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親子の転生
263 親子の転生 sage 2015/02/05(木) 01:27:17.44 ID:/53lv+aq
「怖い…!怖いよ…っ!お家…お家帰るっ…!」
うわ言のようにつぶやきながら少女は疾走する。信号も半分以上無視して走る姿に地域のモラルが見てとれる。
時間は始業の時間を少し過ぎたくらい。
彼女とは逆方向、遅刻だと叫びながら服装を乱しつつ走る同級生を横目にも見ずに彼女もまた走る。
本当はそんな彼らを呼び止める事情、というより義務が彼女にはあったが、先刻彼女が見たものへの恐怖が彼女の心を覆い尽くし、余裕を失わせていた。
カンカンと革靴を鳴らしつつコンクリートの階段を駆け上り、慣れ親しんだ我が家の扉の前まで駆ける。
「…え………っ?」
咄嗟に手をかけ開いた扉、彼女に疑念が舞い込む。
おかしい。
いま勢いで開いたこの扉は、自分で鍵をかけたはずであった。
兄弟はおらず、母はすでに他界し、父は昨日出張に行って帰ってきていない。この扉の鍵が開いているはずがないのだ。
彼女の本能がうすら寒いものを感じた瞬間、奥から何かの気配が現れ、その主が視界に出る。
「あ…ココア…おかえり…早かったね…心配してたよ…?」
声の主は彼女と同じくらいの背格好の、短髪で筋張った肢体をした全裸の女だった。
女は湿気た艶やかな吐息をしながら引き締まった手足で己の胸と局部をまさぐっている。
股間からは、彼女にも明らかに男性の象徴とは異なるとわかる長く脈打った管がだらりと床を這っていた。
「どうしたの…ココア?私だよ、ほら…おいでおいで、久しぶりにいい子いい子してあげる」
女は胸を揉む手を上げ、招き入れる手つきをする。
その姿は母性に満ちた慈愛と、異性を迎え入れるような淫靡さが共存していた。
「そんな…お、お父さん…?」
264 親子の転生 sage 2015/02/05(木) 01:28:22.27 ID:/53lv+aq
----------
マゴットセラピーという治療法がある。
傷口に殺菌した蛆虫を這わせ、傷ついた組織を食べさせることで空気中の菌が体内に入る前に止血させてしまうという荒っぽいが実用的な治療法であり、
発見・命名されたのは近年のことであるが世界大戦時から戦地の間でまことしやかに伝えられていた治療法である。
これを知り、ある企業が閃きを生んだ。彼らは長年の研究と実験の末、一つの商品を生みだす。
それは一つの卵であった。我々がよく検査する蟯虫の遺伝子を組み替えて生みだされたそれは、
飲むことで体内で孵り、体内の老廃物を分解しながら時間をかけて消化器を進み、便として排出され水道の塩素に触れることで死滅する。そのような生態をもつ生き物だ。
腸内環境改善を謳って発売されたそれを人々は初めは生理的に訝しみ販売数は伸び悩んだが、体型に悩む女子たちの口コミからしだいに普及し、市民権を得るに至った。
しかし、原形を失いかねないほどに遺伝子を弄りまわされ、元の生態を失ったその生物には、製作者も知らない変異が起こっていた。
きっかけは、この卵が大量に女性の胎内に入ってしまったことに由来する。
偶然のはずみか、ご無沙汰な女性が刺激を求めてしたのか、特殊なプレイによるものなのかはわからない。いや、そんなことがわかったとしてどうしようもないことなのだが。
この生物はもちろんイレギュラーな場合を想定し、子宮や膣など消化器ではない場所で孵った場合、自然に死滅するように調整がなされていた。
しかし、この卵から産まれた一匹の虫は、周囲にみっちり詰め込まれた仲間の卵を喰らい成長を続け、製作者の想定外の成長を遂げる。
原形となる蟯虫をはじめとして多くの寄生虫の血をその身に宿すこの虫はついに製作者もその存在を確認していない『成虫』と化してしまったのだ。
蛇のような長さしかし蛇よりさらに細い姿に成長した『成虫』は長細いその身を子宮の粘膜に突き刺し、その奥へ奥へと他の臓器を避けつつ体組織を噛み砕いて進む。
脊髄を登り脳まで達した虫は脳の快楽物質を調整し、自身の利となる行動を宿主に引き出させた。
多量の食事、運動、そして自慰。すべてこれは虫の食料となる老廃物や体液を分泌させるための行為であった。
そして栄養を蓄え子宮から膣までを一本の身体の一部で埋め尽くした虫は宿主への洗脳の果てに行動を起こす。
女からの性器から生えた触手-虫の太く伸びた尻尾である-は女の身体を覆うように糸を吐き、彼女を繭に包んでしてしまう。
数時間後、繭を破って出てきたのは確かに見た目は彼女であったが、その中身は似ても似つかない、虫とヒトの体組織が融合した化物であった。
新たな生命体となった彼女がまず行ったこと、それは、生殖行為である。
親友や男友達、両親に職場の仲間まで、まるで食事を行うようなさも当然といった様相で彼女はかつての親しき者たちを触手で貫き性を蹂躙した。
そして最後に抵抗力を失った彼らを繭の中に収め、彼女の同属に堕としていった。
彼女の肉体が大まかな身体の設計図となっていたのだろうか、いずれも繭に取り込まれた者は彼女と同じような若い娘の姿に変じていた。
この偶然がもたらした人災、新たな人類への驚異が、魔の手を逃れた者たちの証言からテロリストやUMAとしてメディアに取り上げられたのは数週間前のことだった。
----------
265 親子の転生 sage 2015/02/05(木) 01:29:04.78 ID:/53lv+aq
彼女は登校してすぐ、後ろの席の男子の違和感を察知した。
見た目には違和感があるとは感じなかったのだが、具体的に何がとはいえない本能が感じる危機感を彼女は覚え、それはすぐに現実となった
クラスの教師生徒がそろい、ホームルームが始まろうとしたそのとき、後ろの生徒が椅子を跳ね飛ばし、服を脱ぎ捨てながら跳び上がって隣の生徒を襲ったのだ。
物音に驚き振り返った彼女が見たものは、男にあるはずがない胸の膨らみを持った男子生徒が、これまた人間にあるはずがない触手を女子生徒の局部に挿入する姿だった。
「そうそう、お父さんだよー。なに、こっちから行かないと安心できないかな?ほらほら見てこの顔、丸っこくなったけどたしかにお父さんの顔でしょう?」
あの時必死になって逃げのびたというのに、今度は彼女にまた怪物の女、いや人間をやめた父が迫ってくる。
本当ならば逃げなければならないのに、彼女の足は棒立ちのまま動けず、彼女を包み込む腕を受け入れてしまった。
あの化物の話は耳にしたことがあった。人間を内部から作り変え、繁殖のための手足としてしまう恐ろしき寄生虫の存在を。
だから認めざるをえなかった。目の前で微笑し双丘を押し付けるこの女が、変わり果てた自身の父親だと。
それゆえに、逃げれなかった。
男手ひとつで自分を育ててくれた親愛なる父を、大好きな父を裏切る行為はできないという子心が、正常な逃走本能を妨げたのだった。
「あぁ、いい子だね、ココア。大好き、大好きだよ…」
頬ずりし、頭をワシャワシャと撫でつつ、もはや寄生虫の眷属と化した父が言う。
優しい言葉とは裏腹に、もう一方の手は彼女を自身の胸板に押さえつけ、グイグイと部屋の奥へと誘い込んでいる。
このままでは父に連れ込まれたまま自身も父と同じ命運をたどるとは火を見るより明らかだった。
だが彼女を抑え込む腕は身じろぎできないほどに強く、その仕草や言葉から発せられる父の面影は彼女を困惑させ、反抗心を失わせた。
「お父さん…なんで…」
涙を浮かべて彼女は囁く。
話に聞いていた異形に襲われたこと、その相手が肉親となってしまったこと、そしてその父がこのような姿に変貌してしまったこと。
全ての不条理に絶望し流れた涙であった。
「ふふ…そんなことどうだっていいじゃない。お父さんはお父さんだから、それで十分でしょう?ほら、お布団、かけてあげる…」
背中に腕を回された姿勢のまま、ベッドに横たえられ掛布団が二人を覆い、二人を外の世界から切り離してしまう。
彼女が小さいころ、悪夢を見て怯える彼女に寄り添い優しくうろおぼえの子守歌を歌ってくれた父。
だがその姿は面影はあるもののすでに男としての姿はなく、股間からはすでに人の器ではないと自己主張する触手が彼女の今だくびれのない幼いお腹をさすり、
なにより、親子の崇高な関係から墜落した肉欲の眼差しでこちらを見やっているのだ。
押し黙り、一対の瞳でただ状況を観察し、目の前の異形…父と目で対話する彼女。
涙も言葉も出ない、もともと頭は足りないとバカにされていた彼女だったが、それゆえの純粋さがこの打ちひしがれた状況に応じる対応力、いや逃げ場をくれた。
上気し、湿気て熱い吐息を細やかに吐き出す異形の女。それは憧れの父とうり二つの存在であり、しかし、もはやその存在は異なるものだと本能が気付いている…
その女の熱気に当てられてしまったのだろうか。それとも虫と融合した父…女から発せられる色香の虜になってしまったのだろうか、あるいは両方か。
彼女は、考えがまとまらずくらくらする意識のなかで、その顔を『素敵』と思ってしまっていた。
266 親子の転生 sage 2015/02/05(木) 01:29:31.02 ID:/53lv+aq
「…ん…っん…!?ん…!…んちゃ…んふ…」
小鳥のような軽く触れるだけのキッスを彼女が持ちかけたのは、彼女が女に抱いたときめきと畏敬を表す親愛のものだった。
そしてそれにより我慢の限界に達したのか、女は両腕で彼女の頭と上半身をしっかりと抱きしめ、奪われた唇を取り返し、舌で手痛く反撃を仕掛ける。
まだ思春期も始まったばかりの彼女に心底のディープキスは驚きの行為であったが、持ち前の飲み込みの早さからすぐにコツを覚え、自身の舌を相手の呼吸に合わせ絡ませる。
ピチャペチャと水音の鳴る二人分の膨らみを持つベッドはまさに情事の最中とも早とちりさせてしまうような禍々しいほどの色気に満ちていた。
「…ぷは。ココア…立派になったね…。…ねぇ、そろそろ、いいかな…?私のこの子…はち切れそうなの…」
ふいに彼女の視界の中央半分ほどが黒っぽい肌色に染まる。父をこの姿にした元凶、寄生虫の股間より生えた尾部がその額に押し当てられていた。
その身は黒々として、明らかに見た目は異なるが、かつて見た父のその一物の雰囲気を残しているようにも彼女に見えた。
まさに絶頂している際のような激しい律動を顔面に感じ、彼女はおぞましい気持ちに一瞬我に返りかけたが、触手の精神を攪乱させる色香がそれを許さない。
「…んっ。あぁ…いい…すごく、気持ちいいお口ね…これが私の娘だなんて思えないくらい…」
気がつけば彼女は自らそっと粘液をにじませる触手を両手で支え、その先端をほおばっていた。
先端の孔からわずかに漏れる触手の体液はまるでサトウキビを煮詰めた一滴のような優しい甘みを口内に広げ、食べ盛りの彼女の脳髄にその液を欲する回路を瞬く間に構築していく。
彼女が甘噛みやバキュームを使いつつ中身を吸い上げようと触手を刺激する口淫の上玉へと調教されてしまうはすぐのことであった。
「あっ…うっ…だめ、まだ…抑えて。この子のすごいのは…これからだよ…?」
瞳の光を失いもうすでに理性もはたらきを失い朦朧として触手にしゃぶりつく彼女を押さえ、女はその触手をベッドの中へと仕舞い込む。
だが、それは元の場所、女の局部に戻ることはなく、彼女の股間へとするすると伸びていった。
そろりと彼女の産毛だけの恥丘をなぞるその動きに、小さくあどけない体が跳ねる。
「おやおや…この子はやっぱりすごいや…もうここをこんなことにしちゃって、お父さんが知らない間にココアはアソコを濡らすことができるようになったのかい?」
だらしなく口は閉じず、ただその身に覚えのない獣欲に苛まれるだけの存在となり果てた彼女に、その言葉を理解する余裕はない。
それほどにこの虫-いや、虫と人間の力を併せ持つこの化物-の力は妖しく強大であった。
ただ彼女は理解を放棄し縦に首を振るのみである。
彼女はこの短い時間の間に自身の猥らな欲情が磨かれてしまったこと、身体の発達…生殖能力を成熟させられてしまったことに、いまだ知るよしもない。
「いい…?わたし、ココアの初めて、もらっちゃうよ。この子で、気持ち良くさせちゃうよ?」
本人が触れることすら少ない大陰唇の内側へ滑り込んだ触手の頭が、まだ存在すら気がついていない陰核をチロチロと包皮越しにさすりつつ、組み敷いた上から誘惑を降らせる。
快楽に極限まで素直な単純な思考回路に組み替えられた彼女の脳内はその深い意味すら顧みず、二つ返事で受け入れてしまう。
何が初めてなのか、何が気持ち良いのか、触手をどうするつもりなのか、股間を擦られるこの感覚は何なのか。
彼女が何も理解が追い付かないままに、彼女の故郷の孔が赫と鋭い痛みに染められた。
「アハァ…!ココアの中、お母さんよりもあったかいよ…エッチな子だね…!アぁアッ!はァんっ!」
ズチュズチュと鳴る独特な湿った音。体内が軋むような内圧が高まる圧迫感。そこにあったはずの粘膜を引きちぎられたズキズキとした痛み。
そして、コリコリと内壁を弾ませる甘く快い感覚。
身体のなかで交錯する五感の快と不快が一つに交わり、大きな一つの鈍い気分の変調…性感へと収まっていく。
破瓜の苦痛はその刺激の強さはそのままに自身を組み敷く女の嬌声によって苦痛として感じることを妨害され、情事の雰囲気にのまれてその脳髄に猥らな結論を伝える。
まだ母が元気だったころ、寝室から漏れ聞こえていたあの声を、彼女が同じ声色で出していた。
267 親子の転生 sage 2015/02/05(木) 01:30:47.45 ID:/53lv+aq
いつも私を生きがいにと言ってくれていたお父さん。お母さんが亡くなってお葬式の間強がって涙を我慢していたお父さん。
体を鍛えているのに背が小さいせいで町で兄妹と間違えられて不機嫌になりがちだったお父さん。どんな時でも私の味方でいたお父さん。
彼女の理想の人であり、もっとも遠い存在であった父に操を捧げ、いま一つになっている。彼女の踏みとどまって保ち続けていた最後の理性が砕けた音を、彼女自身で感じ取った。
快感を貪り本能に身を任せ乱雑に腰を振りあう二人の娘は、互いにそれぞれ肉親であるからとひた隠しにしてきた欲望をぶつけ合い、快楽を少しでも得ようとせめぎ合っている。
同性と猥らに触れ合う文化の嫌悪と倫理と、組み敷かれたままこの化物に命を奪われかねない恐怖と、仮にも親子で互いを性欲のはけ口とする禁忌と、
こうしている場合ではないという理性と、父に抱きつき甘えている安心感と、開発されたばかりの性感を蹂躙され快楽により服従させられる悔しさ。
