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熱花
346 名前:名無しさん@ピンキー :2005/12/31(土) 17:27:52 ID:wLFI/Ax6
【熱花】
「あら、綺麗な鉢植えだこと」
窓際にぽつりと置かれたそれに目を奪われ、私は思わず微笑んでしまいました。
高さは30センチほどでしょうか。土から伸びた一本のまっすぐで太い茎の上には、薄紅色の百合に
よく似た花がついており、その周りには細くしなやかなつるが螺旋状に巻き付いて、まだ緑色の少し
残ったさくらんぼうのような小さく赤味がかった実をぽつぽつとつけているのです。
私の表現力では上手く言い表せないのですが、見たことのないとても美しい花なのですよ。
甘く漂う、熟れた果実のような香りが鼻をくすぐりました。この実が完熟する頃にはもっと素晴らしい
香りになるのでしょう。
「あ、奥様。気に入って頂けましたか?」
「ええとても。咲、これは何という花なの?」
鉢植えを眺めている私に気が付いて、水仕事をしていた咲が嬉しそうに駆け寄ってきました。
咲は私の家で住み込みで働く女中ですが、まだ十代半ばほどの若い娘で、歳も私と十も離れて
いません。そのせいか私はまるで妹のように咲を可愛がっておりました。
それにこの家に住むのは私と咲の二人だけなのです。父も母も、義父も義母も、そして嫁いだばかりの
旦那様までにも次々と病で先立たれてしまった私は、その遺産で細々と暮らしておりました。
「咲が、お庭に生えていたものを鉢に植えかえたんです。古い洋書を処分するのに先日から置いておいた
でしょう。その横に、ぽつんと」
その洋書は私が古物商から買い求めたものでした。何故かふらりと手が伸びてしまったのですが、洋書
なぞ読めもしませんので部屋の隅で腐らせていたのです。1冊ならまだしも5、6冊もあると邪魔なもので、
仕方なく処分することにしたのでした。
「では雑草なの?」
「はい。――でも、綺麗だから良いじゃないですか」
私が尋ねると、咲は花を見つめてうっとりと答えました。思わず見とれてしまうような美しい表情でした。
「あ、この実は食べては駄目ですよ。毒かもしれませんからね」
「咲ったら。私は子供じゃないのよ」
からかうように笑いながら咲は水仕事に戻ります。ざあざあと流れる水と、白いお皿に白い泡。それに、
咲の細く美しい健康そうな指が印象的でした。
「……あら?」
小さく、違和感に首を傾げます。しかしその時はよく分からず、気のせいだと放っておりました。
――今なら、思い出せるのです。
冬の水はとても冷たいはずです。寒さですぐに手が真っ赤になるほどなのです。
なのになぜ。
咲の手は、あんなにも美しいままだったのでしょう――
347 名前:名無しさん@ピンキー :2005/12/31(土) 17:31:39 ID:wLFI/Ax6
□ □ □
深夜、咲が静かに呼び掛ける声で目が覚めました。
「奥様、奥様。どうしても見て頂きたいものがあるのです」
こんな時間にどうしたのかと寝ぼけ眼を擦りながら明かりをつけますと、襖を開けて入ってきた寝間着姿の
咲が手にしているのは昼間の鉢植えでした。
気のせいか、淡く発光しているように見えます。一つだけ真っ赤に実が熟れており、光はそれから漏れて
いるのです。
「まぁ……不思議だこと。どうしたのかしら?」
花は昼より一層美しく、香りはむせかえるほど強くなっているのですが、嫌な感じは無く脳がじわりと痺れる
ような甘美なものでした。
咲は鉢を大切そうに抱えたまま、私に擦り寄るように床に座ります。いつもと違う妖しげで艶やかな雰囲気に、
同性でありながらも胸がとくんと高鳴ってしまいました。
「花が、求めているのです」
「……花が?」
花弁を愛しげに撫で澄んだ声を紡ぐ様子は、まるで恋人に睦言を囁いているようにも見えました。その対象は
花でしょうか。それとも、私でしょうか。
「花も子孫を残したいのです。異国からの長旅を経て、やっとこうして実をつける事ができたのですから」
「これは外国の花なの?あなたは家の庭でと――」
ぷちり。
