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地球によく似たどこかの惑星の話 エリーザの場合
85 ああああ sage 2012/11/16(金) 22:11:48.28 ID:A8p43V38
ご意見ご感想、ありがとうございます。
本当はもっと長かったのですが、投下したものを見て、文字の多さに自分でも引いて途中で打ち切ったのです。
駄文失礼しました。あと、いろいろと加筆、修正を加えたり、設定を変更したりしたので、
前回の投稿は失礼ながらとりあえず忘れてください。まとめサイトにもできれば収録しないでほしいです、
恥ずかしいですし・・・
もともと誰かが自分好みのシチュエーションでエロゲなりなんなり作ってくれないかと期待していたのですが、
どうもまるで期待できなさそうなので、自分でSSでも書いてみようかと思ったのです。
長年にわたって積もりに積もった妄想で出来ている分、無駄に設定が綿密になったりストーリーが膨大なものに
なったりしているのです。
今はモチベーションを維持できるかどうかが心配です。
補足
妖花 初代バイオハザードのモンスタープラントとプラント42がモチーフになっています。三つ目がとおるの
ボルボックみたいに、昔人間にひどい目に合わされた改造植物が、人間(女性限定)に寄生体を植え付けて支配
するように進化したもの。男性は養分を吸い尽くして殺しちゃう、たまに気まぐれに生かしておいて、性的にいじめて
遊ばれることも
聖少女 妖花にとりつかれた者たちの通称。一部の金持ちのマニアなどからは、観葉植物として中庭などに
植えられていることも。つがいでなく単体で育てる際にはセックス関係のケアが難しい。稀に森の中で、はぐれ
聖少女たちがイチャイチャしているのを見かけることも
村 妖花に意図的にのっとられるように作られた村。バイオハザード4のプラーガにのっとられた村みたいな
86 ああああ sage 2012/11/16(金) 22:13:30.32 ID:A8p43V38
エリーザの場合
彼女は普段無表情で、感情を表に出すタイプではなかったが、村の研究施設のある、大学
時代からの先輩にあたるある植物学者にはひそかにある特別な感情を抱いていた。その植物
学者は輝くばかりの金髪に、ほどよく熟れた乳房のもちぬしであり、精神面で言えば、母親
のような包容力をもそなえていた。そんな女性研究員にぞっこんほれ込んでいた彼女は、十
六で某有名大学を首席で卒業し、世間では天才と謳われ将来を嘱望されていたが、大学在籍
時から気になっていたその金髪の佳人のあとをおいかけて、胡散臭いこの村の研究所へはい
ったのだった。
彼女の名はエリーザといい、彼女の恋い慕う婦人の名はマリーという。
マリーは彼女がこの地にやってきて程なく、突然姿を見せなくなってしまった。知り合っ
てまだまもない男性研究員にきくとマリーは重要な研究のために別棟の研究所に閉じこも
っているとのことだった。
その男性たちも、研究員もただの雑務の人も含めて、徐々に見られなくなっていき、研究
所全体に不思議な甘い香りが漂い始めてきたころにはまったく見かけなくなってしまった。
どういうわけか男性だけが転任させられたり解雇させられたりしているようだった。
しかしそのことをあまり彼女は気にすることなく、マリーをまったく見かけなくなったほ
うを気に病んでいた。地下研究所と別棟の研究所は特定の人物しか出入りが許されず、外部
からの研究者を受け入れておきながら中途半端に秘密を作る研究組織のやり方に疑問を感
じていたが、今ではマリーがその特定の人物に選ばれたことのほうが気がかりだった。・・・
87 ああああ sage 2012/11/16(金) 22:14:41.22 ID:A8p43V38
その日は突然やってきた。研究所のあちこちの床下から急に蔦が伸びてきて女性に襲い掛
かってきた。
彼女は自分の研究室に閉じこもり、植物の細胞を溶かす強力な薬品「v-zolt」を完成させ