全ての思い、情動、記憶、感覚はベッドに染みついた虫の猥らな粘液の作用でドロドロに解け、
その全部が性欲という形で表出し彼女を貫く触手の味に彼女は酔わされベッドの中で艶やかな腰つきをさせていたのだ。
手足は絡み合い口は濃厚な舌のペッティングが続き、もはや二人が先日まで実の父子であったと、誰も他人には理解できないだろう。
「お父さん…っ!お父さんっ!ココアに、ちょうだいっ!ココアを、お母さんに、してっ!ひっぐ、ぅああああがああがあああ゛ああ゛あ゛あ゛ががががあがああっ!!!」
「んっ…あ、あぁもちろんだともっ…!ココアにこの子の卵いっぱい生んで、たくさん子どもができるお母さんにしてあげるからっっ!ふあぁっ、ふひゃああああー!?!?」
長く太い触手に子宮内部まで犯され、性器の性感帯をいっさいがっさい掻き乱された彼女は断続的に絶頂しながらうわ言のように父を呼ぶ。
そして絶頂の痙攣で緩急のつく引き締めを味わった女にも、ついに限界が訪れた。
触手の根元からコロコロと大量の豆状の卵が殺到し、次々と彼女の子宮内へと産み落とされていく。
彼女は子宮頸部を何度も通る卵の刺激に部品の足りないゼンマイ人形のような狂った調子で泣き叫び、手足を硬直させ果て続ける。
女もまた、卵に尿道を擦られたことにより射精よりも何十倍も快感を濃縮した暴力的な快楽をもたらす産卵に神経が焼き切れ、身を預けるように彼女の脇へと倒れ込んだ。
二人の意識が闇に沈んだままのなか、彼女に挿入されたままの触手だけが、不随意に機械のように卵を彼女の胎内に放出していた…。
-
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268 親子の転生 sage 2015/02/05(木) 01:31:29.89 ID:/53lv+aq
とくん、とくんとくん。という自身の心臓の音で彼女はめざめた。
明らかに心臓ははち切れんばかりの勢いで鳴り続けているが、もうこれが普通なのだ。
命を虫と一つとしたためか心拍は小動物のようにドコドコと勢いよく響き、この命はヒトよりも長く持たないのだろうと理解させる。
「ん…あ…はぁ…っ!」
だがしかし、フカフカの繭のベッドを切り裂いた彼女は生まれ落ちた喜びと安堵に満ち溢れていた。
その喜色は彼女が達していることすらうかがえる。この身体は快楽に敏感で、なおかつ強く、可能な限りどこまでもその享楽に没入することができる資格を有する。
生まれ落ちた瞬間から天に召される瞬間まで、この身体、この命は絶頂と共にあるのだ。
ヒトであったころの多くの寿命をたとえ失ったとしても、この高揚感、多幸感は何よりも代えがたい心地良さであった。
「…うふふ、産まれたのね」
「…うん、ママ」
股間からだらりと触手を伸ばすまさに今日生まれたばかりの二体のヴィーナスが、獣のようなまなざしで互いを見つめる。
「仲間を増やしに行くよりも、さ…」
「わかってるよ、ママ…もう私もガマンできない…来て…!」
一時期、人類の総数の数パーセント、何億人単位にまでその魔手を広げていた寄生虫であったが、
これの大元の製造元の発明者が数か月間ぶっ通しで行われた研究と、二体の宿主のサンプルを得られたことによりワクチンや薬が完成、寄生虫を撲滅することに成功した。
事の発端となった企業の研究室では、この一件を解決させた最大の要因であった宿主のサンプルを培養液に入れ、ロビーの目立つ位置に展示し、この事件を戒めている。
互いの寄生体、触手の産卵管を互いの秘部に挿し込んだ状態で発見されたこのサンプルは尊厳を保つ名目で見つかった際の姿勢を再現した格好で培養液に浮かべられている。
恍惚とした表情で餓死していたのが発見されたという二体のサンプルを見つめていると、快楽に身を打たれたように痙攣を起こす様が見れるという都市伝説があるらしい。
終われ
「怖い…!怖いよ…っ!お家…お家帰るっ…!」
うわ言のようにつぶやきながら少女は疾走する。信号も半分以上無視して走る姿に地域のモラルが見てとれる。
時間は始業の時間を少し過ぎたくらい。
彼女とは逆方向、遅刻だと叫びながら服装を乱しつつ走る同級生を横目にも見ずに彼女もまた走る。
本当はそんな彼らを呼び止める事情、というより義務が彼女にはあったが、先刻彼女が見たものへの恐怖が彼女の心を覆い尽くし、余裕を失わせていた。
カンカンと革靴を鳴らしつつコンクリートの階段を駆け上り、慣れ親しんだ我が家の扉の前まで駆ける。
「…え………っ?」
咄嗟に手をかけ開いた扉、彼女に疑念が舞い込む。
おかしい。
いま勢いで開いたこの扉は、自分で鍵をかけたはずであった。
兄弟はおらず、母はすでに他界し、父は昨日出張に行って帰ってきていない。この扉の鍵が開いているはずがないのだ。
彼女の本能がうすら寒いものを感じた瞬間、奥から何かの気配が現れ、その主が視界に出る。
「あ…ココア…おかえり…早かったね…心配してたよ…?」
声の主は彼女と同じくらいの背格好の、短髪で筋張った肢体をした全裸の女だった。
女は湿気た艶やかな吐息をしながら引き締まった手足で己の胸と局部をまさぐっている。
股間からは、彼女にも明らかに男性の象徴とは異なるとわかる長く脈打った管がだらりと床を這っていた。
「どうしたの…ココア?私だよ、ほら…おいでおいで、久しぶりにいい子いい子してあげる」
女は胸を揉む手を上げ、招き入れる手つきをする。
その姿は母性に満ちた慈愛と、異性を迎え入れるような淫靡さが共存していた。
「そんな…お、お父さん…?」
264 親子の転生 sage 2015/02/05(木) 01:28:22.27 ID:/53lv+aq
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マゴットセラピーという治療法がある。
傷口に殺菌した蛆虫を這わせ、傷ついた組織を食べさせることで空気中の菌が体内に入る前に止血させてしまうという荒っぽいが実用的な治療法であり、
発見・命名されたのは近年のことであるが世界大戦時から戦地の間でまことしやかに伝えられていた治療法である。
これを知り、ある企業が閃きを生んだ。彼らは長年の研究と実験の末、一つの商品を生みだす。
それは一つの卵であった。我々がよく検査する蟯虫の遺伝子を組み替えて生みだされたそれは、
飲むことで体内で孵り、体内の老廃物を分解しながら時間をかけて消化器を進み、便として排出され水道の塩素に触れることで死滅する。そのような生態をもつ生き物だ。
腸内環境改善を謳って発売されたそれを人々は初めは生理的に訝しみ販売数は伸び悩んだが、体型に悩む女子たちの口コミからしだいに普及し、市民権を得るに至った。
しかし、原形を失いかねないほどに遺伝子を弄りまわされ、元の生態を失ったその生物には、製作者も知らない変異が起こっていた。
きっかけは、この卵が大量に女性の胎内に入ってしまったことに由来する。
偶然のはずみか、ご無沙汰な女性が刺激を求めてしたのか、特殊なプレイによるものなのかはわからない。いや、そんなことがわかったとしてどうしようもないことなのだが。
この生物はもちろんイレギュラーな場合を想定し、子宮や膣など消化器ではない場所で孵った場合、自然に死滅するように調整がなされていた。
しかし、この卵から産まれた一匹の虫は、周囲にみっちり詰め込まれた仲間の卵を喰らい成長を続け、製作者の想定外の成長を遂げる。
原形となる蟯虫をはじめとして多くの寄生虫の血をその身に宿すこの虫はついに製作者もその存在を確認していない『成虫』と化してしまったのだ。
蛇のような長さしかし蛇よりさらに細い姿に成長した『成虫』は長細いその身を子宮の粘膜に突き刺し、その奥へ奥へと他の臓器を避けつつ体組織を噛み砕いて進む。
脊髄を登り脳まで達した虫は脳の快楽物質を調整し、自身の利となる行動を宿主に引き出させた。
多量の食事、運動、そして自慰。すべてこれは虫の食料となる老廃物や体液を分泌させるための行為であった。
そして栄養を蓄え子宮から膣までを一本の身体の一部で埋め尽くした虫は宿主への洗脳の果てに行動を起こす。
女からの性器から生えた触手-虫の太く伸びた尻尾である-は女の身体を覆うように糸を吐き、彼女を繭に包んでしてしまう。
数時間後、繭を破って出てきたのは確かに見た目は彼女であったが、その中身は似ても似つかない、虫とヒトの体組織が融合した化物であった。
新たな生命体となった彼女がまず行ったこと、それは、生殖行為である。
親友や男友達、両親に職場の仲間まで、まるで食事を行うようなさも当然といった様相で彼女はかつての親しき者たちを触手で貫き性を蹂躙した。
そして最後に抵抗力を失った彼らを繭の中に収め、彼女の同属に堕としていった。
彼女の肉体が大まかな身体の設計図となっていたのだろうか、いずれも繭に取り込まれた者は彼女と同じような若い娘の姿に変じていた。
この偶然がもたらした人災、新たな人類への驚異が、魔の手を逃れた者たちの証言からテロリストやUMAとしてメディアに取り上げられたのは数週間前のことだった。
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265 親子の転生 sage 2015/02/05(木) 01:29:04.78 ID:/53lv+aq
彼女は登校してすぐ、後ろの席の男子の違和感を察知した。
見た目には違和感があるとは感じなかったのだが、具体的に何がとはいえない本能が感じる危機感を彼女は覚え、それはすぐに現実となった
クラスの教師生徒がそろい、ホームルームが始まろうとしたそのとき、後ろの生徒が椅子を跳ね飛ばし、服を脱ぎ捨てながら跳び上がって隣の生徒を襲ったのだ。
物音に驚き振り返った彼女が見たものは、男にあるはずがない胸の膨らみを持った男子生徒が、これまた人間にあるはずがない触手を女子生徒の局部に挿入する姿だった。
「そうそう、お父さんだよー。なに、こっちから行かないと安心できないかな?ほらほら見てこの顔、丸っこくなったけどたしかにお父さんの顔でしょう?」
あの時必死になって逃げのびたというのに、今度は彼女にまた怪物の女、いや人間をやめた父が迫ってくる。
本当ならば逃げなければならないのに、彼女の足は棒立ちのまま動けず、彼女を包み込む腕を受け入れてしまった。
あの化物の話は耳にしたことがあった。人間を内部から作り変え、繁殖のための手足としてしまう恐ろしき寄生虫の存在を。
だから認めざるをえなかった。目の前で微笑し双丘を押し付けるこの女が、変わり果てた自身の父親だと。
それゆえに、逃げれなかった。
男手ひとつで自分を育ててくれた親愛なる父を、大好きな父を裏切る行為はできないという子心が、正常な逃走本能を妨げたのだった。
「あぁ、いい子だね、ココア。大好き、大好きだよ…」
頬ずりし、頭をワシャワシャと撫でつつ、もはや寄生虫の眷属と化した父が言う。
優しい言葉とは裏腹に、もう一方の手は彼女を自身の胸板に押さえつけ、グイグイと部屋の奥へと誘い込んでいる。
このままでは父に連れ込まれたまま自身も父と同じ命運をたどるとは火を見るより明らかだった。
だが彼女を抑え込む腕は身じろぎできないほどに強く、その仕草や言葉から発せられる父の面影は彼女を困惑させ、反抗心を失わせた。
「お父さん…なんで…」
涙を浮かべて彼女は囁く。
話に聞いていた異形に襲われたこと、その相手が肉親となってしまったこと、そしてその父がこのような姿に変貌してしまったこと。
全ての不条理に絶望し流れた涙であった。
「ふふ…そんなことどうだっていいじゃない。お父さんはお父さんだから、それで十分でしょう?ほら、お布団、かけてあげる…」
背中に腕を回された姿勢のまま、ベッドに横たえられ掛布団が二人を覆い、二人を外の世界から切り離してしまう。
彼女が小さいころ、悪夢を見て怯える彼女に寄り添い優しくうろおぼえの子守歌を歌ってくれた父。
だがその姿は面影はあるもののすでに男としての姿はなく、股間からはすでに人の器ではないと自己主張する触手が彼女の今だくびれのない幼いお腹をさすり、
なにより、親子の崇高な関係から墜落した肉欲の眼差しでこちらを見やっているのだ。
押し黙り、一対の瞳でただ状況を観察し、目の前の異形…父と目で対話する彼女。
涙も言葉も出ない、もともと頭は足りないとバカにされていた彼女だったが、それゆえの純粋さがこの打ちひしがれた状況に応じる対応力、いや逃げ場をくれた。
上気し、湿気て熱い吐息を細やかに吐き出す異形の女。それは憧れの父とうり二つの存在であり、しかし、もはやその存在は異なるものだと本能が気付いている…
その女の熱気に当てられてしまったのだろうか。それとも虫と融合した父…女から発せられる色香の虜になってしまったのだろうか、あるいは両方か。
彼女は、考えがまとまらずくらくらする意識のなかで、その顔を『素敵』と思ってしまっていた。
266 親子の転生 sage 2015/02/05(木) 01:29:31.02 ID:/53lv+aq
「…ん…っん…!?ん…!…んちゃ…んふ…」
小鳥のような軽く触れるだけのキッスを彼女が持ちかけたのは、彼女が女に抱いたときめきと畏敬を表す親愛のものだった。
そしてそれにより我慢の限界に達したのか、女は両腕で彼女の頭と上半身をしっかりと抱きしめ、奪われた唇を取り返し、舌で手痛く反撃を仕掛ける。
まだ思春期も始まったばかりの彼女に心底のディープキスは驚きの行為であったが、持ち前の飲み込みの早さからすぐにコツを覚え、自身の舌を相手の呼吸に合わせ絡ませる。
ピチャペチャと水音の鳴る二人分の膨らみを持つベッドはまさに情事の最中とも早とちりさせてしまうような禍々しいほどの色気に満ちていた。
「…ぷは。ココア…立派になったね…。…ねぇ、そろそろ、いいかな…?私のこの子…はち切れそうなの…」
ふいに彼女の視界の中央半分ほどが黒っぽい肌色に染まる。父をこの姿にした元凶、寄生虫の股間より生えた尾部がその額に押し当てられていた。
その身は黒々として、明らかに見た目は異なるが、かつて見た父のその一物の雰囲気を残しているようにも彼女に見えた。
まさに絶頂している際のような激しい律動を顔面に感じ、彼女はおぞましい気持ちに一瞬我に返りかけたが、触手の精神を攪乱させる色香がそれを許さない。
「…んっ。あぁ…いい…すごく、気持ちいいお口ね…これが私の娘だなんて思えないくらい…」
気がつけば彼女は自らそっと粘液をにじませる触手を両手で支え、その先端をほおばっていた。
先端の孔からわずかに漏れる触手の体液はまるでサトウキビを煮詰めた一滴のような優しい甘みを口内に広げ、食べ盛りの彼女の脳髄にその液を欲する回路を瞬く間に構築していく。