咲の指先がそっと赤い実を摘み取った音が聞こえたような気がしました。光の粒がさらさらと零れ、咲の手の
ひらから溢れるのです。
「咲はこう考えるのです。奥様がお買いになったあの本の一つに、何か不思議な植物の種が旅をしたいと付いて
来たのではないかと。そしてそれが、こうして綺麗な花を咲かせているのではないかと」
そう言って咲は赤い実を私の口元へ運びます。壊れやすいものでも扱うように優しくそっと。
――毒では、ないのかしら。
そんな思いが胸を過ぎりましたが、私には何故か抵抗する気が起きませんでした。花の香りに酔っていた
のでしょう。咲が嬉しそうに微笑んで私の頬を撫でるのをくらくらと眺めながら、口の中の果実をゆっくりと咀嚼し
飲み込みました。
「種を噛んでは駄目ですよ」
小さく丸い種は熱を帯びていました。熱の塊がゆっくりと食道を通る感覚がはっきりと分かるのです。本来ならば
そこを過ぎれば分からなくなってしまうはずなのですが、不思議なことに熱が引いていく事はありませんでした。
しゅるしゅると体中に、それこそ神経の中までも熱に犯されていく感覚。まるで花の種が私の内部の隅々まで
奪おうとしているような――
「あ……あ……!」
ような、ではないのです。本当にこの花は、私を作り変えてしまおうと。
咲が言っていたではありませんか。……花が求めていると。きっと私ごと花にしてしまおうとしているのでしょう。
ぱちりと酔いが醒めた頃にはもう遅いのです。
「いや、いやよ、たすけて咲……!」
「奥様、大丈夫です。姿形が全て変わってしまうわけではないのですから」
半狂乱になってすがりつく私を咲は優しくなだめますが、何が大丈夫なものでしょう。私が私でなくなる。そんな
恐ろしい事があってなるものでしょうか。
「それに、特殊な栄養を与えなくては花は育たないのです。そのために咲と奥様はつがいになるのですよ」
「咲……?あなた、一体何を言っているの……?」
混乱したままさめざめと泣く私の浮かべた涙を、咲は指でそっと掬い取りながら囁きました。
「奥様にも、すぐに分かりますよ……」
どくり、と。
体の熱が更に高まり、意識が朦朧とするようでした。体内で何かがぶくぶくと泡立ち、消えては再生されて
いくのです。花と私が、入り交じっているのです。
――咲と、つがいにならなければ。
ふいに頭に浮かんだのはその事でした。強迫観念めいた想いが脳を支配するのです。きっと花の本能なの
でしょう。次にするべき事が何となく分かりました。
348 名前:名無しさん@ピンキー :2005/12/31(土) 17:34:26 ID:wLFI/Ax6
「あ、奥様……!」
この先に私の求めるものがあるのだと、花がけしかけるのです。
咲を押し倒し乱雑な手付きで寝間着を脱がせますと、咲は下着の類いは一切身に着けておりませんでした。
白く透き通る肌は手に心地よく、つんと先を尖らせた控え目な乳房が見て取れます。
寒くはないのだろうかと考えましたが、その心配は無いようでした。
花となった私たちの体は、この世の痛みや苦しみから一切切り離されたような爽快感に包まれ、ぽかぽか
と暖かく非常に快適なのです。
「ああ……素敵よ咲……」
思わず、溜め息が漏れました。
咲の下腹部には、通常では有り得ない、巨大な男性器のようなものがびくびくと脈打ちながらそそり立って
いるのです。赤黒くぬめりとした肌や、大きく張った笠、幹から所々飛び出た瘤、まさに肉の凶器と言うべき醜悪
なものなのですが、不思議と嫌悪感は感じませんでした。それどころか、透明な雫をとろとろと流すそれが
ひどく愛らしく思えるのです。
もちろん元からこの様な器官があったわけではありません。花に栄養を与えるための愛しい器官が、後から
作られたのでしょう。じきに私にも同じ器官ができるのだと考えると心が歓喜で震えるようでした。
「これで私を愛してくれるのね……」
「うぁ…あ……っ!」
うっとりしながら器官の先端にそっと舌を這わすと、咲が可愛らしい声で呻きます。浮かび上がった血管へ
滑るように吸い付き、幹の部分を指でゆるく扱きたてていると、「奥様、奥様」と泣きそうな声で私の頭を掴むのです。