ることに成功し、さっそくその効果を試そうと部屋を出た、そのとき、
「なんなの・・・これ・・・」
そこには二体の、人間の面影を幾分残す不気味なクリーチャーがいた。頭と乳房と股に花
を咲かせ、まるでゾンビのように徘徊している。目に知性の光は感じられず、口からはよだ
れのようなものが垂れ、体を動しているというよりかは何者かに操られているようだった。
そのうちの一体は彼女の存在に気づくと、両手足に絡まっていた六本の触手を背後に構え、
股の花を咲かせ、だらしない顔のまま喜びの表情を浮かべて彼女に襲い掛かろうとした。
「ひっ」
彼女はすかさず手に持っていた瓶の蓋を開け、そのクリーチャーに先ほどの薬品を浴びせ
かけた。するとそのクリーチャーは前のめりに倒れ、断続的に言葉にならない奇声を発しな
がらもがき、十秒も経たないうちにまったく動かなくなってしまった。もう一体のクリーチ
ャーはその様子を見て恐れをなしたのか、どこかへ逃げるようにしていってしまった。彼女
は自分がしとめたクリーチャーが本当に死んだのかどうか警戒しながら、そっと近づいてみ
る。
(これは一体・・・? もともとは人間だったのかしら? この研究所にはとんでもない
化け物がほかにもいるのね。・・・なにはともあれ、私の劇薬が成果を挙げたとみてよさそ
うね)
彼女は研究室に戻り、もう一度、今度は念のために二瓶分の薬品を調合したが、調合し終
えたところで長いこと寝てないために眠気に襲われ、背もたれのない椅子を並べて作った簡
単なベッドをつくり、枕元には先ほどの薬品の入った瓶をおき、ドアに電子ロックをかけて
仮眠をとることにした。彼女は一時間半ほどで起きるつもりだったが、積もりに積もった疲
れがそう簡単に彼女を起こしてくれるわけがなかった。そのために熟睡中に部屋に入ってき
た侵入者の存在に気づくこともなく・・・
88 ああああ sage 2012/11/16(金) 22:16:19.91 ID:A8p43V38
さかのぼること数ヶ月前。
「あなたの知ってる人間たちの中で、ずば抜けて高い知能を持ったものは?」
「一人思い当たるのがいるけれど・・・、そんなこときいてどうするの?」
「わたしには人間たちに対抗するためにも高度な知能を手に入れる必要があるのよ」
「答えになってない。知ったところでどうやってその知能をあなたのものにするの? 言
っておくけど、その娘(こ)(こ)をとらえてもその知能があなたのものになることはないのよ。
それとも脳を直接いじくって洗脳をかけるつもり? そんなことをしたらその娘の知能を
傷つけかねないわ」
「わかってるわ。そのためにわたしたち間に子供を作ったんじゃないの。わたしたちのた
めに、その娘と結婚させるために。わたしたちの子にはその娘を、持てる能力をすべてわた
したちのために捧げるようになるまでに魅了してもらうのよ」
幻想世界での一人と一体の会話に、もう一人の声が響く。
「ちょっと、わたしの意志を無視してなに勝手に話進めてんのよ」
「あなたはわたしの娘でしょ、娘ならば親のいうことを聞くものじゃないの」
「ちょっとまって、わたしは純然たる植物のほうのお母様の意思を強く受け継いで生まれ
てきたのよ、だから人間が憎いし、人間はみな白痴(ばか)にしてしまえばいいとも思って
る。それなのにその人間と結婚させられるなんて・・・言語道断よ!」
「あなたが結婚するのは人間じゃなくて、元人間よ」
「どっちにしたっておなじことよ。わたしが結婚を認めるのはおなじ妖花の王族、ベラゴ
ニアだけよ!」
この宣言を最後に、その娘との連絡は取れなくなってしまった。
「わたしたちの種族で、人間の知性と感情もつものはみなああなってしまう。わけがわか
らないわ。しょうがない、もう一体わたしたちの子を作りましょう。今度はあなたの意思を
強く受け継がせましょう。また遺伝子を提供させてもらうわよ」
「ああ、また・・・」