彼女が甘噛みやバキュームを使いつつ中身を吸い上げようと触手を刺激する口淫の上玉へと調教されてしまうはすぐのことであった。
「あっ…うっ…だめ、まだ…抑えて。この子のすごいのは…これからだよ…?」
瞳の光を失いもうすでに理性もはたらきを失い朦朧として触手にしゃぶりつく彼女を押さえ、女はその触手をベッドの中へと仕舞い込む。
だが、それは元の場所、女の局部に戻ることはなく、彼女の股間へとするすると伸びていった。
そろりと彼女の産毛だけの恥丘をなぞるその動きに、小さくあどけない体が跳ねる。
「おやおや…この子はやっぱりすごいや…もうここをこんなことにしちゃって、お父さんが知らない間にココアはアソコを濡らすことができるようになったのかい?」
だらしなく口は閉じず、ただその身に覚えのない獣欲に苛まれるだけの存在となり果てた彼女に、その言葉を理解する余裕はない。
それほどにこの虫-いや、虫と人間の力を併せ持つこの化物-の力は妖しく強大であった。
ただ彼女は理解を放棄し縦に首を振るのみである。
彼女はこの短い時間の間に自身の猥らな欲情が磨かれてしまったこと、身体の発達…生殖能力を成熟させられてしまったことに、いまだ知るよしもない。
「いい…?わたし、ココアの初めて、もらっちゃうよ。この子で、気持ち良くさせちゃうよ?」
本人が触れることすら少ない大陰唇の内側へ滑り込んだ触手の頭が、まだ存在すら気がついていない陰核をチロチロと包皮越しにさすりつつ、組み敷いた上から誘惑を降らせる。
快楽に極限まで素直な単純な思考回路に組み替えられた彼女の脳内はその深い意味すら顧みず、二つ返事で受け入れてしまう。
何が初めてなのか、何が気持ち良いのか、触手をどうするつもりなのか、股間を擦られるこの感覚は何なのか。
彼女が何も理解が追い付かないままに、彼女の故郷の孔が赫と鋭い痛みに染められた。
「アハァ…!ココアの中、お母さんよりもあったかいよ…エッチな子だね…!アぁアッ!はァんっ!」
ズチュズチュと鳴る独特な湿った音。体内が軋むような内圧が高まる圧迫感。そこにあったはずの粘膜を引きちぎられたズキズキとした痛み。
そして、コリコリと内壁を弾ませる甘く快い感覚。
身体のなかで交錯する五感の快と不快が一つに交わり、大きな一つの鈍い気分の変調…性感へと収まっていく。
破瓜の苦痛はその刺激の強さはそのままに自身を組み敷く女の嬌声によって苦痛として感じることを妨害され、情事の雰囲気にのまれてその脳髄に猥らな結論を伝える。
まだ母が元気だったころ、寝室から漏れ聞こえていたあの声を、彼女が同じ声色で出していた。
267 親子の転生 sage 2015/02/05(木) 01:30:47.45 ID:/53lv+aq
いつも私を生きがいにと言ってくれていたお父さん。お母さんが亡くなってお葬式の間強がって涙を我慢していたお父さん。
体を鍛えているのに背が小さいせいで町で兄妹と間違えられて不機嫌になりがちだったお父さん。どんな時でも私の味方でいたお父さん。
彼女の理想の人であり、もっとも遠い存在であった父に操を捧げ、いま一つになっている。彼女の踏みとどまって保ち続けていた最後の理性が砕けた音を、彼女自身で感じ取った。
快感を貪り本能に身を任せ乱雑に腰を振りあう二人の娘は、互いにそれぞれ肉親であるからとひた隠しにしてきた欲望をぶつけ合い、快楽を少しでも得ようとせめぎ合っている。
同性と猥らに触れ合う文化の嫌悪と倫理と、組み敷かれたままこの化物に命を奪われかねない恐怖と、仮にも親子で互いを性欲のはけ口とする禁忌と、
こうしている場合ではないという理性と、父に抱きつき甘えている安心感と、開発されたばかりの性感を蹂躙され快楽により服従させられる悔しさ。
全ての思い、情動、記憶、感覚はベッドに染みついた虫の猥らな粘液の作用でドロドロに解け、
その全部が性欲という形で表出し彼女を貫く触手の味に彼女は酔わされベッドの中で艶やかな腰つきをさせていたのだ。
手足は絡み合い口は濃厚な舌のペッティングが続き、もはや二人が先日まで実の父子であったと、誰も他人には理解できないだろう。
「お父さん…っ!お父さんっ!ココアに、ちょうだいっ!ココアを、お母さんに、してっ!ひっぐ、ぅああああがああがあああ゛ああ゛あ゛あ゛ががががあがああっ!!!」
「んっ…あ、あぁもちろんだともっ…!ココアにこの子の卵いっぱい生んで、たくさん子どもができるお母さんにしてあげるからっっ!ふあぁっ、ふひゃああああー!?!?」
長く太い触手に子宮内部まで犯され、性器の性感帯をいっさいがっさい掻き乱された彼女は断続的に絶頂しながらうわ言のように父を呼ぶ。
そして絶頂の痙攣で緩急のつく引き締めを味わった女にも、ついに限界が訪れた。
触手の根元からコロコロと大量の豆状の卵が殺到し、次々と彼女の子宮内へと産み落とされていく。
彼女は子宮頸部を何度も通る卵の刺激に部品の足りないゼンマイ人形のような狂った調子で泣き叫び、手足を硬直させ果て続ける。
女もまた、卵に尿道を擦られたことにより射精よりも何十倍も快感を濃縮した暴力的な快楽をもたらす産卵に神経が焼き切れ、身を預けるように彼女の脇へと倒れ込んだ。
二人の意識が闇に沈んだままのなか、彼女に挿入されたままの触手だけが、不随意に機械のように卵を彼女の胎内に放出していた…。
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268 親子の転生 sage 2015/02/05(木) 01:31:29.89 ID:/53lv+aq
とくん、とくんとくん。という自身の心臓の音で彼女はめざめた。
明らかに心臓ははち切れんばかりの勢いで鳴り続けているが、もうこれが普通なのだ。
命を虫と一つとしたためか心拍は小動物のようにドコドコと勢いよく響き、この命はヒトよりも長く持たないのだろうと理解させる。
「ん…あ…はぁ…っ!」
だがしかし、フカフカの繭のベッドを切り裂いた彼女は生まれ落ちた喜びと安堵に満ち溢れていた。
その喜色は彼女が達していることすらうかがえる。この身体は快楽に敏感で、なおかつ強く、可能な限りどこまでもその享楽に没入することができる資格を有する。
生まれ落ちた瞬間から天に召される瞬間まで、この身体、この命は絶頂と共にあるのだ。
ヒトであったころの多くの寿命をたとえ失ったとしても、この高揚感、多幸感は何よりも代えがたい心地良さであった。
「…うふふ、産まれたのね」
「…うん、ママ」
股間からだらりと触手を伸ばすまさに今日生まれたばかりの二体のヴィーナスが、獣のようなまなざしで互いを見つめる。
「仲間を増やしに行くよりも、さ…」
「わかってるよ、ママ…もう私もガマンできない…来て…!」
一時期、人類の総数の数パーセント、何億人単位にまでその魔手を広げていた寄生虫であったが、
これの大元の製造元の発明者が数か月間ぶっ通しで行われた研究と、二体の宿主のサンプルを得られたことによりワクチンや薬が完成、寄生虫を撲滅することに成功した。
事の発端となった企業の研究室では、この一件を解決させた最大の要因であった宿主のサンプルを培養液に入れ、ロビーの目立つ位置に展示し、この事件を戒めている。
互いの寄生体、触手の産卵管を互いの秘部に挿し込んだ状態で発見されたこのサンプルは尊厳を保つ名目で見つかった際の姿勢を再現した格好で培養液に浮かべられている。
恍惚とした表情で餓死していたのが発見されたという二体のサンプルを見つめていると、快楽に身を打たれたように痙攣を起こす様が見れるという都市伝説があるらしい。
終われ
五行戦隊 第十話『堕ちたハート』
175 五行戦隊 ◆vPNY1/7866 sage 2015/01/04(日) 19:29:29.70 ID:w3ZhL4Vz
悪堕ち系寄生もの、第十話です。
176 五行戦隊 第十話『堕ちたハート』(1/15) sage 2015/01/04(日) 19:32:10.63 ID:w3ZhL4Vz
数十分後。
体育館には満足げにくつろぐ生徒達の姿があった。
だらしなく胡座をかく者、脚を露出したまま投げ出す者。
その群れの中央に、一人の少女は無造作に置かれていた。
全身が濁液にまみれ、口から一筋の白液がこぼれる。
生気を失った瞳は遠くの一点を虚ろに見つめる。
それにも関わらず、なおも彼女の体内に性器を挿入し、執拗に行為を繰り返す生徒達がいた。
一人の男子が痙攣した直後、満喫したような嘆声をあげて性器を抜き出す。
膣口から精液がゴポリと音を立てて溢れ出る。
「ぐあ……っ!」
男は最後の一滴を出しきってから、ようやく相手を手離した。
少女は糸の切れた人形のように横たわる。
「お前もよく飽きないな」
「たまんねえぜ。こんだけ犯したのに、中はぎゅうぎゅうと締め付けてやがる。
こんなのとセックスしたら、普通の女なんかゴミくらいだ」
「『ヒーロー』だからな。あそこの鍛え方が違うだろ」
「ハハハハ……」
猥雑に笑う男達。
だが途中から、彼らの声は小さくなった。
なぜなら、その笑い声の中に、明らかに男ではないものが混ざっていたのだ。
男達の背後から、よろよろと起き上がる少女。
輪姦された痕跡を体のあちこちに残しながら、なおも不屈の闘士のように立ち上がる。
そんな彼女の口から、「あははは……」と負けん気の声が漏れ出る。
狂宴が収まりつつあった館内では、その笑い声はとりわけ寂しく響いた。
彼女の前髪は精液に濡れて顔にこびり付き、表情を知ることができない。
ただその奥に燃える真っ赤な瞳は、灰の中から蘇る不死鳥を連想させる。
暗黒の力に染まった、邪悪な不死鳥となって。
「なんだ、あいつ?」
「気でもふれたじゃねえか」
生徒達の声を無視して、少女は自分を問いかけるようにうわ言を呟く。
「……妖眼蟲でさえ翠を守った。それと比べたら、この人達は蟲以下じゃないか。
そういう人間のために、オレは今まで命をかけて戦ったのか?」
その直後。
少女の身に付着していた精液は、急速に黒く濁り出した。
千切られた布地に粘液が融合し、全体がマグマのようにドロドロと溶け出す。
胸の中央にある妖眼がまばゆく輝くと、
無数の触手が伸び出て、彼女の全身を覆いかぶさった。
精液の中に込められた、膨大な悪意と淫念。
それらは極上の養分となって、体内の妖眼蟲を急激に成長させる。
抵抗心という最後の枷を失った今、邪悪の力が完全に目覚めた。
「あれほど抵抗したのに……いいわよ。
そこまで化け物になってほしいというのなら、なってやろうじゃないか!」
177 五行戦隊 第十話『堕ちたハート』(2/15) sage 2015/01/04(日) 19:33:59.65 ID:w3ZhL4Vz
地面から黒い火柱が爆ぜ出て、触手に埋もれた少女を巻き込む。
次の瞬間。
火柱は一輪のコスモスのように綺麗に咲き溢れ、中から魅惑的な黒コスチュームが現れる。
正義の明るい色調から一変して、淫邪な雰囲気が漂うダークレッド。
触肉のレオタードは体にピッチリ貼り付いて、悩ましいラインをあらわにする。
背中や腹部の肌が過激に露出し、無垢の柔肌が人々の目を惹きつける。
両脚を触手のハイブーツが締め付き、
かっこよさの中にサディスティックな色香をかもす。
輪姦による狼藉の跡は一切消え、残された完璧なプロポーションが周囲を圧倒する。
深い夢から覚めたように、両目を開く灯。
彼女が今まで倒してきた妖魔と同じく、どこまでも闇を含んだ瞳孔。
それから一呼吸を置いて、触手スーツの表面に妖眼が一斉見開く。
地獄の底から地上を覗く悪魔のように、仄暗い赤光が煌く。
少女は近くの生徒達に対し、濡れた息を吐いた。
精神を揺らがすほど魅力的な声が、彼女の口から紡がれる。
「ねえ、あんた達……もうちょっと遊ばない?」
そう言って体に残った精液を指先で拭い、口に含む少女。
その仕草に見とれた者は、彼女に追随して唾液を嚥下する。
ついこないだまで真面目に正義を語った少女が、
ゾクリとするほど妖艶な魅力を見せつける。
少女の健全な体付きも、初めて見るような性を強調する衣装に包まれる。
一体何が起きたか、誰にも理解できなかった。
ただ重要な事実は一つだけ。
今生徒達の目の前にいる女は、性欲を最高に掻き立てる存在ということだ。
灯の近くにいた不良の二人組は、真っ先に朦朧となった表情で歩み寄る。
自ら罠にかかる獲物を嘲笑うように、少女は目を細める。
無防備にやって来た二人組の前に、彼女はゆっくりとしゃがみ込み、
一人の男のモノを手で握る。
触手で編まれたグローブ越しに、娼婦のような手つきでしごき出す。
「はん、熱い……」
灯は恍惚したように顔を紅潮させ、もう一人の生徒のモノを口で含んだ。
いやらしい水音が弾くにつれ、男達は荒い鼻息を立ち始める。
「ぐっ……」
「ああっ!」
しばらくもしないうち、男子達は膝をガクガク震わせ、精液を撃ち放った。
力を失って座り込む男とは対照的に、
灯は余裕綽々の表情で手についた精液を愛おしそうに舐め取る。
「癖になる味。……あなた達、まだまだこの程度じゃ物足りないでしょ?」
少女は淫魔のような笑みを浮かべると、後ろの跳び箱台の上に腰を乗せ、
太ももを左右に開いた。
触手服は自動的に紐状に解き、女性の一番魅惑的な部分を晒し出す。
178 五行戦隊 第十話『堕ちたハート』(3/15) sage 2015/01/04(日) 19:35:38.36 ID:w3ZhL4Vz
灯は手を這わせ、秘所の入り口を広げてみせた。
乱交の時に注がれた精液が蜜のようにトロリと垂れる。
そこに指先を入れ、搾取したばかりの精液をそこに加える。
あまりにも刺激的な光景に、二人の股間はすぐさま硬度を取り戻す。
「来て。その欲望、全部ぶつけて」
灯が挑発するような目付きで見つめると、男達はまるで催眠術にかかったかのように、
フラフラとした足つきで立ち上がった。
いつの間にか、彼らの両目には混沌とした暗い炎がともっていた。
「そうよ。それがあんた達の本来の姿なんだから」
灯が冷徹な笑みを浮かべ、生徒達の性器を弄んだ。
手や唇で。
太ももや足の裏で。
そして膣による中出し。
どうすれば男をイカせられるかを知り尽くしたように、灯は男二人を次々と射精に導く。
呻き声が連なり、いとも簡単に果て続ける男子達。
イク度に大量の精液をほとばしる姿は、周りの生徒から見ても異様な光景だった。
まるで精魂まで搾り取られたように、
不良の二人組はくたくたになって地面に倒れ伏せる。
灯は床にしゃがみ、切なげに眉をしかめた。
下腹部にある赤黒い紋様が一瞬強く輝く。
次の瞬間、彼女の秘所から二つの卵が続けて生まれる。
濃密な妖気にまみれたそれらを、少女が慈しむように拾い上げる。
「どうしたの。さっきまでの勢いはどこへ行ったかしら?