私が花となる前までの余裕はどうしたのでしょう。やはり咲もまだ子供なのだと考えると、余計に愛しく感じました。
「咲、気持ちが良いの?」
「はい……!奥様の手、すべすべして……っひぁあ」
手のひらで包みこむように強く擦ると、瘤がごりごりと引っ掛かりました。これが、私の中に入るのです。
そう考えると胸が高鳴り、呼吸が荒くなりました。
「や…っだめ、だめです……もう出て……っあああ!」
咲が嬌声をあげた途端に器官が跳ね上がり、白くどろりとした液体を噴水のように吐きだしました。びゅっびゅっと
拍子を取りながら勢い良く飛び出す白蜜は咲の腹や私の寝間着をべったりと汚し、あの甘美な果実臭を撒き散らす
のです。
「はー……はー……」
「もう少し、堪えて欲しかったわ」
「だっ…て奥様の手が……良すぎて……」
喘ぎ喘ぎ息をする咲にくすくすと笑いながら零れてしまった蜜液を咲の肌から掬い取るように舐め取りますと、
舌がじわりととろけてしまいそうでした。なにしろ、花のための大切な栄養分なのです。どんな蜜よりも甘く、飽きの
来ない素敵な味でした。
「……勿体ないわ」
「ひゃんっ!?」
器官の先端に吸い付き管に残った果汁まで啜ると、ずずっとはしたない音が立ちましたが、気になりませんでした。
私と咲はつがいなのです。相手の与えてくれる栄養を貪欲に求め、花を育てなければならないのですから。
349 名前:名無しさん@ピンキー :2005/12/31(土) 17:37:25 ID:wLFI/Ax6
「あ、あの、奥様……咲はもう……」
「入れたいの?」
「……はい」
顔を真っ赤に染める咲の器官は、萎える事なく期待にうち震えておりました。
そのためにある器官なのですから、手や口だけで満足できるわけがないのです。相手の膣の奥へ、子を
宿すべき場所へ存分に注ぎ入れなければ。
実の所、私も既に限界でした。早く咲と肌を重ね合わせ、深く交わりたいと脳が急かすのです。
自分の寝間着と下着を手早くはぎ取りながら、亡くなった旦那様の事を考えました。
旦那様と交わった事は数えるほどしかありません。親同士が決めた仲ですから、愛情もそれほどわいて
いなかったのです。
しかし、咲は違います。咲とつがいになれて嬉しくてたまらないのです。咲が欲しくてたまらないのです。
「ああ……早く来て。あなたのもので、私を狂わせて頂戴」
「奥様ぁ……」
私の秘裂は、今までにないほど熱く蕩けておりました。床に仰向けに寝転がり、誘うように股を広げ、
ぽってりと充血した花びらを指で開いてみせるのです。もの欲しげにひくつく肉の穴を見せつけ、すぐに
あなたを受け入れられるのだと劣情を煽るのです。
咲は吸い込まれるように私にのし掛かり、ぬめりながら蠢く柔肉に熱い剛直を押し当てました。くちゅりと
粘膜の触れ合う音がして、私の中へ咲が沈み込んでくるのです。
「ん……あああ……」
味わった事のない満足感。あまりこなれていないはずなのに、痛みは感じませんでした。やすやすと全て
を飲み込んだ上に、この上ない歓喜にますます露を溢れさせるのです。
笠が狭く詰まった膣肉を押し開き、瘤がひだをえぐるように擦り、熱が咲の鼓動を伝えてきます。恍惚の
表情で咲が腰をぴたりと押しつけ、そしてまたゆっくりと引き抜いていきますと、内臓まで掻き出されてしまい
そうな錯覚に陥りました。
「ん…っく……ひゃあああああ……」
「え……あ、咲……!?」
掠れた声をあげながら咲が腰を打ち付け、中を掻き回しながら蜜液を吐きだし始めました。勢いよく奥を
叩く熱い塊を潰すように楔が激しく出入りしていく様は、私の脳を快楽で焼いていくようです。
「もっと、もっと出しとうございます!奥様の中を、咲のものでいっぱいに……!」
「咲……!咲だめよ、激しすぎてぇ……!」
溢れた蜜がびしゃりと飛び散り、二人の体を濡らしました。
私が何度気をやっても咲は止まらず、貪るように腰を振り熱い蜜液を射出するのです。
私の腹は溜まった蜜で膨らむはずなのですが、きっと花が吸収しているのでしょう。美味しそうに蜜を飲み
込んでいる姿が容易に想像できました。
「あー、あー、奥様ぁ、まだ出ます、とまらないんですぅ……」