大広間には巨大な妖しげな花が咲いている。その花にとりこまれた女性は今日も喘ぎ声を
響かせる・・・
89 ああああ sage 2012/11/16(金) 22:18:06.87 ID:A8p43V38
たれ目のベラゴニアの娘は、その研究室へ入ると、彼女を起こしてしまわないようにそっ
と枕元へ近づき、彼女の顔を見つめる。
(ふふ、お母様のいってたとおり、本当に可愛い娘。ぐっすり子供みたいに眠っちゃって。
とくにこの栗毛色の髪はわたしのお気に入りだわ。この髪に聖少女の髪飾りがどんなに似合
うことか)
たれ目のベラゴニアの娘は、楽しそうに永いこと彼女の寝顔に見入っていたが、ふと寝起
きの顔も見たくなって、
「ねぇ、起きて、もう朝の九時半よ。健全な若い娘なら、ちゃんと早寝早起きをしないと」
「うぅん」
彼女はまだ寝たりないような、起こしにかかるものに反抗するような寝顔で起きたが、目
の前にマリーの顔を認めた瞬間にぱっと目を開き、一気に眠気が取れてしまったようだった、
「マリー様!? いや、違う、これは・・・わ!」
「ああ残念、寝起きの顔ももっとじっくり観賞したかったのに・・・」
彼女の目の前にいるのは、マリーの顔に似ているがマリーではなかった。マリーよりかは
もっと童顔で、目が垂れ、背も小さかった。
彼女はすぐに研ぎ澄まされた明晰な頭脳をもって、今とるべき最善の防衛体勢をとった―
―彼女は枕元においていたv-zoltのはいった瓶を手にし、ふたをあけ、瓶の先を今目の前に
いるベラゴニアの娘に向けたのだった。
「来ないで! この薬品はあなたのからだを瞬時に溶かしてしまうことが出来るんだから」
そういいながら彼女は威嚇するようにベラゴニアの娘をにらみつけ、ベッドから起き上が
り、そこから離れてできるだけ距離をとろうとした。そのベラゴニアの娘は、
「ふふ、小動物みたいで可愛い。そんなに警戒しなくていいのよ、わたしはあなたに危害
を加えたりしないから」
90 ああああ sage 2012/11/16(金) 22:19:24.47 ID:A8p43V38
こちらに必殺の武器があるにもかかわらず、完全に優勢と余裕の態度をとられた彼女は、
恐怖と憤りの感情に飲み込まれそうになりながらもあくまで理性的に、
「あなたは何者なの? マリー様の顔をして・・・少し幼いけど・・・髪の色もそう、そ
こまで金色に輝く髪の持ち主はこの村にはマリー様しかいないはず。それとドアには鍵がか
かっていたはずよ。どうやってこの部屋にはいったの」
質問されたほうはしばらく彼女の顔を眺めいり、マリーのように母性を感じさせる垂れ目
を細くし、
「さすがお母様に認められただけあって、取り乱さないのね、質問はひとつにしてほしい
けど。いいわ、答えてあげましょう。わたしはあなたのいうマリー様と妖花の間に生まれた
娘、名前はフローラよ、マリー様のほうが名づけてくれたの。あなたと結婚することになっ
てるのよ。ドアのほうは暗証番号をお母様から教えてもらったの。電子ロックがあだになっ
たわね。もっとも、ドアが開かなかったところでドアを破壊するだけなんだけど」
質問に答えてもらったところでさらにわからないことが増えるだけだった。お母様? 結
婚? とんでもない返事に頭が混乱、というよりは現実を受け入れられなくなり、そんな彼
女にフローラはそばへ寄ろうとするが、
「来ないでっていったでしょ! この薬品のことをわすれたの、それともわたしが嘘を言
ってるとでも思って?」
彼女は前にも増して威勢を強めたが、目には涙が浮かんでいた。
フローラは強まった威勢が虚勢であることを見抜き、その涙の意味を覚って、
「あなたが嘘をついてるなんて、微塵も思ってないわよ」フローラは母親が娘をなだめる
ような、ぬくもりのあるほほえみをうかべる、「あなたはお母様にも嘘をつけるような子じ
ゃなかった、・・・慕っていたんでしょう、お母様のこと。お母様はわたしに教えてくださ
ったわ、あなたは母親の愛情に飢えているって、それでわたしのお母様に、ちょっとかわっ
