 :2005/04/26(火) 17:16:16 ID:Zk6wtbjq
――そう、おぞましい筈なのに。
「あ!?」
触手が上下運動を始める。薄い布地越しに大陰唇を刺激した。
「あ! ん! や! そ、それっ――はん!? それだめぇ!」
――感じてしまう。
触手のヌラヌラトシタ表皮が。ごりごりとした疣が。ピンク色の肉壁を擦りつける度に、
腰が浮いてしまう程の愉悦を感じてしまう。
その快楽は、今まで何度としたことのない自慰などとは、比べ物にならない
「あ! んぅ! あ! はあっ! あっ!――ひきっ!?」
突如、性器の上端から刺すような快楽を覚えた。
快楽に上せた頭を振り見たくも無い自分の性器を盗み見る。
(あ!? いや……! 皮が、剥けて…!)
「いやらしいメスめ。乳首とクリトリスを、ビンビンに勃起させおって」
クリトリスを触手ではなく舌でぞろり、と舐められる。
「ひあ!?」
それだけで腰が浮いた。
(感じすぎる!)
「だめ! だめ! だめ、それだめなのっ――きゃう!」
触手が再び動き始める。
自己主張する突起物を親の敵のように狙い、無数に生えた瘤でこりこりと弾いていく。
「あっ! あっ! あ! あ! あ!」
(とぶ! とんじゃうぅ!!)
強すぎる刺激は宮子の感覚をどろどろに溶かしていく。
冷たいコンクリートの感触はとうに無く。身体中にへばり付いた精液の不快さすら忘れ去る。
844 名前:乙×風【ハイブリッドエンジェル=カナエ】 :2005/04/26(火) 17:17:12 ID:Zk6wtbjq
そして、
「あ! あ! あ! あっ、あっ、あっ――」
痛痒とした痺れすらもいつしか、じんわりと広がるような愉悦へと変わっていく。
強すぎる刺激に耐える表情が、快楽に蕩ける牝のそれへと変わっていく。
「はあぁぁ…! はあぁ…! ああんっ!」
(こしっ! とまらない! いい! きもちいい!)
「すごい! すごいのぉっ!!」
それはプライドが、快楽に屈した瞬間だった。
「クククっ」
舌を突き出しながら、涎を垂らしている宮子の表情を見て、化け物が満足そうに笑っている。
宮子はそれに気づく余裕もない。
触手の動きと真逆になるように腰を振り、さらなる快楽を求める。
『堕ちて』からは、早かった。
「ああっ!! はあああっ!」
腰を振る宮子の身体が、がくがくと震える。
(くる!すごいのが! ああぁっっ!!)
次の瞬間、意識が弾けた。
「ああぁぁぁぁああぁぁぁあぁぁっっっっ!!」
アクメを迎えた少女が気でも違えたように身体を痙攣させる。
自慰とは比べ物にならぬほどの頂点と高さに、幼い心が歪む。
「さあ、貴様の精気を頂こう!」
「っ…!? ――――っ!!?」
絶頂の余韻に浸るまもなく、宮子の体を未知の感覚が襲う。
髪の毛の先から爪先まで、何かが抜き取られるような感触。
献血で大量に血を抜かれる時のような……だが、これには痛みはともわない。
あるのは快楽。自分の中から、何かが抜き取られる感触だ。
845 名前:乙×風【ハイブリッドエンジェル=カナエ】 :2005/04/26(火) 17:17:53 ID:Zk6wtbjq
それが一秒だったか十分だったか分からない。少女は気だるげに、荒い息を吐く自分に気づいた。
「ククククっ。派手にイったな、人間の娘よ? おかげで私の腹が満たされた」
――ネルガルの目的は。人間の女性を捕食する事。
そしてその捕食は――女性を陵辱し、その精気を奪う事で成り立っている。
「う、あ……」
だが、自身が捕食されたという事実を、少女は認識できていない。
許容量を遥かに超える快楽を受け止め、さらに精気を奪われたせいで、呆然としていた。
「ふん。口も利けなくなったか。まあいい。人間のメスよ。これから貴様は我等の家畜だ」
水温とともに、ネルガルの股間から何かがせり上がってくる。
赤黒い表皮に、白濁とした粘液を滴らせているのは、彼らの生殖器だ。
それには等間隔に、ゼリービーンズに似た半透明の細長い突起物が、
肉の棒を真っ二つに割るように並んでいる。
「あ……、い…や…っ」
そのグロテスクな男根を見て、本能が危険を察知した。
せめてもの救いは、それの太さが触手と大して変わらない事か。
「大丈夫だ恐れることは無い。これを受け入れれば更なる快楽を得ることが出来るぞ?」
「…きもち、よく、なれる?」
「そうだ。さあ、下着を下ろせ」
「…う、あ…」
ネルガルの囁きが、陵辱に磨り減った少女の心を陥落させた。
宮子の手が、自らのショーツに伸びる。震える手でショーツの端を掴むと、自らずり下げた。
降り注ぐ月光を受けて、ショーツと肉ビラに架かる白濁とした愛液の吊橋が、淫らに輝く。
「それでいい」
ネルガルが目を細めると同時に、自らの生殖器を――切り離した。
846 名前:乙×風【ハイブリッドエンジェル=カナエ】 :2005/04/26(火) 17:18:35 ID:Zk6wtbjq
「ひ…っ」
べちゃり、と宮子の股間に生殖器が張り付く。すると驚くべき事に、
切り離された生殖器が独りでに動き出した。
「あっ、ひくっ…」
生殖器は敏感になった宮子の肉ビラに身を押し付けるように蠢き――やがて、
その先端を膣へと突き入れた。
「あひぃぃぃっ!?」
得体の知れない異物が腹の中へと入ってくる――その感覚に恐怖と――
そして興奮を覚える。
「――い! いいいいいぃぃぃ!? ――あああっ!?」
(…いたい!)
突如覚えた痛みは、生殖器に生え並んでいるゼリービーンズもどきが処女幕を擦りつけた為だ。
それもすぐに収まると、今度は膣の奥、子宮口に焼けるような熱さを感じた。
「あ!? あああ!?」
宮子の絶叫から少し遅れて、彼女の股間から黄みがかった白濁液が溢れ出した。
「ククク。熱いか? それは触手の催淫液を何倍も濃くしたものだ。狂うほど良くなるぞ?
――そして、メスの身体を変える効果もある」
その言葉を理解する間もなく――突如、子宮口が軋み始めた。
「あああぁぁぁあぁぁぁっっ!!?」
子宮口が開いている。
出産の時しか味わえない感覚が、今宮子を襲っている。
違うのは、陣痛という痛みの代わりに、腰が蕩けそうな快楽が子宮を満たしている事だ。
そして、悪魔の粘液により強制的にこじ開けられた子宮へ、ネルガルの生殖器が侵入した。
847 名前:乙×風【ハイブリッドエンジェル=カナエ】 :2005/04/26(火) 17:19:17 ID:Zk6wtbjq
「ひぎいいぃぃっっ!!」
生殖器は再び、催淫液を吐き出す。
(あつい! あつい! あ! ああ! しびれっ、しびれるぅっ!!)