「ああっ!咲のが熱いの!気持ちが良いの!もっと頂戴ぃっ!」
すぐに私にも咲と同じ器官が生えるでしょう。そして私も咲の中に存分に白蜜を注ぎ入れ、花を育ててあげ
られるのです。
家の中は甘い香りと嬌声で満たされていきました。
二人の宴は、終わることがないのです。
□ □ □
「随分、綺麗な鉢植えですねぇ」
窓際にぽつんと置かれた鉢植えに目をやり、客人は思わず微笑んでしまったようでした。
一本しかなかった花の隣りには小さな芽が二つ生えており、やがて綺麗な花を咲かすであろう事を想像
させます。もっと沢山の花が咲けば、どんなに素敵な事でしょう。
「気に入って頂けましたか?私と咲が、大切に育てている花なのです」
「はいすごく……。とても良い香りだし、見たことのない花なんですもの。これは、何と言う花なんですか?」
花の名前は分かりませんでした。調べてみたのですが、どの文献にも載っていないのです。
そのことを伝えると客人は残念そうに溜め息を吐きました。自分もこの様な花を育ててみたいと。
「……こんなに綺麗なのですから、名前などどうでも良いではないですか。種なら分けて差し上げる事が
できますから、今夜は泊まっていかれませんか?夜にしか実が熟さない不思議な花なのですよ……」
まだ緑色の残った実を眺めて、客人はひどく興味を引かれたようでした。
その実は毒があるかもしれないから食べないようにと笑って、客室の用意をしにその場を離れます。
一度口にすれば病み付きになる、毒の果実。
――花が、求め続けているのです。
350 名前:346 :2005/12/31(土) 17:38:58 ID:wLFI/Ax6
このスレに投下したのは初めてなので、何か不手際があればすいません。
改行が微妙なのはいつもというか癖とかいうか直したいなぁ
不気味かどうかはともかく、寄生ってこんな感じで良いんでしょうか。
いやまあ、寄生されてる時点で不気味なんだよきっと。
下調べもせずになんとなく書いたので、時代のイメージとかはおまかせします。
そもそも奥様一人称というのがくどいようななんというか
でも寄生でふたなりが大好きなんだから!
では良いお年を。
【熱花】
「あら、綺麗な鉢植えだこと」
窓際にぽつりと置かれたそれに目を奪われ、私は思わず微笑んでしまいました。
高さは30センチほどでしょうか。土から伸びた一本のまっすぐで太い茎の上には、薄紅色の百合に
よく似た花がついており、その周りには細くしなやかなつるが螺旋状に巻き付いて、まだ緑色の少し
残ったさくらんぼうのような小さく赤味がかった実をぽつぽつとつけているのです。
私の表現力では上手く言い表せないのですが、見たことのないとても美しい花なのですよ。
甘く漂う、熟れた果実のような香りが鼻をくすぐりました。この実が完熟する頃にはもっと素晴らしい
香りになるのでしょう。
「あ、奥様。気に入って頂けましたか?」
「ええとても。咲、これは何という花なの?」
鉢植えを眺めている私に気が付いて、水仕事をしていた咲が嬉しそうに駆け寄ってきました。
咲は私の家で住み込みで働く女中ですが、まだ十代半ばほどの若い娘で、歳も私と十も離れて
いません。そのせいか私はまるで妹のように咲を可愛がっておりました。
それにこの家に住むのは私と咲の二人だけなのです。父も母も、義父も義母も、そして嫁いだばかりの
旦那様までにも次々と病で先立たれてしまった私は、その遺産で細々と暮らしておりました。
「咲が、お庭に生えていたものを鉢に植えかえたんです。古い洋書を処分するのに先日から置いておいた
でしょう。その横に、ぽつんと」
その洋書は私が古物商から買い求めたものでした。何故かふらりと手が伸びてしまったのですが、洋書
なぞ読めもしませんので部屋の隅で腐らせていたのです。1冊ならまだしも5、6冊もあると邪魔なもので、
仕方なく処分することにしたのでした。
「では雑草なの?」
「はい。――でも、綺麗だから良いじゃないですか」
私が尋ねると、咲は花を見つめてうっとりと答えました。思わず見とれてしまうような美しい表情でした。
「あ、この実は食べては駄目ですよ。毒かもしれませんからね」
「咲ったら。私は子供じゃないのよ」