た感情も混じっているけど、愛着の情を抱いていたって」
91 ああああ sage 2012/11/16(金) 22:20:35.03 ID:A8p43V38
「・・・ああ、そんな・・・」彼女は愕然とした。彼女の精神的弱点をつく決定的な秘密
を言われてしまった。絶望とも羞恥心ともつかない複雑な感情がこみ上がり、ついに理性の
堰を切ってあふれ出し、唯一の護衛手段である瓶を足元に落としてしまった。中の薬品が床
へこぼれていってしまい、彼女は後ろの壁へもたれかかる。「ずるい、そんな・・・卑怯者」
彼女の声にはもう威勢が感じられなかった。
フローラはそんな彼女の隙をみ、それでいて隙につけこもうとするような素振りは見せず
に彼女のそばへ寄り、彼女の目を見つめる。彼女の目にはもう警戒心の鋭さがなくなってい
た。
「とりあえず、ベッドにすわって落ち着きましょう」
フローラは彼女をささえながらベッドまで歩かせてあげた。彼女のほうはもうフローラに
されるがままになっていた。彼女をベッドにすわらせると、フローラは彼女の背中に手をや
り――フローラの触手が背中についた瞬間、彼女は「ひっ」と声を上げたが、なにも抵抗は
しなかった――、自分のほうへ寄り添うようにした
ベッドに並んですわったところで言葉を交わすことはなく、無言のままその状態を保って
いた。彼女はずっとすすり泣いていたが、フローラはその間何も言うことなく、ずっと彼女
に寄り添うだけにしていた。彼女たちの無言の間を邪魔するものは何もなかった。
(よっぽど依存していたのね、こんなに簡単におちちゃうなんて)
フローラは内心ではそんなことも考えていたが、彼女に誠実に愛情をそそいでいることも
真実だった。――種族の異常性をのぞけば、聖女そのものであることにちがいない。
十分ほど時間の去ったあと、彼女はもう泣き止み、鼻水をたらしながら時々むせているだ
けだったが、心の中ではなにかをためらうような気持ちでいた。その気持ちをフローラは察
し、
「お腹はすいた?}そう言って彼女の顔を覗き込む、母性の微笑みがうかんだままで。「も
うながいこと何も口にしてないんじゃないの? 栄養はしっかりとらなきゃだめよ」
フローラはほかにも彼女を気遣うようなことを言ってくる。フローラの投げかけてくるや
さしい言葉の数々に対し、彼女はただ「ああ」とか「うん」とか、言葉にならない言葉を返
すだけだったが、ふとおもむろに顔を上げ、フローラの顔を遠いところを眺めるように見つ
め始めた。
92 ああああ sage 2012/11/16(金) 22:21:23.87 ID:A8p43V38
「マリー様はもう、亡くなられてしまったのですか」
「亡くなってはいないわ。今は清らかで麗しい花の中から、わたしたち、聖なる娘たちを
見守ってくださってるのよ」
彼女のこころにふたたび悲しみの波がおしよせ、涙となってあふれでる。
「ああ・・・マリー様、マリー様・・・マリー様!」
悲しみに沈む彼女をフローラは心地よい香りを漂わせながら、半ば抱きしめるようにしてよりからだが寄り
添うように引き寄せる。彼女はフローラの癒しのぬくもりにより甘えたくなる衝動にかられる。
「どうして・・・グスン・・・わたしにそんなに優しくしてくれるんですか」
彼女はもうフローラをただの化け物として見られなくなっていることは明白だった。
「野暮なことをきくのね。そんなの、あなたのことが好きだからに決まってるじゃないの」
「好き?・・・好きって、どういう意味の好きなんです?」
「どういう意味の? そうねぇ、いろんな意味があるわね。母性をくすぐられる意味でも
好きだし、結婚相手としても好きだわ」
「結婚相手!?」
彼女はその言葉を思い出し、驚きたじろぐような表情をした。彼女の心の中にふたたびこ
の人ならざるものへの嫌悪感が芽生えてくる。
そんな彼女の拒絶の兆候を見逃さなかったフローラは、
「そうだわ、結婚式にむけて練習しておかないと」
そう言い突然彼女をベッドの上に押し倒し、その唇に自身の唇を顔ごと重ね、舌を彼女の