次に生え揃った上下各十本――計二十本のゼリービーンズもどきを、
文字通り子宮壁へと突き刺した。
「きひいいいいぃぃぃっっ!!?」
痛みは無い。出血も無い。あるのは焼けそうな痺れのみ。だが、
「かっ! あああっ!」
それすらも、
「――う……あ?」
甘い愉悦へと、
「あっ、ああ…っ」
変わっていく。
「あんっ……いい」
あまりの刺激にのた打ち回っていたのが嘘のよう。
今では触手に愛撫されているかのような快楽が、子宮内を満たしている。
「終わったようだな」
「うぅん…なに、これぇ…きもちいぃ…」
満足そうにネルガルが目を細める。
「貴様の子宮と、我が生殖器の快楽神経が繋がったのだ。これで貴様は我が家畜だ」
「……かちく」
「そうだ。貴様は我から精気を搾り取られるだけの家畜だ。
その代わりに貴様には最高の快楽を与えてやろう。究極の快楽をな」
「…あはぁ♪」
宮子の表情が淫らに蕩ける。その瞳に理性の光は無い。
848 名前:乙×風【ハイブリッドエンジェル=カナエ】 :2005/04/26(火) 17:29:05 ID:Zk6wtbjq
あるのは欲情したメスの本能だけだ。
「さあ。貴様の精気、まだまだ搾り取らせてもらおう」
ネルガルの股間から新たな生殖器が生える。
堕ちた宮子はそれを濡れた瞳で見つめ、
「そこまでよ!」
その時。場にそぐわぬ、快活な少女の声が響いた。
============================
883 名前:乙×風【ハイブリッドエンジェル=カナエ】 :2005/05/03(火) 17:12:56 ID:yBaAKMsy
<ぷろろーぐ 舞い降りた天使> Bパート
裏路地全体に響き渡った声は、頭上より発せられたものだ。
ネルガルが頭上を振り仰ぐ。宮子の視線もその後を追った。
ビルの屋上の角――突風一つで転落するかと思うほどの所に、少女は居た。
月光を背に受けるシルエットは、腰に手を当てながら仁王立ちをする少女を描いている。
「誰だ!?」
「化け物に名乗る名前は無い!」
凛とした声で言い放つと、少女はその場から飛び降りた。
身を投げたのではない。その証拠に少女は、三秒も無い落下時間中、
オリンピック選手のように身体を二回転。接地に成功する。
驚くべきはその身体能力だけではない。その服装もだ。
ナイトキャップのような毛玉付きの帽子。細い首を包み込むフリル付きの襟。
まだ未成熟な身体を覆い隠すのはピンクと白を貴重にしたワンピース。
スカート部分は多重のペチコートとふんだんに使われたフリルがひらひら感を演出している。
腰の右側には文庫本がちょうど納まりそうなサイズのポシェットが釣られていた。
袖の先には色違いのカフスがあり、これにもフリルが使われている。
しなやかな脚には純白のフリル付きニーソックスを履き、
スカートとソックスの間に覗いている太ももが眩しい。
そして、こればかりは譲れないとばかりに、赤いパンプスで大地を踏みしめるその姿はまさしく、
魔法少女。
884 名前:乙×風【ハイブリッドエンジェル=カナエ】 :2005/05/03(火) 17:14:22 ID:yBaAKMsy
「その奇天烈な姿は!? ――そうか貴様か、最近我が同胞を殺して回っている小娘は?」
「キテレツ!?」ネルガルの言葉に魔法少女は怒りの形相を浮かべ、「――ってなに? オムレツの親戚?」
「おかしい、奇妙、という意味だ! 何故人間の貴様が知らない!?」
「そ、それくらい知ってたもん! 少し忘れてただけだもん!」
魔法少女は羞恥心に顔を赤く染めながら、ムキになって言い返した。
彼女の登場で、いつの間にか淫靡な雰囲気はすっかりなくなってしまっていた。
「オムレツと言っておきながらよくもぬけぬけと…!
本当にこんな小娘に同胞達がやられたというのか?」
「……むっかぁ……! それだけ言うなら試してみるっ?」
魔法少女が手にしたステッキを構える。先端には円盤状の飾り、
さらにその飾りに天使の羽を模した小さな飾りが付いているという、奇妙なデザインをしていた。
「言われずとも同胞達の無念、今晴らしてくれるわ!」
触手が宮子から離れると、一斉に魔法少女へと向かう。
だが一息の間に目前に迫る触手群に対して、魔法少女はステッキを構えたまま微動だにしない。
捕らえた――ネルガルは確信した。だが、
ぱししっ!!
「なに!」
接触の直前、触手と魔法少女との間に、
小さな六角形をタイルのように敷き詰めた半透明の壁が現れ、触手の軌道を逸らす。
「馬鹿な! 今のはフォースフィールド!?」
エネルギーを使った力場壁――つまりはバリヤー。
「人間の科学力で我等の技術を模倣したというのか!?」
驚くネルガルを、見た魔法少女は自慢げに鼻を鳴らすと、腰のポシェットから何かを取り出した。
885 名前:乙×風【ハイブリッドエンジェル=カナエ】 :2005/05/03(火) 17:15:31 ID:yBaAKMsy
両端を楕円状に丸めたペンのようなそれには、小さな液晶画面と、
△を横向きにしたマークの付いたボタンがいくつか。そして□マークのついたボタンが一つ。
CD・DVDウォークマンのコントローラにしか見えないそれは、
乳白色のボディの先端からコードを伸ばし、ポシェットの中へと消えている。
「まだまだいくよーっ」
魔法少女はコントローラーを操作する。トラック送りボタンを三回。後に再生ボタン。
『Track 3 . Load』
コントローラーから外国人の女性らしき声が響く。
それが何を意味するのかは分からない。だが自分にとって不利になるというのは予測出来る。
ネルガルは舌打ちをすると触手を少女を取り囲むように伸ばし、全方向から魔法少女を襲う。
ぱしししししっ!!!