お前達のゲスみたいな欲望、もっと見せてくれよ」
「ゆ、許してくれ……もう、出ないんだ……」
「出ない? ハハッ、そんなわけ無いだろ。
お前達の精から産まれた子供は、こんなにも元気じゃないか!」
灯は手を前に伸ばした。
その卵だと思われていた物体が着火すると、奥に一つずつ緋色のまなこが浮かび上る。
つぶらな輝きは、遠くから見ると琥珀のように美しい。
だが生徒達がその瞳を見た途端、すぐさま妖眼獣を連想した。
灯が妖眼を垂らす。
二匹の幼虫はそれぞれ生徒達の鎖骨の間へと這い、
そこを刻み込むように寄生し始める。
「がああっ!」
「か、体が……熱い!」
男子達の体から炎が噴き出る。
あまりにも突飛な事態に、その場にいる全員が息を飲んだ。
侵蝕を受け、増強された肉体は男達の着衣を押し破る。
隆起する筋肉の表面に、血のような赤い毛並みが伸び始める。
カッと見開く少年達の瞳孔は、情欲に焼けたように赤く染まり、
灯と同じく妖魔のように縦長に伸びる。
179 五行戦隊 第十話『堕ちたハート』(4/15) sage 2015/01/04(日) 19:38:04.24 ID:w3ZhL4Vz
「……ガルルルゥ!」
一人の生徒の悲鳴が、途中から猛々しい咆哮に変化する。
やがて二人とも獣のような体型へと変化し、四つん這いの状態で立ち並ぶ。
数分もしないうちに、そこには赤い炎をまとった大型犬が二頭現れた。
野獣達の躯体に炎の気流がまといつく。
毛並みが光を反射して、妖しげながらも美麗な黒紋様が浮かぶ。
口から吐かれる息は火の粉を帯び、
獰猛な顔立ちが縄張りに侵入する他の生き物を威嚇する。
だが灯が手のひらを伸ばすと、
犬達はまるで飼いならされたペットのように顎を預け、従順な表情でさすりを受けた。
「良い子良い子。はい、チンチン」
灯が一匹に命じると、獣は何のためらいも無く仰向けとなって、四肢を天井に伸ばした。
無防備に晒された股間部を、灯が足で踏み付ける。
「キュウンンン!」
急所を踏まれているにも関わらず、大型犬は逃げるどころか、
むしろ相手を喜ばすように適度にジタバタした。
残りの炎犬も、まるでへつらうように灯のふとももに頭をこすり付ける。
「悔しくないの? 自分達の遺伝子を持った妖眼に寄生され、
支配されているんだよ? 弱い者には噛み付き、強い者には尻尾を振る。
まんまお前達の本性じゃないか」
灯は嘲笑しながら、ぐりぐりとつま先に力を込めた。
妖眼獣の弱点を熟知したような力加減。
足先から刺激と痛みが絶妙のバランスで繰り出され、オスの劣情を引き出す。
瞬く間に、犬は「アオーン」と鳴きながら濁液を発射した。
「情けないわ。こらえ性が無いくせに、性欲だけ人一倍あるんだから。
このまま社会に出ても、みんなの迷惑になるだけだよ?」
灯は蔑むように言った後、くすっと笑った。
「でも大丈夫。お前達みたいな屑に、オレがご主人様になってあげる。
しっかり調教して、女の子に奉仕する精奴隷犬や、
寄生されていな娘を嗅ぎ分ける猟犬に仕立てて、人の役に立つ存在にしてあげる」
「クゥーン」
犬達は卑しい鳴き声で唸りながら、灯の脚を舐めた。
「おい、なんだあれは……」
「市垣のやつらが……化け物になったぞ!」
我に返った傍観者は、ようやく身震いすることを思い出す。
ついさっきまでクラスメートだった存在が、自分達を襲った異形と同類になってしまった。
あまりにも身の毛がよだつ事実。
すかさず、数人の生徒が非常口へ駆け寄った。
だが一筋の熱気が彼らの耳元をかすめる。
強烈な火炎弾が非常口の扉を直撃し、炎上させる。
180 五行戦隊 第十話『堕ちたハート』(5/15) sage 2015/01/04(日) 19:39:11.56 ID:w3ZhL4Vz
「お楽しみはこれからだっていうのに、どこへ行くの?」
灯は暗黒の笑みを作った。
炎を放ったばかりの手のひらから、黒い妖気が立ちのぼる。
それだけに留まらず、彼女を中心に灼熱の熱波が体育館内を充満する。
「感じるわ。お前達からもらった淫気が体中を溢れ返る……最高に気持ちいいよ!」
灯は拳を握り締めると、指の隙間からさえ妖力の残滓が噴き出る。
修行しないと身に付かない霊力と違い、
搾取した淫気はそのまま邪悪なエネルギーとなって、無限の活力を供給してくれる。
触手服に体を締め付けられるゾクゾク感。
妖眼蟲に寄生支配されている高揚感。
それらが元々活発だった性格と融合して、今すぐにでも大暴れしたい気分になる。
戦慄する生徒達と違い、一人だけ愉しんで鑑賞する者がいた。
そんな彼女の元に、数人の生徒が問い詰める。
「話が違うじゃないか!」
「俺達がアイツを犯したら、解放してくれるって約束じゃなかったのか!」
「ええ、約束したわ」
清見は表情が変わらないまま、平然と答える。
「『私と私の部下』は、ね。あの子は私と敵同士なんだから、私の約束とは無関係だわ」
「な、なんだと?」
「くそっ、騙したな!」
逆上する生徒達。
その時、彼らの背後で呪文を詠唱する低い声が、体育館全体を響く。
「はあ――ッ!」
妖力を集め終えた灯が両腕を床に叩きつけると、黒炎の円陣が燃え広がる。
円陣の境目に万丈の炎気が噴き上がり、清見と生徒達の間を横切り、
内側を絶対的な牢獄へ閉じ込こめる。
陣内に満ち溢れる黒い熱気は、容赦なく生徒達の欲望や血気をあぶる。
「ぐああっ……!」
「な、なんだこれは」
「あそこが……熱い!」
炎気を浴びた生徒達は次々と苦しげに呻く。
意志力が弱い者ほど、そしてより多く灯と性交した者ほど、
股間の一物は熱い鉄棒のように直立し、飢えた獣のような唸り声をあげる。
黒炎陣の妖気は彼ら自身の邪念を焚き付け、理性を燃やし尽くす。
残されるのは、人間が本来持つ凶暴な闘争心や原始的な性欲。
「さあ、一緒に楽しもうじゃない。あなた達の精液、一滴残らず吸い取ってあげるわ!」
勝ち気な口ぶりで言った後、灯のスーツは無数の触手にほどける。
艶かしい肌色が陽炎の中を揺らぎ、
触手スーツの内側に篭っていた濃厚な淫気がドッと外へ拡散する。
妖眼蟲に寄生された時点で、宿主化した雌の個体は妖気のフェロモンが作り出せる。
灯が心から妖眼蟲に屈した今、元の霊力素質が最大限に発揮され、
並みの退魔師でさえ惑わすほど極上の淫香を放つ。
181 五行戦隊 第十話『堕ちたハート』(6/15) sage 2015/01/04(日) 19:40:40.94 ID:w3ZhL4Vz
妖眼の触手は少女の体を愛撫する。
胸の谷間を蛇行し、腰のくびれを巻きつき、股の一番神秘な部分を隠すように滑る。
そんな淫蕩な絵を見せつけられ、生徒達の目は一様に血走った。
一人、また一人と淫香に誘われ、くらんだ目つきで少女の体を抱いた。
そして快楽に導かれるまま精液をぶちまける。
あたかも食虫植物に誘われる虫けらのように。
さきほどの輪姦劇と似た風景でありながら、その主導権は完全に逆転した。
精液を浴びるほどに灯は苗床として、より淫らに成長していく。
生徒達の遺伝子を取り込んで、新しく産み出される蟲の幼虫。
精気を搾り尽くされた者から寄生し、その姿を獰猛な炎獣に変貌させる。
清見は乱交を遠くから見つめたまま、震えの止まらない体を抱き締めた。
青い触手スーツはぐちゅぐちゅと音を立てて、股間を覆う肉布の隙間から愛液が溢れ出る。
灯の性格は以前と似ているものの、気質は明らかに変化した。
朗らかさは開放的に。
負けず嫌いは好戦的に。
不屈の勇気は傲岸不遜に。
そして最大な変化は、正義を守らんとする情熱が、邪悪を貫くための執念となった。
妖眼蟲がもたらす変化は、寄生した人間に左右される。
男女で大別すれば、
オスはより多くの女を犯すため、己の欲望に比例して身体能力が向上する。
メスならばより多くの男を誘惑するため、オスを搾取するのに最適な美貌や外見を得る。
両者に共通するのは、
より多くの寄生感染者を作り出すため性欲が増大されるところだ。
一人の太り気味の男子が炎犬に肩を噛まれたまま、灯の前へ連れ出される。
灯を最初に犯した生徒だった。
だがかつて傲慢だった態度は消え果て、今や表情は恐怖のどん底に陥っていた。
「た……助けてくれ!」
男はたまらず膝を床に曲げた。
「ふーん、あんたにもそういう感情はあるんだ。
オレを犯してくれた時、あまりにも容赦無かったから、てっきり冷血無比かと思ったよ」
「おおっ俺は……俺はただ、あいつらの言われた通りに……!」
「他人から言われれば、従っちゃうんだ」
灯が冷笑を浮かべて近づくと、生徒は腰が抜けたように後ろへ転がった。
その無様な姿を、灯はぷっと噴き出す。
「そんなに許してほしいなら、『あなた様を化け物と罵ってすみませんでした』って、
土下座しながら十回言ってみろ」
「あなた様を化け物と罵ってすみませんでした!
あなた様を化け物と罵ってすみませんでした!」
男はすかさず姿勢を低くし、頭を餅つきのように床に叩いた。
だが彼が言い終わっても、灯は相変わらず汚物を見るような目線を投げつける。
「言い忘れたけど、昔からオレは三つのタイプの男が嫌いなんだ。
一つは、なんでも他人のせいにするヤツ。二つは、意見をころころ変えるヤツ。
そして三つ目が、すぐ土下座して命乞いしちゃうヤツ……って、あれ。
あんたが全部当てはまっちゃうじゃん」
182 五行戦隊 第十話『堕ちたハート』(7/15) sage 2015/01/04(日) 19:42:47.21 ID:w3ZhL4Vz
「あ、ああぁ……!」
生徒が振り返って逃げようとすると、灯の触手はバネのよう一斉に伸び、
彼をひっくり返して縛った。
その腹上を灯は馬乗りになって、口角を邪悪に吊り上げる。
「その表情、たまらないわ。恐怖にまみれてるくせに、あそこがびんびんになってる。
本当は少し期待してるだろ? オスという生き物は、どこまで情けないかしら」
灯は嘲笑しながら固まりきった肉棒を手に取る。
その先端を秘所の入り口に宛がい、触れるか触れないかの距離に保った。
女性の柔らかい花弁は何度も亀頭と接触して、こぼれた愛液が怒張りをいやらしく濡らす。
男の顔から理性が徐々に消えていく。
「ぐううぅ……!」
「あんたがあまりにも惨めだから、許してあげるわ。でもいいのかしら?
こんなチャンス、もう二度と来ないぞ? あとちょっと腰を伸ばせば、
あなたは自分の名前すら忘れるほどの快感を味わうんだぞ?」
灯は煽るように言いながら、腰を柔軟にくねらせて性器同士をキスさせた。
肉棒が淫裂に入れ損ねるたび、媚肉から水音が滴って、男を性欲に渇かせる。
「ぐわああっ!」
ついに、男子生徒は甲高い叫び声を張り上げ、灯の体を力強く突き上げた。
性器同士の直接接触により、
妖気は一気に生徒の体内へと雪崩れ込み、内側から肉体を寄生する。
しばらく前の乱交を遥かに凌駕する快楽だった。
生徒の太った体が燃え盛る。
昇天するような雄叫びが口から叫ばれる。
その体はゆるやかに膨らみ、貪欲に肥えたイノシシに変化した。
精気が灯の体内に吸収され、代わりに妖気を携わった妖眼蟲が植えつけられる。
「本当情けないんだから。
その腐った根性叩き直してやるから、今のうちに覚悟してよね」
新たな奴隷を貶す目つきで見下ろしながら、灯は嗜虐的な笑みを浮かべた。
炎の熱波に覆われた空間。
いつしかほとんどの生徒は目をぎらつかせ、欲望をたぎらす妖眼獣になった。
獣と化した姿は十人十色だが、そのいずれも全身に炎をまとい、
体のどこかに赤い妖眼が寄生して、灯の眷属であることを示す。
ただ一人残された生徒は、体を丸めてブルブル震わせていた。
「どこへ行こうとしてるの、せ・ん・ぱ・い?」
「ああ……っ!」
体を引きずって逃げようとした男は、その場で倒れる。
「お願いだ……見逃してくれ!」
「もう、先輩ったら。まだ気付いていないの?」
「えっ?」
「私は灯だよ、あーかーりぃ。さっき先輩達が言ってた、後輩の陸上部の子だよ。
ずっと内緒だったんだけど、実は私、五行戦隊だったの」
183 五行戦隊 第十話『堕ちたハート』(8/15) sage 2015/01/04(日) 19:44:19.71 ID:w3ZhL4Vz
普段から一人称に変え、少女はウィンクしてみせた。
その屈託の無い笑顔は、ついさきほどまでとは別人のように思える。
彼女はがっかりしたように溜息をつくる。
「私、ずっと先輩のこと好きだったんだ。でも、先輩は……」
その時、男はようやく記憶の奥から健気だが恋に奥手そうな少女を引き出す。
そしてそれを目の前の明朗快活な少女と繋げる。
男の頭は電光石火のごとく回転した。
「全部俺が悪かった」
「へ?」
「さっき言っていた言葉、あれ全部デタラメなんだ!
俺が見栄を張っただけで、本当は小心者で……」
「嘘よ! 先輩はサッカー部の人達と一緒に、私のことバカにしてたじゃない!」
「嘘なんかじゃない! 俺は本当は、ずっと前から灯ちゃんのこと好きなんだ!」
逆上する灯に向かって、沖田は恐れず大声で叫んだ。
灯ちゃんという呼び名と「好き」という言葉を聞いた瞬間、
灯はまるでハンマーで殴られたようによろめく。
「サッカー大会前日の練習の時、学校に来たんだろ?
途中で土砂降りになったのにお前は帰らなかった。俺を見に来る女子は、
みんなかっこいいところばかり見ようと試合当日しか見てない。だがお前は違った。
俺が泥まみれになった時だって、見てくれたんだ」
「そうよ……だって、私が初めて先輩と出会った時がそうだった。
努力する時の男の子が、こんなにもかっこいいだなんて、知らなかった」
先輩のまっすぐな眼差しに押され、灯は動揺したように二、三歩下がる。
しかし、彼女は相手を見つめたまま首を振る。
「でも、もう信じない……みんな、私に嘘をついているんだ。みんな心の中で、
私のことを責めているんだ。祥子も、翠も。陽子先生だって、今の姿を見たら……
きっと、学校の全員がそうなんだよ!」
「俺は違う!」
「聞きたくない!」
「いや聞いてくれ! お前は何も悪くないんだ。
俺がもっと速く、打ち解ければ良かったんだよ」
「何を今さら……」
「ねえ、灯ちゃん。もうこんなことを止めよう。灯ちゃんにもて分かるでしょ?