からかうように笑いながら咲は水仕事に戻ります。ざあざあと流れる水と、白いお皿に白い泡。それに、
咲の細く美しい健康そうな指が印象的でした。
「……あら?」
小さく、違和感に首を傾げます。しかしその時はよく分からず、気のせいだと放っておりました。
――今なら、思い出せるのです。
冬の水はとても冷たいはずです。寒さですぐに手が真っ赤になるほどなのです。
なのになぜ。
咲の手は、あんなにも美しいままだったのでしょう――
347 名前:名無しさん@ピンキー :2005/12/31(土) 17:31:39 ID:wLFI/Ax6
□ □ □
深夜、咲が静かに呼び掛ける声で目が覚めました。
「奥様、奥様。どうしても見て頂きたいものがあるのです」
こんな時間にどうしたのかと寝ぼけ眼を擦りながら明かりをつけますと、襖を開けて入ってきた寝間着姿の
咲が手にしているのは昼間の鉢植えでした。
気のせいか、淡く発光しているように見えます。一つだけ真っ赤に実が熟れており、光はそれから漏れて
いるのです。
「まぁ……不思議だこと。どうしたのかしら?」
花は昼より一層美しく、香りはむせかえるほど強くなっているのですが、嫌な感じは無く脳がじわりと痺れる
ような甘美なものでした。
咲は鉢を大切そうに抱えたまま、私に擦り寄るように床に座ります。いつもと違う妖しげで艶やかな雰囲気に、
同性でありながらも胸がとくんと高鳴ってしまいました。
「花が、求めているのです」
「……花が?」
花弁を愛しげに撫で澄んだ声を紡ぐ様子は、まるで恋人に睦言を囁いているようにも見えました。その対象は
花でしょうか。それとも、私でしょうか。
「花も子孫を残したいのです。異国からの長旅を経て、やっとこうして実をつける事ができたのですから」
「これは外国の花なの?あなたは家の庭でと――」
ぷちり。
咲の指先がそっと赤い実を摘み取った音が聞こえたような気がしました。光の粒がさらさらと零れ、咲の手の
ひらから溢れるのです。
「咲はこう考えるのです。奥様がお買いになったあの本の一つに、何か不思議な植物の種が旅をしたいと付いて
来たのではないかと。そしてそれが、こうして綺麗な花を咲かせているのではないかと」
そう言って咲は赤い実を私の口元へ運びます。壊れやすいものでも扱うように優しくそっと。
――毒では、ないのかしら。
そんな思いが胸を過ぎりましたが、私には何故か抵抗する気が起きませんでした。花の香りに酔っていた
のでしょう。咲が嬉しそうに微笑んで私の頬を撫でるのをくらくらと眺めながら、口の中の果実をゆっくりと咀嚼し
飲み込みました。
「種を噛んでは駄目ですよ」
小さく丸い種は熱を帯びていました。熱の塊がゆっくりと食道を通る感覚がはっきりと分かるのです。本来ならば
そこを過ぎれば分からなくなってしまうはずなのですが、不思議なことに熱が引いていく事はありませんでした。
しゅるしゅると体中に、それこそ神経の中までも熱に犯されていく感覚。まるで花の種が私の内部の隅々まで
奪おうとしているような――
「あ……あ……!」
ような、ではないのです。本当にこの花は、私を作り変えてしまおうと。
咲が言っていたではありませんか。……花が求めていると。きっと私ごと花にしてしまおうとしているのでしょう。
ぱちりと酔いが醒めた頃にはもう遅いのです。
「いや、いやよ、たすけて咲……!」
「奥様、大丈夫です。姿形が全て変わってしまうわけではないのですから」
半狂乱になってすがりつく私を咲は優しくなだめますが、何が大丈夫なものでしょう。私が私でなくなる。そんな
恐ろしい事があってなるものでしょうか。
「それに、特殊な栄養を与えなくては花は育たないのです。そのために咲と奥様はつがいになるのですよ」
「咲……?あなた、一体何を言っているの……?」
混乱したままさめざめと泣く私の浮かべた涙を、咲は指でそっと掬い取りながら囁きました。
「奥様にも、すぐに分かりますよ……」
どくり、と。
体の熱が更に高まり、意識が朦朧とするようでした。体内で何かがぶくぶくと泡立ち、消えては再生されて
いくのです。花と私が、入り交じっているのです。