「これでも駄目か!?」
先程のバリヤーが魔法少女を包むように、球状に展開され、触手を阻む。そして、
『Complete』
言葉と共に、ポシェットから魔法少女の目前に、一枚の円盤が吐き出される。
月光を受けて虹色に照り返すその物体は、どこからみてもDVDだ。
魔法少女はそれを慣れた動作で掴むと、左手に持ったステッキの先端部――
円盤状の飾りへと、挿入する。そして高らかに叫んだ。
「エンジェル・ウィング!」
『O.K. Swicth to high maneuver mode.』
886 名前:乙×風【ハイブリッドエンジェル=カナエ】 :2005/05/03(火) 17:16:34 ID:yBaAKMsy
ブウウン、という低い音――DVDが回転する音――が響き始めると、
魔法少女の背中に青白い光が生まれる。それらは波紋のような光が
縦横に幾重にも折り重なったものだ。そしてそれらをよく見ると、
ただ単なる青い光ではない。模様のようにぎっしりと並んだ、数字の「0」と「1」の羅列だ。
やがてそれら0と1の集合体が生み出す光は、魔法少女の背中で一対の翼を形成する。
ばさり、と魔法少女が翼をはためかせる。鳥類の翼を模して作られたそれから羽が抜けると、
辺りに巻き散った。
舞い散る羽の中にたたずむ魔法少女は、月光を受けて佇む天使をイメージさせる。
「く…!」
その姿を見て始めてネルガルは、目前の少女が同胞を討ってきた仇敵と認めた。
「ええい!」
この際手段は選んでいられない。ネルガルは、魔法少女を遠巻きに包囲していた触手郡を
引き戻すと、傍らで倒れている少女に目を移した。
人質を取る。一見、直情系に見える魔法少女には最も有効な手段に思えた。
ネルガルは躊躇無く触手を伸ば、
風が巻き起こった。
ネルガルが感知する時間も無い。
気が付けば、傍らに倒れていた筈の少女は居なかった。
「あんた達の考えている事なんてバレバレよ!」
「何だと!?」
887 名前:乙×風【ハイブリッドエンジェル=カナエ】 :2005/05/03(火) 17:17:52 ID:yBaAKMsy
頭上から響くきんきんとした声に、ネルガルが空を見上げる。
ビルに挟まれた空中に、宮子を抱きかかえる魔法少女の姿がある。
「おのれ…! なんというスピード…!」
「ざままみなさい! このタコ!」
「タ…!」
ネルガルにとってそれは考えうる限り最大の侮辱だ。見え透いた挑発だと分かっているが、
ネルガルは思わず怒りで全身を紅潮させた。
タコのように。
一方魔法少女は言うだけ言って気分が晴れたのかビルの屋上へと舞い上がる。
そして、屋上入り口へともたれかせさせると、
「ごめんね。すぐにあいつをやっつけて戻ってくるから。ちょっとの間だけ待っててね」
幼い顔立ちに、悲哀の表情を浮かべた。
そしてそれもすぐに、確固たる決意に満ちた、凛々しいまでの顔に変わる。
すぐに翼をはためかせ、ビルから飛び出した。
「こんのタコー! 女の子にあんな酷い目に遭わせるなんてぇっ、絶対に許さないんだから!」
「貴様ら家畜の事など知った事か!」
「言ったなぁー!」
コントローラーを操作する。
『Track 1. Load』
「させるか!」
ネルガルが触手を収納し――彼らが着込んでいる鎧が変形する。
人間で言う腰部――その側面を覆う鎧が前方へと展開、
歪な円柱の形状をした二つのそれの先端が、エメラルド色に輝く。
888 名前:乙×風【ハイブリッドエンジェル=カナエ】 :2005/05/03(火) 17:18:52 ID:yBaAKMsy
ずぎゅん!
次の瞬間、その光は一条の光となって魔法少女に襲い掛かる。
「うわ、っと!」
フォトン・レーザーと呼ばれるその光学兵器は、通常不可視であり、回避不能でもある。
だが、出力が弱いのかそれとも別の理由からか――劣化した光線は裏路地上空を駆け回る
小さな天使に当たる事はない。的が早すぎて補足すらロクに出来ようだった。
だが周囲のビルはそうはいかない。
聞く者の脳を揺さぶるような、コンクリートの破砕音が当たりに響き渡る。
「ええいっ、ちょこまかと!」
頭に血を上らせたネルガルが光線を乱射する。
ずがんずがんずがん!
重く高い音を立てながら周囲のビルに穴が開いていった。
「うわ! うわ! 洒落になってない! こらー! 器物反則だぞ!」
「それをいうなら器物破損だ! 周囲の被害が気になるなら避けるな!」
「むー! あー言えばこー言う! 私だってやられっ放しじゃないんだからね!」
飛び回りながら少女がステッキの先端をネルガルに向ける。
飾りの先から青白い光が生まれた。そして、
ずぎゅん!
甲高い音を響かせながら光の帯が打ち出される。
「何!?」
ばじじじっ!
ネルガルがとっさに展開したフォース・フィールドが青い光線を弾き散らす。
889 名前:乙×風【ハイブリッドエンジェル=カナエ】 :2005/05/03(火) 17:19:48 ID:yBaAKMsy
「フォトン・レーザー!? おのれ! 人間ごとき下等生物が!」
『Complete』
「むっかあっ! 本当に私達が下等生物かどうか――」
二枚目のディスクが吐き出される。
「――今思い知らせてあげる!」
魔法少女はそれを掴むと素早くステッキの先端へ
――ディスクを挿入する為のスリットへと――叩き込むように入れた。
「ジャッジメント・ハイロウ!」
『O.K. Final atack . Ready』
少女が翼をはためかせながら急上昇する。ビルの屋上から更に50メートル程上昇したところで
ステッキを旋回させる。
ひゅんひゅんひゅんっ。
風を切る音と共に、ステッキの先端が純白に光り、その軌道が光の輪を作り出した。
光輪はステッキの旋回を止めてもなお、少女の目前に滞空しており、
「食らえー!!」
少女は、その光輪に向けて、叩き落すようにステッキを振るった。
きいぃぃいいいん!!
撃ち出されたロケット砲の如く、光輪は驚異的な初速で大地に落下する。
「!?」
地上ではネルガルが反射的にフォース・フィールドを展開し、その直後に、光輪がネルガルを
捕らえた。フィールド越しにネルガルを締め上げるように光輪がその直径を狭めると、
ぱきいいん!
890 名前:乙×風【ハイブリッドエンジェル=カナエ】 :2005/05/03(火) 17:20:44 ID:yBaAKMsy
「な!?」
あっさりとフィールドを破壊する。
「ぐあああああ!!?」
「ネルガル! 覚悟しなさい!」
上空の少女がステッキの先端をネルガルへと向ける。
その先から純白の光が生まれると、ステッキは十字の穂先を持つ槍へと変貌した。
「善良な女の子に酷い事をするネルガルには裁きを与えます!
判決は……死刑!!」
「い、異議あり!!」
「問答無用! クルセイド・パニッシュ!!」
少女が逆手に持った槍を、真下に投擲する。それは先程叩き落した光輪よりも更に速い。
高速で落下する槍は一条の光となり夜空を切り裂くと、文字通り瞬く間にネルガルへと直撃した。
きゅごおおおん!!