口の中にいれ自らの唾液を送り込んだ。
ご意見ご感想、ありがとうございます。
本当はもっと長かったのですが、投下したものを見て、文字の多さに自分でも引いて途中で打ち切ったのです。
駄文失礼しました。あと、いろいろと加筆、修正を加えたり、設定を変更したりしたので、
前回の投稿は失礼ながらとりあえず忘れてください。まとめサイトにもできれば収録しないでほしいです、
恥ずかしいですし・・・
もともと誰かが自分好みのシチュエーションでエロゲなりなんなり作ってくれないかと期待していたのですが、
どうもまるで期待できなさそうなので、自分でSSでも書いてみようかと思ったのです。
長年にわたって積もりに積もった妄想で出来ている分、無駄に設定が綿密になったりストーリーが膨大なものに
なったりしているのです。
今はモチベーションを維持できるかどうかが心配です。
補足
妖花 初代バイオハザードのモンスタープラントとプラント42がモチーフになっています。三つ目がとおるの
ボルボックみたいに、昔人間にひどい目に合わされた改造植物が、人間(女性限定)に寄生体を植え付けて支配
するように進化したもの。男性は養分を吸い尽くして殺しちゃう、たまに気まぐれに生かしておいて、性的にいじめて
遊ばれることも
聖少女 妖花にとりつかれた者たちの通称。一部の金持ちのマニアなどからは、観葉植物として中庭などに
植えられていることも。つがいでなく単体で育てる際にはセックス関係のケアが難しい。稀に森の中で、はぐれ
聖少女たちがイチャイチャしているのを見かけることも
村 妖花に意図的にのっとられるように作られた村。バイオハザード4のプラーガにのっとられた村みたいな
86 ああああ sage 2012/11/16(金) 22:13:30.32 ID:A8p43V38
エリーザの場合
彼女は普段無表情で、感情を表に出すタイプではなかったが、村の研究施設のある、大学
時代からの先輩にあたるある植物学者にはひそかにある特別な感情を抱いていた。その植物
学者は輝くばかりの金髪に、ほどよく熟れた乳房のもちぬしであり、精神面で言えば、母親
のような包容力をもそなえていた。そんな女性研究員にぞっこんほれ込んでいた彼女は、十
六で某有名大学を首席で卒業し、世間では天才と謳われ将来を嘱望されていたが、大学在籍
時から気になっていたその金髪の佳人のあとをおいかけて、胡散臭いこの村の研究所へはい
ったのだった。
彼女の名はエリーザといい、彼女の恋い慕う婦人の名はマリーという。
マリーは彼女がこの地にやってきて程なく、突然姿を見せなくなってしまった。知り合っ
てまだまもない男性研究員にきくとマリーは重要な研究のために別棟の研究所に閉じこも
っているとのことだった。
その男性たちも、研究員もただの雑務の人も含めて、徐々に見られなくなっていき、研究
所全体に不思議な甘い香りが漂い始めてきたころにはまったく見かけなくなってしまった。
どういうわけか男性だけが転任させられたり解雇させられたりしているようだった。
しかしそのことをあまり彼女は気にすることなく、マリーをまったく見かけなくなったほ
うを気に病んでいた。地下研究所と別棟の研究所は特定の人物しか出入りが許されず、外部
からの研究者を受け入れておきながら中途半端に秘密を作る研究組織のやり方に疑問を感
じていたが、今ではマリーがその特定の人物に選ばれたことのほうが気がかりだった。・・・
87 ああああ sage 2012/11/16(金) 22:14:41.22 ID:A8p43V38
その日は突然やってきた。研究所のあちこちの床下から急に蔦が伸びてきて女性に襲い掛
かってきた。
彼女は自分の研究室に閉じこもり、植物の細胞を溶かす強力な薬品「v-zolt」を完成させ
ることに成功し、さっそくその効果を試そうと部屋を出た、そのとき、
「なんなの・・・これ・・・」
そこには二体の、人間の面影を幾分残す不気味なクリーチャーがいた。頭と乳房と股に花