自分の心の中で苦しんでいることを」
沖田は立ち上がって、ゆっくりと手を伸ばした。
灯は息苦しそうに胸を掴んでいたが、ついにその腕を避けることができなかった。
そして沖田に触れられた途端、彼女の体から力が抜けた。
倒れ込んだ先輩の胸の中で、
今まで溜め込んだ悔しさを一気に解放するかのように咽び泣いた。
肩口を激しく震わせたまま。
184 五行戦隊 第十話『堕ちたハート』(9/15) sage 2015/01/04(日) 19:47:04.71 ID:w3ZhL4Vz
背中に流れる冷え汗を耐えながら、沖田はまだ恐怖が引きつる顔をニヤリとさせた。
思いっきり勝負に出たのは成功だった。
この手の義理固いタイプの女は、例え骨の髄まで恨まれて、まだまだ挽回する余地はある。
一度泣かして、恨みを晴らさせる。
そして昔の良い思い出を想起させる。
トドメに未来への希望を持たせるような言い方をすれば、必ずまた気を許してくれる。
「灯ちゃん、もう一度やり直そう。今度こそ、最初から俺と一緒に」
「もう、遅いよ……私はもう、取り返しもつかない事をしてしまったの」
「遅くなんかない。灯ちゃんは、正義の味方なんだろ?」
「先輩……」
正義の味方という言葉に、灯は真っ赤になった目を上げる。
その動揺を察知して、沖田は心の中で笑みを作った。
今までの灯の言動を洗い直せば、どのフレーズが彼女の心に響くかよく分かる。
異性を騙す演技力には絶対の自信がある。
たとえ相手が化け物だとしても、それに変わりは無い。
ここぞとばかりに、沖田は出来る限り優しい口調で言う
「誓うよ。俺は灯ちゃんのこと、心から好きなんだって」
「本当に……本当なの? 下心とか無しに」
「もちろんさ」
「じゃあ、これからその言葉を証明してもらうよ」
突如、灯は泣きべそから破顔して、ニッとして見せた。
今までの咽び泣きや震えた声は嘘のように消え、勢いよく男を押し倒す。
「本当に下心が無いっていうなら、これくらいのことは耐えられるだろ」
灯は蠱惑的な表情を作り、男の股間の一物に手を添えた。
「これから十分間、射精を我慢できたら、先輩が本当に体目当てじゃないってこと、
信じてあげてもいいわよ」
「あっ……ううぅ!?」
灯は竿の裏筋に息を吹きかけてから、指先でつーっとなぞり上げる。
亀頭に一筋の唾を垂らし、性器全体へまぶすように優しく撫でる。
溢れる汁気を指の腹で一つ一つ滑らせ、男性にとって最高の気持ち良さを与える。
男は口を大きく開いて、重苦しい息を吐いた。
絶妙な力加減に、体中の快感細胞が入れ替わるように躍動する。
灯の可愛らしいが魔女のような笑みを一目見ただけで、全身の血行が加速する。
今まで経験したどんなセックスも霞んでしまうほど、目の前の少女が魅力的に見える。
「ねえ、先輩……私とキス、しよ?」
男の理性をぶち壊すかのように、灯は静かに唇を重ねる。
柔らかい舌先が小動物のように滑り込み、唾液を混ざり合わせる。
甘い味が脳髄までとどろく。
親鳥からエサを受け取る雛のように、男は灯の唾をすべて飲み込んでしまった。
それが更なる搾精をするため、妖眼蟲が作り出す媚薬とも知らずに。
185 五行戦隊 第十話『堕ちたハート』(10/15) sage 2015/01/04(日) 19:49:04.97 ID:w3ZhL4Vz
「うっ……があああ!」
イケメンだった顔立ちにたちまち血の気が昇り、オスの顔つきになる。
その様子を見て、灯は意地悪そうに笑った。
「私、先輩のこと大好きだよ。だから、とびっきりの淫気をこめてあげたわ」
「ぐがあああ――!」
灯の言葉を象徴するように、
陽根の表面に血管が浮かぶほどガチガチに固まって、まっすぐそそり立った。
とどまること無く、次から次へと溢れ出る先走り汁。
それを灯はわざと音を立てて竿へと濡らす。
赤黒く鬱血した亀頭に指先が触れるたびに、肉棒がビクンと跳ね返る。
その時灯は決まって反応した部分を舐め、その快感を相手の脳に焼き付ける。
「があっ……くっ!」
「ねえ、先輩。今までセックスした女の子達の中に、こんなことしてくれた子いました?」
灯は嫣然と笑うと、肉棒を胸の谷間で挟み、亀頭の先端だけを露出させる。
そして上目遣いしたまま、可愛らしい舌先で鈴口をちょろっと舐めた。
まるで電撃を受けたように、男の腰はガクンと飛び跳ねる。
灯はそのまま頭を下げて先端を口内に含ませる。
肉棒が中を滑らせられる快感が、体内で炸裂して四肢へと広がる。
だがまさに火山が噴火しようとした直前。
男の根元はぎゅっと握り締められ、沸騰のマグマが強制的に押し留められる。
「ぐはあっ……っ!」
「どうしたの、先輩? このままイッちゃうと、やっぱり下心があるってことになっちゃうよ?
気持ちさえ良ければ、相手は誰でもいいんだ」
「そ、それは……」
「そうそう。もっと我慢した顔を見せて。……私をもっと楽しませるために!」
灯は残虐な笑みを浮かべ、再び肉棒をしごき出した。
乳房は先走り汁や唾に濡れて、いやらしい光沢を照り返す。
熱い吐息が何度も亀頭と衝突する。
だがイきそうになる度に、動きは中断され、射精をギリギリのラインで寸止めされる。
まるで男性器の所有権は相手にあるかのごとく。
「も、もう……だめだ!」
「ええ? まだ三分も経ってないよ」
「こんなの……もう耐えられない!」
「もう、先輩の意気地なし。じゃあ、最後にこれだけ耐えてみせてよ」
灯は肉棒の根元を指でぎゅっとつまむと、赤い呪印を焼きつける。
それから体を起こし、充血しきった一物を自分の膣に向けた。
次の瞬間、腰を一気に根元まで沈める。
「うああああああああ――!」
男は喉を潰さんばかりの悲鳴を上げた。
膣壁は肉棒を窮屈そうに包み込み、濡れそぼった蜜穴があらゆる方向から締め付ける。
おぞましい快感が男の脳内を占領し、何もかも蒸発しそうだ。
だが絶頂を登る度に、精液が根元で塞き止められる。
抽送が繰り返される中、陽根の根元にある呪印が真っ赤に輝く。
186 五行戦隊 第十話『堕ちたハート』(11/15) sage 2015/01/04(日) 19:50:52.56 ID:w3ZhL4Vz
「はぁ、あん……いいでしょ、先輩? その呪印はね、
私の許可無しに射精できないってものなの。これで先輩は約束を破らずに、
思いっきり楽しめるでしょ?」
灯は男の胴体に両腕を突き立て、雌豹のように体付きを上下させる。
陸上部で鍛え抜かれた理想な体。
余分の贅肉が一切無く、体幹から四肢に至るまで思春期の息吹を漂わせる。
妖眼蟲の淫気に影響されてから、
それが更にいかなるオスをも魅了する肉体へと昇華した。
寄生服の触手は宿主を喜ばそうと、美乳や胴体に巻きつく。
少女の柔肌と不気味な触手とのギャップが、より一層淫らさを際立たせる。
その色香極める光景を、沖田はまなじりが裂くような勢いで凝視した。
これまで吸い続けた炎気や唾の影響が、血流が奔騰に乗って全身を侵蝕しきった。
ついに、欲望が限界を超える。
沖田は狂気を滲ませた怒号をあげ、少女の体を掴んだ。
「ああぁん」と灯が嬌声をあげて腰を振る。
くちゅんくちゅんと水音が弾み、汗や愛液が四方へ飛び散る。
少女の蜜穴はまるで触手のるつぼのように、異常に膨らんだ陰茎をきつく締める。
「ねえ。先輩、私のことが好き? どんな女の子よりも?」
「ああ、そうだ……大好きだ!」
「じゃあ、昔の私よりも? 正義を守っていた頃の灯よりも、
今の先輩とセックスしてくれる灯のほうが好き?」
「ああそうだ、今の灯ちゃんが好きだ! だから速く、中に出させてくれぇええ――!」
灯は冷笑を浮かべた。
沖田にはなんてことの無い一言だろうが、
これで彼女の内側にあるかつての人格は完全に封印された。
「いいわ、望み通りにしてあげる。もう今後一切、
今の私とセックスすること以外考えられないように、その体に直接焼印を刻んであげるわ。
さあ、私と一緒にイって――!」
灯は悪魔な笑みを作ると、脚の付け根を男の腹部に密着させ、
子宮口に肉棒が当たるまで腰を落とした。
一寸の隙間も無く繋がる二つの体。
男子生徒の全ての欲望が解き放たれ、一生分の精子を使い尽くす勢いで射精した。
雄叫びが建物を揺るがす。
極限まで高められた淫気と精液が、そのまま灯の体内へと取り込まれる。
だが同時に妖眼蟲の卵も子宮口を通り、男の性器に寄生する。
二人の喘ぎ声が響き合う。
だが男声の快楽の叫喚が、途中から獣のような唸り声へと変質する。
男子生徒の骨格や体格は爆発的に膨らみ、筋肉が隆々と盛り上がる。
その禍々しい気配は、今までの生徒よりも格別だった。
胴体は剽悍な熊に。
下肢は力強いライオンに。
背中から伸び出る犬鷲の両翼。
そして頭部は赤い目をともした黒山羊に変貌し、
その口から放たれる咆哮は爆風のように空間全体を震撼させる。
今まで変化したどの者よりも、強い妖気をまとった存在となった。
187 五行戦隊 第十話『堕ちたハート』(12/15) sage 2015/01/04(日) 19:53:12.46 ID:w3ZhL4Vz
「あーあ、酷い姿。先輩のイケメンが台無しだわ」
普通の妖眼獣よりも一回りほど大きい悪魔の姿を、灯は卑しめるように笑う。
彼の股間の一物は凶暴なサイズとなり、ドクドクと勃起していた。
竿の表面に一つの妖眼が寄生し、根元には灯が施した赤い線がそのまま残る。
「その呪印がある限り、先輩は私でしか射精できないの。
でも、私はもう先輩のこと好きじゃ無くなったから、
そんな頻繁にエッチしてあげられないの」
グルルゥと唸る悪魔。
全身から漂う凄まじい気炎は、その体に潜む欲望エネルギーの総量を象徴する。
「でも安心して。特別に女の子を十人寄生する度に、
ご褒美として射精できるようしといてあげる。ふふっ、
女を犯すことが大好きな先輩にとって、やり甲斐のある仕事でしょ?
これからは性欲のために、たくさんの女の子に蟲を植えつけようね」
「ブオォ――ン!」
もはや人語を忘れた妖眼獣は、ただ地響きのような野太い声で返答した。
■
「うーん。すっきりしたぁ。」
灯は腕を頭上に挙げ、気持ち良さそうに背伸びをする。
分裂した触手は服装状態に合体し、淫交の余熱と残り香をそのまま内包する。
その横に、清見の無表情な顔つきが現れる。
「ようやく終わったわね」
「うわっ、清見……」
「『ああぁん、私と一緒にイッて――!』だって」
「ちょ、ちょっと! もしかして、全部撮ってたの!?」
清見が手に持ってる目玉型ビデオカメラに気付き、灯はこれ以上無いほど狼狽した。
彼女はすかさず飛び掛ったが、
それよりも速く清見がビデオカメラを触手服に押し入れた。
スーツに溶け込んだ目玉は素早く位置を入れ替え、どれがどれなのか区別できなくなる。
「安心して。私が気分良いうちは、編集してみんなに見せるようなことも無いから」
「こ……の……」
灯は歯軋りするも、どうしようも無かった。
五行戦隊の時から清見にいろんな弱みを握られたが、寄生後は早速一つ増えた。
「それにしても、今までよく手を焼かせてくれたわね」
「くっ……だって、こんなエッチな格好になるんだよ。
お前や翠は似合ってるからいいけど、オレはこういうの……自信無かったし」
露出度の増えた体を見て、バツ悪そうに弁解する灯。
二人の間には、親友同士ならではの空気が流れる。
だが二人の体から発される妖気は、正義の味方たる五行戦隊とは正反対のものとなった。
188 五行戦隊 第十話『堕ちたハート』(13/15) sage 2015/01/04(日) 19:54:15.94 ID:w3ZhL4Vz
「どう。私の言った通り、妖眼蟲に身を委ねれば楽になるでしょ?」
「ぐっ……まあ、確かに、少し気持ち良かったよ。その……なんて言うか、
思ってたほど悪い気分じゃなかったし」
「少しだけ?」
清見がジト目で見つめる。
灯は顔を真っ赤にして、大声で開き直った。
「分かったよ、謝るよ。今まで散々逆らってすみませんでした、
手間を掛けさせごめんなさい私が全て悪かったです」
「負けず嫌いなんだから。でもこれからは素直になれるよね」
「だって……こ、こんな気持ち良いこと経験したら、もう蟲無しじゃ……生きていけないもん」
最後に口調を弱めながら、灯は恥かしそう視線を逸らした。
その隙をつくように、清見は灯にキスをする。
最初は驚いた灯だったが、すぐに頬を赤らめ、両目をつむった。
お互いの指は恋人のように絡み合う。
顔が離れた後も、二人はそのまま抱き締め合う。
清見は灯が最後に寄生化した妖眼獣を見つめる。
「強力な上級妖魔が生成できたわね。妖眼蟲なら、
霊力を持たなくても欲深い人間から妖力を引き出せる。灯も感じたでしょ。
人間を支配する喜びと、妖眼蟲に支配される幸せを」
「ええ。今なら分かる。自分は妖眼蟲に寄生されるために、今まで生きてきたんだって」
「これからは抵抗する人間達と戦うことになるけど、あなたにできるの?」
清見が問いかけると、灯は困惑することなく、逆にワクワクしたように答えた。
「たとえ屑であっても、オレは人間を守る。妖眼蟲に支配される世界を守る。
五行戦隊のために培った力は、そのために使ってやるさ」
灯は左腕を掲げた。
そこに黒い妖気の炎が渦巻く。
「それに、こっち側にいたほうがたくさん暴れられるだろ?
強い退魔師といっぱい戦えるんなんて、こんな面白い事ほかにあるかよ。
なあ、睦美!」
話の最中、灯は清見を押しのけると、猛然とした勢いで地面を殴った。
天井まで噴出する火柱から、一つの人影が飛び出る。
その人物は灯や清見から距離を取って身構える。
褐色の護霊服は妖炎に焼かれ、黒い煙が漂う。
「すまんな、睦美。オレはもうお前の敵になったんだ」
「……」
睦美は不動の山のごとく、かつて戦友達を見つめた。
灯は心底から楽しそうな表情を浮かべていた。
好敵手を見つけると喜ぶところは、以前の灯と変わらない。
ただ昔と違うのは、かつてその瞳に宿っていた正義の炎は、今では反逆の象徴となっている。
戦うことや他人を打ち倒すことで快感を見出す、危険極まりない妖魔と化して。
189 五行戦隊 第十話『堕ちたハート』(14/15) sage 2015/01/04(日) 19:55:37.35 ID:w3ZhL4Vz
「セックスも気持ちいいけど、やっぱ強いヤツと戦えるほうが嬉しいわ。
あんたとは一度、本気でヤッてみたかったんだよ!」
次の瞬間、灯は目にも止まらぬ速さで睦美と距離を詰める。
だが先読みしたように、睦美は右拳を繰り出す。
「砕石拳っ!」
「バーンナックル!」
両者の全力がぶつかり合う。
霊力と妖力が衝撃波となって、その地点から波紋のように広がる。
褐色と赤色の影は大きく揺らぐと、それぞれ反対方向へ分離する。
「やるじゃねえか、睦美。……気持ちいいぜ、この痛み!」
灯は不敵な表情を浮かべた。
彼女の左腕は灰色に石化した。
腕を保護していたはずの触手スーツにひびが入り、所々砕けて落ちる。
その一方、睦美の右腕は黒い炎に包まれていた。
しばらく経っても残火は燃え続き、バトルスーツは炭のように黒焦げになる。
腕の感覚は一切失われ、指の一本さえまともに動けない。
(くっ……)
睦美は顔色一つ変えず、腕から伝わる痛みをこらえた。
一見痛み分けのような結果。
だが睦美は地中に潜んでいた時から、万全の体制で霊力を溜めていた。
それに対し、灯の攻撃は咄嗟に放ったもの。
ダメージが同じならば、今の灯の力量は睦美を上回ることになる。
その時。
睦美と灯の横の壁からが、突如百本もの剣の先が突き出る。
切り裂かれた壁の後ろから、暗黄色の触手服を着た少女が陽気に現れる。
「はいはい、職員室を全員寄生し終わったよ。清見の分まで残してなくて、ごめんね」
「鈴華……!」
てへっ、と謝る黄色い触手服の少女。
睦美はその小柄な人影を見て心を沈ませた。
それと違う方向に、別の変化が生じる。
地面から大きな蕾が盛り上がり、咲いた花の中から暗緑色の少女が現れ出る。
「翠……!」
「……指示通りに、理事長室の封印庫からこれを」
翠は一つの古ぼけた壷を清見に手渡した。
彼女は睦美に気付いても視線を合わすことなく、
ただ赤らめた顔で灯のそばへ行き、荒い吐息のまま石化した腕に薬草を塗りつけた。
無機質だった石はたちまち血の気を取り戻し、通常の肌色までに回復する。
触手スーツは壊死した肉布を分断し、新たな触肉を再生するため粘液を分泌する。
190 五行戦隊 第十話『堕ちたハート』(15/15) sage 2015/01/04(日) 19:57:59.44 ID:w3ZhL4Vz
「サンキュー、翠」
「ちょっとバカリ、なに勝手に寄生されてるの?