目が眩むような閃光。轟音。ネルガルは断末魔の声を上げる暇も無かった。
***
目の前の光景を。宮子はただ呆然と見ていた。
小さな頃漫画やアニメで見た変身ヒロインみたいな格好した、同世代ほどの女の子に助けられた後。
ビルの屋上で地震らしき振動を感じた。コンクリートの砕ける音を聞いた。
先程の女の子らしき声と、自分を辱めた化け物の声が聞こえ、
次の瞬間には、上空に天使が居た。
891 名前:乙×風【ハイブリッドエンジェル=カナエ】 :2005/05/03(火) 17:21:39 ID:yBaAKMsy
翼をはためかせ、槍を構えるその姿は、
先程自分を助けた女の子と同じだとは到底思えないほど、神々しく見えた。
槍が投げ放たれる。
世界が真っ白に染まった。
夜中だというのに太陽が――そう思えるほどの光量に、反射的に目を閉じる。
目を閉じていた時間は一瞬にも永遠にも感じられて、
――気が付くと、目前に人の気配。
「ごめんね。待たせちゃって。ちょっとてこずちゃった」
目を開ける。先程の閃光があまりにも激しすぎたのか、瞼の裏がチカチカして殆ど目が見えない。
「周りの被害もちょっとまずかったかなあ。うわっ。このビルちょっと傾いてないっ?」
自分助けたと思われる女の子はまるで友人とでも話すように、きさくに言葉を紡ぐ。
宮子はそんな女の子の顔を一目でも見ようと、目を凝らすが。
「ああ、だめだよ無理しちゃ」
近づき、やんわりと瞼を閉ざされる。
にちゃり。
――何の音かは考えなくとも分かる。汚らわしい化け物の体液だ。
「あ…」
女の子が口を閉ざす。同時に、先程受けた屈辱が、羞恥が、快楽が、フラッシュバックした。
宮子は、涙を流した。
「本当にごめんね。私が、もっと早く駆けつけていたら。でも、もう大丈夫だから」
『Track 10 . Load』
892 名前:乙×風【ハイブリッドエンジェル=カナエ】 :2005/05/03(火) 17:22:45 ID:yBaAKMsy
女の子の声に続く、綺麗な女性の声。
「すぐに身体も、心も――そして記憶も、綺麗にしてあげるから」
『Complete』
「ホーリー・ブレス」
『O.K. Purify the victim.』
再び生まれる光り。
だが今度の光は、夜を切り裂く閃光ではない。
その淡い光りは宮子の身体を包み込むように広がっていく。
生乾きの白濁液が、その光に触れた所から、煌く燐光となって宙へと解けていく。
「――あ」
(あたたかい)
宮子が感じたのは人肌を連想させる温もり。
やがてその温もりは宮子の傷ついた心を癒し、穢れを落とし―ーそして、
彼女を穏やかな眠りへと付かせた。
893 名前:乙×風【ハイブリッドエンジェル=カナエ】 :2005/05/03(火) 17:28:33 ID:yBaAKMsy
以上、お目汚しでした。
しかし今改めて見直してみると、自分の学の無さにただ閉口するばかり。
どなたかSFに精通した方は居ませんか?
……冗談です。
作家に他力本願はご法度なのです。
……でも突っ込みは欲しいかも。
ちなみに本作品は魔法少女モノの某アニメに触発されて書いた訳ではありません。
前から構成を練っていました。
……本当ですよ?
お待たせしました。携帯から設定だけ上げようかと思いましたが、
都合が付いたので本編を投稿します。今回の話はかなり長いです。
<ぷろろーぐ 舞い降りた天使> Aパート
「きゃあっ!」
宵闇を切り裂くような悲鳴を上げたのは、学生服姿の少女だった。
彼女の名前は『五十嵐 宮子』。『国立お茶のお湯学園』に通う女子だ。
その五十嵐が、自分の上にのしかかる『それ』を見、恐怖に戦慄いた。
小さく欠けた月明が、少女と、彼女の上にのしかかる者を浮かび上がらせる。
「ひっ!?」
それは化け物だった。
タコとエイリアンを足したような生物が、
紫色の身体を体液にぬめらせ、鋭角なラインの鎧を着込み、
少女を押し倒していた。
『ネルガル』。自らをそう名乗った彼らは、一月ほど前にこの秋葉原に突如現れ、
日本を、世界を騒がせた。超科学を駆使した兵器と人語を理解する知性を持つ彼らは、
学者達の間ではエイリアン、異次元人などと囁かれているが、その正体は定かではない。
ただはっきりしているのは、彼らの目的だ。
びりいっ!
「いやあ!」
ネルガルが顎下の触のうから粘液にまみれた触手を生やし、
ブレザーを、シャツを、引き裂く。月光の下に白い肌とピンク色のブラが露になると、
840 名前:乙×風【ハイブリッドエンジェル=カナエ】 :2005/04/26(火) 17:13:49 ID:Zk6wtbjq
触手はブラの下に潜り込むと繊毛を生やし、
ブラシのような形状をした先端で、乳首を磨き始めた。
「ひくっ!?」
まだ、男を経験していない少女の身体が、未知の感覚で震える。
「クククッ…感じているのか? 人間のメス?」
「そ、そんなこと……ぁ!?」
抗議の声は下着越しに割れ目をなぞられる事によって阻まれる。
媚薬成分を持つ白濁とした粘液が、緑と白の縞模様のパンツを、
そして触手を浮き彫らした白いブラを湿らしていた。
即効性のそれは、少女の性感を高め、
『彼らの目的を達成させ易くなるよう調整される』。
「なら感じさせてやろう」
「っ!? いやあ!」
ビュルビュルと湿っぽい音を立てながら、触のうからさらに触手が溢れる。
それらは脇の下を、うなじを、鎖骨を、脇腹を這い回る。
異臭を放つ粘液を裸身に塗りたくられる感触に、少女は嫌悪感と吐き気を覚えるが、
事態はそれだけでは終わらない。
触手は、スカートの内側、そしてルーズソックスの中まで侵入してくる。
「やああああぁぁぁ!! 気持ち悪いっ!」
生地と肌の狭間で粘液を滴らせる触手がのたうつ感触に、恥も外聞も無く悲鳴を上げる。
触手が暴れ回る度にソックスが、スカートが盛り上がり、蠢く。
「くくくっ! 気持ち悪いだと? なにっ、すぐに良くなる!」
「…!!」
その言葉の真意を問いただす前に、
――ビュルルルル! ビュルルル! ビチャビチャビチャッ!