を咲かせ、まるでゾンビのように徘徊している。目に知性の光は感じられず、口からはよだ
れのようなものが垂れ、体を動しているというよりかは何者かに操られているようだった。
そのうちの一体は彼女の存在に気づくと、両手足に絡まっていた六本の触手を背後に構え、
股の花を咲かせ、だらしない顔のまま喜びの表情を浮かべて彼女に襲い掛かろうとした。
「ひっ」
彼女はすかさず手に持っていた瓶の蓋を開け、そのクリーチャーに先ほどの薬品を浴びせ
かけた。するとそのクリーチャーは前のめりに倒れ、断続的に言葉にならない奇声を発しな
がらもがき、十秒も経たないうちにまったく動かなくなってしまった。もう一体のクリーチ
ャーはその様子を見て恐れをなしたのか、どこかへ逃げるようにしていってしまった。彼女
は自分がしとめたクリーチャーが本当に死んだのかどうか警戒しながら、そっと近づいてみ
る。
(これは一体・・・? もともとは人間だったのかしら? この研究所にはとんでもない
化け物がほかにもいるのね。・・・なにはともあれ、私の劇薬が成果を挙げたとみてよさそ
うね)
彼女は研究室に戻り、もう一度、今度は念のために二瓶分の薬品を調合したが、調合し終
えたところで長いこと寝てないために眠気に襲われ、背もたれのない椅子を並べて作った簡
単なベッドをつくり、枕元には先ほどの薬品の入った瓶をおき、ドアに電子ロックをかけて
仮眠をとることにした。彼女は一時間半ほどで起きるつもりだったが、積もりに積もった疲
れがそう簡単に彼女を起こしてくれるわけがなかった。そのために熟睡中に部屋に入ってき
た侵入者の存在に気づくこともなく・・・
88 ああああ sage 2012/11/16(金) 22:16:19.91 ID:A8p43V38
さかのぼること数ヶ月前。
「あなたの知ってる人間たちの中で、ずば抜けて高い知能を持ったものは?」
「一人思い当たるのがいるけれど・・・、そんなこときいてどうするの?」
「わたしには人間たちに対抗するためにも高度な知能を手に入れる必要があるのよ」
「答えになってない。知ったところでどうやってその知能をあなたのものにするの? 言
っておくけど、その娘(こ)(こ)をとらえてもその知能があなたのものになることはないのよ。
それとも脳を直接いじくって洗脳をかけるつもり? そんなことをしたらその娘の知能を
傷つけかねないわ」
「わかってるわ。そのためにわたしたち間に子供を作ったんじゃないの。わたしたちのた
めに、その娘と結婚させるために。わたしたちの子にはその娘を、持てる能力をすべてわた
したちのために捧げるようになるまでに魅了してもらうのよ」
幻想世界での一人と一体の会話に、もう一人の声が響く。
「ちょっと、わたしの意志を無視してなに勝手に話進めてんのよ」
「あなたはわたしの娘でしょ、娘ならば親のいうことを聞くものじゃないの」
「ちょっとまって、わたしは純然たる植物のほうのお母様の意思を強く受け継いで生まれ
てきたのよ、だから人間が憎いし、人間はみな白痴(ばか)にしてしまえばいいとも思って
る。それなのにその人間と結婚させられるなんて・・・言語道断よ!」
「あなたが結婚するのは人間じゃなくて、元人間よ」
「どっちにしたっておなじことよ。わたしが結婚を認めるのはおなじ妖花の王族、ベラゴ
ニアだけよ!」
この宣言を最後に、その娘との連絡は取れなくなってしまった。
「わたしたちの種族で、人間の知性と感情もつものはみなああなってしまう。わけがわか
らないわ。しょうがない、もう一体わたしたちの子を作りましょう。今度はあなたの意思を
強く受け継がせましょう。また遺伝子を提供させてもらうわよ」
「ああ、また・・・」
大広間には巨大な妖しげな花が咲いている。その花にとりこまれた女性は今日も喘ぎ声を
響かせる・・・
89 ああああ sage 2012/11/16(金) 22:18:06.87 ID:A8p43V38