――咲と、つがいにならなければ。
ふいに頭に浮かんだのはその事でした。強迫観念めいた想いが脳を支配するのです。きっと花の本能なの
でしょう。次にするべき事が何となく分かりました。
348 名前:名無しさん@ピンキー :2005/12/31(土) 17:34:26 ID:wLFI/Ax6
「あ、奥様……!」
この先に私の求めるものがあるのだと、花がけしかけるのです。
咲を押し倒し乱雑な手付きで寝間着を脱がせますと、咲は下着の類いは一切身に着けておりませんでした。
白く透き通る肌は手に心地よく、つんと先を尖らせた控え目な乳房が見て取れます。
寒くはないのだろうかと考えましたが、その心配は無いようでした。
花となった私たちの体は、この世の痛みや苦しみから一切切り離されたような爽快感に包まれ、ぽかぽか
と暖かく非常に快適なのです。
「ああ……素敵よ咲……」
思わず、溜め息が漏れました。
咲の下腹部には、通常では有り得ない、巨大な男性器のようなものがびくびくと脈打ちながらそそり立って
いるのです。赤黒くぬめりとした肌や、大きく張った笠、幹から所々飛び出た瘤、まさに肉の凶器と言うべき醜悪
なものなのですが、不思議と嫌悪感は感じませんでした。それどころか、透明な雫をとろとろと流すそれが
ひどく愛らしく思えるのです。
もちろん元からこの様な器官があったわけではありません。花に栄養を与えるための愛しい器官が、後から
作られたのでしょう。じきに私にも同じ器官ができるのだと考えると心が歓喜で震えるようでした。
「これで私を愛してくれるのね……」
「うぁ…あ……っ!」
うっとりしながら器官の先端にそっと舌を這わすと、咲が可愛らしい声で呻きます。浮かび上がった血管へ
滑るように吸い付き、幹の部分を指でゆるく扱きたてていると、「奥様、奥様」と泣きそうな声で私の頭を掴むのです。
私が花となる前までの余裕はどうしたのでしょう。やはり咲もまだ子供なのだと考えると、余計に愛しく感じました。
「咲、気持ちが良いの?」
「はい……!奥様の手、すべすべして……っひぁあ」
手のひらで包みこむように強く擦ると、瘤がごりごりと引っ掛かりました。これが、私の中に入るのです。
そう考えると胸が高鳴り、呼吸が荒くなりました。
「や…っだめ、だめです……もう出て……っあああ!」
咲が嬌声をあげた途端に器官が跳ね上がり、白くどろりとした液体を噴水のように吐きだしました。びゅっびゅっと
拍子を取りながら勢い良く飛び出す白蜜は咲の腹や私の寝間着をべったりと汚し、あの甘美な果実臭を撒き散らす
のです。
「はー……はー……」
「もう少し、堪えて欲しかったわ」
「だっ…て奥様の手が……良すぎて……」
喘ぎ喘ぎ息をする咲にくすくすと笑いながら零れてしまった蜜液を咲の肌から掬い取るように舐め取りますと、
舌がじわりととろけてしまいそうでした。なにしろ、花のための大切な栄養分なのです。どんな蜜よりも甘く、飽きの
来ない素敵な味でした。
「……勿体ないわ」
「ひゃんっ!?」
器官の先端に吸い付き管に残った果汁まで啜ると、ずずっとはしたない音が立ちましたが、気になりませんでした。
私と咲はつがいなのです。相手の与えてくれる栄養を貪欲に求め、花を育てなければならないのですから。
349 名前:名無しさん@ピンキー :2005/12/31(土) 17:37:25 ID:wLFI/Ax6
「あ、あの、奥様……咲はもう……」
「入れたいの?」
「……はい」
顔を真っ赤に染める咲の器官は、萎える事なく期待にうち震えておりました。
そのためにある器官なのですから、手や口だけで満足できるわけがないのです。相手の膣の奥へ、子を
宿すべき場所へ存分に注ぎ入れなければ。
実の所、私も既に限界でした。早く咲と肌を重ね合わせ、深く交わりたいと脳が急かすのです。
自分の寝間着と下着を手早くはぎ取りながら、亡くなった旦那様の事を考えました。
旦那様と交わった事は数えるほどしかありません。親同士が決めた仲ですから、愛情もそれほどわいて
いなかったのです。
しかし、咲は違います。咲とつがいになれて嬉しくてたまらないのです。咲が欲しくてたまらないのです。