841 名前:乙×風【ハイブリッドエンジェル=カナエ】 :2005/04/26(火) 17:14:49 ID:Zk6wtbjq
「きゃあぁあっ!?」
白濁液が、弾ける。粘性の高いゲル状のそれは、衣服の中で潰れ、広がる。
そしてその外側からもシャワーのように降り注ぎ、
少女の衣服と白い肌に幾つものダマを作り上げていく。
化け物から汚らわしい液体を浴びて、軽いショック状態に陥るが――
「……ああぁっ――いやぁっ…!」
身体中に纏わり付いた生暖かい粘液の感触が。
呼吸の度に鼻へと抜けていく粘液のイカ臭さが。
あまりにもおぞましく、そして屈辱的で――涙が流れた。
「悲劇のヒロイン気取りもそこまでだぞ? メスよ?」
ネルガルの宣告とともに触手が動き出した。
「――ひゃっ!?」
ねちゃにちゃ、と耳を覆いたくなるほどのような水音をたてながら、
衣服の下で触手が這いずり回る。
先程のようにうなじや脇、太ももの上を、吐き出した粘液を塗り広げるような動きだった。
そして、触手が乳首を、ショーツ越しの割れ目を掠める度に、
嫌悪感とは明らかに毛色の違う感触を覚えた。
言うまでも無い、それは性の愉悦。
(…ウソ!?)
信じられなかった。ネルガルと遭遇した事よりも、慰み者になろうとしている事よりも、
こんな化け物相手に感じている自分の身体が。
「そんな…っ、そんなこと――きゃん…っ?」
頭からそんな筈は無いと否定しても。ブラの記事をツンと押し上げている乳首が、
ショーツの内側に感じる濡れた感触が、全てを物語っている。
「フン。浅ましい生物め。畏怖するべき化け物に辱められて、感じているのか?」
「ち、ちがっ…これは! ――ぁん…!」
842 名前:乙×風【ハイブリッドエンジェル=カナエ】 :2005/04/26(火) 17:15:35 ID:Zk6wtbjq
違うわけが無い。身体中を白濁液まみれにした宮子は、触手による愛撫を受ける度に、
痺れるような快楽を感じていた。
(どうして? 私の身体、こんな敏感に!?)
それだけではない。精液を塗り込まれた箇所が――つまりは全身が――熱く、
疼いている。鼻に付く精臭にもいつの間にか嫌悪感が薄れている。それどころか、
このイカ臭い悪臭を嗅ぐと頭に靄がかかり、心地良い興奮が湧き上がっていく。
何も考えず、この興奮に任せてしまいそうになる。
「あう…そんな、そんなことっ――あっ…ん!? ダメ…ダメよぉ…」
(そんな事、許せない……のに)
部活の後輩からは『勝気で、高飛車』と敬遠されている宮子には、淫らな本能に流されるまま、
こんな化け物の相手をするなんて、プライドが許さない。
だが――
「何が駄目なものか。この淫乱め」
「あん…!」
ショーツ越しから割れ目をなぞられると、信じられないくらい甘い声を出してしまう。
「クククっ。なぞられただけでこの反応か。こうしたらどうなるのかな?」
「っ…!?」
足に巻きついた触手が膝裏を押し上げると、宮子にM字開脚を強要した。
「いや! こんな格好っ!」
触手は淫らなストレッチ続け、やがて少女の体勢はマングリ返しと呼ばれるものになった。
化け物の精液とそれ以外の体液を吸ったショーツ越しに、縦筋を綻ばした自らの性器が見える。
ベッタリと下着に張り付いたそれは、貝類の剥き身を思わせ、宮子は羞恥心で死にたくなった。
「いや! いや! 恥ずかしい!! ――きゃ!?」
その淫らに歪む割れ目に、触手が一本添えられる。
赤黒い胴には、粘液をじくじくと垂れ流す疣が無数に生えている。
(なんて、おぞましい…!)
843 名前:乙×風【ハイブリッドエンジェル=カナエ】 :2005/04/26(火) 17:16:16 ID:Zk6wtbjq
――そう、おぞましい筈なのに。
「あ!?」
触手が上下運動を始める。薄い布地越しに大陰唇を刺激した。
「あ! ん! や! そ、それっ――はん!? それだめぇ!」
――感じてしまう。
触手のヌラヌラトシタ表皮が。ごりごりとした疣が。ピンク色の肉壁を擦りつける度に、
腰が浮いてしまう程の愉悦を感じてしまう。
その快楽は、今まで何度としたことのない自慰などとは、比べ物にならない
「あ! んぅ! あ! はあっ! あっ!――ひきっ!?」
突如、性器の上端から刺すような快楽を覚えた。
快楽に上せた頭を振り見たくも無い自分の性器を盗み見る。
(あ!? いや……! 皮が、剥けて…!)
「いやらしいメスめ。乳首とクリトリスを、ビンビンに勃起させおって」
クリトリスを触手ではなく舌でぞろり、と舐められる。
「ひあ!?」
それだけで腰が浮いた。
(感じすぎる!)
「だめ! だめ! だめ、それだめなのっ――きゃう!」
触手が再び動き始める。
自己主張する突起物を親の敵のように狙い、無数に生えた瘤でこりこりと弾いていく。
「あっ! あっ! あ! あ! あ!」
(とぶ! とんじゃうぅ!!)
強すぎる刺激は宮子の感覚をどろどろに溶かしていく。
冷たいコンクリートの感触はとうに無く。身体中にへばり付いた精液の不快さすら忘れ去る。
844 名前:乙×風【ハイブリッドエンジェル=カナエ】 :2005/04/26(火) 17:17:12 ID:Zk6wtbjq
そして、
「あ! あ! あ! あっ、あっ、あっ――」
痛痒とした痺れすらもいつしか、じんわりと広がるような愉悦へと変わっていく。
強すぎる刺激に耐える表情が、快楽に蕩ける牝のそれへと変わっていく。
「はあぁぁ…! はあぁ…! ああんっ!」
(こしっ! とまらない! いい! きもちいい!)
「すごい! すごいのぉっ!!」
それはプライドが、快楽に屈した瞬間だった。
「クククっ」
舌を突き出しながら、涎を垂らしている宮子の表情を見て、化け物が満足そうに笑っている。
宮子はそれに気づく余裕もない。
触手の動きと真逆になるように腰を振り、さらなる快楽を求める。
『堕ちて』からは、早かった。
「ああっ!! はあああっ!」
腰を振る宮子の身体が、がくがくと震える。
(くる!すごいのが! ああぁっっ!!)