たれ目のベラゴニアの娘は、その研究室へ入ると、彼女を起こしてしまわないようにそっ
と枕元へ近づき、彼女の顔を見つめる。
(ふふ、お母様のいってたとおり、本当に可愛い娘。ぐっすり子供みたいに眠っちゃって。
とくにこの栗毛色の髪はわたしのお気に入りだわ。この髪に聖少女の髪飾りがどんなに似合
うことか)
たれ目のベラゴニアの娘は、楽しそうに永いこと彼女の寝顔に見入っていたが、ふと寝起
きの顔も見たくなって、
「ねぇ、起きて、もう朝の九時半よ。健全な若い娘なら、ちゃんと早寝早起きをしないと」
「うぅん」
彼女はまだ寝たりないような、起こしにかかるものに反抗するような寝顔で起きたが、目
の前にマリーの顔を認めた瞬間にぱっと目を開き、一気に眠気が取れてしまったようだった、
「マリー様!? いや、違う、これは・・・わ!」
「ああ残念、寝起きの顔ももっとじっくり観賞したかったのに・・・」
彼女の目の前にいるのは、マリーの顔に似ているがマリーではなかった。マリーよりかは
もっと童顔で、目が垂れ、背も小さかった。
彼女はすぐに研ぎ澄まされた明晰な頭脳をもって、今とるべき最善の防衛体勢をとった―
―彼女は枕元においていたv-zoltのはいった瓶を手にし、ふたをあけ、瓶の先を今目の前に
いるベラゴニアの娘に向けたのだった。
「来ないで! この薬品はあなたのからだを瞬時に溶かしてしまうことが出来るんだから」
そういいながら彼女は威嚇するようにベラゴニアの娘をにらみつけ、ベッドから起き上が
り、そこから離れてできるだけ距離をとろうとした。そのベラゴニアの娘は、
「ふふ、小動物みたいで可愛い。そんなに警戒しなくていいのよ、わたしはあなたに危害
を加えたりしないから」
90 ああああ sage 2012/11/16(金) 22:19:24.47 ID:A8p43V38
こちらに必殺の武器があるにもかかわらず、完全に優勢と余裕の態度をとられた彼女は、
恐怖と憤りの感情に飲み込まれそうになりながらもあくまで理性的に、
「あなたは何者なの? マリー様の顔をして・・・少し幼いけど・・・髪の色もそう、そ
こまで金色に輝く髪の持ち主はこの村にはマリー様しかいないはず。それとドアには鍵がか
かっていたはずよ。どうやってこの部屋にはいったの」
質問されたほうはしばらく彼女の顔を眺めいり、マリーのように母性を感じさせる垂れ目
を細くし、
「さすがお母様に認められただけあって、取り乱さないのね、質問はひとつにしてほしい
けど。いいわ、答えてあげましょう。わたしはあなたのいうマリー様と妖花の間に生まれた
娘、名前はフローラよ、マリー様のほうが名づけてくれたの。あなたと結婚することになっ
てるのよ。ドアのほうは暗証番号をお母様から教えてもらったの。電子ロックがあだになっ
たわね。もっとも、ドアが開かなかったところでドアを破壊するだけなんだけど」
質問に答えてもらったところでさらにわからないことが増えるだけだった。お母様? 結
婚? とんでもない返事に頭が混乱、というよりは現実を受け入れられなくなり、そんな彼
女にフローラはそばへ寄ろうとするが、
「来ないでっていったでしょ! この薬品のことをわすれたの、それともわたしが嘘を言
ってるとでも思って?」
彼女は前にも増して威勢を強めたが、目には涙が浮かんでいた。
フローラは強まった威勢が虚勢であることを見抜き、その涙の意味を覚って、
「あなたが嘘をついてるなんて、微塵も思ってないわよ」フローラは母親が娘をなだめる
ような、ぬくもりのあるほほえみをうかべる、「あなたはお母様にも嘘をつけるような子じ
ゃなかった、・・・慕っていたんでしょう、お母様のこと。お母様はわたしに教えてくださ
ったわ、あなたは母親の愛情に飢えているって、それでわたしのお母様に、ちょっとかわっ
た感情も混じっているけど、愛着の情を抱いていたって」
91 ああああ sage 2012/11/16(金) 22:20:35.03 ID:A8p43V38