「ああ……早く来て。あなたのもので、私を狂わせて頂戴」
「奥様ぁ……」
私の秘裂は、今までにないほど熱く蕩けておりました。床に仰向けに寝転がり、誘うように股を広げ、
ぽってりと充血した花びらを指で開いてみせるのです。もの欲しげにひくつく肉の穴を見せつけ、すぐに
あなたを受け入れられるのだと劣情を煽るのです。
咲は吸い込まれるように私にのし掛かり、ぬめりながら蠢く柔肉に熱い剛直を押し当てました。くちゅりと
粘膜の触れ合う音がして、私の中へ咲が沈み込んでくるのです。
「ん……あああ……」
味わった事のない満足感。あまりこなれていないはずなのに、痛みは感じませんでした。やすやすと全て
を飲み込んだ上に、この上ない歓喜にますます露を溢れさせるのです。
笠が狭く詰まった膣肉を押し開き、瘤がひだをえぐるように擦り、熱が咲の鼓動を伝えてきます。恍惚の
表情で咲が腰をぴたりと押しつけ、そしてまたゆっくりと引き抜いていきますと、内臓まで掻き出されてしまい
そうな錯覚に陥りました。
「ん…っく……ひゃあああああ……」
「え……あ、咲……!?」
掠れた声をあげながら咲が腰を打ち付け、中を掻き回しながら蜜液を吐きだし始めました。勢いよく奥を
叩く熱い塊を潰すように楔が激しく出入りしていく様は、私の脳を快楽で焼いていくようです。
「もっと、もっと出しとうございます!奥様の中を、咲のものでいっぱいに……!」
「咲……!咲だめよ、激しすぎてぇ……!」
溢れた蜜がびしゃりと飛び散り、二人の体を濡らしました。
私が何度気をやっても咲は止まらず、貪るように腰を振り熱い蜜液を射出するのです。
私の腹は溜まった蜜で膨らむはずなのですが、きっと花が吸収しているのでしょう。美味しそうに蜜を飲み
込んでいる姿が容易に想像できました。
「あー、あー、奥様ぁ、まだ出ます、とまらないんですぅ……」
「ああっ!咲のが熱いの!気持ちが良いの!もっと頂戴ぃっ!」
すぐに私にも咲と同じ器官が生えるでしょう。そして私も咲の中に存分に白蜜を注ぎ入れ、花を育ててあげ
られるのです。
家の中は甘い香りと嬌声で満たされていきました。
二人の宴は、終わることがないのです。
□ □ □
「随分、綺麗な鉢植えですねぇ」
窓際にぽつんと置かれた鉢植えに目をやり、客人は思わず微笑んでしまったようでした。
一本しかなかった花の隣りには小さな芽が二つ生えており、やがて綺麗な花を咲かすであろう事を想像
させます。もっと沢山の花が咲けば、どんなに素敵な事でしょう。
「気に入って頂けましたか?私と咲が、大切に育てている花なのです」
「はいすごく……。とても良い香りだし、見たことのない花なんですもの。これは、何と言う花なんですか?」
花の名前は分かりませんでした。調べてみたのですが、どの文献にも載っていないのです。
そのことを伝えると客人は残念そうに溜め息を吐きました。自分もこの様な花を育ててみたいと。
「……こんなに綺麗なのですから、名前などどうでも良いではないですか。種なら分けて差し上げる事が
できますから、今夜は泊まっていかれませんか?夜にしか実が熟さない不思議な花なのですよ……」
まだ緑色の残った実を眺めて、客人はひどく興味を引かれたようでした。
その実は毒があるかもしれないから食べないようにと笑って、客室の用意をしにその場を離れます。
一度口にすれば病み付きになる、毒の果実。
――花が、求め続けているのです。
350 名前:346 :2005/12/31(土) 17:38:58 ID:wLFI/Ax6
このスレに投下したのは初めてなので、何か不手際があればすいません。
改行が微妙なのはいつもというか癖とかいうか直したいなぁ
不気味かどうかはともかく、寄生ってこんな感じで良いんでしょうか。
いやまあ、寄生されてる時点で不気味なんだよきっと。
下調べもせずになんとなく書いたので、時代のイメージとかはおまかせします。
そもそも奥様一人称というのがくどいようななんというか
でも寄生でふたなりが大好きなんだから!
では良いお年を。
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