次の瞬間、意識が弾けた。
「ああぁぁぁぁああぁぁぁあぁぁっっっっ!!」
アクメを迎えた少女が気でも違えたように身体を痙攣させる。
自慰とは比べ物にならぬほどの頂点と高さに、幼い心が歪む。
「さあ、貴様の精気を頂こう!」
「っ…!? ――――っ!!?」
絶頂の余韻に浸るまもなく、宮子の体を未知の感覚が襲う。
髪の毛の先から爪先まで、何かが抜き取られるような感触。
献血で大量に血を抜かれる時のような……だが、これには痛みはともわない。
あるのは快楽。自分の中から、何かが抜き取られる感触だ。
845 名前:乙×風【ハイブリッドエンジェル=カナエ】 :2005/04/26(火) 17:17:53 ID:Zk6wtbjq
それが一秒だったか十分だったか分からない。少女は気だるげに、荒い息を吐く自分に気づいた。
「ククククっ。派手にイったな、人間の娘よ? おかげで私の腹が満たされた」
――ネルガルの目的は。人間の女性を捕食する事。
そしてその捕食は――女性を陵辱し、その精気を奪う事で成り立っている。
「う、あ……」
だが、自身が捕食されたという事実を、少女は認識できていない。
許容量を遥かに超える快楽を受け止め、さらに精気を奪われたせいで、呆然としていた。
「ふん。口も利けなくなったか。まあいい。人間のメスよ。これから貴様は我等の家畜だ」
水温とともに、ネルガルの股間から何かがせり上がってくる。
赤黒い表皮に、白濁とした粘液を滴らせているのは、彼らの生殖器だ。
それには等間隔に、ゼリービーンズに似た半透明の細長い突起物が、
肉の棒を真っ二つに割るように並んでいる。
「あ……、い…や…っ」
そのグロテスクな男根を見て、本能が危険を察知した。
せめてもの救いは、それの太さが触手と大して変わらない事か。
「大丈夫だ恐れることは無い。これを受け入れれば更なる快楽を得ることが出来るぞ?」
「…きもち、よく、なれる?」
「そうだ。さあ、下着を下ろせ」
「…う、あ…」
ネルガルの囁きが、陵辱に磨り減った少女の心を陥落させた。
宮子の手が、自らのショーツに伸びる。震える手でショーツの端を掴むと、自らずり下げた。
降り注ぐ月光を受けて、ショーツと肉ビラに架かる白濁とした愛液の吊橋が、淫らに輝く。
「それでいい」
ネルガルが目を細めると同時に、自らの生殖器を――切り離した。
846 名前:乙×風【ハイブリッドエンジェル=カナエ】 :2005/04/26(火) 17:18:35 ID:Zk6wtbjq
「ひ…っ」
べちゃり、と宮子の股間に生殖器が張り付く。すると驚くべき事に、
切り離された生殖器が独りでに動き出した。
「あっ、ひくっ…」
生殖器は敏感になった宮子の肉ビラに身を押し付けるように蠢き――やがて、
その先端を膣へと突き入れた。
「あひぃぃぃっ!?」
得体の知れない異物が腹の中へと入ってくる――その感覚に恐怖と――
そして興奮を覚える。
「――い! いいいいいぃぃぃ!? ――あああっ!?」
(…いたい!)
突如覚えた痛みは、生殖器に生え並んでいるゼリービーンズもどきが処女幕を擦りつけた為だ。
それもすぐに収まると、今度は膣の奥、子宮口に焼けるような熱さを感じた。
「あ!? あああ!?」
宮子の絶叫から少し遅れて、彼女の股間から黄みがかった白濁液が溢れ出した。
「ククク。熱いか? それは触手の催淫液を何倍も濃くしたものだ。狂うほど良くなるぞ?
――そして、メスの身体を変える効果もある」
その言葉を理解する間もなく――突如、子宮口が軋み始めた。
「あああぁぁぁあぁぁぁっっ!!?」
子宮口が開いている。
出産の時しか味わえない感覚が、今宮子を襲っている。
違うのは、陣痛という痛みの代わりに、腰が蕩けそうな快楽が子宮を満たしている事だ。
そして、悪魔の粘液により強制的にこじ開けられた子宮へ、ネルガルの生殖器が侵入した。
847 名前:乙×風【ハイブリッドエンジェル=カナエ】 :2005/04/26(火) 17:19:17 ID:Zk6wtbjq
「ひぎいいぃぃっっ!!」
生殖器は再び、催淫液を吐き出す。
(あつい! あつい! あ! ああ! しびれっ、しびれるぅっ!!)
次に生え揃った上下各十本――計二十本のゼリービーンズもどきを、
文字通り子宮壁へと突き刺した。
「きひいいいいぃぃぃっっ!!?」
痛みは無い。出血も無い。あるのは焼けそうな痺れのみ。だが、
「かっ! あああっ!」
それすらも、
「――う……あ?」
甘い愉悦へと、
「あっ、ああ…っ」
変わっていく。
「あんっ……いい」
あまりの刺激にのた打ち回っていたのが嘘のよう。
今では触手に愛撫されているかのような快楽が、子宮内を満たしている。
「終わったようだな」
「うぅん…なに、これぇ…きもちいぃ…」
満足そうにネルガルが目を細める。
「貴様の子宮と、我が生殖器の快楽神経が繋がったのだ。これで貴様は我が家畜だ」
「……かちく」
「そうだ。貴様は我から精気を搾り取られるだけの家畜だ。
その代わりに貴様には最高の快楽を与えてやろう。究極の快楽をな」
「…あはぁ♪」
宮子の表情が淫らに蕩ける。その瞳に理性の光は無い。
848 名前:乙×風【ハイブリッドエンジェル=カナエ】 :2005/04/26(火) 17:29:05 ID:Zk6wtbjq
あるのは欲情したメスの本能だけだ。
「さあ。貴様の精気、まだまだ搾り取らせてもらおう」
ネルガルの股間から新たな生殖器が生える。
堕ちた宮子はそれを濡れた瞳で見つめ、
「そこまでよ!」
その時。場にそぐわぬ、快活な少女の声が響いた。
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883 名前:乙×風【ハイブリッドエンジェル=カナエ】 :2005/05/03(火) 17:12:56 ID:yBaAKMsy
<ぷろろーぐ 舞い降りた天使> Bパート
裏路地全体に響き渡った声は、頭上より発せられたものだ。
ネルガルが頭上を振り仰ぐ。宮子の視線もその後を追った。
ビルの屋上の角――突風一つで転落するかと思うほどの所に、少女は居た。
月光を背に受けるシルエットは、腰に手を当てながら仁王立ちをする少女を描いている。
「誰だ!?」
「化け物に名乗る名前は無い!」
凛とした声で言い放つと、少女はその場から飛び降りた。
身を投げたのではない。その証拠に少女は、三秒も無い落下時間中、
オリンピック選手のように身体を二回転。接地に成功する。
驚くべきはその身体能力だけではない。その服装もだ。
ナイトキャップのような毛玉付きの帽子。細い首を包み込むフリル付きの襟。
まだ未成熟な身体を覆い隠すのはピンクと白を貴重にしたワンピース。
スカート部分は多重のペチコートとふんだんに使われたフリルがひらひら感を演出している。
腰の右側には文庫本がちょうど納まりそうなサイズのポシェットが釣られていた。
袖の先には色違いのカフスがあり、これにもフリルが使われている。
しなやかな脚には純白のフリル付きニーソックスを履き、
スカートとソックスの間に覗いている太ももが眩しい。
そして、こればかりは譲れないとばかりに、赤いパンプスで大地を踏みしめるその姿はまさしく、
魔法少女。
884 名前:乙×風【ハイブリッドエンジェル=カナエ】 :2005/05/03(火) 17:14:22 ID:yBaAKMsy
「その奇天烈な姿は!? ――そうか貴様か、最近我が同胞を殺して回っている小娘は?」
「キテレツ!?」ネルガルの言葉に魔法少女は怒りの形相を浮かべ、「――ってなに? オムレツの親戚?」
「おかしい、奇妙、という意味だ! 何故人間の貴様が知らない!?」
「そ、それくらい知ってたもん! 少し忘れてただけだもん!」
魔法少女は羞恥心に顔を赤く染めながら、ムキになって言い返した。
彼女の登場で、いつの間にか淫靡な雰囲気はすっかりなくなってしまっていた。
「オムレツと言っておきながらよくもぬけぬけと…!