あんたを『鈴華様、私を犯してください~』ってひーひー泣かせる私の計画、
台無しになったじゃない!」
「はあ? 誰が誰を犯すんだって? チビっ子のくせに」
「むき――っ、だからチビって言うな!」
可愛らしく頬を膨らませ、つま先を伸ばす鈴華。
彼女をわざと上から見下ろすよう、更につま先を伸ばす灯。
睦美にとって、それは見慣れたような光景だった。
冗談を言い合ったり、じゃれあったりしていた日常。
「はいはい、そこまで。翠もご苦労だわ」
灯と鈴華を制止しながら、清見は足元に水溜りを出現させる。
そこに壷が置かれると、ぽとりと沈んで無くなった。
「五人全員が揃うなんて、久しぶりね」
睦美は硬い表情のまま呟き、仲間の顔を一人ずつ確認するように眺めた。
自分にとってかけがえの無い仲間達。
しかし今、彼女達は最悪の敵として自分の前を立ちはだかる。
「後はあなただけよ、睦美」
深海のような冷めた瞳で見つめる清見。
「そういうことだ。いっぱい楽しもうぜ」
灯は好戦的な笑みで回復したばかりの拳を握り締める。
「私達は仲間でしょ? 安心して、すぐ睦美にも、寄生の快楽を思い知らせてあげるから」
ニッコリと妖眼剣の剣先を向ける鈴華。
「……」
虚ろな瞳で顔を赤め、吐息に罪悪感と無力さを滲ませる翠。
彼女ら四人は、いずれも睦美と同格の実力の持ち主である。
妖力に強化された今、例え一対一でも確実に勝てる自信は無い。
睦美は思わず空を見上げた。
肉壁化した天井がうねうね蠢き、
まわりの息苦しい空気と同じよう重く押しかかってくる。
例えそこに天井が無くとも、見えるのは鉛色の曇り空だろう。
はたして、いつになったら光がこの大地に届くだろうか。
この悪夢の結末を見るよりも速く、目を覚ましてくれるような太陽の光が。
191 五行戦隊 第十話『堕ちたハート』 sage 2015/01/04(日) 19:59:01.76 ID:w3ZhL4Vz
以上です。
新しい一年間は、
全ての住民様に良いことがありますように、全ての作者様がすらすら作業進められるように、
そしてスレがますます繁盛することを心より祈ります。
今年もどうかよろしくお願いします。
悪堕ち系寄生もの、第十話です。
176 五行戦隊 第十話『堕ちたハート』(1/15) sage 2015/01/04(日) 19:32:10.63 ID:w3ZhL4Vz
数十分後。
体育館には満足げにくつろぐ生徒達の姿があった。
だらしなく胡座をかく者、脚を露出したまま投げ出す者。
その群れの中央に、一人の少女は無造作に置かれていた。
全身が濁液にまみれ、口から一筋の白液がこぼれる。
生気を失った瞳は遠くの一点を虚ろに見つめる。
それにも関わらず、なおも彼女の体内に性器を挿入し、執拗に行為を繰り返す生徒達がいた。
一人の男子が痙攣した直後、満喫したような嘆声をあげて性器を抜き出す。
膣口から精液がゴポリと音を立てて溢れ出る。
「ぐあ……っ!」
男は最後の一滴を出しきってから、ようやく相手を手離した。
少女は糸の切れた人形のように横たわる。
「お前もよく飽きないな」
「たまんねえぜ。こんだけ犯したのに、中はぎゅうぎゅうと締め付けてやがる。
こんなのとセックスしたら、普通の女なんかゴミくらいだ」
「『ヒーロー』だからな。あそこの鍛え方が違うだろ」
「ハハハハ……」
猥雑に笑う男達。
だが途中から、彼らの声は小さくなった。
なぜなら、その笑い声の中に、明らかに男ではないものが混ざっていたのだ。
男達の背後から、よろよろと起き上がる少女。
輪姦された痕跡を体のあちこちに残しながら、なおも不屈の闘士のように立ち上がる。
そんな彼女の口から、「あははは……」と負けん気の声が漏れ出る。
狂宴が収まりつつあった館内では、その笑い声はとりわけ寂しく響いた。
彼女の前髪は精液に濡れて顔にこびり付き、表情を知ることができない。
ただその奥に燃える真っ赤な瞳は、灰の中から蘇る不死鳥を連想させる。
暗黒の力に染まった、邪悪な不死鳥となって。
「なんだ、あいつ?」
「気でもふれたじゃねえか」
生徒達の声を無視して、少女は自分を問いかけるようにうわ言を呟く。
「……妖眼蟲でさえ翠を守った。それと比べたら、この人達は蟲以下じゃないか。
そういう人間のために、オレは今まで命をかけて戦ったのか?」
その直後。
少女の身に付着していた精液は、急速に黒く濁り出した。
千切られた布地に粘液が融合し、全体がマグマのようにドロドロと溶け出す。
胸の中央にある妖眼がまばゆく輝くと、
無数の触手が伸び出て、彼女の全身を覆いかぶさった。
精液の中に込められた、膨大な悪意と淫念。
それらは極上の養分となって、体内の妖眼蟲を急激に成長させる。
抵抗心という最後の枷を失った今、邪悪の力が完全に目覚めた。
「あれほど抵抗したのに……いいわよ。
そこまで化け物になってほしいというのなら、なってやろうじゃないか!」
177 五行戦隊 第十話『堕ちたハート』(2/15) sage 2015/01/04(日) 19:33:59.65 ID:w3ZhL4Vz
地面から黒い火柱が爆ぜ出て、触手に埋もれた少女を巻き込む。
次の瞬間。
火柱は一輪のコスモスのように綺麗に咲き溢れ、中から魅惑的な黒コスチュームが現れる。
正義の明るい色調から一変して、淫邪な雰囲気が漂うダークレッド。
触肉のレオタードは体にピッチリ貼り付いて、悩ましいラインをあらわにする。
背中や腹部の肌が過激に露出し、無垢の柔肌が人々の目を惹きつける。
両脚を触手のハイブーツが締め付き、
かっこよさの中にサディスティックな色香をかもす。
輪姦による狼藉の跡は一切消え、残された完璧なプロポーションが周囲を圧倒する。
深い夢から覚めたように、両目を開く灯。
彼女が今まで倒してきた妖魔と同じく、どこまでも闇を含んだ瞳孔。
それから一呼吸を置いて、触手スーツの表面に妖眼が一斉見開く。
地獄の底から地上を覗く悪魔のように、仄暗い赤光が煌く。
少女は近くの生徒達に対し、濡れた息を吐いた。
精神を揺らがすほど魅力的な声が、彼女の口から紡がれる。
「ねえ、あんた達……もうちょっと遊ばない?」
そう言って体に残った精液を指先で拭い、口に含む少女。
その仕草に見とれた者は、彼女に追随して唾液を嚥下する。
ついこないだまで真面目に正義を語った少女が、
ゾクリとするほど妖艶な魅力を見せつける。
少女の健全な体付きも、初めて見るような性を強調する衣装に包まれる。
一体何が起きたか、誰にも理解できなかった。
ただ重要な事実は一つだけ。
今生徒達の目の前にいる女は、性欲を最高に掻き立てる存在ということだ。
灯の近くにいた不良の二人組は、真っ先に朦朧となった表情で歩み寄る。
自ら罠にかかる獲物を嘲笑うように、少女は目を細める。
無防備にやって来た二人組の前に、彼女はゆっくりとしゃがみ込み、
一人の男のモノを手で握る。
触手で編まれたグローブ越しに、娼婦のような手つきでしごき出す。
「はん、熱い……」
灯は恍惚したように顔を紅潮させ、もう一人の生徒のモノを口で含んだ。
いやらしい水音が弾くにつれ、男達は荒い鼻息を立ち始める。
「ぐっ……」
「ああっ!」
しばらくもしないうち、男子達は膝をガクガク震わせ、精液を撃ち放った。
力を失って座り込む男とは対照的に、
灯は余裕綽々の表情で手についた精液を愛おしそうに舐め取る。
「癖になる味。……あなた達、まだまだこの程度じゃ物足りないでしょ?」
少女は淫魔のような笑みを浮かべると、後ろの跳び箱台の上に腰を乗せ、
太ももを左右に開いた。
触手服は自動的に紐状に解き、女性の一番魅惑的な部分を晒し出す。
178 五行戦隊 第十話『堕ちたハート』(3/15) sage 2015/01/04(日) 19:35:38.36 ID:w3ZhL4Vz
灯は手を這わせ、秘所の入り口を広げてみせた。
乱交の時に注がれた精液が蜜のようにトロリと垂れる。
そこに指先を入れ、搾取したばかりの精液をそこに加える。
あまりにも刺激的な光景に、二人の股間はすぐさま硬度を取り戻す。
「来て。その欲望、全部ぶつけて」
灯が挑発するような目付きで見つめると、男達はまるで催眠術にかかったかのように、
フラフラとした足つきで立ち上がった。
いつの間にか、彼らの両目には混沌とした暗い炎がともっていた。
「そうよ。それがあんた達の本来の姿なんだから」
灯が冷徹な笑みを浮かべ、生徒達の性器を弄んだ。
手や唇で。
太ももや足の裏で。
そして膣による中出し。
どうすれば男をイカせられるかを知り尽くしたように、灯は男二人を次々と射精に導く。
呻き声が連なり、いとも簡単に果て続ける男子達。
イク度に大量の精液をほとばしる姿は、周りの生徒から見ても異様な光景だった。
まるで精魂まで搾り取られたように、
不良の二人組はくたくたになって地面に倒れ伏せる。
灯は床にしゃがみ、切なげに眉をしかめた。
下腹部にある赤黒い紋様が一瞬強く輝く。
次の瞬間、彼女の秘所から二つの卵が続けて生まれる。
濃密な妖気にまみれたそれらを、少女が慈しむように拾い上げる。
「どうしたの。さっきまでの勢いはどこへ行ったかしら?