「・・・ああ、そんな・・・」彼女は愕然とした。彼女の精神的弱点をつく決定的な秘密
を言われてしまった。絶望とも羞恥心ともつかない複雑な感情がこみ上がり、ついに理性の
堰を切ってあふれ出し、唯一の護衛手段である瓶を足元に落としてしまった。中の薬品が床
へこぼれていってしまい、彼女は後ろの壁へもたれかかる。「ずるい、そんな・・・卑怯者」
彼女の声にはもう威勢が感じられなかった。
フローラはそんな彼女の隙をみ、それでいて隙につけこもうとするような素振りは見せず
に彼女のそばへ寄り、彼女の目を見つめる。彼女の目にはもう警戒心の鋭さがなくなってい
た。
「とりあえず、ベッドにすわって落ち着きましょう」
フローラは彼女をささえながらベッドまで歩かせてあげた。彼女のほうはもうフローラに
されるがままになっていた。彼女をベッドにすわらせると、フローラは彼女の背中に手をや
り――フローラの触手が背中についた瞬間、彼女は「ひっ」と声を上げたが、なにも抵抗は
しなかった――、自分のほうへ寄り添うようにした
ベッドに並んですわったところで言葉を交わすことはなく、無言のままその状態を保って
いた。彼女はずっとすすり泣いていたが、フローラはその間何も言うことなく、ずっと彼女
に寄り添うだけにしていた。彼女たちの無言の間を邪魔するものは何もなかった。
(よっぽど依存していたのね、こんなに簡単におちちゃうなんて)
フローラは内心ではそんなことも考えていたが、彼女に誠実に愛情をそそいでいることも
真実だった。――種族の異常性をのぞけば、聖女そのものであることにちがいない。
十分ほど時間の去ったあと、彼女はもう泣き止み、鼻水をたらしながら時々むせているだ
けだったが、心の中ではなにかをためらうような気持ちでいた。その気持ちをフローラは察
し、
「お腹はすいた?}そう言って彼女の顔を覗き込む、母性の微笑みがうかんだままで。「も
うながいこと何も口にしてないんじゃないの? 栄養はしっかりとらなきゃだめよ」
フローラはほかにも彼女を気遣うようなことを言ってくる。フローラの投げかけてくるや
さしい言葉の数々に対し、彼女はただ「ああ」とか「うん」とか、言葉にならない言葉を返
すだけだったが、ふとおもむろに顔を上げ、フローラの顔を遠いところを眺めるように見つ
め始めた。
92 ああああ sage 2012/11/16(金) 22:21:23.87 ID:A8p43V38
「マリー様はもう、亡くなられてしまったのですか」
「亡くなってはいないわ。今は清らかで麗しい花の中から、わたしたち、聖なる娘たちを
見守ってくださってるのよ」
彼女のこころにふたたび悲しみの波がおしよせ、涙となってあふれでる。
「ああ・・・マリー様、マリー様・・・マリー様!」
悲しみに沈む彼女をフローラは心地よい香りを漂わせながら、半ば抱きしめるようにしてよりからだが寄り
添うように引き寄せる。彼女はフローラの癒しのぬくもりにより甘えたくなる衝動にかられる。
「どうして・・・グスン・・・わたしにそんなに優しくしてくれるんですか」
彼女はもうフローラをただの化け物として見られなくなっていることは明白だった。
「野暮なことをきくのね。そんなの、あなたのことが好きだからに決まってるじゃないの」
「好き?・・・好きって、どういう意味の好きなんです?」
「どういう意味の? そうねぇ、いろんな意味があるわね。母性をくすぐられる意味でも
好きだし、結婚相手としても好きだわ」
「結婚相手!?」
彼女はその言葉を思い出し、驚きたじろぐような表情をした。彼女の心の中にふたたびこ
の人ならざるものへの嫌悪感が芽生えてくる。
そんな彼女の拒絶の兆候を見逃さなかったフローラは、
「そうだわ、結婚式にむけて練習しておかないと」
そう言い突然彼女をベッドの上に押し倒し、その唇に自身の唇を顔ごと重ね、舌を彼女の
口の中にいれ自らの唾液を送り込んだ。
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