本当にこんな小娘に同胞達がやられたというのか?」
「……むっかぁ……! それだけ言うなら試してみるっ?」
魔法少女が手にしたステッキを構える。先端には円盤状の飾り、
さらにその飾りに天使の羽を模した小さな飾りが付いているという、奇妙なデザインをしていた。
「言われずとも同胞達の無念、今晴らしてくれるわ!」
触手が宮子から離れると、一斉に魔法少女へと向かう。
だが一息の間に目前に迫る触手群に対して、魔法少女はステッキを構えたまま微動だにしない。
捕らえた――ネルガルは確信した。だが、
ぱししっ!!
「なに!」
接触の直前、触手と魔法少女との間に、
小さな六角形をタイルのように敷き詰めた半透明の壁が現れ、触手の軌道を逸らす。
「馬鹿な! 今のはフォースフィールド!?」
エネルギーを使った力場壁――つまりはバリヤー。
「人間の科学力で我等の技術を模倣したというのか!?」
驚くネルガルを、見た魔法少女は自慢げに鼻を鳴らすと、腰のポシェットから何かを取り出した。
885 名前:乙×風【ハイブリッドエンジェル=カナエ】 :2005/05/03(火) 17:15:31 ID:yBaAKMsy
両端を楕円状に丸めたペンのようなそれには、小さな液晶画面と、
△を横向きにしたマークの付いたボタンがいくつか。そして□マークのついたボタンが一つ。
CD・DVDウォークマンのコントローラにしか見えないそれは、
乳白色のボディの先端からコードを伸ばし、ポシェットの中へと消えている。
「まだまだいくよーっ」
魔法少女はコントローラーを操作する。トラック送りボタンを三回。後に再生ボタン。
『Track 3 . Load』
コントローラーから外国人の女性らしき声が響く。
それが何を意味するのかは分からない。だが自分にとって不利になるというのは予測出来る。
ネルガルは舌打ちをすると触手を少女を取り囲むように伸ばし、全方向から魔法少女を襲う。
ぱしししししっ!!!
「これでも駄目か!?」
先程のバリヤーが魔法少女を包むように、球状に展開され、触手を阻む。そして、
『Complete』
言葉と共に、ポシェットから魔法少女の目前に、一枚の円盤が吐き出される。
月光を受けて虹色に照り返すその物体は、どこからみてもDVDだ。
魔法少女はそれを慣れた動作で掴むと、左手に持ったステッキの先端部――
円盤状の飾りへと、挿入する。そして高らかに叫んだ。
「エンジェル・ウィング!」
『O.K. Swicth to high maneuver mode.』
886 名前:乙×風【ハイブリッドエンジェル=カナエ】 :2005/05/03(火) 17:16:34 ID:yBaAKMsy
ブウウン、という低い音――DVDが回転する音――が響き始めると、
魔法少女の背中に青白い光が生まれる。それらは波紋のような光が
縦横に幾重にも折り重なったものだ。そしてそれらをよく見ると、
ただ単なる青い光ではない。模様のようにぎっしりと並んだ、数字の「0」と「1」の羅列だ。
やがてそれら0と1の集合体が生み出す光は、魔法少女の背中で一対の翼を形成する。
ばさり、と魔法少女が翼をはためかせる。鳥類の翼を模して作られたそれから羽が抜けると、
辺りに巻き散った。
舞い散る羽の中にたたずむ魔法少女は、月光を受けて佇む天使をイメージさせる。
「く…!」
その姿を見て始めてネルガルは、目前の少女が同胞を討ってきた仇敵と認めた。
「ええい!」
この際手段は選んでいられない。ネルガルは、魔法少女を遠巻きに包囲していた触手郡を
引き戻すと、傍らで倒れている少女に目を移した。
人質を取る。一見、直情系に見える魔法少女には最も有効な手段に思えた。
ネルガルは躊躇無く触手を伸ば、
風が巻き起こった。
ネルガルが感知する時間も無い。
気が付けば、傍らに倒れていた筈の少女は居なかった。
「あんた達の考えている事なんてバレバレよ!」
「何だと!?」
887 名前:乙×風【ハイブリッドエンジェル=カナエ】 :2005/05/03(火) 17:17:52 ID:yBaAKMsy
頭上から響くきんきんとした声に、ネルガルが空を見上げる。
ビルに挟まれた空中に、宮子を抱きかかえる魔法少女の姿がある。
「おのれ…! なんというスピード…!」
「ざままみなさい! このタコ!」
「タ…!」
ネルガルにとってそれは考えうる限り最大の侮辱だ。見え透いた挑発だと分かっているが、
ネルガルは思わず怒りで全身を紅潮させた。
タコのように。
一方魔法少女は言うだけ言って気分が晴れたのかビルの屋上へと舞い上がる。
そして、屋上入り口へともたれかせさせると、
「ごめんね。すぐにあいつをやっつけて戻ってくるから。ちょっとの間だけ待っててね」
幼い顔立ちに、悲哀の表情を浮かべた。
そしてそれもすぐに、確固たる決意に満ちた、凛々しいまでの顔に変わる。
すぐに翼をはためかせ、ビルから飛び出した。
「こんのタコー! 女の子にあんな酷い目に遭わせるなんてぇっ、絶対に許さないんだから!」
「貴様ら家畜の事など知った事か!」
「言ったなぁー!」
コントローラーを操作する。
『Track 1. Load』
「させるか!」
ネルガルが触手を収納し――彼らが着込んでいる鎧が変形する。
人間で言う腰部――その側面を覆う鎧が前方へと展開、
歪な円柱の形状をした二つのそれの先端が、エメラルド色に輝く。
888 名前:乙×風【ハイブリッドエンジェル=カナエ】 :2005/05/03(火) 17:18:52 ID:yBaAKMsy
ずぎゅん!