お前達のゲスみたいな欲望、もっと見せてくれよ」
「ゆ、許してくれ……もう、出ないんだ……」
「出ない? ハハッ、そんなわけ無いだろ。
お前達の精から産まれた子供は、こんなにも元気じゃないか!」
灯は手を前に伸ばした。
その卵だと思われていた物体が着火すると、奥に一つずつ緋色のまなこが浮かび上る。
つぶらな輝きは、遠くから見ると琥珀のように美しい。
だが生徒達がその瞳を見た途端、すぐさま妖眼獣を連想した。
灯が妖眼を垂らす。
二匹の幼虫はそれぞれ生徒達の鎖骨の間へと這い、
そこを刻み込むように寄生し始める。
「がああっ!」
「か、体が……熱い!」
男子達の体から炎が噴き出る。
あまりにも突飛な事態に、その場にいる全員が息を飲んだ。
侵蝕を受け、増強された肉体は男達の着衣を押し破る。
隆起する筋肉の表面に、血のような赤い毛並みが伸び始める。
カッと見開く少年達の瞳孔は、情欲に焼けたように赤く染まり、
灯と同じく妖魔のように縦長に伸びる。
179 五行戦隊 第十話『堕ちたハート』(4/15) sage 2015/01/04(日) 19:38:04.24 ID:w3ZhL4Vz
「……ガルルルゥ!」
一人の生徒の悲鳴が、途中から猛々しい咆哮に変化する。
やがて二人とも獣のような体型へと変化し、四つん這いの状態で立ち並ぶ。
数分もしないうちに、そこには赤い炎をまとった大型犬が二頭現れた。
野獣達の躯体に炎の気流がまといつく。
毛並みが光を反射して、妖しげながらも美麗な黒紋様が浮かぶ。
口から吐かれる息は火の粉を帯び、
獰猛な顔立ちが縄張りに侵入する他の生き物を威嚇する。
だが灯が手のひらを伸ばすと、
犬達はまるで飼いならされたペットのように顎を預け、従順な表情でさすりを受けた。
「良い子良い子。はい、チンチン」
灯が一匹に命じると、獣は何のためらいも無く仰向けとなって、四肢を天井に伸ばした。
無防備に晒された股間部を、灯が足で踏み付ける。
「キュウンンン!」
急所を踏まれているにも関わらず、大型犬は逃げるどころか、
むしろ相手を喜ばすように適度にジタバタした。
残りの炎犬も、まるでへつらうように灯のふとももに頭をこすり付ける。
「悔しくないの? 自分達の遺伝子を持った妖眼に寄生され、
支配されているんだよ? 弱い者には噛み付き、強い者には尻尾を振る。
まんまお前達の本性じゃないか」
灯は嘲笑しながら、ぐりぐりとつま先に力を込めた。
妖眼獣の弱点を熟知したような力加減。
足先から刺激と痛みが絶妙のバランスで繰り出され、オスの劣情を引き出す。
瞬く間に、犬は「アオーン」と鳴きながら濁液を発射した。
「情けないわ。こらえ性が無いくせに、性欲だけ人一倍あるんだから。
このまま社会に出ても、みんなの迷惑になるだけだよ?」
灯は蔑むように言った後、くすっと笑った。
「でも大丈夫。お前達みたいな屑に、オレがご主人様になってあげる。
しっかり調教して、女の子に奉仕する精奴隷犬や、
寄生されていな娘を嗅ぎ分ける猟犬に仕立てて、人の役に立つ存在にしてあげる」
「クゥーン」
犬達は卑しい鳴き声で唸りながら、灯の脚を舐めた。
「おい、なんだあれは……」
「市垣のやつらが……化け物になったぞ!」
我に返った傍観者は、ようやく身震いすることを思い出す。
ついさっきまでクラスメートだった存在が、自分達を襲った異形と同類になってしまった。
あまりにも身の毛がよだつ事実。
すかさず、数人の生徒が非常口へ駆け寄った。
だが一筋の熱気が彼らの耳元をかすめる。
強烈な火炎弾が非常口の扉を直撃し、炎上させる。
180 五行戦隊 第十話『堕ちたハート』(5/15) sage 2015/01/04(日) 19:39:11.56 ID:w3ZhL4Vz
「お楽しみはこれからだっていうのに、どこへ行くの?」
灯は暗黒の笑みを作った。
炎を放ったばかりの手のひらから、黒い妖気が立ちのぼる。
それだけに留まらず、彼女を中心に灼熱の熱波が体育館内を充満する。
「感じるわ。お前達からもらった淫気が体中を溢れ返る……最高に気持ちいいよ!」
灯は拳を握り締めると、指の隙間からさえ妖力の残滓が噴き出る。
修行しないと身に付かない霊力と違い、
搾取した淫気はそのまま邪悪なエネルギーとなって、無限の活力を供給してくれる。
触手服に体を締め付けられるゾクゾク感。
妖眼蟲に寄生支配されている高揚感。
それらが元々活発だった性格と融合して、今すぐにでも大暴れしたい気分になる。
戦慄する生徒達と違い、一人だけ愉しんで鑑賞する者がいた。
そんな彼女の元に、数人の生徒が問い詰める。
「話が違うじゃないか!」
「俺達がアイツを犯したら、解放してくれるって約束じゃなかったのか!」
「ええ、約束したわ」
清見は表情が変わらないまま、平然と答える。
「『私と私の部下』は、ね。あの子は私と敵同士なんだから、私の約束とは無関係だわ」
「な、なんだと?」
「くそっ、騙したな!」
逆上する生徒達。
その時、彼らの背後で呪文を詠唱する低い声が、体育館全体を響く。
「はあ――ッ!」
妖力を集め終えた灯が両腕を床に叩きつけると、黒炎の円陣が燃え広がる。
円陣の境目に万丈の炎気が噴き上がり、清見と生徒達の間を横切り、
内側を絶対的な牢獄へ閉じ込こめる。
陣内に満ち溢れる黒い熱気は、容赦なく生徒達の欲望や血気をあぶる。
「ぐああっ……!」
「な、なんだこれは」
「あそこが……熱い!」
炎気を浴びた生徒達は次々と苦しげに呻く。
意志力が弱い者ほど、そしてより多く灯と性交した者ほど、
股間の一物は熱い鉄棒のように直立し、飢えた獣のような唸り声をあげる。
黒炎陣の妖気は彼ら自身の邪念を焚き付け、理性を燃やし尽くす。
残されるのは、人間が本来持つ凶暴な闘争心や原始的な性欲。
「さあ、一緒に楽しもうじゃない。あなた達の精液、一滴残らず吸い取ってあげるわ!」
勝ち気な口ぶりで言った後、灯のスーツは無数の触手にほどける。
艶かしい肌色が陽炎の中を揺らぎ、
触手スーツの内側に篭っていた濃厚な淫気がドッと外へ拡散する。
妖眼蟲に寄生された時点で、宿主化した雌の個体は妖気のフェロモンが作り出せる。
灯が心から妖眼蟲に屈した今、元の霊力素質が最大限に発揮され、
並みの退魔師でさえ惑わすほど極上の淫香を放つ。
181 五行戦隊 第十話『堕ちたハート』(6/15) sage 2015/01/04(日) 19:40:40.94 ID:w3ZhL4Vz
妖眼の触手は少女の体を愛撫する。
胸の谷間を蛇行し、腰のくびれを巻きつき、股の一番神秘な部分を隠すように滑る。
そんな淫蕩な絵を見せつけられ、生徒達の目は一様に血走った。
一人、また一人と淫香に誘われ、くらんだ目つきで少女の体を抱いた。
そして快楽に導かれるまま精液をぶちまける。
あたかも食虫植物に誘われる虫けらのように。
さきほどの輪姦劇と似た風景でありながら、その主導権は完全に逆転した。
精液を浴びるほどに灯は苗床として、より淫らに成長していく。
生徒達の遺伝子を取り込んで、新しく産み出される蟲の幼虫。
精気を搾り尽くされた者から寄生し、その姿を獰猛な炎獣に変貌させる。
清見は乱交を遠くから見つめたまま、震えの止まらない体を抱き締めた。
青い触手スーツはぐちゅぐちゅと音を立てて、股間を覆う肉布の隙間から愛液が溢れ出る。
灯の性格は以前と似ているものの、気質は明らかに変化した。
朗らかさは開放的に。
負けず嫌いは好戦的に。
不屈の勇気は傲岸不遜に。
そして最大な変化は、正義を守らんとする情熱が、邪悪を貫くための執念となった。
妖眼蟲がもたらす変化は、寄生した人間に左右される。
男女で大別すれば、
オスはより多くの女を犯すため、己の欲望に比例して身体能力が向上する。
メスならばより多くの男を誘惑するため、オスを搾取するのに最適な美貌や外見を得る。
両者に共通するのは、
より多くの寄生感染者を作り出すため性欲が増大されるところだ。
一人の太り気味の男子が炎犬に肩を噛まれたまま、灯の前へ連れ出される。
灯を最初に犯した生徒だった。
だがかつて傲慢だった態度は消え果て、今や表情は恐怖のどん底に陥っていた。
「た……助けてくれ!」
男はたまらず膝を床に曲げた。
「ふーん、あんたにもそういう感情はあるんだ。
オレを犯してくれた時、あまりにも容赦無かったから、てっきり冷血無比かと思ったよ」
「おおっ俺は……俺はただ、あいつらの言われた通りに……!」
「他人から言われれば、従っちゃうんだ」
灯が冷笑を浮かべて近づくと、生徒は腰が抜けたように後ろへ転がった。
その無様な姿を、灯はぷっと噴き出す。
「そんなに許してほしいなら、『あなた様を化け物と罵ってすみませんでした』って、
土下座しながら十回言ってみろ」
「あなた様を化け物と罵ってすみませんでした!
あなた様を化け物と罵ってすみませんでした!」
男はすかさず姿勢を低くし、頭を餅つきのように床に叩いた。
だが彼が言い終わっても、灯は相変わらず汚物を見るような目線を投げつける。
「言い忘れたけど、昔からオレは三つのタイプの男が嫌いなんだ。
一つは、なんでも他人のせいにするヤツ。二つは、意見をころころ変えるヤツ。
そして三つ目が、すぐ土下座して命乞いしちゃうヤツ……って、あれ。
あんたが全部当てはまっちゃうじゃん」
182 五行戦隊 第十話『堕ちたハート』(7/15) sage 2015/01/04(日) 19:42:47.21 ID:w3ZhL4Vz
「あ、ああぁ……!」
生徒が振り返って逃げようとすると、灯の触手はバネのよう一斉に伸び、
彼をひっくり返して縛った。
その腹上を灯は馬乗りになって、口角を邪悪に吊り上げる。
「その表情、たまらないわ。恐怖にまみれてるくせに、あそこがびんびんになってる。
本当は少し期待してるだろ? オスという生き物は、どこまで情けないかしら」
灯は嘲笑しながら固まりきった肉棒を手に取る。
その先端を秘所の入り口に宛がい、触れるか触れないかの距離に保った。
女性の柔らかい花弁は何度も亀頭と接触して、こぼれた愛液が怒張りをいやらしく濡らす。
男の顔から理性が徐々に消えていく。
「ぐううぅ……!」
「あんたがあまりにも惨めだから、許してあげるわ。でもいいのかしら?
こんなチャンス、もう二度と来ないぞ? あとちょっと腰を伸ばせば、
あなたは自分の名前すら忘れるほどの快感を味わうんだぞ?」
灯は煽るように言いながら、腰を柔軟にくねらせて性器同士をキスさせた。
肉棒が淫裂に入れ損ねるたび、媚肉から水音が滴って、男を性欲に渇かせる。
「ぐわああっ!」
ついに、男子生徒は甲高い叫び声を張り上げ、灯の体を力強く突き上げた。
性器同士の直接接触により、
妖気は一気に生徒の体内へと雪崩れ込み、内側から肉体を寄生する。
しばらく前の乱交を遥かに凌駕する快楽だった。
生徒の太った体が燃え盛る。
昇天するような雄叫びが口から叫ばれる。
その体はゆるやかに膨らみ、貪欲に肥えたイノシシに変化した。
精気が灯の体内に吸収され、代わりに妖気を携わった妖眼蟲が植えつけられる。
「本当情けないんだから。
その腐った根性叩き直してやるから、今のうちに覚悟してよね」
新たな奴隷を貶す目つきで見下ろしながら、灯は嗜虐的な笑みを浮かべた。
炎の熱波に覆われた空間。
いつしかほとんどの生徒は目をぎらつかせ、欲望をたぎらす妖眼獣になった。
獣と化した姿は十人十色だが、そのいずれも全身に炎をまとい、
体のどこかに赤い妖眼が寄生して、灯の眷属であることを示す。
ただ一人残された生徒は、体を丸めてブルブル震わせていた。
「どこへ行こうとしてるの、せ・ん・ぱ・い?」
「ああ……っ!」
体を引きずって逃げようとした男は、その場で倒れる。
「お願いだ……見逃してくれ!」
「もう、先輩ったら。まだ気付いていないの?」
「えっ?」
「私は灯だよ、あーかーりぃ。さっき先輩達が言ってた、後輩の陸上部の子だよ。
ずっと内緒だったんだけど、実は私、五行戦隊だったの」
183 五行戦隊 第十話『堕ちたハート』(8/15) sage 2015/01/04(日) 19:44:19.71 ID:w3ZhL4Vz
普段から一人称に変え、少女はウィンクしてみせた。
その屈託の無い笑顔は、ついさきほどまでとは別人のように思える。
彼女はがっかりしたように溜息をつくる。
「私、ずっと先輩のこと好きだったんだ。でも、先輩は……」
その時、男はようやく記憶の奥から健気だが恋に奥手そうな少女を引き出す。
そしてそれを目の前の明朗快活な少女と繋げる。
男の頭は電光石火のごとく回転した。
「全部俺が悪かった」
「へ?」
「さっき言っていた言葉、あれ全部デタラメなんだ!
俺が見栄を張っただけで、本当は小心者で……」
「嘘よ! 先輩はサッカー部の人達と一緒に、私のことバカにしてたじゃない!」
「嘘なんかじゃない! 俺は本当は、ずっと前から灯ちゃんのこと好きなんだ!」
逆上する灯に向かって、沖田は恐れず大声で叫んだ。
灯ちゃんという呼び名と「好き」という言葉を聞いた瞬間、
灯はまるでハンマーで殴られたようによろめく。
「サッカー大会前日の練習の時、学校に来たんだろ?
途中で土砂降りになったのにお前は帰らなかった。俺を見に来る女子は、
みんなかっこいいところばかり見ようと試合当日しか見てない。だがお前は違った。
俺が泥まみれになった時だって、見てくれたんだ」
「そうよ……だって、私が初めて先輩と出会った時がそうだった。
努力する時の男の子が、こんなにもかっこいいだなんて、知らなかった」
先輩のまっすぐな眼差しに押され、灯は動揺したように二、三歩下がる。
しかし、彼女は相手を見つめたまま首を振る。
「でも、もう信じない……みんな、私に嘘をついているんだ。みんな心の中で、
私のことを責めているんだ。祥子も、翠も。陽子先生だって、今の姿を見たら……
きっと、学校の全員がそうなんだよ!」
「俺は違う!」
「聞きたくない!」
「いや聞いてくれ! お前は何も悪くないんだ。
俺がもっと速く、打ち解ければ良かったんだよ」
「何を今さら……」
「ねえ、灯ちゃん。もうこんなことを止めよう。灯ちゃんにもて分かるでしょ?
自分の心の中で苦しんでいることを」
沖田は立ち上がって、ゆっくりと手を伸ばした。
灯は息苦しそうに胸を掴んでいたが、ついにその腕を避けることができなかった。
そして沖田に触れられた途端、彼女の体から力が抜けた。
倒れ込んだ先輩の胸の中で、
今まで溜め込んだ悔しさを一気に解放するかのように咽び泣いた。
肩口を激しく震わせたまま。
184 五行戦隊 第十話『堕ちたハート』(9/15) sage 2015/01/04(日) 19:47:04.71 ID:w3ZhL4Vz
背中に流れる冷え汗を耐えながら、沖田はまだ恐怖が引きつる顔をニヤリとさせた。
思いっきり勝負に出たのは成功だった。
この手の義理固いタイプの女は、例え骨の髄まで恨まれて、まだまだ挽回する余地はある。
一度泣かして、恨みを晴らさせる。
そして昔の良い思い出を想起させる。
トドメに未来への希望を持たせるような言い方をすれば、必ずまた気を許してくれる。
「灯ちゃん、もう一度やり直そう。今度こそ、最初から俺と一緒に」
「もう、遅いよ……私はもう、取り返しもつかない事をしてしまったの」
「遅くなんかない。灯ちゃんは、正義の味方なんだろ?」
「先輩……」
正義の味方という言葉に、灯は真っ赤になった目を上げる。
その動揺を察知して、沖田は心の中で笑みを作った。
今までの灯の言動を洗い直せば、どのフレーズが彼女の心に響くかよく分かる。
異性を騙す演技力には絶対の自信がある。
たとえ相手が化け物だとしても、それに変わりは無い。
ここぞとばかりに、沖田は出来る限り優しい口調で言う
「誓うよ。俺は灯ちゃんのこと、心から好きなんだって」
「本当に……本当なの? 下心とか無しに」
「もちろんさ」
「じゃあ、これからその言葉を証明してもらうよ」
突如、灯は泣きべそから破顔して、ニッとして見せた。
今までの咽び泣きや震えた声は嘘のように消え、勢いよく男を押し倒す。
「本当に下心が無いっていうなら、これくらいのことは耐えられるだろ」
灯は蠱惑的な表情を作り、男の股間の一物に手を添えた。
「これから十分間、射精を我慢できたら、先輩が本当に体目当てじゃないってこと、
信じてあげてもいいわよ」
「あっ……ううぅ!?」
灯は竿の裏筋に息を吹きかけてから、指先でつーっとなぞり上げる。
亀頭に一筋の唾を垂らし、性器全体へまぶすように優しく撫でる。
溢れる汁気を指の腹で一つ一つ滑らせ、男性にとって最高の気持ち良さを与える。
男は口を大きく開いて、重苦しい息を吐いた。
絶妙な力加減に、体中の快感細胞が入れ替わるように躍動する。
灯の可愛らしいが魔女のような笑みを一目見ただけで、全身の血行が加速する。
今まで経験したどんなセックスも霞んでしまうほど、目の前の少女が魅力的に見える。
「ねえ、先輩……私とキス、しよ?」
男の理性をぶち壊すかのように、灯は静かに唇を重ねる。
柔らかい舌先が小動物のように滑り込み、唾液を混ざり合わせる。
甘い味が脳髄までとどろく。
親鳥からエサを受け取る雛のように、男は灯の唾をすべて飲み込んでしまった。
それが更なる搾精をするため、妖眼蟲が作り出す媚薬とも知らずに。
185 五行戦隊 第十話『堕ちたハート』(10/15) sage 2015/01/04(日) 19:49:04.97 ID:w3ZhL4Vz
「うっ……があああ!」
イケメンだった顔立ちにたちまち血の気が昇り、オスの顔つきになる。
その様子を見て、灯は意地悪そうに笑った。
「私、先輩のこと大好きだよ。だから、とびっきりの淫気をこめてあげたわ」
「ぐがあああ――!」
灯の言葉を象徴するように、
陽根の表面に血管が浮かぶほどガチガチに固まって、まっすぐそそり立った。
とどまること無く、次から次へと溢れ出る先走り汁。
それを灯はわざと音を立てて竿へと濡らす。
赤黒く鬱血した亀頭に指先が触れるたびに、肉棒がビクンと跳ね返る。
その時灯は決まって反応した部分を舐め、その快感を相手の脳に焼き付ける。
「があっ……くっ!」
「ねえ、先輩。今までセックスした女の子達の中に、こんなことしてくれた子いました?」
灯は嫣然と笑うと、肉棒を胸の谷間で挟み、亀頭の先端だけを露出させる。
そして上目遣いしたまま、可愛らしい舌先で鈴口をちょろっと舐めた。
まるで電撃を受けたように、男の腰はガクンと飛び跳ねる。
灯はそのまま頭を下げて先端を口内に含ませる。
肉棒が中を滑らせられる快感が、体内で炸裂して四肢へと広がる。
だがまさに火山が噴火しようとした直前。
男の根元はぎゅっと握り締められ、沸騰のマグマが強制的に押し留められる。
「ぐはあっ……っ!」
「どうしたの、先輩? このままイッちゃうと、やっぱり下心があるってことになっちゃうよ?