次の瞬間、その光は一条の光となって魔法少女に襲い掛かる。
「うわ、っと!」
フォトン・レーザーと呼ばれるその光学兵器は、通常不可視であり、回避不能でもある。
だが、出力が弱いのかそれとも別の理由からか――劣化した光線は裏路地上空を駆け回る
小さな天使に当たる事はない。的が早すぎて補足すらロクに出来ようだった。
だが周囲のビルはそうはいかない。
聞く者の脳を揺さぶるような、コンクリートの破砕音が当たりに響き渡る。
「ええいっ、ちょこまかと!」
頭に血を上らせたネルガルが光線を乱射する。
ずがんずがんずがん!
重く高い音を立てながら周囲のビルに穴が開いていった。
「うわ! うわ! 洒落になってない! こらー! 器物反則だぞ!」
「それをいうなら器物破損だ! 周囲の被害が気になるなら避けるな!」
「むー! あー言えばこー言う! 私だってやられっ放しじゃないんだからね!」
飛び回りながら少女がステッキの先端をネルガルに向ける。
飾りの先から青白い光が生まれた。そして、
ずぎゅん!
甲高い音を響かせながら光の帯が打ち出される。
「何!?」
ばじじじっ!
ネルガルがとっさに展開したフォース・フィールドが青い光線を弾き散らす。
889 名前:乙×風【ハイブリッドエンジェル=カナエ】 :2005/05/03(火) 17:19:48 ID:yBaAKMsy
「フォトン・レーザー!? おのれ! 人間ごとき下等生物が!」
『Complete』
「むっかあっ! 本当に私達が下等生物かどうか――」
二枚目のディスクが吐き出される。
「――今思い知らせてあげる!」
魔法少女はそれを掴むと素早くステッキの先端へ
――ディスクを挿入する為のスリットへと――叩き込むように入れた。
「ジャッジメント・ハイロウ!」
『O.K. Final atack . Ready』
少女が翼をはためかせながら急上昇する。ビルの屋上から更に50メートル程上昇したところで
ステッキを旋回させる。
ひゅんひゅんひゅんっ。
風を切る音と共に、ステッキの先端が純白に光り、その軌道が光の輪を作り出した。
光輪はステッキの旋回を止めてもなお、少女の目前に滞空しており、
「食らえー!!」
少女は、その光輪に向けて、叩き落すようにステッキを振るった。
きいぃぃいいいん!!
撃ち出されたロケット砲の如く、光輪は驚異的な初速で大地に落下する。
「!?」
地上ではネルガルが反射的にフォース・フィールドを展開し、その直後に、光輪がネルガルを
捕らえた。フィールド越しにネルガルを締め上げるように光輪がその直径を狭めると、
ぱきいいん!
890 名前:乙×風【ハイブリッドエンジェル=カナエ】 :2005/05/03(火) 17:20:44 ID:yBaAKMsy
「な!?」
あっさりとフィールドを破壊する。
「ぐあああああ!!?」
「ネルガル! 覚悟しなさい!」
上空の少女がステッキの先端をネルガルへと向ける。
その先から純白の光が生まれると、ステッキは十字の穂先を持つ槍へと変貌した。
「善良な女の子に酷い事をするネルガルには裁きを与えます!
判決は……死刑!!」
「い、異議あり!!」
「問答無用! クルセイド・パニッシュ!!」
少女が逆手に持った槍を、真下に投擲する。それは先程叩き落した光輪よりも更に速い。
高速で落下する槍は一条の光となり夜空を切り裂くと、文字通り瞬く間にネルガルへと直撃した。
きゅごおおおん!!
目が眩むような閃光。轟音。ネルガルは断末魔の声を上げる暇も無かった。
***
目の前の光景を。宮子はただ呆然と見ていた。
小さな頃漫画やアニメで見た変身ヒロインみたいな格好した、同世代ほどの女の子に助けられた後。
ビルの屋上で地震らしき振動を感じた。コンクリートの砕ける音を聞いた。
先程の女の子らしき声と、自分を辱めた化け物の声が聞こえ、
次の瞬間には、上空に天使が居た。
891 名前:乙×風【ハイブリッドエンジェル=カナエ】 :2005/05/03(火) 17:21:39 ID:yBaAKMsy
翼をはためかせ、槍を構えるその姿は、
先程自分を助けた女の子と同じだとは到底思えないほど、神々しく見えた。
槍が投げ放たれる。
世界が真っ白に染まった。
夜中だというのに太陽が――そう思えるほどの光量に、反射的に目を閉じる。
目を閉じていた時間は一瞬にも永遠にも感じられて、
――気が付くと、目前に人の気配。
「ごめんね。待たせちゃって。ちょっとてこずちゃった」
目を開ける。先程の閃光があまりにも激しすぎたのか、瞼の裏がチカチカして殆ど目が見えない。
「周りの被害もちょっとまずかったかなあ。うわっ。このビルちょっと傾いてないっ?」
自分助けたと思われる女の子はまるで友人とでも話すように、きさくに言葉を紡ぐ。
宮子はそんな女の子の顔を一目でも見ようと、目を凝らすが。
「ああ、だめだよ無理しちゃ」
近づき、やんわりと瞼を閉ざされる。
にちゃり。
――何の音かは考えなくとも分かる。汚らわしい化け物の体液だ。
「あ…」
女の子が口を閉ざす。同時に、先程受けた屈辱が、羞恥が、快楽が、フラッシュバックした。
宮子は、涙を流した。
「本当にごめんね。私が、もっと早く駆けつけていたら。でも、もう大丈夫だから」
『Track 10 . Load』
892 名前:乙×風【ハイブリッドエンジェル=カナエ】 :2005/05/03(火) 17:22:45 ID:yBaAKMsy
女の子の声に続く、綺麗な女性の声。
「すぐに身体も、心も――そして記憶も、綺麗にしてあげるから」
『Complete』
「ホーリー・ブレス」
『O.K. Purify the victim.』
再び生まれる光り。
だが今度の光は、夜を切り裂く閃光ではない。
その淡い光りは宮子の身体を包み込むように広がっていく。
生乾きの白濁液が、その光に触れた所から、煌く燐光となって宙へと解けていく。
「――あ」
(あたたかい)
宮子が感じたのは人肌を連想させる温もり。
やがてその温もりは宮子の傷ついた心を癒し、穢れを落とし―ーそして、
彼女を穏やかな眠りへと付かせた。
893 名前:乙×風【ハイブリッドエンジェル=カナエ】 :2005/05/03(火) 17:28:33 ID:yBaAKMsy
以上、お目汚しでした。
しかし今改めて見直してみると、自分の学の無さにただ閉口するばかり。
どなたかSFに精通した方は居ませんか?
……冗談です。
作家に他力本願はご法度なのです。
……でも突っ込みは欲しいかも。
ちなみに本作品は魔法少女モノの某アニメに触発されて書いた訳ではありません。
前から構成を練っていました。
……本当ですよ?
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