気持ちさえ良ければ、相手は誰でもいいんだ」
「そ、それは……」
「そうそう。もっと我慢した顔を見せて。……私をもっと楽しませるために!」
灯は残虐な笑みを浮かべ、再び肉棒をしごき出した。
乳房は先走り汁や唾に濡れて、いやらしい光沢を照り返す。
熱い吐息が何度も亀頭と衝突する。
だがイきそうになる度に、動きは中断され、射精をギリギリのラインで寸止めされる。
まるで男性器の所有権は相手にあるかのごとく。
「も、もう……だめだ!」
「ええ? まだ三分も経ってないよ」
「こんなの……もう耐えられない!」
「もう、先輩の意気地なし。じゃあ、最後にこれだけ耐えてみせてよ」
灯は肉棒の根元を指でぎゅっとつまむと、赤い呪印を焼きつける。
それから体を起こし、充血しきった一物を自分の膣に向けた。
次の瞬間、腰を一気に根元まで沈める。
「うああああああああ――!」
男は喉を潰さんばかりの悲鳴を上げた。
膣壁は肉棒を窮屈そうに包み込み、濡れそぼった蜜穴があらゆる方向から締め付ける。
おぞましい快感が男の脳内を占領し、何もかも蒸発しそうだ。
だが絶頂を登る度に、精液が根元で塞き止められる。
抽送が繰り返される中、陽根の根元にある呪印が真っ赤に輝く。
186 五行戦隊 第十話『堕ちたハート』(11/15) sage 2015/01/04(日) 19:50:52.56 ID:w3ZhL4Vz
「はぁ、あん……いいでしょ、先輩? その呪印はね、
私の許可無しに射精できないってものなの。これで先輩は約束を破らずに、
思いっきり楽しめるでしょ?」
灯は男の胴体に両腕を突き立て、雌豹のように体付きを上下させる。
陸上部で鍛え抜かれた理想な体。
余分の贅肉が一切無く、体幹から四肢に至るまで思春期の息吹を漂わせる。
妖眼蟲の淫気に影響されてから、
それが更にいかなるオスをも魅了する肉体へと昇華した。
寄生服の触手は宿主を喜ばそうと、美乳や胴体に巻きつく。
少女の柔肌と不気味な触手とのギャップが、より一層淫らさを際立たせる。
その色香極める光景を、沖田はまなじりが裂くような勢いで凝視した。
これまで吸い続けた炎気や唾の影響が、血流が奔騰に乗って全身を侵蝕しきった。
ついに、欲望が限界を超える。
沖田は狂気を滲ませた怒号をあげ、少女の体を掴んだ。
「ああぁん」と灯が嬌声をあげて腰を振る。
くちゅんくちゅんと水音が弾み、汗や愛液が四方へ飛び散る。
少女の蜜穴はまるで触手のるつぼのように、異常に膨らんだ陰茎をきつく締める。
「ねえ。先輩、私のことが好き? どんな女の子よりも?」
「ああ、そうだ……大好きだ!」
「じゃあ、昔の私よりも? 正義を守っていた頃の灯よりも、
今の先輩とセックスしてくれる灯のほうが好き?」
「ああそうだ、今の灯ちゃんが好きだ! だから速く、中に出させてくれぇええ――!」
灯は冷笑を浮かべた。
沖田にはなんてことの無い一言だろうが、
これで彼女の内側にあるかつての人格は完全に封印された。
「いいわ、望み通りにしてあげる。もう今後一切、
今の私とセックスすること以外考えられないように、その体に直接焼印を刻んであげるわ。
さあ、私と一緒にイって――!」
灯は悪魔な笑みを作ると、脚の付け根を男の腹部に密着させ、
子宮口に肉棒が当たるまで腰を落とした。
一寸の隙間も無く繋がる二つの体。
男子生徒の全ての欲望が解き放たれ、一生分の精子を使い尽くす勢いで射精した。
雄叫びが建物を揺るがす。
極限まで高められた淫気と精液が、そのまま灯の体内へと取り込まれる。
だが同時に妖眼蟲の卵も子宮口を通り、男の性器に寄生する。
二人の喘ぎ声が響き合う。
だが男声の快楽の叫喚が、途中から獣のような唸り声へと変質する。
男子生徒の骨格や体格は爆発的に膨らみ、筋肉が隆々と盛り上がる。
その禍々しい気配は、今までの生徒よりも格別だった。
胴体は剽悍な熊に。
下肢は力強いライオンに。
背中から伸び出る犬鷲の両翼。
そして頭部は赤い目をともした黒山羊に変貌し、
その口から放たれる咆哮は爆風のように空間全体を震撼させる。
今まで変化したどの者よりも、強い妖気をまとった存在となった。
187 五行戦隊 第十話『堕ちたハート』(12/15) sage 2015/01/04(日) 19:53:12.46 ID:w3ZhL4Vz
「あーあ、酷い姿。先輩のイケメンが台無しだわ」
普通の妖眼獣よりも一回りほど大きい悪魔の姿を、灯は卑しめるように笑う。
彼の股間の一物は凶暴なサイズとなり、ドクドクと勃起していた。
竿の表面に一つの妖眼が寄生し、根元には灯が施した赤い線がそのまま残る。
「その呪印がある限り、先輩は私でしか射精できないの。
でも、私はもう先輩のこと好きじゃ無くなったから、
そんな頻繁にエッチしてあげられないの」
グルルゥと唸る悪魔。
全身から漂う凄まじい気炎は、その体に潜む欲望エネルギーの総量を象徴する。
「でも安心して。特別に女の子を十人寄生する度に、
ご褒美として射精できるようしといてあげる。ふふっ、
女を犯すことが大好きな先輩にとって、やり甲斐のある仕事でしょ?
これからは性欲のために、たくさんの女の子に蟲を植えつけようね」
「ブオォ――ン!」
もはや人語を忘れた妖眼獣は、ただ地響きのような野太い声で返答した。
■
「うーん。すっきりしたぁ。」
灯は腕を頭上に挙げ、気持ち良さそうに背伸びをする。
分裂した触手は服装状態に合体し、淫交の余熱と残り香をそのまま内包する。
その横に、清見の無表情な顔つきが現れる。
「ようやく終わったわね」
「うわっ、清見……」
「『ああぁん、私と一緒にイッて――!』だって」
「ちょ、ちょっと! もしかして、全部撮ってたの!?」
清見が手に持ってる目玉型ビデオカメラに気付き、灯はこれ以上無いほど狼狽した。
彼女はすかさず飛び掛ったが、
それよりも速く清見がビデオカメラを触手服に押し入れた。
スーツに溶け込んだ目玉は素早く位置を入れ替え、どれがどれなのか区別できなくなる。
「安心して。私が気分良いうちは、編集してみんなに見せるようなことも無いから」
「こ……の……」
灯は歯軋りするも、どうしようも無かった。
五行戦隊の時から清見にいろんな弱みを握られたが、寄生後は早速一つ増えた。
「それにしても、今までよく手を焼かせてくれたわね」
「くっ……だって、こんなエッチな格好になるんだよ。
お前や翠は似合ってるからいいけど、オレはこういうの……自信無かったし」
露出度の増えた体を見て、バツ悪そうに弁解する灯。
二人の間には、親友同士ならではの空気が流れる。
だが二人の体から発される妖気は、正義の味方たる五行戦隊とは正反対のものとなった。
188 五行戦隊 第十話『堕ちたハート』(13/15) sage 2015/01/04(日) 19:54:15.94 ID:w3ZhL4Vz
「どう。私の言った通り、妖眼蟲に身を委ねれば楽になるでしょ?」
「ぐっ……まあ、確かに、少し気持ち良かったよ。その……なんて言うか、
思ってたほど悪い気分じゃなかったし」
「少しだけ?」
清見がジト目で見つめる。
灯は顔を真っ赤にして、大声で開き直った。
「分かったよ、謝るよ。今まで散々逆らってすみませんでした、
手間を掛けさせごめんなさい私が全て悪かったです」
「負けず嫌いなんだから。でもこれからは素直になれるよね」
「だって……こ、こんな気持ち良いこと経験したら、もう蟲無しじゃ……生きていけないもん」
最後に口調を弱めながら、灯は恥かしそう視線を逸らした。
その隙をつくように、清見は灯にキスをする。
最初は驚いた灯だったが、すぐに頬を赤らめ、両目をつむった。
お互いの指は恋人のように絡み合う。
顔が離れた後も、二人はそのまま抱き締め合う。
清見は灯が最後に寄生化した妖眼獣を見つめる。
「強力な上級妖魔が生成できたわね。妖眼蟲なら、
霊力を持たなくても欲深い人間から妖力を引き出せる。灯も感じたでしょ。
人間を支配する喜びと、妖眼蟲に支配される幸せを」
「ええ。今なら分かる。自分は妖眼蟲に寄生されるために、今まで生きてきたんだって」
「これからは抵抗する人間達と戦うことになるけど、あなたにできるの?」
清見が問いかけると、灯は困惑することなく、逆にワクワクしたように答えた。
「たとえ屑であっても、オレは人間を守る。妖眼蟲に支配される世界を守る。
五行戦隊のために培った力は、そのために使ってやるさ」
灯は左腕を掲げた。
そこに黒い妖気の炎が渦巻く。
「それに、こっち側にいたほうがたくさん暴れられるだろ?
強い退魔師といっぱい戦えるんなんて、こんな面白い事ほかにあるかよ。
なあ、睦美!」
話の最中、灯は清見を押しのけると、猛然とした勢いで地面を殴った。
天井まで噴出する火柱から、一つの人影が飛び出る。
その人物は灯や清見から距離を取って身構える。
褐色の護霊服は妖炎に焼かれ、黒い煙が漂う。
「すまんな、睦美。オレはもうお前の敵になったんだ」
「……」
睦美は不動の山のごとく、かつて戦友達を見つめた。
灯は心底から楽しそうな表情を浮かべていた。
好敵手を見つけると喜ぶところは、以前の灯と変わらない。
ただ昔と違うのは、かつてその瞳に宿っていた正義の炎は、今では反逆の象徴となっている。
戦うことや他人を打ち倒すことで快感を見出す、危険極まりない妖魔と化して。
189 五行戦隊 第十話『堕ちたハート』(14/15) sage 2015/01/04(日) 19:55:37.35 ID:w3ZhL4Vz
「セックスも気持ちいいけど、やっぱ強いヤツと戦えるほうが嬉しいわ。
あんたとは一度、本気でヤッてみたかったんだよ!」
次の瞬間、灯は目にも止まらぬ速さで睦美と距離を詰める。
だが先読みしたように、睦美は右拳を繰り出す。
「砕石拳っ!」
「バーンナックル!」
両者の全力がぶつかり合う。
霊力と妖力が衝撃波となって、その地点から波紋のように広がる。
褐色と赤色の影は大きく揺らぐと、それぞれ反対方向へ分離する。
「やるじゃねえか、睦美。……気持ちいいぜ、この痛み!」
灯は不敵な表情を浮かべた。
彼女の左腕は灰色に石化した。
腕を保護していたはずの触手スーツにひびが入り、所々砕けて落ちる。
その一方、睦美の右腕は黒い炎に包まれていた。
しばらく経っても残火は燃え続き、バトルスーツは炭のように黒焦げになる。
腕の感覚は一切失われ、指の一本さえまともに動けない。
(くっ……)
睦美は顔色一つ変えず、腕から伝わる痛みをこらえた。
一見痛み分けのような結果。
だが睦美は地中に潜んでいた時から、万全の体制で霊力を溜めていた。
それに対し、灯の攻撃は咄嗟に放ったもの。
ダメージが同じならば、今の灯の力量は睦美を上回ることになる。
その時。
睦美と灯の横の壁からが、突如百本もの剣の先が突き出る。
切り裂かれた壁の後ろから、暗黄色の触手服を着た少女が陽気に現れる。
「はいはい、職員室を全員寄生し終わったよ。清見の分まで残してなくて、ごめんね」
「鈴華……!」
てへっ、と謝る黄色い触手服の少女。
睦美はその小柄な人影を見て心を沈ませた。
それと違う方向に、別の変化が生じる。
地面から大きな蕾が盛り上がり、咲いた花の中から暗緑色の少女が現れ出る。
「翠……!」
「……指示通りに、理事長室の封印庫からこれを」
翠は一つの古ぼけた壷を清見に手渡した。
彼女は睦美に気付いても視線を合わすことなく、
ただ赤らめた顔で灯のそばへ行き、荒い吐息のまま石化した腕に薬草を塗りつけた。
無機質だった石はたちまち血の気を取り戻し、通常の肌色までに回復する。
触手スーツは壊死した肉布を分断し、新たな触肉を再生するため粘液を分泌する。
190 五行戦隊 第十話『堕ちたハート』(15/15) sage 2015/01/04(日) 19:57:59.44 ID:w3ZhL4Vz
「サンキュー、翠」
「ちょっとバカリ、なに勝手に寄生されてるの?
あんたを『鈴華様、私を犯してください~』ってひーひー泣かせる私の計画、
台無しになったじゃない!」
「はあ? 誰が誰を犯すんだって? チビっ子のくせに」
「むき――っ、だからチビって言うな!」
可愛らしく頬を膨らませ、つま先を伸ばす鈴華。
彼女をわざと上から見下ろすよう、更につま先を伸ばす灯。
睦美にとって、それは見慣れたような光景だった。
冗談を言い合ったり、じゃれあったりしていた日常。
「はいはい、そこまで。翠もご苦労だわ」
灯と鈴華を制止しながら、清見は足元に水溜りを出現させる。
そこに壷が置かれると、ぽとりと沈んで無くなった。
「五人全員が揃うなんて、久しぶりね」
睦美は硬い表情のまま呟き、仲間の顔を一人ずつ確認するように眺めた。
自分にとってかけがえの無い仲間達。
しかし今、彼女達は最悪の敵として自分の前を立ちはだかる。
「後はあなただけよ、睦美」
深海のような冷めた瞳で見つめる清見。
「そういうことだ。いっぱい楽しもうぜ」
灯は好戦的な笑みで回復したばかりの拳を握り締める。
「私達は仲間でしょ? 安心して、すぐ睦美にも、寄生の快楽を思い知らせてあげるから」
ニッコリと妖眼剣の剣先を向ける鈴華。
「……」
虚ろな瞳で顔を赤め、吐息に罪悪感と無力さを滲ませる翠。
彼女ら四人は、いずれも睦美と同格の実力の持ち主である。
妖力に強化された今、例え一対一でも確実に勝てる自信は無い。
睦美は思わず空を見上げた。
肉壁化した天井がうねうね蠢き、
まわりの息苦しい空気と同じよう重く押しかかってくる。
例えそこに天井が無くとも、見えるのは鉛色の曇り空だろう。
はたして、いつになったら光がこの大地に届くだろうか。
この悪夢の結末を見るよりも速く、目を覚ましてくれるような太陽の光が。
191 五行戦隊 第十話『堕ちたハート』 sage 2015/01/04(日) 19:59:01.76 ID:w3ZhL4Vz
以上です。
新しい一年間は、
全ての住民様に良いことがありますように、全ての作者様がすらすら作業進められるように、
そしてスレがますます繁盛することを心より祈ります。
今年もどうかよろしくお願いします。